【発明の詳細な説明】
4−アリール−ピペリジン誘導体を製造する方法
本発明は、4−アリール−ピペリジン誘導体を製造する新規な方法に関する。
米国特許第4,007,196には、抗うつ活性を有すると説明されている幾
つかの化合物が開示されている。
その発明の化合物は、下記一般式Aの3−位が置換された4−アリール−ピペ
リジンに関する。
但し、R1は水素、1〜4の炭素原子を有するアルキルであり、Fは可能
な位置の何れかに存在しうる。
米国特許第4,585,777及び米国特許第4,593,036には、下記
式Bの化合物が開示されている。
式A及びBの化合物は、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)の取り込み
の阻害剤であって、5−HTで誘導される神経伝達物質の効果の増加を誘導する
ものとして開示されている[D.R.Thomas,D.R.Nelson,and A.M.Johnson
,Neuropsychophatmacol.93:193-200(1987)]。幾つかの不調が5−HTのレベ
ルのアンバランスによって引き起こされると考えられているので、これら化合物
は中枢及び抹消性疾患の治療のための薬剤として使用されうる。
米国特許第4,007,196に開示された化合物の1つは、特にうつ病の治
療に格別な有用性があることが見出されている。この化合物は、パロキセチン(
paroxetine)として知られており、下式Cの構造を有する。
純粋なエナンチオマー、(3S、4R)−4−(4−フルオロフェニル)−3
−3,4−メチレンジオキシフェノキシメチル)ピペリジンであるパロキセチン
は、セロトニンの再取り込みの強力な阻害剤であり、ヒトの効果的な抗うつ剤で
あることが見出されている[S.M.Holliday and G.L.Plosker,Drugs and
Aging 3:278-299(1993)]。薬理学的活性はこの異性体に存在し、対応する立体
異性体では、in vitroでの5−HTの取り込みに関する強さはかなり低くなる[P
.Plenge,
(1987)]。
パロキセチン類似体の幾つかの合成法が開示されている。合成の中枢成分は、
3−ヒドロキシ−メチル−1−メチル−4−フェニルピペリジン(D1)であり
、これは、米国特許第4,007,196、米国特許第4,585,777、米
国特許第4,593,036、及びJ.A.Christensen,M.Engelstoft,K
.
れているように、数段階で所望の化合物に変換されうる。
中間体D1の合成は、幾つかの刊行物に開示されている。1つの方法(スキー
ムE)として、アレコリン(arecoline)を、グリニヤール反応により、メチル
4−フェニル−ニペコチン酸(E2)の異なった4種類の異性体の混合物に変
換さ
し、これを還元により(E3)に変換しうる[米国特許第4,007,196]
。
グリニヤール反応はエーテル溶媒の使用を含み、出発物質として毒性のあるア
レコリンの使用により更に複雑化される。
もう一つの方法(米国特許第4,902,801及びWO94/21609)
では、中間体D1を、ベンズアルデヒド及びメチル N−メチルアミドマロン酸
エステルから調製されるイミド(F2)の還元によって製造する。還元には、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンのようなエーテル溶
媒を使用し、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウム又はジボランの
使用が含まれる。
スキームF
もう一つの方法(米国特許第2,748,140、米国特許第4,007,1
96:米国特許第4,593,036:米国特許第4,585,777)では、
中間体D1はメチルアミン、ホルムアルデヒド及びα−メチルスチレン(G1)
を反応することによって製造される。この合成の中間体は、オキサジン誘導体(
G2)及び強力な神経毒性化合物、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6
−テトラヒドロピリジン(MPTP)[米国特許第2,748,140、C.J.
Schmidle and R.C.Mansfield,J.Am.Chem.Soc.,77,5698-5700(1955);C.
J.Schmidle and R.C.Mansfield,J.Am.Chem.Soc.,78,425-428(1956);C
.J.Schmidle and
R.C.Mansfield,J.Am.Chem.Soc.,78,1702-1705(1956);P.Sohar,J.Laz
ar,and G.Bernath,Chem.Ber.,118,551-559(1985)]である。
MPTPは、霊長類およびヒトにおいて、パーキンソン症の解剖学的変化及び
行動の変化に類似したこのような変化を起こすことが見出されている[M.Gerl
ach,P.Riederer,H.Przuntek,and M.B.H.Youdin,EUR.J.Pharmacol.
Mol.Pharm,208,273-286(1991);S.P.Markey and N.R.Schnuff,Medicina
l Res.Rev.6,386(1986)]。1−メチル基がMPTPに毒性をもたらし、より
長いアルキル基にメチル基を置換することで毒性を消失できるであろうことが知
られている[S.K.Youngster,P.K.Sonsalla,and R.E.Heikkila,J.Neur
ochem.48,929-934(1987)]。
スキームG
パロキセチンは可能な4種類の異性体の1つであるので、この異性体の単離の
ための実際的及び経済的に最適な手順を使用することが非常に重要である。この
手順には、反応の正確な条件を使用することと組み合わせて、適切なD1の異性
体を使用すること、並びに光学的に活性な酸、例えばマンデル酸、酒石酸、及び
ジベンゾイル酒石酸を使用して再結晶化によって分離することが含まれるであろ
う。これらの変換は、3−ヒドロキシメチル−1−メチル−4−フェニルピペリ
ジン及び対応する4−フルオロフェニル類似体を使用して説明されている。
本発明において、水媒体で行われる手順で容易に利用しうる物質を反応し、式
VIIIの化合物(但し、R1はC2-5−アルキル、フェニル−C1-5−アルキル、又
は置換されたフェニル−C1-5−アルキル、好ましくはエチルでありうる。)を
得る この方法を使用すれば、中間体である1−アルキル−1,2,3,6−テ
トラヒドロ−4−フェニルピペリジンは、S.K.Youngster,P.K.Sonsalla,an
d R.E.Heikkila,J.Neurochem.48,929-934(1987)に開示されているようにM
PTPに比較して非毒性となるであろう。更に、本発明において、ラセミのテト
ラヒドロヒリジン(III)誘導体を純粋なエナンチオマーに分離し、これらを引
き続き触媒的に又はLiAlH4で還元し、エナンチオマーとして純粋な(+)
−シス(VII)及び(−)−トランス 1−アルキル−4−フェニル−3−ヒド
ロキシメチルピペリジン(VI)誘導体を得、これら両化合物を純粋な(−)−ト
ランス−1−アルキル−4−フェニル−3−(3,4−メチレンジオキシフェノ
キシメチル)−ピペリジン誘導体(VIII)に変換することにより、可能な両エナ
ンチオマーを用いて、式IXの化合物の経済的な合成ルートが得られる。
VII 又は VI の何れかの純粋な VIII への変換は、J.A.Christensen,M.
(1983)に開示されている。
従って、本発明は、式VIIIの化合物の製造方法であって、
但し、R1はC2-5−アルキル、フェニル−C1-5−アルキル、又は置換さ
れたフェニル−C1-5−アルキルである。
a)式(I)の一級アミンを、
R1−NH2 (I)
但し、R1はC2-5−アルキル、フェニル−C1-5−アルキル、又は置換さ
れたフェニル−C1-5−アルキルである。
式(II)の化合物と反応し、
但し、Xはハロゲン、好ましくはFである。
式IIIの化合物を形成すること、
但し、X及びR1は先に定義したとおりである。
b)式III及び適切な光学的に活性な酸、好ましくは(−)−O,O−ジト
ルオイル酒石酸の混合物の塩を結晶化し、塩基性成分の精製により式IVの光学活
性化合物(これは、偏光面を時計回りに回転しうる。)を形成し、
光学活性化合物を含有する母液を適切な光学活性な酸、好ましくは(+)−O,
O−ジトルオイル酒石酸の存在下での結晶化、及び塩基性成分の精製により式V
の化合物(これは、偏光面を反時計回りに回転しうる。)を形成すること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
c)式IVの化合物(但し、R1及びXは先に定義したとおりである。)を金
属ハイドライド、好ましくはLiAlH4又はNaAlH4で処理し、式VIの化合
物を形成すること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
d)式Vの化合物(但し、R1及びXは先に定義したとおりである。)を適
切な金属触媒、好ましくはパラジウム−炭(palladium on carbon)の存在下、
水素で処理し、式VIIの化合物を得ること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
e)式VIの化合物を、
ベンゼンスルホニルクロライド、又は水酸基と反応してこれを脱離基に変換する
他の適切な試薬で処理し、これを、引き続いて、3,4−メチリレンジオキシフ
ェノールと塩基、好ましくはナトリウムメタノレートの処理によって調製される
3,4−メチレンジオキシフェノレートと処理することによって除去し、式VIII
の化合物を得ること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
f)式VIIの化合物を、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
ベンゼンスルホニルクロライド、又は水酸基と反応しこれを脱離基に変換する他
の適切な試薬で処理し、これを、引き続いて、3,4−メチリレンジオキシフェ
ノールと塩基、好ましくはナトリウムメタノレートの処理によって調製される3
,4−メチレンジオキシフェノレートと処理することによって除去し、式VIIIの
化合物を得ること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
g)式VIIIの化合物を、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
クロロ蟻酸クロロエチル、又は他の同様な試薬で処理し、次いで中間体のカルバ
メートをメタノールで分解し、式IXの化合物を形成すること、
但し、R1及びXは先に定義したとおりである。
による方法を提供する。
本発明は以下の例によって例示される。
例1
(+,−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニ
ル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン 塩酸塩
エチルアミン塩酸塩(132.2g)をホルムアルデヒド(500ml、37%
)に溶解し、この混合物を70℃に加熱した。1−メチル-4’−フルオロスチ
レン(200ml)を、温度を約70℃に維持しながら1時間かけて加えた。スチ
レンを添加した後、この混合物を96℃で4時間還流した。反応混合物を80℃
まで冷却し、トルエン(100ml)で抽出した、水層を、残留物の温度が100
℃に達するまで大気圧下で蒸発させ、次いで塩酸(135ml)を加え、反応混合
物を20時間還流したートルエン(120ml)を加え、アンモニア水溶液(25
%)をpH=5.5になるまで加えた。各層を分離し、水層を更にトルエン(2
40ml)で抽出し、アンモニア水溶液でpH=9.3にした。各層を分離し、ト
ルエ
ン層を塩酸(0.5M、100mlで16回)で抽出した。HPLC(カラム:R
P18:溶出液.メタノール、水:90,10(トリエチルアミン、リン酸pH
=7まで);流量:0.9ml/分;検出器:UV220nm;RT.3.22分
)での分析で、フラクション3から15を集め、フィルター補助器で処理し、水
酸化ナトリウムでpH=9.0にし、トルエンで2回(200ml及び100ml)
抽出した。トルエン層を集め、オイル(164g)になるまで蒸発させた。この
オイルを2−プロパノール(300ml)に溶解し、濃塩酸で表題化合物の塩酸塩
を沈殿させた。,
収量:86.4g(24.8%)、M.p.192℃。生成物を1H−NMR
及び元素分析で同定した。
例2
(−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)
−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
(+,−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニ
ル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン 塩酸塩(84.6g)を水(1
00ml)及びトルエン(250ml)の混合物に溶解し、水層を水酸化ナトリウム
でpH=10にした トルエン層を分離した、水層を別のトルエン(50ml)で
抽出した、トルエン層を合わせ、炭酸カリウムで乾燥し、オイル(76.5g)
になるまで蒸発させた。このオイル(72g)を、(−)−O,O’−ジトルオ
イル酒石酸(59g)を含むアセトン(900ml)に50〜60℃で溶解した。
蟻酸(7.1g)をこの混合物に加えた。混合物を室温まで冷却し、沈殿を濾別
した。
47.3gの(−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオ
ロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン ヘミ−(−)−O,O
’−ジトルオイル酒石酸塩、M.p 149〜151℃を得た。
遊離の塩基を、O,O’−ジトルオイル酒石酸塩をトルエン(100ml)及び
水(100ml)の混合物に溶解し、水酸化ナトリウムでpH=11にすることに
よって遊離した。水層を別のトルエン(50ml)で抽出した。トルエン抽出物を
合わせ、炭酸カリウムで乾燥し、蒸発させた。収量:24.9g。M.p.70
〜75℃。[α]20 D=−127.2°(c=メタノール中1%)。 同定を1H
−NMR及び元素分析で行った。エナンチオマーの純度が、99%よりも良いこ
とをキラルHPLC(Chiral HPLC)で確認した。キラルHPLC:(カラム
:CyclobandI2000-SN(Astec);溶出液:アセトニトリル、メタノール、酢
酸、トリエチルアミン;100、5、0.3、0.2;流量:0.8ml/分、検
出器:UV240 nm、RT((+)−異性体)=11.5分、RT((−)−
異性体)=10.1分)。
例3
(+)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)
−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
(−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)
−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン ヘミー(−)−O,O’−ジトルオ
イル酒石酸塩の沈殿で得た母液を蒸発させ、トルエン(200ml)及び水(10
0ml)の混合物に溶解し、水酸化ナトリウムをpH=10まで加えた 水層を分
離し、別のトルエン(100ml)で抽出した。トルエン層を合わせ、炭酸カリウ
ムで乾燥して、オイル(47g)になるまで蒸発させた。このオイルを、(+)
−O,O’−ジトルオイル酒石酸(59g)を含むアセトン(900ml)に溶解
した。。蟻酸(2.2g)を加え、混合物を次の日まで攪拌した。
沈殿を濾別し、アセトンで洗浄し、乾燥した。52.8gの(+)−1−エチ
ル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1,2,3,6−
テトラヒドロピリジン ヘミー(+)−O,O’−ジトルオイル酒石酸塩、M.
p.146〜147℃を得た。
遊離の塩基を、(+)−O,O’−ジトルオイル酒石酸塩をトルエン(100
ml)及び水(100ml)の混合物に溶解し、水酸化ナトリウムでpH=11にす
ることによって遊離した。水層を別のトルエン(50ml)で抽出し、水(50ml
)で洗浄し、蒸発させた。
収量:32.4g。M.p.55〜70℃。[α]20 D=104.1°(c=
メタノール中1%)。
同定を1H−NMR及び元素分析で行った。エナンチオマーの純度は、キラル
HPLCで97.5%であると決定された。キラルHPLC:(カラム:Cycloba
ndI2000-SN(Astec);溶出液:アセトニトリル、メタノール、酢酸、トリエ
チルアミン:100、5、0.3、0.2:流量:0.8ml/分、検出器:UV
240nm、RT((+)−異性体)=11.5分、RT((−)−異性体)=1
0.1分)。
例4
(+)−シス−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェ
ニル)−ピペリジン 塩酸塩
(−)−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェニル)
−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(24.9g)をエタノール(100
ml)、酢酸(12.7ml)及び水(50ml)の混合物に溶解した。パラジウム−
炭(2g、10%Pd、50%湿性)を加え、混合物を大気圧下、室温で28時
間水素化した トルエン(200ml)を加え、水酸化ナトリウムをpH=12ま
で加えた トルエン層を分離し、水層を別のトルエン(50ml)で抽出したトル
エン層を合わせ、炭酸カリウムで乾燥し、蒸発させた オイルをアセトン(70
ml)に溶解し、濃塩酸(10ml)で表題化合物の塩酸塩(18.4g)を沈殿さ
せた。母液を蒸発させ、エタノールから結晶化させて、別の結晶(3.1g)を
得た。
収量:21.5g。M.p.215〜217℃。[α]D 20=82.1°c=
1%、無水エタノール)。生成物はの同一性は、1H−NMR及び元素分析で確
認した。
生成物のエナンチオマーの純度が、99%よりも良いことをキラルHPLCで
確認した。
キラルHPLC:カラム:キラデックス β−サイクロデキストリン(Chiradex
β-Cyclodextrin)(メルク):溶出液:メタノール、バッファー:15、85
(10mM(リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウム、pH=6))
;流
量:1.0ml/分。検出器:UV215又は270nm、RT((−)−トランス
異性体)=9.1分、RT((+)−トランス異性体)=11.5分、RT((
−)−シス異性体)=13.5分、RT((+)−シス異性体)=15.8分。
例5
(+)−トランス−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ
フェニル)−ピペリジン
水素化アルミニウムリチウム(3g)及び水素化ナトリウム60%(3g)を
乾燥テトラヒドロフラン(80ml)に分散した。混合物を60℃で1時間加熱し
、次いで20℃に冷却した。この混合物へ、(+)−1−エチル−3−ヒドロキ
シメチル−4−(4−フルオロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリ
ジン(20g)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液を1時間かけて加えた。混
合物を50℃で1時間攪拌した。次に、この混合物を(+)−酒石酸(24g)
及び水酸化ナトリウム(20g)の水(100ml)溶液に25℃以下の温度で加
えた、この混合物をトルエンで2回(100ml及び50ml)抽出した、抽出物を
炭酸カルシウムで乾燥し、蒸発させた(21g)。僅かに粘着性の粗生成物をヘ
プタン(40ml)と少量の酢酸エチルから再結晶化した。
収量:14.8g。M.p.75〜85℃。[α]D 20=29.9°(c=1
%、無水エタノール)。同定を1H−NMR及び元素分析で行った。エナンチオ
マーの純度は、キラルHPLCで99.8%よりも良いことが示された。
キラルHPLC:カラム:キラデックス β−サイクロデキストリン(メルク):
溶出液:メタノール、バッファー:15、85(10mM(リン酸水素二ナトリ
ウム/リン酸二水素ナトリウム、pH=6));流量:1.0ml/分。検出器:
UV215又は270nm、RT((−)−トランス異性体)=9.1分、RT(
(+)−トランス異性体)=11.5分、RT((−)−シス異性体)=135
分、RT((+)−シス異性体)=15.8分。
例6
(−)−トランス−1−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(3,
4−メチレンジオキシフェノキシメチル)−ピペリジン 塩酸塩
(+)−シス−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロフェ
ニル)−ピペリジン 塩酸塩(21g)をトルエン(50ml)、水(50ml)及
び水酸化ナトリウム(7ml、32.5%)の混合物に溶解した。水層を分離し、
別のトルエン(30ml)で抽出した。トルエン抽出物を合わせ、炭酸カリウムで
乾燥し、オイル(17.2g)になるまで蒸発させた。このオイルをトルエン(
86ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(17.2g、32.5%)を加えた。ベ
ンゼンスルホニルクロライド(16.6g)を、氷と水で外部から冷却して、2
0から30℃の間の温度に保ちながら1時間かけて加えた。添加の後、反応混合
物を周囲温度で3時間攪拌した。水(50ml)を加え、トルエン層を分離した。
3,4−メチレンジオキシフェノール(17g)のメチルイソブチルカルビノー
ル(4−メチル−2−ペンタノール)(90ml)溶液を、水酸化ナトリウム(1
7.2g、32.5%)と共にトルエン層に加えた。この混合物を4時間還流し
、周囲温度で一夜攪拌した、水(50ml)を加え、有機層を分離し、粘稠なオイ
ルになるまで蒸発した(29.5g)。このオイルをアセトン(100ml)に溶
解し、濃塩酸(10ml)で表題化合物の塩酸塩として沈殿させた。収量:16.
4g。M.p.244〜246℃。[α]D 20=−72.8°(c=1%、無水
エタノール)。
1H−NMR及び元素分析により同一性を確認した。エナンチオマーの純度が
、99.5%よりも良いことをキラルHPLCで確認した。
キラルHPLC:カラム:β−サイクロデキストリン、キラデックス(メルク);
溶出液:メタノール、バッファー:46、60(1%トリエチルアミン。酢酸で
pH4.1に調節した。):検出器:UV290nm、RT((+)−トランス異
性体)=10.2分、RT((−)−トランス異性体)=12.0分。
例7
(−)−トランス−1−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(3,
4−メチレンジオキシフェノキシメチル)−ピペリジン 塩酸塩
(+)−トランス−1−エチル−3−ヒドロキシメチル−4−(4−フルオロ
フェニル)−ピペリジン(14.4g)及びトリエチルアミン(14.4ml)を
ジクロロメタン(26ml)に溶解した。この溶液を−10から5℃の間に冷却し
、ベンゼンスルホニルクロライド(14.1g)を、添加の間上記温度に維持し
ながら2時間かけて加えた。温度を15分かけて10℃に上げ、水(40ml)を
添加し、混合物を15分間攪拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(
30ml)で抽出した。抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、オイルにな
るまで蒸発させた。
このオイルを3,4−メチレンジオキシフェノール(10g)と共にジメチル
ホルムアミド(60ml)に溶解し、この溶液を45℃に加熱した。ナトリウムメ
タノレート(2.3gのナトリウムを30mlのメタノールに溶解し、乾燥するま
で蒸発させて調製した。)のジメチルホルムアミド(30ml)溶液を、スルホエ
ステル及びフェノールの溶液に15分かけて加えた。反応混合物を45℃で2時
間攪拌した。水(200ml)を加え、混合物をトルエンで2回(100ml及び5
0ml)抽出した。抽出物を粘稠なオイルになるまで蒸発させた(25.8g)。
このオイル(20.8g)をアセトン(66ml)に溶解し、表題化合物の塩酸
塩を、濃塩酸(6.6ml)で結晶化させた。収量:19.9g。M.p.242
〜243℃。[α]=−72.2°(c=1%、無水エタノール)
1H−NMR及び元素分析により同一性を確認した。エナンチオマーの純度を
、キラルHPLCで確認した。。
キラルHPLC:カラム:β−サイクロデキストリン、キラデックス(メルク);
溶出液:メタノール、バッファー:46、60(1%トリエチルアミン。酢酸で
pH4.1に調節した。);流量:1.0ml/分;検出器:UV290nm、RT
((+)−トランス異性体)=10.2分、RT((−)−トランス異性体)=
12.0分。
例8
(−)−トランス−4−(4−フルオロフェニル)−3−(3,4−メチレン
ジオキシフェノキシメチル)−ピペリジン 塩酸塩
(−)−トランス−1−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−3−(3,
4−メチレンジオキシフェノキシメチル)−ピペリジン 塩酸塩(15.4g)
をトルエン(100ml)、水(50ml)及び水酸化ナトリウム(3.5ml、32
.5%)の混合物に溶解した、トルエン層を分離した、。水層を別のトルエン(
50ml)で抽出した。抽出物を合わせ、炭酸カリウムで乾燥した。この乾燥した
トルエン溶液を蒸発させ、オイル(11.5g)を得た。このオイル(4.75
g)を乾燥トルエン(50ml)に溶解し、−10℃に冷却した.クロロ蟻酸 1
−クロロエチル(2.85g)の乾燥トルエン(20ml)溶液を−10℃で15
分かけて加えた。この混合物を還流するまでゆっくり加熱し、1時間還流した。
反応混合物をオイルになるまで蒸発し、メタノール(50ml)に溶解し、1時間
還流した、この混合物をオイルになるまで蒸発させ、トルエン(30ml)及び水
(20ml)の混合物に溶解し、水酸化ナトリウム(32%)をpH=11まで加
えた。各層を分離し、水層を別のトルエン(30ml)で抽出した。合わせた有機
抽出物を炭酸カリウムで乾燥し、オイルになるまで蒸発させた(5.2g)。こ
のオイルをL(+)−酒石酸(2.37g)と共にエタノール(15ml)に溶解
した。表題化合物の酒石酸塩を冷却することによって結晶化し、濾別して乾燥し
た。収量:6.2g。M.p.174−176℃。
1H−NMR及び元素分析により同一性を確認した。エナンチオマーの純度が
、99.5%よりも良いことをキラルHPLCで確認した。
キラルHPLC:カラム:キラル−AGP(Chiral-AGP)(Chromtech)
;溶出液:2−プロバノール:バッファー、5:95(10mM酢酸ナトリウム
、pH5.2):流量:1.0ml/分;検出器:UV290nm、RT((+)−
異性体)=8.7分及びRT((−)−異性体)=12.5分。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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(72)発明者 ベンツェン、ビョルン
デンマーク国、デーコー−2850 ネルム、
スキテップイェルク 38シー
(72)発明者 レーマン、ソーレン
デンマーク国、デーコー−2000 フレデリ
クスベルク、4ティーブイ、エイチ・シュ
ニークロスベイ 9