JP2023161320A - 複合混繊糸及びこれを用いてなる布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然繊維紡績糸のような極めて多様で変化に富み、単調や平坦ではない杢調を有し、良好な嵩高感や反発性、ストレッチを有する織編物を得ることができる複合混繊糸を提供する。【解決手段】ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、マルチフィラメント糸条(B)とが混繊交絡してなる複合混繊糸であり、前記ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は繊維軸方向に垂直に切断した断面においてサイドバイサイド型の構造を有し、前記マルチフィラメント糸条(B)はポリエステルフィラメント(b1)とポリエステルフィラメント(b2)とを含み、前記ポリエステルフィラメント(b1)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.2以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が18%以上であり、前記ポリエステルフィラメント(b2)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.3以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が20%以上であり、前記ポリエステルフィラメント(b1)または前記ポリエステルフィラメント(b2)のどちらか一方がカチオン染料可染性である、複合混繊糸。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条と、長さ方向に太細斑を有するマルチフィラメント糸条とが混繊交絡してなる複合繊維糸に関する。
一般にポリエステルマルチフィラメント糸は長さ方向に太細斑が小さいことを特徴とするが、裏を返すと変化に乏しく、人工的な冷たさを有しており、織編物にした場合に平坦で風合いの劣ったものになりがちである。風合いを改善するためにポリエステルマルチフィラメント糸に嵩高性を付与する方法があり、例えば仮撚加工法、押し込み捲縮法、ニットデニット法等が良く知られているが、これらの方法による場合は捲縮状態が極端になり易く、自然で良好な杢調や嵩高性を付与することは困難であった。
そこで、ポリエステルマルチフィラメント糸のもつ上記のような欠点を改良して、ポリエステルマルチフィラメント糸に紡績糸様の外観や風合いを付与して、霜降り調織編物を作ることが出来るようにしたり、嵩高性やシャリ感等を付与することが従来から試みられている。例えば、特許文献1(特開平7-90738号公報)では、天然紡績糸の様に極めて変化に富み、良好な風合い、杢調を有する複合混繊糸が開示されている。
特開平7-90738号公報
しかしながら、特許文献1に記載の複合混繊糸は、芯糸に低捲縮糸を使用しているため、ストレッチ性を付与できないという問題があった。
本発明は、天然繊維紡績糸のような極めて多様で変化に富み、単調や平坦でない杢調を有し、良好な嵩高性や反発性、ストレッチ性を有する織編物を得ることができる複合混繊糸を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、マルチフィラメント糸条(B)とが混繊交絡してなる複合混繊糸であり、前記ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は繊維軸方向に垂直に切断した断面においてサイドバイサイド型の構造を有し、前記マルチフィラメント糸条(B)はポリエステルフィラメント(b1)とポリエステルフィラメント(b2)とを含み、前記ポリエステルフィラメント(b1)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.2以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が18%以上であり、前記ポリエステルフィラメント(b2)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.3以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が20%以上であり、前記ポリエステルフィラメント(b1)または前記ポリエステルフィラメント(b2)のどちらか一方がカチオン染料可染性である、複合混繊糸。
[2]前記ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)が5%以上の捲縮率(K1値)を有する、前記[1]に記載の複合混繊糸。
[3]前記[1]または[2]に記載の複合混繊糸を含む、布帛。
本発明によれば、天然繊維紡績糸のような極めて多様で変化に富み、単調や平坦でない杢調を有し、良好な嵩高性や反発性、ストレッチ性を有する織編物を得ることができる複合混繊糸及びこれを用いてなる布帛を提供することができる。
本発明の一実施形態において、マルチフィラメント糸条(B)に含まれるポリエステルフィラメント(b1)または(b2)の繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2を説明する概略側面図である。 本発明の一実施形態において、マルチフィラメント糸条(B)に含まれるポリエステルフィラメント(b1)または(b2)の繊維長手方向における繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分(太部)を説明する概略側面図である。
本発明の複合混繊糸は、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、マルチフィラメント糸条(B)とが混繊交絡してなることが必要であり、複合混繊糸を構成するこれらポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、マルチフィラメント糸条(B)の内容は以下に詳細に説明する通りである。
(ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A))
本発明の複合混繊糸に用いられるポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は、繊維軸方向に垂直に切断した断面においてサイドバイサイド型の構造を有するポリエステル延伸糸条であり、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は、第3成分を0.5モル%以上10モル%以下の割合で共重合してなるポリエステル(a1)と、融点150℃以上の繊維形成性ポリマー(a2)とからなる、サイドバイサイド型複合繊維延伸糸条であることが好ましい。ポリエステル(a1)の第3成分が上記下限値未満の場合、十分な捲縮性能及び良好な風合いが得られない場合がある。第3成分が上記上限値を超える場合、結晶性ポリエステルが得られにくくなり熱変形、つまり沸水収縮率が大きくなり織編物での風合いが硬くなる場合がある。ポリエステル(a1)の第3成分の割合は、3モル%以上8モル%以下であることがより好ましい。繊維形成性ポリマー(a2)は、融点150℃以上であれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル又はナイロン6、ナイロン12、ナイロン66のポリアミドが挙げられ、これらは共重合成分を含有するものであってもよい。融点が上記上限値未満では複合混繊糸に風合いを付与するための熱セットや高温染色等がしにくくなり実用的でない場合がある。また、融点が高すぎると曳糸性などが低下する場合があるので、繊維形成性ポリマー(a2)の融点は270℃以下であることが好ましい。
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)を構成する各フィラメントが、前述したポリエステル(a1)と繊維形成性ポリマー(a2)とがサイドバイサイド型に接合されて形成されていることにより、製編織して得られる布帛の反発性を格段に向上させることができる。
ポリエステル(a1)に共重合する第3成分としては、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジカルボン酸、ノルボルナン-2,3-ジメタノール、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、パーヒドロジメタノナフタレンジメタノール、パーヒドロジメタノナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロへキサンジオール、ビスフェノールE等が好ましく挙げられ、この中の2種以上が適宜配合されていて使用されていても良い。
また、本発明でいうポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等であり、これらポリエステルは常法によって製造されたものであってもよく、本発明の効果を損なわない限り、触媒、艶消剤、酸化防止剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条は、2種類のPETを偏心芯鞘型に複合紡糸して得られる糸条もあるが、このポリエステルコンジュゲート延伸糸条の捲縮糸はサイドバイサイド型に比べて織編物の反発性やハリ、腰の向上効果が小さいので、本発明のポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は、繊維軸方向に垂直に切断した断面においてサイドバイサイド型の構造を有するフィラメントを用いる必要がある。この場合、ポリエステル(a1)と繊維形成性ポリマー(a2)の重量比率としては、30:70~70:30の範囲が織編物の風合い面から好ましい。
本発明におけるポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は、上記のようなフィラメント群で構成されているが、各フィラメントの単糸繊度は2.2~11dtexであることが好ましく、2.75~6.6dtexであることがより好ましい。単糸繊度が上記下限値未満になると、織編物の反発性やハリ、腰が不十分となる場合があり、上記上限値を超えると織編物が硬くなる場合がある。
また、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は延伸糸条であることが必要である。延伸糸条でない場合は、織編物の形態が外力によって変形しやすくなるので好ましくない。延伸糸条とは、一般には常法で紡糸、延伸された糸条をいうが、本発明ではこのような糸条ばかりでなく、延伸糸条並みの強伸度特性を有する糸条も含まれる。すなわち、本発明における延伸糸条とは、熱収縮性を有し、強度1.4cN/dtex以上、伸度50%以下であれば、どのような製法で得られたものでもよい。
なお、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は、例えば、第3成分を0.5モル%以上10モル%以下共重合してなるポリエステル(a1)と融点150℃以上の繊維形成性ポリマー(a2)の2種類の樹脂をそれぞれ計量しながらサイドバイサイド型複合紡糸装置に供給し、常法にしたがって紡糸、延伸することにより製造することができる。
また、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は沸水収縮率(Wsr)よりも捲縮率(K1値)が高いことが好ましく、また、沸水収縮率は20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。K1値は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。
(マルチフィラメント糸条(B))
マルチフィラメント糸条(B)は、長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b1)と長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b2)とで構成された太細斑糸である。ポリエステルフィラメント(b1)の単糸繊度は1.7dtex以下であることが好ましく、より好ましくは0.6~1.7dtexである。ポリエステルフィラメント(b2)の単糸繊度は4.5dtex以下であることが好ましく、より好ましくは2.0~4.0dtexである。特に、ポリエステルフィラメント(b1)の単糸繊度とポリエステルフィラメント(b2)の単糸繊度との差を1.5~3.5dtexにしておくと、マルチフィラメント糸条(B)に嵩高性および糸の太細斑に由来する杢調を付与でき、しかもアルカリ処理した場合に多数の切れ毛羽を発生させることができ好ましい。また、一本のマルチフィラメント糸条(B)におけるポリエステルフィラメント(b1):ポリエステルフィラメント(b2)の割合は、重量比で30:70~70:30にしておくのが、斑の多様性などの点から好ましい。さらに、一本のマルチフィラメント糸条(B)の総繊度は30~200dtex、総フィラメント数は20~100本にしておくのが、混繊交絡性、得られる複合混繊糸の風合いなどの点から望ましい。
長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b1)について、良好な杢調を発現させる観点から、繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2との比R1/R2は1.2以上であり、好ましくは1.26以上である。なお、繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
また、ポリエステルフィラメント(b1)について、良好な杢調を発現させる観点から、繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合は18%以上であり、好ましくは20%以上である。上記下限値未満の場合、杢調が細かすぎて砂嵐状になってしまう。なお、繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b2)について、良好な杢調を発現させる観点から、繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2との比R1/R2は1.3以上であり、好ましくは1.35以上である。なお、繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
また、ポリエステルフィラメント(b2)について、良好な杢調を発現させる観点から、繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合は20%以上であり、好ましくは25%以上である。上記下限値未満の場合、杢調が細かすぎて砂嵐状になってしまう。なお、繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
マルチフィラメント糸条(B)を構成するポリエステルフィラメント(b1)およびポリエステルフィラメント(b2)で用いるポリエステルの種類は、ポリエステルフィラメント(b1)またはポリエステルフィラメント(b2)のどちらか一方がカチオン染料可染性であり、繊維形成性のポリエステルである限りは特に制限されない。例えば、ポリエステルフィラメント(b1)またはポリエステルフィラメント(b2)の一方をカチオン染料可染性のポリエステルから形成し、もう一方を分散染料可染性のポリエステルから形成してもよい。
ポリエステルフィラメント(b1)およびポリエステルフィラメント(b2)を形成するのに好適なカチオン染料可染性のポリエステルとしては、ベンゼン核にスルホン酸金属塩基が結合しているイソフタル酸単位、すなわちスルホネートイソフタル酸単位を共重合単位として有する共重合ポリエステルを用いるのが好ましく、その場合にはポリエステル中のスルホネートイソフタル酸単位の共重合割合を1~3モル%とすると、紡糸時の工程性、染色性、力学物性などが良好になり望ましい。
また、ポリエステルフィラメント(b1)およびポリエステルフィラメント(b2)を形成するのに好適な分散染料可染性のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、或いはエチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位としこれに少量の他の共重合単位を含有させたコポリエステルが挙げられる。コポリエステルを用いる場合には、該他の共重合単位をイソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタリンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸成分、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸成分、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールまたはエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの共重合成分から誘導することができる。
そして、マルチフィラメント糸条(B)は、上記のようにポリエステルフィラメント(b1)およびポリエステルフィラメント(b2)の太細斑を調整することで10%以下の潜在捲縮率を有することが好ましく、より好ましくは潜在捲縮率が2~8%である。かかる特性により本発明の複合混繊糸に天然のウールに極めて近似した自然な嵩高感を付与することができる。なお、ここでいうマルチフィラメント糸条(B)における潜在捲縮性とは、原糸は捲縮を有さないが、熱処理によって捲縮が発現し、捲縮率(K1値)が10%以下であることをいう。
上記のポリエステルフィラメント(b1)またはポリエステルフィラメント(b2)の一方をカチオン染料可染性のポリエステルから形成し、もう一方を分散染料可染性のポリエステルから形成する場合、ポリエステルフィラメント(b1)をカチオン染料可染性のポリエステルから形成し、ポリエステルフィラメント(b2)を分散染料可染性のポリエステルから形成すると、マルチフィラメント糸条(B)における潜在捲縮性が良好になり、ウール様の自然なふくらみの付与に一層効果があるため、好ましい。
また、マルチフィラメント糸条(B)を構成するポリエステルフィラメント(b1)およびポリエステルフィラメント(b2)の製法は特に制限されず、それぞれのフィラメントが上記した太細斑を有している限りどのような方法によって製造したものであってもよい。特に、上記した特定の太細斑を有するポリエステルフィラメント(b1)を製造するに当たって、平均粒径1.0μm以下、好ましくは0.02~0.8μmの硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタンなどの微粒子を2.5~10重量%、好ましくは3~9重量%含有するポリエステルを用いて紡糸し、それを斑延伸する方法を採用すると、目的とするポリエステルフィラメント(b1)を極めて円滑に得ることができ、望ましい。一方、ポリエステルフィラメント(b2)はそのような微粒子を用いて、または用いずに製造することができる。
(複合混繊糸)
本発明の複合混繊糸は、側糸として上記したポリエステルフィラメント(b1)とポリエステルフィラメント(b2)よりなるマルチフィラメント糸条(B)を用い、芯糸としてポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)を用い、これらを流体加工して混繊・交絡し、次いで熱処理して主にポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)を収縮させて側糸と芯糸との間に糸長差を生じさせ、マルチフィラメント糸条(B)を複合混繊糸のほぼ外側に位置させ、ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)を複合混繊糸のほぼ内側に位置させたものである。そのため、流体交絡および熱処理を施す前の芯糸用の糸としては、流体交絡/熱処理後にマルチフィラメント糸条(B)との間で2%以上の糸長差を生じさせることのできるポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)であることが好ましい。一般に、複合混繊糸にする前(流体交絡/熱処理を施す前)の段階で、芯糸用糸の沸水収縮率(Wsr(B)(%))と側糸用糸の沸水収縮率(Wsr(A)(%))との差(Wsr(B)-Wsr(A))が3%以上、好ましくは5~10%になるようにして、側糸用の糸と芯糸用の糸を選択して組み合わせるのがよい。
そして、複合混繊糸におけるポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)の総繊度は35~150dtex、総フィラメント数は6~36本としておくのが、複合混繊糸およびそれからなる布帛に硬すぎない適度の張り腰を付与できる点で好ましい。更に、1本の複合混繊糸におけるポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)とマルチフィラメント糸条(B)の割合を、重量比で1:1~1:5にしておくのが、天然繊維、特にウール様の嵩高性、適度な張り腰、微細で且つランダムな多段階の色調差を有する外観、色調、風合などに優れた複合混繊糸および布帛を得る上で好ましい。
本発明の複合混繊糸は、上記したポリエステルフィラメント(b1)とポリエステルフィラメント(b2)とからなる側糸用のマルチフィラメント糸条(B)と、芯糸用のポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)を、タスラン加工、インターレース加工などの流体加工装置に供給して互いに混繊・交絡させた後、熱処理を施して主に芯糸用の糸を収縮させることにより製造することができる。その際に側糸用の糸および芯糸用の糸の流体加工装置への供給量、流体圧などを変えることによって屈曲部の数、寸法、フィラメント間の絡合の数および絡み強度などを適宜変化・調節することができる。一般に、側糸用の糸を芯糸用の糸に対してそのオーバーフィード率が0~20%になるようにして両者を流体加工ノズルに供給するのが好ましく、またその際に流体加工ノズルに供給する流体の流体圧を1.0kg/cm以上にしておくのが望ましい。
なお、ここでいうオーバーフィード率とは、側糸用糸または芯糸用糸の供給速度(側糸用糸または芯糸用糸の供給ローラの表面速度)をV1とし、流体加工ノズルから排出される混繊・交絡糸の引き取り速度(引き取りローラの表面速度)をV2とした場合に、下記式(1)により表される。
オーバーフィード率(%)={(V1-V2)/V2}×100 (1)
流体加工にあたっては空気流が好ましく用いられるが、それに限定されず、窒素ガス、炭酸ガスなどの他の気体、場合によっては液体を使用してもよい。また流体加工装置としては、従来既知の流体加工ノズルが使用でき、その形状や構造は特に限定されない。また、流体加工ノズルにおける流体撹乱時の条件などによって、得られる複合混繊糸には連続的な混繊絡みまたは間欠的な混繊絡みが形成されるが、それらのいずれであってもよい。
混繊・交絡後の熱処理は、流体処理に引き続いて行っても、流体処理により得られた糸をいったん巻取った後に改めて行っても、または製編織後の布帛とした後に行ってもよいが、製編織後に行うのが好ましい。熱処理は、側糸用の糸および芯糸用の糸の物性に大きな影響を及ぼさず、芯糸用の糸を主として的に熱収縮させることができる方法であればいずれでもよく、例えば熱水処理、熱風処理などを採用することができる。その際の熱処理温度は、一般に熱水処理の場合は80~140℃、乾熱処理の場合は140~190℃程度とするのが、芯糸用の糸の収縮、加熱による糸の物性低下の防止などの点から好ましい。
また、本発明では、芯糸用のフィラメントおよび側糸用のフィラメントは、その横断面が円形;三葉形~八葉形などの多葉形、T字形、V字形、偏平形、方形などの異形の任意の断面形状であることができ、また必要に応じて酸化防止剤、耐熱性改善剤、蛍光漂白剤、難燃剤、艶消剤、着色剤、無機微粒子などを含有していてもよい。
そして、上記により製造された複合混繊糸は直接そのまま、または布帛にして流通・販売することができる。本発明の複合混繊糸から布帛を製造する場合は、単独で用いても、または他の天然繊維や合成繊維などと組み合わせて使用してもよい。また、必要に応じて本発明の複合混繊糸や布帛にアルカリ処理またはアルカリ処理と揉み処理を施して、糸または布帛に多数の切れ毛羽を生じさせてもよい。アルカリ処理は、上記により得られた複合混繊糸に対して直接行っても、または複合混繊糸から編織布、不織布などの布帛を形成してから行ってもよい。
本発明の複合混繊糸を構成するマルチフィラメント糸条(B)では、その太細斑が上記したように極めて微細にランダムに且つフィラメント間で位相がずれてばらけて存在し、各フィラメントの太細境界部がアルカリにより侵食され易くなっていてその部分で微細に且つランダムに切れ毛羽が発生するために、本発明の複合混繊糸またはそれよりなる布帛をアルカリ減量またはアルカリ減量と揉み処理した場合には、特にマルチフィラメント糸条(B)側に起毛の長さが5mm以下の微細な切れ毛羽を糸長1m当たり300個以上の極めて多数の割合で発生させることができ、この切れ毛羽と上記した閉ループ状、閉カール状、山形、開ループ状などの屈曲部とが相俟って、糸や布帛に良好な嵩高性および紡績糸様の風合が付与される。しかも糸および布帛の特定部分のみがアルカリにより極端に侵食されることがないので、強度の大幅な低下、特定の部分での糸の切断や布帛における穴開きなどの現象が生じない。
それに対して、糸を構成するフィラメント間で太細斑の位相がずれておらず太細斑が糸の横方向で揃っており、しかも太細斑の周期が大きい従来の太細斑糸およびそのような糸から製造された布帛では、アルカリ処理によって糸の特定部分のみが侵食を受けてその部分での糸の切断、布帛における穴開きなどが生じて、品質の著しい低下を招き、しかも多数の微細な切れ毛羽を発生させることができず、かかる点からも本発明の複合混繊糸およびそれからなる布帛は優れた特性を有している。
複合混繊糸またはそれよりなる布帛に切れ毛羽を発生させるためのアルカリ処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウムなどの強アルカリ性物質、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの弱アルカリ性物質を含有する処理液を使用して行うことができる。処理液中のアルカリ性物質の濃度は、アルカリ性物質の種類、被処理複合混繊糸や布帛の内容などに応じて適宜調節するとよく、通常、アルカリ処理液の温度を80~120℃にして減量率が2~20%程度になるように行うのが切れ毛羽の発生、強度や風合の維持などの点から好ましい。また、限定されるものではないが、揉み処理は通常のワッシャーリラックスによる方法や高温高圧の液流リラックスによる方法で行うのが好ましい。アルカリ処理および揉み処理は、糸または布帛の染色前、染色中、または染色後に行うことができる。
そして、複合混繊糸にアルカリ処理により切れ毛羽を発生させる前、または切れ毛羽を発生させた後に、糸に400回/m以上の撚りをかけると糸からのフィラメントの抜けの防止、毛羽の固定ができ好ましい。また、アルカリ処理は、布帛等の精練、糊抜き時に同時に行っても、またはその前後に行ってもよく、精練、糊抜きと同時に行う場合は処理工程数が少なくすることができる。またアルカリ処理は静的状態で行ってもよいが、アルカリ処理液を糸、布帛等に衝突させたり、アルカリ処理液や被処理複合混繊糸や布帛などを撹拌しながら行うと、切れ毛羽をより速やかに発生させることができ、そのようなアルカリ処理は例えば高圧液流式装置や高圧ワッシャー装置などを使用して実施することができる。
また、アルカリ処理を非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの存在下に行うと複合混繊糸の膨潤、軟化、繊維へのアルカリの浸透等が促進されて、処理を速やかに行うことができ、それと共に糸や布帛全体に良好なふくらみ感が付与され、しかも糸や布帛等から脱落した糊剤等が再付着するのを防止することができる。その際の非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン多価アルコールアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル類などを、またアニオン系界面活性剤としてはセッケン、高級アルコール系界面活性剤などを挙げることができる。
(繊維長手方向での繊維径の最大値R1と最小値R2)
長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b1)またはポリエステルフィラメント(b1)について、得られた試料を21cm採取し、顕微鏡写真(100~500倍)を撮影した。その写真から、1cm間隔で20点(切断部を除く)の糸の直径を測定した。測定した直径のうち、最大の直径をR1、最小の直径をR2とした。
(繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合)
長さ方向に太細斑を有するポリエステルフィラメント(b1)またはポリエステルフィラメント(b1)について、得られた試料を21cm採取し、顕微鏡写真(100~500倍)を撮影した。その写真から、1cm間隔で20点(切断部を除く)の糸の直径を測定し、その20点の測定値を足した総数を測定数(20点)で除したものを平均値として求めた。求めた繊維径の平均値よりも大きい直径の部分を太部、小さい直径の部分を細部とし、太部の長さを測定し、試料に占める割合を算出した。
(沸水収縮率(Wsr))
1周1mの検尺機で試料を10回巻き取り、無荷重状態で一昼夜放置した。その後試料に試料の総繊度の二倍の荷重を掛け、30秒後の測定値(L1)を読み取った。次に、試料を100℃の熱水にて30分間処理し、一昼夜乾燥させた後、試料の総繊度の二倍の荷重を掛け、30秒後の測定値(L2)を読み取り、下記式(2)より沸水収縮率(Wsr)を求めた。
沸水収縮率(Wsr)[%]={(L1-L2)/L1}×100 (2)
(捲縮率(K1値))
試料の重量が45gとなるように80cmの検尺機を用いて試料を採取し、試料に10gの荷重を掛け90℃の熱水にて30分間処理を行った後、一昼夜乾燥を行った。10gの荷重を試料に掛け、測定台のフックに掛け、すぐに測定値(M1)を読み取った後、更に990gの荷重を掛け、30秒後に測定値(M2)を読み取った。下記式(3)により捲縮率(K1値)を求めた。
捲縮率(K1値)[%]={(M2-M1)/M2}×100 (3)
(杢調の評価)
10人のパネラーによる官能試験を行い、十分な灯のある部屋で試料と対照として一般的な杢調を有したウール100%の織物素材を平らな台の上に置き、上から見て比較した時に杢調を有したウール100%の織物素材と同程度に十分に杢調が見られる物を杢調ありとし、7人以上のパネラーが杢調ありと判断した物を〇とし、6人以下の場合を×とした。
(嵩高性の評価)
JIS L 1096[織物及び編物の生地試験方法]に基づき、厚さをA法(JIS法)により測定し、標準状態における単位面積当たりの質量をJIS L 1096[織物及び編物の生地試験方法]に基づき、標準状態における単位面積当たりの質量をA法(JIS法)により測定し、厚さを標準状態における単位面積当たりの質量で除した値から算出した。
(反発性の評価)
10人のパネラーによる官能試験を行い、生地を掌で軽くつかんだ時に感じる生地からの反発感のあるものを「反発性に優れている」とし、優れていると判断したパネラーの人数で以下の3段階で評価した。
◎:優れていると判断したのが9人以上
〇:優れていると判断したのが6人以上
×:優れていると判断したのが5人以下
(ストレッチ性の評価)
JIS L 1096「織物及び編物の生地試験方法」における伸び率B法により、14.7Nの荷重を加え、生地の経方向および緯方向の伸長率を測定した。
(実施例1)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、酸化チタンを0.5重量%含有した粘度625Pa・sのポリエチレンテレフタレートと、2.5モル%のスルホイソフタル酸で変性した粘度617Pa・sのポリエチレンテレフタレートを用いて、断面がサイドバイサイド型のノズルにて重量比率1:1で複合紡糸し、180dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、2.5モル%のビスフェノールイソスルホン酸で変性した38dtex/12フィラメントのポリエステルフィラメント(b1)と、平均粒径0.6μmの硫酸バリウムを8重量%含有した77dtex/56フィラメントのポリエステルフィラメント(b2)を常法により同時に紡糸し、115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
上記糸条1を150℃ホットピンを通過させながら1.7倍延伸したポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、上記糸条2を80℃ホットピンを通過させながら1.4倍延伸したマルチフィラメント糸条(B)とを4%のオーバーフィード率をかけてタスラン混繊して192dtex/88フィラメントの複合混繊糸を得た。
得られた複合混繊糸に1200T/mで追撚したものを経、緯に使用し、経糸密度81本/インチ、緯糸密度68本/インチの2/1綾織物を製織し、通常の染色仕上げ加工を行った。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、酸化チタンを0.5重量%含有した粘度625Pa・sのポリエチレンテレフタレートと、1.7モル%のスルホイソフタル酸で変性した粘度664Pa・sのポリエチレンテレフタレートを用いて、断面がサイドバイサイド型のノズルにて重量比率1:1で複合紡糸し、110dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用に実施例1と同様に常法により紡糸し、115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
その後、実施例1と同様の糸加工を行い、複合混繊糸を作製し、得られた複合混繊糸を使用して実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、酸化チタンを0.5重量%含有した粘度625Pa・sのポリエチレンテレフタレートと、2.5モル%のビスフェノールイソスルホン酸で変性した粘度824Pa・sのポリエチレンテレフタレートを用いて、断面がサイドバイサイド型のノズルにて重量比率1:1で複合紡糸し、110dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、平均粒径0.6μmの硫酸バリウムを8重量%含有した38dtex/12フィラメントのポリエステルフィラメント(b1)と、2.5モル%のビスフェノールイソスルホン酸で変性した77dtex/56フィラメントのポリエステルフィラメント(b2)を常法により同時に紡糸し、115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条を得た。
その後、実施例1と同様の糸加工を行い、複合混繊糸を作製した。得られた複合混繊糸を使用して実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
供給糸(糸条1)として、酸化チタンを0.5%含有してなる粘度815Pa・sのポリエチレンテレフタレートを用いて紡糸し、複合でなく単独の丸断面構造である110dtex/24フィラメントのポリエステル糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、実施例3と同様に常法により紡糸した115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
その後、上記糸条1を150℃ホットピンを通過させながら1.7倍延伸したポリエステル延伸糸条(A)と、上記糸条2を80℃ホットピンを通過させながら1.8倍延伸したマルチフィラメント糸条(B)とを4%のオーバーフィード率をかけてタスラン混繊して128dtex/88フィラメントの複合混繊糸を得た。得られた複合混繊糸を使用して実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、酸化チタンを0.5重量%含有した粘度619Pa・sのポリエチレンテレフタレートと、酸化チタンを0.5重量%含有した粘度806Pa・sのポリエチレンテレフタレートを用いて、断面がサイドバイサイド型のノズルにて重量比率1:1で複合紡糸し、110dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、実施例1と同様に常法により紡糸した115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
その後、上記糸条1を150℃ホットピンを通過させながら1.7倍延伸したポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、上記糸条2を80℃ホットピンを通過させながら2.2倍延伸したマルチフィラメント糸条(B)とを4%のオーバーフィード率をかけてタスラン混繊して119dtex/88フィラメントの複合混繊糸を得た。得られた複合混繊糸を使用して実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、実施例2と同様に常法により紡糸した110dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、2.5モル%のビスフェノールイソスルホン酸で変性した38dtex/12フィラメントのポリエステルフィラメント(b1)と、前記ポリエステルフィラメント(b1)と同一の樹脂で構成された77dtex/56フィラメントのポリエステルフィラメント(b2)を常法により同時に紡糸し、115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
上記糸条1をホットピンを通過させながら1.7倍延伸したポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、上記糸条2を80℃ホットピンを通過させながら2.0倍延伸したマルチフィラメント糸条(B)とを4%のオーバーフィード率をかけてタスラン混繊して122dtex/88フィラメントの複合混繊糸を得た。得られた複合混繊糸を使用し実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)用の供給糸(糸条1)として、実施例2と同様に常法により紡糸した110dtex/24フィラメントのポリエステルコンジュゲート糸条(糸条1)を得た。
また、マルチフィラメント糸条(B)用の供給糸(糸条2)として、平均粒径0.6μmの硫酸バリウムを8重量%含有した38dtex/12フィラメントのポリエステルフィラメント(b1)と、前記ポリエステルフィラメント(b1)と同一の樹脂で構成された77dtex/56フィラメントのポリエステルフィラメント(b2)を常法により同時に紡糸し、115dtex/64フィラメントのマルチフィラメント糸条(糸条2)を得た。
その後、実施例1と同様の糸加工を行い、複合混繊糸を作製した。得られた複合混繊糸を使用して実施例1と同様に織物を作製した。得られた織物について杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性をそれぞれ評価した結果を表1に示す。
Figure 2023161320000001
表1より明らかなように、実施例1,2,3で得られた複合混繊糸により作製された織物は良好な杢調、嵩高性、反発性、ストレッチ性を有していた。一方、比較例1はフィラメント糸条(A)をコンジュゲート延伸糸条でない単独の丸断面糸条としたため、良好な嵩高性、ストレッチ性が得られなかった。比較例2はマルチフィラメント糸条(B)の太細斑を発現させなかった結果、良好な杢調が得られなかった。比較例3はポリエステルフィラメント(b1)及びポリエステルフィラメント(b2)の両方がカチオン染料可染性であるため、良好な杢調が得られなかった。比較例4はポリエステルフィラメント(b1)及びポリエステルフィラメント(b2)の両方がカチオン染料可染性でないため、良好な杢調が得られなかった。

Claims (3)

  1. ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)と、マルチフィラメント糸条(B)とが混繊交絡してなる複合混繊糸であり、
    前記ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)は繊維軸方向に垂直に切断した断面においてサイドバイサイド型の構造を有し、
    前記マルチフィラメント糸条(B)はポリエステルフィラメント(b1)とポリエステルフィラメント(b2)とを含み、
    前記ポリエステルフィラメント(b1)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.2以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が18%以上であり、
    前記ポリエステルフィラメント(b2)が繊維長手方向での繊維径の最大値R1および最小値R2との比R1/R2が1.3以上であり、かつ繊維長手方向において繊維径の平均値より大きい繊維径を有する部分が占める割合が20%以上であり、
    前記ポリエステルフィラメント(b1)または前記ポリエステルフィラメント(b2)のどちらか一方がカチオン染料可染性である、複合混繊糸。
  2. 前記ポリエステルコンジュゲート延伸糸条(A)が5%以上の捲縮率(K1値)を有する、請求項1に記載の複合混繊糸。
  3. 請求項1または請求項2に記載の複合混繊糸を含む、布帛。
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