JP3450563B2 - 電子源の製造方法及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子源の製造方法及び画像形成装置の製造方法

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JP3450563B2
JP3450563B2 JP00483396A JP483396A JP3450563B2 JP 3450563 B2 JP3450563 B2 JP 3450563B2 JP 00483396 A JP00483396 A JP 00483396A JP 483396 A JP483396 A JP 483396A JP 3450563 B2 JP3450563 B2 JP 3450563B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各基体上に複数の
表面伝導型放出素子が配列された複数の基体を有する電
子源の製造方法及び画像形成装置の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、例えば表面伝導型放出素子や、電界放出型
素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放
出素子(以下MIM型と記す)などが知られている。
【0003】またFE型の例としては、例えば、W. P.
Dyke & W. W. Dolan,“Field emission”, Advance in
Electron Physics, 8, 89 (1956)や、或は、C. A. Spi
ndt,“Physical properties of thin-film field emis
sion cathodes with molybdenium cones”, J. Appl. P
hys., 47, 5248 (1976)などが知られている。
【0004】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead,“Operation of tunnel-emission Devices,
J. Appl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。
【0005】表面伝導型放出素子としては、例えば、M.
I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10, 1290,
(1965)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン(Elinson)等
によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によ
るもの[G. Dittmer:“Thin Solid Films”, 9,317 (1
972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M. Hart
well and C. G. Fonstad:”IEEE Trans. ED Conf.”,
519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]等が
報告されている。
【0007】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図34に前述のM. Hartwellらによ
る素子の平面図を示す。同図において、3001は基板
で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりな
る導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示のよう
にH字形の平面形状に形成されている。この導電性薄膜
3004に、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処
理を施すことにより、電子放出部3005が形成され
る。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],幅Wは、
0.1[mm]に設定されている。尚、図示の便宜か
ら、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に
矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実
際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけ
ではない。
【0008】M. Hartwellらによる素子をはじめとして
上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う
前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成す
るのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、
前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もし
くは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとしたレー
トで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄膜3
004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形成
することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もしく
は変質した導電性薄膜3004の一部には亀裂が発生す
る。この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に適
宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近において電
子放出が行われる。
【0009】例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素
子の中でも特に構造が単純で製造も容易であることか
ら、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点がある。
そこで例えば本願出願人による特開昭64−31332
号公報において開示されるように、多数の素子を配列し
て駆動するための方法が研究されている。
【0010】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形
成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0011】特に画像表示装置への応用としては、例え
ば本願出願人によるUSP5,066,883や特開平
2−257551号公報や特開平4−28137号公報
において開示されているように、表面伝導型放出素子と
電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせ
て用いた画像表示装置が研究されている。このような表
面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像
表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れ
た特性が期待されている。例えば、近年普及してきた液
晶表示装置と比較しても、自発光型であるためバックラ
イトを必要としない点や、視野角が広い点が優れている
と言える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、上記
従来技術に記載したものを初めとして、種々の材料、製
法、構造の冷陰極素子を試みてきた。更に、多数の冷陰
極素子を配列したマルチ電子ビーム源、並びにこのマル
チ電子ビーム源を応用した画像表示装置について研究を
行ってきた。
【0013】本願発明者らは、例えば図35に示す電気
的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。
即ち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの
素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子
ビーム源である。
【0014】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線を示している。行方向配線4002及び列方向配線4
003は、実際には有限の電気抵抗を有するものである
が、図においては配線抵抗4004及び4005として
示されている。上述のような配線方法を、単純マトリク
ス配線と呼ぶ。尚、図示の便宜上、6x6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビ
ーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0015】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4002及び列方向配線
4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マトリ
クスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動する
には、選択する行の行方向配線4002には選択電圧V
sを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002に
は非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方向配
線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧Ve
を印加する。この方法によれば、配線抵抗4004及び
4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の表
面伝導型放出素子には、(Ve−Vs)の電圧が印加さ
れ、また非選択行の表面伝導型放出素子には(Ve−Vn
s)の電圧が印加される。ここで、これらVe,Vs,Vn
sの電圧値を適宜の大きさの電圧にすれば、選択する行
の表面伝導型放出素子だけから所望の強度の電子ビーム
が出力されるはずであり、また列方向配線4003の各
々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素
子の各々から異なる強度の電子ビームが出力されるはず
である。また、表面伝導型放出素子の応答速度は高速で
あるため、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれ
ば、電子ビームが出力される時間の長さも変えることが
できるはずである。
【0016】従って、表面伝導型放出素子を単純マトリ
クス配線したマルチ電子ビーム源には種々の応用できる
可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を適宜
印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に用い
ることができる。
【0017】一方、情報化社会の急速な進展に伴い、民
生用、産業用を問わず、画像表示装置として、大きな表
示画面や高解像度などが求められており、前記表面伝導
型放出素子を応用した画像表示装置も例外ではなく、大
画面、高解像力の実現が期待されている。
【0018】しかしながら、以下に述べるような理由に
より、大画面と高解像度とを両立させることは非常に困
難である。
【0019】例えば、対角長が数十インチの表示画面を
得るためには、これと同等な大面積の基板上に、表示画
素の配列ピッチと略同等なピッチで多数の表面伝導型放
出素子を形成して、これら表面伝導型放出素子をマトリ
クス状に配線、接続したマルチ電子ビーム源を用いなけ
ればならない。しかし、このようなマルチ電子ビーム源
を1枚の基板で製造することは、各電子放出素子の位置
精度や製造の歩留まり、更には、その製造にかかるコス
トなどの点で困難な問題を抱えている。
【0020】例えば、表面伝導型放出素子を製造工程中
の成膜技術に関しては、IC製造などの分野で知られた
真空成膜技術を用いるのが一般的だが、大面積の基板に
対応した成膜装置は大型となるため設備投資に多くの費
用がかかる。その上、大面積に亙って均質な膜を成膜す
るのは技術的に困難である。
【0021】また、製造工程中のパターニング技術に関
しては、IC製造などの分野で知られたフォトリソグラ
フィ・エッチング技術を用いるのが一般的だが、ここで
用いる露光装置もまた大型となるため、やはり、設備投
資に費用がかかる上に、大面積を一括露光する方式を採
用した場合では、光学的限界(収差など)により画面の
周辺部でパターニング解像力が低下する点や、大画面の
露光マスクが極めて高価になる点なども問題となる。ま
た、大画面を分割して順次露光していく方式を採用した
場合には、全面を処理するのにかなりの時間を要するた
め、露光装置の台数を多くする必要が生じ、製造コスト
の増大を招く点が問題となる。
【0022】このような問題点に対して、例えば予め複
数の表面伝導型放出素子を形成した小面積の基板を複数
枚組み合わせて大面積のマルチ電子ビーム源を構成する
方法が考えられる。このような方法によれば、成膜やパ
ターニングを小面積で行えるため、製造装置の大型化や
精度低下のような問題点を回避できるうえに、不良の発
生した基板を予め排除して良品の基板のみを組み合わせ
ることにより大画面に対応できる基板を作成できるた
め、大面積の1枚基板を用いた場合と比較して、不良発
生時の資源の無駄が少なくて済むという利点を有する。
しかしながら、このような方法により製造されたマルチ
電子ビーム源には、以下のような大きな問題がある。即
ち、小面積の基板を複数枚組み合わせて大面積のマルチ
電子ビーム源を構成する際に、各々の基板間で表面伝導
型放出素子の電子放出特性が異なるため、マルチ電子ビ
ーム源における各表面伝導型放出素子からの電子放出量
が一様にならなくなる。これは各基板ごとに、表面伝導
型放出素子の電子放出特性が異なるためである。この原
因としては、各基板は別々に製造され、例えば成膜プロ
セスでのガスの雰囲気などが微妙に異なった条件の下に
製造されているため、このような基板作製プロセスの諸
条件のばらつきが累積されることにより、各基板の表面
伝導型放出素子の電子放出特性が異なってくるものと考
えられる。特に、このように複数枚の基板により形成さ
れたマルチ電子ビーム源を画像形成装置に応用した際に
は、各基板よりの電子放出量が一様でないため、表示画
像の輝度も一様でなくなり表示画像の画質を著しく低下
させていた。
【0023】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、複数の基体のそれぞれの電子放出特性を揃えて良好
な画像を形成できる電子源の製造方法及び画像形成装置
の製造方法を提供することを目的とする。
【0024】本発明の目的は、マルチ電子源を複数の基
体で作成することにより、製造の歩留まりを向上させ、
製造コストを低く抑えることができる電子源の製造方法
及び画像形成装置の製造方法を提供することにある。
【0025】又本発明の他の目的は、表面伝導型の電子
放出素子の有するメモリ機能を用いて、複数の基体の電
子放出特性を揃えた電子源の製造方法及び画像形成装置
の製造方法を提供することにある。
【0026】
【0027】
【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため
に本発明の電子源の製造方法は以下のような工程を備え
る。即ち、各基体上に複数の表面伝導型放出素子が配列
された複数の基体を有する電子源の製造方法であって、
前記複数の基体のそれぞれの表面伝導型放出素子の電子
放出特性を測定する工程と、前記複数の基体の内、所定
電圧に対する表面伝導型放出素子よりの電子放出量が他
の基体よりも多い対象基体の表面伝導型放出素子に前記
所定電圧以上の規定電圧を印加して、当該表面伝導型放
出素子の所定電圧に対する電子放出特性を減少させる特
性シフト工程と、前記特性シフト工程により前記複数の
基体のそれぞれの電子放出特性を略同一にする工程とを
有することを特徴とする
【0028】
【0029】上記目的を達成するために本発明の画像形
成装置の製造方法は以下のような工程を備える。即ち、
各基体上に複数の表面伝導型放出素子が配列された複数
の基体を有する電子源と、画像信号を入力する入力手段
と、前記入力手段により入力された画像信号に応じて、
前記複数の基体上の表面伝導型放出素子を選択して電子
源を駆動する駆動手段と、前記駆動手段により駆動され
た電子源から放出される電子により画像を形成する画像
形成手段とを有する画像形成装置の製造方法であって、
前記電子源は、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法
にて製造されることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に上記の課題を解決するため
の手段を詳しく説明する。本発明の実施の形態では、表
面伝導型放出素子の有する電子放出特性を記憶する機能
(以下、電子放出特性のメモリ機能と記す)を利用し、
各表面伝導型放出素子ごとに所定の電子放出特性を記憶
させることにより、各基板における表面伝導型放出素子
の電子放出特性を揃えるようにしたものである。
【0031】表面伝導型放出素子に電子放出特性のメモ
リ機能を付与する方法と、各素子毎に所定の電子放出特
性を設定して記憶させる方法について以下に説明する。
【0032】まず、メモリ機能を用いて電子放出特性を
記憶させる場合には、電子放出効率を高くすることが望
ましいが、そのためには表面伝導型放出素子に対して予
め通電活性化処理と呼ぶ処理を施しておき、その電子放
出特性を改善しておくのが望ましい。その後、表面伝導
型放出素子に電子放出特性のメモリ機能を付与するため
には、表面伝導型放出素子の周辺環境を一定の条件に整
えることが必要である。
【0033】まず通電活性化処理による電子放出特性の
改善について説明する。
【0034】既に述べたように、表面伝導型放出素子の
電子放出部は形成する際には、導電性薄膜に電流を流し
て該薄膜を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質させ
て亀裂を形成する処理(通電フォーミング処理)を行
う。この後、更に通電活性化処理を行うのが望ましい。
即ち、この通電活性化処理とは、通電フォーミング処理
により形成された電子放出部に適宜の条件で通電を行っ
て、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積せしめる
処理のことである。例えば、適宜の分圧の有機物が存在
し、全圧が10のマイナス4乗ないし10のマイナス5
乗[torr]の真空雰囲気中において、電圧パルスを定期
的に印加することにより、電子放出部の近傍に単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのい
ずれか、もしくはその混合物を500[オングストロー
ム]以下の膜厚で堆積させる。上記の真空雰囲気は、例
えば油拡散ポンプやロータリポンプを用いて真空容器を
排気することにより達成できる。場合によっては、オイ
ルを用いない真空ポンプで排気すると共に、有機ガスを
導入することによっても達成可能である。ここで用いら
れうる有機ガスとしては、例えば芳香族炭化水素類をは
じめとする多種のものがあるが、表面伝導型放出素子の
材質や形状に合わせて種類と分圧を適宜選択すればよ
い。また、印加する電圧パルスの波形も表面伝導型放出
素子の材質や形状に合わせて適宜選択すればよい。
【0035】この様な通電活性化処理を行うことによ
り、通電フォーミング処理の直後と比較して、同じ印加
電圧における放出電流を典型的には約100倍以上増加
させることが可能である。
【0036】次に、電子放出特性のメモリ機能を実現す
るために必要な周辺環境について説明する。
【0037】メモリ機能を良好に実現するためには、表
面伝導型放出素子に通電しても電子放出部やその近傍に
炭素もしくは炭素化合物が新たに堆積しないように、表
面伝導型放出素子の周辺の真空雰囲気中の有機ガスの分
圧を10マイナス8乗[torr]以下に低減して維持して
おくのが好ましく、更に可能ならば、10のマイナス1
0乗[torr]以下にしておくのが望ましい(尚、有機ガ
スの分圧とは、炭素と水素を主成分とし、質量数が10
〜200の範囲の有機分子の分圧を積算したものをい
い、質量分析器を用いて定量的に測定する)。
【0038】この表面伝導型放出素子の周辺環境の有機
ガス分圧を低減する代表的な方法としては、表面伝導型
放出素子を形成した基板を内蔵する真空容器を加熱し
て、容器内の各部材表面に吸着した有機ガス分子を脱着
させながら、ソープションポンプやイオンポンプ等、オ
イルを使用しない真空ポンプを用いて真空排気を行う方
法が挙げられる。
【0039】このようにして有機ガスの分圧を低減した
後、その状態を維持するには、オイルを使用しない真空
ポンプを用いて、その後も排気を継続することにより可
能である。しかし、真空ポンプを備えて常時排気する方
法は、応用目的によっては、容積、消費電力、重量、価
格などの点で不利な場合がある。そこで、例えば表面伝
導型放出素子を画像表示装置に応用する場合には、有機
ガス分子を十分に脱着して有機ガスの分圧を低下させた
後で、真空容器内にゲッター膜を形成するとともに排気
管を封止して状態を維持する。
【0040】次に、上記の環境下において表面伝導型放
出素子が示す電子放出特性のメモリ機能について説明す
る。
【0041】本願発明者らは、予め通電フォーミング処
理並びに通電活性化処理を施した表面伝導型放出素子
を、有機ガスの分圧を低減した環境下で駆動し、電気的
な特性を測定した。
【0042】図1は、表面伝導型放出素子に印加した駆
動信号の電圧波形を示すグラフ図で、横軸に時間を、縦
軸には表面伝導型放出素子に印加した電圧(以下、素子
電圧Vfと記す)を示している。
【0043】ここで駆動信号は、同図(a)に示すよう
に連続した矩形電圧パルスを用い、電圧パルスの印加期
間を第1期間〜第3期間の3つに分け、各期間内におい
ては同一のパルスを100パルスずつ印加した。図1
(a)の電圧パルスの波形を、同図(b)に拡大して示
す。
【0044】具体的な測定条件としては、どの期間も駆
動信号のパルス幅をT5=66.8[μsec]、パル
ス周期をT6=16.7[ミリsec]とした。これ
は、表面伝導型放出素子を一般のテレビジョン受像機に
応用する場合の標準的な駆動条件を参考にして定めた
が、これ以外の条件においてもメモリ機能を測定するこ
とは可能である。尚、表面伝導型放出素子に実効的に印
加される電圧パルスの立ち上がり時間Tr及び立ち下が
り時間Tfが100[ns]以下となるように、駆動信
号源から表面伝導型放出素子までの配線路のインピーダ
ンスを十分に低減して測定した。
【0045】ここで素子電圧Vfは、第1期間と第3期
間ではVf=Vf1とし、第2期間ではVf=Vf2とした。
これら素子電圧Vf1及びVf2は共に、表面伝導型放出素
子の電子放出閾値電圧よりも大きい電圧であって、か
つ、Vf1<Vf2の条件を満足するように設定した。但
し、表面伝導型放出素子の形状や材料により電子放出閾
値電圧も異なるので、測定対象となる表面伝導型放出素
子に合わせて適宜設定した。また、測定時の表面伝導型
放出素子周辺の雰囲気については、全圧が1x10のマ
イナス6乗[torr]で、有機ガスの分圧は1x10のマ
イナス9乗[torr]とした。
【0046】図2(a),と(b)は、図1で示した駆
動信号を印加した際の表面伝導型放出素子の電気的特性
を示すグラフ図で、図2(a)の横軸は素子電圧Vf
を、縦軸は表面伝導型放出素子から放出される電流(以
下、放出電流Ieと記す)の測定値を、図2(b)の横
軸は素子電圧Vfを、縦軸は表面伝導型放出素子に流れ
る電流(以下、素子電流Ifと記す)の測定値を表して
いる。
【0047】まず、図2(a)に示した(素子電圧V
f)対(放出電流Ie)特性について説明する。
【0048】図1に示す第1期間においては、駆動パル
スに応答して表面伝導型放出素子からは、特性カーブI
ec(1)に従って放出電流が出力される。即ち、駆動パル
スの立ち上がり期間Trの間は、印加電圧VfがVth1を
超えると特性カーブIec(1)に沿って放出電流Ieは急激
に増加する。そして、Vf=Vf1の期間、即ち、パルス
幅T5の期間には、放出電流IeはIe1の大きさを保
つ。そして、駆動パルスの立ち下がり期間Tfの間で
は、放出電流Ieは特性カーブIes(1)に沿って急激に減
少する。
【0049】次に、第2期間において、Vf=Vf2のパ
ルスが印加されはじめると、特性カーブはIec(1)から
Iec(2)に変化する。即ち、駆動パルスの立ち上がり期
間Trの間は、印加電圧VfがVth2を越えると特性カー
ブIec(2)に沿って放出電流Ieは急激に増加する。そし
て、Vf=Vf2の期間、即ち、T5の期間には、放出電
流IeはIe2の大きさを保つ。そして、駆動パルスの立
ち下がり期間Tfの間では、放出電流Ieは特性カーブI
ec(2)に沿って急激に減少する。
【0050】次に、第3期間において、再び、Vf=Vf
1のパルスが印加されるが、この時には放出電流Ieは、
特性カーブIec(2)に沿って変化する。即ち、駆動パル
スの立ち上がり期間Trの間は、印加電圧VfがVth2を
越えると特性カーブIec(2)に沿って放出電流Ieは急激
に増加する。そして、Vf=Vf1の期間、即ち、T5の
期間には、放出電流IeはIe3の大きさを保つ。そし
て、駆動パルスの立ち下がり期間Tfの間では、放出電
流Ieの特性カーブIec(2)に沿って急激に減少する。
【0051】このように、第3期間においては第2期間
における特性カーブIec(2)がメモリされているため、
放出電流Ieは、Ie1からIe3にまで減少し、第1期間
よりも小さなものとなる。
【0052】同様に、(素子電圧Vf)対(素子電流I
f)特性に関しても同図(b)に示すように、第1期間
においては特性カーブIfc(1)に沿って動作するが、第
2期間においては、特性カーブIfc(2)に沿うようにな
り、それに続く第3期間においては第2期間メモりされ
た特性カーブIfc(2)に沿って動作する。
【0053】ここでは説明の便宜上、第1〜第3期間の
3つの期間だけを例示したが、むろんこの設定条件だけ
に限られたものではない。即ち、メモリ機能が付与され
た表面伝導型放出素子にパルス電圧を印加する場合に
は、それ以前に印加された電圧値よりも大きな電圧値の
パルスが印加されると特性カーブがシフトし、しかもメ
モりされる。以後、更に大きな電圧値のパルスが印加さ
れない限り、その特性カーブ(電子放出特性)はメモリ
され続ける。このようなメモリ機能は、例えばFE型を
はじめとする他の電子放出素子においては観測されてお
らず、表面伝導型放出素子に固有の特性と言える。
【0054】本発明の実施の形態では、このメモリ機能
を利用して、各基板に配列される表面伝導型放出素子
が、ある駆動電圧が印加されたときに同じ量の電子を放
出するように、電子放出特性を設定しメモリする。具体
的な手順としては、まず各基板間での電子放出特性のば
らつきを測定する。次に、この測定した電子放出特性を
基に、駆動電圧Vdrを表面伝導型放出素子に印加したと
き放出電流Ieが等しくなるように、電子放出特性をシ
フトさせるためのメモリ電圧Vmeを各基板ごとに求め
る。ところで、このメモリ電圧Vmeの値は基板作成の最
終プロセスで表面伝導型放出素子に印加した電圧のうち
最大値Vmaxよりも大きくなるように設定しなくてはな
らない(Vme<Vmaxであると電子放出特性をシフトす
ることができないため)。また通常の表示のための駆動
中に電子放出特性が新たに変化しないように、(メモリ
電圧Vme>駆動電圧Vdr)の条件を満たす必要もある。
こうして最後に、求めたメモリ電圧Vmeを各基板ごとに
表面伝導型放出素子に印加し、電子放出特性を設定して
メモリさせる。
【0055】上記の様に各基板で表面伝導型放出素子の
電子放出特性を揃えておくことにより、小面積の基板を
複数枚組み合わせて構成したマルチ電子源の電子放出量
を一様にすることができる。
【0056】<実施の形態1>本実施の形態では、別々
に作成した2枚の基板P1及びP2の電子放出特性を揃
える例を示す。基板上に配置された表面伝導型放出素子
は、行方向配線と列方向配線によるマトリックス状に結
線した。
【0057】図3は、本発明の実施の形態のマルチ電子
源基板300における電子放出特性を測定するための回
路構成を示す図である。
【0058】図中、300は、m×n個の電子放出素子
を配列しているマルチ電子源基板、301は可変直流電
圧源である。302はタイミング制御回路で、FET3
04のゲート電圧を出力して、マルチ電子源基板300
の行方向配線を選択している。305は電流計で、アノ
ード板307における放出電流を測定している。尚、図
示していないが、アノード板307は電子放出素子から
放出される電子を捕捉し、これによる放出電流を検出す
るために、マルチ電子源の基板300上に、その基板3
00の全面を覆う形で配置されている。
【0059】このマルチ電子源基板300における電子
放出特性の測定は、タイミング制御回路302からのタ
イミング信号Scにより、可変直流電圧源301に接続
されているFET304のオン・オフを制御することに
より測定電圧Vsを発生させ、各行方向配線に印加して
いる。そして、マルチ電子源基板300の電子放出素子
から放出される電子の放出量を電流計305の測定値に
基づいて判断する。タイミング制御回路302は、例え
ばクロックジェネレータとワンショット・マルチバイブ
レータ等で構成されており、任意のパルス幅及び周期の
波形を発生することができる。本実施の形態では、測定
電圧のパルス幅Tmを66.8[μs]、パルス周期T
sを16.6[ms]とした。これらの値は、表示パネ
ルをテレビジョンとして駆動する際の駆動信号の条件を
もとに決めた値で、このほかの条件でも測定は可能であ
る。但し、測定電圧の波高値Vsは、電子放出特性をシ
フトさせないよう基板作製の最終プロセスで表面伝導型
放出素子に印加した電圧のうち最大の値Vmaxよりも小
さい値にする必要がある。また、測定時の高圧電源30
6の出力電圧Vaは、5.0[kv]に設定した。尚、
図示の如く、マルチ電子源基板300の列方向配線は全
て接地されている。
【0060】このような条件の下に2枚のマルチ電子源
基板P1,P2の特性を測定した結果の一例を図4に示
す。図4に示すように、基板P2の電子放出特性カーブ
Iec2が、基板P1のIec1の特性カーブよりも右側にあ
り、駆動電圧Vdr(14[v])を印加したときの電子
放出量は基板P2の方が小さかった。この測定結果か
ら、駆動電圧Vdrで同じ放出電流Ieを得るためには、
基板P1の表面伝導型放出素子にメモリ電圧を印加し
て、基板P1の表面伝導型電子放出素子の電子放出特性
を、図4の放出電流Iec2で示された特性にシフトさせ
ればよいことがわかる。
【0061】このメモリ電圧の印加も図3に示す装置を
用いて行った。基板P1の表面伝導型放出素子に印加す
るメモリ電圧の波高値Vmeの値を14[v]から14.
1[v],14.2[v],14.3[v]というよう
に0.1[v]刻みで変えて行き、その基板P1の電子
放出特性を徐々に右方向にシフトさせた。このときメモ
リ電圧の波高値Vmeを変える度に電子放出特性を測定
し、駆動電圧Vdrの時の基板P1の電子放出量が基板P
2と同じになるまで波高値Vmeを増加させていった。こ
こで、メモリ電圧のパルス幅及び周期は、測定電圧パル
スと同じものを用い、合計100パルス印加した。この
様な手順で図5に示すように、基板P1の電子放出特性
カーブIec1からIec1'にシフトすることにより、図5
に示すように、基板P1と基板P2の駆動電圧Vdrにお
ける電子放出量Ieを等しくすることができた。そして
最後に、これら基板P1及びP2を組み合わせて、電子
放出量が一様な、複数基板からなるマルチ電子ビーム源
を構成することができた。
【0062】<実施の形態2>この実施の形態2では、
図6の様に別々に作成された4枚の基板P3,P4,P
5,P6が既に電気的に接続され1つのマルチ電子源を
構成している場合に、各基板の電子放出特性を揃えるも
のである。各基板上に配置されている表面伝導型放出素
子は、前述の第1の実施の形態で用いた基板と同様にマ
トリックス状に結線されている。ここで、各基板の電子
放出特性を揃える手順、条件などは、前述の実施の形態
1の場合と同じである。しかし電子放出特性の測定及び
メモリ電圧を印加する回路は多少変更する必要がある。
例えば、前述の実施の形態1で用いた回路構成で、基板
P3にメモリ電圧を印加しようとすると、電気的に接続
されている基板P4にもメモリ電圧が印加されてしま
い、各基板の電子放出特性を独立してシフトさせること
ができない。そこで本実施の形態2では、電子放出特性
をシフトさせたい基板のある行方向の配線に電圧+Vme
/2を印加し、同じく電子放出特性をシフトさせたい基
板のある列方向の配線には電圧−Vme/2を印加し、そ
れ以外の基板の列方向配線を接地させた。これにより、
電子放出特性を変化させる基板の表面伝導型放出素子に
のみメモリ電圧Vmeが印加され、それ以外の電子放出特
性を変化させたくない基板の表面伝導型放出素子には、
電子放出特性を変化させる可能性のないメモリ電圧Vme
の約半分の大きさの電圧しか印加されないようにした。
【0063】図7は、図6の基板P3にメモリ電圧を印
加している状態を示す図である。
【0064】図7において、基板P3,P4の行方向の
配線には電圧Vme/2が印加され、基板P3,P5の列
方向配線には電圧−Vme/2が印加され、基板P4の列
方向配線及び基板P5の行方向配線が接地されている。
これにより、基板P3上の表面伝導型放出素子だけにメ
モリ電圧Vmeが印加されることになる。
【0065】なお、各基板の電子放出特性を測定する時
も同様で、測定を行ないたい基板がある行方向配線に電
圧+Vs/2を、同じく測定を行ないたい基板の列方向
配線に電圧−Vs/2を印加し、それ以外の基板の列方
向配線を接地するようにした。これは、表面伝導型電子
放出素子は、閾値Vth(<Vs)以下ではほとんど電子
放出をしないため、測定値への影響はないために可能と
なる。
【0066】この実施の形態2で用いた、電子放出特性
の測定及びメモリ電圧の印加を行う回路の構成を図8に
示す。
【0067】図中、401はパルス発生回路で、例えば
図1(b)に示すような電圧パルスを発生する。402
は波形反転回路で、パルス発生回路401から出力され
るパルス電圧を反転させることにより、−(負)の電圧
を印加している。403及び404は配線切り替え回路
で、電圧を印加する行方向配線、列方向配線を選択して
いる。405は電流計、306は高圧電源、407はア
ノード板である。この回路の動作は、任意の波高値、パ
ルス幅、周期のパルスを発生することができるパルス発
生回路401で発生させたパルスSeを、配線切り替え
回路403及び波形反転回路402に送る。波形反転回
路402はパルスSeの極性を反転させたパルスSeiを
配線切り替え回路404に送る、配線切り替え回路40
3及び404は、パルスを印加したい基板に接続されて
いる行方向及び列方向配線にパルスSe及びSeiを印加
し、他の基板の配線をアースに接続する。ほかの動作は
前述の実施の形態1で用いた回路と同じである。
【0068】この回路を用いて前述の実施の形態1と同
様な手順で基板P3,P4,P5及びP6の電子放出特
性をシフトさせることにより、図9に示すように、全て
の基板の電子放出特性を、駆動電圧Vdrで所定の放出電
流Idrを得ることができるような特性に揃えることがで
きる。これにより、複数枚の基板で構成されたマルチ電
子ビーム源においても、各基板からの電子放出量を一様
に設定して、高品位の画像を得ることができる。
【0069】次に、本実施の形態で用いた小面積の複数
枚の基板の組合わせによるマルチ電子ビーム源の構成に
ついて説明する。
【0070】(複数の電子源基板の配置の態様)本発明
の実施の形態において、表面伝導型放出素子を形成した
基板(以下の説明では電子源基板と記す)については、
用いられる基板の枚数や配置に制限があるわけではない
が、一般的に、画像表示装置の画面の形としては矩形が
望まれることから、複数の電子源基板は図10(A)〜
(D)に例示するような態様で配置されるのが望まし
い。
【0071】図10(A)〜(D)はいずれも電子源基
板の配置を示す平面図で、図中のE1〜E20は各々別
の電子源基板を示しており、図10(A)〜(D)は、
各々電子源基板を2枚、4枚、6枚、8枚配置した例を
示している。また、図中の一点鎖線は電子源基板の境界
部を示している。
【0072】近年、例えば、高品位テレビの様に、画面
形状が横に長い画像表示装置が要求される場合が多いた
め、図10(A)〜(D)の例はこれに従ったが、もち
ろん縦に長くなる配置や縦横が等しくなる配置も可能で
ある。また、組立を容易にするため、各電子源基板の形
状は正方形、或は矩形が望ましく、又、互いに隣接する
電子源基板同士は、境界部に沿う辺の長さを等しくする
のが望ましい。
【0073】(電子源基板の設置方法の態様)本実施の
形態において、複数の電子源基板を画像表示装置の構造
体に設定する方法に関して、以下に説明する。
【0074】複数の電子源基板を画像表示装置の構造体
に設置する方法を大別すると、電子源基板が画像表示装
置の真空容器の気密構造の一部を担うものと、そうでな
いものとに分けられる。このうち前者は、電子源基板同
士の境界部が気密構造を有するか否かによって分けら
れ、また、後者は電子源基板同士の境界部が当接するか
否かにより分けられる。
【0075】これらの方法について、図11(A)〜
(D)を参照して説明する。
【0076】図11(A)〜(D)は、2枚の電子源基
板E1,E2を備えた画像表示装置の断面を例示したも
ので、図中のE1とE2のそれぞれは電子源基板を示
し、70はフェースプレート、71は側壁、72は底
板、点線で囲まれた73は、電子源基板E1とE2との
境界部を示している。
【0077】図11(A),(B)は、電子源基板E
1,E2が真空容器の気密構造の一部を担っている例で
あり、図11(C),(D)は真空容器の気密構造の一
部を担っていない例である。
【0078】まず、図11(A)に例示する例では、電
子源基板E1もしくはE2が側壁71と接合する部分
と、電子源基板E1とE2の境界部73とは気密構造と
なっている。この構造では、電子源基板E1及びE2は
大気圧を直接受けるため、十分な板厚にして機械的な強
度を保証するのが望ましい。また、この例では、例え
ば、電子源基板E1,E2の基体としてガラス基板を用
いる場合に適しており、気密性と機械強度を補償するた
め境界部73の接合には低融点ガラスを接着剤として用
いるのが好ましい。
【0079】また、図11(B)に例示する方法におい
ては、電子源基板E1もしくはE2が側壁71と接合す
る部分と、電子源基板E1もしくはE2が底板72と接
合する部分とは気密構造となっている。この構造では、
電子源基板E1とE2の接融面は気密構造である必要は
なく、また、大気圧に対する機械的な強度を主として底
板72が保持するため、電子源基板E1,E2の板厚を
特別厚くする必要はない。このため、電子源基板の基体
を軽量にできる。従って、図11(A)の場合と比較し
て、電子放出素子や配線を形成するために成膜やパター
ニングを行う際、基板E1,E2の保持や搬送が容易で
ある。
【0080】また、図11(C)に例示する場合におい
ては、電子源基板E1及びE2は、真空容器の気密構造
を担うものではなく、大気圧に対する機械的な強度も主
として底板72が保持するので、電子源基板E1及びE
2は、薄い板厚で差し支えない。また、堅固に底板72
に固定する必要もない。従って、この構造は、電子源基
板の基体に例えば、シリコンウエハーを使用する場合な
どに適する。
【0081】また、図11(D)に例示する例では、図
11(C)の場合と基本的に似ているが、電子源基板E
1,E2同士が境界部73で当接ない点が異なってい
る。これは電子源基板E1,E2の外辺形状を直線にで
きなかった場合などに適する。即ち、例えば、電子源基
板の製造工程の中で切断や研削を行った際、その基板の
外辺にぎざぎざやバリが生じていた場合には、基板同士
を当接させても所定の位置精度が達成できないので、上
記のような方法をとる。
【0082】(電子源基板への給電方法の態様)本実施
の形態の複数の電子源基板の給電方法に関して好ましい
態様を以下に説明する。
【0083】図12(A)〜(D)は、複数枚の基板か
らなる電子源基板への給電方法を例示するための模式図
である。
【0084】図中のE1〜E20の各々は電子源基板を
示し、Dx及びDyは各電子基板に不図示の電気回路から
駆動信号を給電するための給電端子である。また、各電
子源基板には、多数の電子放出素子が形成され、例え
ば、図35で例示したようにマトリクス上に配線されて
いる。
【0085】まず、図12(A)に示すのは、2枚の電
子源基板からなる最も基本的な給電方法を示した図で、
電子源基板E1,E2ごとに個別に設けられた給電端子
Dx,Dyから給電する方法を示している。この方法は、
電子源基板E1,E2同士を電気的に接続していないた
め、基板E1,E2の境界部が簡易な構造で済むという
利点があり、電子源基板の枚数が2枚もしくは4枚の場
合に好適な態様である。
【0086】また、図12(B)に示すのは、電子源基
板同士を電気的に接続した例を示しており、行方向配線
Dxについては基板E3とE5、及び基板E4とE6と
を接続し、列方向配線Dyについては基板E3とE4、
及び基板E5とE6とを接続している。この給電方法に
よれば、給電端子Dx,Dy及び駆動回路の数を半数に節
約できるという利点がある。
【0087】図13は、図12(B)の例を具体的に説
明するための平面図で、電子源基板E3とE5の境界部
において、両基板の行方向配線同士を電気的に接続した
様子を拡大して示している。
【0088】図13において、80は電子源基板E3,
E5の基体を示し、81は電子放出素子、82(E3)
は電子源基板E3の行方向配線、82(E5)は電子源
基板E5の行方向配線、83(E3)は電子源基板E3
の列方向配線、83(E5)は電子源基板E5の列方向
配線、更に、84は配線接続部を示している。尚、この
電子源基板の製造方法については、後に詳述するので、
ここでは、配線接続部84について述べる。
【0089】配線接続部84の形成方法としては、接続
部材として例えば、金属フリットやクリーム半田をスク
リーン印刷やディスペンサにより適量塗布した後、加熱
して接続する方法が挙げられるが、その他にも、予め行
方向配線の端部に半田メッキをしておき、基板同士を当
接させた後に加熱して溶融させて接続しても良い。ま
た、基板同士を当接させた後にメッキを行って接続して
も良い。また、或はボンディングにより電気的な導通を
得ても良い。
【0090】また、図12(C)は、図12(A)の例
を変形した例を示し、電子源基板の外辺から容易に取り
出せる配線については、給電端子Dx,Dyを用いている
が、同図の基板E9や基板E10の行方向配線の様に、
直接外辺から取り出すのが困難な配線については、これ
ら基板E9,E10の側面から、それら基板E9,E1
0の裏側に配線を延伸させて取り出している。尚、同図
に於いては、これら配線のための端子は、端子Dxuとし
て模式的に点線で示している。
【0091】この様な基板の側面から裏面に配線を延伸
させての取り出し部分について、図14(A)及び
(B)を参照して具体的に説明する。
【0092】図14(A)は、一例として電子源基板E
9において、行方向配線が基板の側面を回り込んで裏側
に延伸した形態を示した断面図で、図中の90は基体、
92は行方向配線、93は列方向配線、94は側面導電
部材、95は行方向配線92と列方向配線93の間の絶
縁層、Dxuは給電端子を示している。
【0093】図14(A)の側面導電部材94は、例え
ば、図15に示す製造方法により基体90の側面に好適
に形成することができる。即ち、図15において、側面
導電部材94を印刷により形成する方法を例示してお
り、図中の103はローラ、104は金属メッシュを用
いたスクリーン、105は、例えばニッケル、銅、銀な
どを主成分とする導電性ペーストである。また、このよ
うな印刷装置には、予め行方向配線92と給電端子Dxu
とが形成された基体90を、基体90の側面がスクリー
ンに面する向きでセットされており、適宜の力を加えな
がらローラ103を回転させ、これにより、基体90の
側面に側面導電部材94を形成することができる。
【0094】また、図14(B)は、図14(A)で示
した電子源基板E9と、電子源基板E11との接合部分
を示した断面図であり、図中の97〜100は電子源基
板E11の構成部材を示している。即ち、97は電子源
基板の基体、98は行方向配線、99は列方向配線、1
00は絶縁層であり、また、101及び102は電子源
基板E9と電子源基板E11を接着するために接着材で
ある。図に示されるようにして、電子源基板E9の行方
向配線92は、側面伝導部材94を介して基板E9の裏
面の給電端子Dxuと電気的に接続されている。尚、接着
材101と102については、十分な機械的強度と気密
性を得るため低融点フリットガラスを用いた。
【0095】次に、図12(D)に示すのは、前記図1
2(A)の給電方法を変形した例で、電子源基板E13
〜E20を8枚以上用いる場合の望ましい態様である。
【0096】図12(D)のように、電子源基板E15
とE17の行方向配線は、基板の境界部で電気的に接続
されるとともに、基板の側面を経由して基板裏面に形成
された給電端子Dxwと電気的に接続されている(同図で
は、模式的に点線で示されている)。尚、電子源基板E
16とE18についても、同様の電気的接続が行なわれ
ている。
【0097】図16は、図12(D)における電子源基
板E15とE17の接合部の構造を示すための断面図で
ある。
【0098】図示のように、概略的には前記図14
(B)の方法として類似している(図中、図14と共通
の部材は同一の部品番号で示す)が、図16の構成で
は、基板E15の行方向配線92と基板E17の行方向
配線98とが当接部110において電気的に接続してい
る。従って、給電端子Dxwから両方の電子源基板E1
5,E17の行方向配線92,98に給電することが可
能である。また、当接部110に関しては、基本的には
機械的な接触により電子的な接続を得るものであるが、
より良好で確実は接続を得るために、例えば、この部分
に可塑性の高い金属部材を配置して圧接する方法や、或
はこの部分に低融点の金属部材を配置して溶着する方法
を用いても良い。
【0099】以上、複数の電子源基板を用いる際の電子
源基板への給電方法について説明したが、上記の方法を
単独に、もしくは組み合わせて行うことにより、2枚以
上の電子源基板を用いる場合に好適に給電することが可
能である。
【0100】(表示パネルの構成と製造法)次に、本発
明の実施の形態の画像表示装置の表示パネルの構成と製
造法について、具体的な例を示して説明する。
【0101】図17は、実施の形態に用いた表示パネル
の斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を
切り欠いて示している。
【0102】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートである。これら1
005〜1007により表示パネル1000の内部を真
空に維持するための気密容器を形成している。この気密
容器を組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分
な強度と気密性を保持させるため封着する必要がある
が、例えばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中或
は窒素雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以上
焼成することにより封着を達成した。気密容器内部を真
空に排気する方法については後述する。
【0103】リアプレート1005には基板E1とE2
が固定されており、各基板上には表面伝導型電子放出素
子が、それぞれ(N/2)×M個形成されている。ここ
でN,Mは共に2以上の正の整数であり、目的とする表
示画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレ
ビジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=
3000,M=1000以上の数を設定することが望ま
しい。本実施の形態においては、N=3072,M=1
024とした。N×M個の表面伝導型電子放出素子は、
M本の行方向配線1003とN本の列方向配線1004
とにより単純マトリクス配線されている。これら基板E
1,E2、複数の電子放出素子及び行方向配線100
3、列方向配線1004によって構成される部分をマル
チ電子ビーム源と呼ぶ。尚、マルチ電子ビーム源の製造
方法や構造については、後で詳しく述べる。
【0104】本実施の形態においては、気密容器のリア
プレート1005にマルチ電子ビーム源の基板E1,E
2を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板
E1,E2が十分な強度を有するものである場合には、
気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基
板E1,E2自体を用いてもよい。
【0105】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態の
表示パネル1000はカラー表示用であるため、蛍光膜
1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体が塗り分
けられている。RGB各色の蛍光体は、例えば図18
(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光
体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けて
ある。この黒色の導電体1010を設ける目的は、電子
ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれ
が生じないようにするためや、外光の反射を防止して表
示コントラストの低下を防ぐため、更には、電子ビーム
による蛍光膜1008のチャージアップを防止するため
などである。尚、黒色の導電体1010には、黒鉛を主
成分として用いたが、上記の目的に適するものであれば
これ以外の材料を用いても良い。
【0106】また、RGB3原色の蛍光体の塗り分け方
は図18(A)に示したストライプ状の配列に限られる
ものではなく、例えば図18(B)に示すようなデルタ
状配列や、それ以外の配列であってもよい。
【0107】尚、モノクロームの表示パネルを作成する
場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用いれ
ばよく、また黒色導電材料1010は必ずしも用いなく
ともよい。また、蛍光膜1008のリアプレート側の面
には、CRTの分野では公知のメタルバック1009を
設けてある。このメタルバック1009を設けた目的
は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光
利用率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜
1008を保護するためや、電子ビーム加速電圧を印加
するための電極として作用させるため、更には蛍光膜1
008を励起した電子の導電路として作用させるためな
どである。このメタルバック1009は、蛍光膜100
8をフェースプレート基板1007上に形成した後、蛍
光膜表面を平滑化処理し、その上にAl(アルミニウ
ム)を真空蒸着する方法により形成した。尚、この蛍光
膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、
メタルバック1009は用いない。
【0108】また、本実施の形態では用いなかったが、
加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、
フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、例えばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0109】また、図17に示す端子Dx1〜Dxm,D'x
1〜D'xm及びDy1〜Dyn,D'y1〜D'yn及びHvは、表
示パネル1000と後述する電気回路とを電気的に接続
するために設けた気密構造の電気接続用端子である。こ
こで、端子Dx1〜Dxmは基板E1の行方向配線1003
と、端子Dy1〜Dynは基板E1の列方向配線1004
と、端子D'x1〜D'xmは基板E2の行方向配線1003
と、端子D'y1〜D'ynは基板E2の列方向配線1004
と、Hvはフェースプレート1007のメタルバック1
009と電気的に接続している。
【0110】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と、オイ
ルを用いない真空ポンプとを接続し、気密容器内を10
のマイナス7乗[torr]程度の真空度まで排気する。更
に排気を続けながら表示パネル1000を80〜200
℃に加熱し、5時間程度ベーキングして有機ガスの分圧
を低下させる。その後、排気管を封止するが、気密容器
内の真空度を維持するために、封止の直前或は封止後に
気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成
する。このゲッター膜とは、例えばBaを主成分とする
ゲッター材料をヒータもしくは高周波加熱により加熱し
蒸着して形成した膜であり、このゲッター膜の吸着作用
により気密容器内は1×10のマイナス5乗乃至1×1
0のマイナス7乗[torr]の真空度に維持される。この
時、炭素と水素とを主成分とし質量数が100〜200
の有機ガスの分圧は10のマイナス8乗[torr]よりも
小さくした。
【0111】以上、本発明の実施の形態の表示パネル1
000の基本構成と製法を説明した。
【0112】次に、前述の各実施の形態の表示パネルに
用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説明す
る。本実施の形態の画像表示装置に用いるマルチ電子ビ
ーム源は、表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス配
線した電子源であれば、その表面伝導型電子放出素子の
材料や形状或は製法に制限はない。しかしながら、本願
発明者らは、表面伝導型放出素子の中では、電子放出部
もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものが電子
放出特性に優れ、しかも製造が容易であることを見出し
ている。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマル
チ電子ビーム源に用いるには最も好適であると言える。
そこで、上記実施の形態の表示パネルにおいては、電子
放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適な表面伝導
型放出素子について基本的な構成と製法および特性を説
明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配線したマ
ルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0113】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0114】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図19に示すのは、平面型の表面伝導型
放出素子の構成を説明するための平面図(a)及びその
断面図(b)である。
【0115】図中、1101は基板、1102と110
3は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電
フォーミング処理により形成した電子放出部、1113
は通電活性化処理により形成した薄膜である。基板11
01としては、例えば、石英ガラスや青板ガラスなどの
各種ガラス基板や、アルミナ等の各種セラミクス基板、
或は上述の各種基板上に、例えばSiO2を材料とする
絶縁層を積層した基板などを用いることができる。ま
た、基板1101上に基板面と平行に対向して設けられ
た素子電極1102と1103は、導電性を有する材料
によって形成されている。例えば、Ni,Cr,Au,
Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等の金属、或
はこれらの金属の合金、或はIn2O3−SnO2等の金
属酸化物、ポリシリコンなどの半導体などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。これら電極1102,1
103を形成するには、例えば真空蒸着などの製膜技術
とフォトリソグラフィ、エッチングなどのパターニング
技術を組み合わせて用いれば容易に形成できるが、それ
以外の方法(例えば印刷技術)を用いて形成してもさし
つかえない。
【0116】素子電極1102,1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメータ(μm)の範囲から適当な数値
を選んで設計されるが、中でも表示装置に応用するため
に好ましいのは数マイクロメータより数十マイクロメー
タの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメータの範
囲から適当な数値が選ばれる。
【0117】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。この微粒子膜に用いた
微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングス
トロームの範囲に含まれるものであるが、中でも好まし
いのは、10オングストロームから200オングストロ
ームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以
下に述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即
ち、素子電極1102或は1103と電気的に良好に接
続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良
好に行うのに必要な条件、更には微粒子膜自身の電気抵
抗を後述する適宜の値にするために必要な条件などであ
る。
【0118】具体的には、数オングストロームから数千
オングストロームの範囲のなかで設定するが、なかでも
好ましいのは10オングストロームから500オングス
トロームの間である。
【0119】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などの金属や、PdO,SnO2,In2
O3,PbO,Sb2O3などの酸化物や、HfB2,Zr
B2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4などの硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WCな
どの炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などをはじめ
とする窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体
や、カーボンなどがあげられ、これらの中から適宜選択
される。
【0120】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0121】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図19の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0122】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。尚、実際の電子
放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難
なため、図19においては模式的に示した。
【0123】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0124】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのが更に好ましい。なお、実際の薄膜1113の
位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図19に
おいては模式的に示した。また、平面図(a)において
は、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0125】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、本実施の形態においては以下のような素子を用い
た。
【0126】即ち、基板1101には青板ガラスを用
い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。微粒
子膜の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒
子膜の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは1
00[マイクロメータ]とした。
【0127】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図20(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は前記図19と同一である。
【0128】(1)まず、図20(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102および1103を形
成する。これら素子電極1102,1103を形成する
にあたっては、予め基板1101を洗剤、純水、有機溶
剤を用いて十分に洗浄した後、素子電極1102,11
03の材料を堆積させる。この堆積する方法としては、
例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用れ
ばよい。その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラ
フィ或はエッチング技術を用いてパターニングし、図9
(a)に示した一対の素子電極1102,1103を形
成する。
【0129】(2)次に、同図(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0130】この導電性薄膜1104を形成するにあた
っては、まず図20(a)の基板1101に有機金属溶
液を塗布して乾燥させ、加熱焼成処理して微粒子膜を成
膜した後、フォトリソグラフィ・エッチングにより所定
の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液と
は、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする
有機金属化合物の溶液である。具体的には、本実施の形
態では主要元素としてPdを用いた。また、本実施の形
態では塗布方法として、ディッピング法を用いたが、そ
れ以外の例えばスピンナ法やスプレ法を用いてもよい。
【0131】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0132】(3)次に、同図(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。この通電フ
ォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1
104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、
もしくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に
変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電
性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した
部分(即ち、電子放出部1105)においては、薄膜に
適当な亀裂が形成されている。尚、電子放出部1105
が形成される前と比較すると、電子放出部1105が形
成された後は、素子電極1102と1103の間で計測
される電気抵抗は大幅に増加する。
【0133】この通電フォーミング時における通電方法
をより詳しく説明するために、図21にフォーミング用
電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示
す。
【0134】微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミ
ングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施
の形態の場合には同図に示したようにパルス幅T1の三
角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その
際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧した。
また、電子放出部1105の形成状況をモニタするため
のモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの間に
挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測し
た。
【0135】本実施の形態においては、例えば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、
例えばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を
10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.
1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加
するたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入し
た。ここでフォーミング処理に悪影響を及ぼすことがな
いように、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設
定した。そして、素子電極1102と1103の間の電
気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即
ち、モニタパルスの印加時に電流計1111で計測され
る電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった段
階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0136】尚、上記の方法は、本実施の形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば微粒
子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝導型
放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電
の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0137】(4)次に、図20(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。この通電活性化処理とは、
前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部
1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素
もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。
図21においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆
積物を部材1113として模式的に示した。尚、この通
電活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同
じ印加電圧における放出電流を典型的には、約100倍
以上に増加させることができる。
【0138】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、
電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気
中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素
化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラフ
ァイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれ
かか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オン
グストローム]以下、より好ましくは300[オングス
トローム]以下である。
【0139】この活性化処理における通電方法をより詳
しく説明するために、図22(a)に、活性化用電源1
112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。
【0140】本実施の形態においては、一定電圧の矩形
波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、具体
的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パルス幅T3
は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミリ秒]とし
た。尚、上述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型
放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出
素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適
宜変更するのが望ましい。
【0141】図20(d)に示す1114は、該表面伝
導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するた
めのアノード電極で、直流高電圧電源1115及び電流
計1116が接続されている。尚、基板1101を、表
示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合に
は、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として
用いる。この活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源1112の
動作を制御する。この電流計1116で計測された放出
電流Ieの一例を図22(b)に示すが、活性化電源1
112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過
とともに放出電流Ieが増加するが、やがて飽和してほ
とんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほ
ぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加
を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0142】尚、上述の通電条件は、本実施の形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0143】以上のようにして、図20(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0144】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、即ち垂直
型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0145】図23は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0146】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従
って、前記図9の平面型における素子電極間隔Lは、垂
直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとし
て設定される。尚、基板1201、素子電極1202及
び1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204につ
いては、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用
いることが可能である。また、段差形成部材1206に
は、例えばSiO2のような電気的に絶縁性の材料を用
いる。
【0147】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図24(a)〜(f)は、垂直型の
表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図
で、各部材の表記は図23と同一である。
【0148】(1)まず、図24(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0149】(2)次に、同図(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、
例えば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いて
もよい。
【0150】(3)次に、同図(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0151】(4)次に、同図(d)に示すように、絶
縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0152】(5)次に、同図(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0153】(6)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する
(図20(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミ
ング処理と同様の処理を行えばよい)。 (7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処
理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を
堆積させる(図20(d)を用いて説明した平面型の通
電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0154】以上のようにして、図24(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0155】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0156】図25は、本実施の形態の電子源を表示装
置に用いた素子の(放出電流Ie)対(素子印加電圧V
f)特性、及び(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)
特性の典型的な例を示す図である。尚、放出電流Ieは
素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示す
るのが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさや
形状等の設計パラメータを変更することにより変化する
ものであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示し
た。
【0157】ここで、本実施の形態の表示装置に用いた
電子放出素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3
つの特性を有している。
【0158】第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放
出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0159】第2に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ie
の大きさを制御できる。
【0160】第3に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0161】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。例
えば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示
装置において、前述の第1の特性を利用すれば、表示画
面を順次走査して表示を行うことが可能である。即ち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth
以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電
圧Vth未満の電圧を印加する。こうして駆動する素子を
順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査し
て表示を行うことが可能である。
【0162】また、第2の特性か又は第3の特性を利用
することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0163】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0164】図26に示すのは、前述の図17の表示パ
ネル1000に用いたマルチ電子ビーム源の平面図であ
る。基板上には、前記図19で示したものと同様な表面
伝導型放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線
電極1003と列方向配線電極1004により単純マト
リクス状に配線されている。行方向配線電極1003と
列方向配線電極1004の交差する部分には、電極間に
絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保
たれている。
【0165】図26のA−A’に沿った断面を、図27
に示す。この図27において、図19と共通する部分は
同じ番号で示し、それらの説明を省略する。
【0166】尚、このような構造のマルチ電子源は、予
め基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1
004、電極間絶縁層(不図示)、及び表面伝導型放出
素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配線
電極1003及び列方向配線電極1004を介して各素
子に給電して通電フォーミング処理と通電活性化処理を
行うことにより製造した。
【0167】ここで、本実施の形態の画像表示装置の構
成及び駆動方法についてより具体的に説明する。
【0168】<実施の形態3>本実施の形態3では、電
子放出特性を揃えた電子源基板として、図28に示すよ
うな表面伝導型放出素子を並列に配置し、個々の素子の
両端を配線に結線した行を多数配列した基板を2枚用い
た。
【0169】図28において、点線で囲んだSEは表面
伝導型放出素子を示し、Hu1〜Hum及びHl1〜Hlmは、
これら表面伝導型放出素子SEを配線するための配線電
極を示している。尚、これら2枚の基板の電子放出特性
は、前述の第1の実施の形態で用いたものと同じ装置及
び手法により揃えることができた。但し、基板の配線H
u1〜Humを前述の第1の実施の形態で用いた装置のFE
T304に接続し、配線Hl1〜Hlmをグランドに接続し
た。こうして各基板の電子放出特性を揃えた後、2枚の
基板をワイヤボンディングで直列に接続して画像表示装
置のマルチ電子ビーム源として使用することにより、一
様な電子放出特性を有するマルチ電子源を得ることがで
きた。
【0170】次に、本実施の形態のカラー画像表示装置
の代表的な構成例を図29を参照して説明する。
【0171】図29では、表面伝導型放出素子を並列に
多数配置し、個々の素子の両端を配線にてそれぞれ結線
した行を多数配列した基板K1とK2(K1とK2は配
線213により電気的に接続した)をリアプレート20
2上に固定した後、これら基板K1,K2の上方に、電
子通過孔205を有するグリッド206を電子放出素子
の配列方向と直交する方向に配置した。更に、これら基
板K1とK2の略5mm上方に、フェースプレート21
0(ガラス基板207の内面に蛍光膜208とメタルバ
ック209とが形成されて構成される)を支持枠211
を介して配設している。そして、このフェースプレート
210、支持枠211、リアプレート202の接合部に
フリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中
で約400℃ないし500℃で10分以上焼成すること
により封着した。また、リアプレート202への基板K
1とK2の固定もフリットガラスで行った。
【0172】図29において、204は電子放出部を示
し、本実施の形態では上述の如く、フェースープレート
210、支持枠211、リアプレート202で外囲器2
12を構成したが、リアプレート202は主に基板K1
とK2の強度を補強する目的で設けられるため、基板K
1,K2自体で十分な強度を持つ場合は、この別体のリ
アプレート202は不要であり、基板K1とK2に直接
支持枠211を封着し、フェースプレート210、支持
枠211、基板201にて外囲器212を構成しても良
い。
【0173】フェースープレート210の蛍光膜208
は、モノクロ表示の場合は蛍光体で構成されるが、カラ
ー表示用の蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラッ
クストライプ(図18(A)参照)或いはブラックマト
リクス(図18(B)参照)などと呼ばれる黒色導電材
1010と蛍光体とで構成される。このようなブラック
ストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、
カラー表示の場合必要となる3原色蛍光体の、各蛍光体
間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくす
るとともに、蛍光膜208における外光反射によるコン
トラストの低下を抑制することである。本実施の形態で
は、蛍光体はストライプ形状(図18(A))を採用
し、電子放出素子204の配列方向(即ち、グリッドと
直交する方向)に沿って配列している。これには先にブ
ラックストライプを形成し、その間隙部に各色蛍光体を
塗布することにより蛍光膜208を作成した。
【0174】尚、ブラックストライプを形成する材料と
して、本実施の形態では、通常良く用いられている黒鉛
を主成分とする材料を用いたが、導電性があり、光の透
過及び反射が少ない材料であればこれに限るものではな
い。また、ガラス基板207に蛍光体を塗布する方法
は、モノクロームの場合は沈澱法や印刷法が用いられる
が、カラー表示である本実施の形態の場合にはスラリー
法を用いている。但し、カラー表示の場合にも印刷法を
用いても同等の塗布膜が得られることはもちろんであ
る。
【0175】また、蛍光膜208の内面側には通常メタ
ルバック209が設けられる。このメタルバック209
を設ける目的としては、蛍光体の発光のうち内面側への
光をフェースプレート210側へ鏡面反射することによ
り輝度を上げること、電子ビーム加速電圧を印加するた
めの電極として作用すること、外囲器212内で発生し
た負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体を保護す
ること等が挙げられる。尚、このメタルバック209
は、蛍光膜208を作製した後、蛍光膜208の内面側
表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後、アルミニウム(Al)を真空蒸着すること
で作製した。フェースプレート210には、更に蛍光膜
208の導伝性を高めるため、蛍光膜208の外面側に
透明電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施
の形態では、メタルバック209のみで十分な導伝性が
得られたので省略した。更に、前述のフェースプレート
210、支持枠211、リアプレート202の接合部を
封着する際、カラー表示の場合は各色の蛍光体と電子放
出素子204とを対応させなければならないため、十分
な位置合わせを行った。
【0176】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dr1ないしD
rmとDL1ないしDLmを通じて素子電極203間に電圧を
印加することにより、前述のフォーミングを行う。こう
して電子放出部204を形成して、前述した電子放出素
子204を基板K1,K2上に作成した。最後に10の
−6乗トール程度の真空度で、不図示の排気管をガス・
バーナで熱することで溶着し、外囲器212の封止を行
った。そして最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。これは、封止を行う直前あ
るいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱
法により、画像表示装置内の所定の位置(不図示)に配
置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理であ
る。このゲッターは、通常Ba等が主成分であり、該蒸
着膜の吸着作用により真空度が維持される。
【0177】以上のようにして形成された画像表示装置
において、表面伝導型放出素子のそれぞれに、容器外端
子Dr1〜DrmとDL1〜DLmを通じて電圧を印加すること
により各電子放出部204より電子を放出させる。こう
して放出された電子は変調電極206の電子通過孔20
5を通過した後、高圧端子Hvを通して、メタルバック
209或いは透明電極(不図示)に印加された数kV以
上の高圧により加速されて蛍光膜208に衝突し、これ
により蛍光体が励起して発光する。その際、容器外端子
G1ないしGnを通じて変調電極206に情報信号に応じ
た電圧を印加することにより、電子通過孔205を通過
する電子ビームを制御して画像を表示するものである。
【0178】本実施の形態では、絶縁層であるSiO2
(不図示)を介し、基板K1とK2の略10ミクロン上
方に略50ミクロン径の電子通過孔205を有する変調
電極206を配置することにより、加速電圧として6k
V印加したとき、電子ビームのオンとオフは50V以内
の変調電圧で制御できた。
【0179】また、図30は、変調電極206に印加す
るグリッド電圧VGに対する螢光膜208へ流れる螢光
面電流との関係を示した図である。ここで、グリッド電
圧VGを増加させていくと、ある閾値電圧VG1以上にな
ると螢光面電流が流れ始め、更にグリッド電圧VGを増
加するに従って図30に示すように螢光面電流が単調に
増加して、最終的に飽和する。
【0180】以上述べた構成は、画像表示装置を作成す
る上で必要な概略構成であり、例えば各部材の材料等、
詳細な部分は上述の説明に限られるものではなく、画像
表示装置の用途に適するよう適宜選択することができ
る。 [表示パネルの駆動方法]次に、図17の表示パネル1
000を用いて画像表示を行う方法について、図31と
図32を参照して説明する。
【0181】尚、図31は電気回路のブロック図で、図
32は電気回路の動作を示すタイミングチャートであ
る。
【0182】図31において、1000は図17で示し
た表示パネル、501は走査側駆動回路、502は変調
側駆動回路、503はデコーダ、504はタイミング制
御回路、505はシフトレジスタ、506は1ラインメ
モリ、507は変調信号発生器、508は走査信号発生
器、VaとVfは電源である。
【0183】以下、各部の動作を順を追って説明してゆ
く。
【0184】先ず、外部からデコード503に入力され
る画像信号(例えばテレビジョン信号)は、通常は時系
列的にシリアルに入力される。この外部より供給される
画像信号は、デコーダ503により同期信号Syncと画
像データDataとに分離され、それぞれタイミング制御
回路504とシフトレジスタ505に対して出力され
る。より詳細には、同期信号Syncは、画像1ラインの
同期信号である水平同期信号と、画像の1画面の同期信
号である垂直同期信号を含むが、説明の便宜上、両方を
まとめて同期信号Syncと呼ぶことにする。また、画像
データDataは、カラー画像信号の場合にはRGBの3
原色成分より成るが、説明の便宜上、まとめて画像デー
タDataと呼ぶ。
【0185】タイミング制御回路504は、前記同期信
号Syncに基づき、表示装置の各部の動作を整合させる
ための各種のタイミング制御信号を発生する。先ず、シ
フトレジスタ505に対して、表示パネルの1ライン
(=n画素)分の画像データをサンプリングしてシリア
ル/パラレル変換するためのシフトクロックTsftを出
力する。ここで、Data及びTsftを、図32のタイムチ
ャートの(A)と(B)に示す。
【0186】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分のデータ(Id1〜Idn)は、前記タイミング制御回
路504の出力するメモリロードタイミング制御信号T
mryに基づいて1ラインメモリ506に蓄積される。こ
こで、図32のタイムチャートの(C),(D)に、メ
モリロードタイミング制御信号Tmryと、ラインメモリ
506の出力信号(I'd1〜I'dn)を図示する。変調信
号発生器507は、前記ラインメモリ506の出力信号
(I'd1〜I'dn)に基づいて、変調信号Gm1〜Gmnを発
生する。本実施の形態では、変調信号発生器507に、
画像データに応じてパルスの長さを変調するパルス幅変
調方式を用いた。
【0187】変調信号Gm1〜Gmnのタイミングを図32
の(F)に示す。
【0188】変調側駆動回路502は、電圧がVf
[V]で、長さを変調信号Gm1〜Gmnに準じて制御され
たパルス信号を発生する。このパルス信号は、表示パネ
ルの給電端子Dy1〜Dynを経由して電子源基板の列方向
配線に印加される。尚、本実施の形態では、Vfは14
[V]に設定されている。
【0189】一方、タイミング制御回路504は、表示
パネル500内のマルチ電子ビーム減を走査するための
制御信号Tscanを発生して、走査信号発生器508に出
力する。本実施の形態においては、表示パネル内の2枚
の電子源基板について、それぞれ別個に走査信号発生器
508と走査側駆動回路501を設けているが、これら
は同一のタイミングで動作するものである。走査信号発
生器508は、制御信号Tscanに基づいて、走査信号G
s1〜Gsmを発生する。走査信号Gs1〜Gsmの内容を図3
2の(E)に示すが、ここでオンと記されているものに
対応して、走査側駆動回路501はグランドレベル即ち
0[V]を給電端子に接続する。即ち、表示パネルの給
電端子Dx1〜Dxm及びD'x1〜D'xmを経由して、電子源
基板の行方向配線に0[V]の走査パルスが印加され
る。
【0190】また、電源Vaからは、10[kV]の直
流電圧が出力されており、これは給電端子Hvを経由し
て表示パネル1000内の蛍光体に印加される。
【0191】以上、表示パネル1000の駆動方法につ
いて説明した。
【0192】尚、本実施の形態において、変調側駆動回
路502の出力電圧をグリッドで変調するのに適当な電
圧に合わせて端子G1〜Gnに接続した。また、走査側駆
動回路501の出力電圧を、走査電圧=14.0
[V]、非走査電圧=0[V]に設定し、DL1〜DLmに
接続した。また、Dr1〜Drmは常に0[V]とした。
【0193】図33は、前記説明の表面伝導型放出素子
を電子ビーム源として用いたディスプレイパネルに、例
えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源
より提供される画像情報を表示できるように構成した多
機能表示装置の一例を示すための図である。
【0194】図中、2100はディスプレイパネル、2
101はディスプレイパネルの駆動回路で、前述の図3
1の変調側駆動回路502、走査側駆動回路501に相
当している。2102はディスプレイコントローラ、2
103はマルチプレクサ、2104はデコーダ、210
5は入出力インターフェース回路、2106はCPU、
2107は画像生成回路、2108及び2109及び2
110は画像メモリインターフェース回路、2111は
画像入力インターフェース回路、2112及び2113
はTV信号受信回路、2114は入力部である。尚、本
実施の形態の画像表示装置は、例えばテレビジョン信号
のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信す
る場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するも
のであるが、本実施の形態の特徴と直接関係しない音声
情報の受信,分離,再生,処理,記憶などに関する回路
やスピーカなどについては説明を省略する。以下、画像
信号の流れに沿って各部の機能を説明する。
【0195】まず、TV信号受信回路2113は、例え
ば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝
送されるTV画像信号を受信するための回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例
えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式など
の諸方式でもよい。また、これらより更に多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路2113で受信されたT
V信号は、デコーダ2104に出力される。TV信号受
信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバ等
のような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を
受信するための回路である。前記TV信号受信回路21
13と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られる
ものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデコ
ーダ2104に出力される。画像入力インターフェース
回路2111は、例えばTVカメラや画像読み取りスキ
ャナなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り
込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2
104に出力される。
【0196】画像メモリインターフェース回路2110
は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶
されている画像信号を取り込むための回路で、取り込ま
れた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メ
モリインターフェース回路2109は、ビデオディスク
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。
画像メモリインターフェース回路2108は、いわゆる
静止画ディスクのように、静止画像データを記憶してい
る装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込ま
れた静止画像データはデコーダ2104に出力される。
入出力インターフェース回路2105は、本実施の形態
の画像表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピ
ュータネットワークもしくはプリンタなどの出力装置と
を接続するための回路である。画像データや文字データ
・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合に
よっては本表示装置の備えるCPU2106と外部との
間で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可
能である。
【0197】画像生成回路2107は、前記入出力イン
ターフェース回路2105を介して外部から入力される
画像データや文字・図形情報や、或はCPU2106よ
り出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示
用画像データを生成するための回路である。本回路の内
部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積する
ための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する画
像パターンが記憶されている読みだし専用メモリや、画
像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとして画像
の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路により
生成された表示用画像データは、デコーダ2104に出
力されるが、場合によっては前記入出力インターフェー
ス回路2105を介して外部のコンピュータネットワー
クやプリンタ入出力することも可能である。
【0198】CPU2106は、主として本表示装置の
動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業
を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を
出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適宜
選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示
する画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ
2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や
走査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。また、前記画像生成回路2107に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、或は前記入
出力インターフェース回路2105を介して外部のコン
ピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・図
形情報を入力する。尚、CPU2106は、むろんこれ
以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。例え
ば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどの
ように、情報を生成したり処理する機能に直接関わって
も良い。或は、前述したように、入出力インターフェー
ス回路2105を介して外部のコンピュータネットワー
クと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と協
同して行っても良い。
【0199】また、入力部2114は、前記CPU21
06に使用者が命令やプログラム、或はデータなどを入
力するためのものであり、例えばキーボードやマウスの
ほか、ジョイスティック,バーコードリーダー,音声認
識装置など多様な入力機器を用いることが可能である。
デコーダ2104は、前記2107ないし2113より
入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信
号とI信号,Q信号に逆変換するための回路である。
尚、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内
部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えば
MUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像
メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためであ
る。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表
示が容易になる、或は前記画像生成回路2107及びC
PU2106と協同して画像の間引き,補間,拡大,縮
小,合成をはじめとする画像処理や編集が容易に行える
ようになるという利点が生まれるからである。
【0200】また、マルチプレクサ2103は、前記C
PU2106より入力される制御信号に基づき表示画像
を適宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ21
03はデコーダ2104から入力される逆変換された画
像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路2
101に出力する。その場合には、一画面表示時間内で
画像信号を切り替えて選択することにより、いわゆる多
画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域
によって異なる画像を表示することも可能である。ディ
スプレイパネル・コントローラ2102は、前記CPU
2106より入力される制御信号に基づき駆動回路21
01の動作を制御するための回路である。
【0201】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
にかかわるものとして、例えばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。また、デ
ィスプレイパネルの駆動方法に関わるものとして、例え
ば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースか
ノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回
路2101に対して出力する。また、場合によっては表
示画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスとい
った画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に
対して出力する場合もある。駆動回路2101は、ディ
スプレイパネル2100に印加する駆動信号を発生する
ための回路であり、前記マルチプレクサ2103から入
力される画像信号と、前記ディスプレイパネル・コント
ローラ2102より入力される制御信号に基づいて動作
するものである。
【0202】以上、各部の機能を説明したが、図33に
例示した構成により、本実施の形態の表示装置におい
て、多様な画像情報源より入力される画像情報をディス
プレイパネル2100に表示することが可能である。即
ち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号は
デコーダ2104において逆変換された後、マルチプレ
クサ2103において適宜選択され、駆動回路2101
に入力される。一方、ディスプレイコントローラ210
2は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動
作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路21
01は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレ
イパネル2100に駆動信号を印加する。これにより、
ディスプレイパネル2100において画像が表示され
る。これらの一連の動作は、CPU2106により統括
的に制御される。
【0203】また、本実施の形態の画像表示装置におい
ては、前記デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、
画像生成回路2107及びCPU2106が関与するこ
とにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを
表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例え
ば拡大,縮小,回転,移動,エッジ強調,間引き,補
間,色変換,画像の縦横比変換などをはじめとする画像
処理や、合成,消去,接続,入れ換え,はめ込みなどを
はじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本
実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処
理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集
を行うための専用回路を設けても良い。
【0204】従って、本実施の形態の画像表示装置は、
テレビジョン放送の表示機器,テレビ会議の端末機器,
静止画像及び動画像を扱う画像編集機器,コンピュータ
の端末機器,ワードプロセッサをはじめとする事務用端
末機器,ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可
能で、産業用或は民生用として極めて応用範囲が広い。
【0205】尚、図33は、表面伝導型放出素子を電子
ビーム源とするディスプレイパネル2100を用いた表
示装置の構成の一例を示したに過ぎず、これのみに限定
されるものではない。例えば、図33に示す構成要素の
うち、使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いて
も差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によって
は、更に構成要素を追加しても良い。例えば、本実施の
形態の表示装置をテレビ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ,音声マイク,照明機,モデムを含む
送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0206】本実施の形態の表示装置においては、とり
わけ表面伝導型放出素子を電子ビーム源とするディスプ
レイパネルが容易に薄形化できるため、表示装置全体の
奥行きを小さくすることが可能である。それに加えて、
表面伝導型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイ
パネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優
れるため、本実施の形態の表示装置は臨場感に溢れ、迫
力に富んだ画像を視認性良く表示する事が可能である。
【0207】また、本発明は、ホストコンピュータ、イ
ンタフェース、プリンタ等の複数の機器から構成される
システムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用
しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログ
ラムを供給することによって実施される場合にも適用で
きることは言うまでもない。この場合、本発明に係るプ
ログラムを格納した記憶媒体が本発明を構成することに
なる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシステ
ム或は装置に読み出すことによって、そのシステム或は
装置が、予め定められた仕方で動作する。
【0208】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、表面伝導型素子を配列した基板を複数個組み合わせ
て構成した大面積のマルチ電子ビーム源において、電子
放出量が一様にならないという問題を解決することがで
きた。
【0209】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複
数の基体のそれぞれの電子放出特性を揃えて良好な画像
を形成できるという効果がある。
【0210】本発明によれば、マルチ電子源を複数の基
体で作成することにより、製造の歩留まりを向上させ、
製造コストを低く抑えることができる。
【0211】又本発明によれば、表面伝導型の電子放出
素子の有するメモリ機能を用いて、複数の基体の電子放
出特性を揃えることができるという効果がある。
【0212】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の表面伝導型放出素子の電気特性
の測定の際に用いた電圧波形を示す図である。
【図2】本実施の形態の表面伝導型放出素子におけるメ
モリ機能を説明する図である。
【図3】本実施の形態1で使用したメモリ電圧の印加お
よび電子放出特性の測定を行う回路のブロック図であ
る。
【図4】本実施の形態1で用いた基板の電子放出特性例
を示す図である。
【図5】本実施の形態1で用いた基板にメモリ電圧を印
加した後の電子放出特性例を示す図である。
【図6】本実施の形態2で用いたマルチ電子ビーム源の
平面図である。
【図7】本実施の形態2で用いたメモリ電圧の印加およ
び電子放出特性の測定を説明するための図である。
【図8】本実施の形態2で使用したメモリ電圧の印加お
よび電子放出特性の測定を行う回路のブロック図であ
る。
【図9】実施の形態2で用いた基板にメモリ電圧を印加
した後の電子放出特性例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における電子源基板の配
置を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における電子源基板の設
置方法を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における電子源基板への
給電方法を説明する図である。
【図13】図12(B)の具体例を示す平面図である。
【図14】図12(C)の具体例を示す断面図である。
【図15】図14の電子源基板E9の製造方法を説明す
るための図である。
【図16】図12(D)の具体例を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態である画像表示装置の表
示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図18】本実施の形態の表示パネルのフェ−スプレ−
トの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図19】本実施の形態で用いた平面型の表面伝導型放
出素子の平面図(a),断面図(b)である。
【図20】本実施の形態の平面型の表面伝導型放出素子
の製造工程を示す断面図である。
【図21】本実施の形態の通電フォ−ミング処理の際の
印加電圧波形を示す図である。
【図22】本実施の形態の通電活性化処理の際の印加電
圧波形(a),放出電流Ieの変化(b)を示す図であ
る。
【図23】本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型放
出素子の断面図である。
【図24】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示
す断面図である。
【図25】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子の素
子電圧と放出電流との関係を示す図である。
【図26】実施の形態で用いたマルチ電子ビ−ム源の基
板の平面図である。
【図27】本実施の形態で用いたマルチ電子ビ−ム源の
基板の一部断面図である。
【図28】本実施の形態3で用いた基板における表面伝
導型放出素子の配線方法を示す平面図である。
【図29】実施の形態3で用いた画像表示装置の表示パ
ネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図30】実施の形態3で用いた画像表示装置の変調電
極の特性図である。
【図31】本実施の形態の表示パネルの駆動回路の構成
を示すブロック図である。
【図32】図31の駆動回路における動作手順を示すタ
イミングチャートである。
【図33】本発明の実施の形態である画像表示装置を用
いた多機能画像表示装置のブロック図である。
【図34】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示
す図である。
【図35】一般的な電子放出素子のマトリクス配線を説
明する図である。
【符号の説明】
300 マルチ電子源基板 301 可変直流電圧源 302 タイミング制御回路 304 FET 305,405 電流計 306,406 高圧電源 307,407 アノード板 401 パルス発生回路 402 波形反転回路 403,404 配線切替回路 1003 行方向配線 1004 列方向配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−134561(JP,A) 特開 平1−292728(JP,A) 特許3376220(JP,B2) 特許3062987(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/316 H01J 9/44 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各基体上に複数の表面伝導型放出素子が
    配列された複数の基体を有する電子源の製造方法であっ
    て、 前記複数の基体のそれぞれの表面伝導型放出素子の電子
    放出特性を測定する工程と、 前記複数の基体の内、所定電圧に対する表面伝導型放出
    素子よりの電子放出量が他の基体よりも多い対象基体の
    表面伝導型放出素子に前記所定電圧以上の規定電圧を印
    加して、当該表面伝導型放出素子の所定電圧に対する電
    子放出特性を減少させる特性シフト工程と、 前記特性シフト工程により前記複数の基体のそれぞれの
    電子放出特性を略同一にする工程と、 を有することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記規定電圧は、パルスで印加されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記規定電圧値は、前記表面伝導型放出
    素子を駆動する電圧値の最大値よりも大きいことを特徴
    とする請求項1又は2に記載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の基体のそれぞれは、複数の表
    面伝導型放出素子を二次元的に配列し、行方向配線と列
    方向配線により各表面伝導型放出素子をマトリックス状
    に結線していることを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れか1項に記載の電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の基体の内、行方向に同じ位置
    にある基体の行方向配線同士、及び列方向に同じ位置に
    ある基体の列方向配線同士が互いに接続されていること
    を特徴とする請求項4に記載の電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記複数の基体をマトリクス状に配列
    し、同じ行位置に位置する基体の行方向配線同士、及び
    同じ列位置に位置する基体の列方向配線同士を接続する
    工程を更に有することを特徴とする請求項に記載の電
    子源の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基体の行方向配線或は列方向配線の
    いずれかと接続される外部端子を設ける工程を更に有す
    ることを特徴とする請求項に記載の電子源の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 各基体上に複数の表面伝導型放出素子が
    配列された複数の基体を有する電子源と、画像信号を入
    力する入力手段と、前記入力手段により入力された画像
    信号に応じて、前記複数の基体上の表面伝導型放出素子
    を選択して電子源を駆動する駆動手段と、前記駆動手段
    により駆動された電子源から放出される電子により画像
    を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置の製造
    方法であって、 前記電子源は、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法
    にて製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方
    法。
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