JPS61215717A - 炭素繊維の製造法 - Google Patents

炭素繊維の製造法

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JPS61215717A
JPS61215717A JP1668286A JP1668286A JPS61215717A JP S61215717 A JPS61215717 A JP S61215717A JP 1668286 A JP1668286 A JP 1668286A JP 1668286 A JP1668286 A JP 1668286A JP S61215717 A JPS61215717 A JP S61215717A
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Takayuki Izumi
泉 孝幸
Tsutomu Naito
勉 内藤
Tomoo Nakamura
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高強度及び高弾性率を有する炭素繊維の製造
法に関し、さらに詳しくは、特定の成分組成の光学的異
方性炭素質ピッチを溶融紡糸して炭素繊維を製造する方
法に関するものである。
今後の省エネルギー、省資源時代に航空機、自動車その
他に必要な軽量かつ高強度、高弾性の複合材料の素材を
構成する低コストの高性能炭素繊維が強く要望されてい
る。
従来、高性能炭素繊維の製造のために適した光学的異方
性ピッチの組成及び構造について十分な開示はなく、炭
素質ピッチ物質の物性とその組成及び概略の構造との関
係については、従来、不明瞭であってこれを工業的規模
で安定に制御して得られる技術は未だ完成されていない
従来、開示されている光学的異方性ピッチ、例えば、特
開昭49−19127号、特開昭50−89635号公
報に記載されている光学的異方性弁 ピッチは、光学的等方性相鈴、はぼ、キノリンネ溶分(
またはビリジン不溶分)に相当し、光学的異方性相部分
を100%に近づけると、軟化点が著しく上昇し、紡糸
温度が400℃の近傍またはそれ以上となり、紡糸時に
ピッチの分解ガスの発生および重合が惹起することから
、従来の炭素繊維紡糸法は、光学的異方性相部分の含有
量を90%以下、好ましくは、50%〜65%に押えて
紡糸温度を熱分解及び熱重合が顕著に生じない温度に押
える方法を採用している。
しかしながら、このようなピッチ組成物は、光学的異方
性相と相当量の光学的等方性相との混合物であるため不
均質なピッチであり、紡糸時に糸切れが多いこ°と、繊
維の太さが不均一になること、または繊維の強度が低い
という難点を包蔵するものである。
また、特公昭49−8634号公報で開示されているピ
ッチ物質は、光学的異方性相が実質的に100%のよう
にも見うけられるが、ピッチ分子の化学構造を特定化し
た特殊のピッチであって、クリセン、フェナンスレン、
テトラベンゾフェナジン等の高価な純物質の熱重合で製
造されたちのであり、構造分子量が比較的整ったピッチ
であって、一般的な混合原料で製造した場合は軟化点が
非常に高い、一方、特公昭53−7533号公報に記載
されている炭素繊維製造用原料としてのピッチは、軟化
点紡糸温度が低く、紡糸は容易であるが、光学的異方性
相の含有率が開示されていない、また、原料炭化水素を
塩化アルミニウム等のルイス酸触媒を使用して重縮合し
ており、ピッチの組成と構造は特殊であり、そのピッチ
から製造された炭素繊維の強度及び弾性率は小さい、ま
た、触媒の完全な除去も困難であるという問題も包含さ
れている。
更に、特開昭54−55625号公報で開示されている
ピッチ物質は、実質上100%の光学的異方性相から成
る均質ピッチであるが、分子量分布がかなり狭く、後で
更に詳しく説明されるが本発明の光学的異方性ピッチの
重要な組成分であるn−へブタン可溶成分(以下「0成
分」という)と、n−へブタン不溶且つベンゼン可溶の
成分(以下「A成分」という)の含有量が少なく、更に
他の残余のベンゼン不溶成分中のキノリン可溶成分(以
下「B成分」という、)及びキノリンネ溶成分(以下r
cm分」という)の含有量が比較的多いため、その総合
的な結果として該従来のピッチ物質の軟化点は、約33
0℃以上であり、紡糸温度は、380℃〜400℃以上
に達することになり、この温度範囲では、工業的に安定
してピッチを紡糸することは依然困難を伴うものである
以上述べた如く、従来知られている光学的異方性相が1
00%に近い均質な光学的異方性ピッチは、いずれも軟
化点が高く、安定した紡糸が困難であり、一方、軟化点
の低いピッチは、特殊な出発原料から製造した特殊な組
成構造を有するもの以外は、不均質であり、同様に紡糸
が困難であって、この結果、品質の優れた炭素繊維を製
造することは難事である。
また、従来、一般に、光学的異方性ピッチを部分的な化
学構造又は平均分子量又はキノリンネ溶分(若しくはビ
リジン不溶分)含有量で規定しているが、これらの規定
の方法では、高性能炭素繊維その他の炭素材料を製造す
るために適した均質かつ低軟化点の光学的異方性ピッチ
組成物を特定することができず、適確ではない、すなわ
ち、光学的異方性ピッチと呼ばれる組成物は、極めて多
種で複雑な広範囲の化学構造及び分子量の化合物の混合
物であり、単純に一部分の又は全体の平均的な化学構造
の特徴のみで規定できるものではなく、また数百から数
百、場合によってはコークスに近い分子量まで含むよう
な幅広い分子量の組成物を平均分子量で規定してもピッ
チの品質を適確に特定することができない。
本発明者らは、高性能炭素繊維を製造するために適した
光学的異方性ピッチ組成物について種々検討したところ
、光学的異方性ピッチは、縮合多環芳香族の積層構造の
発達した分子配向性の良いピッチであるが、実際には種
々のものが混在し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭
素繊維の製造に適したものは特定の化学構造と組成を有
すること、すなわち、光学的異方性ピッチにおいて、前
記したC成分即ちn−へブタン可溶成分、及びA成分即
ちn−へブタン不溶且つベンゼン可溶の成分の組成、構
造1分子量が極めて重要であることを見出したのである
。更に詳しく言えば、0成分及びA成分を特定量含有す
るピッチ組成物が完全な光学的異方性ピッチとして存在
し得ること及びその構成バランスを適切に調整すること
が高性能炭素材料を実用的に製造するための光学的異方
性ピッチ組成物の必須の条件であることを見出し、本発
明を完成したものである。
更に、ピッチ組成物中の前記C成分及びA成分以外の残
余のベンゼン不溶成分であるキノリン可溶成分(以下「
B成分」という)と、キノリンネ溶成分(以下「C成分
」という)を特定することにより、更に優れた高性能炭
素材料を製造するための光学的異方性ピッチが提供され
ることが分った。
本発明は上記の発見に基づくものであり、本発明の主た
る目的は、低軟化点を有する高配向性で均質な、しかも
熱分解重縮合の顕著な温度より十分低い温度で紡糸する
ことができる紡糸性の良好な光学的異方性炭素質ピッチ
から高強度、高弾性率の炭素繊維を製造する方法を提供
することである。
本発明の目的は、光学的異方性炭素質ピッチの0成分及
びA成分の構成バランスを特定することによって高強度
、高弾性率の炭素繊維を製造する方法を提供することで
ある。
本発明の他の目的は、光学的異方性炭素質ピッチの0成
分、A成分、B成分及びC成分の構成ノくランスを特定
することによって更に高強度、高弾性率の炭素繊維を製
造する方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、特定の組成、構造及び分子量
を持ったot分、A成分、B成分及びC成分から成る十
分に低温度で安定した溶融紡糸を行ない得る低軟化点の
、均質で分子配向性の優れた新規な光学的異方性炭素質
ピッチを使用して炭素質ピッチ繊維を提供し、該炭素質
ピッチ繊維を不融化し、炭化することによって更に高強
度、高弾性率の炭素繊維を製造する方法を提供するもの
である。
本発明について以下に更に詳しく説明する。
すなわち1本発明は、必須成分としてC成分を約2重量
%〜約20重量%及びA成分を約15重量%〜約45重
量%含有し、残余の成分はベンゼン不溶分であり、光学
的異方性相の体積含有率が約90%以上であり、約32
0℃以下の軟化点を有することを特徴とする光学的異方
性炭素質ピッチを溶融紡糸して得られるピッチ繊維を不
融化し、次いで炭化することによって炭素繊維を製造す
る方法に関するものである。
本発明者等の知見によると、従来技術により製造せられ
た光学的異方性ピッチにおいてはキノリンネ溶成分(又
はビリジン不溶成分)のみが主要成分であるか、又はベ
ンゼン不溶分(B成分及びC成分)までが特に重要な成
分であって、C成分、A成分の含有量が少ないために、
又はそれらの特性が不適性なために妥当でなく、更に究
明した結果前述の如くある特性の0成5分及びA成分が
特定量存在することが当該ピッチ組成にとって不可欠で
あることが明らかとなり、前述の発明の完成をもたらし
たのである。
本発明は、種々の光学的異方性ピッチを調整し、溶剤分
離によりこれら炭素質ピッチより0成分及びA成分を分
別し、各成分の個々の特性及び当該特性を有する各成分
の含有量とピッチ全体の物性、均質性、配向性等との関
係について詳しく検討した結果に基き完成したものであ
り、これは、各成分が従来技術では認められなかった範
囲の特定の量で含有され、かつ、各成分が特定の性状を
有するものであることが重要であることを見出したこと
に起因するものである。すなわち、高性能炭素繊維の製
造に必要な高配向性、均質性及び低軟化点を有し、低温
で安定した溶融紡糸の可能な光学的異方性ピッチの構成
成分の性状としてはC/H[子比、fa、数平均分子量
、最高分子量(低分子量側から99%積算した点の分子
量)及び最低分子量(高分子量側から99%積算した点
の分子量)が以下に述べる如き範囲に特定されたもので
ある。
0成分は、一般的には広範囲の特性のものがあるが、本
発明においては、約1.3以上のC/H原子比、約0.
80以上のfa並びに約1,000以下の数平均分子量
及び約150以上の最小分子量を有するものであり、好
ましいC/H[子比は約1.3−1.6.faは約0.
80〜約0゜95であり、数平均分子量は約250〜約
700、最小分子量は約150以上である。
また、A成分は、一般的には広範囲の特性のものがある
が1本発明においては約1.4以上のC/H原子比、約
0.80以上のfa、約2,000以下の数平均分子量
及び約10,000以下の最高分子量を有するものであ
り、好ましいC/H原子比は約1.4〜約1.7、fa
は約0.80〜約0.95、数平均分子量は約400〜
約1゜000、最高分子量は約5,000以下である。
さらに、各成分の好適な含有量は、0成分について約2
重量%〜約20重量%であり、A成分について約15重
量%〜約45重量%である。さらに最適範囲については
、0成分は約5重量%〜約15重量%であり、A成分は
約15重量%〜約35重量%である。
すなわち、O成分のC/H原子比及びfaが前述の範囲
より小さい場合と含有率が前述の範囲より大きい場合は
、ピッチは全体として等方性の部分をかなり含有する不
均質のものとなりやすく、また、平均分子量が700よ
り大きいか又は含有率が前述の範囲よりも小さい場合は
、低軟化点のピッチを得ることがせきない、また、A成
分のC/H原子比又はfaが前述の範囲より小さい場合
、数平均分子量が前述の範囲より小さいか又は含有量が
前述範囲を越える場合には、ピッチ全体は、等方性と異
方性部分の混合した不均質なピッチとなってしまうこと
が多い、また数平均分子量又は最高分子量が上述の範囲
よりも大きい場合、又はA成分の構成比率が上述の範囲
よりも小さい場合は、ピッチは均質な光学的異方性であ
るが低軟化点とはならない。
本発明者が更に検討したところ、前記0成分及びA成分
は光学的異方性ピッチ中において積層構造中に取り込ま
れ、溶媒的又は可塑剤的な作用をし、主にピッチの溶融
性、流動性に関与し、それ自体単独では積層構造を発現
しにくく光学的異方性を示さない成分であるが、更に残
余成分でありそれ自体単独では溶融せず積層容易な成分
であるベンゼン不溶のBt分及びC成分を前記O成分及
びA成分に対しその構成成分が特定の範囲内の構  □
成比率でバランスよく含有され、さらに、各構成成分の
化学構造、特性及び分子量が特定の範囲内に存在するな
らば、一層優れた均質で低軟化点の高性能炭素繊維を製
造するために必要な光学的異方性ピッチが得られること
も見出した。
すなわち、O成分を約2重量%〜約20重量%及びA成
分を約15重量%〜約45重量%を含有し、さらに、B
成分(ベンゼン不溶キノリン可溶成分)を約5重量%〜
約55重量%及びC成分(ベンゼン不溶キノリン不溶成
分)を約20重量%〜約70重量%含有し、その光学的
異方性の含有事が体積で約90%以上であり、軟化点が
約320℃以下の光学的異方性炭素質ピッチは、後述の
如き一層安定した高性能の炭素繊維を提供することがで
きる。
上記B成分及び0m分に関して、高性能炭素繊維の製造
に必要な高配向性、均質性及び低軟化点を有し、低温で
安定した溶融紡糸の可能な光学的異方性ピッチの構成成
分の好ましい性状としてはC/H原子比、fa数平均分
子量、最高分子量(低分子量側から99%積算した点の
分子量)が以下に述べる如き範囲に特定されたものであ
る。
すなわち、B成分(ベンゼン不溶、キノリン可溶分)は
、一般的には非常に広範囲の特性のものがあるが、本発
明においては、約1.5以上のC/H原子比、約0.8
0以上c7)fa、約2.000以下の数平均分子量及
び約10,000以下の最高分子量を有するものであり
、好ましいC/H原子比は約1.5〜約1.9、faは
約0.80〜約0.95及び数平均分子量は約800〜
約2.000であり、C成分(ベンゼン不溶キノリンネ
溶分)は、これも一般的には非常に広範囲の特性のもの
があるが本発明においては、約2.3以下のC/H原子
比、約0.85以上のfa、約3.000以下の推定数
平均分子量及び30,000以下の最高分子量を有する
ものであり、好ましいC/H原子比は、約1.8〜約2
.3であり、faは約0.85〜約0.95−1?あり
、数平均分子量は約1,500〜約3.000のもので
ある。
青成分の含有量については、B成分は約5重量%〜約5
5重量%であり、好ましい含有量は約5重量%〜約40
重量%である。C成分の含有量は約20重量%〜約70
重量%であり、好ましい含有量は約25重量%〜約65
重量%で・ある。
本発明の好ましい態様は、前述の如く、炭素質ピッチの
構成成分たる4成分が特定の特性値を有し、特定の組成
比で含有することである。以下、本発明の詳細について
便宜上まとめて説明する。
本明細書で使用される「光学的異方性相」という語句の
意味は、必ずしも学界又は種々の技術文献において統一
して用いられているとは言い難いので、本明細書では、
「光学的異方性相」とは、ピッチ構成成分の一つであり
、常温近くで固化したピッチ塊の断面を研摩し、反射型
偏光顕微鏡で直交ニコル下で観察したとき、試料又は直
交ニコルを回転して光輝が認められる、すなわち光学的
異方性である部分を意味し、これに対し、光輝が認めら
れない、すなわち光学的等方性相である部分は光学的等
方性と呼ぶ。
光学的異方性相は、光学的等方性相に比べて多環芳香族
の縮合環の平面性がより発達した化学構造の分子が主成
分で、平面を積層したかたちで凝集、会合しており、溶
融温度では一種の液晶状態であると考えられる。従って
これを細い口金から押し出して紡糸するときは分子の平
面が繊維軸の方向に平行に近い配列をするために、この
光学的異方性ピッチから作つた炭素繊維は高弾性を示す
ことになる。又光学的異方性相の定量は偏光顕微鏡直交
ニコル下で観察、写真撮影して光学的異方性部分の占め
る面積率を測定して行うので、これは実質的に体積%を
表わす。
ピッチの均質性に関して、本発明では上述の光学的異方
性相の測定結果が90〜100体積%の間にあり、反射
型顕微鏡観察でピッチ断面の固形粒子(粒径l終以上)
を実質上検出せず、溶融紡糸温度で揮発物による発泡が
実質上ないものが、実際の溶融紡糸において良好な均質
性を示すのでこのようなものを実質上均質な光学的異方
性ピッチと呼ぶ。
光学的等方性相を10%以上含有する実質的に不均質な
光学的異方性ピッチの場合、高粘度の光学的異方性相と
低粘度の光学的等方性相との明らかな二相の混合物であ
るため粘度の著しく異なるピッチ混合物を紡糸すること
になり、糸切れ頻度が多く、高速紡糸がし難く、十分細
い繊維太さのものが得られず、また、繊維太さにもバラ
ツキがあり、結果として高性能の炭素繊維が得られない
、また溶融紡糸のとき、ピッチ中に不融性の固体微粒子
や低分子量の発揮性物質を含有すると。
紡糸性が阻害されることはいうまでもなく、紡糸したピ
ッチ繊維に気泡や固形異物を含有し欠陥の原因となる。
本発明でいう、ピッチの軟化点とは、ピッチが固体から
液体の間を転移する温度をいうが、差動走査型熱量計を
用いてピッチの融解又は凝固する潜熱の吸放出のピーク
温度で測定する。この温度はピッチ試料について他のリ
ングアンドボール法、微量融点法などで測定したものと
±10℃の範囲で一致する0本発明でいう低軟化点とは
、230〜320℃の範囲の軟化点を意味する。軟化点
はピッチの溶融紡糸温度と密接な関係があり。
ピッチによる違いはあるが通常の紡糸法で紡糸する場合
、一般に軟化点より60〜100℃高い温度が紡糸に適
した流動性を示す温度である。従って、320℃より高
い軟化点の場合、熱分解重縮合が起こる380℃より高
い温度となるため、分解ガスの発生及び不融物の生成に
より紡糸性が阻害されることはいうまでもなく、紡糸し
たピッチ繊維に気泡や固形異物を含有し欠陥の原因とな
る。一方230℃以下の低い軟化点の場合、不融化処理
行程において低温で長時間処理が必要になるとか複雑で
高価な処理が必要となり好ましくない。
本発明でいうピッチ構成成分であるC成分、A成分、B
成分、C成分とは、粉末ピッチをtgの平均孔径を有す
る円筒フィルターに入れ、ソックスレー抽出器を用いて
n−ヘプタンで20時間熱抽出して得られるn−へブタ
ン可溶分をC成分、ひきつづきベンゼンで20時間熱抽
出して得られるn−へブタン不溶でベンゼン可溶分をA
成分、ベンゼン不溶分をキノリンを溶剤として遠心分離
法(JIS  K−2425)により分離して得られる
ベンゼン不溶でキノリン可溶分いわゆるβ−レジンをB
成分、キノリンネ溶分をC成分と呼ぶ、このような構成
成分の分別は、例えば石油学界誌20巻(1)、第45
頁(1977年)に記載の方法により行なうことができ
る。ある出発原料から作ったピッチ構成成分であるC成
分、A成分、B成分、Cdt分ではピッチの特性値であ
るC/HM子比、fa、数平均分子量、最低及び最高分
子量はいずれも0成分<AI&分くB成分くC成分の順
に大きくなるのが一般的である。
本発明者の研究によれば、C成分は、ピッチ構成成分中
で最も分子の平面構造性が小さく、即ち、縮合芳香族環
が小さく側鎖の数が多く長さが長いものであり、又分子
の巨大さく平均分子量。
最高分子量)の小さい成分で、それ自体単独では積層構
造を発現し難く、光学的異方性を示さないが、A成分、
その他の重質部分(B成分、C成分)と相溶し溶媒的に
作用する性質を有し、高配向性を損なわないで、主にピ
ッチの流動性及び溶融性に関与する成分である。
A成分は、0*分とB成分の間の分子の平面構造性と分
子巨大さを有する成分であってC成分と同・しくそれ自
体単独では積層構造を発現し難く、光学的異方性を示さ
ないが、0成分及び重質部分と相溶し、重質部分に対し
て溶媒的に作用する性質を有し、高配向性を損なわない
で重質部分と共存して配向性を表わす特性を有するが、
主にピッチの可塑性及び溶融性に関与する成分である。
fよ りT&?:/A酸成分Cm分の間の分子の平面構造性と
分子の巨大さを有する成分で、それ自体単独では縮合多
環芳香族の積層構造の形成や光学的異方性は小さく軟化
点も400℃以上にあるので、それ自体単独では高温に
過熱しても溶融しないで炭化するが、C成分及びA成分
と相溶することにより、溶融性をもちそれがざらにC成
分に対して溶媒的に作用する性質を有しC成分と共存し
て主にピッチの高配向性に関与する成分である。
C成分は、ピッチ構成成分中で最も大きい分子平面構造
性と分子量の巨大さを有する成分で、光学的異方性ピッ
チの骨格となる縮合多環芳香族の積層構造を形成し光学
的異方性を発現し易いが、B成分と同じく軟化点が40
0℃以上にあるのでそれ自体単独では高温で加熱しても
溶融しないで炭化するが、C成分、A成分及びB成分と
相溶することにより溶融性可塑性をもち、ピッチの高配
向性に関与する成分である。
このように光学的異方性ピッチは、他の成分と相溶し、
主にピッチの配向性に関与する成分と他の成分に対して
溶媒的に作用し、配向性を損なわずに主にピッチの溶融
性に関与する成分から成り立っており、いずれの成分も
重要であり、とりわけ高性能炭素繊維製造用の高配向性
で均質な低い軟化点を有する光学的異方性ピッチにおい
ては、構成成分の構造特性とそのような特性を有する構
成成分の含有量のバランスが重要である。すなわち、あ
まりにもBdt分とC成分が多量に含有され相対的にA
成分とO成分の含有が少ないピッチは確かに分子配向性
が発現し、全体が光学的異方性となっても、軟化点が高
く紡糸が困難となり、極端な場合は全く溶融しない、他
方、O成分、A成分を多く、相対的にC成分、B成分を
少なくすると、軟化点が低くなり、350℃付近で紡糸
のために十分な液体流動性を得ることは容易であるが、
分子配向性の優れたピッチ部分、すなわち光学的異方性
ピッチ部分と分子配向性の小さい等方性ピッチ部分とが
二相に分れた不均質なピッチとなり、これも前述の如く
紡糸が困難である。
このように、従来から光学的異方性ピッチの主要構成成
分として認められていたC成分の他に、B成分、特に従
来はとんど認識されていなかった0成分とへ成分の存在
が、高性能炭素繊維用ピッチの構成成分としては重要で
あり、その組成範囲を規定していることが本発明の大き
な特徴のひとつである。
また、みかけ上構成成分の比率が同じであってもそれぞ
れの成分の構造特性によってピッチの特性が影響される
ことはいうまでもなく、例えばあまりにも分子量の大き
い又は分子平面構造性の劣るB成分やC成分を含有する
場合は、極めて軟化点の高いピッチとなるし、他方、あ
まりにも分子量の小さい0成分を含有するときは、ピッ
チの軟化点は低くなっても、全体の均質性が失なわれる
次に、高性能炭素繊維を製造するに有効なピッチの分子
配向性、均質性又は相溶性及び軟化点とピッチの構成成
分の特性値との関係を詳しく説明する。いうまでもなく
、ピッチの如き複雑な混合物については厳密には個々の
構成成分分子の構造は、検出も考察もできないので構造
特性については前述のように分別した構成成分それぞれ
の平均分子量、分子量分布、fa、C/H原子比が最も
適切な指標となる。
まず、ピッチの分子配向性すなわち光学的異方性の発現
傾向は、ピッチ構成成分の分子の平面構造性及びある温
度での液体流動性と相関がある。
すなわち、ピッチ分子の平面構造部分である縮合多環芳
香族構造がより発達し、分子量が適度の大きさであると
き、平面状分子が相互に積層会合しやすく、同時に溶融
状態で分子の再配列が十分よく行なわれ、光学的異方性
ピッチが得られる。
ここで、ピッチ分子の平面構造性は、多環芳香族の縮合
環の大きさ、ナフテン環含有の数、側鎖の数と長さによ
り決まるから一1分子の平面構造性は、C/H原子比及
び芳香族構造構造分率fa(芳香族構造に属する炭素原
子の前炭素原子に対する比率)でほぼ表わすことができ
る。すなわち、縮合多環芳香族構造部分が大きいほど、
またその中のナフテン環構造が少ないほど、また側鎖の
数と長さが小さいほど、ピッチ分子の平面構造性は良く
、また一般にその傾向に従ってC/H原子比は大きく、
faも大きくなる0分子の平面構造性を大きくする観点
だけからいえば、分子量は十分に大きくてもよい、また
、ピッチのある温度での液体流動性は、分子間の相互運
動の自由さによって決ると考えられるから、それは、ピ
ッチ分子の巨大さ、すなわち数平均分子量と分子量分布
(特に最高分子量の大きさ)と、分子の平面構造性とを
指標として判断することができる。すなわち、数平均分
子量が小さく、最高分子量も十分小さく、分子の平面構
造性、従ってC/H5j子比やfaが適度に大きいこと
が、ピッチの液体流動性が大きいために必要である。
次に、光、学的異方性ピッチの均質性は、ピッチ構成成
分の相溶性ともいえるが、それは、ピッチ構成成分分子
の化学構造の類似性及びある温度での液体流動性と相関
があると推定される。すなわち、ピッチ構成成分分子が
相互に化学構造形態及び分子量分布の点であまりかけ離
れたものでないとき相互に親和性、溶解性があり、それ
ぞれがある温度で十分な液体流動性を有するとき、相互
に流動混溶して熱力学的に安定的に均質なピッチとなる
。従って、光学的異方性ピッチの均質性は。
構成成分それぞれのC/H原子比、faが十分大きく極
度に小さい分子量のものを含まず、数平均分子量、最高
分子量が十分小さく、かつ、それらが相互にあまりかけ
離れていないことによって実現されると考えられる。
次に、光学的異方性ピッチの軟化点はピッチが固体から
液体の間を転移する温度を意味することから、これは、
前述のある温度のピッチの液体流動性!良い相関がある
。従って、光学的異方性ピッチの軟化点は、構成成分そ
れぞれのC/H原子比、faが適度に大きく、平均分子
量が十分小さく、特に最高分子量が小さいことによって
低くなるものである。
以上を総合すると、分子配向性の優れた。均質な、低軟
化点の、光学的異方性ピッチを得るためには、C/H原
子比とfaが十分大きく、かつ、それらが構成成分間で
類似していて、平均分子量は平面分子の配向性を発現す
るよう十分に大きいが、低軟化点のためには、それがあ
まり大きすぎないこと、特に最高分子量があまり大きな
ものを含まないこと、また、ピッチの均質性の観点から
、極度に低分子量の成分を含まないことも要件であるこ
とが理解されよう、このようなピッチは、大量安価に入
手できる石油や石炭工業から産出される重質油やタール
物質を出発原料にする場合は、出発原料の分子構造が多
様であり、分子量分布も広いために完全に、理想的に化
学構造と分子量の分布を狭く制御することはできないが
、本発明によれば完全に理想的に狭い化学構造と分子量
の制御をせずとも、ピッチの構成成分それぞれの化学構
造特性と分子量が、ある好ましい範囲内に存在し、かつ
そのような構成成分がある好ましい範囲内の構成比率で
バランスよく含有されてピッチを構成するとき、十分満
足される分子配向性、均質性及び軟化点の光学的異方性
ピッチが得られる。
次に、このようなピッチ構成成分の化学構造特性と分子
量の好ましい範囲、及び構成成分の構成比率の好ましい
範囲について特にB成分及びC成分について詳しく具体
的に説明する。
まず、0成分は、まだ分子量もあまり大きくはなく、芳
香族構造も、他の成分はど十分に発達していない、一般
にC/H原子比が1.6以下、faが0.95以下、数
平均分子量が1000以下の油状物質であるが、光学的
異方性ピッチの中に含有されて、その分子配向性を損な
わず、全成分に対して溶媒ないしは可塑剤的役割をする
重要な成分である。
A成分は、構造特性及び分子量としては、一般に0成分
とB成分の中間に位置するものであり、0成分よりもや
や分子配向性への寄与が大きいと推定され、かつC成分
と共に相溶して、B成分。
C成分に対する溶剤又は可塑剤的な役割をすると考えら
れ、これも、低軟化点の均質な光学的異方性ピッチの形
成に不可欠な構成成分である。
BT&分は、構造特性値及び分子量が一般にA成分とC
成分の中間に位置するものであり、C成分、A成分に比
べれば縮合多環芳香族の平面構造がかなり発達し、その
積層会合によって分子配向を作りやすい成分であり、C
成分と相溶して、光学的異方性、すなわち分子配向の骨
格を形成する成分であり、また同時に0成分、A成分と
も相溶して、可塑剤的作用も果たしこのB成分がざらに
重縮合が進むとC成分に変化すると推定されている。
本発明によれば、B成分の特性として好ましいものは、
C/H原子比が1.5〜1.9、faが0.80〜0.
95で、後述の水素添加反応処理によって、クロロホル
ムに100%可溶化し推定数平均分量が800〜200
0、推定最高分子量がto、ooo以下であり、また、
B成分の構成比率として好ましい範囲は主としてC成分
の含有率とのかね合いで決まり、ピッチ全体の5〜40
重量%である。すなわち、この成分においてC/H原子
比又はfaが上述の範囲より小さい場合、あるいはこの
成分の構成比率が上述範囲より小さい場合は、ピッチの
分子配向性が不十分となって均質な光学的異方性ピッチ
とはならないことが多く、この場合、共存するC成分の
構成比率が十分に大きいときは、光学的異方性の均質ピ
ッチとなるが、軟化点が高い、また、推定数平均分子量
、または、推定最高分子量が上述の範囲より大きい場合
、あるいは、B成分の構成比率が上述の範囲より大きい
場合は、均質な光学的異方性ピッチとなるとしても、軟
化点が高くなりすぎて、紡糸が困難であり、これは本発
明の目的とするピッチではない。
C成分は、ピッチ構成成分中で最も分子平面構造性が発
達し、分子量の大きい成分であり、容易にその平面分子
が積層状に会合し、光学的異方性を発現するので、ピッ
チ中にあって、他の成分と相溶して、光学的異方性を示
す構造の骨格になる役割を果すものである。
本発明によれば、C成分の特性として好ましいものはC
/H原子比が1.8以上で、faが0゜85以上であり
、後述の水素添加反応処理によってクロロホルムに実質
的に全て可溶化され、推定数平均分量が1500〜30
00で、推定最高分量が30,000以下であり、また
C成分の構成比率として好ましい範囲は、主としてB成
分とのかね合いでピッチ全体の25〜65重量%である
。すなわち、C成分のC/H原子、あるいはfaが上述
の範囲よりも小さい場合、または、構成比率が上述の範
囲より小さい場合は、ピッチ全体の分子配向性が不十分
となって1等方性部分をかなり含む不均質ピッチとなる
か、他の成分とのバランスによっては軟化点が高いもの
となる。また、後述の水素添加反応によってもクロロホ
ルムに完全には可溶化されないようなC成分もあるが、
このようなものは1分子量の春i奪推定が不可能なほど
非常に高分子量の縮合多環芳香族化合物を含むか、又は
カーボン等の不融物を含むので不適当である。さらに、
この水素添加反応を加えてクロロホルムに可溶化した後
、測定したC成分の推定数平均分量又は最高分子量が上
述の範囲より大きいような場合と、C成分の構成比率が
上述の範囲を越える場合は、ピッチ全体が光学的異方性
となるとしても軟化点が高く、従って高い紡糸温度を要
するか、紡糸が不可能なことが多い。
本発明の中でいうfa(芳香族構造炭素分率;芳香族構
造に属する炭素原子の数の全炭素原子の数に対する比率
)は、ピッチ成分試料の炭素と水素の含有率分析値と、
赤外線吸収分光分析により加藤らの方法(燃料温会誌5
5 244.(1976))に従って、次式によって計
算されたものを用いる。
H/C:水素と炭素の原子数比 一部 D3050 / D2t(20: 3030cm  の
吸収度と2920cm−’の吸収度の比 また、本発明でいう数平均分子量は、クロロホルムを溶
媒として一般的な手法である蒸気圧平衡法を用いて測定
する。また、分子量分布は、ピッチ試料を、クロロホル
ムを溶媒としてゲルパーミェーションクロマトグラフィ
で10ケの分子量区分に分取し、分取したそれぞれの区
分の数平均分子量を前述の蒸気圧平衡法で測定し、各区
分の溶出容量と数平均分子量の関係で、このゲルパーミ
ェーションクロマトグラフィーの検量線を作成し、これ
を用いて各ピッチの各構成成分の分子量分布を測定した
。この場合、溶出液の屈折率の変化がその重量濃度の変
化にほぼ比例する。
B成分とC成分はクロロホルム不溶分を含むので、その
ままでは上述の分子量測定が不可能であるが、これらも
′炭素・炭素結合を破壊しないで。
芳香族構造の一部に水素を付加するような温和な水素添
加反応を加えると分子の炭素骨格はほとんど変化せず、
ベンゼンやクロロホルムなどに溶解する分子構造となる
ことが知られている。
本発明においては、B成分とC成分は、予め金属リチウ
ムとエチレンジアミンを用いる温和な水添反応によって
クロロホルム可溶化処理を行ない(コノ方法は、文献:
Fuel±167〜69(1962)に従った)、その
後、上述の分子量測定方法を用いて数平均分子量、最高
分子量、最低分子量を求める。
本発明の炭素質ピッチは、如何なる方法で製造したもの
でも差し支えないが、特に、次に述べる方法により製造
される。すなわち1重質炭化水素油、タール又はピッチ
を出発原料として、その熱分解重縮合により部分的に光
学的異方性相を生成せしめた後、光学的異方性相をそれ
以上分子量を増大させることの少ない温度で沈積せしめ
て分離し、光学的異方性相が濃縮されたピッチを得て、
その後これを短時間熱処理して光学的異方性相を90%
以上含有するピッチを製造する方法が好適である。
すなわち、出発原料として、いわゆる重質炭化水素油、
タール又はピッチを使用し、これを約380℃以上の温
度、好ましくは400℃〜440℃で熱分解中縮合反応
に供し、重縮合物中の光学的異方性相が20〜80%、
好ましくは30〜60%生成したとき、当該重縮合物を
約400℃以下、好ましくは360℃〜380℃に保持
しつつ5分間〜1時間程度静置し、又は極めてゆっくり
攪拌しつつ下層に密度の大きい光学的異方性相ピッチ部
分を濃度高く沈積せしめ、しかる後、光学的異方性相の
濃度の大きい下層を光学的異方性相の濃度の小さい上層
とおよそ分離して抜き出し、分離された下層の光学的異
方性相含有率が70〜90%であるピッチを、次に約3
80℃以上、好ましくは390℃〜440℃でさらに短
時間熱処理し、光学的異方性相含有率が90%以上の所
望のピッチとする方法が、本発明の炭素質ピッチを得る
ためには好適である。
また、本発明による光学的異方性ピッチは、上述の如き
ピッチ構成成分が各々特定の特性値を有し、かつ、当該
構成成分が各々特定の割合で含有することを特徴とする
ものであるから、製造法の如何により、製造されたピッ
チの構成成分の組成及び特性値が、一連の工程の後、本
発明の範囲内に含まれなくとも、別途の製法又は工程条
件で製造した所望の構成成分の組成と特性値を有するピ
ッチを複数種、所望の割合で混合する巳とによって、本
発明の範囲内のピッチ組成及び特性値を満たし所望の物
性を有する本発明の光学的異方性ピッチを製造すること
ができる。
例えば、出発原料の重質炭化水素油、タール又はピッチ
を380℃以上、好ましくは410〜440℃の温度で
比較的長時間にわたり熱分解重縮合し、C成分とB成分
の多い、0成分、A成分の少ない従って軟化点の高い光
学的異方性ピッチを得て、他方上述の出発原料、温度で
比較的短時間熱分解重縮合せしめたC成分、B成分の少
ない、A成分、0成分の多い等方性ピッチを得て、この
両者を適切な混合比となるように混合することによって
、本発明の光学的異方性炭素質ピッチを得ることができ
る。また、出発原料を厳選すれば。
380℃以上 好ましくは410〜440℃の温度の一
段の熱分解重縮合反応だけで本発明の光学的異方性炭素
質ピッチを作ることもできる。また、別の方法として、
重質炭化水素油、タール。
又はピッチを熱分解重縮合して製造した又は市販されて
いるピッチをn−へブタン、又はトルエン、ベンゼン等
の溶剤で抽出して可溶部分と不溶部分に分離し、O,A
、B、C成分の組成が既知でしかもそれらが濃縮された
ピッチ素材を製造しておき、これを所望の混合比に混合
して、本発明の光学的異方性ピッチを製造することもで
きる。
次に本発明の光学的異方性ピッチを溶融紡糸して得られ
たピッチ繊維および紡糸方法について説明する。紡糸方
法は、従来、使用されている方法を採用することができ
、例えば、下方に直径0゜1mm〜0.5mmの紡糸口
金を有する金属製紡糸容器にピッチを張り込み、不活性
ガス雰囲気下で、280〜370℃の間の一定温度にピ
ッチを保持して溶融状態に保って、不活性ガスの圧力を
数100 m m Hgに上げると1口金より溶融ピッ
チが押出され流下するので、その流下部の温度、雰囲気
を制御しつつ、流下したピッチ繊維を高速で回転するボ
ビンに巻取るか又は集束させて、気流で引取りつつ下方
の集積槽の中へ集積する。この際、紡糸容器へのピッチ
の供給を、予め溶融したピッチをギアポンプなどで加圧
供給するととにより行なうと連続的に紡糸することが可
能である。さらに上述の方法で、口金の近傍で、一定に
温度制御された高速で下降するガスでピッチ繊維を延糸
しつつ引取り、下方のベルトコンベア上に長繊維又は短
繊維、あるいは相互に交絡したマット状のピッチ繊維不
織布を作る方法も用いることができうる。また、周壁に
紡糸口金を有する円筒状の紡糸容器を高速で回転させ、
これに溶融ピッチを連続的に供給し1円筒紡糸器の周壁
より遠心力で押し出され、回転の作用で延糸されるピッ
チ繊維を集積するような紡糸方法も用いられる。いずれ
の方法においても、本発明のピッチを用いるときは溶融
状態であり紡糸をするのに好適な温度(紡糸基中での最
高温度)が280〜370℃の範囲と、従来よりも低い
ことが特徴であり、従って紡糸工程での熱分解や熱重合
が極めて少なく、その結果紡糸後のピッチ繊維は、紡糸
前のピッチ組成物とほとんど同じ組成物であることが特
徴である。
すなわち、このようにして得られた炭素質ピッチ繊維は
、その繊維軸方向の断面を研摩して偏光顕微鏡で観察す
ると、全面が光学的異方性であり、しかも、繊維軸方向
へ配向していること及び繊維軸と直角方向の断面をみる
と、はとんど等方性ないしは極めて微細な異方性部分が
モザイク状にランダムに集合していることが認められる
。この現象は、恐らくは、本発明のピッチがO成分、A
成分という流動性の大きな成分をバランスよく含有する
ことによって紡糸過程で繊維軸方向にはよく分子配向し
、繊維軸に直角方向には比較的自由に柔軟に分子配向し
うることが起因していると思われる。また、当該ピッチ
繊維を粉砕し有機溶剤を使用してO成分、A成分、B成
分及びC成分に分別して分析すると、紡糸前のピッチの
組成及び特性とほぼ同一の値が得られ、前述の本発明の
範囲内に存するものである。
従来の光学的異方性ピッチの場合、少なくとも紡糸基中
のある部分で380〜430℃といった高温で溶融状態
を保ち紡糸を行なうことが実体であり、この場合熱分解
や熱重合が顕著に起こることから紡糸後のピッチ繊維の
組成構造は、紡糸前のピッチより炭化の進んだものとな
ることが多い。
本発明のピッチ繊維の場合は、紡糸前のピッチと物質組
成としてはほとんど変らないで、もし紡糸工程で何らか
の故障があってピッチ繊維として品質管理限界以下のも
のが製造された場合、これを再溶融して用いることがで
きるという利点がある。
また、本発明のピッチを用いて、常法に従って炭素繊維
を調製すると、極めて高性能の炭素繊維が得られること
が認められた。
すなわち、上述の本発明の低軟化点でかつ実質上均質の
光学的異方性ピッチから製せられたピッチ繊維を酸化性
雰囲気中で、200℃以上の温度で10分間〜1時間程
度、保持して酸化せしめると完全に不融化され、この不
融化処理済のピッチ繊維を、次に不活性ガス中で、10
00℃まで昇温し炭化すると、製せられた炭素繊維は、
その特性は繊維直径に債存するが、引っ張り強度2.1
〜t、ocpa、引張弾性率2.2〜3.5X102G
Paのものが得られる。
以上の説明により明らかなように光学的異方性ピッチを
適確に規定するためには、ピッチの構成成分の特性及び
当該構成成分の含有量が重要であり、高性能炭素繊維製
造用の高配向性で均質な低軟化点を有するピッチとして
はピッチ構成成分特に0成分及びA成分の特性とその含
有量がいずれも上記の範囲内に存することが必要である
このような特性の構成成分と組成を有する光学的異方性
ピッチは、光学的異方性相を90〜i。
0%含有する実買上均質なピッチであるにも拘らず、極
めて低い軟化点(320℃以下)を有するから、十分に
低い溶融紡糸温度(380℃以下、普通実施態様として
は300〜360”0)で紡糸することができる。従つ
゛て、次の利点が得られる、すなわち、■熱分解重縮合
の顕著な温度より十分低い温度で紡糸することができ、
また、均質なピッチであるからピッチの紡糸性(糸切れ
、糸の細さ、糸径の均一さ)が良好であり、紡糸工程の
生産性が向上する。さらに、紡糸中のピッチの変質が生
じないため、製品炭素繊維の品質が安定であること、■
紡糸中の分解ガスの発生及び不融物の発生が極めて少な
いから、紡糸されたピッチ繊維の欠陥(気泡又は固形異
物粒子の含有)が少なく、製造した炭素繊維の強度が大
きくなること、■本発明の炭素質ピッチは、実質上、は
とんど全体が分子配向性の優れた液晶状であるから。
これを紡糸して通常の方法で不融化処理及び炭化処理を
行ない製造した炭素繊維は繊維軸方向の黒鉛構造の配向
性がよく発達し、弾性率が大きいこと及び■製造した炭
素繊維は、繊維軸に直角方向の断面の構造が緻密でかつ
フィブリルの断面方向の配向が小さく、同心円状とか放
射状にならないために繊維軸方向に割れ目のないものと
なること等の予期する以上の効果を奏するものである。
実施例1 石油の接触分解で副生ずるタール状物質を常圧に換算し
て450℃まで減圧蒸留して得た炭素含有率90.0w
t%、水素含有率7.8wt%、比重1.07、キノリ
ンネ溶分O%のタールを出発原料とした。原料1010
0Oを内容積1.45見のステンレス製反応装置に張込
み、窒素ガス気流下で十分攪拌しながら415℃に保っ
て2゜5時間熱分解重縮合反応に供し、残留ピッチとし
て軟化点187℃、比重1.32、キノリンネ溶分7.
9wt%で、偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母
相中に直径がloopm以下の真球状の光学的異方性球
体を約40%含むピッチが、原料に対してl 7.0w
t%の収率で得られた。
次にこのピッチloO,Ogrを約300mfLの円筒
型ガラス製容器にとり、窒素雰囲気下360℃で30分
間、攪拌せずに保持し、次にこれを放冷し、ガラス製容
器を破壊してピッチをとり出した。このピッチは肉眼で
も上層と下層が分離していることが、その光沢のちがい
から認められ、上層のピッチ塊と下層のピッチ塊を剥離
して分別することができ、下層ピッチは約32gr得ら
れた。偏光顕微鏡で観察すると上層ピッチは直径が50
JLm以下の光学的異方栓球を約15%含む大部分が光
学的等方性のピッチであり、下層ピッチは、50gm程
度の直径の光学的等方性の球を約20%含む大部分が光
学的異方性のピッチ、すなわち約80%の光学的異方性
相の含有率を示すピッチであった6次にこの下層ピッチ
を50m1のガラス製容器に入れ攪拌しつつ400℃で
30分間熱処理して約30gr、のピッチを得た。この
ピッチの軟化点を測定すると、257℃でありその光学
的異方性相の含有率は約95%以上であった0次にこの
ピッチのn−へブタン可溶分(O成分)及びn−へブタ
ン不溶でベンゼン可溶の成分(へ成分)を定量すると、
0次分がlO,1wt%、A成分が29.6wt%も含
有されることが認められた。該ピッチの残余はベンゼン
不溶分であった。
次に、このピッチを、直径0.5mmのノズルを有する
紡糸器に充填し、340℃で溶融し、100mmHHの
窒素圧で押出し、高速で回転するボビンに巻取って紡糸
したところ500 m 7分の引取り速度ではほとんど
糸切れなく、繊維径8〜124mのピッチ繊維が得られ
た。このピッチ繊維の一部を酸素雰囲気中230℃で1
時間保持し、次に窒素ガス中で30℃/分の昇温速度で
1500℃迄加熱して、すぐ放冷し、炭素繊維を得たと
ころこの炭素繊維の引張り強度は約aGPa、引張り弾
性率は約2.2XIO2GPaを示した。
また、ピッチ繊維の残部よりIgrをとり、n−へブタ
ン可溶成分(0次分)とn−へブタン不溶かつベンゼン
可溶の成分(A成分)を定量したところ、O成分は8.
9wt%、へ成分は29゜8wt%であった。
比較例1 実施例1と同じタールを出発原料として、その1010
0Oを内容積1.45JLのステンレス製反応装置に張
り込み、窒素ガス気流下で十分攪拌しながら415℃に
保って5時間、熱分解重縮合反応に供し、残留ピッチと
して軟化点312℃、比重1.36、キノリンネ溶分6
0%のピッチを110gr得た。このピッチを偏光顕微
鏡で観察すると直径が約501Lm以下の光学的等方性
の球体をところどころに含む、はとんど全体が光学的異
方性のピッチ、すなわち光学的異方性相が約95%以上
のピッチであった。
このピッチを実施例1と同じ紡糸器で紡糸すると380
℃以下の温度では非常に紡糸が困難であり、390〜4
10℃で一応紡糸が可能であったが、紡糸口付近から白
煙を生じやすく、また300m/secの引取り速度で
も1分間に1回以上の糸切れを生じ、また繊維径は15
〜18ILmとなった。ここで得られたピッチ繊維の一
部を実施例1と同じ方法を用いて、不融化1次いで炭化
し、炭素繊維としてその引張り強度、引張り弾性率を測
定したところ前者は約1 + 2GPa、後者は約2X
102GPaであった。このピッチのn−へブタン可溶
成分(O成分)、及びn−へブタン不溶かつベンゼン可
溶の成分(A成分)を定量するとO成分が1”、3wt
%、A成分が14,2wt%であった。
実施例2 石油の接触分解で副生ずるタール状物質を常圧に換算し
て450℃まで減圧蒸留して得た炭素含有率89.4w
t%、水素含有率8.8wt%、比重1.06、キノリ
ンネ溶分θ%のタールを出発原料とした。li$410
00gr、を内容積1゜45見のステンレス製反応装置
に張込み、窒素ガス気流下で、十分攪拌しながら、44
0℃に保って1時間熱分解重縮合反応に供し、残留ピッ
チとして、軟化点220℃、比重1.33、キノリンネ
溶分(C成分)14wt%で、偏光顕微鏡で観察すると
、光学的等方性の母相中に、直径が2001Lm以下の
真球状の光学的異方性球体を約60%含むピッチが、原
料に対して22wt%の収率で得られた0次にこのピッ
チを下部に抜き出し用バルブを備えた内径4cm、長さ
70cmの円筒形容器にとり、窒素雰囲気下で毎分15
回転で攪拌しつつ、380℃で30分間保持した後、窒
素加圧下100 m m Hgで容器の下部バルブを開
き、やや粘稠な下層のピッチを静かに流下させ、窒素ガ
スを流通しである容器に捕集した。このようにして流下
するピッチの粘度が顕著に低下するまで抜き取ったピッ
チを下層ピッチと呼び、その収率は張込量に対し約38
wt%であった。さらに容器に残った上層のピッチを流
出させ、別に捕集したピッチを上層ピッチと呼び、その
収率は、張込量に対して約61wt%であった。上層ピ
ッチは、主として直径が204以下の真球状の光学的異
方性相小球体を約20%含む大部分は光学的等方性相の
ピッチであり、軟化点195℃、比重1.31.c成分
4wt%、B成分約38wt%、A成分約36wt%、
0次分約22wt%のピッチであった。一方、下層ピッ
チは、等方性相を15〜20%包含する大部分は大きな
流れ模様をもった光学的異方性相から成り、その軟化点
は252℃、比重1.35、C成分約21wt%、B成
分約37wt%、A成分約33wt%、0次分約9wt
%のピッチであった0次に、この下層ピッチをさらに2
50 m fLの反応容器中で窒素雰囲気下で十分攪拌
しつつ390℃で約30分間熱処理して得られたピッチ
を試料2、約50分間熱処理して得られたピッチを試料
lとすると、試料1は偏光顕微鏡の観察によって、全て
光学的異方性相であり、約260℃の軟化点、試料2は
また約5%の光学的等方性相を微小球状に包含する大部
分が光学的等方性相のピッチで、軟化点は257℃であ
った0次にこれら試料1と2を溶剤分離分析によってO
成分、A成分、B成分、C成分に分離しその組成比と、
各成分のC/H原子比、fa、数平均分子量、最低、及
び最高分子量を測定した。その結果を第1表に示した。
また、試料1及び2のピッチを、直径0 、5mmのノ
ズルを有する紡糸器に充填し、350℃近傍の温度で溶
融し、200mmHg以下の窒素圧で押出し、高速で回
転するボビンに巻取って紡糸したところ、いずれのピッ
チも500 m 7分の高速で、糸切れも少なく繊維径
−B5〜10 g mのピツチ繊維を長時間にわたって
紡糸することができた。その結果を第2表に示した。な
お試料1及び2から紡糸したピッチ繊維は実施例5の方
法で評価した。
比較例2 実施例2と同じタールを出発原料とした。原料1 、O
OOgrを内容積1000文の熱処理装置に張込み、窒
素ガス気流下で十分撹拌しながら430℃で15時間熱
処理し、軟化点217℃、比重1.33、キノリンネ溶
分((4分)13wt%で、偏光顕微鏡で観察すると、
光学的等方性の母相中に直径が200終以下の真球状の
光学的異方性小球体を約60%含むピッチが原料に対し
19.6wt%の収率で得られた。これを、試料3とす
る。
次に、この試料を実施例2と同様の操作で溶剤分離し、
各成分の含有量及び特性値を求め、その結果を第1表に
示した。さらに、この試料を実施例2と同様に紡糸した
ところ、500m/分では紡糸不可能であり、300m
/分でも糸切れ頻度が多く、また、繊維太さの細いピッ
チ繊維は得られなかった。結果を第2表に示した。
実施例3 実施例2と同一の原料タールを用い、反応条件を変える
ことによって第3表に示す特性値を有するピッチを得た
。これらのピッチを実施例2と同一の直径0.5mmの
ノズルをもつ紡糸器で200 m m Hg以下の窒素
圧下で紡糸した結果をまとめて第4表に示した。
本発明による試料4〜6の光学的異方性ピッチは、いず
れも紡糸性が良好であった。この試料4■ 〜6を実施例で使用した。
比較例3 実施例2と同一の原料タールを使用して反応条件を変更
することにより本発明の範囲内に包含されないピッチを
調整し比較試料7及び8とし、特性値を第3表に、紡糸
特性を第4表に示した。試料7を実施例5で使用した。
11口IA ナフサの熱分解で副生ずるタール状物質を常圧に換算し
て450℃まで減圧蒸留して得た釜底タールを原料とし
た。原料の特性値は、炭素含有量93.5wt%、水素
含有量7.5wt%、比重1.15.キノリンネ溶分(
CJ&分)0%であった。この原料油1.OOOgrを
実施例2と同じ熱処理装置を用い、常圧、窒素ガス気流
下で、十分攪拌しながら415℃で4.0時間熱処理し
て得られたピッチは、偏光顕微鏡で観察すると光学的等
方性の母相中に直径20終以下の光学的異方性小球体を
約10%含有するピッチで、軟化点340℃、炭素含有
量94.2wt%、水素含有量5.4wt%で、ピッチ
の収率は原料に対し31.3wt%であった。このピッ
チを試料9とした。
この試料9を実施例1と同じく直径0.5 m mのノ
ズルをもつ紡糸器で200mmHg以下の窒素圧下で紡
糸したところ、500m/分では紡糸不可能であり、3
00 m 7分でも糸切れ頻度が多く、また繊維太さの
細いピッチ繊維は得られなかった。また、紡糸中の熱分
解重縮合によると考えられるピッチの変化が著しかった
比較例5 比較例4の原料タールを実施例2の原料タールに30w
t%添加して、炭素含有量90.8wt%、水素含有量
8.5wt%、比重1.10、キノリンネ溶分0%の特
性値を有する混合原料を得た。この混合原料1.OOO
grを実施例2と同じ方法で415℃で3.5時間熱処
理し、軟化点236℃、比重1.31、キノリンネ溶分
12wt%で偏光顕微鏡で観察すると光学的等方性の母
相中にZoo、以下の真球状の光学的異方性小球体とZ
oo、前後の不規則な楕円状合体物とが混在し、これら
の光学的異方性相をピッチ全体に対し約40%含むピッ
チが原料に対し18.8wt%の収率で得られた。この
ピッチを実施例2と同じ方法で380℃で2時間保ち1
反応容器の下部コックを開き、粘稠なピッチを張込み量
に対し27゜7wt%抜き出した。この下層ピッチは小
さな流れ構造と大きな流れ構造部分が混在する光学的異
方性相を約95%含有し、この光学的異方性相中に30
0g以下の不規則な楕円状の、光学的等方性相部分が約
5%混在するピッチで、軟化点329℃、比重1.34
、炭素含有量94.2wt%、水素含有量4.8wt%
であった。この下層ピッチを試料lOとした。
これを前述の比較例4と同一の方法でO,A、B、C4
成分に分別し、同様の操作で紡糸した。
各成分の特性値を第5表に、紡糸特性を第6表に記載し
た。試料lOは、試料9と同様に500m/分では紡糸
不可能であり、300m/分でも糸切れ頻度が多く、ま
た、繊維太さの細いピッチ繊維は得られなかった。
実施例4 実施例2で得た試料1のピッチ50grをn −ヘプタ
ン、ベンゼン、キノリンを溶媒として溶剤分離により0
、A、B、C4成分に分別した各ピッチ構成成分を原料
として、本発明の範囲内のピッチ構成成分の比率で次の
方法に攪拌翼を備えた内容積的50mJlの小型ガラス
製混合容器に合成ピッチの総重量が500grになるよ
うに予め秤量した10wt%のO成分と20wt%の粉
末状のA成分を入れ窒素ガス雰囲気下、溶融温度以上の
温度からは毎分60回転で攪拌しながら、5℃/分の昇
温速度で250℃まで昇温し、毎分60回転で攪拌しな
がら250℃で30分間混合後放冷し、次いで30wt
%の粉末状のB成分を加え、上述の方法で300℃まで
昇温し、毎分60回転で攪拌しながら300℃で60分
間混合後放冷し、さらに30wt%の粉末状のC成分を
加え毎分60回転で攪拌しながら5℃/分の昇温速度で
360℃まで昇温し、毎分60回転で攪拌しながら36
0℃で60分間混合後放冷して合成ピッチを得た。この
合成ピッチの軟化点は254℃、比重1゜34、炭素含
有量94.0wt%、水素含有量4.6wt%で偏光顕
微鏡で観察すると大きな流れ模様をもった実測上100
%光学的異方性ピッチであった。。
次にこの合成ピッチを再度0.A、B、C4成分に分別
し、分析した結果の特性値を第7表に示した。
また、この合成ピッチを実施例2と同一の直径0.5m
mのノズルをもつ紡糸器で200mmHg以下の窒素圧
下で紡糸したところ、500m/分の速度で糸切れ頻度
も少なく繊維太さの細いピッチ繊維を長時間にわたり得
られた。この紡糸特性の結果を第8表に示した。なお、
この合成ピッチを試料11としてこれから紡糸したピッ
チ繊維は実施例5で使用した。
比較例6 実施例2の試料1と同様の試料から分別した0、A、B
、C4成分を原料として、0成分20wt%、A成分1
0wt%、B成分40wt%。
C成分30wt%の比率で実施例4と同じ混合方法によ
り本発明の範囲内に包含されない合成ピッチを調製した
。この合成ピッチの軟化点は235℃、偏光顕微鏡で観
察すると光学的異方性の母相に約15%の光学的等方性
相が複雑に入り組んで混在するピッチであった。この合
成ピッチを実施例2と同一の直径0.5mmのノズルを
もつ紡糸器で紡糸したとこ・ろ、300m/分でも糸切
れ頻度が多くまた繊維太さの細いピッチは得られなかっ
た。紡糸特性を第9表に示した。なおこの合成ピッチを
比較試料12とし、そのピッチ繊維は実施例5で使用し
た。
実施例5 実施例2〜4及び比較例1〜6で紡糸して得たピッチ繊
維を酸素雰囲気中240℃で30分間不融化処理を施し
、次に窒素ガス中で30℃/分の速度で1,500℃ま
で昇温後冷却して炭素繊維を得た。この炭素繊維の特性
評価結果をまとめ第1θ表に示した。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)炭素質ピッチを、紡糸し、酸化雰囲気下で不融化し
    、次いで炭化することからなる炭素繊維の製造方法にお
    いて、炭素質ピッチとしてn−ヘプタン可溶成分(以下
    O成分と称する)を約2重量%〜約20重量%、n−ヘ
    プタン不溶かつベンゼン可溶の成分(以下A成分と称す
    る)を約15重量%〜約45重量%含有し、他の残余成
    分はベンゼン不溶成分であり、光学的異方性相の体積含
    有率が約90%以上を示し、約320℃以下の軟化点を
    有する光学的異方性炭素質ピッチを使用することを特徴
    とする高強度、高弾性率の炭素繊維の製造法。 2)炭素質ピッチは、O成分を約5重量%〜約15重量
    %含有し、A成分を約15重量%〜約35重量%含有す
    る特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維の製造法。 3)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分のそれぞれ
    のC/H原子比が1.3以上及び1.4以上である特許
    請求の範囲第1項又は第2項記載の炭素繊維の製造法。 4)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分のそれぞれ
    のC/H原子比が1.3〜1.6及び1.4〜1.7の
    範囲内にある特許請求の範囲第3項記載の炭素繊維の製
    造法。 5)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分のそれぞれ
    の芳香族構造炭素原子の全炭素原子に対する比(以下f
    aと称する)が、いずれも0.8以上である特許請求の
    範囲第1項又は第2項記載の炭素繊維の製造法。 6)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分のそれぞれ
    のfaがいずれも0.80〜0.95の範囲にある特許
    請求の範囲第5項記載の炭素繊維の製造法。 7)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分のそれぞれ
    の数平均分子量が250〜700及び400〜1,00
    0の範囲内にある特許請求の範囲第1項又は第2記載の
    炭素繊維の製造法。 8)炭素質ピッチにおけるA成分の最高分子量(分子量
    分布を測定し低分子量側より99重量%積算した点の分
    子量)が5,000以下である特許請求の範囲第1項又
    は第2項記載の炭素繊維の製造法。 9)炭素質ピッチにおけるO成分の最低分子量(分子量
    分布を測定し低分子量側より99重量%積算した点の分
    子量)が150以上である特許請求の範囲第1項又は第
    2項記載の炭素繊維の製造法。 10)炭素質ピッチは実質的に全て光学的異方性相であ
    る特許請求の範囲第1項から第9項のいずれかの項に記
    載の炭素繊維の製造法。 11)炭素質ピッチは約230℃〜約320℃の軟化点
    を有する、特許請求の範囲第1項から第10項のいずれ
    かの項に記載の炭素繊維の製造法。 12)炭素質ピッチにおけるO成分及びA成分が同時に
    下記の特性値を有する特許請求の範囲第1項又は第2項
    記載の炭素繊維の製造法。 ▲数式、化学式、表等があります▼ 13)炭素質ピッチにおける残余のベンゼン不溶成分は
    、キノリン可溶な成分(以下B成分と称する)をピッチ
    全体の約5重量%〜約55重量%含有し、キノリン不溶
    成分(以下C成分と称する)をピッチ全体の約20重量
    %〜約70重量%含有する特許請求の範囲第1項又は第
    2項項記載の炭素繊維の製造法。 14)ベンゼン不溶成分はB成分を約5重量%〜約40
    重量%含有し、C成分を約25重量%〜約65重量%含
    有する特許請求の範囲第13項記載の炭素繊維の製造法
    。 15)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分及
    びC成分のそれぞれのC/H原子比が1.3以上、1.
    4以上、1.5以上及び2.3以下である特許請求の範
    囲第13項又は第14項項記載の炭素繊維の製造法。 16)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分及
    びC成分のそれぞれのC/H原子比が1.3〜1.6、
    1.4〜1.7、1.5〜1.9及び1.8〜2.3の
    範囲内にあるような特許請求の範囲第13項又は第14
    項記載の炭素繊維の製造法。 17)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分及
    びC成分のそれぞれの芳香族構造炭素原子の全炭素原子
    に対する比(以下faと称する)がいずれも0.8以上
    である特許請求の範囲第13項又は第14項項記載の炭
    素繊維の製造法。 18)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分及
    びC成分のそれぞれのfaがいずれも0.80〜0.9
    5の範囲にある特許請求の範囲第17項記載の炭素繊維
    の製造法。 19)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分、
    C成分のそれぞれの数平均分子量が250〜700、4
    00〜1,000、800〜2,000、1,500〜
    3,000の範囲内にある特許請求の範囲第13項又は
    第14項記載の炭素繊維の製造法。 20)炭素質ピッチにおけるA成分、B成分及びC成分
    のそれぞれの最高分子量(分子量分布を測定し低分子量
    側より99重量%積算した点の分子量)がそれぞれ5,
    000以下、10,000以下及び30,000以下で
    ある特許請求の範囲第13項又は第14項記載の炭素繊
    維の製造法。 21)炭素質ピッチにおけるO成分の最低分子量(分子
    量分布を測定し低分子量側より99重量%積算した点の
    分子量)が150以上で、C成分の最高分子量が30,
    000以下である特許請求の範囲第13項又は第14項
    記載の炭素繊維の製造法。 22)炭素質ピッチは約1.3以上のC/H原子比、約
    0.8以上のfa、約250以上の数平均分子量を有し
    、かつそのC成分のC/H原子比が約1.8以上、fa
    が約0.85以上、及び数平均分子量が約3,000以
    下である特許請求の範囲第13項又は第14項記載の炭
    素繊維の製造法。 23)炭素質ピッチは実質的に全て光学的異方性相であ
    る特許請求の範囲第13項から第22項のいずれかの項
    に記載の炭素繊維の製造法。 24)炭素質ピッチは約230℃〜約320℃の軟化点
    を有する特許請求の範囲第13項から第23項のいずれ
    かの項に記載の炭素繊維の製造法。 25)炭素質ピッチにおけるO成分のC/H原子比が1
    .3〜1.6、faが0.80〜0.95、数平均分子
    量が250〜700の範囲にある特許請求の範囲第1項
    、第2項、第13項又は第14項に記載の炭素繊維の製
    造法。 26)炭素質ピッチにおけるA成分のC/H原子比が1
    .4〜1.7、faが0.80〜0.95、数平均分子
    量が400〜1,000の範囲内にあって、かつA成分
    中の5,000以上の分子量の成分の含有率が1重量%
    以下である特許請求の範囲第1項、第2項、第13項又
    は第14項に記載の炭素繊維の製造法。 27)炭素質ピッチにおけるB成分のC/H原子比が1
    .5〜1.9、faが0.80〜0.95の範囲内にあ
    って、その数平均分子量(温和な条件で部分的に水素添
    加反応を加えてクロロホルムに可溶化した後測定した分
    子量)が800〜2,000の範囲内にあり、かつB成
    分中の10,000以上の分子量の成分の含有が1重量
    %以下である特許請求の範囲第13項又は第14項記載
    の炭素繊維の製造法。 28)炭素質ピッチにおけるC成分のC/H原子比が1
    .8〜2.3、faが0.85以上で、その数平均分子
    量(温和な条件で部分的に水素添加反応を加わえて、ク
    ロロホルムに可溶化した後測定した分子量)が1,50
    0〜3,000の範囲にあり、且つC成分中の30,0
    00以上の分子量の成分が1重量%以下である特許請求
    の範囲第13項又は第14項記載の炭素繊維の製造法。 29)炭素質ピッチにおけるO成分、A成分、B成分、
    C成分のそれぞれが同時に下記の特性値を有する特許請
    求の範囲第13項又は第14項記載の炭素繊維の製造法
    。 ▲数式、化学式、表等があります▼
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