JPH11312467A - 画像形成装置の製造方法及び製造装置 - Google Patents

画像形成装置の製造方法及び製造装置

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JPH11312467A
JPH11312467A JP11040382A JP4038299A JPH11312467A JP H11312467 A JPH11312467 A JP H11312467A JP 11040382 A JP11040382 A JP 11040382A JP 4038299 A JP4038299 A JP 4038299A JP H11312467 A JPH11312467 A JP H11312467A
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vacuum
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control
driving
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泉 田畑
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/027Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of thin film cathodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2329/00Electron emission display panels, e.g. field emission display panels

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パネル構成部材からのガス分子の脱離に伴う
素子劣化を回避する信頼性の高い画像形成装置の製法及
びそれに用いる製造用装置を提供すること。 【解決手段】 電子放出素子を有する電子源の多数を配
列した電子源基板と、真空部を介してこれと対向して設
けられた発光表示板とを有する画像形成装置を製造する
際に、その真空部の真空状態を排気ないしはゲッターに
より維持した状態で該真空部内をエージング処理するエ
ージング工程を行い、かつこのエージング工程を画像形
成装置の駆動デューティーを徐々に大きくする駆動デュ
ーティー制御により行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(表面伝導型)電子放
出素子を用いた画像形成装置の製造方法及び製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金
属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子
放出素子等がある。
【0003】FE型の例としてはW. P. Dyke&
W. W. Dolan、”Fieldemissio
n”、Advance in Electron Ph
ysics、8、89(1956)、あるいはC.A.Spindt,"
PHYSICAL Properties of thin-film field emission ca
thodes with molybdenium cones",J.Appl.Phys.,47,52
48(1976) 等に開示されたものが知られている。MIM
型の例としてはC. A. Mead、”Operation of Tun
nel-Emission Devices”、J. Apply. Phys.、3
2、646 (1961)等に開示されたものが知られている。
表面伝導型電子放出素子型の例としては、M. I. El
inson、Radio Eng. Electron
Pys. 、10、1290,(1965)等に開示されたものが
ある。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2薄膜を用いたもの[M. I. Elinso
n、Radio Eng. Electron Phys.
、10、1290,(1965 )]、Au薄膜によるもの[G.
Dittmer:”Thin Solid Film
s”、9、317(1972)]、In23/SnO2薄膜
によるもの[M. Hartwell and C. G.
Fonstad:”IEEE Trans. ED C
onf. ”、519(1975)]、カーボン薄膜によるも
の[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁(19
83)]等が報告されている。
【0005】上述の表面伝導型電子放出素子は, 構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数
素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を
生かせるようないろいろな応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等への応用があげられる。
多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成した例として
は、後述する様に、並列に表面伝導型電子放出素子を配
列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)
で、それぞれ結線した行を多数行配列した電子源があげ
られる(例えば、特開昭64-031332号公報、特開平1-283
749号公報、特開平2-257552号公報等)。
【0006】一方、表示装置等の画像形成装置において
は、近年、液晶を用いた平板型表示装置がCRTに替わ
って普及してきたが、自発光型でないためにバックライ
トを持たなければならない等の問題点があり、自発光型
の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示装置と
しては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と電子源より放出された電子によって可視光を発光せし
める蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装
置があげられる(例えば、USP5066883)。
【0007】従来の平板型画像形成装置の製法の一例を
図28に示す。電子源基板及び発光表示板をそれぞれ作
成後、組み立て工程を経て、電子源基板と発光表示板と
の間に形成された領域に真空排気を施し、必要ならば脱
ガス工程としてベーキングを行い、さらに封止、ゲッタ
ーフラッシュを行う工程によって画像形成装置の製造が
行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の平板型画像形成
装置は、複数の電子放出素子を配列した電子源基板と蛍
光体等が配された発光表示板とが真空部を介して対向し
て配置された構成を有する。上記画像形成装置は、走査
信号及び変調信号を電子源基板に印加することにより各
電子放出素子から電子を放出させ、発光表示板に印加し
た数kV以上のアノード電圧Vaにより該電子を加速し、
蛍光体に衝突させて発光させることで画像を表示する。
【0009】ところが、このような平板型表示装置で
は、動作初期において、著しい輝度低下や、表示に点欠
陥やライン欠陥を生じる事があった。これらの輝度低下
や欠陥生成の原因の一つは、動作に伴い、発光表示板に
配される蛍光体、メタルバック及び電子源基板に配され
る配線、電極、電子放出素子などのパネル構成部材から
のガス分子の脱離によるガス発生(脱ガス)が生じ、こ
のガスの発生による真空悪化に起因した電子放出素子の
特性劣化が生じることにある。
【0010】このような真空悪化の対策として、「真空
排気能力をあげること」や、「各パネル構部材からの脱
ガス量を低減すること」が考えられる。
【0011】前者の対策としては、十分な量のゲッター
を配置することが挙げられる。従来のCRT等の表示装置
内部を真空にする表示装置においては、ゲッターにより
十分な真空維持を行うことができた。ところが、上記平
板型表示装置の場合には、表示装置内の真空部容積が小
さいため、ゲッターからの排気コンダクタンスが不十分
となり、特に表示装置内の局所的な脱ガスに対して十分
な排気が行えないという課題があった。
【0012】後者の対策としては、従来、高温の真空排
気ベークプロセスを行うことにより、パネル構成部材か
らの脱ガス量の低減がはかられてきた。ところが、通常
の数100℃のベークでは不十分であり、上記課題に対し
て本質的な解決策とならない場合がある。また、更に高
温のベークについては、表示装置に用いる部材として高
温の真空ベークに耐えられない部材、つまり化学反応、
合金化、薄膜の凝集等が生じる部材およびその組み合わ
せを用いることができなくなるため、表示装置の構成上
の制約が大きくなり、望ましくない。
【0013】また、配線・電極・電子放出素子などのパ
ネル構成部材からの脱ガス制御としては、発光表示板に
印加するアノード電圧を徐々に上げる手法や、電子源駆
動電圧を徐々に上げたりすることにより画像形成装置内
の真空雰囲気を制御する方法がある(例えば、特開平9
−213224号公報)が、画像形成装置内で生じる脱
ガス量をさらに細かく制御することが望ましい。
【0014】本発明は以上述べた各種事項に鑑みなされ
たものであり、その目的は、パネル構成部材からのガス
分子の脱離に伴う素子劣化を回避する信頼性の高い画像
形成装置の製法及びそれに用いる製造用装置を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の画像
形成装置の製造方法は、電子放出素子を有する電子源の
多数を配列した電子源基板と、該電子源基板と真空部を
介して対向して設けられた発光表示板と、を有する画像
形成装置の製造方法において、該真空部の真空状態を排
気ないしはゲッターにより維持した状態で該真空部内を
エージング処理するエージング工程を有し、該エージン
グ工程は、該画像形成装置の駆動デューティーを徐々に
大きくする駆動デューティー制御により行われることを
特徴とする。
【0016】この駆動デューティー制御によるエージン
グは真空部内の真空状態を真空計でモニターし、得られ
た真空度に関する情報をフィードバックすることでより
確実に行うことができる。そこで、本発明の画像形成装
置の製造装置は、複数の電子放出素子を配列した電子源
基板と、該電子源基板と真空部を介し対向して設けられ
た発光表示板とを有する画像形成装置の製造装置におい
て、該真空部を排気する排気手段と、該真空部内の真空
度を測定する真空計と、該電子源を駆動する電子源駆動
装置と、前記電子放出素子からの電子線の加速に用いる
アノード電源とを有することを特徴とする。
【0017】本発明によれば、画像形成装置の製造工程
中に上記のエージング工程を導入したことで、構成部材
からのガス分子の脱離に伴う素子劣化や真空放電を抑制
することができ、点欠陥、ライン欠陥等の発生を抑制あ
るいは低減させ、歩止りの向上が図れる。また、動作初
期の劣化を抑制することができるため、高輝度で安定な
表示の画像形成装置を実現できる。更に、本発明におい
ては、特に、高温の真空ベークプロセスを行わずとも、
上記効果を達成できる利点がある。
【0018】本発明の画像形成装置の製法は、図22に
示すように、電子源基板及び発光表示板を作成後、組み
立て工程を経て、真空排気、ベーキング、封止、ゲッタ
フラッシュに引き続き、「エージング工程」と称する脱
ガス工程を行い、この脱ガス工程を駆動デューティー
(Duty)を徐々に上げる制御により行う点に特徴があ
る。ここで、電子源基板に配置される電子放出素子とし
て表面伝導型電子放出素子を用いる際には、図23のよ
うにフォーミング、活性化、安定化工程等が適宜行われ
る。また、図22、23では封止工程の後に、エージン
グ工程を記してあるが、逆にエージング後に封止を行っ
てもよい。
【0019】さて、先の述べたように、画像形成装置を
動作すると、電子線照射や熱にともないパネル構成部材
から相当量の脱ガスによるガス発生が生じる。過度なガ
ス発生が生じ、著しい真空度の悪化が生じた場合には、
電子放出素子の特性劣化にともなう輝度低下や、表示に
点欠陥やライン欠陥を生じるという課題があった。
【0020】本発明者が鋭意検討したところ、動作時の
脱ガス量は、画像形成装置の構成やエージング以前の工
程等により異なるが、その変化には以下に示すような特
徴があることがわかった。 (特徴)図24に示すように、定性的に、駆動デュー
ティーを構成し得る要件、例えば画像形成装置の駆動電
圧Vf、駆動パルス幅が大きいときや駆動素子数が多い時
に、脱ガス量が多い傾向がある。 (特徴)同一の条件で動作し続けた場合、脱ガス量
は、図25に示すように動作初期に多く、動作時間とと
もに減少する傾向がある。
【0021】前者は脱ガス量が単位時間に電子源から放
出される電子量もしくは発光表示板に入射する電子量に
依存することを示している。後者は、脱ガス量は総量と
して限りがあり、以下に示す脱ガス工程を施すことによ
り、最終的には十分脱ガス量の小さい画像形成装置とす
ることができることを意味する。
【0022】これらの特徴を鑑み、本発明では、エージ
ング工程が、画像形成装置内を排気装置により真空排気
を行いながら、もしくは画像形成装置内に設置されたゲ
ッターが排気能力を有する状態において、時間の経過と
ともに駆動デューティーを大きくする駆動デューティー
制御により行われる。
【0023】ここで、駆動デューティーとは、先の特徴
に記した、単位時間に電子源から放出される電子量、
もしくは発光表示板に入射する電子量、に寄与する画像
表示装置の動作条件である。すなわち、駆動デューティ
ーが大きいとは、駆動パルス及び駆動周波数の少なくと
も1つが大きいことや、駆動素子数が多いことをさす。
また、これらの条件に付加的に、必要に応じてアノード
電圧Va、駆動電圧Vf及びグリッド電圧等の少なくとも1
種を上げる操作を併用することができる。なお、真空計
によって真空部のモニターを行う場合は、アノード電圧
Va、駆動電圧Vf、グリッド電圧、駆動パルス、駆動周波
数及び駆動素子数の少なくとも1つを選択して駆動デュ
ーティーの制御を行うこともできる。
【0024】また、ここで言う「時間の経過とともに駆
動デューティーを大きくする」は、長い時間経過でみて
駆動デューティーが大きい方向に制御されていればよ
く、短い時間において一時的に小さくする方向に制御す
ることや一時的にエージングを停止することなどしても
よい。
【0025】このエージング法の作用について、図2
9、30を参照して以下に説明する。従来は、図29に
示すように動作初期から駆動デューティーの大きい動作
を行うことにより(図29(a))、真空度の著しい悪
化が生じ(図29(b))、真空放電や電子放出素子の
著しい劣化を生じていた(図29(c))。一方、本発
明におけるエージング法によれば、図30(例えば図3
0(b))に示すように、駆動デューティーの小さい、
すなわち脱ガス量の少ない初期動作条件から動作を開始
し、時間の経過につれて脱ガス量が少なくなるのに応じ
て、駆動デューティーの大きい動作条件へと動作条件を
制御/変更し、真空度の著しい悪化を回避して、最終的
には定常動作に到達することができる。すなわち、本発
明のエージング工程における制御された脱ガス手法を用
いることにより、各部材より十分な脱ガスを促しつつ、
電子放出素子の劣化や真空放電を起すような、真空度の
著しい悪化を抑制、回避して、定常動作に到達すること
を可能にするのである。
【0026】さらに、後に詳述するように、上記エージ
ング工程は、真空計により画形成装置内の真空部の真空
度を検知し、その真空度をもとに上記画像形成装置の動
作条件を制御して行うことにより、より信頼性が高い工
程となり、また、比較的短時間で実施可能となる。この
ようなエージング工程により、最終的な定常動作まで可
能となった表示装置は、その後の定常駆動においても安
定した画像を表示することができる。
【0027】なお、本発明におけるエージング工程の手
法は、表面伝導型をはじめ、FE型及びMIM型電子放
出素子を搭載したした画像形成装置に適用可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、まず本発明の画像形成装置
の製法の特徴的な工程である、「エージング工程」につ
いて、詳しく説明した後、次に、本発明の画像形成装置
に適用可能な表面伝導型電子放出素子の構成、製法及び
特性について述べ、さらに、本発明にかかる画像形成装
置の構成及び製法について説明する。
【0029】(エージング工程)エージング工程は、図
22、23に示すように、電子源基板及び発光表示板を
作成、組み立て、真空排気、ベーキング、封止、ゲッタ
フラッシュ等を行った後、画像形成装置の定常動作(す
なわち、画像形成装置を実際に使用するときの動作であ
り、使用目的により異なるが、例えばアノード電圧とし
てVa=10kV程度における60HzのTV動作や全面点灯などの
動作)に先立ち、行う工程である。
【0030】(エージング装置)本発明のエージング手
法及び画像形成装置の製造装置(エージング装置)につ
いて図19を用いて説明する。図19はエージング装置
の一例を示す模式図である。製造工程下の画像形成装置
308は複数の電子放出素子を配列した電子源基板309と、
電子源基板と真空部を介し対向して設けられた発光表示
板310より構成される。画像形成装置308の真空部には真
空計304が接続される。また、電子源基板309には電子源
駆動装置302が、発光表示板310には電子線加速のため高
圧電源(アノード電源)305が、それぞれ接続される。
【0031】ここで、真空計304は、画像形成装置内の
真空部の真空情報を抽出する全圧計もしくは分圧計であ
り、この分圧計としては、イオンゲージ、四重極マスス
ペクトルメータ等があげられる。電子源駆動装置302
は、電子源基板上に配列された電子放出素子に所望の素
子電圧を印加する装置であり、これにより、駆動電圧V
f、駆動周波数、駆動素子数等の駆動デューティーを構
成し得る要素を任意に設定可能である。後に説明するTV
駆動装置と同様な構成とすることができ、千鳥表示、単
色表示、等の任意の画像テストパターンでも駆動でき
る。ここで、駆動走査周波数とは、駆動ラインを順次切
り替えて駆動する際の一周期周波数である。また、駆動
素子数とは、駆動ライン数、部分表示の面積、間引き表
示(数ラインおきに駆動しないラインを設ける)等であ
る。高圧電源(アノード電源)305は、発光表示板にア
ノード電圧を印加する装置である。
【0032】他にも、電子源駆動に伴い電子源基板を流
れる電流(主に素子電流)を測定する電子源駆動電流測
定器303、電子源基板と発光表示板の間を流れる電流
(主に放出電流)が測定される発光表示電流測定器30
6、及び、エージング時に表示される画像を撮像、分析
する表示画像分析器307、等を配することもできる。
【0033】これら装置は、コンピューター301により
集中管理/制御することができる。制御には、PID制御
をはじめとし、任意の制御論理を適用することが可能で
ある。
【0034】(エージング方法)以下、上記エージング
装置を用いたエージング手法を具体的に説明する。エー
ジング工程は、先に述べたように、真空排気を行いなが
ら、時間の経過とともに駆動デューティーを大きくする
工程である。ここで、具体的に駆動デューティーを大き
くするためには、電子源駆動パルス幅、駆動周波数及び
駆動素子数等の少なくとも1つを大きくする。更に必要
に応じて追加的にアノード電圧Va、駆動電圧Vf及びグリ
ッド電圧Vg等から選択された少なくとも1つを大きくし
てもよい。また、真空計でのモニターを行う場合は、こ
れらの要件の少なくも1つを用いて駆動デューティーを
大きくする制御を行うことができる。これらの条件のな
かでも、駆動パルス幅や駆動動走査周波数はパネル内に
生じる脱ガスをパネル全面にわたって均一に制御できる
ことから、より好ましい条件である。
【0035】ここで用いるエージング条件は、パネルの
構成、製法等に依存して異なるが、動作時の脱ガス量の
変化が先のような特徴、を有することを踏まえて行
った設計・シミュレーションや、過去のデータ等をもと
に設定することができる。例えば、「駆動パルス幅を1
〜Pwmaxμsまで増加する」条件(なお、最大パルス
幅Pwmaxは画像表示駆動周波数の周期16.6ms/走査線
本数で表すことができる)、または「駆動周波数を1Hz/
minで1Hz〜60Hzまで増加する」条件等が挙げられる。
【0036】このようなエージング工程における脱ガ
ス、電子放出量の経時変化の一例を、図30の細線で記
した。このような手法を用いることで、図30に示すよ
うに、動作初期に、消費電力の小さい動作を適宜行うこ
とで、熱及び電子線のエネルギーにより各部材から十分
な脱ガスを促し、電子放出素子の劣化や真空放電をおこ
すような、真空度の著しい悪化を抑制、回避して、定常
動作に到達することが可能になる。
【0037】(真空モニタエージング)一方で、動作時
の脱ガス量は、ある程度の予想ができるものの、不確定
な要素を除ききれない面があるため、上記エージング処
理の過程において、動作とともに、逐次、画像形成装置
308の真空部の真空度を測定して、この真空度をもとに
動作条件を制御/変更する(フィードバック制御する)
ことが好ましい。
【0038】ここで、真空度をもとに動作条件を制御す
る手法は、例えば、以下の制御論理A、Bに従ったものと
することができる。 ・[制御論理A]真空度が十分に良いと検知した場合に
は、電子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆
動素子数の少なくとも1項を大きくする方向に変更す
る。 ・[制御論理B]真空度が悪いと検知した場合には、電
子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子
数の少なくとも1項を小さくする方向に変更する。
【0039】ここで、[制御論理B]のかわりに ・[制御論理B’]:真空度が悪いと検知した場合に
は、駆動条件を変更せず維持する。を適用することもで
きる。このような手法(以下、真空モニタエージングと
呼ぶ)を適用することで、本工程は図30の太線のよう
に真空度が一定に保たれ、短時間でより信頼性の高い脱
ガス工程とすることができる。
【0040】以下、一般的な真空モニタエージングの制
御方法をフローチャート図20を用いてより詳しく説明
できる。まず、a)エージング開始として画像形成装置の
動作初期条件の設定することからはじめる。ここで、初
期条件は、脱ガス量の十分小さいと思われる条件であれ
ば特にこだわらない。初期条件で動作開始後、b)動作と
ともに、逐次、c)真空計により真空情報を測定し、d)、
e)その真空情報を基に先の制御論理A、Bに基づき駆動条
件を変更する。ここで、b)〜e)は制御ループとして例え
ば後述する判断基準1、2が満たされるまで繰り返し行
われる。ここで、真空情報としては、全圧及び分圧を用
いることができる。
【0041】全圧は、一般に、図26に示すように、全
圧が大きいときに電子源劣化速度が高くなる傾向があ
る。このことを考慮し、ある規定全圧を基準とし、この
圧力を超えないように、以下のような制御論理にもとづ
き、動作条件を制御することが望ましい。 ・[制御論理A-1]全圧が規定全圧以下の場合には駆動
条件、すなわち電子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周
波数、駆動素子数の少なくとも1項を大きくする ・[制御論理B-1]該全圧が規定全圧以上の場合には駆
動条件、すなわち電子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動
周波数、駆動素子数の少なくとも1項を小さくするここ
で[制御論理B-1]のかわりに ・[制御論理B-1']該全圧が規定全圧以上の場合には駆
動条件を維持する。を用いてもよい。ここで規定全圧
は、電子源基板と発光表示板の距離などのパネル構成等
により適宜設定されるが、例えば10-6Torr以下、望まし
くは10-8Torr以下が挙げられる。
【0042】一方、真空情報として分圧を用いる場合に
は、電子放出素子が影響を受けやすいガス種の分圧が有
用である。特に、電子放出素子として表面伝導型電子放
出素子を適用する際には、電子放出素子が影響を受けや
すいH2O、O2の分圧測定が有用である。図27に表面
伝導型電子放出素子を適用した場合の、H2O分圧及び
2分圧と電子源劣化率の関係を示す。このことを考慮
し、ある規定分圧を基準とし、この分圧を超えないよう
に、以下のような制御論理にもとづき、動作条件を制御
することが望ましい。 ・[制御論理A-2]H2O(O2)分圧が規定H2
(O2)分圧以下の場合には駆動デューティー、すなわ
ち電子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動
素子数の少なくとも1項を大きくする。 ・[制御論理B-2]H2O(O2)分圧が規定H2O(O2
分圧以上の場合には駆動デューティー、すなわち電子源
駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の
少なくとも1項を小さくする。
【0043】ここで[制御論理B-2]のかわりに ・[制御論理B'-2]H2O(O2)分圧が規定H2
(O2)分圧以上の場合には動作条件を維持する。を用
いてもよい。
【0044】ここで規定H2O分圧として、例えば10-7T
orr以下、望ましくは10-11Torr以下、規定O2分圧とし
て、例えば10-7Torr以下、望ましくは10-10Torr以下を
用いることが挙げられる。
【0045】また、蛍光体の種類によっては、O2ガス
等の存在下の使用によって劣化を示すものがある。この
ような蛍光体を用いる場合には、適宜規定O2ガス分圧
を設定することで、蛍光体の劣化を抑制することができ
る。また、ここでは真空度として、真空計で測定した
が、広義には電子放出素子の特性を真空情報として用い
ることもできる。例えば、放出電子量の経時変化や経時
ゆらぎ等があげられる。
【0046】以下、真空モニタエージングにおいて適用
する、制御論理の具体的な制御例を挙げる。例えば ・全圧が規定全圧=10-7Torr以下の場合のときには、電
子源駆動パルス幅を1μs増加させ、全圧が10-7Torr
以上のときは電子源駆動パルス幅を1μs減少させる
(制御例1)。 ・全圧が規定全圧=10-7Torr以下の場合のときには、駆
動操作周波数を2倍に増加させ、全圧が10-7Torr以上の
ときは、駆動周波数はそのまま維持する(制御例2)。 ・H2O分圧が規定H2O分圧=10-9Torr以下の場合に
は、駆動素子数を2倍に増加させ、H2O分圧が10ー9T
orr以上の時には駆動素子数を半分に減少させる(制御
例3)。 ・O2分圧が規定O2分圧=10-9Torr以下の場合には、
素子電圧を0.1V増加させ、全圧が10-9Torr以上の
ときは、素子電圧を0.1V減少させる(制御例4)。 ・全圧が規定全圧=10-6Torr以下の場合のときには、ア
ノード電圧を100V増加させ、全圧が10-6Torr以上
のときは、アノード全圧を100V減少させる(制御例
5)。等が挙げられる。他にも、複数の真空情報を基に
複数の動作条件を制御することもできる。例えば、 ・全圧が規定全圧=10-7Torr以下のときには、駆動パル
ス幅を増加させ、駆動周波数を2倍に増加させ、一方で
全圧が10-7Torr以上のときは、この条件を維持するかこ
れらを減少させる(制御例6)。・制御例1、2、5を
同時に行う。等である。さらに、連続して異なる制御を
行うことが効果的な場合もある。例えば、「制御例1を
施した後、制御例2を施す」などである。
【0047】b)〜e)の制御ループは、最終的には、判断
基準1、2をもとにg)エージング停止、もしくはf)エージ
ング終了することで終了する。ここで、エージング停止
の判断基準としては、真空度の著しい劣化、例えば全圧
が10-5Torrを超えること等を適用すること(判断2)が
挙げられる。エージング終了の判断基準としては、動作
条件が定常動作、もしくは定常動作よりも消費電力の大
きい動作条件(判断1)となることが挙げられる。
【0048】ここで示したのは一例であり、制御論理
A、Bを満たす制御方法であれば、特に限定されず、任意
の制御が可能である。これらは、画像形成装置の構成、
製法に応じて、適宜、選択することができる。
【0049】(表面伝導型電子放出素子の構成)本発明
の画像形成装置に適用し得る表面伝導型電子放出素子に
ついて説明する。表面伝導型電子放出素子の基本的構成
には大別して、平面型及び垂直型の2つがある。まず、
平面型表面伝導型電子放出素子について説明する。図1
は、本発明を適用可能な平面型表面伝導型電子放出素子
の構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1
(b)は断面図である。図1において1は基板、4と5
は素子電極、3は導電性薄膜、2は電子放出部である。基
板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量が減
少しているガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ
法等により形成したSiO2を積層したガラス基板、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることがで
きる。対向する素子電極4、5の材料としては、一般的な
導体材料を用いることができる。これは例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2、Pd-
Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23-SnO2等の透明導電体及びポリ
シリコン等の半導体導体材料等から適宜選択することが
できる。
【0050】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜3の形状等は、応用される形態等を考慮して設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましく、数千Åから数百μ
mの範囲とすることができ、より好ましくは、素子電極
間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μmの範
囲とすることができる。素子電極長さWは、電極の抵抗
値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範
囲とすることができる。素子電極4、5の膜厚dは、数百
Åから数μmの範囲とすることができる。尚、図1に示
した構成だけでなく、基板1上に、導電性薄膜3、対向す
る素子電極4、5の順に積層した構成とすることもでき
る。
【0051】導電性薄膜3には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は,素子電極4、5へのステップカバ
レージ、素子電極4、5間の抵抗値及び後述するフォーミ
ング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、数Å
から数千Åの範囲とするのが好ましく、より好ましくは
10Åより500Åの範囲とするのが良い。その抵抗値は、R
sが102〜107Ω/□の値である。なおRsは、厚さがt、幅
がwで長さがlの薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおいたと
きに現れる。本願明細書において、フォーミング処理に
ついては、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミ
ング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生
じさせて高抵抗状態を形成する処理を包含するものであ
る。
【0052】導電性薄膜3を構成する材料は、Pd、P
t、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、F
e、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、S
nO2、In23、PbO、Sb23等の酸化物、Hf
2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の
硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、W
C等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、S
i、Ge等の半導体、カーボン等の中から適宜選択され
る。
【0053】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数Åから数千Åの範囲、好ましく
は、10Åから200Åの範囲である。
【0054】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。小さ
な粒子を「微粒子」と呼び、これよりも小さなものを
「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」よりもさらに小さく
原子の数が数百個程度以下のものを「クラスター」と呼
ぶことは広く行われている。しかしながら、それぞれの
境は厳密なものではなく、どの様な性質に注目して分類
するかにより変化する。また「微粒子」と「超微粒子」
を一括して「微粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中で
の記述はこれに沿ったものである。「実験物理学講座14
表面・微粒子」(木下是雄 編、共立出版 1986年9
月1日発行)では次のように記述されている。「本稿で
微粒子と言うときにはその直径がだいたい2〜3μm程度
から10nm程度までとし、特に超微粒子というときは粒径
が10nm程度から2〜3nm程度までを意味することにする。
両者を一括して単に微粒子と書くこともあってけっして
厳密なものではなく、だいたいの目安である。粒子を構
成する原子の数が2個から数十〜数百個程度の場合はク
ラスターと呼ぶ。」(195ページ 22〜26行目)付言す
ると、新技術開発事業団の”林・超微粒子プロジェク
ト’での「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小
さく、次のようなものであった。「創造科学技術推進制
度の”超微粒子プロジェクト”(1981〜1986)では、粒
子の大きさ(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを”超
微粒子”(ultra fine particle)と呼ぶことにした。す
ると1個の超微粒子はおよそ100〜108個くらいの原子の
集合体という事になる。原子の尺度でみれば超微粒子は
大〜巨大粒子である。」(「超微粒子-創造科学技術-」
林主税、上田良二、田崎明 編;三田出版 1988年 2
ページ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さいもの、す
なわち原子が数個〜数百個で構成される1個の粒子は、
ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ページ12〜13行
目)上記のような一般的な呼び方をふまえて、本明細書
において「微粒子」とは多数の原子・分子の集合体で、
粒径の下限は数Å〜10Å程度、上限は数μm程度のもの
を指すこととする。
【0055】電子放出部2は、導電性薄膜3の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜3の膜
厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法
等に依存したものとなる。電子放出部2の内部には、数
Åから数百Åの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場
合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜3を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するも
のとなる。電子放出部2及びその近傍には炭素及び炭素
化合物を有する。
【0056】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図2は、本発明の表面伝導型電子放出素
子を適用できる垂直型表面伝導型電子放出素子の一例を
示す模式図である。図2においては、図1に示した部位
と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付して
いる。21は、段さ形成部である。基板1、素子電極4及び
5、導電性薄膜3、電子放出部2は、前述した平面型表面
伝導型電子放出素子の場合と同様の材料で構成すること
ができる。段さ形成部21は、真空蒸着法,印刷法、スパ
ッタ法等で形成されたSiO2等の絶縁性材料で構成す
ることができる。段さ形成部21の膜厚は、先に述べた平
面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔Lに対応
し、数千Åから数十μmの範囲とすることができる。こ
の膜厚は、段さ形成部の製法及び素子電極間に印加する
電圧を考慮して設定されるが、数百Åから数μmの範囲
が好ましい。
【0057】導電性薄膜3は、素子電極4及び5と段さ形
成部21作成後に、該素子電極4、5の上に積層される。電
子放出部2は、図2においては、段差形成部21に形成さ
れているが、作成条件、フォーミング条件等に依存し、
形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0058】次に、表面伝導型電子放出素子の製法につ
いて説明する。上述の表面伝導型電子放出素子の製造方
法としては様々な方法があるが、その一例を図3に模式
的に示す。以下、図1及び図3を参照しながら製造方法
の一例について説明する。図3においても、図1に示し
た部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を
付している。
【0059】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し,真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後,例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて基板1上に素子電極4 、5を形成する(図
3(a))。 2)素子電極4、5を設けた基板1に、有機金属溶液を塗
布して、有機金属薄膜を形成する。有機金属溶液には、
前述の導電性膜3の材料の金属を主元素とする有機金属
化合物の溶液を用いることができる。有機金属薄膜を加
熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパター
ニングし、導電性薄膜3を形成する(図3(b))。こ
こでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導
電性薄膜3の形成法はこれに限られるものでなく,真空
蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、
ディッピング法、スピンナー法等を用いることもでき
る。
【0060】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極4 、5間に、不図示の電源
を用いて、通電を行うと、導電性薄膜3の部位に、構造
の変化した電子放出部5が形成される(図3(c))。
通電フォーミングによれば導電性薄膜3に局所的に破
壊、変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成さ
れる。該部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミ
ングの電圧波形の例を図4に示す。この電圧波形は、パ
ルス波形が、好ましい。これにはパルス波高値を定電圧
としたパルスを連続的に印加する図4(a)に示した手
法とパルス波高値を増加させながら、電圧パルスを印加
する図4(b)に示した手法がある。図4(a)におけ
るT1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であ
る。通常T1は1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2は、10マ
イクロ秒〜100ミリ秒の範囲で設定される。三角波の波
高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、表面伝導
型電子放出素形態に応じて適宜選択される。このような
条件のもと、例えば、数秒から数十分間電圧を印加す
る。パルス波形は三角波に限定されるものではなく、矩
形波など所望の波形を採用することができる。図4
(b)におけるT1及びT2は、図4(a)に示したのと
同様とすることができる。三角波の波高値(通電フォー
ミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度
づつ増加させることができる。
【0061】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜2を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電
流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示し
た時、通電フォーミングを終了させる。
【0062】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、著し
く変化する工程である。活性化工程は、例えば、有機物
質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同
様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことができ
る。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポ
ンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内
に残留する有機ガスを利用して形成することができる
他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中
に適当な有機物質のガスを導入することによっても得ら
れる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の
応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などに
より異なるため場合に応じ適宜設定される。適当な有機
物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族
炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデ
ヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン
酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具
体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2
表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn
2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、
ベンゾニトリル、トリニトリル、トルエン、メタノー
ル、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有
機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積
し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するように
なる。
【0063】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放
出電流Ieを測定しながら適宜行う。なおパルス幅、パル
ス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0064】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト[いわいるHOPG ' ,PG ( ,GC )を包含する、HOPGは
ほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が200
Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20Å
程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを
指す。]、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及
び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶
の混合物を指す)であり、その膜厚は、500Å以下の範
囲とするのが好ましく、300Å以下の範囲とすることが
より好ましい。
【0065】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器内の圧力は、1〜3×10-7Torr以下が好ましく、さら
に1×10-8Torr以下が特に好ましい。真空容器を排気す
る真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特
性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを
用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポン
プ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来
る。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
ときの加熱条件は、好ましくは100〜300℃でなるべく長
い時間、例えば5時間以上が望ましいが、特にこの条件
に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放
出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件によ
り行う。安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、
上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましい
が、これに限るものではなく、有機物質が十分除去され
ていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性
を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採用
することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積
を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが安定
する。
【0066】(表面伝導型電子放出素子の特性)次に表
面伝導型電子放出素子の基本特性について図5、図6を
参照しながら説明する。図5は、真空処理装置の一例を
示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置と
しての機能をも兼ね備えている。図5においても、図1
に示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の
符号を付している。図5において、55は真空容器であ
り、56は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出
素子が配されている。即ち、1は電子放出素子を構成す
る基体であり、4及び5は素子電極、3は導電性薄膜、2は
電子放出部である。51は、電子放出素子に素子電圧Vf
を印加するための電源、50は素子電極4、5間の導電性薄
膜3を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54
は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極である。53はアノード電極54に
電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電子放出部
5より放出される放出電流Ieを測定するための電流計
である。一例として、アノード電極の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極と電子放出素子との距
離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うことがで
きる。
【0067】真空容器55内には、不図示の真空計等の真
空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所
望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになってい
る。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポンプ
からなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ等か
らなる超高真空装置系とにより構成されている。ここに
示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、不図
示のヒーターにより200℃まで加熱できる。従って、こ
の真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミング以
降の工程も行うことができる。図6は、図5に示した真
空処理装置を用いて測定された放出電流Ie、素子電流
Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。
図6においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて
著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦・
横軸ともリニアスケールである。
【0068】図6からも明らかなように、本発明を適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的性質を有する。即ち、 (i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図6中の
Vth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流I
eが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流
Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに
対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子で
ある。 (ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するた
め、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。 (iii)アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子
電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード
電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加す
る時間により制御できる。
【0069】以上の説明より理解されるように、表面伝
導型電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性
を容易に制御できる。この性質を利用すると複数の電子
放出素子を配して構成した電子源、画像形成装置等、多
方面への応用が可能となる。 (画像形成装置の構成)本発明の表面伝導型電子放出素
子の複数個を基板上に配列した画像形成装置の構成につ
いて、図8、図9及び図10を用いて説明する。図8
は、画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図であ
り、図9は、図8の画像形成装置に使用される蛍光膜の
模式図である。図10は、NTSC方式のテレビ信号に応じ
て表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック図
である。
【0070】図8において、71は電子放出素子を複数配
した電子源基板、86は該電子源基板と真空部を介し対向
して設けられた発光表示板(フェースプレート)であ
る。81は電子源基板71を固定したリアプレート、82は支
持枠であり、該支持枠82には、リアプレート81、フェー
スプレート86がフリットガラス等を用いて接続されてい
る。88は外囲器であり、例えば大気中あるいは、窒素中
で、400〜500℃の温度範囲で10分以上焼成することで、
封着して構成される。電子源基板と発光表示板の間隔は
数mmから数10mm程度である。
【0071】2は、図1における電子放出部に相当す
る。4、5は、表面伝導型電子放出素子の素子電極であ
り、X方向配線72及びY方向配線73と接続される。外囲
器88は、上述の如く、フェースープレート86、支持枠8
2、リアプレート81で構成される。リアプレート81は主
に基板71の強度を補強する目的で設けられるため、基板
71自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート8
1は不要とすることができる。即ち、基板71に直接支持
枠82を封着し、フェースプレート86、支持枠82及び基板
71で外囲器88を構成しても良い。一方、フェースープ
レート86、リアプレー81間に、スペーサーとよばれる不
図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十
分な強度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0072】本発明の画像形成装置は、電子源基板に、
走査信号及び変調信号を信号発生手段よりそれぞれ印加
することにより電子放出させ、発光表示板には、高圧端
子HVを通じ数kV以上のアノード電圧Vaを印加し、電子
ビームを加速し、蛍光膜に衝突させ、励起・発光させる
ことで画像を表示する。
【0073】以下、各構成部材について説明する。 (発光表示板)まず、発光表示板83すなわちフェースプ
レートについて説明する。発光表示板は、ガラス基板83
に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されることで構成
される。図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光膜84
は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成すること
ができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によ
りブラックストライプあるいはブラックマトリクスなど
と呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成すること
ができる。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを
設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍
光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色
等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射
によるコントラストの低下を抑制することにある。ブラ
ックストライプの材料としては、通常用いられている黒
鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及
び反射が少ない材料を用いることができる。
【0074】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法は、
モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採
用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバック85
が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体の
発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面
反射させることにより輝度を向上させること、電子ビー
ム加速電圧を印加するための電極として作用させるこ
と、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージ
から蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、
蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通
常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後A
lを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0075】フェースプレート86には、更に蛍光膜84の
導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電極(不
図示)を設けてもよい。また、前述の封着を行う際に
は、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させる必要があり、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0076】(電子源基板)次に、電子源基板について
説明する。電子源基板における電子放出素子の配列につ
いては、種々のものが採用できる。一例として、並列に
配置した多数の電子放出素子の個々を両端で接続し、電
子放出素子の行を多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配
線と直交する方向(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子
の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、
電子放出素子からの電子を制御駆動するはしご状配置の
ものがある。これとは別に、電子放出素子をX方向及び
Y方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の
電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接
続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他
方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられ
る。このようなものは所謂単純マトリクス配置である。
まず単純マトリクス配置について以下に詳述する。
【0077】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)〜(iii)の特性があ
る。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、
しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加する
パルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、しきい
値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によれ
ば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、個
々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれれば、入力信
号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放
出量を制御できる。以下この原理に基ずき、電子放出素
子を複数配して得られる電子源基板について、図7を用
いて説明する。図7において、71は電子源基板、72はX
方向配線、73はY方向配線である。74は表面伝導型電子
放出素子、75は結線である。尚、表面伝導型電子放出素
子74は、前述した平面型あるいは垂直型のどちらであっ
てもよい。
【0078】m本のX方向配線72は,DX1 、DX2
,..DXmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッ
タ法等を用いて形成された導電性金属等で構成すること
ができる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計される。
Y方向配線73は,DY1、DY2..DYnのn本の配
線よりなり,X方向配線72と同様に形成される。これら
m本のX方向配線72とn本のY方向配線73との間には、
不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に
分離している(m,nは,共に正の整数)。
【0079】不図示の層間絶縁層は,真空蒸着法,印刷
法,スパッタ法等を用いて形成されたSiO2等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の全面
或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線72
とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るように、膜
厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線72とY方
向配線73は、それぞれ外部端子として引き出されてい
る。
【0080】表面伝導型電子放出素子74を構成する一対
の電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY方
向配線73と導電性金属等からなる結線75によって電気的
に接続されている。
【0081】配線72と配線73を構成する材料、結線75を
構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料は、そ
の構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、また
それぞれ異なってもよい。これら材料は、例えば前述の
素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を構成す
る材料と配線材料が同一である場合には、素子電極に接
続した配線は素子電極ということもできる。
【0082】X方向配線72には、X方向に配列した表面
伝導型電子放出素子74の行を、選択するための走査信号
を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型放
出素子74の各列を入力信号に応じて、変調するための不
図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子
に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信
号と変調信号の差電圧として供給される。
【0083】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0084】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に基づ
いたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例につ
いて、図10を用いて説明する。図10において、101
は画像表示表示パネル、102は走査回路、103は制御回
路、104はシフトレジスタである。105はラインメモリ、
106は同期信号分離回路、107は変調信号発生器、Vxおよ
びVaは直流電圧源である。
【0085】表示パネル101は、端子Dox1乃至Doxm、端
子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回
路と接続している。端子Dox1乃至Doxmには、表示パネル
内に設けられている電子源、即ち、M行N列の行列状に
マトリクス配線された表面伝導型電子放出素子群を一行
(N素子)ずつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号により選択された一
行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビーム
を制御する為の変調信号が印加される。高圧端子Hvに
は、直流電圧源Vaより、例えば10K[V]の直流電圧が供給
されるが、これは表面伝導型電子放出素子から放出され
る電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギー
を付与する為の加速電圧である。
【0086】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にM 個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各スイッ
チング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0[V]
(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネ
ル101の端子Dx1 ないしDxm と電気的に接続される。S1
乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路103が出力す
る制御信号Tscan に基づいて動作するものであり、例え
ばFET のようなスイッチング素子を組み合わせることに
より構成することができる。
【0087】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導
型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づ
き走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放
出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよ
う設定されている。制御回路103は、外部より入力する
画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部
の動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync に基づ
いて、各部に対してTscan およびTsftおよびTmryの各制
御信号を発生する。
【0088】同期信号分離回路106は、外部から入力さ
れるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号
成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分離(フ
ィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回
路106により分離された同期信号は、垂直同期信号と水
平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信
号として図示した。前記テレビ信号から分離された画像
の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号
はシフトレジスタ104に入力される。シフトレジスタ104
は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を、
画像の1 ライン毎にシリアル/パラレル変換するための
もので、前記制御回路103より送られる制御信号Tsftに
基づいて動作する(即ち、制御信号Tsftは,シフトレジ
スタ104のシフトクロックであるということもでき
る。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子N 素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフトレジ
スタ104より出力される。
【0089】ラインメモリ105は、画像1ライン分のデ
ータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、
制御回路103より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1
乃至Idn の内容を記憶する。記憶された内容は、I'd1
乃至I'dnとして出力され、変調信号発生器107に入力さ
れる。変調信号発生器107は、画像データI'd1乃至I'dn
の各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々を適切に
駆動変調する為の信号源であり、その出力信号は、端子
Doy1乃至Doynを通じて表示パネル101内の表面伝導型電
子放出素子に印加される。
【0090】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有して
いる。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthが
あり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が
生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子
への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。この
ことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例
えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は生
じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合には
電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを
変化させる事により出力電子ビームの強度を制御するこ
とが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させること
により出力される電子ビームの電荷の総量を制御する事
が可能である。
【0091】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107として、一定長さの電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることが
できる。パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調
信号発生器107として、一定の波高値の電圧パルスを発
生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を
変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることが
できる。
【0092】シフトレジスタ104やラインメモリ105は、
デジタル信号式のものをもアナログ信号式のものをも採
用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0093】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化する必
要があるが、これには106の出力部にA/D 変換器を設け
れば良い。これに関連してラインメモリ105の出力信号
がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生
器107に用いられる回路が若干異なったものとなる。即
ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信
号発生器107には、例えばD/A変換回路を用い、必要
に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の
場合、変調信号発生器107には、例えば高速の発振器お
よび発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。
必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変
調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧
増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0094】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプなどを
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の
場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採
用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0095】このような構成をとり得る本発明の適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Do x1乃至Do xm、Do y1乃至Do ynを
介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。
高圧端子Hvを介してメタルバック85、あるいは透明電
極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。
加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画
像が形成される。
【0096】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られ
るものではなく、PAL、SECAM方式などの他、これより
も、多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式
をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0097】次に、はしご型配置の電子源基板からなる
及び画像形成装置について図11及び図12を用いて説
明する。図11は、はしご型配置の電子源の一例を示す
模式図である。図11において、110は電子源基板、111
は電子放出素子である。112、Dx1〜Dx10 は、電子放
出素子111を接続するための共通配線である。電子放出
素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数個配され
ている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個配
されて、電子源を構成している。各素子行の共通配線間
に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動さ
せることができる。即ち、電子ビームを放出させたい素
子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子ビーム
を放出しない素子行には、電子放出しきい値以下の電圧
を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9は、例えば
Dx2、Dx3を同一配線とすることもできる。
【0098】図12は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。120はグリッド電極、121は電子が通過するため空
孔、122 はDox1,Dox2,...Doxm よりなる容器外端子であ
る。123は、グリッド電極120と接続されたG1 、G2
、....Gnからなる容器外端子、124は各素子行間の共
通配線を同一配線とした電子源基板である。図12にお
いては、図8、図11に示した部位と同じ部位には、こ
れらの図に付したのと同一の符号を付している。ここに
示した画像形成装置と、図8に示した単純マトリクス配
置の画像形成装置との大きな違いは、電子源基板110と
フェースプレート86の間にグリッド電極120を備えてい
るか否かである。
【0099】図12においては、基板110 とフェ−スプ
レ−ト86の間には、グリッド電極120が設けられてい
る。グリッド電極120は、表面伝導型電子放出素子から
放出された電子ビ−ムを変調するためのものであり、は
しご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状
の電極に電子ビ−ムを通過させるため、各素子に対応し
て1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッド
の形状や設置位置は図12に示したものに限定されるも
のではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通
過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型電子放
出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0100】容器外端子122およびグリッド容器外端子1
23は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0101】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビ−ムの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示すことができる。本発明の画像形成
装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議シス
テムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム
等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成装
置等としても用いることができる。 (画像形成装置の製造方法)上述の画像形成装置のの製
造方法としては様々な方法があるが、その一例を以下に
示す。 1)電子源基板形成 電子源基板の製造方法としては様々な方法があるが、製
造方法を図13及び図14を用いて説明する。電子源基
板の一部の平面図を図13に示す。また、図中のA−
A’断面図を図14に示す(但し、図13、図14で、
同じ記号を示したものは、同じものを示す)。ここで7
1は電子源基板、72は図7のDxnに対応するX方向配
線(下配線とも呼ぶ)、73は図7のDynに対応するY
方向配線(上配線とも呼ぶ)、4は導電性薄膜、2、3は
素子電極、151は層間絶縁層、112は、素子電極2と下配
線72と電気的接続のためのコンタクトホールである。
【0102】まず、基板1を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄したのち、下配線72、層間絶縁層
151、上配線73、及び素子電極4、5を形成する。これら
の配線及び電極形成には、真空蒸着法、スパッタ法、印
刷及びフォトリソグラフィー技術等を用いることができ
る。
【0103】配線及び素子電極4 、5を設けた基板1に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有
機金属溶液には、前述の導電性膜3 の材料の金属を主元
素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、導電性薄膜3を形成する。
ここでは,有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、
導電性薄膜3の形成法はこれに限られるものでなく、真
空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布
法、ディッピング法、スピンナー法等を用いることもで
きる。
【0104】2)発光表示板(フェースプレート)形成 ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法はスラリー法等を
用いることができる。また、蛍光膜84の内面側には通常
メタルバック85が設けられるが、メタルバックは、蛍光
膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィ
ルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着
することで作製できる。フェースプレート86には、更に
蛍光膜 84の導伝性を高めるため、蛍光膜84の外面側に
透明電極(不図示)が設けられる場合もある。
【0105】3)封着 つぎに、封着技術を用いて図8と図9に示すような外囲
器を作成する。前述した電子源基板71、リアプレート8
1、発光表示板86を支持枠82およびスペーサを介し配置
する。フェースプレート86、支持枠82、リアプレート81
の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒
素雰囲気中で焼成することで封着する。封着を行う際、
カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させ
なくてはいけないため、十分な位置合わせを行う。ま
た、同様な封着技術により、後のエージング工程で使用
する真空計を外囲器に接続することができる。
【0106】4)排気 以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気
管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気する。
【0107】5)フォーミング つづいて、フォーミング工程を施す。このフォーミング
工程は先に述べたように通電処理による方法によって行
うことができる。
【0108】このように作成された電子放出部3は、パ
ラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状
態となり、その微粒子の平均粒径を例えば30Åとする
ことができる。
【0109】6)活性化 フォーミングを終えた素子に活性化処理を施し、電子放
出部及びその近傍に炭素及び炭素化合物を堆積する。活
性化工程は、先に述べたように、例えば、有機物質のガ
スを外囲器内に導入し、パルスの印加を繰り返すことで
行うことができる。
【0110】活性化処理に用いられる電圧パルス波型は
任意のものが可能であり、方形波、三角波、サイン波、
台形波等が挙げられる。また、図18のa)のように、
常にある片方の極性のパルスを印加する手法や、図18
のb)のように代わる代わる逆の極性のパルスを印加す
る手法などがある。電圧パルスの波高値(活性化電圧Va
ct)は固定電圧で行う手法や、時間とともに徐々に電圧
を増加させて行う手法などがある。上記活性化処理をし
た表面伝導型電子放出素子は素子電圧を印加し、素子表
面に電流を流すことにより、上述電子放出部3より十分
な量の電子を放出する。
【0111】7)安定化 活性化後には、以下の安定化工程を行うのが望ましい。
この工程も先に述べた方法で行うことができる。
【0112】8)封止/ゲッター 安定化後、不図示の排気管をガスバーナーで熱すること
で溶着し外囲器の封止を行う。外囲器88の封止後の真空
度を維持するために、ゲッター処理を行なうこともでき
る。これは、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後
に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱によ
り、外囲器88内の所定の位置(不図示)に配置されたゲ
ッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッタ
ーは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用に
より、たとえば1×10-9Torr以下の真空度を維持するも
のである 9)エージング 封止、ゲッターフラッシュ後、先に詳述したエージング
工程を施す。また、ここでは、封止後にエージングを施
したが、封止前すなわち安定化後に行ってもよい。
【0113】以上のように完成した本発明の画像表示装
置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1な
いしDxm,Dy1ないしDynを通じ、走査信号及び
変調信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ、印加す
ることにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じてメ
タルバック85あるいは透明電極(不図示)に数kV以上
の高圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突
させ、励起・発光させることで画像を表示する。
【0114】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0115】(実施例1)本実施例は、電子源基板に多
数の表面伝導電子放出素子を単純マトリクス配置した画
像形成装置の例である。素子の数は、x方向、y方向共に
100個である。また、本実施例はエージング工程におい
て、初期状態としてVa=8kVとし、画像形成装置と同一の
模擬の画像形成装置の電子放出特性をもとに、適正に駆
動パルス幅を制御し、画像表示時の最大パルス幅(駆動
周波数の周期/走査線本数)近辺、Va=8kVとしてエージ
ングを終了する手法が用いられている。
【0116】1)電子源基板の作成 本実施例においては、図13に示すような電子源基板を
作成した。製造方法を図15及び図16に基づいて工程
順に従って具体的に説明する。図13〜図16で、同じ
記号を示したものは、同じものを示す。ここで71は電子
源基板、72は図7のDxnに対応するX方向配線(下配線
とも呼ぶ)、73は図7のDynに対応するY方向配線(上
配線とも呼ぶ)、3は導電性薄膜、4、5は素子電極、
151は層間絶縁層、152は、素子電極5と下配線72と
電気的接続のためのコンタクトホールである。尚、以下
の各工程a〜hは、図15及び図16の(a)〜(h)
に対応するものである。
【0117】工程−a(下配線形成):清浄化した青板
ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法
で形成した基板1上に、真空蒸着により厚さ50ÅのC
r、厚さ6000ÅのAuを順次積層した後、フォトレ
ジスト(AZ1370 ヘキスト社製)をスピンナーに
より回転塗布、ベークした後、フォトマスク像を露光、
現像して、下配線72のレジストパターンを形成し、Au
/Cr堆積膜をウェットエッチングして、所望の形状の
下配線72を形成する。
【0118】工程−b(層間絶縁層形成):次に、厚さ
1.0ミクロンのシリコン酸化膜からなる層間絶縁層15
1をRFスパッタ法により堆積する。 工程−c(コンタクトホール形成):工程bで堆積した
シリコン酸化膜にコンタクトホール152を形成するため
のフォトレジストパターンを作り、これをマスクとして
層間絶縁層151をエッチングしてコンタクトホール152を
形成する。エッチングはCF4とH2ガスを用いたRIE
(Reactive Ion Etching)法によ
った。 工程−d(素子電極形成):その後、素子電極2と素子
電極間ギャップGとなるべきパターンをフォトレジスト
(RD−2000N−41 日立化成社製)形成し、真
空蒸着法により、厚さ50ÅのTi、厚さ1000Åの
Niを順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶
剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電
極間隔Lは3μmとし、素子電極の幅Wが300μmで
ある素子電極4、5を形成した。工程−e:素子電極
4、5の上に上配線73のフォトレジストパターンを形成
した後、厚さ50ÅのTi、厚さ5000ÅのAuを順
次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の部分
を除去して、所望の形状の上配線73を形成した。 工程−f:次に、膜厚100nmのCr膜153を真空蒸着
により堆積・パターニングし、そのうえに有機Pd(c
cp4230奥野製薬(株)社製)をスピンナーにより
回転塗布し、300℃で10分間の加熱焼成処理をし
た。また、こうして形成された主元素としてPdよりな
る微粒子からなる導電性薄膜3の膜厚は100Å、シー
ト抵抗値は5×104Ω/□であった。なおここで述べ
る微粒子膜とは、先に述べたように、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは、重なり合った状態(島状も含む)の膜をさし、
その粒径とは、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子
ついての径をいう。 工程−g:Cr膜153および焼成後の導電性薄膜4を酸エ
ッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成
した。 工程−h:コンタクトホール152部分以外にレジストを
塗布するようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ
50ÅのTi、厚さ5000ÅのAuを順次堆積した。
リフトオフにより不要の部分を除去することにより、コ
ンタクトホール152を埋め込んだ。
【0119】以上の工程により絶縁性基板01上に下配線
72、層間絶縁層151、上配線73、素子電極4、5導電性
薄膜3等を形成した。
【0120】2)発光表示板(フェースプレート)作成 蛍光膜は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成る
が、本実施例では図9(a)に示すように蛍光体はスト
ライプ形状を採用し、先にブラックストライプを形成
し、その間隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜を作製し
た。ブラックストライプの材料として通常良く用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板83
に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。また、
蛍光膜84の上には通常メタルバック85が設けられる。メ
タルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平
滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その
後、Alを真空蒸着することで作製した。フェースプレ
ート86には、更に蛍光膜84の導伝性を高めるため、蛍光
膜84の外面側に透明電極(不図示)が設けられる場合も
あるが、本実施例では、メタルバックのみで十分な導電
性が得られたので省略した。
【0121】3)封着 以上のようにして作成した電子源基板及び発光表示板を
封着技術を用いて外囲器を構成した。図8を用いて説明
する。電子源基板71をリアプレート81上に固定した
後、基板71の5mm上方に、フェースプレート86を支
持枠82を介し配置し、フェースプレート86、支持枠82、
リアプレート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大
気中で410℃で10分、焼成することで封着した(図
8)。また、リアプレート81への電子源基板71の固定も
フリットガラスで行った。前述の封着を行う際、カラー
の場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくて
はいけないため、十分な位置合わせを行った。
【0122】4)排気 以上のようにして完成した外囲器内のを排気管(図示せ
ず)を通じ真空ポンプにて十分な真空度まで排気した。
【0123】5)フォーミング 排気後、容器外端子Dxo1ないしDoxmとDoy1な
いしDoynを通じ電子放出素子74の電極4、5間に電
圧を印加し、電子放出部2を、導電性薄膜3をフォーミ
ング処理することにより作成した。フォーミング処理の
電圧波形を図4(b)に示す。
【0124】図4(b)中、T1及びT2は電圧波形のパ
ルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ
秒、T2を10ミリ秒とし、矩形波の波高値(フォーミ
ング時のピーク電圧)は0.1Vステップで昇圧し、フォ
ーミング処理を行なった。フォーミング電圧は8.5Vであ
った。
【0125】6)活性化工程 続いて、アセトンを真空装置外囲器内に導入し、2mTor
rの真空雰囲気を維持し、容器外端子Dxo1ないしDo
xmとDoy1ないしDoynを通じ電子放出素子74の電
極4、5間に図18(b)のような代わる代わる逆の極
性の方形波電圧パルスを印加して約30分の活性化処理を
行った。ここで図18(b)のT1は1ms、T2は10ms
とし、活性化電圧Vactは17Vで行った。
【0126】7)安定化工程 活性化後に、真空雰囲気を有機物質のほぼ存在しない、
高真空に移行するため、安定化処理として、200℃の
べーキングを5時間行った。
【0127】8)封止/ゲッタフラッシュ 不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外
囲器の封止を行った。さらに、封止後の真空度を維持す
るために、高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0128】9)エージング工程 本実施例においては、画像形成装置の駆動時における脱
ガス量は、電子放出電流と駆動デューティーと関係する
ことから、予め、イオンゲージを取り付けた模擬の画像
形成装置で素子劣化の起きにくい低いアノード電圧、例
えば、Va=1kVにおいて、電子放出電流を計測し、
単位時間当たり蛍光体に電子が当たる場合に、過剰に放
出ガスが離脱しない条件、即ち、駆動パルス幅、駆動周
波数、駆動素子数を任意のステップに決定し、それに基
づいてエージングを行った。 まず、アノード電圧Vaを8kVに設定し、駆動電圧
を16V、駆動する素子数は全素子数の半分にあたるx
50ライン×y100個を開始条件とし、パルス幅5μ
s、駆動周波数10Hz固定で電子源駆動を開始し、そ
こから、パルス幅を1μs/minの速度で増加させて最終
的に100μsまで増加した。 続いて、最初に駆動した素子を除く残り半分の駆動素
子数を、と同様にしてエージングを行った。 続いて、全ての素子をアノード電圧8kV、駆動周波
数10Hz、駆動電圧16V、駆動パルス幅を100μ
sで駆動を開始し、駆動周波数の増加ステップを1Hz
/minにし、60Hzに到達したところでエージングを終
了した。
【0129】なお、本実施例は、駆動周波数、パルス
幅、駆動素子数を任意の条件で増加させたが、パネルの
大きさや、電子源素子の状態により必ずしも上記条件で
固定する必要はなく、負荷の上げる速度や、順番を変え
ても同様の結果が得られる。
【0130】(比較例1及び1’)比較例1としてエー
ジング工程を除いては、実施例1と同様に作成した。比
較例1においてはエージング工程として、Va=8kVにおい
て16V、60Hz/Pw100μsの駆動を1時間行っ
た。
【0131】また、比較例1’として、封止/ゲッタフ
ラッシュまで実施例1と同様に作成し、エージング工程
を行わなかった。
【0132】以上のように完成した画像表示装置を、駆
動電圧16V、アノード電圧6kVにおいて、全面白色点灯
をおこなった。10min後及び5時間後の典型的な1ライン
(100素子)のIe平均値及びIeばらつき(ΔIe)は次の
とおりであった。
【0133】
【表1】 このように、本実施例1及び比較例1'の画像形成装置
は、比較例1に比し、ライン欠陥や点欠陥がなく、かつ
高品位な(ばらつきの小さい)表示画像を長期にわたっ
て安定して得られる画像形成装置であった。
【0134】また、本実施例1、比較例1’及び比較例
1の画像形成装置をそれぞれ10台づつ試作したところ、
比較例1においては10台中5台において放電に伴う画像
欠陥が生じたが、本実施例1及び比較例1’においては
1台のみしか画像欠陥を生なじず、また実施例1のほう
が比較例1’に比べ欠陥の度合いが小さかった。これよ
り、本実施例の画像形成装置の製造方法は信頼性が高い
ことがわかった。
【0135】(実施例2)図17は実施例1の画像形成
装置を、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の
画像情報源より提供される画像情報を表示できるように
構成した表示装置の一例を示すための図である。図中2
80はディスプレイパネル、261はディスプレイパネ
ルの駆動回路、262はディスプレイコントローラ、2
63はマルチプレクサ、264はデコーダ、265は入
出力インターフェース回路、266はCPU、267は
画像形成回路、268、269及び270は画像メモリ
インターフェース回路、271は画像入力インターフェ
ース回路、272及び273はTV信号受信回路、27
4は入力部である。(なお、本表示装置は、例えばテレ
ビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む
信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声
を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しな
い音声情報の受信、分離、再生、処理、記憶等に関する
回路やスピーカー等については説明を省略する。)ま
ず、TV信号受信回路273は、例えば電波や空間光通
信等のような無線伝送系を用いて伝送されるTV画像信
号を受信するための回路である。受信するTV信号の方
式は特に限られるものではなく、例えば、NTSC方
式、PAL方式、SECAM方式等の諸方式でもよい。
また、これらよりさらに多数の走査線よりなるTV信号
(例えばMUSE方式をはじめとするいわゆる高品位T
V)は、大面積化や大画素数化に適した前記ディスプレ
イパネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV
信号受信回路273で受信されたTV信号はデコーダ2
64に出力される。
【0136】また、画像TV信号受信回路272は、例
えば同軸ケーブルや光ファイバー等のような有線伝送系
を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路
である。前記TV信号受信回路273と同様に、受信す
るTV信号の方式は特に限られるものではなく、また本
回路で受信されたTV信号もデコーダ264に出力され
る。
【0137】また、画像入力インターフェース回路27
1は、例えばTVカメラや画像読取スキャナー等の画像
入力装置から供給される画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ264に出力され
る。
【0138】また、画像メモリインターフェース回路2
70は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ264に出力される。
【0139】また、画像メモリインターフェース回路2
69は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取
り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ
264に出力される。
【0140】また、画像メモリインターフェース回路2
68は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像デ
ータを記憶している装置から画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ264
に入力される。
【0141】また、入出力インターフェース回路265
は、本表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタ等の出力装置とを接続す
るための回路である。画像データや文字・図形情報の入
出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示
装置の備えるCPU266と外部との間で制御信号や数
値データの入出力等を行うことも可能である。
【0142】また、画像形成回路267は、前記入出力
インターフェース回路265を介して外部から入力され
る画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU26
6より出力される画像データや文字・図形情報に基づ
き、表示用画像データを生成するための回路である。本
回路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を
蓄積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対
応する画像パターンが記憶されている読み出し専用メモ
リや、画像処理を行うためのプロセッサ等をはじめとし
て画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0143】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ264に出力されるが、場合によっては前
記入出力インターフェース回路265を介して外部のコ
ンピュータネットワークやプリンタに出力することも可
能である。
【0144】また、CPU266は、主として本表示装
置の動作制御や、表示画像の生成、選択、編集に関わる
作業を行う。
【0145】例えば、マルチプレクサ263に制御信号
を出力し、ディスプレイパネル280に表示する画像信
号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際
には表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコン
トローラ262に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(例えばインターレースかノンインター
レースか)や一画面の走査線の数等の表示装置の動作を
適宜制御する。
【0146】また、前記画像生成回路267に対して画
像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは
前記入出力インターフェース回路265を介して外部の
コンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字
・図形情報を入力する。
【0147】なお、CPU266は、無論これ以外の目
的の作業にも関わるものであってもよい。例えば、パー
ソナルコンピュータやワードプロセッサ等のように、情
報を生成したり処理する機能に直接関わってもよい。
【0148】あるいは、前述したように入出力インター
フェース回路265を介して外部のコンピュータネット
ワークと接続し、例えば数値計算等の作業を外部機器と
協同して行ってもよい。
【0149】また、入力部274は、前記CPU266
に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入
力するためのものであり、例えばキーボードやマウスの
他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識
装置等多様な入力機器を用いることが可能である。
【0150】また、デコーダ264は、前記267乃至
273より入力される種々の画像信号を3原色信号、ま
たは輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路
である。なお、同図中に点線で示すように、デコーダ2
64は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに
際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱う
ためである。また、画像メモリを備えることにより、静
止画の表示が容易になる、あるいは前記画像生成回路2
67及びCPU266と協同して画像の間引き、補間、
拡大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易
に行えるようになるという利点が生れるからである。
【0151】また、マルチプレクサ263は前記CPU
266より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜
選択するものである。すなわち、マルチプレクサ263
はデコーダ264から入力される逆変換された画像信号
のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路261に
出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号
を切り換えて選択することにより、いわゆる多画面テレ
ビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によって
異なる画像を表示することも可能である。
【0152】また、ディスプレイパネルコントローラ2
62は、前記CPU266より入力される制御信号に基
づき駆動回路261の動作を制御するための回路であ
る。
【0153】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、例えばディスプレイパネルの駆動
用電源(不図示)の動作シーケンスを制御するための信
号を駆動回路261に対して出力する。
【0154】また、ディスプレイパネルの駆動方法に関
わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例
えばインターレースかノンインターレースか)を制御す
るための信号を駆動回路261に対して出力する。
【0155】また、場合によっては表示画像の輝度、コ
ントラスト、色調、シャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路261に対して出力する場合
もある。
【0156】また、駆動回路261は、ディスプレイパ
ネル280に印加する駆動信号を発生するための回路で
あり、前記マルチプレクサ263から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ262より
入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0157】以上、各部の機能を説明したが、図17に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル2
70に表示することが可能である。すなわち、テレビジ
ョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ26
4において逆変換された後、マルチプレクサ263にお
いて適宜選択され、駆動回路261に入力される。一
方、デイスプレイコントローラ262は、表示する画像
信号に応じて駆動回路261の動作を制御するための制
御信号を発生する。駆動回路261は、上記画像信号と
制御信号に基づいてディスプレイパネル280に駆動信
号を印加する。これにより、ディスプレイパネル280
において画像が表示される。これらの一連の動作は、C
PU266により統括的に制御される。
【0158】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ264に内蔵する画像メモリや、画像生成回路267
及びCPU266が関与することにより、単に複数の画
像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表
示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移
動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比
変換等を初めとする画像処理や、合成、消去、接続、入
れ換え、はめめ込み等をはじめとする画像編集を行うこ
とも可能である。また、本実施例の説明では、特に触れ
なかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情
報に関しても処理や編集を行なうための専用回路を設け
てもよい。
【0159】したがって、本表示装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び
動画像を扱う画像編集機器、コンピューターの端末機
器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、
ゲーム機等の機能を一台で兼ね備えることが可能で、産
業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0160】なお、上記図17は、本発明にかかる画像
形成装置を用いた表示装置の構成の一例を示したに過ぎ
ず、本発明により得られた画像形成装置の用途はこれの
みに限定されるものでないことは言うまでもない。例え
ば図17の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に
関わる回路は省いても差し支えない。またこれとは逆
に、使用目的によってはさらに構成要素を追加してもよ
い。例えば、本表示装置をテレビ電話機として応用する
場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデム
を含む送受信回路等を構成要素に追加するのが好適であ
る。
【0161】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型電子放出素子を電子源とするディスプレイパネルの薄
型化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素子を電
子源とするディスプレイパネルは大画面化が容易で輝度
が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感
にあふれる迫力に富んだ画像を視認性よく表示すること
が可能である。
【0162】さらに、本発明における電子源は各表面伝
導型電子放出素子間での電子放出特性が均一であるた
め、形成される画像の画質が高く、また高精細な画像の
表示も可能である。
【0163】(実施例3)本実施例では、封止までの工
程を実施例1と同様に作成した後、図19に示すような
エージング装置を用い、画像形成装置に接続されたイオ
ンゲージによる全圧測定をもとに、駆動パルス幅及びア
ノード電圧Vaのフィードバック制御を行う手法を用い
た。図21は本実施例のエージング工程における、プロ
セス制御の方法を簡略的に示すフローチャート図であ
る。 a)エージング開始条件は、アノード電圧Va=0とし、Vf
=16Vの60Hz走査駆動とした。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)全圧P(Tor
r)を測定し、以下の制御論理をもとに、この全圧を基に
駆動パルス幅およびVaにフィードバックd)、e)をかけ
た。ここでの制御論理は、全圧が規定全圧10-7Torr以下
の場合のときには、アノード電圧を500V増加し、駆
動パルス幅を1μs増加させる。全圧が10-7Torr以上の
ときは、アノード電圧を500V減少、駆動パルス幅を
1μs減少するとした。
【0164】また、真空度がP<5×10-5Torrになったさ
いには、g)緊急停止する(Va=0)にする機能も付与され
ている(判断2)。最終的なf)エージング終了基準(判
断1)は、駆動パルス幅が100μs及びVa=8kVとし、
その条件が満たされた時、エージングを終了した。エー
ジングに用いた時間は約一時間であった。
【0165】また、実施例3’としてエージング工程を
除いては、実施例1と同様に作成した。実施例3’にお
いてはエージング工程として、16V、60Hzの駆動に
おいて、Vaを8kVとし、駆動パルス幅を1〜100μs
まで0.5μs/minのレートで上昇させた。
【0166】実施例3および3’の画像形成装置は、比
較例1と比し、素子欠陥のない高品位な(ばらつきの小
さい)表示画像を長期にわたって安定して得られる画像
形成装置であった。さらに、本実施例の画像形成装置の
製造方法は信頼性が高かった。
【0167】(実施例4)本実施例4においては、7)
安定化工程まで実施例1と同様に作成した。続いて、以
下説明するエージング工程を施し、その次にゲッターフ
ラッシュを行い、最後に封止を行った。以下本実施例4
のエージング工程について説明する。
【0168】本実施例のエージング工程においては、画
像形成装置に接続された四重極マススペクトロメータに
より測定されるH2O分圧をもとに、駆動電圧Vfのフ
ィードバック制御を行う手法を用いた。
【0169】本実施例のエージング工程におけるプロセ
ス制御フローは図22に準ずる。a)〜g)について以下に
説明する。
【0170】a)エージング開始条件は、Va=6kV、Vf=10V
とした。
【0171】b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)
マスナンバー18によるH2O分圧P(H2O)(Torr)を測
定し、以下の制御論理2をもとに、このH2O分圧を基に
Vfにフィードバック制御d),e)した。ここでの制御論理
は、式: ΔVf= −(logP(H2O)+8)×0.2[V] Vf =Vf+ ΔVf で示される。すなわち、設定電圧がVfであった場合には
Vf+ΔVfに変更するとした。このような制御により、P
(H2O)<10-8Torrの際にはVfが減少することにな
る。
【0172】また、全圧がP<5×10-5になった際には、
g)緊急停止する(Va=0、Vf=0)にする機能も付与されて
いる(判断2)。最終的なエージング終了基準(判断1)
は、Vf=16Vとし、その条件が満たされた際に、エージン
グを終了した。エージングには一時間の時間を要した。
【0173】(比較例2)比較例2としてエージング工
程を除いては、実施例4と同様に作成した。本比較例に
おいてエージング工程としてVa=6kV、Vf=16Vで一時間の
処理を行った。
【0174】以上のように完成した画像表示装置を、駆
動電圧16V、アノード電圧5kVにおいて、全面白色点灯
をおこなった。10min後及び5時間後の典型的な1ライン
(100素子)のIe平均値及びIeばらつき(ΔIe)は次の
とおりであった。
【0175】
【表2】 このように、本実施例4の画像形成装置は、比較例2に
比し、高品位な(ばらつきの小さい)表示画像を長期に
わたって安定して得られる画像形成装置であった。さら
に、本実施例の画像形成装置の製造方法は信頼性が高か
った。
【0176】(実施例5)本実施例においては、 図1
2に示すような、はしご型配置の電子源及びグリッド電
極120を備えた画像形成装置を作成した。素子数は1行あ
たり10個とし、10行、合計100個配置した。
【0177】1)電子源基板の作成 本実施例においては、図11に示すような電子源基板を
作成した。 工程−A(配線形成):清浄化した青板ガラス上に厚さ
0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板
1上に、真空蒸着により厚さ50ÅのCr、厚さ600
0ÅのAuを順次積層した後、フォトレジスト(AZ1
370 ヘキスト社製)をスピンナーにより回転塗布、
ベークした後、フォトマスク像を露光、現像して、配線
のレジストパターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウェ
ットエッチングして、所望の形状の配線を形成する。 工程−B(素子電極形成):その後、素子電極2と素子電
極間ギャップGとなるべきパターンをフォトレジスト
(RD−2000N−41 日立化成社製)形成し、真
空蒸着法により、厚さ50ÅのTi、厚さ1000Åの
Niを順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶
剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電
極間隔Lは3μmとし、素子電極の幅Wを300μmを
有する素子電極2、3を形成した。 工程−C:次に、膜厚100nmのCr膜153を真空蒸着に
より堆積・パターニングし、そのうえに有機Pd(cc
p4230奥野製薬(株)社製)をスピンナーにより回
転塗布し、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。
また、こうして形成された主元素としてPdよりなる微
粒子からなる導電性薄膜4の膜厚は100Å、シート抵
抗値は5×104Ω/□であった。なおここで述べる微
粒子膜とは、先に述べたように、複数の微粒子が集合し
た膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散
配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるい
は、重なり合った状態(島状も含む)の膜をさし、その
粒径とは、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子つい
ての径をいう。 工程−D:Cr膜153および焼成後の導電性薄膜4を酸エ
ッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成
した。 2)発光表示板(フェースプレート)作成 実施例1と同様にして作成した。 3)封着 以上のようにして作成した電子源基板及び発光表示板を
封着技術を用いて図12に示すような外囲器を構成し
た。電子源基板の1mm上方にグリッドを、5mm上方に
フェースプレートを支持枠を介し配置し、接合部にフリ
ットガラスを塗布し、大気中で410℃ で10分焼成
することで封着した。各色蛍光体と電子放出素子とを対
応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行っ
た。4)排気以降、8)封止/ゲッター工程までは、実施
例1と同様にして作成した。本実施例のエージング工程
においては、画像形成装置に接続された四重極マススペ
クトロメータによるO2分圧測定をもとに、グリッド電
圧Vgとアノード電圧Vaのフィードバック制御を行う手法
を用いた。本実施例のエージング工程におけるプロセス
制御フローは図22に準ずる。a)〜g)について以下に説
明する。 a)エージング開始条件は、Va=0kV、Vf=15V、Vg=0Vとし
た。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)マスナンバー
32によるO2分圧P(O2)(Torr)を測定し、このO2
圧を基にVgをフィードバック制御d),e)した。ここで
の、制御論理は、式: ΔVg=−( logP(O2)+9)×2[V] Vg=Vg+ ΔVg ΔVa=−( logP(O2)+9)×200[V] Vg=Vg+ ΔVg で示される。
【0178】このような制御により、P(O2)<10-9T
orrの際にはVg、Vaが増加し、P(O2)<10-9Torrの際
にはVg、Vaが減少することになる。また、全圧がP<5×
10- 5になった際には、g)緊急停止する(Vg=0、Va=0)に
する機能も付与されている(判断2)。最終的なエージ
ング終了基準(判断1)は、Vg=50V、Va=5kVとし、その
条件が満たされた際に、エージングを終了した。エージ
ングに要した時間は約50分であった。
【0179】(比較例3)比較例3としてエージング工
程を除いては、実施例5と同様に作成した。本比較例に
おいてはエージング工程を行わなかった。
【0180】以上のように完成した画像表示装置を、駆
動電圧15V、アノード電圧5kV、グリッド電圧50Vに
おいて、全面白色点灯をおこなった。10min後及び5時間
後の典型的な1ライン(100素子)のIe平均値及びIe
ばらつき(ΔIe)は次のとおりであった。
【0181】
【表3】 このように、本実施例5の画像形成装置は、比較例3に
比し、高品位な(ばらつきの小さい)表示画像を長期に
わたって安定して得られる画像形成装置であった。さら
に、本実施例の画像形成装置の製造方法は信頼性が高か
った。
【0182】(実施例6)8)封止/ゲッター工程まで
実施例1と同様に作成した。本実施例のエージング工程
においては、全圧を走査周波数にフィードバックし、電
子源駆動電力により駆動電圧にフィードバックし、発光
表示電力によりアノード電圧にフィードバックする、マ
ルチ制御を行った。本実施例のエージング工程における
プロセス制御フローは図21に準ずる。a)〜g)について
以下に説明する。 a)エージング開始条件は、Va=0kV、Vf=10V、走査周波
数SF=1Hzとした。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)全圧P、電
子源駆動電流、発光表示電流を測定し、これらの結果を
基にVa、Vf、SFにフィードバック制御d)、e)する。ここ
での、制御論理は、以下の式で示される。式: ΔVa=−(発光表示電力−0.1×t)×100[V] Va=Va+ΔVa ΔVf=−(電子源駆動電力−0.1×t)×0.2[V] Va=Va+ΔVa ΔSF=−(logP+7)×0.5[Hz] SF=SF+ΔSF ここで、発光表示電力とは、発光表示電流×アノード電
圧、で計算された発光表示板に投入された電力であり、
電子源駆動電力とは、電子源駆動電流×駆動電圧、を基
に計算された電子源基板に投入た電力である。tはエー
ジング開始からの時間[min]である。また、Vaは0〜6k
V、Vfは10〜16V、SFは1〜60Hzの範囲で制御される。こ
の制御により、発光表示電力及び電子源駆動電流は1min
あたり0.1Wの増加率で増加するように、制御される。ま
た、走査周波数は全圧10-7Torrを基準として制御され
る。また、全圧がP<5×10-5になった際、もしくは発光
表示電力が20W以上になった際には、g)緊急停止する(V
a=0、Vf=0)にする機能も付与されている(判断2)。最
終的なエージング終了基準(判断1)は、Va=6kV、Vf=1
6V、SF=60Hzとし、その条件が満たされた際に、エージ
ングを終了した。
【0183】本実施例の画像形成装置にTV駆動を行った
ところ、比較例1に比し、高品位な表示画像を安定して
得ることができた。さらに、本実施例の画像形成装置の
製造方法は信頼性が高かった。
【0184】(実施例7)8)封止/ゲッター工程まで
実施例1と同様に作成した。本実施例のエージング工程
においては、第1のシーケンスとして、全圧により走査
周波数をフィードバック制御し、第1のシーケンス終了
後に第2のシーケンスとして、全圧により駆動パルス幅
をフィードバック制御する、一連の制御をおこなった。
各シーケンスのプロセス制御フローは図20に準ずる。
【0185】第1のシーケンスとしては a)エージング開始条件は、アノード電圧Va=8kV、Vf=
16Vとし、SF=1Hzとした。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)全圧P(Tor
r)を測定し、この結果を基に走査周波数SFにフィードバ
ック制御d)、e)する。ここでの、制御論理は、式: ΔSF=−(logP+7)×0.5[Hz] SF=SF+ΔSF で示される。
【0186】第1のシーケンス終了基準(判断1)は、
SF=60Hzとし、この条件が満たされた際に第2のシーケ
ンスに進むこととした。
【0187】第2のシーケンスとしては a)エージング開始条件は、アノード電圧Va=8kV、V
f=16V、駆動パルス=1μsとし、電子源走査周波数は6
0Hzとした。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)全圧P(Torr)
を測定し、この結果を基に駆動パルスにフィードバック
制御d)、e)する。ここでの、制御論理は式: ΔPw=−(logP+7 )×0.5 [μs] Pw=Pw+ΔPw で示される。
【0188】第2のシーケンス終了基準(判断1)はPw
=30μsとした。また、一連のシーケンスを通して、
P<5×10-5になった際には、g)緊急停止する(Va=0、Vf=
0)にする機能も付与されている(判断2)。
【0189】本実施例の画像形成装置でTV駆動を行った
ところ、比較例2に比し、高品位な表示画像を安定して
得ることができた。さらに、本実施例の画像形成装置の
製造方法は信頼性が高かった。
【0190】(実施例8)8)封止/ゲッター工程まで
実施例1と同様に作成した。本実施例のエージング工程
においては、第1のシーケンスとして、全圧により走査
周波数をフィードバック制御し、第1のシーケンス終了
後、第2のシーケンスとして、全圧によりアノード電圧
をフィードバック制御する、一連の制御をおこなった。
各シーケンスのプロセス制御フローは図20に準ずる。
【0191】第1のシーケンスとしては a)エージング開始条件は、アノード電圧Va=1kV、Vf=
16Vとし、SF=1Hzとした。b)エージング動作開始と共
に、1min毎にc)全圧P(Torr)を測定し、この結果を基に
走査周波数SFにフィードバック制御d)、e)する。ここで
の、制御論理は、式: ΔSF=−(logP+7)×0.5[Hz] SF=SF+ΔSF で示される。
【0192】第1のシーケンス終了基準(判断1)は、
SF=60Hzとし、この条件が満たされた際に第2のシーケ
ンスに進むこととした。
【0193】第2のシーケンスとしては a)エージング開始条件は、アノード電圧Va=1kV、V
f=16Vとし、電子源駆動条件は60Hz走査とした。 b)エージング動作開始と共に、1min毎にc)全圧P(Tor
r)を測定し、この結果を基にVaにフィードバック制御
d)、e)する。ここでの、制御論理は式: ΔVa=−(logP+7)×0.5 [μs] Va=Va+ΔVa で示される。
【0194】第2のシーケンス終了基準(判断1)はV
a=7kVとした。第2のシーケンス後、Va=6k
V、Vf=16Vとし、SF=60Hzで10分間駆動
して、エージング工程を終了した。また、一連のシーケ
ンスを通して、P<5×10-5になった際には、g)緊急停止
する(Va=0、Vf=0)にする機能も付与されている(判断
2)。
【0195】本実施例の画像形成装置でTV駆動を行った
ところ、比較例1に比し、更に高品位な表示画像を安定
して得ることができた。さらに、本実施例の画像形成装
置の製造方法は信頼性が高かった。
【0196】
【発明の効果】本発明の画像形成装置は、エージング工
程を施すことにより、パネル構成部材からのガス分子の
脱離に伴う素子劣化を抑制することにより、点欠陥、ラ
イン欠陥等を抑制しの歩止りを向上低減することができ
る。また、動作初期の劣化を抑制することができるた
め、高輝度で安定な表示の画像形成装置を実現できる。
【0197】本発明は、特に、高温の真空ベークプロセ
スを行わずとも、上記効果を達成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる平面型表面伝導型電子放出素子
(表面伝導型電子放出素子)を示す概略的構成図であ
り、(a)は平面図、(b)は素子電極の配列方向に対
して垂直な方向での断面図を示す。
【図2】垂直型表面伝導型電子放出素子(表面伝導型電
子放出素子)を断面として示す概略的構成図である。
【図3】(a)〜(c)は表面伝導型電子放出素子の製
造方法を示す図である。
【図4】(a)及び(b)はフォーミング工程に用いる
通電処理の電圧波形を示す図である。
【図5】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
的な測定評価系の一例を示す概略的構成図である。
【図6】表面伝導型電子放出素子の放出電流−素子電圧
特性(I-V特性)の一例を示す図である。
【図7】単純マトリックス配置の電子源基板の概略的構
成図である。
【図8】単純マトリックス配置の電子源基板を用いた画
像形成装置に用いる表示パネルの一部を省略した概略的
構成図である。
【図9】(a)及び(b)は、図8の表示パネルにおけ
る蛍光膜を示す図である。
【図10】図8の表示パネルを駆動する駆動回路の一例
を示す図である。
【図11】梯型配置の電子源基板の概略的構成図であ
る。
【図12】梯型配置の電子源基板を用いた画像形成装置
に用いる表示パネルの一部を省略した概略的構成図であ
る。
【図13】電子源基板の一部を示す平面図である。
【図14】図13におけるA-A'断面図である。
【図15】(a)〜(d)は電子源基板の製造手順を示
す図である。
【図16】(e)〜(h)は電子源基板の製造手順を示
す図である。
【図17】実施例2における画像形成装置を示すブロッ
ク図である。
【図18】(a)及び(b)は極性のパルス印加手法を
示す図である。
【図19】本発明のエージング手法及びエージング装置
を示す図である。
【図20】本発明のエージング工程における制御方法を
示すフローチャート図である。
【図21】本発明のエージング工程の制御方法の一例を
示すフローチャート図である。
【図22】画像形成装置の製造工程を示す図である。
【図23】画像形成装置の製造工程を示す図である。
【図24】(a)〜(c)は画像形成装置の動作条件と
脱ガス量の関係の一例を示す図である。
【図25】画像形成装置の動作時間と脱ガス量の関係を
示す図である。
【図26】真空度と電子源劣化速度との関係の一例を示
す図である。
【図27】(a)及び(b)は真空度と電子源特性の劣
化率の関係の一例を示す図である。
【図28】従来の画像形成装置の製造工程を示す図であ
る。
【図29】(a)〜(c)は、従来の画像形成装置の初
期動作時における真空度の悪化にともない、真空放電、
電子源劣化が生じる事を示す図である。
【図30】(a)〜(c)は本発明の、エージング工程
により真空度の悪化を回避し、真空放電、電子源劣化を
抑制することができることを示す図
【符号の説明】
1 基板 2 電子放出部 3 導電性薄膜 4、5 素子電極 21 段差形成部材 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 電源 52 放出電流Ieを測定するための電流計 53 高圧電源 54 アノード電極 55 真空装置 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 x方向配線(下配線) 73 y方向配線(上配線) 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 110 電子源基板(はしご型配置) 111 電子放出素子 112 共通配線 120 グリッド電極 121 空孔 122、123 容器外端子 151 層間絶縁層 152 コンタクトホール 153 Cr層 301 コンピュータ 302 電子源駆動装置 303 電子源駆動電流測定器 304 真空計 305 アノード電源 306 発光表示電流測定器 307 表示画像分析器 308 表示パネル 309 電子源基板 310 発光表示板

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子を有する電子源の多数を配
    列した電子源基板と、該電子源基板と真空部を介して対
    向して設けられた発光表示板と、を有する画像形成装置
    の製造方法において、 該真空部の真空状態を排気ないしはゲッターにより維持
    した状態で該真空部内をエージング処理するエージング
    工程を有し、該エージング工程は、該画像形成装置の駆
    動デューティーを徐々に大きくする駆動デューティー制
    御により行われることを特徴とする画像形成装置の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記駆動デューティー制御が、前記電子
    源の駆動周波数を一定とし、時間の経過とともに前記電
    子源の駆動パルス幅を最大パルス幅(Pwma x=画像表
    示駆動周波数周期/走査線本数)まで徐々に大きくする
    制御である請求項1に記載の画像形成装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記駆動デューティー制御が、前記電子
    源の駆動パルス幅を一定とし、時間の経過とともに前記
    電子源の駆動周波数を徐々に大きくする制御である請求
    項1に記載の画像形成装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記駆動デューティー制御が、時間の経
    過とともに前記電子源の駆動素子数を大きくする制御で
    ある請求項1に記載の画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記真空部内の真空度を真空計により検
    知し、検知された真空情報に基づいて前記駆動デューテ
    ィー制御が行われる請求項1〜4に記載の画像形成装置
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 電子放出素子を有する電子源の多数を配
    列した電子源基板と、該電子源基板と真空部を介して対
    向して設けられた発光表示板と、を有する画像形成装置
    の製造方法において、 該真空部の真空状態を排気ないしはゲッターにより維持
    した状態で該真空部内をエージング処理するエージング
    工程を有し、 該エージング工程は、該画像形成装置の駆動デューティ
    ーを徐々に大きくする駆動デューティー制御により行わ
    れ、かつ前記真空部内の真空度を真空計により検知し、
    検知された真空情報に基づいて前記駆動デューティー制
    御が行われることを特徴とする画像形成装置の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記駆動デューティーの制御が、前記真
    空計で検知された該真空部の全圧に基づいて行われ、 該制御は該全圧が規定全圧以下の場合には電子源駆動パ
    ルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の少なく
    とも1項を大きくするという第1の制御方式と、 該全圧が規定全圧以上の場合には電子源駆動パルス幅、
    駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の少なくとも1項
    を小さくする、もしくは維持するという第2の制御方式
    とに基づいて行われる請求項5または6に記載の画像形
    成装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記規定全圧が10-6Torr以下である請求
    項7に記載の画像形成装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記規定全圧が10-8Torr以下である請求
    項7に記載の画像形成装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記駆動デューティーの制御が、前記
    真空部のH2O分圧に基づいて行われ、 該制御は該H2O分圧が規定H2O分圧以下の場合には電
    子源駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子
    数の少なくとも1項を大きくするという第1の制御方式
    と、 該H2O分圧が規定H2O分圧以上の場合には電子源駆動
    パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の少な
    くとも1項を小さくする、もしくは維持するという第2
    の制御方式とに基づいて行われる請求項5または6のい
    ずれかに記載の画像形成装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記規定H2O分圧が10-7Torrである
    請求項10に記載の画像形成装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記規定H2O分圧が10-11Torr以下で
    ある請求項10に記載の画像形成装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記駆動デューティーの制御が、前記
    真空部のO2分圧に基づいて行われ、 該制御は該O2分圧が規定O2分圧以下の場合には電子源
    駆動パルス幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の
    少なくとも1項を大きくするという第1の制御方式と該
    2分圧が規定O2分圧以上の場合には電子源駆動パルス
    幅、駆動電圧、駆動周波数及び駆動素子数の少なくとも
    1項を小さくする、もしくは維持するという第2の制御
    方式とに基づいて行われる請求項5または6に記載の画
    像形成装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記規定O2分圧が10-7Torr以下であ
    る請求項13に記載の画像形成装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記規定O2分圧が10-10Torr以下であ
    る請求項13に記載の画像形成装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記電子放出素子のフォーミング工
    程、活性化工程及び安定化工程の後に、前記エージング
    工程が行われる請求項1〜15のいずれかに記載の画像
    形成装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記電子放出素子が、はしご状に配置
    された電子源と、情報信号により各素子から放出される
    電子線を制御する制御電極を有する請求項16に記載の
    画像形成装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記電子放出素子が単純マトリクス配
    置された電子源を有する請求項16に記載の画像形成装
    置の製造方法。
  19. 【請求項19】 複数の電子放出素子を配列した電子源
    基板と、該電子源基板と真空部を介し対向して設けられ
    た発光表示板とを有する画像形成装置の製造装置におい
    て、 該真空部を排気する排気手段と、 該真空部内の真空度を測定する真空計と、 該電子源を駆動する電子源駆動装置と、前記電子放出素
    子からの電子線の加速に用いるアノード電源とを有する
    ことを特徴とする画像形成装置の製造装置。
  20. 【請求項20】 前記真空計により検知した真空度に関
    する情報に基づいて電子源駆動条件もしくはアノード電
    圧を制御する機能を有する請求項19に記載の画像形成
    装置の製造装置。
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