JPH11250804A - 画像形成装置の製造方法 - Google Patents

画像形成装置の製造方法

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JPH11250804A
JPH11250804A JP37402798A JP37402798A JPH11250804A JP H11250804 A JPH11250804 A JP H11250804A JP 37402798 A JP37402798 A JP 37402798A JP 37402798 A JP37402798 A JP 37402798A JP H11250804 A JPH11250804 A JP H11250804A
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JP
Japan
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electron
image forming
frit
voltage
emitting device
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JP37402798A
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Michiyo Nishimura
三千代 西村
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放出電流が大きく、電子放出特性に優れた特
性を得る。 【解決手段】 結合された、画像形成部材が配置された
部材と電子放出素子が配置された部材とを備える画像形
成装置の製造方法において、画像形成部材が配置された
部材86の結合部に接着剤を配する工程と、接着剤を加
熱する工程と、加熱工程の後に、画像形成部材が配置さ
れた部材86と電子放出素子が配置された部材81とを
結合する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を備
える画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属
型(以下「MIM型」という。)や表面伝導型電子放出
素子等がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dol
an,“Field Emission”,Advance inElectron Physics,
8,89(1956)あるいはC.A.Spindt,“PHYSICAL Properties
ofthin-film field emission cathodes with molybden
ium cones”,J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等に開示され
たものが知られている。MIM型の例としてはC.A.Mea
d,“Operation of Tunnel-Emission Devices”,J.Appl.
Phys.,32,646(1961)等に開示されたものが知られてい
る。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10,1290(1965)
等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solis Films,”9,317(1972)]、I
2 3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:“IEEE Trans.ED Conf.”,519(1975)]、
カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26
巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0006】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜を予め通電フ
ォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部形成
するのが一般的であった。すなわち、通電フォーミング
とは前記導電性薄膜両端に直流電圧あるいは非常にゆっ
くりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、導
電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電
気的に高抵抗な状態にした電子放出部を形成することで
ある。なお、電子放出部は導電性薄膜の一部に亀裂が発
生しその亀裂付近から電子放出が行われる。前記通電フ
ォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述
導電性薄膜に電圧を印加し、素子に電流を流すことによ
り、上述電子放出部より電子を放出せしめるものであ
る。
【0007】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数
素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を
生かせるようないろいろな応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等が挙げられる。多数の表
面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、後述
するように、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、
個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)で、それ
ぞれ結線した行を多数行配列した電子源が挙げられる。
(例えば、特開昭64−031332号公報、特開平1
−283749号公報、特開平1−257552号公報
等)また、特に表示装置等の画像形成装置においては、
近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRTに替わっ
て普及してきたが、自発光型でないため、バックライト
を持たなければならない等の問題点があり、自発光型の
表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示装置とし
ては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源と
電子源より放出される電子によって、可視光を発光させ
る蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置
が、挙げられる(例えば米国特許第5066883
号)。
【0008】従来、これらの冷陰極電子放出素子を用い
て画像形成装置を製造するには、冷陰極電子放出素子を
多数有する電子源を配置したリアプレート、可視光を発
光せしめる蛍光体を有したフェースプレート、これらリ
アプレートとフェースプレートとの間隔を表示領域部の
外で保持する支持枠、さらに排気管等を組み合わせて画
像形成装置を形成する。さらに、大気圧支持のため表示
領域部内で上記フェースプレートとリアプレートとの間
隔を保持するスペーサが用いられる場合がある。
【0009】上記の画像形成装置を形成する際、リアプ
レートとフェースプレートへの支持枠の接着、更には、
リアプレートとフェースプレートへのスペーサの接着
を、フリット剤を用いて行う場合がある。
【0010】特開平8−138554号公報には、表面
伝導型電子放出素子を備える画像表示装置において、大
気圧支持のために、表示領域内に配置される上記スペー
サの、フェースプレート及びリアプレートへの接着をフ
リット剤を用いて行うことが開示されており、更に、電
子放出素子をもつリアプレート上に、上記スペーサを接
着するためのフリット剤の塗布を行わないことにより、
上記フリット剤の仮焼成時の溶剤やバインダーによる電
子放出素子特性への影響を減少させることができること
が開示されている。
【0011】本発明は、とりわけ放出電流が大きい、電
子放出特性に優れた電子放出素子を備える画像形成装置
を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、放出電流などの電子放出
特性のバラツキが低減された、複数の電子放出素子を備
える画像形成形成装置を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、十分な輝度を有する画像
形成装置を提供することを目的とする。
【0014】また、本発明は、輝度バラツキが低減され
た画像形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、結合された、
画像形成部材が配置された部材と電子放出素子が配置さ
れた部材とを備える画像形成装置の製造方法において、
前記画像形成部材が配置された部材の前記結合部に接着
剤を配する工程と、前記接着剤を加熱する工程と、該加
熱工程の後に、前記画像形成部材が配置された部材と前
記電子放出素子が配置された部材とを結合する工程とを
有することを特徴とする画像形成装置の製造方法であ
る。
【0016】また、本発明は、結合された、画像形成部
材が配置された部材と電子放出素子が配置された部材と
を備える画像形成装置の製造方法において、前記電子放
出素子が配置される部材の前記結合部に接着剤を配する
工程と、前記接着剤を加熱する工程と、該加熱工程の後
に、前記電子放出素子の電子放出部材を形成する工程と
を有することを特徴とする画像形成装置の製造方法であ
る。
【0017】また、本発明は、結合された、画像形成部
材が配置された部材と電子放出素子が配置された部材と
を備える画像形成装置の製造方法において、前記電子放
出素子が配置されている部材の前記結合部に接着剤を配
する工程と、前記接着剤と前記電子放出素子との間に隔
壁を配置して前記接着剤を加熱する工程とを有すること
を特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0018】また、本発明は、結合された、画像形成部
材が配置された部材と電子放出素子が配置された部材と
を備える画像形成装置の製造方法において、前記電子放
出素子が配置されている部材の前記結合部に接着剤を配
する工程と、前記接着剤を局所的に加熱する工程とを有
することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の態様】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0020】本発明を適用し得る表面伝導型電子放出素
子の基本的構成には大別して、平面型及び垂直型の2つ
がある。
【0021】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0022】図1は、本発明を適用可能な平面表面伝導
型電子放出素子の構成を示す模式図であり、図1(a)
は平面図、図1(b)は断面図である。
【0023】図1において、1は基板、2と3は素子電
極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。
【0024】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガラ
ス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等を
用いることができる。
【0025】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な半導体材料を用いることができる。これは例え
ば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,
Cu,Pd等の金属あるいは合金及びPd,Au,Ru
2 ,Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス
等から構成される印刷導体等、In2 3 −SnO2
の透明導電体及びポリシリコン等の半導体材料等から適
宜選択することができる。
【0026】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計
される。素子電極間隔Lは、数千オングストロームから
数百マイクロメートルの範囲とすることができ、より好
ましくは、素子電極間に印加する電圧等を考慮して好ま
しくは数マイクロメートルから数十マイクロメートルの
範囲とすることができる。
【0027】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数マイクロメートルから数百マイク
ロメートルの範囲とすることができる。素子電極2,3
の膜厚dは、数百オングストロームから数マイクロメー
トルの範囲とすることができる。
【0028】なお、図1に示した構成だけでなく、基板
1上に、導電性薄膜4、対向する素子電極2,3の順に
積層した構成とすることもできる。
【0029】導電性薄膜4には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカ
バレージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォ
ーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は数
オングストロームから数千オングストロームの範囲とす
るのが好ましく、より好ましくは10オングストローム
より500オングストロームの範囲とするのが良い。そ
の抵抗値はRsが102から107Ω/□の値である。な
お、Rsは、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗
Rを、R=Rs(l/w)とおいたときに現れる。本願
明細書において、フォーミング処理については、通電処
理を例に挙げて説明するが、フォーミング処理にはこれ
に限られるものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗
状態を形成する処理を包含するものである。
【0030】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd,P
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,S
nO2,In2 3 ,PbO,Sb2 3 等の酸化物、
HfB2 ,ZrB2 ,LaB6,CeB6 ,YB4 ,G
dB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,
SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の
窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の中から適
宜選択される。
【0031】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オン
グストロームの範囲、好ましくは10オングストローム
から200オングストロームの範囲である。
【0032】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0033】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「ク
ラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0034】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どのような性質に注目して分類するかにより
変化する。また、「微粒子」と「超微粒子」を一括して
「微粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこ
れに沿ったものである。
【0035】「実験物理学講座14 表面・微粒子」
(木下是雄編、共立出版1986年9月1日発行)では
次のように記述されている。
【0036】「本稿で微粒子というときにはその直径が
だいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特
に超微粒子というときには粒径が10nm程度から2〜
3nm程度までを意味することにする。両者を一括して
単に微粒子と書くこともあって決して厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ22〜26行目)付言すると、新
技術開発事業団“林・超微粒子プロジェクト”での「超
微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小さく、次のよ
うなものであった。
【0037】「創造科学技術促進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fain particle)と呼ぶことにした。する
と1個の超微粒子はおよそ100〜108個くらいの原
子の集合体ということになる。原子の尺度でみれば超微
粒子は大〜巨大粒子である。」(「超微粒子・創造科学
技術」は林主税、上田良二、田崎明 編;三田出版19
88年2ページ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さ
いもの、すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個
の粒子は、普通クラスターと呼ばれる」(同書2ページ
12〜13行)上記のような一般的な呼び方をふまえ
て、本明細書において「超微粒子」とは多数の原子・分
子の集合体で、粒径の下限は数オングストローム〜10
オングストローム程度、上限は数μm程度のものを指す
こととする。
【0038】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料および後述する通電フォーミング等の
手法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、数オングストロームから数百オングストロームの範
囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導
電性微粒子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一
部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。電子放
出部5およびその近傍の導電性薄膜4には、炭素及び炭
素化合物を有することもできる。
【0039】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0040】図2は、本発明の表面伝導型電子放出素子
を適用できる垂直型表面伝導型電子放出素子の一例を示
す模式図である。
【0041】図2においては、図1に示した部位と同じ
部位には図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0042】21は段差形成部である。基板1、素子電
極2,3、導電性薄膜4、電子放出部5は、前述して平
面型表面伝導型電子放出素子の場合と同様の材料で構成
することができる。段差形成部21は、真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等の絶縁性材
料で構成することができる。段差形成部21の膜厚は、
先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間
隔Lに対応し、数千オングストロームから数十マイクロ
メートルの範囲とすることができる。この膜厚は、段差
形成部の製法、及び、素子電極間に印加する電圧を考慮
して設定されるが、数百オングストロームから数マイク
ロメートルの範囲が好ましい。
【0043】導電性薄膜4は、素子電極2,3と段差形
成部21作製後に、該素子電極2,3の上に積層され
る。電子放出部5は、図2においては、段差形成部21
に形成されているが、作製条件、フォーミング条件等に
依存し、形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0044】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
として様々な方法があるが、その一例を図3に模式的に
示す。
【0045】以下、図1及び図3を参照しながら製造方
法の一例について説明する。図3においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
【0046】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて基板1上に素子電極2,3を形成する(図
3(a))。
【0047】2)素子電極2,3を設けた基板1に、有
機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素
とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。有
機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング
等によりパターニングし、導電性薄膜4を形成する(図
3(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて
説明したが、導電性薄膜4の形成方法はこれに限られる
ものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用
いることもできる。
【0048】3)続いて、フォーミング工程を施す。こ
のフォーミング工程の方法の一例として通電処理による
方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源を
用いて、通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の
変化した電子放出部5が形成される(図3(c))。通
電フォーミングによれば導電性薄膜4に局所的に破壊、
変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成され
る。該部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミン
グの電圧波形の例を図4に示す。
【0049】電圧波形は、パルス波形が好ましい。これ
にはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加
する図4(a)に示した手法とパルス波高値を増加させ
ながら、電圧パルスを印加する図4(b)に示した手法
がある。
【0050】図4(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1マイク
ロ秒〜10ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミリ
秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミ
ング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子に応
じて適宜選択される。このような条件のもと、例えば、
数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波
に限定されるものではなく、矩形波等所望の波形を採用
することができる。
【0051】図4(b)におけるT1及びT2は、図4
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度ずつ増加させることができる。
【0052】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子
電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示
したとき、通電フォーミングを終了させる。
【0053】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが著
しく変化する工程である。
【0054】活性化工程は、例えば有機物質のガスを含
有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルス
の印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気
は、イオンポンプ等により一旦十分に排気した真空中に
適当な有機物質のガスを導入することによっても得られ
る。
【0055】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等
を挙げることができ、具体的には、メタン、エタン、プ
ロパン等Cn 2n+2で表される飽和炭化水素、エチレ
ン、プロピレン等Cn 2n等の組成式で表される不飽和
炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノー
ル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フ
ェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0056】この処理により、雰囲気中に存在する有機
物質から炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素
子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するようにな
る。
【0057】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なおパルス
幅、パルス間隔、パルス波高値等は適宜設定される。
【0058】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する。HO
PGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PGは結晶粒
が200オングストローム程度で結晶構造がやや乱れた
もの、GCは結晶粒が20オングストローム程度になり
結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、
非晶質カーボン(アモルファスカーボン及びアモルファ
スカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指
す)であり、その膜厚は500オングストローム以下の
範囲とするのが好ましく、300オングストローム以下
の範囲とすることがより好ましい。
【0059】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容
器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイル
が素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用し
ないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープシ
ョンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げるこ
とができる。
【0060】真空容器内の有機成分の分圧は、上記の炭
素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1.3
×10-8Torr以下が好ましく、さらには1×10
-10Torr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を
排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器
内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気し
やすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80
〜200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に
限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出
素子の構成等の諸条件により適宜選ばれる条件により行
う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1
〜3×10-7Torr以下が好ましく、さらに1×10
-8Torr以下が特に好ましい。
【0061】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することができる。
【0062】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
結果として素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0063】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図5、図6を参
照しながら説明する。
【0064】図5は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図5においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。図5において、55は真空容器であり、56は
排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素子が
配されている。すなわち、1は電子放出素子を構成する
基体であり、2,3は素子電極、4は導電性薄膜、5は
電子放出部である。51は、電子放出素子に素子電圧V
fを印加するための電源、50は素子電極2,3間の導
電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流
計、54は素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極である。53はアノー
ド電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素
子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計である。一例として、アノード電極の電
圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子
放出素子との距離Hを2〜8mmの範囲として測定を行
うことができる。
【0065】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系とさらに、イオンポン
プ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。
【0066】さらに、真空容器55には、容器内の雰囲
気を制御できるようなガス導入部(不図示)が設けられ
ている。
【0067】ここに示した電子源基板を配した真空処理
装置の全体は、不図示のヒーターにより200℃まで加
熱できる。したがって、この真空処理装置を用いると、
前述の通電フォーミング以降の工程も行うことができ
る。
【0068】図6は、図5に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧V
fの関係を模式的に示した図である。図6においては、
放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいの
で、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニア
スケールである。
【0069】図6からも明らかなように、本発明を適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的性質を有する。
【0070】すなわち、(i)本素子はある電圧(しき
い値電圧と呼ぶ、図6中のVth)以上の素子電圧を印
加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電
圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されな
い。つまり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧
Vthをもった非線形素子である。
【0071】(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調
増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御
できる。
【0072】(iii)アノード電極54に捕捉される放出
電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つま
り、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧
Vfを印加する時間により制御できる。
【0073】以上の説明により理解されるように、本発
明の表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応じて、電
子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を
利用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子
源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0074】図6においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特
性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0075】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明の表面伝導型電子放出素
子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源あるいは、
画像形成装置が構成できる。
【0076】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。
【0077】一例として、並列に配置した多数の電子放
出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数
個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列
方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電
極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電
子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これとは
別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数
個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の
一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配され
た複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に
共通に接続するものが挙げられる。このようなものはい
わゆる単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス
配置について以下に詳述する。
【0078】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)乃至(iii)の特性
がある。すなわち、表面伝導型電子放出素子からの放出
電子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に
印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一
方、しきい値電圧以下では、ほとんど放出されない。こ
の特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合に
おいても、個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれ
ば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択
して電子放出量を制御できる。
【0079】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図7を用いて説明する。図7において、71は電子
源基板、72はX方向配線、73はY方向配線である。
74は表面伝導型電子放出素子、75は結線である。な
お、表面伝導型電子放出素子74は、前述した平面型あ
るいは垂直型のどちらであってもよい。
【0080】m本のX方向配線72は、DX1,DX
2,…,DXmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッ
タ法等を用いて形成された導電性金属等で構成すること
ができる。配線の材料、膜厚、幅は、適宜設計される。
Y方向配線73は、DY1,DY2,…,DYnのn本
の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成される。
これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線73と
の間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者
を電気的に分離している(m,nは共に正の整数)。
【0081】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板1の全
面あるいは一部に所望の形状で形成され、特にX方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配
線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引
き出されている。
【0082】表面伝導型電子放出素子74を構成する一
対の電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本の
Y方向配線73と導電性金属等からなる結線75によっ
て電気的に接続されている。
【0083】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0084】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型電子放出素子74の行を、選択するための走査
信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続され
る。一方、Y方向配線73にはY方向に配列した表面伝
導型電子放出素子74の各列を入力信号に応じて、変調
するための不図示の変調信号発生手段が接続される。各
電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加
される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0085】上記構成において、単純なマトリクス配線
を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とする
ことができる。
【0086】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図8と図9およ
び図10を用いて説明する。図8は画像形成装置の表示
パネルの一例を示す模式図であり、図9は、図8の画像
形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図10は
NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆
動回路の一例を示すブロック図である。
【0087】図8を用いて画像形成装置の組み立てにつ
いて説明する。
【0088】図8(a)において、81は電子放出素子
を複数配したリアプレートであり、74は図1における
電子放出素子であり、72,73は、表面伝導型電子放
出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY
方向配線である。86はガラス基板83の内面に蛍光膜
84とメタルバック85等が形成されたフェースプレー
トである。
【0089】82は、支持枠であり該支持枠82には、
リアプレート81、フェースプレート86が接続されて
いる。89はスペーサであり、表示部内に電子源基板7
の強度を補強する目的で設けられるが、その数及び形状
は、適宜選択される。
【0090】図8(b)は、図8(a)におけるA−
A′の断面図である。
【0091】リアプレート81、フェースプレート8
6、支持枠82、スペーサ89、さらに排気管(不図
示)等の他の部品の接続は、フリットガラス80,90
によって行われる。
【0092】フェースプレート86,支持枠82,及び
リアプレート81にて構成される外囲器では、複数の電
子放出素子が配された電子源基板自体でリアプレート8
1を兼ねたが、別体リアプレートを有し、電子源基板と
接続してもよい。その場合、強度が十分であれば、表示
部内におかれるスペーサ89はなくしてもかまわない。
【0093】本発明においてフリット剤を接続させる他
の部品の間に塗布される、第1の工程が行われる。フリ
ット剤は、フリットガラスとビークルから構成される。
【0094】フリットガラスの主成分は、例えばPb
O,PbO−B2 3 ,PbO−ZnO−B2 3 等で
あり、その他に、SnO2 等フィラーと呼ばれる成分が
含まれている粉体であり、フリットガラスは結晶性のも
の、あるいは、結晶性のものに非結晶性のものが混合さ
れた複合系のものがある。
【0095】ビークルは、少なくとも1種類以上の溶剤
から構成される。その中で、フリットガラスを分散し、
軟化点まで形状保持するための溶剤は、バインダー(有
機バインダー)と呼ばれる。
【0096】バインダーとしては、ニトロセルロース、
エチルセルロース、ポリメタクリル酸イソブチルエステ
ル等の各種の樹脂等が用いられる。
【0097】さらに、フリットガラス及びバインダーを
溶解するための他の溶剤が使用される。溶剤としては、
酢酸アミル、テルピネオール等があり、他の揮発性を有
するアルコール系、エーテル系のものが考えられる。
【0098】フリット剤を塗布する方法としては、ディ
スペンサを用いる方法、スプレー法、印刷による方法等
がある。
【0099】塗布されたフリット剤はフリットガラス以
外の成分を除去する第2の工程が行われる。
【0100】この工程は仮焼成と呼ばれる。加熱温度は
フリットガラスの軟化点以下、かつビークル(バインダ
ー)が熱分解される温度以上の温度が選ばれる。
【0101】なお、本工程の前に、一部の溶剤を選択的
あるいは、部分的に除去するための乾燥工程が行われる
場合もある。
【0102】さらに、フリットガラスで部品間を接続す
る第3の工程が行われる。この工程を封着と呼び、封着
温度はフリットガラスの接続のために必要な流動性を持
つ温度が選ばれる。本工程において、部品は位置合わせ
されて接続される。
【0103】本発明において、第2の工程と第3の工程
とが、同時に行われる場合もある。
【0104】本発明において、第2の工程は、その発生
するガスに、電子源基板の電子放出部もしくは、導電性
薄膜が接触しないような製造工程であることを特徴とす
る。
【0105】そのために、第1、2の工程が電子源基板
に行われず、電子源基板に接続されるフェースプレー
ト、支持枠、スペーサ等の部品側にフリット剤が塗布、
仮焼成される場合がある。
【0106】または、フリット剤が塗布されるのが電子
源基板の場合には、第1、2の工程の後に導電性薄膜も
しくは、電子放出部が形成される場合がある。また、フ
リット剤が塗布されるのが電子源基板の場合であって、
電子放出部もしくは導電性薄膜形成後に、フリット剤が
塗布、仮焼成される場合には、第2の工程において、電
子放出部もしくは導電性薄膜、フリット剤塗布部と空間
的に隔てられるような隔壁が設けられる場合がある。
【0107】さらに、本発明において、フリット剤が塗
布されるのが電子源基板の場合であって、電子放出部も
しくは導電性薄膜形成後にフリット剤が塗布、仮焼成さ
れる場合には、第2の工程は、電子源基板の電子放出部
もしくは、導電性薄膜が、該ガスによって変質する温度
未満に保たれていることを特徴とする。
【0108】そのために、フリット剤塗布部が、局所的
に加熱されている場合があり、局所的に加熱には、ヒー
タの他、赤外線もしくはレーザ光の照射等の光学的な手
法を用いることができる。
【0109】図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜92は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列によりブラックストライプあるいはブラックマトリク
ス等と呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから構成
することができる。ブラックストライプ、ブラックマト
リクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる
三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くする
ことで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜94にお
ける外光反射によるコントラストの低下を抑制すること
にある。ブラックストライプの材料としては、通常用い
られている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があ
り、光の透過及び反射が少ない材料を用いることができ
る。
【0110】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光体を保護すること等である。メタル
バックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化
処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、
その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製
できる。
【0111】フェースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。
【0112】前述の封着を行う際には、カラーの場合は
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが求められる。
【0113】図8に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。
【0114】フェースプレート86,支持枠82,及び
リアプレート81にて構成される外囲器は、前述の安定
化工程と同様に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソ
ープションポンプ等のオイルを使用しない排気装置によ
り排気管を通じて排気し、10-7Torr程度の真空度
の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止がなされ
る。外囲器の封止後の真空度を維持するために、ゲッタ
ー処理を行うこともできる。これは、外囲器の封止を行
う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱
等を用いた加熱により、外囲器内の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該
蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5ないしは1
×10-7Torr真空度を維持するものである。ここ
で、表面伝導型電子放出素子のフォーミング処理以降の
工程は適宜設定できる。
【0115】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行うための駆動回路の構成
例について、図10を用いて説明する。図10におい
て、101は画像表示パネル、102は走査回路、10
3は制御回路、104はシフトレジスタである。105
はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は
変調信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0116】表示パネル101は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hv
を介して外部の電気回路と接続している。端子Doy1
乃至Doxmには、表示パネル内に設けられている電子
源、すなわち、M行N列の行列状にマトリクス配線され
た表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次
駆動するための走査信号が印加される。
【0117】端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号
により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素
子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加さ
れる。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば
10k[V]の直流電圧が供給されるが、これは表面伝
導型電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を
励起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電
圧である。
【0118】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1乃至Smで模式的に示している)ある。各スイ
ッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル201の端子Dx1乃至Dxmと電気的に接続
される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。
【0119】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力する
よう設定されている。
【0120】制御回路103は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作
を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期信
号分離回路206より送られる同期信号Tsyncに基
づいて、各部に対してTscan及びTsft及びTm
ryの各制御信号を発生する。
【0121】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便宜
上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から
分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と
表した。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力
される。
【0122】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する。すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジ
スタ104のシフトクロックであるということもでき
る。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電
子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、
Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフトレ
ジスタ104より出力される。
【0123】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryにし
たがって適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶
された内容は、I′d1乃至I′dnとして出力され、
変調信号発生器107に入力される。
【0124】変調信号発生器107は、画像データI′
d1乃至I′dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調するための信号源であり、そ
の出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示
パネル101内の表面伝導型電子放出素子に印加され
る。
【0125】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧V
thがあり、Vth以上の電圧を印加されたときのみ電
子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対して
は、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化す
る。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する
場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても
電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を
印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パ
ルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビー
ムの強度を制御することが可能である。また、パルスの
幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの
電荷の総量を制御することが可能である。
【0126】したがって、入力信号に応じて、電子放出
素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅
変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際
しては、変調信号発生器107として、一定長さの電圧
パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルス
の波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0127】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0128】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のもの
をも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行われればよいからである。
【0129】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには106の出力部にA/D変
換器を設ければよい。これに関連してラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調
方式の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A
変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付加する。
パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数
する計数器(カウンタ)および計数器の出力値と前記メ
モリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み
合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力す
るパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0130】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用
でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧
まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0131】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを
介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。
高圧端子Hvを介してメタルバック85、あるいは透明
電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速す
る。加速された電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生
じて画像が形成される。
【0132】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式等の他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0133】次に、はしご型配置の電子源および画像表
示装置について図11および図12を用いて説明する。
【0134】図11は、はしご型配置の電子源の一例を
示す模式図である。図11において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112、Dx1乃至
Dx10は、電子放出素子110に接続するための共通
配線である。電子放出素子110は、基板110上に、
X方向に並列に複数個配される(これを素子行と呼
ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成して
いる。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加すること
で、各素子行を独立に駆動させることができる。すなわ
ち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出し
きい値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行に
は、電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行
間の共通配線Dx2乃至Dx9を、例えばDx2,Dx
3を同一配線とすることもできる。
【0135】図12は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネルの構造の一例を示す模式図
である。120はグリッド電極、121は電子が通過す
るための空孔である。図12においては、図8、図11
に示した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと
同一の符号を付している。ここに示した画像形成装置
と、図8に示した単純マトリクス配置の画像形成装置の
大きな違いは、電子源基板110とフェースプレート8
6の間にグリッド電極120を備えているか否かであ
る。
【0136】図12においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、表面伝導型電子放出素
子から放出された電子ビームを変調するものであり、は
しご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状
の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応し
て1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッ
ドの形状や設置位置は図12に示したものに限定される
ものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の
通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型電子
放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0137】容器外端子は、不図示の制御回路と電気的
に接続されている。
【0138】本例の画像形成装置では素子行を1列ずつ
順次駆動(走査)していくのと同期グリッド電極列に画
像の1ライン分の変調信号を同時に印加する。これによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。
【0139】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピュータ等の
表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プ
リンターとしての画像形成装置としても用いることもで
きる。
【0140】
【実施例】以下に具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。 (実施例1)本発明の第1の実施例を図1,3,8,1
3を用いて説明し、本発明の方法以外の方法で製造した
例を参考例1として示す。実施例1、参考例1では、電
子放出部を形成後に封着工程を行う工程をとったもので
あり、実施例1では、リアプレート(電子源基板)にフ
リット剤を塗布しない工程を特徴としている。
【0141】まず、表面伝導型電子放出素子74がマト
リクス配線された電子源基板81の作製について説明す
る。
【0142】以下の1)〜5)の工程によりマトリクス
配線を有した基板を作製する。
【0143】1)ガラス基板81を洗浄する。基板は青
板ガラスを使用した。
【0144】2)上記ガラス基板81上に、複数対の図
1に示された素子電極2,3を行列状に形成する。
【0145】この複数対の素子電極2,3の形成には厚
膜印刷法を使用した。ここで使用した厚膜ペースト材料
はMODペースト(DU−2120、ノリタケ(株)
製)で金属成分は金である。印刷方法はスクリーン印刷
法である。印刷の後は110℃で20分乾燥し、次に本
焼成を実施する。焼成温度は580℃でピーク保持時間
は約8分である。印刷焼成後の膜厚は0.3マイクロメ
ータであった。
【0146】以上の通り、厚さが0.3マイクロメー
タ、素子電極間距離が50ミクロンメータの複数対の素
子電極2,3を形成した。
【0147】3)次にY方向配線73を形成する。
【0148】このY方向配線73の形成には、厚膜スク
リーン印刷法を用いた。ペースト材料はノリタケ(株)
製(NP−4028A)で、金属成分は銀である。焼成
は、上記2)の工程と同様である。Y方向配線は両素子
電極2,3のうち、素子電極2側に接続される。
【0149】4)次に、層間絶縁層(不図示)を形成す
る。この層間絶縁層は上記Y方向配線73と後述するX
方向配線72との間に配置され、両配線間を電気的に絶
縁するためのものである。
【0150】この層間絶縁層の形成には、厚膜スクリー
ン印刷法を用い、ペース材料はPbOを主成分としてガ
ラスバインダーを混合したものを使用した。焼成は、上
記2)工程と同様である。
【0151】5)次に、X方向配線72をY方向配線7
3と同じ手順で形成した。
【0152】X方向配線73は、上記両素子電極2,3
のうち素子電極3側と接続されている。
【0153】次に、各素子電極間に導電性薄膜を形成す
る。
【0154】6)有機パラジウム(CCP4230、奥
野製薬工業(株)製)を300ミクロン角のパターンを
有するマスクを介してスプレー塗布し、350℃で1時
間加熱焼成し、パターン状の図1に示すように素子電極
間に導電性薄膜4であるPdO膜を得る。こうして形成
された導電性薄膜4は、膜厚が15nm、粒径が約7n
mである微粒子からなる微粒子膜であり、シート抵抗値
は5×104 Ω/□であった。
【0155】次に上記導電性薄膜に電子放出部を形成す
る。
【0156】7)以上の基板をガラス容器内に配置し、
X配線Dx1乃至Dxm、Y配線Dy1乃至Dymをガ
ラス容器外端子と接続させる。ガラス容器の雰囲気を真
空ポンプにて排気し十分な真空度に達した後、ガラス容
器外端子を通じ、各々の上記素子電極間に電圧を印加
し、各々の上記素子電極間に配置された導電性薄膜4を
フォーミング処理することにより導電性薄膜に電子放出
部5を作製した。フォーミング処理の電圧波形は三角波
のパルスとし、図4(b)で示すように徐々に電圧を印
加した。
【0157】8)さらに、活性化の処理を行う。上記真
空容器内に約1×10-5Torrになるまでアセトンを
導入し、各素子を1時間駆動した。これにより、各素子
に炭素が堆積され素子電流If,放出電流Ieが増加し
た。
【0158】9)さらに、再び真空排気し約1×10-6
Torrの真空雰囲気にし、安定化のために、150℃
で1時間加熱した。
【0159】これによって、これ以上の炭素の堆積を抑
制することが可能となった。
【0160】以上の工程で、電子源基板81が形成さ
れ、基板は、ガラス容器内が大気圧に戻された後、ガラ
ス容器外に取り出される。
【0161】一方、フェースプレート86の作製につい
て説明する。
【0162】蛍光膜84はモノクロームの場合は蛍光体
のみからなるが、本実施例では蛍光体はストライプ形状
を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間隙
部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜84を作製した。ブラ
ックストライプの材料として通常よく用いられている黒
鉛を主成分とする材料を用いた。
【0163】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法は
スラリー法を用いた。
【0164】また、蛍光膜84の内面側には通常メタル
バック85が設けられる。メタルバックは、蛍光膜作製
後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミン
グと呼ばれる)を行いその後Alを真空蒸着することで
作製した。
【0165】フェースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)を設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省
略した。
【0166】次に、以上のように作製した電子源基板8
1とフェースプレート86とを用いた画像形成装置の作
製方法を以下に図13を用いて説明する。
【0167】前述のようにして作製した電子源基板81
をリアプレートとした。一方、前述のように蛍光体8
4、メタルバック85を作製した基板をフェースプレー
ト86とした。
【0168】また、支持枠82の高さは4mmとした。
【0169】まず第1にフェースプレート86に、スペ
ーサ89と、支持枠82の配置される場所(接合部)に
フリット剤131を塗布した。
【0170】フリットガラスは日本硝子(株)社製の結
晶性フリットガラス粉末(LS−7105)を用いた。
この粉末を、バインダーとしてアクリル系樹脂であるポ
リメタクリル酸イソブチルエステル、溶剤としてテルピ
ネオールと混合して適当な粘度に調整した。塗布はディ
スペンサーを有する吐出装置を用いた。
【0171】また上記フリット剤131の塗布に際して
は、支持枠82と電子源基板81上の電子放出素子74
との間の距離は、最も近い場所で30mm、スペーサ8
9と電子放出素子74との間の距離は、1mm以下とな
るようにした。
【0172】更に、スペーサ89と支持枠82を位置合
わせして、フェースプレート86に接続した。その後、
スペーサ89と支持枠82の別の端面に、フリット剤1
32を、上記フリット剤131と同様に塗布した(図1
3(a))。
【0173】この状態で、仮焼成を行う。
【0174】この仮焼成によりビークルは熱分解にされ
て除去され、フリットガラスは軟化点を超える程度の流
動性を有する状態133,134となって形状は保持さ
れる(図13(b))。
【0175】本実施例では、上記仮焼成は、大気中で3
90℃で10分とした。
【0176】次に、スペーサ89と支持枠82とが固定
されたフェースプレート86と、リアプレート81と
を、各色蛍光体と電子放出素子とを対応させるための十
分な位置合わせを行い、フリットガラスを、仮焼成より
高い温度で焼成して、封着する(図13(c))。
【0177】本実施例において上記焼成は大気中で45
0℃、20分とした。
【0178】最後に、上記のフェースプレート86、支
持枠82、リアプレート81よりなる外囲器を排気管
(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、さらに、排気
管を封止し、封止後の真空度を維持するために、ゲッタ
ー処理(不図示)を行った。
【0179】以上のように完成した本実施例の画像形成
装置において、各電子放出素子には容器外端子Dx1乃
至Dxm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調
信号を不図示の信号発生手段によって、それぞれ印加し
て電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバックに
4kVの高圧に印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜8
4に衝突させ、励起、発光させることで画像を表示し
た。
【0180】本画像形成装置においては、とりわけ表面
伝導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイ
パネルの薄形化が容易なため、表示装置の奥行きを小さ
くすることができた。
【0181】それに加えて、表面伝導型電子放出素子を
電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画面化が容
易で輝度が高く視野角特性に優れるため、本表示装置は
臨場感にあふれ迫力に富んだ画像を視認性よく表示する
ことが可能である。
【0182】次に、参考例1として、図23に示す製造
方法にて画像形成装置を作製した例を説明する。なお、
リアプレート、フェースプレートの製造方法及び、フリ
ットガラスの組成、加熱温度等は上記実施例1と同様で
ある。
【0183】参考例1では、リアプレート81とフェー
トプレート86のそれぞれにフリット剤131,132
を塗布した(図23(a))。
【0184】その後、フリット剤131とフリット剤1
32のそれぞれを仮焼成する(図23(b))。
【0185】上記仮焼成されたフリット剤133,13
4の位置に支持枠82、スペーサ89を位置合わせする
(図23(b))。次に、実施例1と同様にして、フェ
ースプレート81、スペーサ89、支持枠82、リアプ
レート81を封着する(図23(c))。
【0186】実施例1及び参考例1のいずれにおいて
も、仮焼成においてフリット剤のビークルが分解されて
ガスを発生する。ガスの発生する温度及びガス種及びそ
の量は、使用されるビークル組成、量、雰囲気によって
異なる。実施例1及び参考例1の場合、〜200℃まで
に溶剤であるテルピネオールが揮発あるいは分解された
ガスが、さらに200℃〜380℃でバインダーである
ポリメタクリル酸イソブチルエステルの熱分解によりガ
スが発生する。主な発生ガスは、還元性のガスとしてH
2 ,COH4 等、その他のガスとしてH2 O,CO2
あった。
【0187】実施例1における組み立て工程を示すフロ
ーチャートを図14に、参考例1における組み立て工程
を示すフローチャートを図24に示した。
【0188】実施例1において、フリット剤は、それぞ
れフェースプレート、支持枠、スペーサに塗布されて仮
焼成されるため、電子源の存在するリアプレートには、
フリット剤の塗布及び仮焼成の工程はない。したがっ
て、仮焼成の際に発生する還元性のガスは前述の電子放
出素子を構成する部材とは一切接触しない。
【0189】一方、参考例1では、リアプレートとフェ
ースプレートのそれぞれにフリット剤が塗布され、仮焼
成されるので、リアプレート側のフリット剤の仮焼成の
際に発生する還元性ガスと、電子放出素子を構成する部
材とが高温下で接触する。
【0190】実施例1にて作製された画像形成装置の電
子放出素子の特性と、参考例1にて作製された画像形成
装置の電子放出素子の特性とでは実施例1における電子
放出素子の特性の方が優れていた。
【0191】上記実施例1と参考例1の各画像形成装置
における平均した電子放出素子の特性としては、駆動電
圧18Vにおいて、実施例1が1素子あたりIfが約1
mAに、Ieが約0.8μA、参考例1では、1素子あ
たりのIfは0.15mA、Ieは0.005μAであ
った。 (実施例2)以下に本発明の第2の実施例を説明し、ま
た、本発明の方法以外の方法で製造した第2の例を参考
例2として示す。実施例2、参考例2では、電子放出素
子の構成部材である導電性薄膜4を形成後に封着工程を
行い、その後に該導電性膜4に電子放出部5を形成する
場合であり、実施例2では実施例1と同様にリアプレー
トにフリット剤を塗布しない工程を特徴としている。
【0192】また、フリットガラスの材料として、結晶
性ガラスと非結晶しガラスを混合した複合系フリットガ
ラスを使用した点、バインダーとしてニトロセルロース
を使用した点が実施例1と異なっている。
【0193】実施例2における製造工程のフローチャー
トを図15に示す。
【0194】まず、実施例1の1)〜6)の工程で、マ
トリクス配線された、各々の素子電極間に導電性薄膜4
が配置された電子源基板を形成する。ただし、この段階
では、該導電性薄膜4には電子放出部5はまだ形成され
ていない。
【0195】上記電子源基板(電子放出部5は未形成)
をリアプレート81とし、一方、実施例1と同様にフェ
ースプレート86を作製し、以下の方法で画像形成装置
を組み立てる。
【0196】まず第1にフェースプレート86に、スペ
ーサ89と、支持枠82の配置される場所にフリット剤
131を塗布した。
【0197】フリットガラスは日本硝子(株)社製の複
合系フリットガラス粉末(LS−3081)を用いた。
この粉末を、バインダーとしてのニトロセルロース、溶
剤としてのテルピネオールに混合して適当な粘度に調整
した。塗布はディスペンサーを有する吐出装置を用い
た。
【0198】さらに、スペーサ89と支持枠82を位置
合わせして、フェースプレート86に接続した。その
後、スペーサ89と支持枠82の別の端面に、フリット
剤132を、同様に塗布した。
【0199】この状態で、仮焼成を行った。
【0200】本実施例では、上記の仮焼成は、大気中で
380℃で10分とした。
【0201】次に、スペーサ89と支持枠82とが固定
されたフェースプレート86と、上記リアプレート81
とを十分な位置合わせを行い、フリットガラスを上記仮
焼成よりも高温で焼成して、封着する。
【0202】本実施例において上記焼成は、大気中で4
10℃、10分とした。
【0203】次に上記導電性薄膜4に電子放出部5を形
成する。即ち、上記封着にて形成されたフェースプレー
ト86、支持枠82、リアプレート81からなる外囲器
内の雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排
気し十分な真空度に達した後、容器外端子Dox1乃至
Doxm、Doy1乃至Doynを通じ、各々の上記素
子電極間に電圧を印加し、各々の上記素子電極間に配置
された導電性薄膜4をフォーミング処理することにより
該導電性薄膜に電子放出部5を作製した。フォーミング
処理の条件は、実施例1と同様である。
【0204】次に、活性化の処理を行った。上記外囲器
内に約1×10-5Torrになるまでアセトンを導入
し、各素子を1時間駆動した。これにより、各素子が炭
素が堆積され、素子電流If,放出電流Ieが増加し
た。
【0205】再び、真空排気し約1×10-6Torrの
真空雰囲気にし、安定化のために、150℃で1時間加
熱した。これによって、これ以上の炭素の堆積を抑制す
ることが可能となった。
【0206】これにより、電子放出素子74が作製され
る。
【0207】最後に、排気管(不図示)を封止し、封止
後の真空度を維持するために、ゲッター処理(不図示)
を行った。
【0208】以上のように完成した本実施例の画像形成
装置において、各電子放出素子には容器外端子Dx1乃
至Dxm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調
信号を不図示の信号発生手段によって、それぞれ印加し
て電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック、
あるいは透明電極(不図示)に4kVの高圧に印加し、
電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突させ、励起、発
光させることで画像を表示した。
【0209】実施例2においても、フリット剤131,
132はフェースプレート86と支持枠82、スペーサ
89に塗布されて仮焼成されるため、電子放出素子を構
成する部材の存在するリアプレート81には、還元性の
ガスは一切接触しない。したがって、フリットガラスの
種類、及びビークルの組成によらず、実施例1と同様に
放出電流Ieなどの特性に優れた電子放出素子を備える
画像形成装置が得られ、極めて均一で安定した表示品位
の画像が得られた。
【0210】参考例2における製造方法のフローチャー
トを図25に示す、参考例2は参考例1と同様にリアプ
レートにフリット剤を塗布した場合であり、実施例2と
同様に電子放出素子の構成部材である導電性薄膜を形成
後にフリット剤を塗布、仮焼成した場合である。なお、
フリット剤の組成、加熱温度等は実施例2と同様であ
る。
【0211】実施例2,参考例2のいずれの場合もフリ
ット剤の仮焼成時に還元性ガスが発生するが、実施例2
では、電子放出素子を構成する部材にこの還元性ガスは
接触しない。本実施例においては、参考例2における画
像形成装置の電子放出素子よりも実施例1と同様に、放
出電流Ieが高く電子放出特性がより優れていた。
【0212】また、以上の実施例1,2においては、フ
リット剤はフェースプレートと支持枠、スペーサに塗布
したが、フェースプレートには塗布せず、支持枠、スペ
ーサの両面に塗布、仮焼成する工程をとるのも可能であ
る。 (実施例3)図16に本発明の第3の実施例を示す。
【0213】本実施例では、製造工程の順番を変えるこ
とで、実施例1,2と同様の効果を得ようとしたもので
あり、リアプレートにフリット剤を塗布する工程を有し
ている。フリット剤の組成や塗布、仮焼成、封着等の条
件は実施例1と同様である。
【0214】まず、実施例1の1)〜5)の方法で、複
数の素子電極対がXY配線72,73によりマトリクス
配線された電子源基板を作製した。これをリアプレート
81とし、このリアプレート81上のスペーサ89と、
支持枠82の配置される場所に、フリット剤132を塗
布した。
【0215】また、フェースプレート86側のスペーサ
89と支持枠82が配置される場所にも、フリット剤1
31を塗布した。
【0216】この状態で、リアプレート81と、フェー
スプレート86とともに仮焼成を行った。仮焼成時の加
熱条件は、先に述べたとおり実施例1と同様にした。
【0217】次に、上記の素子電極間に導電性薄膜4を
実施例1の6)の工程と同様に作製した。
【0218】次に、リアプレート81、フェースプレー
ト86、支持枠82、スペーサ89の位置合わせを行
い、封着した。
【0219】以降は、実施例2と同様に、上記の各導電
性薄膜4に電子放出部5を形成し、活性化の処理を行
い、フェースプレート、支持枠、リアプレートで構成さ
れた外囲器内を十分に排気後、封止して画像形成装置と
した。
【0220】なお、本実施例では上記の封着と電子放出
部の形成は、逆でも構わない。
【0221】本実施例においても、導電性薄膜4及び電
子放出部5には、還元性ガスは接触していない。本実施
例においては、放出電流Ieの大きな、優れた電子放出
特性を示す電子放出素子を備えた画像形成装置とするこ
とができた。 (実施例4)図17に本発明の第4実施例を示す。
【0222】本実施例では、実施例3と同様に製造工程
の順番を変えることで、実施例1,2と同様の効果を得
ようとしたものであり、やはりリアプレートにフリット
剤を塗布する工程を有している。フリットガラスの組成
や塗布、仮焼成、封着等の条件は実施例1と同様であ
る。なお電子放出素子の構成部材の一つである導電性薄
膜4の作製には、有機パラジウムとして、酢酸パラジウ
ムを使用したことを除いて、実施例1の1)〜6)の工
程と同様にして、一対の素子電極間に導電性膜を有する
素子の複数が、X配線72とY配線73によりマトリク
ス配線された電子源基板を作製した。
【0223】尚、本実施例では、有機パラジウムの焼成
とフリット剤の仮焼成とを同時に行った。
【0224】すなわち、素子電極間に酢酸パラジウムを
塗布し、これの焼成前に、電子源基板の所望の位置にフ
リット剤をも塗布しておく。その後、加熱により上記酢
酸パラジウムを分解して導電性薄膜4とすると同時に、
前記フリット剤の仮焼成をも行う。また、フェースプレ
ート側にも所望の位置にフリット剤を塗布し、これを仮
焼成しておく。さらに、以上の電子源基板及びフェース
プレートと、支持枠及びスペーサとを位置合せし封着を
行う。その後実施例2と同様に、導電性薄膜4に電子放
出部を形成し活性化を行い、電子源基板、フェースプレ
ート、支持部から成る外囲器内を十分排気後、封止を行
う。なお、封着と電子放出部の形成は、逆でも構わな
い。
【0225】本実施例においても、放出電流Ieの大き
な優れた電子放出特性を有する電子放出素子を備えた画
像形成装置が形成できた。 (実施例5)図18に本発明の第5実施例を示す。
【0226】実施例1〜4は、工程の順番を工夫するこ
とによりフリット剤の仮焼成時に発生するガスの影響を
低減せしめようとするものであるが、本実施例は、電子
放出素子を構成する導電性薄膜を形成した後に、あるい
は、更にこの導電性薄膜に電子放出部を形成した後に、
フリット剤をリアプレートに塗布する場合の例である。
【0227】本実施例は、フリット剤と電子放出素子の
構成部材との間に隔壁を設けることにより、電子放出素
子の構成部材へのガスの接触を防ぐものである。フリッ
ト剤の組成、及び、塗布や焼成の条件は実施例1と同様
である。
【0228】実施例1の1)〜6)と同様の方法で実施
例1と同様の電子源基板を作製する。これをリアプレー
ト81として、リアプレート81上のスペーサ89及び
支持枠82の配置される場所にフリット剤132を塗布
した(図18(a))。
【0229】またフェースプレート86側のスペーサ8
9と支持枠82の配置される場所にも、フリット剤13
1を塗布する(不図示)。
【0230】この状態で、リアプレート81とフェース
プレート86を、ともに実施例1と同様の条件で仮焼成
する。
【0231】尚、本実施例では、上記仮焼成に際して、
リアプレート81側の電子放出素子74の構成部材とフ
リット剤との間に隔壁151を配置してフリット剤から
発生する還元ガスを遮断した(図18(b))。
【0232】その後、上記隔壁151を取り外し、リア
プレート81、フェースプレート86、支持枠82、ス
ペーサ89の位置合わせを行い、フリットガラスを仮焼
成時よりも高い温度にて焼成して封着を行った(不図
示)。
【0233】以降は、実施例2と同様に、電子放出素子
の電子放出部を形成し、活性化を行い、リアプレート、
支持枠及びフェースプレートからなる外囲器内を十分排
気後、封止を行い、画像形成装置とした。
【0234】本実施例においても、電子放出素子を構成
する部材と、仮焼成時にフリット剤から発生するガスと
は非接触な構成をとれる。本実施例においても、実施例
1,2と同様の効果が得られた。 (実施例6)図19に本発明の第6実施例を示す。
【0235】本実施例では、リアプレート側に塗布され
たフリット剤の仮焼成を局所的な加熱により行うもので
ある。フリット剤の組成や、塗布条件は実施例1と同様
である。
【0236】まず、実施例1の1)〜6)と同様の方法
で実施例1と同様の電子源基板を作製する。これをリア
プレート81として、リアプレート81上のスペーサ8
9及び支持枠82の配置される場所にフリット剤132
を塗布した(図19(a))。
【0237】またフェースプレート86側のスペーサ8
9と支持枠82の配置される場所にも、フリット剤13
1を塗布する(不図示)。
【0238】この状態で、リアプレート81とフェース
プレート86を、ともに仮焼成する。
【0239】ただし、本実施例においては、フェースプ
レート86側のフリット剤131の仮焼成は、実施例1
と同様の条件にて行ったが、リアプレート81側のフリ
ット剤132の仮焼成は局所的な加熱により行った。
【0240】この局所的な加熱を行うために、リアプレ
ート81側のフリット剤132の塗布部に相当する位置
に開口部を持つ光学マスク161をリアプレート81の
上部に配置し、この光学マスク161を介してフリット
剤に赤外線162を照射して加熱する(図19
(b))。
【0241】その後、上記光学マスク161を取り外
し、リアプレート81、フェースプレート86、支持枠
82、スペーサ89の位置合わせを行い、フリットガラ
スを仮焼成時よりも高い温度にて焼成して封着を行った
(不図示)。
【0242】以降は、実施例2と同様に、電子放出素子
の電子放出部を形成し、活性化を行い、リアプレート、
支持枠及びフェースプレートからなる外囲器内を十分排
気後、封止を行い、画像形成装置とした。
【0243】本実施例においては、フリット剤の仮焼成
に際して電子放出素子の構成部材である導電性薄膜4に
は、フリット剤からの還元性ガスは接触してしまうが、
電子放出素子の構成部材への加熱が小さいために、該構
成部材へのガスの影響を低減できる。
【0244】本実施例においても、放出電流Ieが大き
く、電子放出特性に優れた電子放出素子を備える画像形
成装置を得ることができた。 (実施例7)図20に本発明の第7実施例を示す。
【0245】本実施例は、実施例6と同様に局所的な加
熱によりリアプレート側に配置されたフリット剤の仮焼
成を行う例であるが、この局所的な加熱を実施例6と別
の手法で行う例を示したものである。フリット剤の組成
及びその塗布条件は実施例1と同様である。
【0246】実施例1の1)〜6)と同様の方法で実施
例1と同様の電子源基板を作製する。これをリアプレー
ト81として、リアプレート81上のスペーサ89及び
支持枠82の配置される場所にフリット剤132を塗布
した(図20(a))。
【0247】また、フェースプレート86側の、スペー
サ89及び支持枠82が配置される場所にも、フリット
剤131を塗布する(不図示)。
【0248】この状態で、リアプレート81とフェース
プレート86をともに仮焼成をする。
【0249】ただし、本実施例においては、フェースプ
レート86側のフリット剤131の仮焼成は実施例1と
同様の条件にて行ったが、リアプレート81側のフリッ
ト剤132の仮焼成は局所的な加熱により行った。
【0250】本実施例における上記のフリット剤132
の局所的な加熱は、リアプレート81をXYステージ1
72上に固定し、フリット剤132の塗布部に順次、レ
ーザ光171を照射して行われた(図20(b))。
【0251】その後、リアプレート81、フェースプレ
ート86、支持枠82、スペーサ89の位置合わせを行
い、フリットガラスを上記仮焼成時よりも高い温度にて
焼成して封着を行った(不図示)。
【0252】以降は、実施例2と同様に、電子放出素子
の電子放出部を形成し、活性化を行い、リアプレート、
支持部、及びフェースプレートからなる外囲器内を十分
に排気後、封止を行い画像形成装置とした。
【0253】本実施例でも、実施例6と同様の効果が得
られた。特に本実施例では、実施例6よりさらに局所的
な加熱が実現でき、素子部はほぼ室温に保たれる構成と
なっている。また、加熱が順次行われることから、単位
時間に発生するガスの放出量も、より少なくできる。 (実施例8)図21に本発明の第8実施例を示す。
【0254】本実施例は、実施例1と同様にリアプレー
ト側にフリット剤を塗布しない例を示すものである。
【0255】本実施例では、まず、実施例1の1)〜
6)と同様の工程にて、一対の素子電極間に導電性薄膜
を有する素子の複数が、X方向配線72とY方向配線7
3とによりマトリクス配線された電子源基板を作製し
た。
【0256】次に、フェースプレート86側の、スペー
サ89及び支持枠82が配置される場所に、フリット剤
131を塗布した。
【0257】また更に、上記支持枠82の、リアプレー
ト側との接触面にも、フリット剤132を塗布した(図
21の(a))。
【0258】ここで、上記フリット剤としては、まず、
フェースプレート86の、支持枠82が配置される場
所、及び、支持枠82の、リアプレート側との接触面に
は、日本電気硝子(株)社製の複合系フリットガラス粉
末(LS−3081)を、バインダーであるポリメタク
リル酸イソブチルエステル、及び、溶剤であるテルピネ
オールと混合したフリット剤を用い、これをディスペン
サーを有する吐出装置で塗布した。尚、上記バインダー
の濃度は10%とした。
【0259】また、フェースプレート86の、スペーサ
89が配置される場所に塗布される上記フリット剤とし
ては、日本電気硝子(株)社製の非結晶性フリットガラ
ス粉末(LS−0200)を、バインダーであるポリメ
タクリル酸イソブチルエステル、及び、溶剤であるテル
ピネオールと混合したフリット剤を用い、これをディス
ペンサーを有する吐出装置で塗布した。尚、上記バイン
ダーの濃度は10%とした。
【0260】図21の(a)に示す状態で、上記フリッ
ト剤131,132の仮焼成を行った(図21の
(b))。仮焼成は、大気中で380℃、10分とし
た。
【0261】次に、フェースプレート86、リアプレー
ト81、スペーサ89、支持枠82を十分に位置合わせ
し、封着を行った(図21の(c))。封着は、大気中
で420℃、10分とした。
【0262】その後、実施例2と同様に、電子放出素子
の構成部材である上記導電性薄膜に電子放出部を形成
し、活性化を行い、リアプレート、支持枠及びフェース
プレートからなる外囲器内を十分に排気した後、封止を
行い画像形成装置を作製した。
【0263】本実施例においては、フリット剤の仮焼成
時に発生するガスが、電子放出素子を構成する部材に接
触しない。本実施例においては、実施例1と同様に、放
出電流Ieが大きく、電子放出特性に優れた電子放出素
子を備える画像形成装置が得られた。 (実施例9)図22に本発明の第9実施例を示す。
【0264】本実施例は、リアプレート側のスペーサの
配置箇所にフリット剤を塗布するが、リアプレート側の
支持枠の配置箇所にはフリット剤を塗布しない例を示す
ものである。
【0265】本実施例では、まず、実施例1の1)〜
6)と同様の工程にて、一対の素子電極間に導電性薄膜
を有する素子の複数が、X方向配線72とY方向配線7
3とによりマトリクス配線された電子源基板を作製し
た。
【0266】次に、フェースプレート86側の、スペー
サ89が配置される場所に、フリット剤を塗布した。
【0267】ここで、上記フリット剤としては、日本電
気硝子(株)社製の非結晶性フリットガラス粉末(LS
−0200)を、バインダーであるポリメタクリル酸イ
ソブチルエステル、及び、溶剤であるテルピネオールと
混合したフリット剤を用い、これをディスペンサーを有
する吐出装置で塗布した。尚、上記バインダーの濃度は
3%とした。
【0268】上記フェースプレート86を大気中で、3
80度、10分加熱し、上記フリット剤を仮焼成した。
【0269】次に、上記フェースプレート86側の、支
持枠82が配置される場所、フリット剤を塗布した。
【0270】ここで上記フリット剤としては、日本電気
硝子(株)社製の複合系フリットガラス粉末(LS−3
081)を、バインダーであるポリメタクリル酸イソブ
チルエステル、及び、溶剤であるテルピネオールと混合
したフリット剤を用い、これをディスペンサーを有する
吐出装置で塗布した。尚、上記バインダーの濃度は10
%とした。
【0271】また、リアプレート81の、スペーサ89
が配置される場所に、上記フェースプレート86上の、
スペーサ89が配置される場所に塗布されたフリット剤
と同じフリット剤を同様に塗布した。
【0272】上記の両フリット剤を大気中で390℃、
10分、仮焼成した(図22の(a))。
【0273】次に、フェースプレート86、リアプレー
ト81、スペーサ89、支持枠82を十分に位置合わせ
し、封着を行った(図22の(b))。封着は、大気中
で420℃、10分とした。
【0274】その後、実施例2と同様に、電子放出素子
の構成部材である上記導電性薄膜に電子放出部を形成
し、活性化を行い、リアプレート、支持枠及びフェース
プレートからなる外囲器内を十分に排気した後、封止を
行い画像形成装置を作製した。
【0275】本実施例においては、リアプレート側のス
ペーサの配置箇所にフリット剤を塗布するが、リアプレ
ート側の支持枠の配置箇所にはフリット剤を塗布しない
ので、フリット剤の仮焼成時に、電子放出素子を構成す
る部材に接触するガス量をかなり低減できる。本実施例
においては放出電流Ieが大きく、電子放出特性に優れ
た電子放出素子を備える画像形成装置が得られた。
【0276】また、第5〜第7実施例では、これらの構
成を組み合わせて実施することも可能である。例えば、
支持枠82部には、実施例5で示した隔壁を利用し、ス
ペーサ89部には実施例7で示した局所加熱の方法をと
ることも可能である。
【0277】また、以上の実施例においては、スペーサ
の配置は、すべてX方向配線72の上にしたが、これに
限るものではない。
【0278】本発明において、バインダーの種類を限定
するものではない。またバインダーだけでなく溶剤であ
っても、電子放出素子の構成部材に影響を与える場合
は、本発明が適用できる。
【0279】
【発明の効果】本発明における製造方法は、放出電流が
大きく、優れた電子放出特性を持つ電子放出素子を備え
た画像形成装置を提供することができる。
【0280】本発明における製造方法は、十分な輝度を
有し、輝度ばらつきが低減された画像形成装置を提供す
ることができる。
【0281】また、本発明における画像形成装置の製造
方法は、大面積の画像形成装置に比較的に容易に対応で
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b)はそれぞれ表面伝導型電子
放出素子の平面図及び断面図である。
【図2】垂直型の表面伝導型電子放出素子の模式的断面
図である。
【図3】図3(a)〜(c)は表面伝導型電子放出素子
の製造方法の工程を示す断面図である。
【図4】図4(a),(b)は通電フォーミングの電圧
波形の一例を示す図である。
【図5】真空処理装置の一例を示す模式図である。
【図6】真空処理装置を用いて測定された放出電流I
e、素子電流Ifと素子電極Vfの関係を示すグラフで
ある。
【図7】単純マトリクス配置の電子源の構成を示す説明
図である。
【図8】図8(a)は単純マトリクス配置の電子源を用
いて構成した画像形成装置の一例を示す斜視図であり、
図8(b)は図8(a)のA−A′断面図である。
【図9】図9(a),(b)は画像形成装置に使用され
る蛍光膜の模式図である。
【図10】NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図11】はしご型配置の電子源の一例を示す模式図で
ある。
【図12】はしご型配置の電子源を備えた画像形成装置
におけるパネル構造の一例を示す斜視図である。
【図13】図13(a)〜(c)は本発明の製造方法の
工程を示す断面図である。
【図14】実施例1における組み立て工程を示すフロー
チャートである。
【図15】実施例2における製造工程のフローチャート
である。
【図16】実施例3における製造工程のフローチャート
である。
【図17】実施例4における製造工程のフローチャート
である。
【図18】図18(a),(b)は実施例5の製造方法
の工程を示す断面図である。
【図19】図19(a),(b)は実施例6の製造方法
の工程を示す断面図である。
【図20】図20(a),(b)は実施例7の製造方法
の工程を示す断面図である。
【図21】図21(a),(b)は実施例8の製造方法
の工程を示す断面図である。
【図22】図22(a),(b)は実施例9の製造方法
の工程を示す断面図である。
【図23】参考例1に示した製造方法の工程を示す断面
図である。
【図24】参考例1における組み立て工程を示すフロー
チャートである。
【図25】参考例2における製造工程のフローチャート
である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 81 電子源基板,リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 88 外囲器 89 スペーサ 90 フリットガラス 131 フリット剤 132 フリット剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合された、画像形成部材が配置された
    部材と電子放出素子が配置された部材とを備える画像形
    成装置の製造方法において、前記画像形成部材が配置さ
    れた部材の前記結合部に接着剤を配する工程と、前記接
    着剤を加熱する工程と、該加熱工程の後に、前記画像形
    成部材が配置された部材と前記電子放出素子が配置され
    た部材とを結合する工程とを有することを特徴とする画
    像形成装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 結合された、画像形成部材が配置された
    部材と電子放出素子が配置された部材とを備える画像形
    成装置の製造方法において、前記電子放出素子が配置さ
    れる部材の前記結合部に接着剤を配する工程と、前記接
    着剤を加熱する工程と、該加熱工程の後に、前記電子放
    出素子の電子放出部材を形成する工程とを有することを
    特徴とする画像形成装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 結合された、画像形成部材が配置された
    部材と電子放出素子が配置された部材とを備える画像形
    成装置の製造方法において、前記電子放出素子が配置さ
    れている部材の前記結合部に接着剤を配する工程と、前
    記接着剤と前記電子放出素子との間に隔壁を配置して前
    記接着剤を加熱する工程とを有することを特徴とする画
    像形成装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 結合された、画像形成部材が配置された
    部材と電子放出素子が配置された部材とを備える画像形
    成装置の製造方法において、前記電子放出素子が配置さ
    れている部材の前記結合部に接着剤を配する工程と、前
    記接着剤を局所的に加熱する工程とを有することを特徴
    とする画像形成装置の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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