JPS5924233B2 - ポリエステル系合成繊維 - Google Patents

ポリエステル系合成繊維

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JPS5924233B2
JPS5924233B2 JP54012525A JP1252579A JPS5924233B2 JP S5924233 B2 JPS5924233 B2 JP S5924233B2 JP 54012525 A JP54012525 A JP 54012525A JP 1252579 A JP1252579 A JP 1252579A JP S5924233 B2 JPS5924233 B2 JP S5924233B2
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新司 山口
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繊維表面が不規則な凹凸のランダム表面を形成
しており、さらにそのランダム表面を形成する凹凸内に
超微細な凹凸を有するポリエステル系合成繊維に関する
ものである。
従来各種有機合成繊維、なかでもとくに溶融紡糸による
合成繊維は繊維表面のなめらかさのために特有のワキシ
ー感があり、摩擦に影響のある風合、例えば絹の乾いた
感触とかきしみ、絹鳴りや、木綿のさらつとした風合な
ど、すべり風合に関係する特性は天然繊維のそれに劣る
ものであった。
また溶融紡糸による合成繊維は特有の鏡面光沢があり、
染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比し色の深み
が得られにくいなどの欠点があった。
これらの欠点を解決する目的で各種の方法が開示されて
いる。
たとえは、特公昭45−39055号には粒子径10ミ
クロン〜150ミクロンのシリカを重合体重量に対し0
.05〜30fO含有せしめ、繊維表面に突起部を形成
せしめ繊維表面の摩擦特性を改善することが開示されて
いる。
また特公昭46−26887号では無定形の未延伸繊維
に結晶化剤を接触させ、結晶化剤を除去することにより
無定形の芯部と結晶化した鞘部を形成し、これを延伸す
ることにより繊維表面に凹凸を得る方法が開示されてい
る。
しかしこれ等の方法で得られる繊維はある程度の摩擦特
性の改善は出来るが、天然繊維の風合いとは比べ得るも
のではないと言わざるを得す、繊維表面の凹凸が大きく
、密度も粗であるため、光沢と透明性に著しく欠け、染
色すると通常のなめらかな繊維より鮮明度が欠け、パス
テル調の色彩となり、深みのある色は得られなかった。
一方繊維を形成した後、内部に存在する異種混合物を除
去し、表面形態、性質を改良しようとする試みも各種試
みられている。
その例はポリマーブレンドや複合紡糸による2成分系の
繊維の一部を抽出する方法であるが、この方法は抽出後
の内部に空洞ができ失透した光沢のない状態で、染色し
ても色の深みは得られず、複合紡糸では凹凸変化が粗大
すぎて期待する良好な光沢や色の深みが得られないのが
現状である。
また他の例として特公昭43−14186号、特公昭4
3−16665号のように繊維中に微粒子状不活性物質
を含有せしめ、繊維がおかされず、微粒子状不活性物質
が溶解する酸やアルカリで処理して、微粒子状不活性物
質を除去し、表面を凹凸化する方法も知られている。
しかしこの方法においても艶消しの効果はあるものの、
延伸により空洞を生じ、さらに粒子の除去により空洞も
増大するため透明性が欠けた繊維となり、染色すると白
っぽい染色、いいかえれはパルチルカラーとなってしま
う。
更に又ポリエステル系合成繊維よりなる編織物をアルカ
リで処理し、繊維表面を加水分解し、該編織物に柔軟性
を付与することも知られているが、通常のポリエステル
系合成繊維あるいはそれよりなる編織物をアルカリ処理
しても、未処理の繊維あるいは編織物に比し柔軟化以外
のめだった効果は付与出来ない。
以上のように繊維を溶剤処理する公知の方法においては
微細な凹凸形状を付与するにはその効果において特徴が
得られず、どの程度の凹凸形状であれは繊維製品として
品質メリットが発揮されるのかも不明確であって、いず
れも光沢、染色物の鮮明性、色の深味の点で充分な結果
となり得す、また風合も満足なものになり得なかった。
一方有機合成繊維にグロー放電プラズマ中でプラズマ照
射して繊維表面に0.1〜0.5μの凹凸を付与し、発
色性を向上せしめる方法(特開昭52−99400号)
が見い出されている。
有機合成繊維を低温プラズマ処理すると、その表面にお
いて微細な凹凸ができるが、その凹凸はほとんど繊維軸
に直交する敵状の凹凸が形成される。
これは繊維形成段階での配向に著しく関与されるためと
思われ、通常繊維性能を有する程度の延伸を付与される
一軸に分子配向の進められた繊維表面にプラズマエツチ
ングすると認められる事象であった。
この敵状の凹凸は、繊維軸に直交する点において、後述
する本願繊維表面に形成される凹凸の方向とは異なるも
のであり、かつまたその敵状凹凸の大きさ並びに形態に
おいて、本願繊維表面に形成される凹凸の大きさ並びに
形態でみられるようなランダムさはな東規則性、画一性
が強いものである。
従ってこのような繊維軸に直交する敵状の凹凸の場合、
畝と直交する方向からの角度で見た場合、発色性効果は
あるが、平行方向からの角度の場合は劣る。
このため繊維状集合体全体として例えは布として見た場
合、発色性向上が期待した程大きくならず、もし効果を
大きく発現せしめようとしても長時間照射を要するばか
りでコスト面で実用性が劣るという問題があった。
またプラズマ照射の表面は規則的畝状凹凸のため光沢改
質効果も少な東発色性が劣るばかりでなく、プラズマエ
ツチング特有の問題として照射表面の凹凸化は進行する
が繊維間の内部には凹凸化が進行しにくく、このため風
合面での改良効果も今−歩不十分な問題があった。
このように合成繊維特有のワキシー感や鏡面光沢をなく
し発色性のすぐれた繊維に関して、その効果品質面から
も、また工業的生産性、技術的安定性、経済的制約など
からみても工業化への実現性にいずれも乏しいものはか
りであった。
本発明は、かかる品質の問題から、ポリエステル系合成
繊維表面凹凸化技術を検討し、品質メリットの特長とそ
のための凹凸形状の問題について鋭意研究を重ね、工業
的にも安定な生産技術として使用できる方法を見出すべ
く探求したものである。
即ち、本発明の目的は改善された光学的性質と感触性を
兼ね備えたポリエステル系合成繊維を提供せんとするも
のである。
また他の目的は、繊維表面に微細かつ複雑な凹凸形状を
有し、それにより染色物の色の発色性が優れかつ色の探
求が優れており、かつまた絹に似た優れた風合を有する
ポリエステル系合成繊維を提供せんとするものである。
また他の目的は工業的に安定に製造できる表面に微細か
つ複雑な凹凸を有するポリエステル系合成繊維を提供せ
んとするものである。
更に他の目的は以下の説明及び実施例から明白となるで
あろう。
本発明は上記の如き目的を達成するために繊維の表面の
凹凸構造として次のような構造を有するポリエステル系
合成繊維に関する。
即ち本発明は、繊維表面が不規則な凹凸のランダム表面
を形成しており、該ランダム表面を形成する凹凸は、繊
維軸に対して直角な外周方向に存在する凹部の最底点と
隣り合う凹部の最底点までの距離をXとするとき0.2
ミクロン<X<0.7ミクロンを満足する互いに一定間
隔ではない各凹凸が繊維軸と直角な外周方向の平面距離
10ミクロン当り10ないし50個の密度で存在し、該
ランダム表面内には50ないし200ミリミクロンの微
細凹凸が存在するポリエステル系合成繊維である。
ここで本発明における繊維表面の凹凸状態の定義につい
てより明確にするために図面を用いて説明する。
繊維断面の表面曲線の一般的な例を第1図と第2図に示
す。
一般に表面は大別して規則的な凹凸形の並んだ面(第1
図)と不規則なもの(第2図)とになり、これを規則的
表面およびランダム表面と名づけでいる。
規則的表面は旋削面のような一定の形の先端をもつ刃物
で切った表面で、ランダム表面は研削またはラップ面の
ように不規則な形をした砥粒でみがかれた表面、または
鋳物の面などをいい、本発明でいうランダム表面はこれ
を指す。
面木発明でいうランダム表面とは典型的には山の高さが
不規則な凸部と、谷の深さが不規則な凹部とが混在する
表面を意味するが、凸部の山の高さがほぼ同じで凹部の
谷の深さが不規則な表面や、逆に凹部の谷の深さはほぼ
同じで凸部の山の高さが不規則である表面をも、ランダ
ム表面として包含意味するものである。
本発明によれは溶融紡糸によるポリエステル系合成繊維
特有のワキシー感のある鏡面光沢を消失せしめ、なおか
つ色の深みを増加させるには、繊維表面が不規則な凹凸
でランダム表面を形成していることと、そのランダム表
面を形成する凹凸内に更に50〜200ミリミクロンの
微細凹凸を有していることが重要である。
第3図はそのような凹凸状態を示す断面図を模式的に例
示したもので、比較的太なるランダム表面を形成する凹
凸内に微細な凹凸が存在することを示すものである。
ランダム表面を形成する凹凸は、より好ましくは繊維表
面において繊維軸に対して直角な外周方向に存在する凹
部の最底点と隣接する凹部の最底点までの平面上の距離
をXとするとき0゜2ミクロン<x<o、7ミクロンの
範囲を満足し、しかも互いにそのXが一定ではない各凹
凸が繊維軸に直角な外周方向の平面長さ10ミクロン当
り10ケないし50ケの密度で存在していることである
凹凸の深さや高さは、0.05ミクロンから繊維表面の
損傷によっては繊維直径の1/3程度まで生じうるが、
凹部と凸部の位置関係は平面上の距離で表示できる。
前述の定義によるXで表示すると、Xが0.2ミクロン
以下のものしかない場合には鏡面的反射率の低下が少な
く、染色後の色の深みも従来のものと海差なく摩擦挙動
の改良効果も不充分であった。
又Xが0.7ミクロンより犬であれは可視光線の反射率
が高くなり、色がくすみ白っぽくなりやすく、かえって
効果がなくなる。
Xが0.2ミクロンより太きく0.7ミクロンよりも小
さい範囲の凹凸を有していても、その密度が凹部(ある
いは凸部)が繊維軸と直角な外周方向の長さ10ミクロ
ン当り10以上の密度とならない場合は、ポリエステル
繊維の発色性改良効果や色の深みの改良効果が不十分で
ある。
また本発明者等は繊維の摩擦挙動を装量検討した結果、
繊維全体の摩擦係数を単純に増大せしめてもポリエステ
ル系合成繊維のワキシー感をなくしたり、絹の持つ感触
や木綿のもつさらつとした感触は得られないことを認め
た。
すなわち繊維が織物や編物の構造中で単に摩擦係数を高
めたものを用いたものでは、がさがさした触感となるば
かりで、逆に布の曲げ変形や剪断変形時のもどり回復過
程でのヒステリシスを増大せしめ、ドレープ性や、しな
やかさを失ってしまう結果となったのである。
布帛の表面感触を変え、しかも布の変形回復特性に大き
なヒステリシスを与えないためには静摩擦係数を増大せ
しめ、動摩擦係数はあまり増大せしめないことが肝要で
あった。
すなわち静摩擦係数をμSとし、動摩擦係数をμdとす
るときμS/μdが1.7以上望ましくは1.9以上に
なると、すべり風合が改善され、従来にない感触のもの
となることがわかったのである。
向ここで定義する摩擦係数とはレーダー法によって繊維
間の摩擦を測定するものであり、短繊維においてはステ
ーブルを梳き揃えた少量のフットをドラム外周上になら
べて貼り、これと直交し半周接触させた短繊維との摩擦
力を測定する。
長繊維においては嵩高加工の付与されていないストレー
ナなフィラメント糸条を150T/M〜250T/Mの
撚を付与したのち短繊維の場合と略同径のドラムに外周
上に張力0.1g/d下にて48本分並べ、短繊維と同
様にフィラメント糸条をドラムと半周接触させて摩擦力
を測定する。
静摩擦係数μsとはドラムが回復しはじめる時の最初の
摩擦力より算出し、動摩擦係数μdとは90crfL/
分の表面速度で回転している時の摩擦力より算出した値
である。
かかる摩擦挙動の繊維であっても染色後パステル調の発
色性のすぐれない結果であってはならない。
この問題点と、μSとμdを制御する表面構造について
研究した結果繊維表面の微細な構造に影響されることを
見い出した。
即ち繊維表面に0.2〜0.7ミクロンのランダムな表
面の凹凸が存在する場合に目的とする挙動が得られるこ
とが判った。
0.7ミクロンを超える大きなランダムな表面の凹凸が
主体になってくるとがさつきが大きくなり風合も良好と
はいえなくなる。
一方0.2ミクロンに満たぬ凹凸では静摩擦係数μSの
増大効果はあまり認められなくなる。
第4図第5図並びに第6図に本発明の一例としてポリエ
ステル繊維についての表面状態を示す走査型電子顕微鏡
写真を示す。
第4図は3,000倍の、又第5図および第6図は24
,000倍の倍率である。
又比較対照のために、通常のポリエステル繊維を通常の
アルカリ処理を行なった場合の繊維の表面状態を第7図
の走査型電子顕微鏡写真で示す。
第7図は6,000倍の倍率である。第7図で示される
ように、通常のポリエステル繊維を単にアルカリでの処
理を行なっても繊維表面には大きな穴しか出来ず、又そ
の穴の数も少なし)。
従って前述のように柔軟化という目的は達せられるが、
色の深みのある染色物とすることは出来ず、また静摩擦
係数の増大効果も顕著ではない。
これに対して本発明の繊維は、第4図並びに第5図およ
び第6図で見られるように、その表面構造として、50
〜200ミリミクロンの微細な凹凸、即ち、代表的には
第5図で観察されるような微細な粒状構造からなる壁に
よって微細で重層的な凹凸を形成しており、しかもその
微細でかつ重層的な凹凸が形成されている表面が前述の
ような密度でもって不規則な凹凸のランダム表面を形成
しているもので、前記第7図で見られるような従来のア
ルカリ処理繊維とは表面状態を大きく異にしていること
が特異的である。
そして本発明繊維においては50ないし200ミリミク
ロンの微細な凹凸が、繊維表面へ入射する入射光が反射
する際に微細凹凸部にて互いの反射光の位相差による打
消しあい効果を付与するものと思われ、又不規則なラン
ダム表面を形成する凹凸により、凹凸部に入射した光が
該凹凸の囲りをめぐって次々に起る散乱と再散乱の繰返
しによって反射光が低下する効果を有するものと思われ
る。
従って本発明の繊維は上記のような特異的な表面構造に
より、従来のようなアルカリ処理されたポリエステル繊
維、あるいは従来のような改善されたポリエステル繊維
では得られなかった優れた光学的効果と絹の如き優れた
手触り感とが得られるものである。
このような特異な構造は、繊維改質用として従来用いら
れている微粒子状不活性物質の粒度よりさらに高度に微
粒化された、即ち繊維内部の微細構造オーダーにまで微
粒化した微粒子を巧みに利用し、該微粒子を添加した繊
維の表面を溶出侵蝕することにより出現させることがで
きる。
即ち、微粒子の平均直径が100ミリミクロン以下、好
ましくは60ミリミクロン以下の微粒子状不活性物質を
0.5ないし10重量係含有させたポリエチレンテレフ
タレートのポリマーを溶融紡糸し、延伸して、ポリエス
テル繊維を製造し、得られたポリエステル繊維を、該繊
維の溶剤で繊維表面層を溶出させると、微粒子を含む繊
維内部の微細高次構造部分で不均一な溶出となり、極め
て微細な、かつ複雑な凹凸形状を繊維表面全体に発現す
ることがわかったのである。
とりわけ微粒子としてシリカゾルが極微細な凹凸の出現
と紡糸、延伸等工程の安定性の面からも良好な性質を有
することを見い出した。
例えば粒子径30ミリミクロン、比重2.2g/ffl
のシリカが比重1.39のポリエステル繊維中に3重量
係均−に分散した場合の1ケの微粒状単粒子が占めるポ
リエステル体積は単純計算すると1辺が約900オング
ストロームの立方体となり、又粒子径15ミリミクロン
のシリカが同様にポリエステル繊維中に3重量係均−に
分散した場合の1ケの単粒子が占めるポリエステル体積
は1辺が約450オングストロームの立方体と計算され
る。
このような数百オングストロームから千オングストロー
ム前後の微細高次構造が繊維表面層の溶出の際の不均一
性溶出となって、繊維表面が微細かつ複雑な凹凸形状と
なったのであろうと考えられる。
添加した微粒子は、単粒子状態や、単粒子が集合したい
わゆる二次粒子の状態で存在している。
これは紡糸前のチップや紡糸後の繊維を、該チップある
いは繊維中に存在する単粒子状の微粒子の径より大きく
、その粒径の数倍程度の厚さ以内、即ち数十ミリミクロ
ンないし100ミリミクロン前後の厚みにウルトラミク
ロトームでスライスし、そのスライスした超薄切片を透
過型電子顕微鏡で高倍率に拡大すれは観察可能である。
繊維表面が溶出する際、不均一性の溶出となるのはこの
微細粒子の分散状態にも影響をうけるのである。
単粒子の完全均一分散の場合には繊維表面溶出の際、単
粒子径の数倍以上の凹凸になりにくいのであるが、適度
な不均一性分散状態の場合には表面溶出の際、粒子の存
在密度の高い所が侵蝕溶出されやすく、密度の少い所よ
り凹部が犬となり、望ましい凹凸状態が発現するのであ
る。
この凹凸がランダムに発現し、かつ繊維全表面には均一
に発現することが重要である。
本発明においては、単粒子が、該単粒子の直径より小さ
い間隔、即ち隣接する単粒子の中心間の距離が直径の2
倍未満に接近し合ったものを二次粒子と定義し、この二
次粒子の端から端までの距離が最大のところを二次粒子
の大きさとする。
この定義による二次粒子は、単粒子径が識別できる程度
の大きさに拡大された前述の電子顕微鋳写真、例えは粒
子径が10ミリミクロンのものならば10万倍以上、1
00ミリミクロンのものならば1万倍以上に拡大された
写真により単粒子と、それより形成される二次粒子が識
別できる。
即ち、本発明においては、厚みが50ないし100ミリ
ミクロンの厚みを有する超薄切片をつくり、これから透
過型電子顕微鏡により単粒子径が識別できる程度の拡大
写真を得、その写真から二次粒子の分散状態を判定する
ものである。
本発明者等の検討によれは、上記方法によっての0.1
ミクロンないし0,5ミクロンの二次粒子が10平方ミ
クロン当たり少なくとも5個存在する状態が、本発明の
好ましいランダムな凹凸並びに微細凹凸を発想せしめる
ことがわかった。
しかしながら単粒子が極端に凝集している状態では繊維
製造工程での不安定要素となるので望ましくなく、粒径
5ミクロンを越える二次粒子をポリマー1−中に20個
以上含まないことが良い。
上記のようなポリエステルポリマーを得る一例としては
、平均粒径1ミリミクロン〜100ミリミクロンのシリ
カ微粒子が単粒子状で存在するコロイダルシリカの使用
が推奨される。
このコロイダルシリカとはケイ素酸化物を主成分とする
微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類
またはこれらの混合物を分散媒としてコロイドとして存
在するものをいう。
直接エステル化法によりポリエステルポリマーを製造す
る場合、コロイダルシリカのエステル化槽への添力ロ方
法としては、予め酸成分とグリコール成分とのスラリー
中に加えておいて該スラリーをエステル化槽へ供給する
方法と、コロイダルシリカを直接エステル化槽へ添加す
る方法とがある。
前者の場合、コロイダルシリカは、先ずグリコール成分
と混合し、十分に攪拌した後に酸成分と混合し、スラリ
ーとするのが好ましい。
スラリーに添加する前のコロイダルシリカ濃度は、限界
濃度(コロイドが凝集し始める濃度)の80係以下の濃
度がより好ましいが、あまり低濃度であるとスラリー中
の分散媒の量が多くなり好ましくない。
しかし可能な限り低濃度にすべきである。
グリコール成分と酸成分とのモル比は、該シリカ微粒子
の分散性を良くするにはより大きい方が好ましいが、逆
にあまり大きくすると、例えばジエチレングリコールな
どの好ましくない副生物が多くなるなどそれによる併置
も生ずるのでモル比は1.01〜2.0の範囲、好まし
くは1.05〜1.60が良い。
またスラリーは室温から100℃程度、120°C以下
で調整されるのが好ましい。
スラリーとして調整された後は、120℃以上に加温し
て良く、また加温する方がエステル化工程の面からも、
該シリカ微粒子の分散を良くする面からもより好ましい
後者(コロイダルシリカ直接添加)の場合も、コロイダ
ルシリカの濃度は出来る限り低いことが好ましい。
例えばポリエチレンテレフタレート系ポリマーを得よう
とする場合には、エチレングリコールで出来るだけコロ
イダルシリカ濃度を下げると良い。
しかしエチレングリコール量を多くし過ぎると、例えば
ジエチレングリコールの副生など他のデメリットが出て
くるので、系のトータルのグリコール成分と酸成分との
モル比が2.5を越えない範囲で調節すべきである。
シリカ微粒子は以上のように調整され、エステル化槽に
供給される。
ところで該シリカ微粒子の分散性を支配するのは主とし
てスラリー供給時の系の温度である。
即ち、系の温度が高過ぎると該シリカ微粒子が熱ショッ
クにより凝集を起こし易く、凝集を起こしたら再分散さ
せることはほとんど不可能となる。
従って連続重合の場合は、系の温度を295℃以下、よ
り好ましくは290°C以下とすべきである。
またバッチ重合の場合は、系の温度を280℃以下、よ
り好ましくは260℃以下とすべきである。
エステル交換法によりポリエステルポリマーを得ようと
する場合には、コロイダルシリカの水系分散媒は、エス
テル交換反応を阻害するので好ましくない。
水系分散媒の場合エステル交換反応の前に水を追い出す
必要がある。
コロイダルシリカはエステル交換反応開始前に系に添加
するのが、熱ショックを防市する意味で最も好ましい。
エステル交換中またはエステル交換後に、系に添加する
場合には前述のように熱ショックによる凝集を防ぐため
に、系の温度を連続重合の場合235°C以下、より好
ましくは215℃以下とすべきである。
またバッチ重合の場合は200°C以下、より好ましく
は160℃以下とすべきである。
上記いずれの場合でもグリコール成分と酸成分とのモル
比は、シリカの分散性の点からは高い方がより好ましい
が、副生物などの点ではこの逆であり、該モル比は3.
0以下、好ましくは2.5以下が良い。
重縮合を行なう際反応系を妥当な範囲で可能な限り強く
攪拌し、系に大きなすり応力を与えることが該シリカ微
粒子の分散性を向上させる点でより好ましい。
反応系の攪拌を同一条件とした場合に、ずり応力を大き
くするためには、実用の範囲およびその目的の範囲でで
きるだけ重合度、即ち系の粘度をあげれはよい。
この点から数平均重合度は少なくとも70以上、好まし
7くは90以上であることが必要である。
また該ポリエステルポリマーの数平均重合度が70を越
えない場合には、繊維やフィルムを得るに足るだけの強
度が得られず、加うるに該シリカ微粒子の分散に対して
も好ましくない。
表面を溶出侵蝕処理する繊維としては、上記のような製
造法によって製造された微粒子を含有し、数平均重合度
が70以上のポリエステルポリマーを用い、常法により
紡糸し、延伸等を行なって得られるが、この場合ポリマ
ーに添加する微粒子が100ミリミクロンを超えると繊
維表面層溶出後の凹凸を表示するXが大きくなり、ラン
ダム表面を形成する凹凸が少なくなり、色のくすみや、
染色後の白つぼさが目立ってきて望ましくない。
したがって微粒子を均一に分散させ、紡糸延伸時の工程
安定性を良好ならしめ、光沢や色の深みの効果をより良
好にならしめるには微粒子径が1o。
ミリミクロン以下好ましくは60ミリミクロン以下が望
ましい。
このような微粒子としては、例えはシリカゾル、微粒子
状シリカ、アルミナゾル、微粒子状アルミナ、極微粒酸
化チタン、炭酸カルシウムゾル、微粒子状炭酸カルシウ
ム、分散安定性が良好に改善された変性シリカゾル、あ
るいはその他ポリエステル繊維の屈折率に近い微粒状不
活性物質のコロイド等が用いられるが、繊維の透明性、
色の鮮明性、良好な光沢という点ではシリカゾルが最も
効果があった。
該微粒子の添加量について検討した結果、0.5重量%
未満の場合は、表面層溶出後の凹凸状態が不十分となり
色の深さや光沢の改良効果は認められない。
微粒子を10重重量%越えて添加した場合、紡糸は極め
て困難となり事実上不可能な実施範囲となる。
当該微粒子を0.5〜10重量係含有せしめたポリマー
成分を溶融紡糸してなるポリエステル繊維は、延伸後の
繊維表面形状が繊維軸方向にはしる筋は認められるもの
の、微細な凹凸表面にはなっておらず、該ポリエステル
繊維の可溶性あるいは分解性を有する溶剤にて繊維表面
層を溶出処理せしめることにより、始めて前述した表面
凹凸が達成されるのである。
繊維表面の溶出侵蝕は織編物状で染色する場合は染色前
に溶出処理する方が望まし東また糸、綿状で染色する場
合には染色の前に綿あるいは糸、あるいはトウの状態で
溶出侵蝕処理する方が染色の色合わせの点で望ましい。
しかし染色後に実施しても表面の微細かつ複雑な凹凸形
状が得られることに変わりなく、表面溶出の処理は適宜
所望の工程で選択すればよい。
ポリエステル系合成繊維の溶出侵蝕処理としては苛性ソ
ーダ等のアルカリ処理が上げられるが、これに限定され
るものではない。
ただ好ましくは繊維を構成するポリエステル成分と繊維
中に添加した微粒子との共通の溶剤を選択することが望
ましい。
更にまた共通溶剤での微粒子の溶解あるいは分解速度が
ポリエステルのそれよりも数倍ないし数十倍以上に速い
共通溶剤を用いれは繊維表面の凹凸をより微細複雑化さ
せるので、より好ましし)。
この点で添加する微粒子がシリカで、溶剤が苛性ソーダ
の場合はシリカの溶解速度はポリエステルのそれよりも
10倍以上に速く、極めて望ましい組合わせである。
本発明において用いる繊維は、前述のようにポリエステ
ル繊維中の微粒子は、単粒子状で良く分散して存在して
いると共に、0.1ミクロンないし0.5ミクロンの過
度に凝集していない二次粒子が良く分散して存在してい
るものである。
従ってその微粒子含有繊維をアルカリ処理した場合、繊
維表面に存在する多数の微粒子がまず溶出され、その溶
出点からさらに繊維内部の周囲の微粒子がさらに次々と
三次元的に不均一に溶出されるので、その溶出の結果形
成される微細な孔部は、繊維の軸芯方向のみならず、繊
維の周方向にも入りくんだ微細かつ複雑な孔となり、こ
の多数の孔が独立しあるいは部分的に重なって、極めて
微細かつ不規則な凹凸を形成するものである。
従来、繊維の表面を凹凸化する手段としてプラズマ照射
法が公知であるが、このプラズマ照射法で繊維表面に形
成される凹凸は、前述のように規則的、画一的な凹凸で
あり、本発明の繊維は、凹凸方向の違いや、凹凸の大き
さ並びに形態のランダムな点においてプラズマ照射法に
よる繊維表面のそれとは区別されるものである。
以上のような方法で得られるポリエステル繊維のアルカ
リでの処理前後の摩擦特性の変化も特異的である。
即ち、アルカリでの処理前では、繊維表面には微細な凹
凸がなく、通常のポリエステル繊維と同様の摩擦特性を
示すに過ぎない。
しかしこの繊維をアルカリで処理すると、アルカリ処理
前での繊維間静摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの差(
μS−μd)に比べ、処理後のμS−μdが顕著に増大
し、少なくとも処理後のμS/μdが16以上となるよ
うな優れたすべり風合の繊維となるのである。
しかもこのμS−μdはアルカリでの処理による繊維表
面の溶出率を多くすれはする程増大し、絹の持つ乾いた
感触やきしみ、シャリ味を有する特性が得られる。
これまでの説明で理解されるように本発明は繊維表面を
特異な構造とすることにより所期の目的を達せんとする
ものであり、本発明が芯鞘構造や背腹構造の複合繊維に
適用されることも熱論である。
この場合直径が100ミリミクロン以下、好ましくは6
0ミリミクロン以下の微粒子、好ましくはシリカゾルを
、0.5〜10重量係重量上含有たポリエステル系ポリ
マーを鞘成分あるいは背腹の一成分として、又芯成分あ
るいは背腹の他の成分としては上記微粒子を含有するか
、含有率の異なるポリマーないしは異種ポリマーあるい
は微粒子を全く含まない同種もしくは異種ポリマーを配
置せしめた繊維とし、該繊維を、当該ポリエステル系ポ
リマーに対し可溶性あるいは分解性を有する溶剤にて、
繊維表面層を溶出侵蝕処理せしめることにより微細かつ
複雑な凹凸形状をランダムに繊維表面に有する合成繊維
となし、風合の変化や光沢、質感の差により特徴をより
一層発揮せしめることもできる。
またさらに本発明は仮撚倦縮加工等の高次力ロエにより
、互角、六角に類似した形状になったり、紡糸時の異形
断面ノズルにより三葉形、T形、4葉形、5葉形、6葉
形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状として用
いても良いことはいうまでもない。
本発明による仮撚加工糸ではキラキラ光るグリツタ−も
減少する効果を発揮する。
このため高速紡糸して得られるPOYのDTY仮撚糸に
もアンチグリツタ−効果を発揮する意味でメリットとな
る。
本発明でいうポリエステル系ポリマーとは、繰返し構造
単位の少なくとも約75係が (但し−G−は2 〜18炭素原子を含み飽和炭素原子により隣の酸素原子
と結びついている2価の有機基)の単位である如きグリ
コールジカルボキシレート繰返し構造単位を意味するも
のである。
テレフタレート基は繰返し構造単位の唯一のジカルボキ
シレート成分であってもよく、または繰返し構造単位の
約25係まではアジペート、セバケート、イソフタレー
ト、ビベンゾエート、ヘキサヒドロテレフタレートレー
ト、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレー
ト、5−スルホイソフタレート基の如き他のジカルボキ
シレートを含んでいてもよむ)。
クリコール類としては、エチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、等のポ
リメチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオールの如き枝鎖グリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、あるいはこれらの混合物も使用できる。
要すれは約15重量%までの高分子量ポリエチレングリ
コールの如き高級グリコールも添加使用できる。
艶消剤、光沢改良剤、変色防正剤等の色々の他の物質も
要すれは重合混合物に加えてもよい。
次に実施例をもって本発明を説明するが、本発明は以下
の実施例に限定されるものではない。
実施例 1 10〜20ミリミクロンの範囲の粒子径分布をもつ濃度
200重量%水系シリカゲルを室温でエチレングリコー
ルに混合し、十分攪拌した後、テレフタル酸と、該エチ
レングリコールとテレフタル酸とのモル比が1.2とな
るように調整して混合し、シリカを含有したスラリーと
した。
このスラリーを反応系温度が250°C1内圧1.2k
g7cyaであるバッチ式エステル化槽に連続的に供給
してエステル化を行い、エステル化率98係のエステル
化物を得、続いて285℃で重合を行い数平均重合度9
5のポリエステルポリマーを得た。
向重合触媒は5b203を使用した。
このようなポリマーの製造法にしたがいシリカゾルの添
加量を0.1重量%から155重量%で変え、各ポリマ
ーを作成し、各々溶融紡糸し、通常の延伸を行なって1
50デニール、30フイラメントの延伸糸を得た。
シリカゾル12重量%と155重量%場合は紡糸性が不
良で、全く試料が得られなかった。
得られた延伸糸に仮撚加工を実施し、得られた各試料を
用い、編地を作成した。
各々の編地を4重量%の苛性ソーダ溶液95°Cにてア
ルカリ減量処理を行った。
アルカリ減量率は各々のサンプル毎にチェックし3係以
上6係以下におさまるように留意した。
各編地を次の処決で染色した後、編物の反射率を日立製
作所製自記分光光度計EPR−2型を使用して測定し、
反射率の変化から色の深み変化、走査型電子顕微鏡写真
から繊維表面の凹凸形状を求めその結果を第1表に示す
シリカゾル0.1%のものは繊維表面がランダム表面と
はならず、凹凸形状を表わすXが0.7ミクロン以上で
あった。
また反射率の低下も少なく、色の深みも発現せず、かつ
光沢の改良も認めたがい。
これに対しo、s%以上のシリカゾルを添加したものは
50〜200ミリミクロンの粒状構造の壁よりなる微細
凹凸を有し、更に、この微細凹凸を含む不規則な凹凸の
ランダム表面が繊維表面に形成されていた。
そしてXは一定ではないが、Xが0.2ミクロンから0
.7ミクロンを満足する凹凸が繊維軸に対して直角な外
周方向の長さ10ミクロン当たり10ないし45個の密
度で存在していた。
又これ等の場合反射率の低下が認められ、黒色の深みが
増し、光沢もしっとりとした良好なものとなった。
同第1表ではシリカゾル含有量が0.5重量%以上の場
合は、色の深み、光沢につき互いにその差が区別されて
表わされてはいないが、添加量が多ければ多い程色の深
みが増し、良好な光沢となった。
更にまたシリカゾル含有量が0.5重量%以上の場合の
各編地は、すべり風合の改良効果をはっきり表わすもの
であった。
実施例 2 以下に述べる各種の微粒子を用い、実施例1と同様の操
作により、該微粒子がポリマーに対してそれぞれ1.5
重量%となるように、微粒子含有ポリエステルポリマー
をそれぞれ製造した。
この各ポリマーを常法により溶融紡糸し、水溶延伸を行
い、2.5デニール、51mmのカットステーブルを作
成し30’S/1の紡績糸を作成し編地とした。
実施例1で示したアルカリ減量と染色を行い、繊維表面
の凹凸形状と染色後の編地の色の深みと光沢の変化を調
べ、その結果を第2表に示す。
粒子径が大きくなると、色の深みや光沢の良さがなくな
り、最も不良の例は酸化チタン(約200ミリミクロン
)の場合であった。
粒径約150ミリミクロン〜120ミリミクロンのシリ
カゾルや粒径約80ミリミクロン〜100ミリミクロン
の炭酸カルシウムでも一応色の深み効果はあるものの、
粒子径の小さいものにくらべると品位が劣り、アルカリ
減量率を多くすると0.7ミクロン以上の大きな凹凸の
発生にもとづく色のくすみが発生しはじめている。
アルミナ粉体の場合は単粒子径が約20ミリミクロンの
大きさであるが、実際の紡糸状況からみると、圧力上昇
が激しく、ポリマー中の微粒子の良好な分散状態が得ら
れなかったためか、結果的には本発明で定義するXが0
.7ミクロン以上となり、色の深みや光沢に改良効果が
なかった。
粒子径が約7ミリミクロンのシリカの粉体や約30ミリ
ミクロンの微粒酸化チタンの粉末を用いた場合もいづれ
も深みのある黒色や良好な光沢であった。
結局全ての点で粒子径80〜90ミリミクロンまでのシ
リカゾルが好適で、その内でもとりわけ粒子径10〜6
0ミリミクロンのシリカゾルが優れていた。
実施例 3 粒子径が約45ミリミクロンで、濃度40重量置部水径
シリカゾルを用い、実施例1と同様の操作により、該シ
リカゾル添加量3重置部のポリマー囚を得た。
これをオルソクロロフェノール25°C溶液として測定
した固有粘度は0.51であった。
これとは別に添加物の入らない固有粘度o、75のポリ
エチレンテレフタレート(B)を作成した。
A成分とB成分を粗み合わせて偏心型の芯鞘複合紡糸を
行った。
この際A成分を鞘成分とし、B成分を偏心させた芯成分
とした。
複合紡糸後延伸して引続き185°Cの中空ヒーター中
をオーバーフィードして通過処理せしめ潜在巻縮を発現
処理せしめ75デニール36フイラメントの巻縮糸条を
得た。
対照サンプルとして酸化チタン(粒径約200ミリミク
ロン)0.02重重量部加したポリエステルフィラメン
ト75デニール36フイラメントの仮撚加工糸を準備し
た。
これら2種の糸条を各々別々にタテ密度125本/吋、
ヨコ密度95本/吋の2/2綾織物を作成した。
各々通常の染色加工工程において、ヒートセット後繊維
表面の溶出侵蝕処理を行った。
溶剤は苛性ソーダを用い約15係の減量処理により表面
溶出侵蝕処理とした。
これに引き続き通常の染色仕上を実施し、風合と外観の
評価を行った。
A成分−B成分を用いたポリエステル偏心芯鞘複合糸は
風合がソフトでかつしなやかなもので正絹綾羽二重に類
似し、発色性と色の深みの点で対照サンプルのポリエス
テル仮撚加工糸よりはるかにすぐれていた。
実施例 4 実施例3で得られたポリマー(イ)と(B)を用いて、
背腹構造の複合繊維に常法の装置を用いて溶融紡糸した
複合比率はA:B=6:4であった。延伸後引続いて1
80℃の中空ヒーター中を50受のオーバーフィード率
で通過、弛緩処理せしめ潜在巻縮を発現せしめ75デニ
ール36フイラメントの巻縮糸条を得た。
この巻縮糸条で編地を作成し、実施例3と同様に熱処理
・苛性ソーダ処理を行なって、約10係の減量加工をし
た。
編地から繊維を取り出し、走査型電子顕微鏡写真で表面
観察したところ、巻縮形態の外側に繊維周辺長の約60
優にわたって本発明で述べた微細かつ不均一な凹凸のク
ンダム表面が観察された。
編地サンプルは直射日光でもキラキラした光沢が全くな
く触感はソフトでしなやかであった。
実施例 5 平均粒子径15ミリミクロン、濃度20重量置部水系シ
リカゾルを室温でエチレングリコールに混合し、十分攪
拌した後、テレフタル酸と混合してスラリーとした。
ついでこのスラリーをエステル化並びに重縮合を行ない
、固有粘度〔η〕が0.67、シリカを3重量多含有す
るポリエチレンテレフタレートを得た。
また平均粒子径45ミリミクロン、濃度20重量置部水
系シリカゾルを用い、上記と同様操作により固有粘度〔
η〕が0.69、シリカを3重量多含有するポリエチレ
ンテレフタレートを得た。
対照として、平均粒子径200ミリミクロンの酸化チタ
ンを用い、上記と同様操作により、固有粘度〔η)=0
.69、酸化チタンを0.45重量置部有するポリエチ
レンテレフタレートを得た。
ついで各々のポリマーを用い、通常の方法で紡糸・延伸
し、断面が丸断面の繊維(75デニール、36フイラメ
ント)およびT型断面の繊維(75デニール、36フイ
ラメント)をそれぞれ得た。
フィラメント糸条にZ方向250 T/Mの撚をかけ生
機密度タテ104本/吋、ヨコ85本/吋、仕上密度タ
テ119本/吋、ヨコ100本/吋の羽二重織物を作成
した。
織物の精練仕上工程においてヒートセット後苛性ソーダ
溶液を用い繊維表面の溶出処理を行なった。
第3表にこのときの重量減少率と羽二重の風合感覚官能
検査結果を示した。
一方フィラメント糸条の摩擦挙動をより正確は把握する
ため織物に使用したフィラメント糸条をあらかじめ総状
にし、織物の精練仕上工程と同条件の精練処理や熱履歴
を与え、ついで繊維表面溶出処理を行なった。
この際の溶出処理条件は織物と同一条件で行なった。
かくして得た表面溶出処理後のフィラメント糸条につい
ては走査型電子顕微鏡写真から繊維表面の凹凸形状を観
察すると共に、先に定義したレーダー法により糸と糸と
の間の摩擦係数を測定した。
フィラメント糸条の表面は50ないし200ミリミクロ
ンの微細凹凸が全表面にわたって存在し、しかもこの微
細凹凸を含む不規則な大きな凹凸のランダム表面が存在
していた。
このランダム表面を形成する凹凸は、本発明で定義した
Xが0.2ないし0.7ミクロンを満足する凹凸が、繊
維軸に対して直角な外周方向の長さ10ミクロン当り1
3ないし40個の密度で存在していた。
これらフィラメント糸条の静摩擦係数μSと動摩擦係数
μdおよびμS/μdの値を第3表に併記した。
なお対照とした表面溶出処理をしていないものについて
も測定した。
この場合のサンプルも溶出処理以外は他と同じ履歴を経
ているものである。
第3表より理解されるように、本発明による糸条は表面
溶出処理によってμSが著しく増大し、μS/μdが1
.7以上、2,3程度まで大きくなっている。
μS/μdと羽二重織物の風合官能検査結果との対応も
明確に認められた。
即ちμS/μdが1.7以上のものから触感が変りはじ
め、ぬめり感がなくなり、きしみ感が出てくる。
特にμS/μdが1.9以上のものでは絹特有の絹鳴り
の発生がみられた。
絹鳴りやきしみ感の発生のみられる領域となる繊維糸条
で構成される羽二重以外の織物を各種作成してみると、
ネクタイではしまり丁合や形くずれがしにくく、スカー
フでは乾いたさらつとした感触が得られ、またブラウス
やワンピースでは絹に類似したシャリ感と涼感が得られ
、従来のポリエステル系合成繊維織物では考えられなか
った新しい感触の商品が出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は表面の断面曲線の一般的な例として示
したもので、第1図が規則的表面、第2図がランダム表
面を例示したものである。 第3図は本発明の凹凸形状を模式的に示したものである
。 第4図から第6図は本発明繊維の表面状態を示す走査型
電子顕微鏡写真の一例で、第4図は3000倍の、又第
5図および第6図は共に24,000倍の倍率である。 第7図は通常のポリエステル繊維を通常のアルカリ処理
を行なった場合の繊維の表面状態を示す走査型電子顕微
鏡写真の一例で、6.000倍の倍率である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 繊維表面が不規則な凹凸のランダム表面を形成して
    おり、該ランダム表面を形成する凹凸は、繊維軸に対し
    て直角な外周方向に存在する凹部の最底点と隣り合う凹
    部の最底点までの平面距離をXとするとき0.2ミクロ
    ン<X<0.7ミクロンを満足する互いに一定間隔では
    ない各凹凸が繊維軸に直角な外周方向の平面距離10ミ
    クロン当り10ないし50個の密度で存在し、該ランダ
    ム表面を形成する凹凸内には50ないし200ミリミク
    ロンの微細凹凸が存在するポリエステル系合成繊維。
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