JP2000243291A - 画像形成装置の製造方法および画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置の製造方法および画像形成装置

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JP2000243291A
JP2000243291A JP11046166A JP4616699A JP2000243291A JP 2000243291 A JP2000243291 A JP 2000243291A JP 11046166 A JP11046166 A JP 11046166A JP 4616699 A JP4616699 A JP 4616699A JP 2000243291 A JP2000243291 A JP 2000243291A
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voltage
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emitting device
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Izumi Tabata
泉 田畑
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予備駆動やエージングによる電子放出素子の
特性の劣化を防止する。 【解決手段】 複数の電子放出素子を配列した電子源基
板と、電子放出素子が放出する電子により発光する発光
表示板とを真空部を介して対向させた後に、前記電子を
発光表示板に照射して発光表示板の脱ガス処理を行うエ
ージング工程を有する画像形成装置の製造方法におい
て、脱ガス処理(エージング)の前、中間、または後
に、電子放出素子に対して画像形成のための駆動パルス
の電圧よりも高い電圧のパルス電圧を印加するパルス印
加工程を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(表面伝導型)電
子放出素子を用いた画像形成装置の製造方法および画像
形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては大別して熱
電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のも
のが知られている。冷陰極電子放出素子には、電界放出
型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属
型(以下、「MIM型」という。)、表面伝導型電子放
出素子等がある。FE型の例としては、W.P.Dyke&W.W.D
olan, "Fieldemission",Advance in Electron Physics,
8,89(1956)あるいはC.A.Spind t,"PHYSICAL Properties
of thin-film field emission cathodes with molybd
eniumcones",J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等に開示され
たものが知られている。MIM型の例としてはC.A.Mea
d,"Operation of Tunnel-Emission Devices",J .Apply.
Phys.,32,646(1961) 等に開示されたものが知られてい
る。表面伝導型電子放出素子型の例としては、M.I.Elin
son,Radio Eng.Electron Pys.,10,1290,(1965)等に開示
されたものがある。表面伝導型電子放出素子は、基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO2薄膜を用いたもの[M.I.Elinson,Ra
dio Eng.Electron Phys.,10,1290,(1965)] 、Au薄膜
によるもの[G.Dittmer:"ThinSolid Films",9,317(19 7
2)]、In23/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwell an
d C.G.Fonstad:"IEEE Trans.ED Conf.",519(1975)]、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久他:真空、第26巻、第
1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0003】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図24に前述のM.Hartwellらによる
素子の平面図を示す。同図において、1は基板であり、
3はスパッタで形成された金属酸化物よりなる導電性薄
膜である。導電性薄膜3は図示のようにH字形の平面形
状に形成されている。この導電性薄膜3に、後述の通電
フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電
子放出部2が形成される。図中の間隔Lは0.5〜1m
m、幅Wは0.1mmに設定されている。なお図示の便
宜から、電子放出部2は導電性薄膜3の中央に矩形の形
状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子
放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではな
い。M.Hartwellらによる素子をはじめとして上述の表面
伝導型放出素子においては、電子放出を行う前に導電性
薄膜3に通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すこ
とにより電子放出部2を形成するのが一般的である。通
電フォーミングとは、前記導電性薄膜3の両端に一定の
直流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっ
くりとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電
し、導電性薄膜3を局所的に破壊、変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部2を形成する
ことである。なお、局所的に破壊、変形もしくは変質し
た導電性薄膜3の一部には亀裂が発生する。この通電フ
ォーミング後に導電性薄膜3に適宜の電圧を印加した場
合には、前記亀裂付近において電子放出が行われる。
【0004】このような表面伝導型放出素子は、冷陰極
素子の中でも特に構造が単純で製造も容易であることか
ら、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点がある。
そこで例えば本願出願人による特開昭64−31332
号公報において開示されるように、多数の素子を配列し
て駆動するための方法が研究されている。また、表面伝
導型放出素子の応用については、例えば、画像表示装
置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビーム源
等が研究されている。特に画像表示装置への応用として
は、例えば本願出願人によるUSP5,066,88
3、特開平2−257551号公報および特開平4−2
8137号公報において開示されているように、表面伝
導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体
とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されてい
る。このような表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合
わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表
示装置よりも優れた特性が期待されている。例えば、近
年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型で
あるためバックライトを必要としない点や、視野角が広
い点が優れていると言える。上記表面伝導型放出素子を
単純マトリクス配線したマルチ電子源には種々の応用で
きる可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を
適宜印加すれば、画像形成装置用の電子源として好適に
用いることができる。
【0005】本願発明者らは表面伝導型放出素子の特性
を改善するための研究を鋭意行った結果、製造工程にお
いて通電活性化処理を行うことが効果的であることを見
出した。既に述べたように、表面伝導型放出素子の電子
放出部を形成する際には、導電性薄膜に電流を流して、
その薄膜を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質させ
て亀裂を形成する処理(通電フォーミング処理)を行
う。この後、さらに通電活性化処理を行うことにより電
子放出特性を大幅に改善することが可能である。この通
電活性化処理とは、通電フォーミング処理により形成さ
れた電子放出部に適宜の条件で通電を行って、その近傍
に炭素もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことで
ある。例えば、適宜の分圧の有機物が存在し、全圧が1
-4〜10 -5Torrの真空雰囲気中において、所定電
圧のパルスを定期的に印加することにより、電子放出部
の近傍に単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非
晶質カーボンのいずれかか、もしくはその混合物を約5
00Å以下の膜厚で堆積させる。但し、この条件は、ほ
んの一例であって、表面伝導型放出素子の材質や形状に
より適宜変更されるべきであるのは言うまでもない。こ
のような処理を行うことにより、通電フォーミング直後
と比較して、同じ印加電圧における放出電流を、典型的
には約100倍以上にまで増加させることができる。し
たがって、上述の多数の表面伝導型放出素子を利用した
マルチ電子源を製造する際においても、各素子に通電活
性化処理を行うのが望ましい。
【0006】通電活性化終了後には、表面伝導型放出素
子の電子放出特性を安定させる目的で表面伝導型放出素
子に通電しても電子放出部やその近傍に炭素もしくは炭
素化合物が新たに堆積しないように、表面伝導型放出素
子の周辺の真空雰囲気中の有機ガスの分圧を低減させ、
この状態を維持することが必要である。具体的には、雰
囲気中の有機ガスの分圧を10-8Torr以下に低減し
て維持するのが好ましく、さらに可能ならば10-10
orr以下にしておくのが望ましい。なお、有機ガスの
分圧とは、炭素と水素を主成分とし、質量数が13〜2
00の範囲の有機分子の分圧を積算したものをいい、質
量分析器を用いて定量的に測定する。
【0007】この表面伝導型放出素子の周辺環境の有機
ガス分圧を低減する代表的な方法として、表面伝型導放
出素子を形成した基板を内蔵する真空容器を加熱して容
器内の各部材表面に吸着した有機ガス分子を脱着させな
がら、ソーションポンプやイオンポンプなど、オイルを
使用しない真空ポンプを用いて真空排気を行う方法が挙
げられる。このようにして有機ガスの分圧を低減した
後、その状態を維持するには、オイルを使用しない真空
ポンプを用いてその後も排気を継続することにより可能
である。しかし、真空ポンプを備えて常時排気する方法
は、応用目的によっては、容量、消費電力、重量、価格
などの点で不利な場合がある。そこで例えば、表面伝導
型放出素子を画像表示装置に応用する場合には、有機ガ
ス分子を十分に脱着して有機ガスの分圧を低下させた後
で、真空容器内にゲッタ膜を形成するとともに排気管を
封止して状態を維持する。このような処理をすることに
より、通電活性化処理後の表面伝導型放出素子に経時変
化や通電による新たな炭素もしくは炭素化合物が堆積が
起こることが無くなるため、電子放出特性を安定化する
ことができる。
【0008】さらに画像表示を安定させるために、画像
表示駆動を行なう前に通常の駆動電圧より1.05〜
1.5倍の高い電圧で電子源素子を駆動する方法(例え
ば特開平9−259753)や、エージング工程と称す
る電子源の駆動を行ない画像形成装置内の脱ガス処理を
施す方法がある(例えば、特開平9−213224)。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】上記の平板型画像
形成装置は、複数の電子放出素子を配列した電子源基板
と蛍光体等が配された発光表示板を、真空部を介して対
向させて配置することにより構成される。上記画像形成
装置は、走査信号および変調信号を電子源基板に印加す
ることにより各電子放出素子から電子を放出させ、発光
表示板に印加した数kV以上のアノード電圧Vaにより
該電子を加速し、蛍光体に衝突させて発光させることに
より画像を表示する。このような平板型画像形成装置に
おいては、通常、画像表示駆動の前に、電子源および真
空部を安定化させる予備駆動やエージング工程を行う。
予備駆動は、図23に示すように電子放出素子の形成
後、安定駆動を実現するため、平常時の画像表示駆動条
件よりも1.05〜1.5倍の高い電圧で一定時間駆動
するものであり(同図中の領域a)、本発明者らが予備
駆動後の安定化の効果を確認している。
【0010】ところが、上記条件で電子源素子を駆動す
ると、予備駆動初期に、電子源の劣化が著しく、それに
伴い電子源の素子電流値が急激に減少し、配線の電位降
下量が変化することがある。また、エージング駆動条件
を予備駆動と同一にすると、配線の電位降下量の変化に
より、個別の電子源素子に印加される電圧が変動し、個
別素子の電子放出特性がばらついてしまうことがある。
これらの素子劣化に伴う電位降下の補正を駆動ドライバ
で行なうこともできるが、フィードバックが必要とな
り、コストアップ要因となる。
【0011】また、エージング時の電子源駆動条件は、
電子源形成時の電圧より低く、かつ表示駆動電圧より高
くするのが望ましい(同図中の領域b)。しかし、エー
ジング時においては、エージング中のアノード電圧印加
により、フェースプレートなどの構成部材からの脱ガス
により真空雰囲気の変動が起き、電子放出素子に有機物
質や気体成分が新たに堆積して吸着し、素子特性が径時
変化するため、エージング後の画像表示を長期にわたり
安定させることが難しいという問題が生じている。
【0012】上記を鑑み、本発明の目的は、画像形成装
置およびその製法において、上述のような予備駆動やエ
ージングによる電子放出素子の特性の劣化を防止し、も
って安定した信頼性の高い動作を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明では、複数の電子放出素子を配列した電子源基板
と、前記電子放出素子が放出する電子により発光する発
光表示板とを真空部を介して対向させた後に、前記電子
を前記発光表示板に照射して前記発光表示板の脱ガス処
理を行うエージング工程を有する画像形成装置の製造方
法において、前記脱ガス処理の前、中間、または後に、
前記電子放出素子に対して画像形成のための駆動パルス
の電圧よりも高い電圧のパルス電圧を印加するパルス印
加工程を具備することを特徴とする。また、本発明の画
像形成装置はこのような製造方法により製造されたもの
であることを特徴とする。
【0014】これによれば、エージング前に発生した、
真空部内の雰囲気変化等による電子放出素子の特性の変
化が、画像形成のための駆動パルスの電圧よりも高い電
圧のパルス電圧の印加によって矯正される。したがっ
て、高輝度で安定した画像形成装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態におい
ては、真空部は排気またはゲッタにより真空が維持され
る。また、パルス印加工程において印加するパルス電圧
の電圧は、脱ガス処理のために電子放出素子に印加する
パルス電圧の電圧よりも高い。また、電子源基板に電子
放出素子を形成するために導電性薄膜に電子放出部を形
成するフォーミング工程、形成された電子放出部に通電
して素子電流および放出電流を増加させる活性化工程、
および有機物質を排気して前記真空部を形成する安定化
工程を有する。そして、電子放出素子は表面伝導型電子
放出素子である。
【0016】さらに、画像形成に際して電子放出素子が
放出する電子を発光表示板へ向けて加速させるためのア
ノードを設ける工程を有し、パルス印加工程における電
圧パルスの印加はこのアノードに電圧を印加せずに行
う。また、製造された画像形成装置は、表面伝導型電子
放出素子が単純マトリクス配置された電子源を有する。
【0017】以下、本発明の実施形態についてより具体
的に説明する。本発明の画像形成装置の製造方法の好ま
しい実施形態では、図20、21に示すように、電子源
基板および発光表示板を作成後、組み立て工程、真空排
気、ベーキング、封止、ゲッタフラッシュに引き続き、
予備駆動や「エージング工程」と称する脱ガス工程を行
い、さらに画像表示駆動電圧より高い電圧パルスをエー
ジングの前や途中あるいは、終了後に印加する。ここ
で、電子源基板に配置される電子放出素子として表面伝
導型電子放出素子を用いる際には、図22のようにフォ
ーミング、活性化、安定化工程等が適宜行われる。ま
た、図20、21、22では、封止工程の後にエージン
グ工程を記してあるが、逆にエージング後に封止を行っ
てもよい。
【0018】さて、先に述べたように、エージング時の
電子源駆動条件は、電子源形成時の素子電圧より低く、
表示駆動電圧より高くするのが望ましいが、電子源形成
後、直ちに予備駆動条件やエージング条件で電子源素子
を駆動すると、駆動初期に、電子源の劣化が著しく、そ
れに伴い電子源の素子電流値が急激に減少し、配線の電
位降下量が変化することがある。その結果、個別の電子
源素子に印加される電圧が変動し、電子放出特性がばら
ついてしまうことがある。また、エージング中のアノー
ド電圧の印加により、フェースプレートなどの構成部材
からの脱ガスによって真空雰囲気の変動が起き、電子放
出素子に有機物質や気体成分が新たに堆積、吸着し、素
子特性が経時変化するため、エージング後の画像表示を
長期にわたり安定させることが難しいという問題が生じ
ている。
【0019】上記課題に対し、エージング前に適正な駆
動電圧を素子に与え、また、エージング後にも、適正電
圧を印加し、脱ガスの付着による素子特性の変動を抑制
することにより、安定した電子源動作を実現し、画像表
示が安定可能かを鋭意検討した。本発明者が鋭意検討し
たところ、図19(a)に示すように、エージング前
に、画像形成時に加える素子電圧よりも高い電圧パルス
を一定時間印加することにより、予備駆動などで発生し
た脱ガスの影響や素子劣化に伴って起きた共通配線での
電位降下変動でライン内の個別特性が変化していた電子
源の駆動電圧が再度最大駆動電圧としてメモリされ、エ
ージング電圧や画像表示電圧とのマージンが、図19
(b)の電圧パルスを印加しない場合よりも広がり、エ
ージング時の駆動状態が安定することがわかった。
【0020】すなわち、電子源基板形成後、ベーキング
工程などの熱的なプロセスを経たとき、画像形成装置内
の真空雰囲気が変動し、素子に、有機物質や空気の成分
などが新たに堆積して吸着することの影響や、素子劣化
によって素子にかかる電圧が変化することによって、電
子源形成時直後と特性が異なった状態をリセットするの
である。電圧パルスの印加については、例えばマトリッ
クス配線上に電子源を配置してある場合、ライン毎に数
十μ秒〜数ミリ秒のパルス電圧を10〜60Hzの周期
で印加してやればよい。このようにすることで、表示装
置内の雰囲気変動により素子特性が変動しても、当初の
素子特性に戻すことが可能となる。また所定のエージン
グ工程を終了した後も、エージング中に画像表示装置内
の真空雰囲気が変動するに伴い、素子特性が初期とずれ
てくることがあるが、この場合にも画像表示駆動条件よ
り高い駆動パルス電圧を印加することによって、定常動
作が長期にわたり安定化することがわかった。
【0021】このようなエージング工程により、最終的
な定常動作まで可能となった表示装置は、その後の定常
駆動においても安定した画像を表示することができる。
また本エージング工程の手法は、表面伝導型をはじめ、
FE型およびMIM型電子放出素子を搭載したした画像
形成装置に適用可能である。
【0022】本発明に従って画像形成装置を製造する際
には、図21または22に示すように、電子源基板およ
び発光表示板を作成してこれらを組み立ててから、真空
排気、ベーキング、封止、ゲッタフラッシュ等を施した
後、電子源の予備駆動を行ない、画像形成装置の定常動
作(すなわち、画像形成装置を実際に使用するときの動
作であり、使用目的により異なるが、例えばアノード電
圧としてVa=10kV程度における60HzのTV動
作や全面点灯などの動作)に先立ち、エージング工程を
行なう。そこで、まず、本発明の特徴である、エージン
グ前またはエージング途中もしくはエージング後に画像
表示時の駆動電圧よりも高いパルス電圧を電子源に印加
する工程について説明し、その後、本発明の画像形成装
置に適用可能な表面伝導型電子放出素子の構成、製法お
よび特性について述べ、さらに、本発明の画像形成装置
の構成および製造方法について説明する。
【0023】<エージング工程>エージング工程は、図
21および22に示すように、電子源基板および発光表
示板を作成してこれらを組み立ててから、真空排気、ベ
ーキング、封止、ゲッタフラッシュ等を施した後、画像
形成装置の定常動作に先立ち、行う工程である。定常動
作とは、画像形成装置を実際に使用するときの動作であ
り、使用目的により異なるが、例えばアノード電圧Va
=10kV程度における60HzのTV動作や全面点灯
などの動作をいう。このエージング工程では、エージン
グの前、途中、または後に、次のようにして、画像表示
時の駆動電圧より高い電圧のパルスを電子源に印加す
る。これは、電子放出素子の駆動状態をより安定させ、
エージング時および画像表示時の特性を安定させるため
のものである。
【0024】すなわち、例えばマトリックス配線上に電
子源を配置してある場合、電圧パルスの印加は、ライン
毎に30μ秒〜1ミリ秒のパルス電圧を10〜60Hz
の周期で行い、各ライン毎に10秒〜1分間駆動する。
パルス幅は素子が劣化しない程度に短い方が望ましく、
駆動時間は表示装置内の雰囲気やエージング条件に応じ
て、適宜決定する。また、画像表示の駆動時より高い電
圧のパルスを印加するときには、フェースプレートから
の脱ガスによる電子源の劣化を避けるために、アノード
電圧は印加しない方が望ましい。電圧印加手段として
は、エージング装置をそのまま使うことができ、その場
合は、駆動条件の設定変更だけで良く、作業も非常に容
易である。このような条件で、図20(a)または
(b)に示すように、エージングの前または途中におい
て画像表示駆動より高い電圧のパルスを印加することす
ることによって、表示装置内の雰囲気変動により素子特
性が変動しても、適正な素子特性に戻すことが可能とな
る。また、図20(c)のように、所定のエージング工
程を終了した後において、画像表示駆動の場合より高い
電圧の駆動パルスを印加することによって、エージング
中に画像表示装置内の真空雰囲気が変動するに伴って起
きた素子特性のずれも矯正でき、定常動作を長期にわた
り安定化することができる。
【0025】<表面伝導型電子放出素子の構成>次に、
本発明の画像形成装置に適用し得る表面伝導型電子放出
素子について説明する。表面伝導型電子放出素子の基本
的構成には大別して、平面型および垂直型の2つがあ
る。まず、平面型表面伝導型電子放出素子について説明
する。
【0026】図1は、本発明の適用可能な平面型表面伝
導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、図1
(a)は平面図、図1(b)は断面図である。図1にお
いて、1は基板、4と5は基板上の素子電極、3は素子
電極4および5間に設けられた導電性薄膜、2は導電性
薄膜3中に形成された電子放出部である。基板1として
は石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラ
ス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等により形成
したSiO2を積層したガラス基板、アルミナ等のセラ
ミックス、Si基板等を用いることができる。対向する
素子電極4との材料としては、一般的な導体材料を用い
ることができる。これは例えばNi、Cr、Au、M
o、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属あるは
合金、Pd、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金
属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導
体、In23−SnO2等の透明導電体、ポリシリコン
等の半導体導体材料等から適宜選択することができる。
【0027】素子電極4と5間の間隔L、素子電極4と
5の長さW、導電性薄膜3の形状等は、応用される形態
等を考慮して設計される。間隔Lは、数千Å〜数百μm
の範囲が好ましく、また、素子電極間に印加する電圧等
を考慮して数μm〜数十μmの範囲とするのがより好ま
しい。長さWは、電極の抵抗値、電子放出特性等を考慮
して、数μm〜数百μmの範囲とすることができる。素
子電極4、5の膜厚dは、数百Å〜数μmの範囲とする
ことができる。なお、図1に示した構成に限られず、基
板1上に、導電性薄膜3、対向する素子電極4と5の順
に積層した構成とすることもできる。
【0028】導電性薄膜3には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極4、5へのステップカ
バレージ、素子電極4、5間の抵抗値、後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、数
Å〜数千Åの範囲とするのが好ましく、10Å〜500
Åの範囲がより好ましい。その抵抗値は、Rsが102
〜107Ω/ □の値である。なおRsは、厚さt、幅
w、長さLの薄膜の抵抗Rを、R=Rs(L/w)とお
いたときに現れる。本明細書において、フォーミング処
理については、通電処理を例に挙げて説明するが、フォ
ーミング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂
を生じさせて高抵抗状態を形成する処理を包含するもの
である。導電性薄膜3を構成する材料は、Pd、Pt、
Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Z
n、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、Sn
2、In23、PbO、Sb23等の酸化物、Hf
2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の
硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、W
C等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、S
i、Ge等の半導体、カーボン等の中から適宜選択され
る。
【0029】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態、あるいは微粒子が互いに隣接または
重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体と
して島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は数Å〜数千Åの範囲、好ましくは1
0Å〜200Åの範囲である。なお、本明細書では頻繁
に「微粒子」という言葉を用いるので、その意味につい
て説明する。小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく、原子の数が数百個程度以下のものを
「クラスタ」と呼ぶことは、広く行われている。しかし
ながら、それぞれの境は厳密なものではなく、どのよう
な性質に注目して分類するかにより変化する。また「微
粒子」と「超微粒子」を一括して「微粒子」と呼ぶ場合
もあり、本明細書中での記述はこれに沿ったものであ
る。
【0030】「実験物理学講座14表面・微粒子」(木
下是雄編、共立出版1986年9月1日発行)では次のよう
に記述されている。「本稿で微粒子と言うときにはその
直径がだいたい2〜3μm程度から10nm程度までと
し、特に超微粒子というときは粒径が10nm程度から
2〜3nm程度までを意味することにする。両者を一括
して単に微粒子と書くこともあってけっして厳密なもの
ではなく、だいたいの目安である。粒子を構成する原子
の数が2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと
呼ぶ。」(195ページ22〜26行目)。付言する
と、新技術開発事業団の“林・超微粒子プロジェクト”
での「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小さ
く、次のようなものであった。「創造科学技術推進制度
の“超微粒子プロジェクト”(1981〜1986)では、粒子
の大きさ(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを
“超微粒子”(ultra fineparticle)と呼ぶことにした。
すると1個の超微粒子はおよそ100〜108個くらい
の原子の集合体ということになる。原子の尺度でみれば
超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超微粒子−創造
科学技術」林主税、上田良二、田崎明編;三田出版1988
年2ページ1〜4行目)、「超微粒子よりさらに小さい
もの、すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個の
粒子は、ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ページ
12〜13行目)。上記のような一般的な呼び方をふま
えて、本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分
子の集合体であって、粒径の下限は数Å〜10Å程度、
上限は数μm程度のものを指すこととする。
【0031】電子放出部2は、導電性薄膜3の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜3の
膜厚、膜質、材料および後述する通電フォーミング等の
手法等に依存したものとなる。電子放出部2の内部に
は、数Å〜数百Åの範囲の粒径の導電性微粒子が存在す
る場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜3を構
成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有す
るものとなる。電子放出部2およびその近傍には炭素お
よび炭素化合物を有する。炭素および炭素化合物とは、
例えばグラファイト(いわいるHOPG’,PG(,G
C)を包含し、HOPGはほぼ完全なグラファイトの結
晶構造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや
乱れたもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造
の乱れがさらに大きくなったものを指す。)や、非晶質
カーボン(アモルファスカーボンおよびアモルファスカ
ーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)
であり、その膜厚は、500Å以下の範囲とするのが好
ましく、300Å以下の範囲とすることがより好まし
い。
【0032】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図2は、本発明に適用できる垂直型表面
伝導型電子放出素子の一例を示す模式図である。図2に
おいては、図1に示した部位と同じ部位には図1に付し
た符号と同一の符号を付している。図2中の21は段さ
形成部である。基板1、素子電極4および5、導電性薄
膜3、電子放出部2は、前述した平面型表面伝導型電子
放出素子の場合と同様の材料で構成することができる。
段さ形成部21は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
で形成されたSiO2等の絶縁性材料で構成することが
できる。段さ形成部21の膜厚は、先に述べた平面型表
面伝導型電子放出素子の素子電極間の間隔Lに対応し、
数千Å〜数十μmの範囲とすることができる。この膜厚
は、段さ形成部21の製法および素子電極間に印加する
電圧を考慮して設定されるが、数百Å〜数μmの範囲が
好ましい。導電性薄膜3は、素子電極4および5と段さ
形成部21作成後に、素子電極4、5の上に積層され
る。電子放出部2は、図2においては、段差形成部21
に形成されているが、作成条件、フォーミング条件等に
依存し、形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0033】次に、表面伝導型電子放出素子の製法につ
いて説明する。上述の表面伝導型電子放出素子の製造方
法としては様々な方法があるが、その一例を図3に模式
的に示す。以下、図1および図3を参照しながら製造方
法の一例について説明する。図3においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
【0034】まず、基板1を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積させ、そして、例えばフォトリ
ソグラフィ技術を用いて基板1上に素子電極4、5を形
成する(図3(a))。次に、素子電極4、5を設けた
基板1に有機金属溶液を塗布して有機金属薄膜を形成す
る。有機金属溶液には、前述の導電性膜3の材料の金属
を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いることがで
きる。そして有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオ
フ、エッチング等によりパターニングし、導電性薄膜3
を形成する(図3(b))。なおここでは、有機金属溶
液の塗布法を挙げて説明したが、導電性薄膜3の形成法
はこれに限られるものでなく、真空蒸着法、スパッタ
法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、
スピンナ法等を用いることもできる。
【0035】次に、フォーミング工程を施す。このフォ
ーミング工程の方法の一例として通電処理による方法を
説明する。素子電極4、5間に、不図示の電源を用い
て、通電を行うと、導電性薄膜3の部位に、構造の変化
した電子放出部5が形成される(図3(c))。通電フ
ォーミングによれば、導電性薄膜3に、局所的に破壊、
変形、変質等の構造の変化した部位が形成される。該部
位が電子放出部5を構成する。通電フォーミングの電圧
波形の例を図4に示す。電圧波形は、パルス波形が好ま
しい。これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連
続的に印加する図4(a)に示した手法と、パルス波高
値を増加させながら電圧パルスを印加する図4(b)に
示した手法がある。図4(a)におけるT1およびT2
は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通常、T1
は1μ秒〜10m秒、T2は10μ秒〜100m秒の範
囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミング時
のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の形態に応
じて適宜選択される。このような条件のもとで、例えば
数秒〜数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に
限定されるものではなく、矩形波など所望の波形を採用
することができる。図4(b)におけるT1およびT2
は、図4(a)に示したのと同様とすることができる。
三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)
は、例えば0. 1Vステップ程度づつ増加させることが
できる。通電フォーミング処理の終了は、パルス間隔T
2中に、導電性薄膜2を局所的に破壊または変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0. 1V程度の電圧印加により流れる素子
電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示
した時に通電フォーミングを終了させる。
【0036】フォーミングを終えた素子には、活性化工
程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流Ifおよび放出電流Ie
が、著しく変化する工程である。活性化工程は、例え
ば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォー
ミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことによって
行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプ
やロータリポンプなどを用いて真空容器内を排気した場
合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成するこ
とができる他、イオンポンプなどにより一旦、十分に排
気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することに
よっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス
圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質
の種類などにより異なるため、場合に応じて適宜設定さ
れる。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、
アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アル
コール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノ
ール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げるこ
とができる。具体的には、メタン、エタン、プロパンな
どのCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プ
ロピレンなどのCn2n等の組成式で表される不飽和炭
化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノー
ル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フ
ェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
この処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭
素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If
および放出電流Ieが、著しく変化するようになる。活
性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを
測定しながら、適宜行う。なお、印加するパルスのパル
ス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定され
る。
【0037】このような工程を経て得られた電子放出素
子に対しては、安定化工程を行うことが好ましい。この
工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。
真空容器内の圧力は、1〜3×10-7Torr以下が好
ましく、さらに1×10-8Torr以下が特に好まし
い。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生
するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイ
ルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的に
は、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装
置を挙げることができる。さらに真空容器内を排気する
ときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、
電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくす
るのが好ましい。このときの加熱条件は80〜200℃
で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限るもので
はなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成
などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
【0038】<表面伝導型電子放出素子の特性>次に、
表面伝導型電子放出素子の基本特性について図5および
図6を参照しながら説明する。図5は、真空処理装置の
一例を示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価
装置としての機能をも兼ね備えている。図5において
も、図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号
と同一の符号を付している。図5において、55は真空
容器であり、56は真空容器55に接続された排気ポン
プである。真空容器55内には電子放出素子が配されて
いる。すなわち、1は電子放出素子を構成する基体であ
り、4および5は素子電極、3は導電性薄膜、2は電子
放出部である。51は電子放出素子に素子電圧Vfを印
加するための電源、50は素子電極4、5間の導電性薄
膜3を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、5
4は素子の電子放出部2より放出される放出電流Ieを
捕捉するためのアノード電極である。53はアノード電
極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の
電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定するた
めの電流計である。一例として、アノード電極54の電
圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極54と
電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲として
測定を行うことができる。真空容器55内には不図示の
真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けら
れており、所望の真空雰囲気下での測定評価が行えるよ
うになっている。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロ
ータリーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオ
ンポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されて
いる。ここに示した電子源基板を配した真空処理装置の
全体は、不図示のヒータにより200度まで加熱でき
る。したがって、この真空処理装置を用いると、前述の
通電フォーミング以降の工程も行うことができる。
【0039】図6はこの真空処理装置を用いて測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfとの
関係を模式的に示す図である。図6においては、放出電
流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意
単位で示している。なお、縦・横軸ともリニアスケール
である。図6からも明らかなように、本発明が適用可能
な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して3
つの特徴的性質を有する。すなわち、第1に、本素子は
ある電圧(しきい値電圧と呼ぶ;図6中のVth)以上
の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、
一方、しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほと
んど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確
なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。第2
に、放出電流Ieが素子電圧Vfに対して単調増加して
依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。第3に、アノード電極54に捕捉される放出電荷
は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、
アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vf
を印加する時間により制御できる。以上の説明から理解
されるように、表面伝導型電子放出素子は、入力信号に
応じて、電子放出特性を容易に制御できる。この性質を
利用すると、複数の電子放出素子を配して構成した電子
源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0040】<画像形成装置の構成>表面伝導型電子放
出素子の複数個を基板上に配列した本発明の画像形成装
置の構成について、図8と図9および図10を用いて説
明する。図8は、画像形成装置の表示パネルの一例を示
す模式図であり、図9は、図8の画像形成装置に使用さ
れる蛍光膜の模式図である。図10は、NTSC方式の
テレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を
示すブロック図である。
【0041】図8において、71は電子放出素子を複数
配した電子源基板、86は該電子源基板に真空部を介し
て対向させて設けられた発光表示板(フェースプレー
ト)である。81は電子源基板71を固定したリアプレ
ート、82は支持枠であり、支持枠82には、リアプレ
ート81とフェースプレート86がフリットガラス等を
用いて接続されている。88は外囲器であり、例えば大
気中あるいは、窒素中で400〜500度の温度範囲で
10分以上焼成することによって、封着して構成され
る。電子源基板と発光表示板の間隔は数mmから数10
mm程度である。2は、図1における電子放出部に相当
する。4と5は表面伝導型電子放出素子の素子電極であ
り、X方向配線72およびY方向配線73に接続され
る。外囲器88は、上述の如く、フェースープレート8
6、支持枠82およびリアプレート81で構成される。
リアプレート81は主に基板71の強度を補強する目的
で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持つ場
合は別体のリアプレート81は不要とすることができ
る。すなわち、基板71に直接支持枠82を封着し、フ
ェースプレート86、支持枠82および基板71で外囲
器88を構成しても良い。一方、フェースープレート8
6およびリアプレート81間に、スペーサとよばれる不
図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十
分な強度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0042】本発明の画像形成装置は、電子源基板に走
査信号および変調信号を信号発生手段よりそれぞれ印加
することによって電子を放出させ、この電子ビームを、
発光表示板に高圧端子HVを通じて数kV以上のアノー
ド電圧Vaを印加することにより加速して蛍光膜に衝突
させ、蛍光膜を励起・発光させることによって画像を表
示する。
【0043】以下、各構成部材について説明する。ま
ず、発光表示板86すなわちフェースプレートについて
説明する。発光表示板は、ガラス基板83に蛍光膜84
とメタルバック85等を形成することによって構成され
る。図9は、蛍光膜84を示す模式図である。蛍光膜8
4は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成するこ
とができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列に
よりブラックストライプあるいはブラックマトリクスな
どと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成す
ることができる。ブラックストライプやブラックマトリ
クスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三
原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くするこ
とによって混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84
における外光反射によるコントラストの低下を抑制する
ことにある。ブラックストライプの材料としては、通常
用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性が
あり、光の透過および反射が少ない材料を用いることが
できる。ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法は、モ
ノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採用
できる。
【0044】蛍光膜84の内面側には、通常、メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光体を保護すること等である。メタル
バック85は、蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の内面
側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれ
る。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積さ
せることによって作製できる。フェースプレート86に
は、さらに、蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜
84の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。前
述の封着を行う際には、カラーの場合は各色蛍光体と電
子放出素子とを対応させる必要があり、十分な位置合せ
が不可欠となる。
【0045】次に、電子源基板について説明する。電子
源基板における電子放出素子の配列については、種々の
ものが採用できる。一例として、並列に配置した多数の
電子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行
を多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方
向(列方向と呼ぶ)に、電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これ
とは別に、電子放出素子をX方向およびY方向に行列状
に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の
電極の一方をX方向の配線に共通に接続し、同じ列に配
された複数の電子放出素子の電極の他方をY方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0046】本発明で使用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおりの3つの特性がある。す
なわち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、し
きい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加するパ
ルス状電圧の波高値と幅によって制御できる。一方、し
きい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によ
れば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、
個々の素子にパルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号
に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放出
量を制御できる。以下、この原理に基づき、電子放出素
子を複数配して得られる電子源基板について、図7を用
いて説明する。
【0047】図7において、71は電子源基板、72は
X方向配線、73はY方向配線である。74は表面伝導
型電子放出素子、75は結線である。なお、表面伝導型
電子放出素子74は、前述した平面型あるいは垂直型の
どちらであってもよい。m本のX方向配線72(DX
1、DX2、…、DXm)は、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成する
ことができる。配線の材料、膜厚、幅等は、適宜設計さ
れる。Y方向配線73(DY1、DY2、…、DYn)
はn本の配線よりなり、X方向配線72と同様にして形
成される。これらm本のX方向配線72とn本のY方向
配線73との間には、不図示の層間絶縁層が設けられて
おり、両者を電気的に分離している。なお、m、nは共
に正の整数である。不図示の層間絶縁層は、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2
等で構成される。例えば、X方向配線72を形成した基
板71の全面あるいは一部に所望の形状で形成され、特
に、X方向配線72とY方向配線73の交差部の電位差
に耐え得るように、膜厚、材料、製法等が適宜設定され
る。X方向配線72とY方向配線73は、それぞれ外部
端子として引き出されている。
【0048】表面伝導型放出素子74を構成する一対の
電極(不図示)は、m本のX方向配線72およびn本の
Y方向配線73に対して導電性金属等からなる結線75
によって電気的に接続されている。配線72と配線73
を構成する材料、結線75を構成する材料および一対の
素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部あるい
は全部が同一であっても、またそれぞれ異なっていても
よい。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より
適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が
同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電
極ということもできる。X方向配線72には、X方向に
配列した表面伝導型放出素子74の行を選択するための
走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続さ
れる。一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表
面伝導型放出素子74の各列を入力信号に応じて変調す
るための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電
子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加さ
れる走査信号と変調信号の差電圧として供給される。上
記構成においては、単純なマトリクス配線を用いて個別
の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0049】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルにNTSC方式のテレビ信号に基
づいたテレビジョン表示を行うための駆動回路の構成例
について、図10を用いて説明する。同図において、1
01は画像表示表示パネル、102は画像表示パネル1
01に走査信号を印加する走査回路、103は各部を制
御する制御回路、104は画像1ライン分のデータをシ
リアル/パラレル変換するシフトレジスタ、105はシ
フトレジスタ104からの画像1ライン分のデータを必
要時間の間だけ記憶するラインメモリ、106は同期信
号分離回路、107はラインメモリ105の出力に基づ
いて変調信号を発生させて画像表示パネル101に印加
する変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源であ
る。
【0050】表示パネル101は、端子Dx1〜Dx
m、端子Dy1〜Dyn、および高圧端子Hvを介して
外部の電気回路と接続している。端子Dx1〜Dxmに
は、表示パネル101内に設けられている電子源、すな
わち、M行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝
導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する
ための走査信号が印加される。端子Dy1〜Dynに
は、前記走査信号により選択された一行の表面伝導型電
子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御するための
変調信号が印加される。高圧端子Hvには、直流電圧源
Vaにより、例えば10kVの直流電圧が供給される
が、これは表面伝導型電子放出素子から放出される電子
ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与
するための加速電圧である。
【0051】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子S1〜Smを備え
る。各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧
もしくは0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択
し、表示パネル101の端子Dx1〜Dxmと電気的に
接続される。各スイッチング素子S1〜Smは、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。直
流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導型電子放出素
子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき、走査され
ていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値
電圧以下となるような一定電圧を出力するように設定さ
れている。制御回路103は、外部から入力される画像
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期
信号分離回路106から送られる同期信号Tsyncに
基づいて、各部に対して各制御信号Tscan、Tsf
tおよびTmryを発生する。同期信号分離回路106
は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から
同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路で
あり、一般的な周波数分離(フィルタ)回路等を用いて
構成できる。同期信号分離回路106により分離された
同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、
ここでは説明の便宜上信号Tsyncとして図示した。
前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は便
宜上信号DATAと表した。信号DATAはシフトレジ
スタ104に入力される。シフトレジスタ104は、時
系列的にシリアルに入力される信号DATAを、画像の
1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもの
で、制御回路103より送られる制御信号Tsftに基
づいて動作する。すなわち、制御信号Tsftは、シフ
トレジスタ104のシフトクロックであるということも
できる。シリアル/パラレル変換された、電子放出素子
N素子分の駆動データに相当する画像1ライン分のデー
タは、N個の並列信号Id1〜Idnとしてシフトレジ
スタ104から出力される。
【0052】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路103から送られる制御信号Tmryに従
って適宜信号Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、信号Id1’〜Idn’として出力され、
変調信号発生器107に入力される。変調信号発生器1
07は、画像データId1’〜Idn’の各々に応じて
表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調するた
めの信号源であり、その出力信号は、端子Dy1〜Dy
nを通じて表示パネル101内の表面伝導型電子放出素
子に印加される。
【0053】前述したように、本発明で使用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧V
thがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子
放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対して
は、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化す
る。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する
場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても
電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を
印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パ
ルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビー
ムの強度を制御することが可能である。また、パルスの
幅Pwを変化させることにより、出力される電子ビーム
の電荷の総量を制御することが可能である。したがっ
て、入力信号に応じて、電子放出素子を変調する方式と
しては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が採用でき
る。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生
器107として、一定長さの電圧パルスを発生し、入力
されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するよ
うな電圧変調方式の回路を用いることができる。パルス
幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器10
7として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力さ
れるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するよう
なパルス幅変調方式の回路を用いることができる。
【0054】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5としては、デジタル信号式、アナログ信号式のいずれ
のものも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変
換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路1
06の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があ
るが、これには出力部106にA/D変換器を設ければ
良い。これに関連してラインメモリ105の出力信号が
デジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器
107に用いられる回路が若干異なったものとなる。す
なわち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変
調信号発生器107には、例えばD/A変換回路を用
い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変
調方式の場合、変調信号発生器107には、例えば高速
の発振器、発振器の出力する波数を計数する計数器(カ
ウンタ)および計数器の出力値と前記メモリの出力値を
比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用
いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調さ
れた変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にま
で電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発
生器107には、例えばオペアンプなどを用いた増幅回
路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路などを付
加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例
えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用でき、必要
に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0055】このような構成をとり得る本発明の適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynを介して電
圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子
Hvを介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0056】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明が適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL、SECAM等の方式の
他、これよりも多数の走査線からなるTV信号、例えば
MUSE方式をはじめとする高品位TVのような方式を
も採用できる。
【0057】次に、はしご型配置の電子源基板からなる
画像形成装置について図11および図12を用いて説明
する。図11は、はしご型配置の電子源の一例を示す模
式図である。図11において、110は電子源基板、1
11は電子源基板110上に形成された電子放出素子で
ある。112(D1〜D10)は、電子放出素子111
を接続するための共通配線である。電子放出素子111
は、基板110上に、X方向に並列に複数個配されてい
る。これを素子行と呼ぶ。この素子行が複数個配され
て、電子源を構成している。各素子行の共通配線間に駆
動電圧を印加することによって、各素子行を独立に駆動
させることができる。すなわち、電子ビームを放出させ
たい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子
ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値以下
の電圧を印加する。各素子行間の共通配線D2〜D9
は、例えばD2およびD3を同一配線とすることもでき
る。
【0058】図12は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。120はグリッド電極、121はグリッド電極1
20に設けられた、電子が通過するため空孔、122
(D1、D2、…、Dm)は容器外端子である。123
(G1、G2、…、Gn)はグリッド電極120に接続
された容器外端子、110は各素子行間の共通配線を同
一配線とした電子源基板である。図12においては、図
8や図11に示した部位と同じ部位には、これらの図に
付したのと同一の符号を付している。図12の画像形成
装置と、図8の単純マトリクス配置の画像形成装置との
大きな違いは、電子源基板110とフェースプレート8
6の間にグリッド電極120を備えているか否かであ
る。
【0059】図12においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、表面伝導型放出素子か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビ−ムを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリ
ッドの形状や設置位置は図12に示したものに限定され
るものではない。例えば、開口としてはメッシュ状に多
数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型
放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。容器外端
子122およびグリッド容器外端子123は、不図示の
制御回路に電気的に接続されている。
【0060】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのに同期して、グリッド電
極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。こ
れにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画
像を1ラインずつ表示すことができる。
【0061】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピュータ等の
表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プ
リンタとしての画像形成装置等としても用いることがで
きる。
【0062】<画像形成装置の製造方法>上述の画像形
成装置の製造方法としては様々な方法があるが、その一
例を以下に示す。 (1)電子源基板形成 電子源基板の製造方法としては様々な方法があるが、製
造方法を図13および図14を用いて説明する。図13
は電子源基板の一部の平面図である。図14は図13の
A−A’断面図である。但し、図13および図14にお
いて、同じ符号を付したものは同じものを示す。これら
の図において、1は基板、72は図7の配線Dx1〜D
xmに対応するX方向配線(下配線とも呼ぶ)、73は
図7の配線Dy1〜Dynに対応するY方向配線(上配
線とも呼ぶ)、4および5は素子電極、3は素子電極4
および5間に形成された導電性薄膜、151は層間絶縁
層、152は素子電極5と下配線72とを電気的に接続
するためのコンタクトホールである。
【0063】この電子源基板の製造に際しては、まず、
基板1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗
浄した後、下配線72、層間絶縁層151、上配線7
3、および素子電極4と5を形成する。これらの配線お
よび電極の形成には、真空蒸着法、スパッタ法、印刷お
よびフォトリソグラフィ技術等を用いることができる。
次に、配線および素子電極4と5を設けた基板1に、有
機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性膜3の材料の金属を主元素
とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。そ
して、塗布した有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフト
オフ、エッチング等によりパターニングして導電性薄膜
3を形成する。ここでは、有機金属溶液を塗布する方法
を挙げて説明したが、導電性薄膜3の形成法はこれに限
られるものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気
相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナ法等
を用いることもできる。
【0064】(2)発光表示板(フェースプレート)形
成 ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法としては、スラ
リー法等を用いることができる。また、蛍光膜84の内
面側には、通常、メタルバック85が設けられるが、メ
タルバック85は、蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の
内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれ
る)を行い、その後、Alを真空蒸着することによって
作製できる。フェースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導伝性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)が設けられる場合もある。
【0065】(3)封着 次に、封着技術を用いて図8と図9に示すような外囲器
を作成する。前述した電子源基板71、リアプレート8
1および発光表示板86を、支持枠82およびスペーサ
を介して配置する。そして、フェースプレート86、支
持枠82およびリアプレート81を、それらの接合部に
フリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中
で焼成することによって封着する。封着を行う際、カラ
ーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなく
てはいけないため、十分な位置合せを行う。また、同様
な封着技術により、後のエージング工程で使用する真空
計を外囲器に接続することができる。
【0066】(4)排気 以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気
管(図示せず)を通じ真空ポンプにより排気する。
【0067】(5)フォーミング 次に、フォーミング工程を施す。このフォーミング工程
の方法の一例として、通電処理による方法を説明する。
配線を介して素子電極4および5間に不図示の電源を用
いて通電を行うと、導電性薄膜3の部位に、構造の変化
した電子放出部2が形成される。通電フォーミングによ
れば導電性薄膜3に、局所的に破壊、変形、変質等の構
造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出部2
を構成する。
【0068】通電フォーミングの電圧波形の例を図4に
示す。電圧波形は、パルス波形が好ましい。これにはパ
ルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する図
4(a)に示した手法とパルス波高値を増加させなが
ら、電圧パルスを印加する図4(b)に示した手法があ
る。図4(a)におけるT1およびT2は電圧波形のパ
ルス幅とパルス間隔である。通常、T1は1μ秒〜10
m秒、T2は10μ秒〜100m秒の範囲で設定され
る。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は、表面伝導型電子放出素の形態に応じて適宜選択
される。このような条件のもとで、例えば、数秒〜数十
分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定される
ものではなく、矩形波など所望の波形を採用することが
できる。図4(b)におけるT1およびT2は、図4
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0. 1Vステップ程度づつ、増加させることができる。
【0069】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜3を局所的に破壊あるいは変形
しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知するこ
とができる。例えば0. 1V程度の電圧印加により流れ
る素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵
抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。このよ
うにして作成された電子放出部2は、パラジウム元素を
主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その
微粒子の平均粒径は30Åとなる。
【0070】(6)活性化 フォーミングを終えた素子に活性化処理を施し、電子放
出部およびその近傍に炭素および炭素化合物を堆積す
る。活性化工程は、例えば、有機物質のガスを外囲器内
に導入し、パルスの印加を繰り返すことで行うことがで
きる。この有機物質のガスは、例えば油拡散ポンプやロ
ータリポンプなどを用いて排気した場合に雰囲気内に残
留する有機ガスを利用して形成することができる他、イ
オンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当
な有機物質のガスを導入することによっても得られる。
このときの好ましい有機物質のガス圧は、真空容器の形
状や有機物質の種類などにより異なるため、場合に応じ
て適宜設定される。
【0071】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等
を挙げることができる。具体的には、メタン、エタン、
プロパンなどのCn2n+2で表される飽和炭化水素、エ
チレン、プロピレンなどのCn2n等の組成式で表され
る不飽和炭化水素、ベンゼン、ベンゾニトリル、トリニ
トリル、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理によ
り、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭
素化合物が素子上に堆積し、素子電流Ifおよび放出電
流Ieが著しく変化するようになる。
【0072】活性化処理に用いられる電圧パルス波型は
任意のものが可能であり、方形波、三角波、サイン波、
台形波等が挙げられる。また、図17(a)のように、
常にある片方の極性のパルスを印加する手法や、図17
(b)のように代わる代わる逆の極性のパルスを印加す
る手法などがある。また、電圧パルスの波高値(活性化
電圧Vact)を固定電圧とする手法や、時間とともに
徐々に電圧を増加させて行う手法などがある。上記活性
化処理をした表面伝導型電子放出素子は、素子電圧を印
加し、素子表面に電流を流すことにより、上述電子放出
部2より、十分な量の電子を放出する。
【0073】(7)安定化 活性化の後には、以下の安定化工程を行うのが望まし
い。この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程
である。外囲器内の真空部の圧力は、1×10-7Tor
r以下が好ましく、さらに1×10-8Torr以下が特
に好ましい。外囲器を排気する真空排気装置は、装置か
ら発生するオイルが素子の特性に影響を与えないよう
に、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具
体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空
排気装置を挙げることができる。さらに真空容器内を排
気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内
壁や電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやす
くするのが好ましい。このときの加熱条件は、100〜
300℃でより長い時間行うことが望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。
【0074】(8)封止/ゲッタ 安定化後、不図示の排気管をガスバーナで熱することに
より溶着して外囲器の封止を行う。外囲器88の封止後
の真空度を維持するために、ゲッタ処理を行なうことも
できる。これは、外囲器88の封止を行う直前あるいは
封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱
により、外囲器88内の所定の位置(不図示)に配置さ
れたゲッタを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲ
ッタは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用
により、たとえば1×10-9Torr以下の真空度を維
持するものである。
【0075】(9)予備駆動 画像形成装置を封止した後、通常の駆動電圧の1. 05
〜1. 5倍のパルス電圧を印加し、全ての電子放出素子
の特性を高電位にシフトする。これにより、駆動電圧の
変動などが起きた場合でも、電子放出特性が安定する。
【0076】(10)エージング前に画像表示電圧より
高い電圧パルスを印加 予備駆動を行なった時は、電子放出素子の初期劣化が著
しく大きく、それに伴い、共通配線の電位降下量が変動
してしまう。また、パネル構成部材からの脱ガスによ
り、素子特性が変動する。そこで、このような予備駆動
で受けた影響を、エージング前に画像表示駆動より高い
電圧パルスを電子放出素子に印加することによって取り
除き、エージング中や画像表示中でさらに高い安定性が
得られるようにする。
【0077】(11)エージング 封止およびゲッタフラッシュの後、先に詳述したエージ
ング工程を施す。またここでは、エージングは封止後に
施すが、封止前すなわち安定化後に行ってもよい。
【0078】以上の工程を経て完成した本発明の画像表
示装置は、各電子放出素子に、容器外端子Dx1〜Dx
mおよびDy1〜Dynを通じて走査信号および変調信
号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ印加することに
よって電子を放出させ、この電子ビームを、高圧端子H
vを通じてメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に数kV以上の高圧を印加することによって加速し
て蛍光膜84に衝突させ、これにより蛍光膜84を励起
・発光させることによって画像を表示する。
【0079】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0080】[実施例1]本実施例では、電子源基板に
多数の表面伝導電子放出素子を単純マトリクス配置した
画像形成装置を製造した。素子の数は、x方向、y方向
共に100個とした。また、エージング工程の前におい
て、エージング時の駆動電圧よりも高い駆動電圧パルス
を電子源に印加する手法を用い、これによりエージング
後の画像表示を安定化させるようにした。
【0081】(1)電子源基板の作成 まず、図13に示すような電子源基板を作成した。製造
方法を図15および図16に基づいて工程順に従って具
体的に説明する。図13〜16において、同じ符号を付
したものは同じものである。これらの図において、72
は図7の配線Dx1〜Dxmに対応するX方向配線(下
配線とも呼ぶ)、73は図7のDy1〜Dynに対応す
るY方向配線(上配線とも呼ぶ)、4と5は素子電極、
3は素子電極4および5間に形成された導電性薄膜、1
51は層間絶縁層、152は素子電極5と下配線72と
を電気的に接続するためのコンタクトホールである。な
お、以下の各工程a〜hは図15および図16の(a)
〜(h)に対応するものである。
【0082】工程a(下配線形成) まず、清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5μmのシリ
コン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1の上に、真空
蒸着により厚さ50ÅのCrおよび厚さ6000ÅのA
uを順次積層した。この上にホトレジスト(AZ137
0;ヘキスト社製)をスピンナにより回転塗布してベー
クし、これにホトマスク像を露光してから現像して、下
配線72のレジストパターンを形成した。そしてAu/
Cr堆積膜をウエットエッチングすることにより所望の
形状の下配線72を形成した。
【0083】工程b(層間絶縁層形成) 次に、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶
縁層151をRFスパッタ法により堆積させた。
【0084】工程c(コンタクトホール形成) 工程bで堆積させたシリコン酸化膜上にコンタクトホー
ル152を形成するためのホトレジストパターンを形成
し、これをマスクとして層間絶縁層151をエッチング
してコンタクトホール152を形成した。エッチングは
CF4とH2ガスを用いたRIE(Reactive I
on Etching)法によった。
【0085】工程d(素子電極形成) その後、素子電極4および5と、これら電極間の間隙で
ある素子電極間ギャップとなるべきパターンをホトレジ
スト(RD−2000N−41;日立化成社製)で形成
し、そして、真空蒸着法により、厚さ50ÅのTiおよ
び厚さ1000ÅのNiを順次堆積させた。その後、ホ
トレジストパターンを有機溶剤で溶解してからNi/T
i堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3μmで幅
Wが300μmの素子電極4と5を形成するした。
【0086】工程e 次に、素子電極4および5の上に、上配線73のホトレ
ジストパターンを形成し、厚さ50ÅのTiおよび厚さ
5000ÅのAuを順次真空蒸着により堆積させ、リフ
トオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の上配
線73を形成した。
【0087】工程f 次に、膜厚100nmのCr膜153を真空蒸着により
堆積およびパターニングし、その上に有機Pd(ccp
4230;奥野製薬(株)社製)をスピンナにより回転
塗布し、300℃で10分間の加熱焼成処理を施すこと
により、膜厚100Å、シート抵抗値5×104Ω/□
の、主元素としてPdよりなる微粒子からなる導電性薄
膜3を形成した。なお、ここで述べる微粒子膜とは、上
述したように、複数の微粒子が集合した膜であり、その
微細構造が、微粒子が個々に分散配置した状態のみなら
ず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合った状態(島
状も含む)の膜を意味し、その粒径とは、前記状態で粒
子形状が認識可能な微粒子についての径をいう。
【0088】工程g 次に、Cr膜153および焼成後の導電性薄膜3を酸エ
ッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成
すした。
【0089】工程h 次に、コンタクトホール152部分以外にレジストを塗
布するようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5
0ÅのTiおよび厚さ5000ÅのAuを順次堆積させ
た。そして、リフトオフにより不要の部分を除去するこ
とにより、コンタクトホール152を埋め込んだ。以上
の工程により、絶縁性基板1上に、下配線72、層間絶
縁層151、上配線73、素子電極4と5、導電性薄膜
3等が形成された。
【0090】(2)発光表示板(フェースプレート)作
成 蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成
るが、本実施例では図9(a)に示すようなストライプ
形状のものを採用した。そして、先にブラックストライ
プを形成し、その間隙部に各色蛍光体を塗布して蛍光膜
を作製した。このとき、ブラックストライプの材料とし
ては、通常良く用いられている黒鉛を主成分とする材料
を用いた。また、ガラス基板83に蛍光体を塗布する方
法としては、スラリー法を用いた。次に、蛍光膜84の
上にメタルバック85を設けた。メタルバック85は、
蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の内面側表面の平滑化
処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後、
Alを真空蒸着することによって作製した。フェースプ
レート86には、さらに蛍光膜84の導伝性を高めるた
め、蛍光膜84の外面側に透明電極(不図示)が設けら
れる場合もあるが、本実施例では、メタルバックのみで
十分な導電性が得られるため、省略した。
【0091】(3)封着 以上のようにして作成した電子源基板および発光表示板
により、封着技術を用いて外囲器を構成した。この方法
を、図8を用いて説明する。まず、電子源基板71をリ
アプレート81上に固定し、基板71の5mm上方に、
フェースプレート86を支持枠82を介して配置した。
その際、フェースプレート86、支持枠82、およびリ
アプレート81の接合部にフリットガラスを塗布した。
そして、大気中において410℃で10分間焼成するこ
とにより、これらを封着した(図8)。なお、リアプレ
ート81への電子源基板71の固定もフリットガラスで
行った。また、封着を行う際には、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合せを行った。
【0092】(4)排気 以上のようにして完成した外囲器内を、排気管(図示せ
ず)を通じて真空ポンプにより十分な真空度まで排気し
た。
【0093】(5)フォーミング 排気後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを
通じて電子放出素子74の電極4および5間に電圧を印
加して導電性薄膜3をフォーミング処理することにより
電子放出部2を作成した。このときのフォーミング処理
の電圧波形を図4(b)に示す。図4(b)中、T1お
よびT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本
実施例ではT1を1m秒、T2を10m秒とし、矩形波
の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は0. 1Vス
テップで昇圧させてフォーミング処理を行った。フォー
ミング電圧は8. 5Vとした。 (6)活性化工程 続いて、アセトンを真空装置外囲器内に導入して2mT
orrの真空雰囲気を維持しながら、容器外端子Dx1
〜DxmとDy1〜Dynを通じて電子放出素子74の
電極4と5間に図17(b)のような交互に逆極性の方
形波電圧パルスを印加することにより約30分の活性化
処理を行った。図17(b)のT1は1m秒、T2は1
0m秒とし、活性化電圧Vactは17Vとした。
【0094】(7)安定化工程 活性化後に、真空雰囲気を有機物質のほぼ存在しない高
真空に移行するため、安定化処理として、200℃のべ
ーキングを5時間行った。
【0095】(8)封止/ゲッタフラッシュ 次に、不図示の排気管をガスバーナで熱することによっ
て溶着して外囲器の封止を行った。さらに、封止後の真
空度を維持するために、高周波加熱法でゲッタ処理を行
った。
【0096】(9)予備駆動 封止後、リアプレートと発光表示板との間に500Vの
アノード電圧を印加するとともに、容器外端子Dx1〜
DxmとDy1〜Dynを通じて電子放出素子74の電
極4および5間に16. 5V、1m秒/60Hzの方形
波電圧パルスを各ライン毎に1分間印加した。このと
き、端子Dx1〜Dxm(下配線)は共通の端子に接続
して駆動電源のGnd(グランド)に接続した。
【0097】(10)エージング工程 本実施例のエージング工程においては、まず、以上の工
程を経た図8に示す画像形成装置308を、図18に示
すようなエージング装置に接続し、容器外端子Dx1〜
DxmとDy1〜Dynを通じて電子放出素子74の電
極4および5間に方形波電圧パルスを印加した。このと
き、端子Dx1〜Dxm(下配線)は共通の端子に接続
して駆動電源のGndに接続した。また、電圧パルスの
条件は、駆動電圧Vf=16. 5V、駆動パルス幅Pw
=30μ秒、駆動周波数=60Hzとして、端子Dy1
〜Dyn(上配線)に各々1分間の駆動パルスを印加
し、最大電圧を素子に印加した。
【0098】その後、画像表示駆動を行うためのエージ
ングに移った。エージング開始条件は、アノード電圧を
0V、駆動電圧を16V、駆動周波数を10Hz、駆動
パルス幅を5μ秒とし、まず、アノード電圧を1kV/
10分の速度で0kVから8kVまで上げていった。続
いて、駆動パルス幅を1μ秒/1分の速度で5μ秒から
30μ秒まで増加させ、さらに駆動周波数を1Hz/分
の速度で60Hzまで上げていった。
【0099】以上の工程により完成した画像表示装置
を、駆動電圧を16V、アノード電圧を6kVとして、
全面白色点灯を行った。
【0100】[比較例1]エージング工程を除いては実
施例1と同様にして画像表示装置を作成した。すなわ
ち、エージング工程では、エージング前に電子源素子に
画像表示駆動より高い電圧パルスを印加することは行わ
ずに、安定化後、直ちにエージングを行った。
【0101】[比較例2]エージング工程を除いては実
施例1と同様にして画像表示装置を作成した。すなわ
ち、エージング工程においては、共通配線の駆動電圧降
下量をドライバで補償しながらエージングを行なった。
この補償においては、配線Dx1〜Dxmの中央部ほど
配線抵抗で電圧降下するため、下配線Dx1〜Dxmに
マイナス電位で電圧補償を行ない、全ての電子放出素子
に同じ電圧パルスがかかるように制御した。
【0102】次に、完成した画像表示装置を、駆動電圧
を16V、アノード電圧を6kVとして、全面白色点灯
を100時間連続で行った。
【0103】表1に示すように、実施例1の画像表示装
置は、動画表示において極めて安定的に動作を行い、電
子放出量(Ie)の変化が小さく、また個別電子源特性
のバラツキも小さかった。また、比較例2の画像表示装
置は実施例1より素子特性のバラツキが小さく良好であ
ったが、駆動ドライバが複雑になり、画像表示装置を製
造するためのコストが大きくなる。
【0104】
【表1】
【0105】このように、実施例1の画像表示装置は、
比較例1のものに比べ、高品位な、ずなわちばらつきの
小さい、表示画像を長期にわたって安定して得られる画
像形成装置であった。比較例2のものは画像表示装置と
しては良好であったが、製造コストが増大するという問
題を有している。
【0106】[実施例2]本実施例においては、封止ま
での工程を実施例1と同様にして行い、その後、エージ
ングの途中において、画像表示駆動より高い駆動電圧パ
ルスで電子放出素子を駆動した。
【0107】すなわち、画像形成装置のエージング開始
条件は、アノード電圧を0V、駆動電圧を16V、駆動
周波数を10Hz、駆動パルス幅を5μ秒として、ま
ず、アノード電圧を1kV/10分の速度で0Vから8
kVまで上げ、続いて駆動パルス幅を1μ秒/1分の速
度で5μ秒から30μSまで増加させ、さらに駆動周波
数を1Hz/分の速度で60Hzまで上げていった。
【0108】以上のようにしてエージングを終了した
後、アノード電圧をゼロに降下させ、容器外端子Dx1
〜DxmとDy1〜Dynを通じて電子放出素子74の
電極4および5間に方形波電圧パルスを印加した。この
とき、端子Dx1〜Dxm(下配線)は共通の端子に接
続して駆動電源のGndに接続した。このときの電圧パ
ルスの条件は、駆動電圧Vf=16. 5V、駆動パルス
幅Pw=30μ秒、駆動周波数=60Hzであり、端子
Dy1〜Dyn(上配線)に各々1分間の駆動パルスを
印加した。
【0109】続いて、さらに再度エージング到達条件で
画像表示装置を5分間駆動してエージングを終了した。
【0110】以上のようにして完成した画像表示装置を
用い、駆動電圧を16V、アノード電圧を6kVとし
て、全面白色点灯を行った。
【0111】[実施例3]本実施例においては、封止ま
での工程を実施例2と同様にして行った。そして次に、
画像形成装置をエージング装置に接続し、容器外端子D
x1〜DxmとDy1〜Dynを通じて電子放出素子7
4の電極4および5間に方形波電圧パルスを印加した。
このとき、端子Dx1〜Dxm(下配線)は共通の端子
に接続して駆動電源のGndに接続した。また、電圧パ
ルスの条件は、駆動電圧Vf=17. 0V、駆動パルス
幅Pw=10μ秒、駆動周波数=60Hzとし、端子D
y1〜Dym(上配線)に各々2分間の駆動パルスを印
加した。
【0112】その後、実施例2と同様のエージングを行
ない、エージング終了後、アノード電圧をゼロに降下さ
せ、再度、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dyn
を通じて電子放出素子74の電極4および5間に16.
5Vの方形波電圧パルスを端子Dy1〜Dyn(上配
線)に各々30秒間印加することにより印加してエージ
ング工程を終了した。
【0113】以上のようにして完成した画像表示装置を
用い、駆動電圧を16V、アノード電圧を6kVとし
て、全面白色点灯を行った。
【0114】実施例2および3の画像形成装置の電子放
出量変化量と個別素子ばらつきは表2のようであった。
【0115】
【表2】
【0116】実施例2および3の画像形成装置は、比較
例1のものと比べ、高品位な、すなわちばらつきの小さ
い、表示画像を長期にわたって安定して得られる画像形
成装置であった。特に実施例3のものはエージング前後
に画像表示駆動より高い電圧パルスを印加しており、最
も評価が高かった。さらに、実施例2および3の画像形
成装置の製造方法は信頼性が高かった。
【0117】[実施例4]図25は、実施例1で製造し
た画像形成装置(ディスプレイパネル)に、例えばテレ
ビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供
される画像情報を表示できるように構成した表示装置の
一例を示す。図中、241はディスプレイパネル、24
2はディスプレイパネル241の駆動回路、243はデ
ィスプレイコントローラ、244はマルチプレクサ、2
45はデコーダ、246は入出力インタフェース回路、
247はCPU、248は画像生成回路、249〜25
1は画像メモリーインタフェース回路、252は画像入
力インタフェース回路、253および254はTV信号
受信回路、255は入力部である。なお、本表示装置
は、例えばテレビジョン信号のように映像情報と音声情
報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映像の表
示と同時に音声を再生するものであるが、本発明の特徴
と直接関係しない音声情報の受信、分離、再生、処理、
記憶等に関する回路やスピーカ等については、説明を省
略する。
【0118】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。まず、TV信号受信回路254は、例えば
電波や空間光通信等のような無線伝送系を用いて伝送さ
れるTV信号を受信するための回路である。受信するT
V信号の方式は特に限られるものではなく、例えばNT
SC方式、PAL方式、SECAM方式等、いずれの方
式でもよい。また、これらより更に多数の走査線よりな
るTV信号、例えばMUSE方式を初めとする高品位T
Vは、大面積化や大画素数化に適した前記ディスプレイ
パネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV信
号受信回路254で受信されたTV信号は、デコーダ2
45に出力される。また、TV信号受信回路253は、
例えば同軸ケーブルや光ファイバ等のような有線伝送系
を用いて伝送されるTV信号を受信するための回路であ
る。TV信号受信回路254と同様に、受信するTV信
号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で受
信されたTV信号もデコーダ245に出力される。
【0119】画像入力インタフェース回路252は、例
えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画像入力
装置から供給される画像信号を取り込むための回路であ
り、取り込まれた画像信号はデコーダ245に出力され
る。画像メモリインタフェース回路251は、ビデオテ
ープレコーダ(以下、VTRと略す)に記憶されている
画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信
号はデコーダ245に出力される。画像メモリインタフ
ェース回路250は、ビデオディスクに記憶されている
画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信
号はデコーダ245に出力される。画像メモリインタフ
ェース回路249は、静止画ディスクのように、静止画
像データを記憶している装置から画像信号を取り込むた
めの回路であり、取り込まれた静止画像データはデコー
ダ245に入力される。
【0120】入出力インタフェース回路246は、本表
示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュータネ
ットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続す
るための回路である。画像データや文字・図形情報の入
出力を行うのは勿論のこと、場合によっては本表示装置
の備えるCPU247と外部との間で制御信号や数値デ
ータの入出力などを行うことも可能である。画像生成回
路248は、入出力インタフェース回路246を介して
外部から入力される画像データや文字・図形情報や、あ
るいはCPU247より出力される画像データや文字・
図形情報に基づき、表示用画像データを生成するための
回路である。本回路の内部には、例えば画像データや文
字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリや、
文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読
み出し専用メモリや、画像処理を行うためのプロセッサ
等を初めとして、画像の生成に必要な回路が組み込まれ
ている。本回路により生成された表示用画像データは、
デコーダ245に出力されるが、場合によっては入出力
インタフェース回路246を介して外部のコンピュータ
ネットワークやプリンタに出力することも可能である。
【0121】CPU247は、主として本表示装置の動
作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業を
行う。例えば、マルチプレクサ244に制御信号を出力
し、ディスプレイパネル241に表示する画像信号を適
宜選択したり、組み合わせたりする。その際には表示す
る画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ2
43に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走査
方法(例えばインターレースかノンインターレースか)
や一画面の走査線の数など、表示装置の動作を適宜制御
する。また、画像生成回路248に対して画像データや
文字・図形情報を直接出力したり、あるいは入出力イン
タフェース回路246を介して外部のコンピュータやメ
モリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入力
する。なお、CPU247は、これ以外の目的の作業に
も関わるものであってよい。例えば、パーソナルコンピ
ュータやワードプロセッサ等のように、情報を生成した
り処理する機能に直接関わってもよい。あるいは前述し
たように、入出力インタフェース回路246を介して外
部のコンピュータネットワークと接続し、例えば数値計
算等の作業を外部機器と協同して行ってもよい。
【0122】入力部255は、CPU247に使用者が
命令やプログラム、あるいはデータなどを入力するため
のものであり、例えばキーボードやマウスの他、ジョイ
スティック、バーコードリーダ、音声認識装置等の多様
な入力機器を用いることが可能である。デコーダ245
は、各部248〜254より入力される種々の画像信号
を3原色信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変
換するための回路である。なお、図中に点線で示すよう
に、デコーダ245は内部に画像メモリを備えるのが望
ましい。これは、例えばMUSE方式を初めとして、逆
変換するに際して画像メモリを必要とするようなテレビ
信号を扱うためである。画像メモリを備えることによ
り、静止画の表示が容易になる。あるいは画像生成回路
248およびCPU247と協同して、画像の間引き、
補間、拡大、縮小、合成を初めとする画像処理や編集が
容易になるという利点が生まれるからである。
【0123】マルチプレクサ244は、CPU247よ
り入力される制御信号に基づき、表示画像を適宜選択す
るものである。すなわち、マルチプレクサ244はデコ
ーダ245から入力される逆変換された画像信号の内か
ら所望の画像信号を選択して駆動回路242に出力す
る。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切り
換えて選択することにより、所謂多画面テレビのよう
に、一画面を複数の領域に分けて領域によって異なる画
像を表示することも可能である。
【0124】ディスプレイパネルコントローラ243
は、CPU247より入力される制御信号に基づき、駆
動回路242の動作を制御するための回路である。ま
ず、ディスプレイパネルの基本的な動作に関わるものと
して、例えばディスプレイパネルの駆動用電源(図示せ
ず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回路
242に対して出力する。また、ディスプレイパネルの
駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数や
走査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)を制御するための信号を駆動回路242に対して出
力する。また、場合によっては、表示画像の輝度やコン
トラストや色調やシャープネスといった画質の調整に関
わる制御信号を駆動回路242に対して出力する場合も
ある。駆動回路242は、ディスプレイパネル241に
印加する駆動信号を発生するための回路であり、マルチ
プレクサ244から入力される画像信号と、ディスプレ
イパネルコントローラ243より入力される制御信号に
基づいて動作するものである。以上、各部の機能を説明
したが、図25に例示した構成により、本表示装置にお
いては多様な画像情報源より入力される画像情報をディ
スプレイパネル241に表示することが可能である。す
なわち、テレビジョン放送を初めとする各種の画像信号
は、デコーダ245において逆変換された後、マルチプ
レクサ244において適宜選択され、駆動回路242に
入力される。一方、デイスプレイコントローラ243
は、表示する画像信号に応じて駆動回路242の動作を
制御するための制御信号を発生する。駆動回路242
は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパ
ネル241に駆動信号を印加する。これにより、ディス
プレイパネル241において画像が表示される。これら
の一連の動作は、CPU247により統括的に制御され
る。
【0125】また、本表示装置においては、デコーダ2
45に内蔵する画像メモリや、画像生成回路248およ
び情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表
示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移
動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比
変換等を初めとする画像処理や、合成、消去、接続、入
れ換え、嵌め込み等を初めとする画像編集を行うことも
可能である。また、本実施例の説明では特に触れなかっ
たが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情報に関
しても処理や編集を行なうための専用回路を設けてもよ
い。したがって本表示装置は、テレビジョン放送の表示
機器、テレビ会議の端末機器、静止画像および動画像を
扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、ワードプ
ロセッサを初めとする事務用端末機器、ゲーム機などの
機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用あるいは
民生用として極めて応用範囲が広い。
【0126】なお、図25は、表面伝導型電子放出素子
を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示
装置の構成の一例を示したに過ぎず、本発明の画像形成
装置がこれのみに限定されるものでないことは言うまで
もない。例えば図25の構成要素の内、使用目的上必要
のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。ま
た、これとは逆に、使用目的によっては更に構成要素を
追加してもよい。例えば本表示装置をテレビ電話機とし
て応用する場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明
機、モデムを含む送受信回路等を構成要素に追加するの
が好適である。本表示装置においては、とりわけ表面伝
導型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネル
の薄形化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくする
ことができる。それに加えて、表面伝導型放出素子を電
子ビーム源とするディスプレイパネルは大画面化が容易
で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は
臨場感にあふれる迫力に富んだ画像を視認性良く表示す
る事が可能である。さらに本発明に従った電子源は各表
面伝導型電子放出素子間での電子放出特性が均一である
ため、形成される画像の画質が高く、また、高精細な画
像の表示も可能である。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エ
ージングの前、中間、または後に、画像形成のための駆
動パルスの電圧よりも高い電圧のパルス電圧を印加する
ようにしたため、エージング前に発生した、配線の電位
降下量の変化による素子特性変化、画像形成装置内の雰
囲気変化等による電子放出素子の特性の径時変化を矯正
することができる。したがって、高輝度で安定画像形成
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用できる平面型表面伝導型電子放
出素子(表面伝導型電子放出素子)を示す概略的構成図
である。
【図2】 本発明で使用できる垂直型表面伝導型電子放
出素子(表面伝導型電子放出素子)を示す概略的構成図
である。
【図3】 図1の表面伝導型電子放出素子の製造方法を
示す図である。
【図4】 本発明で使用できるフォーミング工程に用い
る通電処理の電圧波形を示す図である。
【図5】 本発明で使用できる表面伝導型電子放出素子
の基本的な測定評価系の一例を示す概略的構成図であ
る。
【図6】 表面伝導型電子放出素子の放出電流−素子電
圧特性(I−V特性)を示す図である。
【図7】 本発明で使用できる単純マトリックス配置の
電子源基板の概略的構成図である。
【図8】 図7の単純マトリックス配置の電子源基板を
用いた画像形成装置に用いる表示パネルの概略的構成図
である。
【図9】 図8の表示パネルにおける蛍光膜を示す図で
ある。
【図10】 図8の表示パネルを駆動する駆動回路の一
例を示す図である。
【図11】 本発明で使用できる梯型配置の電子源基板
の概略的構成図である。
【図12】 図11の梯型配置の電子源基板を用いた画
像形成装置に用いる表示パネルの概略的構成図である。
【図13】 本発明で使用できる電子源基板の一部を示
す平面図である。
【図14】 図13におけるA−A’断面図である。
【図15】 図13の電子源基板の製造手順を示す図で
ある。
【図16】 図13の電子源基板の製造手順を示す他の
図である。
【図17】 本発明で使用できる活性化処理に用いられ
る電圧パルス波型を示す図である。
【図18】 本発明で使用できるエージング手法および
エージング装置を示す図である。
【図19】 本発明に従い、電子源に表示駆動電圧より
高い電圧パルスを印加することを示す図である。
【図20】 本発明に従ったエージング工程を示す図で
ある。
【図21】 本発明に従った画像形成装置の製造工程を
示す図である。
【図22】 本発明に従った画像形成装置の製造工程を
示す他の図である。
【図23】 表面伝導型電子放出素子の駆動条件と素子
電流の変化を表す概略的な図である。
【図24】 従来知られていた表面伝導型放出素子の一
例を示す図である。
【図25】 本発明の実施例で製造した画像形成装置を
用いた表示装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:基板、2:電子放出部、3:導電性薄膜、4, 5:
素子電極、21:段差形成部材、50:素子電流Ifを
測定するための電流計、51:電源、52:放出電流I
eを測定するための電流計、53:高圧電源、54アノ
ード電極、55:真空装置、56:排気ポンプ、71:
電子源基板、72:x方向配線(下配線)、73:y方
向配線(上配線)、74:表面伝導型電子放出素子、7
5:結線、81:リアプレート、82:支持枠、83:
ガラス基板、84:蛍光膜、85:メタルバック、8
6:フェースプレート、88:外囲器、91:黒色導電
材、92:蛍光体、101:表示パネル、102:走査
回路、103:制御回路、104:シフトレジスタ、1
05:ラインメモリ、106:同期信号分離回路、10
7:変調信号発生器、110:電子源基板(はしご型配
置)、111:電子放出素子、112:共通配線、12
0:グリッド電極、121:空孔、122, 123:容
器外端子、151:層間絶縁層、152:コンタクトホ
ール、153:Cr層、241:ディスプレイパネル、
242:ディスプレイパネルの駆動回路、243:ディ
スプレイコントローラ、244:マルチプレクサ、24
5:デコーダ、246:入出力インタフェース回路、2
47:CPU、248:画像生成回路、249〜25
1:画像メモリーインタフェース回路、252:画像入
力インタフェース回路、253および254:TV信号
受信回路、255:入力部、301:コンピュータ、3
02:電子源駆動装置、303:電子源駆動電流測定
器、305:アノード電源、306:発光表示電流測定
器、307:表示画像分析器、308:表示パネル、3
09:電子源基板、310:発光表示板。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子を配列した電子源基
    板と、前記電子放出素子が放出する電子により発光する
    発光表示板とを真空部を介して対向させた後に、前記電
    子を前記発光表示板に照射して前記発光表示板の脱ガス
    処理を行うエージング工程を有する画像形成装置の製造
    方法において、前記脱ガス処理の前、中間、または後
    に、前記電子放出素子に対して画像形成のための駆動パ
    ルスの電圧よりも高い電圧のパルス電圧を印加するパル
    ス印加工程を具備することを特徴とする画像形成装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記真空部は排気またはゲッタにより真
    空が維持されることを特徴とする請求項1に記載の画像
    形成装置。
  3. 【請求項3】 前記パルス印加工程において印加するパ
    ルス電圧の電圧は、前記脱ガス処理のために前記電子放
    出素子に印加するパルス電圧の電圧よりも高いことを特
    徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記電子源基板に前記電子放出素子を形
    成するために導電性薄膜に電子放出部を形成するフォー
    ミング工程、形成された電子放出部に通電して素子電流
    および放出電流を増加させる活性化工程、および有機物
    質を排気して前記真空部を形成する安定化工程を有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の画像形成装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 画像形成に際して前記電子放出素子が放
    出する電子を前記発光表示板へ向けて加速させるための
    アノードを設ける工程を有し、前記パルス印加工程にお
    ける電圧パルスの印加はこのアノードに電圧を印加せず
    に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の画像形成装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの方法により製
    造されたものであることを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 表面伝導型電子放出素子が単純マトリク
    ス配置された電子源を有することを特徴とする請求項7
    に記載の画像形成装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7812512B2 (en) 2007-09-28 2010-10-12 Kochi Industrial Promotion Center Field emission electrode, method and apparatus of manufacturing the same by carrying a humidification process and an aging process

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