JP2001098414A - 塩化ビニル系樹脂繊維 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂繊維

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JP2001098414A JP27467199A JP27467199A JP2001098414A JP 2001098414 A JP2001098414 A JP 2001098414A JP 27467199 A JP27467199 A JP 27467199A JP 27467199 A JP27467199 A JP 27467199A JP 2001098414 A JP2001098414 A JP 2001098414A
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善行 吉野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】蒸気雰囲気下で延伸を行うと延伸糸が白濁、即
ち透明性を失う失透現象が生じていた。この失透現象が
生じると透明性が要求される蛍光色及び淡色の繊維を製
造できない。この失透現象を解消する為に種々の手段が
あるが、熱着色及び糸切れ頻度が増大したり、加熱設備
の増強等の製造コスト高になるという新たな課題があっ
た。 【解決手段】塩化ビニル系樹脂組成物を紡糸した塩化ビ
ニル系樹脂繊維において、該塩化ビニル系樹脂組成物
を、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂100重量部、ハイ
ドロタルサイト系熱安定剤0.8〜3重量部、亜鉛石鹸
0.2〜0.6重量部、カルシウム石鹸0.05〜0.
4重量部、エポキシ系可塑剤0.5〜2重量部、滑剤
0.2〜1.0重量部、βジケトン0.1〜0.4重量
部を有し、さらに前記亜鉛石鹸及び前記カルシウム石鹸
が、炭素数18〜22の直鎖型脂肪酸及び/又はその誘
導体とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かつら、ヘア・ピ
ース、ブレードなどの頭髪装飾用の人工毛髪、或いはド
ールヘアー等の人工毛髪などとして使用される塩化ビニ
ル系樹脂繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、人工毛髪・人工頭髪用繊維とし
て、繊度10〜100デニールが要求される。該繊度の
繊維を製造するには、塩化ビニル系樹脂に溶媒を使用す
る湿式および乾式紡糸法、溶媒を用いない溶融紡糸法が
知られている。
【0003】これら紡糸方法のうち、溶融紡糸方法にあ
っては、目的の引張強度(1.2グラム/デニール以
上)及び引張伸度(130%以下)を与えるため、紡糸
した糸を2〜4倍に延伸した後、適度な加熱処理が行わ
れている。
【0004】かかる延伸方法について70〜150℃の
雰囲気下で延伸する方法が提案されている(特開平11
−100714号)が、該繊維への熱伝導効率が低くい
ため、ライン速度を上げると糸切れが生じるという課題
がある。この対策として蒸気雰囲気下で延伸を行って熱
伝導効率を向上させる手段がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蒸気雰
囲気下で延伸を行うと延伸糸が白濁、すなわち透明性を
失う失透現象が生じてしまっていた。この失透現象が生
じると、透明性が要求される蛍光色及び淡色の繊維を製
造できない。この失透現象を解消する為に、通常、延伸
糸を蒸気雰囲気下での延伸後の熱処理設定温度をより高
温にするか該熱処理の時間を長くする必要がある。とこ
ろが、設定温度をより高温化する前者の場合には熱着色
及び糸切れ頻度が増大するという新たな課題があり、熱
処理の時間を長くする場合には加熱設備の増強、冷却時
間・設備の増強などを含めて製造コスト高になるという
新たな課題があった。
【0006】本発明の目的は、透明性が優れ熱着色せ
ず、かつ蒸気雰囲気下での延伸によっても失透せず、ま
た、蒸気雰囲気下で延伸を行うことにより繊維への熱伝
達が良好になり熱不足による糸切れが激減し、ライン速
度を上げて生産性を飛躍的に向上させることができるポ
リ塩化ビニル系樹脂繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく組成物の配合系を鋭意研究を重ねた結
果、塩化ビニル系樹脂に熱安定剤、亜鉛石鹸、カルシウ
ム石鹸、滑剤等を特定範囲で配合した場合には、透明性
が極めて優れ、熱着色せず、さらには蒸気雰囲気下で延
伸しても失透しないことを見出し、延伸工程の短縮及び
熱処理速度アップを飛躍的に向上させ、本発明を完成す
るに至った。
【0008】すなわち本発明は、塩化ビニル系樹脂組成
物を紡糸した塩化ビニル系樹脂繊維において、該塩化ビ
ニル系樹脂組成物が、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂1
00重量部、ハイドロタルサイト系熱安定剤0.8〜3
重量部、亜鉛石鹸0.2〜0.6重量部、カルシウム石
鹸0.05〜0.4重量部、エポキシ系可塑剤0.5〜
2重量部、滑剤0.2〜1.0重量部、βジケトン0.
1〜0.4重量部を有し、さらに前記亜鉛石鹸及び前記
カルシウム石鹸が、炭素数18〜22の直鎖型脂肪酸及
び/又はその誘導体であることを特徴とする塩化ビニル
系樹脂繊維である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明にかかるハイドロタルサイ
ト系熱安定剤を採用したのは、ポリ塩化ビニル系樹脂そ
のものが高温下に置かれても安定した状態を維持するた
めであり、これにより蒸気雰囲気下での溶融紡糸繊維の
延伸をしても繊維の温水失透を助長しないものである。
【0010】該ハイドロタルサイトの配合量は、あまり
に少ないと成形時の熱安定性付与効果の発揮が不十分と
なり、あまりに多いと自身の分散性の悪さから凝集物
(ハイドロタルサイト自身)による糸切れ頻度が多くな
るため、ポリ塩化ビニル100重量部に対し0.8〜3
重量部使用するのが好ましい。また、該ハイドロタルサ
イトには公知の熱安定化助剤、例えばホスファイト、多
価アルコール等を1種以上併用できる。
【0011】本発明に使用する亜鉛石鹸は、繊維成形時
の着色抑制効果を発揮させるために採用するものであ
る。該亜鉛石鹸の配合量は、あまりに少ないと該効果が
発揮されず、あまりに多いと蒸気延伸時に繊維の温水失
透性が悪くなるため、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部
に対し0.2〜0.6重量部使用するのが好ましい。ま
た、該亜鉛石鹸は、組成物の温水失透を抑制しプレート
アウトを防ぐため、炭素数18〜22の直鎖型脂肪酸及
び/又はその誘導体であることが必要である。
【0012】本発明に使用するカルシウム石鹸は、ハイ
ドロタルサイトの未分散部分における亜鉛焼けを抑制す
るために採用されるものである。該カルシウム石鹸の配
合量は、あまりに少ないと該効果が発揮されず、あまり
に多いと蒸気延伸時に繊維の温水失透性が悪くなるた
め、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し0.05〜
0.4重量部が好ましい。また、該カルシウム石鹸は、
組成物全体の分散性及び相溶性を高めるため、炭素数1
8〜22の直鎖型脂肪酸及び/又はその誘導体であるこ
とが必要である。
【0013】本発明に使用する上記エポキシ系可塑剤
は、ポリ塩化ビニル系樹脂繊維に柔軟性を持たせ延伸速
度を向上させるために採用されるものであり、従来公知
の可塑剤を適宜選択して採用できる。
【0014】該エポキシ系可塑剤の配合比は、あまりに
少ないと紡糸時のノズル圧力上昇による糸着色が起こる
だけでなく曳糸性が著しく低下し、あまりにも多いと繊
維の熱収縮率が大きくなり且つ蒸気雰囲気下での延伸時
に繊維が失透を起こすので、塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し0.5〜2重量部、さらに好ましくは0.8
〜1.5重量部が良い。
【0015】本発明で使用する塩化ビニル系樹脂は、従
来公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー、
または従来公知の各種のコポリマー樹脂であり、特に限
定されるものではない。
【0016】本発明に使用する塩化ビニル系樹脂の平均
重合度は、あまりに低いと溶融粘度が低くなり曳糸性が
悪くなり、あまりに高いと溶融粘度が高くなってノズル
圧力が高くなり繊維が着色してしまうため、600〜1
300であることが好ましい。
【0017】本発明に用いる上記滑剤は、蒸気環境下で
の延伸時の失透を抑制するために採用されるものであ
り、ポリエチレン系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、エステル
系滑剤から選択される単体又は複合体を採用できる。本
発明の目的である蒸気延伸時の失透抑制のためには、ポ
リエチレン系滑剤は平均分子量が4000〜5000の
ものを用いるのが好ましい。高級脂肪酸系滑剤として
は、ステアリン酸、パルチミン酸、ミリスチン酸などの
不飽和脂肪酸、またはこれらの混合物などが例示され
る。エステル系滑剤としては、各種脂肪酸と高級アルコ
ールのエステルを用いることができる。
【0018】該滑剤の配合量は、上記塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して、あまりに少ないと滑性付与効果
が発揮されず、あまりに多いと失透やプレートアウトが
生じるため、0.2〜1重量部が好ましい。
【0019】本発明に用いる上記βジケトンは、加工時
の着色を抑制するために採用されるものであり、組成物
の色を透明に近づけるものである。該βジケトンの配合
量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、あ
まりに少ないと上記効果が発揮されず、あまりに多くて
も効果が頭打ちになるため、0.1〜0.4重量部が好
ましい。
【0020】本発明においては、目的に応じて塩化ビニ
ル系組成物に使用される公知の配合剤を本発明の効果を
阻害しない範囲で添加できる。該配合剤の例としては、
加工助剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、充填剤、難燃剤、顔料、初着改善剤、導電性付与
剤、香料等がある。
【0021】本発明にかかる塩化ビニル系樹脂繊維は、
上記塩化ビニル系樹脂組成物を従来公知の混合機(例え
ばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等)を使用し
て混合したパウダーコンパウンド、またはこれを溶融混
合したペレットコンパウンドであってもよい。該パウダ
ーコンパウンドの製造は、従来公知の通常の条件で製造
でき、ホットブレンドでもコールドブレンドでも良い。
該ペレットコンパウンドは、通常の塩化ビニル系ペレッ
トコンパウンドの製造と同様にして製造できる。例え
ば、単軸押出機、異方向二軸押出機、コニーダーなどの
混練機を使用してペレットコンパウンドとすることがで
きる。
【0022】前記塩化ビニル系樹脂組成物を繊維状の未
延伸糸にする際には、従来公知の押出機を使用できる。
例えば単軸押出機、異方向二軸押出機、異方二軸押出
機、コニカル二軸押出機などを使用できる。
【0023】本発明では、前記塩化ビニル系樹脂組成物
を溶融紡糸する際には、1個のノズル孔面積が0.2
mm2以下であるノズルをダイ先端部に取りつけて行う
ことが望ましい。さらに好ましくは、該ノズル孔面積
が、特公昭55−76102号において提案されている
様に0.04〜0.06mm2であることが望ましい。
該断面積が0.2 mm2を越えるものを用いて300デ
ニール以下の未延伸糸を得る為には、ドラフト比率を極
端に上げる必要があり、紡糸時の糸切れ頻度が増加する
ため好ましくない。
【0024】本発明においては、未延伸糸の繊度を30
0デニール以下にしておくことが好ましい。この値に限
定したのは、該未延伸糸の繊度があまりに大きいと、低
い繊度の繊維を得る為に延伸倍率を大きくする必要が生
じ、延伸時の糸切れ頻度が激増し生産性が低下するため
好ましくないからである。
【0025】前記溶融紡糸で得られた未延伸糸は、蒸気
雰囲気下での「延伸処理」がなされた後、熱弛緩処理が
施されて、その繊度が100デニール以下になされる。
【0026】上記延伸処理の条件としては、90〜12
0℃の蒸気雰囲気下で3〜4.5倍程度の延伸倍率とす
るのが好ましい。このような延伸倍率にしたのは、あま
りに少ないと繊維の強度発現が不十分となり、あまりに
多いと延伸処理時に糸切れを発生しやすく好ましくない
ためである。
【0027】上記熱弛緩処理は、繊維の歪みを取った
り、熱収縮率を低下させることを目的としたものであ
る。該熱弛緩処理における雰囲気温度は、あまりに低い
と繊維への熱伝導が不十分で繊維の歪みを十分に除去で
きず、あまりに高いと繊維が着色してしまうため、10
0〜150℃が好ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明にかかる実施例を、表を参照し
ながら、比較例と比較しつつ詳細に説明する。表1は、
各実施例、各比較例における塩化ビニル系樹脂の主要配
合とその配合によって製造された繊維等についての測定
結果を示したものである。なお、表1中、記載は省略し
たが、全ての実施例、比較例において、PVC(ポリ塩
化ビニル)樹脂(大洋塩ビ社製TH−1000、平均重
合度1050)が100重量部配合され、初着改善剤と
してリン系ホスファイト(旭電化社製アデカスタブC)
が0.4重量部配合されている。
【0029】
【表1】
【0030】表1中、ハイドロタルサイト系熱安定剤と
して合成ハイドロタルサイト協和化学社製アルカマイザ
ー1、亜鉛石鹸として12ヒドロキシステアリン酸亜鉛
(日産化学社製NF−12Zn(炭素数18、直鎖型脂
肪酸の誘導体))又はラウリン酸亜鉛(堺化学工業社製
Z−12)、カルシウム石鹸として12ヒドロキシステ
アリン酸カルシウム(日産化学社製NF−12Ca(炭
素数18、直鎖型脂肪酸の誘導体))又はステアリン酸
カルシウム(栄伸化成社製SC−100)、エポキシ系
可塑剤としてESBO(エポキシ化大豆油;旭電化社製
O−130P)、滑剤としてポリエチレンワックス(三
井石油化学社製ハイワックス400P(平均分子量40
00)又はハイワックス200P(平均分子量200
0))、βジケトンとしてDBM(ジ−ベンゾイル・メ
タン;ローヌプラン社製ローディアスタブ83)を採用
したものである。
【0031】各実施例・各比較例におけるポリ塩化ビニ
ル系樹脂組成物は、次の工程でパウダーコンパウンドに
なされた。すなわち、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100
重量部5Kgと各添加剤(表1記載の各配合量)が、2
0リットル・ヘンシェルミキサーに投入され、内容物の
温度が120℃になるまで攪拌混合を行い、その後、冷
却水をヘンシェルミキサーのジャケットに流しながら攪
拌混合を行ない、内容物の温度が60℃になるまで冷却
し、これによりパウダー状の塩化ビニル系樹脂コンパウ
ンドを得た。
【0032】この塩化ビニル系樹脂コンパウンドを溶融
紡糸したのは、次の条件に従って行った。
【0033】★押出機 スクリュー:フルフライトタイプ、圧縮比2.3、D=
40mm、L/D=20(D;直径、L;スクリュー長
さ) ノズル:孔断面積=0.06mm2、孔形状;メガネ、
孔数;30、孔配列;円、 シリンダー温度:C1=170℃、C2=170℃、C
3=180℃、 アダプター温度:180℃ ターンヘッド温度:185℃ ダイス温度:185℃ 押出量:5Kg/時間
【0034】ノズルから流出したストランド(ポリ塩化
ビニル樹脂組成物の繊維)は、加熱円筒(加熱円筒温度
250℃)に導入されて瞬間的に加熱溶解され、ノズル
直下約4.5mの位置に設置した引取機にて巻き取られ
る。該ストランドは、未延伸糸のままである。この巻き
取りの際、該延伸糸の繊度が175〜185デニールに
なる様に引取速度を調節した。次に、該未延伸糸を延伸
機(蒸気雰囲気下105℃)で3倍に延伸後、熱処理機
(空気雰囲気下130℃)を用いて等倍(収縮なし)で
熱処理を施し、繊度が58〜62デニールになるように
した。
【0035】表1に示す測定結果である「溶融紡糸時糸
切」、「溶融紡糸時着色」は、この未延伸糸を製造した
段階で判断した。判断基準は次の通りである。
【0036】「溶融紡糸時糸切れ」にあっては、1時間
連続紡糸して糸切れ発生件数が0のときを○、1〜3の
ときを△、4以上のときを×とした。「溶融紡糸時着
色」にあっては、溶融紡糸時糸切測定の際の繊維を目視
して黄色みがないのを○、わずかに黄色みがあるのを
△、黄色みがあるのを×とした。
【0037】表1における「熱処理時糸切れ」は、上記
熱処理機に溶融紡糸された繊維を連続して1時間流した
際の糸切れ発生件数が0のときを○、1〜3のときを
△、4以上のときを×とした。
【0038】表1における「失透度」は、上記ポリ塩化
ビニル系樹脂組成物を後述する製法でプレスシート片に
したものの明度で判断したものであり、具体的には、該
プレスシート片を70℃の温水中に1時間浸した後に2
4時間室温で自然放置した際の明度をL2、温水に浸す
前の明度をL1とした際の明度の差(ΔL=L2―L
1)が14以下のものを○、14より大きいものを×と
した。明度の測定には倉敷紡績社製分光光度計(COL
OR−7)を用いた。該プレスシート片は、表1記載の
各組成物を170℃のミキシングロールで3分間混練し
てから厚さ0.3mmになるようにロールシート化し、
このロールシートを170℃のプレス機で5分間120
Kg/cm2の荷重をかけて0.5mm厚のプレスシー
トを作成し、さらに6.0cm×3.0cmに切り取っ
たものである。
【0039】実施例1〜3、比較例1及び2が示すよう
に、ハイドロタルサイトが少ないと熱安定性不足から押
出時に炭化物が生じ糸切れが多発し、多いとハイドロタ
ルサイトの凝集物による糸切れが生じた。
【0040】実施例4及び5、比較例3及び4が示すよ
うに、エポキシ系可塑剤が少ないと樹脂圧の上昇による
着色を起こし且つ曳糸性の不足による糸切れが激しくな
った。逆に、エポキシ系可塑剤が多いと失透してしまっ
た。
【0041】実施例6〜8、比較例5〜8を用いて、金
属石鹸の配合量について説明する。比較例5から分かる
ように亜鉛石鹸が、0.2重量部未満となると繊維の着
色が激しくなる為好ましくない。逆に、比較例6から分
かるように0.6重量部を越えると失透性が極端に悪く
なる為好ましくない。
【0042】比較例7から分かるようにカルシウム石鹸
が、0.05重量部未満となるとハイドロタルサイトの
未分散領域の補完が不十分となり亜鉛焼けで生じた炭化
物による糸切れが起こる為好ましくない。逆に、比較例
8から分かるように0.4重量部を越えると失透性が極
端に悪くなる為好ましくない。
【0043】実施例9の亜鉛石鹸(12ヒドロキシステ
アレート)は炭素数18であるが、この炭素数12であ
るラウリン酸亜鉛を用いた比較例9では失透性が著しく
劣った。
【0044】実施例10及び11、比較例10〜12を
用いて、滑剤の配合量について説明する。該滑剤添加量
が0.2重量部未満となると比較例10から分かるよう
に押出時の樹脂圧の上昇による繊維の着色が激しくなる
為好ましくない。逆に、1重量部を越えると比較例11
から分かるように失透性が極端に悪くなる為好ましくな
い。
【0045】また、ポリエチレンワックスの分子量の影
響については、実施例10に対して比較例12の失透性
が著しく劣ることから分子量4000以上のものを用い
るのが好ましいことが分かる。
【0046】比較例13、14から分かるように、βジ
ケトンがあまりに少ないと着色性が悪く、あまりに多く
ても効果が頭打ちであった。
【0047】なお、表1には開示しなかったが、可塑剤
を過剰に添加した比較例4以外は、目的の引張強度
(1.2グラム/デニール以上)及び引張伸度(130
%以下)を達成していた。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の塩化ビニル系樹
脂組成物を用いれば、蒸気雰囲気下で繊維を延伸しても
失透することがない。また、蒸気雰囲気下で延伸を行う
ことにより繊維への熱伝達が良好になるため、熱不足に
よる糸切れが激減し、ライン速度を上げることができ、
これにより生産性を飛躍的に向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27/06 C08L 27/06 (72)発明者 松川 不三夫 神奈川県鎌倉市台2丁目13番1号 東洋化 学株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BD031 CD002 DE286 ED028 EE049 EG038 EG047 FA041 FD010 FD027 FD066 GK01 4L035 BB31 BB80 BB91 CC02 CC09 EE07 FF01 FF04 JJ01 JJ11 JJ14 JJ15 KK05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂組成物を紡糸した塩化
    ビニル系樹脂繊維において、該塩化ビニル系樹脂組成物
    が、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂100重量部、ハイ
    ドロタルサイト系熱安定剤0.8〜3重量部、亜鉛石鹸
    0.2〜0.6重量部、カルシウム石鹸0.05〜0.
    4重量部、エポキシ系可塑剤0.5〜2重量部、滑剤
    0.2〜1.0重量部、βジケトン0.1〜0.4重量
    部を有し、さらに前記亜鉛石鹸及び前記カルシウム石鹸
    が、炭素数18〜22の直鎖型脂肪酸及び/又はその誘
    導体であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂繊維。
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