JP2001049385A - 溶接部靭性に優れた高張力鋼及びその製造方法 - Google Patents
溶接部靭性に優れた高張力鋼及びその製造方法Info
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- JP2001049385A JP2001049385A JP22521499A JP22521499A JP2001049385A JP 2001049385 A JP2001049385 A JP 2001049385A JP 22521499 A JP22521499 A JP 22521499A JP 22521499 A JP22521499 A JP 22521499A JP 2001049385 A JP2001049385 A JP 2001049385A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】この発明は、入熱50〜100kJ/cm程度
の中,大入熱による溶接部においても優れた破壊靭性を
有する厚肉材の780MPa級以上の高張力鋼およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.04〜0.12%、
Si:0.02〜0.30%、Mn:0.4〜1.5
%、P≦0.010%、S≦0.005%、Cu:0.
05〜1.0%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.
05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ti≦
0.015%、N≦30ppm,Al≦0.035%を
含有し、B<5ppmとした鋼を再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、2℃/sec以上の冷却速度で
500℃以下まで冷却後放冷する。但し、ld=√(R
*(hi−ho)),hm=(hi+2*ho)/3,
ここでR:圧延ロール半径、hi:圧延入り側板厚、h
o:圧延出側板厚を表す。
の中,大入熱による溶接部においても優れた破壊靭性を
有する厚肉材の780MPa級以上の高張力鋼およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.04〜0.12%、
Si:0.02〜0.30%、Mn:0.4〜1.5
%、P≦0.010%、S≦0.005%、Cu:0.
05〜1.0%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.
05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ti≦
0.015%、N≦30ppm,Al≦0.035%を
含有し、B<5ppmとした鋼を再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、2℃/sec以上の冷却速度で
500℃以下まで冷却後放冷する。但し、ld=√(R
*(hi−ho)),hm=(hi+2*ho)/3,
ここでR:圧延ロール半径、hi:圧延入り側板厚、h
o:圧延出側板厚を表す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接部靭性に優れ
た780MPa級以上の高張力鋼およびその製造方法に
関するものであり、特に入熱量50〜100kJ/cm
程度の溶接継手部の靭性に優れた780MPa級以上の
高張力鋼に関する。
た780MPa級以上の高張力鋼およびその製造方法に
関するものであり、特に入熱量50〜100kJ/cm
程度の溶接継手部の靭性に優れた780MPa級以上の
高張力鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、橋梁、圧力容器、水圧鉄管、海洋
構造物等の各種溶接構造物は大型化し、使用される鋼材
には高強度化、厚肉化に加えて、安全性、作業性の面か
ら、高溶接性かつ高靭性が要求され、特に使用環境が過
酷な場合、脆性破壊を防止するため、低温靭性に加え、
優れた対脆性亀裂発生特性及び脆性亀裂伝播停止特性も
求められている。
構造物等の各種溶接構造物は大型化し、使用される鋼材
には高強度化、厚肉化に加えて、安全性、作業性の面か
ら、高溶接性かつ高靭性が要求され、特に使用環境が過
酷な場合、脆性破壊を防止するため、低温靭性に加え、
優れた対脆性亀裂発生特性及び脆性亀裂伝播停止特性も
求められている。
【0003】従来、溶接部靭性に優れた780MPa以
上の高張力鋼の製造方法として、1.B添加により焼入
れ性を向上させ、溶接性を劣化させるCを低減させる方
法で、例えば,特開昭60−21326号のTS≧97
kgf/mm2、vTs≦―60℃の高強度、高靭性か
つ溶接性に優れる調質型高張力鋼の製造方法として、
C:0.07〜0.15%でBを0.002%以下添加
する技術。2.Ti添加によりTiNを生成させ、溶接
部の結晶粒をpinning効果により微細化する方法
で、例えば特開平6−179908号のTi:0.00
5〜0.035%を添加し、溶接性と低温靭性及び脆性
亀裂伝播停止性能に優れたTS≧780MPaの厚肉高
張力鋼を製造する技術。3.圧延条件の適性化により、
母材の結晶粒径を微細化する方法等が開示されている。
上の高張力鋼の製造方法として、1.B添加により焼入
れ性を向上させ、溶接性を劣化させるCを低減させる方
法で、例えば,特開昭60−21326号のTS≧97
kgf/mm2、vTs≦―60℃の高強度、高靭性か
つ溶接性に優れる調質型高張力鋼の製造方法として、
C:0.07〜0.15%でBを0.002%以下添加
する技術。2.Ti添加によりTiNを生成させ、溶接
部の結晶粒をpinning効果により微細化する方法
で、例えば特開平6−179908号のTi:0.00
5〜0.035%を添加し、溶接性と低温靭性及び脆性
亀裂伝播停止性能に優れたTS≧780MPaの厚肉高
張力鋼を製造する技術。3.圧延条件の適性化により、
母材の結晶粒径を微細化する方法等が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
技術は鋼材の板厚や溶接条件によっては必ずしもその効
果を発揮するものではなく、例えば、Bの焼入れ性向上
効果を利用する方法は、合金元素の低減、予熱温度の低
減を可能にするものの、溶接部の著しい硬化をもたら
す。Ti添加により溶接部の結晶粒を微細化する方法
は、溶接部の低温靭性を向上させるが、入熱量≧50k
J/cmの溶接部でもマルテンサイト、下部ベイナイト
が主体の組織となるような場合はTiNが起点となり破
壊靭性を劣化させる。
技術は鋼材の板厚や溶接条件によっては必ずしもその効
果を発揮するものではなく、例えば、Bの焼入れ性向上
効果を利用する方法は、合金元素の低減、予熱温度の低
減を可能にするものの、溶接部の著しい硬化をもたら
す。Ti添加により溶接部の結晶粒を微細化する方法
は、溶接部の低温靭性を向上させるが、入熱量≧50k
J/cmの溶接部でもマルテンサイト、下部ベイナイト
が主体の組織となるような場合はTiNが起点となり破
壊靭性を劣化させる。
【0005】そして、母材の結晶粒を微細化する方法は
ある限定された温度域での圧下率を規程するもので、板
厚の拡大に伴い板厚中心部に結晶粒の微細化に有効な圧
縮応力を付加するのが困難となる等の問題点を有してい
る。
ある限定された温度域での圧下率を規程するもので、板
厚の拡大に伴い板厚中心部に結晶粒の微細化に有効な圧
縮応力を付加するのが困難となる等の問題点を有してい
る。
【0006】この発明は、以上の点に鑑みなされたもの
で、その目的は、厚肉材の中、大入熱溶接部(入熱量:
50〜100kJ/cm程度)においても優れた溶接部
靭性を有する780MPa以上の高張力鋼及びその製造
方法を提供することにある。
で、その目的は、厚肉材の中、大入熱溶接部(入熱量:
50〜100kJ/cm程度)においても優れた溶接部
靭性を有する780MPa以上の高張力鋼及びその製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、780M
Pa級以上の高張力鋼を対象に、中,大入熱溶接部(入
熱量:50〜100kJ/cm程度)の靭性に及ぼす化
学成分の影響及び母材の結晶粒径に及ぼす製造条件につ
いて鋭意検討し、中,大入熱溶接部の靭性(入熱量:5
0〜100kJ/cm程度)はBを5ppm未満とし、
実質的にBを含まず、Ti≦0.015%、T.N.≦
30ppmとしTiNの生成量を抑制した場合、優れた
靭性となることを知見した。
Pa級以上の高張力鋼を対象に、中,大入熱溶接部(入
熱量:50〜100kJ/cm程度)の靭性に及ぼす化
学成分の影響及び母材の結晶粒径に及ぼす製造条件につ
いて鋭意検討し、中,大入熱溶接部の靭性(入熱量:5
0〜100kJ/cm程度)はBを5ppm未満とし、
実質的にBを含まず、Ti≦0.015%、T.N.≦
30ppmとしTiNの生成量を抑制した場合、優れた
靭性となることを知見した。
【0008】そして、母材の結晶粒径は、熱間圧延―直
接冷却工程において、実質的にBを含まない鋼片を95
0〜1200℃に再加熱後、再結晶温度域で特定の圧下
率と圧延形状比を有する圧延を行なった場合、板厚中心
部で結晶粒の微細化に有効な圧縮応力が付与され、更に
その後の水冷により変態組織が微細化される結果、著し
く微細化し、溶接部靭性にも母材の微細化による靭性向
上効果が及ぶことを知見した。本発明は上記知見を基に
更に検討を加えてなされたもので、 1. 重量%で、C:0.04〜0.12%、Si:
0.02〜0.30%、Mn:0.4〜1.5%、P≦
0.010%、S≦0.005%、Cu:0.05〜
1.0%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.05〜
1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ti≦0.01
5%、N≦30ppm,Al≦0.035%を含有し、
B<5ppmとなすことを特徴とする溶接部靭性に優れ
た高張力鋼。
接冷却工程において、実質的にBを含まない鋼片を95
0〜1200℃に再加熱後、再結晶温度域で特定の圧下
率と圧延形状比を有する圧延を行なった場合、板厚中心
部で結晶粒の微細化に有効な圧縮応力が付与され、更に
その後の水冷により変態組織が微細化される結果、著し
く微細化し、溶接部靭性にも母材の微細化による靭性向
上効果が及ぶことを知見した。本発明は上記知見を基に
更に検討を加えてなされたもので、 1. 重量%で、C:0.04〜0.12%、Si:
0.02〜0.30%、Mn:0.4〜1.5%、P≦
0.010%、S≦0.005%、Cu:0.05〜
1.0%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.05〜
1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ti≦0.01
5%、N≦30ppm,Al≦0.035%を含有し、
B<5ppmとなすことを特徴とする溶接部靭性に優れ
た高張力鋼。
【0009】2. 重量%で、V:0.01〜0.10
%、Nb:0.005〜0.050%の1種または2種
を含有する1記載の溶接部靭性に優れた高張力鋼。
%、Nb:0.005〜0.050%の1種または2種
を含有する1記載の溶接部靭性に優れた高張力鋼。
【0010】3. 1又は2に記載の組成を有する鋼を
950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、2℃/sec以上の冷却速度で
500℃以下まで冷却後放冷することを特徴とする溶接
部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。
950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、2℃/sec以上の冷却速度で
500℃以下まで冷却後放冷することを特徴とする溶接
部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。
【0011】但し、ld=√(R*(hi−ho)),
hm=(hi+2*ho)/3,ここでR:圧延ロール
半径、hi:圧延入り側板厚、ho:圧延出側板厚を表
す。
hm=(hi+2*ho)/3,ここでR:圧延ロール
半径、hi:圧延入り側板厚、ho:圧延出側板厚を表
す。
【0012】4. 1又は2に記載の組成を有する鋼を
950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、更に未再結晶温度域で圧下率5
0%以下の圧延を行ない、その後、2℃/sec以上の
冷却速度で500℃以下まで冷却後放冷することを特徴
とする溶接部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。
950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶温
度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld/
hm≧0.7の圧延後、更に未再結晶温度域で圧下率5
0%以下の圧延を行ない、その後、2℃/sec以上の
冷却速度で500℃以下まで冷却後放冷することを特徴
とする溶接部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。
【0013】5. 2℃/sec以上の冷却速度で50
0℃以下まで冷却し放冷後、Ac3変態点以下の温度で
焼戻すことを特徴とする3又は4に記載の溶接部靭性に
優れた高張力鋼の製造方法。
0℃以下まで冷却し放冷後、Ac3変態点以下の温度で
焼戻すことを特徴とする3又は4に記載の溶接部靭性に
優れた高張力鋼の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明において、鋼の成分
組成、製造条件を限定した理由について述べる。
組成、製造条件を限定した理由について述べる。
【0015】1.成分組成 C:0.04〜0.12% Cは鋼の焼入れ性と強度を確保するため添加する。0.
04%未満ではその効果が十分でなく、0.12%を超
えると溶接性、特に低温割れ性を著しく劣化させるた
め、0.04〜0.12%を添加する。
04%未満ではその効果が十分でなく、0.12%を超
えると溶接性、特に低温割れ性を著しく劣化させるた
め、0.04〜0.12%を添加する。
【0016】Si:0.02〜0.30% Siは鋼の脱酸と強度を確保するため添加する。0.0
2%未満ではその効果が十分でなく、0.30%を超え
ると靭性が劣化するため、0.02〜0.30%を添加
する。
2%未満ではその効果が十分でなく、0.30%を超え
ると靭性が劣化するため、0.02〜0.30%を添加
する。
【0017】Mn:0.4〜1.5% Mnは鋼の焼入れ性と強度を確保するため添加する。
0.4%未満ではその効果が十分でなく、1.5%を超
えると溶接性及び靭性が劣化するため、0.4〜1.5
%を添加する。
0.4%未満ではその効果が十分でなく、1.5%を超
えると溶接性及び靭性が劣化するため、0.4〜1.5
%を添加する。
【0018】P:0.010%以下 Pは不純物元素として延性および靭性の劣化を招くので
0.010%以下に規制する。
0.010%以下に規制する。
【0019】S:0.005%以下 Sは不純物元素として延性および靭性の劣化を招くので
0.005%以下に規制する。
0.005%以下に規制する。
【0020】Cu:0.05〜1.0% Cuは強度を確保するため添加する。0.05%未満で
はその効果が十分でなく、1.0%を超えると溶接性及
び靭性を劣化させるため、0.05〜1.0%を添加す
る。
はその効果が十分でなく、1.0%を超えると溶接性及
び靭性を劣化させるため、0.05〜1.0%を添加す
る。
【0021】Ni:0.5〜5.0% Niは鋼の焼入れ性と強度及び靭性を確保するため添加
する。0.5%未満ではその効果が十分でなく、5.0
%を超えると経済性を損なうので0.5〜5.0%を添
加する。
する。0.5%未満ではその効果が十分でなく、5.0
%を超えると経済性を損なうので0.5〜5.0%を添
加する。
【0022】Cr:0.05〜1.0% Crは鋼の焼入れ性と強度を確保するため添加する。
0.05%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を
超えると溶接性及び靭性を劣化させるため、0.05〜
1.0%を添加する。
0.05%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を
超えると溶接性及び靭性を劣化させるため、0.05〜
1.0%を添加する。
【0023】Mo:0.05〜1.0% Moは鋼の焼入れ性と強度を確保するため添加する。
0.05%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を
超えると溶接性を劣化させるため、0.05〜1.0%
を添加する。
0.05%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を
超えると溶接性を劣化させるため、0.05〜1.0%
を添加する。
【0024】Ti:0.015%以下 Tiは溶接部の結晶粒を微細化するため添加する。0.
015%を超えると溶接熱影響部のTiN量が増加し靭
性を著しく劣化させるため、0.015%以下を添加す
る。
015%を超えると溶接熱影響部のTiN量が増加し靭
性を著しく劣化させるため、0.015%以下を添加す
る。
【0025】N:30ppm以下 Nは溶接部の靭性を劣化させるため低減する。鋼中、窒
素量が30ppmを越えると溶接時の固溶窒素量が増大
し、溶接部靭性を著しく劣化させるため30ppm以下
に規制する。
素量が30ppmを越えると溶接時の固溶窒素量が増大
し、溶接部靭性を著しく劣化させるため30ppm以下
に規制する。
【0026】Al:0.035%以下 Alは鋼の脱酸とγ粒の微細化による靭性向上のため添
加する。0.035%を超えると溶接時に固溶Alが増
加し溶接部靭性を劣化させるため0.035%以下とす
る。
加する。0.035%を超えると溶接時に固溶Alが増
加し溶接部靭性を劣化させるため0.035%以下とす
る。
【0027】B:5ppm未満 Bは本発明では不純物元素として扱う。Bは極微量であ
っても、溶接部靭性、特に破壊靭性を著しく劣化させる
ため、5ppm未満に規制する。
っても、溶接部靭性、特に破壊靭性を著しく劣化させる
ため、5ppm未満に規制する。
【0028】本発明鋼は上述した成分組成を基本成分と
するが、さらに特性を向上させるため、NbまたはVの
一種又は二種を添加することができる。 Nb:0.005〜0.050% Nbは析出強化元素として強度を向上させるほか、結晶
粒を微細化し、溶接部の靭性も向上させる。0.005
%未満ではその効果が十分でなく、0.10%を超える
と溶接性および靭性を著しく劣化させるため0.005
〜0.10%を添加する。
するが、さらに特性を向上させるため、NbまたはVの
一種又は二種を添加することができる。 Nb:0.005〜0.050% Nbは析出強化元素として強度を向上させるほか、結晶
粒を微細化し、溶接部の靭性も向上させる。0.005
%未満ではその効果が十分でなく、0.10%を超える
と溶接性および靭性を著しく劣化させるため0.005
〜0.10%を添加する。
【0029】V:0.01〜0.10% Vは析出強化元素として強度を向上させるが、0.01
%未満ではその効果が十分でなく、0.10%を超える
と溶接性および靭性を著しく劣化させるため0.01〜
0.10%を添加する。
%未満ではその効果が十分でなく、0.10%を超える
と溶接性および靭性を著しく劣化させるため0.01〜
0.10%を添加する。
【0030】2.製造条件 再加熱温度:950〜1200℃ 鋼片の再加熱温度は950℃未満の場合、γ粒が混粒と
なり、1200℃を超えるとγ粒が粗大となり靭性が劣
化するため950〜1200℃とする。
なり、1200℃を超えるとγ粒が粗大となり靭性が劣
化するため950〜1200℃とする。
【0031】圧延条件:再結晶温度〜再結晶温度+50
℃において圧下率≧10%、且つ圧延形状比:圧延形状
比ld/hm≧0.7 再加熱した鋼片の結晶粒径を微細化するため、再結晶温
度域において圧延を行う。圧延温度は高すぎる場合、結
晶粒の成長速度が大きく再結晶粒が粗大化するため、再
結晶温度〜再結晶温度+50℃とする。圧延は再結晶に
必要な歪エネルギーを導入するため、圧下率≧10%、
且つ圧延形状比:圧延形状比ld/hm≧0.7とす
る。
℃において圧下率≧10%、且つ圧延形状比:圧延形状
比ld/hm≧0.7 再加熱した鋼片の結晶粒径を微細化するため、再結晶温
度域において圧延を行う。圧延温度は高すぎる場合、結
晶粒の成長速度が大きく再結晶粒が粗大化するため、再
結晶温度〜再結晶温度+50℃とする。圧延は再結晶に
必要な歪エネルギーを導入するため、圧下率≧10%、
且つ圧延形状比:圧延形状比ld/hm≧0.7とす
る。
【0032】ここで、ld=√(R*(hi−ho))
は投影接触弧長,hm=(hi+2*ho)/3は平均
板厚,ここでR:圧延ロール半径、hi:圧延入り側板
厚、ho:圧延出側板厚を表す。図1にこれらの寸法関
係を示す。更に結晶粒を微細化する場合、未再結晶温度
領域において圧下率50%以下の圧延を行い、変態後の
組織を微細化する。圧下率が50%を超えると結晶粒の
異方性が生じ、好ましくない。
は投影接触弧長,hm=(hi+2*ho)/3は平均
板厚,ここでR:圧延ロール半径、hi:圧延入り側板
厚、ho:圧延出側板厚を表す。図1にこれらの寸法関
係を示す。更に結晶粒を微細化する場合、未再結晶温度
領域において圧下率50%以下の圧延を行い、変態後の
組織を微細化する。圧下率が50%を超えると結晶粒の
異方性が生じ、好ましくない。
【0033】冷却条件 圧延終了後、水冷を行なう。水冷は目的とする強度及び
靭性が得られる変態組織とするため2℃/sec以上の
冷却速度とし、500℃以下まで行なう。
靭性が得られる変態組織とするため2℃/sec以上の
冷却速度とし、500℃以下まで行なう。
【0034】焼戻し条件:Ac3変態点以下 本発明では水冷後、強度及び靭性を調整する目的でAc
3変態点以下に焼戻しを行なう。
3変態点以下に焼戻しを行なう。
【0035】Mo,Nb,Vなどの炭化物による析出強
化を利用するため、焼戻し温度はAc3変態点以下とす
る。
化を利用するため、焼戻し温度はAc3変態点以下とす
る。
【0036】
【実施例】表1に実施例に用いた供試鋼の化学成分を示
す。化学成分はすべてスラブの取鍋分析値であり、表中
に表示しない残部はFe及び不可避不純物からなる。表
2に製造条件と、母材の引張り、衝撃特性及び溶接部の
衝撃特性、CTOD値などの試験結果を併記する。引張
試験、衝撃試験はJISに準拠しておこなった。
す。化学成分はすべてスラブの取鍋分析値であり、表中
に表示しない残部はFe及び不可避不純物からなる。表
2に製造条件と、母材の引張り、衝撃特性及び溶接部の
衝撃特性、CTOD値などの試験結果を併記する。引張
試験、衝撃試験はJISに準拠しておこなった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】溶接部の靭性評価では50〜100kJ/
cmの入熱によるサブマージアーク溶接によりK開先の
溶接継手を作成し、板厚方向に生成したほぼ直線的な溶
融線近傍を評価対象とした。CTOD試験はWES11
08(1995)に準拠し、板厚方向全厚にノッチ加工
し、圧延方向をノッチ方向として0℃で試験を行った。
図2にCTOD試験片の概要(L:長さ、B:厚さ、
W:幅、a:ノッチ深さ)を示す。
cmの入熱によるサブマージアーク溶接によりK開先の
溶接継手を作成し、板厚方向に生成したほぼ直線的な溶
融線近傍を評価対象とした。CTOD試験はWES11
08(1995)に準拠し、板厚方向全厚にノッチ加工
し、圧延方向をノッチ方向として0℃で試験を行った。
図2にCTOD試験片の概要(L:長さ、B:厚さ、
W:幅、a:ノッチ深さ)を示す。
【0040】表1において、鋼A〜Lは請求項1,2記
載の発明を満足する成分組成の鋼で、鋼M〜Uは化学組
成の一部が発明の範囲外となっている。鋼MはC量、鋼
NはSi量、鋼OはS量,鋼PはNi量及び鋼QはN量
が発明の範囲外である。鋼RはTiが添加されず、一
方、鋼SはBが添加されて本発明範囲外となている。鋼
TはTiの添加量、鋼UはAl量が発明の範囲外となっ
ている。尚、Bは積極的に添加しない場合、5ppm未
満に規制した。
載の発明を満足する成分組成の鋼で、鋼M〜Uは化学組
成の一部が発明の範囲外となっている。鋼MはC量、鋼
NはSi量、鋼OはS量,鋼PはNi量及び鋼QはN量
が発明の範囲外である。鋼RはTiが添加されず、一
方、鋼SはBが添加されて本発明範囲外となている。鋼
TはTiの添加量、鋼UはAl量が発明の範囲外となっ
ている。尚、Bは積極的に添加しない場合、5ppm未
満に規制した。
【0041】表2は表1に示す鋼を種々の条件で製造し
た結果を示すもので、No.1〜16は請求項1又は2
記載の発明を満足する鋼の製造結果で、No.17〜2
5は発明の範囲外の鋼による製造結果を示す。
た結果を示すもので、No.1〜16は請求項1又は2
記載の発明を満足する鋼の製造結果で、No.17〜2
5は発明の範囲外の鋼による製造結果を示す。
【0042】No.1〜16において、No,1、5〜
11、13〜16は請求項3乃至5の何れかに記載の発
明の実施例であり、優れた母材特性及びHAZ靭性が得
られている。一方、No.2〜4、12は請求項3乃至
5の何れかに記載の発明の比較例で、製造条件の一部が
発明の範囲外であり、母材特性及びHAZ靭性に劣って
いる。No.2、3は再結晶温度〜再結晶温度+50℃
での圧下量、圧延形状比が発明範囲外で小さく、母材、
HAZ靭性ともに劣っている。No.4は冷却速度が遅
く、靭性に加えて強度も低かった。No.12は加熱温
度が高く母材、HAZ靭性ともに劣っている。No.1
7〜25は化学成分が請求項1又は2記載の発明の範囲
外であり、HAZ靭性が劣っている。
11、13〜16は請求項3乃至5の何れかに記載の発
明の実施例であり、優れた母材特性及びHAZ靭性が得
られている。一方、No.2〜4、12は請求項3乃至
5の何れかに記載の発明の比較例で、製造条件の一部が
発明の範囲外であり、母材特性及びHAZ靭性に劣って
いる。No.2、3は再結晶温度〜再結晶温度+50℃
での圧下量、圧延形状比が発明範囲外で小さく、母材、
HAZ靭性ともに劣っている。No.4は冷却速度が遅
く、靭性に加えて強度も低かった。No.12は加熱温
度が高く母材、HAZ靭性ともに劣っている。No.1
7〜25は化学成分が請求項1又は2記載の発明の範囲
外であり、HAZ靭性が劣っている。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、入熱50〜100kJ
/cm程度の中,大入熱による溶接部においても優れた
破壊靭性を有する厚肉材の780MPa級以上の高張力
鋼およびその製造方法が提供され、産業上極めて有用で
ある。
/cm程度の中,大入熱による溶接部においても優れた
破壊靭性を有する厚肉材の780MPa級以上の高張力
鋼およびその製造方法が提供され、産業上極めて有用で
ある。
【図1】鋼板の圧延状態を説明する図
【図2】CTOD試験片を説明する図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA05 AA11 AA14 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 BA01 CA01 CA02 CB02 CD02 CD03 CD05 CF02
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.04〜0.12%、
Si:0.02〜0.30%、Mn:0.4〜1.5
%、P≦0.010%、S≦0.005%、Cu:0.
05〜1.0%、Ni:0.5〜5.0%、Cr:0.
05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Ti≦
0.015%、N≦30ppm,Al≦0.035%を
含有し、B<5ppmとなすことを特徴とする溶接部靭
性に優れた高張力鋼。 - 【請求項2】 重量%で、V:0.01〜0.10%、
Nb:0.005〜0.050%の1種または2種を含
有する請求項1記載の溶接部靭性に優れた高張力鋼。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の組成を有する鋼
を950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶
温度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld
/hm≧0.7の圧延後、2℃/sec以上の冷却速度
で500℃以下まで冷却後放冷することを特徴とする溶
接部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。但し、ld=√
(R*(hi−ho)),hm=(hi+2*ho)/
3,ここでR:圧延ロール半径、hi:圧延入り側板
厚、ho:圧延出側板厚を表す。 - 【請求項4】 請求項1又は2に記載の組成を有する鋼
を950〜1200℃に再加熱し、再結晶温度〜再結晶
温度+50℃において圧下率≧10%、圧延形状比ld
/hm≧0.7の圧延後、更に未再結晶温度域で圧下率
50%以下の圧延を行ない、その後、2℃/sec以上
の冷却速度で500℃以下まで冷却後放冷することを特
徴とする溶接部靭性に優れた高張力鋼の製造方法。 - 【請求項5】 2℃/sec以上の冷却速度で500℃
以下まで冷却し放冷後、Ac3変態点以下の温度で焼戻
すことを特徴とする請求項3又は4に記載の溶接部靭性
に優れた高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22521499A JP2001049385A (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | 溶接部靭性に優れた高張力鋼及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22521499A JP2001049385A (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | 溶接部靭性に優れた高張力鋼及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001049385A true JP2001049385A (ja) | 2001-02-20 |
Family
ID=16825783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22521499A Pending JP2001049385A (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | 溶接部靭性に優れた高張力鋼及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001049385A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009132995A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-06-18 | Jfe Steel Corp | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
WO2014132627A1 (ja) | 2013-02-28 | 2014-09-04 | Jfeスチール株式会社 | 厚鋼板及び厚鋼板の製造方法 |
WO2015156179A1 (ja) * | 2014-04-08 | 2015-10-15 | 株式会社神戸製鋼所 | 極低温でのhaz靱性に優れた厚鋼板 |
-
1999
- 1999-08-09 JP JP22521499A patent/JP2001049385A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009132995A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-06-18 | Jfe Steel Corp | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
WO2014132627A1 (ja) | 2013-02-28 | 2014-09-04 | Jfeスチール株式会社 | 厚鋼板及び厚鋼板の製造方法 |
US10041159B2 (en) | 2013-02-28 | 2018-08-07 | Jfe Steel Corporation | Thick steel plate and production method for thick steel plate |
WO2015156179A1 (ja) * | 2014-04-08 | 2015-10-15 | 株式会社神戸製鋼所 | 極低温でのhaz靱性に優れた厚鋼板 |
JP2015199983A (ja) * | 2014-04-08 | 2015-11-12 | 株式会社神戸製鋼所 | 極低温でのhaz靱性に優れた厚鋼板 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040817 |