JPH0917325A - 電子放出素子及び該電子放出素子の製造方法及び該電子放出素子を有する電子源及び該電子源を有する画像形成装置及び該画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子及び該電子放出素子の製造方法及び該電子放出素子を有する電子源及び該電子源を有する画像形成装置及び該画像形成装置の製造方法

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JPH0917325A
JPH0917325A JP15947195A JP15947195A JPH0917325A JP H0917325 A JPH0917325 A JP H0917325A JP 15947195 A JP15947195 A JP 15947195A JP 15947195 A JP15947195 A JP 15947195A JP H0917325 A JPH0917325 A JP H0917325A
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正人 山野辺
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Masaaki Shibata
雅章 柴田
Keiji Hirabayashi
敬二 平林
Yasushi Taniguchi
靖 谷口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の電子を放出する亀裂部(電子放出
部)にダイヤモンドを主成分とする材料を形成した電子
放出素子によれば、導電性薄膜が、熱伝導率が高く、融
点も高いなど熱的に安定で、真空中に存在する残存ガス
に対しても、化学的に安定であり、また、電子を放出す
る亀裂部(電子放出部)が、低電子親和力あるいは低仕
事関数のダイヤモンドを主成分とする被膜で被覆されて
いるので、大きな放出電源、動作駆動時の放出電流のノ
イズ、及び減少が少ない電子放出素子を提供することが
できる。 【構成】 電極間に、電子放出部を有する導電性膜が設
けられた電子放出素子において該電子放出部がダイヤモ
ンドを主成分とする材料を有することを特徴とする電子
放出素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子放出素子、該電子
放出素子の製造方法、該電子放出素子を有する電子源、
該電子源を用いた画像形成装置、該画像形成装置の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱陰極型電子放出素子と冷陰極型電子放出素子を用い
た2種類のものが知られている。冷陰極型電子放出素子
には電界放出型(以下、「FE型」という。)、金属/
絶縁層/金属型(以下、「MIM型」という。)や表面
伝導型電子放出素子等がある。FE型の例としてはW.
P.Dyke&W.W.Dolan、“Field e
mission”、Advance in Elect
ron Physics、8、89(1956)あるい
はC.A.Spindt,“PHYSICL Prop
erties of thin−film field
emission cathodeswith mo
lybdenium cones”,J.Appl.P
hys.,47,5248(1976)等に開示された
ものが知られている。
【0003】MIM型の例としてはC.A.Mead、
“Operation of Tunnel−Emis
sion Devices”、J.Apply.Phy
s.、32、646(1961)等に開示されたものが
知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng. Ele
ctron Pys.、10、1290,(1965)
等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”、9、317(1972)]、In203/S
nO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad“IEEE Trans.E
D Conf.”、519(1975)]、カーボン薄
膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、
22頁(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図3に
模式的に示す。同図において1は基板である。4は導電
性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成され
た金属酸化物薄膜等からなり、後述のフォーミング処理
と呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W′
は、0.1mmで設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜4を予めフォ
ーミング処理と呼ばれる通電処理によって電子放出部5
を形成するのが一般的であった。即ち、フォーミング処
理とは導電性薄膜4の両側に直流電圧あるいは非常にゆ
っくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、
導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、
電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を形成するこ
とである。尚、電子放出部5は導電性薄膜4の一部に亀
裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。フ
ォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、導電
性薄膜4に電圧を印加し、素子に電流を流すことによ
り、電子放出部5より電子を放出せしめるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
電子放出素子において、真空中での動作時において、真
空中に残存する種々のガスと電子放出素子の干渉による
ノイズ、長時間駆動を行った時の放出電流の減少(劣
化)、放出電流値の大きさ等の問題があった。また、長
時間電子放出を行うことにより、電子放出特性の劣化が
生じる問題があった。本発明は、これらの電子放出素子
の問題を解決して、動作駆動時に安定で、十分な電子放
出量のある高性能の電子放出素子および電子源の提供を
目的とする。また、電子源と画像形成部材からなる画像
形成装置においては、長時間電子放出を行っても、安定
で、十分な電子放出量のある高性能の電子放出素子およ
び電子源を用いることで、明るく、安定な画像形成装
置、例えば、フラットディスプレイの提供を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、上
述した課題を解決するために鋭意検討をおこなってなさ
れたものであり、下述の構成のものである。
【0010】即ち、本発明の電子放出素子は、電極間
に、電子放出部を有する導電性膜が設けられた電子放出
素子において、該電子放出部が、ダイヤモンドを主成分
とする材料を有することを特徴とする電子放出素子であ
る。
【0011】さらに、好ましくは、導電性膜が、導電性
微粒子からなり、金属あるいは、金属酸化物あるいは、
それらの混合物であることを特徴とするものである。
【0012】本発明は、電子放出素子の製造方法、電子
放出素子を有する電子源および該電子源を用いた画像形
成装置、画像形成装置の製造方法を包合する。
【0013】本発明の電子放出素子の製造方法は、電極
間に、電子放出部を有する導電性膜が設けられた電子放
出素子の製造方法において、電子放出部に、ダイヤモン
ドを形成する工程を有することを特徴とする。
【0014】また、電極間に、電子放出部を有する導電
性膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、ダ
イヤモンドを有する導電性膜に、電子放出部を形成する
工程を有することを特徴とする。
【0015】本発明の電子源は、入力信号に応じて電子
を放出する電子源であって、本発明の電子放出素子を、
基板上に、複数個配置することを特徴とするものであっ
て、好ましくは、基板に、複数の電子放出素子を複数個
並列に配置し、個々の素子の両端を配線に接続した電子
放出素子の行を複数個有し、更に、変調手段を有するこ
とを特徴とするものである。さらに、好ましくは、基板
に、互いに、電気的に絶縁されたm本のX方向配線とn
本のY方向配線とに、電子放出素子の一対の素子電極と
を接続した電子放出素子を複数個配列したことを特徴と
するものである。
【0016】本発明の画像形成装置は、入力信号に応じ
て画像を形成する画像形成装置であって、本発明の電子
源と画像形成部材を有することを特徴とするものであ
る。
【0017】本発明の画像形成装置の製造方法は、画像
形成部材及び電子放出素子を有する画像形成装置の製造
方法において、本発明の電子放出素子の製造方法によ
り、製造されることを特徴とするものである。
【0018】本発明の電子を放出する亀裂部(電子放出
部)にダイヤモンドを主成分とする材料を形成した電子
放出素子によれば、導電性薄膜が、熱伝導率が高く、融
点も高いなど熱的に安定で、真空中に存在する残存ガス
に対しても、化学的に安定であり、また、電子を放出す
る亀裂部(電子放出部)が、低電子親和力あるいは低仕
事関数のダイヤモンドを主成分とする被膜で被覆されて
いるので、大きな放出電流、動作駆動時の放出電流のノ
イズ、及び減少を少なくすることができる。
【0019】本発明の電子放出素子の製造方法によれ
ば、電子放出部を形成する工程であるフォーミング処理
工程とダイヤモンド形成工程を有するので、電子放出部
を形成する工程であるフォーミング処理工程で形成され
た亀裂部を保護しながら、安定な電子放出素子を形成す
ることができる。
【0020】また、好ましくは、ダイヤモンド形成工程
において、ダイヤモンドの散布工程があるので、ダイヤ
モンドの結晶成長が、すみやかに行われる。
【0021】本発明の電子源によれば、入力信号に応じ
て、複数個配置された電子放出素子から、任意の電子放
出素子を制御できる。
【0022】本発明の画像形成装置によれば、大きな放
出電流、動作駆動時の放出電流のノイズ、および減少の
少ない本発明の電子放出素子を配置することで、入力信
号に応じて、複数個配置された電子放出素子から、任意
の電子放出素子を制御しうるので、明るく、安定なフラ
ットディスプレイが、提供できる。
【0023】以下、図面を参照しながら本発明に係るい
くつかの好ましい態様について詳述する。
【0024】本発明を適用し得る表面伝導型電子放出素
子の基本的構成には大別して、平面型及び垂直型の2つ
がある。
【0025】まず、平面型表面導電型電子放出素子につ
いて説明する。
【0026】図1は、本発明の平面型表面伝導型電子放
出素子の構成を示す模式図であり、図1の(a)は平面
図、図1の(b)は断面図である。
【0027】図1において、1は基板、2と3は素子電
極、4は導電性薄膜、6はダイヤモンドを主成分とする
微粒子、5は電子放出部である。又、図2は、導電性薄
膜4の部分的に拡大した模式図である。
【0028】本発明の第1の特徴は、図1に示される様
に、導電性薄膜4が、ダイヤモンドを主成分とする微粒
子を有していたものであり、真空中での駆動安定性およ
び電子放出特性にすぐれるものである。
【0029】ダイヤモンドを主成分とする微粒子は、導
電性薄膜4の上に被膜として形成されている。また、図
2の(a)に示される様に、導電性薄膜4を微粒子で構
成し、その微粒子間に、ダイヤモンドを主成分とする微
粒子を配置してもよい。また、図2の(b)に示される
様に、導電性薄膜4を構成する微粒子を核としてダイヤ
モンドを主成分とする被膜が形成されてもよい。
【0030】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂および近傍より構成され、導電性
薄膜4の膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミン
グ等の手法、およびダイヤモンドを主成分とする微粒子
の製法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、数オングストロームから数百オングストロームの範
囲の粒径の微粒子が存在する場合もある。この微粒子
は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一部、あるい
は全ての元素を含有するものとなる。具体的には、導電
性薄膜4の微粒子、ダイヤモンドを主成分とする微粒
子、あるいは、導電性薄膜4を構成する微粒子を核とし
てダイヤモンドを主成分とする被膜を有する微粒子ある
いは、それらの混合で構成されてもよい。
【0031】ここで言うダイヤモンドを主成分とする微
粒子とは、天然ダイヤモンド微粒子、気相合成ダイヤモ
ンド微粒子でもよいが、また、更に、導電性のすぐれ
た、グラファイト等の炭素および炭素化合物を有しても
良い。ダイヤモンドを主成分とする微粒子は、部分的に
{111}面を有しているのが好ましい。これは、ダイ
ヤモンド結晶の{111}面は、電子親和力が小さく良
好な電子放出特性を示すことによる。また、その粒子径
は、500nm以下、好ましくは、100nm以下、最
適には、50nm以下である。これは、微細なダイヤモ
ンド粒子の方が、電子放出特性に優れるためである。そ
のダイヤモンド微粒子の存在密度は、特に、電子放出部
5において、105 個/cm2 以上、好ましくは、10
6 個/cm2 以上である。
【0032】尚、炭素及び炭素化合物とは、例えばグラ
ファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する、
HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは
結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、G
Cは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに
大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモル
ファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラ
ファイトの微結晶の混合物を指す)である。ダイヤモン
ドは、低仕事関数または、低電子親和力の材料であるた
め、電子放出特性に優れる。また、高熱伝導性と化学的
に不活性であるために、真空中での動作安定性に優れ
る。その膜厚は、500Å以下の範囲とするのが好まし
く、300Å以下の範囲とすることがより好ましい。
【0033】本発明の電子放出素子におけるダイヤモン
ドを主成分とする微粒子の形成方法は、天然ダイヤモン
ド粒子あるいは、合成ダイヤモンド粒子を基板上にまた
は、導電性薄膜4に散布する、また、気相成長により、
導電性薄膜を構成する微粒子上、または、ダイヤモンド
微粒子上に、ダイヤモンドを成長させる等の形成方法が
ある。天然ダイヤモンド粒子あるいは、合成ダイヤモン
ド粒子を基板上にまたは、導電性薄膜4に散布する場
合、 1)粒子径500nm以下のダイヤモンド粒子を含む水
または有機溶媒等の液体を、基板または、導電性薄膜上
に塗布し液体を乾燥させ、ダイヤモンド微粒子を付着さ
せる。 2)粒子径1000nm以下のダイヤモンド粒子を含む
水または有機溶媒等の液体中に、基板または、導電性薄
膜を形成した基板を入れ、超音波振動を印加し、粒子径
500nm以下に破砕されたダイヤモンド微粒子を、付
着させる。 3)基板上に、有機金属溶液とダイヤモンド微粒子を含
む溶液塗布した後、加熱焼成処理し、ダイヤモンド微粒
子を含む導電性薄膜を形成する。
【0034】等の方法がある。
【0035】更に、気相成長により、導電性薄膜を構成
する微粒子上、または、ダイヤモンド微粒子上に、ダイ
ヤモンドを成長させるには、CVD法(化学的気相成長
法)を用いることができる。
【0036】CVD法としては、熱フィラメントCVD
法、マイクロ波CVD法、有磁場マイクロ波CVD法、
直流プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、燃焼炎
等がある。
【0037】原料ガスの炭素源としては、メタン、エタ
ン、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス、アルコー
ル、アセトン等の液体有機物などを用いることができ、
さらに、適宜、水素、酸素等添加してもよい。
【0038】特に、欠陥等のない高品質のダイヤモンド
微粒子を形成する場合は、少なくとも、炭素、水素及び
酸素を含んでいることが好ましく、1種の原料ガス中に
前記全元素を含んでもよく、また、いずれかの元素を含
む原料ガスを複数種組み合わせてもよい。この場合、原
料ガス中の炭素源濃度は、10%以下にすることが好ま
しい。
【0039】ここで言う炭素源濃度とは、(炭素源ガス
流量)×(炭素源ガス中の炭素原子数)/(全原料ガス
流量)×100である。炭素源ガス中の炭素原子数は、
例えば、(CH4)ならば1、(C3H8)ならば3で
ある。この炭素源濃度を10%以下にするのは、ダイヤ
モンドの結晶性をあげるためである。また、その下限は
特にないが、0.01%以下では、実用的なダイヤモン
ドの成長速度が得られない場合がある。
【0040】さらに、好適には原料ガス中の酸素と炭素
の原子数比(O/C)を0.2≦O/C≦1.2、好ま
しくは、0.5≦O/C≦1.1とするものである。
0.2未満では添加効果がなく、1.2を越えると酸素
の効果で実用的ダイヤモンドの成長が得られない。上記
O/Cの値を調節するには、O2,H2O,N2Oなど
酸素添加ガスを原料ガス中に添加することができる。
【0041】燃焼炎法では、酸素/アセチレン炎を用い
るが、この主たる原料ガス中の酸素、アセチレンのモル
比は、0.8≦O2/C2H2≦1.0であり、好まし
くは、0.9≦O2/C2H2≦0.99とすること
で、ダイヤモンドの結晶性が向上する。
【0042】更に、グラファイトをターゲットして、レ
ーザーを照射し、ダイヤモンドを主成分とする微粒子を
形成する方法も用いられる。
【0043】また、ダイヤモンド成膜中は、前述の素子
電極に電圧を印加した方が、フォーミングで形成された
亀裂が、保存され好ましい。こうして、成膜されたダイ
ヤモンドを主成分とする微粒子膜は、低電子親和力ある
いは、低仕事関数を示す単結晶、多結晶ダイヤモンドあ
るいは、これらのダイヤモンドとグラファイトとの混合
物である。
【0044】次に、本発明の構成上の特徴を容易に実現
する他の製造方法について説明する。
【0045】図23は、有機溶媒中の電気分解反応を利
用してダイヤモンドを形成するための装置の模式図であ
る。図中、231は容器、232は有機溶媒、233は
陽極電極、234は直流高圧電源、235は電流計であ
る。有機溶媒232として適当な有機物質は、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリ
コールモノメチルエーテルなどのエーテル類、トリクロ
ルエチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、
ベンゼン等の環状炭化水素等があげられる。特に、常温
常圧化で液体であり、適度な電気伝導率(例えば、10
のマイナス4乗S/cmから10マイナス8乗S/c
m)を有する有機溶媒が好ましく用いられる。
【0046】陽極電極233の材質は特に限定されない
が、通常の電気化学実験に用いられるガラス状カーボン
電極、Pt電極等が利用できる。
【0047】この電極233を陽極として、直流高圧電
源234により、数百ボルトから数キロボルトの直流電
圧を印加する。このとき、素子基板1と陽極電極233
との間は、約1mm〜1cmの間隔とし、電流密度が数
百mA/cm2〜数十mA/cm2程度となるように設定
するのが望ましい。この通電状態を、数十分〜数十時間
続けることで、素子電極2、3及び導電性薄膜4が及び
高抵抗の亀裂(電子放出部)5の近傍にダイヤモンドを
含有する炭素あるいは炭化水素が析出する。
【0048】このダイヤモンド形成手法の詳細な機構は
未だ不明であるが、有機溶媒の電気分解によって生じた
炭素原子を含む正イオンが、高電界によって陰極基板に
衝突し、陰極表面で再合成されるものと思われる。
【0049】なお、上記有機溶媒において、好適な電流
密度を得るために、不図示の温度制御装置を用いて温度
調節したり、また適当な不純物を混入することで導電率
を調整することもできる。ここで、適当な不純物とは、
各々の有機溶媒に対して可溶な電解質等であり、例え
ば、水を微量(数%以下)混入させることで導電率を上
昇させることができる。一般に、市販の有機溶媒は0.
数%から数%の水等の不純物を有している場合が多く、
上記の好適な導電率をもっている場合、特に精製等の工
程を行うことなく、好ましく用いることができる。上記
析出物のダイヤモンド以外の炭素あるいは炭化水素は、
その後の熱処理等の工程を行うことで、グラファイト等
の炭素あるいは炭素化合物に変化させたり、除去するこ
とができる。
【0050】図24は、有機溶媒中の熱分解反応を利用
してダイヤモンドを形成するための装置の模式図であ
る。図中、241は容器、242は有機溶媒、243は
レーザパルス、244は高出力のパルスレーザである。
有機溶媒242として適当な有機物質は、メタノール、
エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ア
セトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリコール
モノメチルエーテルなどのエーテル類、トリクロルエチ
レン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ヘキサ
ン、イソブタン、ベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水
素等があげられる。
【0051】高出力パルスレーザ244は、エキシマレ
ーザ、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ等のパルスレ
ーザで、レーザパルスの先頭値のパワーが数メガW/c
2から数ギガW/cm2程度の出力を有するものが望ま
しい。例えば、30ナノ秒のパルス幅で、数J/cm2
のエネルギーの光パルスを出力するNd:YAGレーザ
等を用いる。照射するパルス数は特に制限はないが、1
発から数発で、基板上に微粒子状のダイヤモンドが生成
する。このとき、同時にダイヤモンド以外の炭素あるい
は炭化水素が生成する場合もある。
【0052】このダイヤモンド形成手法の詳細な機構は
未だ不明であるが、レーザパルスの照射により基板/有
機溶媒界面が加熱され界面近傍の有機分子が熱分解する
が、パルス照射時間が短いために加熱領域が拡大せず、
周りの溶媒分子によって急冷されるためにダイヤモンド
の形成可能な非平衡状態が生じると言われている。従っ
て、有機溶媒242としては、熱分解しやすくかつ熱伝
導率の低いものが好ましいが、一般に有機溶媒はこれら
の特性において大きな差異がないので、多くの有機溶媒
が使用可能である。なお、前記の場合と同様に、形成さ
れたダイヤモンド以外の炭素あるいは炭化水素は、その
後の熱処理等の工程を行うことで、グラファイト等の炭
素あるいは炭素化合物に変化させたり、除去することが
できる。
【0053】次に、本発明の第2の特徴を説明する。
【0054】図20は、本発明の平面型表面伝導型電子
放出素子の構成を示す模式図であり、図20の(a)は
平面図、図20の(b)は断面図である。
【0055】図19、図20、図21は、本発明の表面
伝導型電子放出素子の1例を示す模式図である。
【0056】図20において、1は基板、2と3は素子
電極、4は導電性薄膜、6は本発明の活性化工程で形成
されたダイヤモンドを主成分とする微粒子、5は高抵抗
の亀裂(電子放出部)である。図19、図21におい
て、図20と同一の符号は、同一のものを示す。7はグ
ラファイト、アモルファスカーボン等の炭素および炭素
化合物である。
【0057】本発明の構成上の特徴は、第1に、図20
に示される様に、後述するフォーミング工程を施し形成
された導電性薄膜の亀裂およびその近傍からなる電子放
出部に、ダイヤモンドを主成分とする微粒子を有するも
のであり、先に、本発明者が、鋭意検討し、提案した活
性化工程によって、炭素および炭素化合物を形成した構
成を、更に、改善したものであり、真空中での駆動安定
性および電子放出特性にすぐれるものである。
【0058】ダイヤモンドを主成分とする微粒子は、導
電性薄膜の亀裂及びその近傍からなる電子放出部に被膜
として、特に、一対の素子電極に電圧を印加して行う活
性化工程での印加電圧方向に依存し、高電位側に主に形
成されている。また、図19に示される様に、高電位、
低電位側双方に形成することもできる。
【0059】電子放出部5は、上述した様に、導電性薄
膜4の一部に形成された高抵抗の亀裂5および近傍より
構成され、導電性薄膜4の膜厚、膜質、材料及び後述す
る通電フォーミング等の手法、およびダイヤモンドを主
成分とする微粒子の製法等に依存したものとなる。電子
放出部5の内部には、数オングストロームから数百オン
グストロームの範囲の粒径の微粒子が存在する場合もあ
る。この微粒子は、具体的には、導電性薄膜4を構成す
る材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有する微
粒子、ダイヤモンドを主成分とする微粒子、あるいは、
導電性薄膜4を構成する微粒子を核としてダイヤモンド
を主成分とする被膜を有する微粒子あるいは、それらの
混合で構成されてもよい。
【0060】また、本発明の構成上の特徴は、図21に
示される様に、後述するフォーミング処理を施し形成さ
れた導電性薄膜の亀裂およびその近傍に、予め、グラフ
ァイトを主成分とする薄膜7を第1の活性化工程で形成
した後に、第2の活性化工程で、ダイヤモンドを主成分
とする薄膜6を形成したものであり、ダイヤモンドの結
晶成長が、比較的格子定数が近い材料であるグラファイ
ト上に行うために、容易に行うことができる。従って、
図20の本発明と同様に、電子放出特性および真空中で
の動作安定性に優れる。
【0061】また、本発明の特徴としては、前述の構成
上の特徴を、容易に、実現する製造方法である活性化工
程にある。後述するフォーミング処理を終えた素子には
活性化工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、イ
オンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当
な有機物質のガスを導入し、パルスの印加を繰り返すこ
とで、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化する
工程であるが、本発明者が、更に、鋭意検討の結果、導
入する有機物質および適宜選択されたパルスの印加する
ことで、前述のダイヤモンドを主成分とする薄膜やグラ
ファイトを主成分とする薄膜が得られるという新しい知
見をえた。
【0062】適当な有機物質としては、ダイヤモンドを
主成分とする薄膜を形成する場合には、メタン、エタ
ン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、
エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表され
る不飽和炭化水素があげられ、一方、グラファイト形成
する場合には、このほかにも、ベンゼン等の環状炭化水
素等も上げられる。希釈ガスとしては、水素ガスないし
フッソ含有ガス等を適宜用いてもよい。有機物質と、希
釈ガスの比率は、ダイヤモンドを主成分とする微粒子を
得る場合には、有機物質が、希釈ガスの10%以下の分
圧であることが好ましい。
【0063】ここで言う有機物質と、希釈ガスの比率
は、(有機物質ガス流量)×(有機物質のガス中の炭素
原子数)/(全ガス流量)×100である。有機物質の
ガス中の炭素原子数は、たとえば、(CH4)ならば
1、(C3H8)ならば3である。この炭素源濃度を1
0%以下にするのは、ダイヤモンドの結晶性をあげるた
めである。また、その下限は特にないが、0.01%以
下では、実用的なダイヤモンドの成長速度が得られない
場合がある。
【0064】また、グラファイトを主成分とする場合に
は、有機物質が、希釈ガスの10%以上の分圧であるこ
とが好ましいが、これに限るものではない。また、好ま
しい有機物質、希釈ガスの合わせた全圧は、応用の形
態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異な
るため場合に応じ適宜設定される。
【0065】適宜選択されたパルスとは、活性化工程
で、薄膜の堆積温度を制御することにある。一般に、よ
く知られているように、有機物質から、ダイヤモンド、
グラファイト等を堆積するには、基板温度が、重要なパ
ラメーターとなり、一般のCVD法等の薄膜の堆積工程
では、上述の有機物質、希釈ガスの元で、1200℃よ
り大きければ、グラファイト中心の膜組成になり、80
0℃以上1200℃以下では、ダイヤモンドを主成分と
した薄膜となる。
【0066】本発明者が、検討したところ、活性化工程
においても活性化工程のパルスの幅、繰り返し周期、パ
ルス波高値を設定することで、グラファイト、ダイヤモ
ンドを形成できることがわかった。すなわち、活性化工
程においては、一対の素子電極にパルス状の電圧を印加
することで、素子電流Ifおよび放出電流Ieを発生
し、亀裂およびその近傍で消費される素子電流Ifや放
出電流Ieは、熱に変換され、特に、亀裂および近傍で
は、高温になっていると考えられる。この亀裂および近
傍の温度は、一般的なCVD法の様に、基板温度を高温
にすることによらなくても、局部的に、活性化工程のパ
ルスの幅、繰り返し周期、パルス波高値を設定すること
で設定できたと考えられる。尚、具体的には、実施例中
でふれる。むろん、基板温度を与え、パルスによって、
発生した温度を補助しても構わない。活性化工程の進行
により、著しく、素子電流If、放出電流Ieは、変化
するために、その変化に合わせて、活性化工程のパルス
の幅、繰り返し周期、パルス波高値を変化させた方が好
ましい。更に、第1の活性化によって、主成分としてグ
ラファイトからなる薄膜をより高温で堆積した後、ダイ
ヤモンドを主成分とする薄膜の条件下で、第2の活性化
を行うことで、さらに、容易に、ダイヤモンドの成長が
行われることもわかった。
【0067】尚、活性化工程の終了判定は、素子電流I
fと放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。
【0068】また、活性化工程に先立ち、ダイヤモンド
を主成分とする微粒子の形成を補助するダイヤモンドの
微粒子を散布してもよい。
【0069】天然ダイヤモンド粒子あるいは、合成ダイ
ヤモンド粒子を基板上にまたは、導電性薄膜4に散布す
る、等の形成方法がある。天然ダイヤモンド粒子あるい
は、合成ダイヤモンド粒子を基板上にまたは、導電性薄
膜4に散布する場合、 1)粒子径500nm以下のダイヤモンド粒子を含む水
または有機溶媒等の液体を、基板または、導電性薄膜上
に塗布し液体を乾燥させ、ダイヤモンド微粒子を付着さ
せる。 2)粒子径1000nm以下のダイヤモンド粒子を含む
水または有機溶媒等の液体中に、基板または、導電性薄
膜を形成した基板を入れ、超音波振動を印加し、粒子径
500nm以下に破砕されたダイヤモンド微粒子を、付
着させる。 3)基板上に、有機金属溶液とダイヤモンド微粒子を含
む溶液塗布した後、加熱焼成処理し、ダイヤモンド微粒
子を含む導電性薄膜を形成する。 等の方法がある。
【0070】以上、述べた種々の実施態様のその他の構
成及びその他の製造工程について述べます。
【0071】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガラ
ス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等を
用いることができる。
【0072】対向する素子電極2、3の材料としては、
一般的な導電材料を用いることができる。これは、例え
ば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,
Cu,Pd等の金属或は合金及びPd,Ag,Au,R
uO2 ,Pd−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等
から構成されるの印刷導体、In23 −SnO2 等の
透明導電体及びポリシリコン等の半導体導電材料等から
適宜選択することができる。
【0073】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計
される。素子電極間隔Lは、好ましく、数千オングスト
ロームから数百マイクロメートルの範囲とすることがで
き、より好ましくは、素子電極間に印加する電圧等を考
慮して数マイクロメートルから数十マイクロメートルの
範囲とすることができる。
【0074】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数マイクロメートルから数百マイク
ロメートルの範囲とすることができる。素子電極2、3
の膜厚dは、数百オングストロームから数マイクロメー
トルの範囲とすることができる。
【0075】尚、図1に示した構成だけでなく、基板1
上に、導電性薄膜4、対向する素子電極2、3の順に積
層した構成とすることもできる。導電性薄膜4には、良
好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微
粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は、素子電極
2、3へのステップカバレージ、素子電極2、3間の抵
抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設
定されるが、通常は、数オングストロームから数千オン
グストロームの範囲とするのが好ましく、より好ましく
は10オングストロームより500オングストロームの
範囲とするのが良い。その抵抗値は、Rsは10の2乗
〜10の7乗Ω/□の値である。なおシート抵抗Rs
は、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の抵抗をR、R
=Rs(l/w)とおいたときに現れる。本願明細書に
おいて、フォーミング処理については、通電処理を例に
挙げて説明するが、フォーミング処理はこれに限られる
ものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態(電子
放出部)を形成する処理を包含するものである。
【0076】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd,P
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,S
nO2,In23 ,PbO,Sb23 等の酸化物、
HfB2 ,ZrB2 ,LaB6,CeB6 ,YB4 ,G
dB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,
SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の
窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の中から適
宜選択される。
【0077】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オン
グストロームの範囲、好ましくは、10オングストロー
ムから200オングストロームの範囲である。
【0078】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0079】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「ク
ラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0080】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。
【0081】「実験物理学講座14 表面・微粒子」
(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発行)
では次のように記述されている。
【0082】「本稿で微粒子と言うときにはその直径が
だいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特
に超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3
nm程度までを意味することにする。両者を一括して単
に微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ22〜26行目)
【0083】付言すると、新技術開発事業団の“林、超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0084】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
10の8乗個くらいの原子の集合体という事になる。原
子の尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」
(「超微粒子−創造科学技術−」林主税、上田良二、田
崎明 編;三田出版1988年2ページ1〜4行目)
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)上記のよ
うな一般的な呼び方をふまえて、本明細書において「微
粒子」とは多数の原子・分子の集合体で、粒径の下限は
数オングストローム〜10オングストローム程度、上限
は数μm程度のものを指すこととする。
【0085】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂および近傍より構成され、導電性
薄膜4の膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミン
グ等の手法、およびダイヤモンドを主成分とする薄膜の
製法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、数オングストロームから数百オングストロームの範
囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導
電性微粒子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一
部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。
【0086】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0087】図4は、本発明の表面伝導型電子放出素子
を適用できる垂直型表面伝導型電子放出素子の一例を示
す模式図である。
【0088】図4においては、図1に示した部位と同じ
部位には図1に付した符号と同一の符号を付している。
41は、段差形成部である。基板1、素子電極2、及び
3、導電性薄膜4、電子放出部5、ダイヤモンド薄膜6
は、前述した平面型表面伝導型電子放出素子の場合と同
様の材料で構成することができる。段差形成部41は、
真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO
2 等の絶縁性材料で構成することができる。段さ形成部
41の膜厚は、先に述べた平面型表面伝導型電子放出素
子の素子電極間隔Lに対応し、数千オングストロームか
ら数十マイクロメートルの範囲とすることができる。こ
の膜厚は、段差形成部の製法、及び、素子電極間に印加
する電圧を考慮して設定されるが、数百オングストロー
ム〜数マイクロメートルの範囲が好ましい。
【0089】導電性薄膜4は、素子電極2及び3と段差
形成部41作成後に、該素子電極2、3の上に積層され
る。電子放出部5は、図4においては、段差形成部41
に形成されているが、作成条件、フォーミング条件等に
依存し、形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0090】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法があるが、その一例を図5に模式的
に示す。
【0091】以下、図1及び図5を参照しながら製造方
法の一例について説明する。図5においても、図1に示
した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号
を付している。
【0092】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する(図
5の(a))。
【0093】2)素子電極2、3を設けた基板1に、有
機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性薄膜4の材料の金属を主元
素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、導電性薄膜4を形成する
(図5の(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を
挙げて説明したが、導電性薄膜4の形成法はこれに限ら
れるものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相
堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等
を用いることもできる。
【0094】3)続いて、フォーミング処理を施す。こ
のフォーミング処理の方法の一例として通電処理による
方法を説明する。素子電極2、3間に、不図示の電源を
用いて、通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の
変化した電子放出部5が形成される(図5の(c))。
フォーミング処理によれば導電性薄膜4に局所的に破
壊、変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成さ
れる。該部位が電子放出部5を構成する。フォーミング
処理の電圧波計の例を図6に示す。
【0095】電圧波形は、パルス波形が好ましい。これ
にはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加
する図6の(a)に示した手法とパルス波高値を増加さ
せながら、電圧パルスを印加する図6の(b)に示した
手法がある。
【0096】図6の(a)におけるT1及びT2は電圧
波形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1マイ
クロ秒〜10ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミ
リ秒の範囲で設定される。三角波の波高値(フォーミン
グ処理時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子形
態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例
えば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は
三角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波
形を採用することができる。
【0097】図6の(b)におけるT1及びT2は、図
6の(a)に示したのと同様とすることができる。三角
波の波高値(フォーミング処理時のピーク電圧)は、例
えば0.1Vステップ程度づつ、増加させることができ
る。
【0098】フォーミング処理の終了は、パルス間隔T
2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度
の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電
流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示し
た時、フォーミング処理を終了させる。
【0099】4)次に、フォーミング処理を終了した素
子に、前述した製造工程ようにダイヤモンドを形成する
と、図1、図19、図20、図21のような本発明の表
面伝導型放出素子が作成される。
【0100】こうして、成膜されたダイヤモンドを主成
分とする膜は、低電子親和力あるいは、負の電子親和力
を示す微粒子状の多結晶ダイヤモンドあるいは、これら
のダイヤモンドと他の形態のカーボンとの混合物であ
る。その膜厚は、導電性を有するか、非導電性かによっ
て、適宜選択され、非導電性の場合は、特に、電子の真
空への放出特性が、その膜厚に依存し、好ましくは、1
0オングストローム以上200オングストローム以下が
適当である。
【0101】5)以上の工程を経て得られた電子放出素
子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程は、
真空容器内の有機物質排気する工程である。真空容器を
排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素
子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しない
ものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープション
ポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが
出来る。
【0102】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成
分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有
機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新た
に堆積しない分圧で1×10のマイナス8乗Torr以
下が好ましく、さらには1×10のマイナス10乗To
rr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気する
ときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、
電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくす
るのが好ましい。
【0103】更に、真空容器内を排気するときには、真
空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子
に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。この時の加熱条件は、80〜200℃で5時間以上
が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空
容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件
により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力
は極力低くすることが必要で、1×10マイナス7乗〜
3×10のマイナス7乗Torr以下が好ましく、さら
に1×10のマイナス8乗Torr以下が特に好まし
い。
【0104】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することができる。
【0105】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
結果として素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0106】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図7、図8を参
照しながら説明する。
【0107】図7は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図7においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。図7において、75は真空容器であり、76は
排気ポンプである。真空容器75内には電子放出素子が
配されている。即ち、1は電子放出素子を構成する基板
であり、2及び3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電
子放出部である。71は、電子放出素子に素子電圧Vf
を印加するための電源、70は素子電極2・3間の導電
性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流
計、74は素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極である。73はアノー
ド電極74に電圧を印加するための高圧電源、72は素
子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計である。一例として、アノード電極の電
圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子
放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定
を行うことができる。
【0108】真空容器75内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ76は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ
等からなる超高真空装置系とにより構成されている。こ
こに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、
不図示のヒーターにより200℃まで加熱できる。従っ
て、この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミ
ング以降の工程も行うことができる。
【0109】図8は、図7に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧V
fの関係を模式的に示した図である。図8においては、
放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さいの
で、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリニア
スケールである。
【0110】図8からも明らかなように、本発明は適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的性質を有する。
【0111】即ち、 (i)本発明の電子放出素子は、ある電圧(閾値電圧と
呼ぶ、図8中のVth)以上の素子電圧を印加すると急
激に放出電流Ieが増加し、一方閾値電圧Vth以下で
は放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出
電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形
素子である。 (ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存す
るため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。 (iii)アノード電極74に捕捉される放出電化は、
素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノ
ード電極74に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印
加する時間により制御できる。
【0112】以上の説明より理解されるように、本発明
を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応
じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。こ
の性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成し
た電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
【0113】図8においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特
性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0114】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明の表面伝導型電子放出素
子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源あるいは、
画像形成装置が構成できる。
【0115】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。
【0116】一例として、並列に配置した多数の電子放
出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数
個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列
方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電
極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電
子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これとは
別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数
個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の
一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配され
た複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に
共通し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の
他方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられ
る。このようなものは所謂単純マトリクス配置である。
まず単純にマトリクス配置について以下に詳述する。
【0117】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)乃至(iii)の
特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出
電子は、閾値電圧以上では、対向する素子電極間に印加
するパルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一方、閾
値電圧以下では、、殆ど放出されない。この特性によれ
ば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、個
々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号
に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放出
量を制御できる。
【0118】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て図9を用いて説明する。図9において、91は電子源
基板、92はX方向配線、93はY方向配線である。9
4は表面伝導型電子放出素子、95は結線である。尚、
表面伝導型電子放出素子94は、前述した平面型あるい
は垂直型のどちらであってもよい。
【0119】m本のX方向配線92は、DX1,DX2
…DXmからなり、真空蒸着法,印刷法,スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計される。Y方向
配線93は、DX1,DX2…DYnのn本の配線より
なり、X方向配線92と同様に形成される。これらm本
のX方向配線92とn本のY方向配線93との間には、
不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に
分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0120】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線92を形成した基板91の
全面域は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線92とY方向配線93の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配
線92とY方向配線93は、それぞれ外部端子として引
き出されている。
【0121】表面伝導型電子放出素子94を構成する一
対の電極(不図示)は、m本のX方向配線92とn本の
Y方向配線93と導電性金属等からなる結線95によっ
て電気的に接続されている。
【0122】配線92と配線93を構成する材料、結線
95を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これらの材料は、例
えば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電
極を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素
子電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0123】X方向配線92には、X方向に配列した表
面伝導型電子放出素子94の行を、選択するための走査
信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続され
る。一方、Y方向配線93には、Y方向に配列した表面
伝導型電子放出素子94の各列を入力信号に応じて、変
調するための不図示の変調信号発生手段が接続される。
各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印
加される走査信号と変調信号の差電圧として供給され
る。
【0124】上記構成においては、単純マトリクス配線
を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とする
ことができる。
【0125】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図10と図11
及び図12を用いて説明する。図10は画像形成装置の
表示パネルの一例を示す模式図であり、図11は図10
の画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図
12はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うた
めの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0126】図10において、91は電子放出素子を複
数配した電子源基板、101は電子源基板91を固定し
たリアプレート、106はガラス基板103の内面に蛍
光膜104とメタルバック105等が形成されたフェー
スプレートである。102は、支持枠であり該支持枠1
02には、リアプレート101、フェースプレート10
6がリフィットガラス等を用いて接続されている。10
8は外囲器であり、例えば大気中あるいは、窒素中で、
400〜500℃の温度範囲で10分以上焼成すること
で、封着して構成される。
【0127】94は、図1における電子放出部5に相当
する。92、93は、表面伝導型電子放出素子の一対の
素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線であ
る。
【0128】外囲器108は、上述の如く、フェースプ
レート106、支持枠102、リアプレート101で構
成される。リアプレート101は主に基板91の強度を
補強する目的で設けられるため、基板91自体で十分な
強度を持つ場合は別体のリアプレート101は不要とす
ることができる。即ち、基板91に直接支持枠102を
封着し、フェースプレート106、支持枠102及び基
板91で外囲器108を構成しても良い。一方、フェー
スプレート106、リアプレート101間に、スペーサ
ーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大
気圧に対して十分な強度をもつ外囲器108を構成する
こともできる。
【0129】図11は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜104は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構
成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体
の配列によりブラックストライプあるいはブラックマト
リクスなどと呼ばれる黒色導電材111と蛍光体112
とから構成することができる。ブラックストライプ、ブ
ラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、
必要となる三原色蛍光体の各蛍光体112間の塗り分け
部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍
光膜104における外光反射によるコントラストの低下
を抑制することにある。ブラックストライプの材料とし
ては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の
他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用
いることができる。
【0130】ガラス基板103に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜104の内面側には、通常メタル
バック105が設けられる。メタルバックを設ける目的
は、蛍光体の発光のうちの内面側への光をフェースプレ
ート106側へ鏡反射させることにより、電子ビーム加
速電圧を印加するための電極として作用させること、外
囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍
光体を保護すること等である。メタルバックは、蛍光膜
作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、「フ
ィルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空
蒸着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0131】フェースプレート106には、更に蛍光膜
104の導電性を高めるため、蛍光膜104の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0132】前述の封着を行う際には、カラーの場合は
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが不可欠となる。
【0133】図10に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0134】外囲器108は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、10のマイナス7乗Torr程
度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封
止が成される。外囲器108の封止後の真空度を維持す
るために、ゲッター処理を行うこともできる。これは、
外囲器108の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗
加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器
108内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッター
を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通
常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
たとえば1×10のマイナス5乗ないしは1×10のマ
イナス7乗Torrの真空度を維持するものである。こ
こで、表面伝導型電子放出素子のフォーミング処理以降
の工程は、適宜設定できる。
【0135】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図12を用いて説明する。図12において、
121は画像表示パネル、122は走査回路、123は
制御回路、124はシフトレジスタである。125はラ
インメモリ、126は同期信号分離回路、127は変調
信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0136】表示パネル121は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hv
を介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1
乃至Doxmには、表示パネル内に設けられている電子
源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス配線された表
面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動
する走査信号が印加される。
【0137】端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号
により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素
子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加され
る。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば1
0kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電
子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起す
のるに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧であ
る。
【0138】走査回路122について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは
0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示
パネル121の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続
される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回
路113が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。
【0139】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき
走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出
閾値電圧以下となるような一定電圧を出力するように設
定されている。
【0140】制御回路123は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作
を整合させる機能を有する。制御回路123は、同期信
号分離回路126より送られる同期信号Tsyncに基
づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよび
Tmrtの各制御信号を発生する。
【0141】同期信号分離回路126は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路126により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜
上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から
分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と
して表した。該DATA信号はシフトレジスタ124に
入力される。
【0142】シフトレジスタ124は、時系列的シリア
ルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路123より送られる制御信号Tsftに基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ1
24のシフトクロックであるということもできる。)。
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放
出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id
1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフトレジス
タ124より出力される。
【0143】ラインメモリ125は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路123より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、I′d1乃至I′dnとして出力され、変調
信号発生器127に入力される。
【0144】変調信号発生器127は、画像データI′
d1乃至I′dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その
出力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パ
ネル121内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0145】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあ
り、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生
じる。電子放出閾値以上の電圧に対しては、素子への印
加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことか
ら、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電
子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は生じない
が、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合には電子ビ
ームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化
されることにより出力電子ビームの強度を制御すること
が可能である。また、パルスの幅Pwを変化させること
により出力される電子ビームの電荷の総量を制御する事
が可能である。
【0146】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器117として、一定長さの電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波
高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いること
ができる。
【0147】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器127として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式回路を用いるこ
とができる。
【0148】シフトレジスタ124やラインメモリ12
5は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のもの
をも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行われれば良いからである。
【0149】デジタル信号式を用いる場合は、同期信号
分離回路126の出力信号DATAをデジタル信号化す
る必要があるが、これには126の出力部にA/D変換
器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ125
の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変
調信号発生器127に用いられる回路が若干異なったも
のとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の
場合、変調信号発生器127には、例えばD/A変換回
路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パル
ス幅変調方式の場合、変調信号発生器127には、例え
ば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数する
計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの
出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた
回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス
幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧にまで電圧増幅するめの増幅器を付加することもで
きる。
【0150】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器127には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採
用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0151】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1乃至Doxm,Doy1乃至Doynを
介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。
高圧端子Hvを介してメタルバック105、あるいは透
明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速す
る。加速された電子は、蛍光膜104に衝突し、発光が
生じて画像が形成される。
【0152】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限
られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとる高品位TV)方式をも採用で
きる。
【0153】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図13及び図14を用いて説明する。
【0154】図13は、はしご型配置の電子源の一例を
示す模式図である。図13において、130は電子源基
板、131は表面伝導型電子放出素子である。132、
Dx1〜Dx10は、電子放出素子131を接続するた
めの共通配線である。電子放出素子131は、基板13
0上に、X方向に並列に複数個配置されている(これを
素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源
を構成している。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印
加することで、各素子行を独立に駆動させることができ
る。即ち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子
放出閾値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行
には、電子放出閾値以下の電圧を印加する。各素子行間
の共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2、Dx3を
同一配線とすることもできる。
【0155】図14は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。140はグリット電極、141は電子が通過する
ための空孔、142はDox1、Dox2、…Doxm
よりなる容器外端子である。143はグリット電極14
0と接続されたG1、G2、…Gnからなる容器外端
子、144は各素子行間の共通配線を同一配線とした電
子源基板である。図14においては、図10、図13に
示した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同
一の符号を付している。ここに示した画像形成装置と、
図10に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との
大きな違いは、電子源基板130とフェースプレート1
06の間にグリッド電極140を備えているか否かであ
る。
【0156】図14においては、基板130とフェース
プレート106の間には、グリッド電極140が設けら
れている。グリッド電極140は、表面伝導型電子放出
素子から放出された電子ビームを変調するためのもので
あり、はしご型配置の素子行と直交して設けられたスト
ライプ状の電極に電子ビームを通過するため、各素子に
対応して1個ずつ円形の開口141が設けられている。
グリッドの形状や設置位置は図14に示したものに限定
されているものではない。例えば、開口としてメッシュ
状に多数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面
伝導型電子放出素子の周囲や近傍に設けることもでき
る。
【0157】容器外端子142およびグリッド容器外端
子143は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0158】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同期に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0159】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0160】次に、本発明の構成上の第3の特徴を容易
に実現する電子放出素子について説明する。図26に、
本発明の電子放出素子の模式的構成図を示す。図26
中、2601は絶縁性基板で、その上に不連続金属層2
602、更には分散して存在するダイヤモンド粒子26
03が形成され、不連続金属層2602には、金属が凝
集し、間隔の広がった個所(電子放出部)2604が存
在する。本発明の電子放出素子の電子放出機構には不明
な点が多いが、例えば、本発明の電子放出素子の基板表
面に平行に、不図示の電極等を用いて電圧を印加する
と、分散して存在するダイヤモンド粒子間で電子放出が
起こり、その一部が真空中に放出されて電子放出が認め
られるのではないかと考えられる。
【0161】本発明の電子放出素子の構成は、図26の
不連続金属層上に分散してダイヤモンド粒子が形成され
た構成に限らず、例えば図27に示すような絶縁性基板
2701上に分散してダイヤモンド粒子2702が形成
され、更にその上に不連続金属層2703が形成された
構成でもよい。
【0162】本発明において絶縁性基板は、種々のガラ
ス、石英、セラミック、等用いることができる。また、
本発明の絶縁性基板は、金属及び半導体基板上に絶縁物
層を形成したものも含む。
【0163】電子放出素子への分散したダイヤモンド粒
子の形成方法は、天然ダイヤモンド粒子または高圧合成
人工ダイヤモンド粒子を絶縁性基板または金属層上に散
布する、または気相成長により絶縁性基板または金属層
上にダイヤモンド結晶粒子を形成する、等の方法があ
る。天然ダイヤモンド粒子または高圧合成人工ダイヤモ
ンド粒子を絶縁性基板または金属層上に散布する場合、 1)粒子径500nm以下のダイヤモンド粒子を含んだ
水または有機溶媒等の液体を絶縁性基板または金属層上
に塗布し液体成分を乾燥させ、ダイヤモンド粒子を付着
させる、 2)粒子径1μm以上のダイヤモンド粒子を含んだ水ま
たは有機溶媒等の液体を絶縁性基板または金属層が形成
された絶縁性基板を入れ、超音波振動を印加し、粒子径
500nm以下に破砕されたダイヤモンド粒子を絶縁性
基板または金属層が形成された絶縁性基板に付着させ
る、等の方法がある。
【0164】更に、気相成長法により絶縁性基板または
金属層上に分散したダイヤモンド結晶粒子を形成する場
合、前述のCVD法により形成することができる。
【0165】本発明の分散して存在するダイヤモンド粒
子は、粒子径500nm以下、好ましくは250nm以
下、最適には100nm以下である。これは、微細なダ
イヤモンド粒子の方が、電子放出特性が高いためであ
る。その理由には不明な点が多いが、微細な粒子近接し
て存在したほうが、高い電界が得られ、電子放出特性が
向上するためと考えられる。
【0166】分散して存在するダイヤモンド粒子の存在
密度は、少なくとも電子放出部近傍では、105個/c
2以上、好ましくは106個/cm2以上、最適には5
×10 6個/cm2以上が望ましい。
【0167】本発明における電子放出は、基本的には分
散して存在するダイヤモンド結晶から起こっており、本
発明の不連続金属層は、分散して存在するダイヤモンド
粒子間に電界を印加させるために存在する。このため、
不連続金属層は金属に限らず、種々の半導体及び酸化ス
ズ等の透明導電膜を用いることも可能であるが、この層
の抵抗値は低いことが望ましいので、一般的には金属層
が好ましい。また、この不連続金属層の材質は、低抵抗
であると、及び安定であること、更には、不連続化が容
易であることから、貴金属である、金、白金、プラチ
ナ、パラジウムが少なくとも一部に用いられていること
が好ましい。これらの貴金属は、蒸着法、メッキ法、更
には金属錯体の塗布等の方法により形成することができ
る。
【0168】本発明の不連続金属層は、あらかじめ、不
連続の状態で形成してもよいが、いったん、均一膜で形
成した後、熱印加を含む不連続化のための処理を行って
形成してもよい。熱印加を含む不連続化処理としては、 1)レーザー照射により金属層を加熱し、その一部を溶
融または蒸発させ不連続化する、 2)金属層及び分散して存在するダイヤモンド粒子に電
圧を加え、金属層の一部を溶融または蒸発させ不連続化
する等の方法がある。レーザー照射の場合、YAGレー
ザー、CO2レーザー、窒素レーザー、エキシマレーザ
ー等を用いることができる。通電加熱の場合、金属層が
赤熱するまで、電圧を印化し、金属層を溶融、蒸発させ
不連続化する。この不連続化処理により、金属膜に1μ
m以下、好ましくは100nm以下、最適には10nm
の微細な金属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出
部)が発生する。これにより、基板表面に平行に、電極
等を用いて電圧を印加すると、金属が凝集し、間隔の広
がった個所(電子放出部)近傍に分散して存在するダイ
ヤモンド粒子の間で電子放出が始まる。
【0169】不連続金属層の厚さは、材質及び不連続化
処理の方法及び条件によっても変化するが、前記のよう
に微細な金属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出
部)を形成されるため、100nm以下、好適には50
nm以下、最適には10nm以下が望ましい。
【0170】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされるものをも包含する。また、
以下の実施例でいう亀裂部(電子放出部)とは、導電性
薄膜に形成された間隙のことをいう。
【0171】(実施例1)本実施例にかかわる基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成は、図1の(a)(平面
図)及び図1の(b)(断面図)と同様である。尚、図
15の(a)及び(b)に示す通り、基板1上に、同一
形状の素子が、2個ずつ形成されている基板を2枚用意
した。本実施例においては、図15の(a)に示したよ
うに、本実施例の表面伝導型電子放出素子が形成された
基板を基板A、図15の(b)に示したように、比較用
の表面伝導型電子放出素子が形成された基板を基板Bと
呼ぶ。
【0172】本実施例の表面伝導型電子放出素子の基本
的な構成及び製造方法を図1、図5、及び図15を用い
て以下に説明する。
【0173】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンのシリコ
ン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、素子電極
2、3と素子電極間ギャップGとなるべきパターンをホ
トレジスト(RD−2000N−41日立化成社製)を
形成し、真空蒸着法により厚さ500オングストローム
のPtを堆積した。ホトレジストパターンを有機溶剤で
溶解し、堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3ミ
クロン、素子電極の幅Wが300ミクロンの素子電極
2、3を形成した(図5の(a))。
【0174】工程−b 電子放出素子の導電性薄膜4をマスク蒸着を行うため
に、所望のマスクを用いて膜厚1000オングストロー
ムのCr膜を真空蒸着により堆積したのち、そのうえに
Ir金属をスパッタ法で堆積した。こうして形成された
Ir微粒子からなる導電性薄膜4の膜厚は100オング
ストローム、シート抵抗値は2×10の3乗Ω/□であ
った。
【0175】工程−C Cr膜及び焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャントによ
りエッチングして所望のパターンに形成した(図5の
(b))。
【0176】以上の工程により基板1上に、素子電極
2、3,導電性薄膜4等を形成した。
【0177】工程−d 次に、図7の測定装置に設置し、真空ポンプにて排気
し、10のマイナス6乗torrの真空度に達成した
後、素子に素子電圧Vfを印加するための電源71によ
り、2基板(基板A,B)の各2素子の素子電極2、3
間にそれぞれ、電圧を印加して、導電性薄膜4に亀裂部
5を形成するための通電処理(フォーミング処理)を行
った(図5の(c))。該フォーミング処理の電圧波形
を図25の(b)に示す。
【0178】図25の(b)中、T1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を
1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、矩形波の波高値(フ
ォーミング処理時のピーク電圧)は0.1Vステップで
昇圧し、フォーミング処理を行った。また、フォーミン
グ処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間に抵抗
測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚、フォーミン
グ処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1M
オーム以上になった時とし、同時に素子への電圧の印加
を終了した。それぞれの素子のフォーミング電圧VF
は、基板Aでは7.3V、基板Bでは7.1Vであっ
た。
【0179】工程−e 続いて、上記フォーミング処理した基板A上の2素子に
それぞれの素子電極に電圧をパルス幅1ミリ秒、繰り返
し周期10ミリ秒、電圧15Vの矩形パルスを印加しな
がら、熱フィラメントCVD法によりダイヤモンド層6
を200オングストローム形成した。形成条件は、基板
温度900℃、圧力10torr、ガス流量をH2:1
00sccm、CH4:1sccm、フィラメント温度
2000℃、フィラメントと基板との距離を1cmとし
た。
【0180】一方、基板Bの2素子に対しては、図7の
測定装置内に置いたまま、アセトンガスを、10のマイ
ナス4乗torr導入し、パルス幅1ミリ秒、繰り返し
周期10ミリ秒、電圧15Vの矩形パルスを素子電極間
に印加しながら、15分間、活性化工程を施した。尚、
活性化工程とは、前述した図7の測定装置内で、素子電
極間に、パルス電圧を印加することを繰り返し処理をす
ることで、著しく、素子電流If及び放出電流Ieを増
加する工程である。
【0181】以下の工程により、基板A,Bの各々2素
子ずつ電子放出素子を作製した。
【0182】上述の工程で作成し表面伝導型電子放出素
子の特性及び形態を把握するために、基板A,B上の表
面伝導型電子放出素子を各1個ずつ、その電子放出特性
の測定を上述の図7の測定評価装置を用いて行った。ま
た残りの1個ずつを電子顕微鏡で形態の観察をした。ま
た、顕微ラマンを用いて、電子放出部近傍を観察した。
【0183】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特
性測定時の真空装置内の真空度を1×10マイナス7乗
torrとした。基板A,Bの素子とも、素子電極2お
よび3の間に素子電圧を15V印加し、その時に流れる
素子電流If及び放出電流Ieを測定した。基板A上に
形成された本実施例の表面伝導型電子放出素子では、4
mA程度の素子電流Ifが流れ、電子を放出する亀裂部
5(電子放出部)より放出される電子の放出電流Ie
は、10μAが観察された。一方、基板B上に形成され
た比較用の表面伝導型電子放出素子では、素子電流I
f、放出電流Ieそれぞれ1mA、1μAが観察され
た。
【0184】電子顕微鏡で観察した基板A,B上の各素
子の形態は、基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出
素子形態については、図1に示したものと同様に、素子
電極間の導電性薄膜4の全体に微粒子からなる被膜6が
形成されていた。一方、基板B上の比較用の表面伝導型
電子放出素子では、図16のように電子を放出する亀裂
部5(電子放出部)の一部より高電位側の導電性薄膜上
を主として、被膜が形成されていた。
【0185】顕微ラマンでこれらの被膜を観察すると、
上記基板Aの表面伝導型電子放出素子では、ダイヤモン
ドのピークが観察され、一方、比較用の基板Bの表面伝
導型電子放出素子では、グラファイト、アモルファスカ
ーボンからなる炭素被膜が観察された。
【0186】次に、これらの素子の動作安定性をみるた
めに、素子電極に15Vを印加し、動作し、素子電流I
f、放出電流Ieの変化を観察した。この結果基板A上
の、本実施例の表面伝導型電子放出素子の方が、減少が
少なかった。つまり、基板A上の本実施例の表面伝導型
電子放出素子では、ダイヤモンドを主成分とする微粒子
からなる被膜を導電性薄膜の全体に形成したため、電子
親和力あるいは仕事関係の低下がおこり、素子電流I
f、放出電流Ieが基板B上の、比較用の表面伝導型電
子放出素子と比べて増加したと考えられる。動作安定性
の増加は、電子放出部の材料の安定性によるものと考え
られる。
【0187】以上により、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有する
ので、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且
つ、電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率の
よい電子放出が得られた。
【0188】(実施例2)本実施例にかかわる基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成は、図1の(a)(平面
図)及び(b)(断面図)と同様である。尚、図15の
(a)及び(b)に示す通り、基板1上に、同一形状の
素子が、2個ずつ形成されている基板を2枚用意した。
本実施例においても実施例1と同じく、図15の(a)
に示したように、本実施例の表面伝導型電子放出素子が
形成された基板を基板A、図15の(b)に示したよう
に、比較用の表面伝導型電子放出素子が形成された基板
を基板Bと呼ぶ。
【0189】本実施例の表面伝導型電子放出素子の基本
的な構成及び製造方法を実施例1と同様に図1、図5、
及び図15を用いて以下に説明する。
【0190】工程−a 基板1として石英基板を用い、これを洗剤、純水及び有
機溶剤により充分に洗浄後、基板A、Bにそれぞれマス
クを用いてスパッタ法により、素子電極材料としてPt
を500オングストローム堆積し、素子電極2、3を形
成した。尚、素子電極間隔Lは、基板A、Bとも3μm
である(図5の(a))。
【0191】工程−b その後、基板A、Bの双方に、導電性薄膜4のパターン
ニングの目的でリフトオフ用のCr膜(不図示)を50
0オングストロームの膜厚で真空蒸着した。この時、導
電性薄膜4の幅W′に対応するCr膜の開口部分の寸法
を100μmとした。
【0192】次に素子電極2、3を形成した基板1上
に、有機パラジウム溶液(奥野製薬(株)製、ccp−
4230)をスピンナーにより回転塗布して放置するこ
とにより、有機Pb薄膜を形成した。この後、有機Pb
薄膜を300℃で10分間大気中で加熱焼成処理し、主
としてPdO微粒子からなる導電性薄膜4を形成した。
この導電性薄膜4の膜厚は約100オングストローム、
シート抵抗値Rsは6×10の4乗Ω/□であった。
【0193】工程−c その後、Cr膜及び導電性薄膜4を酸エッチャントによ
りウエットエッチングして所望のパターンを有する導電
性薄膜4を得た(図5の(b))。
【0194】工程−d 次に、基板A、Bとも図7の測定評価系の真空装置75
内に設置し、真空ポンプにて排気し10のマイナス6乗
Torrの真空度に達した後、素子電圧Vfを印加する
ための電源71により素子電極2、3間に電圧を印加し
てフォーミング処理を行い、電子放出部5を形成した
(図5の(c))。
【0195】フォーミング処理の電圧波形を図25の
(b)に示す。図25の(b)中、T1及びT2は電圧
波形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1
を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、矩形波の波高値
(フォーミング時のピーク電圧)は0.1Vステップで
昇圧し、フォーミング処理を行った。また、フォーミン
グ処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間に抵抗
測定パルスを挿入し抵抗を測定した。尚フォーミング処
理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1Mオー
ム以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印加を
終了した。それぞれの素子のフォーミング電圧Vfor
mは、基板Aでは、6.5Vと基板Bでは、6.4Vで
あった。
【0196】工程−e 続いて、フォーミング処理した基板Aの素子を真空装置
75から取り出し、ダイヤモンド粒子を分散させたアセ
トン溶液中で20分間超音波洗浄器にかけ、ダイヤモン
ド核形成処理を行った。ダイヤモンド粒子は粒径が50
0nm程度のダイヤモンドパウダーを用いた。
【0197】引き続き基板Aに対しては、素子電極2、
3間に電圧を15Vずつ印加しながら、マイクロ波プラ
ズマCVD法によりダイヤモンド層を形成した。形成条
件は、ガス圧力を30Torr、ガス流量をCH4:3
sccm、H2:97sccm、マイクロ波のパワーを
500Wとした。
【0198】一方、基板Bに対しては、アセトンを1×
10のマイナス4乗Torr導入し、素子電極2、3間
にパルス電圧を印加して素子を15分間駆動させて活性
化処理を行った。本実施例では、矩形波の正電圧パルス
をパルス幅を1m秒、パルス間隔(トリガー時間間隔)
を10m秒とし、駆動電圧(波高値を)基板A、双方に
対して15Vとした。
【0199】工程−f 続いて、基板A、Bのそれぞれ1素子づつを真空容器7
5に配置して十分に排気を行った後、真空容器全体を1
20℃で6時間加熱し、真空装置75内を約10のマイ
ナス8乗Torrとし、安定化工程を行った。
【0200】こうして、基板A、B上に各2素子ずつの
表面伝導型電子放出素子を作製した。
【0201】上述の工程で作製した表面伝導型電子放出
素子の特性及び形態を把握するために、素子A、Bを各
1個づつ、その電子放出特性の測定を上述の測定評価装
置を用いて、行った。また残りの1個づつを電子顕微鏡
で形態の観察をした。また、顕微ラマンを用いて、電子
放出部近傍を観察した。
【0202】尚、測定条件は、アノード電極74と電子
放出素子間の距離Hを4mm、アノード電極74の電位
を1kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真空度を
1×10のマイナス7乗Torrとした。
【0203】基板A、Bの素子とも、素子電極2及び3
の間に素子電圧を15V印加し、その時流れる素子電流
If及び放出電流Ieを測定した。基板Aでは素子電流
Ifが4.2mA、放出電流Ieが9.6μAであっ
た。一方基板Bでは、素子電流Ifが1.1mA、放出
電流Ieが1.0μAであった。
【0204】電子顕微鏡で観察した基板A、B上の各素
子の形態は、基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出
素子の形態については、図1に示したものと同様に、素
子電極間の導電性薄膜4の全体に微粒子からなる被膜6
が形成されていた。一方、基板B上の比較用の表面伝導
型電子放出素子では、図16のように電子を放出する亀
裂部5(電子放出部)の一部より高電位側の導電性薄膜
上を主として、被膜6が形成されていた。
【0205】顕微ラマンでこれらの被膜を観察すると、
基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出素子では、ダ
イヤモンドのピークが観察され、しかも前述の実施例1
以上のダイヤモンドのピーク強度が観測された。一方、
基板B上の比較用の表面伝導型電子放出素子では、前述
の実施例1での比較用サンプルと同様にグラファイト、
アモルファスカーボンからなる炭素被膜が観察された。
【0206】次に、これらの表面伝導型電子放出素子の
動作安定性をみるために、表面伝導型電子放出素子に1
5Vを印加して、動作(駆動)させ、素子電流If、放
出電流Ieの変化を観察した。この結果、基板A上の本
実施例の表面伝導型電子放出素子は、初期の駆動より安
定した電流が得られ、100時間駆動においても、素子
電流If、放出電流Ieが、10%減少で済んだ。一
方、基板B上の比較用の表面伝導型電子放出素子は、同
様の駆動で、素子電流If、放出電流Ieが、45%減
少した。つまり、基板A上の本実施例の表面伝導型電子
放出素子では、ダイヤモンドを主成分とする微粒子から
なる被膜を導電性薄膜の全体に形成したため、電子親和
力あるいは仕事関数の低下がおこり、素子電流If、放
出電流Ieが、基板B上の比較用の表面伝導型電子放出
素子と比べて増加したと考えられる。動作安定性の増加
は、電子放出部先端の材料の安定性によるものと考えら
れる。
【0207】以上により、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有する
ので、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且
つ、電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率の
よい電子の放出が得られた。
【0208】(実施例3)本実施例は、多数の表面伝導
型電子放出素子を単純マトリクス配置した電子源を用い
た画像形成装置の例である。
【0209】電子源の一部の平面図を図17に示す。ま
た、図中のA−A′断面図を図18に示す。但し図1
7、図18で、同じ記号を示したものは、同じものを示
す。ここで1は基板、92は図9のDxmに対応するX
方向配線(下配線とも呼ぶ)、93は図9のDynに対
応するY方向配線(上配線とも呼ぶ)、2、3は素子電
極、5は電子放出部、181は層間絶縁層、182は、
素子電極2と下配線92と電気的接続のためのコンタク
トホールである。尚、本実施例において、4はダイヤモ
ンドを主成分とする材料を有する導電性薄膜である。
【0210】以下に、上記電子源及びそれを用いた図1
0に示す画像形成装置の製造方法を、図30の(a)〜
(d)、図31の(e)〜(h)、図32の(i)によ
り工程順に従って具体的に説明する。
【0211】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5マイクロメートル
のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、
真空蒸着により厚さ5ナノメートルのCr、厚さ600
ナノメートルのAuを順次積層した後、ホトレジスト
(AZ1370ヘキスト社製)をスピンナーにより回転
塗布、ベークした後、ホトマスク像を露光、現像して、
下配線92のレジストパターンを形成し、Au/Cr堆
積膜をウエットエッチングして、所望の形状の下配線9
2を形成する(図30の(a))。
【0212】工程−b 次に厚さ1.0マイクロメートルのシリコン酸化膜厚か
らなる層間絶縁層181をRFスパッタ法により堆積す
る(図30の(b))。
【0213】工程−c 工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール1
82を形成するためのホトレジストパターンを作り、こ
れをマスクとして層間絶縁層181をエッチングしてコ
ンタクトホール182を形成する。エッチングはCF4
とH2ガスを用いたRIE(Reactivel on
Etching)法によった(図30の(c))。
【0214】工程−d その後、素子電極2、3と素子電極間ギャップGとなる
べきパターンをホトレジスト(RD−2000N−41
日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ100
0オングストロームのPtを堆積した。ホトレジストパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Pt堆積膜をリフトオフ
し、素子電極間隔Lが3ミクロン、素子電極の幅Wが1
50ミクロンの素子電極2、3を形成した(図30の
(d))。
【0215】工程−e 素子電極2、3の上に上配線93のホトレジストパター
ンを形成した後、厚さ5ナノメートルのTi、厚さ50
0ナノメートルのAuを順次真空蒸着により堆積し、リ
フトオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の上
配線93を形成した(図31の(e))。
【0216】工程−f 素子間電極ギャップL及びこの近傍に開口を有するマス
クにより膜厚1000オングストロームのCr膜183
を真空蒸着により堆積・パターニングし、そのうえに有
機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)溶液に、
実施例2で用いたダイヤモンドパウダーを混合し、予め
超音波振動を15分間し、ダイヤモンド微粒子を粉砕
し、分散させた溶液をスピンナーにより回転塗布、30
0℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして
形成された主元素としてPdよりなる微粒子からなる導
電性薄膜4の膜厚は100オングストローム、シート抵
抗値は3.5×10の4乗Ω/□であった。更に上記導
電性薄膜4はダイヤモンド微粒子が混合された状態であ
った。更に実施例2と同様にマイクロ波を用いたCVD
法を行い、上記ダイヤモンド微粒子を更に成長させた
(図31の(f))。
【0217】工程−g Cr膜183及び焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャン
トによりエッチングして所望のパターンを形成した(図
31の(g))。
【0218】工程−h コンタクトホール182部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5ナノメ
ートルのTi、厚さ500ナノメートルのAuを順次堆
積した。リフトオフにより不要の部分を除去することに
より、コンタクトホール182を埋め込んだ(図31の
(h))。
【0219】以上の工程により絶縁性基板91上に下配
線92、層間絶縁層181、上配線93、素子電極2、
3、ダイヤモンド微粒子を有する導電性薄膜4等を形成
した。
【0220】次に、以上のようにしてダイヤモンド微粒
子を有する複数の導電性薄膜4が単純マトリクス配置さ
れた基板をリアプレート101上に固定した後、基板の
5mm上方に、フェースプレート106(ガラス基板1
03の内面に蛍光膜104とメタルバック105が形成
されて構成される)を支持枠102を介し配置し、フェ
ースプレート106、支持枠102、リアプレート10
1の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは
窒素雰囲気中で400℃ないし500℃で10分以上焼
成することで封着した(図10)。また、リアプレート
101への基板の固定もフリットガラスを行った。図1
0において、92、93はそれぞれX方向及びY方向の
素子配線である。蛍光膜104は、モノクロームの場合
は蛍光体のみから成るが、本実施例では蛍光膜104
は、図11の(a)に示すような、ストライプ形状を採
用し、先にブラックストライプ111を形成し、その間
隙部に各色蛍光体112を塗布して、蛍光膜104を作
製した。ブラックストライプ111の材料として通常良
く用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガ
ラス基板103に蛍光体112を塗布する方法はスラリ
ー法を用いた。
【0221】また、蛍光膜104の内面側には通常メタ
ルバック105が設けられる。メタルバックは、蛍光膜
作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィル
ミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着す
ることで作製した。
【0222】フェースプレート106には、更に蛍光膜
104の導電性を高めるため、蛍光膜104の外面側に
透明電極(不図示)が設けられてる場合もあるが、本実
施例では、メタルバックのみで十分な導伝性が得られた
ので省略した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各
色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけない
ため、十分な位置合わせを行った。
【0223】工程−i 以上の工程にて作製された外囲器108内の雰囲気を、
排気管(不図示)を通じて真空ポンプにて排気し、十分
な真空度に達した後、端子Dox1〜Doxm及びDo
y1〜Doynを通じ、各素子の素子電極2、3間に電
圧を印加して、前述のマトリクス配置された各導電性薄
膜4を通電処理(フォーミング処理)することにより各
導電性膜4に亀裂部(電子放出部)5を作成した(図3
2の(i))。フォーミング処理の電圧波形は、図25
のbと同様であるが、本実施例ではT1を1ミリ秒、T
2を10ミリ秒とし、約1×10のマイナス7乗tor
r以上の真空雰囲気下で行った。
【0224】次に、外囲器108内の雰囲気を排気管
(図示せず)を通じ10のマイナス8乗torr程度の
真空度まで排気し、不図示の排気管をガスバーナーで熱
することで溶着し外囲器108の封止を行った。
【0225】最後に封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0226】以上のように完成した本実施例の画像表示
装置(図10)において、各電子放出素子94には、容
器外端子Dox1〜Doxm及びDoy1〜Doynを
通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段よ
りそれぞれ、印加することにより、電子放出させ、高圧
端子Hvを通じ、メタルバック105、あるいは透明電
極(不図示)に数kV以上の高圧を印加し、電子ビーム
を加速し、蛍光膜104に衝突させ、励起・発光させる
ことで画像を表示した。
【0227】また、本発明の画像形成装置は、例えばテ
レビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提
供される画像情報を表示できるように構成した表示装置
であり、図10に示した画像形成装置を図12に示した
駆動回路を用いて、NTSC方式のテレビ信号に応じて
表示を行った。
【0228】さらに、本実施例に使用した表面伝導型電
子放出素子を用いた画像表示装置は、明るく良好な画像
を長時間にわたって安定に表示することができた。
【0229】(実施例4)本実施例にかかわる基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成は、図20の(a)(平
面図)及び図20の(b)(断面図)と同様である。
尚、本実施例においても、図15の(a)及び(b)に
示す通り、基板1上に、同一形状の素子が、2個ずつ形
成されている基板A、Bを2枚用意した。本実施例にお
いては、図15の(a)に示したように、本実施例の表
面伝導型電子放出素子が形成された基板を基板A、図1
5の(b)に示したように、比較用の表面伝導型電子放
出素子が形成された基板を基板Bと呼ぶ。
【0230】本実施例の表面伝導型電子放出素子の基本
的な構成及び製造方法を図5、図20及び図15を用い
て以下に説明する。
【0231】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンのシリコ
ン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、素子電極
2、3と素子電極間ギャップGとなるべきパターンをホ
ストレジスト(RD−2000N−41日立化成社製)
形成し、真空蒸着法により厚さ500オングストローム
のPtを堆積した。ホストレジストパターンを有機溶剤
で溶解し、堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3
ミクロン、素子電極の幅Wが300ミクロンの素子電極
2、3を形成した(図5の(a))。
【0232】工程−b 電子放出素子の導電性薄膜4をマスク蒸着を行うため
に、所望のマスクを用いて、膜厚1000オングストロ
ームのCr膜を真空蒸着により堆積したのち、そのうえ
にPd金属を、スパッタ法で堆積した。こうして形成さ
れたPd微粒子からなる導電性薄膜4の膜厚は100オ
ングストローム、シート抵抗値は2×10の3乗Ω/□
であった。
【0233】工程−c Cr膜および焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャントに
よりエッチングして所望のパターンを形成した(図5の
(b))。
【0234】以上の工程により基板1上に、素子電極
2、3、導電性薄膜4等を形成した。
【0235】工程−d 次に、図7の測定装置に設置し、真空ポンプにて排気
し、10のマイナス6乗torrの真空度に達した後、
素子に素子電圧Vfを印加するための電源71により、
2基板(基板A、B)の各2素子の素子電極2、3間に
それぞれ、電圧を印加して、導電性薄膜4に亀裂部5を
形成するために通電処理(フォーミング処理)を行った
(図5の(c))。フォーミング処理の電圧波形を図2
5の(b)に示す。
【0236】図25の(b)中、T1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を
1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、矩形波の波高値(フ
ォーミング処理時のピーク電圧)は0.1Vステップで
昇圧し、フォーミング処理を行った。また、フォーミン
グ処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間に抵抗
測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚、フォーミン
グ処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値で、約1M
オーム以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印
加を終了した。それぞれの素子のフォーミング電圧VF
は、基板Aでは7.0Vと、比較用の基板Bでは7.1
Vであった。
【0237】工程−e 続いて、フォーミング処理した基板A上の2素子にそれ
ぞれ活性化工程を施し、ダイヤモンドを主成分とする薄
膜を約200オングストローム形成した。形成条件は、
基板温度を室温、圧力1torr、ガス流量をH2:1
00sccm、CH4:1sccmで、一対の素子電極
へのパルス状の電圧の印加は、図22に従い、説明す
る。図22の(a)において、横軸は、活性化工程の時
間、縦軸は、素子電流If、放出電流Ieであり、縦軸
は、任意単位、横軸は、分単位であり、活性化工程は、
10分で終了した。図22の(b)において、活性化工
程の初期および後期における素子電極に印加するパルス
の電圧波形であり、縦軸が電圧、横軸が時間、T1、T
2は、それぞれ、電圧波形のパルス幅とパルス間隔であ
る。活性化工程初期には、電圧25V、T1は100マ
イクロ秒、T2は1ミリ秒で行い、活性化の終了に近い
活性化後期では、電圧15V、T1は50マイクロ秒、
T2は1ミリ秒である。活性化初期から、後期にいたる
途中は、初期、後期のパルスの中間のパルスを与えた。
この様にして、活性化工程の進行にともない、パルスの
電圧波形を制御した。
【0238】一方、比較用の基板Bの2素子に対して
は、図7の測定装置内に置いたまま、アセトンガスを、
10のマイナス4乗torr導入し、パルス幅1ミリ
秒、繰り返し周期10ミリ秒、電圧15Vの矩形パルス
を素子電極間に印加しながら、15分間、活性化工程を
施した。尚、活性化工程とは、前述した図7の測定装置
内で、素子電極間に、パルス電圧を印加することを繰り
返し処理することで、著しく素子電流If及び放出電流
Ieを増加する工程である。
【0239】以上の工程により、基板A、Bの各々に2
素子ずつの電子放出素子を作製した。
【0240】上述の工程で作製し表面伝導型電子放出素
子の特性及び形態を把握するために、基板A、B上の表
面伝導型電子放出素子を各1個ずつ、その電子放出特性
の測定を上述の図7の測定評価装置を用いて行った。ま
た残りの1個ずつを電子顕微鏡で形態の観察をした。ま
た、顕微ラマンを用いて、電子放出部近傍を観察した。
【0241】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特
性測定時の真空装置内の真空度を1×10のマイナス7
乗torrとした。基板A、Bの素子とも、素子電極2
及び3の間に素子電圧を15V印加し、その時に流れる
素子電流If及び放出電流Ieを測定した。基板A上に
形成された本実施例の表面伝導型電子放出素子では、
1.5mA程度の素子電流Ifが流れ、電子を放出する
亀裂部5(電子放出部)より放出される電子の放出電流
Ieは、10μAが観察された。一方、基板B上に形成
された比較用の表面伝導型電子放出素子形では、素子電
流If、放出電流Ieそれぞれ1mA、1μAが観察さ
れた。
【0242】電子顕微鏡で観察した基板A、B上の各素
子の形態は、基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出
素子の形態については、図20に示したものと同様に、
素子電極間の導電性薄膜4の亀裂部5の近傍に微粒子か
らなる被膜6が形成されていた。一方、基板B上の比較
用の表面伝導型電子放出素子では図16のように、電子
を放出する亀裂部5(電子放出部)の一部より高電位側
を主として、被膜が形成されていた。
【0243】顕微ラマンでこれらの被膜を観察すると、
基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出素子は、ダイ
ヤモンドのピークが観察され、一方、基板B上の比較用
の表面伝導型電子放出素子では、グラファイト、アモル
ファスカーボンからなる炭素被膜が、観察された。
【0244】次に、これらの素子の動作安定性をみるた
めに、15Vを印加し、動作し、素子電流If、放出電
流Ieの変化を観察した。この結果、基板A上の本実施
例の表面伝導型電子放出素子の方が、減少が少なかっ
た。つまり、本実施例の表面伝導型電子放出素子では、
ダイヤモンドを主成分とする微粒子からなる被膜を導電
性薄膜の亀裂5の近傍に形成したため、電力親和力ある
いは仕事関数の低下がおこり、素子電流If、放出電流
Ieが、基板B上の比較用の表面伝導型電子放出素子と
比べて増加したと考えられる。又、動作安定性の増加
も、電子放出部先端の材料の安定性によるものと考えら
れる。
【0245】以上により、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有する
ので、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且
つ、電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率の
よい電子放出が得られた。
【0246】(実施例5)本実施例にかかわる基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成を図21(断面図)に示
す。尚、本実施例においても、図15の(a)及び
(b)に示す通り、基板1上に、同一形状の素子が、2
個ずつ形成されている基板A、Bを2枚用意した。本実
施例においても、図15の(a)に示したように、本実
施例の表面伝導型電子放出素子が形成された基板を基板
A、比較用の表面伝導型電子放出素子が形成された基板
を基板Bと呼ぶ。
【0247】本実施例の表面伝導型電子放出素子の製造
方法を、図5、図15及び図21に基づいて説明する。
【0248】まず、前述した実施例4と同様に、図5の
(a)〜(c)を用いて説明した工程−a、工程−b、
工程−c、工程−dを行った。
【0249】工程−e 続いて、フォーミング処理した基板A上の2素子にそれ
ぞれ活性化工程を施した。まず、第1の活性化工程を施
した。アセトンガスを、10のマイナス4乗torr導
入し、素子電圧は15V、T1は1ミリ秒、T2は10
ミリ秒として電圧波形を素子電極間に印加しながら、5
分間で終了した。次に第2の活性化工程を施した。形成
条件は、基板温度を室温、圧力0.5torr、ガス流
量をH2:200sccm、C24 :1sccmで、
一対の素子電極へのパルス状の電圧の印加は、実施例4
と同様にし、7分間で終了した。
【0250】一方、基板B上の比較用の表面伝導型電子
放出素子の2素子に対しては、図7の測定装置内に置い
たまま、アセトンガスを、10のマイナス4乗torr
導入し、パルス幅1ミリ秒、繰り返し周期10ミリ秒、
電圧15Vの矩形パルスを素子電極間に印加しながら、
15分間、活性化工程を施した。
【0251】こうして、基板A、B上に各2素子ずつを
作製した。
【0252】上述の工程で作製し表面伝導型電子放出素
子の特性及び形態を把握するために、基板A、B上の表
面伝導型電子放出素子を各1個ずつ、その電子放出特性
の測定を上述の図7の測定評価装置を用いて行った。ま
た残りの1個ずつを電子顕微鏡で形態の観察をした。ま
た、顕微ラマンを用いて、電子放出部近傍を観察した。
【0253】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特
性測定時の真空装置内の真空度を1×10のマイナス7
乗torrとした。基板A、Bの素子とも、素子電極2
及び3の間に素子電圧を15V印加し、その時に流れる
素子電流If及び放出電流Ieを測定した。基板A上の
本実施例の表面伝導型電子放出素子では、1.8mA程
度の素子電流Ifが流れ、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)より放出される電子の放出電流Ieは、9μ
Aが観察された。一方、基板B上の比較用の表面伝導型
電子放出素子では、素子電流If、放出電流Ieそれぞ
れ1mA、1μAが観察された。
【0254】電子顕微鏡で観察した基板A上の本実施例
の表面伝導型電子放出素子の形態は、図21に示したも
のと同様に、素子電極間の導電性薄膜4の亀裂部5の近
傍に微粒子からなる被膜が形成されていた。一方、基板
B上の比較用の表面伝導型電子放出素子でも、図16の
ように電子を放出する亀裂部5(電子放出部)の一部よ
り高電位側を主として、被膜6が形成されていた。
【0255】顕微ラマンでこれらの被膜を観察すると、
基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出素子は、ダイ
ヤモンドのピークが主に観察され、更にグラファイトの
ピークも観察され、一方、比較用の表面伝導型電子放出
素子では、グラファイト、アモルファスカーボンからな
る炭素被膜が、観察された。
【0256】次に、これらの素子の動作安定性をみるた
めに、素子電極に15Vを印加し、動作し、素子電流I
f、放出電流Ieの変化を観察した。この結果、上記本
実施例の表面伝導型電子放出素子の方が、素子電流I
f、放出電流Ieの減少が少なかった。つまり、本実施
例の表面伝導型電子放出素子では、ダイヤモンドを主成
分とする微粒子を主体とする被膜を導電性薄膜の亀裂近
傍に形成したため、電子親和力あるいは仕事関数の低下
がおこり、素子電流If、放出電流Ieが、比較用の表
面伝導型電子放出素子と比べて増加したと考えられる。
動作安定性の増加は、電子放出部先端の材料の安定性に
よるものと考えられる。
【0257】以上により、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有する
ので、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且
つ、電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率の
よい電子放出が得られた。
【0258】(実施例6)本実施例は、多数の表面伝導
型電子放出素子を単純マトリクス配置した電子源を用い
た画像形成装置の例である。
【0259】電子源の一部の平面図を図17に示す。ま
た、図中のA−A′断面図を図18に示す。但し図1
7、図18で、同じ記号を示したものは、同じものを示
す。ここで1は基板、92は図9のDxmに対応するX
方向配線(下配線とも呼ぶ)、93は図9のDynに対
応するY方向配線(上配線とも呼ぶ)、2、3は素子電
極、5は電子放出部、181は層間絶縁層、182は素
子電極2と下配線92と電気的接続のためのコンタクト
ホールである。尚、本実施例において、4はダイヤモン
ドを主成分とする材料を有する導電性薄膜である。
【0260】以下に、上記電子源及びそれを用いた図1
0に示す画像形成装置の製造方法を、図30の(a)〜
(d)、図31の(e)〜(h)、図32の(i)に基
づいて説明する。まず、本実施例においては図30の
(a)〜(d)、図31の(e)を用いた先に説明した
実施例3の工程−a〜工程eまでを同様に行った。
【0261】工程−f 次に、素子間電極ギャップL及びこの近傍に開口を有す
るマスクにより膜厚1000オングストロームのCr膜
183を真空蒸着により堆積・パターニングし、そのう
えに有機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)溶
液に、平均粒径300nmのダイヤモンドパウダーを混
合し、予め超音波振動を15分間し、ダイヤモンド微粒
子を粉砕し、分散させた溶液をスピンナーにより回転塗
布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。また。
こうして形成された主元素としてPdよりなる微粒子か
らなる導電性薄膜4の膜厚は100オングストローム、
シート抵抗値は3.5×10の4乗Ω/□であった。更
に上記導電性薄膜4はダイヤモンド微粒子が混合された
状態であった(図31(f))。
【0262】工程−g Cr膜183及び焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャン
トによりエッチングして所望のパターンを形成した(図
31の(g))。
【0263】工程−h コンタクトホール182部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5ナノメ
ートルのTi、厚さ500ナノメートルのAuを順次堆
積した。リフトオフにより不要の部分を除去することに
より、コンタクトホール182を埋め込んだ(図31の
(h))。
【0264】以上の工程により絶縁性基板91上に下配
線92、層間絶縁層161、上配線93、素子電極2、
3、ダイヤモンド微粒子を有する導電性薄膜4等を形成
した。
【0265】次に、以上のようにしてダイヤモンド微粒
子を有す複数の導電性薄膜4が単純マトリクス配置され
た基板をリアプレート101上に固定した後、基板の5
mm上方に、フェースプレート106(ガラス基板10
3の内面に蛍光膜104とメタルバック105が形成さ
れて構成される)を支持枠102を介し配置し、フェー
スプレート106、支持枠102、リアプレート101
の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒
素雰囲気中で400℃ないし500℃で10分以上焼成
することで封着した(図10)。また、リアプレート1
01への基板の固定もフリットガラスで行った。図10
において、92、93はそれぞれX方向及びY方向の素
子配線である。蛍光膜104は、モノクロームの場合は
蛍光体のみから成るが、本実施例では蛍光膜104は、
図11の(a)に示すような、ストライプ形状を採用
し、先にブラックストライプ111を形成し、その間隙
部に各色蛍光体112を塗布して、蛍光膜104を作製
した。ブラックストライプ111の材料として通常良く
用いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラ
ス基板103に蛍光体112を塗布する方法はスラリー
法を用いた。
【0266】また、蛍光膜104の内面側には通常メタ
ルバック105が設けられる。メタルバックは、蛍光膜
作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィル
ミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着す
ることで作製した。
【0267】フェースプレート106には、更に蛍光膜
104の導電性を高めるため、蛍光膜104の外面側に
透明電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施
例では、メタルバックのみで十分な導伝性が得られたの
で省略した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0268】工程−i 以上の工程にて作製された外囲器108内の雰囲気を排
気管(不図示)を通じて真空ポンプにて排気し、十分な
真空度に達した後、端子Dox1〜Doxm及びDoy
1〜Doynを通じ、各素子の電極2、3間に電圧を印
加して、前述のマトリクス配置された各導電性薄膜4を
通電処理(フォーミング処理)することにより各導電性
薄膜4に亀裂部を作成した(図32の(i))。フォー
ミング処理の電圧波形は、図25のbと同様であるが、
本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、
約1×10のマイナス6乗torr以上の真空雰囲気下
で行った。
【0269】次に前述の実施例4の工程−eの活性化工
程を施した。尚、活性化工程のパルスは、実施例4と相
違して、一対の素子電極に、交互に高電位側、低電位側
が印加される様にした。ダイヤモンドを主成分とする微
粒子6を形成した。こうして、本実施例における電子放
出素子94を作製した。
【0270】次に10のマイナス7乗torr程度の真
空度まで排気し、200℃でベーキングを10時間行う
安定化工程を施した後、不図示の排気管をガスバーナー
で熱することで溶着し外囲器の封止を行った。
【0271】最後に封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0272】以上のように完成した本実施例の画像表示
装置(図10)において、各電子放出素子94には、容
器外端子Dox1〜Doxm、Doy1〜Doynを通
じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段より
それぞれ、印加することにより、電子放出させ、高圧端
子Hvを通じ、メタルバック105、あるいは透明電極
(不図示)に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを
加速し、蛍光膜104に衝突させ、励起・発光させるこ
とで画像を表示した。
【0273】また、本発明の画像形成装置は、例えばテ
レビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源により
提供される画像情報を表示できるように構成した表示装
置であり、図10に示した画像形成装置を図12に示し
た駆動回路を用いて、NTSC方式のテレビ信号に応じ
て表示を行った。
【0274】また、本実施例の画像表示装置において
は、各電子放出素子94は図19の(a)(平面図)及
び(b)(断面図)に対応する、ダイヤモンド微粒子を
主成分とする被膜6が、電子を放出する亀裂部5(電子
放出部)に形成されているのがわかった。
【0275】さらに、本実施例に使用した表面伝導型電
子放出素子を用いた画像表示装置は、明るく良好な画像
を長時間にわたって安定に表示することができた。
【0276】(実施例7)本実施例にかかわる基本的な
表面伝導型電子放出素子の構成は、図1の(a)(平面
図)及び図1の(b)(断面図)と同様である。尚、本
実施例においても図15の(a)及び(b)に示す通り
基板1上に、同一形状の素子が、2個ずつ形成されてい
る基板A、Bを2枚用意した。本実施例においては、図
15の(a)に示したように、本実施例の表面伝導型電
子放出素子が形成された基板A、図15の(b)に示し
たように、比較用の表面伝導型電子放出素子が形成され
た基板を基板Bと呼ぶ。
【0277】本実施例の表面伝導型電子放出素子の製造
方法の説明を図1、図5及び図23に基づいて説明す
る。
【0278】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンのシリコ
ン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、素子電極
2、3と素子電極間ギャップGとなるべきパターンをホ
トレジスト(RD−2000N−41日立化成社製)形
成し、真空蒸着法により厚さ500オングストロームの
Ptを堆積した。ホストレジストパターンを有機溶剤で
溶解し、堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lが3ミ
クロン、素子電極の幅Wが300ミクロンの素子電極
2、3を形成した(図5の(a))。
【0279】工程−b 電子放出素子の導電性薄膜4をマスク蒸着を行うため
に、所望のマスクを用いて、膜厚1000オングストロ
ームのCr膜を真空蒸着により堆積したのち、そのうえ
にIr金属を、スパッタ法で堆積した。こうして形成さ
れたIr微粒子からなる導電性薄膜4の膜厚は100オ
ングストローム、シート抵抗値は2×10の3乗Ω/□
であった。
【0280】工程−c Cr膜および焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャントに
よりエッチングして所望のパターンを形成した(図5の
(b))。
【0281】以上の工程により基板1上に、素子電極
2、3、導電性薄膜4等を形成した。
【0282】工程−d 次に、図7の測定装置に設置し、真空ポンプにて排気
し、10のマイナス6乗torrの真空度に達した後、
素子に素子電圧Vfを印加するための電源71により、
2基板(基板A、B)の各2素子の素子電極2、3間に
それぞれ、電圧を印加し、通電処理(フォーミング処
理)を行った(図5の(c))。フォーミング処理の電
圧波形を図25の(b)に示す。
【0283】図25の(b)中、T1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を
1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、矩形波の波高値(フ
ォーミング処理時のピーク電圧)は0.1Vステップで
昇圧し、フォーミング処理を行った。また、フォーミン
グ処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間に抵抗
測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚、フォーミン
グ処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値で、約1M
オーム以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印
加を終了した。それぞれの素子のフォーミング電圧VF
は、基板Aでは7.4Vと、比較用の基板Bでは7.1
Vであった。
【0284】工程−e 続いて、図23に示すように、フォーミング処理した基
板A上の2素子にそれぞれの素子電極が全て等電位とな
る様に結線して陰極とし、陽極233に表面が鏡面研磨
されたカーボン電極を用いて、直流高電圧電源234及
び電流計235を結線して容器231内に配置した。こ
こで、基板Aと陽極電極233との距離は約2mmとし
た。有機溶媒232として、関東化学(株)製電子工業
用エタノール(試薬特級、純度99.5%)を用い、基
板A及び陽極電極233が完全に浸るまで、容器231
内に満たした。その後、不図示のヒータによって容器2
31を加熱し、溶媒232の温度を60℃に保ちながら
1kVの電圧を印加した。
【0285】初め、2mA/cm2 の電流が流れ、1時
間後に約半分の電流となって一定となった。電圧印加開
始から3時間経ったところで素子を取り出し、窒素ブロ
ーによって乾燥させた後、大気中120℃のクリーンオ
ーブン中で20分間加熱乾燥させた。
【0286】こうして得られた素子上の析出膜は、約3
00オングストロームの膜厚をもっていた。
【0287】一方、比較用の基板Bに対しては、図7の
測定装置内に置いたまま、アセトンガスを10のマイナ
ス4乗torr導入し、パルス幅1ミリ秒、繰り返し周
期10ミリ秒、電圧15Vの矩形パルスを素子電極間に
印加しながら、15分間、活性化工程を施した。
【0288】以上の工程により、基板A、Bの各々に2
素子ずつの電子放出素子を作製した。
【0289】上述の工程で作製し表面伝導型電子放出素
子の特性及び形態を把握するために、基板A,B上の表
面伝導電子放出素子を各1個すつ、その電子放出特性の
測定を上述の図7の測定評価装置を用いて行った。また
残りの1個ずつを電子顕微鏡で形態の観察をした。ま
た、顕微ラマンを用いて、電子放出部近傍を観察した。
【0290】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特
性測定時の真空装置内の真空度を1×10のマイナス7
乗torrとした基板A,Bの素子とも、素子電極2及
び3の間に素子電圧を15V印加し、その時に流れる素
子電流If及び放出電流Ieを測定した。基板A上に形
成された本実施例の表面伝導型電子放出素子では、4m
A程度の素子電流Ifが流れ、電子を放出する亀裂部5
(電子放出部)より放出される電子の放出電流Ieは、
10μAが観察された。一方、基板B上に形成された比
較用の表面伝導型電子放出素子では、素子電流If、放
出電流Ieそれぞれ1mA、1μAが観察された。
【0291】電子顕微鏡で観察した基板A、Bの素子の
形態は、基板A上の本実施例の表面伝導型電子放出素子
の形態については、図1に示したものと同様に、素子電
極間の導電性薄膜4の全体に微粒子からなる被膜が形成
されていた。一方、基板B上に形成された比較用の表面
伝導型電子放出素子では、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)の一部より高電位側として用いた導電性薄膜
上を主として、被膜が形成されていた。
【0292】顕微ラマンでこれらの被膜を観察すると、
前記本実施例の表面伝導型電子放出素子では、ダイヤモ
ンドのピークが観察され、一方、前記比較用の表面伝導
型電子放出素子では、グラファイト、アモルファスカー
ボンからなる炭素被膜が、観察された。
【0293】次に、これらの素子の動作安定性をみるた
めに、15Vを印加し、動作し、素子電流If、放出電
流Ieの変化を観察した。この結果、基板A上の本実施
例の表面伝導型電子放出素子の方が、素子電流If、放
出電流Ieの減少が少なかった。つまり、前記本実施例
の表面伝導型電子放出素子では、ダイヤモンドを主成分
とする微粒子からなる被膜を導電性薄膜の全体に形成し
たため、電子親和力の低下がおこり、素子電流If、放
出電流Ieが、基板B上の比較用の表面伝導型電子放出
素子と比べて増加したと考えられる。動作安定性の増加
は、電子放出部先端の材料の安定性によるものと考えら
れ。
【0294】以上より、電子を放出する亀裂部5(電子
放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有するの
で、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且つ、
電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率のよい
電子放出が得られた。
【0295】(実施例8)実施例にかかわる基本的な表
面伝導型電子放出素子の構成は、図1の(a)(平面
図)及び(b)(断面図)と同様である。尚、実施例7
と同様に、同一形状の本実施例の素子が、2個形成され
ている基板Cを用意した。
【0296】本実施例に係わる表面伝導型電子放出素子
の構成及び製造方法を以下に説明する。まず、図5の
(a)、(b)、(c)を用いて前述した実施例7の工
程−a、工程−b、工程−c、工程−dを同様に行っ
た。
【0297】工程−e 続いて、図24に示すように、フォーミング処理した基
板C上の2素子を素子の形成面を上にして容器241内
に配置した。ここで、有機溶媒242として、キシダ化
学(株)製ベンゼン(試薬特級、純度99.5%)を用
い、基板C表面が液面下2mmとなるように容器241
内に満たした。ここで、高出力レーザ244としてコン
テニュアム社製モードロックNd:YAGレーザ(パル
ス幅30ナノ秒、2J/cm2 )を用い、素子のほぼ鉛
直上からレーザビームパルス244を5発照射した。こ
こで、レーザパルス243は、不図示のアパーチャーに
より約1mmのビーム径に整形されており、導電性薄膜
4がちょうどビームの中心にくるように調整されてい
る。その後、素子を取り出し、窒素ブローによって乾燥
させた後、大気中120℃のクリーンオーブン中で20
分間加熱乾燥させた。
【0298】こうして、基板C上に本実施例の表面伝導
型電子放出素子を作製した。
【0299】上述の工程で作製した表面伝導型電子放出
素子の特性及び形態を把握するために、基板C上の本実
施例の表面伝導型電子放出素子の1個を用い、その電子
放出特性の測定を上述の図7の測定評価装置を用いて行
った。また残りの1個を電子顕微鏡で形態の観察した。
また、顕微ラマンを用いて、電子放出部近傍を観察し
た。
【0300】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特
性測定時の真空装置内の真空度を1×10のマイナス7
乗torrとした。素子電極2及び3の間に素子電圧を
15V印加し、その時に流れる素子電流If及び放出電
流Ieを測定した。その結果、2mA程度の素子電流I
fが流れ、放出電流Ieは9μAが観察された。
【0301】電子顕微鏡で観察した基板C上の本実施例
の表面伝導型電子放出素子の形態は、前記実施例7の基
板A上に作製された表面伝導型電子放出素子と同様で、
素子電極間の導電性薄膜全体に微粒子からなる被膜が形
成されていた。
【0302】顕微ラマンで観察すると、基板C上の本実
施例の表面伝導型電子放出素子では、ダイヤモンドのピ
ークが主に観察され、更に、グラファイトのピークも観
察された。
【0303】次に、この素子の動作安定性をみるため
に、実施例7と同様に15Vを印加し、動作し、素子電
流If、放出電流Ieの変化を観察した。この結果、基
板C上の本実施例の表面伝導型電子放出素子は、前記実
施例7の基板A上に作製された表面伝導型電子放出素子
と同様に、明らかに、素子電流If、放出電流Ieの減
少が少なかった。つまり、実施例の表面伝導型電子放出
素子では、ダイヤモンドを主成分とする微粒子を主体と
する被膜を導電性薄膜の亀裂近傍に形成したため、電子
親和力あるいは仕事関数の安定がおこり、素子電流I
f、放出電流Ieが実施例7で述べた基板B上に作製さ
れた素子と比べて増加したと考えられる。動作安定性の
増加は、電子放出部先端の材料の安定性によるものと考
えられる。
【0304】以上により、電子を放出する亀裂部5(電
子放出部)にダイヤモンドを主成分とする材料を有する
ので、より素子電流If、放出電流Ieが安定し、且
つ、電子を放出する亀裂部5(電子放出部)より効率の
よい電子の放出が得られた。
【0305】(実施例9)本実施例は、多数の表面伝導
型電子放出素子を単純マトリクス配置した電子源を用い
た画像形成装置の例である。
【0306】電子源の一部の平面図を図17に示す。ま
た、図中のA−A′断面図を図18に示す。但し図1
7、図18で、同じ記号を示したものは、同じものを示
す。ここで1は基板、92は図9のDxmに対応するX
方向配線(下配線とも呼ぶ)、93は図9のDynに対
応するY方向配線(上配線とも呼ぶ)、2、3は素子電
極、5は電子放出部、181は層間絶縁層、182は素
子電極2と下配線92と電気的接続のためのコンタクト
ホールである。尚、本実施例において、4はダイヤモン
ドを主成分とする材料を有する導電性薄膜である。
【0307】以下に、上記電子源及びそれを用いた図1
0に示す画像形成装置の製造方法を図30の(a)〜
(d)、図31の(e)〜(h)、図32の(i)によ
り工程順に従って具体的に説明する。
【0308】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5マイクロメートル
のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、
真空蒸着により厚さ5ナノメートルのCr、厚さ600
ナノメートルのAuを順次積層した後、ホストレジスト
(AZ1370ヘキスト社製)をスピンナーにより回転
塗布、ベークした後、ホトマスク像を露光、現像して、
下配線92のレジストパターンを形成し、Au−Cr堆
積膜をウエットエッチングして、所望の形状の下配線9
2を形成する(図30の(a))。
【0309】工程−b 次に厚さ1.0マイクロメートルのシリコン酸化膜から
なる層間絶縁層181をRFスパッタ法により堆積する
(図30の(b))。
【0310】工程−c 工程−bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール
182を形成するためのホトレジストパターンを作り、
これをマスクとして層間絶縁層181をエッチングして
コンタクトホール182を形成する(図30の
(c))。エッチングはCF4 とH2 ガスを用いたRI
E(Reactivelon Etching)法によ
った。
【0311】工程−d その後、素子電極2、3と素子電極間ギャップGとなる
べきパターンをホトレジスト(RD−2000N−41
日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、厚さ100
0オングストロームのPtを堆積した。ホトレジスタパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Pt堆積膜をリフトオフ
し、素子電極間隔Lが3ミクロン、素子電極の幅Wが1
50ミクロンの素子電極2、3を形成した(図30の
(d))。
【0312】工程−e 素子電極2、3の上に上配線93のホトレジストパター
ンを形成した後、厚さ5ナノメートルのTi、厚さ50
0ナノメートルのAuを順次真空蒸着により堆積し、リ
フトオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の上
配線93を形成した(図31の(e))。
【0313】工程−f 素子間電極ギャップL及びこの近傍に開口を有するマス
クにより膜厚1000オングストロームのCr膜183
を真空蒸着により堆積・パターニングし、そのうえに有
機Pb(ccp4230奥野製薬(株)社製)をスピン
ナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼成処
理をした。また、こうして形成された主元素としてPd
よりなる微粒子からなる導電性薄膜4の膜厚は100オ
ングストローム、シート抵抗値は5×10の4乗Ω/□
であった(図31の(f))。
【0314】工程−g Cr膜183及び焼成後の導電性薄膜4を酸エッチャン
トによりエッチングして所望のパターンを形成した(図
31の(g))。
【0315】工程−h コンタクトホール182部分以外にレジストを塗布する
ようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5ナノメ
ートルのTi、厚さ500ナノメートルのAuを順次堆
積した。リフトオフにより不要の部分を除去するとによ
り、コンタクトホール182を埋め込んだ(図31の
(h))。
【0316】工程−i 以上の工程を経た基板1を真空装置内に配置して真空ポ
ンプにて排気し、十分な真空度に達した後、電極2、3
間に電圧を印加し、前記のマトリクス配置された、各導
電性薄膜4に亀裂部5を、該各導電性薄膜4を通電処理
(フォーミング処理)することにより作成した(図32
の(i))。前記フォーミング処理の電圧波形は、図2
5の(b)と同様であるが、本実施例ではT1を1ミリ
秒、T2を10ミリ秒とし、約1×10のマイナス7乗
torr以上の真空雰囲気下で行った。
【0317】次に、フォーミング処理を施した基板1上
の各素子に、前述の実施例7と同様の図23に示す方法
を用いて、ダイヤモンドを主成分とする微粒子からなる
薄膜の形成を行った。
【0318】以上の工程により絶縁性基板91上に下配
線92、層間絶縁層181、上配線93、素子電極2、
3、導電性薄膜4、電子放出部5、ダイヤモンド薄膜6
(図1参照)等を形成した。
【0319】次に、以上のようにして多数の表面伝導型
電子放出素子94が単純マトリクス配置された基板をリ
アプレート101上に固定した後、基板の5mm上方
に、フェースプレート106(ガラス基板103の内面
に蛍光膜104とメタルバック105が形成されて構成
される)を支持枠102を介し配置し、フェースプレー
ト106、支持枠102、リアプレート101の接合部
にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気
中で400℃ないし500℃で10分以上焼成すること
で封着した(図10)。また、リアプレート101への
基板の固定もフリットガラスで行った。図10におい
て、92、93はそれぞれX方向及びY方向の素子配線
である。蛍光膜104は、モノクロームの場合は蛍光体
のみから成るが、本実施例では蛍光膜104は、図11
の(a)に示すような、ストライプ形状を採用し、先に
ブラックストライプ111を形成し、その間隙部に各色
蛍光体112を塗布して、蛍光膜104を作製した。ブ
ラックストライプ111の材料として通常良く用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板1
03に蛍光体112を塗布する方法はスラリー法を用い
た。
【0320】また、蛍光膜104の内面側には通常メタ
ルバック105が設けられる。メタルバックは、蛍光膜
作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィル
ミングと呼ばれる)を行い、その後、A1を真空蒸着す
ることで作製した。
【0321】フェースプレート106には、更に蛍光膜
104の導電性を高めるため、蛍光膜104の外面側に
透明電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施
例では、メタルバックのみで十分な導電性が得られたの
で省略した。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0322】以上のようにして作製した外囲器108の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ10のマイナス6乗
torr程度の真空度まで排気し、不図示の排気管をガ
スバーナーで熱することで溶着し外囲器の封止を行っ
た。
【0323】最後に封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0324】以上のように完成した本実施例の画像表示
装置において、各電子放出素子には、容器外端子D0 ×
1〜D0 ×m及びD0 y1〜D0 ynを通じ、走査信号
及び変調信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ、印
加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通
じ、メタルバック105、あるいは透明電極(不図示)
に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍
光膜104に衝突させ、励起・発光させることで画像を
表示した。
【0325】また、本発明の画像形成装置は、たとえば
テレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より
提供される画像情報を表示できるように構成した表示装
置であり、図10に示した画像形成装置を図12に示し
た駆動回路を用いて、NTSC方式のテレビ信号に応じ
て表示を行なった。
【0326】さらに、本実施例に使用した表面伝導型電
子放出素子を用いた画像表示装置は、明るく良好な画像
を長時間にわたって安定に表示することができた。
【0327】(実施例10)本実施例は、図26及び図
27のようなダイヤモンド金属からなる微粒子を一対の
素子電極間に分散した電子放出素子の例である。
【0328】本実施例は、図28に示すような工程で電
子放出素子を作成した。
【0329】1)まず、青板ガラス基板2801上にス
パッタ蒸着法により白金よりなる金属膜2802を約5
0nm形成した(図28のA)。
【0330】2)この基板上に、0.25μm以下の人
工合成ダイヤモンド砥粒をエチルアルコールに分散させ
たものを散布し、乾燥させてダイヤモンド粒子2803
を基板上に固定した(図28のB)。なお、同様に形成
しサンプルを別途、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、基板上に約200nm以下のダイヤモンド粒子が数
個程度凝集しながら分散して存在しているのが確認され
た。
【0331】3)この基板上に電極2804を形成し、
基板を真空容器中に設置し、真空度が1×10の7乗T
orrになるまで排気した。電極間に電圧を印加するこ
とで通電加熱し、金属層の一部を溶融または蒸発させ
て、金属膜を不連続化する。これにより、金属膜中に金
属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出部)280
5が形成される(図28のC)。なお、同様に形成した
サンプルを別途、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
金属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出部)が金
属膜に形成されているのが観察された。
【0332】4)更に、基板の真上に、透明導電膜28
07及び蛍光体2808が形成された青板ガラス280
6を設置する。電極2804間に、電源2809を用い
て電圧を印加すると、金属が凝集し、間隔の広がった個
所(電子放出部)2805付近のダイヤモンド粒子より
電子放出が起こり、更に、引き出し電圧印加用電源28
10を用いて電子を加速させることにより、蛍光体28
08を発光させることができる(図28のD)。
【0333】本実施例の電子放出素子において、放出電
流の安定性は非常に高く、500時間の耐久テスト中で
の電流値の変動は、±10%以下であった。
【0334】(実施例11)本実施例は、図26及び図
27のようなダイヤモンド金属からなる微粒子を一対の
素子電極間に分散した電子放出素子の例である。
【0335】本実施例は、図29に示すような工程で電
子放出素子を作成した。
【0336】1)まず、石英基板2901上に気相合成
法によりダイヤモンド粒子2902を分散して形成す
る。合成方法は、公知の熱フィラメントCVD法で、合
成条件は、フィラメント温度;2100℃、圧力;5×
10の3乗Pa、基板温度830℃で、原料ガスは、水
素;100ml/min、メタン;1ml/minで、
合成時間;8分、とした。なお、同様に形成したサンプ
ルを別途、走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板上
に約150nm以下のダイヤモンド粒子が分散して存在
しているのが確認された(図29のA)。
【0337】2)この基板上に、スパッタ蒸着法により
金属膜2903を約50nm形成した(図29のB)。
【0338】3)この基板上に電極2904を形成し、
基板を真空容器中に設置し、真空度が1×10の7乗T
orrになるまで排気した。電極間に電圧を印加するこ
とで通電加熱し、金属層の一部を溶融または蒸発させ
て、金属膜を不連続化する。これにより、金属膜中に金
属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出部)290
5が形成される(図29のC)。なお、同様に形成した
サンプルを別途、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
金属が凝集し、間隔の広がった個所(電子放出部)29
05が金属膜に形成されているのが観察された。
【0339】4)更に、基板の真上に、透明導電膜29
07及び蛍光体2908が形成された青板ガラス290
6を設置する。電極2904間に、電源2909を用い
て電圧を印加すると、金属が凝集し、間隔の広がった個
所(電子放出部)2905付近のダイヤモンド粒子より
電子放出が起こり、更に、引き出し電圧2910を用い
て電子を加速させることにより、蛍光体2908を発光
させることができる(図29のD)。
【0340】本実施例の電子放出素子において、放出電
流の安定性は非常に高く、500時間の耐久テスト中で
の電流値の変動は、±10%以下であった。
【0341】(実施例12)本実施例は、図26及び図
27のようなダイヤモンド金属からなる微粒子を一対の
素子電極間に分散した電子放出素子の例である。
【0342】本実施例ではダイヤモンド粒子の大きさの
依存性について検討を行った。
【0343】本実施例では、実施例10と同様に図28
に示すような行程で電子放出素子を作成した。
【0344】1)まず、石英ガラス基板上にスパッタ蒸
着法によりパラジウム薄膜を焼く60nm形成した。
【0345】2)この基板上に、公知のマイクロ波プラ
ズマCVD法によりダイヤモンド粒子を形成した。合成
条件は、マイクロ波出力;650W、圧力;2×10の
3乗Pa、基板温度;800℃で、原料ガスは、水素;
150ml/min、エチルアルコール;1ml/mi
nとし、合成時間に変えて、表1に示すような種々の粒
子径のダイヤモンド粒子を形成した。なお、同様に形成
したサンプルを別途、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、基板上にダイヤモンド粒子が分散して存在している
のが確認された。
【0346】また、電極の形成及び金属膜の不連続化方
法、さらには電子放出測定の条件は実施例10と同様に
した。
【0347】表1によれば、粒子径が500nm以下に
おいて良好な電子放出量を有することが分かる。
【0348】また、本実施例の電子放出素子において、
放出電流の安定性は非常に高く、500時間の耐久テス
ト中での電流値の変動は、±10%以下であった。
【0349】
【表1】
【0350】(実施例13)本実施例は、図26及び図
27のようなダイヤモンド金属からなる微粒子を一対の
素子電極間に分散した電子放出素子の例である。
【0351】本実施例においては、不連続金属層の厚み
の依存性について検討を行った。本実施例においては不
連続金属層の膜厚を変化させる以外は実施例12と同様
にして電子放出素子を作成した。
【0352】表2によれば、不連続金属層膜厚が100
nm以下において良好な電子放出量を有することが分か
る。
【0353】また、本実施例の電子放出素子において、
放出電流の安定性は非常に高く、500時間の耐久テス
ト中での電流値の変動は、±10%以下であった。
【0354】
【表2】
【0355】(実施例14)本実施例は、図26及び図
27のようなダイヤモンド金属からなる微粒子を一対の
素子電極間に分散した電子放出素子の例である。
【0356】本実施例では、種々の金属層を用いて電子
放出素子を作成した。
【0357】本実施例においては、金属層の種類を変化
させる以外は、実施例12と同様にして電子放出素子を
作成した。
【0358】
【表3】
【0359】表3によれば、金属層材質として貴金属
(酸化パラジウム、金―銅合金、銀、白金―ロジウム)
を含有することにより良好な電子放出量を有することが
分かる。
【0360】(実施例15)図33は、前記説明の表面
伝導型放出素子を電子ビーム源として用いたディスプレ
イパネルに、たとえばテレビジョン放送をはじめとする
種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できる
ように構成した表示装置の一例を示すための図である。
図中3300はディスプレイパネル、3301はディス
プレイパネルの駆動回路、3302はデイスプレイコン
トローラ、3303はマチプレクサ、3304はデコー
ダ、3305は入出力インターフェース回路、3306
はCPU、3307は画像生成回路、3305および3
309および3310は画像メモリーインターフェース
回路、3311は画像入力インターフェース回路、33
12および3313はTV信号受信回路、3314は入
力部である。(なお、本表示装置は、たとえばテレビジ
ョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号
を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再
生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音
声情報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関する回
路やスピーカーなどについては説明を省略する)。
【0361】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明してゆく。
【0362】まず、TV信号受信回路3313は、たと
えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて
伝送されるTV画像信号を受信する為の回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、た
とえば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式な
どの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走
査線よりなるTV信号(たとえばMUSE方式をはじめ
とするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化
に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好
適な信号源である。TV信号受信回路3313で受信さ
れたTV信号は、デコーダ3304に出力される。
【0363】また、TV信号受信回路3312は、たと
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路3313と同様に、受
信するTV信号の方式には特に限られるものではなく、
また本回路で受信されたTV信号もデコーダ3304に
出力される。
【0364】また、画像入力インターフェース回路33
11は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナー
などの画像入力装置から供給される画像信号を取り込む
ための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ330
4に出力される。
【0365】また、画像メモリーインターフェース回路
3310は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略
す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ3304に出力さ
れる。
【0366】また、画像メモリーインターフェース回路
3309は、ビデオディスクに記憶されている画像信号
を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコ
ーダ3304に出力される。
【0367】また、画像メモリーインターフェース回路
3308は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画
像データを記憶している装置から画像信号を取り込むた
めの回路で、取り込まれた静止画像データは3304に
入力される。
【0368】また、入出力インターフェース回路330
5は、本表示装置と、外部コンピュータもしくはコンピ
ュータネットワークもしくはプリンターなどの出力装置
とを接続するための回路である。画像データや文字・図
形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっ
ては本表示装置の備えるCPU3306と外部との間で
制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能で
ある。
【0369】また、画像生成回路3307は、前記入出
力インターフェース回路3305を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU
3306より出力される画像データや文字・図形情報に
もとづき表示用画像データを生成するための回路であ
る。本回路の内部には、たとえば画像データや文字・図
形情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字
コードに対応する画像パターンが記憶されている読み出
し専用メモリーや、画像処理を行うためのプロセッサー
などをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込ま
れている。
【0370】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ3304に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路3305を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンターに出力するこ
とも可能である。
【0371】また、CPU3306は、主として本表示
装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集にかか
わる作業を行う。
【0372】たとえば、マルタプレクサ3303に制御
信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号
を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際に
は表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコント
ローラ3302に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインタ
ーレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作
を適宜制御する。
【0373】また、前記画像生成回路3307に対して
画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるい
は前記入出力インターフェース回路を介して外部のコン
ピュータやメモリーをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。なお、CPU3306は、むろん
のこれ以外の目的の作業にも関わるものであって良い。
たとえは、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ
などのように、情報を生成したり処理する機能に直接か
かわっても良い。あるいは、前述したように入出力イン
ターフェース回路3305を介して外部のコンピュータ
ネットワークと接続し、たとえば数値計算などの作業を
外部機器と共同して行っても良い。
【0374】また、入力部3314は、前記CPU33
06に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなど
を入力するためのものであり、たとえばキーボードやマ
ウスのほか、ジョイスティック、バーコードリーダー、
音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能であ
る。
【0375】また、デコーダ3304は、前記3307
ないし3313より入力される種々の画像信号を3原色
信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するた
めの回路である。なお、同図中に点線で示すように、デ
コーダ3304は内部に画像メモリーを備えるのが望ま
しい。これは、たとえばMUSE方式をはじめとして、
逆変換するに際して画像メモリーを必要とするようなテ
レビ信号を扱うためである。また、画像メモリーを備え
る事により、静止画の表示が容易になる。あるいは前記
画像生成回路3307およびCPU3306と共同して
画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする
画像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が
生まれるからである。
【0376】また、マルチプレクサ3303は、前記C
PU3306より入力される制御信号にもとづき表示画
像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプレク
サ3303はデコーダ3304から入力される逆変換さ
れた画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動
回路3301に出力する。その場合には、一画面表示時
間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわ
ゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分け
て領域に分けて領域によって異なる画像を表示すること
も可能である。
【0377】また、ディスプレイパネルコントローラ3
302は、前記CPU3306より入力される制御信号
にもとづき駆動回路3301の動作を制御するための回
路である。
【0378】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、たとえばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路3301に対して出力する。また、デ
ィスプレイパネルの駆動方法に関わるものとして、たと
えば画面表示周波数や走査方法(たとえばインターレー
スかノンインターレースか)を制御するための信号を駆
動回路3301に対して出力する。
【0379】また、場合によっては表示画像の輝度やコ
ントラストや色調シャープネスといった画質の調整に関
わる制御信号を駆動回路3301に対して出力する場合
もある。
【0380】また、駆動回路3301は、ディスプレイ
パネル3300に印加する駆動信号を発生するための回
路であり、前記マルチプレクサ3303から入力される
画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ33
02より入力される制御信号にもとづいて動作するもの
である。
【0381】以上、各部の機能を説明したが、図33に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル3
300に表示する事が可能である。すなわち、テレビジ
ョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ33
04において逆変換された後、マルチプレクサ3303
において適宜選択され、駆動回路3301に入力され
る。一方、ディスプレイコントローラ3302は、表示
する画像信号に応じて駆動回路3301の動作を制御す
るための制御信号を発生する。駆動回路3301は、上
記画像信号と制御信号にもとづいてディスプレイパネル
3300に駆動信号を印加する。これにより、ディスプ
レイパネル3300において画像が表示される。これら
の一連の動作は、CPU3306により統括的に制御さ
れる。
【0382】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ3304に内蔵する画像メモリや、画像生成回路33
07および情報の中から選択したものを表示するだけで
なく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大、縮
小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、
画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合
成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめとす
る画像編集を行う事も可能である。また本実施例の説明
では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同
様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専
用回路を設けても良い。
【0383】したがって、本表示装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像およ
び動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機
器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、
ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、
産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0384】なお、上記図33は、表面伝導型放出素子
を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示
装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定さ
れるものでない事は言うまでもない。たとえば、図33
の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回
路は省いても指し支えない。またこれとは逆に、使用目
的によってはさらに構成要素を追加しても良い。たとえ
ば、本表示装置をテレヒ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む
送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0385】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルの
薄形化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくするこ
とができる。それに加えて、本発明の表面伝導型放出素
子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大輝度が
高く、駆動時の安定性の高い表示装置であった。
【0386】
【発明の効果】本発明の電子放出素子は、電極間に、電
子放出部を有する導電性薄膜が設けられた電子放出素子
において、電子放出部が、ダイヤモンドを主成分とする
材料を有することを特徴とする電子放出素子である。
【0387】また、本発明の電子放出素子の製造方法
は、電極間に、電子放出部を有する導電性膜が設けられ
た電子放出素子の製造方法において、電子放出部にダイ
ヤモンドを形成する工程を有することを特徴とする。
【0388】更に、電極間に、電子放出部を有する導電
性膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、ダ
イヤモンドを有する導電性膜に、電子放出部を形成する
工程を有することを特徴とする。
【0389】本発明の電子を放出する亀裂部(電子放出
部)にダイヤモンドを主成分とする材料を形成した電子
放出素子によれば、導電性薄膜が、熱伝導率が高く、融
点も高いなど熱的に安定で、真空中に存在する残存ガス
に対しても、化学的に安定であり、また、電子を放出す
る亀裂部(電子放出部)が、低電子親和力のダイヤモン
ドを主成分とする被膜で被覆されているので、おおきな
放出電流、動作駆動時の放出電流のノイズ、及び減少が
少なくすることができる。
【0390】本発明の電子放出素子の製造方法によれ
ば、電子放出部を形成する工程であるフォーミング処理
工程とダイヤモンド形成工程を有するので、電子放出部
を形成する工程であるフォーミング処理工程で形成され
た亀裂部を保護しながら、安定な電子放出素子を形成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の1例を示す
模式的平面図及び断面図である。
【図2】図1の中で、導電性薄膜と部分的に拡大した模
式図である。
【図3】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す模
式図である。
【図4】本発明の適用可能な垂直型表面伝導型電子放出
素子の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造方法の
1例を示す模式図である。
【図6】本発明の適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造に際して採用できる通電フォーミング処理における
電圧三角波形の一例を示す模式図である。
【図7】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を示
す模式図である。
【図8】本発明の表面伝導型電子放出素子についての放
出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一例
を示すグラフである。
【図9】本発明の単純マトリクス配置した電子源の一例
を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を
示す模式図である。
【図11】蛍光膜の一例を示す模式図である。
【図12】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロッ
ク図である。
【図13】本発明の梯子配置の電子源の一例を示す模式
図である。
【図14】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を
示す模式図である。
【図15】本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の
構成図である。
【図16】比較用の従来技術を使用した表面伝導型電子
放出素子の断面図である。
【図17】本発明の単純マトリックス配置した電子源の
一部を示す平面図である。
【図18】図17中のA−A′断面図である。
【図19】本発明の表面伝導型電子放出素子の1例を示
す模式図である。
【図20】本発明の表面伝導型電子放出素子の1例を示
す断面図である。
【図21】本発明の表面伝導型電子放出素子の1例を示
す断面図てある。
【図22】本発明にかかわる活性化工程の1例を示す模
式図である。
【図23】本発明にかかわる電気分解によるダイヤモン
ド形成方法を示す模式図である。
【図24】本発明にかかわる熱分解によるダイヤモンド
形成方法を示す模式図である。
【図25】本発明の適用可能な表面伝導型電子放出素子
の製造に際して採用できる通電フォーミング処理におけ
る電圧矩形波形の1例を示す模式図である。
【図26】本発明の電子放出素子の模式的構成図であ
る。
【図27】本発明の電子放出素子の別の模式的構成図で
ある。
【図28】電子放出素子の作成工程である。
【図29】電子放出素子の別の作成工程である。
【図30】本発明の電子源の製造方法の1例を示す模式
図である。
【図31】本発明の電子源の製造方法の1例を示す模式
図である。
【図32】本発明の電子源の製造方法の1例を示す模式
図である。
【図33】画像情報を表示できるように構成した本発明
の表示装置の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 素子電極 3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 6 ダイヤモンド薄膜 41 段差形成部 70 電流計 71 電源 72 電流計 73 高圧電源 74 アノード電極 75 真空容器 76 排気ポンプ 91 基板 92 X方向配線 93 Y方向配線 94 表面伝導型電子放出素子 95 結線 101 リアプレート 102 支持枠 103 ガラス基板 104 蛍光膜 105 メタルバック 106 フェースプレート 107 排気管 108 外囲器 111 黒色導電材 112 蛍光体 121 画像表示パネル 122 走査回路 123 制御回路 124 シフトレジスタ 125 ラインメモリ 126 同期信号分離回路 127 変調信号発生器 130 基板 131 表面伝導型電子放出素子 132 共通配線 140 グリッド電極 141 空孔 142 端子 143 端子 144 基板 181 層間絶縁層 182 コンタクトホール 183 Cr膜 231 容器 232 有機溶媒 233 陽極 234 直流高圧電源 235 電流計 241 容器 242 有機溶媒 243 レーザパルス 244 レーザビームパルス 2601 絶縁性基板 2602 不連続金属層 2603 ダイヤモンド粒子 2604 電子放出部 2701 絶縁性基板 2702 ダイヤモンド粒子 2703 不連続金属層 2704 電子放出部 2801 青板ガラス基板 2802 金属膜 2803 ダイヤモンド粒子 2804 素子電極 2805 電子放出部 2806 青板ガラス 2807 透明導電膜 2808 蛍光体 2809 電源 2810 引きだし電圧印加用電源 2901 石英基板 2902 ダイヤモンド粒子 2903 金属膜 2904 電極 2905 電子放出部 2906 青板ガラス 2907 透明導電膜 2908 蛍光体 2909 電源 2910 引き出し電圧印加用電源 3300 ディスプレイパネル 3301 駆動回路 3302 ディスプレイパネルコントローラ 3303 マルチプレクサ 3304 デコーダ 3305 入出力インターフェース回路 3306 CPU 3307 画像生成回路 3308 画像メモリインターフェース回路 3309 画像メモリインターフェース回路 3310 画像メモリインターフェース回路 3311 画像入力インターフェース回路 3312 TV信号受信回路 3313 TV信号受信回路 3314 入力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平林 敬二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 谷口 靖 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極間に、電子放出部を有する導電性膜
    が設けられた電子放出素子において、該電子放出部が、
    ダイヤモンドを主成分とする材料を有することを特徴と
    する電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜が、グラファイトを有する
    請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記導電性膜は、ダイヤモンドを主成分
    とする材料と前記導電性膜を構成する導電性材料とが混
    在した膜である請求項1に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記導電性材料が、前記ダイヤモンドを
    主成分とする材料で被覆されている請求項3に記載の電
    子放出素子。
  5. 【請求項5】 前記導電性膜を構成する導電性微粒子の
    一部が、ダイヤモンド微粒子で被覆されている請求項1
    に記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子である請求項1〜5のいずれかに記載の電子放出
    素子。
  7. 【請求項7】 入力信号に応じて電子を放出する電子源
    であって、請求項1〜6のいずれかに記載の電子放出素
    子を、基板上に複数個配置したことを特徴とする電子
    源。
  8. 【請求項8】 基板上に、前記電子放出素子を複数個並
    列に配置し、個々の該電子放出素子の両端を配線に接続
    した該電子放出素子の行を複数個有し、且つ、該電子放
    出素子の変調する手段を有する請求項1に記載の電子
    源。
  9. 【請求項9】 基板上に、互いに電気的に絶縁されたm
    本のX方向配線とn本のY方向配線とを、前記電子放出
    素子の一対の電極と接続した請求項7に記載の電子源。
  10. 【請求項10】 入力信号に基づいて、画像を形成する
    画像形成装置であって、画像形成部材と請求項7〜9の
    いずれかに記載の電子源を有することを特徴とする画像
    形成装置。
  11. 【請求項11】 前記画像形成部材が、蛍光体である請
    求項10に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 電極間に、電子放出部を有する導電性
    膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、導電
    性膜に形成された電子放出部に、ダイヤモンドを形成す
    る工程を有することを特徴とする電子放出素子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 電極間に、電子放出部を有する導電性
    膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、ダイ
    ヤモンドを含む導電性膜に、電子放出部を形成する工程
    を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 電極間に、電子放出部を有する導電性
    膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、グラ
    ファイトを含む導電性膜に、ダイヤモンドを形成する工
    程を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 電極間に、電子放出部を有する導電性
    膜が設けられた電子放出素子の製造方法において、導電
    性膜に形成された電子放出部に、グラファイト及びダイ
    ヤモンドを形成する工程を有することを特徴とする電子
    放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ダイヤモンドを含む導電性膜に、
    更に、ダイヤモンドを形成する工程を有する請求項13
    に記載の電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記ダイヤモンドを含む導電性膜の形
    成工程は、ダイヤモンドを分散させた有機金属溶液を塗
    布する工程を有する請求項13に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 前記ダイヤモンドを形成する工程は、
    有機溶媒を電気分解して、導電性膜にダイヤモンドを堆
    積させる請求項12に記載の電子放出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記ダイヤモンドを形成する工程は、
    有機溶媒を熱分解して、導電性膜にダイヤモンドを堆積
    させる請求項12に記載の電子放出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記ダイヤモンドを形成する工程は、
    ダイヤモンドを形成するための原料ガスの中で、導電性
    膜上に、ダイヤモンドを化学的気相成長させる請求項1
    2に記載の電子放出素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記ダイヤモンドを含む導電性膜の形
    成工程は、前記ダイヤモンドを形成するための原料ガス
    の中で、導電性膜上に、ダイヤモンドを化学的気相成長
    させる請求項13に記載の電子放出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記ダイヤモンドを形成する工程は、
    前記ダイヤモンドを形成するための原料ガスの中で、導
    電性膜に、電圧を印加する工程を有する請求項12に記
    載の電子放出素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記電圧を印加する工程は、導電性膜
    の局部的温度が、800℃以上1200℃以下となる電
    圧を印加する工程である請求項22に記載の電子放出素
    子の製造方法。
  24. 【請求項24】 更に、グラファイトを形成するための
    原料ガスの中で、導電性膜に、該導電性膜の局部的温度
    が、1200℃より大きく2000℃以下となる電圧を
    印加する工程を有する請求項23に記載の電子放出素子
    の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記電圧を印加する工程が、一対の電
    極間に、交互に高電位、低電位を印加する工程である請
    求項22〜24のいずれかに記載の電子放出素子の製造
    方法。
  26. 【請求項26】 前記グラファイトを形成するための原
    料ガスの中の有機物質の分圧比が、前記ダイヤモンドを
    形成するための原料ガス中の有機物質の分圧比よりも大
    きい請求項24に記載の電子放出素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記ダイヤモンドを形成するための原
    料ガスが、有機物質を有する請求項20〜26のいずれ
    かに記載の電子放出素子の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記ダイヤモンドを形成するための原
    料ガスが、有機物質とその希釈ガスを有する請求項27
    に記載の電子放出素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記希釈ガスが、水素、又はフッソガ
    ス、又は水素及びフッソガスの混合ガスである請求項2
    8に記載の電子放出素子の製造方法。
  30. 【請求項30】 更に、前記ダイヤモンドを形成するた
    めの原料ガスの中で、導電性膜上に、ダイヤモンドを化
    学的気相成長させる請求項17に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  31. 【請求項31】 更に、前記ダイヤモンドを形成するた
    めの原料ガスの中で、導電性膜に、電圧を印加する工程
    を有する請求項17に記載の電子放出素子の製造方法。
  32. 【請求項32】 画像形成部材及び電子放出素子を有す
    る画像形成装置の製造方法において、請求項12〜31
    に記載の電子放出素子の製造方法により、製造される画
    像形成装置の製造方法。
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