JPS6028869Y2 - エンジンの前面構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、エンジンの前面構造の改良に関するもので
ある。

従来、例えば、実開昭５３−３１１０７号公報にも開示
されているように、エンジンの前面に、クランクの回転
に同期してカム軸や燃料噴射ポンプ等を回転させるため
のタイミングベルトを装着すると共に、該タイミングベ
ルトを覆うベルトカバー内にウォータポンプを配置して
、ベルトカバーに設けた開口を挿通してウォータポンプ
のポンプケーシングをベルトカバー外部に臨ませ、ベル
トカバー外部にウォータポンプを駆動するプーリを設け
たエンジンの前面構造が実用化されている。

ところで、上記タイミングベルトの芯線にはグラスファ
イバーを使ったコードのものが多く、水に接触すると著
しくコードの強度が低下するために、雨水等がかからな
いようベルトカバーによる防水シールが重要である。

その為、上記従来のエンジンの前面構造ではベルトカバ
ーのウォータポンププーリを取付けるための開口は該開
口端部とポンプケーシングとの間にシール部材を介装し
密閉構造としていたものである。

しかしながら、この従来構造では、ベルトカバー内の通
気性が悪くなりベルトカバー内の温度が高くなってタイ
ミングベルトの耐久性を損うという問題があるとともに
、シール部材が必要であることによる組立工数やコスト
的な欠点を有していた。

この考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされもので、
ベルトカバーの開口と該開口を挿通するポンプケーシン
グとの間に、所定の通気間隙を設けてベルトカバー内の
温度上昇を防止する一方、上記開口の端部を外方へ折り
曲げて橋部を形威し、該橋部を上記プーリの内側に上下
方向に重なるように配置して、ベルトカバー内への雨水
等の侵入を阻止すると共に、ウォータポンプのシール部
からの漏洩水等を排出する排水口を上記開口からベルト
カバー外部に臨ませて、漏洩水等の排水処理を簡単に行
なえるように工夫したエンジンの前面構造を提供するも
のである。

以下、この考案の実施例を添付図面に従って詳細に説明
する。

第１図および第２図に示すように、エンジンの前面構造
は、上部にシリンダヘッド１、下部にオイルパン２を備
えたシリンダブロック（エンジン本体）３の前面に、ク
ラックギヤ４、燃料噴射ポンプギヤ５およびカム軸ギヤ
６を配置し、各ギヤ４．５．６にベルトテンショナ７を
介してタイミングベルト８を三角形状に張設して、クラ
ンクシャフト９の回転により、燃料噴射ポンプ１０およ
びカム軸（図示せず。

）を同期駆動させると共に、タイミングベルト８の全体
を、シリンダブロック３にねじ止めする三角箱形状のベ
ルトカバー１１で覆う一方、シリンダブロック３に取付
けたウォータポンプ１２のポンプケーシング１３と上記
クランクシャフト９とを、ベルトカバー１１に設けた開
口１４．１５を挿通させて、ベルトカバー１１の外部に
臨ませると共に、ベルトカバー１１の外部でクランクシ
ャフト９とポンプシャフト１６の先端部に夫々取付けた
プーリ１７，１Ｂに■ベルト１９を張設して、クランク
シャフト９の回転により、ウォータポンプ１２を駆動さ
せるようになっている。

第３図に詳細に示すように、上記ウォータポンプ１２は
、ポンプケーシング１３のポンプ軸受部２１に内蔵した
一対のベアリング２２．２２により、ポンプシャフト１
６を回転自在に軸承し、該ポンプシャフト１６とポンプ
軸受部２１との間には、ポンプケーシング１３からの漏
洩水をシールするシール材２３が介装される。

上記ベルトカバー１１の開口１４の構造に関し、該開口
１４と、該開口１４を挿通するポンプケーシング１３の
ポンプ軸受部２１との間に、所定の通気間隙Ｓを設けた
状態で、開口１４の端部を、全周に渡って外方へ大略Ｕ
字状に折り曲げて槌部２４を形成する。

上記通気間隙Ｓは、ベルトカバー１１内の通気性を良好
にして、ベルトカバー１１内の温度上昇を防止する役割
を果し、上記槌部２４は、ベルトカバー１１の表面を伝
って流下する水滴が開口１４からベルトカバー１１内に
直接入り込むのを阻止する役割を果す。

一方、上記プーリ１７は、有底筒状にプレス加工したプ
ーリ本体１７ａの端部を外方へＶ字状に折り曲げて、■
ベルト１９の係合部１７ｂを形成すると共に、上記プー
リ本体１７ａを、ポンプシャフト１６の先端部にキー２
５で固定した取付フランジ２６にねじ２７で取付ける。

該プーリ１７と上記開口１４の槌部２４との配置構造は
、槌部２４をプーリ１７の内側に上下方向に所定の距離
１で重なる、つまりプーリ１７に対して槌部２４がオー
バラップして入り込むように配置する。

これにより、開口１４へ飛散してくる雨水等はプーリ１
７によって阻止されるとともに、ベルトカバー１１とプ
ーリ１７の取付間隙１′から侵入する、特にベルトカバ
１１の表面を伝って流下する雨水等は、槌部２４に溜ま
って下方へ流れ落ち、開口１４からベルトカバー１１内
に入り込むのが阻止されるようになる。

つぎに、ウォータポンプ１２のシール材２３から漏洩す
る水をベルトカバー１１外へ排出するために、ポンプケ
ーシング１３の排水口２８に一端を接続した排水管２９
の他端をベルトカバー１１の開口１４からベルトカバー
１１の外部に臨ませて、ウォータポンプ１２の漏洩水を
ベルトカバー外部に排出するようにしている。

上記排水管２９を設ける代りに、第４図に示すように、
ポンプ軸受部２１の一部を膨出させ、該膨出部３０に排
水口２８に連通ずる排水通路３１を形成する構造として
も良い。

また、開口１４の槌部２４は、ベルトカバー１１の表面
を流下してくる雨水等を開口１４を迂回して下方へ流す
という機能から明らかなように、開口１４の全周に設け
る必要はなく、第４図に示すように下方部分１４ａの槌
部を切欠いても良い。

この場合には排水管２９や排水通路３１の長さが短かく
てすみ、漏洩水がプーリ１７にかかることがないという
利点がある。

さらに、図示していないが、開口１４の下方部分１４ａ
の端部をベルトカバ１１の内部側すなわちウォータポン
プ１２の排水口２８の下方近傍まで折り曲げ延長すれば
、排水管２９や排水通路３１を廃止できる。

以上の説明からも明らかなように、この考案はベルトカ
バーの開口とポンプケーシングとの間に通気間隙を設け
ると共に、開口の端部に形成した槌部をプーリの内側に
オーバラップさせるように配置したものであるから、ベ
ルトカバー内の通気性が良好となって温度上昇が防止さ
れると共に、槌部によってベルトカバー内への雨水等の
侵入が防止されるようになる。

また、ウォータポンプからの漏洩水を排出する排水口を
開口からベルトカバー外部に臨ませたから、ベルトカバ
ー内に漏洩水が排水されタイミングベルトを損なうこと
なく排水処理を簡単に行うことができる。

さらに、ベルトカバーの槌部は、ベルトカバーのプレス
加工時に同時に製作できるからほとんどコストがかから
ず、またプーリの組付けにも全く支障が生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図はエンジンの前面図、第２図は第１図のベルトカ
バ一部分の縦断面図、第３図は第２図のウォータポンプ
部分の拡大図、第４図は第３図の他の実施例を示す同上
図である。 ３・・・・・・シリンダブロック、訃・・・・・タイミ
ングベルト、１１・・・・・・ベルトカバー、１２・・
・・・・ウォータポンプ、１３・・・・・・ポンプケー
シング、１４．１５・・・・・・開口、１７，１８・・
・・・・プーリ、１９・・・・・・Ｖベルト、２４・・
・・・・槌部、２８・・・・・・排水口、２９・・・・
・・排水管、３１・・・・・・排水通路、Ｓ・・・・・
・通気間隙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンの前面に装着したタイミングベルトを覆うベル
   トカバー内にウォータポンプを配置するとともに、上記
   ベルトカバーに設けた開口を挿通して該ウォータポンプ
   のポンプケーシングをベルトカバー外部に臨ませ、該ベ
   ルトカバー外部にウォータポンプを駆動するプーリを設
   けてなるエンジンにおいて、 上記ポンプケーシングとベルトカバーの開口との間に、
   所定の通気間隙を設ける一方、該開口の端部を外方へ折
   り曲げて橋部を形威し、該橋部を上記プーリの内側に上
   下方向に重なるように配置すると共に、上記ウォータポ
   ンプの排水口を上記開口からベルトカバー外部に臨ませ
   てなることを特徴とするエンジンの前面構造。