JPH11117122A - 塩化ビニル系繊維の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系繊維の製造方法

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JPH11117122A
JPH11117122A JP27536497A JP27536497A JPH11117122A JP H11117122 A JPH11117122 A JP H11117122A JP 27536497 A JP27536497 A JP 27536497A JP 27536497 A JP27536497 A JP 27536497A JP H11117122 A JPH11117122 A JP H11117122A
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mesh
vinyl chloride
resin
screen
fiber
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JP27536497A
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Kazumasa Yamane
一正 山根
Hiroshi Yokoyama
浩 横山
Ikuro Okino
育郎 沖野
Yuji Kubo
勇治 久保
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融紡糸時の「糸切れ」を防止し、長時間に亘
って安定的に延伸処理を可能とする塩化ビニル系繊維の
製造方法を提供する 【解決手段】塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物
を溶融紡糸して繊維を製造するに際し、目開き200メ
ッシュ以下のスクリーンメッシュを用いることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、かつら、ヘア・ピ
ース、ブレード、エクステンションヘアー、アクセサリー
ヘアーなどの頭髪装飾用に用いられる人工毛髪、あるい
はドールヘアーなどの人形用頭髪繊維などとして使用さ
れる塩化ビニル系繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂を紡糸して繊維状にし
てなる塩化ビニル系繊維は、その優れた強度、伸度、カー
ル保持性、スタイル性などの故に、頭髪装飾用などの人工
毛髪用繊維として、あるいはドールヘアーなどの人形用
頭髪繊維として多量に使用されている。
【0003】従来、頭髪装飾用などの人工毛髪用繊維と
して、10〜100デニール程度の細繊度の繊維を工業
的に製造するには、一般的には、塩化ビニル系樹脂に対す
る溶媒を使用する湿式紡糸法、または、乾式紡糸法によっ
て、細繊度の塩化ビニル系繊維を製造する方法が工業的
に実施されている。しかしながら、該方法は、溶媒を使用
するが故に、脱溶媒工程を必要とし、過大な設備投資が必
要であり、その設備の維持・管理にも多数の人手を必要と
するという問題点がある。また、溶媒に対する溶解性を
向上するべく、アクリロニトリルなどのコモノマーを共
重合する為、繊維の初期着色性に弱点があり、乾燥工程で
の熱によって、黄色味の強い毛髪になり易いという問題
点、あるいは、繊維のカール保持性が充分でないなどの問
題点がある。
【0004】一方、溶媒を使用しない紡糸方法として、溶
融紡糸法が知られており、塩化ビニル系樹脂を主成分と
する各種配合系にて、溶融紡糸による人工毛髪用繊維を
製造する方法が工業的に実施されている。 溶融紡糸法を大別すると、比較的大きな断面積のノズル
孔からストランドを押出し、紡糸ドラフト比を大きくと
って細繊度の未延伸糸とし、これに延伸・緩和処理を施
して繊維とする方法。または、比較的小さな断面積のノ
ズル孔からストランドを押出し、紡糸ドラフト比をなる
べく小さくして未延伸糸とし、これに延伸・緩和処理を施
して繊維とする方法等がある。
【0005】前者は、紡糸ドラフト比を大きくする為、
未延伸糸が引き伸ばされた状態になり光沢のある表面の
繊維を得るのに適している。逆に、後者は、光沢がない
か、または光沢の少ない表面の繊維を得るのに適してい
る。 いずれの方法であっても、押出機内で塩ビ系組成物を溶
融し、ターンヘッドを介してノズル部に供給し、ノズル孔
からストランドを流出せしめ、これを引取ロールに引取
って、未延伸糸とするが、この未延伸糸引取りの際、大き
な張力がかかる為、「単糸切れ」を発生し易く、この「単糸
切れ」の頻度を少なくすることが溶融紡糸法にて塩化ビ
ニル系繊維を製造する際の極めて大きな課題であった。
また、紡糸の際に「単糸切れ」を発生している様な未延伸
糸は、次工程である延伸処理の際にも、次々と「単糸切れ」
を発生し、切れた単糸が次々と延伸ロールに巻き付き、繊
維(延熱糸)を得ることが困難となる。
【0006】この「単糸切れ」には、塩ビ系樹脂組成物の
溶融状態、ノズル孔先端状態、ストランドの流出状態、ノ
ズル先端から引取ロールまでの「糸泳ぎ」の状態など種々
の要因が複雑に絡み合っていると考えられ、十分には解
析されていない。この為、塩ビ系樹脂組成物にポリメチル
メタクリレート系加工助剤を添加して「曳糸性」を改良す
る方法、あるいは、可塑剤を添加する方法、エチレン−酢
酸ビニル系樹脂を添加する方法、塩素化ポリエチレン系
樹脂を添加する方法、ウレタン系樹脂を添加する方法な
どが提案されている。しかしながら、工業生産の様に、長
時日に亘る「単糸切れ」の防止には、塩ビ系組成物の改良
だけでは不十分であり、さらなる改良が必要とされてい
た。また、配合処方を変更するとそれに伴って繊維の特
性が変化し、人工毛髪用繊維として十分な性能を発揮で
きない場合があり、人手に頼った生産が為されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、「単糸
切れ」に伴うトラブルをなくし、長時日に亘って安定的に
生産可能な塩化ビニル系繊維の製造方法を提供すること
にある。すなわち、溶融紡糸時の「単糸切れ」を防止し、引
取ロールへの巻き付きトラブルをなくし、長時日に亘っ
て安定的に溶融紡糸を可能とすること並びに延伸処理時
の「単糸切れ」を防止し、延伸ロールへの巻き付きトラブ
ルをなくし、長時日に亘って安定的に延伸処理を可能と
することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、上記課題を
解決するべく、組成物の配合系のみならず、紡糸工程、延
伸工程に於ける断糸部の状態を検討した結果、本発明を
完成するに至ったものである。すなわち本発明は塩化ビ
ニル系樹脂を主体とする樹脂組成物を溶融紡糸して繊維
を製造するに際し、目開き200メッシュ以下のスクリ
ーンメッシュを用いることを特徴とする塩化ビニル系繊
維の製造方法である。前記スクリーンメッシュは、溶融
押し出し機とダイ装置の間に設置することが好ましく、
また目開き200メッシュ以下の金網を2枚以上組み合
わせて内層スクリーンを構成し、該内層スクリーンに更
に目開き100〜80メッシュの金網で挟むように設置
することを特徴とする組合せスクリーンメッシュを使用
することもできる。
【0009】前記塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組
成物としては、粘度平均重合度650〜1650の塩化
ビニル系樹脂100〜60重量%と塩素化塩化ビニル系
樹脂0〜40重量%からなる塩ビ系混合物100重量部
に対して、エチレン−酢酸ビニル系樹脂2〜35重量部
及び/またはウレタン系樹脂2〜35重量部を含有して
なる塩ビ系樹脂組成物を使用するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明でいう塩化ビニル系樹脂を
主体とする樹脂組成物とは、塩化ビニル系樹脂を主体と
し、これに公知の配合剤、等を適宜配合してなる塩ビ系樹
脂組成物を意味し、前記配合剤の種類や量などは特に限
定なく適宜選択して用いることができる。
【0011】本発明でいう塩化ビニル系樹脂とは、従来
公知の塩化ビニルの単独重合物であるホモポリマー樹
脂、または従来公知の各種のコポリマー樹脂であり、特
に限定されるものではない。該コポリマー樹脂として
は、従来公知のコポリマー樹脂を使用でき、塩化ビニル
−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピオン
酸ビニルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとビニルエス
テル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸ブ
チルコポリマー樹脂、塩化ビニル−アクリル酸2エチル
ヘキシルコポリマー樹脂などの塩化ビニルとアクリル酸
エステル類とのコポリマー樹脂、塩化ビニル−エチレン
コポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポリマー樹
脂などの塩化ビニルとオレフィン類とのコポリマー樹
脂、塩化ビニル−アクリロニトルコポリマー樹脂などが
代表的に例示される。
【0012】前記塩化ビニル系樹脂の粘度平均重合度
は、450〜1800であることが望ましい。450未
満であると、繊維の特性、特に熱収縮率、カール保持
性、艶状態などが劣ったものになり好ましくない。逆
に、1800を越えると、溶融粘度が高くなるため好ま
しくない。これら成形加工性と繊維特性とのバランスか
ら、塩化ビニル単独樹脂を使用する場合は、粘度平均重
合度が650〜1450の範囲が好ましく、塩化ビニル
コポリマー樹脂を使用する場合は、粘度平均重合度が6
50〜1650の範囲が特に好ましい。
【0013】本発明でいう塩素化塩化ビニル系樹脂と
は、塩化ビニル系樹脂を原料とし、これに塩素を付加反
応せしめ、塩素含有量高めたものを用いることができる
が、特に塩素含有量は58〜72%に高めたものを使用
するのが好ましい。前記塩化ビニル系樹脂と塩素化塩化
ビニル系樹脂との混合割合は、(塩化ビニル系樹脂/塩
素化塩化ビニル系樹脂)=(100〜60重量%/0〜
40重量%)とすることが好ましい。前記塩化ビニル系
樹脂が60重量%未満であると塩素化塩化ビニル系樹脂
が過剰となるため、溶融粘度が高くなり、溶融紡糸時の
ノズル圧力が高くなって、安全操業が困難になるので好
ましくない。尚、塩化ビニル系樹脂の比率が高い場合に
は、熱収縮率の高い繊維になる傾向があり、目的に応じ
て、使用比率は適宜変更して用いるのが好ましい。
【0014】本発明でいう溶融押し出し機とは、溶融紡
糸に一般的に用いられる押し出し機を意味し、従来公知
の溶融押出機を使用できる。例えば、単軸押出機、異方
向2軸押出機、コニカル2軸押出機などを使用できる。
また本発明でいうスクリーンとは、粉体をふるい分けす
るために用いられる金網等を意味し、混入する異物の除
去ができるものや、せん断効果のあるものが好ましく、
本発明に於いては、目開き200メッシュ以下(タイラ
ー標準ふるいによる呼称で、200メッシュは、JIS
74μに相当するので、74μm以下の小さい目開きの
ものを意味する)のスクリーンメッシュが好ましい。ま
た、ダイ装置とは、通常押し出し機の先端に設置される
金型、接続アダプターなどの総称であり、パイプ、チュ
ーブなどの製造に使用されているダイ装置と同様な構造
のダイ装置も用いることができる。また溶融樹脂を紡糸
筒に導くためには、溶融樹脂の通過する配管を90°前
後の角度でL字状に変形させ、溶融樹脂の流れ方向を鉛
直方向に変える為のターンヘッドなどのダイ装置も用い
ることができる。
【0015】前記、ダイ装置と溶融押し出し機との間
に、目開き200メッシュ以下のスクリーンメッシュを
設置するのが好ましく、例えば、押し出し機のスクリュ
ー先端とダイ装置との間にブレーカープレートを設置し
て、そのブレーカープレートにスクリーンメッシュを固
定して使用するのが、より好ましい。前記目開きが20
0メッシュを超える(74μmよりも目開きの大きいも
の)と溶融樹脂の均一性が低下し、単糸切れ改良効果が
不充分となり好ましくない、また通常目開き200メッ
シュ以下の金網は、柔らかい為、それ単独ではブレーカ
ーに固定できない傾向がある。このため、これを固定す
る為の支持金網として目開き80〜100メッシュ程度
の金網を用いて内層スクリーンを挟むように設置固定し
た組み合わせスクリーンを用いてブレーカー部に設置す
るのがより好ましい。
【0016】さらに、目開き200メッシュ(以下、目
開きはという記載は省略する。)以下の金網を2枚以上
組み合わせて内層スクリーンを構成すると、「単糸切れ」
改良効果は、著しくレベルアップする。特に好ましくは、
200〜250メッシュの2枚の金網の間に、250〜
350メッシュの金網を挿入し、3枚構成の内層スクリ
ーンとし、これを支持金網で挟むように設置した組合せ
スクリーンを使用すると本発明の効果がさらに顕著であ
る。 前記スクリーンメッシュに用いる素材としては、特に制
限はないが、溶融樹脂によって腐蝕されない性質のも
の、或いは押し出し機からかかる圧力に耐えうる材質が
好ましい、例えば、ステンレス鋼などが特に好ましい。
【0017】前記のように、200メッシュ以下のスク
リーンメッシュを用いると「単糸切れ」などの工程トラ
ブルが減少するのであるが、その理由は、おおよそ次の
様に推定される。すなわち、原料樹脂に配合した各種配
合剤で、例えば顔料の様に比較的粒子の大きいものは溶
融樹脂に均一に分散しておらず、この不均一な分散粒子
が凝集して、単糸切れを起こしやすいと考えられてお
り、200メッシュ以下の金網によって、押出機内部に
於ける溶融物の均一性(大きい粒子が剪断応力を受けて、
分散がレベルアップした)が増した為、「単糸切れ」が減少
したと考えられる。
【0018】本発明に於いては、主たる目的として、組成
物のゲル化・溶融性を調節し、均一で適度な溶融状態を
もたらし、また適度なノズル圧力に調節効果のある樹脂
や、可塑剤、熱安定剤、等を適宜使用することができ
る。中でも繊維の柔軟性を高め、触感を調節する効果の
ある樹脂として、エチレンー酢酸ビニル系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが挙げられる
が、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、及び/またはウレタ
ン系樹脂を用いると、より本発明の効果が顕著である。
【0019】本発明でいうエチレン−酢酸ビニル系樹脂
(以下、EVA系樹脂と略記する。)とは、従来公知の
酢酸ビニル含有量が20〜65重量%のエチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂、さらに極性基としてカルボニル基を
導入してなるエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂からな
るEVA系樹脂、またはこれらのEVA系樹脂に塩化ビ
ニルをグラフト重合してなるEVA−塩化ビニルグラフ
トポリマー樹脂などを用いることができる。前記EVA
系樹脂の使用量が2重量部未満となると、繊維柔軟性改
良効果が希薄になるばかりでなく、ゲル化・溶融性調節
機能が低下し、ノズル圧力が上昇したりして安全な生産
が困難になる。逆に35重量部を越えると、組成物のゲ
ル化・溶融性調節機能が大きく低下し、不均一なゲル化
・溶融状態になり、好ましくない。
【0020】本発明でいうウレタン系樹脂とは、従来公
知の1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールな
どのジオール類とアジピン酸などの二塩基性酸からなる
ポリエステルポリオールとトルレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネ
ート類との反応によって得られるポリエステルポリウレ
タンまたは該ポリエステルポリウレタンに塩化ビニルを
クラフト重合してなるウレタン-塩化ビニルグラフトポ
リマー樹脂を意味する。ウレタン-塩化ビニルグラフト
ポリマー樹脂は、水性媒体中で、塩化ビニルを懸濁重合ま
たは乳化重合する際、熱可塑性ポリウレタン樹脂を重合
系に添加して、重合を進めることによって容易に得られ
る。該樹脂は、溶媒による分別により、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂成分、ポリ塩化ビニル樹脂成分および熱可塑性
ポリウレタン樹脂成分に塩化ビニルが化学的に結合して
なる熱可塑性ポリウレタン-塩化ビニルグラフトポリマ
ー成分の混合物である。
【0021】前記ウレタン系樹脂の使用量が2重量部未
満となると、組成物系との相溶性が低下し、ゲル化・溶
融性調節機能が低下する傾向にあり好ましくない、また
35重量部を越える場合も前記と同様の理由で好ましく
ない。特に、粘度平均重合度が650〜1650の塩化
ビニル樹脂100〜60重量%と塩素化塩化ビニル樹脂
0〜40重量%からなる塩ビ系混合物に、繊維柔軟性改
質剤として、EVA系樹脂および/またはウレタン系樹
脂を、2〜35重量部配合してなる塩ビ系樹脂組成物が
より好ましい。
【0022】本発明に使用する熱安定剤は従来公知のも
のが使用できるが、中でも錫系熱安定剤、Ca-Zn系
熱安定剤、ハイドロタルサイト系熱安定剤、ゼオライト
系熱安定剤から選択される1種または2種以上の熱安定
剤を0.2〜5.0重量部使用するのが好ましい。該熱安
定剤は、成形時の熱分解、ロングラン性、繊維の色調を
改良する為に使用するもので、特に好ましくは、紡糸時
のノズル周囲に発生するスケール(以下、ノズル目脂と
略記する。)発生量の比較的少ない錫系熱安定剤が良
く、中でもメルカプト錫系熱安定剤、マレエート錫系熱
安定剤、ラウレート錫系熱安定剤から1種または2種以
上を使用するのが良い。例えば、ジメチルスズメルカプ
ト、ジブチルスズメルカプト、ジオクチルスズメルカプ
トなどのメルカプト錫系熱安定剤、ジメチルスズマレエ
ート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエ
ート、ジオクチルスズマレエートポリマーなどのマレエ
ート錫系熱安定剤、ジメチルスズラウレート、ジブチル
スズジラウレート、ジオクチルスズラウレートなどのラ
ウレート錫系熱安定剤が例示される。
【0023】本発明に於いては、目的に応じて公知の配
合剤、例えば、滑剤、加工助剤、強化剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、充填剤、難燃
剤、顔料などを使用することができる。また、場合によ
っては、発泡剤、架橋剤、粘着性付与剤、親水性付与
剤、導電性付与剤、香料など特殊な配合剤を適宜使用す
ることも可能である。
【0024】本発明に使用する塩ビ系樹脂組成物は、従
来公知の混合機、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパー
ミキサー、リボンブレンダーなどを使用して混合してな
るパウダーコンパウンド、またはこれを溶融混合してな
るペレットコンパウンドとして使用することができる。
該パウダーコンパウンドの製造は、従来公知の通常の条
件で製造でき、ホットブレンドでもコールドブレンドで
も良いが、特に好ましくは、組成物中の揮発分を減少す
る為に、ブレンド時のカット温度を105〜155℃迄
上げてなるホットブレンドを使用するのが好ましい。該
ペレットコンパウンドは、通常の塩化ビニル系ペレット
コンパウンドの製造と同様にして製造できる。例えば、
単軸押出機、異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機、同
方向2軸押出機、コニーダー、プラネタリーギアー押出
機、ロール混練り機などの混練り機を使用して、ペレット
コンパウンドとすることができる。該ペレットコンパウ
ンドを製造する際の条件は、特に限定はされないが、樹脂
温度を185℃以下になる様に設定することが望まし
い。
【0025】本発明に於いて、上記塩ビ系組成物を溶融
紡糸する際の温度条件は、樹脂温度を195℃以下で紡
糸することが好ましい。195℃を越えた温度で紡糸す
ると繊維の着色傾向が顕著となり、黄色味の強い繊維と
なり好ましくない。その為、シリンダー温度を150〜1
85℃程度とし、ダイ温度を160〜190℃程度とす
ることが特に好ましい。延伸処理条件としては、延伸処
理温度70〜150℃の雰囲気下で、延伸倍率は、200
〜450%程度延伸することが特に好ましい。延伸処理
温度が70℃以下であると繊維の強度が低くなると共
に、糸切れを発生し易く、150℃以上であると、触感性
に劣った繊維となり好ましくない。また、延伸倍率が20
0%以下であると繊維の強度発現が不十分となり、45
0%以上であると延伸処理時に、糸切れを発生し易く好
ましくない。
【0026】本発明に於いては、従来公知の溶融紡糸に
関わる技術、例えば、各種ノズル断面形状に関わる技術、
加熱筒に関わる技術、延伸処理に関わる技術、熱処理に関
わる技術などは、自在に組み合わせて使用することが可
能である
【0027】
【実施例】次に、実施例をあげて、本願発明のさらに詳細
な態様を明らかにするが、本願発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。 尚、表中の組成物等は次の様に略記する。 塩化ビニル系樹脂:「PVC」、塩素化塩化ビニル系樹
脂:「CPVC」、粘度平均重合度:「M」。また表
2、4における、組成物での配合剤の数値は、PVCと
CPVCの合計=100重量部に対する各配合剤の重量
部を表すものである。
【0028】(実験1〜5)塩ビ系混合物100重量部
が4Kgになる様に計量し、次いで、表2に示す配合剤を
それぞれ計量して、20Lのヘンシェルミキサーに投入
し、撹拌しながら、内容物の温度が125℃になる迄、撹
拌・混合した。その後、冷却水をヘンシェルミキサーのジ
ャケットに流しながら撹拌・混合を続け、内容物の温度が
75℃になる迄、冷却して、塩ビ系パウダーコンパウンド
を得た。該パウダーコンパウンドを表1に示す条件にて、
溶融紡糸・延伸・熱処理実験に供した。尚、スクリーンメ
ッシュは、ステンレス製のものを用い、溶融押し出し機
の先端部とダイの間(図1の符号5に示す位置)に設置
した。メッシュの構成は、実験10(比較例)を除き、
支持金網として、80メッシュの金網を2枚使用し、本
発明のスクリーンメッシュを挟む形で使用した。尚、本
発明のスクリーンメッシュは、表2、表4に示したメッ
シュサイズの組み合わせとした。該メッシュの構成は、
例えば実験1の場合は前記80メッシュの金網2枚で2
00メッシュの金網を1枚挟んで支持する構成している
ことを意味し(図2に例示)、実験2の場合は、200
メッシュの金網を2枚を挟む構成であり、また、実験3
の場合は、200メッシュ、300メッシュ、200メ
ッシュの順で1枚ずつが前後の80メッシュ金網に挟み
込まれた構成を意味する。一方実験10においては、8
0メッシュの支持金網を使用せず150メッシュのスク
リーンメッシュのみ4枚を使用した。
【0029】
【表1】
【0030】溶融紡糸実験は、定常状態になってから、ス
クリュー回転数と押出量の関係を求め、押出量が7.2K
g/Hrsになる様にスクリュー回転数を決定した。ノズ
ル圧力は、ダイ圧計をノズル部に設置して測定した。鉛直
方向に、ノズルから溶融・流出したストランドを加熱紡糸
筒に導入し、ここで該ストランドを瞬間的に加熱溶解し、
ノズル直下約3mの位置に設置した引取機にて、未延伸
糸を一定速度で巻き取った。この際、該未延伸糸の繊度が
約168デニール程度になる様に引取速度を調節した。
【0031】(紡糸時の単糸切れ発生状況評価)上記紡
糸条件にて、48時間のロングラン紡糸実験を行い、その
間の単糸切れの発生状況を目視観察し、次の様に評価し
た。 ◎・・・・・・0〜1本/48時間 ○・・・・・・2〜4本/48時間 △・・・・・・5〜15本/48時間 前記未延伸糸を延伸・熱処理機に導入し、延伸処理、次い
で、熱緩和処理を行い、延伸糸を製造した。この際、熱緩和
処理は、30%緩和に固定し、延伸処理は、最終の延伸糸
の繊度が、約68デニール程度になる様に延伸倍率を若
干調整した。
【0032】(延伸・熱処理時の単糸切れ発生状況評
価)上記条件にて、延伸・熱処理実験を8時間実施し、こ
の間に発生する単糸切れの発生状況を目視観察し、次の
様に評価した。 ◎・・・・・・0〜1本/8時間 ○・・・・・・2〜4本/8時間 △・・・・・・5〜15本/8時間 (延伸糸の熱収縮率評価)前記延伸糸を引張試験、熱収
縮試験に供し、強度および熱収縮率を求めた。尚、延伸糸
の熱収縮率の測定は、100℃の雰囲気温度で、25分熱
収縮させ、計算は、次の様に行なった。 (熱処理前の延伸糸長−熱処理後の延伸糸長)/熱処理
前の延伸糸長さ×100=熱収縮率(%) 評価結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】実験1〜5の比較から判る様に、48時間
に亘るロングラン紡糸実験を行い、この間の単糸切れ状
況を観察した結果、200メッシュ以下のスクリーンを
使用することにより、紡糸時の単糸切れが極端に減少す
ると共に、延伸処理時の単糸切れも大幅に減少する。と
くに、内層スクリーンを200〜250/250〜35
0/200〜250メッシュの構成にすると、単糸切れ
が皆無に近くなり、本発明の効果が顕著である。また、得
られる繊維の強度特性は、従来の繊維より強くなり、他の
特性は従来の繊維の特性と同等であった。
【0035】(実験6〜10)実験1〜5と同様、塩ビ
系混合物100重量部が4Kgになる様に計量し、次い
で、表4に示す配合剤をそれぞれ計量して、20Lのヘ
ンシェルミキサーに投入し、撹拌しながら、内容物の温度
が105℃になる迄、撹拌・混合した。その後、冷却水をヘ
ンシェルミキサーのジャケットに流しながら撹拌・混合
を続け、内容物の温度が70℃になる迄、冷却して、塩ビ
系パウダーコンパウンドを得た。該パウダーコンパウン
ドを表3(ペレット条件)に示した条件にて、ペレット
コンパウンドとし、表1(紡糸条件)と同様の条件にて、
溶融紡糸実験に供した。
【0036】
【表3】
【0037】該ペレットコンパウンドを表1と同様の条
件にて、溶融紡糸実験を行った。溶融紡糸実験は、定常状
態になってから、スクリュー回転数と押出量の関係を求
め、押出量が6.8Kg/Hrsになる様に、スクリュー回
転数を決定した。ノズル圧力は、ダイ圧計をノズル部に設
置して測定した。鉛直方向に、ノズルから溶融・流出した
ストランドを加熱紡糸筒に導入し、ここで該ストランド
を瞬間的に加熱溶解し、ノズル直下、約3mの位置に設置
した引取機にて、未延伸糸を一定速度で巻き取った。こ
の際、該未延伸糸の繊度が約168デニール程度になる
様に引取速度を調節した。また、その他の紡糸条件、延伸
条件などは、実験1〜5に示した方法と同様に行い、評価
方法なども実験1〜5に示した方法と全く同様に行なっ
た。評価結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】実験6〜10の比較から判る様に、配合系
を変更し、48時間に亘るロングラン紡糸実験を行い、こ
の間の単糸切れ状況を観察した結果、実験1〜5で得ら
れた結果と同様に、200メッシュ以下のスクリーンを
使用することにより、紡糸時の単糸切れが極端に減少す
ると共に、延伸処理時の単糸切れも大幅に減少する。25
0メツシュの枚数を増やすと顕著な効果が得られるこ
と、また、特に内層スクリーンを200〜250/250
〜350/200〜250メッシュの構成にすると、単
糸切れが皆無に近くなり、本願発明の効果が顕著であ
る。また、得られる繊維の強度特性は、従来の繊維より強
くなり、他の特性は従来の繊維の特性と同等であった。
【0040】
【発明の効果】以上の様に、溶融紡糸法にて塩化ビニル
系繊維を製造するに際し、200メッシュ以下のスクリ
ーンメッシュを用いることによって、紡糸時あるいは延
伸処理時の「単糸切れ」を大幅に減少でき、長時間に亘
って安定的に紡糸、延伸処理ができる様になり、生産性
を高める効果は非常に大である。しかも、配合変更など
による「単糸切れ」改良と異なり、繊維の品質・特性に
は影響を及ぼさずに生産することが可能であるのみなら
ず、溶融樹脂の均一性が向上し、繊維の強度も高くなる
という効果も得られ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクリーンメッシュを押し出し機
に設置した例の概略図である。
【図2】本発明に係るスクリーンメッシュをブレーカー
プレートに取り付ける際の構成例を示した図である。
【符号の説明】
1.押し出し機本体、 2.押し出し機のスクリュー部、 3.ブレーカープレート、 4.ダイ装置(ターンヘッドダイ)、 5.スクリーンメッシュ、 6.溶融樹脂の流路、 7.内層スクリーンの支持用の金網、 8.内層スクリーン、 9.内層スクリーンの支持用の金網。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物
    を溶融紡糸して繊維を製造するに際し、目開き200メ
    ッシュ以下のスクリーンメッシュを用いることを特徴と
    する塩化ビニル系繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】前記スクリーンメッシュを、溶融押し出し
    機とダイ装置の間に設置することを特徴とする請求項1
    記載の塩化ビニル系繊維の製造方法
  3. 【請求項3】目開き200メッシュ以下の金網を2枚以
    上組み合わせて内層スクリーンを構成し、該内層スクリ
    ーンに更に目開き100〜80メッシュの金網で挟むよ
    うに設置することを特徴とする組合せスクリーンメッシ
    ュを使用する請求項1または2に記載の塩化ビニル系繊
    維の製造方法。
  4. 【請求項4】塩化ビニル系樹脂を主体とする樹脂組成物
    が、粘度平均重合度650〜1650の塩化ビニル系樹
    脂100〜60重量%と塩素化塩化ビニル系樹脂0〜4
    0重量%からなる塩ビ系混合物100重量部に対して、
    エチレン−酢酸ビニル系樹脂2〜35重量部及び/また
    はウレタン系樹脂2〜35重量部を含有してなる塩ビ系
    樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の塩化
    ビニル系繊維の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6875507B2 (en) * 2001-12-19 2005-04-05 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Resin composition, polyvinyl chloride fibers and process for producing the same
JP2006274470A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Denki Kagaku Kogyo Kk 塩化ビニル系繊維の製造方法

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JP4583992B2 (ja) * 2005-03-29 2010-11-17 電気化学工業株式会社 塩化ビニル系繊維の製造方法

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