JPH09213224A - 画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及び前記画像形成パネルを用いた画像形成装置 - Google Patents

画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及び前記画像形成パネルを用いた画像形成装置

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JPH09213224A
JPH09213224A JP2099196A JP2099196A JPH09213224A JP H09213224 A JPH09213224 A JP H09213224A JP 2099196 A JP2099196 A JP 2099196A JP 2099196 A JP2099196 A JP 2099196A JP H09213224 A JPH09213224 A JP H09213224A
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electron
surface conduction
image forming
pulse
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Yoichi Ando
洋一 安藤
Eiji Yamaguchi
英司 山口
Hidetoshi Suzuki
英俊 鱸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気密容器内の排気中に、電子源から電子を放
出させて蛍光体面を照射することにより、蛍光体面に吸
着或は付着したガスを効率良く脱離できる画像形成パネ
ルの製造方法及び脱ガス装置及び当該画像形成パネルを
用いた画像形成装置を提供する。 【解決手段】 マルチ電子源基板の表面伝導型電子放出
素子の通電活性化終了後、そのパネル容器を排気する
際、マルチ電子源基板とフェースプレート間に印加する
加速電圧を0〜5[KV]の間で変化させ、このマルチ
電子源の行方向端子Dx1〜Dxmのそれぞれに印加するパ
ルス電圧を14[V]固定で、100μ秒のパルス幅と
する。このようなパルス電圧の印加サイクルを200ミ
リ秒周期で行方向端子の全てに対して順次実行し、この
ようなサイクルを複数回繰返すことにより、フェースプ
レートの蛍光体に付着或は吸着されているガスを迅速に
脱離して除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に複数の表
面伝導型電子放出素子を配置したマルチ電子源を有する
画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及び前記
画像形成パネルを用いた画像形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素子
と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰極
素子では、例えば表面伝導型電子放出素子や、電界放出
型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型
放出素子(以下MIM型と記す)などが知られている。
【0003】またFE型の例としては、例えば、W. P.
Dyke & W. W. Dolan,“Field emission”, Advance in
Electron Physics, 8, 89 (1956)や、或は、C. A. Spi
ndt,“Physical properties of thin-film field emis
sion cathodes with molybdenum cones”, J. Appl. Ph
ys., 47, 5248 (1976)などが知られている。
【0004】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead,“Operation of tunnel-emission Devices,
J. Appl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子としては、例え
ば、M. I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10,
1290, (1965)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン(Eli
nson)等によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄
膜によるもの[G. Dittmer:“Thin Solid Films”,9,3
17 (1972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M.
Hartwell and C. G.Fonstad:”IEEE Trans. ED Con
f.”,519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木
久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]
等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図29に前述のM. Hartwellら
による素子の平面図を示す。図29において、3001
は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物
よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示
のようにH字形の平面形状に形成されている。この導電
性薄膜3004に、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成
される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],幅W
は、0.1[mm]に設定されている。尚、図示の便宜
から、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央
に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、
実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわ
けではない。
【0008】M. Hartwellらによる素子をはじめとして
上述の表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を
行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ば
れる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形
成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングと
は、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、
もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとした
レートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄
膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形
成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もし
くは変質した導電性薄膜3004の一部には亀裂が発生
する。この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に
適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近において
電子放出が行われる。
【0009】例えば、表面伝導型電子放出素子は、冷陰
極素子の中でも特に構造が単純で製造も容易であること
から、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで例えば本願出願人による特開昭64−313
32号公報において開示されるように、多数の素子を配
列して駆動するための方法が研究されている。
【0010】また、表面伝導型電子放出素子の応用につ
いては、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画
像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0011】特に画像表示装置への応用としては、例え
ば本願出願人によるUSP5,066,883や特開平
2−257551号公報や特開平4−28137号公報
において開示されているように、表面伝導型電子放出素
子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合
わせて用いた画像表示装置が研究されている。このよう
な表面伝導型電子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用
いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よ
りも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及し
てきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるため
バックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優
れていると言える。
【0012】本願発明者らは、上記従来技術に記載した
ものを初めとして、種々の材料、製法、構造の冷陰極素
子を試みてきた。更に、多数の冷陰極素子を配列したマ
ルチ電子ビーム源、並びにこのマルチ電子ビーム源を応
用した画像表示装置について研究を行ってきた。
【0013】本願発明者らは、例えば図30に示す電気
的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。
即ち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの
素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子
ビーム源である。
【0014】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線を示している。行方向配線4002及び列方向配線4
003は、実際には有限の電気抵抗を有するものである
が、図においては配線抵抗4004及び4005として
示されている。上述のような配線方法を、単純マトリク
ス配線と呼ぶ。尚、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビ
ーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0015】表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビ
ームを出力させるため、行方向配線4002及び列方向
配線4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マ
トリクスの中の任意の1行の表面伝導型電子放出素子を
駆動するには、選択する行の行方向配線4002には選
択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4
002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して
列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動
電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗40
04及び4005による電圧降下を無視すれば、選択す
る行の表面伝導型電子放出素子には、(Ve−Vs)の電
圧が印加され、また非選択行の表面伝導型電子放出素子
には(Ve−Vns)の電圧が印加される。ここで、これ
らVe,Vs,Vnsの電圧値を適宜の大きさの電圧にすれ
ば、選択する行の表面伝導型電子放出素子だけから所望
の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列方
向配線4003の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれ
ば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビー
ムが出力されるはずである。また、表面伝導型電子放出
素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加
する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時
間の長さも変えることができるはずである。
【0016】従って、表面伝導型電子放出素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源には種々の応用で
きる可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を
適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に
用いることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面伝
導型放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビー
ム源には、実際には以下に述べるような問題が発生して
いた。
【0018】このマルチ電子ビーム源の詳しい製造方法
は後述するが、このマルチ電子ビーム源を用いて画像形
成装置を製造するためには、まずマルチ電子ビーム源と
電子ビームの照射により発光する蛍光体と排気管とを含
む気密容器を組み立てる。次に、その排気管を通じて気
密容器内を真空排気した後、その排気管を封止し、封止
の直前あるいは封止後にゲッター膜を形成する。このよ
うにして内部が真空に保たれた気密容器を製造する。
【0019】このような方法で製造された画像形成装置
を用いて画像形成を行った場合、マルチ電子源から放出
される電子の照射により蛍光体面に吸着したガスが脱離
し、ゲッター膜のゲッター作用の寿命を低下させる原因
となっていた。また、その脱離したガスの種類によって
は、表面伝導型放出素子そのものの寿命をも低下させる
ことになり、画像形成装置の寿命を著しく低下させると
いう問題があった。また場合によっては、電子放出素子
から放出される電子ビームの量が不安定となり画像情報
を正確に形成できなくなるといった問題が生じていた。
【0020】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、気密容器内の排気中に、電子源から電子を放出させ
て蛍光体面を照射することにより、蛍光体面に吸着或は
付着したガスを効率良く脱離する画像形成パネルの製造
方法及びその脱ガス装置及び前記画像形成パネルを用い
た画像形成装置を提供することを目的とする。
【0021】また本発明の目的は、蛍光体面のガスをよ
り効率的に除去できる画像形成パネルの製造方法及びそ
の脱ガス装置及び前記画像形成パネルを用いた画像形成
装置を提供することにある。
【0022】また本発明の他の目的は、蛍光体面に電子
が照射される面積を広くして、より効率良くガスを除去
できる画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及
び前記画像形成パネルを用いた画像形成装置を提供する
ことにある。
【0023】また本発明の他の目的は、電子源と蛍光体
面との間に印加される電圧を変更することにより電子が
照射される位置を変更させて、より効率良くガスを除去
できる画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及
び前記画像形成パネルを用いた画像形成装置を提供する
ことにある。
【0024】また本発明の他の目的は、電子源に印加さ
れる電圧を変更することにより電子が照射される位置を
変更させて、より効率良くガスを除去できる画像形成パ
ネルの製造方法及びその脱ガス装置及び前記画像形成パ
ネルを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の画像形成パネルの製造方法は以下のような工
程を備える。即ち、電極間に電子放出部を形成した表面
伝導型放出素子を複数素子備えたマルチ電子源を有する
画像形成パネルの製造方法であって、前記マルチ電子源
の各表面伝導型電子放出素子を基板上に形成する工程
と、気密容器内を排気した後、前記気密容器内で前記表
面伝導型電子放出素子に対して通電フォーミングを行う
工程と、前記気密容器内で通電活性化を行う工程と、前
記通電活性化の後、前記気密容器より更に排気する際
に、前記表面伝導型電子放出素子から電子を放出させる
電子放出工程とを有する。
【0026】また上記目的を達成するために本発明の脱
ガス装置は以下のような構成を備える。即ち、電極間に
電子放出部を形成した表面伝導型放出素子を複数素子備
えたマルチ電子源を有する画像形成パネルの脱ガス装置
であって、前記マルチ電子源の行或は列方向の表面伝導
型電子放出素子に素子電圧を印加する通電手段と、前記
マルチ電子源を配置した基板と前記画像形成パネルの蛍
光体との間に加速電圧を印加する加速電圧印加手段と、
前記マルチ電子源の通電活性化の後、前記画像形成パネ
ルより更に排気する排気手段と、前記排気手段による排
気時、前記通電手段と前記加速電圧印加手段とを駆動し
て前記マルチ電子源から前記蛍光体に電子を照射させる
制御手段とを有する。
【0027】また上記目的を達成するために本発明の画
像形成装置は以下のような構成を備える。即ち、請求項
1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法により製造さ
れた画像形成パネルと、画像信号を入力する入力手段
と、前記画像信号に基づいて前記画像形成パネルを駆動
するための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、前
記駆動信号発生手段により発生された駆動信号に基づい
て前記画像形成パネルを駆動して画像を形成する駆動手
段とを有する。
【0028】
【発明の実施の形態】本実施の形態によれば、脱ガス
時、表面伝導型電子放出素子に印加するパルス電圧値を
固定にし、加速電圧を所定幅(例えば5KV幅)の間で
変更させて印加する。
【0029】本実施の形態によれば、脱ガス時、加速電
圧を固定にし、表面伝導型電子放出素子に印加するパル
ス電圧値を、例えば行或は列方向の全ラインに対して終
了するごとに、所定電圧ずつ増加あるいは減少させる。
これによりパルス電圧の波高値は所定電圧と最大電圧値
との間で変化される。
【0030】本実施の形態によれば、脱ガス時、加速電
圧を固定にし、表面伝導型電子放出素子に印加するパル
ス電圧値を、例えば行或は列方向の全ラインに対して終
了するごとに、所定電圧ずつ増加あるいは減少させる。
そして、パルス電圧の波高値が最大電圧値になるとその
極性を反転し、再度同様の処理を行う。
【0031】本実施の形態によれば、脱ガス時、加速電
圧を所定幅で変化させ、表面伝導型電子放出素子に印加
するパルス電圧値を、例えば行或は列方向の全ラインに
対して終了するごとに、所定電圧ずつ増加あるいは減少
させる。これによりパルス電圧及び加速電圧の波高値は
所定電圧と最大電圧値との間で変化される。
【0032】本実施の形態によれば、脱ガス時、加速電
圧を所定幅で変化させ、表面伝導型電子放出素子に印加
するパルス電圧値を、例えば行或は列方向の全ラインに
対して終了するごとに、所定電圧ずつ増加あるいは減少
させる。そして、パルス電圧の波高値が最大電圧値にな
るとその極性を反転し、再度同様の処理を行う。
【0033】[実施の形態1]以下、添付図面を参照し
て本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。図中同
じ番号のものは同じものを示している。
【0034】まず最初に本実施の形態の表面伝導型電子
放出素子をマトリクス上に配列した表示パネル1000
の構成と製造法について具体的な例を示して説明する。
【0035】図1は、本実施の形態に用いた表示パネル
1000の外観斜視図であり、内部構造を示すためにパ
ネルの1部を切り欠いて示している。
【0036】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネル1000の内部を真空に維
持するための気密容器を形成している。この気密容器を
組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度
と気密性を保持させるため封着する必要があるが、例え
ばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中或は窒素雰
囲気中で摂氏400〜500度で10分以上焼成するこ
とにより封着を達成した。この気密容器内部を真空に排
気する方法については後述する。
【0037】リアプレート1005には基板1001が
固定されているが、該基板1001上には表面伝導型放
出素子1002がN×M個形成されている。(ここで
N,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素
数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビジョ
ンの表示を目的とした表示装置においては、N=300
0,M=1000以上の数を設定することが望ましい。
本実施の形態においてはN=3072,M=1024と
した)。これらN×M個の表面伝導型放出素子1002
は、M本の行方向配線1003とN本の列方向配線10
04により単純マトリクス配線されている。これら基板
1001、表面伝導型電子放出素子1002、行方向、
列方向配線1003,1004によって構成される部分
をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、このマルチ電子ビ
ーム源の製造方法や構造については、後で詳しく述べ
る。
【0038】尚、本実施の形態においては、気密容器の
リアプレート1005にマルチ電子ビーム源の基板10
01を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基
板1001が十分な強度を有するものである場合には、
気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基
板1001自体を用いてもよい。
【0039】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態は
カラー表示装置用の表示パネル1000であるため、蛍
光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体が塗り分
けられている。各色の蛍光体は、例えば図2(A)に示
すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストラ
イプの間には黒色の導電体1010が設けてある。この
ような黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビー
ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生
じないようにするためや、外光の反射を防止して表示コ
ントラストの低下を防ぐため、電子ビームによる蛍光膜
のチャージアップを防止するためなどである。黒色の導
電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記
の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても
良い。
【0040】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図2
(A)に示したストライプ状の配列に限られるものでは
なく、例えば、図2(B)に示すようなデルタ状配列
や、それ以外の配列であってもよい。
【0041】なお、モノクローム画像表示用の表示パネ
ルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜10
08に用いれば良く、また黒色導電材料は必ずしも用い
なくともよい。
【0042】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。このメタルバック1009を設けた目的
は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光
利用率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜
1008を保護するため、電子ビーム加速電圧を印加す
るための電極として作用させるため、更には蛍光膜10
08を励起した電子の導電路として作用させるためなど
である。このメタルバック1009は、蛍光膜1008
をフェースプレート基板1007上に形成した後、蛍光
膜1008の表面を平滑化処理し、その上にAl(アル
ミニウム)を真空蒸着する方法により形成した。なお、
蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合に
はメタルバック1009は用いない。
【0043】また、本実施の形態では用いなかったが、
加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、
フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、例えば、ITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0044】また、Dx1〜Dxm,Dy1〜DynおよびHv
は、この表示パネル1000と不図示の電気回路とを電
気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子
である。また、端子Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の
行方向配線1003と、端子Dy1〜Dynはマルチ電子ビ
ーム源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレー
ト1007のメタルバック1009と電気的に接続して
いる。
【0045】また、この気密容器内部を真空に排気する
には、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空
ポンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗
[torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。このゲッター膜とは、
例えばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
このゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10
のマイナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[torr]
の真空度に維持される。
【0046】以上、本発明の実施の形態の表示パネル1
000の基本構成と製法を説明した。
【0047】[実施の形態1]次に、前述した気密容器
を組み立てた後、排気管を通して真空に排気した後、排
気管を封止する前に行われる本実施の形態1の脱ガス工
程を図面を参照して説明する。
【0048】図3は、本実施の形態1で蛍光体の脱ガス
工程を行うために、電子源を駆動するための構成の概略
を示したブロック図である。
【0049】図3において、1002は表面伝導型電子
放出素子であり、この製造方法及び構成は図18以降の
図面を参照して詳しく後述するが、電子放出部形成用の
薄膜にフォーミング処理及び活性化処理を行うことによ
り、電子放出部を含む薄膜を形成した素子である。この
表面伝導型電子放出素子1002は基板1001上にm
×n個マトリクス状に配置されており、このような表面
伝導型放出素子1002を多数個備えるマルチ電子源を
構成している。
【0050】7は、パルス発生電源及び制御スイッチン
グ回路で、前述の表示パネル1000の行方向の端子D
x1〜Dxmに後述するパルス信号を印加するか、或はグラ
ンドに接続するかを切り換えるスイッチング素子と、そ
れらの切換え動作及びパルスの種類、波高、パルス幅、
周期、発生タイミングなどを制御する回路等を備えてい
る。またパルス発生電源及び制御スイッチング回路7
は、複数の端子を同時に選択することも可能である。
尚、図3の構成では、列方向の端子Dy1〜Dynはグラン
ドに接続されている。
【0051】この蛍光体脱ガスは、排気管の封止の前に
行われ、後述する通電活性化が終了した時点で蛍光体面
に吸着されているガスを、その蛍光体面に表面伝導型電
子放出素子から放出された電子を衝突させることにより
脱離させるもので、そのための表面伝導型電子放出素子
の駆動は行方向の1ライン、又は複数ラインずつ、或は
全ラインを同時に行ってもよい。しかしながら、このた
めに要する時間の短縮と、急激な脱ガスによる放電等に
よる素子劣化を防ぐためには、行方向或は列方向の1ラ
イン単位で走査して行うのが好ましい。そこで、本実施
の形態では表示駆動時と同様に、行方向の1ライン単位
で順次素子に通電して行った。
【0052】尚、ここで、各素子に印加する印加パルス
は、パルス幅100(μ秒)、電圧波高値Vfが14
(V)の矩形波を用い、選択する行方向の端子Dxa(1
≦a≦m)に、このパルス信号を印加し、他の端子はグ
ランドに接地し、5(Hz)の周波数で、順次行方向に
走査しながら行った。
【0053】図4は、このような脱ガス工程時の全体構
成を示すブロック図である。
【0054】図4において、1115は直流高電圧電
源、1007は蛍光体が形成されているフェースプレー
ト、11は制御部(例えばパソコン)で、パルス発生電
源及び制御スイッチング回路7及び直流高電圧電源11
15を制御している。12は排気管を示し、不図示の排
気回路に接続されている。ここで、電子源基板1001
とフェースプレート1007との間にはアノード電圧V
aが印加されている。
【0055】図5(A)〜(C)は、このアノード電圧
Vaを変化させた場合に、基板1001上の表面伝導型
電子放出素子1002から放出される電子のフェースプ
レート1007ヘの到達点の違いを説明する図である。
尚、この図5において、1114はアノード電極を示し
ている。
【0056】図5(A)はアノード電圧Vaが最も低い
場合を示し、図5(B)はアノード電圧Vaの電位が中
位、図5(C)はアノード電圧Vaが最も高い場合を示
している。このように、アノード電圧Vaを高くするに
従って、表面伝導型電子放出素子1002から放出され
る電子のフェースプレート1007ヘの到達点が、素子
1002の真上方向に移動していることがわかる。即
ち、これにより、この脱ガス工程において、アノード電
圧Vaを高電位と低電位との間で変化させることによ
り、放出電子が衝突する蛍光体の面積をより広くでき、
より広い面積の蛍光体面からの脱ガスをより速く行うこ
とができる。尚、本実施の形態1では、アノード電圧V
aを500[V]/(分)で5[KV]まで昇圧し、同
じレートで減圧することを1サイクルとして、2サイク
ル行った。
【0057】尚、図5から明らかなように、放出された
電子はある程度の広がりを持って蛍光体面に衝突するた
め、アノード電圧Vaをある程度の電圧幅で階段状に変
化させても同様の効果が得られるが、本実施の形態1で
は連続的に変化させた。
【0058】図6(A)は、本実施の形態1における蛍
光体の脱ガス工程を行う際の電子源を駆動を示す図で、
図6(B)はアノード電圧Vaの変化を示すタイミング
図、図7は電子源を駆動するためのフローチャート、そ
して図8は高圧電源1115を駆動する処理を示すフロ
ーチャートである。以下、これら図6(A)(B)及び
図7、図8を参照して本実施の形態1の蛍光体脱ガス工
程について詳細に説明する。
【0059】まずパルス発生電源及び制御スイッチング
回路7から端子Dx1に図6(A)に示すようなパルス電
圧(電圧14[V]、パルス幅100μ秒)を印加す
る。尚、この時、他の端子は全てグランドに接地されて
いる。次に動作周波数が5(Hz)になるように、1/
(5×m)秒後(mは行方向の端子数)に端子Dx2にパ
ルスを印加する。尚、この時も他の端子をグランドとす
る。このようにして1/(5×m)秒毎に順々に行方向
ラインを選択していき、端子Dxmに通電して最後のライ
ンを選択し終わったなら1ライン目(端子Dx1)に戻り
(本実施の形態の場合200ミリ秒(1/5秒)後)、
以下同様に繰り返す。
【0060】この時、アノード電圧Vaを出力する直流
高電圧電源1115は、図6(B)に示すように、これ
とは独立して駆動され、本実施の形態1の場合、アノー
ド電圧Vaは、10分間で0[KV]から5[KV]ま
で連続的に昇圧され、次の10分間で5[KV]から0
[KV]まで連続的に減圧される。このような昇圧及び
減圧が2回繰返され、これら2サイクルは計40分で終
了する。
【0061】なお上述の素子駆動電圧Vf(ここでは1
4[V])、アノード電圧Vaの通電条件は、本実施の
形態の表面伝導型放出素子1002に関する好ましい条
件であり、表面伝導型放出素子1002の設計を変更し
た場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ま
しい。また、このような表面伝導型電子放出素子を配置
した電子源の駆動は行方向の複数ラインを単位として走
査させても良く、もちろん上記実施の形態において行と
列が反対でもよい。
【0062】図7は、制御部11により実施されるパル
ス発生電源及び制御スイッチング回路7の制御処理を示
すフローチャートである。
【0063】まずステップS1で、行方向の端子数を計
数するための変数kを“1”にセットし、ステップS2
で、1ラインの通電周期を計時するための時間変数tを
“0”にセットする。そしてステップS3に進み、端子
Dxk(kは変数kの値で定まる)を選択し、他の端子は
全て接地する。そしてステップS4に進み、ステップS
3で選択された行方向の端子Dxkに電圧値14[V]
で、パルス幅が100μ秒のパルスを印加する。次にス
テップS5に進み、変数kの値を+1し、ステップS6
で、時間tが{1/(f×m)}よりも大きくなったか
どうか、即ち、次のラインの通電時間になったかどうか
をみる。ここでfは周波数を示し、前述の例ではf=5
である。こうして経過時間tが{1/(f×m)}より
も大きくなるとステップS7に進み、変数kの値が“m
+1”よりも大きくなったか、即ち、行方向の全ての端
子への通電が終了したかをみる。終了していなければス
テップS2に戻って、ステップS5でカウントアップさ
れたkの値に従って次のラインを選択して前述の処理を
実行するが、終了したときはステップS1に戻り、再び
端子Dx1よりの通電を開始する。
【0064】図8は、図7の処理とは独立に制御回路1
1により実行される高圧電源1115の制御を示すフロ
ーチャートである。
【0065】まずステップS11で、時間変数t1を
“0”にセットし、ステップS12で、高圧電源111
5の出力電圧を“0”にセットする。ステップS13で
は、時間変数t1により10msec(ミリ秒)が経過
したかを調べ、10ミリ秒経過するとステップS14に
進み、高圧電源1115の出力を1/12[V]だけ昇
圧する。そしてステップS15で、10分が経過したか
を調べ、10分が経過していないときはステップS13
に戻り前述の処理を実行する。
【0066】ステップS15で10分が経過するとステ
ップS16に進み、時間変数をt1を“0”にセット
し、ステップS17で、時間変数t1により10mse
c(ミリ秒)が経過したかを調べ、10ミリ秒経過する
とステップS18に進み、高圧電源1115の出力を1
/12[V]だけ減圧する。そしてステップS19でス
テップS15と同様に10分が経過したかを調べ、10
分経過するとステップS20に進み、このような処理を
2回繰返し実行したかを調べ、そうでなければステップ
S11に戻り、再度前述の処理を繰返し実行する。
【0067】尚、図7及びず8のフローチャートにおい
て、時間変数t,t1の値は、制御回路11に内蔵され
ているタイマ(図示せず)等により、時間の経過ととも
に順次更新されているものとする。
【0068】また、図8のフローチャートでは、10m
sec毎に1/12[V]ずつ段階的に出力電圧値を更
新するようにしたが本発明はこれに限定されず、前述の
ように連続して電圧値を変更しても良い。
【0069】[実施の形態2]以下に添付図面を参照し
て本発明の実施の形態2について、排気管の封止前の蛍
光体の脱ガスの処理のみを説明する。尚、電子源を駆動
するための電気回路の概略構成及び電子源の駆動方法
は、前述の実施の形態1と同じであるので、その説明を
省略する。
【0070】ここで、前述の実施の形態1と異なるの
は、アノード電圧Vaを一定(5[KV])に保ち、1
スクロールごと(本実施の形態では200ミリ秒)に、
印加パルスの波高値Vfを0.1Vずつ変化させる点で
ある。なお、ここで印加パルスは、パルス幅100(μ
sec)、素子電圧Vfは、8〜14[V]の矩形波を
用い、アノード電圧Vaは5KVで一定とした。
【0071】図9は、本実施の形態2における全体構成
を示すブロック図で、前述の図4と共通する部分は同じ
番号で示している。これら図4と図9から明らかなよう
に、この実施の形態2の図9では、制御回路(パソコ
ン)11が直流高圧電源1115を制御していない点が
図4の構成と異なっている。
【0072】図10(A)〜(C)は、波高値Vfを変
化させた場合の表面伝導型電子放出素子から放出される
電子がフェースプレート1007に到達する点を表わす
模式図で、図10(A)が最も波高値が高く、図10
(C)がもっとも波高値が低い場合を示している。尚、
ここで電子は負の極性を有しているため、正側の電位が
印加されている電極側に引っ張られている。
【0073】図10(A)〜(C)から明らかなよう
に、素子電圧の波高値Vfを低くするに従って放出され
た電子がフェースプレート1007に到達する点が表面
伝導型電子放出素子の真上方向に移動している。従っ
て、前述の実施の形態1のアノード電圧のように、この
素子電圧の波高値Vfを変更すれば、より広い面積の蛍
光体面に電子を衝突させて脱ガスを行うことができる。
【0074】尚、図10に示すとおり、放出された電子
はある程度の広がりを持って蛍光体面に衝突するため、
波高値Vfの昇圧ステップを適当に設定することによ
り、蛍光体表面の電子が衝突する領域を連続的に広げて
蛍光体面の脱ガスを行うことができる。本実施の形態2
では、波高値Vfを0.1[V]/(1スクロール)で
8[V]から14[V]まで昇圧することを繰り返し
た。
【0075】図11は、本実施の形態2で蛍光体の脱ガ
ス工程を行う際の電子源を駆動するためのフローチャー
トを、図12は電子源の駆動及びアノード電圧Vaのタ
イムチャートを示す。以下、図11及び図12を参照し
ながら本実施の形態2の蛍光体脱ガス工程について詳細
に説明する。
【0076】端子Dx1から端子Dxmまでの選択の仕方は
前述の実施の形態1と同じであるが、素子電圧の波高値
Vfは、まず最初は8[V]で行う。そして最後のライ
ン(端子Dxm)を選択して全ての行方向端子への通電を
終了すると、パルス発生電源及び制御スイッチング回路
7を制御して、その出力電圧Vfを8.1[V]に0.
1[V]だけ昇圧して1ライン目(端子Dx1)に戻る
(本実施の形態の場合200ミリ秒後)。
【0077】このようにして、1スクロール毎に波高値
Vfを0.1[V]ずつ昇圧し、波高値Vfが14[V]
になるまで(本実施の形態の場合12sec後)同様の
動作を繰り返す。こうして波高値Vfが14[V]にな
ったなら再びVfを8[V]に戻して、前述と同様に繰
り返し、40分後に終了する。
【0078】図11のフローチャートにおいて、まずス
テップS21で波高値Vfを8[V]にセットし、ステ
ップS22で、行方向端子を選択するための変数kを
“1”に、ステップS23で、時間を計時するための変
数tを“0”にセットする。そしてステップS24に進
み、端子Dxk(kは変数kの値に従う)を選択し、他の
端子を全て接地する。次にステップS25に進み、その
時点で設定されている波高値Vfの値でパルス幅100
μ秒のパルス電圧を印加する。
【0079】ステップS26〜ステップS28の処理
は、前述の図7のステップS5〜S7の処理と同様で、
ステップS28で行方向の全ての端子への通電が終了し
ていないときはステップS29に進み、素子電圧の波高
値Vfに0.1[V]を加算する。次にステップS30
で、その加算された波高値Vfが最大電圧値である14
[V]を越えているかを判断し、越えていないときはス
テップS22に戻り、前述の処理を実行する。また14
[V]を越えたときはステップS21に戻り、素子電圧
Vfを元の8[V]に戻して、前述の処理を繰返す。
【0080】この時のタイミングチャートが図12に示
されており、一定のアノード電圧Va(5KV)に対し
て、行方向の全ての端子が200ミリ秒の周期で通電さ
れ、各サイクル毎に素子電圧Vfの波高値が0.1
[V]ずつ昇圧されている。
【0081】なお上述の波高値Vf、アノード電圧Vaの
通電条件は、本実施の形態2の表面伝導型放出素子に関
する好ましい条件の一例を示しており、表面伝導型放出
素子の設計を変更した場合には、それに応じてこれら電
圧条件を適宜変更するのが望ましい。また電子源の駆動
は、行方向に複数ラインを単位として走査させてもよい
し、複数スクロールごとに昇圧してもよい。もちろん実
施の形態において行と列が反対でもよい。
【0082】[実施の形態3]次に、添付図面(図1
3、図14)を参照して本発明の実施の形態3につい
て、第2実施の形態と異なる部分のみを説明する。印加
パルスの波高値Vfを変化させる点は前述の第2実施の
形態と同様であるが、本実施の形態3では、印加パルス
の極性を反転しながらパルスを印加する。表面伝導型放
出素子1002への印加電圧の極性を反転させれば、放
出された電子は素子の垂直中心線に対して左右反対にな
ることは、図10より明らかである。このようにして更
に広い面積の蛍光体面に電子を衝突させて蛍光体面の脱
ガスを行うことができる。
【0083】この動作を示したのが図13のフローチャ
ートと図14のタイミング図である。以下、このフロー
チャートとタイムチャートとを参照しながら本実施の形
態3を説明する。
【0084】図14のタイミング図から明らかなよう
に、最初に行方向端子Dxiに印加する電圧を波高値8
[V]から開始し14[V]まで昇圧するところまでは
前述の実施の形態2と同様であるが、この実施の形態3
の場合は、12秒を1昇圧サイクルとして、14[V]
までの1昇圧サイクルが終了すると、今度は波高値Vf
の極性を反転して−8[V]とし、それ以降、その電圧
値を0.1Vずつ下げていき(電圧値の絶対値を上げ
る)、−14[V]まで下降させる。そして、−14
[V]になると、2回目の昇圧サイクルを終了する。こ
のように1昇圧サイクルごとに、表面伝導型放出素子へ
の印加パルスの極性を反転させるものである。尚、この
素子電圧の波高値Vfの極性の反転は、1昇圧サイクル
ごとに限らず、例えば1スクロールごとでも、1パルス
ごとでもよい。また正弦波のような交流波高を加えても
よい。また、Vfを変化させる割合は、0.1Vに限る
ものでなく任意の電圧単位で変更しても良い。
【0085】この時の処理を図13のフローチャートを
参照して説明する。
【0086】まずステップS31で、初期電圧値Vf0を
8[V]に設定し、次にステップS32で、電圧値Vf
にこの初期電圧値Vf0をセットする。そしてステップS
33に進み、端子位置を指示する変数kに“1”をセッ
トし、時間変数tに“0”をセットする。ステップS3
5では、行方向端子Dxkを選択し、他の端子を全て接地
する。そしてステップS36で、その選択された行方向
端子に、電圧値がVfでパルス幅が100μ秒のパルス
電圧を印加する。
【0087】ステップS37では変数kを+1し、ステ
ップS38で、1行の周期に相当する時間(1/(f×
m)m:行方向の端子数)が経過したかどうかを調べ、
経過するとステップS39に進み、行方向の全ての端子
(Dx1〜Dxm)へのパルス電圧の印加が終了したかを調
べ、終了していないときはステップS34に戻る。
【0088】行方向の全ての端子へのパルス信号の印加
が終了して1昇圧サイクルが終了した時はステップS3
9からステップS40に進み、その電圧値Vfを0.1
Vだけ昇圧する(負の電圧の場合は0.1Vだけ下げ
る)。そしてステップS41で、その電圧値の絶対値が
14[V]を越えたかどうかを調べ、越えていないとき
はステップS33に戻り、再度、行方向端子Dx1からパ
ルス信号を印加する。そしてステップS41で絶対値が
14[V]を越えるとステップS42に進み、初期電圧
値Vf0の極性を反転する。即ち、2回目のサイクルで
は、初期電圧値Vf0は−8[V]となる。そしてステッ
プS32で、電圧値Vfにこの初期電圧値Vf0をセット
して再度、ステップS33以降の前述した動作を実行す
る。
【0089】[実施の形態4]前述の実施の形態1にお
いては、図5(C)に示すように、表面伝導型電子放出
素子1002の垂直中心線に対して近い部分の蛍光体
面、また実施の形態2では、図10(A)に示すよう
に、表面伝導型電子放出素子1002の垂直中心線に対
して遠い部分の蛍光体面の脱ガスが、より効果的に行な
われていると考えられる。
【0090】これに対し本実施の形態4では、前述の実
施の形態1と実施の形態2との組み合わせたものであ
り、波高値Vf、アノード電圧Vaの両方を変化させるこ
とによって、より効果的に蛍光体面の脱ガスを行うもの
である。なお、この実施の形態4における装置の全体構
成は前述の実施の形態1と同じであるので、その説明を
省略する。
【0091】以下、図15のフローチャートと、図16
及び図17のタイムチャートを参照して本発明の実施の
形態4について説明する。
【0092】図17は、アノード電圧Vaの変化を示す
タイムチャートで、円内に、その電圧波形を拡大して示
している。
【0093】図16に示すように、表面伝導型電子放出
素子の行単位の駆動方法は、前述の実施の形態2と同様
に、1スクロール(200ミリ秒)ごとに波高値Vfを
0.1[V]ずつ昇圧する。またアノード電圧Vaは、
電子源の駆動と連動して印加され、最初は0.1[K
V]に設定されており、1昇圧サイクル毎(12秒)毎
に、0.1[KV]ずつ段階的に5[KV]まで昇圧さ
れる(10分)。そして、5[KV]に到達すると、今
度は0.1[KV]ずつ段階的に0.1[KV]まで減
圧する。図17に示すように、これを1サイクルとし、
このサイクルを2回繰り返して処理を終了する(40
分)。
【0094】なお、更に本実施の形態3のように、表面
伝導型電子放出素子に印加するパルスの極性を反転させ
ながら行ってもよい。
【0095】この時の処理を図15のフローチャートを
参照して説明する。
【0096】まずステップS51で、アノード電圧Va
の初期値を0.1[KV]に、その可変値Sを0.1
[KV]に設定する。ステップS52では、素子電圧V
fの初期値を8[V]に設定する。次にステップS53
に進み、行方向の端子位置を示す変数kを“1”に、ス
テップS54では時間変数tを“0”にセットする。そ
してステップS55に進み、行方向端子Dxkを選択し、
他の端子を全てグランドに接地する。そしてステップS
56で、パルス幅が100μ秒で、波高値がVfで規定
されたパルス信号を、ステップS55で選択された行方
向端子に入力する。そしてステップS57で、次の行方
向端子への印加タイミングになったかどうかを調べ、そ
うであればステップS58に進み、変数kを+1し、ス
テップS59で、全ての行方向端子へのパルス印加が終
了したかどうかをみる。
【0097】こうして全ての行方向端子へのパルス信号
の印加が終了するとステップS60に進み、素子電圧V
fを0.1[V]だけ昇圧し、ステップS61で、最大
電圧14[V]を越えたかどうかをみる。14[V]を
越えていないときはステップS53に戻り、再度行方向
端子Dx1から前述の処理をくり返し実行する。
【0098】ステップS61で、素子電圧Vfが14
[V]以上になるとステップS62に進み、アノード電
圧VaをS(0.1[KV])だけ昇圧する。そしてス
テップS63に進み、アノード電圧が最大電圧5[K
V]を越えたかどうかを調べ、そうでないときはステッ
プS65で、0[KV]になったかどうかをみる。これ
らの条件を満足しないときはステップS53に戻り、前
述した処理を繰返し実行する。
【0099】ステップS63でアノード電圧Vaが5
[KV]を越えたときはステップS64に進み、アノー
ド電圧Vaを5[KV]に、アノード電圧Vaの可変値S
の値を−0.1[KV]に設定する。そしてステップS
52に進む。これにより、これ以降はアノード電圧Va
の減圧サイクルに入る。また、ステップS65でアノー
ド電圧Vaが0VになるとステップS51に進み、それ
以降はアノード電圧Vaの昇圧サイクルに移行する。
【0100】尚、上述したように実施の形態3の処理と
実施の形態4の処理とを組合わせる場合には、図15の
ステップS52〜S61の処理を、図13のステップS
31〜S42の処理に置き換えることにより実現でき
る。
【0101】図18は、本実施の形態の表示パネル10
00に使用されるマルチ電子源の製造工程の概略を示す
図である。
【0102】まずステップS100で、後述するように
基板上に電極及び導電性薄膜を形成し、ステップS10
1で、その基板を含む気密容器を作成し、その気密容器
内の排気した後、その電極間に電圧を印加して電子放出
部を形成する。そしてステップS102で、その電子放
出部に対して通電して活性化を実施する。尚、この通電
活性化処理においては、その気密容器内には活性化のた
めのガスが注入されており、真空度がかなり低下した状
態にある。この通電活性化処理により、基本的なマルチ
電子源が製造できたことになるが、本実施の形態の特徴
である、上述した実施の形態1〜4で説明した脱ガス工
程をステップS103で行う。これは前述したように、
気密容器内を排気しながら、表面伝導型電子放出素子を
行又は列毎に駆動して電子を放出させ、蛍光体面に付着
或は吸着されているガスをより効率良く除去するもので
ある。
【0103】[表示パネル1000の構成と製造法]次
に、前記実施の形態の表示パネル1000に用いたマル
チ電子ビーム源の製造方法について説明する。本実施の
形態の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、表
面伝導型電子放出素子を単純マトリクス配線した電子源
であれば、表面伝導型電子放出素子の材料や形状あるい
は製法に制限はない。しかしながら、本願発明者らは、
表面伝導型電子放出素子の中では、電子放出部もしくは
その周辺部を微粒子膜から形成したものが電子放出特性
に優れ、しかも製造が容易に行えることを見いだしてい
る。従って、高輝度で大画面の画像表示装置の表示パネ
ルにマルチ電子ビーム源を用いるには、最も好適である
と言える。そこで、上記実施の形態の表示パネル100
0においては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成した表面伝導型電子放出素子を用いた。そこ
で、まず好適な表面伝導型電子放出素子について基本的
な構成と製法および特性を説明し、その後で多数の素子
を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造に
ついて述べる。
【0104】(表面伝導型電子放出素子の好適な素子構
成と製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜か
ら形成する表面伝導型電子放出素子の代表的な構成に
は、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0105】(平面型の表面伝導型電子放出素子)まず
最初に、平面型表面伝導型電子放出素子の素子構成と製
法について説明する。これは前述した図18のステップ
S100の工程に相当するものである。
【0106】図19に示すのは、平面型の表面伝導型電
子放出素子の構成を説明するための平面図(a)および
断面図(b)である。
【0107】図中、1101は基板、1102と110
3は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電
フォーミング処理により形成した電子放出部、1113
は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0108】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アル
ミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述
の各種基板上に、例えばSiO2を材料とする絶縁層を
積層した基板などを用いることができる。また、基板1
101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極
1102と1103は、導電性を有する材料によって形
成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,
Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、
或はこれらの金属の合金、或はIn2O3 −SnO2をは
じめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、な
どの中から適宜材料を選択して用いればよい。これら電
極1102,1103を形成するには、例えば真空蒸着
などの製膜技術とフォトリソグラフィ、エッチングなど
のパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成
できるが、それ以外の方法(例えば印刷技術)を用いて
形成してもさしつかえない。
【0109】素子電極1102と1103の形状は、こ
の表面伝導型電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設
計される。一般的には、電極間隔Lは通常は数百オング
ストロームから数百マイクロメータの範囲から適当な数
値を選んで設計されるが、なかでも表示装置に応用する
ために好ましいのは数マイクロメータより数十マイクロ
メータの範囲である。また、素子電極の厚さdについて
は、通常は数百オングストロームから数マイクロメータ
の範囲から適当な数値が選ばれる。
【0110】また、導電性薄膜1104の部分には微粒
子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素と
して多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)の
ことをさす。この微粒子膜を微視的に調べれば、通常
は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、或は微
粒子が互いに隣接した構造か、或は微粒子が互いに重な
り合った構造が観測される。この微粒子膜に用いた微粒
子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロ
ームの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ましい
のは10オングストロームから200オングストローム
の範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に
述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、
素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接
続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良
好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後
述する適宜の値にするために必要な条件などである。具
体的には、数オングストロームから数千オングストロー
ムの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいのは1
0オングストロームから500オングストロームの間で
ある。
【0111】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
O2,In2O3,PbO,Sb2O3などをはじめとする
酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB
4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,Zr
C,HfC,TaC,SiC,WCなどをはじめとする
炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどをはじめとする
窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体や、カ
ーボンなどがあげられ、これらの中から適宜選択され
る。
【0112】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0113】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図19の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0114】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。この亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述す
る通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。
この亀裂内には、数オングストロームから数百オングス
トロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、
実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示す
るのは困難なため、図19においては模式的に示した。
【0115】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0116】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もし
くはその混合物であり、膜厚は500[オングストロー
ム]以下とするが、300[オングストローム]以下と
するのがさらに好ましい。
【0117】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図19においては模式
的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜11
13の一部を除去した素子を図示した。
【0118】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施の形態においては以下のような素子を用いた。
【0119】即ち、基板1101には青板ガラスを用
い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。
【0120】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0121】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図20(a)〜
(d)は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明す
るための断面図で、各部材の表記は前記図19と同一で
ある。
【0122】(1)まず、図20(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102および1103を形
成する。この素子電極1102,1103を形成するに
あたっては、予め基板1101を洗剤、純水、有機溶剤
を用いて十分に洗浄した後、素子電極の材料を堆積させ
る。この材料を堆積する方法としては、例えば、蒸着法
やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。その
後、堆積した電極材料をフォトリソグラフィ・エッチン
グ技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の
素子電極(1102と1103)を形成する。
【0123】(2)次に、同図(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0124】この導電性薄膜を形成するにあたっては、
まず前記(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥
し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリ
ソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニ
ングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用
いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶
液である。具体的には、本実施の形態では主要元素とし
てPdを用いた。また、実施の形態では塗布方法とし
て、ディッピング法を用いたが、それ以外のたとえばス
ピンナー法やスプレー法を用いてもよい。
【0125】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0126】(3)次に、同図(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する(図18の通
電フォーミング処理(S101)に相当)。この通電フ
ォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1
104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形も
しくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変
化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性
薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部
分(即ち、電子放出部1105)においては、薄膜に適
当な亀裂が形成されている。尚、この電子放出部110
5が形成される前と比較すると、形成された後は、素子
電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は大
幅に増加する。
【0127】このフォーミング時の通電方法をより詳し
く説明するために、図21に、フォーミング用電源11
10から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。
【0128】微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミ
ングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施
の形態の場合には、同図に示したようにパルス幅T1の
三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。そ
の際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧し
た。また、電子放出部1105の形成状況をモニタする
ためのモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの
間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計
測した。
【0129】本実施の形態においては、例えば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、例え
ばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10
[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1
[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加す
るたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入した。
ここでフォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないよ
うに、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定し
た。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵
抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ち、モ
ニタパルス印加時に電流計1111で計測される電流が
1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フ
ォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0130】尚、上記の方法は、本実施の形態の表面伝
導型電子放出素子に関する好ましい方法であり、例えば
微粒子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝
導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに応
じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0131】(4)次に、図20(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う(図18のステップS102
の処理に相当)。この通電活性化処理とは、前記通電フ
ォーミング処理により形成された電子放出部1105に
適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積せしめる処理のことである。(図におい
ては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1
113として模式的に示した。)なお、通電活性化処理
を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧に
おける放出電流を典型的には100倍以上に増加させる
ことができる。
【0132】具体的には、10のマイナス2乗乃至10
のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電
圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中
に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化
合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファ
イト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下、より好ましくは300[オングスト
ローム]以下である。
【0133】この通電活性化における通電方法をより詳
しく説明するために、図22(a)に、活性化用電源1
112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実
施の形態においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加
して通電活性化処理を行ったが、具体的には、矩形波の
電圧Vacは14[V]、パルス幅T3は1[ミリ
秒]、パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。尚、上
述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型電子放出素
子に関する好ましい条件であり、表面伝導型電子放出素
子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜
変更するのが望ましい。
【0134】図20(d)に示す1114は該表面伝導
型電子放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および
電流計1116が接続されている。尚、基板1101を
表示パネル1000の中に組み込んでから活性化処理を
行う場合には、表示パネル1000の蛍光面をアノード
電極1114として用いる。そして活性化用電源111
2から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流I
eを計測して通電活性化処理の進行状況をモニタし、活
性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116
で計測された放出電流Ieの一例を図22(b)に示
す。
【0135】こうして活性化電源1112からパルス電
圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流I
eは増加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくな
る。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活
性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性
化処理を終了する。
【0136】なお、上述の通電条件は、本実施の形態の
表面伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、
表面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、そ
れに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0137】以上のようにして、図20(e)に示す平
面型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0138】(垂直型の表面伝導型電子放出素子)次
に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成し
た表面伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構
成、すなわち垂直型の表面伝導型電子放出素子の構成に
ついて説明する。
【0139】図23は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図である。
【0140】図において、1201は基板、1202と
1203は素子電極、1206は段差形成部材、120
4は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォ
ーミング処理により形成した電子放出部、1213は通
電活性化処理により形成した薄膜である。
【0141】この垂直型の表面伝導型電子放出素子が先
に説明した平面型の表面伝導型電子放出素子と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従
って、図19の平面型素子における素子電極間隔Lは、
垂直型においては、段差形成部材1206の段差高Ls
として設定される。尚、基板1201、素子電極120
2および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜120
4、については、前記平面型の説明中に列挙した材料を
同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1
206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性
の材料を用いる。
【0142】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図24(a)〜(f)は、製造
工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図
23と同一である。
【0143】(1)まず、図24(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0144】(2)次に、同図(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、
例えば、真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用い
てもよい。
【0145】(3)次に、同図(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0146】(4)次に、同図(d)に示すように、絶
縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0147】(5)次に、同図(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0148】(6)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する
(図20(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミ
ング処理と同様の処理を行えばよい)。
【0149】(7)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる(図20(d)を用いて説明し
た平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよ
い)。
【0150】以上のようにして、図24(f)に示す垂
直型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0151】(表示装置に用いた表面伝導型電子放出素
子の特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型電子放出
素子について、その素子構成と製法を説明したが、次に
表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0152】図25は、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、及び(素子電
流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示
す。尚、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さ
く、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの
特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更す
ることにより変化するものであるため、2本のグラフは
各々任意の単位で図示した。
【0153】この表示装置に用いた表面伝導型電子放出
素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性
を有している。
【0154】第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放
出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0155】第2に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ie
の大きさを制御できる。
【0156】第3に、表面伝導型電子放出素子に印加す
る電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速
度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって
素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0157】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を表示装置に好適に用いることができ
た。例えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設
けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示
画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即
ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧
Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾
値電圧Vth未満の電圧を印加する。そして駆動する素子
を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査
して表示を行うことが可能である。
【0158】また、第2の特性か、又は第3の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0159】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型電子放
出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造について述べる。
【0160】図26に示すのは、前述の図1の表示パネ
ル1000に用いたマルチ電子ビーム源の平面図であ
る。ここで、基板1001上には、前記図19で示した
ものと同様な表面伝導型電子放出素子が配列され、これ
らの素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極1
004とにより、単純マトリクス状に配線されている。
行方向配線電極1003と列方向配線電極1004の交
差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成され
ており、電気的な絶縁が保たれている。
【0161】図26のA−A’に沿った断面図を図27
に示す。
【0162】尚、このような構造のマルチ電子源は、予
め基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1
004、電極間絶縁層(不図示)および表面伝導型電子
放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向
配線電極1003および列方向配線電極1004を介し
て各素子に給電して、前述したように、通電フォーミン
グ処理と通電活性化処理を行うことにより製造した。
【0163】図28は、本実施の形態の表面伝導型電子
放出素子を電子ビーム源として用いた表示パネル100
0に、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画
像情報源より提供される画像情報を表示できるように構
成した多機能表示装置の一例を示すブロック図である。
【0164】図中、1000は本実施の形態の表示(デ
ィスプレイ)パネル、2101は表示パネル1000の
駆動回路、2102はディスプレイコントローラ、21
03はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105
は入出力インターフェース回路、2106はCPU、2
107は画像生成回路、2108および2109および
2110は画像メモリインターフェース回路、2111
は画像入力インターフェース回路、2112および21
13はTV信号受信回路、2114は入力部である。
尚、本実施の形態の表示装置は、例えばテレビジョン信
号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信
する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生する
ものであるが、本実施の形態の表示パネル1000の特
徴と直接関係しない音声情報の受信、分離、再生、処
理、記憶などに関する回路やスピーカなどについては説
明を省略する。以下、画像信号の流れに沿って各部の機
能を説明する。
【0165】まず、TV信号受信回路2113は、例え
ば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝
送されるTV画像信号を受信するための回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例
えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式など
の諸方式でもよい。また、これらより更に多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記表示パネル1000の利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路2113で受信されたT
V信号は、デコーダ2104に出力される。TV信号受
信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバな
どのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号
を受信するための回路である。またTV信号受信回路2
113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られ
るものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデ
コーダ2104に出力される。
【0166】画像入力インターフェース回路2111
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力
される。画像メモリインターフェース回路2110は、
ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶され
ている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリ
インターフェース回路2109は、ビデオディスクに記
憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込
まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像
メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止
画ディスクのように、静止画像データを記憶している装
置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
静止画像データはデコーダ2104に出力される。入出
力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外
部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークも
しくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路
である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を
行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の
備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値デ
ータの入出力などを行うことも可能である。
【0167】また、画像生成回路2107は、前記入出
力インターフェース回路2105を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、或はCPU21
06より出力される画像データや文字・図形情報に基づ
き表示用画像データを生成するための回路である。本回
路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄
積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応
する画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリ
や、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとし
て画像の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路
により生成された表示用画像データは、デコーダ210
4に出力されるが、場合によっては前記入出力インター
フェース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークやプリンタ入出力することも可能である。
【0168】CPU2106は、主として本表示装置の
動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業
を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を
出力し、表示パネル1000に表示する画像信号を適宜
選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示
する画像信号に応じてディスプレイパネル・コントロー
ラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数
や走査方法(例えばインターレースか、ノンインターレ
ースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適
宜制御する。そして画像生成回路2107に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは前
記入出力インターフェース回路2105を介して外部の
コンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字
・図形情報を入力する。なお、CPU2106は、むろ
んこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良
い。例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッ
サなどのように、情報を生成したり処理する機能に直接
関わっても良い。あるいは、前述したように入出力イン
ターフェース回路2105を介して外部のコンピュータ
ネットワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外
部機器と協動して行っても良い。
【0169】入力部2114は、前記CPU2106に
使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスのほ
か、ジョイスティック、バーコードリーダ、音声認識装
置など多様な入力機器を用いる事が可能である。また、
デコーダ2104は、前記2107ないし2113より
入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信
号とI信号、Q信号に逆変換するための回路である。な
お、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内
部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えば
MUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像
メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためであ
る。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表
示が容易になる、あるいは前記画像生成回路2107お
よびCPU2106と協同して画像の間引き、補間、拡
大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に
行えるようになるという利点が生まれるからである。
【0170】マルチプレクサ2103は、CPU210
6より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択
するものである。即ち、マルチプレクサ2103はデコ
ーダ2104から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出
力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を
切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビ
のように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異
なる画像を表示することも可能である。ディスプレイパ
ネル・コントローラ2102は、CPU2106より入
力される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制
御するための回路である。
【0171】まず、表示パネル1000の基本的な動作
にかかわるものとして、例えば表示パネル1000の駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。また、表
示パネル1000の駆動方法に関わるものとして、例え
ば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースか
ノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回
路2101に対して出力する。また場合によっては表示
画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといっ
た画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対
して出力する場合もある。駆動回路2101は、表示パ
ネル1000に印加する駆動信号を発生するための回路
であり、マルチプレクサ2103から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネル・コントローラ2102
より入力される制御信号に基づいて動作するものであ
る。
【0172】以上、各部の機能を説明したが、図28に
例示した構成により、本実施の形態の表示装置において
は、多様な画像情報源より入力される画像情報を表示パ
ネル1000に表示することが可能である。即ち、テレ
ビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ
2104において逆変換された後、マルチプレクサ21
03において適宜選択され、駆動回路2101に入力さ
れる。一方、ディスプレイコントローラ2102は、表
示する画像信号に応じて駆動回路2101の動作を制御
するための制御信号を発生する。駆動回路2101は、
上記画像信号と制御信号に基づいて表示パネル1000
に駆動信号を印加する。これにより、表示パネル100
0において画像が表示される。これらの一連の動作は、
CPU2106により統括的に制御される。
【0173】また、本実施の形態の表示装置において
は、前記デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画
像生成回路2107およびCPU2106が関与するこ
とにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを
表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例え
ば拡大、縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補
間、色変換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像
処理や、合成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどを
はじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本
実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処
理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集
を行うための専用回路を設けても良い。
【0174】従って、本実施の形態の表示装置は、テレ
ビジョン放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止
画像および動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの
端末機器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末
機器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可能
で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広
い。尚、この図28は、表面伝導型電子放出素子を電子
ビーム源とする表示パネル1000を用いた表示装置の
構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるも
のではない。例えば、図28の構成要素のうち使用目的
上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えな
い。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成
要素を追加しても良い。例えば、この表示装置をテレビ
電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音声マ
イク、照明機、モデムを含む送受信回路などを構成要素
に追加するのが好適である。
【0175】この表示装置においては、とりわけ表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とする表示パネル10
00が容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行き
を小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とする表示パネル10
00は大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れ
るため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を
視認性良く表示することが可能である。
【0176】また、本発明は、ホストコンピュータ、イ
ンタフェース、プリンタ等の複数の機器から構成される
システムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用
しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログ
ラムを供給することによって実施される場合にも適用で
きる。この場合、本発明に係るプログラムを格納した記
憶媒体が本発明を構成することになる。そして、該記憶
媒体からそのプログラムをシステム或は装置に読み出す
ことによって、そのシステム或は装置が、予め定められ
た仕方で動作する。
【0177】この場合、記憶媒体から読出されたプログ
ラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現するこ
とになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は
本発明を構成することになる。
【0178】プログラムコードを供給するための記憶媒
体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディス
ク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD
−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMな
どを用いることができる。
【0179】また、コンピュータが読出したプログラム
コードを実行することにより、前述した実施形態の機能
が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示
に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレ
ーティングシステム)などが実際の処理の一部または全
部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が
実現される場合も含まれる。
【0180】さらに、記憶媒体から読出されたプログラ
ムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボード
やコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる
メモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に
基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わ
るCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、そ
の処理によって前述した実施形態の機能が実現される場
合も含まれる。
【0181】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、複数のマトリクス配線された表面伝導型放出素子を
用い、気密容器を封止する前に、電子の照射により蛍光
体の脱ガスを行うことにより、その気密容器の封止後、
画像表示のために駆動する際、蛍光体面からの脱ガスを
最小限に抑えることができる。そのため安定した電子ビ
ームが得られ、また耐久性にも優れた画像形成装置を製
造することができるという効果がある。
【0182】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、気
密容器内の排気中に、電子源から電子を放出させて蛍光
体面を照射することにより、蛍光体面に吸着或は付着し
たガスを効率良く脱離できる。
【0183】また本発明によれば、蛍光体面のガスをよ
り効率的に除去できるという効果がある。
【0184】また本発明によれば、蛍光体面に電子が照
射される面積を広くして、より効率良くガスを除去でき
る。
【0185】また本発明によれば、電子源と蛍光体面と
の間に印加される電圧を変更することにより電子が照射
される位置を変更させて、より効率良くガスを除去でき
るという効果がある。
【0186】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の表示パネル構成を一部切り欠い
て示す外観斜視図である。
【図2】本実施の形態の表示パネルのフェースプレート
の蛍光体配列を例示した平面図である。
【図3】本実施の形態における脱ガス時の電子放出素子
の駆動を説明する図である。
【図4】本実施の形態1における脱ガス時の概略構成を
示したブロック図である。
【図5】実施の形態1において、アノード電圧に対応し
て放出電子のフェースプレートへの到達点を表した模式
図である。
【図6】実施の形態1における電子源と高圧電源の駆動
を説明するタイミングチャートである。
【図7】実施の形態1における電子源の駆動制御を示す
フローチャートである。
【図8】実施の形態1における高圧電源の制御を示すフ
ローチャートである。
【図9】本実施の形態12おける脱ガス時の概略構成を
示したブロック図である。
【図10】実施の形態2において、素子電圧Vfに対応
して放出電子のフェースプレートへの到達点を表した模
式図である。
【図11】実施の形態2における電子源に印加するパル
スを制御するための処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2における電子源に印加するパル
スとアノード電圧を示すタイミングチャートである。
【図13】実施の形態3における電子源に印加するパル
スを制御するための処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3における電子源に印加するパル
スとアノード電圧を示すタイミングチャートである。
【図15】実施の形態4における電子源に印加するパル
スとアノード電圧を制御するための処理を示すフローチ
ャートである。
【図16】実施の形態4における電子源に印加するパル
スとアノード電圧を示すタイミングチャートである。
【図17】実施の形態4におけるアノード電圧を示すタ
イミングチャートである。
【図18】本実施の形態におけるマルチ電子源の製造工
程を示すフローチャートである。
【図19】本実施の形態で用いた平面型の表面伝導型電
子放出素子の平面図(a)、断面図(b)である。
【図20】平面型の表面伝導型電子放出素子製造工程を
示す断面図である。
【図21】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形例
を示す図である。
【図22】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)、
放出電流Ieの変化(b)例を示す図である。
【図23】本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型電
子放出素子の断面図である。
【図24】垂直型の表面伝導型電子放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図25】本実施の形態で用いた表面伝導型電子放出素
子の典型的な特性を示すグラフ図である。
【図26】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の平面図である。
【図27】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の一部断面図である。
【図28】本発明の実施の形態である多機能画像表示装
置の構成を示すブロック図である。
【図29】従来の表面伝導型電子放出素子の構成を示す
図である。
【図30】従来のマルチ電子源のマトリクス配線を説明
する図である。
【符号の説明】
7 パルス発生電源及び制御スイッチング回路 11 制御部(パソコン) 12 排気管 1000 表示パネル 1001 絶縁性基板 1002 表面伝導型放出素子 1005 リアプレート 1006 側壁 1007 フェースプレート 1008 蛍光膜 1010 黒色導電体 1102,1103,1202,1203 素子電極 1105、1205 電子放出部 1110 フォーミング用電源 1111,1116 電流計 1112 活性化用電源 1114 アノード電極 1115 直流高電圧電源

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極間に電子放出部を形成した表面伝導
    型放出素子を複数素子備えたマルチ電子源を有する画像
    形成パネルの製造方法であって、 前記マルチ電子源の各表面伝導型電子放出素子を基板上
    に形成する工程と、 気密容器内を排気した後、前記気密容器内で前記表面伝
    導型電子放出素子に対して通電フォーミングを行う工程
    と、 前記気密容器内で通電活性化を行う工程と、 前記通電活性化の後、前記気密容器より更に排気する際
    に、前記表面伝導型電子放出素子から電子を放出させる
    電子放出工程と、を有することを特徴とする画像形成パ
    ネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法において、前
    記画像形成パネルは蛍光体を有し、前記電子放出工程で
    は前記蛍光体に電子を照射する。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記マルチ電子源の行或は列方向配
    線の少なくとも1つにパルス電圧を印加し、前記基板と
    前記蛍光体との間に直流電圧を印加する。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記直流電圧を所定の周期で昇圧或
    は減圧させる。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更する。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記パルス電圧の極性を所定の周期
    で変更する。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、当該電圧値の極性を所定周期で変更
    する。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、前記直流電圧を所定周期で変更す
    る。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の製造方法において、前
    記電子放出工程では前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、当該電圧値の極性を所定周期で変更
    し、更に前記直流電圧を所定周期で変更する。
  10. 【請求項10】 電極間に電子放出部を形成した表面伝
    導型放出素子を複数素子備えたマルチ電子源を有する画
    像形成パネルの脱ガス装置であって、 前記マルチ電子源の行或は列方向の表面伝導型電子放出
    素子に素子電圧を印加する通電手段と、 前記マルチ電子源を配置した基板と前記画像形成パネル
    の蛍光体との間に加速電圧を印加する加速電圧印加手段
    と、 前記マルチ電子源の通電活性化の後、前記画像形成パネ
    ルより更に排気する排気手段と、 前記排気手段による排気時、前記通電手段と前記加速電
    圧印加手段とを駆動して前記マルチ電子源から前記蛍光
    体に電子を照射させる制御手段と、を有することを特徴
    とする脱ガス装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記マルチ電子源の行或は列方向配
    線の少なくとも1つにパルス電圧を印加する。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧を所定の周期で昇圧
    或は減圧させる。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更する。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧の極性を所定の周期
    で変更する。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、当該パルス電圧の極性を所定周期で
    変更する。
  16. 【請求項16】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、前記加速電圧を所定周期で変更す
    る。
  17. 【請求項17】 請求項11に記載の脱ガス装置におい
    て、前記制御手段は前記パルス電圧の電圧値を所定幅で
    変更するとともに、当該パルス電圧の極性を所定周期で
    変更し、更に前記加速電圧を所定周期で変更する。
  18. 【請求項18】 請求項1乃至9のいずれか1項に記載
    の製造方法により製造された画像形成パネルと、 画像信号を入力する入力手段と、 前記画像信号に基づいて前記画像形成パネルを駆動する
    ための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、 前記駆動信号発生手段により発生された駆動信号に基づ
    いて前記画像形成パネルを駆動して画像を形成する駆動
    手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
JP2099196A 1996-02-07 1996-02-07 画像形成パネルの製造方法及びその脱ガス装置及び前記画像形成パネルを用いた画像形成装置 Withdrawn JPH09213224A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000044022A1 (fr) * 1999-01-19 2000-07-27 Canon Kabushiki Kaisha Canon d'électrons et imageur et procédé de fabrication, procédé et dispositif de fabrication de source d'électrons, et appareil de fabrication d'imageur
US6149480A (en) * 1998-02-24 2000-11-21 Canon Kabushiki Kaisha Image forming device fabrication method and fabrication apparatus

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