JP2000256777A - 強度および低温靱性に優れた高張力鋼板 - Google Patents
強度および低温靱性に優れた高張力鋼板Info
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Abstract
強度・低温靱性および溶接性に優れた高張力鋼板の提
供。 【解決手段】 重量%で、C:0.005〜0.12
%、Si:0.02〜0.5%、Mn:0.3〜2.2
%、P :0.02%以下、S:0.01%以下、M
o:0.01〜1%、Al:0.05%以下、Ti:
0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.00
3%、N:0.01%以下を含有し、残部が鉄および不
可避的不純物からなり、0%≦Ti−3.4N≦0.0
2%を満足する鋼片を1000〜1250℃の温度に加
熱し、950℃以下の圧下量が30%以上かつ仕上げ温
度が700〜850℃となるように圧延を行い、圧延後
0.05〜100℃/秒の冷却速度で冷却して製造する
ことを特徴とする強度および低温靱性に優れた高張力鋼
板。好ましくは、Nb、Ni、Cr、Cu、V、Ca、
Mg、REMのうち1種または2種以上を含有する。
Description
よび溶接性に優れた高張力鋼板に関わるものである。
造物(建築、橋梁、圧力容器、造船、建機等)におけ
る、高張力鋼の使用は多岐にわたり、溶接用高張力鋼の
需要は着実な増加を示している。溶接構造物に使用され
る鋼は当然のことながら高強度に加え、安全性、作業性
の面から、高靱性と優れた溶接性を併せ持つことが要求
されるが、これらの特性を満足する鋼の製造法として現
在ではラインパイプ材の製造に広く使用されている制御
圧延法(CR法)と圧延後焼き入れ焼き戻し処理を行う
焼き入れ焼き戻し法(QT法)がよく知られている。
にフェライト・パーライトであり、得られる強度と板厚
には自ずと限界が存在する。すなわち、高靱性に有利な
アシキュラーフェライトもしくはベイナイト組織とする
には冷却速度を著しく速めるかもしくは多量の合金添加
を必要とする。また、後者では、再加熱工程が必要なた
めコスト高になると共に生産能力上の制約がある。
め、省エネルギ−、省資源(合金元素の削減)化を徹底
した制御圧延・制御冷却法(TMCP法)の開発が進め
られている。この方法で製造した鋼はCRとQT法の長
所を併せ持ち低合金ないし特別な合金添加無しで優れた
材質が得られるという特徴をもつ。しかしながら、従来
の制御冷却法で製造した鋼は次のような欠点を有してい
る。(1)圧延後急冷を行った場合、強度が高すぎるた
め延靱性回復のために焼き戻し処理が必須となる。
(2)溶接時の熱影響部(HAZ)の軟化が大きく、特
に高降伏点、高張力鋼では溶接部の強度確保が困難であ
る。(3)板厚断面方向の組織が不均一で硬度差が大き
い。(4)冷却条件(冷却開始、停止温度及び速度)の
コントロールが微妙で材質が不安定である。
あるいは特開昭61−67717号公報では成分、圧下
量、冷却速度、停止温度を制御することによって、板厚
断面硬度差を小さくするとしている。しかしながら、極
厚鋼板では板厚方向での冷却速度が必然的に異なるため
に、板厚断面硬度差を制御することは難しい。また、特
開昭58−77528号公報にはNbとBの複合添加に
より組織をベイナイト組織とし、板厚断面方向の硬度差
を制御すると記載されているが、冷却速度を15〜40
℃/秒範囲に制御するために、極厚鋼板での板厚方向の
硬度差を均一にすることは非常に難しい。
厚方向での材質のバラツキが少なく、かつ強度・低温靱
性および溶接性に優れた50キロもしくは60キロ級以
上の機械的性質を有する高張力鋼板を提供することを目
的としている。
足する高張力鋼板の成分とその製造方法を特定するに至
って完成されたもので、その要旨とするところは、 (1)重量%で、C:0.005〜0.12%、Si:
0.02〜0.5%、Mn:0.3〜2.2%、P:
0.02%以下、S:0.01%以下、Mo:0.01
〜1%、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜
0.03%、B:0.0005〜0.003%、N:
0.01%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純
物からなり、0%≦Ti−3.4N≦0.02%を満足
する鋼片を1000〜1250℃の温度に加熱し、95
0℃以下の圧下量が30%以上かつ仕上げ温度が700
〜850℃となるように圧延を行い、圧延後0.05〜
100℃/秒の冷却速度で冷却して製造することを特徴
とする強度および低温靱性に優れた高張力鋼板。
1〜0.15%を、さらに含有することを特徴とする前
記(1)に記載の強度および低温靱性に優れた高張力鋼
板。 (3)鋼片が、重量%で、Ni:0.1〜5%、Cr:
0.1〜1.5%、Cu:0.1〜1.5%、V:0.
01〜0.2%以下、Ca:0.0005〜0.005
%以下、Mg:0.0001〜0.005%以下、RE
M:0.0005〜0.005%以下のうち1種または
2種以上を含有することを特徴とする前記(1)または
(2)に記載の強度および低温靱性に優れた高張力鋼板
である。
決すべく制御圧延・制御冷却法(TMCP法)に適した
成分系、加熱圧延、冷却プロセスについて多数の実験と
詳細な検討を実施した結果、微量のTi、BにMoまた
は微量のTi、BにMoとNbを複合添加した鋼を制御
圧延、冷却することによって強度・低温靱性バランスが
飛躍的に向上することを見いだした。
れ性向上元素としてよく知られているが、ただ単にB添
加によって焼き入れ性を向上するだけでは良好な強度・
低温靱性は得られない。このため、微量TiおよびBと
Moまたは微量TiにBとNb、Moを複合添加する。
Tiは鋼中のNを固定し、Bの焼き入れ性向上効果を安
定化させるとともにNとの結合でできた微細なTiNは
加熱圧延中のオーステナイト粒成長を抑制し、変態後の
フェライト粒をも細粒化する。Nbはよく知られている
ように低温域での圧延(約950℃以下)によってオー
ステナイト粒を未再結晶化させ圧延組織を細粒化させ
る。またNbは固溶NbあるいはNb炭窒化物の析出に
よって、鋼の強度を向上させる。Moもよく知られてい
るように固溶Moによって鋼の強度を向上させる。
下でBとMoあるいはBとMo、Nbの複合添加によっ
て従来知られていなかった全く新しい現象が起きること
を発見した。すなわち、オーステナイトの未再結晶化開
始温度(再結晶温度)が、50℃以上高くなると同時
に、焼き入れ性が大幅に向上してB、Mo、Nbそれぞ
れ単独系から予想される値に比べて強度・低温靱性バラ
ンスの向上が極めて大きいことを発見した。さらにこの
効果は通常の熱処理または制御圧延単独効果よりも大き
いことを見いだした。
Nbの複合添加によって強度・低温靱性バランスが極め
て向上する理由は以下のように推察している。B単独添
加鋼の場合、Bはオーステナイト粒界に偏析しているも
の以外に、M23(CB)6の粗大な析出物を生成す
る。ここで、Mは金属元素を意味しており、例えばFe
23(CB)6等である。しかしながら、BとMoある
いはBとMoとNbを複合添加するとNbの炭窒化物お
よびNbおよびMoのCクラスターが微細に析出するこ
とが電子顕微鏡やアトムプローブ電界イオン顕微鏡で確
認されている。
子の拡散速度が減少し、M23(CB)6へのC原子の
供給を抑制する。すなわち、B,MoあるいはB,M
o,Nbを複合的に添加した場合にはM23(CB)6
としてのBの析出量が減少し、結果的に焼き入れ性に有
効なB原子の粒界偏析量が単独添加の場合に比較して著
しく増大したものと考えられる。この微量TiおよびB
とMoの複合添加または微量TiにB、Mo、Nbの複
合添加を施した鋼を用いれば、冷却速度が0.05℃/
秒以上100℃/秒以下の範囲で板厚方向の硬度差が少
なくかつ均一なベイナイト組織を有することが判明し
た。
上記の(1)から(4)の欠点は除去される。すなわ
ち、(1)についてはミクロ組織がベイナイト(アシュ
キラーフェライト、ベイニテイックフェライト、上部ベ
イナイト、下部ベイナイトを含む)単相組織となるた
め、焼き戻し処理がなくても延靱性が良好である。
(2)についてはTiとB、MoあるいはTiとB、M
o、Nbの複合添加により、溶接部についても焼き入れ
性が向上し、溶接部の強度確保が容易である。
化効果、焼き入れ性が大きいため冷却速度・厚みにかか
わらず安定した硬さ分布を示す。さらに950℃以下の
低温未再結晶温度域で圧下量30%以上で圧延するた
め、表面ほど細粒オーステナイトとなり、焼き入れ性が
低下して厚み方向の組織は均一となる。(4)について
はオーステナイト粒の細粒化の徹底、焼き入れ性の安定
確保により、比較的広範囲の加熱圧延冷却条件下で安定
な強度/低温靱性バランスを示す。
材に比べ、低成分(低炭素当量)で優れた強度・低温靱
性が得られるため、溶接時の硬化性、割れ感受性が低
く、また、溶接部の靱性が極めて良好である。このた
め、本発明鋼は50キロ級ないしは60キロ級以上の溶
接構造用鋼として広い用途(建築、橋梁、圧力容器、造
船、建機等)に適用可能である。
べる。 C:鋼における母材強度を向上させる基本的な元素とし
て欠かせない元素であり、その有効な下限値として0.
005%以上の添加が必要であるが、0.12%を越え
る過剰の添加では、鋼材の溶接性や靱性の低下を招くの
で、その上限を0.12%とした。 Si:Siは製鋼上脱酸元素として必要な元素であり、
鋼中に0.02%以上の添加が必要であるが、0.5%
を越えると溶接部ならびにの靱性を低下させるのでそれ
を上限とする。
保に必要な元素であるが、2.2%を越えると焼き入れ
性が増加し、ベイナイトだけでなく靱性に有害な島状マ
ルテンサイトを多量に生成し、母材ならびに溶接部の靱
性を著しく阻害するが、逆に0.3%未満では、母材の
強度確保が困難になるために、その範囲を0.3〜2.
2%とする。
り、0.02%を越えて含有すると鋼材の母材だけでな
く溶接部の靱性を著しく阻害するのでその含有される上
限を0.02%とした。 S:Sは0.01%を越えて過剰に添加されると粗大な
硫化物の生成の原因となり、母材ならびに溶接部の靱性
を劣化させるのでその含有される上限を0.01%とし
た。
bと共に重要な合金元素であり、母材の強度・低温靱性
をともに向上させる基本元素である。しかしながら、
0.01%未満では顕著な効果がない。一方多すぎると
焼き入れ性を増大させ、母材、溶接部の靱性を劣化させ
るので上限を1%とした。 Al:Alは通常脱酸材として添加されるが、0.05
%を越えると溶接部の靱性が劣化するために上限を0.
05%とした。
05〜0.03%)では微細なTiNを形成し、圧延組
織およびHAZの細粒化、つまり、靱性向上に効果的で
ある。この場合NとTiは化学量論的に当量近傍が望ま
しく、0%≦Ti−3.4N≦0.02%が良好であ
る。また、本発明では、Nを固定、Bの焼き入れ性を確
保する効果を併せ持つ。Ti添加量の上限は微細なTi
Nが鋼片中に通常の製法で得られ、また、TiCによる
靱性劣化が起きない条件から0.03%とした。また、
0.005%未満ではTiNの十分な効果が得られない
ので下限を0.005%とした。
≦0.02%と限定した理由はTiによってNを十分に
固定し、Bの焼き入れ性向上効果を発揮させるためであ
って上限0.02%は過剰のTiがTiCを大量に形成
して靱性を劣化させない条件から、また、下限の0%は
フリーNが多くならない条件、換言するとBNの形成を
抑制するために規定したものであり、焼き入れ性が低下
しない条件からその値は決定した。
し、焼き入れ性を向上させ、ベイナイト組織を生成しや
すくするが、0.0005%未満では顕著な焼き入れ性
改善効果が無く、0.003%超になるとBNやBco
nstituentを多く生成するようになるために母
材やHAZの靱性を劣化させる。このため、下限を0.
0005%、上限を0.003%とした。 Nb:圧延組織の細粒化、焼き入れ性の向上と析出硬化
のため含有させるもので強度・低温靱性を共に向上させ
る重要な元素である。制御圧延材では0.15%を越え
て添加しても材質効果がなく、また、溶接性およびHA
Z靱性に有害であるために上限を0.15%に限定し
た。また、下限0.001%は材質上の効果を有する最
小値である。
a、Mgの成分限定の理由について示す。 Ni:HAZの硬化性および靱性に悪影響を与えること
なく母材の強度・低温靱性を向上させる特性を持つが、
0.1%未満ではその効果が無く、5%を越えるとHA
Zの硬化性および靱性上好ましく無いため、下限を0.
1%、上限を5%とした。 V:Nbとほぼ同様の効果をもつが、0.01%以下で
は顕著な効果が無く、上限は0.2%まで許容できる。
性にも効果を有するが、0.1%未満では顕著な効果が
無く、1.5%を越えるとHAZの硬化性を増大させ、
低温靱性・溶接性の低下が大きくなり好ましくない。こ
のため、下限を0.1%、上限を1.5%とした。 Cu:Niとほぼ同等の効果を持つと共に、耐食性、耐
水素誘起割れ性にも効果がある。しかし、0.1%未満
ではNi同様顕著な効果が無く、1.5%を越えるとN
iを添加しても圧延中に割れが発生し、製造が難しくな
る。このため、下限を0.1%、上限を1.5%とし
た。
その有効範囲は0.0005〜0.005%である。 Mg:Tiとの複合脱酸によって微細な酸化物が微細分
散し、溶接部の粗大粒成長の防止、粒内フェライトの生
成促進効果によりHAZ靱性の向上をもたらす。また、
REMやCaと同様にMnSの球状化によってシャルピ
ー吸収エネルギ−、延性脆性遷移温度が向上する。0.
0001%未満であると事実上効果が無く、また、0.
005%を越えて添加すると粗大なMg酸化物、Mg硫
化物が生成して大型介在物となり、鋼の低温靱性のみな
らず清浄度を害し、また溶接性についても悪影響を及ぼ
す。
吸収エネルギ−衝撃値を向上させる他、圧延によって、
延伸化したMnSと水素による内部欠陥の発生防止を防
止する。REMの含有量については0.0005%未満
であると事実上効果が無く、また、0.005%を越え
て添加するとREM−S(硫化物)またはREM−O−
S(酸化物と硫化物の複合体)が大量に生成して大型介
在物となり、鋼の低温靱性のみならず清浄度を害し、ま
た溶接性についても悪影響を及ぼす。
る。まず、加熱温度を1000〜1250℃に限定した
理由は、加熱時のオーステナイト粒を小さく保ち圧延組
織の細粒化をはかるためである。1250℃は加熱時の
オーステナイト粒が極端に粗大化しない上限であって、
加熱温度がこれを越えるとオーステナイト粒が粗大混粒
化し、冷却後の上部ベイナイト組織も粗大化するため、
鋼の靱性が著しく劣化する。一方、加熱温度があまりに
低すぎると、Nb,Vなどの析出硬化元素が十分に固溶
せず強度・低温靱性バランスが劣化するだけでなく、圧
延終段の温度の下がりすぎのために、制御冷却による十
分な材質向上効果が期待できない。このため、下限を1
000℃とする必要がある。
圧下量を30%以上とし、仕上げ温度を700〜850
℃の範囲とした理由は未再結晶温度での十分な圧延を加
えることによってオーステナイト粒の細粒化・延伸化を
徹底し、冷却後に生成する変態組織を細粒均一化するた
めである。このように細粒オーステナイトを十分延伸化
することにより、圧延冷却後生成するフェライト、上部
ベイナイト組織を十分細粒化すると、靱性が大幅に向上
する。しかし、仕上げ温度が不適当であると良好な強度
・低温靱性が得られない。仕上げ温度の下限を700℃
としたのは過度の変態点以下の(γ+α)域圧延によっ
て延靱性を劣化させないためである。また、仕上げ温度
が700℃未満では制御圧延による十分な強度上昇効果
が期待できない。一方、仕上げ温度が余りにも高すぎる
と制御圧延によるオーステナイト粒の細粒化効果が期待
できず靱性が低下する。このため上限を850℃とする
必要がある。
低温靱性を得るために板厚方向に均一な変態組織が得ら
れるように行わなければならない。このため、種々の実
験を行った結果、圧延終了後から0.05℃/秒以上1
00℃/秒以下の冷却速度で実施すると板厚方向に均一
な変態組織が得られることがわかった。この理由は0.
05℃未満ではベイナイト組織が生成しにくく、強度の
向上が十分でない。また、100℃/秒の上限を規定し
た理由は現状設備の最も大きい値であり、特にこれに限
定されるものではない。しかしながら、成分系によって
は多量の島状マルテンサイトが生成し、延靱性を劣化さ
せる場合があり、0.1℃/秒〜80℃/秒の範囲が実
用的に有効である。
炉、連続鋳造工程で製造した種々の化学成分の鋳片を用
い、製造プロセスを変えて板厚10〜200mmの鋼板
を製造した。表1および2は本発明鋼と比較鋼の化学成
分を示したものである。これらの鋼板を再加熱後に種々
の圧延条件で製造した場合の母材の機械的性質を表3に
示した。表3から明らかなように、板厚を広く変えた鋼
板であるにもかかわらず本発明に従って製造した鋼材1
〜24はいずれも高強度と良好な低温靱性を兼ね備えて
いる。
いしは60キロ級の強度レベルを十分に確保できると同
時に、建築や橋梁用鋼として脆性破壊の抑制の観点から
必要な低温靱性(vE0 :0℃でのシャルピー吸収エネ
ルギー、あるいはvE-20 :−20℃での同値)が三ケ
タ以上を有し、母材の強度・靱性バランスは著しく向上
する。JIS規格によれば、建築用鋼として利用される
SN鋼の場合にはvE 0 ≧27J、また、橋梁用のSM
570鋼ではvE 5≧47Jがそれぞれ保証されるべき
数値として示されており、本発明鋼の靱性値はこれら用
途に対して極めて良好である。また、表4は入熱量50
kJ/cm、100kJ/cmの各溶接条件で実継手を
作製した場合のHAZ靱性の評価結果であり、母材靱性
と同様に良好な値となっている。なお、表3および表4
のシャルピー吸収エネルギーの値は3本の試験結果の平
均値である。
度あるいは低温靱性のいずれかが不満足で、溶接構造用
鋼としてのバランスに欠けている。表3の比較鋼中、鋼
材25、26、27は本発明の必須元素であるMo、T
i、Bのいずれかが添加されていないため母材強度と低
温靱性が劣っている。これらは表4に示すごとくHAZ
靱性も本発明鋼に比較して低値になっている。また、比
較鋼28〜34はC、Si、Mn、P、Sの含有量が規
定外の場合であり、28と31は強度の著しい低下が生
じており、他は母材靱性あるいはHAZ靱性が十分でな
い。
明の範囲外であり、母材の強度不足やHAZ靱性の劣化
が生じている。さらに、比較鋼38と39は(Ti−
3.4N)の値がいずれも負の値になっており、過剰な
フリーNによって母材靱性並びにHAZ靱性が著しく低
い値を呈している。表5は表1および2の鋼材2を圧延
条件を変えて製造した場合の母材の機械的特性を示した
もので、再加熱温度、圧下率、仕上げ温度が本発明の範
囲外に該当し、十分な機械的特性が得られていない。
接性に優れた高張力鋼板の製造が可能となり、建築分野
や橋梁分野、さらには圧力容器、造船分野、建機分野等
の産業界への貢献は計り知れない。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.005〜0.12%、 Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.3〜2.2%、 P :0.02%以下、 S :0.01%以下、 Mo:0.01〜1%、 Al:0.05%以下、 Ti:0.005〜0.03%、 B :0.0005〜0.003%、 N :0.01%以下 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、0
%≦Ti−3.4N≦0.02%を満足する鋼片を10
00〜1250℃の温度に加熱し、950℃以下の圧下
量が30%以上かつ仕上げ温度が700〜850℃とな
るように圧延を行い、圧延後0.05〜100℃/秒の
冷却速度で冷却して製造することを特徴とする強度およ
び低温靱性に優れた高張力鋼板。 - 【請求項2】 鋼片が、重量%で、Nb:0.001〜
0.15%を、さらに含有することを特徴とする請求項
1に記載の強度および低温靱性に優れた高張力鋼板。 - 【請求項3】 鋼片が、重量%で、 Ni:0.1〜5%、 Cr:0.1〜1.5%、 Cu:0.1〜1.5%、 V :0.01〜0.2%以下、 Ca:0.0005〜0.005%以下、 Mg:0.0001〜0.005%以下、 REM:0.0005〜0.005%以下 のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
請求項1または2に記載の強度および低温靱性に優れた
高張力鋼板。
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JP05961299A JP4112733B2 (ja) | 1999-03-08 | 1999-03-08 | 強度および低温靭性に優れた50キロ(490MPa)ないし60キロ(588MPa)級の厚手高張力鋼板の製造方法 |
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JP05961299A Expired - Fee Related JP4112733B2 (ja) | 1999-03-08 | 1999-03-08 | 強度および低温靭性に優れた50キロ(490MPa)ないし60キロ(588MPa)級の厚手高張力鋼板の製造方法 |
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