JP6638437B2 - 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物 - Google Patents

混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物 Download PDF

Info

Publication number
JP6638437B2
JP6638437B2 JP2016020528A JP2016020528A JP6638437B2 JP 6638437 B2 JP6638437 B2 JP 6638437B2 JP 2016020528 A JP2016020528 A JP 2016020528A JP 2016020528 A JP2016020528 A JP 2016020528A JP 6638437 B2 JP6638437 B2 JP 6638437B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knitted fabric
woven
polyester
polyester filament
suede
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016020528A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017137601A (ja
Inventor
浩史 須山
浩史 須山
慎也 中道
慎也 中道
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2016020528A priority Critical patent/JP6638437B2/ja
Publication of JP2017137601A publication Critical patent/JP2017137601A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6638437B2 publication Critical patent/JP6638437B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、織編物表面に均一な毛羽を有するスエード調織編物を得ることができる混繊糸およびそれを用いた織編物に関するものである。
従来から、ポリエステルフィラメント糸を使用したスエード調織編物は風合いが良く、また天然皮革と比較してクリーニングが容易にできるなど、イージーケア性に富むため、カジュアルからフォーマル、スポーツ衣料まで幅広く使用されてきている。スエード調織編物は生地表面のフィラメントを切断する起毛工程が必須であるが、均一に繊維表面を起毛することは難しく、起毛後の表面品位ムラを改善することはスエード調織編物の長年の課題であった。
この課題を解決するために、鞘糸の一部にタルミを有し、かつ、荷重下熱処理後の伸縮伸長率が10%以上であることを特徴とするポリエステル混繊糸が提案されている(特許文献1参照)。
また、低収縮糸として微細な太さ斑を有する極細化可能な太細複合糸、高収縮糸として太さ斑を有しない糸を混繊し、その微細な太さ斑により該極細糸の開繊・分散を向上させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2007−197864号公報 特開2003−171836号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリエステル混繊糸では、スエード調風合いは得られているが、起毛後に発生する表面品位ムラは全く考慮されていなかった。
また、特許文献2に記載の方法では、該極細糸の開繊性を向上させるだけでは、起毛後に発生する表面品位を均一にするには不十分なものであった。
本発明の目的は、従来得ることができなかった織編物表面に均一な毛羽を有し、また繊細なスエードタッチに優れたスエード調織編物を提供することにある。
本発明は、前記した課題を解消せんとするものであって、本発明の混繊糸は少なくとも2種類のポリエステルフィラメントが混繊された混繊糸であり、前記混繊糸は芯部および鞘部を有し、芯部を構成するポリエステルフィラメントAは沸騰水収縮率が15%以上であり、鞘部を構成するポリエステルフィラメントBは2種類の島成分ポリエステルがサイドバイサイド型に複合されて島部を形成した海島型ポリエステルフィラメントである混繊糸である。
本発明においては、前記の混繊糸を用いてスエード調織編物を製織することができる。本発明の織編物の好ましい態様は、編物表面が起毛されており、起毛面において、毛羽のクリンプ個数が3ヶ/cm以上であることを特徴とするスエード調織編物である。
本発明は従来得ることができなかった織編物表面に均一な毛羽を有し、また繊細なスエードタッチに優れたスエード調織編物を得ることができる。
本発明の混繊糸は、少なくとも2種類のポリエステルフィラメントが混繊された混繊糸であり、前記混繊糸は芯部および鞘部を有し、芯部を構成するポリエステルフィラメントAは沸騰水収縮率が15%以上であり、鞘部を構成するポリエステルフィラメントBは2種類の島成分ポリエステルがサイドバイサイド型に複合されて島部を形成した海島型ポリエステルフィラメントである。
本発明の混繊糸において、芯部を構成するポリエステルフィラメントAの沸騰水収縮率は15%以上である。前記沸騰水収縮率を15%以上とすることで、混繊糸の鞘部ポリエステルフィラメントBをバルキー化させ、起毛加工で毛羽を発生させることが可能となる。ポリエステルフィラメントAの沸騰水収縮率の上限に特に制限はないが、沸騰水収縮率が高すぎると風合いがかたくなる傾向があることから、ポリエステルフィラメントAの沸騰水収縮率は30%以下がより好ましい。
本発明において、ポリエステルフィラメントAに用いられるポリエステルとしては、イソフタル酸など第3成分が共重合されたポリエステルが好ましい。そのようなポリエステルを用いることで高収縮特性が得られやすくなる。
本発明の混繊糸において、鞘部を構成するポリエステルフィラメントBは2種類の島成分ポリエステルがサイドバイサイド型に複合されて島部を形成した海島型ポリエステルフィラメントである。
ここで、島部を形成する2種類の島成分ポリエステルのうち、より高粘度の島成分ポリエステルを高粘度ポリエステルa、より低粘度の島成分ポリエステルを低粘度ポリエステルbとしたとき、高粘度ポリエステルaと低粘度ポリエステルbの極限粘度差Δ[η]は0.15以上が好ましい。Δ[η]が0.15以上であれば、アルカリ減量およびその後の熱処理にて、高粘度ポリエステルaと低粘度ポリエステルbとの間に十分な収縮差が発現して捲縮コイルを成し、優れた開繊性が得られやすくなる。より好ましいΔ[η]は0.20以上、さらに好ましくは0.50以上である。Δ[η]が大きい程、開繊性が向上して好ましい。そのためには、低粘度ポリエステルbの極限粘度[η]が0.60以下であることが好ましい。
また、脱海処理後に十分な開繊性を得るためには、島部を形成する高粘度ポリエステルaと低粘度ポリエステルbとの複合比が3:7〜7:3であることが好ましい。より好ましい複合比は4:6〜6:4である。
一方、海部を構成する海成分ポリエステルは、島部を構成する2種類の島成分ポリエステルのいずれに対してもアルカリ減量速度が5倍以上速いポリエステルであることが好ましい。より好ましくは8倍以上速いポリエステルであり、さらに好ましくは10倍以上速いポリエステルである。2種類の島成分ポリエステルのいずれに対してもアルカリ減量速度比を5倍以上とすることにより、脱海処理における、不完全脱海(海成分の溶出が不完全で島部が融着した状態)を回避しやすくなり、染色斑や起毛斑等の欠点が少ない優れた布帛が得られやすくなる。
本発明に用いるポリエステルフィラメントBは、公知のいずれのポリエステルを組み合わせても良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと称す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称す)、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル等が挙げられる。また、これらのポリエステルは、ジオール成分および酸成分の一部が各々、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができる。これらのポリエステルは艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を含有していても構わない。
島成分ポリエステルとしては、捲縮コイルを多く形成し、優れた開繊性を示すことから、PET/PTTもしくはPET/PBTが好ましい。
海成分ポリエステルとしては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を1.5モル%以上7.0モル%以下共重合したポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、海成分ポリエステルは海島型複合繊維の繊維表面を形成するため、安定した工程通過性を維持する強度も必要であるが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量を多くしすぎると原糸強度が低下するため、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量は7.0モル%以下が好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合量は2.0モル%以上6.0モル%以下がより好ましく、3.0モル%以上5.0モル%以下がさらに好ましい。
ポリエステルフィラメントAの単繊維繊度は、適度なハリ腰を織編物に付与する点から、1〜10dtexであることが好ましい。前記単繊維繊度が小さすぎると、ハリ腰が不足になる傾向がある。また、前記単繊維繊度が大きすぎると、織編物表面に芯部がむき出しになり、表面品位が低下する傾向がある。さらに好ましいポリエステルフィラメントAの単繊維繊度は2〜8dtexである。
ポリエステルフィラメントAの総繊度は、単繊維繊度と同様にハリ腰と表面品位を両立する点から10dtex以上100dtex以下が好ましい。
本発明のポリエステルフィラメントBの脱海加工後の単糸繊度は、起毛後にスエード調風合いになりやすいことから、0.05〜0.25dtexあることが好ましい。前記単糸繊度が0.05dtex未満であると、細すぎて単糸が凝集しやすくなり、起毛後の品位が低下する傾向がある。また、前記単糸繊度が0.25dtexを超えると、スエード調風合いが得られにくくなる傾向がある。前記単糸繊度は0.08〜0.20dtexであることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィラメントBの海成分ポリエステル/島成分ポリエステルの質量比率は、複合形態の安定性、製糸性、生産性の点から、10/90〜50/50が好ましい。海成分ポリエステルの質量比率が低い場合は複合異常が発生し分割不良を生じたり、分散形態が正常であっても海成分ポリエステルの溶解不良による分割不良が発生しやすい。逆に海成分ポリエステルの質量比率が50%を越えると、生産性が低下すると共に織編物での起毛感が得られにくくなる。ポリエステルフィラメントBの海成分ポリエステル/島成分ポリエステルの質量比率は20/80〜30/70であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステルフィラメントA及びポリエステルフィラメントBの断面は、丸型、三角型、扁平型、六角型、L型、T型、W型、八葉型、ドッグボーン型などの多角形型、多葉型、中空型などから任意に選択することができる。
本発明において、混繊糸の繊度は、布帛としての軽量感を考慮して200dtex以下、また肉厚感や布帛強度を考慮して50dtex以上であることが好ましい。
本発明の混繊糸においては、ポリエステルフィラメントA及びポリエステルフィラメントBに加えて、ポリエステルフィラメントA及びポリエステルフィラメントB以外のフィラメントを混繊していてもよい。
本発明の織編物は、本発明の混繊糸を用いてなる。また、本発明のスエード調織編物は、本発明の織編物であって、織編物表面が起毛している。織編物の表面側に位置するポリエステルフィラメントBが起毛していることで、均一な毛羽を有する本発明のスエード調織編物を得ることができる。
本発明のスエード調織編物は、起毛面において、毛羽のクリンプ個数が3ヶ/cm以上であることが好ましい。従来のスエードの毛羽は、極細糸であるがゆえにクリンプを付与することが難しかったが、本発明の混繊糸は脱海後にクリンプが発現することで、起毛加工後の織編物の毛羽にクリンプを形成することが可能となった。クリンプ個数が3ヶ/cm以上発現することで、毛羽の単糸1本1本がほぐれ、起毛面に優れたスエード調織編物を得ることができる。前記クリンプ個数は、4ヶ/cm以上であることがより好ましい。前記クリンプ個数が3ヶ/cm未満であると、毛羽が収束しやすくなり、表面が起毛ムラ外観になりやすくなる場合がある。
本発明の織編物は、一般的に使用される織編物の織編組織や密度等の規格に制約されることはない。また、本発明の効果を妨げない範囲で、レーヨンやウールなどの天然繊維との混紡、交撚、交織および交編などを施したものも含まれるが、これらに限られるものではない。
次に、本発明の混繊糸を製造する方法について説明する。
本発明のポリエステルフィラメントAおよびポリエステルフィラメントBを製糸するにあたっては、紡糸および延伸工程を連続して行う方法、未延伸糸として一旦巻取った後延伸する方法などいずれのプロセスも適用できる。例えば、紡出糸を600m/分〜5000m/分で引取り、続いて3000m/分〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられる。
また、ポリエステルフィラメントAおよびポリエステルフィラメントBを混繊する方法としては、合撚撚糸やインターレース加工、タスラン加工等の任意の混繊手段を用いることができる。好ましくは、均一なループが形成されるインターレース加工である。
この際、糸に強固な交絡を付与するため、またコスト面も考慮して交絡圧に関しては0.1〜0.5(MPa)であることが好ましい。糸加工速度については速ければ生産性が高くなり好ましいが、安定加工性を考慮すると、200〜1000(m/分)が好ましい。
このようにして製造した本発明の混繊糸を、公知の製織方法、編成方法を用いて、織物や編物とする。織組織や編組織としては公知の如何なる組織をも適用できる。
本発明において、織物と編物を総称して「織編物」という。本発明の織編物は組織あるいは密度になんら制約されることはない。
本発明に適用する混繊糸は、経糸または緯糸のいずれかまたは両方に用いられる。適用される織物組織は、起毛加工品に多く採用されるサテン系の組織が適しており、風合い、表面品位等を加味して決定するのがよい。被起毛面側は3本以上の浮糸形態を呈しているのが好ましい。
製織に用いられる織機は、一般に使用される普通織機、レピア、ウオータージェツトルーム、エアージエットルーム等の機種として特に限定されることなく採用できる。なかでも、緯糸に張力のかかり過ぎないエアージエットルームが好ましい態様である。
また、製編の際は、丸編み機、トリコット機およびラッシェル機等市販の編機を使用することができる。本発明の混繊糸を、編糸の少なくとも一部に使用する際は、各々の張力を適正化して製編を行う必要がある。上記の混繊糸の混率は3本に1本程度の構成で製織しても、スエード調の表面タッチを十分に発揮させることができる。編組織としては、天竺、スムース、ポンチ、リブおよびハーフ組織等任意の設計が可能となる。
次に、染色加工について説明する。染色加工工程は、一般のポリエステルフィラメント織編物の染色工程及び条件に準じて行うことができる。その中で、表面品位の優れたスエードタッチ、反発感を十分に発揮させるため、リラックス熱処理は120℃以上の高温高圧液流リラックス加工で布帛にモミ効果を付与することが好ましい。
本発明においては、クリンプを発現させる脱海工程として、織編物にアルカリ減量を施すことが好ましい。減量としては海成分ポリエステルを全部除去することが好ましく、繊維重量に対して海成分複合比率+10重量%以内の範囲で減量することが好ましい。例えば、10〜90℃の水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:0.1〜10g/L)に繊維を浸せきさせれば良い。なお、アルカリ減量としては公知の方法、装置を採用することができる。
スエード調の表面タッチを得るための起毛加工として、サンディング(バフ)加工と針布加工が一般に用いられる。本発明の目的である織編物表面に均一な毛羽を有するスエード調織編物を表現するためには針布起毛加工が好ましい。
本発明の混繊糸及び織編物は、カジュアル、フォーマル、スポーツ衣料などの衣料用途に好適に使用される。特にスエード調織編物として、婦人洋装のスーツ、ブレザー、コート、スカート、パンツ、さらには紳士用アウター、ボトムなどに好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(1)沸騰水収縮率
混繊糸からポリエステルフィラメントAを6cm取り出し、サンプルとした。0.1g/dtexの荷重下で5cmの間隔でマークしたサンプルをガーゼにくるんで、無緊張下で100℃の沸騰水で30分熱処理した。その後、サンプルを取り出し、35℃60%RH下で24時間風乾し、再び、0.1g/dtexの荷重下において、発現した捲縮を完全に伸ばした後、熱処理前にマークした間隔(L)を読みとり、次の式でサンプルの沸騰水収縮率を求めた。これを5回繰り返して5本のサンプルの沸騰水収縮率を求め、5本のサンプルの沸騰水収縮率の平均値をポリエステルフィラメントAの沸騰水収縮率とした。
沸騰水収縮率(%)={(5−L)/5}×100 。
(2)クリンプ個数
織編物から毛羽を構成する混繊糸を10cm抜き出し、混繊糸の毛羽の観察を行い、混繊糸1cm単位内にある毛羽の最大クリンプ個数をその単位のクリンプ個数とした。これを10cm間で行い、測定数10回の平均値を求め、1cm当たりのクリンプ個数とした。
(3)極限粘度
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリエステルを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した相対粘度[ηr]に基づいて、下式により算出した値を極限粘度[IV]とした。
相対粘度[ηr]=η/η0=(t×q)/(t0×q0)
極限粘度[IV]=0.0242ηr+0.2634
ただし、η:ポリエステル溶液の粘度、η0:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液の密度(g/cm)、t0:OCPの落下時間(秒)、q0:OCPの密度(g/cm)。
<実施例1>
イソフタル酸を8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/分)で紡糸し、その後130℃、延伸倍率2.4で延伸熱処理を実施し、総繊度33dtex、6フィラメント、沸騰水収縮率25%のポリエステルフィラメントAを得た。
一方、2種類の島成分ポリエステルとして極限粘度が1.1のPTT及び極限粘度0.50のPET、海成分ポリエステルとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸を3.0モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、海島型複合形態を形成すべく24島の口金に流入させた。海成分ポリエステル/島成分ポリエステルの質量比は20/80とした。紡速1500m/分で巻取り、延伸倍率2.8で延伸し、66dtex−36フィラメントの24島の海島型ポリエステルフィラメントBを得た。
ポリエステルフィラメントAとポリエステルフィラメントBを、愛機製作所AT−501機を用いて、加工速度300m/分、圧空圧2kgf/cmでインターレース加工を実施し、混繊糸を得た。
このようにして得られた混繊糸に、村田(株)製のダブルツイスター撚糸機を用いて、S方向に800T/mで追撚を施し、その後、75℃、30分のスチーム撚止めセットを実施し、織物経糸に用いた。
緯糸に極限粘度が0.475のPET低粘度成分と、極限粘度が0.780のPET高粘度成分とを、質量比50:50でサイドバイサイド型に貼り合わせた、56dtex−12フィラメントのストレッチ糸を用いた。
これらの経糸と緯糸を用いて、5枚サテン組織でエアージエット織機を用い、生機密度(経糸:222本/2.54cm、緯糸:97本/2.54cm)で製織した。
次に、得られた製織生地を98℃拡布連続精練のあと、1質量%苛性ソーダ水溶液中に浸漬し、脱海加工を実施した。その後、130℃液流リラックス処理することで、経糸の表面に捲縮コイルが発現した。得られた織物を針布起毛機で起毛加工を実施した後、160℃仕上げセットを施し、製品とした。起毛部の毛羽のクリンプ個数は5.5ヶ/cmであった。得られた製品は織物表面に緻密で均一な捲縮のある毛羽を有し、毛羽の単糸1本1本がほぐれ、特に綺麗な表面感であり、肌触りも繊細なスエードタッチを有しているものであった。
<実施例2>
イソフタル酸8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/分)で紡糸、その後130℃で延伸倍率2.4で延伸熱処理を実施し、総繊度33dtex、6フィラメント、沸騰水収縮率25%のポリエステルフィラメントAを得た。
一方、2種類の島成分ポリエステルとして極限粘度が1.2のPBT及び極限粘度0.50のPET、海成分ポリエステルとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸3.0モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、海島型複合形態を形成すべく24島の口金に流入させた。海/島成分の質量比は20/80とした。紡速1500m/分で巻取り、延伸倍率2.8で延伸し、66dtex−36フィラメントの24島の海島型ポリエステルフィラメントBを得た。
その後、実施例1と同様の方法で混繊糸を得て、製織及び染色加工を実施した。起毛部の毛羽のクリンプ個数は7.5ヶ/cmであった。得られた製品は織物表面に緻密で均一な捲縮のある毛羽を有し、毛羽の単糸1本1本がほぐれ、特に綺麗な表面感であり、肌触りも繊細なスエードタッチを有しているものであった。
<比較例1>
ポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/分)で紡糸、その後130℃で延伸倍率2.4で延伸熱処理を実施し、総繊度33dtex、6フィラメント、沸騰水収縮率7%のポリエステルフィラメントAを得た。
一方、2種類の島成分ポリエステルとして極限粘度が1.1のPTT及び極限粘度0.50のPET、海成分ポリエステルとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸3.0モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、海島型複合形態を形成すべく24島の口金に流入させた。海/島成分の質量比は20/80とした。紡速1500m/分で巻取り、延伸倍率2.8で延伸し、66dtex−36フィラメントの24島の海島型ポリエステルフィラメントBを得た。
その後、実施例1と同様の方法で混繊糸を得て、製織及び染色加工を実施した。起毛部の毛羽のクリンプ個数は2.5ヶ/cmであった。得られた製品は毛羽が少なく、起毛感が不足しており、かつ表面には起毛ムラが発生していた。また、肌触りもスエードタッチが不足しているものであった。
<比較例2>
イソフタル酸8モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを紡速1700(m/分)で紡糸、その後130℃で延伸倍率2.4で延伸熱処理を実施し、総繊度33dtex、6フィラメント、沸騰水収縮率25%のポリエステルフィラメントAを得た。
一方、島成分ポリエステルとして極限粘度0.50のPET、海成分ポリエステルとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸3.0モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを別々に溶融し、海島型複合形態を形成すべく24島の口金に流入させた。海/島成分の質量比は20/80とした。紡速1500m/分で巻取り、延伸倍率2.8で延伸し、66dtex−36フィラメントの24島の海島型ポリエステルフィラメントBを得た。
ポリエステルフィラメントAとポリエステルフィラメントBとを、愛機製作所AT−501機を用いて、加工速度300m/分、圧空圧2kgf/cmでインターレース加工を実施し、混繊糸を得た。
その後、実施例1と同様の方法で混繊糸を得て、製織及び染色加工を実施した。起毛部の毛羽のクリンプ個数は0.5ヶ/cmであった。得られた製品は表面毛羽が収束し、起毛感は不足しており、かつ起毛ムラが発生していた。肌触りもスエードタッチが不足しているものであった。

Claims (5)

  1. 少なくとも2種類のポリエステルフィラメントが混繊された混繊糸であり、前記混繊糸は芯部および鞘部を有し、
    芯部を構成するポリエステルフィラメントAは沸騰水収縮率が15%以上であり、
    鞘部を構成するポリエステルフィラメントBは2種類の島成分ポリエステルがサイドバイサイド型に複合されて島部を形成した海島型ポリエステルフィラメントである混繊糸。
  2. 前記ポリエステルフィラメントBの2種類の島成分ポリエステルの一方がポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートであり、もう一方がポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の混繊糸。
  3. 請求項1または2に記載の混繊糸を用いた織編物。
  4. 請求項3に記載の織編物であって、前記織編物表面が起毛しているスエード調織編物。
  5. 起毛面において、毛羽のクリンプ個数が3ヶ/cm以上である請求項4に記載のスエード調織編物。
JP2016020528A 2016-02-05 2016-02-05 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物 Active JP6638437B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016020528A JP6638437B2 (ja) 2016-02-05 2016-02-05 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016020528A JP6638437B2 (ja) 2016-02-05 2016-02-05 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017137601A JP2017137601A (ja) 2017-08-10
JP6638437B2 true JP6638437B2 (ja) 2020-01-29

Family

ID=59564572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016020528A Active JP6638437B2 (ja) 2016-02-05 2016-02-05 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6638437B2 (ja)

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06192939A (ja) * 1992-11-05 1994-07-12 Toray Ind Inc 表面に毛羽を有する織物
JP2898532B2 (ja) * 1994-01-31 1999-06-02 帝人株式会社 スエード調織物の製造方法
JP2002115136A (ja) * 2000-08-01 2002-04-19 Toray Ind Inc ポリエステル複合糸および織編物
JP2003227041A (ja) * 2002-02-06 2003-08-15 Toray Ind Inc 異収縮型ポリエステル系混繊糸
JP3992604B2 (ja) * 2002-12-16 2007-10-17 帝人ファイバー株式会社 ポリエステル混繊糸
JP2005194661A (ja) * 2004-01-07 2005-07-21 Teijin Fibers Ltd ポリエステル混繊糸
JP4339760B2 (ja) * 2004-07-30 2009-10-07 帝人ファイバー株式会社 混繊糸および織編物
JP2006336162A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Toray Ind Inc 織物およびその製造方法
JP2008274446A (ja) * 2007-04-25 2008-11-13 Toray Ind Inc 潜在捲縮性複合繊維
US10604866B2 (en) * 2014-02-25 2020-03-31 Toray Industries, Inc. Sea-island composite fiber, composite ultra-fine fiber, and fiber product
JP2016180189A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 東レ株式会社 混繊糸、スエード調織編物およびスエード調織編物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017137601A (ja) 2017-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006336162A (ja) 織物およびその製造方法
JP2006214056A (ja) 織物
JP2021183732A (ja) ポリエステル仮撚糸および編織物
JP7275570B2 (ja) ストレッチ織物およびその製造方法
JP2000234235A (ja) 撚物布帛
JP6638437B2 (ja) 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物
JP2006077338A (ja) ストレッチシャツ地織物
JP6578650B2 (ja) 複合糸及びこれを用いた布帛
JP4197981B2 (ja) ストレッチ糸及びストレッチ織編物
JP2007023442A (ja) ポリエステル先染め糸およびその製造方法
JP6529622B1 (ja) 仮撚加工糸を用いた抗スナッグ性編地
JP2006219796A (ja) 織物
JP4123646B2 (ja) ポリエステル繊維糸条および布帛
JP2004091991A (ja) 交撚糸及び編み織物
JP2016102277A (ja) ストレッチループ糸
JP2016180189A (ja) 混繊糸、スエード調織編物およびスエード調織編物の製造方法
JP2019123970A (ja) 織物
JP2004332164A (ja) アセテート複合仮撚加工糸とその撚糸及び同撚糸を使った織物
JP5183179B2 (ja) 複合加工糸の製造方法
JP5298553B2 (ja) 混繊糸及びそれを用いた織編物
JP2003336142A (ja) 織 物
JP4130782B2 (ja) 高密度織物
JP3847144B2 (ja) ストレッチ性交織織物
JP2530721B2 (ja) 混繊交絡糸
JP2003253554A (ja) 綿状ポリエステル系布帛の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191209

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6638437

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151