JPH036248B2 - - Google Patents

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JPH036248B2
JPH036248B2 JP57147038A JP14703882A JPH036248B2 JP H036248 B2 JPH036248 B2 JP H036248B2 JP 57147038 A JP57147038 A JP 57147038A JP 14703882 A JP14703882 A JP 14703882A JP H036248 B2 JPH036248 B2 JP H036248B2
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pitch
fiber
carbon fiber
carbon
spinning
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JP57147038A
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JPS5936726A (ja
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Yasuhiro Yamada
Takeshi Imamura
Hidemasa Pponda
Tooru Sawaki
Hideharu Sasaki
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Priority to FR8313618A priority patent/FR2532322B1/fr
Priority to GB08322788A priority patent/GB2129825B/en
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は新規な炭素繊維前駆体ピツチ繊維に関
するものである。更に詳しくは、不融化−焼成
(炭化)処理を施すことにより高強度高モジユラ
スの炭素繊維となるピツチ繊維に関するものであ
る。 現在、炭素繊維としては、主として、ポリアク
リロニトリル(PAN)繊維を原料とするPAN系
炭素繊維と石炭系又は石油系のピツチを原料とす
るピツチ系炭素繊維が生産されている。しかし、
主として複合材料において樹脂の補強材として使
用される高強度高モジユラスの炭素繊維はPAN
系が主流であり、ピツチ系は強度200Kg/mm2以下
の比較的低強度のものしか製造されていない。 最近、かかるピツチ系炭素繊維において、より
高性能の繊維を製造しようとする試みがなされて
おり、これ迄にも、炭素繊維の製造に当り、次の
ようなピツチを使用する方法が提案されている。 (a) 特定の縮合多環芳香族化合物を水素処理又は
熱処理したピツチを用いる方法(特公昭45−
28013号、特公昭49−8634号)。 (b) 石油系のタールやピツチをルイス酸触媒の存
在下で第1の熱処理を施した後、該触媒を除去
して第2の熱処理を施したメソフエースピツチ
を使用する方法(特公昭53−7533号)。 (c) ピツチを不活性ガスの流通下又は減圧下に加
熱して所定のメソフエース含量をもつメソフエ
ースピツチを使用する方法(特開昭53−86717
号、特開昭53−86718号)。 (d) 光学的等方性ピツチを溶剤(ベンゼン,トル
エン,ヘプタン等)で処理し、不溶部を加熱し
て形成させたネオメソフエースを使用する方法
(特開昭54−160427号、特開昭55−58287号、特
開昭55−130809号)。 しかしながら、これらの方法によつても、
PAN系炭素繊維に匹敵する高度な性能をもつ炭
素繊維を得ることができない為、現在に至るまで
ピツチ系炭素繊維は、例えばアスベスト代替品の
ような強度が低くてもすむような分野で用いられ
ているのが実情である。 本発明者らは、上述の如きピツチ系炭素繊維の
現状に鑑み、ピツチ類を原料としてすぐれた品質
をもつ炭素繊維を製造する方法を開発すべく研究
を重ね、さきに、紡糸後の不融化・炭化処理段階
で光学的異方性のメソフエースに転換する特異な
プリメソフエースピツチを用いる新規な炭素繊維
の製造方法を提案した(特願昭56−117470号)。 本発明者らは、この知見を基に更に研究を重ね
た結果、高性能の炭素繊維を形成するには、ピツ
チを溶融紡糸して巻取つた段階、即ち炭素繊維前
駆体ピツチ繊維の微細構造及び該ピツチの化学的
特性が重要であり、これらをコントロールするこ
とによつて、従来のピツチ系炭素繊維には期待で
きない、すぐれた性能をもつ炭素繊維が形成され
るという事実を見い出し、本発明に到達したもの
である。 すなわち、本発明の炭素繊維前駆体ピツチ繊維
は、テトラヒドロキノリンを含む水素化溶媒によ
つて水素化され熱処理されたピツチであつて、キ
ノリン可溶性分を30重量%以上含有し、20℃での
比重が1.29〜1.40、数平均分子量が700〜1700、
水素と炭素の原子数比が0.50〜0.65、芳香化度が
0.45〜0.9であるピツチを溶融紡糸し、この際、
急冷条件下で300〜1500m/分で巻取ることによ
り、X線回折によつて求めた配向角が30〜50℃で
あり、結晶サイズが2.5〜4nm、層間隔が0.343〜
0.350nmであつて、且つ光学的等方性でキノリン
可溶性のマトリツクス中に光学的に異方性成分が
繊維軸方向に伸びた多数のすじ状又はフイブリル
状に分散していることを特徴とする炭素繊維前駆
体ピツチ繊維である。 従来、メソフエースピツチを用いて高強度高モ
ジユラス繊維を得る場合、紡糸直後の前駆体ピツ
チ繊維は、高度に配向したものが好ましいとされ
てきた。しかし、高度に配向した前駆体ピツチ繊
維から製造した炭素繊維は、繊維軸方向に配向し
た結晶のサイズ(Lc)が大きくなり、黒鉛化特
性としての高い熱伝導性及び電気伝導性は発現し
得るものの、繊維としての機械物性(強伸度)
が、PAN系炭素繊維と比較し不十分なものであ
つた。この原因としては、黒鉛化構造を追求する
あまりの高配向化が、逆に繊維内部に微細な不均
質化をもたらし、これが繊維の縦割れ等をひき起
し、強度劣化につながつていると考えられる。 本発明の炭素繊維前駆体ピツチ繊維は、上述の
如く、X線回折によつて求められる構造パラメー
ターを適度の範囲に調整することにより、焼成
(炭化)時の結晶の肥大化を防ぎ、繊維軸方向に
生ずるクラツクの発生を防止することを可能にし
たものである。 即ち、配向角(OA)が30゜未満の高度に配向し
たピツチ繊維は、炭化(焼成)段階で繊維内部の
結晶が粗大なラジアル構造をとり易く、クラツク
が発生しやすい。一方、配向角が50゜を越えると、
炭化(焼成)段階での再配列が不可能となり高強
度高モジユラスが発現し難い。 結晶サイズすなわち見掛けの微結晶厚さ
(Lc)、層間隔(doo2)は、配向角と相関があり、
配向角が小さいと結晶サイズは大きくなり層間隔
は小さくなるが、高強度高モジユラスの炭素繊維
を得るには、配向角(OA)、結晶サイズ(Lc)、
層間隔(doo2)の3つの構造パラメータのバラ
ンスが重要であり、これらが全て下記範囲内にあ
るものが良好な高性能炭素繊維となり得る。 ・ 配向角(OA)…30〜50Å、好ましくは、35
〜45Å ・ 結晶サイズ(Lc)…25〜40Å、好ましくは、
27〜37Å ・ 層間隔(doo2)…3.43〜3.50Å ここでいう配向角(OA)、結晶サイズ(Lc)
及び層間隔(doo2)は、広角X線回折により、
繊維の状態で通常行われている方法で測定される
値である。 即ち、繊維を一束にし、X線ビームに垂直に装
着して、方位角2θを0〜90゜スキヤンし、(002)
帯(約26゜近傍)の強度分布の最大値の1/2の位置
における全幅(半価幅)B、及び方位角2θより下
記の式でLc,doo2が算出される。 Lc=Kλ/(B−b)Cosθ (但しK=0.9,b=0.0017rad.λ=1.5418Å) doo2=λ/2sinθ また、(002)帯の強度分布の最大値を示す方位
角の位置において繊維束をX線ビームの垂直面内
において180゜回転することにより、(002)帯の強
度分布をとり、強度最大値の1/2の点における半
価幅を配向角とする。 本発明の炭素繊維前駆体ピツチ繊維は、少くと
も30重量%以上、特に50〜70重量%のキノリン可
溶性成分を含むものが好ましい。キノリン可溶性
成分が30重量%未満のもの、換言すればキノリン
不溶性成分が70重量%を越えるものは、生成する
炭素繊維構造がラジアル状を呈し易い。 とりわけ、キノリン可溶性成分が50〜70重量%
を占め、光学的に等方性のキノリン可溶性成分の
マトリツクス中に、光学的に異方性の成分が微細
なすじ状又はフイブリル状に分散している構造を
もつものは、炭化(焼成)過程で、微細に分散し
た光学的異方性成分を核として結晶が生成し、炭
素繊維において理想的な結晶の大きさと配列状態
が実現される。この光学的異方性成分は、球晶状
態で存在するのではなく、あくまで繊維軸方向に
配向していることが重要であり、すじ状又はフイ
ブリル状に伸びた異方性領域の幅は1μ以下であ
り、長さは10μ以上(通常は10〜100μ)である。 第1図は、この好ましい態様を模式的に示す繊
維の一部切欠拡大図である。図において、1は光
学的等方性で且つキノリン可溶性成分からなるマ
トリツクス部であり、直交ニコル下で暗視野であ
る。2は微細なすじ状又はフイブリル状に分散し
ている光学的異方性成分であり、直交ニコル下で
光つて見える部分である。 マトリツクス部を構成する光学的に等方性で且
つキノリン可溶性の成分は、本発明者らがさきに
「プリメゾフエース」と名付けたピツチであるこ
とが好ましく、なかでも、数平均分子量700〜
1700(特に1000〜1500)のものが好ましい。また
繊維を構成するピツチは、20℃における比重1.29
〜1.40(特に1.30〜1.35)、芳香化度0.45〜0.9であ
る、多環縮合化合物を主体とするピツチが最適で
ある。 また、このピツチは、H/Cが0.50〜0.65のき
わめて限られた範囲にあるものがよい。 更に、前記キノリン可溶性成分は、1H−NMR
において、溶媒を除く全検出水素に対するテトラ
メチルシラン(TMS)基準のケミカルシフト5
〜7ppmの水素HAの割合が4.5〜10%であり、且つ
3〜4ppmの水素HBの割合が2.5〜7.5%であるも
のが好ましい。 これらの条件を満足するピツチは、縮合環数4
〜6の構造単位が2〜10個側鎖を介してつながつ
ており、各構造単位の芳香核は部分水添され、分
子の平面構造は歪んだものとなつている。このた
め、該ピツチ組成物を溶融紡糸することによつ
て、すでに述べた如き特殊な微細構造を形成し易
い。 なお、ここでいう、数平均分子量、芳香化度、
1H−NMR,H/Cの測定は次のように行われ
る。 (1) 数平均分子量 ピリジンを溶媒としてVPOを使用して測定。 VPOは、蒸気圧オスモメーターとして Knauner Dampfdruck Ostometerを用い、溶
媒としてピリジン、標準物質としてベンジルを使
用。 (2) 芳香化度 KBr錠剤法で測定したIRより、下記式により
算出する。 芳香化度=3050cm-1強度/(3050cm-1強度+
2925cm-1強度) なお、IR測定装置は、島津製作所製IR−27G
型を使用。 (3) 1H−NMR 測定装置として日本電子製PS−100型スペクト
ロメーターを用い、ケミカルシフトはTMSを内
標準としてδ値で表わした。NMRスペクトルは
溶媒に重ピリジンを用いて測定した。 (4) H/C JIS M−8813に従つて測定した元素分析より次
式に従つて算出する。 H/C=(H分析値/1)/(C分析値/12) 本発明者らの研究によれば、この条件を満足す
るピツチは、多環縮合化合物の核が部分水添され
ており、分子の平面性が歪んだ構造を有している
ため、分子量が比較的大きいにも拘らず十分な流
動性を備えており、しかもキノリン可溶性成分と
不溶性成分との相溶性も良好である。 そして、このピツチは、不融化過程で部分水添
されたところが迅速に酸化され短時間で不融化が
可能であり、更に不融化−焼成過程で水素が除去
されることによつて分子の平面性が回復し、メソ
フエース化して良好な結晶を生成する。 以上の如く構成されている本発明の炭素繊維前
駆体ピツチ繊維は、公知の方法により不融化し、
焼成することによつて、高強度高モジユラスの炭
素繊維となる。そして1500℃で焼成したものの強
度は少くとも200Kg/mm2、モジユラスは10ton/mm2
以上に達し、好適な態様のものは1500℃で焼成後
のの強度が、250Kg/mm2以上、モジユラス15ton以
上となる。 かかる本発明に係る炭素繊維前駆体ピツチ繊維
は、例えば次の如き方法により製造される。 〔紡糸用ピツチ組成物の製造〕 原料ピツチとしては、コールタール,コールタ
ールピツチ、石炭液化物などの石炭系重質油、石
油の常圧残留油、減圧蒸留残油及びこれらの残油
の熱処理によつて副生するタールやピツチ,オイ
ルサンド,ビチユーメンなどの石油系重質油を用
いることができるが、コールタールピツチが本発
明のピツチ組成物を製造し易いので好ましい。 本発明のピツチ組成物は、前記原料ピツチを精
製後、特定の水素化溶媒下で加熱する第1段処理
と、前記溶媒を除去したのち、あるいは、除去し
つつ高温に加熱する第2段処理とを施すことによ
つて製造される。 第1段処理で使用する水素化溶媒としては、テ
トラヒドロキノリン(以下THQと略称する)が
最適であるが、キノリンとTHQとの混合物を使
用してもよい。水素化溶媒としてTHQを用いる
場合は、原料ピツチ100重量部当りTHQ30〜100
重量部を加え300〜500℃、好ましくは340〜450℃
で10〜60分間加熱する。このように処理した生成
物は、次の第2段処理に付される。 第2段処理では、THQ処理ピツチは減圧下、
例えば圧力50mmHg以下で、450℃以上、好ましく
は450〜550℃で5〜60分間保持する。この場合、
このような減圧処理の代りに、THQを除去した
のち常圧下で450〜550℃にて5〜60分間保持して
もよく、また、THQを除去したのち常圧下で一
たん450℃より高い温度まで昇温後400〜430℃ま
で低下させ、この温度に15〜180分間保持しても
よい。 このような2段処理に於て、原料ピツチの組成
や性質に応じて処理条件を上記範囲内で適宜選定
することによつて、好ましい紡糸用ピツチ組成物
とすることができる。 以上述べたような紡糸用ピツチ組成物は、紡糸
温度において適度の粘弾性的特性を有し、溶融紡
糸性はきわめて良好である。 〔ピツチ繊維の製造〕 ピツチ組成物の溶融紡糸は、それ自体公知の方
法で行うことができる。例えば本発明のピツチ組
成物を孔径0.1〜0.8mmの紡糸孔をもつ口金から軟
化点より50〜100℃高い温度で押出し、紡糸口金
から吐出したフイラメントを急冷条件下で紡糸
(巻取)速度300〜1500m/分で巻取ることにより
容易に本発明のピツチ繊維とすることができる。 〔炭素繊維の製造〕 本発明のピツチ繊維は、次いで酸素の存在下に
0.5〜3℃/分の昇温速度で250〜350℃まで加熱
し、5〜30分間維持することによつて不融化処理
し、これを更に、不活性ガス中で2〜5℃/分の
昇温速度で1000〜1500℃まで加熱し、この温度に
10〜30分間維持することによつて炭化(焼成)処
理を行う。 本発明のピツチ繊維は、この炭化(焼成)処理
の過程において完全なメソフエースとなり、充分
に配向し且つ巨大なドメインを含まない緻密な構
造の炭素繊維を形成する。 得られる炭素繊維は200Kg/mm2以上の高強度と
10ton/mm2以上のモジユラスを有し、特に好まし
い態様では強度250Kg/mm2以上、モジユラス
15ton/mm2以上となり、きわめて性能のすぐれた
ものとなる。 次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳
細に説明する。 なお、各実施例中の炭素繊維の繊維径(糸径)
は引張強度、伸度、モジユラスはJISR7601「炭素
繊維試験方法」に従つて測定した。 なお、繊維径はヘリウム−ネオンレーザーを使
用して測定した。 また、粘度の測定は、高化式フローテスターを
用い、下記条件下での降下量より見掛粘度を測定
した。 見掛粘度測定条件 シリンダー断面積:1cm2 ノズル:L/D=0.3mm/0.3mm 荷重:50Kg重 見掛粘度ηa=πR4/8L・P/Q 但し、R=D/2(cm)…ノズル半径 L(cm)…ノズルランド長 P(Kg重/cm2)…荷重 Q(cm3/sec)…吐出量 また、光学的異方性部分の分散状態は、ピツチ
繊維をエポキシ樹脂のマトリツクス中に埋めて固
定し、繊維の側面を削り出して、該側面を偏光顕
微鏡によつて観察することにより行つた。 更に、ピツチ繊維中のキノリン可溶性成分の含
有量の測定は、JIS K−2425によつて行つた。 実施例 1 市販コールタール中ピツチ134gとTHQ402gを
電磁誘導回転撹拌装置を備えたSUS−316製1
オートクレープに仕込み、窒素で充分置換後、内
圧を0Kg/cm2Gとし、密閉後撹拌しながら430℃
まで昇温し430℃に達した後、さらに15分間維持
した。 しかる後室温まで冷却し、内容物を、G4ガラ
スフイルターを用いて過し不溶物を除去した。
過を最終290℃、10mmHgabsまで減圧蒸留し、
未反応THQ及び反応して生じたキノリンを主と
する揮発成分を留去し、炭素繊維原料ピツチ組成
物を得た。該原料ピツチ組成物を465℃ 10mm
Hgabs15分間N2雰囲気中で熱処理し、炭素繊維
紡糸用ピツチを調製した。得られたピツチの比重
(20℃)は、1.323、キノリン不溶分は40.3重量
%、トルエン不溶部は84.9重量%、320℃での粘
度は1430ポイズであつた。キノリン可溶成分の数
平均分子量は980、比重(20℃)は1.308であり、
またピツチの芳香化度は0.53であつた。該紡糸用
ピツチを1600meshのフイルター及びL/D=
0.1/0.1(mm/mm)ホール数(H)=1の口金をそ
なえた押し出し型シリンダーを用いて紡糸温度
360℃、吐出速度8.4m/min、巻取速度600m/分
で室温空気中へ紡糸し、炭素繊維前駆体ピツチ繊
維を得た。得られたピツチ繊維の配向角は36.1゜、
結晶サイズ、即ち見掛けの、微結晶高さ(Lc)
は34.5Å、層間隔(doo2)は3.47Åであつた。同
じピツチ繊維をエポキシマトリツクスに埋め、側
面をけずり出し偏光顕微鏡観察をすると、光学的
異方性成分が繊維軸方向に微細なすじ状に分散し
ているのが確認された。(第1図参照) 同じ炭素繊維前駆体ピツチ繊維を、不融化炉中
空気雰囲気下無緊張状態で200℃から300℃まで2
℃/分の昇温速度で熱処理し、引続き300℃で30
分間熱処理を行なつて不融化させた。ついで焼成
炉中、N2雰囲気下200℃から1500℃まで10℃/分
の昇温速度で加熱し引続き1500℃で15分間熱処理
をして炭化させた。 得られた炭素繊維の糸径は10.8μ、強度は245
Kg/mm2、伸度1.4%、モジユラスは17.5ton/mm2
あつた。 実施例 2〜5 市販コールタール中ピツチ351gとTHQ1053g
を電磁誘導回転撹拌装置を備えたSUS−316製3
オートクレープに仕込み窒素で充分置換後、内
圧を0Kg/cm2Gとし、密閉後撹拌しながら450℃
まで昇温し、450℃に達した後さらに15分間維持
した。 しかる後室温まで冷却し内容物をG4ガラスフ
イルターを用いて過し不溶物を除去した。 液を最終290℃ 10mmTorrまで減圧蒸留し、
未反応THQ及び反応して生じたキノリンを主と
する揮発成分を留去し炭素繊維原料ピツチ組成物
を得た。 該原料ピツチ組成物を465℃、10mmTorr、15分
間N2雰囲気中で熱処理し炭素繊維紡糸用ピツチ
を調製した。 得られたピツチの比重(20℃)は1.332、キノ
リン不溶分は57.6重量%、トルエン不溶部は89.0
重量%、320℃での粘度は2450ポイズであつた。
キノリン可溶成分の数平均分子量は983で比重
1.311であり、また該ピツチの芳香化度は0.54で
あつた。 該紡糸用ピツチを1600meshのフイルター及び
L/D=0.1/0.1(mm/mm)、H=1の口金をそな
えた押し出し型シリンダーを用いて紡糸温度380
℃、吐出速度8.4m/分一定で、巻取速度を変更
して室温、空気中へ紡糸し、各種の炭素繊維前駆
体ピツチ繊維を得た。それぞれの前駆体ピツチ繊
維のX線構造パラメーターを表−1に示す。 同じ炭素繊維前駆体ピツチ繊維を、不融化炉を
用い空気雰囲気下、無緊張状態で200℃から300℃
まで昇温速度2℃/分で加熱し、ついで300℃で
30分間熱処理を行なつた。 次に、焼成炉中、N2雰囲気下、200℃から1500
℃まで昇温速度15℃/分で加熱し、引続き1500℃
で15分間熱処理をした。 得られた炭素繊維の物性を表−2に示した。
【表】
【表】 実施例 6〜9 実施例2で用いたと同じ紡糸用ピツチを1600メ
ツシユのフイルター及びL/D=0.3/0.3(m/
m/m/m)、H=1の口金をそなえた押し出し
型シリンダを用いて紡糸温度380℃、巻取速度
600m/分に固定し、ドラフト率を変更して溶融
紡糸を実施した。 得られた前駆体ピツチ繊維のX線構造パラメー
ターを表−3に示した。
【表】 各炭素繊維前駆体ピツチ繊維を、不融化炉を用
い空気雰囲気下、無緊張状態で200℃から300℃ま
で昇温速度2℃/分で加熱し引続き300℃で30分
間熱処理を行なつた。 ついで焼成炉中、N2雰囲気下200℃から1500℃
まで昇温速度15℃/分で加熱し続いて1500℃で15
分間熱処理をした。 得られた炭素繊維の物性を表−4に示した。
【表】 比較例 1 実施例1と同様の紡糸用ピツチを1600メツシユ
のフイルター及びL/D=0.1/0.1(mm/mm)、ホ
ール数=1の口金をそなえた押し出し型シリンダ
ーを用いて紡糸温度330℃、吐出速度8.4m/分、
巻取速度600m/分の条件で溶融紡糸した。この
際口金直下に長さ20cmの紡糸筒を設け、筒内温度
を300℃に保持した。 得られた炭素繊維前駆体ピツチ繊維の配向角は
27.8゜、結晶サイズ(Lc)は42.1Å、層間隔
(doo2)は3.45Åであつた。このピツチ繊維を、
不融化炉中空気雰囲気下無緊張状態で200℃から
300℃まで昇温速度2℃/分、引続き300℃で30分
間熱処理を行なつた。ついで焼成炉中N2雰囲気
下、200℃から1500℃まで昇温速度10℃/分、引
続き1500℃で15分間熱処理をした。得られた炭素
繊維は走査型電子顕微鏡で破断面を観察すると結
晶配列がラジアル状でありクラツクが生じており
繊維物性は、強度81.3Kg/mm2、伸度0.76%、モジ
ユラスは10.8ton/mm2であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の炭素繊維前駆体ピツチ繊維
の好適な一態様を示す一部切欠断面図であり、図
中の1はキノリン可溶性で且つ光学的に等方性の
マトリツクス部、2は光学異方性のフイブリル部
を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 水素化溶媒又は水素ガスにより水素化した後
    熱処理したピツチであつて、キノリン可溶性分を
    30%以上含有し、20℃での比重が1.29〜1.40、数
    平均分子量が700〜1700、水素と炭素の原子数比
    が0.50〜0.65、芳香化度0.45〜0.9であるピツチを
    溶融紡糸し、この際急冷条件下に300〜1500m/
    分で巻き取ることにより、X線回折によつて求め
    た配向角が30〜50゜であり、結晶サイズが2.5〜
    4nm、層間隔が0.343〜0.350nmであつて、かつ光
    学的に異方性成分が繊維軸方向に伸びた多数の非
    連続なすじ状又はフイブリル状に分散している微
    細構造を成形せしめたことを特徴とする炭素繊維
    前駆体ピツチ繊維。
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