JPS6338157Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はフオークパイプの中空ロツドを固定す
るアツパーメタルにフリーピストンで区画したエ
アー室を設け、圧縮行程の初期減衰力を吸収でき
るようにしたフロントフオークの減衰力遅動装置
に関する。

オートバイのフロントフオークは一般に圧縮、
伸長行程の初期に減衰力が急激に増大し、円形な
いしは楕円形の減衰力曲線を描くような特性を有
している。このため、ギヤツプに乗り上げたとき
に当たりがかたく、乗心地が損われる傾向があつ
た。

本考案の目的は圧縮行程初期の減衰力をストロ
ークに対して遅延して発生させることにより圧縮
初期には減衰力が軟らかく、圧縮行程が進むにつ
れて大きくなるようにしたフロントフオークを提
供することにある。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の実施に好適なフロントフオー
クを示すもので、上端のアツパーメタル１に中空
ロツド２を植設したフオークパイプ３を油を充填
したボトムケース４内に摺動自在に嵌合し、ロツ
ド２の先端に固着したピストン５をボトムケース
４の底部から植立させたシートパイプ６内に揺動
自在に嵌合するとともに、該ピストン５とシート
パイプ６のボトムピース７にそれぞれ減衰力発生
機構を設けて圧縮、伸長側の衝撃を緩衝するよう
になつている。

この種のフロントフオークにおいて、本考案の
特徴は第１図のように中空ロツド２を支持するア
ツパーメタル１に、中空ロツド２の内部油路２′
を介してシートパイプ６の油室６′に連通するシ
リンダ８を一体形成するとともに、シリンダ８内
にフリーピストン９を摺動自在に嵌合し、フリー
ピストン９の上方にエアー室１０を形成するよう
に構成したことにある。

シリンダ８の上部はエア封入プラグ１１を含む
閉鎖部材１２で密封されており、プラグ１１から
封入したエアーによりエアー室１０を所定の圧力
に保持している。尚、エアー室１０内の圧力は通
常は中空ロツド２の内圧より高くなるようにして
あるため、フリーピストン９は図のようにシリン
ダ８の下方に位置している。従つて、フロントフ
オークが圧縮されて中空ロツド２の内圧が上昇す
ると、シートパイプ６から中空ロツド２の油路上
端付近まで充填されている油はシリンダ８の下部
油孔８′から内部に流入し、フリーピストン９を
押し上げてエアー室１０を圧縮し、フリーピスト
ン９の先端が閉鎖部材１２の下端に当接するか、
もしくはフリーピストン９の上下内圧がバランス
される位置まで摺動するようになつている。

尚本考案では、エアー室１０の上部閉鎖部材１
２を上下移動可能に取り付け、エアー室１０の容
積を可変して減衰力遅動機能を調整できるように
するため、シリンダ８内に摺動自在に嵌合した栓
体１２ａと、該栓体１２ａをシリンダ８に係止さ
せ且つ上下に移動させる固定具１２ｂで閉鎖部材
１２を構成してもよい。

栓体１２ａは、上部に加圧バルブ１３を螺着し
たエア封入プラグ１１の先端に、シリンダ８内を
摺動するピストン１４を一体に固着し、エア封入
プラグ１１の外側にガイドスリーブ１５を螺合し
て構成されている。また、固定具１２ｂは、その
下部外周にアツパーメタル１の上部内周面との螺
合ねじ山を有する中空体からなり、封入プラグ１
１の上部が中空内部を貫通するようにして栓体１
２ａの外側に嵌め込まれ、外側のねじ部を、アツ
パメタル１の上部開口内周面に形成したねじ部に
上下動自在に螺合し、その下面を栓体１２ａのガ
イドスリーブ１５上面に当接し、栓体１２ａをア
ツパメタル１に係止させている。

尚、好ましくは固定具１２ｂと栓体１２ａとの
回転係合に節度感をもたせるために、ガイドスリ
ーブ１５の上面に形成したほぞ穴１６にばね１７
に弾発されたスチールボール１８を嵌め込むとと
もに、ガイドスリーブ１５の上面と対接する固定
具１２ｂの下面に該ボール１８と係合する窪み１
９を設けておく。図の例ではボール１８を嵌め込
んだ環状部材をガイドスリーブ１５の外側に嵌合
してあるがもちろんこれはガイドスリーブ１５と
一体に形成してもよい。

従来のフロントフオークは圧縮行程に入るとシ
ートパイプ６の油圧上昇に伴つて直ちに減衰力が
急激に働き、圧縮側の初期減衰力は第２図の仮想
線Ａで示すような特性を有するのに対し、本考案
は上記の構成になるので圧縮時にシートパイプ６
の油圧が上昇しても油は中空ロツド２の油路２′
からシリンダ油孔８′を通つて上昇し、フリーピ
ストン９を押し上げてシリンダ８内に流入する。
このため、フリーピストン９の上端がエアー室１
０の閉鎖部材１２に当接するかあるいはエアー室
１０の内圧がフリーピストン下方の油圧とバラン
スされるまでは所定の圧縮側減衰力は働かないか
ら、圧縮初期の減衰力特性は第２図実線Ｂで示す
ように圧縮ストロークに対して遅れて作動するこ
となる。従つて、オートバイがギヤツプに乗り上
げた時の当りが柔らかくなり、操縦のフイーリン
グが向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置を用いたフロントフオー
クの縦断面図、第２図は本考案を用いたフロント
フオークと従来例との減衰力特性を比較した減衰
力曲線図である。 １……アツパーメタル、２……中空ロツド、３
……フオークパイプ、４……ボトムケース、６…
…シートパイプ、８……シリンダー、９……フリ
ーピストン、１０……エアー室、１１……エアー
封入プラグ、１２ａ……栓体、１２ｂ……固定
具、１５……ガイドスリーブ、１８……スチール
ボール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空ロツドを植設したフオークパイプを、作動
   油を充填したボトムケース内に摺動自在に嵌合
   し、ボトムケースの底部に植立させたシートパイ
   プ内に中空ロツド先端のピストンを摺動自在に嵌
   合するとともに、シートパイプ底部のボトムピー
   スに減衰力発生機構を設けたフロントフオークに
   おいて、中空ロツド２を固定するフオークパイプ
   ３のアツパーメタル１に、中空ロツド２の内部油
   路２′を介してシートパイプ６に連通するシリン
   ダ８を一体形成し、該シリンダ８にフリーピスト
   ン９を摺動自在に嵌合してフリーピストン上方に
   エアー室１０を形成したことを特徴とするフロン
   トフオークの減衰力遅動装置。