JPH11233005A - 電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法、製造装置 - Google Patents

電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法、製造装置

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JPH11233005A
JPH11233005A JP3188998A JP3188998A JPH11233005A JP H11233005 A JPH11233005 A JP H11233005A JP 3188998 A JP3188998 A JP 3188998A JP 3188998 A JP3188998 A JP 3188998A JP H11233005 A JPH11233005 A JP H11233005A
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electron
conductive film
electron source
manufacturing
forming
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JP3188998A
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Tatsuya Iwasaki
達哉 岩崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出素子を複数行、複数列に配置してな
る電子源において、各素子毎の電子放出特性のばらつき
を改善する。 【解決手段】 基板1上に配線D1 〜D8 と素子電極
2、3を形成した後、1列分の素子に導電性膜4を形成
し、各配線に電圧を印加して該導電性膜4に電子放出部
5を形成する工程を、各素子列毎に繰り返して全素子に
導電性薄膜4と電子放出部5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を複
数用いた電子源とその製造方法、該電子源を用いた表示
装置や露光装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子には大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られてい
る。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE
型」と称する)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MI
M型」と称する)や、表面電子放出素子等が有る。
【0003】FE型の例としては、ダブリュ・ピイ・ダ
イク アンド ダブリュ・ダブリュ・ドラン(W.P.
Dyke and W.W.Dolan)「フィールド
エミッション(Field Emission)」,
アドバンス イン エレクトロン フィジックス(Ad
vance in Electron Physic
s),8,89(1956)或いはシイ・エイ・スピン
ト(C.A.Spindt),「フィジカル プロパテ
ィズ オブ シン−フィルム フィールド エミッショ
ン カソーズ ウィズ モリブデナム コーンズ(Ph
ysical Properties of thin
−film field emission cath
odes with molybdenum cone
s)」,J.Appl.Phys.,47,5248
(1976)等に開示されたものがある。
【0004】また、MIM型の例としては、シイ・エイ
・ミード(C.A.Mead),「オペレーション オ
ブ トンネル−エミッション デバイセズ(Opera
tion of Tunnel−Emission D
evices)」,J.Appl.Phys.,32,
646(1961)等に開示されたものが知られてい
る。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、エ
ム・アイ・エリンソン(M.I.Elinson),R
adio Eng.Electoron Phys.,
10,1290(1965)等に開示されたものがあ
る。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によ
るもの[ジイ・ディットマー(G.Dittmer)
「シン ソリッド フィルムズ(Thin Solid
Films)」,9,317(1972)]、In2
3 /SnO2 薄膜によるもの[エム・ハートウェル
アンド シイ・ジイ・フォンスタッド(M.Hartw
ell andC.G.Fonstad),「IEEE
Trans.ED Conf.」519(197
5)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他,真空、
第26巻、第1号、第22頁(1983)]等が報告さ
れている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のエム・ハートウェルの素子構成を図
18に模式的に示す。同図において1は基板である。ま
た、4は導電性膜で、H型形状のパターンに形成された
金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと
呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’は
0.1mmで設定されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行なう前に導電性膜4に予め通電フォー
ミングと呼ばれる通電処理を施して電子放出部5を形成
するのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、
前記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4
を局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂を発生しており、その亀裂付近から電子放出が行なわ
れる。
【0009】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亘って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を生かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0010】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線)にて夫々結線した行を多数
行配列(梯子状配置)した電子源が挙げられる(例え
ば、特開昭64−31332号公報、特開平1−283
749号公報、同2−257552号公報)。
【0011】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電子源の製
造方法の一例を図26を用いて説明する。
【0013】(1)基板1上に一般的な真空技術、フォ
トリソグラフィ技術により素子電極2、3、配線D1
8 を形成する(図26(a))。
【0014】(2)次いで、例えば分散塗布法などによ
って、導電性材料を塗布した後、パターニングにより導
電性膜4を形成する(図26(b))。
【0015】(3)導電性膜4にフォーミング処理を施
して電子放出部5を形成する。この時、図26のような
梯子型電子源の場合には、D1 とD2 間に電圧を印加す
ることにより、1行目の素子をフォーミングする(図2
6(c))。
【0016】(4)同様にして、D3 とD4 、D5 とD
6 、D7 とD8 間に電圧を印加することにより、素子行
毎にフォーミング処理を施して全素子の導電性膜4に電
子放出部5を形成する。その後、活性化工程や安定化工
程等所望の工程を行なう。
【0017】電子源が単純マトリクス型の場合も、同一
配線には複数の素子が接続されているため、上記梯子型
電子源と同様に素子行或いは素子列毎にフォーミング処
理を施す。
【0018】しかしながら、上記多数の電子放出素子を
配列した電子源の製造工程において、上記したようにフ
ォーミング工程において、外部電源から配線に電圧を印
加することにより電力を各素子に供給すると、配線には
複数の素子が接続されているため、配線を流れる電流は
大きなものとなる。その結果として、配線抵抗rで生じ
る電圧降下のため、各素子毎に印加される電圧Vform
差異が生じる。その作用を図27に示す。図中(a)は
1行目の素子のフォーミング処理を示す模式図、(b)
は当該処理での等価回路、(c)は配線の電圧である。
そのため、各素子に形成される電子放出部も変化し、素
子特性が不均一になるという問題を生じていた。また、
この時に配線に流れる電流が過度に大きい場合には、ジ
ュール熱により配線や基板に損傷を与えることもあっ
た。
【0019】このような問題への対応策の一つとして、
配線抵抗を小さくすることが挙げられるが、配線の膜
厚、面積、材料に制約を生じるという問題があった。例
えば、膜厚を厚くするとプロセスに時間を要する、配線
面積を広くすると単位面積あたりの素子数に制約を与え
る、低抵抗の配線として貴金属を用いればコストが高く
なる、等である。
【0020】上記問題は、フォーミング工程において、
1素子当たりに流す電流量が大きい時に顕著になるた
め、フォーミング前の素子抵抗Rs を適切な値に設定す
る必要があった。そのため、素子抵抗の設計要因である
導電性膜のサイズ、膜厚、抵抗率、材料等、適切なもの
を選択する必要が生じ、電子放出素子の設計、さらには
電子源設計に制約を生じていた。
【0021】本発明の目的は、上記問題点を解決し、フ
ォーミング時に配線に大電流を流すことなく電子放出部
を形成することにあり、配線での電圧降下に起因する素
子特性のばらつきをなくし、均一な電子放出特性を有す
る電子源を提供することにある。さらには、上記電子源
を用いて、表示品位の高い画像形成装置を構成すること
にある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、一対の
素子電極と、該素子電極のそれぞれに電気的に接続され
た導電性膜と、該導電性膜の一部に形成された電子放出
部を有する電子放出素子を、配線により複数個を並列に
結線してなる素子行を少なくとも1行以上有する梯子型
電子源の製造方法であって、基板上に配線と素子電極を
形成する工程と、異なる配線に接続された素子電極から
なる群毎に、導電性膜を形成する工程と該導電性膜にフ
ォーミング処理を施して電子放出部を形成する工程を施
すことを特徴とする。
【0023】本発明の第二は、一対の素子電極と、該素
子電極のそれぞれに電気的に接続された導電性膜と、該
導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する電子放
出素子を、配線により複数個をマトリクス状に結線して
なる単純マトリクス型電子源の製造方法であって、基板
上に配線と素子電極を形成する工程と、各素子行または
素子列において少なくとも1素子からなる群を形成し、
該群毎に、導電性膜を形成する工程と該導電性膜毎に順
次フォーミング処理を施して電子放出部を形成する工程
を施すことを特徴とする。
【0024】また、本発明の第三、第四は、それぞれ上
記製造方法で製造されたことを特徴とする電子源であ
り、さらに、本発明の第五、第六は、該電子源と、画像
形成部材、必要に応じて制御電極を有することを特徴と
する画像形成装置であり、第七、第八は、当該画像形成
装置の製造方法であって、上記製造方法で電子源を製造
することに特徴を有する。
【0025】またさらに、本発明の第九は、上記電子源
の製造方法を実施するための製造装置であって、少なく
とも、導電性膜形成手段と、該導電性膜に素子毎に電圧
を印加する手段とを有することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電子源を構成する
電子放出素子の好ましい実施形態として表面伝導型電子
放出素子を例に挙げて本発明を詳細に説明する。。
【0027】図1及び図2は、平面型表面伝導型電子放
出素子の一構成例を示す模式図であり、図1は平面図、
図2は縦断面図である。図1、図2において、1は基
板、2と3は素子電極、4は導電性膜、5は電子放出部
である。
【0028】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0029】対向する素子電極2、3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或いは合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、P
d−Ag等の金属或いは金属酸化物とガラス等から構成
される印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体
及びポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択さ
れる。
【0030】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは数百nm〜数百μ
mの範囲とし、より好ましくは、素子電極間に印加する
電圧等を考慮して、数μm〜数十μmの範囲とする。
【0031】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮すると、好ましくは数μm〜数百μmの範
囲であり、素子電極2、3の膜厚dは、好ましくは数十
nm〜数μmの範囲である。
【0032】尚、図1、図2に示した構成だけでなく、
基板1上に、導電性膜4、対向する素子電極2、3の順
に積層した構成とすることもできる。
【0033】導電性膜4を構成する材料としては、例え
ばPd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、
Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Mo、Pb等の金
属、PdO、SnO2 、In23 、PbO、Sb2
3 等の酸化物、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB
6 、YB4 、GdB4 等の硼化物、TiC、ZrC、H
fC、TaC、SiC、WCなどの炭化物、TiN、Z
rN、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カー
ボン等が挙げられる。
【0034】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2、3へのステップカバ
レージ、素子電極2、3間の抵抗値等を考慮して適宜設
定されるが、通常は、数Å〜数百nmの範囲とするのが
好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲とす
るのが良い。その抵抗値は、Rs が1×102 〜1×1
7 Ω/□の値である。尚、Rs は、幅がwで長さがl
の薄膜の長さ方向に測定した抵抗RをR=Rs(l/
w)とおいた時の値である。
【0035】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、或
いは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全
体として島状構造を形成している場合も含む)をとって
いる。微粒子の粒径は、数Å〜数百nmの範囲、好まし
くは1nm〜20nmの範囲である。
【0036】尚、本明細書では頻繁に「微粒子」という
言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0037】一般に、小さな粒子を「微粒子」と呼び、
これよりも小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒
子」よりもさらに小さく、原子の数が数百個程度以下の
ものを「クラスター」を呼ぶことは広く行なわれてい
る。
【0038】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どのような性質に注目して分類するかにより
変化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して
「微粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこ
れに沿ったものである。
【0039】例えば、「実験物理学講座 14 表面・
微粒子」(木下是雄 編、共立出版、1986年9月1
日発行)では、「本稿で微粒子と言うときにはその直径
がだいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、
特に超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜
3nm程度までを意味することにする。両者を一括して
単に微粒子と書くこともあってけっして厳密なものでは
なく、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数
が2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(第195頁22〜26行目)と記述されてい
る。
【0040】付言すると、新技術開発事業団の”林・超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義では、粒
径の下限がさらに小さく、次のようなものであった。
【0041】「創造科学技術推進制度の”超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを”超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術」林主税、上田良二、田崎明
編、三田出版、1988年、第2頁1〜4行目)/「超
微粒子よりもさらに小さいもの、すなわち原子が数個〜
数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスターと
呼ばれる」(同書第2頁12〜13行目)。
【0042】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において、「超微粒子」とは多数の原子・分子
の集合体で、粒径の下限は数Å〜1nm程度、上限は数
μm程度のものを指すこととする。
【0043】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された亀裂領域により構成され、後述する亀裂形成手法
に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数Å
〜数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合
もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する材
料の元素の一部、或いは全ての元素を含有するものとな
る。電子放出部5及びその近傍の導電性膜4には、炭素
或いは炭素化合物を有する場合もある。
【0044】表面伝導型電子放出素子の製造方法として
は様々な方法があるが、その一例を図3に基づいて説明
する。尚、図3においても図1及び図2に示した部位と
同じ部位には図1及び図2に付した符号と同一の符号を
付している。
【0045】1)基板1を洗浄、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィ技術
を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する(図3
(a))。
【0046】2)素子電極2、3を設けた基板1上に、
金属元素を含有する溶液を付与して導電性膜4を形成す
る(図3(b))。ここで、金属元素を含有する溶液と
は、所望の導電性膜4の材料の金属を主元素とする溶液
であり、例えば当該金属の有機化合物の溶液である。上
記溶液が有機金属溶液の場合には焼成処理を施す。導電
性膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸
着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、デ
ィッピング法、スピンナー法、インクジェット法等を用
いることができるが、本発明においては、導電性膜4の
形成工程と後述する電子放出部5形成工程が繰り返され
るため、所定の領域にのみ上記導電性膜4を形成し、且
つ先に形成された導電性膜や電子放出部に影響を及ぼさ
ない点で上記溶液を液滴で付与し得る方法、特にインク
ジェット法によることが望ましい。
【0047】インクジェット法を用いた場合には、10
ngから数十ng程度の微小液滴を再現性良く発生し基
板に付与することができ、フォトリソグラフィによるパ
ターニングや真空プロセスが不要である。インクジェッ
ト法の装置としては、エネルギー発生素子として電気熱
変換体を用いたバブルジェットタイプ、或いは圧電素子
を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能である。上
記液滴の焼成手段としては、電磁波照射手段や加熱空気
照射手段、基板全体を加熱する手段が用いられる。電磁
波照射手段としては、例えば赤外線ランプ、アルゴンイ
オンレーザー、半導体レーザー等を用いることができ
る。
【0048】3)続いて、フォーミング工程を行なう。
このフォーミング工程の方法の一例として、通電処理に
よる方法を説明する。尚、本発明の電子源におけるフォ
ーミング工程について詳しくは後述する。上記素子電極
2、3間に、不図示の電源より通電すると、導電性膜4
に構造の変化した電子放出部5が形成される(図3
(c))。この通電フォーミングにより、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化し
た部位が電子放出部5である。通電フォーミングの電圧
波形の例を図4に示す。
【0049】通電フォーミングの電圧波形は、特にパル
ス波形が好ましい。これには、パルス波高値を定電圧と
したパルスを連続的に印加する図4(a)に示した方法
と、パルス波高値を増加させながらパルスを印加する図
4(b)に示した方法がある。
【0050】先ず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて、図4(a)で説明する。図4(a)におけるT
1 及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。
三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)
は、表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択さ
れる。このような条件のもと、例えば、数秒〜数十秒間
電圧を印加する。パルス波形は、三角波に限定されるも
のではなく、矩形波等の所望の波形を採用することがで
きる。
【0051】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
図4(b)におけるT1 及びT2 は図4(a)に示した
1、T2 と同様である。また三角波の波高値は、例え
ば0.1V程度ずつ増加させる。
【0052】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば、0.1V程度の電圧印加により流れる電流
を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了する。
【0053】4)導電性膜4に電子放出部5を形成した
素子には、活性化工程と呼ばれる処理を施すのが好まし
い。この活性化工程により、素子電流If 、放出電流I
e を著しく変化させることができる。
【0054】活性化工程は、例えば有機物質のガスを含
有する雰囲気下で、素子電極2、3間にパルスの印加を
繰り返すことで行なうことができる。この雰囲気は、例
えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空
容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを
利用して形成することができる他、イオンポンプなどに
より一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガス
を導入することによっても得られる。この時の好ましい
有機物質のガス圧は、前述の素子電極の形態、真空容器
の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、場合
に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、アル
カン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族
炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、
アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有
機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタン、エ
タン、プロパンなどCn2n+2で表わされる飽和炭化水
素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表
わされる不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノ
ール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有
機物質から、炭素或いは炭素化合物が素子上に堆積し、
素子電流If、放出電流Ie が著しく変化するようにな
る。
【0055】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG、PG、GCを包含するもの
で、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PG
は結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、
GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさら
に大きくなったものを指す)、非晶質カーボン(アモル
ファスカーボン、及び、アモルファスカーボンと前記グ
ラファイトの微結晶の混合物を指す)であり、その膜厚
は50nm以下が好ましく、30nm以下が望ましい。
【0056】活性化工程の終了判定は、素子電流If
放出電流Ie を測定しながら、適宜行なうことができ
る。尚、パルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適
宜設定される。
【0057】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行なうことが好ましい。この工
程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真
空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオ
イルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使
用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソー
プションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることができる。
【0058】前記活性化工程で排気装置として油拡散ポ
ンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイ
ル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この成分
の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有機
成分の分圧は、上記炭素或いは炭素化合物がほぼ新たに
堆積しない分圧で1×10-6Pa以下が好ましく、さら
には1×10-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容
器内を排気する時には、真空容器全体を加熱して、真空
容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排
気し易くするのが好ましい。この時の加熱条件は、80
〜200℃、好ましくは150℃以上で、できるだけ長
時間処理するのが望ましいが、特にこの条件に限るもの
ではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構
成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行なう。
真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1×1
-5Pa以下が好ましく、さらには1×10-6Pa以下
が特に好ましい。
【0059】上記安定化工程を行なった後の駆動時の雰
囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが
好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分
除去されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定
な特性を維持することができる。このような真空雰囲気
を採用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の
堆積を抑制でき、結果として素子電流If 、放出電流I
e が安定する。
【0060】本発明の電子源を構成する電子放出素子の
基本特性について、前述の平面型表面伝導型電子放出素
子を例に挙げて図5、図6を参照しながら説明する。
【0061】図5は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図5においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。
【0062】図5において、55は真空容器であり、5
6は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。即ち、1は電子放出素子を構成する
基板であり、2及び3は素子電極、4は導電性膜、5は
電子放出部である。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vf を印加するための電源、50は素子電極2、3間
の導電性膜4を流れる素子電流If を測定するための電
流計、54は素子の電子放出部5より放出される放出電
流Ie を捕捉するためのアノード電極、53はアノード
電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は電子
放出部2より放出される放出電流Ie を測定するための
電流計である。一例として、アノード電極54の電圧を
1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極54と電子
放出素子との距離Hを2〜8mmの範囲として測定を行
なう。
【0063】真空容器55内には、不図示の真空系等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行なえるようになっ
ている。
【0064】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系とイオンポン
プ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。
ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装置の
全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。従って、
この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミング
以降の工程も行なうことができる。
【0065】図6は、図5に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie 及び素子電流If と、素子電
圧Vf との関係を模式的に示した図である。図6におい
ては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0066】図6からも明らかなように、本発明の電子
源を構成する電子放出素子は、放出電流Ie に関して次
の3つの特徴的性質を有する。
【0067】第1に、本素子はある電圧(しきい値電圧
と呼ぶ;図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると急
激に放出電流Ie が増加し、一方しきい値電圧Vth以下
では放出電流Ie がほとんど検出されない。つまり、放
出電流Ie に対する明確なしきい値電圧Vthを持った非
線形素子である。
【0068】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vf で制
御できる。
【0069】第3に、アノード電極54(図5参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0070】以上の説明より理解されるように、本発明
の電子源を構成する電子放出素子は、入力信号に応じ
て、電子放出特性を容易に制御できることになる。この
性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成した
電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
【0071】図6においては、素子電流If も素子電圧
f に対して単調増加する(以下、「MI特性」と称す
る)例を示したが、素子電流If が素子電圧Vf に対し
て電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特性」と
称する)を示す場合もある(不図示)。これらの特性
は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0072】以上のような電子放出素子の特徴的特性の
ため、複数の電子放出素子を配置した本発明の電子源は
画像形成装置等でも、入力信号に応じて容易に放出電子
量を制御することができることとなり、多方面に応用す
ることができる。
【0073】上記電子放出素子を複数個基板上に配列し
た本発明の電子源、及び該電子源を用いた画像形成装置
について説明する。
【0074】本発明の電子源において、電子放出素子の
配列については、種々のものが採用できる。一例とし
て、並列に配置した多数の電子放出素子の個々を両端で
接続し、電子放出素子の行を多数個配し(行方向)、こ
の配線と直交する方向(列方向)で、該電子放出素子の
上方に配した制御電極(グリッド電極)により、電子放
出素子からの電子を制御駆動する梯子状配置のものがあ
る。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に
行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出
素子の電極の一方をX方向の配線に共通に接続し、同じ
列に配された複数の電子放出素子の電極の他方をY方向
の配線に共通に接続するものが挙げられる。このような
配置はいわゆる単純マトリクス配置である。先ず単純マ
トリクス配置について以下に詳述する。
【0075】電子源を構成する電子放出素子について
は、前述した通り3つの特性がある。即ち、電子放出素
子からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素
子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御で
きる。一方、しきい値電圧以下では殆ど電子は放出され
ない。この特性によれば、多数の電子放出素子を配置し
た場合においても、個々の素子にパルス状電圧を適宜印
加すれば、入力信号に応じて、電子放出素子を選択して
電子放出量を制御できる。
【0076】以下、この原理に基づき、表面伝導型電子
放出素子を複数配置して得られる本発明の電子源につい
て図7を用いて説明する。図7において、71は電子源
基板、72はX方向配線、73はY方向配線である。7
4は表面伝導型電子放出素子、75は結線である。尚、
電子放出素子74は平面型でも垂直型でも良い。
【0077】m本のX方向配線72は、Dx1、Dx2、…
…、Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。Y方向配
線73は、Dy1、Dy2、……、Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線72と同様に形成される。これらm本の
X方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不
図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分
離している(m、nは共に正の整数)。
【0078】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或いは一部に所望の形状で形成され、特に、X方向
配線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得る
ように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配
線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引
き出されている。
【0079】電子放出素子74を構成する一対の素子電
極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線72とn本
のY方向配線73に、導電性金属等からなる結線75に
よって電気的に接続されている。
【0080】X方向配線72とY方向配線73を構成す
る材料、結線75を構成する材料、及び、一対の素子電
極を構成する材料は、その構成元素の一部或いは全部が
同一であっても、またそれぞれ異なっていても良い。こ
れらの材料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選
択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同一で
ある場合には、素子電極に接続した配線は素子電極であ
ると言うこともできる。
【0081】X方向配線72には、X方向に配列した電
子放出素子74の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線73には、Y方向に配列した電子放出素子74の
各列を入力信号に応じて変調するための、不図示の変調
信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加され
る駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信
号の差電圧として供給される。
【0082】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0083】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図8、図9、及
び図10を用いて説明する。図8は画像形成装置の表示
パネルの一例を示す模式図であり、図9は図8の画像形
成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図10はN
TSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうための駆
動回路の一例を示すブロック図である。尚、図7に示し
た部位と同じ部位には同じ符号を付して説明を省略す
る。尚、便宜上導電性膜4は省略した。
【0084】図8において、81は電子源基板71を固
定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍
光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプ
レートである。82は支持枠であり、該支持枠82に
は、リアプレート81、フェースプレート86がフリッ
トガラス等を用いて接続されている。88は外囲器であ
り、例えば大気中或いは窒素中で、400〜500℃の
温度範囲で10分間以上焼成することで封着して構成さ
れる。
【0085】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に電子源基板71の強度を補
強する目的で設けられるため、基板71自体で十分な強
度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要である。
即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェースプ
レート86、支持枠82及び基板71で外囲器88を構
成しても良い。一方、フェースプレート86とリアプレ
ート81の間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体
を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持
つ外囲器88を構成することもできる。
【0086】図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成する
ことができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列
により、ブラックストライプ(図9(a))、或いはブ
ラックマトリクス(図9(b))等と呼ばれる黒色導電
材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラ
ックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、
カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体92間の塗
り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすること
と、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの
低下を抑制することにある。黒色導電材91の材料とし
ては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の
他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用
いることができる。
【0087】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈殿法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をガラス基板83側へ
鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビ
ーム加速電圧を印加するための電極として作用させるこ
と、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージ
から蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、
蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通
常、「フィルミング」と呼ばれる)を行ない、その後A
lを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0088】また、フェースプレート86には、さらに
蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側
に透明電極(不図示)を設けても良い。
【0089】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十
分な位置合わせが不可欠となる。
【0090】図8に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。
【0091】外囲器88内は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながらイオンポンプ、ソープションポン
プ等のオイルを使用しない排気装置により不図示の排気
管を通じて排気し、1×10-5Pa程度の真空度の有機
物質の十分に少ない雰囲気にした後、封止がなされる。
外囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲッタ
ー処理を行なうこともある。これは、外囲器88の封止
を行なう直前或いは封止後に、抵抗加熱或いは高周波加
熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置に
配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成
する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5Pa
以上の真空度を維持するものである。ここで、表面伝導
型電子放出素子の活性化処理以降の工程は適宜設定でき
る。
【0092】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行なうための駆動回路の構
成例について、図10を用いて説明する。図10におい
て、101は画像表示パネル、102は走査回路、10
3は制御回路、104はシフトレジスタ、105はライ
ンメモリ、106は同期信号分離回路、107は変調信
号発生器、Vx 及びVa は直流電圧源である。
【0093】表示パネル101は、端子Dx1〜Dxm、端
子Dy1〜Dyn及び高圧端子87を介して外部の電気回路
と接続している。端子Dx1〜Dxmには表示パネル101
内に設けられた電子源、即ちm行n列の行列状にマトリ
クス配線された電子放出素子群を1行(n素子)ずつ順
次駆動するための走査信号が印加される。端子Dy1〜D
ynには、前記走査信号により選択された1行の電子放出
素子の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信
号が印加される。高圧端子87には、直流電圧源Va
り、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは
電子放出素子から放出される電子ビームに、蛍光体を励
起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧
である。
【0094】次に走査回路102について説明する。同
回路は、内部にm個のスイッチング素子(図10中、S
1 〜Sm で模式的に示す)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧源Vx の出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル101の端子Dx1〜Dxmと電気的に接続され
る。各スイッチング素子S1 〜Sm は、制御回路103
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであ
り、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わ
せることにより構成することができる。
【0095】直流電圧源Vx は、電子放出素子の特性
(電子放出しきい値電圧)に基づき、走査されていない
素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下
となるような一定電圧を出力するように設定されてい
る。
【0096】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように、各部
の動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、
同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync
基づいて、各部に対してTscan、Tsft 及びTmry の各
制御信号を発生する。
【0097】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルタ)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便宜
上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離
された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信号と表
わした。このDATA信号は、シフトレジスタ104に
入力される。
【0098】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsft に基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsft はシフトレジスタ104
のシフトクロックであると言い換えても良い)。シリア
ル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電子
放出素子n素子分の駆動データに相当)は、Id1〜Idn
のn個の並列信号として前記シフトレジスタ104より
出力される。
【0099】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmry に従っ
て適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容
は、Id'1 〜Id'n として出力され、変調信号発生器1
07に入力される。
【0100】変調信号発生器107は、画像データI
d'1 〜Id'n の各々に応じて、電子放出素子の各々を適
切に駆動変調するための信号源であり、その出力信号
は、端子Dy1〜Dynを通じて表示パネル101内の電子
放出素子に印加される。
【0101】前述したように、本発明の電子源を構成す
る電子放出素子は放出電流Ie に関して以下の基本特性
を有している。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧
thがあり、Vth以上の電圧が印加された時のみ電子放
出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、
素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。
このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場
合、例えば電子放出しきい値電圧以下の電圧を印加して
も電子放出を生じないが、電子放出しきい値電圧以上の
電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その
際、パルスの波高値Vm を変化させることにより、出力
電子ビームの強度を制御することが可能である。また、
パルスの幅Pw を変化させることにより、出力される電
子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0102】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0103】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0104】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0105】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0106】このような構成を取り得る本発明の画像形
成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dx1
〜Dxm、Dy1〜Dynを介して電圧を印加することによ
り、電子放出が生じる。同時に高圧端子87を介してメ
タルバック85或いは透明電極(不図示)に高電圧を印
加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光
膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0107】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基
づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはN
TSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるもの
ではなく、PAL、SECAM方式等の他、これらより
も多数の走査線からなるテレビジョン信号(例えば、M
USE方式をはじめとする高品位TV)方式も採用でき
る。
【0108】次に、前述の梯子状配置の電子源及び画像
形成装置について、図11及び図12を用いて説明す
る。
【0109】図11は、梯子状配置の電子源の一例を示
す模式図である。図11において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112は電子放出素
子111を接続するための共通配線D1 〜D10であり、
これらは外部端子として引き出されている。電子放出素
子111は基板110上に、X方向に並列に複数個配置
されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数
行配置されて電子源を構成している。各素子行の共通配
線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆
動させることができる。即ち、電子ビームを放出させた
い素子行には電子放出しきい値以上の電圧を印加し、電
子ビームを放出させたくない素子行には電子放出しきい
値以下の電圧を印加する。各素子行間に位置する共通配
線D2 〜D9 は、例えばD2 とD3 を一体の同一配線と
することもできる。
【0110】図12は、梯子状配置の電子源を備えた画
像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図であ
る。120はグリッド電極、121は電子が通過するた
めの開口、D1 〜Dm は容器外端子、G1 〜Gn はグリ
ッド電極120に接続された容器外端子である。110
は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板で
ある。図12においては、図8、図11に示した部位と
同じ部位には同一の符号を付した。尚、便宜上導電性膜
4は省略した。ここに示した画像形成装置と、図8に示
した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違い
は、電子源基板110とフェースプレート86の間にグ
リッド電極120を備えているか否かである。
【0111】図12においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、電子放出素子111か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
梯子状配置の素子行と直交して設けられたストライプ状
の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応し
て1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッ
ド電極の形状や配置は、図12に示したものに限定され
るものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数
の通過口を設けることもでき、グリッド電極を電子放出
素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0112】容器外端子D1 〜Dm 及びG1 〜Gn は不
図示の制御回路に接続されている。そして素子行を1列
ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電
極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。こ
れにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画
像を1ラインずつ表示することができる。
【0113】以上説明した本発明の画像形成装置は、テ
レビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコン
ピュータ等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構
成された光プリンタとしての画像形成装置等としても用
いることができる。
【0114】次に、本発明の電子源の製造方法について
説明する。
【0115】図19は、本発明の電子源の製造工程の一
実施形態を示す工程図であり、4行4列の梯子型電子源
の導電性膜及び電子放出部形成工程を示す。
【0116】(1)配線D1 〜D6 と素子電極2、3を
形成する(図19(a))。
【0117】(2)1列目の素子に導電性膜4を形成す
る(図19(b))。
【0118】(3)偶数配線D2 、D4 、D6 、D8
グランドレベルのまま、奇数配線D1 、D3 、D5 、D
6 に電圧を印加して、1列目の素子の導電性膜4にフォ
ーミング処理を施し、電子放出部5を形成する(図19
(c))。
【0119】(4)上記(2)、(3)の工程を、2〜
4列目の素子列毎に繰り返す(図19(d))。
【0120】全素子に電子放出部を形成した後、前述し
た活性化工程、安定化工程等所望の工程を施す。
【0121】本発明の製造方法においては、フォーミン
グ工程の際の配線抵抗に伴う電圧降下が少ない。その理
由を図20を用いて説明する。尚、図中(a)は3列目
の素子のフォーミング処理を示す模式図、(b)は当該
処理での等価回路、(c)は配線の電圧を示す。
【0122】本発明の製造方法では、各素子列のフォー
ミング工程において各配線に流れる電流は1素子分をフ
ォーミングするのに必要な電流である。例えば、D1
2を流れる電流は、当該配線に接続された1列目の素
子のフォーミング電流のみである。引き続き、2列目の
フォーミング工程においては、1列目の素子が既にフォ
ーミング処理されているため、十分にインピーダンスが
高く、各配線を流れる電流はほぼ1素子をフォーミング
するのに必要な電流だけである。
【0123】従って、本発明の製造方法によれば、フ
ォーミング時に配線に流れる電流が1素子分のフォーミ
ング電流だけでよく、大電流を流す必要がなく、配線
抵抗に伴う電圧降下が小さく、且つ容易に補正が可能
で、全ての列の素子行にほぼ同じフォーミング電圧で電
子放出部を形成することができる。
【0124】次に、本発明の製造方法により、単純マト
リクス型の電子源を製造する場合について図21により
説明する。
【0125】(1)配線Dx1〜Dx4とDy1〜Dy4を絶縁
層(図示しない)を介してマトリクス状に形成し、素子
電極2、3を形成する(図21(a))。
【0126】(2)1列目の素子に導電性膜4を形成す
る(図21(b))。
【0127】(3)Dy1〜Dy4を全てグランドレベルに
したまま、Dx1、Dx2、Dx3、Dx4に通電し、導電性膜
4にフォーミング処理を施して電子放出部5を形成する
(図21(c))。通電においては、Dx1〜Dx4に同時
に通電することや、行毎に順次通電する、即ち走査通電
の手法が可能であるが、前者はDy1に4素子分の電流が
流れ、当該配線で電圧降下が生じるため、走査通電する
ことがより望ましい。
【0128】(4)上記(2)、(3)の工程を、2〜
4列目の素子行毎に繰り返す(図21(d))。
【0129】全素子に電子放出部を形成した後、前述し
た活性化工程、安定化工程等所望の工程を施す。
【0130】本発明においても前記梯子型電子源の製造
方法と同様に、フォーミング時には1素子分のフォーミ
ング電流しか流れず、また配線抵抗による電圧降下も小
さい。
【0131】上記説明においては、導電性膜4を素子列
毎に形成した後フォーミング処理を施しているが、1素
子ずつ導電性膜形成、フォーミング処理を行なっても良
い。その工程を図22、図23に示す。図22は梯子型
電子源の場合、図23は単純マトリクス型電子源の場合
である。
【0132】即ち、所定の配線と素子電極2、3を形成
し(図22(a)、図23(a))、1素子分の導電性
膜4を形成し(図22(b)、図23(b))、該導電
性膜4にフォーミング電圧を印加して電子放出部5を形
成する(図22(c)、図23(c))。この時、図2
2においてはD2 及びD3 〜D8 はグランドレベルにし
ておき、D1 にのみ電圧を印加する。また図23におい
ては、Dy1〜Dy4及びDx2〜Dx4を全てグランドレベル
にし、Dx1のみに電圧を印加する。順次同様にして1素
子ずつ導電性膜4と電子放出部5を形成する(図22
(d)、図23(d))。
【0133】いずれの場合も、フォーミングする際に配
線に流れる電流は、既にフォーミングがなされた素子が
十分に高インピーダンスになっているため、ほぼ1素子
をフォーミングするのに必要な電流で良い。
【0134】また、本発明の製造方法の応用として、所
望の素子の導電性膜領域のみの開口部を有するマスクを
用い、当該素子電極に通電しながら導電性膜の構成金属
を蒸着することにより、導電性膜4の成膜とほぼ同時に
電子放出部5を形成することができる。即ち、蒸着当初
は膜厚が薄く素子抵抗が大きいが、蒸着が進行して膜厚
が厚くなると素子抵抗が小さくなり、ある程度の抵抗値
になった時にフォーミングがなされ、電子放出部が形成
される。この時点で蒸着を終了すれば良い。
【0135】次に、上記本発明の製造方法を実施するた
めの電子源の製造装置について図24、図25を用いて
説明する。
【0136】本発明の電子源の製造装置は、導電性膜形
成手段と、任意の導電性膜にフォーミング処理を施す手
段とを備えており、好ましくは、上記導電性膜形成手段
が、金属元素を含有する溶液を液滴として付与する手段
であり、上記フォーミング処理手段が任意の配線に電圧
を印加する手段である。先に挙げたように、液滴付与手
段としては、インクジェット方式が好ましく適用され
る。また、本発明においては、上記液滴付与手段で付与
された液滴を焼成する手段を備えていることが好まし
く、該焼成手段としては、電磁波(光を含む)照射や加
熱空気照射手段が挙げられ、中でも電磁波照射手段が好
ましい。電磁波照射手段としては、赤外線ランプ、アル
ゴンイオンレーザー、半導体レーザー等を用いることが
できる。また、光ファイバを用いて所望の領域のみを照
射、移動できるように構成することも望ましい。
【0137】図24の製造装置においては、液滴付与装
置としてインクジェットヘッドを用い、加熱焼成装置に
はヒーターと電磁波照射装置を組み込んでいる。また、
インクジェットヘッドに位置合わせ機能を持たせてい
る。インクジェットヘッドは複数で構成しても良い。ま
た、液滴付与装置、フォーミングドライバ通電装置、液
的焼成装置はそれぞれコントローラに接続され、任意の
タイミングでそれぞれの機能(インクジェットノズルの
位置合わせ、光ファイバ位置合わせ、液滴付与タイミン
グ、電磁波照射、フォーミング通電等)を所望の条件で
動作させることができるように構成されている。
【0138】図25に、1素子毎に導電性膜形成、電子
放出部形成を行なう場合の動作システムの一例のフロー
チャートを示す。このような制御により、インクジェッ
トヘッドの位置合わせ、液滴付与、焼成、フォーミング
がシークエンスとして高速で繰り返され、素子[1,
1](1行目、1列目)から素子[m,n](m行目、
n列目)までの導電性膜形成、電子放出形成を行なうこ
とができる。
【0139】尚、素子の選択順序は上記のものに限定さ
れるものではなく、条件に応じ適当な選択順序を採用し
てよい。
【0140】
【実施例】[実施例1、比較例1]本実施例では、図1
6に示したような、表面伝導型電子放出素子を梯子状配
置した電子源を形成した。図16(a)は一素子を示す
部分平面図、図16(b)はそのB−B’断面図であ
る。
【0141】工程−a 青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパ
ッタ法で形成した基板110上に、真空蒸着により厚さ
50ÅのCr、厚さ5000ÅのAuを順次積層した
後、フォトレジスト(商品名:AZ1370,ヘキスト
社製)をスピンナーにより回転塗布し、ベークした後、
フォトマスク像を露光、現像して、共通配線のレジスト
パターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチ
ングし、所望の形状の共通配線112を得た。
【0142】工程−b 素子電極2、3となるパターンをフォトレジスト(商品
名:RD−2000N−41,日立化成社製)形成し、
真空蒸着法により、厚さ50ÅのTi、厚さ500Åの
Niを順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶
剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電
極間隔L=20μm、素子電極対向幅W=300μmの
素子電極2、3を形成した。
【0143】工程−c 図19に示した手順で導電性膜4を形成し、フォーミン
グ処理を施した。即ち、有機Pd含有溶液(商品名:c
cp−4230,奥野製薬社製)を用い、インクジェッ
ト法により、1列分の素子に上記溶液の液滴を付与し、
赤外線を照射して当該液滴をPdOからなる導電性膜と
した。
【0144】引き続き、偶数番目の共通配線112をグ
ランドレベルとし、奇数番目の共通配線に電圧を印加し
て上記導電性膜に電子放出部を形成した。この時、フォ
ーミング電圧波形としては、図4(b)に示す波形を用
い、T1 を1msec、T2を10msecとし、0.
1Vずつ昇圧した。また、フォーミング処理中は、同時
に、0.1Vの電圧でT2 期間に抵抗測定パルスを挿入
し、導電性膜の抵抗を測定した。尚、フォーミング処理
の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1MΩ以上
になった時とした。フォーミング時の電圧Vformはほぼ
5.2V、電流は5.2mAであった。
【0145】上記操作を各列毎に繰り返し、全ての素子
に導電性膜と電子放出部を形成した。
【0146】工程−d 上記電子源基板を真空装置内に設置し、以下に示す活性
化、安定化工程を施した。
【0147】活性化工程として、有機物質としてアセト
ンを真空装置内に導入し、分圧0.2Paの真空雰囲気
を維持し、図15に示した波形でT1 =1msec、1
/T2 (繰り返し周波数)=100Hz、活性化電圧V
act =16Vに設定し、30分間活性化を行なった。
【0148】引き続き、アセトンを排気し、真空雰囲気
を有機物質のほぼ存在しない、超高真空に移行するた
め、安定化処理として、200℃のベーキングを2時間
行なった。
【0149】上記実施例1の電子源とは別に、比較例1
として、工程−cにおけるフォーミングを図26に示し
た従来の方法で、素子行毎にフォーミングを行なって電
子源を作製した。即ち、実施例1と同様の手法で全ての
導電性膜を形成した後、偶数配線をグランドレベルのま
ま、奇数配線に順次電圧を印加した。電圧印加は実施例
1と同様にして行なった。また、実施例1と同様に活性
化工程及び安定化工程を施した。
【0150】上記実施例1、比較例1と同様にして、配
線の材料、膜厚を変えた電子源を作製した(実施例2、
3、比較例2、3)。また、有機Pd溶液の液滴付与条
件を制御し、導電性膜の膜厚を厚くした構成の電子源を
同様にして作製した(実施例4、比較例4)。
【0151】実施例1〜4、比較例1〜4の各電子源
を、図5の測定評価装置に設置して特性を評価した。但
し、アノード電極54と電子源との間には、図12のグ
リッド電極120と同様なグリッド電極を配置し、電子
源の行とグリッドの列を選択することにより、各電子放
出素子の電子放出量を測定できるようにした。尚、アノ
ード電極54と電子放出素子との距離Hは5mm、アノ
ード電極54の電位を1kV、グリッド電極と電子放出
素子間の距離を1mm、グリッド電極の選択時の電位は
80V、非選択時の電位は0V、真空装置55内の真空
度は1×10-7Paとした。また、測定評価条件は素子
電圧Vf を16Vとし、その時の素子電流If 及び放出
電流Ie (アノード到達電流)を測定した。下記表1に
1素子当たりの放出電流Ie の平均値とばらつきを示
す。
【0152】
【表1】
【0153】上記表1より、本実施例の電子源では、素
子特性のばらつきが低減されていることがわかった。特
に、配線抵抗の影響が大きい時、即ち配線抵抗が大きい
時や素子抵抗が小さい時にも均一性の良い電子源が得ら
れることがわかる。
【0154】[実施例5]本実施例では、図1の平面型
の表面伝導型電子放出素子を多数単純マトリクス配置し
た図7のような電子源を用いて、画像形成装置を構成し
た。
【0155】本実施例にかかる複数の電子放出素子がマ
トリクス配線された基板1の一部の平面図を図13に示
す。また、図中のA−A’断面図を図14に示す。但
し、図13〜図16中で同じ符号を付したものは同じ部
位を示す。ここで、141は層間絶縁層、142はコン
タクトホールである。
【0156】工程−a 青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパ
ッタ法で形成した基板1上に、真空蒸着及びフォトリソ
グラフィにより、下配線72、上配線73、素子電極
2、3を形成した。下配線72と上配線73は厚さ50
ÅのCr、厚さ6000ÅのAuを順次積層し、下配線
72上には厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層
間絶縁層141をRFスパッタ法により堆積した。ま
た、素子電極2、3は厚さ50ÅのTi、1000Åの
Niを順次堆積し、間隔Lが20μm、電極対向幅Wは
300μmとした。
【0157】工程−b 本実施例においては、配線に通電しつつ、マスクデポに
より素子列毎に順次導電性膜を形成し、同時に電子放出
部を形成した。
【0158】即ち、下配線72に平行な1列分の導電性
膜の開口部を有するマスクを用い、十分位置合わせした
後、蒸着レートを0.5Å/secとして、マスク蒸着
によりMoからなる導電性膜4を1列分形成した。この
時、下配線72はグランドレベルのまま、上配線73
に、パルス波高値15V、パルス幅1msecの矩形波
を10Hzで通電した。蒸着が進行し、Moよりなる微
粒子からなる導電性膜4の膜厚が厚くなるに連れて素子
抵抗が小さくなり、2kΩ程度となった後にフォーミン
グがなされた。フォーミングがなされると同時に蒸着を
終了した。
【0159】上記操作を、各行毎に繰り返し、全部の電
子放出素子を形成した。
【0160】工程−c 実施例1と同様にして活性化工程、安定化工程を行なっ
た。但し、活性化電圧Vact は18Vとした。
【0161】比較例5として、従来と同様のラインフォ
ーミングの手法を用いた電子源を作製した。即ち、配線
に通電することなく全ての素子に膜厚30ÅでMoを蒸
着して導電性膜を同時に形成した。素子抵抗は1.5k
Ωであった。下配線72をグランドレベルとしたまま、
上配線73に順次走査通電を行ない、行毎にラインフォ
ーミングを行なった。フォーミング電圧波形は図4
(b)の波形を用い、T1を1msec、T2 を100
msecとし、0.2Vずつ昇圧した。
【0162】上記実施例5、比較例5の電子源を、実施
例1と同様に図5の測定評価装置に設置し、アノード電
極54と電子放出素子間の距離Hを4mm、アノード電
極54の電位を1kVとして特性を評価した。尚、真空
装置55内の真空度は1×10-7Paとし、測定評価条
件は、素子電圧Vf を18Vとし、その時の素子電流I
f 及び放出電流Ie (アノード到達電流)を測定した。
下記表2に1素子当たりの放出電流Ie の平均値とばら
つきを示す。
【0163】
【表2】
【0164】上記表2より、本発明によれば、素子特性
のばらつきを低減する効果があることがわかった。
【0165】[実施例6]実施例5と同様にして、配
線、素子電極を形成し、図24に示した構成の電子源製
造装置を用いて1素子毎に導電性膜及び電子放出部を形
成した。即ち、図24のコントローラに図25に示した
フローチャートをプログラミングした。
【0166】先ず[1,1]の素子の導電性膜を実施例
1で用いた有機Pd含有溶液を用いて形成し、上配線D
y1〜Dynは全てグランドレベルにしたまま、Dx1に電圧
を印加して電子放出部を形成する。同様に[1,2]の
素子に導電性膜を形成し、Dx2に電圧を印加して電子放
出部を形成する。順次1列目の素子に導電性膜及び電子
放出部を形成し、当該操作を2列目移行の素子に繰り返
して全素子に導電性膜及び電子放出部を形成した。
【0167】次に、以上のようにして作製した電子源を
用いて画像形成装置を構成した。図8と図9を用いて説
明する。
【0168】上述のようにして多数の表面伝導型電子放
出素子74を設けた電子源基板71をリアプレート81
上に固定した後、基板71の5mm上方に、フェースプ
レート86(ガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタ
ルバック85を形成して構成)を支持枠82を介して配
置し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレー
ト81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で4
00℃で10分間焼成することで封着した。またリアプ
レート81への基板71の固定もフリットガラスで行な
った。
【0169】蛍光膜84はモノクロームの場合は蛍光体
92のみからなるが、本実施例では蛍光体92はストラ
イプ形状(図9(a))を採用し、先にブラックストラ
イプを形成し、その間隙部に各色蛍光体92を塗布して
蛍光膜84を作製した。ブラックストライプの材料とし
ては、通常良く知られている黒鉛を主成分とする材料を
用いた。
【0170】ガラス基板83に蛍光体92を塗布する方
法としてはスラリー法を用いた。また、蛍光膜84の内
面側にはメタルバック85を設けた。メタルバック85
は、蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の内面側表面の平
滑化処理を行ない、その後Alを真空蒸着することで作
製した。
【0171】フェースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
はメタルバック85のみで十分な導電性が得られたので
省略した。
【0172】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
蛍光体92と電子放出素子74とを対応させなくてはい
けないため、十分な位置合わせを行なった。
【0173】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(不図示)を通じて真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、有機物質としてアセトン
を0.1Pa導入し、外部端子Dx1〜DxmとDy1〜Dyn
を通じて電子放出素子74の素子電極2、3間に電圧を
印加し、活性化を行なった。活性化Vact は16V、繰
り返し周波数は60Hz、パルス幅30μmの矩形波で
10分間程度行なった。
【0174】次に、安定化処理としてガラス容器をベー
キングし、1×10-5Pa程度の真空度まで排気し、排
気管(図示しない)をガスバーナーで熱することで溶着
し、外囲器の封止を行なった。最後に封止後の真空度を
維持するために、高周波加熱法でゲッター処理を行なっ
た。
【0175】以上のようにして完成した本発明の画像形
成装置において、外部端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通
じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段より
それぞれ電子放出素子74に印加することにより電子放
出させると共に、高圧端子87を通じてメタルバック8
5或いは透明電極(不図示)に数kV以上の高電圧を印
加して、電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突させ、
励起・発光させることで画像を表示した。本実施例の画
像形成装置においては、極めて輝度ばらつきが小さく、
安定な表示画像が得られた。さらに、階調特性及びフル
カラー表示に優れたコントラストの高い表示画像が得ら
れた。
【0176】[実施例7]図17は、実施例6の画像形
成装置を、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々
の画像情報源より提供される画像情報を表示できるよう
に構成した本発明の画像形成装置の一例を示す図であ
る。
【0177】図中、1700はディスプレイパネル、1
701はディスプレイパネルの駆動回路、1702はデ
ィスプレイコントローラ、1703はマルチプレクサ、
1704はデコーダ、1705は入出力インタフェース
回路、1706はCPU、1707は画像生成回路、1
708〜1710は画像メモリインタフェース回路、1
711は画像入力インターフェース回路、1712及び
1713はTV信号受信回路、1714は入力部であ
る。
【0178】尚、本画像形成装置は、例えばテレビジョ
ン信号のように、映像情報と音声情報の両方を含む信号
を受信する場合には当然映像の表示と同時に音声を再生
するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声
情報の受信、分離、再生、処理、記憶等に関する回路や
スピーカー等については説明を省略する。
【0179】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。
【0180】先ず、TV信号受信回路1713は、例え
ば電波や空間光通信等のような無線伝送系を用いて伝送
されるTV信号を受信するための回路である。受信する
TV信号の方式は特に限られるものではなく、例えばN
TSC方式、PAL方式、SECAM方式等、いずれの
方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線よ
りなるTV信号、例えばMUSE方式をはじめとするい
わゆる高品位TV信号は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。
【0181】上記TV信号受信回路1713で受信され
たTV信号は、デコーダ1704に出力される。
【0182】また、TV信号受信回路1712は、例え
ば同軸ケーブルや光ファイバ等のような有線伝送系を用
いて伝送されるTV信号を受信するための回路である。
前記TV信号受信回路1713と同様に、受信するTV
信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で
受信されたTV信号もデコーダ1704に出力される。
【0183】画像入力インターフェース回路1711
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナーなどの
画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ1704に出
力される。
【0184】画像メモリインターフェース回路1710
は、ビデオテープレコーダ(以下「VTR」と称する)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ1704に出力される。
【0185】画像メモリインターフェース回路1709
は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込
むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ17
04に出力される。
【0186】画像メモリインターフェース回路1708
は、静止画ディスクのように、静止画像データを記憶し
ている装置から画像信号を取り込むための回路で、取り
込まれた静止画像データはデコーダ1704に入力され
る。
【0187】入出力インターフェース回路1705は、
本画像表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続
するための回路である。画像データや文字・図形情報の
入出力や、場合によっては本画像形成装置の備えるCP
U1706と外部との間で制御信号や数値データの入出
力などを行なうことも可能である。
【0188】画像生成回路1707は、前記入出力イン
ターフェース回路1705を介して外部から入力される
画像データや文字・図形情報や、或いはCPU1706
より出力される画像データや文字・図形情報に基づき、
表示用画像データを生成するための回路である。本回路
の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積
するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応す
る画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリ
や、画像処理を行なうためのプロセッサ等をはじめとし
て、画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0189】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ1704に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路1705を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンタに出力すること
も可能である。
【0190】CPU1706は、主として本画像表示装
置の動作制御や、表示画像の生成や選択、編集に関わる
作業を行なう。
【0191】例えば、マルチプレクサ1703に制御信
号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を
適宜選択したり組み合わせたりする。その際には表示す
る画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ1
702に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走
査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。また、前記画像生成回路1707に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、或いは前記
入出力インターフェース回路1705を介して外部のコ
ンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。
【0192】尚、CPU1706は、これ以外の目的の
作業にも関わるものであっても良い。例えば、パーソナ
ルコンピュータやワードプロセッサ等のように、情報を
生成したり処理する機能に直接関わっても良い。或いは
前述したように、入出力インターフェース回路1705
を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例
えば数値計算等の作業を外部機器として共同して行なっ
ても良い。
【0193】入力部1714は、前記CPU1706に
使用者が命令やプログラム、或いはデータなどを入力す
るためのものであり、例えばキーボードやマウスの他、
ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識装置
等の多様な入力機器を用いることが可能である。
【0194】デコーダ1704は、前記1707〜17
13より入力される種々の画像信号を3原色信号、また
は輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路で
ある。尚、図中に点線で示すように、デコーダ1704
は内部に画像メモリを備えていることが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するの
際に画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うた
めである。また、画像メモリを備えることにより、静止
画像の表示が容易になる。或いは前記画像生成回路17
07及びCPU1706と共同して、画像の間引き、補
完、拡大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が
容易になるという利点が得られる。
【0195】マルチプレクサ1703は、前記CPU1
706より入力される制御信号に基づき、表示画像を適
宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ1703
はデコーダ1704から入力される逆変換された画像信
号の内から所望の画像信号を選択して駆動回路1701
に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信
号を切り換えて選択することにより、いわゆる多画面テ
レビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によっ
て異なる画像を表示することも可能である。
【0196】ディスプレイパネルコントローラ1702
は、前記CPU1706より入力される制御信号に基づ
き、駆動回路1701の動作を制御するための回路であ
る。
【0197】ディスプレイパネルの基本的な動作に関わ
るものとして、例えばディスプレイパネルの駆動用電源
(不図示)の動作シーケンスを制御するための信号を駆
動回路1701に対して出力する。ディスプレイパネル
の駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数
や走査方法(例えばインターレースかノンインターレー
スか)を制御するための信号を駆動回路1701に対し
て出力する。また、場合によっては、表示画像の輝度や
コントラストや色調やシャープネスといった画質の調整
に関わる制御信号を駆動回路1701に対して出力する
場合もある。
【0198】駆動回路1701は、ディスプレイパネル
1700に印加する駆動信号を発生するための回路であ
り、前記マルチプレクサ1703から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ1702よ
り入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0199】以上、各部の機能を説明したが、図17に
例示した構成により、本画像形成装置においては、多様
な画像情報源より入力される画像情報をディスプレイパ
ネル1700に表示することが可能である。即ち、テレ
ビジョン放送をはじめとする各種の画像信号は、デコー
ダ1704において逆変換された後、マルチプレクサ1
703において適宜選択され、駆動回路1701に入力
される。一方、ディスプレイコントローラ1702は、
表示する画像信号に応じて駆動回路1701の動作を制
御するための制御信号を発生する。駆動回路1701
は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパ
ネル1700に駆動信号を印加する。これにより、ディ
スプレイパネル1700において画像が表示される。こ
れらの一連の動作は、CPU1706により統括的に制
御される。
【0200】本画像形成装置においては、前記デコーダ
1704に内蔵する画像メモリや、画像生成回路170
7及び情報の中から選択したものを表示するだけでな
く、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回
転、移動、エッジ強調、間引き、補完、色変換、画像の
縦横比変換等をはじめとする画像処理や、合成、消去、
接続、入れ替え、嵌め込み等をはじめとする画像編集を
行なうことも可能である。また、上記画像処理や画像編
集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうた
めの専用回路を設けても良い。
【0201】従って、本画像形成装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び
動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、
ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲー
ム器などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業
用或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0202】尚、図17は、電子放出素子を電子ビーム
源とする表示パネルを用いた画像形成装置とする場合の
構成の一例を示したに過ぎず、本発明の画像形成装置が
これのみに限定されるものでないことは言うまでもな
い。
【0203】例えば、図17の構成要素の内、使用目的
上必要のない機能に関わる回路は省いてもさしつかえな
い。また、これとは逆に、使用目的によってはさらに構
成要素を追加しても良い。例えば、本画像表示装置をテ
レビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音
声マイク、照明器、モデムを含む送受信回路等を構成要
素に追加するのが好適である。
【0204】本画像形成装置においては、電子放出素子
を電子源としているので、ディスプレイパネルの薄型化
が容易なため、画像形成装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、電子放出素子を電子ビーム源
とする表示パネルは大画面化が容易で輝度が高く、視野
角特性にも優れるため、画像形成装置は、臨場感にあふ
れ、迫力に富んだ画像を視認性良く表示することが可能
である。また、安定で高効率な電子放出特性が実現され
た電子源を用いることにより、長寿命で明るい高品位な
カラーフラットテレビが実現された。
【0205】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果が得られる。
【0206】1)フォーミング時の配線での電圧降下に
起因する電子放出部のばらつきがなくなり、均一な電子
放出特性を有する電子源が得られ、表示特性に優れた画
像形成装置が提供される。
【0207】2)フォーミング時に配線に大電流を流す
必要がないため、ジュール熱で配線や基板に損傷を与え
る心配がなくなり、製造工程における歩留が向上した。
【0208】3)フォーミング時に配線抵抗の影響を受
けにくいため、フォーミング前の素子抵抗値が小さくて
もフォーミング可能であり、素子抵抗即ち導電性膜の膜
厚、膜質、素子幅、素子長等に対するマージンが広が
り、電子源設計に対する自由度が大幅に向上した。
【0209】4)導電性膜の材料に関しても選択の幅が
広がるため、例えば従来用いづらかった高融点材料も適
用でき、電子源の長寿命化、高温プロセス耐性などが期
待できる。
【0210】5)電源容量の小さいフォーミング装置を
用いることができ、設備の簡素化を図ることができ
る。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子源を構成する電子放出素子の一実
施形態である平面型の表面伝導型電子放出素子を示す概
略的構成図である。
【図2】図1に示した電子放出素子の概略的断面図であ
る。
【図3】図1に示した電子放出素子の製造工程を示す図
である。
【図4】フォーミング波形の例を示す図である。
【図5】本発明にかかる真空処理装置の一例を示す概略
的構成図である。
【図6】本発明の電子放出素子の放出電流−素子電圧特
性(I−V特性)を示す図である。
【図7】本発明の電子源の一実施形態の単純マトリクス
配置の電子源を示す概略的構成図である。
【図8】単純マトリクス配置の電子源を用いた本発明の
画像形成装置の一実施形態に用いる表示パネルの概略的
構成図である。
【図9】図8に示した表示パネルにおける蛍光膜を示す
図である。
【図10】図8に示した表示パネルを駆動する駆動回路
の一例を示す図である。
【図11】本発明の電子源の一実施形態の梯子状配置の
電子源を示す概略的構成図である。
【図12】梯子状配置の電子源を用いた本発明の画像形
成装置の一実施形態に用いる表示パネルの概略的構成図
である。
【図13】本発明の実施例5の電子源を示す概略的平面
図である。
【図14】図13におけるA−A’断面図である。
【図15】本発明の実施例1の活性化工程で用いた電圧
波形である。
【図16】本発明の実施例1の電子源の概略図である。
【図17】本発明の実施例7における画像形成装置を示
すブロック図である。
【図18】従来の平面型表面伝導型電子放出素子を示す
概略的構成図である。
【図19】本発明の電子源の製造方法の一実施形態を示
す模式平面図である。
【図20】図19に示した製造方法の作用を示す図であ
る。
【図21】本発明の電子源の製造方法の他の実施形態を
示す模式平面図である。
【図22】本発明の電子源の製造方法の他の実施形態を
示す模式平面図である。
【図23】本発明の電子源の製造方法の他の実施形態を
示す模式平面図である。
【図24】本発明の電子源の製造装置の一実施形態のブ
ロック図である。
【図25】図24に示した製造装置におけるフローチャ
ートの一例である。
【図26】従来の電子源の製造方法の一例を示す模式平
面図である。
【図27】図26に示した製造方法の作用を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 50 電流計 51 電源 52 電流計 53 高圧電源 54 アノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導伝材 92 蛍光体 101 画像表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 共通配線 120 グリッド電極 121 開口 141 層間絶縁層 142 コンタクトホール 1700 ディスプレイパネル 1701 駆動回路 1702 ディスプレイコントローラ 1703 マルチプレクサ 1704 デコーダ 1705 入出力インターフェース回路 1706 CPU 1707 画像生成回路 1708〜1710 画像メモリインターフェース回路 1711 画像入力インターフェース回路 1712、1713 TV信号受信回路 1714 入力部

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の素子電極と、該素子電極のそれぞ
    れに電気的に接続された導電性膜と、該導電性膜の一部
    に形成された電子放出部を有する電子放出素子を、配線
    により複数個を並列に結線してなる素子行を少なくとも
    1行以上有する梯子型電子源の製造方法であって、基板
    上に配線と素子電極を形成する工程と、異なる配線に接
    続された素子電極からなる群毎に、導電性膜を形成する
    工程と該導電性膜にフォーミング処理を施して電子放出
    部を形成する工程を施すことを特徴とする電子源の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 一対の素子電極と、該素子電極のそれぞ
    れに電気的に接続された導電性膜と、該導電性膜の一部
    に形成された電子放出部を有する電子放出素子を、配線
    により複数個をマトリクス状に結線してなる単純マトリ
    クス型電子源の製造方法であって、基板上に配線と素子
    電極を形成する工程と、各素子行または素子列において
    少なくとも1素子からなる群を形成し、該群毎に、導電
    性膜を形成する工程と該導電性膜にフォーミング処理を
    施して電子放出部を形成する工程を施すことを特徴とす
    る電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記導電性膜のフォーミング処理を施す
    工程が、1素子毎に行なう請求項2記載の電子源の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 上記素子電極が同一面上に配置された平
    面型の素子である請求項1〜3いずれかに記載の電子源
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子である請求項1〜4いずれかに記載の電子源の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 上記群が1素子からなる請求項1、2、
    4、5いずれかに記載の電子源の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記導電性膜を形成する工程が、金属元
    素を含有する溶液を液滴として付与する工程を有する請
    求項1〜6いずれかに記載の電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記導電性膜を形成する工程が、金属元
    素を含有する溶液を液滴として付与した後、該溶液を焼
    成する工程を有する請求項7記載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記焼成工程が電磁波照射による請求項
    8記載の電子源の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の製造方法により製造さ
    れたことを特徴とする電子源。
  11. 【請求項11】 請求項2記載の製造方法により製造さ
    れたことを特徴とする電子源。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の電子源と、画像形成
    部材、及び情報信号により各素子から放出される電子線
    を制御する制御電極を有することを特徴とする画像形成
    装置。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の電子源と、画像形成
    部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の製造方法で得られた電
    子源を、該電子源から放出される電子線を制御する制御
    電極と、該電子源からの電子線の照射により画像を形成
    する画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像
    形成装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項2記載の製造方法で得られた電
    子源を、該電子源からの電子線の照射により画像を形成
    する画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像
    形成装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれかに記載の電子
    源の製造方法を実施するための製造装置であって、少な
    くとも、導電性膜形成手段と、任意の導電性膜にフォー
    ミング処理を施す手段とを有することを特徴とする電子
    源の製造装置。
  17. 【請求項17】 上記導電性膜形成手段が、少なくと
    も、金属元素を含有する溶液を液滴として付与する手段
    を有する請求項16記載の電子源の製造装置。
  18. 【請求項18】 上記導電性膜形成手段が、少なくと
    も、金属元素を含有する溶液を液滴として付与する手段
    と、該溶液を焼成する手段とを有する請求項16記載の
    電子源の製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1302968A2 (en) * 2001-10-11 2003-04-16 Canon Kabushiki Kaisha Methods of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image forming apparatus
US7335081B2 (en) 2000-09-01 2008-02-26 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing image-forming apparatus involving changing a polymer film into an electroconductive film
CN100392788C (zh) * 2002-02-28 2008-06-04 佳能株式会社 电子发射元件、电子源和图像形成装置的制造方法

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