JPS6126470Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は耐久性の向上を図つたシールド掘進機
用カツタビツトに関する。

〔従来の技術〕

一般にシールド掘進機は、第１図に示すごとく
筒体状シールドフレーム１の前面開口部にこれを
覆うごとくカツタ２を回転駆動自在に備えてお
り、切羽を掘削しつつその切削したズリをカツタ
後面側に区画形成されたカツタ室３内に取込み、
コンベヤ等の搬送手段を介して外部へ搬出するよ
うに構成されている。そして、上記カツタ２は第
２図に示すごとく正逆回転する円板状の回転カツ
タ面板（以下カツタ面板という。）４上に切削用
カツタビツト５を取付けて構成され、具体的には
カツタ面板４にその半径方向に沿つて設けられた
スポーク６（図示例では、相対向する半径方向に
連続して１本設けられている。）にその長手方向
に沿つて適宜間隔にカツタビツト５を取付けてい
る。

特に、カツタ面板４におけるスポーク６の両側
にはこれに沿つてズリ取込用スリツト７，７が形
成され、カツタビツト５で切削されたズリをカツ
タ室３内に取込むようになつており、各カツタビ
ツト５はその刃先である超硬合金のチツプ８をス
リツト７側に臨ませて配設されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、このカツタビツト５のチツプは砂礫
層などの硬い切羽を切削した場合には破損し易い
ものであるが、殊に従来のカツタビツト５にあつ
ては一般に第３図に示すごとくビツトシヤンク部
５ａの先端部に単にチツプ８を設けただけの構造
であつたので、このチツプ８が破損した場合には
切削が不可能となるため、その都度新品と交換し
なければならなかつた。すなわち、チツプ８が破
損して切削不能のまま面板の回転を続けると切削
されない切羽によつてカツタ面板４が摩耗破傷す
るため切削を中断してカツタビツト５を交換しな
ければならなかつた。ところで、シールド掘進機
は掘削作業を連続的に行うことを目的とするもの
であるから、掘削作業を中断することは、作業の
連続化の妨げとなつていた。

また、従来のカツタビツト５にあつては、切羽
面に摺接する背面部Ｘに摩耗を生じ易いなど、耐
久性が低い問題があつた。

本考案は上述したごとき従来のシールド掘進機
用カツタビツトの有する問題点にかんがみ、これ
らを有効に解決すべく案出されたものである。本
考案の目的とするところは、たとえチツプが破損
したとしても引続いて切削を行うことができると
共に、背面部の摩耗を未然に防止することができ
る耐久性のあるシールド掘進機用カツタビツトを
提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、シールド掘進機の掘進方向前端部に
回転自在に回転カツタ面板を設け、該回転カツタ
面板に半径方向に沿つてスポークを設けると共に
スポークの両側に沿つてズリ取込用スリツトを形
成し、上記スポークの掘進方向前面の両側部にズ
リ取込用スリツト側へ臨むチツプを有するカツタ
ビツトを配設し、これらカツタビツトの掘進方向
前端部に上記チツプと略同一突出高さで補助チツ
プを設けたものである。

〔作用〕

回転カツタ面板の回転方向とは反対の方向に臨
む逆回転用カツタビツトの背面部（掘進方向前端
部）が切羽との摩耗を生じ易いが、補助チツプに
よつてその摩耗を未然に防止することができる。
またチツプが破損した場合には補助チツプが切削
を行うことができる。

〔実施例〕

以下に本考案の好適一実施例を第４図以降の図
面に従つて詳述する。

シールド掘進機のカツタ部分を示す第４図およ
び第５図において、１０は本考案に係るカツタビ
ツトであり、そのビツトシヤンク部１０ａの一端
部を基部１１より斜め上方に延出形成してこれを
チツプ取付部１２としてある。このチツプ取付部
１２にはビツトシヤンク部１０ａの幅方向に沿つ
て刃先としての超硬合金から成るチツプ１３がろ
う付け等の一般手段により固着されている。図示
例では、このチツプ１３は長手方向に沿つて適宜
間隔に３分割され、その分割された端側の１つの
チツプ構成片１３ａがビツトシヤンク部１０ａの
長手方向に延出すべくその高さ方向に連続した山
形状に成型されている。

一方、ビツトシヤンク部１０ａの掘進方向前端
部は、その一端部であるチツプ取付部１２から他
端部１４に向つて高さを低くすべく斜め下方に漸
次傾斜して形成され、この傾斜部を背面部Ｙとし
ている。この背面部Ｙにおけるチツプ１３の後側
には本考案の特徴とする補助チツプ１５が設けら
れ、具体的にはビツトシヤンク部１０ａの背面部
Ｙにその幅方向に沿つて形成された溝内に基端部
１５ｂを挿入してろう付け等により固着すること
によつて補助チツプ１５が取付けられている。こ
の補助チツプ１５は上記チツプ１３と同様に超硬
合金から成るものである。その先端部１５ａを背
面部Ｙより突出させてチツプ１３の高さと略等し
く設定してある。なお、図示例で補助チツプ１５
はビツトシヤンク部１０ａの巾方向における山形
チツプ構成片１３ａ側に配設されている。

このように構成されたカツタビツト１０は、チ
ツプ１３をズリ取込用スリツト７側に臨ませた状
態で、ビツトシヤンク部１０ａの基部１１をスポ
ーク６に固定することによりカツタ面板４上に取
付けられ、この取付方法によりスポーク６の長手
方向に沿つて適宜間隔に複数配設される。特に、
図示例のカツタビツト１０は山形チツプ構成片１
３ａがカツタ面板４の半径方向外側に位置するよ
うに配設されている。

すなわち、補助チツプ１５はカツタ面板４の回
転方向におけるチツプ１３に対して後側に設けら
れるのである。

しかして、以上のように構成されたカツタビツ
トは、その背面部Ｙが補助チツプ１５によつて保
護されることから、例えば第５図においてカツタ
面板４の正回転により図中左側のカツタビツト１
０が切削している場合、これに相対向する図中右
側の逆回転時用カツタビツト１０の背面部Ｙが切
羽に摺接していることにより生じやすいこの背面
部Ｙの摩耗を、補助チツプ１５の切削作用により
未然を防止することができる。特に、補助チツプ
１５は切削機能を発揮することができるため、た
とえチツプ１３が砂礫等によつて破損したとして
も、補助チツプ１５により引続いて切削を行うこ
とができる。従つて、シールド掘進機は掘削作業
中にカツタビツトのチツプが破損してもその交換
を行う必要がないことにより作業の中断を要する
ことなく、掘削作業の連続化が達成されることに
なる。

〔考案の効果〕

以上要するに、本考案によれば次のような優れ
た効果を奏する。

(1) 回転カツタ面板のスポークの両側部に配設さ
れるカツタビツトの掘進方向前端部にそれぞれ
のチツプと略同一高さで補助チツプを設けたの
で、回転カツタ面板の回転方向とは反対の方向
に臨む逆回転用カツタビツトの掘進方向前端部
の切羽との摩耗による摩耗を上記補助チツプに
より未然に防止することがきる。

(2) 補助チツプがチツプと略同一突出高さで設け
られているので、たとえチツプが破損したとし
ても補助チツプにより引続いて切削を行うこと
ができる。

(3) 従つて、耐久性のあるシールド掘進機用カツ
タビツトを提供することができ、カツタビツト
としての信頼性を可及的に向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案をより具体的に説明するもので、
第１図はシールド掘進機のカツタ部分近傍の側断
面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線正面図、第３図は
第２図Ｂ−Ｂ線断面により従来例を示した断面
図、第４図は第２図Ｃ部の拡大により本考案の好
適一実施例を示した正面図、第５図は第４図Ｄ−
Ｄ線断面図である。 図中、４は回転カツタ面板、６はスポーク、７
はズリ取込用スリツト、１０はカツタビツト、１
０ａはビツトシヤンク部、１３はチツプ、１５は
補助チツプである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シールド掘進機の掘進方向前端部に回転自在に
   回転カツタ面板を設け、該回転カツタ面板に半径
   方向に沿つてスポークを設けると共にスポークの
   両側に沿つてズリ取込用スリツトを形成し、上記
   スポークの掘進方向前面の両側部にズリ取込用ス
   リツト側へ臨むチツプを有するカツタビツトを配
   設し、これらカツタビツトの掘進方向前端部に上
   記チツプと略同一突出高さで補助チツプを設けた
   ことを特徴とするシールド掘進機用カツタビツ
   ト。