JPH1160254A - プレス成形用金型及び磁気ディスク用ガラス基板 - Google Patents
プレス成形用金型及び磁気ディスク用ガラス基板Info
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Abstract
領域とを形成することにより、ゾーンテクスチャ方式に
最適な磁気ディスクを安価にかつ大量に生産できるプレ
ス成形用金型及びこのプレス成形用金型を用いて成形さ
れたCSS特性向上と低浮上化の両方を可能とする磁気
ディスク用ガラス基板とを提供する。 【解決手段】 中間層3が金型母材1上にスパッタ法に
より形成され、開口部4を有するマスク5を前記中間層
3の表面に形成し、開口部4における中間層3をエッチ
ングにより表面粗化を行ない、エッチング部にスパッタ
法により保護層6aを形成し、マスク5を取り除いた
後、スパッタ法により中間層3上にさらに別の保護層6
bが形成されている。表面粗化部の表面粗さは保護層6
aの表面粗さに反映され、保護層6aの表面粗さはさら
に保護層6bの表面粗さに反映されるので、保護層6b
に表面粗化面を形成することができる。
Description
式の磁気ディスクに最適な磁気ディスク用ガラス基板を
生産するプレス成形用金型及びそれを用いて製造した磁
気ディスク用ガラス基板に関する。
憶装置の一つであるハードディスクの小型化、高容量化
などの高性能化への要求は、非常に高まってきている。
それに伴って、磁気ヘッドの低浮上化が盛んに検討さ
れ、磁気ディスクの平滑性については極めて高い精度が
要求されている。
は、アルミニュウム合金が主として用いられてきた。し
かしながら、アルミニュウム合金基板は硬度が低いため
高精度な砥粒及び研磨装置を使用して精密研磨加工して
も、研磨面が塑性変形するため、高精度の平滑面を得る
ことは難しかった。また、基板表面により硬度の高いニ
ッケル−リンメッキ層を形成しても、なお高精度の平滑
面の要求に応えることは難しかった。
膜化が要求されており、強度の低いアルミニュウム合金
基板では、この要求に応えることが難しかった。最近の
高感度な磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)の採用
は、磁気ディスクにノイズ低減の要求をし、基板には磁
性膜成膜後の熱処理によるノイズ低減に対応することが
求められている。しかしながら、この面からもアルミニ
ュウム合金は要求に応えることが難しくなってきてい
る。
ラス、セラミック、カーボンなど新しい材料が提案され
ており、中でもガラス基板は広く検討され一部では既に
実用化されている。ガラス基板は強度が高く、耐熱性も
良好で、表面硬度が高く、高精度な精密研磨によって高
精度な平滑性の要求に十分応えることができる。
ッドの浮上量を低くすることが出来る反面、ヘッドステ
ィックと言う問題が発生する。すなわち、ハードディス
クドライブでは、コンタクト・スタート・ストップ(C
SS)方式が採用されており、装置の起動・停止時には
磁気ヘッドと磁気ディスクとが摺動接触している。この
状態で回転始動または停止するため、磁気ヘッドと磁気
ディスクとの間に摩擦力が生じ、磁気ヘッド及び磁気デ
ィスクの表面を磨耗させ、電磁変換特性の劣化の原因と
なっている。
状態では、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間に水分が入
り込み、凝着現象を引き起こすことがある。この状態で
起動すると磁気ヘッド・磁気ディスク間に大きな抵抗力
が生じ、磁気ヘッド、磁気ディスクの損傷、破壊を引き
起こすことがあり、このヘッドスティック現象は大きな
問題となっている。
両立させる方法として、可能な範囲で表面粗さを小さく
することが試みられてきたが、この方法では低浮上化の
限界に来ている。そこで、この問題を両立する別の方法
として、磁気ヘッドが磁気ディスク表面から離着陸を行
うCSSゾーン(例えば、ドーナツ状磁気ディスクの内
周近傍の領域)の表面を磁気ヘッド・ディスク間の吸
着、損傷が防止できる程度の表面粗さにし、他のデータ
ゾーンは低浮上化を実現させるためそれよりも小さい表
面粗さにする、いわゆるゾーンテクスチャ方式が提案さ
れている。
平滑面を得るために、所定のサイズに切り抜かれたガラ
ス基板を1枚毎に精密研磨する研磨法が用いられてい
た。また、磁気ディスク用基板の表面に凹凸を部分的に
形成する方法として、部分的に研磨加工の程度を変える
方法や部分的にエッチングする方法が、特開昭57−1
6135号公報、特開昭63−167422号公報に提
案されている。さらに、最近ではレーザを用い表面加工
する方法が、特開平7−182655号公報に提案さ
れ、制御性の良好な方法として、盛んに検討され始めて
いる。
の分野では、数多くの検討がなされ、高品質かつ高生産
性の可能な製造方法として既に実用化が図られている。
プレス成形に用いる金型は、高温高圧状態でガラスを繰
り返し成形しても劣化しない特殊な金型が必要であり、
種々の検討がなされている。
金(タングステンカーバイド)や、サーメット、ジルコ
ニア、炭化珪素その他セラミックスが使用され、金型は
母材保護と離型時のガラスの粘着を防止するため、離型
性、耐酸化性、耐反応性の良い保護膜がコーティングさ
れるものが開発されている。
は、超硬合金表面に貴金属合金薄膜を設け、合金表面上
に微細パターンを形成した成形用金型が提案されてい
る。
ような従来の磁気ディスク用基板の製造方法では、以下
のような問題があった。 (1)1枚毎にガラス基板を精密研磨する研磨法では、
研磨工程に高い精度が要求され、かつ工程数も多いとい
う問題があった。 (2)部分的に研磨加工の程度を変える方法や部分的に
エッチングする方法では、表面性の制御を生産性良く行
うには限界があった。 (3)レーザを用い表面加工する方法では、高価な装置
が必要とされ、製造コストが高くなるという問題があっ
た。 (4)プレス成形法では、金型の母材として用いられる
超硬合金(タングステンカーバイド)やサーメットは加
工性が悪く、磁気ディスク用基板の金型として十分な平
滑性(nmオーダの平滑性)を得ることは難しいという
問題があった。
ク用ガラス基板は、前記問題を解決するものであり、プ
レス成形用金型に表面平滑領域と表面粗化領域とを形成
することにより、ゾーンテクスチャ方式に最適な磁気デ
ィスクを安価にかつ大量に生産できるプレス成形用金型
及びこのプレス成形用金型を用いて成形されたCSS特
性向上と低浮上化の両方を可能とする磁気ディスク用ガ
ラス基板とを提供することを目的とする。
に本発明のプレス成形用金型は、磁気ディスク用ガラス
基板のプレス成形用金型であって、プレス成形面に表面
粗さの異なる複数の領域が形成されていることを特徴と
する。
これを用いて成形した磁気ディスク用基板に表面粗さの
異なる複数の領域を形成できるので、CSS特性向上と
低浮上化の両方を可能にする磁気ディスク用ガラス基板
を製造することができる。
面粗さの異なる複数の領域が、前記プレス成形面の外周
部を含む外側領域と、この外側領域の内側で前記プレス
成形面の中心部を含む内側領域とであることが好まし
い。
これを用いて成形した磁気ディスク用基板に表面粗さの
異なる2種類の領域を形成できるので、一方を磁気ヘッ
ドが磁気ディスク表面から離着陸を行うCSSゾーンと
して用い、他方をデータゾーンとして用いることができ
る。
さ(Ra)が2nm未満の平滑面領域と、中心線平均粗
さ(Ra)が2〜50nmの範囲内の表面粗化領域とが
形成されていることが好ましい。
これを用いて成形した磁気ディスク用基板に平滑面領域
と表面粗化領域とを形成できるので、表面粗化領域を磁
気ヘッドが磁気ディスク表面から離着陸を行うCSSゾ
ーンとして、平滑面領域をデータゾーンとして用いるこ
とができる。
滑面で、前記金型母材表面に中間層を介して保護層が形
成され、前記保護層表面に表面粗さの異なる複数の領域
が形成されていることが好ましい。
保護層表面の表面粗さはその上に形成された別の保護層
の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上
層の保護層の表面粗さを制御することができる。また、
中間層を介したことによって、保護層の付着強度を上げ
ることができる。
領域が形成された好ましいプレス成形用金型において
は、前記中間層及び前記保護層がスパッタ法により形成
され、開口部を有するマスクを前記保護層の表面に形成
し、前記開口部における前記保護層をエッチングにより
表面粗化を行うことにより、前記保護層表面に表面粗さ
の異なる複数の領域が形成され、前記エッチング部にさ
らに別の保護層が形成されていることが好ましい。
保護層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成され
た別の保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形
面である最上層の保護層に表面粗化面を形成することが
できる。
金型母材のプレス成形面側表面が平滑面で、前記金型母
材表面に、表面粗さの異なる複数の領域が形成された中
間層を介して保護層が形成されていることが好ましい。
中間層表面の表面粗さはその上に形成された保護層の表
面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の
保護層の表面粗さを制御することができる。
れた中間層が形成された好ましいプレス成形用金型にお
いては、前記中間層がスパッタ法により形成され、開口
部を有するマスクを前記中間層の表面に形成し、前記開
口部における前記中間層をエッチングにより表面粗化を
行なうことにより、前記中間層に表面粗さの異なる複数
の領域が形成され、前記エッチング部にスパッタ法によ
り保護層が形成され、前記マスクを取り除いた後、スパ
ッタ法により前記中間層及び保護層上にさらに別の保護
層が形成されていることが好ましい。
中間層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成され
た保護層の表面粗さに反映され、この保護層の表面粗さ
はさらにこの上に形成された保護層の表面粗さに反映さ
れるので、プレス成形面である最上層の保護層に表面粗
化面を形成することができる。
て中間層が形成されていることが好ましい。また、前記
プレス成形用金型においては、金型母材のプレス成形面
側表面と表面粗さの異なる層を前記金型母材表面に形成
することにより、前記金型母材のプレス成形面側に表面
粗さの異なる複数の領域が形成され、さらにその上に中
間層を介して保護層が形成されていることが好ましい。
金型母材のプレス成形面側の表面粗さはその上に形成さ
れた中間層及び保護層の表面粗さに反映されるので、プ
レス成形面である最上層の保護層の表面粗さを制御する
ことができる。
中間層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成され
た保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面で
ある最上層の保護層に表面粗化面を形成することができ
る。
の異なる複数の領域が形成された好ましいプレス成形用
金型においては、前記金型母材のプレス成形面側表面が
平滑面で、前記金型母材表面に開口部を有するマスクを
形成し、前記開口部における金型母材表面のエッチング
を行い、前記エッチング部にスパッタ法により中間層が
形成され、前記中間層の表面がエッチングにより表面粗
化が行われることにより、前記金型母材のプレス成形面
側に表面粗さの異なる複数の領域が形成され、前記マス
クを取り除いた後、前記金型母材及び前記中間層の表面
にスパッタ法にて形成された別の中間層を介して保護膜
が形成されていることが好ましい。
金型母材表面に形成された中間層表面の表面粗化部の表
面粗さはその上に形成された中間層及び保護層の表面粗
さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護
層に表面粗化面を形成することができる。
は、前記金型母材の主成分がガラス材で、前記中間層が
炭化珪素、窒化珪素及び酸化珪素から選ばれた少なくと
も1つの材料と、その上に形成する保護層に含まれる成
分とを含む薄膜で、前記保護層がタングステン(W)、
白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(R
h)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オ
スミウム(Os)、レニウム(Re)及びタンタル(T
a)から選ばれた少なくとも1つの成分を含む合金薄膜
であることが好ましい。
定すれば、長期間の繰り返し使用においても、金型の劣
化を防止することができるので、高価な金型の寿命を延
ばすことができ、高密度と高信頼性を両立するゾーンテ
クスチャ方式の高品質な磁気ディスク用ガラス基板を安
価にかつ大量に提供することができる。
は、前記各プレス成形用金型により製造したことを特徴
とする。前記のような磁気ディスク用ガラス基板によれ
ば、平滑面領域と表面粗化領域とが形成されているの
で、CSS特性向上と低浮上化の両方が可能になる。
て、図面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明に係る磁気ディスク用
ガラス基板のプレス成形用金型の製造工程を示す断面図
である。以下、本図を用いて製造工程順に説明する。
型母材1に用いるガラス材は、繰り返し使用による変形
を防止するため、高温時の機械強度に優れ、熱膨張係数
が小さいものが好ましい。例えば石英ガラスはガラス転
移温度が高く、金型母材1として好適である。
分とし、酸化アルミ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ア
ルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの成分
を含有したものも必要に応じて用いてもよい。この場
合、金型母材1の転移温度は、プレス成形されるガラス
素材の成形温度よりも高くする必要がある。具体的に
は、金型母材1の転移温度は、成形温度よりも50℃以
上高いことが好ましい。
ィスク用としては、中心線平均粗さ(Ra)が2nm未
満であることが好ましい。このような平滑面は一般的な
炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンド粒子による研磨の
後、酸化セリウムの微粒子を用いた精密研磨法によって
得ることができる。
(b)に示したように、平滑なプレス成形面側表面2上
に中間層3を形成する。中間層3は炭化珪素、窒化珪
素、及び酸化珪素から選ばれる少なくとも1つの材料と
その上に形成する貴金属系合金薄膜に含まれる成分とを
含む薄膜である。
形成する貴金属系合金薄膜からなる保護層の付着強度を
高めることができる。このため、高温高圧下でプレス成
形を繰り返し行っても、保護層の膜剥がれを防止でき
る。また、エッチングとの組合せで表面性を制御するこ
とができる。
トをスパッタリングし、形成することができる。スパッ
タリング法としては、直流スパッタ法、高周波スパッタ
法、マグネトロンスパッタ法、またはイオンビームスパ
ッタ法が用いられる。成膜条件は、ガス圧が1×10-2
〜1×10-4Torrの範囲内、パワー密度が1〜10
W/cm2の範囲内が好ましい。
ましい。0.1μmより小さい膜厚では、付着強度向上
の効果が十分でなく、5μmより大きい膜厚では、表面
が荒れやすくなり、金型表面の平滑性が損なわれる。ま
た、中間層を形成する前に、金型母材表面をアルゴンな
どの不活性ガスでスパッタし、表面を清浄にすれば、付
着強度を向上できる。
形成について説明する。表面粗化領域の表面粗さは中心
線平均粗さ(Ra)が、2〜50nmの範囲内が好まし
い。この範囲内であれば、磁気ヘッドと磁気ディスクと
の摩擦低減作用が顕著になる。2nmより小さいと、磁
気ヘッドの吸着が発生し易い。また、50nmを越える
と磁気ヘッドの浮上量が安定せず、信号のノイズが増大
してしまう。
マスク5を、中間層3の表面に配置し、アルゴンなどの
不活性ガスでスパッタすることによって、中間層表面の
ドライエッチングを行い、所定の領域の中間層3の薄膜
を取り除くと共に、その表面を粗化することができる。
ドライエッチングは、次に行う保護層6aの形成と連続
して行い、効率を上げると共に保護層6aの付着強度を
上げることが出来る。
aを形成する。保護層6aは、中間層3と同様にスパッ
タ法で形成することが出来る。保護層6aの表面には、
下地の中間層3a表面により荒れた面が得られる。ま
た、保護層6aと中間層3の表面は同一面にすることが
好ましい。表面段差が大きい場合には、この段差部分で
磁気ヘッドの浮上が不安定になるので、出力変動が起こ
り段差周辺に記憶できない領域が発生し、記憶容量が減
少するからである。
示したように、保護層6a及び中間層3の表面に保護層
6bを形成する。保護層6a、6bは貴金属系合金薄膜
からなり、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウ
ム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(I
r)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)及びタン
タル(Ta)から選ばれる少なくとも一つの元素を含有
しており、高温高圧下でのプレス成形を繰り返してもプ
レス面へのガラス付着を防止でき、プレス面の面荒れに
よる表面性の低下を防止できる。
リング法及び成膜条件は、前記の中間層の場合と同じで
ある。膜厚も中間層と同様に0.1〜5μmの範囲内が
好ましい。これ以下の膜厚では、保護膜として十分な膜
強度が得られなくなり、これ以上の膜厚では、中間層と
同様に表面が荒れやすくなり、金型表面の平滑性が損な
われる。
保護層6b領域では、中間層3の領域よりも荒れた表面
性になり、表面粗化領域が得られる。また、平滑性の良
好な中間層3の領域では、表面平滑領域が得られる。こ
のため、ゾーンテクスチャーに対応した磁気ディスク用
プレス成形金型が得られる。
3形成の場合と同様にアルゴンガスなどの高周波プラズ
マによって中間層3表面をドライエッチングすることに
より保護層6bの付着強度を高めることができるが、ド
ライエッチングで中間層3表面を荒らさないように条件
の最適化が必要である。
るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。図
2(d)に示したように、開口部4のエッチング部に保
護層6aに代えて中間層3aを形成する点が、実施形態
1と異なる。
るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。以
下、本図を用いて実施形態1と異なる点について説明す
る。図3(b)、(c)に示したように金型母材1に中
間層3を形成した後、保護層6を形成する。図3(d)
に示したように、表面粗化領域に対応した開口部4を有
するマスク5を保護層6上に配置する。アルゴンなどの
不活性ガスでスパッタすることによって、保護層6のド
ライエッチングを行い、所定の領域の保護層6の薄膜を
取り除くと共に、その表面を粗化することが出来る。次
に、図3(e)に示したように保護層6aを形成する。
保護層6aの表面には、下地の保護層6a表面によって
荒れた面が得られる。
るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。以
下、本図を用いて実施形態1と異なる点について説明す
る。図4(b)に示したように、表面粗化領域に対応し
た開口部4を有するマスク5を金型母材1上に配置し、
金型母材1表面を所定の深さにエッチングする。エッチ
ング条件は、実施形態1の中間層の場合と同様である。
ング部分に中間層3aを形成し、その表面をドライエッ
チングし、表面粗化領域を形成する。さらに、マスク5
を取り除いた後、図4(d)に示したように中間層3b
を形成する。中間層3bの表面には、下地の中間層3a
よって荒れた面が得られる。次に、図4(e)に示した
ように、中間層3bの表面に保護層6を形成する。保護
層6の表面には、下地の中間層3b表面によって荒れた
面が得られる。
る金型を用いたプレス成形による磁気ディスク用のガラ
ス基板の製造について説明する。
成形機の構成図である。ガラス素材7はプレス成形用金
型の下型9上におかれ、胴型8を介して、上型10がセ
ットされている。胴型8はディスクの外径及び厚みを規
制すると共に上下型のガイドとして働き、位置規制を行
う。金型は下型用ヒータ部11、上型用ヒータ部12及
び側面用ヒータ部13によって加熱され、ピストンシリ
ンダー14によって加圧される。金型はこれらヒータに
よって、ガラス素材7の軟化点付近まで均一に加熱さ
れ、プレス成形を行う。
の中に設置されている。窒素ガス導入口16から窒素ガ
スが導入されるので、低い酸素濃度雰囲気でプレス成形
することができ、成形時の高温による金型の酸化による
耐久性の低下を防止することができる。
っくりと第1段階の冷却を行い、その後圧力を減少さ
せ、第2段階の冷却を行う。第1段階の冷却では、金型
温度の不均一による成形ガラス基板の内部歪みの発生を
防止することが必要である。歪みの発生は成形ガラス基
板の平坦性に影響し、ソリが発生したり、著しい場合に
は、クラックが発生することがあるからである。
気ディスク用ガラス基板のプレス成形用金型及び磁気デ
ィスク用ガラス基板について、実施例を用いて更に具体
的に説明する。
は、図1に示た製造工程に従って製作し、中間層表面に
表面粗化部を形成したものである。プレス成形用金型母
材1として、直径48mm、厚み30mmの円柱状の石英ガ
ラスを2つ(上型用と下型用)準備し、プレス成形面2
を粒径0.1μmの微細なダイヤモンド砥粒を用いて鏡
面研磨した後、酸化セリウムを用い中心線平均粗さ(R
a)0.5nmに研磨した(以下の実施例2〜4も同
じ。)。
00Wの条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマ
でクリーニングした後、真空度5×10-4Torr、電
力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法によ
り炭化珪素(SiC)上にイリジウム(Ir)配置した
ターゲットを用い、膜厚1.0μmの中間層3を形成し
た(図1(b))。
4を有するマスク5を中間層3に設置し、真空度3×1
0-4Torr、電力500Wの条件で中間層表面をアル
ゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、中心部の表
面を荒らした中間層3aを形成した(図1(c))。
(Rh)をターゲットとし、マグネトロン高周波スパッ
タ法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの
条件でIr50atom%−Rh50atom%組成の
薄膜から成る保護層6aを形成した(図1(d))。
護層6aの表面に保護層6aと同条件で膜厚1.0μm
の保護層6bを形成し、平滑面領域及び表面粗化領域を
持つ一対のプレス成形用金型(試料1)を製作した(図
1(e))。
0.1μmの微細なダイヤモンド砥粒を用いて鏡面研磨
した超硬合金を用い、本実施例と同様に、プレス面全体
にマグネトロン高周波スパッタ法によりIr50ato
m%−Rh50atom%組成の薄膜から成る膜厚1.
0μmの保護層を形成したプレス成形用金型(試料5)
を製作した。
たプレス成形機に下型9、上型10としてセットし、ガ
ラス素材7として直径35mmのソーダライムガラスを用
いてプレス成形して、磁気ディスク用ガラス基板を作成
した。
雰囲気中で、温度730℃、プレス圧200kg/cm2で
行い、プレスした状態で2分間保持した後、そのままの
状態で420℃まで10℃/分の条件で冷却した。その
後、常温まで急冷した後、プレス成形したガラス基板を
取り出し、機械加工により内径加工を行い、磁気ディス
ク用ガラス基板とした。プレス成形の各条件は、以下の
実施例2〜4でも同じである。
は、図2に示す製造工程に従って製作し、中間層表面に
表面粗化部を形成したものである。
の条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマでクリ
ーニングした後、真空度5×10-4Torr、電力60
0Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法により酸化
珪素(SiO2)上に白金(Pt)配置したターゲット
を用い、膜厚0.8μmの中間層3を金型母材1上に形
成した(図2(b))。
4を有するマスク5を、中間層3上に設置し、真空度3
×10-4Torr、電力500Wの条件で中間層3表面
をアルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、中間
層3の中心部の表面を荒らした(図2(c))。この
後、中間層3と同条件でスパッタし、中間層3aを形成
した(図2(d))。
表面を真空度3×10-4Torr、電力100Wの条件
でアルゴンガスの高周波プラズマでクリーニングした。
次に、白金(Pt)−タングステン(W)をターゲット
とし、マグネトロン高周波スパッタ法により真空度5×
10-4Torr、電力600Wの条件で、Pt50at
om%−W50atom%組成の膜厚1.3μmの保護
層4を形成し(図2(e))、平滑面領域及び表面粗化
領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料2)を製作し
た。
を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作した。 (実施例3)実施例3のプレス成形用金型は、図3に示
した製造工程に従って製作し、保護層に表面粗化部を形
成したものである。
の条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマで金型
母材1をクリーニングした後、真空度5×10-4Tor
r、電力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ
法により窒化珪素(Si3N4)上にオスミウム(Os)
配置したターゲットを用い、膜厚0.5μmの中間層3
を金型母材1上に形成した(図3(b))。
(Pd)をターゲットとしマグネトロン高周波スパッタ
法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの条
件でPt50atom%−W50atom%組成の薄膜
から成る膜厚2.0μmの保護層6を中間層3上に形成
した(図3(c))。
4を有するマスク5を保護層6上に設置し、真空度3×
10-4Torr、電力500Wの条件で保護層表面をア
ルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、保護層6
の中心部の表面を荒らした(図3(d))。保護層6を
形成した後、保護層6と同条件で膜厚1.3μmの保護
層6aを形成し(図3(e))、平滑面領域及び表面粗
化領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料3)を製作
した。
を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作した。 (実施例4)実施例4のプレス成形用金型は、図4に示
す製造工程に従って製作し、金型母材表面に表面粗化部
を形成したものである。
するマスク5を、金型母材1上に設置し、真空度3×1
0-4Torr、電力300Wの条件で研磨面をCF4と
酸素の混合ガスの高周波プラズマでエッチングした(図
4(b))。真空度5×10 -4Torr、電力600W
の条件でマグネトロン高周波スパッタ法により炭化珪素
(SiC)上にタンタル(Ta)を配置したターゲット
を用い、中間層3aを形成し、真空度3×10-4Tor
r、電力500Wの条件で中間層3a表面をアルゴンガ
スの高周波プラズマでエッチングし、中間層3a表面を
荒らした(図4(c))。
mの中間層3bを形成した。その後、タンタル(Ta)
−パラジウム(Pd)をターゲットとしマグネトロン高
周波スパッタ法により真空度5×10-4Torr、電力
600Wの条件でTa50atom%−Pd50ato
m%組成の薄膜から成る膜厚1.1μmの保護層6を形
成し(図4(e))、平滑面領域及び表面粗化領域を持
つ一対のプレス成形用金型(試料4)を製作した。
と同様にしてマグネトロン高周波スパッタ法によりTa
50atom%−Pd50atom%組成の薄膜から成
る膜厚1.0μmの保護層を金型母材上に形成し、平滑
面領域及び表面粗化領域を持つ金型(試料6)を製作し
た。
の金型を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作し
た。実施例1〜4のプレス成形金型を用いたプレス成形
は、各実施例について3000回行った。初期及び30
00回プレス後の金型及び成形した磁気ディスク用ガラ
ス基板の平滑面領域及び表面粗化領域の表面をAFM
(原子間力顕微鏡)を用いて50μm角で5ヶ所測定
し、その表面粗さ(SRa)の平均を算出し評価した。
また、光干渉方式の3次元表面粗さ計を用いて、高さ5
0nm以上の粗大突起(金型の場合は凹み)の数を測定し
た。以下の表1に、この結果を示す。
ス成形用金型で製作した磁気ディスク用基板は、300
0回目のプレス成形品でも初期の成形品と比較して表面
粗さの変化は小さく、粗大突起の形成も見られなかっ
た。
料5)では、初期から表面粗さが大きく、50nm以上の
突起が見られた。また、光学顕微鏡で倍率800倍で金
型表面を観察したところ、ミクロな欠陥が発生している
部分が見られた。
は、初期には問題がないものの、数回のプレス成形で保
護膜のハガレが発生し、使用不可能となった。なお、前
記実施例1〜4において、中間層及び保護層の材料は各
実施例に示したものに限らず、中間層が炭化珪素、窒化
珪素、酸化珪素の内少なくとも1つの材料と、その上に
形成する保護層に含まれる成分とを含む薄膜からなり、
保護層がタングステン(W)、白金(Pt)、パラジウ
ム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニュウム(R
u)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニ
ウム(Re)、タンタル(Ta)のうち少なくとも一つ
の成分を含む合金薄膜の場合にも、同様の効果が得られ
た。
によれば、プレス成形面に表面粗さの異なる複数の領域
が形成されているので、これを用いて成形した磁気ディ
スク用基板に表面粗さの異なる複数の領域を形成でき、
CSS特性向上と低浮上化の両方を可能にする磁気ディ
スク用ガラス基板を製造することができる。
中間層を介して保護層を形成することにより、長期間の
繰り返し使用においても金型の劣化を防止することがで
きるので、高価な金型の寿命を延ばすことができ、高密
度と高信頼性を両立するゾーンテクスチャ方式の高品質
な磁気ディスク用ガラス基板を安価にかつ大量に提供す
ることができる。
製造工程を示す断面図
製造工程を示す断面図
製造工程を示す断面図
製造工程を示す断面図
機の模式図
Claims (12)
- 【請求項1】 磁気ディスク用ガラス基板のプレス成形
用金型であって、プレス成形面に表面粗さの異なる複数
の領域が形成されていることを特徴とするプレス成形用
金型。 - 【請求項2】 前記表面粗さの異なる複数の領域が、前
記プレス成形面の外周部を含む外側領域と、この外側領
域の内側で前記プレス成形面の中心部を含む内側領域と
である請求項1に記載のプレス成形用金型。 - 【請求項3】 前記プレス成形面に、中心線平均粗さ
(Ra)が2nm未満の平滑面領域と、中心線平均粗さ
(Ra)が2〜50nmの範囲内の表面粗化領域とが形
成されている請求項1に記載のプレス成形用金型。 - 【請求項4】 金型母材のプレス成形面側表面が平滑面
で、前記金型母材表面に中間層を介して保護層が形成さ
れ、前記保護層表面に表面粗さの異なる複数の領域が形
成されている請求項1に記載のプレス成形用金型。 - 【請求項5】 前記中間層及び前記保護層がスパッタ法
により形成され、開口部を有するマスクを前記保護層の
表面に形成し、前記開口部における前記保護層をエッチ
ングにより表面粗化を行うことにより、前記保護層表面
に表面粗さの異なる複数の領域が形成され、前記エッチ
ング部にさらに別の保護層が形成されている請求項4に
記載のプレス成形用金型。 - 【請求項6】 金型母材のプレス成形面側表面が平滑面
で、前記金型母材表面に、表面粗さの異なる複数の領域
が形成された中間層を介して保護層が形成されている請
求項1に記載のプレス成形用金型。 - 【請求項7】 前記中間層がスパッタ法により形成さ
れ、開口部を有するマスクを前記中間層の表面に形成
し、前記開口部における前記中間層をエッチングにより
表面粗化を行なうことにより、前記中間層に表面粗さの
異なる複数の領域が形成され、前記エッチング部にスパ
ッタ法により保護層が形成され、前記マスクを取り除い
た後、スパッタ法により前記中間層及び保護層上にさら
に別の保護層が形成されている請求項6に記載のプレス
成形用金型。 - 【請求項8】 前記エッチング部に、保護層に代えて中
間層が形成されている請求項7に記載のプレス成形用金
型。 - 【請求項9】 金型母材のプレス成形面側表面と表面粗
さの異なる層を前記金型母材表面に形成することによ
り、前記金型母材のプレス成形面側に表面粗さの異なる
複数の領域が形成され、さらにその上に中間層を介して
保護層が形成されている請求項1に記載のプレス成形用
金型。 - 【請求項10】 前記金型母材のプレス成形面側表面が
平滑面で、前記金型母材表面に開口部を有するマスクを
形成し、前記開口部における金型母材表面のエッチング
を行い、前記エッチング部にスパッタ法により中間層が
形成され、前記中間層の表面がエッチングにより表面粗
化が行われることにより、前記金型母材のプレス成形面
側に表面粗さの異なる複数の領域が形成され、前記マス
クを取り除いた後、前記金型母材及び前記中間層の表面
にスパッタ法にて形成された別の中間層を介して保護膜
が形成されている請求項9に記載のプレス成形用金型。 - 【請求項11】 前記金型母材の主成分がガラス材で、
前記中間層が炭化珪素、窒化珪素及び酸化珪素から選ば
れた少なくとも1つの材料と、その上に形成する保護層
に含まれる成分とを含む薄膜で、前記保護層がタングス
テン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジ
ウム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(I
r)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)及びタン
タル(Ta)から選ばれた少なくとも1つの成分を含む
合金薄膜である請求項4から10のいずれかに記載のプ
レス成形用金型。 - 【請求項12】 請求項1から11のいずれかに記載の
プレス成形用金型を用いたプレス成形により製造したこ
とを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
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