JP2019099925A - ポリエステル混繊糸布帛 - Google Patents

ポリエステル混繊糸布帛 Download PDF

Info

Publication number
JP2019099925A
JP2019099925A JP2017229017A JP2017229017A JP2019099925A JP 2019099925 A JP2019099925 A JP 2019099925A JP 2017229017 A JP2017229017 A JP 2017229017A JP 2017229017 A JP2017229017 A JP 2017229017A JP 2019099925 A JP2019099925 A JP 2019099925A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
polyester
mixed
fabric
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017229017A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6969326B2 (ja
Inventor
一考 酒井
Kazutaka Sakai
一考 酒井
小百合 永浜
Sayuri Nagahama
小百合 永浜
典子 江原
Noriko Ebara
典子 江原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2017229017A priority Critical patent/JP6969326B2/ja
Publication of JP2019099925A publication Critical patent/JP2019099925A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6969326B2 publication Critical patent/JP6969326B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】本発明は、特に婦人衣料として必要とされる膨らみ感、ソフト性および暖かみのある自然な外観等の高質感と、ストレッチ性と反発感に優れた着用快適性を備えたポリエステル混繊糸布帛を提供する。【解決手段】本発明のポリエステル混繊糸布帛は、少なくとも次の糸状A、糸条Bおよび糸条Cを含むポリエステルフィラメントで構成されてなる混繊糸を、少なくとも一部に用いたポリエステル混繊糸布帛である。・糸条A:熱収縮特性の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲートマルチフィラメント。・糸条B:イソフタル酸が共重合されてなるポリエステルマルチフィラメント。・糸条C:芯成分にポリスチレンポリマーが配置され、鞘成分にポリエステルポリマーが配置されてなる芯鞘型複合マルチフィラメント。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル繊維糸条を主成分とする布帛に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、熱収縮の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲート糸と、イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント糸と、芯成分にポリスチレンポリマー・鞘成分にポリエステルポリマーが配置された芯鞘型複合マルチフィラメント糸を、それぞれ複合した混繊糸を用いることにより、それぞれの特徴の効果を最大現に発揮し、ストレッチ性、ソフト性、膨らみ感および暖かみのある自然な外観等の種々の優れた特徴を発揮し、高質感と良好な着用機能性を併せ持つポリエステル混繊糸布帛である。これらの特徴を持つポリエステル混繊糸布帛を用いることより、ドレス、ブラウス、パンツおよびスカートなどエレガントな用途に活用できる衣料を提供することができる。
ポリエステル繊維素材は、寸法安定性やウォッシュアンドウェア性など、取り扱いに優れた特長を有するため、衣料用素材としては、薄地から中厚地など幅広く用いられている。このような特長を活かしながら、風合い向上や見た目の差別化や、ストレッチ性向上等の機能性を付与する方法がこれまで知られている。
風合い向上として膨らみを増すために、熱収縮差を利用して織編物に膨らみを向上させる技術が提案されているが(特許文献1および特許文献2参照。)、この提案の場合、ストレッチ性については同時に満たすことはできていなかった。
風合い向上に加え、自然な外観やソフトタッチを発現させるために、糸自体に捲縮を付与し、アルカリ減量を施すことが提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案の場合、着用時に快適となるストレッチ性を満足することはできず、原糸強度が低下することにより、着用を繰り返すと外観不良を発生するという課題があった。
また、着用快適性として必要なストレッチ性を付与するために、ポリエステルコンジュゲート糸とポリエステルマルチフィラメント糸を複合する技術が提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、この提案ではストレッチ性には優れているものの、エレガントな衣料用途で必要とされる膨らみが乏しいこと、風合いが硬いこと、濃淡差が少なく自然な外観とならない、という課題があった。
特許第5151193号公報 特許第4706103号公報 特許第3912065号公報 特許第3988286号公報
そこで本発明の目的は、従来技術では得ることができなかった、ポリエステルマルチフィラメント混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛であって、特に婦人衣料で必要な膨らみ、暖かみのある自然な外観、ソフトなタッチおよび反発感とう高質感と、着用時に快適となるストレッチ性、および、実用耐久性に優れた衣料用途に好適なポリエステル混繊糸布帛、およびそのポリエステル混繊糸布帛を用いた婦人服衣料を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のポリエステル混繊糸布帛は、少なくとも次の糸状A、糸条Bおよび糸条Cを含むポリエステルフィラメントで構成される混繊糸を、少なくとも一部に用いてなるポリエステル混繊糸布帛である。
・糸条A:熱収縮特性の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲートマルチフィラメント。
・糸条B:イソフタル酸が共重合されてなるポリエステルマルチフィラメント。
・糸条C:芯成分にポリスチレンポリマーが配置され、鞘成分にポリエステルポリマーが配置されてなる芯鞘型複合マルチフィラメント。
すなわち、本発明のポリエステル混繊糸布帛は、熱収縮性の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲートマルチフィラメント(以下、糸条Aと称することがある。)と、イソフタル酸が共重合されてなるポリエステルマルチフィラメント(以下、糸条Bと称することがある。)と、芯成分にポリスチレンポリマーが配置され、鞘成分にポリエステルポリマーが配置された芯鞘型複合マルチフィラメント(以下、糸条Cと称することがある。)が、それぞれ混繊されてなる混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛である。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成されてなる混繊糸の総繊度は、100デシテックス以上である。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の糸条質量比率は、糸条A:糸条B:糸条C=40〜60%:20〜30%:20〜30%である。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の沸騰水収縮率(以下、沸収と略す場合がある。)は10%以上であり、交絡度CFが30以上である。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の撚り係数(α)は、1500〜16000の範囲の実撚を有する。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛の嵩高性は2.5cm3/g以上で、伸長率は10%以上である。
本発明のポリエステル混繊糸布帛の好ましい態様によれば、前記の糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸がアルカリ減量により、前記の混繊糸の少なくとも一部の糸表面にミクロボイドを生じるものである。
本発明においては、前記の混繊糸を少なくとも一部に用いたポリエステル混繊糸布帛を用いて、ドレス、ブラウス、パンツおよびスカートなどの婦人服衣料を製造することができる。
本発明によれば、特に婦人衣料として要求される膨らみ、暖かみのある自然な杢調外観、ソフトなタッチ、および反発感というエレガントな高質感と、着用時に快適なストレッチ性、および実用耐久性に優れたポリエステル混繊糸布帛、およびその布帛を用いた婦人衣料を得ることができる。
図1は、本発明の実施例1で得られた織物表面を示す図面代用写真である。 図2は、本発明の実施例1で得られた織物断面を示す図面代用写真である。 図3は、本発明の実施例1で得られた織物に用いた糸条A、糸条Bおよび糸条Cの糸表面を示す図面代用写真である。
次に、本発明のポリエステル混繊糸布帛について、更に詳細に説明する。
本発明のポリエステル混繊糸布帛は、熱収縮性の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲートマルチフィラメント(糸条A)と、イソフタル酸が共重合されたポリエステルマルチフィラメント(糸条B)と、芯成分にポリスチレンポリマーが配置され、鞘成分にポリエステルポリマーが配置された芯鞘型複合マルチフィラメント(糸条C)が、それぞれ混繊される混繊糸を少なくとも一部に用いてなるポリエステル混繊糸布帛である。
本発明における糸条Aに用いられる熱収縮性の異なるポリエステル重合体としては、ポリエチレンテレフタレート単独またはエチレンテレフタレート単位80モル%以上を含むコポリエステルが好ましく用いられる。コポリエステルの共重合成分としては、イソフタル酸、金属スルホネート基を有するイソフタル酸、ビスフェノール累、ネオペンチルグリコールおよび1、6−シクロヘキサンジオールなどの成分が挙げられる。また、ポリエステル中に、艶消し剤、紫外線吸収剤、染色性改良成分および顔料など他の改良剤を配合することができる。
熱収縮性の異なる少なくとも2成分のポリエステル重合体としては、一方を低粘度ポリエステルとし、他方を高粘度成分とするものが好ましく使用される。ホモポリエステルの場合、上記の低粘度ポリエステル成分の極限粘度は0.35〜0.55の範囲で、高粘度ポリエステル成分の極限粘度は0.65〜0.85の範囲にすることが好ましい態様である。低粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.55を超えると、コンジュゲートマルチフィラメントの捲縮発現力が乏しくなり、螺旋状捲縮の発現能力が低下する。また、高粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.85を超えると溶融粘度が高くなるため、紡糸と延伸が難しくなる。また、高粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.65未満になると捲縮発現力が乏しくなる傾向を示す。
低粘度ポリエステル成分と高粘度ポリエステル両者間の極限粘度成分差は、0.2〜0.4の範囲であることが好ましい。また、一方に共重合ポリエステル成分を使用する場合は、両者成分の極限粘度差はさらに接近させることが可能である。
ここで、極限粘度は、温度25℃においてオルソクロロレノール溶液として求めた。
上記の低粘度ポリエステルと高粘度ポリエステル成分については、好適な複合比がある。すなわち、低粘度ポリエステル成分と高粘度ポリエステル成分の複合比は、質量比で35〜65:65〜25であることが好ましく、より好ましくは40〜60:60〜40である。
上記の糸条Aは偏心芯鞘型あるいはサイド・バイ・サイド型の複合繊維であることが好ましい。低粘度ポリマーと高粘度ポリマーとの粘度差が大きいほど、湿熱処理でのマルチフィラメント糸自身の沸水収縮率は低いが、発現捲縮の捲縮コイル径が大きいものが得られる。
本発明で用いられる糸条Bは、第3成分が共重合されたポリエステルから形成されることが重要である。第3成分を共重合したポリエステルを用いることにより、高収縮性が向上し、他比較的低収縮である糸との収縮差が拡大し、ポリエステル混繊糸布帛の膨らみを向上させることができるため、第3成分としてはイソフタル酸を用いることが好ましい。
イソフタル酸が共重合されたポリエステルは、ホモポリエステルに比べて結晶性が低く抑えられており、繊維の収縮性が高められたものであるため、糸条Aと後述する糸条Cとを混繊糸を構成すると、ポリエステル混繊糸布帛に膨らみを付与するために必要な糸長差を得る際の芯糸成分となるばかりでなく、染料の吸塵性が良いため比較的染まりやすく、糸条A、糸条Bおよび糸条Cとしての染着差もほとんどないだけでなく、微細な濃淡差を発現することにより、高級感に優れた外観と膨らみを有することができる。このような効果を有効に発揮させるためには、糸条Bとしては、少なくともイソフタル酸が3〜12モル%共重合されていることが好ましいが、さらに高収縮性を向上させるために、2・2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン等を同時に共重合させることができる。
本発明で用いられる糸条Cは、芯成分にポリスチレンポリマーを好ましくは2〜15質量%、鞘成分にはポリエステルポリマーの重合質量比率が好ましくは98〜85%で配された芯鞘型複合繊維である。ここにポリスチレンを用いるのは、紡糸工程の冷却固化過程におけるポリエステルポリマーの配向を抑制する効果を利用して、前記の芯鞘型複合マルチフィラメントを低収縮化し、高収縮特性をもつ糸条Bとの糸長差を拡大し、ポリエステル混繊糸布帛の膨らみを増大させるためである。
ポリスチレンポリマーは、繊維表面に露出していないことが好ましく、偏心あるいは同心円状であっても許容されるが、複合安定性を考慮すると同心円状であることが好ましい。また、ポリスチレンポリマーは、ポリエステルポリマーに比較して低比重であるため、軽量化できる効果も兼ね備えており、衣料用に適したものである。
本発明で用いられる混繊糸の製造方法の一例としては、糸条Bと糸条Cを同一口金から紡糸混繊することで得られる。このとき、紡速2500〜4000m/分で溶融紡糸して高配向未延伸糸を得、その後通常の方法によって延伸倍率1.3〜2.0で延伸し巻き取りを行うことにより、得ることができるものである。また、その後に自然延伸領域(NDR)の倍率で延伸加工を加えることにより、長手方向への太細ムラ、いわゆるシックアンドシン延伸を施すことが、より微細な濃淡差を発現するためより好ましい態様である。さらには糸条Bと糸条Cへ、一般的な仮撚加工をさらに加えることも膨らみ性の向上には有効である。
本発明で用いられる糸条ABCは、口金から紡糸延伸されて準備した糸条Aと、2種類の糸条Bと糸条Cが他口金から紡糸延伸されて準備した糸条BCを、それぞれ通常の加工機を用いて、複合混繊することで得られる。複合混繊としては、インターレース複合、タスラン混繊等の一般的な手法で問題なく、制限は無い。
本発明で用いられる糸条A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸を少なくとも一部に用いた織物においては、染色温度は130℃であることが必要である。染色温度が130℃未満では、原糸の結晶配向差影響により、分散染料が吸塵される程度差が助長され、はっきりとした濃淡や染料の足並み差による色相差がある杢調外観となってしまい、杢調であるものの綺麗な外観とはならない。
本発明で用いられる糸条A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸を少なくとも一部に用いた織物においては、中間セット温度は180℃以下であることが必要である。180℃より高温で中間セットを行うと、ポリエステル原糸自体の結晶配向が進みすぎて、反発感が高くなりすぎるとともに、伸長率が著しく低下する。
本発明で用いられる糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の総繊度は、100デシテックス以上であることが好ましい。総繊度が100デシテックス未満になると、ポリエステル混繊糸布帛の厚さが薄くなるだけでなく、膨らみ感に乏しくなるとともに着用時に必要なストレッチ性が不足する。総繊度の上限値は特に制限しないが、総繊度のより好ましい範囲は100〜300デシテックスであり、さらに好ましくは100〜200デシテックスの範囲である。総繊度が300デシテックス以上となると、衣料用織物とした場合、厚みが大きくなりすぎて、衣料用とした場合、不快となり不適切となる。
本発明で用いられる糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の糸条質量比率は、糸条A:糸条B:糸条C=40〜60%:20〜30%:20〜30%であることが好ましい。糸条Aの質量比率が40%未満では、ストレッチ性が乏しくなり、質量比率が60%より大きくなると膨らみ感が乏しくなる。また、糸条Bの質量比率が20%未満となると、膨らみ感が乏しくなり、質量比率が30%より大きくなると風合いが硬くなる。また、糸条Cの質量比率が20%未満では、膨らみ感が乏しくなり、質量比率が30%より大きくなるとふかつき感がでてくる。
本発明で用いられる糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の沸収は、10%以上である。より好ましくは、10%以上〜20%未満である。糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の沸収が10%未満では、糸状A、糸条Bおよび糸条Cそれぞれの収縮差が発現しにくくなり、膨らみ感が乏しくなる。20%以上となると、織編物とした場合に巾が入りすぎたり、硬くなりすぎたりする。
本発明における糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の交絡度CF値は、30以上〜300未満であることが好ましい。さらに言えば、交絡度CF値が50以上〜150未満であることが好ましい。交絡度CF値が30未満になると、製織時にかかる張力により糸状A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸にばらけが生じ、単糸毛羽が発生したり、それぞれの糸状の混繊度合いが長手方向でバラツキが大きくなり、外観不良となる。交絡度CF値が300以上となると、織物とした場合の外観不良が発生し、膨らみが乏しくなる。
本発明における糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の撚り係数(α)は、1500〜16000の範囲の実撚を有することが好ましい。より好ましくは、撚り係数(α)は10000〜16000の範囲である。この範囲で実撚をかけることにより、糸状A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸を用いた布帛において、コイル構造を取ることが実現し、ストレッチ性や反発感が発現する。撚り係数が1500未満になると、曲げ回復性が小さくなることによる反発感が低下する。また、撚り係数が16000より大きくなると、風合いが硬くなる。ここでの撚り係数は、次式で算出する。
・撚り係数(α)=T×√D
(ここで、Tは撚り数(t/m)を表し、Dは混繊糸の繊度(デシテックス)を表す。)
本発明における糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛の嵩高性は、2.5cm/g以上であることが好ましい。より好ましくは、嵩高性が3.0cm/g以上5.0cm/g未満であることが好ましい。嵩高性が2.5cm/g未満になると、膨らみが低下し、着用時の暖かみやソフトタッチが損なわれる場合がある。嵩高性が5.0cm/g以上となると、膨らみ感が高くなりすぎてふかついた風合いとなる。ここでの嵩高性は、次式で算出する。
・嵩高性(cm/g)=生地厚み(mm)/生地目付(g/m)×1000。
本発明における糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛の伸長率は、10%以上であることが好ましい。より好ましくは、伸長率は10%以上30%未満であることが好ましい。伸長率が10%未満になると、実着用時の快適度合いが低下する。伸長率が30%以上となると、着用時の仕立て映えが低下するとともに、織編物とした際の生地厚みが大きくなり、着用時に不快となる。
本発明における糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸を少なくとも一部に用いた布帛は、アルカリ減量加工により、少なくとも一部の糸表面にクラックを生じるものであることが好ましい。フィラメント繊維の表面にクラックを生じることにより、微細な摩擦抵抗を発生させ、触感がよりシルクタッチ傾向となり、優れた風合いとなる。クラックが無い場合は、滑らかさが高くなり、高級感が低下する風合いとなる。
クラックは、苛性ソーダを用いたアルカリ減量加工により、ポリエステルの結晶配向が進んでいない箇所に集中して発生する。アルカリ減量の程度を強くすると、クラックではなく糸が破断してしまい、織物とした際に粉落ちといった不良へ繋がるため、クラックは繊維へ万遍なく、破断しない程度に減量する条件を調整する必要がある。
図1は、実施例1で作成した織物の表面画像であり、図2は、実施例1で作成した織物の断面画像である。糸条A、糸条Bおよび糸条Cの繊維束が螺旋状形態を、繊維束の単糸がランダムな形態を発現することにより、膨らみ感、ソフト性、ストレッチ性および反発感に優れた効果を発揮する。
図3は、実施例1で作成した織物に用いた糸条A、糸条Bおよび糸条Cの断面画像である。糸条Aもしくは糸条Bの繊維表面にクラックを生じることにより、微細な摩擦抵抗により自然な風合いと、外観に濃淡差を発現させることで温かみのある自然な外観を発現する。
ここでのアルカリ減量加工の手法としては、連続減量手法を採用することが好ましい。連続減量手法は、繊維の表層から加水分解を生じさせることができるため、より長手方向に均一なクラックを生じさせることができる。アルカリ連続減量手法は、高濃度のアルカリ(苛性ソーダ、苛性カリ等)をパディングにて一定量に生地表面へ付着させ、その後100℃以上の温度のスチーミング処理により、繊維の表層から加水分解を促進させる手法のことである。
糸条A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸を少なくとも一部に用いたポリエステル混繊糸布帛としての使い方には特に制限はなく、織物のタテ糸に使用することも、ヨコ糸に使用することもできる。織物組織としては、平、ツイル、サテン、ビエラ、アムンゼン、オックス、平二重および経二重など特に制限はないが、糸条A、糸条Bおよび糸条Cの混繊維が生地表面にでてくるようにすることが、肌触りの点で重要となる。糸条A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸を少なくとも一部に用いたポリエステル混繊糸布帛として、編物の使い方にも特に制限はなく、他繊維と交編し合撚することもできる。また、編物としては、経編および丸編のどちらでもよく、編物組織としては、ハーフ、デンビー、ポンチ、天竺、フライスおよびスムースなど特に制限はないが、糸条A、糸条Bおよび糸条Cの混繊維が生地表面にでてくるようにすることが、肌触りの点で重要となる
このようにして得られた本発明のポリエステル混繊糸布帛は、例えば、ドレス、ブラウス、ジャケット、パンツおよびスカートなどエレガントな用途に活用できる婦人服用衣料を提供することができる。
次に、本発明のポリエステル混繊糸布帛について、実施例によりさらに具体的に説明する。上述の説明中および実施例に示す各特性値は、次の方法により測定したものである。
(1)総繊度:
JIS L1013(2010) 8.3.1 b)B法に規定される正量繊度を測定して、総繊度とした。
(2)沸騰水収縮率:
JIS L1013(2010) 8.18.1 b)B法に規定される熱水寸法変化率を測定して、沸騰水収縮率とした。
(3)交絡度CF値:
JIS L1013(2010) 8.15規定される交絡度を測定して、交絡度CF値(Coherence Factor)とした。
(4)目付:
JIS L1096(2010)8.3.2 a)A法に規定される標準状態における単位面積当たりの質量の方法を用いて、目付を測定した。
(5)生地厚み:
JIS L1096(2010)8.4.a)A法に規定される方法を用いて、生地厚みを測定した。
(6)減量率:
アルカリ減量加工処理前の生地質量Aと処理後の生地質量Bとの質量比率(次式)により、減量率を測定した。
・減量率(%)=〔(生地質量A−生地質量B)/生地質量〕×100。
(7)伸長率:
JIS L1096(2010)8.14.1.a)A法に規定される伸び率を用いて、伸長率とした。
(8)見た目の杢調:
原糸の長手方向の濃淡差や布帛全体での濃淡差があるものを見た目の杢調があるものとし、5人の目視判定者で次の官能判定を行い、次のとおりの判定とし、◎を合格とした。
◎:全体的に細かい濃淡差があり高級感がある。合格。
○:全体的に粗い濃淡差がある。
×:濃淡差がない。
(9)反発感:
布帛を屈曲させ、その屈曲した状態から平面状態に戻るスピードが早いものを反発感があるものとし、5人の判定者による官能評価を行い、次のとおりの判定とし、○を合格とした。
○:屈曲した状態から平面状態に戻るスピードが速い。合格。
×:屈曲した状態から平面状態に戻るスピードが遅い、または戻らない。
(実施例1〜4)
コンジュゲートマルチフィラメントの形成において、極限粘度が0.40のポリエチレンテレフタレート100%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレートからなる高粘度成分とを、質量複合比50:50でサイド・バイ・サイド型に貼り合わせたコンジュゲートマルチフィラメント未延伸糸を紡糸した後、通常の延伸機により延伸を行い、55デシテックス−12フィラメントのコンジュゲートマルチフィラメント(糸条A)を製造した。
次に、高収縮糸を形成するポリマーとしては、イソフタル酸を7モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを用いた(糸条B)。低収縮糸を形成するポリマーとしては、極限粘度0.63のホモPETを鞘部に、ポリスチレン(旭化成工業社製“スタイロン”(登録商標)685)を芯部に用いた(糸状C)。それぞれ高収縮側と低収縮側のポリマーを溶融し、低収縮側のホモPETがポリスチレンを芯鞘型に被覆するように設計した複合紡糸口金を使用し、これら3成分を紡速3000m/分で溶融紡糸して、高収縮側の糸を55デシテックス−12フィラメント、低収縮側の糸を55デシテックス−24フィラメントとなるように収縮差混繊未延伸糸を得た。得られた混繊未延伸糸を通常の方法によって、自然延伸領域(NDR)の範囲である1.8倍で延伸熱処理を行い、繊維長手方向に繊度分布を有している混繊シックアンドシン加工糸を製造した。この際の高収縮側の糸(糸条B)は30デシテックス−12フィラメントであり、低収縮側の糸(糸条C)は30デシテックス−12フィラメントであった。このときの低収縮糸である芯鞘型複合糸におけるポリスチレンとホモPETとの質量比率は、4:96とした。
次に、上記で得られた糸条A、糸条Bおよび糸条Cそれぞれを、通常の加工機を用いてインターレース複合手法により混繊し、117デシテックス−36フィラメントのポリエステル混繊糸を得た(糸条ABC)。この時ときの糸条A、糸条Bおよび糸条Cからなる混繊糸の沸収は12%であり、交絡数CFは47であった。得られた原糸物性および詳細を表1に示す。
次に、糸条ABCに撚り方向がSとなるように、通常の方法によって、表2に示す内容で、撚り数が1200t/m(実施例2〜4)および1400t/m(実施例1)となるように実撚をかけた。続いて得られた糸条を経糸および緯糸に用いた表2に示す組織の織物を、通常の方法により製織した。
次に、製織した織物を連続精練機によって精練処理を行った後、液流染色機を用いて120℃の温度でリラックス処理をした後、ピンテンターを用い170℃の温度で中間セットを行い、減量率が11%となるように液流染色機を用いたアルカリ減量加工処理を施し、引き続き色目が表2に示す色となるように分散染料を配合し、130℃の温度で染色した後、160℃の温度でファイナルセットを行い、織物を得た。得られた4種の織物の目付、生地厚み、嵩高性の結果、クラック有無、見た目の杢調、および反発感の判定結果を表2に示す。嵩高性に優れ、全体的に細かい見た目の杢調と、着用時に快適となるストレッチ性、そして、反発感を兼ね備えた高級感のある織物が得られた。
図1は、実施例1で作成した織物の表面画像であり、図2は実施例1で作成した織物の断面画像である。糸条A、糸条Bおよび糸条Cの繊維束が螺旋状形態を、繊維束の単糸がランダムな形態を発現することで、膨らみ感、ソフト性、ストレッチ性および反発感に優れた効果を発揮する。
図3は実施例1で作成した織物に用いた糸条ABCの断面画像である。糸条Aもしくは糸条Bの繊維表面にクラックを生じることで、微細な摩擦抵抗により自然な風合いと、外観に濃淡差を発現させることで温かみのある自然な外観を発現する。
(実施例5)
糸条A、糸条Bおよび糸条Cを用い、天竺組織の編物を作成したこと以外は、実施例1〜4と同様にして編物(天竺編組織)を作成した。得られた編物の評価結果を、表2に示す。嵩高性に優れており、全体的に細かい見た目の杢調と、着用時に快適となるストレッチ性、そして、反発感を兼ね備えた高級感のある編物を得た。
(比較例1)
実施例1〜4に記載の手法で作成した糸条Bと糸条Cの混繊維を用いて、サテン組織の織物を作成したこと以外は、実施例1〜4と同様にして織物を作成した。得られた評価結果を表3に示す。得られた織物は、ストレッチ性や反発感が乏しいものであった。
(比較例2)
実施例1〜4に記載の手法で作成した糸条Aを用い、タテ二重組織の織物を作成したこと以外は、実施例1〜4と同様にして織物を作成した。得られた評価結果を、表3に示す。得られた織物は、杢調の外観が全くないものであった。
(比較例3)
実施例1〜4に記載の手法で作成した糸条Aに、20デシテックスのポリウレタン糸条をカバリングしたカバリングコンジュゲート糸を用い、スムース組織の編み物を作成したこと以外は、実施例5と同様にして編物を作成した。得られた評価結果を、表3に示す。得られた編物は、杢調の外観が全くないものであった。
実施例1〜5で作成したポリエステル混繊布帛は、優れた膨らみ感、ソフト性および暖かみのある自然な外観、着用時に快適なストレッチ性、および優れた反発感を兼ね備えた高質感な布帛であった。また、比較例1〜3で作成したポリエステル混繊布帛は、膨らみ感、ソフト性、温かみのある自然な外観、ストレッチ性、および反発感の全てを兼ね備える布帛は得ることができなかった。

Claims (7)

  1. 少なくとも次の糸状A、糸条Bおよび糸条Cを含むポリエステルフィラメントで構成される混繊糸を、少なくとも一部に用いてなるポリエステル混繊糸布帛。
    ・糸条A:熱収縮特性の異なる少なくとも2種類のポリエステル重合体からなるコンジュゲートマルチフィラメント。
    ・糸条B:イソフタル酸が共重合されてなるポリエステルマルチフィラメント。
    ・糸条C:芯成分にポリスチレンポリマーが配置され、鞘成分にポリエステルポリマーが配置されてなる芯鞘型複合マルチフィラメント。
  2. 糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の総繊度が、100デシテックス以上である請求項1記載のポリエステル混繊糸布帛。
  3. 糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊維の糸条質量比率が、下記の比率である請求項1または2記載のポリエステル混繊糸布帛。
    ・糸条A:糸条B:糸条C=40〜60%:20〜30%:20〜30%
  4. 糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の沸収が10%以上であり、交絡数CF値が30以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。
  5. 糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸の撚り係数(α)が、1500〜16000の範囲の実撚を有している請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。
  6. 織編物の嵩高性が2.5cm/g以上で、伸長率が10%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。
  7. 糸条A、糸条Bおよび糸条Cで構成される混繊糸が、アルカリ減量により、前記混繊糸の少なくとも一部の糸表面にクラックを生じるものである請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル混繊糸布帛。
JP2017229017A 2017-11-29 2017-11-29 ポリエステル混繊糸布帛 Active JP6969326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017229017A JP6969326B2 (ja) 2017-11-29 2017-11-29 ポリエステル混繊糸布帛

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017229017A JP6969326B2 (ja) 2017-11-29 2017-11-29 ポリエステル混繊糸布帛

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019099925A true JP2019099925A (ja) 2019-06-24
JP6969326B2 JP6969326B2 (ja) 2021-11-24

Family

ID=66976132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017229017A Active JP6969326B2 (ja) 2017-11-29 2017-11-29 ポリエステル混繊糸布帛

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6969326B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6969326B2 (ja) 2021-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20050202741A1 (en) Woven or knit fabric and process for producing the same
KR100737976B1 (ko) 신장성 공기교락사 및 이를 이용한 폴리에스테르 직물의제조 방법
JP2006214056A (ja) 織物
JP2021183732A (ja) ポリエステル仮撚糸および編織物
KR100635857B1 (ko) 멜란지 효과가 우수한 이수축 혼섬사 및 그의 제조방법
JP2007056439A (ja) 羊毛糸又は羊毛混紡糸並びに羊毛織物及びその製造方法
JP2002105796A (ja) 遮光性織物
JP6969326B2 (ja) ポリエステル混繊糸布帛
JP4123646B2 (ja) ポリエステル繊維糸条および布帛
KR102276508B1 (ko) 위사 삽입 방식에 의해 제조되는 애슬레저용 원단 및 그 제조방법
JP7404840B2 (ja) 織物
JP4202210B2 (ja) 混繊糸及び織編物及び着古し外観を有する縫製品
JP4733879B2 (ja) 潜在捲縮性能を有するポリエステル複合斑糸
JP7006254B2 (ja) 中空繊維
JP3534025B2 (ja) 交織織物
JP2005105455A (ja) 織物
JP2005290588A (ja) ポリアミド混繊糸及び織編物
JP3465640B2 (ja) 長短複合紡績糸および織物
JP4701478B2 (ja) 多色性複合加工糸およびその製造方法
JP3530303B2 (ja) 高空隙構造加工糸およびそれよりなる布帛
JP3988286B2 (ja) 織編物
JP2023149539A (ja) ポリエステル系繊維およびその製造方法
JP2023161320A (ja) 複合混繊糸及びこれを用いてなる布帛
JPH07229027A (ja) 混繊複合糸およびそれを用いてなる織編物
JP4214626B2 (ja) 強撚織物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211011

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6969326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151