JPS6338316Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (a) 産業上の利用分野 本考案はシールド掘進機のオーバカツタ装置の
カツタビツトの改良に関し、詳しくは、シールド
掘進機が左右または上下に曲進掘削する場合のオ
ーバカツト時に生じる掘削ズリを、掘進機本体の
側方に残留させることなく回収することができ、
シールド掘進機の曲進を円滑にするようにしたオ
ーバカツタ装置のカツタビツト関する。これはト
ンネル掘削するシールド掘進機の曲進を円滑に行
なわせる分野で利用されるものである。

(b) 従来技術 第１図ａおよびｂに示すように、従来のシール
ド掘進機１のオーバカツタ装置２のカツタビツト
３は、カツタデイスク４の半径方向に進退自在に
設けられ、特に、先行ビツト５が設けられている
場合にはその配列直径上の端部に装着されてい
る。第２図に示すように、シールド掘進機１が左
右または上下に曲進するには、まず少なくとも掘
進機１の周囲の地山８を距離δだけオーバカツト
し、シールドジヤツキ６ｂの伸長を停止もしくは
保持してシールドジヤツキ６ａを伸長させればよ
い。

その結果、シールドジヤツキ６ａが強くセグメ
ントリング７を押圧し、その反力によりシールド
掘進機１の中心線が曲線半径Ｒに沿つて曲進する
ことができる。

ところで、第１図ａおよびｂに示すように、図
示４個のカツタビツト３が、カツタデイスク４の
半径方向に進出されると、その進出量δ相当の地
山８が掘削されるが、そのカツタビツト３による
掘削ズリ９は、カツタビツト３の進退する開口部
１１あるいはカツタデイスク４の前面の開口部１
２からカツタデイスク４の内部のカツタチヤンバ
１３に掻き込まれると都合が良いが、往々にして
その掻き込みは十分行なわれず、掘進機本体１０
の側方に残留し、オーバカツトの目的であるシー
ルド掘進機１の曲進に必要な空間１４を閉塞状態
にしてしまう問題点がある。とりわけ、硬質地盤
である土丹や砂岩のオーバカツトでは、掘削ズリ
９が掘進機本体１０の側方に残留される傾向は極
めて強く、曲進に必要な空間１４が確保されな
く、正常な曲進を阻害することが多い。

(c) 考案の目的 本考案は、上述の問題を解決するためになされ
たもので、シールド掘進機が左右または上下に曲
進する場合に掘進機本体の側方に必要な空間を確
保できるように、オーバカツト時の掘削ズリが掘
進機本体の側方に残留することを回避し、シール
ド掘進機の円滑な曲進を可能とするオーバカツタ
装置のカツタビツトを提供することを目的とす
る。

(d) 考案の構成 本考案の構成を図面に基づいて説明すると、第
３図ａおよびｂに示すように、シールド掘進機２
０のカツタデイスク２１の半径方向に進退自在の
オーバカツタ装置２２がカツタデイスク２１の内
部に装着され、そのオーバカツタ装置２２に装着
されるカツタビツト２３，２３ａ，２３ｂはカツ
タデイスク２１面に平行しかつカツタビツト２
３，２３ａ，２３ｂの刃高より低い円弧状外周を
有する平板状のスクレーパ２６ａおよび２６ｂ
が、カツタビツト２３，２３ａ，２３ｂの掘進機
２０の前進方向２０Ａの反対面であるＦ面に固着
されている。

(e) 実施例 以下、本考案をその実施例の図面を参照しなが
ら説明する。

第３図ａは本考案の断面図で同図ｂは正面図で
あり両図に示すように、シールド掘進機２０のカ
ツタデイスク２１内部にオーバカツタ装置２２が
設けられ、そのオーバカツタ装置２２に装着され
たカツタビツト２３，２３ａ，２３ｂをカツタデ
イスク２１の半径方向に進退自在に移動させる油
圧シリンダ２４がカツタデイスク２１内部に設け
られると共に、その油圧シリンダ２４とカツタビ
ツト２３，２３ａ，２３ｂとを結合し、かつ、カ
ツタビツト２３の移動を案内するガイド部２５が
設けられている。

第４図ａに示す２６ａおよび２６ｂはスクレー
パで、カツタビツト２３，２３ａ，２３ｂの刃高
より低い円弧状外周を有する平板状であり、掘進
機２０の前進方向２０Ａの反対面、すなわち、Ｆ
面に固着されている。カツタビツト２３，２３
ａ，２３ｂはその掘削作動の際に、それが地山８
より掘削反力を受けるがそれを支える背もたれ板
３０がカツタデイスク２１に固着されている。そ
して、第３図ｂに示すように、カツタビツト２
３，２３ａ，２３ｂの装着近傍にカツタチヤンバ
３１に掘削ズリ９を掻き込む開口部３２ａおよび
３２ｂがカツタデイスク２１の表面に穿設され、
また、切羽用カツタビツト３３の近傍に開口部３
４が穿設されている。

このような構成の実施例によれば、次のように
作動させることができる。

第３図ａおよびｂに示すように、シールド掘進
機２０に曲進の必要が生じた場合には、予めその
準備のために地山８をオーバカツトして掘進機本
体２７の側方に空間３７を確保する。これは、オ
ーバカツタ装置２２の油圧シリンダ２４を伸長さ
せてガイド部２５を介してカツタビツト２３ａお
よび２３ｂをカツタデイスク２１の外方に進出さ
せて地山８に食い込ませると共に、カツタデイス
ク２１が矢符２８方向に回転中でありかつ掘進機
２０が掘進方向２０Ａに進行中であるので、カツ
タビツト２３ａは地山８に対して螺旋を描きなが
ら地山８の掘削に伴う反力を背もたれ板３０で支
えられながら掘削する。カツタビツト２３ａのＦ
面に固着されカツタデイスク２１面に平行なスク
レーパ２６ａが掘進機２０の掘進方向２０Ａの進
行に伴つてカツタデイスク２１と共に進行するの
で、掘削ズリ９はスクレーパ２６ａとカツタビツ
ト２３ａのＧ面の間に掻き集められて、矢符２８
方向に回転しながら矢符３５方向に移動し、開口
部３２ａを介してカツタチヤンバ３１内に掻き込
まれ処理される。一方、開口部３２ａに掻き込ま
れなかつた掘削ズリ９は、切羽用カツタビツト３
３近傍の開口部３４で掻き込まれるので、同じく
カツタチヤンバ３１で処理される。なお、スクレ
ーパ２６ａおよび２６ｂはカツタビツト２３ａお
よび２３ｂの刃高より低く固着されているが、そ
の差を僅少にしているので、この場合スクレーパ
２６ａの後方に残置される掘削ズリ９は僅かであ
り、掘進機本体２７の側方に残留される量は無視
し得る。上述の矢符２８と反対方向の矢符２９方
向にカツタデイスク２１が回転する場合も、掘削
ズリ９の処理は同様にして行なわれる。

したがつて、空間３７が確保されシールド掘進
機２０の曲進は円滑に行なわれ、トンネル掘削作
業の能率を高めることができる。なお、第５図ａ
に示すように、シールド掘進機２０の曲進に必要
な掘進機本体２７の側方の空間３７を、円環状に
形成するオーバカツトが行なわれる場合と、第５
図ｂに示すように、空間３７を図示の形状に形成
するコピーカツトが行われる場合とがある。後者
の場合には第３図ａに示す油圧シリンダ２４の伸
縮をカツタデイスク２１の回転と共に変化させカ
ツタビツト２３，２３ａ，２３ｂのカツタデイス
ク２１外方への進出量を適宜制御すればよい。こ
の場合は少ない掘削量でよいし、掘進機本体２７
が沈み込むといつたことを回避することもでき
る。

第４図ｂは異なる実施例で、カツタビツト２３
は一体物に形成されていている。このカツタビツ
ト２３がカツタデイスク２１の矢符２８方向およ
び矢符２９方向の回転に伴つて地山８を掘削する
場合も、そのカツタビツト２３のＦ面に固着され
たスクレーパ２６ａおよび２６ｂによる掘削ズリ
９の処理は、前述の実施例と同様に行なわれる。
なお、この場合、カツタビツト自体の剛性が高く
なるので前述した背もたれ板３０を設けなくてよ
い利点がある。

(f) 考案の効果 本考案は以上詳細に説明したように、カツタデ
イスク面に平行でかつカツタビツトの刃高より低
い円弧状外周を有する平板状のスクレーパがカツ
タビツトの掘進機前進方向反対面に固着されてい
るので、オーバカツト時スクレーパが掘削ズリを
その表面とカツタビツトの表面との間に掻き集
め、カツタデイスクと共に回転しながら掘進機の
進行方向に移動させることができる。その結果、
掘削ズリがカツタビツトの進退する開口部に掻き
込まれ、すなわち、カツタチヤンバ内に掻き込み
易くなると共に、その開口部に掻き込まれない掘
削ズリは切羽用カツタビツト近傍の開口部で掻き
込まれる。したがつて、掘進機本体の側方の空間
が確保され、シールド掘進機の曲進が極めて円滑
に行なわれ、その掘進能率を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来のシールド掘進機の断面図、同
図ｂは同図ａの−線矢視図、第２図はシール
ド掘進機の左右または上下の曲進状態図、第３図
ａは本考案の実施例であるオーバカツタ装置のカ
ツタビツト断面図、同図ｂは同図ａの−線矢
視図、第４図ａはカツタビツトの斜視図、同図ｂ
は異なる実施例の正面図、第５図ａはオーバカツ
トの状態図、同図ｂはコピーカツトの状態図であ
る。 ９……掘削ズリ、２０……シールド掘進機、２
０Ａ……掘進機前進方向、２１……カツタデイス
ク、２２……オーバカツタ装置、２３，２３ａ，
２３ｂ……カツタビツト、２６ａ，２６ｂ……ス
クレーパ、３１……カツタチヤンバ、Ｆ……反対
面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シールド掘進機のカツタデイスク半径方向に進
   退自在のオーバカツタ装置に装着されたカツタビ
   ツトにおいて、 カツタデイスク面に平行しかつ前記カツタビツ
   トの刃高より低い円弧状外周を有する平板状のス
   クレーパが、前記カツタビツトの掘進機前進方向
   反対面に固着され、 オーバカツト時の掘削ズリをカツタチヤンバ内
   に掻き込み易くしたことを特徴とするオーバカツ
   タ装置のカツタビツト。