JPH11317193A - イオントラップを利用した質量分析方法 - Google Patents

イオントラップを利用した質量分析方法

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JPH11317193A
JPH11317193A JP11054372A JP5437299A JPH11317193A JP H11317193 A JPH11317193 A JP H11317193A JP 11054372 A JP11054372 A JP 11054372A JP 5437299 A JP5437299 A JP 5437299A JP H11317193 A JPH11317193 A JP H11317193A
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シー スタッフォード ジョージ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオントラップをMS/MSと呼ばれる動作
モードで動作させる新しい方法を提供する。 【解決手段】 トラッピング電解でトラップ空間の中に
捕捉された、質量対電荷量比が所定範囲内にあるイオン
を検出する方法であって、前記トラッピング電界に重畳
する補助交流電界を加え、その混合された電界が前記質
量対電荷量比が所定範囲内にあるイオンを捕捉し、その
後、前記混合された電界を走査して前記トラップ空間か
ら連続する質量対電荷量比のイオンを放出し、前記放出
されたイオンを検出する、ことから成る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオントラップをMS
/MSモードで使用する方法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする問題点】イオントラップ質量
分析計、すなわち四極子イオン貯蔵装置は、かなり前か
ら知られており、解説書も多数ある。これらは、無線周
波数(RF)、直流(DC)およびそれらの組合せ等の
静電界を用いた物理的構造の中でイオンを作り、貯蔵す
る装置である。一般に、4極子電界は、双曲線電極構造
または同等な4極子トラッピング電界を発生する球形電
極構造を使用してイオン貯蔵領域を提供する。
【0003】一般に、質量貯蔵は、質量対電荷量比が有
限範囲内にあるイオンが、装置内部で安定して捕捉され
るように設定したRF電圧V、その周波数f、直流電圧
U、および装置サイズr0 の値でトラップ電極を動作さ
せることによって行なわれる。上記のパラメータは、操
作パラメータと呼ばれることもあり、捕捉されたイオン
の質量対電荷量比と一定の関係がある。捕捉されたイオ
ンについては、質量対電荷量比の各値に対し明確な固有
振動数(secuiar frequency)がある。イオンを検出する
一方法では、これらの固有振動数をトラップ内のイオン
の振動連動に結合する周波数共振回路で測定したあと、
改良された分析技術を用いて質量対電荷量比を求めるこ
とができる。
【0004】イオントラップ質量分析計とそれを使用し
て試料の質量分析を行なう方法がかなり以前より知られ
ていたにもかかわらず、最近まで普及しなかったのは、
質量選別技術が十分であいこと、実施が難かしいこと、
質量分析結果が劣ること、さらに質量範囲に制限がある
ことのためである。新しいイオントラップ動作方法(米
国特許第2,939,952 号、同特許出願第453,351 号)は、
過去の制約の大部分を克服したものであり、イオントラ
ップ検出装置と呼ばれる製品として評判を得ている。
【問題点を解決するための手段】本発明の目的は、イオ
ントラップをMS/MSと呼ばれる動作モードで動作さ
せる新しい方法を提供することである。
【0005】本発明に従って提供される、イオントラッ
プをMS/MSモードで使用する新しい方法は、イオン
トラップ内でイオンを作って貯蔵すること、それらを質
量分析計で質量選別を行なうこと、ガスまたは表面によ
る衝突を用いてそれらを解離すること、および質量すな
わちエネルギー分析計によってイオン片を分析すること
の諸ステップから成っている。
【0006】
【実施例】図1を参照すると、3次元イオントラップ1
0は、リング電極11と互いに向い合った2つのエンド
・キャップ12、13を備えている。リング電極11に
接続された無線周波数(RF)電圧発生器14は、エン
ドキャップとリング電極の間に無線周波数電圧Vsin wt
(基本RF電圧)を供給して、イオン貯蔵領域すなわち
半径r0 と垂直寸法Z0 (Z0 2=r0 2 /2)を有する空
間16内にイオンを捕える4極子電界を発生させる。捕
捉に必要な電界は、図示のように結合変成器32を介し
て同相接地されたキャップ電極12、13とリング電極
11との間にRF電圧を印加して形成される。エンドキ
ャップ22、23に接続された補助RF電圧発生器35
は、両エンドキャップ間に無線周波数電圧V2 sin w2t
を供給し、捕択したイオンをその主軸共振周波数で共振
させる。イオン貯蔵領域16に導入された試料分子をイ
オン化するために、フィラメント電源18に接続され、
イオン化電子ビームを発生するフィラメント17が設置
されている。円筒形ゲート電極とレンズ19は、フィラ
メントレンズ制御器21で駆動される。ゲート電極は、
所望通り電子ビームをゲートするオンオフ制御を行な
う。エンドキャップ12には、電子ビームが通過する開
口が設けられている。反対側のエンドキャップ13には
多数の孔があけられている。それらの孔を通って出たイ
オントラップ電界内の不安定イオンは、電子増倍管24
が検出して線26にイオン信号を発生する。線26上の
信号は、静電電位計27によって電流から電圧に変換さ
れる。この信号は、装置28によって加算されたあと記
憶され、装置29によって処理される。制御器31は、
基本RF電圧発生器14に接続されていて、質量選別の
ため、基本RF電圧の大きさと(または)周波数を変化
させる。また、制御器31は、補助RF電圧発生器35
にも接続されていて、補助RF電圧の大きさと(また
は)周波数を変化させる、すなわちゲートする。また、
制御器31は、線32を通じて、フィラメントレンズ制
御器21をゲートし、走査時間以外の時間だけイオン化
電子ビームを供給する。イオントラップの機械的細部構
造は、たとえば米国特許第2,939,952 号、最近のもので
は本出願人による米国特許出願第454,351 号に記載され
ている。
【0007】イオントラップ10の対称電界により図2
に示すような周知の安定度グラフが得られる。図2のパ
ラメータaとqは、次式で定義される。
【0008】a=−8eU/mr0 22 q=4eV/mr0 22 ここで、eとmは、それぞれ荷電粒子の電荷量と質量で
ある。任意の特定イオンについて、もしそのイオンがイ
オントラップの4極子電界内に捕捉されるものであれ
ば、aとqの値は、安定包絡線内になければならない。
【0009】荷電粒子が前述の3次元4極子電界内でと
る軌道の形は、安定度グラフの上に位置するように、粒
子の比質量m/eと、電界パラメータU、V、r0 、w
がどのように組み合わされるかによって決まる。もし走
査パラメータが安定包絡線の内側に位置するように組み
合わされれば、一定の粒子は形成された電界内で安定軌
道をとる。3次元4極子電界内で安定軌道をとる荷電粒
子は、電界の中心まわりの周期的軌道に拘束され、この
ような粒子は、電界によって捕捉されたと考えることが
できる。もし、粒子m/eについて、U、V、r0 およ
びwが安定度グラフの安定包絡線の外側に位置するよう
に組み合わされれば、その一定の粒子は形成された電界
内で不安定な軌道をとる。3次元4極子電界内で不安定
な軌道をとる粒子は、電界の中心から偏れていき、時間
の経過と共に無限大に近ずく。このような粒子は、電界
から離脱していると考えられ、したがって捕捉できない
とみなされる。
【0010】U、V、r0 、およびwで定義される3次
元4極子電界に対して、全ての可能な質量対電荷量比の
軌跡は、原点を通り勾配が−2U/Vの1本の直線とし
て安定度グラフ上に描かれる(この軌跡は、走査線とも
呼ばれる)。全ての可能な質量対電荷量比の軌跡のうち
安定領域内に位置する部分は、粒子が加えた電界内に捕
択されるべきものであれば、その粒子がとることのでき
る質量対電荷量比の領域を規定する。UとVの大きさを
適当に選ぶことによって、捕捉可能な粒子に対する比質
量の範囲を選択することができる。もし、可能な比質量
の軌跡が安定領域の頂点を通るように(図2の直線A)
UとVの比を選べば、非常に限られた範囲内の比質量を
もつ粒子のみが安定軌道をとるであろう。これに対し、
可能な比質量の軌跡が安定領域の中央を通るように(図
2の直線B)、UとVの比を選べば、広い範囲の比質量
をもつ粒子が安定軌跡をとるであろう。
【0011】本発明によれば、上述形式のイオントラッ
プは、以下のように操作される。まず電子のバーストを
フィラメント17からトラップの中にゲートすることに
よってトラップの空間16内にイオンが作られる。所望
する質量または質量範囲のイオンは安定であるが、他の
全てのイオンは不安定であり、トラップ構造から追い出
されるように、DCおよびRF電圧が3次元電極構造に
印加される。このステップは、捕捉されたイオンが図2
の安定度グラフの原点を通る水平線上にあるように(a
=0)、RF電圧のみを使って実施することができる。
次に電子ビームが遮断され、この過程を通じて捕捉され
た全ての安定イオンの軌跡が安定度グラフの安定領域の
内側にとどまるようなやり方で、Uが0にあるまでトラ
ッピング電圧が下げられる。関心のあるイオンばかりで
なく、以下に延べる次の解離過程においてそれらから生
じた全てのイオン片も捕捉されたままであるように、q
の値を減少させ十分低くしなければならない(質量対電
荷量が小さいことは、q値が大きいことを意味するから
である)。
【0012】解離過程では、関心のあるイオンがイオン
片に解離され、それらがトラップ内に、すなわち図2の
安定領域内に残るように、ガスと衝突させられる。破砕
すべきイオンは、ガスとの衝突によって破砕されるだけ
の十分なエネルギーを有しているとは限らないので、シ
ステムがイオンの破砕を引き起す十分なエネルギーをも
っているように、関心のあるイオンにエネルギーを付与
するか、あるいは高エネルギー状態すなわち励起された
中性粒子と衝突させる必要があるかもしれない。解離の
あと、イオン片は、検出のため、図2の水平線(a=
0)に沿ってRF電圧によりイオントラップから追い出
される。
【0013】上記ステップにおいて、活動的中性粒子
は、既知のどの方法を用いて作ってもよい。アルゴンま
たはヘキサノンの励起された中性粒子を適当な時間にパ
ルス駆動されたガンから注入してもよいし、代りに放電
源を使用してもよい。また、イオンもしくは中性粒子の
どちらかを介してシステムにエネルギーを供給するため
レーザーパルスを使用してもよい。
【0014】次に、ニトロベンゼンイオン(分子量M=
123、電離度Z=1)のケースにおいて、背景ガスた
とえばアルゴンと衝突させることにより親イオンの解離
を生じさせたとき、イオン片(娘イオン)、イオン片の
イオン片(孫娘イオン)等が生じたことも判定するいく
つかの実験結果を示す。得られたイオンは、イオントラ
ップから出され、それらの質量スペクトルを求めるため
走査される。
【0015】図3Aは、ニトロベンゼンの電子イオン化
質量スペクトログラムである。線M/Z=124は、光
子をM/Z=123に加えるイオン分子反応によって生
じる。
【0016】U=0、アルゴンの圧力が1×10-4トル
の状態のモードで動作中、最初に、120以上のM/Z
を有するイオンのみが、試料のイオン化が終ったとき、
イオントラップ内に貯蔵されるように、RF電圧を調整
した。次に、カットオフ値(この値より大きいM/Zを
有するイオンは、イオントラップの中で捕捉される、す
なわち安定である)がM/Z=20であるように、RF
電圧を下げた。イオン化後、イオントラップの中に捕捉
されて残ったMZ=123を有する親イオンは、アルゴ
ンの背景ガスと衝突して、解離された。次に、RF電圧
を上げて走査し、図3Bに示す質量スペクトログラムを
得た。この質量スペクトログラムは、M/Z=123を
有する親イオンからイオン片が生じたことを表わしてい
る。 RF電界などAC電界を重畳することにより、い
ろいろな新しい走査モードが可能である。イオントラッ
プ内に貯蔵された任意のイオンについて、任意の空間座
標における偏位は、時間の周期関数の合成でなければな
らない。もし、個々のイオン粒子について運動の部分振
動数のどれかに一致する補助RF電圧を印加すれば、そ
のイオンはその座標に沿って増大した振幅で振動し始め
るであろう。イオンは、トラップから放出されるか、電
極に当るか、それとも十分な圧力の試料または減衰用不
活性ガスの存在のもとで補助RF電位の印加前よりも大
きな平均偏位の安定軌道をトラップ内でとるかもしれな
い。もし、補助RF電圧を限られた時間印加すれば、低
い圧力状態のもとであっても安定軌道をとることがてで
きる。
【0017】図4は、ノッチフィルタモードのとき使用
することができるプログラムを示す。この図を参照する
と、期間Aにおいて関心のある質量範囲のイオンが作ら
れたあと貯蔵される。次に、一定値以下のM/Zの全て
のイオンを追い出すため、リング電極に印加される基本
RF電圧が増加される。そのあと、基本RF電圧は、別
の一定値以上のM/Zの全てのイオンを捕捉する一定レ
ベルに保たれる(期間D)。次に、両エンドキャップ間
に適当な周波数と大きさの補助RF電圧が印加され、特
定のM/Z値の全てのイオンがトラップから追い出され
る。次に、補助RF電圧がターンオフされたあと、トラ
ップ内になお残っているイオンの質量スペクトルを得る
ため、基本RF電圧が走査される(期間E)。
【0018】図5Aは、ヘキサノンのスペクトルを示
す。このケースでは、図4と同様に、基本RF電圧が走
査されるが、補助RF電圧は使用されない。図5Bは、
期間DにおいてM/Z−131のイオンを追い出すため
適当な周波数と大きさの補助RF電圧が使用されている
ことを除いて同じ条件のもとで得られたスペクトルを示
す。図5Bは、上記のイオンの大部分がトラップから除
去されたことを示している。ノッチフィルタモードを実
際に使うには多くのやり方がある。たとえば、イオン化
期間は、補助RF電圧をターンオンし、他の全ての時間
はターンオンすれば、大量に存在するイオンが追い出さ
れるのでわずかに存在するイオンの調査は容易になるで
あろう。
【0019】基本RF電圧またはその関連DC成分が一
定レベルに維持される期間でなく、走査される期間にお
いて、補助電界を使用すれば、別の有効な走査モードが
可能である。たとえば、もし、期間E(期間Dの代り
に)のとき十分な振幅と一定の周波数の補助電圧をター
ンオンすれば、基本RF電圧により、補助電圧の周波数
に一致する共振振動が各イオン粒子内に連続的に発生す
るので、トラップから連続的にイオンが放出される。こ
のように、基本RF電圧の減少した最大値により、特定
範囲のM/Z値について質量スペクトルを得ることがで
きる、すなわち、基本RF電圧の一定の最大値に対し、
より大きな最大M/Z値を達成することができる。通常
の走査モードにおける質量範囲は、基本RF電圧の最大
達成可能値によって制限されるから、補助RF電圧によ
って装置の質量範囲が拡張される。また、補助RF電圧
の周波数を走査することによって、有効な走査モードが
可能である。たとえば、基本RF電圧を固定しておいて
補助RF電圧の周波数を走査することができる。これ
は、期間Eを除いて、期間Dのとき補助RF電圧の周波
数を走査するようにした図4に相当する。イオンが連続
的に共振されるので、質量スペクトルが得られる。この
動作モードにおいては、高い質量分解能が可能である。
また、基本RF電圧が一定であるため、拡張された質量
範囲が得られる。
【0020】補助RF電圧が存在することによって、共
振もしくはそれに近い状態でイオンの破砕を引き起すこ
とができる。図6Aは、図4の走査プログラムにより、
ただし補助RF電圧なしで得られたニトロベンゼンの質
量スペクトル(1×10-3トルのヘリウムを用いて)を示
す。M/Zが118以下の全てのイオンは、周期Bへの
前およびその間に追い出されるから、M/Z=93にお
ける小ピークは、周期Bのあとであって、周期Eにおい
てM/Z=93のイオンが放出される前に形成されたに
違いない。図6Bは、周期DのときM/Z=123の共
振周波数で補助RF電圧を印加したことを除いて同一条
件のもとで得られたスペクトルを示す。この質量スペク
トルは、M/Z=93と65における大量の破砕を示し
ている。同様に、図6Cは、M/Zが88以上の全ての
イオンが期間Bの前およびその間に放出されたことを除
いて、図6Aと同じ条件のもとで得たものである。図6
Dは、期間DのときM/Z=93の共振周波数で補助R
F電圧を印加したことを除いて図6Cと同じ条件のもと
で得られたものである。この質量スペクトルは、M/Z
=65における大量の破砕を示している。
【0021】補助RF電圧により娘イオンが生じ、次
に、娘イオンが共振状態になるように、基本RF電界ま
たは補助RF電界の電圧もしくは周波数などの条件を調
節することによって、これらの娘イオンから孫娘イオン
が生じるような逐次実験が可能である。図7は、娘イオ
ンを作ることができる独自の方法を示す。補助RF電圧
は、一定のままであるが、娘イオンが発生するように個
々の親イオンを共振させるため、期間DAのとき、基本
RF電圧が調節される。次に孫娘イオンが発生するよう
に個々の娘イオンを共振させるため、期間DBのとき、
基本RF電圧が調節される。図8Aは、補助RF電圧を
使っていないことを除いて、図7の走査プログラムを使
って得たn−ヘプタンのスペクトルを示す。M/Zが9
5以下のすべてのイオンは期間Bの前およびその間に放
出されるので、M/Z=70、71における小ピーク
は、期間Bのあとに形成されたイオンによるものに違い
ない。図8Bは、補助RF電圧の周波数をM/Z=10
0の共振周波数にして、図4の走査プログラムを使って
得たものである。M/Z=70、71において大量の娘
イオンが見られ、またM/Z=55、56、57におけ
る微弱なピークもはっきりわかる。図8Cは、補助RF
電圧を使ったことを除き、図8Aのとき使った走査プロ
グラムで得たものである。期間DAとDBにおける基本
RF電圧および補助RF電圧の周波数は、娘イオンが発
生するように、期間DAにおいてM/Z=100が共振
状態であるように、選んだ。期間DAのとき発生したM
/Z=70の個々の娘イオンから孫娘イオンが発生する
ように期間DBにおいて共振状態にされた。これらの孫
娘イオンは、図8CにおいてM/Z=55、56、57
における増大したピークの強さから明らかである。図8
Dは、期間DAにおいてM/Z=100が共振状態であ
り、期間DBにおいてM/Z=71が共振状態にあるこ
とを除いて、図8Aに類似した図である。
【0022】逐次娘走査は、他の多くの方法を用いて実
施できる。たとえば、補助RF電圧を変化させる代り
に、補助RF電圧の周波数を変化させてもよい。また、
娘イオンが発生したあと、孫娘イオンが発生する前に、
不用のイオンをトラップから追い出すことができる。も
ちろん、基本RF電圧もしくは補助RF電圧の周波数を
逐次変化させ、連続する破砕の生成物を共振させること
によって、その次の破砕を引き起すことができる。
【0023】以上により、限られた数の実例についての
み本発明を説明したが、本発明の範囲内で、なお、それ
らに対しなし得るさまざまな修正が考えられる。たとえ
ば、印加するRF電圧は正弦波である必要はなく、周期
的でありさえすればよい。異なる安定度グラフができる
であろうが、その一般的特性は、走査線を含め、類似し
ている。言い替えると、RF電圧は、方形波、三角形波
等で構成することができよう。それでも、4極子イオン
トラップは、順次同様に動作するであろう。以上、イオ
ントラップの側面を双曲線として述べたが、イオントラ
ップを円筒形すなわち円筒トラップ側面で作ることもで
きる。近似的3次元4極子電圧を発生するものであれ
ば、どの電極構造でも使うことができよう。本発明の範
囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】4極子イオントラップの略図と本発明の方法に
従って使用されるように構成された関連電荷回路のブロ
ック図である。
【図2】図1に示した形式のイオン貯蔵装置の安定度包
絡線を示すグラフである。
【図3A】本発明の方法を用いて、ニトロベンゼン試料
について一連の実験で得られたスペクトログラムを示す
グラフである。
【図3B】本発明の方法を用いて、ニトロベンゼン試料
について一連の実験で得られたスペクトログラムを示す
グラフである。
【図4】ノッチフィルタ走査モードの場合に、補助電圧
について使用することができるプログラムを示すタイム
チャートである。
【図5A】図4の方法を用いて、ヘキサノン試料で得ら
れたスペクトログラムを示すグラフである。
【図5B】図4の方法を用いて、ヘキサノン試料で得ら
れたスペクトログラムを示すグラフである。
【図6A】図4の方法を用いて、ニトロベンゼン試料で
得られたスペクトログラムを示すグラフである。
【図6B】図4の方法を用いて、ニトロベンゼン試料で
得られたスペクトログラムを示すグラフである。
【図6C】図4の方法を用いて、ニトロベンゼン試料で
得られたスペクトログラムを示すグラフである。
【図6D】図4の方法を用いて、ニトロベンゼン試料で
得られたスペクトログラムを示すグラフである。
【図7】本発明のイオン走査モードのための別のプログ
ラムを示すタイムチャートである。
【図8A】図4と図7の両方法を用いた一連の実験で得
られたn−ヘプタン試料についてのスペクトログラムを
示すグラフである。
【図8B】図4と図7の両方法を用いた一連の実験で得
られたn−ヘプタン試料についてのスペクトログラムを
示すグラフである。
【図8C】図4と図7の両方法を用いた一連の実験で得
られたn−ヘプタン試料についてのスペクトログラムを
示すグラフである。
【図8D】図4と図7の両方法を用いた一連の実験で得
られたn−ヘプタン試料についてのスペクトログラムを
示すグラフである。
【符号の説明】
10 イオントラップ 11 リング電極 12 エンドキャップ 13 エンドキャップ 14 無線周波数(RF)電圧発生器 16 イオン貯蔵領域 17 フィラメント 18 フィラメント電源 19 円筒形ゲート電極とレンズ 21 フィラメントレンズ制御器 22 エンドキャップ 23 エンドキャップ 24 電子増倍管 26 線 27 静電電位計 28 信号出力記憶加算装置 29 処理装置 31 計算機制御器 32 結合変成器 35 補助RF電圧発生器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン ネイサン ローリス アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94086 サニーヴェイル アパートメント 114 ウエスト カリフォルニア アベ ニュー 201 (72)発明者 ポール イー ケリー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 95132 サン ホセ ロザリオ ドライヴ 2898 (72)発明者 ジョージ シー スタッフォード アメリカ合衆国 カリフォルニア州 95118 サン ホセ イリカイ アベニュ ー 1463 (72)発明者 ウォルター イー レイノルズ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94062 ウッドサイド スウェット ロー ド 360

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラッピング電界でトラップ空間の中に
    捕捉された、質量対電荷量比が所定範囲内にあるイオン
    を検出する方法であって、 前記トラッピング電界に重畳する補助交流電界を加え、
    その混合された電界が前記質量対電荷量比が所定範囲内
    にあるイオンを捕捉し、 その後、前記混合された電界を走査して前記トラップ空
    間から連続する質量対電荷量比のイオンを放出し、 前記放出されたイオンを検出する、ことから成る方法。
  2. 【請求項2】 試料を質量分析する方法であって、 質量対電荷量比が所定の広い範囲内にあるイオンを捕捉
    するように構成された実質的に3次元4極子電界をもつ
    トラップ空間を形成するステップを有し、 前記4極子電界は、リング電極と隔置されたエンドキャ
    ップ電極を有するイオントラップにより発生され、該エ
    ンドキャップ電極及びリング電極の間に直流電圧及び無
    線周波数電圧を加えることにより定められ、 さらに、前記エンドキャップ電極の間に、前記3次元4
    極子電界に重畳する補助交流電界を加えることにより混
    合電界を形成するステップと、 前記トラップ空間の中に試料イオンを形成するか又は注
    入して前記質量対電荷量比が所定の広い範囲内にあるイ
    オンを前記トラップ空間の中に捕捉するステップと、 前記無線周波数電圧を走査することにより前記混合電界
    を制御し、連続する質量のイオンを前記トラップ空間か
    ら放出させて検出するステップと、を有する方法。
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