JPH0453929B2 - - Google Patents

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JPH0453929B2
JPH0453929B2 JP62284124A JP28412487A JPH0453929B2 JP H0453929 B2 JPH0453929 B2 JP H0453929B2 JP 62284124 A JP62284124 A JP 62284124A JP 28412487 A JP28412487 A JP 28412487A JP H0453929 B2 JPH0453929 B2 JP H0453929B2
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temperature
less
toughness
steel
rolling
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JP62284124A
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JPS63241114A (ja
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Seinosuke Yano
Yoshihiro Okamura
Katsuo Kako
Junichi Kobayashi
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication of JPH0453929B2 publication Critical patent/JPH0453929B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/08Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing nickel
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
    • C21D8/0205Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys

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  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は強度と靱性に優れ、かつ、海水あるい
は塩水等の応力腐食環境中における耐応力腐食割
れ性にもすぐれた高靱性高張力鋼の製造法に関す
るものである。 〔従来の技術〕 近年、エネルギー需要が年々増加し、その安定
供給確保のため海底資源開発や海底地殻地質調査
など深海に対する関心が急速に高まり、この海底
開発につながる海洋構造物および海底調査作業船
の建造あるいは海底石油生産基地などの建設構想
が活発化している。 これらの構造物は、波浪あるいは圧力により変
形、破壊等をしてはならないものであり、より高
い安全性確保が重要課題である。したがつてこれ
らに使用される材料には、構造上高溶接性、高強
度、かつ高靱性が要求されており、さらに海水等
の使用環境条件においても耐応力腐食割れ性を具
備することが望まれている。 しかもこれらの構造物に使用される鋼板は板厚
(t)の厚いものが多く、ASTM.A20ジエネエラ
ル リクワイヤメンツ フオー ステイール プ
レート フオー プレツシヤー ベツセルズ
(General Requirements for Steel Plate for
Pressure Vessels)11.5.3および12.1.4の規定にあ
るような板厚の1/4tの位置での試験のほかに板
の表層部(試験片の中心軸が鋼板の表面から7mm
の位置)および中心部(1/2t)についても要求
値を満足することも望まれている。 このようなより安全で信頼のおける鋼材の開発
要求に応えるNi含有低合金高張力鋼およびその
製造法が開発されている。その代表的なものとし
て、米国特許出願SerialNo.798870(資料A)、米国
特許第4872748号明細書(資料B)、特開昭61−
272316号公報(資料C)をあげることができる。 これらはいずれも鋼板を圧延後直ちに水冷す
る、いわゆる直接焼入法を用いている。直接焼入
鋼は高い焼入性(hardenability)を示すもので
再加熱焼入鋼(reheat quenched steel)よりも
高強度が得られるが靱性はよくない。 資料Aでは、圧延前のスラブを著しく低温
(900〜1000℃)加熱し低温圧延後直接焼入れ−焼
もどしすることによつて微細な有効結晶粒
(effectivegrain)を得、従来鋼にない高い脆性亀
裂停止性能(brittle crack arresting
capability)を有する高靱性鋼を得ている。 また、資料Bでは、鋼板全体を同時に冷却する
ことによつて鋼板の長手方向の材質バラツキを抑
え、水量密度を低く制御し表面と内部との冷却速
度の差を小さくすることによつて厚み方向の材質
バラツキを抑え均一な機械的性質を鋼板に付与し
ようとしている。 しかしながらこれらのいずれも塩水と接触する
環境、例えば海洋構造物などにおいての海水中で
の応力腐食を考慮に入れた検討はなされておら
ず、海洋での使用上十分に安全であるとは云えな
い。 これに対し、資料CではNi含有鋼にNbを添加
し、さらに不純物元素P,N,Oを低減した鋼
に、圧延後直接焼入−焼もどしの適正条件を適用
することによつて、耐海水応力腐食割れ性のよい
鋼が製造できるとしている。 (発明が解決しようとする問題点) 高張力鋼の応力腐食割れに関しては、線型破壊
力学モードの理論が取り入れられ、材料内に先天
的に存在する亀裂あるいは欠陥が腐食環境に対し
てどのような破壊挙動を取るかを亀裂先端のK値
(応力拡大係数)を用いて定量化する手法が用い
られ、実用的成果をあげている。すなわち、応力
腐食割れ試験としては、使用環境条件において予
亀裂付きの試験片を用い、ノツチ先端に苛酷な状
態を作ることにより遅れ破壊を生じ易くして、こ
の環境下で、種々のK値のレベルでの定荷重試験
を行なうことにより、ある一定のK値以下では破
壊を生じない限界値KISCC値を求めることによつ
て耐応力腐食割れ性が評価されている。 資料Cに記載された耐海水限界KISCC値は溶接
熱影響部では最も高いものでも450Kgf−mm-3/2
改善されてはいるが十分高いとは言えない。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、海水中あるいは塩水中における
耐応力腐食割れ性を具備し、均一な高強度・高靱
性を有する高溶接性Ni含有低合金鋼を開発する
ことを目的に、鋼およびその製造法について種々
検討した結果、高強度材の耐応力腐食割れ性には
鋼中の炭素量が著しく影響し、炭素量を低減する
ことが極めて有効であることを知見した。 さらに、Nbの存在は高強度の確保に有利では
あるがNbはMoに比べ溶接熱影響部では硬度を増
し、耐海水応力腐食割れ性能を損ねること、むし
ろNbを添加せずMoを増量する方が好ましい結果
が得られることを知見した。 次に鋼板内の機械的性質の一様性については、
鋼板が冷却設備に装入された部分から逐次冷却さ
れるいわゆる連続冷却で、かつ水量密度の制限な
どのない、ローラークエンチングのような通常の
工業的冷却を前提として調査した結果、まずNi
含有低合金鋼の板厚方向では、 焼入れで板厚中心まで完全にマルテンサイト
組織になるような比較的高い成分あるいは薄い
板厚の材料では、材質は均一であること、 焼入れして、板厚中心部(1/2t)および1/4
t部がマルテンサイト+ベイナイトの混合組
織、鋼板表層部がマルテンサイト組織となる比
較的低成分あるいは、厚い板厚の材料では、1/
2t〜1/4t部の靱性は良好であるが表層部の靱
性は低く材質バラツキが大きいこと、 を知見した。 溶接性を考慮するとの低成分系では均一な材
質を得ることが肝要であるが、熱間圧延を制御し
て、直接焼入れ−焼もどし処理を行ない、鋼板表
層下が伸長オーステナイト粒でかつ焼もどしマル
テンサイト、板厚中心部が粒状のオーステナイト
粒でかつ焼もどしマルテンサイト+下部ベイナイ
ト組織となるようにすると板厚方向に均一で優れ
た強度と靱性を得ることができることを知見し
た。又に述べたような板厚中心まで単相のマル
テンサイト組織となるような場合には高靱性が得
られないと考えられていたがこの場合でも熱間圧
延を制御してオーステナイト粒を伸長細粒化する
と高靱性が得られることを知見した。 次に鋼板長手方向の材質バラツキについては 焼入れで板厚中心まで完全にマルテンサイト
組織が得られるような成分と板厚の材料では
Ar3点以上から冷却を開始することに注意し 焼入れで板厚中心部(1/2t)および1/4t部
がマルテンサイト+ベイナイト混合組織、鋼板
表層部がマルテンサイト組織になるような成分
と板厚の材料の場合は、圧延終了後15〜150秒
経過させ、圧延加工による変態点の変動を十分
に安定させた後、Ar3点以上から冷却を開始す
ることでいずれの場合も工業規格製品として許
容される範囲内に抑制できることを知見した。 以上から耐海水応力腐食割れ性に優れた、高溶
接性と均一な高強度・高靱性を有する鋼は低炭素
をベースにしたNi含有低合金鋼を熱間圧延にお
いて未再結晶温度域での制御圧延後直接焼入れ
し、その後焼戻し処理の適正条件を採用すること
によつて製造できることを知見した。 本発明はこのような知見に基づいて構成したも
ので、その要旨はC;0.02〜0.10%、Si;0.50%
以下、Mn;0.4〜1.5%、Ni;1.0〜7.5%、Mo;
0.1〜1.5%、Cr;0.80%以下、Sol.Al;0.01〜0.08
%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼片、あるいは更にCu;1.5%以下、V;
0.12%以下、Ti;0.015%以下の1種または2種
以上および/又はCa;0.0050%以下の少量を含有
する鋼片を、1000〜1250℃に加熱した後、熱間圧
延において、仕上噛み込み温度700〜880℃、噛み
込み温度以下で累積圧下率40%以上、仕上温度
650℃以上で圧延し、この圧延完了後、Ar3点以
上の温度から水冷を開始して150℃以下の温度で
停止する焼入処理を行ない、続いてAc1点以下の
温度で焼戻し処理する耐応力腐食割れ性の優れた
高靱性高張力鋼の製造法である。 以下本発明について詳細に説明する。 先ず、本発明を上記のような鋼成分に限定した
理由を述べる。 C;Cは焼入性を向上させ強度を容易に上昇さ
せるのに有効な元素である。反面、本発明の目的
である耐応力腐食割れ性の向上に対しては最も影
響を与える元素でもある。すなわち、耐応力腐食
割れ性をC量について調査した結果を第1図に示
す。限界KISCC値はC量が低いほど向上している
ことが分かる。すなわち、Cが0.10%を超えると
著しくKISCC値を低下して溶接熱影響部が硬化し、
耐応力腐食割れ性を劣化させる。又、Cが0.02%
未満であると強度が得られない。従つて、C含有
量の範囲を0.02〜0.10%とした。 Si;Siは強度向上に有効であるが、Ni含有鋼
の場合、Siが高いと焼戻し脆性が大きくなり、低
温靱性が劣化する。したがつて、ある程度の強度
を確保し、切欠靱性を劣化しないために上限を
0.50%とした。 Mn;Mnは焼入性を向上させ、強度・靱性確
保に有効であるが、Mnが高いとSiと同様に焼戻
し脆性が大きくなるので、1.5%以下にする必要
がある。又、Mn含有量が0.4%未満では強度およ
び靱性が低下する。従つて、Mnの含有量を0.4〜
1.5%とした。 Ni;Niは積層欠陥エネルギーを上げ、交叉辷
りを増し、応力緩和を生じやすくし、衝撃吸収エ
ネルギーを増し、鋼の低温靱性の向上、さらには
Niは焼入性を高めて強度を向上させる。従つて
要求される鋼の強度や靱性に応じて含有される
が、本発明においては、他元素との兼ね合いによ
り1.0%以上の含有が必要である。又、本発明に
おける未再結晶域圧延法を用いるとNi量7.5%以
下で十分な高い靱性が得られるので上限を7.5%
とした。 Mo;Moは焼入性の向上による強度確保のた
め、また焼戻し脆性を防止するために有効な元素
である。また未再結晶温度域を拡大するので本発
明のように未再結晶温度域で圧延する場合には特
に有用な元素である。しかも強度を上昇させる度
合に較べて溶接熱影響部の硬度を上昇させないの
で前述したように高強度鋼の耐応力腐食割れ性に
対してNbよりも有利である。しかし、0.1%未満
では未再結晶温度域の拡大効果が小さく目標とす
る強度・靱性が得られず、又、1.5%を超えると
粗大なMo2C等の炭化物が増加し、靱性を低下さ
せ、又溶接熱影響部を著しく硬化させる。更に、
本発明の直接焼入製造法は溶体化焼入が可能なの
で通常の再加熱焼入に比べMo量を1.5%迄増大で
き、第2図に示すように強度、靱性を十分高める
ことが可能となつた。従つてMoの含有量を0.1〜
1.5%とするが、鋼材に要求される引張強度が97
Kgf/mm2以上の場合はMoの添加量の下限として
0.6%を一つの目安とすることができる。 Cr;Crは焼入性を向上させ強度確保に有効で
あるが、0.80%を超えると溶接硬化性が増大し、
KISCC値を低下させる危険性がある。 Sol.Al:Alは鋼片加熱時及び熱処理時の高温
域で窒化物を形成し、オーステナイト粒の細粒化
に有効である。しかし、0.01%未満ではその効果
が小さく、また0.08%を超えるとアルミナ系介在
物が増大し、靱性を阻害する。従つて、Sol.Alの
含有量を0.01〜0.08%とした。 以上は本発明における鋼の基本成分であるが、
さらに本発明は強度および靱性を一層改善するた
めに以下の成分を選択添加することができる。 Cu;Cuは靱性を劣化させずに強度を上昇させ
るとともに耐食性の向上にも有効であるが、1.5
%を超えると熱間加工性及び靱性を劣化させる。 V;Vは焼戻し処理において炭窒化物を形成し
析出硬化により強度確保に有効であるが0.12%を
超えると靱性を劣化させる。 Ti;Tiは溶接部の粗粒化防止に有効であるが
0.015%を超えるとかえつて母材靱性を低下させ
る。 上記の成分は本発明において強度・靱性を得る
ために添加する元素であり、さらに異方性及び耐
ラメラテイア性を改善するためCaを選択添加す
る。 Ca;Caは非金属介在物の球状化に極めて有効
であり、靱性の向上や靱性の異方性を小さくする
効果がある。しかし、0.0050%を超えると介在物
増加により靱性を低下させる。従つてその含有量
を0.0050%以下とした。 上記の成分の他に不可避的不純物としてP,
S,N等は本発明の特性である靱性を劣化させる
有害な元素であるから、その量は少ない方がよ
い。好ましくはP≦0.010%、S≦0.005%、N≦
0.006%に調整する。 さらに本発明では、上記のような鋼成分組成の
鋼片を温度1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延にお
いて仕上噛み込み温度700〜880℃、噛み込み温度
以下で累積圧下率40%以上、仕上温度650℃以上
の圧延を行ない、この圧延完了後Ar3点以上の温
度から水冷を開始して150℃以下の温度で停止す
る焼入処理を行ない、続いてAc1点以下の温度で
焼戻し処理を行うがこれも発明の重要な骨子であ
るのでこの工程条件の限定理由について次に説明
する。 まず、上記のような成分組成に溶製したNi含
有低合金鋼の溶鋼から連続鋳造法もしくは造塊分
塊法によつて鋼片を製造し、ついで直接あるいは
必要によつては偏析成分拡散の目的から加熱と冷
却を繰返す前処理を施した後、温度1000〜1250℃
に加熱し、熱間圧延を行なう。この加熱において
は、加熱オーステナイト粒の細粒化と焼戻し処理
時にMo,V等の微細炭窒化物の析出による強化
を利用するために鋼片の状態で存在するMo,V
等の炭窒化物を十分に固溶化させる必要がある。
このとき1000℃未満の低い温度では、この固溶化
作用が十分でなく、M6C等の未溶解析出物の存
在は焼戻しの際の十分な析出硬化が期待出来ない
と共に靱性を低下させる原因ともなる。一方、
1250℃を超える温度ではMo,V等の炭窒化物は
十分固溶するものの、本発明のNi含有鋼におい
ては、鋼片の表面に酸化物が増加し、最終的に圧
延後の鋼板に表面疵を生じる。又、加熱オーステ
ナイト粒が粗大化し、その後の圧延においてオー
ステナイト粒が細粒化しにくく、靱性低下の原因
ともなる。従つて、これらの問題を考慮して、鋼
片の加熱温度を1000〜1250℃とした。 本発明での直接焼入方法は鋼板全体を同時に冷
却する静止型でもよく、又、鋼板が冷却設備に装
入された部分から逐次冷却される、いわゆる連続
型でもよい。又、水量密度も特に制限せず設備能
力いつぱいの冷却を行なつてもよい。これにより
オンラインでの単位時間当りの処理トン数を増大
でき原価を低減できるメリツトがある。このよう
な冷却方法を用いて、鋼板内の材質を工業規格製
品として許される範囲内に均一化するために圧延
条件を規制する。すなわち、1000〜1250℃の温度
に加熱された鋼片を熱間圧延において仕上噛み込
み温度700〜880℃、噛み込み温度以下で累積圧下
率40%以上、仕上温度650℃以上とする圧延を行
う。 ここでこのように圧延条件を限定した理由につ
いて述べる。前述したように成分と冷却速度の組
合せで直接焼入後の組織が板厚中心部までマルテ
ンサイト単相となる場合は全厚が、鋼板表層部が
マルテンサイト相で板厚中心部(1/2t)から1/4
t部がマルテンサイト+下部ベイナイト組織とな
る場合は表層部が、伸長細粒オーステナイト粒か
ら生成したマルテンサイト相であると、焼もどし
た時に高靱性を示す。それは伸長細粒のオーステ
ナイトから生成したマルテンサイトの焼もどし組
織の有効結晶粒が細いからである。従つて、この
ような圧延条件を選ぶことによつて板厚方向の強
度と靱性を表層から中心まで良好で均一にするこ
とができる。 一方、オーステナイト粒の伸長細粒化は、変形
帯の形成をともない、転位密度が増加し、焼戻し
時に微細な炭窒化物が転位に優先的に析出するの
で効果的な析出強化を得るのに有用である。 しかしながら、噛み込み温度が880℃を超える
と再結晶温度域となるため、伸長オーステナイト
粒及び変形帯の形成が不十分であり、その後の水
冷・焼戻しによる析出強化が十分得られない。
又、700℃未満の低い温度では圧延時の変形抵抗
が大きくなり圧延が困難となる。このような理由
から噛み込み温度を700〜880℃とした。好ましく
は700〜850℃である。 第3図は焼戻し後の強度・靱性およびオーステ
ナイト粒度に及ぼす仕上噛み込み温度の影響につ
いて示したものであり、仕上噛み込み温度の低下
によりオーステナイト粒度が細粒化すると共に強
度・靱性が著しく向上することがわかる。 噛み込み温度以下で、累積圧下率40%以上とす
る理由は、伸長オーステナイト粒の細粒化及び変
形帯形成をさらに助長させるためのものである。
又、仕上温度を650℃以上と限定したのはこれよ
り低い温度では加工歪によりAr3点が上昇し、焼
入性低下の原因となるからである。 次に圧延後、水冷開始までの時間をトランスフ
アータイムを呼ぶことにすると、結晶組織がマル
テンサイトとなる場合は圧延後直ちに焼入れるこ
ともできるが、それ以外の場合は加工歪の残存と
これによる変態点の上昇などがあつて焼き入れ組
織、焼入硬さなどが安定しない。それ故トランス
フアータイムをとつて水冷する方が好ましい。し
かしながら余り時間をかけると変態点以下に鋼板
の温度が低下するのでその時間は15〜150秒がよ
い。第4図は焼入硬さとトランスフアータイムの
関係の一例であるが15秒程経過すると硬度が安定
化することがわかる。 次のこの圧延完了後Ar3点以上の温度から水冷
を開始し、150℃以下の温度で停止する焼入処理
を行なう理由は、十分なマルテンサイト組織を得
るためのものであり、水冷停止温度が150℃を超
えると本発明鋼の場合、マルテンサイト変態が終
了しない場合があり、未変態オーステナイトがそ
のまま残留しかえつて降状強度を低下させる。 第5図は強度及び靱性に及ぼす水冷停止温度の
影響を示したものであり、水冷停止温度の低下と
共に降状強さが向上していることが分かる。 熱間圧延後、水冷された鋼は、その後Ac1点以
下の温度で焼戻し処理を行なう必要がある。Ac1
点を超えた温度では不安定オーステナイトの析出
により靱性が劣化する。従つて、固溶化された
Mo,V等の炭窒化物形成元素を十分に析出強化
させ、強度および靱性を得るため焼戻し温度を
Ac1点以下と限定した。 このような製造工程で得られた鋼は低Cにもか
かわらず高強度、高靱性が得られ、かつKISCC
が著しく改善される。 (実施例及び発行の効果) 次に本発明の実施例について説明する。 第1表に示す組成を有する鋼を溶製して得た鋼
片を第2表に示す本発明法と比較法の各々の製造
条件に基づいて板厚40〜130mmの鋼板に製造した。
これらについて母材の機械的性質と、さらに溶接
熱影響部のKISCC値を調査した。溶接は入熱25〜
50kJ/cmでTIG、潜弧等で溶接を行なつた。こ
れら第1表の化学組成を有する鋼と第2表で示す
製造条件とによつて得られた機械的性質および
3.5%の人工海水中でのASME E399に示される
試験片を使つた溶接熱影響部のKISCC試験結果を
第3表に示す。 なお、第1表に示す化学組成の中で鋼P,Q,
Rは本発明により限定された化学組成範囲を逸脱
した成分例である。 上記の第3表に示す結果から明らかなように本
発明に従つて得られた鋼板の機械的性質は比較法
で得られた鋼板に比べいずれも板厚方向の各位置
とも高強度で靱性も高く、かつ本発明の意図する
耐応力腐食割れ性も優れている。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図はNi含有高強度の溶接熱影響部KISCC
に及ぼすC量の影響について示す図、第2図は強
度・靱性に及ぼすMoの影響について示す図、第
3図は焼戻し後の強度・靱性に及ぼす仕上噛み込
み温度の影響について示す図、第4図は焼入れ後
の硬さに及ぼすトランスフアータイムの影響につ
いて示す図、第5図は焼もどし後の強度に及ぼす
水冷停止温度の影響について示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C;0.02〜0.10%、Si;0.50%以下、Mn;
    0.4〜1.5%、Ni;1.0〜7.5%、Mo;0.1〜1.5%、
    Cr;0.80%以下、Sol.Al;0.01〜0.08%を含有し、
    残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片を、
    1000〜1250℃の温度に加熱した後、熱間圧延にお
    いて、仕上噛み込み温度700〜880℃、噛み込み温
    度以下で累積圧下率40%以上、仕上温度650℃以
    上で圧延し、圧延完了後、Ar3点以上の温度から
    水冷を開始して150℃以下の温度で停止する焼入
    処理を行ない、続いてAc1点以下の温度で焼戻し
    処理することを特徴とする耐応力腐食割れ性の優
    れた高靱性高張力鋼の製造法。 2 C;0.02〜0.10%、Si;0.50%以下、Mn;
    0.4〜1.5%、Ni;1.0〜7.5%、Mo;0.1〜1.5%、
    Cr;0.80%以下、Sol.Al;0.01〜0.08%を含有し、
    さらにCu;1.5%以下、V;0.12%以下、Ti;
    0.015%以下の1種または2種以上を含有し、残
    部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片を、
    1000〜1250℃の温度に加熱した後、熱間圧延にお
    いて、仕上噛み込み温度700〜880℃、噛み込み温
    度以下で累積圧下率40%以上、仕上温度650℃以
    上で圧延し、圧延完了後、Ar3点以上の温度から
    水冷を開始して150℃以下の温度で停止する焼入
    処理を行ない、続いてAc1点以下の温度で焼戻し
    処理をすることを特徴とする耐応力腐食割れ性の
    優れた高靱性高張力鋼の製造法。 3 C;0.02〜0.10%、Si;0.50%以下、Mn;
    0.4〜1.5%、Ni;1.0〜7.5%、Mo;0.1〜1.5%、
    Cr;0.80%以下、Sol.Al;0.01〜0.08%、Ca;
    0.0050%以下を含有し、残部が鉄および不可避的
    不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃の温度に加
    熱した後、熱間圧延において、仕上噛み込み温度
    700〜880℃、噛み込み温度以下で累積圧下率40%
    以上、仕上温度650℃以上で圧延し、圧延完了後、
    Ar3点以上の温度から水冷を開始して150℃以下
    の温度で停止する焼入処理を行ない、続いてAc1
    点以下の温度で焼戻し処理することを特徴とする
    耐応力腐食割れ性の優れた高靱性高張力鋼の製造
    法。 4 C;0.02〜0.10%、Si;0.50%以下、Mn;
    0.4〜1.5%、Ni;1.0〜7.5%、Mo;0.1〜1.5%、
    Cr;0.80%以下、Sol.Al;0.01〜0.08%を含有し、
    さらにCu;1.5%以下、V;0.12%以下、Ti;
    0.015%以下の1種または2種以上およびCa;
    0.0050%以下を含有し、残部が鉄および不可避的
    不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃の温度に加
    熱した後、熱間圧延において、仕上噛み込み温度
    700〜880℃、噛み込み温度以下で累積圧下率40%
    以上、仕上げ温度650℃以上で圧延し、圧延完了
    後、Ar3点以上の温度から水冷を開始して150℃
    以下の温度で停止する焼入処理を行ない、続いて
    Ac1点以下の温度で焼戻し処理することを特徴と
    する耐応力腐食割れ性の優れた高靱性高張力鋼の
    製造法。 5 Ni含有量が1.0〜5.0%未満である特許請求の
    範囲第1項〜第4項の何れか1項に記載の耐応力
    腐食割れ性の優れた高靱性高張力鋼の製造法。 6 Ni含有量が5.0〜7.5%である特許請求の範囲
    第1項〜第4項の何れか1項に記載の耐応力腐食
    割れ性の優れた高靱性高張力鋼の製造法。 7 圧延完了後から水冷開始までの時間が、15秒
    〜150秒である特許請求の範囲第1項〜第6項の
    何れか1項に記載の耐応力腐食割れ性の優れた高
    靱性高張力鋼の製造法。
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