JPH06192939A - 表面に毛羽を有する織物 - Google Patents

表面に毛羽を有する織物

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JPH06192939A
JPH06192939A JP4321329A JP32132992A JPH06192939A JP H06192939 A JPH06192939 A JP H06192939A JP 4321329 A JP4321329 A JP 4321329A JP 32132992 A JP32132992 A JP 32132992A JP H06192939 A JPH06192939 A JP H06192939A
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JP
Japan
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yarn
shrinkage
woven fabric
warp
weft
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Application number
JP4321329A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Uno
義信 宇野
Akihiko Osaki
昭彦 大崎
Mitsuaki Kitada
充秋 北田
Keitaro Nabeshima
鍋島  敬太郎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAKASEI ORIMONO KK
Toray Industries Inc
Original Assignee
SAKASEI ORIMONO KK
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】経糸および緯糸がそれぞれ2%以上の収縮差を
有する異収縮混繊糸からなる織物において、前記緯糸と
して単糸繊度0.5d以下の低収縮マルチフィラメント
糸と単糸繊度1d以上の高収縮マルチフィラメント糸か
ら構成される糸を有し、かつ前記緯糸を構成する単糸繊
度0.5d以下の低収縮マルチフィラメント糸が毛羽を
有し、さらに前記経糸が350T/M以上の実撚を有す
るとともに織物組織点において一部が織物表面に露出し
ていることを特徴とする表面に毛羽を有する織物。 【効果】天然皮革調織物でありながら優れたふくらみ感
とドレープ性を有し、さらには、合成繊維でなければ得
られない新規な表面効果を有する織物を提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超極細繊維を含む複合
糸を用いたふくらみとドレープ性に優れ、表面に毛羽を
有する織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、天然皮様感覚を有する起毛品
の開発が種々行なわれ、超極細繊維と起毛技術の組合せ
によって如何に表面に超極細繊維の毛羽を高密度かつ均
一に製造するかについて鋭意開発が進められて来た。
【0003】その代表的な例としては、超極細繊維を不
織布に構成し、起毛することによって表面毛羽を均一に
立毛し、ナップとしたものがあげられる。
【0004】しかしながら、この不織布をベースとした
構造体は、起毛がしやすいので表面に超極細繊維が均一
に配され、バックスキン、スエードなどの天然皮革調に
近いものが得られるが、目付が大きく厚みがかなりある
上、さらにドレープ性に乏しいため、用途としてブレザ
ー、コートなど限られたものへの展開しかできない欠点
を有している。
【0005】また一方、織編物をベースとした構造体を
用いて起毛性を高める方法として、特公昭61−407
78号公報、特公昭63−23309号公報において、
極細繊維と高縮糸を混繊複合糸となし、織物の緯糸に使
用して布帛の熱処理によって複合糸の高収縮糸を収縮さ
せることによって極細糸の起毛性効果を高める方法が提
案されている。
【0006】しかしながら、これらの方法は、単に布帛
構造として起毛のしやすい糸の太さや組織として効果を
ねらったものであり、いずれも従来の起毛のない織物に
比べて、表面が毛羽で覆われるので起毛のソフトさには
優れるものの、ふくらみやドレープ性などの面で劣るた
めガーメントとしてスーツ、ドレスなどへの適用が不可
能であり、フェミンなシルエットを表現することができ
ないという欠点があった。
【0007】さらにまた、天然皮革を狙った従来の起毛
織物は、あくまでも天然皮革の表面の状態タッチなど限
りなくそれらに近づけるアプローチが行なわれているに
過ぎず、優れたふくらみやドレープ性などを表現できる
ものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解決し、天然皮革調織物でありながら優れたふく
らみとドレープ性を有し、さらには、天然皮革調の表面
効果でなく合成繊維でなければ得られない新規な表面効
果を有する織物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため次の構成から成る。
【0010】すなわち、経糸および緯糸がそれぞれ2%
以上の収縮差を有する異収縮混繊糸からなる織物におい
て、前記緯糸として単糸繊度0.5d以下の低収縮マル
チフィラメント糸と単糸繊度1d以上の高収縮マルチフ
ィラメント糸から構成される糸を有し、かつ前記緯糸を
構成する単糸繊度0.5d以下の低収縮マルチフィラメ
ント糸が毛羽を有し、さらに前記経糸が350T/M以
上の実撚を有するとともに織物組織点において一部が織
物表面に露出していることを特徴とする表面に毛羽を有
する織物である。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明は、織物を構成する経糸および緯糸
がそれぞれ2%以上の収縮差を有する異収縮混繊糸から
なる織物であるが、経糸・緯糸が次の構成を有すること
により、本発明の織物の効果が得られる。
【0013】最初に本発明における経糸について詳細に
説明する。
【0014】本発明において経糸は、沸水処理において
収縮差を発現する異収縮差混繊糸であるが、350T/
M以上の実撚を有することが重要である。好ましくは、
500T/M以上の実撚を有するものがよい。
【0015】経糸に付与する実撚数は、通常の工程通過
性改善を目的とした甘撚と称する領域の100〜200
T/Mでは好ましいドレープ性を得ることが難しく、逆
に、強撚と称する領域の2000T/Mを越える領域で
はドレープ性が大なるがふくらみ感が低下する。したが
って、実撚数の範囲は350〜1500T/Mが好まし
い。実撚を付与する方法はダブルツイスターが適してい
る。
【0016】経糸として異収縮混繊糸であって実撚が付
与された糸を使用することによって、従来のスエード調
織物では得られなかったふくらみのあるドレープ性を実
現し、かつ織物組織点において一部が織物に露出してい
ることによって、緯糸種、織組織、染色加工条件との組
合せにおいて従来のスエード調で得られなかった新しい
表面感を実現することができる。
【0017】適度なふくらみとドレープ性を得るために
は、使用する異収縮混繊糸として、低収縮側と高収縮側
の沸水収縮率差として2%以上の収縮差を有することが
重要であり、好ましくは5%以上の収縮差がよい。低収
縮マルチフィラメント糸としては沸水処理において収縮
率が8%以下であるマルチフィラメント糸、高収縮マル
チフィラメント糸としては沸水処理において収縮率が1
0%以上35%以下であるマルチフィラメント糸が好ま
しく用いられる。高収縮マルチフィラメント糸の収縮率
が13%以上30%以下であることはより好ましい。
【0018】異収縮混繊糸は、通常のポリエチレンテレ
フタレートを用いて異なる延伸条件で得られた糸から構
成されるもの、あるいはポリエチレンテレフタレートに
イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分
などを共重合させたポリエチレンテレフタレート共重合
体を高収縮糸として構成されるもの等が挙げられる。
【0019】共重合ポリエチレンテレフタレートを用い
ると起毛し易くなり、また、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート
は、異色効果を得ることができる。
【0020】また、第3成分として艶消剤、酸化剤、着
色剤、難燃剤、耐光剤等の添加物を含んでいてもよい。
異収縮混繊糸が酸化チタンを0.8重量%以上含有する
ことは、織物にアルカリ減量によってより高いドレープ
性を付与できるので好ましい。酸化チタン含有量が1.
0重量%以上であることはより好ましく、1.2重量%
以上であることはさらに好ましい。
【0021】経糸を構成する異収縮混繊糸は、単糸繊度
10デニール以下のポリエステル繊維からなるものを特
定されないで適宜採用できる。
【0022】また、経糸を構成する異収縮混繊糸の低収
縮成分と高収縮成分との構成比率(重量比)は、80:
20〜20:80であることが好ましく、60:40〜
40:60であることがより好ましい。
【0023】経糸を構成する異収縮混繊糸は、さらに表
面タッチをより効果的に得るために超極細マルチフィラ
メント糸を使用することが可能である。この場合、低収
縮成分として超極細マルチフィラメント糸を用いてもよ
く、また、低収縮成分、高収縮成分として超極細マルチ
フィラメント糸を含む複合糸を用いることができる。
【0024】この複合糸の構造としては、異収縮混繊糸
と超極細マルチフィラメント糸との合撚による方法、エ
アー処理により交絡させる方法、エアー処理により交絡
させた後、追撚を施したものなどが採用できるが、前記
したように織物の経糸として実撚350T/M以上有す
ることが重要である。
【0025】超極細マルチフィラメント糸を経糸の構成
糸に用いると、織物とした時にソフトな風合いと優れた
ドレープ性を付与することができる。極細糸以外のフィ
ラメント糸のデニールに応じて極細フィラメント糸のデ
ニール、構成割合を変更し、所望の風合い・ドレープ性
を織物に付与することができるが、極細糸の構成割合が
経糸構成糸の80%を越えると、ふくらみとドレープ性
の関係からソフト過ぎてガーメントでの仕立て映えが悪
くなるので好ましくない。
【0026】本発明でいう超極細マルチフィラメント糸
とは、単糸繊度が0.01〜0.5デニール(d)の範
囲であることが好ましく、種類としては通常の口金から
紡糸した未延伸糸あるいは半延伸糸を延伸工程で延伸し
得られた延伸糸、高速紡糸1工程による高速紡糸糸、海
/島型、あるいは割繊形のいずれのものも採用できる。
【0027】織物に要求される起毛効果、表面変化のソ
フトなふくらみ感、ドレープ性、および、ガーメントで
のすぐれたシルエットと仕立て映えを表現するために、
超極細マルチフィラメント糸は、他の構成フィラメント
糸と単糸デニールの差が0.5デニール以上であること
が好ましく、1デニール以上の差であることがより好ま
しく、2デニール以上の差であることがさらに好ましい
が、緯糸との関係で適宜選択することが可能である。
0.5デニール未満ではガーメントのハリ、コシが不足
し、ガーメントでの仕立て映えに劣り、ガーメント種が
制約されるので好ましくない。
【0028】また、本発明は、経糸が織物組織点におい
て少なくとも一部が織物に露出していることが重要であ
る。それは、すなわち、従来のスエード調織物において
は緯糸の超極細糸を起毛することによって織物表面を均
一に覆うことが必要条件であったのに対して、本発明
は、織物組織の一完全組織における経糸と緯糸とが交錯
する織物組織点で完全に緯糸毛羽が経糸を覆う必要はな
く、織物表面に露出するように経糸が緯糸である超極細
糸群の上に在る部分を有するものである。この露出部分
は、通常、肉眼では見えにくいが、10倍以上の実体顕
微鏡を用いることにより確認できる。
【0029】例えば、5枚朱子における一完全組織の織
物組織点で経糸が5か所のうち0〜3か所がランダム
に、起毛された超極細糸を一構成糸とする緯糸の間に露
出することにより、織物表面の色調変化を生み、従来の
スエード調織物になかった表面変化を有するものとなる
のである。
【0030】次に、緯糸の構成について説明する。
【0031】緯糸は、織物の染色仕上加工工程で新しい
表面効果に主として寄与するものである。
【0032】本発明において緯糸は、沸水処理において
2%以上の収縮差を発現する異収縮差混繊糸であるが、
超極細マルチフィラメント糸を低収縮成分とし、高収縮
成分として超極細マルチフィラメント糸よりも単糸繊度
デニールが0.5デニール以上あるフィラメント糸を用
いることが重要である。高収縮成分は異収縮混繊糸から
なる複合糸であってもよい。
【0033】緯糸を構成する超極細マルチフィラメント
糸は、単糸デニールが0.01〜0.5デニールの範囲
であることが好ましく、種類としては通常の口金から紡
糸した未延伸糸あるいは半未延伸を延伸工程で延伸し得
られた延伸糸、高速紡糸1工程による高速紡糸糸、海/
島型、あるいは、割繊形のいずれのものも採用できる。
【0034】緯糸を構成する高収縮成分のマルチフィラ
メント糸は、通常のポリエチレンテレフタレートを用い
て異なる延伸条件で得られた糸から構成されるもの、あ
るいはポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸成分などを共重合させ
たポリエチレンテレフタレート共重合体を高収縮糸とし
て構成されるもの等が挙げられが、超極細マルチフィラ
メント糸よりも単糸繊度が0.5デニール以上であれ
ば、単糸繊度10デニール以下のポリエステル繊維から
なるものを特定されないで適宜採用できる。
【0035】共重合ポリエチレンテレフタレートを用い
ると起毛し易くなり、また、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート
は、異色効果を得ることができる。
【0036】また、第3成分として艶消剤、酸化剤、着
色剤、難燃剤、耐光剤等の添加物を含んでいてもよい。
異収縮混繊糸が酸化チタンを0.8重量%以上含有する
ことは、織物にアルカリ減量によってより高いドレープ
性を付与できるので好ましい。酸化チタン含有量が1.
0重量%以上であることはより好ましく、1.2重量%
以上であることはさらに好ましい。
【0037】緯糸の構造としては、仮撚加工を施した捲
縮加工糸、複合形態として合撚による実質的実撚効果を
有する糸、超極細マルチフィラメント糸と他のマルチフ
ィラメント糸をエアー処理によって混繊交絡し得られた
混繊糸、あるいはエアー処理によって混繊交絡を実施し
た後、追撚を付与したものなど用いることができる。
【0038】また、超極細糸に仮撚を施すのは、該糸に
捲縮を付与し、嵩高性を与え、さらに仮撚による熱処理
効果で低収縮化が促進され、混繊する相手の生糸高収縮
糸との収縮差がより拡大され、超極細糸を織物表面によ
り多く浮き上がらせて起毛し易くなるので好ましい。超
極細糸の仮撚条件は通常のポリエステル糸の条件を適応
することができる。
【0039】超極細糸を仮撚を行なうに際して超極細糸
の品種として、紡糸−延伸法によるもの、高速紡糸1工
程法によるもの、海島型あるいは割繊型によるもののい
ずれをも問わず、仮撚機種は、通常のピン仮撚タイプ、
摩擦仮撚タイプ、エアー仮撚タイプいずれでも採用でき
る。仮撚条件としてヒーター温度は、通常仮撚機の仕様
の範囲内であればよく、例えば150℃〜220℃であ
ればふくらみに寄与する嵩高性を与えることができ十分
である。ヒーターは、2ヒーターでも構わないが、嵩高
性が優れコスト的にも安価な1ヒーターが好ましく採用
される。仮撚数は、ふくらみ・ソフト・起毛性付与のた
め、通常のウーリー加工糸の捲縮特性の得られる糸加工
性の安定した条件を採用すればよい。
【0040】交絡方法は、通常のインターレース加工と
称される方法やタスラン加工と称される方法を採用でき
るが、本発明の緯糸としては毛羽やループなど必要でな
いのでインターレース加工が好ましい。さらに、交絡後
の追撚付与は、超極細糸と高収縮糸の混繊をより均一に
して製品品位を高める上で重要であり、撚糸としては1
00〜300T/Mが好ましい。
【0041】緯糸の混繊形態は、織物の染色工程でバフ
ィング加工された時、超極細マルチフィラメント糸のみ
が起毛・毛羽立てされて織物の全面を均一に覆う必要は
なく、超極細マルチフィラメント糸以外のマルチフィラ
メント糸の一部が露出されていてもよい。
【0042】本発明は、緯糸、経糸を構成する超極細マ
ルチフィラメント糸以外の高収縮マルチフィラメント
糸、異収縮混繊マルチフィラメント糸が織物組織点の一
部にランダムに表面に露出しても、超極細マルチフィラ
メント糸の起毛された毛羽によってソフトな表面タッチ
を損なわれない。
【0043】前記した通り、本発明において経糸が織物
組織点において少なくとも一部が織物に露出しており、
それに加えて、高収縮糸や異収縮混繊糸の繊度が超極細
マルチフィラメント糸より大きいことおよび、ポリマー
種差、配向度差などによる染色性が異なることによっ
て、同色系においては色の深みとなり、異色系において
は色相差によるマルチカラー効果として従来のスエード
調織物では得られなかった新規の表面感が得られるとい
う効果を奏する。
【0044】この超極細マルチフィラメント糸の起毛に
よる表面毛羽、経糸の異収縮混繊糸あるいは複合糸のふ
くらみ感、実撚によるドレープ性、および、超極細マル
チフィラメント糸と高収縮糸あるいは異収縮混繊糸との
ランダムな表面の色相変化の効果は経糸と緯糸の組合せ
によって種々設計が可能であるが、基本的には織物の染
色加工工程でのバフィングによる緯糸、経糸の超極細マ
ルチフィラメントを切断しやすい程度の混繊状態、組
織、状態であれば良い。
【0045】ソフトな風合とすぐれたドレープ性を有
し、表面に新しい感覚を有するための経糸および緯糸の
組合せとしては、緯糸に単糸デニール0.5デニール以
下の超極細マルチフィラメントを含むことが重要であ
り、必らずしも経糸、緯糸両者に同時に含まなくてもよ
い。
【0046】経糸が単糸デニール0.5デニール以下の
超極細糸を含まない異収縮混繊糸の場合、緯糸には単糸
デニール0.5デニール以下の超極細マルチフィラメン
ト糸の含有量の多いものがよい。緯糸を構成する単糸繊
度0.5デニール以下の低収縮マルチフィラメント糸の
構成比率(重量比)は、80:20〜30:70である
ことが好ましく、70:30〜50:50であることが
より好ましい。極細糸の構成比率が高くなると混繊相手
の高収縮糸の収縮力が十分でなくなり、一方、極細糸の
構成比率が低くなると起毛の風合いが得られなくなる傾
向がある。
【0047】また、経糸に単糸繊度0.5デニール以下
の超極細糸を含む複合糸の場合、緯糸を構成する単糸繊
度0.5デニール以下の低収縮マルチフィラメント糸の
構成比率は、60:40〜20:80であることが好ま
しい。また、織物組織での緯糸の構成として、0.5デ
ニール以下の超極細マルチフィラメント糸を含む複合糸
と含まないマルチフィラメント糸1〜2本交互の配列で
あってもよい。この超極細糸を含まないマルチフィラメ
ント糸として通常のポリエステル100%薄地織物に使
用される強撚糸であっても良い。この場合、とくに優れ
たドレープ性を奏する表面に毛羽を有する織物が得られ
る。
【0048】起毛表面とタッチ、ドレープ性を有する織
物組織はとくに制限されるものでなく、単糸繊度0.5
デニール以下の超極細繊維を緯糸、経糸が含有する量に
よって、染色加工工程でのバフィングによる毛羽仕立て
効果を考えた設計で行なえば良い。
【0049】次に織物の製造方法を説明する。
【0050】経糸として収縮率差2%以上を有する異収
縮混繊糸を一般に製織工程で使用される撚糸機によって
350T/M以上の追撚を付与する。この場合、収縮率
の大きい糸とそれより2%以上収縮率の低い糸を引揃え
て合撚する手法であってもよい。得られた撚糸後の糸
は、撚数が多い場合工程通過性を良くするため撚止めセ
ットを行なう。
【0051】緯糸は、0.5デニール以下の超極細マル
チフィラメント糸と高収縮糸を引揃え、インターレース
処理によって、軽交絡を与える。この高収縮糸の収縮率
と低収縮側である超極細マルチフィラメント糸の収縮率
との差は2%以上あることが重要である。その収縮差
は、原糸設計による方法、インターレース処理に際して
超極細マルチフィラメント糸側を熱板等による通常の熱
処理よって低収縮化処理する方法、または、低収縮化処
理として仮撚加工による方法等により得ることができ
る。
【0052】次いで得られた超極細マルチフィラメント
糸と高収縮マルチフィラメント糸から構成される複合糸
に追撚を付与するため撚糸を行なう。撚糸は実施しなく
とも緯糸として使用できるが、超極細糸と高収縮との混
繊をより均一にするため100〜300T/Mの撚を付
与することが好ましい。この追撚は、従来のスエード調
織物において起毛された毛羽で均一に織物表面に覆う場
合には緯糸の起毛に際して逆効果であるが、本発明の織
物では従来の如く均一に全面を毛羽で覆う必要がないた
め100〜300T/Mの追撚を採用できる。
【0053】得られた経糸は、通常の粗巻整経機あるい
は部分整経機により整経し、サイジングへ通し、織機に
仕掛ける。
【0054】織機は、一般に使用される普通織機、レピ
ア、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム
等の機種として特に限定されることなく採用できる。な
かでも一般にフィラメント織物用に広く使用されている
ウォータージェットルームがコスト、生産性の観点から
好ましい。
【0055】製織において選定する織物組織は、要求さ
れる織物の質感によって、構成糸、撚数との関係で一定
でなく適宜選定される。
【0056】得られた生機は、染色加工工程に投入され
る。所望する特徴を得るために上記の如く設計された布
帛に起毛の表面タッチとドレープ性、ふくらみ感を発揮
させるのが以下に述べる染色加工工程である。
【0057】本発明の織物の染色加工工程は、ふくら
み、ドレープ性を有する起毛表面効果を出すことが要点
であり、通常の染色加工工程を基本に条件を設定する。
【0058】生機は、製織工程での油剤・糊剤が付着し
ており、これを除去すると同時に経糸および緯糸の異収
縮混繊糸の収縮差を十分に発揮させるため、精練・リラ
ックス処理を実施する。処理条件は、張力と温度を制御
して、モミ効果を与え、布帛にふくらみ感を発現させる
条件が好ましく、具体的には例えば温度が100℃から
120℃の範囲で、拡布状、ロープ状の連続式、バッチ
式等の処理のいずれでも採用できる。
【0059】精練、リラックス工程の後、乾燥し、プリ
セットで巾出しセットを行なう。
【0060】次いで、アルカリ減量処理で、脱海処理
(海・島極細糸の場合)と布帛を構成する経糸・緯糸の
交錯点の摩擦を少なくしてドレープ性を与えるためアル
カリ減量処理をする。条件は通常の織物の条件から応用
できる範囲でよい。
【0061】次いで、得られた織物をサンディング加工
(バフ加工)工程によって、緯糸の超極細マルチフィラ
メント糸の一部をカットし毛羽を発生させる。このバフ
ィング条件は、サンディングの粗さやローラーの回転
数、織物をサンディングローラーに接圧する力の与え方
によって、起毛の状態をコントロールする。毛羽足の短
い起毛加工を施すことは、実撚を有する経糸が織物組織
点において少なくとも一部が織物に露出された状態を形
成しやすいので好ましい。サンディング加工の強度が強
くなると経糸の一部も切断されることがあるが、本発明
の効果を損なわない範囲で毛羽が経糸に含まれていても
よい。また、サンディング加工は、染色前及び仕上げ前
の2回行なうことが好ましい。一方、針布起布による起
毛加工は深起毛で全面起毛になりやすいので好ましくな
い。
【0062】このサンディング加工において、従来のス
エード調織物は、緯糸を出来る限り浮かせ経糸が見えな
いように起毛して均一な毛羽を表面に覆わせることが必
須条件で行われてきたが、本発明においては経糸に実撚
を有する異収縮混繊糸を使用し、バフィングすること
で、織物表面は緯糸に均一に覆われることはなく、組織
点の一部において織物の表面に一部がランダムに露出し
た形態をとる。
【0063】本発明においては、緯糸の超極細マルチフ
ィラメント糸の一部が切断されることによる起毛の表面
タッチと、経糸の効果によるふくらみとドレープ性が得
られる条件でバフィング加工を実施するのである。
【0064】バフィング加工の後、通常の120℃〜1
35℃での染色を実施し、仕上げセットで所定の巾・長
さに布をセットし、本発明の表面に毛羽を有する織物を
得ることができる。
【0065】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0066】実施例1 経糸にポリエステルマルチフィラメント75D−34F
の異収縮異繊度混繊原糸(構成フィラメントAが単糸繊
度3.1d、収縮率20%、酸化チタン1.5重量%含
有、構成フィラメントBが単糸繊度1.6d、収縮率8
%、酸化チタン1.5重量%含有)に650T/Mの実
撚を施したものを用い、緯糸にポリエステル100%か
らなる海/島型の超極細糸100D−18F(脱海後の
単糸デニールが0.07d、収縮率1.0%、酸化チタ
ン0.05重量%含有)の仮撚糸と50D−24Fの高
収縮糸(沸水収縮率20%、酸化チタン0.05重量%
含有)を交絡させた後、追撚200T/Mを施した糸条
を使用し、5枚朱子製織をした。
【0067】超極細糸の仮撚条件は通常のポリエステル
糸なみで実施した。また、交絡は追撚時の仮撚糸と生糸
の分離を防止する程度の軽交絡で、仮撚−交絡の一貫工
程で行なった。
【0068】次に、得られた製織生地を熱処理、アルカ
リ処理による脱海処理および減量加工を行なった後、1
回目のサンディング加工(バフ加工)を行ない、その後
染色加工、2回目のサンディング加工を施し仕上げた。
【0069】得られた織物は、緯糸を構成する単糸繊度
0.07dの低収縮マルチフィラメント糸が毛羽を有
し、経糸の一部が織物表面に露出している織物であっ
た。
【0070】この表面に毛羽を有する織物は、従来のス
エード調織物にない高級感と適度なドレープ性・ふくら
み感を有したエレガントカジュアル用途に最適な織物に
なった。
【0071】比較例1 経糸として通常のポリエステルマルチフィラメント75
D−36F(沸水収縮率13%、酸化チタン0.05重
量%含有)に200T/Mの実撚を付与した糸を用い、
緯糸にはポリエステルフィラメント100D−96Fの
仮撚糸(沸水収縮率5.2%、酸化チタン0.47重量
%含有)と50D−24Fの高収縮糸(沸水収縮率20
%、酸化チタン0.05重量%含有)を交絡させた後、
追撚200T/Mを施した糸条を使用し5枚朱子製織し
た。
【0072】緯糸の100D−96Fの仮撚条件および
50D−24Fとの交絡条件は実施例1と同様に行なっ
た。
【0073】次に、得られた製織生地を実施例1と同様
の染色加工により仕上げた。
【0074】得られた織物は、スノーパウダータッチの
表面感を呈してはいるが、ドレープ性に乏しいスエード
調表面タッチの織物であった。
【0075】実施例2 経糸にポリエステル超極細マルチフィラメント60D−
144F(収縮率5.6%、酸化チタン0.47重量%
含有)と高収縮糸30D−6F(収縮率20%、酸化チ
タン0.05重量%含有)の複合糸に実撚1000T/
Mを付与した糸条を用い、緯糸にポリエステル100%
からなる海/島型の超極細糸100D−18F(脱海後
の単糸デニールが0.07d、収縮率1.0%、酸化チ
タン0.05重量%含有)の仮撚糸と高収縮糸30D−
12F(沸水収縮率が20%、酸化チタン0.05重量
%含有)を軽交絡させた後、追撚200T/Mを施した
糸条を使用し、平織組織で製織した。
【0076】得られた製織生地は、実施例1と同様の染
色仕上加工を施した。
【0077】得られた織物は、緯糸を構成する単糸繊度
0.07dの低収縮マルチフィラメント糸が毛羽を有
し、経糸の一部が織物表面に露出している織物であっ
た。
【0078】この表面に毛羽を有する織物は、ドレープ
性に富み、軽くて、ふくらみを有した高級感のある表面
に毛羽を有する織物であった。
【0079】実施例3 経糸にポリエステルマルチフィラメント75D−34F
の異収縮異繊度混繊原糸(構成フィラメントAが単糸繊
度3.1d、収縮率20%、酸化チタン1.5重量%含
有、構成フィラメントBが単糸繊度1.6d、収縮率8
%、酸化チタン1.5重量%含有)に650T/Mの実
撚を付与したものを用い、緯糸にはポリエステル100
%からなる海/島型の超極細糸100D−18F(脱海
後の単糸デニールが0.07d、酸化チタン0.05重
量%含有)の仮撚糸と高収縮糸50D−24F(沸水収
縮率20%、酸化チタン0.05重量%含有)を軽交絡
させた後、追撚200T/Mを施した糸条と、75D−
36Fの先撚未解撚糸を1対1に配した糸を緯糸として
用い、ダブルツイル組織で製織した。
【0080】得られた製織生地は、実施例1と同様の染
色仕上加工を施した。
【0081】得られた織物は、緯糸を構成する単糸繊度
0.07dの低収縮マルチフィラメント糸が毛羽を有
し、経糸の一部が織物表面に露出している織物であっ
た。
【0082】この表面に毛羽を有する織物は、従来のス
エード調織物にない新規な表面感を呈し、風合はドレー
プ性とふくらみ感を有した高級感のある表面に毛羽を有
する織物であった。
【0083】
【発明の効果】本発明は、天然皮革調織物でありながら
優れたふくらみ感とドレープ性を有し、さらには、合成
繊維でなければ得られない新規な表面効果を有する織物
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 6/62 302 H 7199−3B 303 K 7199−3B (72)発明者 北田 充秋 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 鍋島 敬太郎 大阪市北区中之島3丁目3番3号 東レ株 式会社大阪事業場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】経糸および緯糸がそれぞれ2%以上の収縮
    差を有する異収縮混繊糸からなる織物において、前記緯
    糸として単糸繊度0.5d以下の低収縮マルチフィラメ
    ント糸と単糸繊度1d以上の高収縮マルチフィラメント
    糸から構成される糸を有し、かつ前記緯糸を構成する単
    糸繊度0.5d以下の低収縮マルチフィラメント糸が毛
    羽を有し、さらに前記経糸が350T/M以上の実撚を
    有するとともに織物組織点において一部が織物表面に露
    出していることを特徴とする表面に毛羽を有する織物。
  2. 【請求項2】少なくとも経糸を構成する異収縮混繊糸が
    酸化チタンを0.8重量%以上含有することを特徴とす
    る請求項1記載の表面に毛羽を有する織物。
  3. 【請求項3】経糸および/または緯糸を構成する異収縮
    混繊糸の高収縮マルチフィラメントがイソフタル酸成分
    あるいは5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を5〜
    15モル%を共重合させたポリエチレンテレフタレート
    共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載
    の表面に毛羽を有する織物。
JP4321329A 1992-11-05 1992-11-05 表面に毛羽を有する織物 Pending JPH06192939A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012001826A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Teijin Fibers Ltd 遮熱性織編物および繊維製品
JP2017137601A (ja) * 2016-02-05 2017-08-10 東レ株式会社 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物

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JP2012001826A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Teijin Fibers Ltd 遮熱性織編物および繊維製品
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