JPS6130007B2 - - Google Patents

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JPS6130007B2
JPS6130007B2 JP7858078A JP7858078A JPS6130007B2 JP S6130007 B2 JPS6130007 B2 JP S6130007B2 JP 7858078 A JP7858078 A JP 7858078A JP 7858078 A JP7858078 A JP 7858078A JP S6130007 B2 JPS6130007 B2 JP S6130007B2
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JP
Japan
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less
steel
temperature
stress corrosion
cracking
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Application number
JP7858078A
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English (en)
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Inventor
Takashi Okazaki
Sakae Noguchi
Tadashi Nakayama
Tadashi Nishi
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Toshiba Corp
Hitachi Ltd
Nippon Steel Corp
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Toshiba Corp
Hitachi Ltd
Nippon Steel Corp
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Publication date
Application filed by Babcock Hitachi KK, Toshiba Corp, Hitachi Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Babcock Hitachi KK
Priority to JP7858078A priority Critical patent/JPS558404A/ja
Publication of JPS558404A publication Critical patent/JPS558404A/ja
Publication of JPS6130007B2 publication Critical patent/JPS6130007B2/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は高温高圧水環境例えば軽水炉、特に沸
騰水型軽水炉における再循環用配管等に使用され
るオーステナイトステンレス鋼の製造法に関する
ものである。 高温高圧水環境(例えば300℃、98atm)にお
いて使用されるオーステナイトステンレス鋼は、
従来より耐応力腐食割れ性の良好なものが要求さ
れている。 応力腐食割れは一般に粒界割れ型と粒内割れ型
の2種に大別される。本発明鋼の主な用途である
軽水炉再循環系配管に係わる応力腐食割れ事故
は、報告されている限りでは総べて粒界割れ型で
あり、この意味で特に耐粒界応力腐食割れ性の優
れたステンレス鋼材料の開発が要求されている。 このような用途に使用される鋼の一例として特
公昭47−31206号公報記載の発明が知られてい
る。この発明は鋼中に含まれるP,N,Mo,As
等の挙動が応力腐食割れ感受性に影響があること
に着目し、このうち特にNについて、Ti,Nbま
たはZrの一種または二種以上を微量添加すること
により鋼中の固溶Nを固定して固溶Nによる応力
腐食割れ感受性に及ぼす悪影響を除去し、P量が
0.02%まで高くても耐応力腐食割れ感受性の極め
てすぐれたステンレス鋼を得ようとするものであ
る。 また本出願人も、この耐応力腐食割れ感受性の
改善について着目し、すべに特願昭51−112497
号、同52−142608号等の発明をし特許出願を行つ
ている。この特許出願で本発明者が明らかにした
ことはオーステナイトステンレス鋼の溶接熱影響
部のような鋭敏化による粒界応力腐食割れを支配
している材料因子は、Cの粒界炭化物析出に伴う
クロム欠之層の生成と、Pなどの鋼中不純物元素
の粒界偏析の二要因であることと、その対策とし
てCを0.02%下に低減するとともにNbのような
炭化物生成元素添加により安定化すればよいこ
と、またPなどの不純物に対してはCeまたはY
等の稀土類元素を添加することによりその悪影響
を抑制すればよいということである。 ところが前記のような高温高圧水環境において
使用されるステンレス鋼は耐応力腐食割れ性の他
に高温における所望の強度、溶接性等も必要不可
欠な条件であることは論をまたない。この強度の
点については300℃における強度が42Kg/mm2以上
であることが要求されている。 特に、溶接性の観点からNbを含有する安定化
オーステナイトステンレス鋼は、従来より溶接施
工時に高温割れが起り易いことが問題とされ、そ
の解決を強く望まれている。すなわち、一般に、
オーステナイトステンレス鋼は溶接部の組織をオ
ーステナイト単相にすると溶接高温割れを生じや
すいのでこれを防止するために溶接部に5〜10%
のフエライトを有するように各成分元素が調整さ
れている。しかるに、Nbを含有するステンレス
鋼はNbを含有しない他のステンレス鋼に比べこ
の割れ防止のために必要なフエライト量が多く
(10%以上)、かつそれでも熱影響部(HAZ)に
おける高温割れすなわち粒界液化割れの防止は満
足とはいえず、しばしば実際の溶接施工において
割れが発生する。 Nb含有オーステナイトステンレス鋼のこのよ
うな高い溶接高温割れ性はNbに起因した低融点
化合物の生成による凝固割れとニオブ炭化物NbC
とγ鉄との共晶反応による粒界液化割れに大別さ
れるが、いずれもこの種の安定化鋼の本質に連な
る問題である。すなわち、フエライト量を多くし
て凝固割れを防止する方法は行き過ぎると(10%
以上)、σ相生成の促進から溶接部の脆化をひき
起すし、また、母材HAZおよび多層盛溶接にお
ける後続ビードのHAZにおける粒界液化による
ミクロ割れは、単にフエライト量を増加しても割
れ停止に結びつかない。そこで、C,Nb,Si,
P,Sをきびしく規制し、かつ鋳造後のフエライ
ト量が2〜8%となるような組成とすることによ
つて、NbCその他不純物によHAZ粒界の液化割
れやNbないし不純物による低融点物質による凝
固割れの起らない耐溶接高温割れ性に非常に優れ
たステンレス鋼を得ようとするものである。 すなわち本発明はこのような実情に基いて発明
されたもので、耐粒界応力腐食割れ性の向上を図
ると共に溶接性および高温における所望の強度を
得ることができるようにしたもので、C0.02%以
下,Si1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr17〜20%,
Ni7〜11%,P0.015%以下,S0.005%以下,
N0.025〜0.10%でかつC+N≧0.045%を満し
Nb0.20〜0.32%,残部Feよりなり、かつ鋳造後
のフエライト量が2〜8%となるように、1.32
(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−14.4≦
%Ni+30×(%C+%N)+0.5×%Mn≦1.39(%
Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−13.0を満足
させ、さらに必要に応じてREMを0.02〜0.06%あ
るいはCaを0.002〜0.02%またはその双方を含
み、さらに鋼中に含まれるCo,Moをそれぞれ
0.10%以下に抑制した鋼をスラブ加熱温度1160〜
1280℃、圧延仕上温度750〜950℃、析出熱処理温
度980〜1050℃のプロセス条件で圧延、熱処理を
行うことにより強度と優れた耐粒界応力腐食割れ
性を附与せしめることを特徴とするものである。 本発明鋼が前述の特公昭47−31206号公報記載
の鋼と特徴的に異なる点は以下の3点である。 第1点は、特公昭47−31206号公報記載の発明
ではCの好ましい成分範囲を0.02〜0.10%と規定
し、Cを有効元素とみなしているのに対し、本発
明鋼ではCを有害元素としてその含有量を0.02%
下に限定している点である。通常粒界応力腐食割
れ感受性を良好ならしめる観点からのCに関連し
た対策としてはCを無害な範囲に低減するか、
Nb等の強力な炭化物形成元素によつてCを固定
する方法がある。前者の場合Cを0.008%以下に
低減する必要があり、現在の精錬技術によれば可
能ではあるが、鋼の製造コストを著しく高めるの
で、通常後者の対策が採用される。このような公
知の鋼としてSUS347鋼がある。ところが、この
鋼は次の点において尚不充分である。 SUS347銅は多量のCとNbを含むので鋼中に巨
大なNbの炭化物が存在し、これが溶接熱影響に
よつて溶解し、その近傍にCの高濃度領域を形成
し、冷却時にその近傍の粒界にCr炭化物を形成
して粒界を鋭敏化させ、ナイフラインアタツク現
象として知られている如く粒界応力腐食割れ感受
性を高める。かかる観点からNbなどの炭化物形
成元素によつてCを固定する場合においても、C
を或る限界以下に限定する必要がある。本発明者
らの研究によつて明らかとなつたCの許容限界量
は0.02%である。 第2点は、特公昭47−31206号公報記載の方法
においてはNを極めて有害な元素として、これを
Nb,Zr,Ti等によつて完全に固定することが必
須要件の一つになつていると理解されるのに対
し、本発明鋼は固溶Nの存在を許容する観点から
合金設計されている。後述の実施例において示す
本発明鋼1は0.062%のNと0.26%のNbを含有す
るが0.062%のNをNbNの形で完全に固定するた
めには少なくとも0.41%のNbが必要であるか
ら、Nbに固定されないNが存在することは明ら
かである。 固溶のNは従来より粒内応力腐食割れ感受性を
高める有害元素として良く知られているが、粒界
応力腐食割れに関しては本発明者らが用いた応力
腐食割れ感受性評価試験(SSRT試験:SIow
Strain Rste Test)によれば、本発明鋼におい
てはNは総量として0.10%まで許容できることが
明らかになつた。またNの粒内応力腐食割れに及
ぼす効果も最低限に抑制されることが明らかにさ
れた。 この理由の詳細は必ずしも明確でないが次のよ
うな理由によると推定している。 1 NはCに比較すると固溶限界が高く粒界鋭敏
化作用が弱いので、粒界応力腐食割れ感受性の
観点からの許容限界が高い。 2 Nの有害効果は、Nが積層欠陥エネルギーを
減じるために交叉辷りが困難となり、応力下で
発生する辷り帯が粗くなり、応力腐食環境下で
継続的に新成面を発生し、腐食と応力集中を助
長することによつて粒内応力腐食割れ感受性を
高める点にあることが知られている。然るに本
発明鋼においては、微細なNbの炭窒化物が均
一に分散析出しており、これが転位の運動の障
壁となるので交叉辷りを助長し、粗い辷り帯の
形成が抑制されている。即ちNの粒内応力腐食
割れに及ぼす有害効果が微細析出物の存在によ
つて相殺されていると考えられる。 第3点は、特公昭47−31206号公報記載の発明
は溶接などの熱サイクルを受けた場合でもデルタ
フエライトの析出のないことが合金設計の基本思
想の一つになつていると理解される。このこと
は、実施例に示された全発明鋼を第1図に示すド
ウ・ロング組織図で判定するといずれも完全オー
ステナイト域にあることから裏付けられる。一
方、本発明鋼は、溶接性の観点、特に溶接割れ性
の点からC,Nb,Si,PおよびSをそれぞれ
0.02,0.32,1.0,0.015および0.005%以下にきび
しく規制し、かつドウ・ロング組織図において2
〜8%のフエライトを含有することを必須の要件
としており、これらの点でも特公昭47−31206号
公報記載の公知鋼と異なる。 以上詳述した如く、前記公知鋼と本発明鋼が本
質的に異なる鋼であることは明白である。 以下に本発明の化学成分範囲を限定した理由を
説明する。 Cr:Crは耐食性を維持するために必要不可欠
な合金元素であり、15%未満では十分な耐食性を
得られず、また前述のCr欠乏層の生成をNbでC
を安定化することによつて抑制しているので最大
で22%程度添加すれば十分であるが、後述するよ
うに鋳造後の鋼中のフエライト量を2〜8%とす
るためにNiとの関係から17〜20%とした。 Ni:NiはCrとともに耐食性の維持に必要不可
欠な合金元素であるが、後述するような鋳造後の
鋼中のフエライト量を2〜8%とするために前記
Crとの関係から7〜11%とした。 C:Cは粒界応力腐食割れ性に対して最も有害
な元素であり、低い方が望ましいがNbによる安
定化により0.02%まで許容される。しかし0.02%
を超えるとNbによる安定化効果が十分発揮され
ず粒界応力腐食割れを生ずるおそれがあるので
C0.02%を上限とした。また、溶接割れ性の点か
ら安定化元素であるNbと共存する場合、Nb炭化
物となるが、溶接熱サイクル時地のγ鉄と反応し
て比較的低温(〜1300℃)の共晶液を粒界に生
じ、粒界液化によるミクロ割れの原因となる。し
たがつて、Cはできるだけ低く規制することが重
要である。 Si:Siは製鋼上必要な脱酸剤として使用され
る。また耐粒内応力腐食割れ性の向上には著しい
効果がある。しかし、溶接性の面からは、溶接凝
固時粒界に低融点のシリケート膜を形成し、収縮
歪などによりこの部分から割れを発生しやすく割
れ性を高める。くわえて、多量のSiが固溶した
Nbと共存すると、粒界にFe―Nb―Siの化合物を
作り割れ感受性増加を大きく促進する。したがつ
て、Si量の上限を1.0%とした。 Mn:Mnは脱酸剤として必要である。通常オー
ステナイトステンレス鋼に含有される2%以下の
Mnは耐応力腐食割れ性に殆んど影響しないので
2%を上限とした。 Ni:Nは300℃の強度を保証するために必須の
元素であり、その上限は耐粒界応力腐食割れに悪
影響を及ぼさない範囲として上限値は0.10%とし
た。この添加量はNbを0.20〜0.32%添加しても完
全に窒化物として固定されなく、かなりのN量が
鋼中に固溶されうるがこれも強度上昇に寄与して
いる。また下限値は(C+N)量で300℃の強度
を確保するに必要最低量は0.045%であり(第2
図参照)、従つてN量の下限値は0.025%とした。
なお、溶接割れ性の点から、多量のNがNbと共
存すると窒化物NbNの生成が激しくなり、これが
NbCと同じような機構でミクロ割れ発生の原因に
なるので上記のような規制を加えた。 Pについては、すでに応力腐食割れ感受性に悪
影響があることを述べたが、溶接性の点からもS
と共にきびしく規制すことが必要な元素である。
特に、これらは溶接凝固時粒界に偏析し、低融点
化合物を作り易く、溶接金属および母材HAZ部
の割れ性を高めたり、靭性の低下を促進する。し
たがつて可及的に少ない方が良い。現在の製鋼技
術を考慮してPおよびSの上限値をそれぞれ
0.015%および0.005%とした。 Nb:Nbは前記のように炭化物、窒化物安定化
による粒界応力腐食割れ防止のために添加するも
ので、従来は鋼中に含まれるC量の10倍以上を添
加することが必要であるとされていたが、その量
によつては溶接熱影響部の脆化を生ずることがあ
る。ところがNbの添加によりNbNが粒内に生成
されるとこれを核としてNbCNとCr23C6が粒内に
均一に分散し、粒界にCr23C6が析出するのを防止
する結果、粒界および粒内腐食割れ性がよくな
る。一方、溶接性の観点からは、すでに述べたよ
うに、溶接高温割れ感受性を高める作用をするた
め、応力腐食割れ性・強度などを考慮して必要最
小限にとどめる必要がある。第3図はNbを順次
増加して、その時の溶接高温割れ性、特にHAZ
の粒界液化割れ性を示したものである。割れ試験
はバリストレイント試験(実施例に詳細に述べ
る)で、試片サイズは5.0×40×350mmを使用し
た。Nb以外の各成分の目標(wt%)はC:0.018
%,N:0.06%,Si:0.35%,Mn:1.0%,Ni:
9.5%,Cr:18.5%,P:0.012%,S:0.003%で
ある。なお試験材は小型10Kg大気溶接解材であつ
て、板厚5.0mmまで鍛造・圧延して試片加工した
ものである。割れ試験片の溶接金属部はフエライ
ト量が5%付近の値を示しており、割れはほとん
ど発生していないので、HAZ部の割れについて
のみ観察した。図に示されるようにNbが0.35%
までは全くHAZ割れも無いが、それを越えると
割れが発生し、0.6%以上のものには溶接金属割
れも一部発生している。 上記のように耐応力腐食割れ性と耐溶接割れ性
を勘案し、両特性を同時に満足することが必要で
あり、そのためにはC量を低くして、Nbは0.20
〜0.32%が適当である。 更にCe等のREMは脱硫および脱酸作用を有す
る。その結果、鋼中のS,O等の不純物元素が減
少しP,S,Oなどの粒界偏析を抑制し、耐応力
腐食割れ性を向上させる。而してその効果を期待
するためには0.02%以上の含有が必要である。但
し過剰に含有させると鋼中に介在物として残存
し、耐食性を害するので0.06%以下であることが
必要であり0.05%程度が最適である。 Ca:CaはREMと同様脱硫および脱酸作用を有
するので応力腐食割れ性に効果がある。この範囲
は0.002〜0.02%である。 Mo,Co:Mo,Coは応力腐食割れ性、特に粒
内応力腐食割れ性に悪影響を及ぼすので鋼中に含
有する量を出来るだけ抑制する必要がある。従つ
てこの悪影響を抑制するためには0.10%下である
ことが必要である。 本発明における大きな特徴の一つであるフエラ
イト量について説明する。本発明鋼において鋼中
にフエライト相を存在させる理由は熱間加工性に
影響を及ぼさず、しかも溶接性を改善させること
にある。すなわち溶接部にフエライト相を存在さ
せることにより溶接性が向上するのである。但し
フエライト量が多過ぎると前記のように熱間加工
性に悪影響を及ぼすので鋳造後のフエライト量は
2〜8%であることが必要である。なお上記鋳造
後のフエライト量はCrおよびNiの含有量によつ
て定まるが、この量はドウロング(Delong)の
ダイヤグラムによつて定めることができる。第1
図に鋳造後のフエライト量を2〜8%とするべき
各成分の限定範囲を示した。 次に本発明において製造条件の限定理由につい
て述べる。 スラブ加熱温度;1160〜1280℃と定めたが、最
低値を1160℃としたのは、鋼中のNb,Cr炭窒化
物を充分鋼中に固溶させて圧延し、以後の熱処理
において強度上昇に有効なNb,Crの炭窒化物の
微細析出を行なわせるために最低必要な温度であ
る。最高加熱温度を1280℃としたのは、それ以上
の加熱温度ではこの成分系ではδ―フエライトが
多量に再析出し、熱間加工性が劣化するからであ
る。 圧延仕上温度;750〜950℃と定めたが、最低温
度を750℃としたのは、それ以下では所望の強度
(300℃の引張強さ42Kg/cm2)を確保することが難
しくなり、かつ圧延形状を良好に保つことが困難
なためである。即ち圧延仕上温度が750℃以下に
なると、圧延材の中の残留エネルギーが大きくな
り再結晶が析出よりも優先し、強度上昇に有効な
結晶内微細析出が少なくなるからである。上限を
950℃としたのは、それ以上の高温仕上げでは圧
延終了直後に材料の保有する熱エネルギーにより
再結晶が進行し、粒の粗大化とともにNb,Crの
炭窒化物が粒界に優先析出するため強度上昇が極
めて困難になるためである。 析出熱処理温度;980〜1050℃と定めたが、980
〜1050℃においてはNb,Crの炭窒化物の析出に
よる析出硬化が最も有効に作用する領域であり、
下限を980℃としたのは、それ以下ではこの材料
の再結晶温度との関連で充分な整粒再結晶組織が
得られず、混粒組織となるためである。上限を
1050℃にしたのは、それ以上の温度では固溶化、
粗粒化が進み充分な強度が得られないからであ
る。 次に本発明を実施例によつて説明する。 表1に本発明鋼1〜3、比較鋼1〜7の成分、
SSRT法による応力腐食割れ試験結果及び300℃
における機械的性質を示す。SSRT試験は鋼板を
600℃で24時間鋭敏化処理したのち36ppmの酸素
を含む300℃の純水中で行つた。本試験法は、特
に粒界応力腐食割れを敏感に示すものとして知ら
れているが、本発明鋼はいづれも応力腐食割れが
発生していない。また300℃における引張強さも
43.6〜44.9Kg/mm2であり、要求される強度レベル
(300℃で42Kg/mm2以上)を充分に満たす。 これに対し比較鋼1はCおよびPが高いため、
強度は満足するが応力腐食割れが生ずる。比較鋼
2はPが高く応力腐食割れが発生しており、また
Nが低いため強度が不足する。比較鋼3はPは充
分に低いがCが高く、Nbを含まないので応力腐
食割れを生ずる。比較鋼4〜7はNが適正レベル
にあり、またCも高いので強度レベルを満足する
上、Nb含有量もCに対して充分に含まれるの
で、応力腐食割れも生じない。しかし後述する如
く、Nbが高いので溶接性が低下する。 次に溶接性すなわち溶接高温割れ性について実
施例について述べる。割れ性の評価にはバリスト
レイント試験(Varestraint Test、溶接中強制曲
げ歪割れ試験)を用いた。第4図は試験板および
試験方法の概念図を示すものであつて、a図は試
験前の試験板形状、b図は試験機にとりつけて試
験溶接中の概念図、c図は試験後の試験板形状を
示す。図中、1は試験板、2は試験溶接予定位
置、3はTIG溶接トーチ、4は曲率Rを有する曲
げブロツク、5は溶接割れを示す。バリストレイ
ント試験に用いた曲げブロツクの曲率半径Rは
100mmであり、5mm厚試験板の表面付加歪量は2.5
%となる。溶接はワイヤなしのTIGビード置き溶
接で70A―15A―7.5cm/mm、Arシールド15/
mmを採用した。試験後、双眼式実体顕微鏡により
試験片表面の溶接割れ発生状況を調べ合計割れ長
さを算出し、表1に示した。さらに、割れ性の評
価として板厚40mmの突合せ継手TIG溶接を行な
い、この溶接継手部について、JIS―Z―3142に
準じた側曲げ試験を行ない溶接部特に母材HAZ
の観察を行ないその結果を表1に併記した。溶接
条件は250A―15A―10cpmでArシールド15/
mmとし、フイラーワイヤは本発明鋼2と同一成分
のものを用いた。 表1の本発明鋼1,2,3は、バリストレイン
ト試験および40mm厚継手部の側曲げ試験いずれで
も割れの発生は全く認められずきわめてすぐれた
溶接性を示すが、比較鋼1〜7にあつて本発明鋼
と同じすぐれた溶接性を示すのは低P、低Sでか
つNb添加なしの比較鋼3のみである。比較鋼2
はP量が、比較鋼7はS量がそれぞれ規制値を外
れており、比較鋼5はSiおよびNb量が共に本発
明範囲外にあることからバリストレイント試験で
割れがやや発生している。比較鋼1はNbとP量
が、比較鋼4はCとNb量がそれぞれ本発明範囲
外にあるが、バリストレイント試験のみでなく、
側曲げ試験でも微小割れが観察されている。比較
鋼6は各成分個々には本発明範囲にあるが、各成
分間の規制式 1.32(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−
14.4≦%Ni+30(%C+%N)+0.5×%Mn≦1.39
(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−13.0 を満足していないためにバリストレイント試験で
も側曲げ試験でもかなり高い割れ性を示してい
る。 次に本発明の製造条件の実施例を比較例と共に
表2に示す。 なお表2における対象鋼組成は表1の本発明鋼
1に相当するものである。 製造条件の限定理由について示したようにスラ
ブ加熱温度が1240℃から1080℃の低温になると、
例えば表2の条件DとMで比較すれば、300℃の
高温強度が低くなり所望の42.0Kg/mm2を保証する
ことは難しくなる。この理由は前述した通りでそ
の証明としてスラブ加熱温度の影響を第5図の組
織写真a,b,cに示す。1100℃×2hr加熱では
第5図aの如くNb,Crの炭窒化物は鋼中に固溶
されず残存し、1200℃になるとほとんど固溶して
くる。また1200℃×2hrの加熱により、第5図b
の如く2〜8%のσ―フエライトは均熱時の拡散
により消滅し以後の熱間圧延を容易にする温度で
ある。しかし加熱温度が1300℃になると第5図c
の如く、またδ―フエライトが再析出するため熱
間圧延に悪影響がでるので好ましくない。 仕上温度の影響は表2の条件C,E,I,Kで
比較できるが、仕上温度が高すぎてもまた低くす
ぎても強度保証が難かしくなる。また700℃の低
温では圧延形状も悪くなり好ましくない。 次に析出熱処理の影響は表2の条件B,C,J
及びH,Lで比較すれば判るように析出処理温度
が高くなると強度が低下してくる。これは析出物
の量が減少することと併せて結晶粒の粗大化が進
行するからである。
【表】
【表】
【表】 以上説明したように本発明に従つて製造された
鋼は高温高圧水環境、就中軽水炉における再循環
用配管等高温高圧水等の過酷な環境において耐応
力腐割れ感受性、高温強度等に著しく優れてお
り、また実用上不可欠な溶接性、特に耐高温溶接
割れ性に優れているので、斯種の用途に極めて有
用なステンレス鋼である。 また本発明による鋼は高温疲労特性および高温
クリープ特性にも優れているので延性を必要とす
る高温構造材としても使用することができるので
産業界に稗益するところが極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1図はドワ・ロングのダイヤグラム、第2図
は本発明鋼の300℃における耐力と引張強さに及
ぼす(C+N)量の効果を示す図、第3図はNb
量をバリストレイント試験HAZの割れ長さ
(mm)との関係を示す図、第4図はバリストレイ
ント試験の試験板および試験方法の概念図、第5
図a〜cはスラブ加熱温度の影響を示す金属組織
の顕微鏡写真図である。 第4図において:1:試験板、2:試験溶接予
定位置、3:TIG溶接トーチ、4:曲げブロツ
ク、5:溶接割れ。 第5図a……1100℃×2hr加熱(×500)、第5
図b……1200℃×2hr加熱(×100)、第5図c…
…1300℃×2hr加熱(×100)、(黒い部分がδ―フ
エライトで再析出して来る)。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C0.02%以下,Si1.0%以下,Mn2.0%以下,
    Cr17〜20%,Ni7〜11%,P0.015%以下,S0.005
    %以下,N0.025〜0.10%でかつC+N≧0.045%
    を満し、Nb0.20〜0.32、%残部Feよりなり、か
    つ1.32(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−
    14.4≦%Ni+30×(%C+%N)+0.5×%Mn≦
    1.39(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−
    13.0を満足する鋼をスラブ加熱温度1160〜1280
    ℃、圧延仕上温度750〜950℃、析出熱処理温度
    980〜1050℃のプロセス条件で圧延、熱処理を行
    うことにより強度と優れた粒界応力腐食割れ抵抗
    性を附与せしめることを特徴とする高温高圧水環
    境用オーステナイトステンレス鋼の製造法。 2 C0.02%以下,Si1.0%以下,Mn2.0%以下,
    Cr17〜20%,Ni7〜11%,P0.015%以下,S0.005
    %以下,N0.025〜0.10%でかつC+N≧0.045%
    を満し、Nb0.20〜0.32%にさらにREM0.02〜0.06
    %あるいはCa0.002〜0.02%あるいは双方を含み
    残部Feよりなり、かつ1.32(%Cr+%Mo+1.5×
    %Si+0.5×%Nb)−14.4≦%Ni+30×(%C+%
    N)+0.5×%Mn≦1.39(%Cr+%Mo+1.5×%Si
    +0.5×%Nb)−13.0を満足する鋼をスラブ加熱温
    度1160〜1280℃、圧延仕上温度750〜950℃、析出
    熱処理温度980〜1050℃のプロセス条件で圧延、
    熱処理を行うことにより強度と優れた粒界応力腐
    食割れ抵抗性を附与せしめることを特徴とする高
    温高圧水環境用オーステナイトステンレス鋼の製
    造法。 3 C0.02%以下,Si1.0%以下,Mn2.0%以下,
    Cr17〜20%,Ni7〜11%,P0.015%以下,S0.005
    %以下,N0.025〜0.10%でかつC+N≧0.045%
    を満し、Nb0.20〜0.32%にさらにREM0.02〜
    0.006%あるいはCa0.002〜0.02%、あるいは双方
    を含みさらに鋼中に含まれるMoおよびCoがそれ
    ぞれ0.10%以下であつて残部Feよりなり、かつ
    1.32(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−
    14.4≦%Ni+30×(%C+%N)+0.5×%Mn≦
    1.39(%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nb)−
    13.0を満足する鋼をスラブ加熱温度1160〜1280
    ℃、圧延仕上温度750〜950℃、析出熱処理温度
    980〜1050℃のプロセス条件で圧延、熱処理を行
    うことにより強度と優れた粒界応力腐食割れ抵抗
    性を附与せしめることを特徴とする高温高圧水環
    境用オーステナイトステンレス鋼の製造法。
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