JPS6221892B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、経編地の製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、沸水収縮率20％以上の熱可
塑性合成繊維を裏糸に交編せしめ、熱処理および
起毛加工をして得られる起毛経編地であつて、立
毛性に富み、光沢の方向性の極めて少ない別珍風
な外観、柔らかな圧縮風合を示し、かつ、タテ・
ヨコ方向共に適宜の伸縮性を有する縫製生地とし
て最適な起毛経編地の製造方法に関するものであ
る。

〔従来技術およびその問題点〕

従来、経編において、前後のおさのランナー比
を２倍近く送り込ませて編パイルを形成し、さら
に起毛加工を施してカツト起毛することはよく知
られている。

しかしながら、この方法によつて得られた起毛
経編地は、パイルが寝てしまつて方向性が強いた
め、縫製品にした場合、各部位に光沢差が微妙に
現われて外観を害したり、ボリユーム感を満足さ
せるには不充分であつたりするという欠点があつ
た。

また、製品使用時に毛羽立ちやピリングなどを
発生しやすいという欠点があつた。

また、２枚おさ使用による編パイルは、立毛起
毛することによつて編地物性のストレツチ・バツ
ク性が一般的に不充分となり、一層の改善が望ま
れていた。

これに対して、３枚以上のおさを使用すること
によつて、比較的安定した物性を付与した長いカ
ツト起毛を得ることができるが、パイル密度がま
つたく粗となり易く、かつ、長いカツト起毛であ
るために立毛性がほとんどなく、この面の改善が
望まれていた。

一方、別珍織物は縫製取扱い時、生地が硬く厚
いために型くずれし易く、縫製し難い欠点を有し
ている。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記従来技術による経編地の
欠点を解消し、パイルの方向性を極めて少なくし
た立毛度を有し、圧縮性および圧縮回復製に富
み、かつ、軟らかい風合で、あたかも別珍風な外
観を示し、さらには従来知られた別珍織物に比
し、タテ・ヨコ方向共に適宜の伸縮性を有する縫
製生地として最適な経編地の製造方法を提供する
ことにある。

〔発明の構成〕

この目的を達成するため、本発明は、沸水収縮
率20％以上の熱可塑性合成繊維糸を後列のおさ２
枚に配列させ、任意の繊維からなる起毛糸を前列
のおさ１枚に配列させてなる３枚おさ使用の経編
地を製編する際に、前列のおさの振り幅を５針以
上となし、後列のおさに対する前列のおさのラン
ナー比を1.95〜2.55倍の範囲となし、機上の編込
み密度を70コース／2.54cm以上とし、かつ後列の
２枚のおさのうち少なくとも１枚を開き目を形成
するように振つて製編した後、リラツクス熱処理
し、起毛することを特徴とするものである。

ここで、糸の沸水収縮率は、試料長として枠周
1mの小カセ（約10回程度；デニール当り0.1gの
初荷重）をとり、その試料を薄い布に包んだ状態
で適当な熱水処理そう内に浸漬し、水温から２
℃／分の昇温速度で98℃まで上昇させ、20分間一
定条件を維持する。その後、徐冷、風乾後、元に
用いた荷重を吊し小カセの長さを測長し、次式に
より算出する。

沸水収縮率（％） ＝（１―熱水処理後のカセ長（cm）／熱水処理前の
カセ長（cm）×100 実際には、これを５回行ない、その平均値をと
るものである。

ランナーとは、単位ループ数あたりの給糸長の
ことで、単位ループ数は480と定められている。
すなわち、480コースあたりの給糸長のことであ
り、これをランナー（またはランナー長、ランイ
ン）と呼んでいる。換言すれば、たて方向に480
のループを作るために必要な糸の長さのことであ
る。

また、480コースを１ラツク（Rack）と呼び、
編地の長さの単位や生産高の計算単位などにラツ
ク数として用いる。

ランナーは使用するおさの枚数に応じて、各お
さ毎にその長さを決めるが、各おさ相互間のラン
ナーの比率をランナー比という。編成中のランナ
ーとランナー比の管理は、経編の品質チエツクの
最も重要なポイントである。経編地の物理的性質
（とくに伸縮性など）は、使用する糸と組織によ
つてほぼ決まるが、ランナーおよびランナー比の
設定の仕方で外観や風合はかなり異なるものであ
る。

ここで、標準的なランナーの計算式およびラン
ナー比の関係を定義する。この場合、タテ糸給糸
長を機上布地長で割つたものを編込率と表示する
と、編込率とランナーとの関係は、 ランナー（cm）＝編込率×４８０（コース）／コース
密度（コース／cm） となる。

次に、各おさ相互間の標準的なランナー比は組
織別にデンビー組織を基準として、ハーフ組織
１：1.33、サテン組織１：1.67が通常の目安とさ
れている。実際の場合、おさ相互間で同一糸種の
みで経編地を製造するものばかりでなく、異種、
異デニールあるいは又特殊加工糸などのストレツ
チヤーンを交編する場合が多いため、標準値を目
安とし、ハーフ組織では１：1.4〜1.5、サテン組
織で１：1.8〜1.9にする。

一方、コース密度が大になるにつれてランナー
比（対デンビー組織）は小さく見積る必要があ
り、たとえばハーフ組織で、30コース／2.54cmの
とき１：1.33であり、80コース／2.54cmのときは
１：1.28でよい。

したがつて、この発明において適用している３
枚おさのうち地組織を形成する前列２枚おさのラ
ンナー比は１：1.31（機上編込み密度75コース／
2.54cm）とり、地糸に対する起毛糸のそれは１：
2.55（対デンビー組織）となる。

本発明において、地糸に対する起毛糸のランナ
ー比を1.95〜2.55倍の範囲とするものであるが、
その理由は前述の如く、経編地の物理的性質、と
くに伸縮性付与にはランナー比の倍率が高い程よ
いからであり、その制約は編立時の糸切れ数を最
少にするよう工程管理する。さらに起毛パイルの
立毛性寄与にできるだけ多くの給糸長を見込んで
いる。

また、ランナー比が1.95倍未満、および2.55倍
を越える範囲は共に編立効率が極端に悪くなる。
これらの配慮はいずれも高収縮フイラメント糸の
編立特性およびリラツクス時の高密度化を充分発
揮させるためである。

以下、図面に従つてこの発明を説明する。

第１図は、本発明の製造方法によつて製造した
起毛経編地の組織図の一例である。すなわち、３
枚おさ使用の、フロントおさに起毛糸を配列し１
×５コード組織で、ミドルおよびバツクおさに地
糸なる高収縮フイラメント糸を１×２コード組織
と１×１コード組織の編目構成で編成した組織図
の１例である。

同図において、起毛糸ａはフロントおさに仕掛
けたことによつて１×５コードなるおさを各コー
ス毎に閉じ目の５針間振りになるごとく編込ませ
たものであり、地糸ｂはミドルおよびバツクおさ
で共に１×２コードおよび１×１コードなる組織
で、ミドルおさはフロントおさと逆方向振りの開
き目で、バツクおさはフロントおさと同方向振り
の閉じ目を示す。

ここで、同図のように地糸に２枚おさ使用の場
合は、ミドルおよびバツクおさ共に１×２コード
組織と１×１コード組織の組合せが他のいかなる
組合せ組織よりも最適であることがわかる。

すなわち、ダブルコード組織、ダブルデンビー
組織、およびチエイン組織などの組み合せより
も、編機の機械特性からくる生地のルーズさ、お
よび熱処理後具現されるフロントおさの起毛糸の
パイル密度、立毛度ならびに起毛品位の良さは、
他のものの比ではない。

ここで、比較のために、他の一般的なトリコツ
ト起毛品である地糸が１枚のおさからなる全体が
２枚おさ使用の起毛経編生地について述べると、
前述のとおり生地のタテ・ヨコ方向共に伸縮性が
増加したり、回復性が不良となつたものになり、
結果として起毛加工時に起毛筋や起毛段などが発
生し、品位不良のものしか得られない。

従つて、３枚おさ使用に比べていかなる２枚お
さ使用の経編地であつても不完全なものしか得ら
れない。もちろん、本発明でない他の２枚おさの
使用では別珍布帛のような立毛度に達ることはあ
り得ない。

本発明に係る３枚おさ使用の経編地とは、１重
針床を持つた経編機において、各おさが必ず編み
目をいずれかのコースで形成しており、振込み組
織は包含せず、完全に３枚おさがいずれも編目形
成に参画した経編組織をいう。

その代表的なものとして、地組織が１×２コー
ド組織と１×１コード組織の組合せがあり、それ
はデンビー組織のみよりも好適である。さらに編
目構成を検討すると、一方が閉じ目で、他方が開
き目になつている対称なものが最適である。

第２図は、最終起毛仕上をした経編地のウエー
ルに沿つてカツトした場合の、パイル立毛度の測
定法を説明するための拡大側断面図である。

本発明の製造方法によつて得られた起毛経編地
のパイル長は、生地を含めた厚さｈで示すと、ｈ
＝１mm以下が別珍風になるので好ましい。

ここで、製編後、熱処理・起毛加工を施させた
起毛糸の立毛度とは、試料片として該生地の編立
方向のウエールに沿つて生地をカツトし、適当な
顕微鏡を用いて倍率10〜40倍の立毛状態を顕微鏡
写真にとつてから、第２図のように、写真内の最
低生地面から最下層の糸断面を水平方向に仮線Ｘ
軸をとり、起毛糸ａの中心点である編目と起毛立
上り部の交叉する点を原点Ｏと定め、原点Ｏから
垂線Ｙ軸をとり集束した起毛パイルの中心線に沿
つて起毛糸ａの半分の長さ（OR＝ｈ／２）まで
の立上り傾斜角（LPOX＝θ゜）を読み取れば、
立毛度＝θ゜となる。

実際には、写真１枚につき５ケ所θ゜を測定
し、都合３枚の平均値をとるものである。

本発明の製造方法によれば、製編後、熱処理・
起毛加工を施した起毛糸の立毛度が、75゜以上に
なる。

本発明に使用する糸としては、沸水収縮率20％
以上のものが好ましく、ポリエステル系やポリア
ミド系のマルチフイラメント糸等を用途に応じて
便宜選択できる。また、採用する糸の太さ等も選
択できる。

ここで、ポリエステル系とは、たとえばテレフ
タル酸を主要な二塩基酸とし、グリコールとして
はエチレングリコールまたはシクロヘキサンジメ
タノールを主要なグリコールとして用いられたも
の、またはエチレンオキシベンゾエートを用いた
ものであり、種々のエステル形成性化合物を共重
合したものであつてもよい。これに加えて、第三
成分としてイソフタル酸、またはメトキシポリエ
チレングリコールを共重合したものも用いられ
る。ここで、第三成分の添加量は2.0〜5.5モルあ
れば沸水収縮率20％以上の高収縮糸が得られる。

また、ポリアミド系とは、たとえばポリε―カ
プロアミドまたはポリヘキサメチレンアジポアミ
ドであり種々のアミド形成性化合物を共重合した
ものが用いられる。これに加えて、ヘキサメチレ
ンジアンモニウムイソフタレートを共重合したも
のも用いられる。

一方、任意の繊維とは、フイラメント糸に限定
するものでなく紡績糸およびそれらの複合糸であ
つてもよい。つまり、再生繊維素繊維であるレー
ヨン糸、半合成繊維のアセテート、合成繊維のポ
リエステル、ポリアミドおよびポリアクリロニト
リル系等の他、さらに紡績糸は綿糸、および合繊
混紡糸のいずれであつても差支えなく、経編機の
通過性および起毛性等に問題なく、かつ、製品品
質が高級感、審美的であればよい。

さらにまた、機上の編込みコース密度は、３枚
おさ以上の場合、標準的に50〜60コース／2.54cm
であるのに対して、本発明によれば、70コース／
2.54cm以上の高密度の編込みを達成することがで
きる。

得られた経編地は起毛品位の立毛性の判断の１
つに、経編地を回転させ光沢の強弱である異方性
がない程度のパイル密度が必須条件とされてお
り、立毛度も約75゜以上を有し、各コース毎の起
毛パイルがヨコ畝状に見える程の不良な起毛外観
を有していない。

第３図に、本発明の製造方法によつて得られた
起毛経編地が示す色彩光沢特性の１例である対比
光沢度（比反射エネルギー）を示す。

同図において、曲線Ａは本発明の製造方法によ
つて得られ起毛経編地が示す比反射エネルギー曲
線であり、沸水収縮率44.1％の30デニール
（Ｄ）、８フイラメント（Ｆ）のポリエステルフイ
ラメント糸を後列２枚おさに仕掛け地組織１×１
コードおよび１×２コード組織で、沸水収縮率
4.5％の75デニール（Ｄ）、34フイラメント（Ｆ）
のビスコース糸再生繊維フイラメント糸を起毛糸
用に前列１枚おさに仕掛け１×５コード組織でラ
ンナー304cmで編込みコース75コース／2.54cm編
成した後、リラツクス熱処理後、起毛・剪毛加工
を施したものである。

この経編地において、パイルの立毛度は83゜に
達していた。

同図Ａからわかるように、試料の１回転でほと
んど光沢異方性を示さず、タテ方向の90゜、270
゜においてもほぼ直線に近く、比反射エネルギー
値（光源：MgO、反射エネルギー＝100％に対し
て以下比較する）が１％以下と最小値である。

また比較のため、従来の別珍織物で代表される
高級綿使用（エジプト綿；50／2S）を曲線Ｂ
に、高級感のあるレーヨン糸を使用（100D―
28F；追ネン110T／Ｍ）したものを曲線Ｃに、お
よび、丸編のシンカーパイル編として、75デニー
ル（Ｄ）、36フイラメント（Ｆ）の三角断面ポリ
エステルフイラメント糸を28ゲージ編機で編成し
た後、剪毛加工した俗称“ベロア”商品を曲線Ｄ
に示した。

ここで、曲線ＢおよびＣの立毛度はそれぞれ87
゜、89゜であり、曲線Ｄのそれは41゜であつた。

また、曲線ＢおよびＣは全くの直線にあるのに
対して、曲線Ｄはタテ方向にややズレ込んでいる
が約150゜、330゜付近にピークを有する曲線とな
り、歴然とした光沢異方性を有することを示して
いる。

次に、本発明に規定した特定条件は、通常のフ
イラメント糸からなる経編地を起毛加工した場合
には比べて、格段に起毛カツト性を向上させてい
る。

すなわち、本発明のように、高収縮糸を用いれ
ば、立毛性が格段に良くなり起毛加工では、針布
から衝撃的に起毛作用を受ける際、起毛糸は繊維
の損傷も軽く、起毛回数も少なくてカツト起毛お
よびその後のせん毛加工を完了させることができ
る。

しかしながら、従来のフイラメント糸および条
件であれば、起毛糸にいかなるカツト性良好な繊
維を用いても、針布詰りや経編地の巾方向の染着
濃度に差を生じ、中央部が耳部に対してやや淡色
気味のいわゆる“中稀”など起毛能率や起毛品位
を著しく低下したものしか得られなかつたもので
ある。

このため、高収縮糸の収縮率を最大限発揮させ
るためにはリラツクス熱処理（染色を含む）した
後、起毛加工を実施して、せん毛に仕上げてゆく
ことが重要な点となる。

このリラツクス熱処理、あるいは染色は高密度
の生地を得ることばかりでなく、加工中のシワ・
負荷張力対策に万全を講ずる必要があり、機種と
してはワツシヤータイプあるいはスターウインス
なる、いわゆる高収縮糸が敏感なタテ方向に張力
が掛らないこと、ヨコ方向に均一な収縮励起させ
る機種が好ましい。

一方において起毛糸の構成は、任意の繊維から
なり、おさの振り幅が極めて大きい５針以上から
なり、地糸に対するランナー比を1.95〜2.55倍に
編込ませる。

しかる後、リラツクス熱処理すれば機上の編込
み密度に対する染色仕上ウエール密度比が65％以
上アツプした経編地となる。使用する地糸の収縮
率を20％以上好ましくは30％以上に高くすれば、
生地内部の組織拘束力を強め表面に繊維が浮き出
ることがなく、洗たくや着用時に脱毛・抜毛の発
生もなく、起毛均一高品質な起毛編地を製造する
ことができる。

本発明の製造方法によつて得られた起毛経編地
は、コース密度が65コース／2.54cm以上であるた
め地組織が見えず、生地を折り曲げても筋状の外
観を呈しない。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば次のよう
な効果を奏することができる。

全体として３枚おさを使用し、地組織を形成
する２枚おさのうち少なくとも１枚は開き目を
形成するように振るので、生地のタテ、ヨコ方
向共に適宜な伸縮性を有し、回復性も良好であ
る。その結果、起毛加工時に起毛筋や起毛段な
どが発生せず、安定して品位優良な起毛経編地
を得ることができる。

前列のおさの振り幅が５針以上なので、起毛
密度が高く、適宜の厚さに調整できる。その結
果、シヤーリング化工次に起毛段が発生せず、
安定して品位優良な起毛経編地を得ることがで
きる。

後列のおさに対する前列のおさのランナー比
が1.95〜2.55倍の比較的高目の範囲を使用して
いるので、経編地の製編時に糸切れが少なく、
製編効率が良好である。さらに、起毛回数が少
なくてナツピング性の良い標準的な起毛に達す
る。その結果、起毛経編地の物性、とくに伸縮
性が良好である。

編込み密度が70コース／2.54cm以上として製
編するために、経編地の密度が高く、リラツク
ス熱処理し、起毛した後のパイル密度が高くな
る。その結果、立毛度の良い、圧縮性および圧
縮回復性に富み、しかも軟らかい風合で、あた
かも別珍風な外観を示すことができる。

特に対比光沢度（比反射エネルギー）が１％
以下（約0.5％）と低く、しかも光沢異方性が
ほとんどない。

製編後、リラツクス熱処理し、その後起毛す
ることは後列のおさ２枚に配列させた沸水収縮
率20％以上の熱可塑性合成繊維糸によつて、前
列のおさの起毛糸を最大限立毛化させ、高密度
を充分発揮させることができる。さらに、裏糸
としては、起毛経編地の安定性を向上させるこ
とができる。その結果、地組織が見えず、生地
を折り曲げても筋状の外観を呈しない起毛経編
地を得ることができない。

次にこの発明の実施例について説明する。

〔実施例〕

おさ：沸水収縮率44.1％のポリエステル30D
―8F。

おさ：おさと同一。

おさ：沸水収縮率4.5％のレーヨン75D―
34F。

このおさおよびを地組織として、１×２コ
ード組織で、おさが閉じ目（おさの振り表示；
10／23、以下同じ）で、おさが開き目（同；
21／01）であり、ランナーはそれぞれ156cm、119
cmである。一方、おさはパイル組織として前列
に配置され１×５コード組織の閉じ目（同；10／
56）で、ランナーは304cmである。従い、ランナ
ー比は1.95〜2.55倍となり、編込み密度は75コー
ス／2.54cmで通常の３枚おさ準備の28ゲージ経編
機（カールマイヤー社製；KE3）で編成した。し
かる後、リラツクス熱処理し、数回の針布起毛加
工したものを染色し、剪毛加工として0.7mmのパ
イル厚さ（ｈ）で行なつた。

得た起毛経編地は、仕上り密度72コース／2.54
cm、48ウエール／2.54cm、立毛度83度でなんらレ
ーヨン使い別珍織物と遜色のない、光沢の方向性
の少ない優れたものであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例よりなる経編地の３
枚おさ使用１×５コード組織の組織図、第２図は
第１図の経編地を側方から見た編目構成図に立毛
度測定法を併図した概略断面図、および第３図は
本発明の経編地の色彩光沢特性の１つである対比
光沢度（比反射エネルギー）を示すグラフであ
る。 ａ：起毛糸、ｂ：地糸、Ａ：本発明の一実施例
よりなる経編地（レーヨン系使用）の対比光沢度
曲線、Ｂ：比較例１ 別珍織物（エジプト原綿使
用）の対比光沢度曲線、Ｃ：比較例２ 別珍織物
（レーヨン系使用）の対比光沢度曲線、Ｄ：比較
例３ “ベロア”丸編地（ポリエステル糸使用）
の対比光沢度曲線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 沸水収縮率20％以上の熱可塑性合成繊維糸を
   後列のおさ２枚に配列させ、任意の繊維からなる
   起毛糸を前列のおさ１枚に配列させてなる３枚お
   さ使用の経編地を製編する際に、前列のおさの振
   り幅を５針以上となし、後列のおさに対する前列
   のおさのランナー比を1.95〜2.55倍の範囲とな
   し、機上の編込み密度を70コース／2.54cm以上と
   し、かつ後列の２枚のおさのうち少なくとも１枚
   を開き目を形成するように振つて製編した後、リ
   ラツクス熱処理し、起毛することを特徴とする起
   毛経編地の製造方法。