JPH11313497A - ノッチ・フィルタを用いる改良されたモ―タ電流コントロ―ラを有する電気アシスト・ステアリング・システム - Google Patents

ノッチ・フィルタを用いる改良されたモ―タ電流コントロ―ラを有する電気アシスト・ステアリング・システム

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JPH11313497A
JPH11313497A JP11075997A JP7599799A JPH11313497A JP H11313497 A JPH11313497 A JP H11313497A JP 11075997 A JP11075997 A JP 11075997A JP 7599799 A JP7599799 A JP 7599799A JP H11313497 A JPH11313497 A JP H11313497A
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JP11075997A
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Engelbert Lu
エンゲルバート・ルー
Kevin M Mclaughlin
ケヴィン・エム・マクラフリン
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Northrop Grumman Space and Mission Systems Corp
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TRW Inc
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    • B62D5/046Controlling the motor
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Electric Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ノッチ・フィルタを用いて、モータ・コント
ローラを改良する。 【解決手段】 モータ・コントローラは、モータ電流コ
マンド信号(ircmd)とモータ電流フィードバック信号
(is)とを加算し、これらの信号の差と関数関係にあ
る値を有するエラー電流コマンド信号(Δicmd)を提
供する加算手段(186)を含む。ノッチ・フィルタ手
段(200)が、エラー電流コマンド信号をフィルタリ
ングし、フィルタリングした電流コマンド信号を提供す
る。このノッチ・フィルタは、モータ(28)の共振周
波数の周辺の周波数を、エラー電流コマンド信号からノ
ッチして除去するように構成されている。駆動回路(1
20、204)が、フィルタリングされた電流コマンド
信号に応答して、モータを付勢する。モータ電流センサ
(97)が、モータ電流を感知し、モータ電流フィード
バック信号を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気アシスト・ステア
リング・システムに関する。更に詳しくは、モータの動
作条件と実質上無関係な一定帯域幅や、モータの音響ノ
イズの減少や、種々の速度におけるトルク出力の増加
や、トルク・リプルの減少などの目的を制御することと
一貫性のある制御可能な帯域幅を提供する改良されたモ
ータ電流コントローラを有する電気アシスト・ステアリ
ング・システムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気アシスト・ステアリング・システム
は、この技術では周知である。ラック及びピニオンギア
の組を用いる電気パワー・アシスト・ステアリング・シ
ステムは、電気モータを用いて、(i)ピニオンギアに
接続されたステアリング・シャフトに回転力を与える
か、又は、(ii)その上にラックの歯を有するステア
リング部材に線形の力を与えるか、のどちらかによっ
て、パワー・アシストを提供する。このようなシステム
における電気モータは、典型的には、(i)運転者が車
両のステアリング・ホイール(ハンドル)に加えるトル
クと、(ii)感知された車両速度と、に応答して制御
される。
【0003】TRW社に譲渡されている、Drutchasへの
米国特許第4,415,054号(米国再発行特許第32,222号)
は、「Hブリッジ」構成を介して駆動される直流型の電
気アシスト・モータを利用する。このアシスト・モータ
は、ステアリング部材を包囲する回転子を含む。このス
テアリング部材は、ネジ切りされた旋回(コンボリュー
ション)を有する第1の部分と、直線状に切られたラッ
ク歯を有する第2の部分とから成る。電気アシスト・モ
ータの回転子の回転により、ステアリング部材のネジ切
りされた旋回部分に駆動可能に接続されたボール・ナッ
トを介して、ステアリング部材の線形運動が生じる。ト
ルク感知装置が、ステアリング・ホイールに結合され、
ステアリング・ホイールに運転者が加えたトルクを感知
する。このトルク感知装置は、磁気的ホール効果(Hall
-effect)センサを用いて、トーションバーの両端の入
力と出力シャフトとの間の相対的な回転を感知する。電
子的制御ユニット(ECU)が、このトルク感知装置か
らの信号をモニタする。車両速度センサが、ECUに、
車両速度を示す信号を提供する。ECUは、感知された
車両速度と感知された加えられたステアリング・トルク
との両方に応答して、電気アシスト・モータを流れる電
流と、そして、ステアリング・アシストとを制御する。
ECUは、車両速度が増加するにつれて、ステアリング
・アシストを減少させる。これが、この技術において、
通常、速度比例ステアリングと称されるものである。
【0004】TRW社に譲渡されている、Miller他への
米国特許第5,257,828号は、ヨー・レート制御を有する
電気アシスト・ステアリング・システムを開示してい
る。このシステムは、可変リラクタンス(VR)モータ
を用い、ステアリング・アシストをラック部材に与え
る。トルク要求信号は、ステアリング速度フィードバッ
クの関数として修正され、減衰(ダンピング)を提供す
る。
【0005】TRW社に譲渡されている、McLaughlinへ
の米国特許第5,504,403号には、適応ブレンディング
(混合)フィルタを用いて、電気アシスト・ステアリン
グ・システムを制御する方法及び装置が開示されてい
る。この適応ブレンディング・フィルタは、与えられた
ステアリング・トルク信号を処理し、システム動作の
間、選択可能なシステム帯域幅を維持する。この構成に
より、車両速度と与えられたステアリング・トルクとか
ら実質的に独立した帯域幅を有するステアリング・シス
テムが得られる。
【0006】理想的には、電気アシスト・ステアリング
・システムの電気モータは、電気ステアリング・システ
ムよりもはるかに大きな帯域幅を有し、それによって、
電気モータの応答は、ステアリング・システムの安定性
に反対の衝撃を与えることがなくなる。可変リラクタン
ス・モータは、そのような高帯域幅のモータである。低
周波数でのステアリング動作だけでなく高周波数での音
響ノイズの制御を達成し、それによって、モータが平静
となるようにするためには、一定の帯域幅のモータが望
ましい。しかし、VRモータの制御されていない帯域幅
は、モータ電流iと、固定子に対する回転子の位置Θ
と、モータの抵抗値と、モータの温度tとの関数として
変動する。このようなモータの動作条件とは独立で一貫
性のあるシステム帯域幅を維持することが望ましい。コ
ントローラは、この変動する帯域幅を補償して、不変の
帯域幅を達成しなければならない。VRモータは、音響
的に敏感な構造モードを有しており、モータの固定子の
ハウジング(「シェル」)は軸方向の運動を経験し、特
定の駆動周波数では、モータのシェルが共振する。都合
が悪いことには、この共振は、人間の可聴範囲で生じる
ことがある。モータは、実際上、「スピーカ」として作
用して、望ましくないモータ音を生じさせる。更に、モ
ータは、シェルの加速の結果として、「マイクロフォ
ン」効果を示すことがあり、結果的に、モータ・コイル
に電流発振を生じさせ、モータから更なるノイズを発生
させることになる。従って、このような音響ノイズを、
更には、トルク・リプルを減少させることが望ましい。
【0007】
【発明の概要】本発明によって、可変ゲインを有するモ
ータ・コントローラが提供される。ゲインは、モータの
回転子位置とモータ電流との関数として制御される。ゲ
インは、回転子位置とモータ電流とに対して実質的に独
立に、一貫性のある電流帯域幅を提供するように、制御
される。フィルタが制御ループにおいて提供され、電流
コマンド信号から、モータ・シェル共振を結果的に生じ
させる可能性のある周波数をフィルタリングする。この
システムは、本発明によれば、(i)一貫性のある動作
帯域幅、(ii)音響ノイズの減少、(iii)高速な
応答時間、(iv)トルク・リプルの減少、そして
(v)様々な速度でのトルク出力の増加、を提供する。
【0008】本発明のある側面によると、モータ・コン
トローラは、受け取ったモータ電流コマンド信号とモー
タ電流フィードバック信号とを加算し、モータ電流コマ
ンド信号とモータ電流フィードバック信号との差と関数
関係にある値を有するエラー(誤差)電流コマンド信号
を提供する手段を含む。ノッチ・フィルタ手段が、エラ
ー電流コマンド信号をフィルタリングし、フィルタリン
グした電流コマンド信号を提供する。このノッチ・フィ
ルタは、モータの共振周波数の周辺の周波数を、エラー
電流コマンド信号からノッチして除去するように構成さ
れている。駆動回路が、フィルタリングされた電流コマ
ンド信号に応答して、モータを付勢する。モータ電流セ
ンサが、モータ電流を感知し、モータ電流フィードバッ
ク信号を提供する。
【0009】本発明の別の側面によると、電気アシスト
・ステアリング・システムは、車両ステアリング・ホイ
ールに加えられたステアリング・トルクを感知し、この
ステアリング・トルクと関数関係にある値を有する信号
を提供する。モータが、車両のステアリング部材と駆動
的に接続されており、付勢されると、ステアリング・ア
シストを提供する。モータ・コントローラが、トルク・
センサに動作的に接続されており、加えられたステアリ
ング・トルク信号の値と関数関係にある値を有するモー
タ電流コマンド信号を提供する。このシステムは、更
に、モータ電流コマンド信号とモータ電流フィードバッ
ク信号とを加算し、モータ電流コマンド信号とモータ電
流フィードバック信号との差と関数関係にある値を有す
るエラー電流コマンド信号を提供する加算手段を含む。
このシステムは、更に、エラー電流コマンド信号をフィ
ルタリングし、フィルタリングした電流コマンド信号を
提供するノッチ・フィルタ手段を含む。このノッチ・フ
ィルタは、モータの共振周波数の周辺の周波数をエラー
電流コマンド信号からノッチして除去するように構成さ
れている。駆動回路が、フィルタリングされた電流コマ
ンド信号に応答して、モータを付勢する。モータ電流セ
ンサが、モータ電流を感知し、モータ電流フィードバッ
ク信号を加算手段に提供する。
【0010】本発明の更に別の側面によると、モータの
制御方法は、モータ電流コマンド信号とモータ電流フィ
ードバック信号とを加算し、モータ電流コマンド信号と
モータ電流フィードバック信号との差と関数関係にある
値を有するエラー電流コマンド信号を提供するステップ
を含む。この方法は、更に、エラー電流コマンド信号を
ノッチ・フィルタリングし、フィルタリングした電流コ
マンド信号を提供するステップを含む。このノッチ・フ
ィルタリングのステップでは、モータの共振周波数の周
辺の周波数を、エラー電流コマンド信号からノッチして
除去する。モータは、フィルタリングされた電流コマン
ド信号に応答して付勢される。この方法は、更に、モー
タ電流を感知しモータ電流フィードバック信号を提供す
るステップを含む。
【0011】本発明のこれ以外の特徴及び効果は、以下
の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことにより、
当業者には明らかになるであろう。
【0012】
【発明の実施の態様】図1を参照すると、パワーアシス
ト・ステアリング・システム10は、ピニオンギア14
に動作的に接続されたステアリング・ホイール(ハンド
ル)12を含む。特に、この車両ステアリング・ホイー
ル12は入力シャフト16に接続され、ピニオンギア1
4は出力シャフト18に接続されている。入力シャフト
16は、トーションバー20を介して出力シャフト18
に動作的に結合されている。
【0013】トーションバー20は、加えられたステア
リング・トルクに応答してねじれ(ツイストし)、それ
によって、入力シャフト16と出力シャフト18との間
の相対的な回転を許容する。ストップ(図示せず)が、
この技術分野で知られている態様で、入力及び出力シャ
フトの間のこのような相対的な回転の量を制限する。ト
ーションバー20は、ここではKtとして表わされるバ
ネ定数を有する。好適実施例によれば、バネ定数Kt
20in−lb/degである。加えられたステアリン
グ・トルクに応答しての入力シャフト16と出力シャフ
ト18との間の相対的な回転の量は、トーションバー2
0のバネ定数と関数関係にある。
【0014】この技術分野で周知のように、ピニオンギ
ア14は、ラックすなわち線形ステアリング部材22の
上に直線状に切られた歯とかみ合って係合しているはす
(ヘリカル)歯(helical teeth)を有する。ラック部
材22上の直線状に切られたギアの歯と結合したピニオ
ンギア14は、ラックとピニオンギアとの組を形成す
る。ラックは、既知の態様で、ステアリング・リンケー
ジを有する車両の操縦(かじ取り)可能(ステアラブ
ル、steerable)な車輪24、26に、操縦可能に結合
されている。ステアリング・ホイール12がターンされ
ると、ラックとピニオンギアとの組は、ステアリング・
ホイール12の回転運動をラックの直線運動に変換す
る。ラックが直線状に移動する場合には、操縦可能な車
輪24、26は、それに関連付けされたステアリング軸
の回りをピボット運動し、車両が操縦される。
【0015】電気アシスト・モータ28は、ボールナッ
ト駆動構成を介して、ラック22に駆動的に接続されて
いる。電気モータ28は、付勢されると、ラックの線形
的な駆動を助力することによって、パワーアシスト・ス
テアリングを提供し、車両操作者による車両のステアリ
ング・ホイール12の回転を補助する。
【0016】本発明の好適実施例によれば、電気アシス
ト・モータ28は、可変リラクタンス(VR)モータで
ある。可変リラクタンス・モータは、小型であり、摩擦
が小さく、トルク・慣性比率が高いので、電気アシスト
・ステアリング・システムでの使用が望まれる。本発明
の好適実施例によれば、VRモータ28は、8つの固定
子極(ポール)と6つの回転子極とを有する4相モータ
である。固定子極は、対として付勢されるように構成さ
れており、それによって、モータの4つの相が形成され
る。
【0017】VRモータの動作原理は、この技術分野で
は周知であるので、ここでは詳細に説明しない。基本的
には、固定子極は対として付勢される。回転子は、付勢
された固定子極と最も近接した1対の回転子極との間の
磁気リラクタンスを最小にするように運動する。最小の
リラクタンスは、1対の回転子極が付勢された固定子極
と整列するときに生じる。いったん最小のリラクタンス
が達成されれば、すなわち、回転子極が付勢された固定
子コイルと整列すれば、これらの付勢された固定子コイ
ルは消勢され、モータを更に動作させることを仮定する
と、隣接する1対の固定子コイル(所望のモータの向き
に依存する)が付勢される。
【0018】多くの直流モータでは、モータ巻線を流れ
る電流の方向を制御することによって、モータの回転の
方向が制御される。VRモータでは、電流は、モータ動
作の所望の方向とは独立である一方向だけに、固定子コ
イルを通過する。モータ回転方向は、固定子コイルが付
勢されるシーケンスによって制御される。例えば、モー
タが一方向に運動するためには、位相Aaの後に、位相
Bbが付勢される。モータを反対の方向に運動させるこ
とを望む場合には、位相Aaの付勢の後に、位相Ddの
付勢が続く。
【0019】モータによって生じるトルクは、固定子コ
イルを流れる電流によって制御される。アシスト・ステ
アリング・モータが付勢されると、回転子がターンし、
これにより、ボール・ナット駆動構成のナット部分が回
転する。ナットが回転すると、ボールが、線形の力をラ
ックに伝える。ラックの運動方向と、操縦可能な車両の
車輪の操縦運動の方向とは、モータの回転の方向に依存
する。
【0020】回転子の位置センサ30は、モータの回転
子とモータのハウジングとに動作的に接続されている。
回転子位置センサ30の機能は、モータ固定子に対する
モータ回転子の位置を示す電気信号を提供することであ
る。この技術分野において周知のように、VRモータの
動作のためには、この位置情報が必要となる。本発明で
は、任意の既知の回転子位置センサを用いることができ
るが、TRW社に譲渡されている、Persson他への米国
特許第5,625,239号に開示されているタイプの回転子位
置センサが、好適である。
【0021】ステアリング・シャフト位置センサ40
は、ステアリング入力シャフト16とステアリング出力
シャフト18との両端に動作的に接続されており、入力
シャフト16と出力シャフト18との間の相対的な回転
位置すなわち相対的な角度方向を示す値を有する電気信
号を提供する。位置センサ40は、トーションバー20
と共に、加えられたステアリング・トルクを示す値を有
する電気信号を提供するトルク・センサ44を形成す
る。ステアリング・ホイール12は、操縦操作の間に、
運転者によって、角度ΘHWだけ回転される。加えられた
入力トルクの結果としての入力シャフト16と出力シャ
フト18との間の相対的な角度は、ここでは、ΘPと称
することにする。トーションバー20のバネ定数Kt
考慮すると、センサ40からの電気信号は、更に、ここ
ではτsと称する加えられたステアリング・トルクも表
わしている。
【0022】トルク・センサ44の出力は、トルク信号
処理回路50に接続される。処理回路50は、加えられ
たステアリング・トルク角度ΘPをモニタし、また、ト
ーションバー20のバネ定数Ktがわかっているので、
加えられたステアリング・トルクτsを示す電気信号を
提供する。
【0023】トルク・センサ信号は、フィルタリング回
路52を通過する。好ましくは、フィルタ52は、TR
W社に譲渡されている、McLaughlinへの米国特許第5,50
4,403号に開示されているタイプの適応ブレンディング
・トルク・フィルタである。適応ブレンディング・トル
ク・フィルタ52は、車両速度センサ56から、車両速
度信号を受け取る。適応ブレンディング・トルク・フィ
ルタ52は、ブレンディング周波数未満のトルク周波数
では非線形特性を有し、ブレンディング周波数より大き
なトルク周波数では線形特性を有するように構成されて
いる。ブレンディング・フィルタ52は、車両速度と関
数関係を有する値にブレンディング周波数を確立する。
本発明では、他のトルク信号フィルタ構成を用いること
もできることは理解できよう。適応ブレンディング・ト
ルク・フィルタの目的は、システム動作の間に選択可能
なシステム帯域幅を維持し、それによって、車両速度が
上昇する際にステアリングの感度が悪化することを防止
する。
【0024】図2を参照すると、ブレンディング・フィ
ルタ52は、共にトルク信号プロセッサ50の出力に接
続されたローパス・フィルタ70とハイパス・フィルタ
71との両方を含んでいる。フィルタ70、71は、こ
れら2つのフィルタの合計がすべての周波数について等
しくなるように設計されている。ローパス・フィルタ7
0は、所定のブレンディング周波数wbよりも低い周波
数τslの内容を有するすべての信号τsを通過させ、他
方で、すべての高周波データを排除する。ハイパス・フ
ィルタ71は、あるブレンディング周波数wbよりも高
い周波数τshの内容を有するすべての信号τsを通過さ
せ、他方で、すべての低周波データを排除する。ブレン
ディング・フィルタの周波数wbの値は、車両速度の関
数であり、速度センサ56の出力に接続されたブレンデ
ィング・フィルタ決定回路68によって決定される。w
bの決定は、所定の記憶された値を有するマイクロコン
ピュータにおけるルックアップ・テーブルを用いるか、
又は、所望の制御関数による計算によって達成される。
【0025】ローパス・トルク・センサの出力は、アシ
スト曲線回路69に接続されるが、この回路69は、好
ましくは、ルックアップ・テーブルである。車両速度セ
ンサ56もまた、このアシスト曲線回路に動作的に接続
されている。この分野で周知であるように、車両のステ
アリング・システムに必要となるパワー・アシストの量
は、車両速度が上昇するにつれて減少する。従って、操
縦操作に対する適切で望ましい感触を維持するには、車
両速度が上昇するにつれてステアリング・パワー・アシ
ストの量を減少させるのが望ましい。これは、この分野
では、速度比例ステアリングと称される。
【0026】アシスト・トルクτassist値は、トルク・
イン値とトルク・アウト値とによる複数のアシスト曲線
を表すルックアップ・テーブルにおける記憶された値か
ら決定される。トルク・アシストは車両速度の関数とし
て変動するので、これらの曲線は、乾燥した表面での駐
車の間に必要である値から高い車両速度において必要と
なる値までの範囲を有する。一般的に、アシスト曲線回
路69からの出力の値は、τassistと称される。制御の
ための実際の値は、必要であれば、ルックアップ・テー
ブルに記憶された所定の値を補間することにより決定さ
れる。好ましくは、補間を伴う二重のアシスト曲線が、
TRW社に譲渡されている、McLaughlinへの米国特許第
5,568,389号に開示されている。
【0027】ハイパス・フィルタからの高域通過トルク
・センサ信号τshには、車両速度の関数である所定のゲ
イン値Sc1が、ブロック72で乗算される。Sc1の決定
は、マイクロコンピュータ内のルックアップ・テーブル
を用いて達成されるか、又は、所望の制御関数に従って
実際の計算を行うことによって達成される。高周波アシ
スト・ゲイン値Sc1を修正することによって、ステアリ
ング・システムの帯域幅を修正することが可能になる。
【0028】ブロック69から出力されるアシスト曲線
値τassistと、ブロック72からの決定された高周波ア
シスト・ゲイン値とは、加算機能79によって加算され
る。加算回路79からの出力であるこの加算された値
は、τbaと称され、適応トルク・フィルタ回路80に接
続される。
【0029】適応トルク・フィルタ回路80は、入力さ
れるブレンド(混合)されたアシストトルク信号τba
フィルタリングする。このフィルタは、その極(ポー
ル)やゼロが、車両速度が変化するにつれて変化するこ
とが許容されておりそれによって最適な制御システムが
得られるという点で、適応性を有している。このフィル
タリングの結果として生じるトルク信号τmは、ここで
は、トルク要求(demand)信号と称される。トルク要求
信号τmは、モータ・コントローラ90に接続される。
【0030】ブレンディング・フィルタ決定回路68と
適応フィルタ80とは、上述のMcLaughlinへの米国特許
第5,504,403号に完全に説明されている。基本的には、
線形化された閉ループ制御システムは、ステアリング・
システム10のためのブレンディング・フィルタ及び適
応フィルタの設計のために、考えられている。ハンド・
ホイール12を回転させることの結果として、トーショ
ンバー位置センサ40のステアリング・ホイール側に角
度変位ΘHWが生じる。この角度変位は、電気アシスト・
モータによって回転が駆動された後の出力シャフト18
の結果的な角度変位と、rm/rpによって表されるギア
比率を介して、角度Θmだけ異なっている。ただし、こ
こで、rmは、モータ・ボール・ナットの有効半径であ
り、rpは、ピニオンの有効半径である。ボール・ナッ
トが1ラジアン回転すると、ラックは、rmインチ移動
する。同様に、ピニオンが1ラジアン回転すると、ラッ
クは、rpインチ移動する。結果的な角度変位Θpにバネ
定数Ktを乗算すると、トルク信号τsが得られる。閉ル
ープ構成では、出力τsは、ローパス/ハイパス・フィ
ルタ回路に接続される。
【0031】トルク信号τsは、ローパス・フィルタ7
0を通過し、結果として、低域通過したアシスト・トル
クτslを得る。高域通過したアシスト・トルクτshは、
低周波アシスト・トルクをトルク信号τsから減算する
ことによって、決定される。τshをこのように決定する
ことができる理由は、以下で論じる。
【0032】連続的なドメインのブレンディング・フィ
ルタは、ローパス・フィルタGl(S)とハイパス・フ
ィルタGH(S)との和が常に1に等しくなるように、
選択される。ローパス・フィルタは、極をωbに有する
1次のフィルタとなるように選択される。ハイパス・フ
ィルタは、2つのフィルタの和が1でなければならない
という制約によって定義される。従って、ローパス及び
ハイパス・フィルタは、次のように表すことができる。
【0033】
【数1】Gl(S)=ωb/(S+ωb
【0034】
【数2】GH(S)=S/(S+ωb) デジタル・コンピュータにおいてブレンディング・フィ
ルタの組を実現する際には、当業者であれば、ハイパス
・フィルタ段とローパス・フィルタ段とを別個に作る必
要がないことを理解するはずである。むしろ、ブレンデ
ィング・フィルタτsへの入力は、ローパス・フィルタ
を通過して、結果として、信号τslを生じる。高域通過
した信号は、元の入力トルクから、低域通過した部分を
マイナスしたものである。これは、信号の低周波部分を
決定し、それを元の信号から単純に減算することと同等
であると考えられる。結果は、高周波情報だけを有して
いる信号である。また、より次数の高いブレンディング
・フィルタを用いることもできる。しかし、デジタル・
コンピュータでは、フィルタの次数と共に、フィルタ計
算の複雑性が増加する。従って、1次のフィルタを用い
ることが好ましい。
【0035】再び図1を参照すると、適応ブレンディン
グ・トルク・フィルタ52の出力τ mは、モータ・コン
トローラ90に接続される。回転子位置センサ30は、
車両速度センサと同じように、モータ・コントローラ9
0に接続される。アシスト・モータ28を制御するモー
タ・コントローラ90は、また、感知された回転子速度
に応答して、ステアリングの減衰(ダンピング)を制御
する。モータの減衰は任意の所望の態様(仮にそのよう
なものがあれば)で制御することができるが、好適な減
衰のための構成は、TRW社に譲渡されている、Miller
他への米国特許第5,257,828号に記載されている。
【0036】制御システム温度センサ98と他の入力9
4もまた、モータ・コントローラ90に接続される。こ
こでいう他の入力には、ヨー速度センサ、加速度セン
サ、エンジンRPMセンサなどの任意の所望のセンサが
含まれる。これらの他の入力は、モータ・コントローラ
に接続され、それによって、これらの他の感知されたパ
ラメータに応答して、モータ制御が提供される。
【0037】適応ブレンディング・トルク・フィルタ5
2やモータ・コントローラやそれ以外の以下で説明する
回路を構成する制御回路は、特定用途向き集積回路(A
SIC)として製造されると考えられる。温度センサ9
8は、このASICの温度をモニタする。制御ユニット
温度センサ98は、システム全体の制御回路の温度を示
す信号をコントローラ90に提供する。コントローラ9
0は、モータの制御を、感知された温度に応答して適応
させる。例えば、ASICの温度が高すぎれば、提供さ
れるアシストの量が減少されることが保証される。
【0038】モータ・コントローラ90は、トルク要求
信号τmと、回転子位置センサ30によって感知された
現在の回転子位置Θと、トルク要求の方向と、速度セン
サ56によって感知された感知車両速度と、モータ電流
センサ97によって感知された感知モータ電流と、温度
センサ98によって感知された制御システムの温度とに
応答して、モータ電流要求信号icmdφと位相(フェー
ズ)選択信号φSELとを提供する。コントローラ90
は、システムのソフト・スタートなどのそれ以外の望ま
しい制御の特徴を含む。これらの特徴は、この分野にお
いて知られており、従って、ここで説明することはしな
い。
【0039】モータ・コントローラ90は、任意の既知
のステアリング制御アルゴリズムに従って、電流要求信
号を提供する。測定されたパラメータの関数としての電
流コマンド値は、好ましくは、その中の値がこれらの測
定されたパラメータに従って選択されているルックアッ
プ・テーブルに記憶される。ルックアップ・テーブルは
離散的な数である値しか記憶できないので、最終的な電
流コマンド値は、補間法を用いて決定される。この補間
法は、TRW社に譲渡されている、McLaughlinへの米国
特許第5,475,289号に開示されている。加えら
れたステアリング・トルクや車両速度など(すなわち、
ルックアップ・テーブルの中の電流コマンド値)の関数
としてのステアリング・アシストの所望の量は、車両の
製造業者によって特定される。これらの値は、コンピュ
ータによるモデリングに応答して、又は、経験的な方法
を通じても、選択することができる。
【0040】コントローラ90は、電流コマンド信号i
cmdφと位相選択信号φSELとを、デジタル・モータ電流
コントローラ100(DMCC)に出力する。モータ2
8は(好適実施例では)4相のVRモータであるから、
付勢される位相は、モータ位置と加えられたステアリン
グ・トルクの方向とに応答して、選択される。
【0041】モータ温度センサ102は、モータ28に
動作的に結合され、DMCC100に、モータ28の温
度を示す信号を提供する。回転子位置センサ30からの
出力は、また、モータ電流センサ97の出力と同じよう
に、DMCC100に接続される。
【0042】DMCC100の出力は、複数のパワー・
スイッチ110に制御可能に接続されている駆動回路1
20を介して、それぞれのモータ位相に提供される電流
を制御する。パワー・スイッチ110は、車両バッテリ
B+とモータ28の固定子コイルとの間に、動作的に接
続されている。既に述べたように、可変リラクタンス・
モータの制御には、回転子と固定子との間の相対的位置
が既知であることが要求される。
【0043】図4を参照すると、駆動回路120の一部
とパワー・スイッチ110の一部とが、固定子コイルA
a及びCcに対して、すなわち、好適な4相モータの4
つの位相の中の2つに対して、示されている。既に述べ
たように、8つの固定子極が、4つのモータ位相巻線A
a、Bb、Cc、Ddを形成している。モータが一方向
に連続的に動いており、モータの回転子位置が位相Aa
が付勢されるべき第1の位相であると認識すると仮定す
る場合には、位相の付勢は、Aa、AaBb、Bb、B
bCc、Cc、CcDd、Dd、DdAa、Aaなどで
ある。他方の方向では、位相の付勢は、Aa、AaD
d、Dd、DdCc、Cc、CcBb、Bb、BbA
a、Aaなどである。理解すべきであるが、位相Aa及
びCcは、同時には付勢されず、位相Bb及びDdは、
同時には付勢されない。この事実により、回路における
僅かな節約が可能になる。位相巻線Aa及びCcのそれ
ぞれは、上側のスイッチング・デバイスを共有して、巻
線の一端を正のバッテリ端子に選択的に接続する。モー
タ巻線Aa及びCcのそれぞれは、それ自身のスイッチ
ング・デバイスを有しており、関連する巻線の他端を電
気的グランドに選択的に接続する。巻線Aa及びCc
は、電流感知抵抗を共有することができるが、これは、
これら2つの巻線が、同時に付勢されることがないから
である。巻線Bb及びDdに対するスイッチング構成
は、これらの巻線が上側のスイッチング・デバイスと電
流感知抵抗とを共有する点で、類似する。類似の制御構
成を、3相のシステムに適用することができるが、それ
ぞれの位相が、自分自身のDMCCを有することを必要
とするし、FETや電流感知抵抗を共有しないことも必
要とする。
【0044】特に、図4には、位相Aa及びCcに対す
る駆動回路とパワー・スイッチとに対する接続が示され
ている。残りのモータ位相であるBb及びDdも、類似
の駆動及びスイッチング回路を有する。下側のスイッチ
ング・デバイス160が、固定子コイルAaの一方側と
電気的グランドとの間に動作的に接続されている。下側
のスイッチング・デバイス161は、固定子コイルCc
の一方側と電気的グランドとの間に動作的に接続され
る。上側のスイッチング・デバイス163は、電流感知
抵抗164を介して、コイル対Aa及びCcの他方側に
動作的に結合されている。スイッチング・デバイス16
1の他方側は、LCフィルタ・ネットワーク165を介
して、車両バッテリに接続されている。第1のフライバ
ック・ダイオード166が、コイルAaの下側端子とL
Cフィルタ162との間に接続されている。第2のフラ
イバック・ダイオード167が、グランドとスイッチン
グ・デバイス163との間に接続されている。第3のフ
ライバック・ダイオード168が、コイルCcの下側端
子とLCフィルタ165との間に接続されている。過電
圧保護ツェナ・ダイオード169が、スイッチング・デ
バイス163の両端に接続されている。過電圧保護ツェ
ナ・ダイオード170が、スイッチング・デバイス16
0の両端に接続されている。過電圧保護ツェナ・ダイオ
ード171が、スイッチング・デバイス161の両端に
接続されている。好ましくは、スイッチング・デバイス
160、161、163は、電界効果トランジスタ(F
ET)などのソリッドステート・スイッチである。モー
タ電流センサ97は、電流感知抵抗164の両端に動作
的に結合されている。電流の制御は、スイッチ160、
161、163のそれぞれに制御可能に接続されたデジ
タル・モータ電流コントローラ100によって達成され
る。モータ電流は、スイッチ160、161、163を
パルス幅変調(PWM)することによって、制御され
る。
【0045】上側のFET163と、下側のFET16
0、161とは、連続的にパルス幅変調される。関連す
るモータ・コイルを流れる電流は、それらに関連するP
WM制御信号のオン時間のオーバラップの量によって、
制御される。モータの特定の位相に電流が供給されない
ときには、それに関連する上側及び下側のFETは、共
に連続的にパルス幅変調されてはいるが、0%のオン時
間オーバラップを有する。任意の巻線(コイル)に対す
る最大の位相電流は、それに関連する上側及び下側FE
TのPWMオン時間の100%のオン時間オーバラップ
が存在するときに生じる。オン時間オーバラップの量を
制御することにより、モータ位相のそれぞれを流れる電
流が制御される。
【0046】図3を参照すると、デジタル・モータ電流
コントローラ(DMCC)100がより詳細に示されて
いる。DMCCは、コントローラ90からの電流コマン
ド信号icmdφと位相選択信号φSELとを処理することに
よって、モータ28のすべての位相への電流を制御す
る。デジタル・モータ電流コントローラ100の目的
は、回転子位置、モータ電流及びモータ温度というモー
タ動作パラメータとは独立で一貫性のある帯域幅を維持
することである。既に述べたように、好適な4相のモー
タ(位相は、Aa、Bb、Cc、Dd)では、位相Aa
及びCcは、同時には付勢されず、位相Bb及びDd
は、同時には付勢されない。これによって、上述した駆
動回路120やパワー・スイッチ110における回路の
節約ばかりでなく、DMCCにおける回路及びソフトウ
ェアの量も節約されることが可能になる。説明をする目
的で、DMCC内の1つの制御構成について述べること
にするが、これは、例えば、Aa及びCcなどの2つの
位相に対する制御構成を表しており、DMCCは、他の
モータ位相Bb及びDdに対しても、同様の回路/関数
を含むものと理解すべきである。
【0047】付勢される位相に対するモータ・コントロ
ーラからの電流コマンドicmdφは、第1のフィルタ回
路182に接続される。このフィルタ182は、好まし
くは、電流コマンド信号icmdφからすべての希望しな
い周波数の内容を除去するプレノッチ(pre-notch)フ
ィルタである。好ましくは、このフィルタは、直列形式
又は並列形式で実現される2次フィルタである。フィル
タ182は、次の形式を有する。
【0048】
【数3】icmd(n)=a・icmd(n-1)+b・icmd(n-2)
c・iunfiltcmd(n)+d・iunfi ltcmd(n-1)+e・i
unfiltcmd(n-2) ある実施例によると、このフィルタは、2.4kHzを
ノッチして除去する(notch out)ように設計されてい
るが、その理由は、モータの基本の半径・軸モード(す
なわち、モータの共振周波数)が2.4kHzであるか
らである。これは、また、モータが最も音響ノイズを放
出する周波数に対応している。ノッチ・フィルタは、モ
ータ・シェルの音響ノイズ生成モードを励起させうるコ
マンド経路におけるエネルギを除去する。この値は、も
ちろん、用いられている特定のモータに依存する。
【0049】フィルタリングされた電流コマンド信号
は、次に、相対的な大きさの差異に起因する制御ループ
における定常ゲインの損失すべてを補償するように設計
されている直流ゲイン補償器184において、処理され
る。以下で論じることから理解されるように、直流ゲイ
ン補償器184は、制御ループのある設計規準の下で
は、DMCCの制御ループから取り除くこともできる。
例えば、比例コントローラが用いられる場合には、直流
ゲイン補償器は、必要である。積分コントローラが用い
られる場合には、直流ゲイン補償器は、不要となる。
【0050】直流ゲイン補償器184は、基準電流コマ
ンド値ircmdを、フィードバック加算接合部186の正
の入力に提供する。加算接合部186の負の入力は、モ
ータ電流感知isのフィードバック・ラインに接続され
ている。加算接合部186の出力は、次に示すように、
基準電流コマンド値と感知されたモータ電流値との差で
ある値に等しい電流差値Δicmdである。
【0051】
【数4】Δicmd=ircmd−is この差の値Δicmdは、可変ゲイン・コントローラ19
0(可変ゲイン・レギュレータとも称される)に接続さ
れる。本発明の1つの実施例によると、可変ゲイン・コ
ントローラは、比例・積分・微分(proportional-integ
ral-derivative =PID)コントローラ又はレギュレータ
である。PIDコントローラは、この分野では知られて
いる。本発明によるPIDコントローラ190は、e
(k)=Δi cmd(k)とおくと、次のような形式とな
る。
【0052】
【数5】ecmd(k)=(Kp(k)・e(k))+(K
d(e(k)−e(k−1))/δt)+(KI(Σe
(k)δt) ここで、Kp、Kd、KIは、それぞれが、比例、微分及
び積分ゲイン変数であり、kは、サンプル値であり、δ
tは、サンプリング・レートであり、ecmdは、PID
コントローラ130のエラー・コマンド出力である。こ
れらのゲイン変数と、更に、コントローラPIDのゲイ
ンとは、本発明に従って、制御される。
【0053】回転子位置センサ30と、温度センサ10
2と、モータ電流感知関数97からのフィードバック電
流感知isとは、ゲイン・スケジューラ196に接続さ
れている。ゲイン・スケジューラ196は、回転子位置
とモータ温度と感知されたモータ電流とに応答してゲイ
ン変数Kp、Kd、KIの値を選択し、これらの値を、P
IDレギュレータ190に出力する。比例ゲインの項K
pは、直流ゲイン補償器184に接続され、それによっ
て、ゲイン補償は、制御ループ・ゲインを「知る」こと
になる。
【0054】Kp、Kd、KIに対する値は、一貫性のあ
る電流帯域幅を提供するだけでなく、電流発振によって
誘導される音響ノイズを減少させ、更に、高速なモータ
電流応答時間を提供するように、選択される。一貫性の
ある帯域幅により、線形時間不変制御理論の適用が可能
となるが、これは、パラメータの変動による非線形な位
相変化が、適切に除去されるからである。実際に、適応
コントローラ190が、結果的なモータ・トルクからの
モータの動作パラメータの変動による影響を減少させ
る。
【0055】PIDコントローラ190のエラー・コマ
ンド出力ecmdは、ノッチ・フィルタ200に接続され
る。ノッチ・フィルタ200の目的は、固定子シェルの
振動に起因する音響ノイズを除去することである。
【0056】1対のVRモータの極を付勢すると、結果
的に、固定子のシェルの半径方向の運動が生じることが
発見されている。これは、モータの音響的感知構造モー
ドと称される。ある駆動周波数では、固定子のシェル
は、人間にとって可聴である範囲に十分に含まれる周波
数で共振することがあり得る。この共振によって、モー
タは、「スピーカ」として機能する。モータは、また、
共振の影響の結果として、付勢された位相において電流
が揺らぐことがあり得る点で、マイクロフォンとしても
機能することがある。シェルの半径方向の運動は、シェ
ルの変位、速度及び/又は加速度によって、表現するこ
とができる。
【0057】ノッチ・フィルタ200は、モータの音響
的感知構造モードの共振周波数を、モータ・コイルに与
えられた電圧からノッチして除去する。ノッチ・フィル
タ200の出力は、PWMフォーマッタ204に接続さ
れる。コントローラ90からの位相選択信号φSELもま
た、PWMフォーマッタ204に接続されている。PW
Mフォーマッタ204の出力は、上側及び下側のスイッ
チングFETに制御可能に接続されて、モータ位相のそ
れぞれに対するPWMオン時間を制御する。ノッチ・フ
ィルタ200からのフィルタリングされた電流要求信号
と位相選択信号とに応答して、PWMフォーマッタは、
適切な上側及び下側のスイッチングFETのオン時間オ
ーバラップを制御し、所望のトルクを用いて、所望の方
向に、モータを付勢する。
【0058】モータ・コントローラ90は、車両の乗員
用室内に位置する診断インジケータ240に動作的に結
合されている。この分野で知られているように、コント
ローラ90は(又は、図示されていない別のコントロー
ラが)、システムの動作をモニタし、故障条件が感知さ
れた場合には、インジケータ240を作動させる。故障
条件が感知されると、モータ28は、付勢されなくな
り、スイッチング・システムは、アシストなしのモード
に戻る。
【0059】とりわけ電気アシストスイッチング・シス
テムにおいては、トルク・リプルが減少されている制御
構成を有することが望ましい。VRモータ・トルクを適
切に制御するためには、磁束(磁気的なフラックス)
が、それぞれのモータ位相において、電流コントローラ
によって誘導されなければならない。モータの制御の間
には、変動するモータの動作条件の関数である鎖交磁束
(flux linkage)の変化が生じる。VRモータに対する
典型的な鎖交磁束は、電流や位置などのモータの動作条
件の関数である。鎖交磁束が変化するという性質の結果
として、動作の間に、VRモータの時間変動ダイナミク
スが生じる。この変動するという特性は、リラクタン
ス、すなわち、固定子と回転子との間の空気の体積が、
最大値から最小値に変動する際の位相変化の間に、最も
顕著である。
【0060】トルク・リプルは、位相変化が制御も補償
もされない場合に生じる。トルク・リプルを最小化する
ために、トルク・リプルのほとんどを除去する最適化さ
れた電流プロフィールが、発生される。このような電流
プロフィールを用いる場合でも、制御構成は、時間変動
する動的なモータ特性を考慮しなければならない。時間
変動する位相電流は、次のように表すことができる。
【0061】
【数6】
【0062】ここで、L(i,Θ,x)は、電流iと、
位置Θと、エア・ギャップxとの関数である位相インダ
クタンスである。Rは、モータの抵抗値である。λ
(i,Θ,x)は、電流iと、位置Θと、エア・ギャッ
プxとの関数である鎖交磁束である。σ1は、ホワイト
・ノイズである。Vcmdは、電圧コマンドである。Θの
上にドットを付したもの(Θの時間微分)は、モータの
回転速度である。xの上にドットを付したもの(xの時
間微分)は、モータ・シェルの半径方向の変位速度であ
る。
【0063】位相電流の制御は、どのくらい大きな電圧
コマンドVcmdを与えることができるかに関して、バッ
テリ電圧B+によって制限される。更に、上述の数式6
における最後の3つの項は、外乱(disturbance)d1
して扱われる。これにより、ローバスト(robustness)
を維持するには、外乱の排除が必要となる。この方程式
は、次のようにも、書くことができる。
【0064】
【数7】di/dt=[1/L(i,Θ,x)][(−
i・R+Vcmd)]+d1 インダクタンスは、電流と位置とエア・ギャップとの関
数であることに注意すべきである。エア・ギャップの影
響が無視できると仮定すると、VRモータのインダクタ
ンスは、図6に示されているように、3次元のマップと
して表すことができる。このマップは、インダクタンス
・アナライザを用いて、4相のVRモータの1つの位相
について、経験的に測定された。モータのこの変動する
インダクタンス特性は、電流制御のパフォーマンスに影
響を与え、本発明によると、制御構成において考慮され
る。モータが回転するにつれて、インダクタンスは、イ
ンダクタンスが電流と角度との決定関数(determ
inistic function)であるにもかかわ
らず、時間変動しているように見える。
【0065】周波数「a」における極と比例ゲインKp
とを有するアンチ・エイリアシング(anti-aliasing)
フィルタを備えているデジタル電流制御システムに対し
ては、伝達関数は、ラプラス・ドメインにおいて次のよ
うに近似することができる。
【0066】
【数8】
【0067】インダクタンスの大きさは、この伝達関数
の極の位置を変化させ、閉ループ電流コントローラのパ
フォーマンスに影響する。ゲインKpが固定されている
と、極の位置は、実軸から複素平面に移動する。極の位
置がこのように変化すると、これらの変動するモータ特
性を動作の間に認識せずに追加的な極やゼロが導入され
ると、システムは、安定的なシステムから、発振するシ
ステムへ、更には、不安定なシステムへと変化する。電
流応答が発振を生じないように固定された比例ゲイン値
pを減少させる場合には、モータ音響ノイズは低下す
るが、十分でない電流制御のために、トルク・リプルが
生じる。これは、ある条件における過渡状態及び定常状
態両方の応答に対するトラッキング能力を低下させるこ
とにより、コントローラのパフォーマンスを損なうこと
になる。
【0068】ゲイン・スケジューラは、本発明に従う
と、設計上の規準に応じて、任意の所望の帯域幅にチュ
ーニングすることができる。この動的システムの時間変
動による効果を平滑化するためには、設計上の目的は、
一定の帯域幅と一貫した位相のずれという一貫性のある
システム特性を維持することである。
【0069】特性方程式を解くと、システムの主たる実
極(real pole)は、次のように表すことがで
きる。
【0070】
【数9】
【0071】一般的には、R<<aLという仮定するこ
とができる。例えば、R<0.1Ω<<aL(i,Θ)
<3.14=5000Hz・2π・100μHである。
数式9の方程式は、次のように簡略化することができ
る。
【0072】
【数10】
【0073】実極を保証するためには、次の条件が成立
しなければならない。
【0074】
【数11】Kp≦aL(i,Θ)/4−R そして、一定の帯域幅ωrefを維持するために、システ
ムの比例ゲインが、インダクタンスと、抵抗値と、アン
チ・エイリアシング・フィルタの極の位置との関数とし
て、スケジュールされ、次のように表すことができる。
【0075】
【数12】
【0076】そして、この方程式を用いて、インダクタ
ンスの関数としてのゲイン・マップを作ることができ、
図7に示されている。アンチ・エイリアシング・フィル
タがない場合には、ゲイン・スケジューラは、次の形に
更に簡略化できる。
【0077】
【数13】Kp=L(i,Θ)・ωref−R 温度は、より高い温度を用いてモータの抵抗値を上昇さ
せることにより、ゲイン・マップに影響を与える。この
場合には、温度効果は、次のように含ませることができ
る。
【0078】
【数14】
【0079】最後の項は、温度効果に起因する抵抗値の
変化である。モータの温度は、モータ温度センサ102
によって感知される。スケジュールされたゲインKp
減少されると、定常状態エラーは、顕著になることがあ
り得る。定常状態エラーは、次のように表すことができ
る。
【0080】
【数15】
【0081】例えば、典型的な制御システムに対する公
称ゲインは約2であり、抵抗値は約0.1オーム(Ω)
であるが、これらによって、5%の定常状態エラーが生
じる。しかし、ゲイン・スケジューラは、適応的にKp
を計算し、インダクタンスの変動を補償するので、ゲイ
ンKpは、大きな定常状態エラーが生じるのに十分なほ
どに小さくなる可能性がある。これは、直流ゲイン補償
器184によって、訂正される。このDCゲイン補償器
は、次のように表すことができる。
【0082】
【数16】
【0083】シェルの振動は、一貫性のあるゲイン電流
コントローラを用いることによって、減少させることが
できる。電流制御帯域幅をより低いレベルに維持するこ
とにより、一定ゲイン・コントローラを用いて、シェル
加速度を減少させる。ゲイン・スケジューラは、本発明
の1つの実施例で用いられ、電流制御帯域幅をほぼ33
0Hzに維持した。
【0084】ノッチ・フィルタは、電流制御ループのフ
ィードバック経路からのノイズ・ゲインを減少させる。
2のノイズ伝達関数は、次のように表すことができ
る。
【0085】
【数17】
【0086】分母は、電流応答特性方程式と同じであ
る。モータ音響ノイズは、モータ・ハウジング又はシェ
ルの加速度を介して、電流制御ループに直接的に関係す
る。構造モードにおいてノイズ応答を減少させること
は、電流制御ループのゲインをその周波数に制限するこ
とと同等である。本発明によるゲイン・スケジューラが
なければ、帯域幅は、高いノイズ・ゲインを提供しより
多くの音響ノイズを生じさせるモータの構造モードに近
づく可能性がある。ゲイン・スケジューラは、本発明を
用いない場合の変動する帯域幅の最高値よりも低い一貫
した帯域幅を維持することにより、その周波数における
励振を減少させる。
【0087】Kpの値は、モータ電流と、モータ位置
と、システム抵抗値と、モータ温度とに関数関係を有し
ている。Kpに対する値は、好ましくは、予め決定さ
れ、ルックアップ・テーブルに記憶されている。
【0088】図5を参照すると、デジタル・モータ電流
コントローラのための閉ループ・フィードバック制御構
成が示されている。基準電流コマンド信号ircmdである
直流ゲイン補償器184の出力は、上述したように、加
算回路186に接続される。加算回路への他方の入力
は、モータ電流フィードバック信号isである。可変ゲ
インPIDコントローラは、伝達関数Gcによって表さ
れる。ノッチ・フィルタ200のための伝達関数は、伝
達関数Gnによって表される。システムには、電圧ノイ
ズNvが存在し、制御ループの中に加算される様子が示
されている。ノッチ・フィルタGnと電圧ノイズNvとを
加算したものが、伝達関数Gmを有するモータ・コイル
に接続される。モータ電流imは、システムに存在する
電流ノイズNsと加算され、その結果として、感知され
たフィードバック電流isが生じる。感知されたフィー
ドバック電流isは、閉ループ・スイッチを介して、基
準コマンド電流ircmdと加算される。このスイッチは、
通常は閉じているループ・システムを開ループ制御シス
テムとして考えるときに、ブレーク・ポイントを定める
ものとして示されている。
【0089】図8を参照すると、異なる電流において、
0度の回転子オフセットの場合に、モータ・コマンドi
cmdに対する位相Dのモータ電流imの開ループ伝達関数
についてのボーデ・プロットが示されている。ただし、
フィードバック・ラインにおけるスイッチは、開状態で
あるとする。角度0度は、モータの位相Dが付勢される
ときに、回転子が位置合わせ(整列)されている角度で
ある。これは、一般に、整列された回転子位置と称さ
れ、モータにとって、安定な平衡点である。すなわち、
コイルが付勢されると、回転子は、0度の位置に留ま
る。角度30度は、0度の点から30機械的度数の回転
である。この位置は、位相Dの励磁に対しては不安定な
平衡点であり、その理由は、回転子の極は、2つの固定
子の極のちょうど間にあり、インダクタンスを最大化す
るためには、回転子は、0度か60度かのどちらかまで
回転しなければならないからである。このグラフは、本
発明のデジタル・モータ・コントローラを備えていない
スイッチング・システムに対するものである。電流が増
加するにつれて、高周波ゲインが増加する。ライン30
0は、ライン302によって表されている電流よりも小
さな電流値であり、ライン302は、ライン304によ
って表されている電流値よりも小さく、ライン304
は、ライン306によって表されている電流値よりも小
さい。
【0090】高周波ゲインが電流と共に増加するのは、
整列された回転子位置では、モータのインダクタンスが
電流と共に減少するからである。モータの極は、周波数
R/Lにあり、極が高ければ高いほどに、高周波におけ
るゲインは高くなる。
【0091】モータ・シェル加速度のプロットが、図9
に示されている。この図では、ラインは、図8に示され
たのと同じ電流値を表しており、やはり、本発明による
デジタル・モータ電流コントローラは用いていない。こ
のグラフは、2.4kHzにおけるモータ・シェルに対
する共振周波数を示している。
【0092】図10は、図8に示されたのと同じ電流値
を表すラインを用いたボーデ・プロットであり、やは
り、本発明によるデジタル・モータ電流コントローラは
用いていない。このグラフは、6つの回転子極を有する
回転子を備えた4相モータにおいて生じ得る最大のオフ
セットである30度の回転子オフセットを表していると
いう点で異なっている。このプロットでは、モータ・イ
ンダクタンスが最小であるときに、高周波ゲインが同一
であるということがわかる。高周波ゲインは、電流が増
加しても実質的に一定である。これは、モータのインダ
クタンスが整列されていない回転子位置における電流に
対して実質的に一定であることによる。
【0093】図11は、モータの回転子が30度のオフ
セット状態にあるときのシェル加速度を示す周波数応答
である。やはり、本発明によるデジタル・モータ電流コ
ントローラは用いていない。モータの共振は、やはり、
2.4kHzにおいて生じていることがわかる。
【0094】図12は、モータの回転子が0度のオフセ
ットをしているときの、一定ゲインコントローラを用い
た閉ループ制御のボーデ・プロットである。図13は、
一定ゲインコントローラを用いた場合の、シェル加速度
を示す周波数応答プロットである。このグラフは、2.
4kHzのモータ共振周波数におけるシェル加速度を示
している。
【0095】図14は、本発明によるゲイン・スケジュ
ーラを用い、回転子のオフセットが0度のオフセットで
あるときの、閉ループ制御構成を示すボーデ・プロット
である。このプロットは、システムの周波数応答と3d
Bのロールオフ・ポイントに関して、著しい改善を示し
ている。すなわち、モータ電流制御の帯域幅が、図12
の一定ゲインシステムの場合よりも、更に一定である。
【0096】図15は、本発明によるゲイン・スケジュ
ーラを、回転子のオフセットが0度において用いるとき
の、シェル加速度を示す周波数応答プロットである。シ
ェル加速度が実質的に減少していることがわかり、これ
により、更には、可聴ノイズが減少し、トルク・リプル
が減少している。
【0097】ゲイン・スケジューラ(図13)の効果
は、一定ゲイン・システム(図12)と比較して、電流
伝達関数のより一定の帯域幅を得ることである。図13
においてゲインがより一定であるのは、モータ電流が増
加する際に、コイルのインダクタンスの変化が、システ
ムの比例ゲインを減少させることによって、補償される
ことによる。ゲイン・スケジューラの効果は、また、一
定ゲイン・システム(図13及び図15)と比較して、
モータ・シェルの加速度を減少させることである。
【0098】ノッチ・フィルタ200は、モータ電流コ
ントローラの周波数応答をその制御帯域幅内で整形する
ように機能する。例えば、モータ電流コントローラの周
波数応答を整形すると、音響感知構造モードの共振周波
数を、すなわち、固定子シェルが共振する周波数をノッ
チして除去することによって、音響ノイズが排除され
る。音響ノイズを制御することにより、モータ電流制御
帯域幅を増加させることができる。この制御帯域幅を増
加させることにより、トルク・リプルが減少する。ノッ
チ・フィルタは、音響ノイズを生じさせる構造的な共振
を排除する。
【0099】Gcは、コントローラ190に対する伝達
関数である。コントローラ190が比例/積分コントロ
ーラであると仮定すると、その伝達関数は、次のように
なる。
【0100】
【数18】Gc=Kp(1+KI/s) ノッチ・フィルタ200に対する伝達関数は、次の通り
である。
【0101】
【数19】Gn=(s2+2ζ1ωn1s+ωn1 2)/(s2
+2ζ2ωn2s+ωn2 2) ここで、ωn1、ωn2は、ノッチに近接した周波数であ
り、減衰ファクタであるζ 1及びζ2は、ノッチの深さを
定義する。この実施例では、ωn1=ωn2=2100
・2π、ζ1=0.1、ζ2=0.6であり、約15dB
の排除を提供する。(この実施例では、モータ共振は、
2.1KHzで生じる。) モータの伝達関数Gmは、次の通りである。
【0102】
【数20】Gm=1/(Ls+R) ここで、Lは、モータの局所的なインダクタンスであ
り、Rは、抵抗値である。
【0103】制御ループ伝達関数を考慮すると、次の式
が得られる。
【0104】
【数21】 ((ircmd−(im+Ns))Gcn+Nv)Gm=im コマンド応答は、次のようになる。
【0105】
【数22】 im/ircmd=Gcnm/(1+Gcnm) センサ・ノイズ応答は、次のようになる。
【0106】
【数23】 im/Ns=−Gcnm/(1+Gcmn) 電圧ノイズ応答は、次のようになる。
【0107】
【数24】im/Nv=Gm/(1+Gcmn) 一貫性のある電流帯域幅のモータが与えられると、ノッ
チGnを用いて、構造的なノイズが生じる周波数におけ
るノイズを減衰させるモータ電流コントローラを設計す
ることができる。図16及び図17に示されているよう
に、ノッチGnは、モータ・シェル加速度を20dB減
衰させるように設計された。図18に示されているよう
に、根軌跡(root locus)を解析することから、モータ
の構造的なノイズを励起させないノッチされた一貫性の
ある帯域幅を達成する閉ループ電流コントローラを設計
することができる。図19及び図20に示されているよ
うに、一定ゲイン・コントローラの最低の帯域幅と比較
すると、ノッチされた一貫性のある帯域幅コントローラ
は、より高い帯域幅を維持しながら、ゲインを拡大する
ノイズがより低くなる。下側のフォールオフ・トレース
は100Hzであり、上側のフォールオフ・トレースは
600Hzである。
【0108】上述のコントローラの結果は、20rpm
でテストされ、シェルの振動が測定され、一定ゲイン・
コントローラの場合と比較された。図21に示されるよ
うに、提案されているノッチされた一貫性のある帯域幅
のパワー・スペクトル密度は、一定ゲイン・コントロー
ラの僅かに1.4%である。図21の上側のプロット
は、ノッチ・フィルタがない場合であり、下側のプロッ
トは、ノッチ一貫性帯域幅コントローラを用いた場合で
ある。
【0109】ここに付表(アペンディクス)として添付
した表1〜表18は、デジタル・モータ電流コントロー
ラの実現のためのソフトウェア・プログラム・リストの
コピーである。ゲイン・スケジューラとノッチ・フィル
タとは、マイクロコンピュータをデジタル的に用いて図
面に示された関数を達成する、ディスクリートな回路を
用いる、デジタルとディスクリートとを組み合わせて実
現し好ましくはASIC内に納めることなどのいずれか
によって、実現される。
【0110】本発明の好適実施例に関する以上の説明か
ら、当業者は、改良、変更及び修正を認識するはずであ
る。例えば、位置、電流、温度などの動的な動作特性を
モータ制御において用いた。しかし、当業者は、モータ
制御において、動的な動作特性として、モータのフラッ
クスを用いることもできることを理解するであろう。当
業者によるそのような改良、変更及び修正は、特許請求
の範囲に含まれるものとする。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】
【表10】
【0121】
【表11】
【0122】
【表12】
【0123】
【表13】
【0124】
【表14】
【0125】
【表15】
【0126】
【表16】
【0127】
【表17】
【0128】
【表18】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパワー・アシスト・ステアリング
・システムを図解する概略的なブロック図である。
【図2】図1のシステムの一部の概略的なブロック図で
あり、適応ブレンディング・トルク・フィルタをより詳
細に示している。
【図3】図1のシステムの一部の概略的なブロック図で
あり、デジタル・モータ電流コントローラをより詳細に
示している。
【図4】図1に示された駆動回路とパワー・スイッチと
の一部の回路図である。
【図5】本発明の閉ループ制御機能の一部のブロック図
である。
【図6】VRモータのインダクタンス・マップの3次元
グラフィカル表現である。
【図7】感知された電流と回転子角度との関数としての
比例ゲイン・マップの3次元グラフィカル表現である。
【図8】モータ・オフセットが0度である場合の異なる
電流値におけるステアリング・システムの開ループ伝達
関数のボーデ・プロットである。
【図9】図8の開ループ・システムに対する、モータ電
流コマンドへのモータ・シェル加速度の周波数応答の図
解である。
【図10】モータ・オフセットが30度である場合の異
なる電流値におけるステアリング・システムの開ループ
伝達関数のボーデ・プロットである。
【図11】図10の開ループ・システムに対する、モー
タ電流コマンドへのモータ・シェル加速度の周波数応答
の図解である。
【図12】モータ・オフセットが0度である場合の異な
る電流値における、本発明によるゲイン・スケジューラ
を有していないステアリング・システムの閉ループ伝達
関数のボーデ・プロットである。
【図13】図12の開ループ・システムに対する、モー
タ電流コマンドへのモータ・シェル加速度の周波数応答
の図解である。
【図14】モータ・オフセットが0度である場合の異な
る電流値における、本発明によるゲイン・スケジューラ
を有するステアリング・システムの閉ループ伝達関数の
ボーデ・プロットである。
【図15】図14の開ループ・システムに対する、モー
タ電流コマンドへのモータ・シェル加速度の周波数応答
の図解である。
【図16】典型的なノッチ・フィルタのボーデ・プロッ
トのゲイン・プロットである。
【図17】図16のノッチ・フィルタに対するボーデ・
プロットの位相プロットである。
【図18】完全な電流制御システムにおけるノッチ・フ
ィルタの根軌跡プロットである。
【図19】本発明によるノッチ一貫性の帯域幅コントロ
ーラのゲイン比較のグラフィカル表現である。
【図20】本発明によるノッチ一貫性の帯域幅コントロ
ーラの位相比較のグラフィカル表現である。
【図21】本発明によるノッチ一貫性の帯域幅コントロ
ーラを用いた場合と用いない場合とのモータ・シェル加
速度のグラフィカル表現である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータ電流コマンド信号とモータ電流フ
    ィードバック信号とを加算し、前記モータ電流コマンド
    信号と前記モータ電流フィードバック信号との差と関数
    関係にある値を有する誤差電流コマンド信号を提供する
    手段と、 前記誤差電流コマンド信号をフィルタリングし、フィル
    タリングされた電流コマンド信号を提供するノッチ・フ
    ィルタ手段であって、モータの共振周波数の周辺の周波
    数を前記エラー電流コマンド信号からノッチして除去す
    るように構成されているノッチ・フィルタ手段と、 前記フィルタリングされた電流コマンド信号に応答して
    前記モータを付勢する駆動回路と、 モータ電流を感知し、前記モータ電流フィードバック信
    号を提供するモータ電流センサと、 を備えたモータ・コントローラ。
  2. 【請求項2】 車両ステアリング・ホイールに加えられ
    たステアリング・トルクを感知し、前記ステアリング・
    トルクと関数関係にある値を有する信号を提供するトル
    ク・センサと、 車両のステアリング部材と駆動的に接続されており、付
    勢されるとき、ステアリング・アシストを提供するモー
    タと、 前記トルク・センサに動作的に接続されており、前記加
    えられたステアリング・トルク信号の値と関数関係にあ
    る値を有するモータ電流コマンド信号を提供するモータ
    ・コントローラと、 前記モータ電流コマンド信号とモータ電流フィードバッ
    ク信号とを加算し、前記モータ電流コマンド信号と前記
    モータ電流フィードバック信号との差と関数関係にある
    値を有する誤差電流コマンド信号を提供する加算手段
    と、 前記誤差電流コマンド信号をフィルタリングし、フィル
    タリングされた電流コマンド信号を提供するノッチ・フ
    ィルタ手段であって、前記モータの共振周波数の周辺の
    周波数を前記誤差電流コマンド信号からノッチして除去
    するように適合されているノッチ・フィルタ手段と、 前記フィルタリングされた電流コマンド信号に応答して
    前記モータを付勢する駆動回路と、 モータ電流を感知し、前記モータ電流フィードバック信
    号を前記加算手段に提供するモータ電流センサと、 を備えた電気アシスト・ステアリング・システム。
  3. 【請求項3】 前記モータ電流コマンド信号をフィルタ
    リングし、前記モータの共振周波数の周辺の周波数の周
    波数成分を、前記モータ電流コマンド信号から除去する
    前置ノッチ・フィルタを更に含む、請求項2記載の電気
    アシスト・ステアリング・システム。
  4. 【請求項4】 モータ電流コマンド信号とモータ電流フ
    ィードバック信号とを加算し、前記モータ電流コマンド
    信号と前記モータ電流フィードバック信号との差と関数
    関係にある値を有する誤差電流コマンド信号を提供する
    ステップと、 前記誤差電流コマンド信号をノッチ・フィルタリング
    し、フィルタリングされた電流コマンド信号を提供する
    ステップであって、モータの共振周波数の周辺の周波数
    を、前記誤差電流コマンド信号からノッチして除去す
    る、ステップと、 前記フィルタリングされた電流コマンド信号に応答して
    前記モータを付勢するステップと、 モータ電流を感知し、前記モータ電流フィードバック信
    号を提供するステップと、 を含むモータ制御方法。
JP11075997A 1998-03-20 1999-03-19 ノッチ・フィルタを用いる改良されたモ―タ電流コントロ―ラを有する電気アシスト・ステアリング・システム Pending JPH11313497A (ja)

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