JPH1150330A - 塩化ビニル系繊維およびその製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系繊維およびその製造方法Info
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- JPH1150330A JPH1150330A JP20556397A JP20556397A JPH1150330A JP H1150330 A JPH1150330 A JP H1150330A JP 20556397 A JP20556397 A JP 20556397A JP 20556397 A JP20556397 A JP 20556397A JP H1150330 A JPH1150330 A JP H1150330A
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Abstract
り触感を兼ね備えた細繊度の塩化ビニル系繊維およびそ
の製造方法を提供する 【解決手段】粘度平均重合度が650〜1650の塩化
ビニル樹脂を100〜60重量%と塩素化塩化ビニル系
樹脂を0〜40重量%からなる塩化ビニル系混合物10
0重量部に対し、塩素化ポリエチレン系樹脂、熱可塑性
ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選
択される1種または2種以上の繊維柔軟性改質用樹脂2
〜35重量部、熱安定剤0.2〜5重量部、ならびに繊
維表面の艶消し剤として部分架橋塩化ビニル系樹脂、ア
クリル系艶消し剤、充填剤から選択される1種または2
種以上を2〜35重量部配合してなる塩化ビニル系樹脂
組成からなる塩化ビニル系繊維、および、前記樹脂組成
物を溶融紡糸することを特徴とする塩化ビニル系繊維の
製造方法。
Description
ス、ブレード、エクステンションヘアー、アクセサリー
ヘアーなどの頭髪装飾用に用いられる人工毛髪、或いは
ドールヘアー等の人形用頭髪などとして使用される塩化
ビニル系繊維およびその製造方法に関するものである。
てなる塩化ビニル系繊維は、その優れた強度、伸度、カ
ール保持性、スタイル性などの故に、頭髪装飾用などの
人工毛髪用繊維として、あるいはドールヘアーなどの人
形用頭髪繊維として多量に使用されている。
して、細繊度(断面積が小さく、細い繊維)の繊維を工業
的に製造するには、一般的に塩化ビニル系樹脂に対する
溶媒を使用する湿式紡糸法、または乾式紡糸法によっ
て、細い繊度の塩化ビニル系繊維を製造する方法が工業
的に実施されている。しかしながら、該方法は、溶媒を
使用するが故に脱溶媒工程を必要とし、過大な設備投資
が必要であり、その設備の維持管理にも多数の人手を必
要とするという問題点がある。また、溶媒に対する溶解
性を向上するべく、アクリロニトリルなどのコモノマー
を共重合する為、繊維の初期着色性に弱点があり、乾燥
工程での熱によって黄色味の強い毛髪になり易いという
問題点、あるいは繊維のカール保持性が充分でないなど
の問題点がある。
溶融紡糸法が知られており、カドミウムや鉛を使用する
Cd-Pb系熱安定剤を主とした配合系にて、半艶表面
(艶の評価については、実施例に評価基準を示した。)
で、サラサラとした手触り触感の人工毛髪用繊維を製造
する方法が工業的に実施されている。しかしながら、該
方法は、初期着色に問題があり、黄色味の強い毛髪にな
るという傾向がある、また、これらの配合剤は毒性が高
く、製造上問題があるばかりでなく、頭髪装飾用として
皮膚に触れる為、安全衛生上の問題がある。また、該頭
髪装飾用品などが、廃棄される場合、一般ゴミに混入し
て、環境を汚染するという問題もある。
合系の問題点を解決するべく、錫系熱安定剤あるいはC
a-Zn系熱安定剤などを使用する方法などが提案され
ているが、艶消し性、触感などの改良が不十分であり、
人毛に類似した七部〜半艶表面、サラサラとした手触り
触感の人工毛髪用繊維としては不十分であった。すなわ
ち、錫系熱安定剤などを使用すると、溶融紡糸の段階、
塩化ビニル樹脂あるいは塩素化塩化ビニル樹脂のゲル化
・溶融が進行し、塩化ビニル樹脂あるいは塩素化塩化ビ
ニル樹脂の粒子構造が消失しやすく、未延伸糸の表面が
平滑となり、光沢が出る傾向がある。さらに、細繊度の
繊維とするべく該未延伸糸に延伸・熱処理を施してなる
繊維(延伸糸)を製造する為、表面がさらに引き伸ばさ
れ、艶のある、プラスチック感の強い繊維となるという
傾向があった。
化ビニル系繊維を製造する為には、出来る限り断面積の
小さいノズル孔から溶融・流出させ、紡糸ドラフト比を
小さくして、なるべく引き伸ばさない条件下で未延伸糸
を紡糸するのが好ましいが、Cd−Pb系熱安定剤を用
いない従来の配合では、例えば錫系熱安定剤を使用する
と塩素化塩化ビニル樹脂の溶融が進行し、該組成物の溶
融粘度が高くなって、ノズル圧力が高くなるなど、断面
積の小さいノズルを使用することが困難となる傾向があ
り、目的とする艶消し性、触感に優れた細繊度の塩化ビ
ニル系繊維を得るには至っていなかった。
は、錫系熱安定剤などを使用した際に発生する「艶消し
や手触り触感が不十分」という繊維の品質上の課題、な
らびに、「組成物の溶融粘度が高くなって、ノズル圧力
が高くなる」という溶融紡糸上の課題解決する為になさ
れたものである。すなわち本発明の第1の目的は、錫系
熱安定剤などを使用した塩化ビニル系繊維の品質が「平
滑な艶有表面状態で、プラスチック的触感になる」とい
う課題を解決した塩ビ系組成物を用いて製造され、優れ
た柔軟性、強度などの品質を保持しながら、人毛に極め
て類似した七部〜半艶表面、手触り触感を兼ね備えた細
繊度の塩化ビニル系繊維を提供することにある。
剤を使用した組成物を溶融紡糸する際の問題点(1)
「ノズル圧力が高くなり、押出機の設計圧力以下で生産
すると溶融紡糸生産性が低下する」(2)「ノズル圧力
を低下するべく、溶融粘度を低下する為に、溶融紡糸温
度を高くすると初期着色、熱分解、ロングラン性が低下
する」という課題を解決して、Cd−Pb系配合と同等
以上のノズル圧/溶融紡糸生産性バランスとなる細繊度
の塩化ビニル系繊維の製造方法を提供することにある。
解決するべく組成物の配合系などについて鋭意研究を重
ねた結果、カドミウムや鉛を使用するCd−Pb系熱安
定剤などを用いなくとも、繊維柔軟性改質用樹脂、熱安
定剤、ならびに、部分架橋塩化ビニル系樹脂、アクリル
系艶消し剤、充填剤等を特定の比率で配合してなる塩化
ビニル系樹脂組成物を用いることで、人毛に極めて類似
した塩化ビニル系繊維を高い生産性を維持しながら得ら
れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
〜1650の塩化ビニル樹脂100〜60重量%と塩素
化塩化ビニル系樹脂0〜40重量%からなる塩化ビニル
系混合物100重量部に対し、塩素化ポリエチレン系樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル
系樹脂から選択される1種または2種以上の繊維柔軟性
改質用樹脂2〜35重量部と、熱安定剤0.2〜5重量
部、ならびに繊維表面の艶消し剤として部分架橋塩化ビ
ニル系樹脂、アクリル系艶消し剤、充填剤から選択され
る1種または2種以上を2〜35重量部配合してなる塩
化ビニル系樹脂組成物からなることを特徴とする塩化ビ
ニル系繊維、および、前記樹脂組成物を溶融紡糸するこ
とを特徴とする塩化ビニル系繊維の製造方法である。
レン-酢酸ビニル系樹脂である場合が好ましく、熱安定
剤は錫系安定剤である場合が好ましい。上記繊維表面の
艶消し剤は、テトラヒドロフランに不溶なゲル分を0.
5〜35重量%、テトラヒドロフランに可溶な成分の粘
度平均重合度が450〜1100の部分架橋塩化ビニル
系樹脂を単独で用いる場合、メチルメタクリレートを主
成分とし、メチルエチルケトンに不溶なゲル分を10〜
90重量%含有するアクリル系艶消し剤を単独で用いる
場合、或いは、テトラヒドロフランに不溶なゲル分を
0.5〜35重量%、テトラヒドロフランに可溶な成分の
粘度平均重合度が450〜1100の部分架橋塩化ビニ
ル系樹脂と平均粒子径が10μm以下の炭酸カルシウ
ム、タルク、クレーから選択される1種または2種以上
からなる充填剤とを組み合わせて用いる場合なども好ま
しい。
とは、従来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポ
リマー樹脂、または従来公知の各種のコポリマー樹脂で
あり、特に限定されるものではない。該コポリマー樹脂
としては、従来公知のコポリマー樹脂を使用でき、塩化
ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロ
ピオン酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニ
ルエステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリ
ル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2
エチルヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアク
リル酸エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エ
チレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリ
マー樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマ
ー樹脂、塩化ビニル−アクリロニトルコポリマー樹脂な
どが代表的に例示される。特に好ましくは、塩化ビニル
単独樹脂、エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂、酢酸
ビニル−塩化ビニルコポリマー樹脂などを使用するのが
良い。該コポリマー樹脂に於いて、コモノマーの含有量
は特に限定されず、成形加工性、糸特性などの要求品質
に応じて決めることができる。特に好ましくは、コモノ
マーの含有量は、2〜30%であることが好ましい。
均重合度が650〜1650のものが使用できる。該粘
度平均重合度が650未満であると、繊維の特性、特
に、熱収縮率、カール保持性、艶消し性などが劣ったも
のになり好ましくない。逆に、1650を越えると、溶
融粘度が高くなる為ノズル圧力が高くなり、安全な製造
が出来なくなり好ましくない。本発明に使用する塩化ビ
ニル樹脂は、乳化重合、塊状重合または懸濁重合などに
よって製造したものを使用できるが、繊維の初期着色性
などを勘案して、懸濁重合によって製造したものを使用
するのが好ましい。
は、塩化ビニル系樹脂を原料とし、これに塩素を付加反
応せしめ、塩素含有量を58〜72%に高めたものを使
用するのが好ましい。塩素化塩化ビニル系樹脂を用いる
主な目的としては、繊維の熱収縮率を低下せしめる為に
使用する。塩素化塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度
(原料塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度)は、300
〜1100であることが好ましく、該粘度平均重合度
が、300未満であると、繊維の熱収縮率を低下せしめ
る効果が小さくなるので収縮率のやや高い繊維となる。
逆に、該粘度平均重合度が、1100を越えると、溶融
粘度が高くなり、紡糸時のノズル圧力が高くなるため安
全操業が困難になる傾向がある。特に好ましくは、粘度
平均重合度は、500〜900のものが良い。また前記
塩素含有率については58%未満であると繊維の熱収縮
率を低下せしめる効果が小さくなり、逆に72%を越え
ると、溶融粘度が高くなって安定操業が困難となる傾向
があり好ましくない。
化ビニル系樹脂は、塩化ビニルホモポリマー樹脂または
エチレン−塩化ビニルコポリマー樹脂を原料として使用
している場合が特に好ましい。本発明に於いては、塩化
ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル系樹脂の使用比率は、塩
化ビニル/塩素化塩化ビニル=100〜60重量%/0
〜40重量%の塩化ビニル系混合物とすることが好まし
い。前記塩化ビニル比率が60重量%未満となると、塩
素化塩化ビニル系樹脂が過剰となり、溶融粘度が高くな
り、溶融紡糸時のノズル圧力が高くなるため、安全操業
が困難になる傾向があり好ましくない。尚、塩化ビニル
系樹脂の比率が高い場合には熱収縮率の高い繊維になる
傾向があり、目的に応じて、使用比率は適宜調整するの
が好ましい。
の柔軟性を高め、柔らかで、しなやかで、かつ、サラサラと
した触感の繊維とする為に、塩化ビニル系混合物100
重量部に対して、繊維柔軟性改質用樹脂を2〜35重量
部添加配合して使用する。該繊維柔軟性改質用樹脂とし
ては、塩素化ポリエチレン系樹脂、熱可塑性ポリウレタ
ン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、などが挙げら
れるが、柔軟性に対する効果の点でエチレン−酢酸ビニ
ル系樹脂(以下、EVA系樹脂と略記する。)がより好
ましい。これらは副次的には、該組成物のゲル化・溶融
性を調節し、均一で適度な溶融状態を醸し出し、適度な
ノズル圧力とする効果がある。
満となると、繊維柔軟性改良効果が希薄になるばかりで
なく、ゲル化・溶融性調節機能が低下し、ノズル圧力が
上昇したりする傾向がある。逆に、35重量部を越える
と、組成物のゲル化・溶融性調節機能が低下し、不均一
なゲル化・溶融状態になるため、未延伸糸内に「ブツ」
状物(未溶融粒子または剪断により未崩壊の粒子)が多
くなって、溶融紡糸時あるいは延伸・熱処理時の糸切れ
頻度が多くなる傾向があり好ましくない。
の酢酸ビニル含有量が20〜65重量%のエチレン−酢
酸ビニル共重合樹脂、さらに極性基としてカルボニル基
を導入してなるエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂から
なるEVA樹脂またはこれらのEVA樹脂に塩化ビニル
をグラフト重合してなるEVA−塩化ビニルグラフトポ
リマー樹脂を意味する。該EVA-塩化ビニルグラフト
ポリマー樹脂は、水性媒体中で、塩化ビニルを懸濁重合
または乳化重合する際、EVA樹脂を重合系に添加し
て、重合を進めることによって容易に得られる。該樹脂
は、溶媒による分別により、EVA樹脂成分、ポリ塩化
ビニル樹脂成分、およびEVA樹脂成分に塩化ビニルが
化学的に結合してなるEVA−塩化ビニルグラフトポリ
マー成分の混合物である。
系混合物100重量部に対して、0.2〜5重量部使用
できる。該熱安定剤は、成形時の熱分解、ロングラン
性、繊維の色調を改良する効果があり、錫系、Ca−Z
n系、ハイドロサルタイト系、ゼオライト系など、従来
公知のものを使用できる。特に好ましくは、紡糸時のノ
ズル周囲に発生するスケール(以下、ノズル目脂と略記
する。)発生量の比較的少ない錫系熱安定剤が好まし
い。中でもメルカプト錫系熱安定剤、マレエート錫系熱
安定剤、ラウレート錫系熱安定剤から、1種または2種
以上を使用するのが良い。例えば、ジメチルスズメルカ
プト、ジブチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカ
プトなどのメルカプト錫系熱安定剤、ジメチルスズマレ
エート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレ
エート、ジオクチルスズマレエートポリマーなどのマレ
エート錫系熱安定剤、ジメチルラウレート、スズジブチ
ルスズラウレート、ジオクチルスズラウレートなどのラ
ウレート錫系熱安定剤が例示される。
ナチュラル組成物の白色度を高める為には、メルカプト
錫系熱安定剤を塩化ビニル系混合物100重量部に対し
て、少なくとも0.2〜1.4重量部使用し、他の錫系熱
安定剤と併用するのが特に好ましい。該熱安定剤の使用
量は、0.2〜5重量部であるが、0.2重量部未満となる
と、溶融紡糸時の熱分解防止効果が少なくなり好ましく
ない。逆に、5重量部を越えると、紡糸時のノズル目脂
発生が多くなり、紡糸時の流出変動の原因となるため好
ましくない。
表面の艶を半艶状態とし、肌ざわりの細かいザラザラ感
のない表面状態でサラサラとした触感の繊維とする為
に、THF不溶分を含有する部分架橋塩化ビニル系樹
脂、メチルエチルケトン(以下MEKと略記する)不溶
分を含有するアクリル系艶消し剤、各種充填剤から選択
される1種または2種以上の艶消し剤を使用する。ま
た、副次的には該組成物のゲル化・溶融性を調節し、均
一で、適度な溶融状態を醸し出し、適度なノズル圧力と
する効果がある。
に不溶なゲル分を0.5〜35重量%含有し、THF可
溶成分の粘度平均重合度が450〜1100のものを使
用することができる。THFに不溶なゲル分が、0.5
重量%未満であると艶消し効果が十分でなく、逆に35
重量%を越えると溶融紡糸時の糸切れ頻度が多くなる傾
向がある。また、THFに可溶な成分の粘度平均重合度
が450未満であると、強度が低下する傾向があり、1
100を越えると、繊維表面の肌ざわりが粗くなり、ザ
ラザラとした触感となりやすく好ましくない。本発明で
使用する部分架橋塩化ビニル系樹脂は、水性媒体中で塩
化ビニルを懸濁重合、ミクロ懸濁重合あるいは乳化重合
する際に多官能性モノマーを添加して重合を完結するこ
とにより容易に得られる。この際、使用される多官能性
モノマーとしては、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ビスフェノールA変性ジアクリレートなどのジア
クリレート化合物を使用してなる部分架橋塩化ビニル系
樹脂が特に好ましい。該樹脂は、架橋構造を有し、TH
Fに不溶な塩化ビニルを主成分とするゲル分とTHFに
可溶な成分(ポリ塩化ビニル成分)の混合物である。
メチルメタクリレートを主成分とし、MEKに不溶なゲ
ル分を10〜90重量%含有するアクリル系樹脂であ
る。MEK不溶分が10重量%未満であると艶消し効果
が十分でなく、逆に90重量%を越えると溶融紡糸時の
糸切れ頻度が多くなる傾向がある。本発明で使用するア
クリル系艶消し剤は、水性媒体中でメチルメタクリレー
トを主成分とするモノマー成分を乳化重合する際、多官
能性モノマーを添加して重合を完結することにより容易
に得られる。また、部分的に架橋してなる該乳化粒子
に、メチルメタクリレートを主成分とするモノマー成分
を多段重合することにより得られる。この際、使用され
るコモノマー成分としては、ブチルアクリレートなどの
アクリル酸エステル類、ブチルメタクリレートなどのメ
タアクリル酸エステル類などが例示される。また、多官
能性モノマーとしては、1,4-ブタンジオールジアクリ
レートなどのジアクリレート化合物などが例示される。
塩化ビニル樹脂に使用される充填剤を意味し、例えば、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレーな
どが例示される。特に好ましくは、平均粒子径が10μ
m以下の炭酸カルシウム、タルク、クレーから選択され
る1種または2種以上の充填剤が好ましい。前記の部分
架橋塩化ビニル系樹脂、アクリル系艶消し剤、および充
填剤から1種または2種以上選択して艶消し剤として用
いるに際し、塩化ビニル系混合物100重量部に対し
て、2〜35重量部配合して使用することができる。配
合量が2重量部未満であると艶消し効果が十分でなく、
逆に35重量部を越えると溶融紡糸時の糸切れ頻度が多
くなる傾向がある。特に好ましくは、3〜8重量部の範
囲である。
式、半乾半湿式、溶融紡糸のいずれの方法によっても製
造可能である。湿式、乾式、半乾半湿式の製造法はジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、又はTHFの単独、もしくは混合溶媒に上
記塩化ビニル系樹脂組成物を溶解し、通常の紡糸方法を
用いることができる。しかし、これら溶媒を用いる場
合、使用する溶媒に不要なゲル分を多く含む艶消し剤な
どを用いると、フィルターやノズル詰まりなどの原因に
なる場合があり、そのような樹脂組成物を用いる場合は
溶融紡糸方法が特に好ましい。
する場合においては、更に滑剤などを配合しても良い。
前記滑剤としては、カドミウム、鉛を含有しない金属石
鹸系滑剤、ポリエチレン系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、ペ
ンタエリスリトール系滑剤、高級アルコール系滑剤、お
よびモンタン酸ワックス系滑剤から選択される1種また
は2種以上の滑剤を塩化ビニル系混合物100重量部に
対して、0.2〜5.0重量部使用するのが好ましい。該
滑剤は、組成物の溶融状態、ならびに組成物と金属面と
の接着状態を制御でき、溶融紡糸時の糸切れ頻度、ノズ
ル目脂発生頻度、ノズル圧力などを改良する効果がある
ので、使用することが好ましい。またノズル目脂発生頻
度を低下し、ノズル圧力を低く抑える為には、ポリエチ
レン系滑剤を使用するのがより好ましく、従来公知のポ
リエチレン系滑剤を使用できるが、特に、平均分子量が
1500〜4000で、密度が0.91〜0.97の非酸
化タイプまたはごくわずかに極性を附加したタイプのポ
リエチレン系滑剤が特に好ましい。該ポリエチレン系滑
剤は0.1〜1.3重量部の範囲で使用するのが特に好ま
しい。
トール系滑剤、高級アルコール系滑剤、モンタン酸ワッ
クス系滑剤などは、主として組成物の溶融状態を制御す
る為に使用するのが好ましい。高級脂肪酸系滑剤として
は、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン
酸、ラウリン酸、カプリン酸などの飽和脂肪酸、オレイ
ン酸などの不飽和脂肪酸またはこれらの混合物などが例
示される。ペンタエリスリトール系滑剤としては、ペン
タエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと高級
脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステル、
テトラエステルまたはこれらの混合物などが例示され
る。高級アルコール系滑剤としては、ステアリルアルコ
ール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、
ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどが例示さ
れる。さらに、モンタン酸ワックス系滑剤としては、モ
ンタン酸とステアリルアルコール、パルミチルアルコー
ル、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、オレ
イルアルコールなどの高級アルコールとのエステル類が
例示される。
塩化ビニル系樹脂組成物に使用される公知の配合剤、例
えば、加工助剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料などを使用すること
ができる。また、場合によっては、必要に応じて発泡
剤、架橋剤、粘着性付与剤、親水性付与剤、導電性付与
剤、香料など特殊な配合剤を使用することもできる。
のものを使用できる。例えば、メチルメタクリレートを
主成分とするアクリル系加工助剤、または熱可塑性ポリ
エステルを主成分とするポエステル系加工助剤などを使
用できる。該加工助剤の使用量としては、塩化ビニル系
混合物100重量部に対して、0.2〜12重量部程度
が好ましい。また、これらの加工助剤は、単独でも使用
できるし、2種以上を併用しても良い。
ものを使用できる。例えば、ジブチルフタレート、ジ-
2-エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレー
トなどのフタル酸系可塑剤、オクチルトリメリテートな
どのトリメリット酸系可塑剤、オクチルピロメリテート
などのピロメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑
剤、エポキシ系可塑剤などを使用できる。該可塑剤の使
用量としては、塩化ビニル系混合物100重量部に対し
て、0.2〜5重量部程度が好ましい。また、これらの可
塑剤は、単独でも使用できるし、2種以上を併用しても
良い。
は、従来公知の混合機、例えばヘンシェルミキサー、ス
ーパーミキサー、リボンブレンダーなどを使用して混合
してなるパウダーコンパウンド、またはこれを溶融混合
してなるペレットコンパウンドとして使用する。該パウ
ダーコンパウンドの製造は、従来公知の通常の条件で製
造でき、ホットブレンドでもコールドブレンドでも良
い。特に好ましくは組成物中の揮発分を減少する為に、
ブレンド時のカット温度を105〜155℃迄上げてな
るホットブレンドを使用するのが良い。該ペレットコン
パウンドは、通常の塩化ビニル系ペレットコンパウンド
の製造と同様にして製造できる。例えば、単軸押出機、
異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機、同方向2軸押
出機、コニーダー、プラネタリーギアー押出機、ロール
混練り機などの混練り機を使用して、ペレットコンパウ
ンドとすることができる。該ペレットコンパウンドを製
造する際の条件は、特に限定はされないが樹脂温度を1
85℃以下になる様に設定することが特に好ましい。
糸にする際には、従来公知の押出機を使用できる。例え
ば、単軸押出機、異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機
などを使用できるが、例えば口径が35〜85mmφ程
度の単軸押出機、または口径が35〜50mmφ程度の
コニカル押出機を使用するのが好ましい。口径が過大に
過ぎると、押出量が多くなり、ノズル圧力が過大になっ
たり、未延伸糸の流出速度が早過ぎて、巻取りが困難に
なり好ましくない。
糸するに場合に於いては、1ケのノズル孔の断面積が、
0.5mm2以下のノズルをダイ先端部に取り付けて溶融
紡糸を行なうのが好ましい。該断面積が0.5mm2以上
のノズルを使用すると、未延伸糸の繊度が太くなり、細
繊度の繊維を得る為には、延伸処理の際、延伸倍率を大
きくする必要がある。その為、延伸処理を施した後の細
繊度の繊維(延伸糸)に光沢が出て、半艶〜七部艶状態を
維持することが困難となる。また、繊維の触感が、ザラザ
ラとしたり、キラキラ感がでたり、あるいはプラスチック
的な滑り触感になる傾向があり好まくない。
下にすることで、延伸後の繊維の艶を半艶〜七部艶状態
にすることが可能となる。該未延伸糸の繊度が300デ
ニールを越えると、細繊度の繊維を得る為には、延伸処
理の際に延伸倍率を大きくする必要がある。そのため、
延伸処理を施した後の細繊度の繊維(延伸糸)に光沢が出
て、半艶〜七部艶状態を維持することが困難となる。ま
た、プラスチック的な滑り触感になる傾向があるので好
ましくない。
Kg/cm2以下で紡糸するのが好ましい。ノズル圧力
が、500Kg/cm2を越えると、押出機のスラスト部
にかかる負荷が過大になり、押出機に不具合を発生し易
くなり好ましくない。ノズル圧力は、スクリュー回転数
あるいはフィード量を変更して、押出量を制御すること
でコントロールするのが品質に影響が少なく好ましい。
しかしながら、押出量を減少すると生産性が低下する
為、このバランスからノズル圧力は、480〜300K
g/cm2の範囲が特に好ましい。
り効果の高い滑剤を使用したり、多量の溶融粘度低下
剤、例えば、可塑剤、高分子可塑剤などを使用すること
も可能であるが、この様な手段によって、ノズル圧力を
200Kg/cm2以下にすると組成物形のゲル化・溶融
状態が不均一になり、糸切れ頻度が多くなり、製造が困
難になると共に、艶状態、触感などの品質が劣った繊維
となる傾向がある。故に前記した様な押し出し量の制御
による圧力コントロールが好ましい。
たストランドは、300デニール以下の未延伸糸に引き
伸ばされるが、その際のドラフト比は、25以下である
ことが特に好ましい。該ドラフト比が25を越えると、
未延伸糸の時点で表面が過剰に引き伸ばされている為、
延伸処理を施した後の細繊度の繊維に光沢が出て、半艶
〜七部艶状態を維持することが困難となる傾向がある。
また、プラスチック的な滑り触感になる傾向がある。さ
らに、樹脂温度は195℃以下で紡糸することが好まし
い。195℃を越えた温度で紡糸すると繊維の着色傾向
が顕著となり、黄色味の強い繊維となりやすく好ましく
ない。その為には、シリンダー温度を150〜185℃
程度とし、ダイ温度を160〜190℃程度とすること
が特に好ましい。
方法で延伸処理・熱処理を施して、100デニール以下
の細繊度の繊維とすることができる。頭髪装飾用の繊維
としては、100〜25デニールの範囲が特に好まし
い。また、人形用頭髪の繊維としては、10〜65デニ
ールの範囲が特に好ましい。延伸処理条件としては、延
伸処理温度70〜150℃の雰囲気下で、延伸倍率は、
200〜450%程度延伸することが特に好ましい。延
伸処理温度が70℃未満であると繊維の強度が低くなる
と共に、糸切れを発生し易く、150℃を越えると繊維
の触感がプラスチック的な滑り触感になる傾向があり好
ましくない。また、延伸倍率が200%未満であると繊
維の強度発現が不十分となりやすく、450%を越える
と延伸処理時に、糸切れを発生し易く好ましくない。
施して、2〜75%の緩和率で繊維を緩和処理すること
により熱収縮率を低下させることができる、また、繊維
表面の凹凸を整えて、人毛に類似した触感、半艶〜七部
艶表面とする為にも該緩和処理が好ましい。該緩和率の
範囲を外れると人工毛髪用繊維として、あるいはドール
ヘアー用繊維として、品質が低下する傾向があり好まし
くない。該熱処理は、延伸処理と連動して実施すること
もできるし、切り離して実施することもできる。熱処理
温度条件としては、雰囲気温度80〜150℃の雰囲気
下で実施することが特に好ましい。また本発明に於いて
は、従来公知の溶融紡糸に関わる技術、例えば、各種ノ
ズル断面形状に関わる技術、加熱筒に関わる技術、延伸
処理に関わる技術、熱処理に関わる技術などは、自在に
組み合わせて使用することが可能である。
に説明するが、これらの実施例は、本発明の適用限界を
明らかにする為に例示するものに過ぎず、本発明は、こ
れらの実施例のみに限定されるものではない。尚、表中
の組成物等は、次のように略記する。 塩化ビニル樹脂:「PVC」、塩素化塩化ビニル系樹
脂:「CPVC」、酢酸ビニル:「VAc」、粘度平均
重合度:「M」、メルトインデックス:「MI」。 また表3〜6における、組成物での配合剤の数値は、P
VCとCPVCの合計=100重量部に対する各配合剤
の重量部を表すものである。
率)]塩化ビニル系混合物100重量部が4Kgになる様
に計量し、次いで、表3に示す配合剤をそれぞれ計量し
て、20Lのヘンシェルミキサーに投入し、攪拌しなが
ら、内容物の温度が125℃になる迄、攪拌・混合した。そ
の後、冷却水をヘンシェルミキサーのジャケットに流し
ながら攪拌・混合を続け、内容物の温度が75℃になる
迄、冷却して、塩ビ系パウダーコンパウンドを得た。尚、
EVA樹脂は、酢酸ビニル含有量(VAc含有量)が30
%、メルトインデックス(MI)が5のものを使用した。ま
た、部分架橋塩化ビニル系樹脂は、THFに不溶なゲル分
(ゲル分率)が13%で、THFに可溶な成分の粘度平均
重合度(M)が760のものを使用した。該パウダーコン
パウンドを表1に示す条件にて、溶融紡糸実験に供した。
クリュー回転数と押出量の関係を求め、押出量が7.4
Kg/Hrsになる様にスクリュー回転数を決定した。
ノズル圧力、樹脂温度は、ダイ圧計ならびに樹脂温度セ
ンサーをノズル部に設置して測定した。鉛直方向にノズ
ルから溶融・流出したストランドを加熱紡糸筒に導入し、
ここで該ストランドを瞬間的に加熱溶解し、ノズル直下
約3mmの位置に設置した引取機にて、未延伸糸を一定
速度で巻き取った。この際、該未延伸糸の繊度が約16
8デニール程度になる様に引取速度を調節した。
発生状況を目視観察し、次の様に評価した。 [溶融紡糸時の糸切れ発生状況] ◎: 全く糸切れが発生しない ○:1時間に3回以内発生する △:1時間に4〜15回発生する またこの未延伸糸の着色状態を目視観察にて、次の様に
評価した。
熱緩和処理を行い、延伸糸を製造した。この際、熱緩和処
理は、25%緩和に固定し、延伸処理は最終の延伸糸の
繊度が65〜75デニールになる様に延伸倍率を若干調
整した。この延伸・熱処理時に発生する糸切れの発生状況
を目視観察し、次の様に評価した。
評価した。
半艶状態を示す ○(七部艶状態):表面が平滑で、鈍い光沢があり、七部艶
状態を示す ●(完全艶消状態):表面がザラザラで、光沢がなく、完全
艶消状態を示す △(八分艶状態):表面がやや平滑で、光沢があり、やや輝
き感がある ×(艶有状態): 表面が平滑で、全面的に光沢があり、輝
き感がある さらに、この延伸糸を手で触り、その手触り触感を、次の
様に評価した。
ラ感がある △(サ゛ラサ゛ラ感):表面がザラザラで、ザラザラとした触感
がある ●(フ゜ラスチック感):表面が平滑で、プラスチック的触感があ
り、滑り触感がある またさらに、この延伸糸を指に数回巻き付け、その際の反
発力、触感、柔軟性を、次の様に評価した。
とができる ●(コ゛ワコ゛ワ感):全体的に硬い感触で、かなり強い反発触
感がある △(サ゛ラサ゛ラ感):指にやわらかく巻けるが、ザラザラとし
た触感がある 該延伸糸を引張試験、熱収縮試験に供し、強度および熱収
縮率を求めた。尚、延伸糸の熱収縮率の測定は、100℃
の雰囲気温度で、25分熱収縮させ、計算は、次の様に行
なった。
前の延伸糸長さ×100=熱収縮率(%) これらの評価結果を表3に示す。 [実験6〜10(部分架橋塩化ビニル系樹脂の添加効果)]
実験1〜5と同様、塩化ビニル系混合物100重量部が
4Kgになる様に計量し、次いで、部分架橋塩化ビニル
系樹脂(ゲル分率=13%、THF可溶分重合度=76
0)の添加量を変更して表4に示す配合剤をそれぞれ計
量して、20Lのヘンシェルミキサーに投入し、攪拌し
ながら内容物の温度が105℃になる迄攪拌・混合し
た。その後、冷却水をヘンシェルミキサーのジャケット
に流しながら攪拌・混合を続け内容物の温度が70℃に
なる迄冷却して塩ビ系パウダーコンパウンドを得た。
尚、EVA系樹脂は、VAc含有量=25%で、メルト
インデックス=3のものを使用した。該パウダーコンパ
ウンドを表2に示した条件にて、ペレットコンパウンド
とし、表1と同様の条件にて、溶融紡糸実験に供した。
条件にて、溶融紡糸実験を行った。溶融紡糸実験は、定
常状態になってから、スクリュー回転数と押出量の関係
を求め、押出量が7.2Kg/Hrsになる様に、スクリ
ュー回転数を決定した。ノズル圧力、樹脂温度は、ダイ
圧計ならびに樹脂温度センサーをノズル部に設置して測
定した。鉛直方向にノズルから溶融・流出したストラン
ドを加熱紡糸筒に導入し、ここで該ストランドを瞬間的
に加熱溶解し、ノズル直下、約3mの位置に設置した引取
機にて、未延伸糸を一定速度で巻き取った。この際、該
未延伸糸の繊度が約168デニール程度になる様に引取
速度を調節した。
5に示した方法と同様に行い、評価方法なども実験1〜
5に示した方法と全く同様に行なった。これらの評価結
果を表4に示す。 [実験11〜15(熱安定剤の添加・併用効果)]実験1〜
5と同様に塩化ビニル系混合物100重量部が4Kgに
なる様に計量し、次いでEVA系樹脂(VAc含有量=
45%、メルトインデックス=5)の添加量を変更して、
表5に示す配合剤をそれぞれ計量して、20Lのヘンシ
ェルミキサーに投入し、攪拌しながら内容物の温度が1
15℃になる迄攪拌・混合した。その後、冷却水をヘン
シェルミキサーのジャケットに流しながら攪拌・混合を
続け、内容物の温度が75℃になる迄冷却して、塩ビ系
パウダーコンパウンドを得た。尚、部分架橋塩化ビニル
系樹脂は、ゲル分率=3%で、THF可溶分重合度=9
60のものを使用した。
した紡糸条件、延伸条件、加熱緩和処理条件と全く同様
の条件にて、溶融紡糸・延伸・熱処理実験に供した。ま
た、実験1〜5に示した試験方法、評価方法にて未延伸
糸、延伸糸の評価を全く同様に行なった。これらの評価
結果を表5に示す。 [実験16〜20(熱安定剤添加・併用効果)]実験1〜5
と同様に塩化ビニル系混合物100重量部が4.5Kg
になる様に計量し、次いで表6に示す配合剤をそれぞれ
計量して、20Lのヘンシェルミキサーに投入し、攪拌
しながら内容物の温度が125℃になる迄攪拌・混合し
た。その後、冷却水をヘンシェルミキサーのジャケット
に流しながら攪拌・混合を続け、内容物の温度が75℃
になる迄冷却して、塩ビ系パウダーコンパウンドを得
た。尚、部分架橋塩化ビニル系樹脂は、ゲル分率=8%
で、THF可溶分重合度=920のものを使用し、EV
A系樹脂は、EVA含量=25%のEVA−塩化ビニル
グラフトポリマーを使用した。該パウダーコンパウンド
を実験1〜5に示した紡糸条件、延伸条件、熱緩和処理
条件にて溶融紡糸・延伸・熱処理実験に供した。但し、
実験16は、Cd系熱安定剤を主とした配合系であり、
ノズル圧力が約450Kg/cm2程度になる様に、押出
量を6.8Kg/Hrsに低下して実験を実施した。
sとなる様スクリュー回転数を調節して行なった。ま
た、これに合わせて、引取速度、延伸倍率を調節した。
さらに、実験1〜5に示した試験方法、評価方法にて、
未延伸糸、延伸糸の評価を全く同様に行なった。評価結
果を表6に示す。
素化塩化ビニル系樹脂の配合比率が、40重量%を越え
るとノズル圧力が500Kg/cm2以上になり、押出機
の設計圧力を超える状態になり安全な生産ができなくな
る。またスクリュー回転数を低下すると、押出量が低下
てし、生産性が低下する。また、塩素化塩化ビニル系樹
脂の配合比率が、40重量%を越えると、溶融紡糸時の
糸切れが頻繁に発生したり、未延伸糸の着色状態がやや
黄色味を呈してくる傾向があり、さらに、延伸糸の艶も
消え過ぎになり、触感もザラザラとした触感になり、か
つ、繊維のしなやかさが劣る傾向が顕著となる。これら
の実験から、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル系樹脂
の配合比率は、前者が100〜60重量%で、後者が0
〜40重量%の範囲が最適であることが判る。
部分架橋塩化ビニル系樹脂の配合比率が35重量部を越
えると、溶融紡糸時ならびに延伸処理・熱処理時の糸切
れが頻繁に発生し、延伸糸の艶が消え過ぎとなるためザ
ラザラとした触感になり、繊維のしなやかさが劣り、熱
収縮率も高くなる傾向が顕著となるので、好ましくな
い。逆に、該配合比率を2部未満とすると、プラスチッ
ク感が出てきて好ましくない。これらの実験から、部分
架橋塩化ビニル系樹脂の配合比率は、塩化ビニル系混合
物100重量部に対して2〜35重量部の範囲が最適で
あることが判る。
に、繊維柔軟性改質用樹脂の添加量が2重量部未満にな
ると、未延伸糸のしなやかさが不足し、ゴワゴワとした
触感の繊維となる。また、熱収縮率もやや高くなる傾向
があり好ましくない。逆に、該樹脂の添加量が35重量
部を越えると、組成の不均一化(CPVC成分の溶融が
不均一となる)が起こり、溶融紡糸時あるいは延伸処理
時の糸切れが頻繁になり、ザラザラとした触感の繊維と
なるため好ましくない。これらの実験から、繊維柔軟性
改質用樹脂の配合比率は、塩化ビニル系混合物100重
量部に対して、2〜35重量部の範囲が最適であること
が判る。
に、ブチル錫マレエートを過剰に使用すると、繊維の熱
収縮率が極端に高くなり、不均一組成となり、糸切れを
発生する。また、繊維の触感もザラザラ感が出て好まし
くない。実験16の結果から判る様に、Cd-Pb系の
熱安定剤を使用すると、繊維の色調が黄色味を帯びて好
ましくない。また、熱収縮率も錫系熱安定剤を使用した
場合に比較して、やや高くなり好ましくない。これらの
実験から、熱安定剤の配合比率は、塩化ビニル系混合物
100重量部に対して、0.2〜5.5重量部の範囲が最
適であることが判る。
脂組成物によれば、品質に優れ、人毛に極めて類似した
七部〜半艶表面の手触り触感を兼ね備えた塩化ビニル系
繊維を、高い紡糸生産性を維持しながら、安全に製造す
ることができる。
Claims (9)
- 【請求項1】粘度平均重合度が650〜1650の塩化
ビニル樹脂100〜60重量%と塩素化塩化ビニル系樹
脂0〜40重量%からなる塩化ビニル系混合物100重
量部に対して、塩素化ポリエチレン系樹脂、熱可塑性ポ
リウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選択
される1種または2種以上の繊維柔軟性改質用樹脂2〜
35重量部と、熱安定剤0.2〜5重量部、ならびに繊
維表面の艶消し剤として部分架橋塩化ビニル系樹脂、ア
クリル系艶消し剤、充填剤から選択される1種または2
種以上を2〜35重量部を配合してなる塩化ビニル系樹
脂組成物からなることを特徴とする塩化ビニル系繊維。 - 【請求項2】繊維柔軟性改質用樹脂が、エチレン-酢酸
ビニル系樹脂である請求項1記載の塩化ビニル系繊維。 - 【請求項3】熱安定剤が錫系安定剤である、請求項1又
は2記載の塩化ビニル系繊維。 - 【請求項4】繊維表面の艶消し剤が、テトラヒドロフラ
ンに不溶なゲル分を0.5〜35重量%、テトラヒドロフ
ランに可溶な成分の粘度平均重合度が450〜1100
の部分架橋塩化ビニル系樹脂である請求項1〜3の何れ
かに記載の塩化ビニル系繊維。 - 【請求項5】繊維表面の艶消し剤が、メチルメタクリレ
ートを主成分とし、メチルエチルケトンに不溶なゲル分
を10〜90重量%含有するアクリル系艶消し剤である
請求項1〜3の何れかに記載の塩化ビニル系繊維。 - 【請求項6】繊維表面の艶消し剤が、テトラヒドロフラ
ンに不溶なゲル分を0.5〜35重量%、テトラヒドロフ
ランに可溶な成分の粘度平均重合度が450〜1100
の部分架橋塩化ビニル系樹脂と平均粒子径が10μm以
下の炭酸カルシウム、タルク、クレーから選択される1
種または2種以上からなる充填剤とからなり、塩化ビニ
ル系混合物に対し合計で2〜35重量部配合してなる請
求項1〜3の何れかに記載の塩化ビニル系繊維。 - 【請求項7】粘度平均重合度が650〜1650の塩化
ビニル樹脂100〜60重量%と塩素化塩化ビニル系樹
脂0〜40重量%からなる塩化ビニル系混合物100重
量部に対して、塩素化ポリエチレン系樹脂、熱可塑性ポ
リウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂から選択
される1種または2種以上の繊維柔軟性改質用樹脂2〜
35重量部と、熱安定剤0.2〜5重量部、ならびに繊
維表面の艶消し剤として部分架橋塩化ビニル系樹脂、ア
クリル系艶消し剤、充填剤から選択される1種または2
種以上を2〜35重量部を配合してなる塩化ビニル系樹
脂組成物を溶融紡糸することを特徴とする塩化ビニル系
繊維の製造方法。 - 【請求項8】繊維柔軟性改質用樹脂がエチレン-酢酸ビ
ニル系樹脂である、請求項7記載の塩化ビニル系繊維の
製造方法。 - 【請求項9】熱安定剤が錫系安定剤である、請求項7又
は8記載の塩化ビニル系繊維の製造方法。
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