JPH07118991A - 薄起毛調織物 - Google Patents

薄起毛調織物

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JPH07118991A
JPH07118991A JP5307384A JP30738493A JPH07118991A JP H07118991 A JPH07118991 A JP H07118991A JP 5307384 A JP5307384 A JP 5307384A JP 30738493 A JP30738493 A JP 30738493A JP H07118991 A JPH07118991 A JP H07118991A
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JP
Japan
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yarn
denier
woven fabric
shrinkage
single fiber
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JP5307384A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Uno
義信 宇野
Akihiko Osaki
昭彦 大崎
Mitsuaki Kitada
充秋 北田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAKASEI ORIMONO KK
Toray Industries Inc
Original Assignee
SAKASEI ORIMONO KK
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮ポリエ
ステルマルチフィラメント糸と単繊維繊度1デニール以
上の高収縮ポリエステルマルチフィラメント糸から構成
される異収縮混繊糸で50T/M以上の実撚を有する糸
を緯糸に配してなる織物であって、前記緯糸を構成する
単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮マルチフィラメ
ント糸が織物表面に主としてループ状の微細毛羽を有し
ていることを特徴とする薄起毛調織物。また、経糸とし
て太細斑を有するポリエステル糸を用いてなる薄起毛調
織物。 【効果】合成繊維フィラメントの薄地織物でありながら
繊維表面にループ状の微細毛羽を有し、かつ、生地の引
裂強力を満足させるとともに、ソフトでドライ感のある
質感とデニムやダンガリー調のナチュラルな視覚効果を
有する薄起毛調織物を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超極細繊維を含む複合
糸を用いて、機械的な起毛加工を施すことなく、織物表
面に羽毛調の微細毛羽を有し、ドレープ性に優れ、ソフ
トでドライ感があり、デニムやダンガリー調の視覚効果
を有する薄起毛調織物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のファッショントレンドは天然素材
志向の流れの中でカジュアル化傾向が急速に進んでい
る。従って、婦人服向けの織物もカジュアルな質感、視
覚効果が求められている。
【0003】そうした流れの中でレーヨンやポリノジッ
クなどセルロース系のスパン繊維(100%または混
紡)がソフト、ドライ、ドレーブ、ナチュラル性と言っ
た質感や、デニムやダンガリー調の視覚効果を表現する
素材としてカジュアルな婦人衣料用途に商品化が進んで
いる。
【0004】しかし、これらの製品は、従来より製品の
寸法安定性に劣る、すなわち収縮が大きいというところ
に欠点があり、イージケアー性に問題があった。
【0005】最近になって精製セルロース繊維の出現や
後加工技術の進歩により、寸法安定性の欠点はかなり改
善されつつあるが、反面、複雑な後加工技術を付与する
ために品質が安定しない、コスト高になる等の問題を有
するのである。また、レーヨンやポリノジックのセルロ
ース繊維のスパン糸と、合成繊維とりわけ「新合繊」と
称される新素材との複合糸による商品化も進んでいる
が、糸加工技術(均一な混繊方法)が困難であったり、
風綿の発生等の工程通過性のトラブルなどが障害になる
という問題があった。
【0006】一方、フィラメント合成繊維織物には機械
的な起毛加工(針布加工、サンディングなど)を施し、
スエード調タッチ、外観の特徴を付与した付加価値商品
が数多く商品化されている。これらは、起分成分の使用
原糸(素材)、織物組織設計等に易起毛の工夫をして起
毛加工されているのが通例である。
【0007】機械的な起毛加工は、通常、染色加工工程
の中で3〜5回の起毛回数を施し均一な毛羽感を発現し
ている。反面、起毛回数が増加すれば、コストが高くな
る、織物性面への影響、即ち、引裂強力の低下などの問
題に発展する。
【0008】これまで、織物中〜厚地の起毛生地は、原
布の引裂強力が高レベルにあるので起毛加工前より引裂
強力の低下はあるが、合格レベルを維持し実用上ほとん
ど問題にされなかった。
【0009】しかし、ブロード、マットなど平織組織を
対象にした薄地生地は、これまで機械的な起毛加工を施
すことにより、生地の引裂強力の低下が著しく、起毛加
工後の引裂強力が合格レベルに達しないものがほとんど
で、高質感の商品が得られても、生地の物性面で大きな
障害になっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解決するため、合成繊維フィラメント薄地織物で
ありながら、機械的な起毛加工を施すことなく、織物表
面に微細毛羽を有し、且つ引裂強力も保持し、ドライ
感、ドレープ性に富み、ソフトな質感とデニムやダンガ
リー調のナチュラルな視覚効果も兼備した織物を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【問題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため次の構成からなる。
【0012】すなわち第一の本発明は、単繊維繊度0.
2デニール以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメン
ト糸と単繊維繊度1デニール以上の高収縮ポリエステル
マルチフィラメント糸から構成される異収縮混繊糸で5
0T/M以上の実撚を有する糸を緯糸に配してなる織物
であって、前記緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニー
ル以下の低収縮マルチフィラメント糸が織物表面に主と
してループ状の微細毛羽を有していることを特徴とする
薄起毛調織物である。
【0013】また第二の本発明は、経糸が糸長手方向に
太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸であ
って350T/M以上の実撚を有する糸、緯糸が単繊維
繊度0.2デニール以下の低収縮ポリエステルマルチフ
ィラメント糸と単繊維繊度1デニール以上の高収縮ポリ
エステルマルチフィラメント糸から構成される異収縮混
繊糸であって350T/M以上の実撚を有する糸からな
る織物であって、前記緯糸を構成する単繊維繊度0.2
デニール以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント
糸が織物表面に主としてループ状の微細毛羽を有してい
ることを特徴とする薄起毛調織物である。
【0014】以下、本発明について、第一の発明から詳
細に説明する。
【0015】本発明の緯糸は、織物の染色仕上工程で新
しい質感と表面効果を創出する重要な役割をする。緯糸
は、沸水処理において収縮差を発現する異収縮混繊糸を
用いるが、低収縮成分が超極細ポリエステルマルチフィ
ラメント糸、高収縮成分が単繊維繊度1デニール以上の
ポリエステルマルチフィラメント糸からなる異収縮混繊
糸であって、50T/Mの実撚を有する糸を用いること
が重要である。
【0016】低収縮成分の超極細ポリエステルマルチフ
ィラメント糸は、沸水収縮率が0%〜15%であること
が好ましく、一方高収縮成分のポリエステルマルチフィ
ラメント糸は、沸水収縮率が5〜40%であることが好
ましい。なお、本発明でいう高収縮、低収縮とは、単繊
維繊度0.2デニール以下の超極細ポリエステルマルチ
フィラメント糸の収縮率と、単繊維繊度1デニール以上
のポリエステルマルチフィラメント糸の収縮率とを比べ
て用いるものであり、超極細糸の収縮率が単繊維繊度1
デニール以上の糸より小さいことを示すものである。
【0017】また低収縮成分と高収縮成分との沸水収縮
率差は、2%以上あることが好ましい。
【0018】高収縮成分は、単成分糸でもよいし、複数
の糸が混繊されてなる混繊糸または異収縮混繊糸からな
る複合糸であってもよい。
【0019】緯糸に付与する実撚数は、合撚糸の工程通
過性や交絡糸の均一な混繊を達成する意味で50T/M
以上を付与することが重要で、実撚数が50T/M未満
になると超極細糸と高収縮が工程中に剥離したり、ヨコ
ムラの品質欠点を誘発する傾向がある。
【0020】緯糸を構成する超極細マルチフィラメント
糸の単繊維繊度が0.2デニール以下であることが本発
明の効果を得る上で重要な条件である。これは、本発明
の織物の特徴である微細毛羽を得る手段として、従来の
起毛加工と称するサンディング加工や針布加工、あるい
は染色加工中での特殊な擦過法などの糸を切断して毛羽
立てる強制的な物理加工方法によるものでなく、通常の
合繊織物の染色加工工程を通過させることで自然発生的
に形成させるためである。すなわち、異収縮混繊糸で構
成された緯糸が染色加工中に受ける熱処理および布帛の
揉み作用などによって低収縮の超極細糸の一部が織物表
面にループ(タルミ)となって浮き出し、かつ、そのル
ープの一部が切断される毛羽が混在する状態となって微
細毛羽を構成している。すなわち、本発明においていう
ループ状の毛羽とは、主としてループ状であるが、中に
は一部切断に至り切断された状態で毛羽立っているもの
を含むものである。
【0021】本発明は、このような主としてループ状の
微細毛羽を付与する観点から、超極細マルチフィラメン
ト糸の単繊維デニールが0.2デニール以下であること
が重要である。好ましくは、0.0001デニール〜
0.1デニールである。
【0022】一方、高収縮のマルチフィラメント糸は、
1デニール以上であることが重要であり、2デニール〜
10デニールであることが好ましい。
【0023】超極細マルチフィラメント糸の単繊維デニ
ールが0.2デニール未満になると実撚を有し拘束され
た形態において通常の合繊織物の染色加工工程を通過さ
せるだけでループ状の微細毛羽を数多く均一に発現させ
ることは極めて難しくなる。
【0024】毛羽成分を形成する超極細マルチフィラメ
ント糸の種類は、通常の口金から紡糸した未延伸糸、あ
るいは半延伸糸を延伸工程で延伸して得られる延伸糸、
高速紡糸1工程による高速紡糸糸などの一発紡糸(直接
紡糸)型、基本的に難溶性のポリマーと易溶性のポリマ
ーを組み合わした海/島型、割繊型、剥離型などを採用
することができる。現時点において、一発紡糸型、割繊
型、剥離型は、単繊維繊度が0.1デニール以下の範囲
では製糸性、高次通過性等において未だ技術的問題を含
んでいる。その意味において既に技術確立され、実績の
ある海/島型が本発明においては好適である。
【0025】緯糸を構成する高収縮成分のマルチフィラ
メント糸は、通常のポリエチレンテレフタレートを用い
て低収縮成分とは異なる延伸条件で得られた糸から構成
されるもの、あるいはポリエチレンテレフタレートにイ
ソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分な
どを共重合させたポリエチレンテレフタレート共重合体
を高収縮糸として構成されるもの等が挙げられる。
【0026】ところで本発明の薄起毛調織物は、機械的
な毛羽加工を施さない点に特徴を有するものであるが、
機械的な起毛加工を施さない薄起毛調布帛としては、特
開平5−171567号公報、特開平5−163663
号公報で提案されている。
【0027】しかしながら、これらの布帛は、フィブリ
ル化し易い繊維を布帛の全部または一部に配して染色加
工中にフィブリル化現象を促進させ、その結果、切断さ
れた毛羽で構成されているのが特徴である。
【0028】一方、本発明の織物毛羽は、前述のとお
り、超極細マルチフィラメントの主としてループ(タル
ミ)で構成されているのが特徴であり、繊維表面の毛羽
成分の形態に差がある。
【0029】緯糸において低収縮成分である超極細糸の
占める比率は、20%〜90%が適している。比率が9
0%を越えるとソフト過ぎてガーメントの仕立て映えが
悪くなり、過多の毛羽が発現し表面品位の低下にもな
る。一方、比率が20%未満になると毛羽の発現が極度
に少なくなり、所望の質感、表面効果を得るのが難かし
くなる。
【0030】また緯糸の糸構造は、仮撚加工を施した捲
縮加工糸、複合形態として合撚による実質的実撚効果を
有する糸、超極細マルチフィラメント糸と他のマルチフ
ィラメント糸をエアー処理によって得られる混繊交絡
糸、あるいはエアー処理を実施した後、追撚を付与した
ものなど用いることができる。なかでも、単繊維繊度
0.2デニール以下の低収縮ポリエステルマルチフィラ
メント糸が鞘部に配置され、単繊維繊度1デニール以上
の高収縮ポリエステルマルチフィラメント糸が芯部に配
置されてなる糸を緯糸に用いること好ましい。
【0031】また超極細糸に仮撚を施すのは、捲縮を付
与し、嵩高性を与え、さらに仮撚による熱処理効果で低
収縮化が促進され、混繊相手の高収縮糸との収縮差がよ
り拡大され、超極細糸を織物表面により多く浮き上がら
せることができるので好ましい。
【0032】超極細糸の仮撚条件は、通常ポリエステル
糸の条件と適応することができる。
【0033】超極細糸を仮撚を行なうに際して、超極細
糸の品種は、紡糸−延伸法によるもの、高速紡糸1工程
によるもの、海島型あるいは割繊型によるもののいずれ
をも問わず、仮撚機種は、通常のピン仮撚タイプ、摩擦
仮撚タイプ、エアー仮撚タイプいずれでも採用できる。
仮撚条件としてヒーター温度は、通常仮撚機の仕様の範
囲内であればよく、具体的には例えば150℃〜220
℃であればソフト感に寄与する嵩高性を与えることがで
きる。ヒーターは、2ヒーターでも構わないが、嵩高性
が優れコスト的にも安価な1ヒーターが好ましく採用さ
れる。仮撚数は、通常のウーリー加工糸の捲縮特性の得
られる糸加工性の安定した条件を採用すればよい。
【0034】交絡方法は、通常のインターレース加工と
称される方法やタスラン加工と称される方法を採用でき
るが、本発明の緯糸としては製織前の異収縮混繊糸が毛
羽やループなど必要でないのでインターレース加工が好
ましい。
【0035】緯糸の混繊形態は、織物の染色加工後に、
ほぼ完全な2層構造形態、すなわち高収縮マルチフィラ
メント糸が芯側になり、それを超極細マルチフィラメン
ト糸が鞘側になってカバーする構造になっていることが
好ましい。この鞘側に位置する超極細マルチフィラメン
ト糸が、染色工程中に種々受ける揉み効果によって毛羽
発現が起こり、繊維表面に微細毛羽となって露出しソフ
ト感、ナチュラル感等の質感に寄与する。
【0036】次に、本発明に使用する経糸は、ポリエス
テル系、ポリアミド系等に代表される合成繊維であれば
良く、所望する用途、質感、表面感に応じ緯糸との構成
において適宜選択されるのが好ましい。なかでも、ポリ
エステル系の「新合繊」と称される素材の経糸使いが、
質感、表面感の表現に好適である。例えば、フルダルの
ポリエステル系繊維を用いると、ドレープ性、反発感に
富んだ薄起毛調織物が得られるし、異形断面を有するも
のを用いた場合には、清涼感に富んだ薄起毛調織物を得
ることができる。
【0037】次に本発明の織物の製造方法の一例を説明
する。
【0038】経糸としてポリエステル系、ポリアミド系
等の合成繊維のマルチフィラメント糸を用い、一般の製
織工程で使用される撚糸機によって工程通過性を良くす
るため150T/M以上の追撚を付与することが好まし
い。得られた撚糸後の糸は、撚数が多い場合、工程通過
性を良くするため撚止めセットを行う。
【0039】緯糸は、単繊維繊度0.2デニール以下の
超極細マルチフィラメント糸成分と単繊維繊度1デニー
ル以上の高収縮糸成分を引揃え、インターレース処理に
よって交絡を与えることが好ましい。
【0040】高収縮成分と低収縮成分の沸水収縮率差が
2%以上あることが好ましいが、収縮率差は、原糸設計
による方法、インターレース処理に際して超極細マルチ
フィラメント糸側を熱板等による通常の熱処理によって
低収縮化処理する方法、または、低収縮化処理として仮
撚加工による方法等により得ることができる。
【0041】次いで、得られた超極細マルチフィラメン
ト糸と高収縮マルチフィラメント糸から構成される複合
糸に追撚を付与するため撚糸を行なう。
【0042】得られた撚糸後の糸は撚数が多い場合、工
程通過性を良くするため撚止めセットを行う。高収縮マ
ルチフィラメントの沸水収縮率の低下を起こさない程度
の低温セット条件が適している。
【0043】得られた経糸は、通常の粗巻整経機あるい
は部分整経機により整経し、サイジングへ通し、織機に
仕掛ける。
【0044】織機は、一般に使用される普通織機、レピ
ア、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム
等の機種として特に限定されることなく採用できる。な
かでも一般にフィラメント織物用に広く使用されている
ウォータージェットルームがコスト、生産性の観点から
好ましい。
【0045】製織において選定する織物組織は、要求さ
れる織物の質感によって構成し、撚数との関係で適宜選
定される。
【0046】得られた生機は、染色加工工程に投入され
る。所望する特徴を得るため上記の如く設計された布帛
に微細毛羽の発現、ドレープ性、ソフト感、ナチュラル
感等を発揮させるのが以下述べる染色加工工程である。
【0047】本発明の織物に採用する染色加工工程は、
通常のポリエステル合成繊維織物、とりわけ「新合繊」
織物と称される織物の染色加工工程を基本に条件を設定
すればよい。
【0048】生機は、製織工程での油剤・糊剤が付着し
ており、これを除去すると同時に経糸および緯糸の異収
縮混繊糸の収縮差を十分に発揮させるため、精練・リラ
ックス処理を実施する。処理条件は、張力と温度制御し
て、揉み効果を与え、布帛にふくらみ感を発現させる条
件が好ましく、具体的には例えば温度が100℃から1
20℃の範囲で、拡布状、ロープ状の連続式、バッチ式
等の処理のいずれでも採用できる。
【0049】精練、リラックス工程の後、乾燥し、プレ
セットで幅出しセットを行なう。
【0050】次いで、アルカリ減量処理で、脱海処理
(海/島型極細糸の場合)と布帛を構成する経糸・緯糸
の交錯点の摩擦を少なくしてドレープ性を与えるための
アルカリ減量処理をする。処理条件は通常の織物の条件
から応用できる範囲でよい。
【0051】このアルカリ減量加工により、超極細マル
チフィラメント糸を使用した緯糸の脆化した一部分に微
細毛羽発現の兆候が現れる。
【0052】一般に製造されているスエード調織物など
は、この後サンディング加工あるいは針布加工などの起
毛加工を施すのが通例である。しかしながら、本発明の
薄起毛調織物は、高い毛羽密度は必要でなく、ナチュラ
ルな質感を付与する程度の毛羽感を有することに特徴が
あり、これは本発明の経糸および緯糸の素材の規定と起
毛加工を行なわない製造工程によって初めて得られるも
のである。
【0053】また、これまでの薄地織物の起毛加工、特
に平組織は製品生地の引裂強度を低下させるという問題
があった。それに対して、本発明の薄起毛調織物では、
起毛加工を施していないので、引裂強度低下の問題は生
じない。さらに、加工コスト面でも安価で、起毛調織物
が製造できるので工業的に有利である。
【0054】次に、通常120℃〜135℃の条件で染
色を実施する。この染色加工中の十分な揉み採用でさら
に緯糸のループ状の微細毛羽の発現が促進されソフト
感、ナチュラル感が付加される。
【0055】またこの染色工程でデニム調やダンガリー
調と言った色差効果が付与される。
【0056】これは、経糸に使用する太細斑糸と実質的
に織物表面に現われる超極細糸の緯糸との間に、かなり
の単繊維繊度差があること、加えて、ポリマー種差、配
向度差など考えられ、この要因が、染料の染着差に大き
く影響し、経糸は染色されるが、緯糸はほぼ未染色の状
態を呈する。この観点から、本発明の織物を構成する経
糸の単繊維繊度が、緯糸を構成する超極細糸の単繊維繊
度の10倍〜100倍であることが好ましい。
【0057】この効果を織物組織と組合せることによ
り、デニム調やダンガリー調の視覚効果が得られる。例
えば、デニム調の色調効果を得るためには綾組織を基調
に、ダンガリー調の色調効果を得るためには平組織を基
調に考えればよい。
【0058】染色された生地は、仕上セットで所定の巾
に布をセットし、本発明の薄起毛調織物を得ることがで
きる。
【0059】次に第二の発明について詳細に説明する。
【0060】第二の本発明において経糸は、長手方向に
シック部(低配向部)とシーン部(高配向部)のランダ
ムな太細斑をもち、350T/M以上の実撚を有するポ
リエステルマルチフィラメント糸であることが重要であ
る。好ましくは、500T/M以上の実撚を有するもの
がよい。ここでいう太細斑を有する糸とは、広義的に毛
羽を有しないポリエステルマルチフィラメント糸で、分
散染料で染色後に濃色部と淡色部が交互に混在する形態
を有する糸を総称する。糸斑をU%で表すと、1.0%
以上15.0%以下の範囲に相当する。また具体的には
例えば特公昭58-37417、特公昭59-2003 、特開昭62-243
823 、特開平1-148825などが挙げられる。
【0061】経糸としては長手方向に太細斑を有する糸
を採用するのは、レーヨンやポリノジックなどセルロー
ス系スパン糸のもつ、ナチュラルな斑感や、ソフト感を
付与するためである。本発明で用いる太細斑糸は、生糸
もしくは熱処理糸あるいは捲縮加工糸であってもよい
が、フカツキ感を押さえる点から生糸もしくは熱処理糸
が好ましい。
【0062】また、経糸に付与する実撚数は、通常の工
程通過性改善を目的とした甘撚と称する領域の100〜
200T/Mで好ましいドレープ性を得ることが難し
く、逆に、強撚と称する領域の2000T/Mを越える
領域ではドレープ性が大きくなるがソフト感が低下する
傾向がある。したがって、実撚数の範囲は、350〜1
500T/Mが好ましい。実撚を付与する方法は、ダブ
ルツイスターが適している。
【0063】さらに、経糸の沸水収縮率は5〜20%の
範囲が好ましい。より好ましくは10〜15%がよい。
本発明の布帛において、経糸に異収縮混繊の糸長差を利
用した極度なフクラミ感がある場合は質感上フカツキ感
のマイナス効果に作用するので20%を越える極度な沸
水収縮率を有するものは避けた方がよく、逆に、沸水収
縮率5%未満では適度なフクラミが得られない。
【0064】本発明の目的とする質感を得る上で、経糸
に使用する太細斑糸の単繊維繊度は、1〜5デニール
(d)の範囲がよく、より好ましくは2d〜3dであ
る。単繊維繊度が1d未満で構成されるとドレープ性、
ソフト感は増加するが、ドライ感、腰・張り、反発感な
ど低下し、製品の仕立て映えに劣る傾向がある。単繊維
繊度が5dを越える範囲で構成されると織物のタッチが
粗硬になり、ソフト感に欠ける傾向がある。
【0065】次に、緯糸の構成について説明する。
【0066】第二の本発明において緯糸は、織物の染色
仕上加工工程で新しい表面効果に主として寄与するもの
である。本発明において緯糸は、沸水処理において収縮
差を発現する異収縮混繊糸を用いるが、低収縮成分が超
極細ポリエステルマルチフィラメント糸、高収縮成分が
単繊維繊度1デニール以上のポリエステルマルチフィラ
メント糸からなる異収縮混繊糸であって350T/Mの
実撚を有する糸を用いることが重要である。
【0067】低収縮成分と高収縮成分との沸水収縮率差
は、2%以上あることが好ましい。
【0068】なお高収縮成分は、単成分糸でもよいし、
複数の糸が混繊されてなる混繊糸または異収縮混繊糸か
らなる複合糸であってもよい。
【0069】緯糸に付与する実撚数は、合撚糸の工程通
過性改善や交絡糸の均一な混繊を目的とした甘撚と称す
る領域の100〜200T/Mでは、好ましいドレープ
性、ドライ感を得ることが難しくなる傾向がある。ま
た、染色加工後における超極細マルチフィラメント糸の
収束性が甘く、毛羽立ちが激しくなり、表面品位を低下
させる傾向がある。
【0070】逆に、強撚と称する領域の2000T/M
を越える領域では、ドレープ性は大きくなるがソフト感
が発揮し難く、染色加工後における超極細マルチフィラ
メントの収束力が強く毛羽立ちが極度に少なくソフト
感、ナチュラル感に欠ける質感になる傾向がある。
【0071】従って、所望する質感を得るための緯糸の
実撚数は、350T/M〜1500T/Mであることが
好ましい。より好ましくは、700〜1200T/Mで
ある。実撚を付与する方法はダブルツイスターが適して
いる。
【0072】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
以下の超極細マルチフィラメント糸は、単繊維繊度が
0.01〜0.2デニールの範囲であることが好まし
く、種類としては通常の口金から紡糸した未延伸糸ある
いは半未延伸を延伸工程で延伸して得られた延伸糸、高
速紡糸1工程による高速紡糸糸、海/島型あるいは割繊
形フィラメント糸からなるもののいずれのものも採用で
きる。
【0073】さらに本発明の織物に用いられる緯糸は、
低収縮成分である超極細ポリエステルフィラメント糸が
ループ状の微細毛羽を有していることが重要である。こ
の微細毛羽は、いわゆる起毛加工(切断)されてできる
毛羽ではなく、微細なループ状に超極細ポリエステルフ
ィラメントが表面に現れて形成されているものである。
【0074】この超極細ポリエステルマルチフィラメン
ト糸の微細毛羽発現は、従来の起毛加工と称するサンデ
ィング加工や針布加工、あるいは染色加工工程中での特
殊な擦過法などの糸を切断し毛羽立てる強制的な物理加
工方法により形成されるものでなく、通常の合繊織物の
染色加工工程を通過させることで自然発生的に形成させ
て得られるものである。
【0075】すなわち、染色加工等における織物へのモ
ミ効果が、超極細糸の一部を織物表面から引き出すよう
に作用するため、ループ状の微細毛羽が発現するものと
考えられる。本発明の織物に存在する微細毛羽は、上述
のとおり主としてループ状であるが、中には一部切断に
至り切断状態で毛羽立っていることがある。
【0076】本発明においては、このようにループ状の
微細毛羽を付与する観点から、超極細ポリエステルマル
チフィラメントの単繊維デニールが0.2d以下である
ことが好ましい。
【0077】超極細マルチフィラメント糸の単繊維デニ
ールが0.2d以上になると、実撚を有し拘束された形
態で通常の合繊織物の染色加工工程を通過させるだけで
ループ状の微細毛羽を数多く均一に発現させることは極
めて難かしくなる。
【0078】緯糸を構成する高収縮成分のマルチフィラ
メント糸は、通常のポリエチレンテレフタレートを用い
て低収縮成分とは異なる延伸条件で得られた糸から構成
されるもの、あるいはポリエチレンテレフタレートにイ
ソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分な
どを共重合させたポリエチレンテレフタレート共重合体
を高収縮糸として構成されるもの等が挙げられる。
【0079】緯糸において低収縮成分である超極細糸の
占める比率は、20〜80%が適している。比率が80
%を越えるとソフト過ぎてガーメントの仕立て映えが悪
くなり、過多の毛羽が発現し表面品位の低下にもなる。
一方、比率が20%未満になると毛羽の発現が極度に小
さくなり、所望の質感を得るのが難かしくなる。
【0080】また緯糸の糸構造は、仮撚加工を施した捲
縮加工糸、複合形態として合撚による実質的実撚効果を
有する糸、超極細マルチフィラメント糸と他のマルチフ
ィラメント糸をエアー処理によって得られる混繊交絡
糸、あるいはエアー処理を実施した後、追撚を付与した
ものなど用いることができる。
【0081】超極細糸に仮撚を施すのは、捲縮を付与
し、嵩高性を与え、さらに仮撚による熱処理効果で低収
縮化が促進され、混繊相手の高収縮糸との収縮差がより
拡大され、超極細糸を織物表面により多く浮き上がらせ
ることができるので好ましい。
【0082】超極細糸の仮撚条件は、通常ポリエステル
糸の条件を適応することができる。
【0083】超極細糸を仮撚を行なうに際して、超極細
糸の品種は、紡糸−延伸法によるもの、高速紡糸1工程
によるもの、海島型あるいは割繊型によるもののいずれ
をも問わず、仮撚機種は、通常のピン仮撚タイプ、摩擦
仮撚タイプ、エアー仮撚タイプいずれでも採用できる。
仮撚条件としてヒーター温度は、通常仮撚機の仕様の範
囲内であればよく、具体的には例えば150℃〜220
℃であればソフト感に寄与する嵩高性を与えることがで
きる。ヒーターは、2ヒーターでも構わないが、嵩高性
が優れコスト的にも安価な1ヒーターが好ましく採用さ
れる。仮撚数は、通常のウーリー加工糸の捲縮特性の得
られる糸加工性の安定した条件を採用すればよい。
【0084】交絡方法は、通常のインターレース加工と
称される方法やタスラン加工と称される方法を採用でき
るが、本発明の緯糸としては毛羽やループなど必要でな
いのでインターレース加工が好ましい。
【0085】緯糸の混繊形態は、織物の染色加工後に、
ほぼ完全な2層構造形態、すなわち高収縮マルチフィラ
メント糸が芯側になり、それを超極細マルチフィラメン
ト糸が鞘側になってカバーする構造になっていることが
好ましい。この鞘側に位置する超極細マルチフィラメン
ト糸が、染色工程中に種々受けるモミ効果によって毛羽
発現が起こり、繊維表面に微細毛羽となって露出しソフ
ト感、ナチュラル感等の質感に寄与する。
【0086】次に、本発明の織物の製造方法の一例を説
明する。
【0087】経糸として長手方向に太細斑を有するポリ
エステルマルチフィラメント糸を、一般の製織工程で使
用される撚糸機によって350T/M以上の追撚を付与
する。得られた撚糸後の糸は撚数が多い場合、工程通過
性を良くするため撚止めセットを行う。
【0088】緯糸は、単繊維繊度0.2デニール以下の
超極細マルチフィラメント糸と単繊維繊度1デニール以
上の高収縮糸を引揃え、インターレース処理によって、
軽交絡を与える。
【0089】高収縮成分と低収縮成分の沸水収縮率差が
2%以上あることが好ましい。その収縮率差は、原糸設
計による方法、インターレース処理に際して超極細マル
チフィラメント糸側を熱板等による通常の熱処理によっ
て低収縮化処理する方法、または、低収縮化処理として
仮撚加工による方法等により得ることができる。
【0090】次いで、得られた超極細マルチフィラメン
ト糸と高収縮マルチフィラメント糸から構成される複合
糸に追撚を付与するため撚糸を行なう。
【0091】得られた撚糸後の糸は撚数が多い場合、工
程通過性を良くするため撚止めセットを行う。高収縮マ
ルチフィラメントの沸水収縮率の低下を起こさない程度
の低温セット条件が適している。
【0092】得られた経糸は、通常の粗巻整経機あるい
は部分整経機により整経し、サイジングへ通し、織機に
仕掛ける。
【0093】織機は、一般に使用される普通織機、レピ
ア、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム
等の機種として特に限定されることなく採用できる。な
かでも一般にフィラメント織物用に広く使用されている
ウォータージェットルームがコスト、生産性の観点から
好ましい。
【0094】製織において選定する織物組織は、要求さ
れる織物の質感によって構成し、撚数との関係で適宜選
定される。
【0095】得られた生機は、染色加工工程に投入され
る。所望する特徴を得るため上記の如く設計された布帛
に微細毛羽の発現、ドレープ性、ソフト感、ナチュラル
感等を発揮させるのが以下述べる染色加工工程である。
【0096】本発明の織物に採用する染色加工工程は、
通常のポリエステル合成繊維織物、とりわけ「新合繊」
織物と称される織物の染色加工工程を基本に条件を設定
すればよい。
【0097】生機は、製織工程での油剤・糊剤が付着し
ており、これを除去すると同時に経糸および緯糸の異収
縮混繊糸の収縮差を十分に発揮させるため、精練・リラ
ックス処理を実施する。処理条件は、張力と温度制御し
て、モミ効果を与え、布帛にふくらみ感を発現させる条
件が好ましく、具体的には例えば温度が100℃から1
20℃の範囲で、拡布状、ロープ状の連続式、バッチ式
等の処理のいずれでも採用できる。
【0098】精練、リラックス工程の後、乾燥し、プレ
セットで幅出しセットを行なう。
【0099】次いで、アルカリ減量処理で、脱海処理
(海/島型極細糸の場合)と布帛を構成する経糸・緯糸
の交錯点の摩擦を少なくしてドレープ性を与えるための
アルカリ減量処理をする。処理条件は通常の織物の条件
から応用できる範囲でよい。
【0100】このアルカリ減量加工により、超極細マル
チフィラメント糸を使用した緯糸の脆化した一部分に微
細毛羽発現の兆候が現れる。
【0101】一般に製造されているスエード調織物など
は、この後サンディング加工あるいは針布加工などの起
毛加工を施すのが通例である。しかしながら、本発明の
薄起毛調織物は、高い毛羽密度は必要でなく、ナチュラ
ルな質感を付与する程度の毛羽感を有することに特徴が
あり、これは本発明の経糸および緯糸の素材の規定と起
毛加工を行なわない製造工程によって初めて得られるも
のである。
【0102】また、これまでの薄地織物の起毛加工、特
に平組織は製品生地の引裂強度を低下させるという問題
があった。それに対して、本発明の薄起毛調織物では、
起毛加工を施してないので、引裂強度低下の問題は生じ
ない。さらに、加工コスト面でも安価で、起毛調織物が
製造できるので工業的に有利である。
【0103】次に、通常120℃〜135℃の条件で染
色を実施する。この染色加工中の十分なモミ採用でさら
に緯糸のループ状の微細毛羽の発現が促進されソフト
感、ナチュラル感が付加される。
【0104】またこの染色工程でデニム調やダンガリ調
と言った色差効果が付与される。
【0105】これは、経糸に使用する太細斑糸と実質的
に織物表面に現われる超極細糸の緯糸との間に、かなり
の単繊維繊度差があること、加えて、ポリマー種差、配
向度差など考えられ、この要因が、染料の染着差に大き
く影響し、経糸は染色されるが、緯糸はほぼ未染色の状
態を呈する。この観点から、本発明の織物を構成する経
糸の単繊維繊度が、緯糸を構成する超極細糸の単繊維繊
度の10倍〜100倍であることが好ましい。
【0106】この効果を織物組織と組合せることによ
り、デニム調やダンガリー調の視覚効果が得られる。例
えば、デニム調の色調効果を得るためには綾組織を基調
に、タンガリー調の色調効果を得るためには平組織を基
調に考えればよい。
【0107】染色された生地は、仕上セットで所定の巾
に布をセットし、本発明の薄起毛調織物を得ることがで
きる。
【0108】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0109】なお、実施例、比較例における生地の引裂
強力はJIS(L1096)に準じて測定したものであ
り、ピリングはJIS(L1076)に準じて測定した
ものである。 [実施例1]経糸に酸化チタンを2.5重量%含有する
ポリエステルマルチフィラメント75デニール−36フ
ィラメント(沸水収縮率8%)に175T/Mの実撚を
施したものを用い、緯糸にポリエステル100%からな
る海/島型超極細糸100デニール−18フィラメント
の仮撚糸(脱海後の単繊維デニールが0.07d、沸水
収縮率3.0%)と50デニール−24フィラメントの
高収縮糸(沸水収縮率20%)を交絡させた後、175
T/M実撚を付与した糸条を使用し、平組織でウォータ
ージェットルーム(WJL)織機を使用し、密度を経糸
180本/インチ、緯糸70本/インチに設定し製織し
た。
【0110】超極細糸の仮撚条件は、スピンドル仮撚機
を使用し、仮撚数3000T/M、温度190℃、加工
オーバーフィード率+2%で実施した。また、交絡は追
撚時の仮撚糸と生糸の分離を防止する程度の軽交絡で、
仮撚−交絡の一貫加工で行なった。
【0111】次に、得られた製織生地は、連続精練で油
剤・糊剤の除去を行ない、続いて、液流染色機を使用
し、温度100℃、低張力下で必要なリラックスと揉み
作用を行なった後、有幅で乾燥、プリセットを実施し
た。
【0112】次に、海/島型糸条の脱海処理を、海成分
の溶解を容易にするため、先に酸を用い高温で前処理を
行ない、続いて、80℃でアルカリ処理を施し単繊維繊
度0.07デニールのものを得た。アルカリ処理では同
時に生地の減量加工も行ない、ドレープ性、反発感など
の風合い出しも行なった。
【0113】次に、液流染色機を用い、通常のポリエス
テル織物の染色条件で加工し、続いて仕上セットを18
0℃、しわを延ばす程度の幅出しセットで仕上げた。
【0114】得られた織物は、経糸としてフルダル糸を
用いているので特にドレープ性、反発感に富み、緯糸の
効果によってソフトでドライ感を有する薄起毛調でカジ
ュアル用途に最適なものが得られた。また、生地の引裂
強力も経1050g、緯820g、ピリング4級であっ
た。 [実施例2]経糸に丸断面と8葉異形断面を混繊したポ
リエステルマルチフィラメント延伸仮撚糸(DTY)7
5デニール−24フィラメント(酸化チタン0%、沸水
収縮率7.8%)に500T/Mの実撚を施したものを
用い、緯糸には実施例1で用いたものと同様の糸に10
00T/M追撚した糸条を配し、平組織でWJL織機を
使用し製織した。
【0115】得られた製織生地を実施例1と同様にリラ
ックス、熱処理、アルカリ処理による脱海処理及び減量
加工を行なった後、染色を施し仕上げた。また染色はダ
ンガリー調の効果を発揮する染法を採用した。
【0116】得られた織物は、ドレープ性、反発感に富
み、ソフトで清涼感があり、ダンガリー調の視覚感を兼
備したカジュアル用途に最適なものになった。また、生
地の引裂強力、ピリングも合格レベルであった。 [実施例3]経糸に酸化チタンを2.5重量%含有する
ポリエステルマルチフィラメント75デニール−36フ
ィラメント(沸水収縮率8%)と30デニール−6フィ
ラメントの高収縮糸(沸水収縮率20%)を実撚数10
00T/Mで合撚した糸を配し、緯糸に実施例1と同様
の糸条を使用し、実施例1と同様に製織、染色加工を施
し仕上げた。
【0117】得られた織物はドレープ性、反発感に富
み、ソフトでドライ感がありカジュアル用途に最適なも
のになった。また、生地の引裂強力、ピリングも合格レ
ベルであった。 [比較例1]経糸および緯糸に実施例1と同じ糸条を用
い、平組織でWJL織機を使用し製織した。
【0118】得られた製織生地を染色加工工程を実施例
1と同様に減量加工まで通過させた後、起毛加工(サン
ディング加工)を施し、染色して仕上げた。
【0119】得られた織物は、実施例1と比較すると毛
羽密度の高いスエード調の感覚を有したものになった
が、緯糸の生地の引裂強力が350gと極度に低く、実
用上問題となるものであった。 [比較例2]経糸に実施例2で用いた経糸を用い、緯糸
としてポリエステルフィラメント100%で芯糸に30
デニール−12フィラメントの高収縮糸(沸水収縮率2
0%)、鞘糸に60デニール−144フィラメントの単
繊維繊度0.42dの極細糸(沸水収縮率8.0%)の
乱流加工糸(芯糸のオーバーフィード率6%、鞘糸のオ
ーバーフィード率14%で乱流加工して得られたもの)
に1000T/Mの実撚を施した糸条を用い、実施例1
と同様の製織、染加工を施て仕上げた。
【0120】得られた織物は、織物表面に微細毛羽がほ
とんど見られずダンガリー調感覚のないものであった。
また、毛羽を得るためサンディング起毛加工を施した製
品は毛羽感が得られたが、生地の引裂強力が極度に低下
したものになった。 [実施例4〜8、比較例3]経糸に長手方向に太細斑
(U%=2〜3%)のあるポリエステルマルチフィラメ
ント150デニール−48フィラメント(沸水収縮率1
3%)に1000T/Mの実撚を施したものを用い、緯
糸にポリエステル100%からなる海/島型超極細糸1
00デニール−18フィラメントの仮撚糸(脱海後の単
繊維デニールが0.07d、沸水収縮率3.0%)と5
0デニール−24フィラメントの高収縮糸(沸水収縮率
20%)を交絡させた後、表1に示す追撚数で追撚した
糸条を使用し、平組織でウォータージェットルーム(W
JL)織機を使用し製織した。
【0121】超極細糸の仮撚条件は、通常のポリエステ
ル糸なみでスピンドル仮撚機を使用し実施した。また、
交絡は追撚時の仮撚糸と生糸の分離を防止する程度の軽
交絡で、仮撚−交絡の一貫工程で行なった。
【0122】次に、得られた製織生地をリラックス、熱
処理、アルカリ処理による脱海処理および減量加工を行
った後、染色し仕上げた。
【0123】得られた織物の評価結果も表1に併記し
た。
【0124】
【表1】 得られた織物のうち緯糸の追撚数が700T/M(実施
例5)、1000T/M(実施例6)のものは、特にレ
ーヨンやポリノジックのセルロース系織物に匹敵するソ
フトでドライ感があり、ドレープ性の優れた質感に、上
質なダンガリー調感覚を併わせもったカジュアル用途に
最適な織物になった。
【0125】一方、緯糸の追撚数が100T/Mのもの
(比較例3)は、ドレープ性、ドライ感に劣るものであ
った。 [実施例9]経糸に糸長手方向に太細斑(U%=8〜9
%)のある半延伸ポリエステルマルチフィラメント15
0デニール−48フィラメント(沸水収縮率60〜70
%)を弛緩熱処理または緊張熱処理を施し、沸水収縮率
を10〜15%にした糸に追撚1000T/Mを施した
ものを用い、緯糸には実施例6で用いた緯糸を用い、実
施例4と同様に製織、染加工を施し仕上げた。
【0126】得られた織物は、ソフトでドライ感があ
り、ドレープ性の優れた質感に、上質なダンガリー調感
覚を併わせもったカジュアル用途に最適な織物になっ
た。 [実施例10]経糸および緯糸とも実施例6で用いたも
のを配し、1/3ツイル組織で製織した。
【0127】得られた生地を実施例4と同様の染加工を
施し仕上げた。
【0128】得られた織物は、レーヨンやポリノジック
のセルロース系織物に匹敵するソフトでドライ感があ
り、ドレープ性の優れた質感に、上質なデニム調感覚を
併わせもったカジュアル用途に最適な織物であった。 [実施例11]経糸として実施例9で用いた半延伸ポリ
エステルマルチフィラメントをピン仮撚タイプの仮撚機
で仮撚加工し(スピンドル回転数:250000r.p.m.、仮撚
数:2350T/M 、温度:210 ℃、加工フィード率:-7.5
%)、次いで1000T/M追撚を施したものを用い、
緯糸として実施例6で用いた緯糸を用い、実施例4と同
様に製織、染加工し仕上げた。
【0129】得られた織物は、実施例4で得られた織物
よりもややフカツキ感があるが、ソフトでドライ感があ
り、上質なタンガリー調感覚を有する織物であった。 [実施例12]経糸として実施例4で用いた経糸を用
い、緯糸としてポリエステルフィラメント100%の海
/島型超極細糸75デニール−36フィラメントの仮撚
加工糸(脱海後の単繊維繊度0.2デニール、沸水収縮
率3.5%)と30デニール−12フィラメントの高収
縮糸(沸水収縮率20%)を軽交絡させた後、1000
T/Mの実撚を施した糸条を用いて、実施例4と同様の
製織、染加工を施し仕上げた。
【0130】得られた織物は、レーヨンやポリノジック
のセルロース系織物に匹敵するソフトでドライ感があ
り、ドレープ性の優れた質感に、上質なダンガリー調感
覚を併わせもったカジュアル用途に最適な織物になっ
た。 [比較例4]経糸として実施例4で用いた太細斑(U%
=2〜3%)のあるポリエステルマルチフィラメント1
50デニール−48フィラメントに300T/Mの実撚
を施したものを用い、緯糸として実施例6で用いた緯糸
(追撚数1000T/M)を用い、実施例4と同様の製
織、染化工を施し仕上げた。
【0131】得られた織物は、ドライ感、ドレープ性に
欠け、表面品位のきたない織物になった。 [比較例5]経糸に太細斑を有しないレギュラー・ポリ
エステルマルチフィラメント糸150デニール−48フ
ィラメント(沸水収縮率12%)に1000T/Mの実
撚を施したものを用い、緯糸として実施例6で用いた緯
糸(追撚数1000T/M)を用い、実施例4と同様の
製織、染化工を施し仕上げた。
【0132】得られた織物は、ナチュラルな斑感がな
く、芯があってやや硬く、ふくらみ感、ソフト感に欠け
る織物であった。 [比較例6]経糸に75デニール−36フィラメントの
1工程紡糸による太細斑を有しない異収縮混繊糸(高収
縮成分が37.5デニール−18フィラメント、沸水収
縮率20%、低収縮成分が37.5デニール−18フィ
ラメント、沸水収縮率6%)に追撚1500T/Mの実
撚を施したものを用い、緯糸に実施例4で用いた緯糸を
用い、実施例4と同様の製織、染加工を施し仕上げた。
【0133】得られた織物は実施例4に比べ、フカツキ
があり、ドレープ性過多の織物であった。 [比較例7]経糸に実施例4で用いた経糸を用い、緯糸
としてポリエステルフィラメント100%で芯糸に30
デニール−12フィラメントの高収縮糸(沸水収縮率2
0%)、鞘糸に60デニール−144フィラメントの単
繊維繊度0.42デニールの極細糸(沸水収縮率8.0
%)の乱流加工(タスラン加工)糸に1000T/Mの
実撚を施した糸条を用い、実施例4と同様の製織、染加
工を施し仕上げた。
【0134】得られた織物は、織物表面に微細毛羽がほ
とんど見られずタンガリー調感覚のないものであった。
【0135】
【発明の効果】本発明は、合成繊維フィラメントの薄地
織物でありながら繊維表面にループ状の微細毛羽を有
し、かつ、生地の引裂強力を満足させるとともに、ドレ
ープ性に富み、ソフトでドライ感のある質感とデニムや
ダンガリー調のナチュラルな視覚効果を有する薄起毛調
織物を提供できる。
【0136】さらに、経糸として太細斑を有するポリエ
ステル糸を用いた場合には、セルロース系スパン織物の
質感と視覚効果をも兼備する起毛調織物を得ることがで
きる。
【0137】また、本発明の織物は、機械的な起毛加工
を施さないので染色加工の省力化、コストダウン等にも
有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北田 充秋 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮ポ
    リエステルマルチフィラメント糸と単繊維繊度1デニー
    ル以上の高収縮ポリエステルマルチフィラメント糸から
    構成される異収縮混繊糸で50T/M以上の実撚を有す
    る糸を緯糸に配してなる織物であって、前記緯糸を構成
    する単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮マルチフィ
    ラメント糸が織物表面に主としてループ状の微細毛羽を
    有していることを特徴とする薄起毛調織物。
  2. 【請求項2】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
    以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸が海/
    島型ポリエステルフィラメント糸から形成されるもので
    あることを特徴とする請求項1記載の薄起毛調織物。
  3. 【請求項3】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
    以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸が捲縮
    を有していることを特徴とする請求項1または2記載の
    薄起毛調織物。
  4. 【請求項4】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
    以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸と単繊
    維繊度1デニール以上の高収縮ポリエステルマルチフィ
    ラメント糸との沸水収縮率差が2%以上であることを特
    徴とする請求項1、2または3記載の薄起毛調織物。
  5. 【請求項5】単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮ポ
    リエステルマルチフィラメント糸が鞘部に配置され、単
    繊維繊度1デニール以上の高収縮ポリエステルマルチフ
    ィラメント糸が芯部に配置されてなる緯糸であることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の薄起毛調織
    物。
  6. 【請求項6】経糸が糸長手方向に太細斑を有するポリエ
    ステルマルチフィラメント糸であって350T/M以上
    の実撚を有する糸、緯糸が単繊維繊度0.2デニール以
    下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸と単繊維
    繊度1デニール以上の高収縮ポリエステルマルチフィラ
    メント糸から構成される異収縮混繊糸であって350T
    /M以上の実撚を有する糸からなる織物であって、前記
    緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮
    ポリエステルマルチフィラメント糸が織物表面に主とし
    てループ状の微細毛羽を有していることを特徴とする薄
    起毛調織物。
  7. 【請求項7】糸長手方向に太細斑を有するポリエステル
    マルチフィラメント糸がU%1.0%以上15.0%以
    下のポリエステルマルチフィラメント糸であることを特
    徴とする請求項6記載の薄起毛調織物。
  8. 【請求項8】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
    以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸が捲縮
    を有していることを特徴とする請求項6または7記載の
    薄起毛調織物。
  9. 【請求項9】緯糸を構成する単繊維繊度0.2デニール
    以下の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸と単繊
    維繊度1デニール以上の高収縮ポリエステルマルチフィ
    ラメント糸との沸水収縮率差が2%以上であることを特
    徴とする請求項6,7または8記載の薄起毛調織物。
  10. 【請求項10】緯糸が、単繊維繊度0.2デニール以下
    の低収縮ポリエステルマルチフィラメント糸が鞘側に配
    置され、単繊維繊度1デニール以上の高収縮ポリエステ
    ルマルチフィラメント糸が芯側に配置されてなる2層構
    造の糸形態を有することを特徴とする請求項6,7,8
    または9記載の薄起毛調織物。
  11. 【請求項11】経糸の単繊維繊度が、緯糸を構成する低
    収縮ポリエステルマルチフィラメント糸の単繊維繊度の
    10倍以上100倍以下であることを特徴とする請求項
    6,7,8,9または10記載の薄起毛調織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001063035A1 (fr) * 2000-02-25 2001-08-30 Toray Industries, Inc. Tissu de confection de type denim et procede de fabrication correspondant
CN102051756A (zh) * 2009-11-09 2011-05-11 富士纺控股公司 保温性优异的针织物和使用该针织物而成的贴身衣服

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