JPH03167320A - 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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JPH03167320A
JPH03167320A JP30850389A JP30850389A JPH03167320A JP H03167320 A JPH03167320 A JP H03167320A JP 30850389 A JP30850389 A JP 30850389A JP 30850389 A JP30850389 A JP 30850389A JP H03167320 A JPH03167320 A JP H03167320A
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optically anisotropic
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phase
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JP30850389A
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Kazuyuki Murakami
一幸 村上
Hidekazu Nishi
秀和 西
Tsutomu Naito
勉 内藤
Takashi Hino
日野 隆
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高性能炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法に関す
る。更に詳しくは、本発明は特殊な分子構造特性を有す
る光学的異方性ピッチを原料として用いる高性能炭素繊
維及び黒鉛繊維の製造方法に関する. 〔従来の技術〕 従来,自動車,航空機その他の各種産業分野にわたって
、軽量、高強度,高弾性率等を有する高性能素材の開発
が要望されており,か)る観点から炭素繊維(黒鉛繊維
を含む)が注目されている。
現在市販の炭素繊維は依然としてポリアクリロニトリル
を原料とするI)AN系炭素繊維が主流であるが、石炭
又は石油系ピッチ類を原料とする炭素繊維も原料が安価
で,炭化工程での歩留りが高く、弥性率の高い繊維が得
られるなどの利点から重要視され,活発な開発研究が行
なわれている.光学的に等方性のピッチから得られる炭
素繊維は強度,弾性率ともに低いが、光学的等方性ピッ
チを熱処理して得られる光学的異方性ピッチからは高性
能炭素繊維が得られる。光学的異方性ピッチの製造に関
しては,ピッチ製造用の一般原料である重質炭化水素抽
,タール、市販等方性ピッチ等を、例えば、単に加熱処
理する(特開昭49−19127号、同57−4292
4号各公報)、光学的等方性ピッチを溶媒で抽出しその
不溶分を加熱処理する(特開昭54−160427号公
報等)、不活性ガスを吹込みながら加熱処理する(特開
昭58−168687号公報)、部分水添した後5加熱
処理する(特開昭57−100186号,同58−18
421号各公報)、熱分解重縮合を半ばで打切って,比
重差によって沈積分離又は遠心分離し丈高濃度異方性ピ
ッチを得る(特公昭61〜38755号、同62−24
036号各公報)方法などが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、このような方法によってH造された光学的異
方性相を95%以上含有する光学的異方性ピッチは,一
般に重縮合度の高い高分子量戊分の比率が高く、芳香環
縮合指数が小さく、芳香環割合が大きい傾向を有する。
そのため,このようなピッチを原料として用いて炭素繊
維を製造すると、反応性が低いので不融化に著しく時間
がかかる上に、炭化時の分子配列に障害が起こるため欠
陥が発生し易く、高強度炭素繊維を得るのが困難である
一方、重縮合度の低いピッチは,芳香環割合が小さいた
め光学的異方性ピッチになりにくい上に,得られた光学
的異方性ピッチは,低沸点成分や比較的長い脂肪族側鎖
を含む.そのため,このよう?ピッチを用いて炭素繊維
を製造すると,反応性が高過ぎて不融化の制御が困難で
あるのに加え、炭化時にそれらの蒸発、分解が起こり,
欠陥発生や繊維の融膠着を起こし、高性能炭素繊維を得
ることは極めて難しい。
従って、本発明の目的は,このような問題点を克服した
、即ち従来の光学的異方性ピッチとは異なる特殊な分子
構造特性を有する光学的異方性ピッチを原料として使用
する、高性能炭素繊維を安定的に効率良く製造できる、
炭IA繊維及び黒鉛繊維の製造方法を提0(することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、光学的異方性相を95%以七含有し、
しかも高温13C−NMR測定により求められる芳香環
縮合指数が0.45〜0.55、芳香環割合が85〜9
2■及び側鎖炭素数が1.1〜1.3である光学的異方
性ピッチを原料として用い、これを溶融紡糸し,炭化し
、更に場合により黒鉛化することを特徴とする炭素繊維
及び黒鉛繊維の製造方法が提供される。
なお、本発明でいう光学的異方性ピッチとは,常温で固
化したピッチ塊の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直
交二コルを回転して光輝が認められるピッチ,即ち実質
的に光学的異方性であるピッチが大部分であるピッチを
意味し、光輝が認められず光学的等方性であるピッチに
ついては,水明細書では光学的等方性ピッチと呼称する
.従って、本明細書における光学的異方性ピッチには、
純粋な光学的異方性ピッチのみならず、光学的異方性相
の中に光学的等方性相が球状又は不定形の島状に包含さ
れている場合も含まれる。これとは逆に、光学的等方性
ピッチには、光学的等方性ピッチ中に、少量の光学的異
方性相を包含するものも含まれる.また、本明細書にお
ける光学的異方性相は、所謂メソフェースと同様と考え
られるが、メソフェースにはキノリン又はビリジンに不
溶なものとキノリン又はピリジンに可溶な成分を多く含
むものとの二種類があり、本明細書でいう光学的異方性
相は主として、後者のメソフェースである。
なお、本発明でいう光学的異方性相の含有量とは、試料
を偏光顕微鏡で直交二コル下でwt察写真撮影して、試
料中の光学的異方性相部分の占める面積割合を測定する
ことにより求めたものである。
なお本発明でいうピッチの軟化点とは、ピッチの固一液
転移温度をいうが、差動走査型熱量計を用い、ピッチの
融解又は凝固する潜熱の吸、放出ピーク温度から求めた
ものである.この温度はピッチ試料について他のリング
アンドボール法、微量融点法などで測定したものと±l
O℃の範囲で一致する。
以下、本発明の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法につい
て詳細に説明する。
(1)原料光学的異方性ピッチ (i)ピッチの物性 本発明において原料として用いる光学的異方性ピッチは
、光学的異方性相を95%以上含有し、しかも高温”C
−NMR測定により求められる芳香環縮合指数が0.4
5〜0.55、芳香環割合が85〜92%及び側鎖炭素
数が1.1〜1.3であることを特徴とする。
なお、ここでいう芳香環縮合指数は、ピッチの基本的な
分子骨格である縮合多環芳香環の形状を表わすパラメー
タで、J.K.Brownとリ. R . Ladne
rにより提唱された(fuel 39.87,(196
0))重質油の平均分子構造解析法により求められる.
このパラメータは,縮合多環芳香環を構成する芳香族炭
素とその外周に付加している水素(置換基は水素に置き
換えて考える)の比で表わされ、分子が大きくなると共
に,値が小さくなる。また.同じ分子量で比較した場合
、値が大きい程縮合多環芳香環が細長く外周部分が多く
なるので反応性は高い。逆に値が小さい程縮合多環芳香
環が丸く反応性が乏しい。
ピッチ分子骨格には芳香環の他に脂肪族のナフテン環が
存在する事が知られているが、芳香環割合は上記構造解
析法で得られる芳香環数及びナフテン環数を用いて芳香
環の含有率を表わしたパラメータである.この値が大き
い程芳香環の含有率が多く、値が小さい程芳香環の含有
率が少ない.また、側鎖炭素数は武谷らにより提唱され
〔燃協協会誌、43,837,(1964)).前述の
Brown Ladnerの構造解析法に加えられたパ
ラメータで、脂肪族側#′1(ナフテン環も含む)1個
所当たりの炭素数で側鎖の長さを表わしている。このパ
ラメータでは値が大きくなる程平均の側鎖長が長くなり
、小さくなる程側鎖は短くなる。
これら三つのパラメータにより、芳香環骨格、脂肪族側
鎖などのピッチの平均的な分子構造が特徴づけられる。
パラメータの計算に必要なデータは元素分析値、数平均
分子量、” H−NMRで表わされる水素形態別含有量
(以下水素分率という)である.このうち水素分率につ
いては,光学的異方性ピッチが溶媒不溶戒分を含むため
直接測定はできないので,高温”C−NMRよりピッチ
にピレンを添加して得られる高分解能脂肪族炭素スペク
トルから炭素の結合形態を帰属し,間接的に求めた。そ
れらの帰属及び水素分率の計算式を以下に示す。
水素分率の計算式 Ha”(31 − + 2 I s + 2 I t)
X (1〜 f a) XC/HHβ=(3I,+2I
,+2I,)X(1〜fa)XC/}IH y :(3
 I 1)X (1〜 f a) X C/HHa =
1〜(Ha +}lβ+Hy)註) Hα : α位の脂肪族水素分率 Hβ : β位の脂肪族水素分率 Hγ : γ位の脂肪族水素分率 Ha :芳香族水素分率 I,:17〜22Pp鳳のスペクトル強度(メチル基)
但し、 全脂肪族炭素スペクトル強度を1と する. 更に芳香族性(fa)、 元素分析、 数平均分子量か ら各構或元素の1分子当たりの個数をもとめ,次式に従
って芳香環縮合指数(Hau/Ca)、芳香環割合(R
aus/Rtus)、側鎖炭素数(llo/}l a 
+ 1 )を求める事が出来る。
註)C. H. N. S, 0:l分子当たりの各元
素の個数本発明で用いられる光学的異方性ピッチは、従
来のピッチとは異なり、前記したように芳香環縮合度が
小さく(即ち,芳香環縮合指数が大きく),適度な芳香
環割合及び脂肪族側鎖長を有する。そのため、該ピッチ
を用いて炭素繊維を製造した場合、不融化を短時間で問
題なく行なうことができ、しかも炭化時の欠陥発生や融
膠着を最小に抑えることができるので、高強度,高弾性
率の炭素繊維を安定的に効率良く容易に製造することが
できる。
なお,ピッチの芳香環縮合指数が0.45未満では、芳
香環の縮合が進み過ぎて反応性が乏しく,不融化工程で
時間がかかると共に,炭化工程での欠陥の発生も多くな
り、結果的に高性能炭素繊維が得られない。また,会合
性が強くなり過ぎるために,紡糸性も悪くなる。一方,
0.55を越えると、芳香環の縮合が乏しく、光学的異
方性相に等方性相が含まれて来るために、両相の粘度差
から紡糸性が著しく悪くなる. 芳香環数が92%を越えると、芳香環の縮合が進み過ぎ
ていると考えられ,反応性が乏しく且つ会合性が強くな
り、紡糸性、不融化、炭化反応性が悪くなる.また,8
5z未満では,分子中に含まれるナフテン環などの高反
応性基が多くなり、不融化工程での制御が難しくなる.
更に、不融化、炭化工程で比較的低分子量成分が揮発あ
るいは分解してでてくるので,繊維間の融膠着の原囚と
もなり好ましくない。
側鎖炭素数が1.3を越えると,側鎖の中でも反応性が
高くなるので,結果的に不融化、炭化反応の制御が難し
い。逆に1.1未満では、反応性に乏しく不融化工程で
時間がかかり、炭化工程でも欠陥の発生が多くなり,結
果的に高性能炭素繊維が得られない. (且)ピッチの製造 本発明で用いられる特殊な分子構造特性を有する光学的
異方性ピッチは、特定の石油系炭素IIt原料を選択し
、熱分解重縮合反応を半ばで打切って、生成した光学的
異方性相部分を分離除去した後、得られた光学的等方性
ピッチを減圧蒸留して,軽質分の除去及び光学的異方性
相の形成を併せ行ない、得られた光学的異方性相部分を
回収することによって製造することができる. この製造方法においては、出発原料として、石油を接触
分解した際副生ずる重質残油を減圧蒸留することによっ
て得られた常圧に換算した沸点が415℃以上の留分で
あって、n−ヘプタン可溶成分の芳香族分及びレジン分
を主或分として含有し、しかも芳香族分及びレジン分の
各々の芳香族炭素含有率faが0.6以上(好ましくは
0.7以上),数平均分子量が700以下(好ましくは
300〜600)で、最大分子量が1 , 500以下
(好ましくは1 , 200以下)とされたタール状物
質が使用される. 該出発原料は、強度低下の原因となる固形異物や熱処理
反応により高分子物質を形成する高分子量或分を僅かし
か含有しない。
なお、ここでいう芳香族炭素含有率faは、炭素と水素
の含有率分析と赤外線吸収法とから測定した芳香族構造
の炭素原子の全炭素原子に対する比率を表わす.分子の
平面構造性は縮合多環芳香族の大きさ,ナフテン環の数
,側鎖の数と長さなどにより決まるから、分子の平面構
造性はfaを指標として考案することができる。即ち、
縮合多環芳香族が大きいほど、ナフテン環の数が少ない
ほど、パラフィン側鎖の数が少ないほど、側鎖の長さが
短かいほどfaは大きくなる。従って,faが大きいほ
ど分子の平面構造性が大きいことを意味する。
faの測定計算方法は加藤の方法(加藤ら,燃料協会誌
55,244(1976))によって行なった。また、
ここでいう数平均分子量は、クロロホルムを溶媒として
蒸気圧平衡法で測定した値を表わす。分子量分布は同一
系統の試料をクロロホルムを溶媒としたゲルパーミエー
ションク口マトグラフィーで10個に分取し,分取した
それぞれの数平均分子量を蒸気圧平衡法で測定し,これ
を標準物質の分子量として検量線を作或し分子量分布を
測定した。最高分子量はゲルパーミエーションク口マト
グラフにより測定した分子量分布の低分子量側から99
重量2積算した点の分子量を表わす。
この製造方法においては、前記炭素質原料を熱分解重縮
合するために、該原料に380〜460℃の範囲の温度
で熱処理を行なうが、該反応は光学的異方性相が20〜
70%生成した時点で止められる.即ち、熱分解重縮合
反応は半ばで打切られる。
なお熱分解重縮合とは、重質炭化水素の熱分解反応と重
縮合反応とが、ともに主反応として併列的に起ることに
より、ピッチ或分分子の化学構造を変化させる反応を意
味し,この反応の結果、パラフィン鎖構造の切断,脱水
素,閉環、重縮合による多環縮合芳香族の平面構造の発
達等が進行するものである. この反応のために、前記炭素質原料は約380〜約46
0℃,好ましくは400〜430℃で熱処理される。熱
処理においては、反応温度が約460℃を超過すると、
原料未反応物の揮発が増大し,光学的異方性相の軟化点
も高くなり且つコーキングを発生し易くなるので不適当
であり、逆に約380℃未満では、反応に長時間を要し
好ましくない. 熱処理に際しては、局部過熱を防ぎ,均一に反応させる
ために、撹拌が行なわれるが、更に,熱分解の結果、生
成した低分子量の物質を速やかに除くため、減圧下にお
いて、又は必要な場合には、不活性ガスを反応器中へ吹
き込みながら行なうことができる.この場合、不活性ガ
スとしては、窒素,水蒸気、炭酸ガス、軽質炭化水素ガ
ス,、又はこれらの混合ガス等,反応温度でピッチとの
化学反応性が充分小さいものを使用することができる.
これらの不活性ガスは、吹込み前に予熱しておくことが
、反応温度を下げることなく好ましい。
分解油及び分解ガスを含んだ該不活性ガスは、反応器上
部より抜き出され,コンデンサー、スクラバー、分離槽
等を経て,分解油及び分解ガスが除去される.その後,
該不活性ガスを再循環使用することも可能である. この熱処理反応器としては、液相熱分解装置であれば任
意の型式のものが使用されるが、通常円筒状容器からな
るものが用いられ、原料供給口、分解油,分解ガス、不
活性ガス等の排出口,ピッチ抜出口等が設けられ,反応
器内部には撹拌装置等が、また外部には原料加熱用ヒー
ター等が配設されている.なお,反応操作はバッチ、セ
ミバッチ及び連続式等の何れの方法でもよい.この製造
方法においては、熱処理で光学的異方性相が20〜70
%生成した時点で反応を止め、光学的異方性相部分を分
離除去する。この光学的異方性相部分の除去処理により
,固形異物、高分子炭素質等の不純物が除去される.こ
の熱処理を、光学的異方性相が70%超過となるまで行
なうと、ピッチの収量が低下すると共に、光学的等方性
相の分子量が大きくなり過ぎ、逆に20%未満で止める
と、光学的等方性相に含まれるピッチ分子の縮合が不充
分である. 熱処理によって生成した光学的異方性相を20〜70%
含有するピッチから光学的異方性相部分を除去するため
の方法、即ち光学的異方性相部分と光学的等方性相部分
とを分離するための方法としては、公知の種々の固液分
離法が適宜採用されるが、特に比重差を利用する分離法
(参,特公昭61〜38755号、同62−24036
号各公報〉を採用するのが好ましく,とりわけ工業生産
においては,′a心分離法を採用するのが好ましい. 遠心分離法は,熱処理によって生成した光学的異方性相
含有ピッチに、その溶融状態で、遠心分離操作を加える
ことにより,光学的異方性相は光学的等方性相よりも比
重が大きいために迅速に沈降し、合体威長しつつ下層(
遠心力方向のH)へ集積し、光学的異方性相が約80%
以上で連続相を成し,その中にわずかに光学的等方性相
を島状または微小な球状体の形で包含する光学的異方性
ピッチが下層となり、一方上層は光学的等方性相が大部
分で、その中に光学的異方性相が微小な球状体で分散し
ている形態の光学的等方性ピッチとなり,しかもこの上
層と下層との界面が明瞭であって,しかも上層と下層の
溶融状態での比重が大きく異ることを利用して、下層を
上層より分離して取出し,光学的異方性ピッチと光学的
等方性ピッチとを分離する方法である.なお、遠心分離
操作とは、流体に高速回転作用を与え,流体中のより比
重の大きい相を下層(遠心力の方向)へ集め、これを分
離する処理操作であり、その実施態様の一つとしていわ
ゆる遠心分離機による操作、特に連続的に重相と軽相を
分離排出する連続型遠心分離機などが有利に使用される
光学的異方性相部分を分離する温度は、遠心力の大きさ
にもよるが,光学的異方性相含有ピッチの軟化点以上、
好ましくは280℃−400℃,さらに好ましくは32
0℃〜380℃の範囲である.この範囲内の所定の一定
温度でもよく、また必らずしも一定温度でなくてもよい
. この処理では、光学的異方性部分を遠心力方向へ沈積さ
せ合体せしめることが主目的であり,熱分解および重縮
合反応はできるだけ避ける必要がある。従って400℃
以上の温度は好ましくないし,また必要以上の温度は遠
心分離装置の長時間の連続運転を難しくするが,上述の
温度では,その問題もない.また上述の範囲よりも低温
ではピッチ系全体の、特に光学的異方性相の粘度が大き
いため下層光学的異方性相中に共沈した光学的等方性相
が脱けにくくなる. また、該遠心分離操作の遠心力加速度は、如何なる値で
あってもよいが、光学的異方性相部分(重相)と光学的
等方性相部分(軽相〉とを、滞留時間を短かくして,効
率的に短時間で分離するために、好ましくは1,OOO
G以上、特にto,ooo〜40,OOOGの範囲を採
用することができる.なお,5G,GOOG以上では装
置面の制約がある. 光学的異方性相部分が分離除去された光学的等方性ピッ
チは,次に減圧蒸留処理に付され、該処理によって軽質
留分の除去と併せて新たに光学的異方性相の生或が行な
われる.この減圧蒸留処理は、400℃以下,好ましく
は370℃以下の温度で且つlO開11g以下,好まし
くは1,OmmHg以下の圧力下で行なわれ,ピッチ中
に光学的異方性相が20〜70%,好ましくは25〜5
0%含有される状態になった時点で中止される. というのは、減圧蒸留処理を受けたピッチは,次に光学
的異方性相部分を分離回収する処理を受けるが、この光
学的異方性ピッチ回収処理において,低軟化点の均質な
光学的異方性ピッチを高収率で得るためには、減圧蒸留
後のピッチ収率が高く且つ光学的異方性相含有量が約2
0〜約70%,軟化点が260℃以下であるものが好ま
しいためである.減圧蒸留後のピッチ中の光学的異方性
相が20S未満のものでは,次の分離回収での光学的異
方性ピッチの収率が極めて小さく,逆に光学的異方性相
を70%より大きいものにすると,分離回収の際の分離
性が悪くなって高濃度の光学的異方性ピッチが得られな
くなる.減圧蒸留によって得られる光学的異方性相含有
ピッチとしては,光学的異方性相の大部分又は実質的に
全てが直径500μ重以下、好ましくは300μ■以下
の球状の状態であるものが適切である. なお,この減圧蒸留の条件の設定により、光学的異方性
相部分(即ち、次の分離回収処理によって得られる光学
的異方性ピッチ)の軽質成分,組戊(キノリン不溶分含
量)及び分子量等を制御することができる. この製造方法においては、減圧蒸留処理によって生威し
た光学的異方性相含有ピッチは、次に光学的異方性ピッ
チ分離回収処理を受け,ここで光学的異方性ピッチと光
学的等方性ピッチとに分離される.この場合の分離方法
としては、前記の熱処理後の分離と同様に,公知の種々
の固液分離法が適宜採用され、特に比重差を利用する分
離法を採用するのが好ましく、とりわけ工業生産におい
ては,遠心分離法を採用するのが好ましい。
この光学的異方性ピッチ回収処理により,光学的異方性
相含有量が95%以上の光学的異方性ピッチが、短時間
に、経済的に得られる。
なお,この製造方法においては,光学的異方性ピッチ回
収処理の直後に,適当な仕上げ熱処理を加えることも可
能である.即ち,前記回収処理で特に短い滞留時間を用
いて、軟化点は充分低いが、光学的異方性相含有量が約
80%〜9郎と、やや不充分な光学的異方性ピッチを製
造し、次にこれを300℃〜430℃の温度で熱重質化
反応処理を加えて、光学的異方性ピッチの特性が狭い品
質管理限界内に入るように調節する方法を採用すること
もできる。光学的異方性相を80〜90%含有する光学
的異方性ピッチは光学的等方性相を10−20%含有し
ているが、この光学的等方性相は更に熱重質化反応処理
を少し加えることによって減少し、また軟化点も次第に
上昇することが判っているので、適度に調節された温度
と処理時間で,分離後のピッチを熱ffiff化するこ
とによって、光学的異方性相の含有量を95%以上に調
節することができる.この製造方法によって得られたピ
ッチは連続的に系外へ取出され,液状のままあるいは固
化され製品となる.この方法により、軟化点が充分に低
く且つ特殊な分子構造特性を有する光学的異方性ピッチ
が得られる。
(2) Jim維の製造 (i)紡糸 前記の分子構造特性を有する光学的異方性ピッチは,公
知の方法によって紡糸することができる.このような方
法は、例えば、直径0.1mm〜0.50の紡糸口を1
〜1,000ケ有する紡糸口金を下方に有する金属製紡
糸容器にピッチを張り込み、不活性ガス雰囲気で280
〜370℃の間の一定の温度にピッチを保持し,溶融状
態に保って不活性ガスの圧力を数百一鵬HHに上昇せし
めて口金から溶融ピッチを押し出し,温度及び雰囲気を
制御しつつ流下したピッチ繊維を、高速で回転するボビ
ンに巻き取るものである. また、紡糸口金から紡糸したピッチ繊維を集束させて気
流で引取りつつ、下方の集積ケースの中にケンス状に集
積する方法を採用することもできる.この場合,紡糸容
器へのピッチの供給を、予め溶融したピッチやギアポン
プ等により加圧供給することによって連続的に紡糸する
ことが可能である.更に,上記方法において、口金の近
傍で,一定の温度に制御され高速で下降するガスを用い
て、ピッチ繊維を延伸しつつ引取り、下方のベルトコン
ベア上に長繊維を作る方法も用いることができる. 更に、周壁に紡糸口金を有する円筒状の紡糸容器を高速
で回転させ,これに溶融ピッチを連続的に供給し、円筒
紡糸器の周壁より遠心力によってピッチを押し出し,回
転の作用によって延伸されるピッチ繊維を集積するよう
な紡糸方法を採用することもできる. (it)集束剤(油剤) 本発明においては,溶融紡糸したピッチ繊維は,エアサ
ッカ一を通して集束しつつオイリングローラーに導き,
集束剤(油剤)をつけて更に集束する.この場合の集束
剤としては,例えばエチルアルコール、イソプロビルア
ルコール,n−プロビルアルコール,ブチルアルコール
等のアルコール類又は粘度3〜300cst(30℃)
のジメチルシリコン油、メチルフェニルシリコン油等を
シリコン油又はパラフィン油等の溶剤で希釈したもの、
又は乳化剤を入れて水に分散させたもの;同様にグラフ
7イト又はボリエチレングリコールやヒンダードエステ
ル類を分散させたもの;その他通常の繊維,例えばポリ
エステル繊維に使用される各種油剤の内ピッチ繊維をお
かさないものを使用することができる. 集束剤をピッチ繊維に付与する方法としては、υ字型の
ガイドに通して付与する方法、オイリングローラー法、
スプレー法等の従来公知の付与方法を採用することがで
きる. また、集束剤の付与は、紡糸工程から不融化工程の間の
何れにおいても行なえるが,M1弱なピッチ繊維を安定
に取扱うためには、紡糸口金一巻取機間で行なうのが好
ましい. 集束剤の繊維への付着量は,通常0.Ol〜10重量算
であり、好ましくは0.05〜5重量2である。
(in)ピッチ繊維の不融化 前記集束剤が付与され,集束されたピッチ繊維は,公知
の方法によって不融化される。不融化工程の温度は15
0℃−400℃、好ましくは200℃〜350℃の範囲
でステップ状又は徐々に昇温しで、通常はlO分〜60
分処理する.本発明では,前記した分子構造特性を有す
るピッチを原料として用いているため、得られたピッチ
繊維は適度な反応性を有し、そのため不融化を短時間で
行なうことができ、従来法のように60分以上という長
時間の不融化を行なう必要はない. 不融化は、空気、酸素、空気と酸素又は窒素の混合ガス
等を使用して行なうことができる。
本発明においては,200℃以下の温度でハロゲン,N
O2,オゾン等の酸化剤を含んだ雰囲気中で短時間処理
するか,又は,酸素ガス雰囲気中でピッチの軟化点より
30〜50℃低い温度、即ち150〜240℃の温度で
充分な不融化が得られる迄10分〜60分保持し,その
後必要により約300℃迄昇温しで不融化を終了させる
方法が好ましく、特に後者の方法は容易且つ確実であり
好ましい. (iv)熱処理工程 次に,この不融性となった炭素質ピッチ繊維を、化学的
に不活性なアルゴンガス又は窒素ガス等の雰囲気中で、
500〜1 , 000℃迄昇温して予備炭化した後、
1,000−2,000℃の範囲の温度迄昇温しで炭化
することによって炭素繊維が得られ、2,000〜3,
OOO℃の範囲内の温度迄昇温しで,黒鉛化処理迄進め
て、黒鉛繊維が得られる.本発明では、前記したように
原料として、芳香環縮合度合が小さく,適度な芳香環割
合及び脂肪族側鎖長を有するピッチを用いているため、
得られた不融化繊維は適度な反応性を有し、炭化時にお
ける欠陥発生や融膠着は充分に抑制される. 本発明においては、この炭化及び黒鉛化の方法の詳細に
ついて,特に限定するものではな<,一般公知の方法を
用いることができる. また、不融化,R化,黒鉛化処理の間,炉壁、炉底との
こすれ傷の発生を防止し,糸の収縮変形等を避け,ある
いは、外観の良い物性の高い炭素繊維、黒鉛繊維を得る
などの目的のために、集束剤をつけた繊維束を処理する
際、繊維束に荷重又は張力をかけておくことが好ましい
. 〔発明の効果〕 本発明の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法は、前記した
特殊な分子構造特性を有する高濃度の光学的異方性ピッ
チを原料として用いるため,(イ〉不融化反応性が改善
され、不融化時間の短縮が可能となる, (口)炭化時の欠陥発生や融膠着が充分に抑制される、 (ハ)紡糸の安定性が良好である, という卓越した効果を奏し、その結果本発明によると、
糸質の良好な高強度,高弾性率の炭素繊維及び黒鉛繊維
を安定的に製造することができる.〔実施例〕 以下,実施例により本発明を更に詳細に説明するが,も
ちろん本発明の範囲はこれに限定されるものではない. 実施例1 石油の接触分解工程で副生する重質残渣油を脱灰後,減
圧蒸留して得た常圧に換算して415℃以上の釜残ター
ルを出発原料とした。このタール状物は、炭素89.9
重量2,水素8.9重量%. Jil!黄1.1重量算
からなり、その組或及び性状は表−1に示す通りであっ
た。
表−1 このタール状物質20kgを内容積3釘の反応槽に張込
み、窒素気流下で充分撹拌しながら415℃に保って5
時間熱分解重縮合反応に供し、偏光顕微鏡で観察すると
光学的等方性母相に200μ一以下の光学的異方性球体
を約50%含有するピッチを、原料タールに対して12
重量2の収率で得た。
次に、このピッチを連続式遠心分離機に張込み、窒素気
流下、350℃,10,OOOGの条件で遠心分離を行
ない,光学的異方性ピッチ“Allと光学的異方性相を
2%以上含まない実質的に光学的等方性のピッチ“B”
に分離し,ピッチ“^”と“B”を50:50の比率で
得た. 次に,このピッチ” B ” 5 0 0 gを2Qの
高真空蒸留装置に張込み、0.0io+mHgの真空度
で液温が350℃になるまで昇温し,常圧に換算し60
0℃までのピッチ中の留分約5メを除去した.釜残ピッ
チ6″C”は、光学的等方性母相に100μ一以下の光
学的異方性球体を約40%含んでいた. 次に、このピッチarc”をバッチ式遠心分離機に張込
み、窒素気流下,350℃,10,OOOGの条件で光
学的異方性相100%のピッチ゛″D′”と光学的異方
性相を2%以上含まない実質的に光学的等方性のピッチ
“Ellに分離した. ピッチ“0”は高温13C−NMRで測定される芳香環
縮合指数が0.493、芳香環割合が91.4%,側鎖
炭素数が1.16であった.また、その軟化点を測定し
たところ272℃であった. 次に,ピッチ“D”を0.3+amのノズルを有する紡
糸機に充填し、320℃の紡糸温度において500m/
sunの引き取り速度で引き取ったところ、連続1時間
以上にわたって糸切れをすることなく,平均繊維径約1
3μmのピッチ繊維を得ることが出来た.このピッチ繊
維を酸素濃度60%,窒素濃度40%の酸化ガス雰囲気
中で150℃〜300℃まで約15分の短時間で不融化
し、次いで不活性ガス雰囲気中で100’c/winの
昇温速度で2 , 500℃まで昇温し黒鉛繊維を得た
.得られた黒鉛繊維の平均糸径は9.8μ一、平均強度
4 . 30Pa、平均弾性率790GPaであった.
また、繊維間の融膠着はtill察されなかった.実施
例2 実施例lで得られたピッチ“B”500gを加の高真空
蒸留装置に張込み,0.05mm}Igの真空度で液温
か350℃になるまで昇温し、常圧に換算し570℃ま
でのピッチ中の留分約4%を除去した.釜残ピツチ“F
”は,光学的等方性母相に100μ−以下の光学的異方
性球体を約30%含んでいた。
このピッチ11 F jlをバッチ式遠心分離機に張込
み、窒素気流下,350℃、10,OOOGの条件で光
学的異方性相100%のピッチ“G”と光学的異方性相
を2%以上含まない実質的に光学的等方性のピッチ“l
1゛′に分離した。
ビッチ゛G″は高温”C−NMRで測定される芳香環縮
合指数が0.495.芳香環割合が9l.0%.側鎖炭
素数が1.17であった.また、その軟化点を測定した
ところ270℃であった. 次に、ピッチ“G″″を0.3一朧のノズルを有する紡
糸機に充填し、320℃の紡糸温度において500m/
+sinの引き取り速度で引き取ったところ、連続1時
間以上にわたって糸切れすることなく,平均繊維径約1
3/ffiのピッチ繊維を得ることが出来た。
このピッチ繊維を酸素濃度60%.窒素濃度40%の酸
化ガス雰囲気中で150℃〜300℃まで約15分の短
時間で不融化し、次いで不活性ガス雰囲気中で100℃
/shinの昇温速度で2,500℃まで昇温し黒鉛繊
維を得た。得られた黒鉛繊維の平均糸径は9.7−、平
均強度4.IGPaL平均弾性率790GPaであった
.また、繊維間の融膠着は観察されなかった.実施例3 実施例lで得られた光学的異方性ピッチ“D”を0.1
5ma+径の細径ノズルを有する紡糸機に充填し,32
0℃の紡糸温度で紡糸したところ、1 , 000m/
分の引き取り速度で,連続1時間以上にわたって糸切れ
することなく、平均繊維径が約12μ一のピッチ繊維を
得た。
このピッチ繊維を酸素60%.窒素40%の酸化ガス中
で150〜300℃まで平均10℃l分の昇温速度で約
15分間の短時間で不融化処理を行ない、次いで不活性
ガス中で100℃/分の昇温速度で1 , 500℃及
び2,500℃まで昇温して炭化及び黒鉛化した.この
1 , 500℃で炭化した繊維の平均繊維径は9.3
μ、引張り強度は3 . 5GPa、引張り弾性率は2
60GPaであり、2 , 500℃で黒鉛化した繊維
の平均繊維径は8.8.,引張り強度は4.IGPa、
引張り弾性率は81 0GPaで,いずれも繊維間の融
膠着は無かった。
比較例1 実施例lで得られたピッチ“A”は高温”C−NMRで
測定される芳香環縮合指数が0.480、芳香環割合が
93.5%,側鎖炭素数が1.l5であった。
次に,ピッチ“Allを0.3厘鵬のノズルを有する紡
糸機に充填し、320℃の紡糸温度において500+w
#*inの引き取り速度で引き取ったところ、平均$1
維径約131Jsのピッチ繊維を得る事が出来た。
このピッチ繊維を酸素濃度60%、窒素濃度40%の酸
化ガス雰囲気中で150℃〜300℃まで約20分で不
融化した。次いで不活性ガス雰囲気中で100℃/II
linの昇温速度で2 , 500℃まで昇温し黒鉛繊
維を得た.得られた黒鉛繊維の平均糸径は9.3.、平
均強度3.8GPa.平均弾性率?70GPaであった
。また、繊維間の融膠着は15〜20%見られた. 比較例2 実施例lで得られたピッチgi o u 5 6 Q 
gを2党の高真空蒸留装置に張込み、5++++mtl
gの真空度で液温が410℃になるまで昇温し、常圧に
換算し560℃までのピッチ中の留分約lO%を除去し
た。釜残ピッチ゛工″は、軽質分除去と共に熱重縮合反
応も進んだと考えられ、光学的等方性母相に100pt
@以下の光学的異方性球体を約50%含んでいた。
このピッチ゛JIJ″をバッチ式遠心分離機に張込み、
窒素気流下、350℃、10,OOOGの条件で光学的
異方性相100%のピッチ“Jl1と光学的異方性相を
2%以上含まない実質的に光学的等方性のピッチ11 
K PIを、約50 : 50の比率で得た. ピッチ11 J 71は高温13C−NMRで測定され
る芳香環縮合指数が0.433、芳香環割合が93.2
%,側鎖炭素数が1.17であった. 次に、ピッチ“J”を0.31のノズルを有する紡糸機
に充填し,320℃の紡糸温度において500+s/s
inの引き取り速度で引き取ったところ,平均繊維径約
1:l/J1lのピッチ繊維を得る事が出来た.このピ
ッチ繊維を酸素濃度60%.窒素濃度40%の酸化ガス
雰囲気中で150℃−300℃まで約20分で不融化し
た.不融化時間15分では不融化は完了しなかった.次
いで不活性ガス雰囲気中で100℃/+minの昇温速
度で2,500℃まで昇温し黒鉛繊維を得た.得られた
黒鉛繊維の平均糸径は9.0μ、平均強度3.4GPa
、平均弥性率750GPaであった.また、繊維間の融
膠着は15〜20%見られた。
比較例3 実施例lで得られたピッチ゛B″゛は光学的異方性相2
%以下で、高温”C−NMRで測定される芳香環縮合指
数が0.570、芳香環割合が92.3%.側鎖炭素数
が1.30であった。
ピッチ# B I1を用いて実施例1と同様にして紡糸
を行なったが、紡糸性が悪く、ピッチ繊維を得ることが
できなかった。
比較例4 300gのエチレンタールピッチを5Qの振盪式オート
クレープにいれ、無触媒、水素初圧30Kg/ai?、
昇温速度3℃/shin、反応温度420℃で1時間水
添を行なった,この全量を窒素ガス気流下で充分撹拌し
ながら400℃に保って4時間熱分解重縮合反応に但し
,残留ピッチとして光学的等方性母相に200μ以下の
光学的異方性球体を約40%含むピッチを得た. 次に、このピッチを連続遠心分離機に張込み、窒素気流
下330℃,10,OOOGの条件で光学的異方性相ピ
ッチ“L″と光学的異方性相を2%以上含まない実質的
に光学的等方性のピッチ“H〃を、約40:60の比率
で得た. ピッチ“L71は高温″3C−NMRで測定される芳香
環縮合指数が0.495,芳香環割合が84.2%,側
鎖炭素数が1.47であった. 次に,ピッチ“14′を0.3mmのノズルを有する紡
糸機に充填し、300℃の紡糸温度において500m/
sinの引き取り速度で、平均繊維径約13IIaのピ
ッチ繊維を得る事が出来た。
このピッチ繊維を酸素濃度60%,窒素濃度40%の酸
化ガス雰囲気中で150℃〜300℃まで約20分で不
融化した。この時すでに不融化繊維中に融膠着が5〜1
0%Illされた。次いで不活性ガス雰囲気中で100
℃/sinの昇温速度で2 , 500℃まで昇温し黒
鉛繊維を得た.得られた黒鉛繊維の平均糸径は9.0μ
一,平均強度3 . 3GPa、平均弾性率730GP
aであった。また、繊維間の融膠着は約50%見られた
.比較例5 コールタールピッチを400”CにてTHQを用いて水
添し、Tl{Qを蒸留して除去した後、生戊物を450
’Cで熱分解重縮合させることにより,光学的異方性相
96%のピッチ41 N $3を得た。
ピッチ“N”は高温13C−NMRで測定される芳香環
縮合指数が0.480、芳香環割合が93.0%,側鎖
炭素数が1.04であった. 次に、ピッチ“N”を0.3■■のノズルを有する紡糸
機に充填し、340℃の紡糸温度において500m/s
inの引き取り速度で、平均繊維径約13μ口のピッチ
繊維を得る事が出来た. このピッチ繊維を酸素濃度60%.窒素濃度40%の酸
化ガス雰囲気中で150℃〜300℃まで約20分で不
融化した。この条件ではピッチ繊維の不融化が完了せず
、続く焼或工程で繊維同士が激しく融着して、物性測定
が困難であった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)光学的異方性相を95%以上含有し、しかも高温
    ^1^3C−NMR測定により求められる芳香環縮合指
    数が0.45〜0.55、芳香環割合が85〜92%及
    び側鎖炭素数が1.1〜1.3である光学的異方性ピッ
    チを原料として用い、これを溶融紡糸し、炭化し、更に
    場合により黒鉛化することを特徴とする炭素繊維及び黒
    鉛繊維の製造方法。
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