JP3559689B2 - 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法に係わり、特に一対の電極と、該一対の電極に接続され、電子放出部が設けられた導電性膜と、を有する電子放出素子、該電子放出素子を用いた電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子放出素子としては大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子放出素子等がある。FE型の例としては W.P.Dyke&W.W.Dolan、“Field emission”、Advance in Electron Physics、8、89(1956)あるいはC.A.Spindt,“PHYSICAL Properties of thin−film field emission cathodes withmolybdenium cones”,J.Appl.Phys.,47,5248(1976) 等に開示されたものが知られている。
【0003】
MIM型の例としては、C.A.Mead、“Operation of Tunnel−Emission Devices”、J.Apply.Phys.、32、646(1961) 等に開示されたものが知られている。
【0004】
表面伝導型電子放出素子型の例としては、 M.I.Elinson、Radio Eng.Electron Pys.、10、1290,(1965) 等に開示されたものがある。
【0005】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[ G.Dittmer:“Thin Solid Films”、9、317(1972)]、In /SnO 薄膜によるもの[ M.Hartwell and C.G.Fonstad:“IEEE Trans.ED Conf.”、519(1975) ]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0006】
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図17に模式的に示す。同図において、221は基板である。224は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部225が形成される。尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W′は、0.1mmで設定されている。
【0007】
従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜224を予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部225を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは前記導電性薄膜224両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部225を形成することである。尚、電子放出部225は導電性薄膜224の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われる。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、導電性薄膜224に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより、電子放出部225より電子を放出せしめるものである。
【0008】
上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生かせるようないろいろな応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、後述するように、梯型配置と呼ぶ並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線した行を多数行配列した電子源があげられる(例えば、特開昭 64−031332 号公報、特開平 1−283749 号公報、特開平 1−257552 号公報等)。また、特に表示装置等の画像形成装置においては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRTに替わって普及してきたが、自発光型でないためバックライトを持たなければならない等の問題点があり、自発光型の表示装置の開発が望まれていた。自発光型表示装置としては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源と電子源より放出された電子によって、可視光を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置があげられる(例えば、米国特許第 5066883 号)。
【0009】
なお、従来、多数の表面伝導型電子放出素子より構成された電子源より、電子放出をし、蛍光体の発光をさせる素子の選択は、上述の多数の表面伝導型電子放出素子を並列に配置し結線した配線(行方向配線と呼ぶ)、行配線と直交する方向に(列方向と呼ぶ)、該電子源と蛍光体間の空間に設置された制御電極(グリッドと呼ぶ)と列方向配線への適当な駆動信号によるものである(例えば、本出願人による特開平 1−283749 号公報等)。
【0010】
本出願人は、表面伝導型電子放出素子の製造方法において、大面積に有利な製造方法として、真空を用いたスパッタ法や蒸着法によらず、導電性膜を形成する方法を提案している。その一例は有機金属含有溶液をスピンナーによって基体上に塗布後、所望の形状にパターニングし、有機金属を熱分解し微粒子からなる導電性膜を得る電子放出素子の製造方法である。さらに、特開平 08−171850号公報においては、前記導電性薄膜の所望の形状にパターニング工程において、リソグラフィー法を用いず、バブルジェット法やピエゾジェット法等のインクジェット法によって、基体上に、有機金属含有溶液の液滴を付与し、所望の形状の導電性薄膜を形成する製造方法を提案している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の方法で形成された微粒子から構成された導電性膜を用いた電子放出素子においては、導電性膜の性状が、電子放出部を形成する工程等に影響を与え、電子放出特性を再現よく形成する上で問題となる場合があった。また、前記電子放出素子を複数配置した電子源では、電子放出特性のばらつきとなり問題となる場合があった。また前記電子源と蛍光体等の画像形成部材とを対向して配置し構成した画像形成装置においても、電子放出特性のばらつきは、画像品位の低下に結び付き問題となる場合があった。
【0012】
また、対向する一対の電極に、有機金属含有溶液を基体に付与し有機金属を熱分解し導電性薄膜を形成し、更に、通電フォーミング工程によって、導電性薄膜に亀裂を形成する電子放出素子の製造方法において、前記導電性薄膜に亀裂を形成する通電フォーミング工程において、通電フォーミングに要するパワーが大きかったり、ばらつきが大きかったりし、亀裂に影響を与え、次の工程の活性化工程にも影響を与え、活性化時間のばらつきや活性化工程後の電子放出素子の電気特性のばらつきが発生する場合があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、良好な電子放出特性を有する電子放出特性の電子放出素子、及び均一性が高く良好な複数の電子放出素子を配置した電子源、さらには、均一性が高く良好な表示品位の前記電子源と蛍光体等の画像形成部材を対向して構成した画像形成装置、およびこれらのの製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
また、さらには、歩留まりが高く安価な電子放出素子、電子源、画像形成装置およびこれらの製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子放出素子は、一対の電極と、電子放出部を構成する亀裂を有すると共に該一対の電極間を接続する、金属パラジウムからなる導電性膜と、該亀裂の先端に形成された炭素及び炭素化合物と、を有する電子放出素子において、
前記導電性膜が、微粒子により構成されており、かつ、その密度が、 . 64g/cm3 . g/cm3の範囲にあることを特徴とするものである。
【0016】
前記導電性膜の材料は、金属あるいは、金属酸化物が好ましくは用いられ、金属元素はPd(パラジウム)が好適に用いられる。
【0017】
本発明の電子源は、前記電子放出素子を、基体上に、複数配置したものであり、更に、本発明の画像形成装置は、入力信号に応じて、前記電子源の電子放出素子を選択変調し画像形成した装置である。
【0018】
本発明の電子放出素子の製造方法は、電子放出素子の製造方法であって、
一対の電極と、該一対の電極を接続し、且つ、密度が0.8g/cm 3 〜4.8g/cm 3 の範囲にある導電性膜と、を基体上に形成する工程と、
前記導電性膜に通電フォーミングを行うことで、前記導電性膜に亀裂を形成する工程と、
前記通電フォーミング後に行う活性化工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0020】
【作用】
本発明の説明に先だって、本発明にいたる経緯について説明する。
【0021】
本発明者らは導電性膜に電子放出部を形成する方式の電子放出素子を検討した結果、良好な電子放出特性を得るには、導電性膜として微粒子膜を用いることが好ましいことを見出した(微粒子膜の説明については後述する。)。このような、微粒子膜を用いた導電性膜は電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行うことができる利点を有している。
【0022】
ただし、製造工程における歩留まり向上等の観点からは電子放出素子間の電気特性のばらつきは極力抑えることが望ましい。また、電子放出素子からなる電子源と蛍光体等の画像形成部材とを配置し構成した画像形成装置、特にフラットディスプレイの様に多くの電子放出素子の画素からなる画像形成装置においては、電子放出素子間の電気特性のばらつきは画像品位の低下に結び付くので、極力抑えることが求められる。
【0023】
本発明者らは電子放出素子間の電気特性のばらつきをより抑制すべく鋭意検討を行った結果、電子放出部を有する導電性膜の微粒子の密度が、0.8g/cm 〜4g/cm の範囲、より好ましくは1.6g/cm 〜3.2g/cm の範囲であれば上記の要請を満足しえる電子放出素子を得ることができることを見出した。導電性膜の微粒子の密度を上記の範囲とするのは、後述する実験例及び実施例で示すように膜密度が上記の範囲より大きくなると、電子放出素子の素子電流(If)や電子放出電流(Ie)のばらつきが大きくなる一方、上記の範囲より膜密度が小さいと素子抵抗が大きくなり、電子放出素子の素子電流(If)や電子放出電流(Ie)が低下し、そのばらつきも大きくなるからである。
【0024】
なお、導電性膜として金属酸化物を用いた場合、フォーミング処理のあと、寄生抵抗の減少のため還元処理を行い金属に変化させたときは、本発明者らの実験によれば微粒子の密度は約20%程度減少するので、電子放出部形成前の導電性膜の微粒子の密度は、1g/cm 〜5g/cm の範囲、より好ましくは2g/cm 〜4g/cm となるように設定するのがよい。ただし、導電性膜の材料,作製条件によって、微粒子の密度の変動幅が変わるので最終的に導電性膜の微粒子の密度が上記の範囲(0.8g/cm 〜4g/cm、より好ましくは1.6g/cm 〜3.2g/cm )の範囲であればよい。フォーミング処理、その後の真空加熱処理等で微粒子の密度が変化するのは、微粒子どうしが凝集を起こしてより大きな粒子になるためと考えることができる。電子放出部形成前の導電性膜の微粒子の密度を上記の範囲(1g/cm 〜5g/cm の範囲、より好ましくは2g/cm 〜4g/cm )に制御すれば、導電性膜に通電フォーミングを行う際のフォーミングパワーを低下させることができ(後述するように、膜密度が高いとフォーミングパワーが増大する)、良好な亀裂が形成され、次工程の活性化工程においての活性化時間のばらつきが抑制され、形成される電子放出素子の電気特性は、ばらつきが少なく、より良好な電気特性を示す。この結果、画像形成装置においては、ばらつきが少ない品位の高い画像形成装置が提供できる。
【0025】
また、本発明者らは、電子放出素子を構成する導電性膜の微粒子の密度を任意の範囲に制御しうる電子放出素子の製造方法を鋭意検討した結果、以下に説明する本発明の電子放出素子の製造方法を見いだした。
【0026】
本発明の電子放出素子の製造方法は、昇華性有機金属材料と非昇華性有機金属材料を予め、設定した濃度に混合して溶液を基体に付与し、熱分解し、金属あるいは金属酸化物からなる導電性膜を形成するものである。昇華性有機金属材料として、非昇華性有機金属材料の熱分解温度より高い昇華性有機金属材料とすることで、最初に非昇華性有機金属材料を熱分解し、同時またはその後に、焼成により昇華性有機金属材料が昇華することにより、導電性膜が作製される。
【0027】
本発明の製造方法によれば、昇華性有機金属材料が昇華することにより、非昇華性有機金属材料の濃度に依存して、膜密度,抵抗が、制御できるため、前記昇華性有機金属材料と非昇華性有機金属材料の混合比等で、導電性膜の密度が制御でき、通電フォーミングに最適な密度が設定でき、ばらつきが少なく、良好な電気特性の電子放出素子が製造できる。本発明の電子放出素子の製造方法による電子源と画像形成部材を有する画像形成装置は、ばらつき少なく、良好な電気特性の電子源を用いているので、ばらつきが少なく、良好な画像形成装置が提供できる。
【0028】
【本発明の実施の形態】
本発明に用いることができる昇華性有機金属材科は、非昇華性有機金属材料の熱分解後に昇華が起こる材料が好ましい(非昇華性有機金属材料の熱分解と昇華性有機金属材料の昇華が同時に起こってもよい。)。昇華性有機金属材科としては、例えば、酢酸パラジウム−1−(2ピリジルアゾ)−2−ナフトール、酢酸パラジウムビスジプロピルアミン、酢酸白金−4−(2−ピリジルアゾ)−2−レゾルシノール等を用いることができ、非昇華性有機金属林料としては、例えば、酢酸パラジウム−モノエタノールアミン、酢酸パラジウム・ジエタノールアミン、酢酸パラジウム・トリエタノールアミン等を用いることができる。
【0029】
本発明を適用し得る電子放出素子の基本的構成には大別して、平面型及び垂直型の2つがある。
【0030】
まず、平面型電子放出素子について説明する。
【0031】
図5は、本発明を適用可能な平面型表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は断面図である。
【0032】
図5において、31は基板、32と33は素子電極、34は導電性膜、35は電子放出部である。
【0033】
基板31としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO を積層したガラス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることができる。
【0034】
対向する素子電極32,33の材料としては、一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属或は合金及びPd,Ag,Au,RuO ,Pd−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In −SnO 等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択することができる。
【0035】
素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性膜34の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計される。素子電極間隔Lは、好ましくは数千オングストロームから数百マイクロメートルの範囲とすることができ、より好ましくは、素子電極間に印加する電圧等を考慮して数マイクロメートルから数十マイクロメートルの範囲とすることができる。
【0036】
素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数マイクロメートルから数百マイクロメートルの範囲とすることができる。素子電極32,33の膜厚dは、数百オングストロームから数マイクロメートルの範囲とすることができる。
【0037】
尚、図5に示した構成だけでなく、基板31上に、導電性膜34、対向する素子電極32,33の順に積層した構成とすることもできる。
【0038】
導電性膜34には、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は、素子電極32,33へのステップカバレージ、素子電極32,33間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲とするのが好ましく、より好ましくは10オングストロームより500オングストロームの範囲とするのが良い。その抵抗値は、R が10から10Ω/□の値である。なおR は、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗Rを、R=R (l/w)とおいたときに現れる。本願明細書において、フォーミング処理については、通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する処理を包含するものである。
【0039】
導電性膜34を構成する材料は、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO ,In ,PbO,Sb 等の酸化物等の中から適宜選択される。
【0040】
ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲、好ましくは、10オングストロームから200オングストロームの範囲である。
【0041】
なお、本明細書では頻繁に「微粒子」という言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0042】
小さな粒子を「微粒子」と呼び、これよりも小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」よりもさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「クラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0043】
しかしながら、それぞれの境は厳密なものではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに沿ったものである。
【0044】
「実験物理学講座14 表面・微粒子」(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発行)では次のように記述されている。
【0045】
「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3nm程度までを意味することにする。両者を一括して単に微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではなく、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼ぶ。」(195ページ22〜26行目)。
【0046】
付言すると、新技術開発事業団の“林・超微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0047】
「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒子”( ultrafine particle )と呼ぶことにした。すると1個の超微粒子は、およそ100〜10 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超微粒子−創造科学技術−」林主税、上田良二、田崎明 編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)、「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
【0048】
上記のような一般的な呼び方をふまえて、本明細書において、「微粒子」とは多数の原子・分子の集合体で、粒径の下限は数オングストローム〜10オングストローム程度、上限は数μm程度のものを指すこととする。
【0049】
電子放出部35は、導電性膜34の一部に形成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜34の膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法等に依存したものとなる。電子放出部35の内部には、数オングストロームから数百オングストロームの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導電性微粒子は、導電性膜34を構成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。電子放出部35及びその近傍の導電性膜34には、炭素及び炭素化合物を有することもできる。
【0050】
次に、垂直型表面伝導型電子放出素子について説明する。
【0051】
図6は、本発明の電子放出素子を適用できる垂直型表面伝導型電子放出素子の一例を示す模式図である。
【0052】
図6においては、図5に示した部位と同じ部位には図5に付した符号と同一の符号を付している。41は、段さ形成部である。基板31、素子電極32及び33、導電性膜34、電子放出部35は、前述した平面型表面伝導型電子放出素子の場合と同様の材料で構成することができる。段さ形成部41は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO 等の絶縁性材料で構成することができる。段さ形成部41の膜厚は、先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔Lに対応し、数千オングストロームから数十マイクロメートルの範囲とすることができる。この膜厚は、段さ形成部の製法、及び、素子電極間に印加する電圧を考慮して設定されるが、数百オングストロームから数マイクロメートルの範囲が好ましい。
【0053】
導電性膜34は、素子電極32及び33と段さ形成部41作成後に、該素子電極32,33の上に積層される。電子放出部35は、図6においては、段差形成部41に形成されているが、作成条件、フォーミング条件等に依存し、形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0054】
上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法としては様々な方法があるが、その一例を図7に模式的に示す。
【0055】
以下、図5及び図7を参照しながら製造方法の一例について説明する。図7においても、図5に示した部位と同じ部位には図5に付した符号と同一の符号を付している。
【0056】
1) 基板31を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基板31上に素子電極32,33を形成する(図7(a))。
【0057】
2) 素子電極32,33を設けた基板31に、有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機金属溶液には、前述の導電性膜34の材料の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電性膜34を形成する(図7(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性膜34の形成法はこれに限られるものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いることもできる。有機金属薄膜の形成は、有機金属含有水溶液の液滴をバブルジェット法やピエゾジェット法と呼ばれるインクジェット法によって、各素子電極および素子電極間に付与することで行うことができる。なお、有機金属含有水溶液の基体への付与法は、スピンナーを用いた塗布法によっても良いが、この場合は所望の導電性薄膜の形態をうるため、パターニング工程が必要となる。
【0058】
3) つづいて、フォーミング工程を施す。このフォーミング工程の方法の一例として通電処理による方法を説明する。素子電極32,33間に、不図示の電源を用いて、通電を行うと、導電性膜34の部位に、構造変化した電子放出部35が形成される。(図7(c))。通電フォーミングによれば導電性膜34に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出部35を構成する。通電フォーミングの電圧波形の例を図8に示す。
【0059】
電圧波形は、パルス波形が、好ましい。これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する図8(a)に示した手法とパルス波高値を増加させながら、電圧パルスを印加する図8(b)に示した手法がある。
【0060】
図8(a)におけるT1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子形態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例えば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波形を採用することができる。
【0061】
図8(b)におけるT1及びT2は、図8(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加させることができる。
【0062】
通電フォーミング処理の終了は、パルス間隔T2中に、導電性膜34を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0063】
4) フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化する工程である。
【0064】
活性化工程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどC2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどC2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するようになる。
【0065】
活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なおパルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0066】
炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG、PG、GCを包含する。HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が200オングストローム程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20オングストローム程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜厚は、500オングストローム以下の範囲とするのが好ましく、300オングストローム以下の範囲とすることがより好ましい。
【0067】
5) このような工程を経て得られた電子放出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
【0068】
前記活性化の工程で、排気装置として油拡散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1×10−8Torr以下が好ましく、さらには1×10−10 Torr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱条件は、80〜200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが求められ、1〜3×10−7Torr以下が好ましく、さらに1×10−8Torr以下が特に好ましい。
【0069】
安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することが出来る。
【0070】
このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが、安定する。
【0071】
上述した工程を経て得られた本発明を適用可能な電子放出素子の基本特性について図9,図10を参照しながら説明する。
【0072】
図9は、真空処理装置の一例を示す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能をも兼ね備えている。図9においても、図5に示した部位と同じ部位には図5に付した符号と同一の符号を付している。なお、この真空処理装置を用いて、後述する実施例の通電フォーミング以降の工程も行うことができる。
【0073】
図9において、55は真空容器であり、56は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素子が配されている。即ち、31は電子放出素子を構成する基体であり、32及び33は素子電極、34は導電性膜、35は電子放出部である。51は、電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極32・33間の導電性膜34を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電子放出部35より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。一例として、アノード電極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmとして行うことができる。
【0074】
真空容器55内には、不図示の真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになっている。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。ここに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターにより300度まで加熱できる。従って、この真空処理装置を用いると、前述する通電フォーミング以降の工程も行うことができる。なお、この真空処理装置は、後述する実験例,比較例における測定装置あるいは実施例における通電フォーミング以降の工程においても使用することができる。
【0075】
図10は、図9に示した真空処理装置を用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模式的に示した図である。図10においては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニアスケールである。
【0076】
図10からも明らかなように、本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して三つの特徴的性質を有する。
【0077】
即ち、(i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図10中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0078】
(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0079】
(iii) アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0080】
以上の説明より理解されるように、本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。
【0081】
図10においては、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」という。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0082】
本発明を適用可能な電子放出素子の応用例について以下に述べる。本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源あるいは、画像形成装置が構成できる。
【0083】
電子放出素子の配列については、種々のものが採用できる。
【0084】
一例として、並列に配置した多数の電子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配置について以下に詳述する。
【0085】
本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子については、前述したとおり(i)乃至(iii) の特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、しきい値電圧より低い電圧では、殆ど放出されない。この特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放出量を制御できる。
【0086】
以下この原理に基づき、本発明を適用可能な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板について、図11を用いて説明する。図11において、71は電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線である。74は表面伝導型電子放出素子、75は結線である。尚、表面伝導型電子放出素子74は、前述した平面型あるいは垂直型のどちらであってもよい。
【0087】
m本のX方向配線72は、Dx1,Dx2,…,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成することができる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計される。Y方向配線73は、Dy1,Dy2,…,Dynのn本の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成される。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0088】
不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO 等で構成される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き出されている。
【0089】
表面伝導型電子放出素子74を構成する一対の電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY方向配線73と導電性金属等からなる結線75によって電気的に接続されている。
【0090】
配線72と配線73を構成する材料、結線75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0091】
X方向配線72には、X方向に配列した表面伝導型電子放出素子74の行を、選択するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型電子放出素子74の各列を入力信号に応じて、変調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0092】
上記構成においては、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0093】
このような単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置について、図12と図13及び図14を用いて説明する。図12は、画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図であり、図13は、図12の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図14は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0094】
図12において、141は電子放出素子を複数配した電子源基板、145は電子源基板141を固定したリアプレート、150はガラス基板147の内面に蛍光膜148とメタルバック149等が形成されたフェースプレートである。146は支持枠であり、該支持枠146には、リアプレート145、フェースプレート150がフリットガラス等を用いて接続されている。外囲器は、フェースプレート150、支持枠146、リアプレート145で構成され、例えば大気中あるいは、窒素中で、400〜500度の温度範囲で10分以上焼成することで、封着して構成される。
【0095】
110は、図5における電子放出部に相当する。143,144は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0096】
リアプレート145は主に基板141の強度を補強する目的で設けられるため、基板141自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート145は不要とすることができる。即ち、基板141に直接支持枠146を封着し、フェースプレート150、支持枠146及び基板141で外囲器を構成しても良い。一方、フェースプレート150、リアプレート145間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器を構成することもできる。
【0097】
図13は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光膜148は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材61と蛍光体62とから構成することができる。ブラックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体62間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜148における外光反射によるコントラストの低下を抑制することにある。ブラックストライプの材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用いることができる。
【0098】
ガラス基板147に蛍光体を塗布する方法は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等が採用できる。蛍光膜148の内面側には、通常メタルバック149が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート150側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0099】
フェースプレート150には、更に蛍光膜148の導電性を高めるため、蛍光膜148の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0100】
前述の封着を行う際には、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分な位置合わせが求められる。
【0101】
図12に示した画像形成装置は、例えば以下のようにして製造される。
【0102】
外囲器は、前述の安定化工程と同様に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の排気管を通じて排気し、10−7Torr程度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成される。外囲器の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行うこともできる。これは、外囲器の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10−5ないしは1×10−7Torrの真空度を維持するものである。ここで、表面伝導型電子放出素子のフォーミング処理以降の工程は、適宜設定できる。
【0103】
次に単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例について、図14を用いて説明する。
【0104】
図14において、101は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタである。105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0105】
表示パネル101は、端子Dox1乃至Doxm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃至Doxmには、表示パネル内に設けられている電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス配線された電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
【0106】
端子Doy1乃至Doynには、前記走査信号により選択された一行の電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば6k[V]の直流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0107】
走査回路102について説明する。同回路は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図中、S1乃至Smで模式的に示している)ある。各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル101の端子Dox1乃至Doxmと電気的に接続される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することができる。
【0108】
直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
【0109】
制御回路103は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan及びTsft及びTmryの各制御信号を発生する。
【0110】
同期信号分離回路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力される。
【0111】
シフトレジスタ104は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ104のシフトクロックであるということもできる。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力される。
【0112】
ラインメモリ105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I′d1乃至I′dnとして出力され、変調信号発生器107に入力される。
【0113】
変調信号発生器107は、画像データI′d1乃至I′dnの各々に応じて電子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル101内の電子放出素子に印加される。
【0114】
前述したように、本発明を適用可能な電子放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出しきい値より低い電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる事により出力電子ビームの強度を制御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能である。
【0115】
従って、入力信号に応じて、電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器107として、一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることができる。
【0116】
パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることができる。
【0117】
シフトレジスタ104やラインメモリ105は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のものをも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行われれば良いからである。
【0118】
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これには同期信号分離回路106の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0119】
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプなどを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0120】
このような構成をとり得る本発明を適用可能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック149、あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜148に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0121】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号については、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方式など他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0122】
次に、はしご型配置の電子源及び画像形成装置について図15及び図16を用いて説明する。
【0123】
図15は、はしご型配置の電子源の一例を示す模式図である。図15において、110は電子源基板、111は電子放出素子である。112、Dx1〜Dxmは、電子放出素子111を接続するための共通配線である。電子放出素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数個配されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成している。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2,Dx3を同一配線とすることもできる。
【0124】
図16は、はしご型配置の電子源を備えた画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図である。120はグリッド電極、121は電子が通過するため空孔、122はDox1,Dox2,・・・,Doxmよりなる容器外端子である。123は、グリッド電極120と接続されたG1,G2,・・・,Gnからなる容器外端子、124は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板である。ここに示した画像形成装置と、図12に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違いは、電子源基板110とフェースプレート86の間にグリッド電極120を備えているか否かである。
【0125】
図16においては、基板110とフェースプレート86の間には、グリッド電極120が設けられている。グリッド電極120は、表面伝導型電子放出素子から放出された電子ビームを変調するためのものであり、はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッドの形状や設置位置は図16に示したものに限定されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型電子放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0126】
容器外端子122およびグリッド容器外端子123は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
【0127】
本例の画像形成装置では、素子行を1列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0128】
本発明の画像形成装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成装置等としても用いることができる。
【0129】
【実施例】
以下、本発明の電子放出素子、電子源、及び画像形成装置の製造方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0130】
まず、本発明者が行った導電性膜の実験例について説明する。
(実験例1)
本実験例は、昇華性有機金属材料として、酢酸パラジウム−1−(2ピリジルアゾ)−2−ナフトール(以下PA−PANと略す)を、非昇華性有機材料として酢酸パラジウム−モノエタノールアミン(以下PA−MEと略す)を用いた実験例である。
【0131】
まず、以下の様にして、PA−ME、PA−PANを合成した。
【0132】
10gの酢酸Pdを200cm のイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)に懸濁し、更に、16.6gのモノエタノールアミンを加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、IPAをエバポレーターにより除き、固形物にエタノールを加えて溶解ろ過し、ろ液よりPA−MEを再結晶させて得た。空気中でTG(熱重量分析)測定の結果、PA−MEの分解は、100℃から310℃で終了した。また、パラジウムの残存量より、PA−MEは、昇華性のない有機金属材料であることを確認した。なお、最終分解温度は310℃としたが、200℃で略重量当たり70%が分解され、パラジウム以外の残分10%が200℃から310℃で分解された。
【0133】
次にPA−PANを合成した。合成方法はPA−MEとほぼ同様である。10gの酢酸Pdを200cm のIPAに懸濁し、更に、11.1gのp−ニトロソジメチルアニリンを加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、IPAをエバポレーターにより除き、固形物に酢酸エチルを加えて溶解ろ過し、ろ液よりPA−PANを再結晶させて得た。空気中でTG測定の結果、PA−PANの分解は、250℃から500℃で終了した。また、TG測定におけるパラジウムの残存量より、昇華性が、顕著にみられないが、後述のスピンナーで塗布した薄膜化した膜では、ほとんど、Pdが残存せず、焼成工程中に熱分解せず、昇華したと見られる。
【0134】
以上の様にして合成したPA−MEとPA−PANを用いて、それぞれの有機金属材料中のパラジウム含量より、表1の作成条件で、PA−MEとPA−PANの相対濃度を設定し、スピンナー塗布法で塗布するため、水溶液とした。尚、PA−PAN、PA−MEのパラジウム濃度は、0.4wt%とした。こうして作成した水溶液を、石英基板上に、膜厚10nmになる様に、スピンナーで塗布した。その後、350℃で10分間、大気中で焼成し、前記有機金属材料を熱分解し、導電性膜を得た。
【0135】
こうして得られた導電性膜をX線回折法及びFESEMで観察した。観察により、いずれの導電性膜も、酸化パラジウムの微粒子膜であることがわかった。膜密度の算出は、X線回折法によりPdOのピークの回折強度面積を算出し、標準試料との比較で存在量を算出し、また、同時に膜厚を測定し行った。
【0136】
尚、標準試料は、スパッタ法で1μm厚成膜し、同様にX線回折強度面積を得た。また、同時に、適当な面積を切りだし、Pdを元素分析をおこない、単位面積当たりの重量を得た。こうして、標準試料の膜密度とX線回折強度の面積との関係を算出した。標準試料の膜密度は、8.2g/cm であった。
【0137】
尚、微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置したもののみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは、かさなりあった状態の膜であるものも含む。微粒子膜において、微粒子の径とは、前記微細構造形状で粒子形状が認識可能な微粒子についての径とし、FESEMにより観察した。
【0138】
次に、一対の電極に上記の製造方法による導電性膜を形成し、抵抗を測定した。以下に、その作成法及び評価法を示す。図4に評価サンプルの形態を示す。図4において、1は基板、2と3は素子電極、4は導電性膜である。図4に示される様に、素子が、10個基板上に配置される。測定装置としては図9に示した測定装置を用いた。
【0139】
絶縁性基板として石英基板を用い、十分に洗浄した石英基板上にPt100nmの厚みの一対の電極を形成した。この時、電極間距離lは2μmとし、電極幅wは150μmとした。尚、電極幅方向で、導電性膜との重なり幅は100μmとした。
【0140】
導電性膜パターニングのため、電極ギャップ及びこの近傍に開口を有するCrマスクを100nmの膜厚で真空蒸着により堆積・パターニングし、その上に、上記有機金属材料の水溶液をスピンナーにより回転塗布、350℃で10分間の加熱焼成処理をした。
【0141】
次に上記マスクであるCr膜および焼成後の導電性膜を酸エッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成した。
【0142】
以上の工程により石英基板上に、電極、導電性膜等を形成した。こうして、作成した導電膜を、図9の測定装置に設置し、真空ポンプにて排気し、10−8Torrの真空度に達した後、一対の電極に導電性膜の抵抗を測定するために、電源より、各導電膜の一対の電極間にそれぞれ、0.1Vのパルス状の電圧を印加し、各一対の電極間に流れる電流を測定した。尚、パルスの電圧波形は、パルス幅0.1msecとパルス間隔9msecとし、測定は10回繰り返し測定し、その平均値より抵抗値を測定し、シート抵抗を算出した。また、上記測定条件は、導電性膜が抵抗測定により膜の変化を起こさない条件である。
【0143】
表1に作成条件と作成した膜の特性を示す。
【0144】
【表1】
Figure 0003559689
上記測定後に更に、2%H/N中に、基板を1時間放置し、更に、上述の評価を行ったところ、酸化パラジウムは、金属パラジウムに還元された。この際、表1に示されたそれぞれの抵抗値は、約2桁低下し、また、膜密度は、約20%低下した。
(比較例)
酢酸パラジウムビスジプロピルアミン(以下PA−PA)を合成した。10gの酢酸Pdを200cm の酢酸ブチルに懸濁し、更に、PA−PAと等量分のジ−nプロピルアミンを加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、酢酸ブチルをエバポレーターにより除き、固形物に酢酸ブチルを加えて溶解ろ過し、ろ液よりPA−PAを再結晶させて得た。空気中でTG測定の結果、PA−PAの分解は、150℃から250℃で終了した。また、パラジウムの残存量より、PA−PAは、昇華性のある有機金属材料であることを確認した。
【0145】
表1より明らかなように、非昇華性有機金属材料PA−ME及び昇華性有機金属材料PA−PANの適当な濃度の溶液を作成し、焼成すると、最初に非昇華性有機金属材料が熱分解し、その後、昇華性有機金属材料が昇華し、非昇華性有機金属材料PA−MEの濃度に依存して、膜密度、抵抗が、制御できることがわかった。
【0146】
一方、比較例の酢酸パラジウムビスジプロピルアミンより形成した導電性膜は、実験例と比べ、有機金属の熱分解と昇華が同時におこるために、膜密度が低く、また、抵抗、膜密度のばらつきが大きかった。
(実験例2)
本実験例では、昇華性有機金属材料として、酢酸白金−4−(2−ピリジルアゾ)−2−レゾルシノール(以下PtA−PARと略す)を、非昇華性有機材料として酢酸パラジウム−ジエタノールアミン(以下PA−DEと略す)を用いた実験例である。まず、以下の様にして、PA−DE、PA−PARを合成した。
【0147】
10gの酢酸Pdを200cm のIPAに懸濁し、更に、24.4gのジエタノールアミンを加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、IPAをエバポレーターにより除き、固形物にエタノールを加えて溶解ろ過し、ろ液よりPA−DEを再結晶させて得た。空気中でTG測定の結果、PA−DEの分解は、100℃から305℃で終了した。また、パラジウムの残存量より、PA−DEは、昇華性のない有機金属材料であることを確認した。なお、最終分解温度は305℃としたが、200℃で略重量当たり70%が分解され、パラジウム以外の残分10%が200℃から305℃で分解された。
【0148】
次に、PtA−PARを合成した。10gの酢酸Pdを200cm のIPAに懸濁し、更に、9.6gの4−(2−ピリジルアゾ)−2−レゾルシノールを加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、IPAをエバポレーターにより除き、固形物に酢酸エチルを加えて溶解ろ過し、ろ液よりPtA−PARを再結晶させて得た。空気中でTG測定の結果、PtA−PANの分解は、300℃から390℃で終了した。また、白金の残存量より、PtA−PARは、昇華性のある有機金属材料であることを確認した。
【0149】
次に昇華性有機金属材料と非昇華性有機金属材料を混合し、非昇華性材料のみのサンプルと昇華性材料を65%含有するサンプルで、PA−DE中のパラジウムを0.5wt%として、実験例1と同様に、スピンナーで膜厚15nmに成るように塗布した後、350℃で10分間焼成し、膜密度、粒径の評価を行った。また、抵抗の測定も同様に行った。
【0150】
その結果、膜密度は、非昇華性有機金属材料のみのサンプルが、膜密度7g/cm で平均粒径5nm、シート抵抗8×10 オーム/□の微粒子膜であった。一方、昇華性有機金属材料であるPtA−PAN65%含有したサンプルは膜密度が2.5g/cm 、平均粒径4.8nm、シート抵抗3×10 オーム/□の微粒子膜であった。
【0151】
本実験例より、実験例1同様、非昇華性有機金属材料PA−DE及び昇華性有機金属材料PtA−PARの適当な濃度の溶液を作成し、焼成すると、最初に非昇華性有機金属材料が熱分解し、その後、昇華性有機金属材料が昇華し、非昇華性有機金属材料PtA−MEの濃度に依存して、昇華性有機金属材料、非昇華性有機金属材料の金属材料の金属が相違しても、膜密度、抵抗が、制御できることがわかった。
【0152】
以上、本発明に用いる導電性膜の実験例について説明したが、次にこのような導電性膜を用いた本発明の電子放出素子、画像形成装置について説明する。
(実施例1)
本実施例は、実施例1の条件で導電性膜を形成した電子放出素子を作製した例である。図1は本発明の電子放出素子の構成を示す概略的断面図および平面図である。同図において、1は基板、4は導電性膜、2,3は素子電極、5は電子放出部、6は絶縁層(絶縁性基板を用いる場合はなくてもよい。)である。本実施例の電子放出素子の作製方法を以下に示す。
【0153】
工程1) 素子電極の作成
絶縁性基板として石英基板を用い、これを有機溶剤、純水により洗浄し、乾燥した。この石英基板上にPt100nmの厚みの一対の電極を形成した。この時、電極間距離は、2μmとし、電極幅は150μmとした。尚、電極幅方向で、導電膜との重なり幅は、100μmとした。
【0154】
一方、実験例1の昇華性有機金属PA−PANと非昇華性有機金属PA−MEを含有する水溶液を6種類作成し、インクジェット付与水溶液とした。
【0155】
工程2) 導電性膜の形成
バブルジェット方式のインクジェット装置(Canon製バブルジェット−10V)を用いて、一対の電極間に上記の水溶液の液滴を付与し、乾燥した。尚、6種類の水溶液毎に基板を変え、6基板作成した。
【0156】
これらを大気雰囲気のオーブン中で300℃で焼成し、酸化パラジウム微粒子からなる導電性膜とした。
【0157】
工程3) 通電フォーミング工程
次に図9の装置に、前記基板を配置した。つづいて、図9の測定装置内で、フォーミング工程を施した。素子電極2,3間に、通電を行うと、導電性膜4の部位に、構造の変化した亀裂からなる高抵抗部が形成された。通電フォーミングの電圧波形は、パルス波形で、パルス波高値を0Vから0.1Vステップで増加させる電圧パルスを印加した。電圧波形のパルス幅とパルス間隔はそれぞれ1msec、10msecとした三角波とした。通電フォーミング処理の終了は、導電性膜の抵抗値が1Mオーム以上とした。
【0158】
このフォーミング工程につづいて、図9の装置に2%H/Nを導入し、フォーミングを終えた酸化パラジウム膜を還元し、金属パラジウムとした。これは、実験例1で示した様に、導電性膜の抵抗を低下し、駆動電圧を低下する効果や消費電力の低下の効果を示す処理である。また、フォーミング時には、導電性膜の抵抗値が小さすぎると、フォーミング時の消費電力が大きくなるだけでなく、電子放出特性のばらつき等も増加するため、最適な抵抗でおこなうため、酸化パラジウムの状態でフォーミングを行った。
【0159】
工程4) 活性化工程
フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処理を行った。活性化工程とは、フォーミングで形成した亀裂の先端に炭素および炭素化合物を形成することで、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化する工程である。
【0160】
活性化工程は、アセトンガスを測定装置10−3Torr導入し、パルス波高値15V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecとした矩形波のパルスの印加を20分繰り返した。
【0161】
工程5) 安定化工程
つづいて、安定化工程を行った。安定化工程は、真空容器内の雰囲気等に存在する有機ガスを排気し、炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制し、素子電流If、放出電流Ieを安定させる工程である。真空容器全体を約250℃に加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気した。このとき、真空度は、1×10−8Torrであった。
【0162】
その後、この真空度で、電子放出素子の特性を測定した。
【0163】
以上の測定結果を表2に示す。
【0164】
【表2】
Figure 0003559689
表2に示される様に、いずれの溶液を用いた導電性膜も抵抗値の大小はあるが、ばらつきが少なく、再現性良く、膜密度等が再現されている。通電フォーミングのパワーは、膜密度の大小に影響され、膜密度が大きくなるとフォーミングパワーが増加していくことが分かる。膜密度がある程度(配合比70%;Pdの密度約3.8 g/cm)を超えて大きくなると、電子放出素子の特性(素子電流及び放出電流)が劣化傾向を示すようになり、ばらつきも増加するようになる。一方、膜密度が小さくなるとフォーミングパワーが減少し、電子放出素子の特性も安定し、ばらつきも減少する。尚、極端に膜密度(Pdの密度約 0.4 g/cm)が減少した1%では、抵抗値が大きく、フォーミングの電圧が大幅に増加したため、電子放出素子の特性も極端に劣化、ばらつきも増加したと考えられる。
【0165】
以上の結果より、電子放出素子の導電性膜としての膜密度の値は、0.8g/cm から4g/cm、より好ましくは1.6g/cm から3.2g/cmの範囲が、電子放出特性のばらつき及び電子放出特性の劣化を考慮した時、好ましい範囲と設定される。
(実施例2)
本実施例は、本発明の導電性膜材料を用いて画像形成装置を作成した例である。電子源の概略的構成を示す平面図を図11に示す。電子源を構成する各電子放出素子の構成は図1に示した電子放出素子の構成と同じである。図2は電子源の作製方法を示す工程図である。図3は電子源を有する本発明の画像形成装置を示す斜視図である。本実施例の画像形成装置においての駆動は、図14に示した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路を用いた。
【0166】
図11において、71は基板、72はDxmに対応する行方向配線、73はDynに対応する列方向配線、74は電子放出素子、75は素子電極である。
【0167】
次に、本実施例の画像形成装置の製造方法を工程順に従って具体的に説明する。
【0168】
工程a) 素子電極の作成
清浄化した青板ガラス上に厚さ0.1ミクロンのSiO をスパッタ法で形成した基板1上に、素子電極2,3をオフセット印刷法によって作成した。素子電極間隔Lは20μm、素子電極の幅Wを200μmとした。
【0169】
工程b) 配線の作成
列配線22、層間絶縁層23、行配線24の順にスクリーン印刷法で作成した。
【0170】
工程c) 基板洗浄
こうして作成した行、列配線24,22、層間絶縁層23、素子電極2,3を形成した基板を純水で洗浄後、乾燥した。
【0171】
工程d) 導電性膜の作成
PA−ME0.15%、PA−PAN0.15%、イソプロピルアルコール20%、エチレングリコール1%の水溶液の液滴25を実施例1と同様にインクジェット法によって、各素子電極および素子電極間に3回ずつ、同一箇所に付与した。その後、300℃で10分間焼成した。
【0172】
工程e) フェイスプレートの作成
次にフェイスプレートを形成した。フェイスプレートは、ガラス基板147の内面に蛍光体が配置された蛍光膜148とメタルバック149が形成されて構成とした。蛍光体の配列は、三原色蛍光体の各蛍光体間ブラックストライプを設けた。ブラックストライプの材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。これらは、いずれもスクリーン印刷法によって形成した。
【0173】
工程f) 真空容器の作成(封着工程)
工程a)〜d)で形成した基板141(基板1)を取り付けた基板145をリアプレートとして、支持枠146を介して、フェイスプレートを封着した。支持枠には予め、通排気に使用される排気管を接着した。
【0174】
工程g) 通電フォーミング工程
10−7Torrまで排気後、各配線DXm,DYnより各素子に電圧を供給できる製造装置で、ライン毎に、フォーミングを行った。フォーミングの条件は、実施例1と同様である。
【0175】
工程h) 活性化工程
10−7Torrまで排気後、アセトンを10−3Torr排気管から導入し、各配線DXm,DYnより各素子に電圧を供給できる製造装置で、線順走査を実施例1と同様のパルス電圧が、各素子に印加される様に電圧を印加し、活性化工程を行った。各ライン25分間の電圧印加されたとき各ラインとも素子電流が、平均で3mAになったとき、活性化工程を終了した。
【0176】
工程i) 封止工程
続いて、排気管より排気を十分に行った後、250℃で3時間容器全体を加熱しながら排気した。最後にゲッタをフラッシュし、排気管を封止した。
【0177】
以上の様にして作成した単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した画像形成装置に、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行った。テレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例については、既に説明した図14の駆動回路を用いることができる。ここでは、パルス幅変調方式によって変調を行った。
【0178】
このような駆動回路により、表示パネルの各電子放出素子に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック149に6KVの高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜148に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0179】
以上の様な工程で、形成された画像形成装置は、NTSC信号の入力によって、輝度ばらつきが少なく、均一性の高い画像形成装置が再現性良く、製造することができた。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電気特性のばらつきが少なく、より良好な電気特性を示す電子放出素子を得ることができる。その結果、画像形成装置においては、ばらつきが少ない品位の高い画像形成装置が得ることができる。
【0181】
また本発明の製造方法によれば、昇華性有機金属材料と非昇華性有機金属材料との混合比等で、導電性膜の密度が制御でき、通電フォーミングに最適な密度が設定でき、ばらつきが少なく、良好な電気特性の電子放出素子が製造できる。 本発明の電子放出素子の製造方法による電子源と画像形成部材を有する画像形成装置は、ばらつき少なく、良好な電気特性の電子源を用いているので、ばらつきが少なく、良好な画像形成装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一実施例を示す模式的断面図及び平面図である。
【図2】本発明の製造方法の一実施例を示す模式的平面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の一実施例を示す模式的斜視図である。
【図4】本発明の電子放出素子に係わる実験例の素子を示す模式的平面図である。
【図5】本発明を適用可能な平面型電子放出素子の構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図6】本発明を適用可能な垂直型電子放出素子の構成を示す模式的断面図である。
【図7】本発明を適用可能な電子放出素子の製造方法の一例を示す模式図である。
【図8】本発明を適用可能な電子放出素子の製造に際して採用できる通電フォーミング処理における電圧波形の一例を示す模式図である。
【図9】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を示す模式図である。
【図10】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子についての放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一例を示すグラフである。
【図11】本発明を適用可能な単純マトリクス配置した電子源の一例を示す模式図である。
【図12】本発明を適用可能な画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図13】蛍光膜の一例を示す模式図である。
【図14】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図15】本発明を適用可能な梯子配置の電子源の一例を示す模式図である。
【図16】本発明を適用可能な画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図17】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2,3 素子電極
4 導電性膜
5 電子放出部
41 段さ形成部
50 素子電極32・33間の導電性膜34を流れる素子電流Ifを測定するための電流計
51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源
53 アノード電極
54 素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極
55 素子の電子放出部35より放出される放出電流Ieを測定するための電流計
56 真空装置
57 排気ポンプ
71 電子源基板
72 X方向配線
73 Y方向配線
74 表面伝導型電子放出素子
75 結線
81 リアプレート
82 支持枠
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 フェースプレート
87 高圧端子
88 外囲器
61 黒色導電材
62 蛍光体
101 表示パネル
102 走査回路
103 制御回路
104 シフトレジスタ
105 ラインメモリ
106 同期信号分離回路
107 変調信号発生器
Vx,Va 直流電圧源
110 電子源基板
111 電子放出素子
112 Dx1〜Dx10は、前記電子放出素子を配線するための共通配線
120 グリッド電極
121 電子が通過するための空孔
122 Dox1,Dox2,・・・,Doxmよりなる容器外端子
123

Claims (8)

  1. 一対の電極と、電子放出部を構成する亀裂を有すると共に該一対の電極間を接続する、金属パラジウムからなる導電性膜と、該亀裂の先端に形成された炭素及び炭素化合物と、を有する電子放出素子において、
    前記導電性膜が、微粒子により構成されており、かつ、その密度が、 . 64g/cm3 . g/cm3の範囲にあることを特徴とする電子放出素子。
  2. 請求項1に記載の微粒子は、金属あるいは金属酸化物からなることを特徴とする電子放出素子。
  3. 請求項2に記載の微粒子は、パラジウムあるいはパラジウム酸化物であることを特徴とする電子放出素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の電子放出素子を基体上に複数個配置し、入力信号に応じて該電子放出素子から電子を放出してなることを特徴とする電子源。
  5. 請求項4に記載の電子源と、該電子源から放出された電子により画像を形成する画像形成部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 電子放出素子の製造方法であって、
    一対の電極と、該一対の電極を接続し、且つ、密度が0.8g/cm 3 〜4.8g/cm 3 の範囲にある導電性膜と、を基体上に形成する工程と、
    前記導電性膜に通電フォーミングを行うことで、前記導電性膜に亀裂を形成する工程と、
    前記通電フォーミング後に行う活性化工程と、
    を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  7. 複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法であって、前記電子放出素子が、請求項6に記載の製造方法により製造されることを特徴とする電子源の製造方法。
  8. 電子源と、該電子源から放出された電子により画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法であって、前記電子源が請求項7に記載の製造方法により製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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