JP3236465B2 - 表示装置 - Google Patents

表示装置

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JP3236465B2
JP3236465B2 JP1378895A JP1378895A JP3236465B2 JP 3236465 B2 JP3236465 B2 JP 3236465B2 JP 1378895 A JP1378895 A JP 1378895A JP 1378895 A JP1378895 A JP 1378895A JP 3236465 B2 JP3236465 B2 JP 3236465B2
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  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面伝導型放出素子を
多数有するマルチ電子ビーム源の駆動回路、及び表面伝
導型放出素子を電子ビーム源とする表示装置の駆動回路
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば電界放出型素子(以下FE型と記
す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型
と記す)や、表面伝導型放出素子などが知られている。
【0003】FE型の例としては、たとえば、W.P.
Dyke&W.W.Dolan,“Field emi
ssion”,Advance in Electro
nPhysics,8,89(1956)や、あるい
は、C.A.Spindt,“Physical pr
operties of thin−film fie
ld emission cathodes with
molybdenum cones”,J,App
l.Phys.,47,5248(1976)などが知
られている。
【0004】また、MIM型の例としては、例えば、
C.A.Mead,“Operation of tu
nnel emission Devices,J.A
ppl.Phys.,32,646(1961)などが
知られている。
【0005】また、表面伝導型放出素子としては、たと
えば、M.I.Elinson,Radio Eng.
Electron Phys.,10,1290,(1
965)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平衡に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
02 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972)]や、In2 O3 /
SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell an
d C.G.Fonstad:“IEEE Tran
s.ED Conf.”,519(1975)]や、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、
第1号、22(1983)]などが報告されている。
【0007】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図21に前述のM.Hartwel
lらによる素子の平面図を示す。同図において3001
は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物
よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示
のようにH字形の平面形状に形成されている。該導電性
薄膜3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電
処理を施すことにより、電子放出部3005が形成され
る。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],Wは0.1
[mm]で設定されている。尚、図示の便宜から、電子
放出部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形
状で示したが、これは模式的なものであり、同図は実際
の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけで
はない。
【0008】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと
呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォー
ミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直
流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっく
りとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、
導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしく
は変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部30
05を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは
変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、
亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜
3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記の亀裂
付近において電子放出が行われる。
【0009】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素
子を形成できる利点がある。そこで、たとえば本出願人
による特開昭64−31332において開示されるよう
に、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究さ
れている。
【0010】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0011】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP5,066,883や特開
平2−257551において開示されているように、表
面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍
光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されて
いる。表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用
いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よ
りも優れた特性が期待されている。たとえば、近年普及
してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるた
めバックライトを必要としない点や、視野角が広い点が
優れていると言える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記従来
例に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、製
法、構造の表面伝導型放出素子を試みてきた。さらに、
多数の表面伝導型放出素子を配列したマルチ電子ビーム
源、並びにこのマルチ電子ビーム源を応用した画像表示
装置についての研究を行ってきた。
【0013】発明者らは、例えば図22に示す電子的な
配線方法によりマルチ電子ビーム源を試みてきた。即
ち、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個配列し、こ
れらの素子を図示のようにマトリクス状に配線したマル
チ電子ビーム源である。
【0014】図中、4001は表面伝導型放出素子を模
式的に示したもの、4002は行方向配線、4003は
列方向配線である。行方向配線4002及び列方向配線
4003は、実際には有限の電気抵抗を有するものであ
るが、図においては配線抵抗4004及び4005とし
て示されている。上述の様な配線方法を、単純マトリク
ス配線と呼ぶ。
【0015】なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模は無論これに限った
わけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビー
ム源の場合には、所望の画像表示を行なうのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0016】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4002及び列方向配線
4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マトリ
クスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動する
には、選択する行の行方向配線4002には選択電圧V
sを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002に
は非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方向
配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧V
eを印加する。この方法によれば、配線抵抗4004及
び4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の
表面伝導型放出素子には、Ve−Vsの電圧が印加さ
れ、また非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−Vn
sの電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大
きさの電圧にすれば選択する行の表面伝導型放出素子だ
けから所望の強度の電子ビームが出力されるはずであ
り、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加
すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子
ビームが出力されるはずである。また、表面伝導型放出
素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加
する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時
間の長さも変えることができるはずである。
【0017】したがって、表面伝導型放出素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源はいろいろな応用
可能性があり、たとえば画像情報に応じた電気信号を適
宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に用
いることができる。
【0018】しかしながら、表面伝導型放出素子を単純
にマトリクス配線した電子ビーム源には、実際には以下
に述べるような問題が発生していた。
【0019】即ち、マルチ電子ビーム源を表示装置など
に応用してゆくためには、マルチ電子ビーム源の駆動回
路には、マルチプレクス駆動が可能で、しかも小型化、
集積化が容易で低価格なものが望まれる。しかしなが
ら、マルチ電子ビーム源の駆動回路として上述の特性を
有するものは未だ開示されていない。
【0020】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線し
たマルチ電子ビーム源をマルチプレクス駆動するための
回路に関して、小型化、集積化が容易でしかも低価格化
が容易な駆動回路を用いた表示装置を提供することを目
的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の表示装置は、電子ビームの照射により可視
光を発する蛍光面を備える表示装置であって、マルチ電
子ビーム源と、該マルチ電子ビーム源の駆動回路とを有
しており、前記マルチ電子ビーム源は、基板上に2次元
的に複数個配列形成された表面伝導型放出素子を複数の
行方向配線と複数の列方向配線により単純マトリクス配
線したものであり、かつ前記表面伝導型放出素子は、
電性薄膜に通電を行って亀裂状の部分を形成し、該亀裂
状の部分に通電を行うことにより該亀裂状の部分及びそ
の近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させたものであ
、前記駆動回路は前記複数の行方向配線に接続する走
査回路を有しており、該走査回路は、走査電圧を印加す
るためのスイッチング手段と、前記スイッチング手段
前記走査電圧を印加していない状態の行方向配線に対し
て非走査電圧を印加するクランプ回路を形成するクラン
プ手段とを備える。
【0022】又、好ましくは、前記スイッチング手段は
トランジスタによって構成される。スイッチング手段の
簡易化、小型化、集積化が可能となるからである。
【0023】又、好ましくは、前記クランプ回路は、非
走査電圧にクランプされたダイオードを有する。スイッ
チング手段の簡易化、小型化、集積化が可能となるから
である。
【0024】又、上記の目的を達成する本発明の他の態
様による表示装置は、電子ビームの照射により可視光を
発する蛍光面を備える表示装置であって、マルチ電子ビ
ーム源と、該マルチ電子ビーム源の駆動回路とを有して
おり、前記マルチ電子ビーム源は、基板上に2次元的に
複数個配列形成された表面伝導型放出素子を複数の行方
向配線と複数の列方向配線により単純マトリクス配線し
たものであり、かつ前記表面伝導型放出素子は導電性薄
膜に通電を行って亀裂状の部分を形成し、該亀裂状の部
分に通電を行うことにより該亀裂状の部分及びその近傍
に炭素もしくは炭素化合物を堆積させたものであり、前
記駆動回路は、前記複数の列方向配線に接続する変調回
路を有しており、該変調回路は、変調用電圧を印加する
ためのスイッチング手段と、前記スイッチング手段が前
記変調電圧を印加していない状態の列方向配線に対して
変調オフ電圧を印加するクランプ回路を形成するクラン
プ手段とを備える。
【0025】また、好ましくは、上記構成において、前
記スイッチング手段はトランジスタによって構成され
る。 また、好ましくは、上記構成において、前記クラン
プ回路は、変調オフ電圧にクランプされたダイオードを
備える。
【0026】
【作用】上記の構成によれば、基板上に2次元的に複数
個配列形成された表面伝導型放出素子を複数の行方向
配線と複数の列方向配線により単純マトリクス配線した
マルチ電子ビーム源の駆動回路を備えた表示装置が提供
される。ここで、表面伝導型電子放出素子は、導電性薄
膜に通電を行って亀裂状の部分を形成し、該亀裂状の部
分に通電を行うことにより該亀裂状の部分及びその近傍
に炭素もしくは炭素化合物を堆積させたものである。
の駆動回路において、スイッチング手段は、複数の行方
向配線(あるいは列方向配線)に走査電圧(或いは変調
電圧)を印加し、クランプ手段は、このスイッチング手
が前記走査電圧(変調電圧)を印加していない状態の
行方向配線(列方向配線)に対して非走査電圧(変調オ
フ電圧)を印加するクランプ回路を形成する。従って、
走査電圧(或いは変調用電圧)を印加すべき電極には走
査電圧(変調用電圧)が適正に印加され、走査電圧(変
調用電圧)が印加されない電極には、非走査電圧(変調
オフ電圧)が適正に印加されることになり、動作が安定
する。
【0027】尚、列方向配線についても、変調電圧を印
加するスイッチング手段と、変調オフ電圧を印加するク
ランプ手段により、上記と同様の作用がもたらされる。
【0028】
【実施例】以下に添付の図面を参照して本発明の好適な
実施例を説明する。
【0029】図1は本実施例による駆動回路の構成例を
表すブロック図である。図1を用いて、本実施例を説明
する。図中、Sbは基板、ESは表面伝導型放出素子、
EC1〜ECMは行方向配線、ER1〜ERNは列方向配線であ
り、以上の構成要素よりなる部分をマルチ電子ビーム源
と呼ぶ。このマルチ電子ビーム源では、M×N個の表面
伝導型放出素子を行列上に配置し、各素子を行方向配線
と列方向配線で電気的に接続し、単純マトリクスを構成
している。なお、本図でX方向と平行に並ぶ素子グルー
プを素子行と呼び、本実施例のマルチ電子ビーム源の場
合は、M行の素子行を有している。
【0030】また、点線1で囲まれた回路はマルチ電子
ビーム源の走査側駆動回路であり、マルチ電子ビーム源
の行方向配線の各々について、トランジスタTsとクラ
ンプダイオードDsが接続されている。トランジスタT
sの一端は走査電圧Vs(即ち−VE/2[ボルト]を
出力する電圧源)に接続されている。また、クランプダ
イオードDsのカソードは非走査電圧Vns(即ち0
[ボルト]=グランドレベル)に接続されている。各ト
ランジスタは、自身に接続するゲート信号Gs1〜Gs
mに応じて、オン/オフスイッチング動作を行なう。
【0031】また、点線2で囲まれた回路は変調側駆動
回路であり、マルチ電子ビーム源の列方向配線の各々に
ついて、トランジスタTmとクランプダイオードDmが
接続されている。トランジスタTmの一端は変調オン電
圧Vm(即ち+VE/2[ボルト]を出力する電圧値)
に接続されている。また、クランプダイオードDmのア
ノードは変調オフ電圧Vnm(即ち0[ボルト]=グラ
ンドレベル)に接続されている。各トランジスタは、自
身に接続するゲート信号Gm1〜Gmnに応じて、オン
/オフスイッチング動作を行なう。
【0032】次に、本実施例の回路動作について説明す
る。
【0033】図2は、表面伝導型放出素子ESの一般的
な特性を示すグラフで、横軸は素子に印加する電圧を、
縦軸は素子から放出される電子ビーム電流を表わしてい
る。一般に、冷陰極素子に印加する電圧がある閾値電圧
Vthを越えるまでは、素子からは電子ビームは放出さ
れず、閾値電圧Vth以上の電圧に対しては印加電圧の
増大に伴って放出される電子ビームも増大する。そこ
で、VE/2では電子ビームは放出されないが、VEでは
電子ビームが放出されるような電圧VEを設定すること
は容易にできる。そこで、このように設定した電圧VE
を用いた駆動方法について説明する。
【0034】たとえばマルチ電子ビーム源の中の1行目
の素子行を選択し、そのうちの2〜5列目の電子放出素
子からだけ電子ビームを放出させようとする場合につい
て説明する。図3は、この意図にもとづいて各配線電極
に印加する電圧を示す図である。図のように、行方向配
線電極EC1〜EC6のうち、1行目の配線電極EC1には−
VE/2[V]を、それ以外のEC2〜EC6には0[V]
を印加する。また、列方向配線ER1〜ER6のうち、2〜
5列目の配線電極ER2〜ER5には+VE/2[V]を、
ER1とER6には0[V]を印加する。各電子放出素子に
は、各々の接続している列方向配線電極の電圧と行方向
配線電極の電圧の差電圧が印加されるため、同図中に黒
塗りで示した電子放出素子にはVE[V]が、斜線また
は横線のストライプで示した電子放出素子にはVE/2
[V]が、ドットで示した電子放出素子には0[V]が
印加されることになる。即ち、意図した表面伝導型放出
素子には電子放出閾値を越える電圧VE[V]が印加さ
れ、電子ビームが出力されるが、それ以外の電子放出素
子からは電子ビームが出力されない。
【0035】以上に例示したように、駆動を希望する素
子行の行方向配線電極には−VE/2[V]を、他の素
子行の行方向配線電極には0[V]を印加すれば、駆動
する素子行を選択することが可能である。さらに、選択
した素子行の電子放出素子のうち、電子ビームを出力さ
せようとする列の列方向配線電極には+VE/2[V]
を、電子ビームを出力させない列の列方向配線電極には
0[V]を印加すれば、その意図を達成することができ
る。
【0036】前記図1の回路によれば、各トランジスタ
のゲートに適宜の制御信号を入力することにより、上述
の様な電圧を各配線電極に意図的に印加することが可能
である。
【0037】即ち、トランジスタTsをオンさせれば、
当該トランジスタと接続する行方向配線には−VE/2
[ボルト]が印加され、逆にトランジスタTsをオフさ
せれば当該トランジスタと接続する行方向配線はクラン
プダイオードDsを通じて0[ボルト]と接続される。
【0038】一方、トランジスタTmをオンさせれば、
当該トランジスタと接続する列方向配線には+VE/2
[ボルト]が印加され、逆にトランジスタTmをオフさ
せれば当該トランジスタと接続する列方向配線はクラン
プダイオードDmを通じて0[ボルト]と接続される。
【0039】したがって、前記図3のように電圧を印加
するには、各トランジスタのゲートに適宜の制御信号を
印加し、等価的に図4に示す回路となるよう動作させれ
ば良い。
【0040】次に、本実施例の装置をたとえば画像表示
装置に適用する場合について述べる。即ち、前記マルチ
電子ビーム源から任意のパターンで電子ビームを出力す
る方法を説明する。
【0041】たとえば、図5に示す様に、マルチ電子ビ
ーム源からE字型のパターン(図中に斜線で示す)にし
たがって電子ビームを放出させようと意図した場合を例
にして以下の説明を進める。
【0042】マルチ電子ビーム源を駆動する手順として
は、1行目、2行目、3行目・・・の順に、1行ずつ素
子行を駆動してゆき、図5のE字型パターンを完成させ
てゆく。この駆動手順の時間的な推移を図6の(1)に
示す。
【0043】各素子行を駆動する際の各配線電極への電
圧を印加方法は、先に説明し通りであり、たとえば、1
行目を駆動する場合は、前記図3及び図4で説明したの
と同様に各配線電極に駆動電圧を印加すれば良い。配線
電極EC1〜EC4及びER1〜ER4について、印加される電
圧の時間的推移を図6の(2)〜(9)に示す。
【0044】このような手順に従い前記図1の電気回路
で駆動した場合に、実際に各電子放出素子に係る印加電
圧は、たとえば、図1の中で、A,B,Cで示した3素
子を例に取ると、夫々の電圧波形は、図6の(10)〜
(12)にようになる。
【0045】このような手順で、マルチ電子ビーム源の
全素子を1行づつ順次駆動することにより、所望のパタ
ーンで電子ビームを出力してゆく。出力した電子ビーム
を蛍光体に照射して可視画像を得るが、人間の目にちら
つきが感じられないように毎秒60回程度の繰り返し速
度で繰り返し駆動するのが望ましい。
【0046】次に、本発明を、たとえばNTSC信号を
はじめとする画像信号に基づいて表示する画像表示装置
に実施した例を示す。
【0047】図7は画像表示装置の回路ブロック図、図
8は画像表示装置の動作を説明するためのタイミングチ
ャートである。
【0048】図7において、1は走査側駆動回路、2は
変調側駆動回路、3は表示パネル、4は画像信号のデコ
ーダ、5はタイミング制御回路、6はシフトレジスタ、
7は画像1ライン分の信号容量を持つ1ラインメモリ、
8は変調信号発生器、VHは高電圧電源である。
【0049】まず表示パネル3は上述のマルチ電子ビー
ム源を備え、端子を介して外部の電気回路と電気的に接
続している。即ち、端子Dx1〜Dxmを介して走査側駆動
回路1の出力がパネル内のマルチ電子ビーム源の行方向
配線電極に印加される。また、端子Dy1〜Dynを介して
変調側駆動回路の出力がマルチ電子ビーム源の列方向配
線に、端子Hvを介して高電圧電源VHのたとえば10
[kV]の出力がフェースプレートのメタルバックに印
加される。なお、表示パネル3の構造と製造については
後述する。
【0050】次に、各回路の動作と回路間を結ぶ信号に
ついて説明する。
【0051】まず、外部より供給される画像信号は、デ
コーダ4により同期信号Syncと画像データData
に分離され、それぞれタイミング制御回路5とシフトレ
ジスタ6に対して出力される。(より詳しくは、同期信
号Syncは、画像の1ラインの同期信号たる水平同期
信号と、画像の1画面の同期信号たる垂直同期信号より
なるが、説明の便宜上、両方をまとめて同期信号Syn
cと呼ぶ。また、画像データDataは、カラー画像信
号の場合には、RGBの3原色成分よりなるが、説明の
便宜上、まとめて画像データDataと呼ぶ。
【0052】タイミング制御回路5は、前記同期信号S
yncに基づき、表示装置の各部の動作を整合させるた
めの各種のタイミング制御信号を発生する。
【0053】まず、シフトレジスタ6に対して、表示パ
ネルの1ライン(=n画素)分の画像データをサンプリ
ングしてシリアル/パラレル変換するためのシフトクロ
ックTsftを出力する。Data及びTsftを、図
8のタイムチャートの(1)と(2)に示す。
【0054】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分のデータ(Id1〜Idn)は、前記タイミング制
御回路5の出力するメモリーロードタイミング制御信号
Tmryに基づいてラインメモリ7に蓄積される。図8
のタイムチャートの(3)と(4)に、メモリーロード
タイミング制御信号Tmryと、ラインメモリ7の出力
信号(I’d1〜I’dn)を図示する。
【0055】変調信号発生器8は、前記ラインメモリ7
の出力信号(I’d1〜I’dn)に基づき、変調信号
Gm1〜Gmnを発生する。本実施例では、変調信号発
生器8は、画像データに応じてパルスの長さを変調する
パルス幅変調方式を用いた。
【0056】変調信号Gm1〜Gmnは、変調側駆動回
路2に入力されるが、より詳しくは前記図1で説明した
駆動回路2内のn個のトランジスタTmのゲートに入力
される。
【0057】この構成により、画像データの輝度値が大
きいほど、変調側駆動回路2内のトランジスタTmが長
い期間オンするように動作するものであり、階調性を備
えた表示が可能となる。
【0058】一方、タイミング制御回路5は、表示パネ
ル3内のマルチ電子ビーム源を走査するタイミングを制
御するための制御信号Tscanを発生して、走査信号
発生器10に出力する。走査信号発生器10の出力信号
(Gs1〜Gsm)は、走査側駆動回路1に入力される
が、より詳しくは前記図1で説明した駆動回路1内のm
個のトランジスタTsのゲートに入力される。
【0059】走査信号発生器10及び前記変調信号発生
器8の出力信号を、図8のタイムチャートの(5)及び
(6)に図示する。
【0060】以上、実施例の表示装置の回路の基本構成
と動作について説明した。上記の構成によれば、外部か
ら入力する画像信号に基づいて、表示パネル内のマルチ
電子ビーム源をマルチプレクス駆動し、適宜の電子ビー
ムを放出することが可能である。
【0061】<表示パネルの構成と製造法>次に、本発
明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法
について、具体的な例を示して説明する。
【0062】図9は、前記図7の実施例に用いた表示パ
ネル3の斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの
1部を切り欠いて示している。
【0063】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器を形成している。気密容器を組み立てるに
あたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保
持させるため封着する必要があるが、たとえばフリット
ガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中
で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することに
より封着を達成した。気密性容器内部を真空に排気する
方法については後述する。
【0064】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には表面伝導型放出素子
1002がN×M個形成されている(N,Mは2以上の
正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設
定される。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的
とした表示装置においては、N=3000,M=100
0以上の数を設定することが望ましい。本実施例におい
ては、N=3072,M=1024とした)。前記N×
M個の表面伝導型放出素子は、M本の行方向配線ECと
N本の列方向配線ERにより単純マトリクス配線されて
いる。前記、1001〜1002とEC,ERによって構
成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マル
チ電子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳し
く述べることとする。
【0065】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を固
定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板100
1が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板100
1自体を用いてもよい。
【0066】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施例はカラ
ー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCR
Tの分野で用いられる赤、緑、青の3原色の蛍光体が塗
り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図10の
(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光
体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けて
ある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビー
ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生
じないようにすることや、外光の反射を防止して表示コ
ントラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜の
チャージアップを防止する事などである。黒色の導電体
1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目
的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良
い。
【0067】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図10(A)に示したストライプ状の配列に限られるも
のではなく、たとえば図10(B)に示すようなデルタ
状配列やそれ以外の配列であってもよい。
【0068】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0069】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート
基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAl(アルミ)を真空蒸着する方法により
形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材
料を用いた場合には、メタルバック1009は用いな
い。
【0070】また、本実施例では用いなかったが、加速
電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェ
ースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、
たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0071】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよび
Hvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的
に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子であ
る。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線EC
と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線ER
と、Hvはフェースプレートのメタルバック1009と
電気的に接続している。
【0072】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後排気管を封
止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止
の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッ
ター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たとえ
ばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高
周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲ
ッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マイナ
ス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]の真
空度に維持される。
【0073】以上、本発明実施例の表示パネルの基本構
成と製造を説明した。
【0074】次に、前記実施例の表示パネルに用いたマ
ルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本実施
例の画像表示装置に用いる電子ビーム源は、表面伝導型
放出素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、表
面伝導型放出素子の材料や形状あるいは製法に制限はな
い。しかしながら、発明者らは、表面伝導型放出素子の
中では、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から
形成したものが電子放出特性に優れ、しかも製造が容易
に行える事を見いだしている。したがって、高輝度で大
画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用いるに
は、最も好適であると言える。そこで、上記実施例の表
示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を
微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。そ
こで、まず好適な表面伝導型放出素子について基本的な
構成と製法および特性を説明しその後で多数の素子を単
純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造につい
て述べる。
【0075】<表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法>電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。 <平面型の表面伝導型放出素子>まず最初に、平面型の
表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明す
る。
【0076】図11に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面
図(b)である。図中、1101は基板、1102と1
103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は
通電フォーミング処理により形成した電子放出部、11
13は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0077】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0078】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn2 O3 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体などの中から適宜材
料を選択して用いればよい。電極を形成するには、たと
えば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、
エッチングなどのパターンニング技術を組み合わせて用
いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえば
印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0079】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで
設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好ま
しいのは数マイクロメータより数十マイクロメータの範
囲である。また、素子電極の厚さdについては通常は数
百オングストローム数マイクロメータの範囲から適当な
数値が選ばれる。
【0080】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多衆の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なりあった構造が観測される。
【0081】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0082】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
O2 ,In2 O3 ,PbO,Sb2 O3 ,などをはじめ
とする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,Ce
B6 YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物や、
TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WCなどを
始めとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などを
はじめとする窒化物やSi,Ge,などをはじめとする
半導体や、カーボン、などがあげられ、これらの中から
適宜選択される。
【0083】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したがそのシート抵抗値については、1
0の3乗から10の7乗[オーム/□]の範囲に含まれ
るよう設定した。
【0084】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図11の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順で積層してもさしつかえない。
【0085】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図11においては模式的に示した。
【0086】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物によりなる薄膜で、電子放出部1105およびそ
の近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミ
ング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことに
より形成する。
【0087】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。
【0088】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図11においては模式
的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜11
13の一部を除去した素子を図示した。
【0089】以上、好ましい素子の基本構造を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0090】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。
【0091】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0092】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図12の(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は前記図11と同一である。
【0093】1)まず、図12(a)に示すように、基
板1101上に素子電極1102および1103を形成
する。
【0094】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい)。その後、堆積した電極材料を、フォトリ
ソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、(a)に示した一対の素子電極(1102と110
3)を形成する。
【0095】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。
【0096】形成するにあたっては、まず前記(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶剤とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的に
は、本実施例では主要元素としてPdを用いた。また、
実施例では塗布方法として、ディッピング法を用いた
が、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法を用
いてもよい)。
【0097】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の塗布
による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、
あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0098】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。
【0099】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0100】通電方法をより詳しく説明するために、図
13に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施例の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇
圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニタ
ーするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角波
パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計11
11で計測した。
【0101】実施例においては、たとえば10のマイナ
ス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、たと
えばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を1
0[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.
1[V]づつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加
するたびに1回の割で、モニターパルスPmを挿入し
た。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないよう
に、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定
した。そして、素子電極1102と1103の間の電気
抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ちモ
ニターパルス印加時に電流計1111で計測される電流
が1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、
フォーミング処理に係わる通電を終了した。
【0102】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微粒
子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0103】4)次に、図12の(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。
【0104】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである(図においては、炭素
もしくは炭素化合物によりなる堆積物を部材1113と
して模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うこ
とにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放
出電流を典型的には100倍以上に増加させることがで
きる。
【0105】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物でり、膜厚は500
[オングストローム]いか、より好ましくは300[オ
ングストローム]以下である。
【0106】通電方法をより詳しく説明するために、図
14の(a)に、活性化用電源1112から印加する適
宜の電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定
電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行っ
たが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、
パルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10
[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施例
の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表
面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応
じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0107】図11の(d)に示す1114は該表面伝
導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するた
めのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電
流計1116が接続されている(なお、基板1101
を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う
場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114
として用いる)。
【0108】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図14(b)に示すが、活性化電源11
12からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過と
ともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほと
んど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ
飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を
停止し、通電活性化処理を終了する。
【0109】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導
型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条
件を適宜変更するのが望ましい。
【0110】以上のようにして、図12(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0111】<垂直型の表面伝導型素子>次に、電子放
出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導
型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち垂直
型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0112】図15は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0113】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図11の平面型における素子電極間L
は、垂直型においては段差形成部材1206の段差高L
sとして設定される。なお、基板1201、素子電極1
202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1
204については、前記平面型の説明中に列挙した材料
を同様に用いることが可能である。また、段差形成部材
1206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁
性の材料を用いる。
【0114】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図16の(a)〜(f)は、製造工
程を説明するための断面図で、各部材の表記(参照番
号)は前記図15と同一である。
【0115】1)まず、図16(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0116】2)次に、同図(b)に示すように、段差
形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0117】3)次に、同図(c)に示すように、絶縁
層の上に素子電極1202を形成する。
【0118】4)次に、同図(d)に示すように、絶縁
層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0119】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0120】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図
12(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング
処理と同様の処理を行えばよい)。
【0121】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる(図12(d)を用いて説明した
平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0122】以上のようにして、図16(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0123】<表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性>以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0124】図17に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は、素子の大きさや形状等の設計パラメー
タを変更することにより変化するものであるため、2本
のグラフは各々任意単位で図示した。
【0125】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0126】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0127】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0128】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0129】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0130】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示が面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0131】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。
【0132】<多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造>次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0133】図18に示すのは、前記図9の表示パネル
に用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上に
は、前記図11で示したものと同様な表面伝導型放出素
子が配列され、これらの素子は行方向配線電極ECと列
方向配線電極ERにより単純マトリクス状に配線されて
いる。行方向配線電極ECと列方向配線電極ERの交差す
る部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されてお
り、電気的な絶縁が保たれている。
【0134】図18のA−A’に沿った断面を、図19
に示す。
【0135】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極EC、列方向配線電
極ER、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放
出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配
線電極ECおよび列方向配線電極ERを介して各素子に給
電して通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うこ
とにより製造した。
【0136】図20は、前記説明の表面伝導型放出素子
を電子ビーム源として用いたディスプレイパネルに、た
とえばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報
源より提供される画像情報を表示できるように構成した
多機能表示装置の一例を示すための図である。
【0137】図中2100はディスプレイパネル、21
01はディスプレイパネルの駆動回路、2102はディ
スプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、2
104はデコーダ、2105は入出力インターフエース
回路、2106はCPU、2107は画像生成回路、2
108および2109および2110は画像メモリイン
ターフエース回路、2111は画像入力インターフエー
ス回路、2112および2113はTV信号受信回路、
2114は入力部である(なお、本表示装置は、たとえ
ばテレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方
を含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時
に音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関
係しない音声情報の受信、分離、再生、処理、記憶など
に関する回路やスピーカーなどについては説明を省略す
る)。
【0138】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明してゆく。
【0139】まず、TV信号受信回路2113は、たと
えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて
伝送されるTV画像信号を受信する為の回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、た
とえば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式な
どの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走
査線よりなるTV信号(たとえばMUSE方式をはじめ
とするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化
に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好
適な信号源である。TV信号受信回路2113で受信さ
れたTV信号は、デコーダ2104に出力される。
【0140】また、TV信号受信回路2112は、たと
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路2113と同様に、受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、ま
た本回路で受信されたTV信号もデコーダ2104に出
力される。
【0141】また、画像入力インターフエース回路21
11は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナな
どの画像入力装置から供給される画像信号を取り込むた
めの回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104
に出力される。
【0142】また、画像メモリインターフエース回路2
110は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。
【0143】また、画像メモリインターフエース回路2
109は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を
取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコー
ダ2104に出力される。
【0144】また、画像メモリインターフエース回路2
108は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像
データを記憶している装置から画像信号を取り込むため
の回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ21
04に出力される。
【0145】また、入出力インターフエース回路210
5は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコン
ピュータネットワークもしくはプリンタなどの出力装置
とを接続するための回路である。画像データや文字・図
形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっ
ては本表示装置の備えるCPU2106と外部との間で
制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能で
ある。
【0146】また、画像生成回路2107は、前記入出
力インターフエース回路2105を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU
2106より出力される画像データや文字・図形情報に
もとずき表示用画像データを生成するための回路であ
る。本回路の内部には、たとえば画像データや文字・図
形情報を蓄積するための書き換え可能メモリや、文字コ
ードに対応する画像パターンが記憶されている読み出し
専用メモリや、画像処理を行うためのプロセッサなどを
はじめとして画像の生成に必要な回路が組み込まれてい
る。
【0147】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ2104に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフエース回路2105を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンタに出力すること
も可能である。
【0148】また、CPU2106は、主として本表示
装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わ
る作業を行う。
【0149】たとえば、マルチプレクサ2103に制御
信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号
を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際に
は表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコント
ローラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインタ
レースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を
適宜制御する。
【0150】また、前記画像生成回路2107に対して
画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるい
は前記入出力インターフエース回路2105を介して外
部のコンピュータやメモリをアクセスした画像データや
文字・図形情報を入力する。
【0151】なお、CPU2106は、むろんこれ以外
の目的の作業にも関わるものであって良い。たとえば、
パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのよう
に、情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良
い。
【0152】あるいは、前述したように入出力インター
フエース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークと接続し、たとえば数値計算などの作業を外部
機器と協同して行っても良い。
【0153】また、入力部2114は、前記CPU21
06に使用者が命令プログラム、あるいはデータなどを
入力するためのものであり、たとえばキーボードやマウ
スのほか、ジョイスティック、バーコードリーダ、音声
認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能である。
【0154】また、デコーダ2104は、前記2107
ないし2113より入力される種々の画像信号を3原色
信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するた
めの回路である。なお、同図中に点線で示すように、デ
コーダ2104は内部に画像メモリを備えるのが望まし
い。これは、たとえばMUSE方式をはじめとして、逆
変換するに際して画像メモリを必要とするようなテレビ
信号を扱うためである。また、画像メモリを備えること
により、静止画の表示が容易になる。あるいは前記画像
生成回路2107およびCPU2106と協同して画像
の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする画像
処理や編集が容易に行えるようになるという利点が生ま
れるからである。
【0155】また、マルチプレクサ2103は、前記C
PU2106より入力される制御信号にもとずき表示画
像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプレク
サ2103はデコーダ2104から入力される逆変換さ
れた他像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動
回路2101に出力する。その場合には、一画面表示時
間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわ
ゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分け
て領域によって異なる画像を表示することも可能であ
る。
【0156】また、ディスプレイパネルコントローラ2
102は、前記CPU2106より入力される制御信号
にもとずき駆動回路2101の動作を制御するための回
路である。
【0157】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、たとえばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。
【0158】また、ディスプレイパネルの駆動方法に関
わるものとして、たとえば画面表示周波数や走査方法
(たとえばインターレースかノンインターレースか)を
制御するための信号を駆動回路2101に対して出力す
る。
【0159】また、場合によっては表示画像の輝度やコ
ントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路2101に対して出力する場
合もある。
【0160】また、駆動回路2101は、ディスプレイ
パネル2100に印加する駆動信号を発生するための回
路であり、前記マルチプレクサ2103から入力される
画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ21
02より入力される制御信号にもとずいて動作するもの
である。
【0161】以上、各部の機能を説明したが、図20に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より縫うされる画像情報をディスプレイパネル2
100に表示する事が可能である。
【0162】すなわち、テレビジョン放送をはじめとす
る各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換さ
れた後、マルチプレクサ2103において適宜選択さ
れ、駆動回路2101に入力される。一方、ディスプレ
イコントローラ2102は、表示する画像信号に応じて
駆動回路2101の動作を制御するための制御信号を発
生する。駆動回路2101は、上記画像信号と制御信号
にもとずいてディスプレイパネル2100に駆動信号を
印加する。
【0163】これにより、ディスプレイパネル2100
において画像が表示される。これらの一連の動作は、C
PU2106により統括的に制御される。
【0164】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ2104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路21
07およびCPU2106が関与することにより、単に
複数の画像情報の中から選択したものを表示するだけで
なく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大、縮
小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、
画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合
成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめとす
る画像編集を行う事も可能である。また、本実施例の説
明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と
同様に、音声情報に関しても処理や編集を行うための専
用回路を設けても良い。
【0165】したがって、本表示装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像およ
び動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機
器、ワードプロセッサーをはじめとする事務用端末機
器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能
で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広
い。
【0166】なお、上記図20は、表面伝導型放出素子
を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示
装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定さ
れるものでない事は言うまでもない。たとえば、図20
の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回
路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目
的によってはさらに構成要素を追加しても良い。たとえ
ば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む
送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0167】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルが
容易に薄型化できるため、表示装置全体の奥行きを小さ
くすることが可能である。それに加えて、表面伝導型放
出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画
面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本
表示装置は臨場感にあふれ迫力に富んだ画像を視認性良
く表示する事が可能である。
【0168】以上説明したように、本実施例によれば、
表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の行方向配線に接続する走査回路に、走査電
圧を印加するためのトランジスタTsと、非走査電圧に
クランプされたクランプダイオードDsとを備える。こ
のため、マルチ電子ビーム源のマルチプレクサ駆動が簡
易な構成で可能となる。また、集積化も容易である。
【0169】また本実施例によれば、表面伝導型放出素
子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の列方
向配線に接続する変調回路に、変調オン電圧を印加する
ためのトランジスタTmと、変調オフ電圧にクランプさ
れたクランプダイオードDmとを備える。このため、マ
ルチ電子ビーム源のマルチプレクサ駆動が簡易な構成で
可能となる。また、集積化も容易である。
【0170】また本実施例で説明した表示装置は、小型
・低価格でありながら、カラー画像を階調表示すること
が可能であるため、産業用あるいは民生用として高い利
用価値を有するものである。
【0171】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
面伝導型放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子
ビーム源を備えた表示装置において、該マルチ電子ビー
ム源をマルチプレクス駆動するための駆動回路に関し
て、小型化、集積化が容易でしかも低価格化が容易とな
【0172】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例による駆動回路の構成例を表すブロッ
ク図である。
【図2】実施例で用いた表面伝導型放出素子の特性を表
す図である。
【図3】マルチ電子ビーム源ヘの電圧印加方法を説明す
る図である。
【図4】実施例の駆動回路の動作を説明する図である。
【図5】マルチ電子ビーム源の駆動パターンの1例を示
す図である。
【図6】マルチ電子ビーム源ヘの駆動電圧の印加方法を
示すタイムチャートである。
【図7】実施例の表示装置の回路ブロック図である。
【図8】実施例の表示装置の各部の動作を示すタイムチ
ャートである。
【図9】実施例における画像表示装置の、表示パネルの
一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図10】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列
を例示した平面図である。
【図11】実施例で用いた平面型の表面伝導型放出素子
の平面図(a)、断面図(b)である。
【図12】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示
す断面図である。
【図13】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を
示す図である。
【図14】通電活性化処理の際の印加電圧波形を表す図
(a)、放出電流Ieの変化を表す図(b)である。
【図15】実施例で用いた垂直型の表面伝導型放出素子
の断面図である。
【図16】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示
す断面図である。
【図17】実施例で用いた表面伝導型放出素子の典型的
な特性を示す図である。
【図18】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
平面図である。
【図19】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
一部断面図である。
【図20】実施例における多機能画像表示装置のブロッ
ク図である。
【図21】M.Hartwellらによる素子の平面図
である。
【図22】表面伝導型放出素子をマトリクス状に配線し
たマルチ電子ビーム源を表す図である。
【符号の説明】
Tm、Ts トランジスタ Dm、Ds クランプダイオード
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G09G 3/00 - 3/38 H04N 5/66 - 5/74 H01J 1/30 H01J 29/98 H01J 31/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビームの照射により可視光を発する
    蛍光面を備える表示装置であって、 マルチ電子ビーム源と、 該マルチ電子ビーム源の駆動回路とを有しており、 前記マルチ電子ビーム源は、基板上に2次元的に複数個
    配列形成された表面伝導型放出素子を複数の行方向配線
    と複数の列方向配線により単純マトリクス配線したもの
    であり、かつ前記表面伝導型放出素子は、導電性薄膜に
    通電を行って亀裂状の部分を形成し、該亀裂状の部分に
    通電を行うことにより該亀裂状の部分及びその近傍に炭
    素もしくは炭素化合物を堆積させたものであり、 前記駆動回路は前記複数の行方向配線に接続する走査回
    路を有しており、該走査回路は、走査電圧を印加するた
    めのスイッチング手段と、前記スイッチング手段が前記
    走査電圧を印加していない状態の行方向配線に対して非
    走査電圧を印加するクランプ回路を形成するクランプ手
    段とを備えることを特徴とする表示装置。
  2. 【請求項2】 前記スイッチング手段はトランジスタに
    よって構成されることを特徴とする請求項1に記載の表
    示装置。
  3. 【請求項3】 前記クランプ回路は、非走査電圧にクラ
    ンプされたダイオードを有することを特徴とする請求項
    1に記載の表示装置。
  4. 【請求項4】 電子ビームの照射により可視光を発する
    蛍光面を備える表示装置であって、 マルチ電子ビーム源と、 該マルチ電子ビーム源の駆動回路とを有しており、 前記マルチ電子ビーム源は、基板上に2次元的に複数個
    配列形成された表面伝導型放出素子を複数の行方向配線
    と複数の列方向配線により単純マトリクス配線したもの
    であり、かつ前記表面伝導型放出素子は導電性薄膜に通
    電を行って亀裂状の部分を形成し、該亀裂状の部分に通
    電を行うことにより該亀裂状の部分及びその近傍に炭素
    もしくは炭素化合物を堆積させたものであり、 前記駆動回路は、前記複数の列方向配線に接続する変調
    回路を有しており、該変調回路は、変調用電圧を印加す
    るためのスイッチング手段と、前記スイッチング手段
    前記変調電圧を印加していない状態の列方向配線に対し
    て変調オフ電圧を印加するクランプ回路を形成するクラ
    ンプ手段とを備えることを特徴とする表示装置。
  5. 【請求項5】 前記スイッチング手段はトランジスタに
    よって構成されることを特徴とする請求項4に記載の表
    示装置。
  6. 【請求項6】 前記クランプ回路は、変調オフ電圧にク
    ランプされたダイオードを備えることを特徴とする請求
    項4に記載の表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2676720C1 (ru) * 2018-03-28 2019-01-10 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт электрофизики Уральского отделения Российской академии наук Способ вакуумного ионно-плазменного низкотемпературного осаждения нанокристаллического покрытия из оксида алюминия

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RU2676720C1 (ru) * 2018-03-28 2019-01-10 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт электрофизики Уральского отделения Российской академии наук Способ вакуумного ионно-плазменного низкотемпературного осаждения нанокристаллического покрытия из оксида алюминия

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