JP3701106B2 - プレス成形用金型及び磁気ディスク用ガラス基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゾーンテクスチャ方式の磁気ディスクに最適な磁気ディスク用ガラス基板を生産するプレス成形用金型及びそれを用いて製造した磁気ディスク用ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの普及に伴い外部記憶装置の一つであるハードディスクの小型化、高容量化などの高性能化への要求は、非常に高まってきている。それに伴って、磁気ヘッドの低浮上化が盛んに検討され、磁気ディスクの平滑性については極めて高い精度が要求されている。
【0003】
従来より磁気ディスク用の基板材料としては、アルミニュウム合金が主として用いられてきた。しかしながら、アルミニュウム合金基板は硬度が低いため高精度な砥粒及び研磨装置を使用して精密研磨加工しても、研磨面が塑性変形するため、高精度の平滑面を得ることは難しかった。また、基板表面により硬度の高いニッケル−リンメッキ層を形成しても、なお高精度の平滑面の要求に応えることは難しかった。
【0004】
また、小型化の動きによりディスク厚の薄膜化が要求されており、強度の低いアルミニュウム合金基板では、この要求に応えることが難しかった。
最近の高感度な磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)の採用は、磁気ディスクにノイズ低減の要求をし、基板には磁性膜成膜後の熱処理によるノイズ低減に対応することが求められている。しかしながら、この面からもアルミニュウム合金は要求に応えることが難しくなってきている。
【0005】
このため、磁気ディスク用基板として、ガラス、セラミック、カーボンなど新しい材料が提案されており、中でもガラス基板は広く検討され一部では既に実用化されている。ガラス基板は強度が高く、耐熱性も良好で、表面硬度が高く、高精度な精密研磨によって高精度な平滑性の要求に十分応えることができる。
【0006】
表面平滑性の高い磁気ディスクは、磁気ヘッドの浮上量を低くすることが出来る反面、ヘッドスティックと言う問題が発生する。すなわち、ハードディスクドライブでは、コンタクト・スタート・ストップ(CSS)方式が採用されており、装置の起動・停止時には磁気ヘッドと磁気ディスクとが摺動接触している。この状態で回転始動または停止するため、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間に摩擦力が生じ、磁気ヘッド及び磁気ディスクの表面を磨耗させ、電磁変換特性の劣化の原因となっている。
【0007】
特に、磁気ディスクに水分が吸着している状態では、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間に水分が入り込み、凝着現象を引き起こすことがある。この状態で起動すると磁気ヘッド・磁気ディスク間に大きな抵抗力が生じ、磁気ヘッド、磁気ディスクの損傷、破壊を引き起こすことがあり、このヘッドスティック現象は大きな問題となっている。
【0008】
従来、磁気ヘッドの低浮上化と吸着防止を両立させる方法として、可能な範囲で表面粗さを小さくすることが試みられてきたが、この方法では低浮上化の限界に来ている。そこで、この問題を両立する別の方法として、磁気ヘッドが磁気ディスク表面から離着陸を行うCSSゾーン(例えば、ドーナツ状磁気ディスクの内周近傍の領域)の表面を磁気ヘッド・ディスク間の吸着、損傷が防止できる程度の表面粗さにし、他のデータゾーンは低浮上化を実現させるためそれよりも小さい表面粗さにする、いわゆるゾーンテクスチャ方式が提案されている。
【0009】
従来、磁気ディスク用ガラス基板の表面に平滑面を得るために、所定のサイズに切り抜かれたガラス基板を1枚毎に精密研磨する研磨法が用いられていた。
また、磁気ディスク用基板の表面に凹凸を部分的に形成する方法として、部分的に研磨加工の程度を変える方法や部分的にエッチングする方法が、特開昭63−167422号公報に提案されている。さらに、最近ではレーザを用い表面加工する方法が、特開平7−182655号公報に提案され、制御性の良好な方法として、盛んに検討され始めている。
【0010】
また、プレス成形法は光学ガラス素子製造の分野では、数多くの検討がなされ、高品質かつ高生産性の可能な製造方法として既に実用化が図られている。
プレス成形に用いる金型は、高温高圧状態でガラスを繰り返し成形しても劣化しない特殊な金型が必要であり、種々の検討がなされている。
【0011】
プレス成形用の金型母材としては、超硬合金(タングステンカーバイド)や、サーメット、ジルコニア、炭化珪素その他セラミックスが使用され、金型は母材保護と離型時のガラスの粘着を防止するため、離型性、耐酸化性、耐反応性の良い保護膜がコーティングされるものが開発されている。
【0012】
例えば、特開平2−137914号公報には、超硬合金表面に貴金属合金薄膜を設け、合金表面上に微細パターンを形成した成形用金型が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来の磁気ディスク用基板の製造方法では、以下のような問題があった。
(1)1枚毎にガラス基板を精密研磨する研磨法では、研磨工程に高い精度が要求され、かつ工程数も多いという問題があった。
(2)部分的に研磨加工の程度を変える方法や部分的にエッチングする方法では、表面性の制御を生産性良く行うには限界があった。
(3)レーザを用い表面加工する方法では、高価な装置が必要とされ、製造コストが高くなるという問題があった。
(4)プレス成形法では、金型の母材として用いられる超硬合金(タングステンカーバイド)やサーメットは加工性が悪く、磁気ディスク用基板の金型として十分な平滑性(nmオーダの平滑性)を得ることは難しいという問題があった。
【0014】
本発明のプレス成形用金型及び磁気ディスク用ガラス基板は、前記問題を解決するものであり、プレス成形用金型に表面平滑領域と表面粗化領域とを形成することにより、ゾーンテクスチャ方式に最適な磁気ディスクを安価にかつ大量に生産できるプレス成形用金型及びこのプレス成形用金型を用いて成形されたCSS特性向上と低浮上化の両方を可能とする磁気ディスク用ガラス基板とを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明のプレス成形用金型は、磁気ディスク用ガラス基板のプレス成形用金型であって、プレス成形面に中心線平均粗さ(Ra)が2nm未満の平滑面領域と、中心線平均粗さ(Ra)が2〜50nmの範囲内の表面粗化領域とが形成されていることを特徴とする。
【0016】
前記のようなプレス成形用金型によれば、これを用いて成形した磁気ディスク用基板に平滑面領域と表面粗化領域とを形成できるので、表面粗化領域を磁気ヘッドが磁気ディスク表面から離着陸を行うCSSゾーンとして、平滑面領域をデータゾーンとして用いることができ、CSS特性向上と低浮上化の両方を可能にする磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。
【0017】
前記プレス成形用金型においては、前記表面粗さの異なる複数の領域が、前記プレス成形面の外周部を含む外側領域と、この外側領域の内側で前記プレス成形面の中心部を含む内側領域とであることが好ましい。
【0018】
前記のようなプレス成形用金型によれば、これを用いて成形した磁気ディスク用基板に表面粗さの異なる2種類の領域を形成できるので、一方を磁気ヘッドが磁気ディスク表面から離着陸を行うCSSゾーンとして用い、他方をデータゾーンとして用いることができる。
【0021】
また、金型母材上に中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面で、前記保護層表面に前記表面粗化領域が形成されていることが好ましい。
【0022】
前記のようなプレス成形用金型によれば、保護層表面の表面粗さはその上に形成された別の保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層の表面粗さを制御することができる。また、中間層を介したことによって、保護層の付着強度を上げることができる。
【0023】
前記保護層表面に表面粗化領域が形成された好ましいプレス成形用金型においては、前記保護層は、第1の保護層と第2の保護層との2層で形成されており、前記中間層及び前記第1の保護層がスパッタ法により形成され、開口部を有するマスクを前記第1の保護層の表面に形成し、前記開口部における前記第1の保護層をエッチングにより表面粗化を行うことにより、前記第1の保護層表面の一部に粗面化処理がされ、前記エッチング部にさらに前記第2の保護層が形成され、前記マスク除去を取り除いていることが好ましい。
【0024】
前記のようなプレス成形用金型によれば、保護層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成された別の保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層に表面粗化面を形成することができる。
【0025】
また、前記プレス成形用金型においては、金型母材上に、一部に粗面化処理がされた中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面であることが好ましい。
【0026】
前記のようなプレス成形用金型によれば、中間層表面の表面粗さはその上に形成された保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層の表面粗さを制御することができる。
【0027】
前記一部に粗面化処理がされた中間層が形成された好ましいプレス成形用金型においては、前記保護層は、第1の保護層と第2の保護層との2層で形成されており、前記中間層がスパッタ法により形成され、開口部を有するマスクを前記中間層の表面に形成し、前記開口部における前記中間層をエッチングにより表面粗化を行なうことにより、前記中間層の一部に粗面化処理がされ、前記エッチング部にスパッタ法により前記第1の保護層が形成され、前記マスクを取り除いた後、スパッタ法により前記中間層及び前記第1の保護層上にさらに前記第2の保護層が形成されていることが好ましい。
【0028】
前記のようなプレス成形用金型によれば、中間層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成された保護層の表面粗さに反映され、この保護層の表面粗さはさらにこの上に形成された保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層に表面粗化面を形成することができる。
【0029】
また、前記エッチング部に、前記第1の保護層に代えて前記中間層とは別の第2の中間層が形成されていることが好ましい。
また、前記プレス成形用金型においては、金型母材上に中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側に形成した前記中間層の一部に粗面化処理された領域が形成されていることが好ましい。
【0030】
前記のようなプレス成形用金型によれば、金型母材のプレス成形面側の表面粗さはその上に形成された中間層及び保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層の表面粗さを制御することができる。
【0031】
前記のようなプレス成形用金型によれば、中間層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成された保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層に表面粗化面を形成することができる。
【0032】
前記金型母材の前記プレス成形面側の一部に粗面化処理された領域が形成された好ましいプレス成形用金型においては、前記中間層は、第1の中間層と第2の中間層との2層で形成されており、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面で、前記金型母材表面に開口部を有するマスクを形成し、前記開口部における金型母材表面のエッチングを行い、前記エッチング部にスパッタ法により前記第1の中間層が形成され、前記第1の中間層の表面がエッチングにより表面粗化が行われることにより、前記金型母材の前記プレス成形面側の一部に粗面化処理された領域が形成され、前記マスクを取り除いた後、前記金型母材及び前記第1の中間層の表面にスパッタ法にて形成された前記第2の中間層を介して保護膜が形成されていることが好ましい。
【0033】
前記のようなプレス成形用金型によれば、金型母材表面に形成された中間層表面の表面粗化部の表面粗さはその上に形成された中間層及び保護層の表面粗さに反映されるので、プレス成形面である最上層の保護層に表面粗化面を形成することができる。
【0034】
また、前記各プレス成形用金型においては、前記金型母材の主成分がガラス材で、前記中間層が炭化珪素、窒化珪素及び酸化珪素から選ばれた少なくとも1つの材料と、その上に形成する保護層に含まれる成分とを含む薄膜で、前記保護層がタングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)及びタンタル(Ta)から選ばれた少なくとも1つの成分を含む合金薄膜であることが好ましい。
【0035】
前記のようにプレス成形用金型の材料を選定すれば、長期間の繰り返し使用においても、金型の劣化を防止することができるので、高価な金型の寿命を延ばすことができ、高密度と高信頼性を両立するゾーンテクスチャ方式の高品質な磁気ディスク用ガラス基板を安価にかつ大量に提供することができる。
【0036】
次に、本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、前記各プレス成形用金型により製造したことを特徴とする。前記のような磁気ディスク用ガラス基板によれば、平滑面領域と表面粗化領域とが形成されているので、CSS特性向上と低浮上化の両方が可能になる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板のプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。以下、本図を用いて製造工程順に説明する。
【0038】
図1(a)に金型母材1を示している。金型母材1に用いるガラス材は、繰り返し使用による変形を防止するため、高温時の機械強度に優れ、熱膨張係数が小さいものが好ましい。例えば石英ガラスはガラス転移温度が高く、金型母材1として好適である。
【0039】
また、金型母材1として二酸化珪素を主成分とし、酸化アルミ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの成分を含有したものも必要に応じて用いてもよい。この場合、金型母材1の転移温度は、プレス成形されるガラス素材の成形温度よりも高くする必要がある。具体的には、金型母材1の転移温度は、成形温度よりも50℃以上高いことが好ましい。
【0040】
プレス成形面側表面2の平滑性は、磁気ディスク用としては、中心線平均粗さ(Ra)が2nm未満であることが好ましい。このような平滑面は一般的な炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンド粒子による研磨の後、酸化セリウムの微粒子を用いた精密研磨法によって得ることができる。
【0041】
以上のような金型母材1に、まず図1(b)に示したように、平滑なプレス成形面側表面2上に中間層3を形成する。中間層3は炭化珪素、窒化珪素、及び酸化珪素から選ばれる少なくとも1つの材料とその上に形成する貴金属系合金薄膜に含まれる成分とを含む薄膜である。
【0042】
中間層3を形成することにより、その上に形成する貴金属系合金薄膜からなる保護層の付着強度を高めることができる。このため、高温高圧下でプレス成形を繰り返し行っても、保護層の膜剥がれを防止できる。また、エッチングとの組合せで表面性を制御することができる。
【0043】
中間層3は対応する材料からなるターゲットをスパッタリングし、形成することができる。スパッタリング法としては、直流スパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、またはイオンビームスパッタ法が用いられる。成膜条件は、ガス圧が1×10-2〜1×10-4Torrの範囲内、パワー密度が1〜10W/cm2の範囲内が好ましい。
【0044】
また、膜厚は0.1〜5μmの範囲内が好ましい。0.1μmより小さい膜厚では、付着強度向上の効果が十分でなく、5μmより大きい膜厚では、表面が荒れやすくなり、金型表面の平滑性が損なわれる。また、中間層を形成する前に、金型母材表面をアルゴンなどの不活性ガスでスパッタし、表面を清浄にすれば、付着強度を向上できる。
【0045】
次に、図1(c)を用いて表面粗化領域の形成について説明する。表面粗化領域の表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)が、2〜50nmの範囲内が好ましい。この範囲内であれば、磁気ヘッドと磁気ディスクとの摩擦低減作用が顕著になる。2nmより小さいと、磁気ヘッドの吸着が発生し易い。また、50nmを越えると磁気ヘッドの浮上量が安定せず、信号のノイズが増大してしまう。
【0046】
表面粗化領域に対応した開口部4を有するマスク5を、中間層3の表面に配置し、アルゴンなどの不活性ガスでスパッタすることによって、中間層表面のドライエッチングを行い、所定の領域の中間層3の薄膜を取り除くと共に、その表面を粗化することができる。ドライエッチングは、次に行う保護層6aの形成と連続して行い、効率を上げると共に保護層6aの付着強度を上げることが出来る。
【0047】
次に、図1(d)に示したように保護層6aを形成する。保護層6aは、中間層3と同様にスパッタ法で形成することが出来る。保護層6aの表面には、下地の中間層3a表面により荒れた面が得られる。また、保護層6aと中間層3の表面は同一面にすることが好ましい。表面段差が大きい場合には、この段差部分で磁気ヘッドの浮上が不安定になるので、出力変動が起こり段差周辺に記憶できない領域が発生し、記憶容量が減少するからである。
【0048】
次に、マスク5を取り除き、図1(e)に示したように、保護層6a及び中間層3の表面に保護層6bを形成する。保護層6a、6bは貴金属系合金薄膜からなり、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも一つの元素を含有しており、高温高圧下でのプレス成形を繰り返してもプレス面へのガラス付着を防止でき、プレス面の面荒れによる表面性の低下を防止できる。
【0049】
保護層6a、6bの形成に用いるスパッタリング法及び成膜条件は、前記の中間層の場合と同じである。膜厚も中間層と同様に0.1〜5μmの範囲内が好ましい。これ以下の膜厚では、保護膜として十分な膜強度が得られなくなり、これ以上の膜厚では、中間層と同様に表面が荒れやすくなり、金型表面の平滑性が損なわれる。
【0050】
保護層の表面は下地の表面粗さを反映し、保護層6b領域では、中間層3の領域よりも荒れた表面性になり、表面粗化領域が得られる。また、平滑性の良好な中間層3の領域では、表面平滑領域が得られる。このため、ゾーンテクスチャーに対応した磁気ディスク用プレス成形金型が得られる。
【0051】
なお、保護層6bを形成する前に、中間層3形成の場合と同様にアルゴンガスなどの高周波プラズマによって中間層3表面をドライエッチングすることにより保護層6bの付着強度を高めることができるが、ドライエッチングで中間層3表面を荒らさないように条件の最適化が必要である。
【0052】
(実施の形態2)
図2は、実施形態2に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。図2(d)に示したように、開口部4のエッチング部に保護層6aに代えて中間層3aを形成する点が、実施形態1と異なる。
【0053】
(実施の形態3)
図3は、実施形態3に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。以下、本図を用いて実施形態1と異なる点について説明する。図3(b)、(c)に示したように金型母材1に中間層3を形成した後、保護層6を形成する。図3(d)に示したように、表面粗化領域に対応した開口部4を有するマスク5を保護層6上に配置する。アルゴンなどの不活性ガスでスパッタすることによって、保護層6のドライエッチングを行い、所定の領域の保護層6の薄膜を取り除くと共に、その表面を粗化することが出来る。
次に、図3(e)に示したように保護層6aを形成する。保護層6aの表面には、下地の保護層6a表面によって荒れた面が得られる。
【0054】
(実施の形態4)
図4は、実施形態4に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図である。以下、本図を用いて実施形態1と異なる点について説明する。図4(b)に示したように、表面粗化領域に対応した開口部4を有するマスク5を金型母材1上に配置し、金型母材1表面を所定の深さにエッチングする。エッチング条件は、実施形態1の中間層の場合と同様である。
【0055】
次に、図4(c)に示したように、エッチング部分に中間層3aを形成し、その表面をドライエッチングし、表面粗化領域を形成する。さらに、マスク5を取り除いた後、図4(d)に示したように中間層3bを形成する。中間層3bの表面には、下地の中間層3aよって荒れた面が得られる。次に、図4(e)に示したように、中間層3bの表面に保護層6を形成する。保護層6の表面には、下地の中間層3b表面によって荒れた面が得られる。
【0056】
(実施の形態5)
次に、前記実施形態に係る金型を用いたプレス成形による磁気ディスク用のガラス基板の製造について説明する。
【0057】
図5は、本発明に係る金型を用いたプレス成形機の構成図である。ガラス素材7はプレス成形用金型の下型9上におかれ、胴型8を介して、上型10がセットされている。胴型8はディスクの外径及び厚みを規制すると共に上下型のガイドとして働き、位置規制を行う。金型は下型用ヒータ部11、上型用ヒータ部12及び側面用ヒータ部13によって加熱され、ピストンシリンダー14によって加圧される。金型はこれらヒータによって、ガラス素材7の軟化点付近まで均一に加熱され、プレス成形を行う。
【0058】
また、プレス成形機全体はチャンバー15の中に設置されている。窒素ガス導入口16から窒素ガスが導入されるので、低い酸素濃度雰囲気でプレス成形することができ、成形時の高温による金型の酸化による耐久性の低下を防止することができる。
【0059】
成形後、ガラス素材のガラス転移点までゆっくりと第1段階の冷却を行い、その後圧力を減少させ、第2段階の冷却を行う。第1段階の冷却では、金型温度の不均一による成形ガラス基板の内部歪みの発生を防止することが必要である。歪みの発生は成形ガラス基板の平坦性に影響し、ソリが発生したり、著しい場合には、クラックが発生することがあるからである。
【0060】
【実施例】
以下、本発明に係るゾーンテクスチャ用の磁気ディスク用ガラス基板のプレス成形用金型及び磁気ディスク用ガラス基板について、実施例を用いて更に具体的に説明する。
【0061】
(実施例1)
実施例1のプレス成形用金型は、図1に示た製造工程に従って製作し、中間層表面に表面粗化部を形成したものである。プレス成形用金型母材1として、直径48mm、厚み30mmの円柱状の石英ガラスを2つ(上型用と下型用)準備し、プレス成形面2を粒径0.1μmの微細なダイヤモンド砥粒を用いて鏡面研磨した後、酸化セリウムを用い中心線平均粗さ(Ra)0.5nmに研磨した(以下の実施例2〜4も同じ。)。
【0062】
次に、真空度3×10-4Torr、電力100Wの条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマでクリーニングした後、真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法により炭化珪素(SiC)上にイリジウム(Ir)配置したターゲットを用い、膜厚1.0μmの中間層3を形成した(図1(b))。
【0063】
次に、中心部に直径18mmの円形の開口部4を有するマスク5を中間層3に設置し、真空度3×10-4Torr、電力500Wの条件で中間層表面をアルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、中心部の表面を荒らした中間層3を形成した(図1(c))。
【0064】
その後、イリジウム(Ir)−ロジウム(Rh)をターゲットとし、マグネトロン高周波スパッタ法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でIr50atom%−Rh50atom%組成の薄膜から成る保護層6aを形成した(図1(d))。
【0065】
マスク5を取り除いた後、中間層3及び保護層6aの表面に保護層6aと同条件で膜厚1.0μmの保護層6bを形成し、平滑面領域及び表面粗化領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料1)を製作した(図1(e))。
【0066】
また、比較例としてプレス成形面を粒径0.1μmの微細なダイヤモンド砥粒を用いて鏡面研磨した超硬合金を用い、本実施例と同様に、プレス面全体にマグネトロン高周波スパッタ法によりIr50atom%−Rh50atom%組成の薄膜から成る膜厚1.0μmの保護層を形成したプレス成形用金型(試料5)を製作した。
【0067】
次に試料1及び試料5の金型を図5に示したプレス成形機に下型9、上型10としてセットし、ガラス素材7として直径35mmのソーダライムガラスを用いてプレス成形して、磁気ディスク用ガラス基板を作成した。
【0068】
プレス成形は酸素濃度0.1%以下の窒素雰囲気中で、温度730℃、プレス圧200kg/cm2で行い、プレスした状態で2分間保持した後、そのままの状態で420℃まで10℃/分の条件で冷却した。その後、常温まで急冷した後、プレス成形したガラス基板を取り出し、機械加工により内径加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板とした。プレス成形の各条件は、以下の実施例2〜4でも同じである。
【0069】
(実施例2)
実施例2のプレス成形金型は、図2に示す製造工程に従って製作し、中間層表面に表面粗化部を形成したものである。
【0070】
真空度3×10-4Torr、電力100Wの条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマでクリーニングした後、真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法により酸化珪素(SiO2)上に白金(Pt)配置したターゲットを用い、膜厚0.8μmの中間層3を金型母材1上に形成した(図2(b))。
【0071】
次に、中心部に直径18mmの円形の開口部4を有するマスク5を、中間層3上に設置し、真空度3×10-4Torr、電力500Wの条件で中間層3表面をアルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、中間層3の中心部の表面を荒らした(図2(c))。この後、中間層3と同条件でスパッタし、中間層3aを形成した(図2(d))。
【0072】
マスク5を取り除き、中間層3及び3aの表面を真空度3×10-4Torr、電力100Wの条件でアルゴンガスの高周波プラズマでクリーニングした。次に、白金(Pt)−タングステン(W)をターゲットとし、マグネトロン高周波スパッタ法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件で、Pt50atom%−W50atom%組成の膜厚1.3μmの保護層4を形成し(図2(e))、平滑面領域及び表面粗化領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料2)を製作した。
【0073】
次に、実施例1と同条件で、試料2の金型を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作した。
(実施例3)
実施例3のプレス成形用金型は、図3に示した製造工程に従って製作し、保護層に表面粗化部を形成したものである。
【0074】
真空度3×10-4Torr、電力100Wの条件で研磨面をアルゴンガスの高周波プラズマで金型母材1をクリーニングした後、真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法により窒化珪素(Si3N4)上にオスミウム(Os)配置したターゲットを用い、膜厚0.5μmの中間層3を金型母材1上に形成した(図3(b))。
【0075】
次に、オスミウム(Os)−パラジウム(Pd)をターゲットとしマグネトロン高周波スパッタ法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でPt50atom%−W50atom%組成の薄膜から成る膜厚2.0μmの保護層6を中間層3上に形成した(図3(c))。
【0076】
次に、中心部に直径18mmの円形の開口部4を有するマスク5を保護層6上に設置し、真空度3×10-4Torr、電力500Wの条件で保護層表面をアルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、保護層6の中心部の表面を荒らした(図3(d))。保護層6を形成した後、保護層6と同条件で膜厚1.3μmの保護層6aを形成し(図3(e))、平滑面領域及び表面粗化領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料3)を製作した。
【0077】
次に、実施例1と同条件で、試料3の金型を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作した。
(実施例4)
実施例4のプレス成形用金型は、図4に示す製造工程に従って製作し、金型母材表面に表面粗化部を形成したものである。
【0078】
中心部に直径18mmの円形の開口部4を有するマスク5を、金型母材1上に設置し、真空度3×10-4Torr、電力300Wの条件で研磨面をCF4と酸素の混合ガスの高周波プラズマでエッチングした(図4(b))。真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でマグネトロン高周波スパッタ法により炭化珪素(SiC)上にタンタル(Ta)を配置したターゲットを用い、中間層3aを形成し、真空度3×10-4Torr、電力500Wの条件で中間層3a表面をアルゴンガスの高周波プラズマでエッチングし、中間層3a表面を荒らした(図4(c))。
【0079】
次に、中間層3aと同条件で膜厚1.2μmの中間層3bを形成した。その後、タンタル(Ta)−パラジウム(Pd)をターゲットとしマグネトロン高周波スパッタ法により真空度5×10-4Torr、電力600Wの条件でTa50atom%−Pd50atom%組成の薄膜から成る膜厚1.1μmの保護層6を形成し(図4(e))、平滑面領域及び表面粗化領域を持つ一対のプレス成形用金型(試料4)を製作した。
【0080】
比較例として中間層を形成せず、本実施例と同様にしてマグネトロン高周波スパッタ法によりTa50atom%−Pd50atom%組成の薄膜から成る膜厚1.0μmの保護層を金型母材上に形成し、平滑面領域及び表面粗化領域を持つ金型(試料6)を製作した。
【0081】
次に、実施例1と同条件で、試料4及び6の金型を用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製作した。
実施例1〜4のプレス成形金型を用いたプレス成形は、各実施例について3000回行った。初期及び3000回プレス後の金型及び成形した磁気ディスク用ガラス基板の平滑面領域及び表面粗化領域の表面をAFM(原子間力顕微鏡)を用いて50μm角で5ヶ所測定し、その表面粗さ(SRa)の平均を算出し評価した。また、光干渉方式の3次元表面粗さ計を用いて、高さ50nm以上の粗大突起(金型の場合は凹み)の数を測定した。以下の表1に、この結果を示す。
【0082】
【表1】
表1から分かるように、本実施例(試料1〜4)のプレス成形用金型で製作した磁気ディスク用基板は、3000回目のプレス成形品でも初期の成形品と比較して表面粗さの変化は小さく、粗大突起の形成も見られなかった。
【0083】
これに対して超硬合金を用いた比較例(試料5)では、初期から表面粗さが大きく、50nm以上の突起が見られた。また、光学顕微鏡で倍率800倍で金型表面を観察したところ、ミクロな欠陥が発生している部分が見られた。
【0084】
また、中間層のない比較例(試料6)では、初期には問題がないものの、数回のプレス成形で保護膜のハガレが発生し、使用不可能となった。
なお、前記実施例1〜4において、中間層及び保護層の材料は各実施例に示したものに限らず、中間層が炭化珪素、窒化珪素、酸化珪素の内少なくとも1つの材料と、その上に形成する保護層に含まれる成分とを含む薄膜からなり、保護層がタングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タンタル(Ta)のうち少なくとも一つの成分を含む合金薄膜の場合にも、同様の効果が得られた。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明のプレス成形用金型によれば、プレス成形面に表面粗さの異なる複数の領域が形成されているので、これを用いて成形した磁気ディスク用基板に表面粗さの異なる複数の領域を形成でき、CSS特性向上と低浮上化の両方を可能にする磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。
【0086】
また、金型母材の主成分をガラス材とし、中間層を介して保護層を形成することにより、長期間の繰り返し使用においても金型の劣化を防止することができるので、高価な金型の寿命を延ばすことができ、高密度と高信頼性を両立するゾーンテクスチャ方式の高品質な磁気ディスク用ガラス基板を安価にかつ大量に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図
【図2】本発明の実施形態2に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図
【図3】本発明の実施形態3に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図
【図4】本発明の実施形態4に係るプレス成形用金型の製造工程を示す断面図
【図5】本発明のプレス成形用金型を用いたプレス成形機の模式図
【符号の説明】
1 金型母材
2 プレス成形面側表面
3,3a,3b 中間膜
4 開口部
5 マスク
6,6a 保護層
7 ガラス素材
8 胴型
9 下型
10 上型
11 下型用ヒータ部
12 上型用ヒータ部
13 側面用ヒータ部
14 ピストンシリンダー
15 チャンバー
15 窒素ガス導入口
Claims (10)
- 磁気ディスク用ガラス基板のプレス成形用金型であって、プレス成形面に中心線平均粗さ(Ra)が2nm未満の平滑面領域と、中心線平均粗さ(Ra)が2〜50nmの範囲内の表面粗化領域とが形成されていることを特徴とするプレス成形用金型。
- 金型母材上に中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面で、前記保護層表面に前記表面粗化領域が形成されている請求項1に記載のプレス成形用金型。
- 前記保護層は、第1の保護層と第2の保護層との2層で形成されており、前記中間層及び前記第1の保護層がスパッタ法により形成され、開口部を有するマスクを前記第1の保護層の表面に形成し、前記開口部における前記第1の保護層をエッチングにより表面粗化を行うことにより、前記第1の保護層表面の一部に粗面化処理がされ、前記エッチング部にさらに前記第2の保護層が形成され、前記マスク除去を取り除いている請求項2に記載のプレス成形用金型。
- 金型母材上に、一部に粗面化処理がされた中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面である請求項1に記載のプレス成形用金型。
- 前記保護層は、第1の保護層と第2の保護層との2層で形成されており、前記中間層がスパッタ法により形成され、開口部を有するマスクを前記中間層の表面に形成し、前記開口部における前記中間層をエッチングにより表面粗化を行なうことにより、前記中間層の一部に粗面化処理がされ、前記エッチング部にスパッタ法により前記第1の保護層が形成され、前記マスクを取り除いた後、スパッタ法により前記中間層及び前記第1の保護層上にさらに前記第2の保護層が形成されている請求項4に記載のプレス成形用金型。
- 前記エッチング部に、前記第1の保護層に代えて前記中間層とは別の第2の中間層が形成されている請求項5に記載のプレス成形用金型。
- 金型母材上に中間層を介して保護層が形成され、前記保護層表面が前記プレス成形面であり、前記金型母材の前記プレス成形面側に形成した前記中間層の一部に粗面化処理された領域が形成されている請求項1に記載のプレス成形用金型。
- 前記中間層は、第1の中間層と第2の中間層との2層で形成されており、前記金型母材の前記プレス成形面側表面が平滑面で、前記金型母材表面に開口部を有するマスクを形成し、前記開口部における金型母材表面のエッチングを行い、前記エッチング部にスパッタ法により前記第1の中間層が形成され、前記第1の中間層の表面がエッチングにより表面粗化が行われることにより、前記金型母材の前記プレス成形面側の一部に粗面化処理された領域が形成され、前記マスクを取り除いた後、前記金型母材及び前記第1の中間層の表面にスパッタ法にて形成された前記第2の中間層を介して保護膜が形成されている請求項7に記載のプレス成形用金型。
- 前記金型母材の主成分がガラス材で、前記中間層が炭化珪素、窒化珪素及び酸化珪素から選ばれた少なくとも1つの材料と、その上に形成する保護層に含まれる成分とを含む薄膜で、前記保護層がタングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニュウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)及びタンタル(Ta)から選ばれた少なくとも1つの成分を含む合金薄膜である請求項2から8のいずれかに記載のプレス成形用金型。
- 請求項1から9のいずれかに記載のプレス成形用金型を用いたプレス成形により製造したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
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