JP2010100966A - ポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維、人工毛髪およびそれからなる頭飾製品 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維、人工毛髪およびそれからなる頭飾製品 Download PDF

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Abstract

【課題】
ポリ塩化ビニル系人工毛髪において、熱セットで形状が付き易く、かつ形状が崩れず長持ちし、触感に優れる人工毛髪、さらには、人毛に近似したしっとりした触感を有する人工毛髪およびそれからなる頭飾製品提供することを目的とする。
【解決手段】
ポリ塩化ビニル系樹脂に、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体を含有させて人工毛髪とすることにより、脂肪族ポリエステル成分が、熱セットでの形状付与や頭髪装飾用品装着時の形状保持性を向上させ、かつ、ポリビニルアルコール成分が、吸湿性を発現することから、人毛に近似したしっとりした触感を得ることができ、さらに、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体は、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であることから、透明性(発色性)が良好であることを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、かつらやヘアピース、ブレード等頭髪装飾用に使用される人工毛髪用ポリ塩化ビニル系繊維に関する。そして頭髪装飾品として熱によりカールやウエーブ、クリンプ状にセットした際、セットが良く付き、かつその形状が長持ちし、かつ柔らかな触感を有することを特徴とするポリ塩化ビニル系人工毛髪に関する。
塩化ビニル系樹脂は、自己消火性、耐薬品性などに優れており、繊維にした場合にも、その優れた性質を持ちうる。人工毛髪として様々な形状で頭部に装着した場合、自己消火性は安全性の上で重要な必要特性である。加えてポリ塩化ビニル系繊維を使用した人工毛髪は、その外観や触感が人毛に類似するという特徴を有し、美容特性からも重用されている。
従来、一般的には、頭髪装飾用等の人工毛髪用繊維として、細繊度(断面積が小さく細い繊維)のポリ塩化ビニル繊維を工業的に製造するには、塩化ビニル系樹脂に対する溶媒を使用する湿式紡糸法または乾式紡糸法があり、溶媒を使用しない方法として溶融押出による紡糸法がある。前2者の方法は溶媒を使用するが故に脱溶媒工程、溶媒回収工程等を必要とし、過大な設備投資や設備の維持管理に多数の人手が必要という問題点がある。一方、溶融押出による紡糸法は、その様な設備や工程が不要なので有利であり、ポリ塩化ビニル系繊維の製造法として一般的に採用されている。
溶融押出による製造法は、塩ビ系樹脂の熱分解を防止するため熱安定剤や滑剤の添加が必須である。そして従来はCd−Pb系熱安定剤が価格、性能面で有利として使用されてきた。しかし、Cd−Pb系は毒性が高く、製造上だけでなく頭髪装飾用として皮膚に触れる為安全衛生上の問題がある。また該頭髪装飾用品等が廃棄される場合、一般ゴミに混入して環境を汚染するという問題もある。そこで、これらCd−Pb系熱安定剤の問題を解決するため、錫系やハイドロタルサイト系、あるいはCa−Zn系、ゼオライト系熱安定剤の単独使用あるいは併用への転換が図られている。さらに、錫系熱安定剤は、塩化ビニル系樹脂との相溶性が良いためゲル化を過剰に促進し、塩化ビニル系樹脂組成物の溶融体全体の金属離型性を極端に低下させる。この低下防止には多量の滑剤添加が必要であり、多量の滑剤を添加した塩化ビニル系樹脂組成物を孔径の小さなノズルから溶融紡糸すると、該ノズル孔周縁部に目脂(添加剤成分等の析出物が炭化したもの)が発生し易く、これにより糸切れし易いという新たな課題があった。又錫系熱安定剤は、有機錫化合物であるため各種各様に独特の臭気を有しており、頭髪装飾用製品に繊維を加熱加工する際、異臭がすると使用を忌避される場合もあった。
これらの理由から近年は、錫系熱安定剤の使用を避け、ハイドロタルサイト系熱安定剤や、Ca−Zn系熱安定剤の単独使用、あるいは併用がなされてきている。上記製造法で紡糸された糸は、さらに延伸、熱処理されて、最終製品の使用にかなう物性(強度、伸度、収縮率等)を有したポリ塩化ビニル系繊維とされる。
頭髪装飾用の人工毛髪として使用されるポリ塩化ビニル系繊維は、ミシンによる縫製や、加熱したギアの間を通してのクリンプ形状付与、金属パイプに巻付けての熱セット等の加工を受けて、頭髪装飾用品とされる。
このようなポリ塩化ビニル系人工も毛髪およびそれからなる頭飾製品は、その加工および使用において、加熱されることがあり、熱安定剤、加工助剤、添加剤等のブリードアウトが発生したり、これらの添加剤類により、繊維の透明性が損なわれるという問題があった。また、熱セットでのカール形状形成のしやすさ、カール形状の保持性、触感についても、十分満足できるポリ塩化ビニル系人工毛髪は、いまだ実現されていないのが実情である。
WO2006/035863号公報
ポリ塩化ビニル系繊維を人工毛髪として使用する際、ストレートのままより熱セットしてカールやウエーブ、クリンプ形状を付与し、かつらやヘアピース、ブレード等に用いられる割合が圧倒的に多いのが現実である。加工メーカーでは形状が付き易く、かつ付いた形状が崩れず長持ちする様に、熱セットの温度を高目にする傾向が観られる。しかし(特許文献1)の様に、ハイドロタルサイト系熱安定剤と、Ca−Zn系熱安定剤を、併用した塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系繊維は、収縮率を低くすると熱セット温度を高くしても、熱セットで形状が付き難く、かつ付いた形状が崩れ易く長持ちしないという問題があった。他方収縮率を大きく残すと、熱セットで形状が付き易く、かつ形状が崩れず長持ちするが、熱セット温度を高くすると、出来上り製品の触感が硬くなるという問題があった。
また、ポリ塩化ビニル系人工毛髪は、疎水性であるため、吸湿率が低く、人毛に比べドライな触感であることや、その触感改善のため繊維処理剤を使用すると、人毛とは異なる触感になり、違和感を感じることが課題として存在していた。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ポリ塩化ビニル系樹脂に、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体を含有させて人工毛髪とすることにより、脂肪族ポリエステル成分が、熱セットでの形状付与や頭髪装飾用品装着時の形状保持性を向上させ、かつ、ポリビニルアルコール成分が、吸湿性を発現することから、人毛に近似したしっとりした触感を得ることができ、さらに、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体は、ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性が良好であることから、透明性(発色性)が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対し、ビニルアルコールユニットと脂肪族エステルユニットから構成されるポリビニルアルコール系共重合体(B)10〜50質量部を含有し、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度が450〜1800であり、ポリビニルアルコール系共重合体(B)に含まれるビニルアルコールユニットと脂肪族エステルユニットの比率が、質量比で、ビニルアルコールユニット/脂肪族ポリエステルユニット=90/10〜40/60である、ことを特徴とするポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項1)、
前記ポリ塩化ビニル系樹脂(A)が、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂、および、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂である請求項1に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項2)、
ポリビニルアルコール系共重合体(B)が、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項3)、
前記ポリビニルアルコールの鹸化度が、60モル%以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項4)、
前記脂肪族ポリエステルが、ε−カプロラクトン類および/またはδ−バレロラクトン類の開環重合体である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項5)、
前記脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体の分子量が、10,000〜500,000である請求項1〜5のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維に関する(請求項6)、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維を含むことを特徴とする人工毛髪に関する(請求項7)、
請求項7に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪を加工してなる頭飾製品に関する(請求項8)、
前期頭飾製品が、ウィービング、ウィッグ、ヘアーエクステンションまたはヘアアクセサリーである請求項8記載の頭飾製品に関する(請求項9)、ものである。
また、本発明の人工毛髪を加工して得られる頭飾製品は、人毛に近い外観と良好なセット性等の加工性を有しているものであり、前記頭飾製品のウィービング、ウィッグ、ヘアーエクステンションまたはヘアアクセサリーは、人毛と一緒に用いても人毛との光沢感の違いによる違和感がないものである。
本発明に係る人工毛髪用ポリ塩化ビニル系繊維は、熱セットでの形状付与や頭髪装飾用品装着時の形状保持が良好で、かつ該頭髪装飾品の触感(しっとり感)も良好である特徴を有する。
以下に、本発明を具体的に説明する。本発明のポリ塩化ビニル系人工毛髪は、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対し、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体(B)10〜50質量部を含有するポリ塩化ビニル系人工毛髪である。
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂(A)は、塩化ビニルの単独重合物である塩化ビニル樹脂(ホモポリマー樹脂)、塩素化塩化ビニル樹脂、または塩化ビニルモノマーを構成成分として含む各種コポリマー樹脂を単独或いは混合して得られるものである。該コポリマー樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニルエステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアクリル酸エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー樹脂などが代表的に例示される。好ましい塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合物である塩化ビニル樹脂(ホモポリマー樹脂)、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合物、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂の混合物、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂の混合物などがあげられる。該コポリマー樹脂において、コモノマーの含有量は特に限定されず、繊維への成型加工性、繊維の特性などに応じて決めることができる。
塩化ビニルモノマーを構成成分として含む各種コポリマー樹脂において、塩化ビニルモノマーは10重量%以上含むことを特徴とする。
また、塩化ビニル樹脂と上記他の樹脂の混合物の場合には、混合物全体に対して、塩化ビニル樹脂を50質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上含有することが好ましい。
本発明に使用する塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル樹脂単独、あるいは塩化ビニル系樹脂よりも耐熱性を上げた塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル樹脂を混合して使用することができる。塩素化塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル樹脂を原料とし、これに塩素を反応させ、樹脂の塩素化度を上げた樹脂である。例えば、塩化ビニル系樹脂として塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合物を用いる場合には、塩素化塩化ビニル樹脂の塩素含有量が58〜72%の範囲にあるものが好ましい。塩素化塩化ビニル樹脂の粘度平均重合度(原料塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度)は、繊維としての十分な強度、耐熱性を得るためには、300以上、また適切なノズル圧力の下で、安全な繊維の製造を行うには、重合度は1800以下が好ましい。特に好ましくは、粘度平均重合度は500〜900のものが良い。また前記塩素含有率については、繊維の耐熱性を上げる効果を得るためには58%以上が好ましく、適切なノズル圧力の下で、安全な繊維の製造を行うには、72%以下が好ましい。塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂を混合する場合の混合比率[塩化ビニル樹脂/塩素化塩化ビニル樹脂](質量比率)は、好ましくは99/1〜60/40、より好ましくは99/1〜80/20、更に好ましくは96/4〜85/15である。塩素化塩化ビニル系樹脂は1%以上であれば、強いカール強度を得ることができ、塩素化塩化ビニル系樹脂が15質量%以下であれば、紡糸時の糸切れが少なく、紡糸製造工程を安定に操業しやすくなる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合比は、塩素化塩化ビニル樹脂が1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。塩素化塩化ビニル樹脂の混合比率は高くなるにつれて、カール強度が高くなる傾向にある。
本発明に使用する塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度は、繊維としての十分な強度、耐熱性を得るためには、450以上が好ましい。また適切なノズル圧力の下で、安全な繊維の製造を行うには、重合度は1800以下が好ましい。これら成型加工性と繊維特性を達成するために、塩化ビニルのホモポリマー樹脂を使用する場合は、粘度平均重合度が650〜1450の領域が特に好ましい。コポリマーを使用する場合は、コモノマーの含有量にも依存するが、粘度平均重合度は、1000〜1700の領域が特に好ましい。なお、前記粘度平均重合度は、樹脂200mgをニトロベンゼン50mlに溶解させ、このポリマー溶液を30℃恒温槽中、ウベローデ型粘度計を用いて比粘度を測定し、JIS−K6721により算出したものである。
本発明に使用する塩化ビニル系樹脂は、乳化重合、塊状重合または懸濁重合などによって製造することができる。繊維の初期着色性などを勘案して、懸濁重合によって製造した重合体が好ましい。
本発明で用いられるビニルアルコールユニットと脂肪族ポリエステルユニットから構成されるポリビニルアルコール系共重合体(B)は、全体の70質量%以上が、ビニルアルコールユニットと脂肪族ポリエステルユニットからなり、全体の30質量%未満で、他の共重合可能なユニットを含んでいてもよい。
前記ポリビニルアルコール系共重合体(B)は、ポリビニルアルコールの存在下にラクトンを開環重合することによって得ることができる。ポリビニルアルコールとしては、酢酸ビニル単位の鹸化度が60モル%以上のものが好ましい。又、ポリビニルアルコールの好ましい重合度は20〜20,000であり、更に好ましくは200〜3,000である。
ラクトンとしては、開環重合により脂肪族ポリエステルを形成するラクトンであれば特に制限されないが、特に好ましいのはε−カプロラクトン類及びδ−バレロラクトン類である。ε−カプロラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン等のモノアルキル−ε−カプロラクトン;2個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているジアルキル−ε−カプロラクトン;3個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているトリアルキル−ε−カプロラクトン;エトキシ−ε−カプロラクトン等のアルコキシ−ε−カプロラクトン;シクロヘキシル−ε−カプロラクトン等のシクロアルキル−ラクトン;ベンジル−ε−カプロラクトン等のアラルキル−ε−カプロラクトン;フェニル−ε−カプロラクトン等のアリール−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
δ−バレロラクトン類としては、例えば、5−バレロラクトン、3−メチル−5−バレロラクトン、3,3−ジメチル−5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクトン、3−エチル−5−バレロラクトン等が挙げられる。これらのラクトンは、1種又は2種以上で使用される。
他の共重合可能なユニット(重合性単量体)としては、例えば、エチレン、プロピレン、等のα−オレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。
ポリビニルアルコール系共重合体に含まれる脂肪族ポリエステルユニットは、ビニルアルコールユニットとブロック共重合体を形成しているか、グラフト共重合体を形成していることが望ましい。
ポリビニルアルコールへの脂肪族ポリエステルのグラフト反応は、ポリビニルアルコールの乳化分散液中や適当な溶剤の溶液中で上記のラクトンを開環重合させることによっても得られるが、加熱によるポリビニルアルコールの熱分解を伴うので、粉末状のポリビニルアルコールと液状のラクトンとの混合物をテトラブチルチタネート等の公知の開環重合触媒を用いて窒素気流下に反応させる方法が好ましい。反応は、通常の反応容器中で攪拌下に、或いは一軸及び二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等の混合機中で溶融下に行うことができる。反応は80〜220℃で数時間行う。通常の反応容器中での反応では、反応初期では白色粉末のポリビニルアルコールと液状ラクトンとは不均一な混合状態であるが、反応の進行とともに両者は均一な混合状態となり、均一な反応生成物が得られる。この方法では、高温度での反応であるにもかかわらず、ポリビニルアルコールの熱分解は見られない。
ポリビニルアルコールにグラフトさせる脂肪族ポリエステルの量や分子量を種々変えることによって、ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステルのそれぞれの特性を併せ持つ種々のグラフト共重合体が得られる。ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトしたポリビニルアルコール系共重合体における好ましい両重合体の割合は、質量比で、ビニルアルコールユニット/脂肪族ポリエステルユニット=90/10〜40/60である。この共重合体においては、ポリビニルアルコールの有する吸湿性、可塑剤のブリードアウト防止性能と、脂肪族ポリエステルの有する柔軟性、透明性、耐熱性等の性能が発揮される。
しかしながら、ポリビニルアルコールの割合が90質量%を超え、脂肪族ポリエステルの割合が10質量%未満のポリビニルアルコール系共重合体では、可塑剤のブリードアウト防止性能は優れているが、柔軟性等が不充分となる。また、ポリビニルアルコールの割合が40質量%未満で、脂肪族ポリエステルの割合が60質量%を超えるポリビニルアルコール系共重合体では、柔軟性、透明性や耐熱性は優れているが、可塑剤のブリードアウト防止性能、吸湿性等は不充分となる。より好ましい割合は、ポリビニルアルコールが60〜80質量%、脂肪族ポリエステルが40〜20質量%である。
本発明の塩化ビニル系人工毛髪を製造する際には、適宜、熱安定剤、滑剤を添加することができる。本発明に使用する熱安定剤は、錫系熱安定剤、Ca−Zn系熱安定剤、ハイドロタルサイト系熱安定剤、エポキシ系熱安定剤、β−ジケトン系熱安定剤から選択される少なくとも1種の熱安定剤が好ましい。熱安定剤は、0.2〜5質量部使用するのが好ましく、さらに好ましくは1〜3質量部である。熱安定剤の添加量は、0.2質量部以上が、糸の着色抑制、ロングラン紡糸性の効果を十分に得られるため好ましく、また5質量部以下が経済的にも有利であり好ましい。
前記熱安定剤の添加により、紡糸時に樹脂の熱分解が防止されるため、繊維の色調が低下しない、安定して紡糸することができる(ロングラン紡糸性)などの効果を示す。前記ロングラン紡糸性とは、数日間にわたって紡糸工程を止めることなく安定して連続運転でき、繊維を生産できる性質のことである。ロングラン紡糸性が低い樹脂組成物は、運転開始後、比較的短時間のうちに、例えばプレートアウトなどで糸切れが起こり始めたり、ダイ圧が上昇し始めたりして、ブレーカプレートやノズルを交換、再スタートする必要があり、生産効率が悪い。前記繊維の色調の低下とは、紡糸時の繊維の初期着色のことである。
熱安定剤の中で、錫系安定剤としては、ジメチルスズメルカプト、ジメチルスズメルカプタイド、ジブチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカプトポリマー、ジオクチルスズメルカプトアセテートなどのメルカプト錫系熱安定剤、ジメチルスズマレエート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエートポリマーなどのマレエート錫系熱安定剤、ジメチルラウレート、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレートなどのラウレート錫系熱安定剤がある。Ca−Zn系熱安定剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどがある。ハイドロタルサイト系熱安定剤としては、例えば協和化学工業株式会社製のアルカマイザーなどがある。エポキシ系熱安定剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などがある。βジケトン系熱安定剤としては、例えば、ステアロイルベンゾイルメタン(SBM)、ジベンゾイルメタン(DBM)などがある。
本発明に使用される滑剤は、特に金属石鹸系滑剤、ポリエチレン系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、エステル系滑剤、高級アルコール系滑剤からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。該滑剤は、組成物の溶融状態、ならびに組成物と押出し機内のスクリュー、シリンダー、ダイスなどの金属面との接着状態を制御するために有効である。滑剤は塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.2〜5.0質量部使用するのが好ましい。さらに好ましくは1〜4重量部である。滑剤が0.2〜5.0質量部使用される時、紡糸時のダイ圧上昇が抑制され、吐出量が安定し、糸切れが起こりにくく、安定生産が可能になり、透明感のある繊維を得ることができ、好ましい。
金属石鹸系滑剤としては、例えば、Na、Mg、Al、Ca、Baなどのステアレート、ラウレート、パルミテート、オレエートなどの金属石鹸が例示される。高級脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、またはこれらの混合物などが例示される。高級アルコール系滑剤としては、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどが例示される。エステル系滑剤としては、アルコールと脂肪酸からなるエステル系滑剤やペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと高級脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、またはこれらの混合物などのペンタエリスリトール系滑剤やモンタン酸とステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコールとのエステル類のモンタン酸ワックス系滑剤が例示される。
本発明のポリ塩化ビニル系繊維を製造する際には、塩化ビニル系樹脂組成物に、目的に応じてさらに、例えば、加工助剤、艶消し剤、充填剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料などを使用することができる。
これらの中でも、品質を良くするため、具体的には柔軟な触感を得るためのエチレン−酢酸ビニル系(EVA)樹脂、例えば日本ユニカー(株)製のPES−250など、また押し出し加工性をさらに改善するためのアクリル系樹脂、例えば、(株)カネカ製のPA−20などは、添加するのがさらに好ましい。
本発明に使用する塩化ビニル系樹脂(A)は、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダーなどを使用して混合してなるパウダーコンパウンド、またはこれを溶融混合してなるペレットコンパウンドとして使用することが好ましい。該パウダーコンパウンドの製造は、ホットブレンドでもコールドブレンドでも製造でき、製造条件として通常の条件を使用できる。特に好ましくは、組成物中の揮発分を減少するために、ブレンド時のカット温度を105〜155℃迄上げてなるホットブレンドを使用するのが良い。該ペレットコンパウンドは、通常の塩化ビニル系ペレットコンパウンドの製造と同様にして製造できる。例えば、単軸押出し機、異方向2軸押出し機、コニカル2軸押出し機、同方向2軸押出し機、コニーダー、プラネタリーギアー押出し機、ロール混練り機などの混練り機を使用してペレットコンパウンドとすることができる。該ペレットコンパウンドを製造する際の条件は、特に限定はされないが、塩化ビニル系樹脂の熱劣化を防ぐため樹脂温度を185℃以下になるように設定することが好ましい。また該ペレットコンパウンド中に混入しうるワイヤブラシ等の掃除用具の金属片などの異物を取り除くために、目開きの細かいステンレスメッシュなどを混練り機内に設置できる。ペレットの製造にはコールドカット法を採用できる。コールドカットの際に混入し得る「切り粉」(ペレット製造時に生じる微粉)などを除去する手段を採用することが可能であるが、「切り粉」混入の少ないホットカット法を使用するのが好ましい。
また、前記塩化ビニル系樹脂組成物を繊維状の未延伸糸にする際には、例えば単軸押出し機、異方向2軸押出し機、コニカル2軸押出し機などを使用できるが、特に好ましくは、口径が35〜85mmφ程度の単軸押出し機または口径が35〜50mmφ程度のコニカル押出し機を使用するのが良い。口径が過大になると、押出し量が多くなり、またノズル圧力が過大になり、未延伸糸の流出速度が速過ぎて、巻き取りが困難になる傾向があり好ましくない。
本発明において溶融紡糸する際のノズル圧力は、500kg/cm2以下にする事が好ましい。該ノズル圧力が500kg/cm2を越えると、押出機のスラスト部に不具合を発生し易く、またターンヘッドやダイ等の接続部から「樹脂漏れ」を発生し易くなり好ましくない。ノズル圧力を低下するためには樹脂温度を高くする事で可能であるが、溶融紡糸の際の温度条件は樹脂温度を195℃以下で紡糸する事が好ましい。樹脂温度が195℃を越えるような条件で紡糸すると繊維の着色傾向が顕著となり、黄色味の強い繊維となり好ましくない。そのため押出機のシリンダー温度は140〜185℃程度とし、ダイやノズル温度は160〜190℃程度とする事が特に好ましい。
押し出された組成物をノズル直下に設けた加熱紡糸筒内(200〜400℃雰囲気で紡糸性の良い条件)で約0.5〜1.5秒熱処理し、引き取りロールによって紡糸して繊維状の未延伸糸とし、次に、延伸ロール間で110℃の熱風循環箱を通して3倍に延伸する。さらに110〜135℃に温度調整した箱の中に設置した2対の円錐形ロール間を引き回し、連続的に25〜40%程度の緩和処理を実施し、マルチフィラメントを巻き取ることで本発明の人工毛髪が製造される。
本発明においては、従来公知のノズルを用いて溶融紡糸することが可能であるが、触感などの品質を勘案すれば、1ケのノズル孔の断面積が0.5mm2以下のノズルをダイ先端部に取付けて行うのが好ましい。該断面積が0.5mm2を越えるノズルを使用すると、所望の未延伸糸の繊度を得るために高い温度で充分にコンパウンドを溶融して押出し、高い紡糸ドラフトで引取る必要が出てくる。それでは繊維表面が平滑になり過ぎてプラスチック的な滑り触感になり、人毛様のさらさらした触感が得られず好ましくない。1ケのノズル孔の断面積が0.5mm2以下のノズルを使用し、繊度が300デシテックス以下の未延伸糸を引取るのが好ましい。未延伸糸が300デシテックスを越えると、細繊度の繊維を得る為には延伸処理の際、延伸倍率を大きくする必要がある。そのため繊維表面が平滑になり過ぎてプラスチック的な滑り触感になり、人毛様のさらさらした触感が得られず好ましくない。
押出機より溶融押出された未延伸糸は、巻取り前に油剤を添付するのが一般的である。油剤添付の方法としては公知の方法が採りうる。すなわち油剤槽に一部浸漬して回転するロールに接触させる事で、ロール表面の油剤を添付させるタッチロール方式や、油剤槽を潜らせるディップ方式、ギアポンプで一定量の油剤を常時ノズルに送り、そのノズルに未延伸糸を接触させる事で、送られてきた油剤全てを添付するギアポンプ方式等がある。本発明では油剤付着量の定量性が求められるので、定量性が良くコントロールし易いギアポンプ方式を採るのが望ましい。添付する油剤は、繊維のまとまりや櫛通り性を付与するポリエーテル系油剤、合成エステル油や鉱物油、シリコン系油剤から、また静電気発生を防ぐ各種制電剤の中から、目的に応じて適宜適当な割合で混合使用する。本法での好ましい油剤組成は、集束性をもたらすポリエーテル系油剤や合成エステル油、鉱物油の割合を50重量%以上とし、カチオン系制電剤を数重量%混合したものである。未延伸糸に添付する油剤量は、後の延伸熱処理で脱落や熱分解して減量するのが通常なので、延伸熱処理後の人工毛髪用ポリ塩化ビニル系繊維の油剤付着量がポリ塩化ビニル系繊維に対し0.05重量%〜0.3重量%になる様に調節する。さらに好ましくは0.1重量%〜0.2重量%の付着量になる様に未延伸糸への付着量を調節する。油剤はその成分により程度の差は有るが、加熱下ではポリ塩化ビニル繊維を可塑化する効果があると考えられる。ゲル化の度合いが錫系熱安定剤に比べてハイドロタルサイト系やCa−Zn系熱安定剤では少ないので、油剤付着量が多いと加熱下で可塑化効果があり、特に収縮率を多く残したポリ塩化ビニル系繊維では、触感を硬くする作用があるものと考えられる。
ポリ塩化ビニル系人工毛髪への油剤付着量が0.05重量%より少ないと、繊維のまとまりや櫛通り性、制電性が不充分となる。繊維が散って外観が良くなく、櫛を通した時スムースに櫛が通らず、静電気も発生し易くなる。油剤付着量が0.3重量%を超えると、人工毛髪の触感がべたついたり、幾つかの集合体に別れて(スダレ)外観が不自然となる。
前記溶融紡糸で得られた未延伸糸に、公知の方法で延伸処理・熱処理を施して、100デシテックス以下の細繊度の繊維にする事ができる。頭髪装飾用の繊維としては25〜100デシテックスの範囲が特に好ましい。100デシテックスを越えると触感が剛くなり、人毛の様な柔か触感が得られ難い。また人形用頭髪の繊維としては10〜65デシテックスの範囲が特に好ましい。
延伸処理条件としては延伸処理温度70〜150℃の雰囲気下で、延伸倍率は200〜450%程度延伸する事が特に好ましい。延伸処理温度が70℃未満であると、繊維の強度が低くなると共に糸切れを発生し易く、150℃を越えると、繊維の触感がプラスチック的な滑り触感になると共に糸切れもまた発生し易い傾向があり好ましくない。また延伸倍率が200%未満であると繊維の強度発現が不十分となり易く、450%を越えると延伸処理時に糸切れを発生し易く好ましくない。
さらに延伸処理を施した繊維に熱処理を施して、0〜75%の緩和率で繊維を緩和処理することにより、熱収縮率を低下させるのが好ましい。
本発明に関わるポリ塩化ビニル系人工毛髪の製品としては、細繊度の繊維が複数本集まったマルチフィラメントの状態で、連続的にボビンに巻き取られた形態や、マルチフィラメントが100〜200というかなりの数集合して、束状になったトウで箱詰めされた形態でも良い。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例および比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
塩化ビニル系樹脂:(株)カネカ製、重合度(P)=400、600、1000、1700、2000
ハイドロタルサイト系熱安定剤:協和化学工業(株)製、商品名:アルカマイザー−1
混合滑剤:理研ビタミン(株)製、商品名:TG−12、リケスターEW100、コグニスジャパン製、商品名:ロキシオールG70、三井化学(株)製、商品名:ハイワックス4202E、日本油脂(株)製、ステアリン酸、(混合比)TG−12/リケスターEW100/ロキシオールG70/ハイワックス4202E/ステアリン酸=6/1/3/1/2
加工助剤:(株)カネカ製、商品名:カネエースPA101
繊維処理剤:松本油脂製薬(株)製、商品名:ウーポールU(PO/EOランダムポリエーテル)、シリコンソフナー、エフコール72
(カールセット性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、120℃、相対湿度100%で60分間のスチーム加工条件でカールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、カールの状態を目視評価する。これをカールの付きやすさの指標とし、長さが短く、形良くカールが付いているものが好ましい。
◎:長さが短く、形良くカールが付いている
○:形良くカールが付いている
△:若干カールが伸びている
×:カールが伸びて、形が崩れている
(カール保持性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、100〜180℃の各温度で60分間カールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、初期のフィラメント長、7日後までのフィラメント長の経時変化を調べた。
[伸長率(%)]=[(7日間静置した後の長さ)−(初期の長さ)]/(初期の長さ)
◎:7日後の伸長率が10%未満である
○:7日後の伸長率が10〜20%未満である
△:7日後の伸長率が20〜40%未満である
×:7日後の伸長率が40%以上である
(触感)
人毛との比較で官能評価を行ない、4段階で評価した。
◎:人毛と同等のしっとり感がある
○:人毛に似たしっとり感がある
△:人毛に比べしっとり感が少ない
×:人毛に比べ硬い風合い
(製造例1〜3)
鹸化度98.5モル%のポリビニルアルコール(重合度550)の粉末とε−カプロラクトンとを、表1に示す混合比でテトラブチルチタネート触媒とともに撹拌機付き反応容器に仕込み充分に混合し、窒素気流下に攪拌しながら1℃/2分の間隔で昇温した。150〜160℃に達するとこれまでの不均一系が徐々に均一系になり、180〜200℃では完全均一系となった。200〜220℃で6時間反応させ、脂肪族ポリエステルがグラフトしたポリビニルアルコール系共重合体を得た。得られた各共重合体を、DMFの5%溶液としてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を算出した。
Figure 2010100966
(実施例1〜7、比較例1〜6)
表2に示す比率で混合された塩化ビニル系樹脂組成物7kgを20リットルヘンシェルミキサーに投入し、材料の温度が120℃になるまで撹拌混合を行ない、ヘンシェルミキサーのジャケットに冷却水を通して材料の温度が60℃になるまで冷却し、パウダー状の塩化ビニル系樹脂コンパウンドを作製した。得られたコンパウンドを用い、φ30mm単軸紡糸機に、孔断面積0.064mm2、孔数120のノズルを取り付け、シリンダー温度140〜190℃、ノズル温度180±15℃の範囲で溶融紡糸し、紡出したマルチフィラメントをノズル直下に設けた加熱紡糸筒内(300℃の雰囲気下)で0.5〜1秒間熱処理し、生成した未延伸糸を引き取りロールによって、延伸工程に送った。引き取りロールの直前で未延伸糸に対し、油剤を最終製品(延伸・熱処理終了後)質量に対して、油剤付着量(純分)が0.01〜0.1質量%になるように添付した。油剤の添付は、セラミック製ノズルを設置し、ギアポンプで常に一定量の油剤液(松本油脂製薬(株)製、ウーポールU:PO/EOランダムポリエーテル/シリコンソフナー/エフコール72=95/2.5/2.5の重量比で混合)を送ってスリット状開口部に未延伸糸を接触させて付着せしめた。次に、未延伸糸を引き取りロールと延伸ロールとの間にある110℃の熱風循環槽を通して、240%に延伸した。さらに110℃に温度調整した箱の中に設置した2対の円錐形ロール間を引き回し、連続的に約30%緩和処理を実施し、単糸繊度が75dtexになるようにマルチフィラメントを巻き取り、ポリ塩化ビニル系繊維を得た。
Figure 2010100966
得られたポリ塩化ビニル系繊維の、カールセット性、カール保持性、触感を評価した結果を表3に示す。
Figure 2010100966
実施例で示したように、本発明の人工毛髪は、いずれも、カールセット性、カール保持性に優れ、また、触感にも優れていることがわかる。一方、本発明の範囲外である比較例に示した人工毛髪は、いずれも、カールセット性、カール保持性、触感を兼ね備えたものが得られていないことがわかる。
以上のことから、本発明の人工毛髪用ポリ塩化ビニル系繊維は、カールセット性、カール保持性に優れ、しっとりした人毛に近似した触感を有するものであり、頭髪商品に適していることがわかる。

Claims (9)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂(A)100質量部に対し、ビニルアルコールユニットと脂肪族エステルユニットから構成されるポリビニルアルコール系共重合体(B)10〜50質量部を含有し、ポリ塩化ビニル系樹脂(A)の粘度平均重合度が450〜1800であり、ポリビニルアルコール系共重合体(B)に含まれるビニルアルコールユニットと脂肪族エステルユニットの比率が、質量比で、ビニルアルコールユニット/脂肪族ポリエステルユニット=90/10〜40/60である、ことを特徴とするポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  2. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂(A)が、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−エチレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブチルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチルヘキシルコポリマー樹脂、および、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂である請求項1に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  3. ポリビニルアルコール系共重合体(B)が、ポリビニルアルコールに脂肪族ポリエステルがグラフトされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  4. 前記ポリビニルアルコールの鹸化度が、60モル%以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  5. 前記脂肪族ポリエステルが、ε−カプロラクトン類および/またはδ−バレロラクトン類の開環重合体である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  6. 前記脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビニルアルコール系共重合体の分子量が、10,000〜500,000である請求項1〜5のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪用繊維を含むことを特徴とする人工毛髪。
  8. 請求項7に記載のポリ塩化ビニル系人工毛髪を加工してなる頭飾製品。
  9. 前期頭飾製品が、ウィービング、ウィッグ、ヘアーエクステンションまたはヘアアクセサリーである請求項8記載の頭飾製品。
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