JPH11273033A - 磁気抵抗効果多層膜及び該磁気抵抗効果多層膜を備えた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果多層膜及び該磁気抵抗効果多層膜を備えた薄膜磁気ヘッド

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JPH11273033A
JPH11273033A JP10088280A JP8828098A JPH11273033A JP H11273033 A JPH11273033 A JP H11273033A JP 10088280 A JP10088280 A JP 10088280A JP 8828098 A JP8828098 A JP 8828098A JP H11273033 A JPH11273033 A JP H11273033A
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thin film
material layer
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Koji Shimazawa
幸司 島沢
Tetsuo Sasaki
徹郎 佐々木
Manabu Ota
学 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱の印加に対してピンド方向をより安定に保
持することができる磁気抵抗効果多層膜及びこの多層膜
を備えた薄膜磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 非磁性層と、非磁性層を挟んで積層され
た第1及び第2の強磁性層と、第2の強磁性層の非磁性
層とは反対側の面に積層された反強磁性層とを含むスピ
ンバルブ磁気抵抗素子を備えた薄膜磁気ヘッドであっ
て、第2の強磁性層が、Coを含む強磁性材料層と、C
oを含む強磁性材料層の反強磁性層側の面に積層されて
おりCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層とを含ん
でいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピンバルブ等の
巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用した磁気抵抗効果
(MR)多層膜、及びこのMR多層膜を備えておりハー
ドディスク装置(HDD)等に用いられるた薄膜磁気ヘ
ッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、HDDの高密度化に伴って高感度
及び高出力の磁気ヘッドが要求されており、このような
要求に答えるものとして、GMRを呈する素子の1つで
あるスピンバルブを利用したMR素子を備えた薄膜磁気
ヘッドが提案されている(特公平8−21166号公
報、特開平6−236527号公報)。スピンバルブ
は、2つの強磁性薄膜層を非磁性金属層で磁気的に分離
してサンドイッチ構造とし、その一方の強磁性薄膜層に
反強磁性薄膜層を積層することによってその界面で生じ
る交換バイアス磁界をこの一方の強磁性薄膜層(ピンニ
ングされる層、本明細書ではピンド(pinned)層
と称する)に印加するようにしたものである。交換バイ
アス磁界を受けるピンド層と受けない他方の強磁性薄膜
層(本明細書ではフリー(free)層と称する)とで
は磁化反転する磁界が異なるので、非磁性金属層を挟む
これら2つの強磁性薄膜層の磁化の向きが平行、反平行
と変化し、これにより電気抵抗率が大きく変化するので
GMRが得られる。
【0003】スピンバルブMR素子の出力特性等は、非
磁性金属層を挟むこれら2つの強磁性薄膜層(ピンド層
及びフリー層)の磁化のなす角度によって定まる。フリ
ー層の磁化方向は磁気媒体からの磁界の方向に従って容
易に向く。一方、ピンド層の磁化方向は反強磁性薄膜層
との交換結合により一方向(ピンニングされる方向、本
明細書ではピンド方向と称する)に制御される。
【0004】この種の薄膜磁気ヘッドにおいては、何ら
かの理由でスピンバルブMR素子のピンド方向が変化す
ることがある。ピンド方向が変わると、ピンド層とフリ
ー層との磁化のなす角度も変わり、その結果、出力特性
等も変わってしまう。従ってスピンバルブMR素子を有
する薄膜磁気ヘッドにおいては、ピンド方向が正しく制
御されていることが非常に重要となる。
【0005】反強磁性薄膜層とピンド層との間に強い交
換結合を持たせてピンド方向を安定化させるためには、
所定方向の磁界中での熱処理(ピンアニール)が必要で
ある。ピンアニールは、一般に、反強磁性材料の磁気的
秩序が消失する温度(ネール温度)まで昇温し、交換結
合を与えたい方向に磁界を印加した状態で降温させるこ
とによってなされる。このピンアニールによって、反強
磁性薄膜層に接するピンド層の磁化方向に沿って交換結
合が発生する。
【0006】ピンド方向の制御に関連する公知技術とし
て、特開平6−314617号公報には、ピンド方向を
制御する反強磁性層の材料についての開示があり、特開
平9−82524号公報には、強磁性層と反強磁性層と
の間に格子マッチング向上のための中間層を挿入して交
換結合力を向上させることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなピンアニールを行った場合にも、高温状態で使用し
た場合、ヘッドの諸特性に変動が生じることがある。こ
れは、熱とフリー層の磁区を制御するために用いられる
ハードマグネットからの磁界とによりピンド方向が変化
してしまうことによって起こる現象である。
【0008】以下この現象について簡単に説明する。ピ
ンアニールによって付与されたピンド方向は、ハードマ
グネットが作る磁界(HHM)と異なる方向となってい
る。このため、反強磁性薄膜層と接するピンド層の磁化
方向はピンド方向とは異なり、磁界HHMの方向に多少回
転している(このときの磁化方向をθP とする)。反強
磁性薄膜層内では、ネール温度がミクロな領域毎に互い
に異なっており、温度分布を有している。従って、バル
ク状態におけるネール温度以下の状態であってもピンド
層との交換結合状態を消失してしまう小領域が存在する
こととなる。ここで、反強磁性薄膜層の全ての小領域が
交換結合状態を消失してしまう温度を、ブロッキング温
度と呼ぶ。スピンバルブMR素子が温度Tの高温状態
(反強磁性薄膜層のブロッキング温度以下)で使用さ
れ、その後室温まで冷却されたとき、温度T以下のネー
ル温度を有する小領域はθP 方向に再ピンアニールされ
ることとなる。このθP と反強磁性材料のθP 方向に再
ピンアニールされた成分の量とに応じて、反強磁性薄膜
層とこれに接する強磁性薄膜層との交換結合状態が変化
し、膜全体の新たなピンド方向が決まることとなる。こ
の新たなピンド方向は、高温状態に保持された時間に応
じても変化する。これは、強磁性薄膜層の磁気特性が高
温中で経時的に変化していることに起因している。
【0009】以上のように、高温状態での使用により当
初のピンアニール後にピンド方向が変化し、そのことが
出力の劣化や出力波形の対称性の劣化等を引き起こして
しまう。
【0010】このような不都合を防止するため、反強磁
性層の材料的な面からは、高いブロッキング温度を有す
ると共に、層内のネール温度分布が少ないことが望まれ
ている。なお、前述したように、特開平9−82524
号公報では、界面におけるより高い結合状態を実現する
ために中間層を挿入して2層間の格子マッチングを高め
ている。
【0011】このようにピンド方向の変動を低減するべ
く、反強磁性層の材料について工夫したり、界面におけ
るより高い結合状態を得るように工夫することは、従来
より行われていたが、ピンド層である強磁性層自体につ
いての磁気特性を制御することは全く行われていなかっ
た。
【0012】従って本発明は、従来技術では全く考慮さ
れていない観点からアプローチするものであり、その目
的は、熱の印加に対してピンド方向をより安定に保持す
ることができる薄膜磁気ヘッドを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、非磁性
層と、非磁性層を挟んで積層された第1及び第2の強磁
性層と、第2の強磁性層の非磁性層とは反対側の面に積
層された反強磁性層とを含むMR多層膜であって、第2
の強磁性層が、Coを含む強磁性材料層と、Coを含む
強磁性材料層の反強磁性層側の面に積層されておりCo
より磁気異方性の小さい強磁性材料層とを含んでいるM
R多層膜及びこのMR多層膜を備えた薄膜磁気ヘッドが
提供される。
【0014】第2の強磁性層(ピンド層)が、Coを含
む強磁性材料層と、Coを含む強磁性材料層の反強磁性
層側の面に積層されておりCoより磁気異方性の小さい
強磁性材料層とを含んでいることにより、このピンド層
全体の磁気異方性が小さくなることから熱による磁気的
な緩和の度合いが小さくなり、従ってピンド方向の熱変
動が小さくなる。その結果、ピンド方向の熱変動に起因
する高温使用時(例えば125℃程度)における出力の
劣化や出力波形の対称性の劣化を防止することができ
る。
【0015】Coより磁気異方性の小さい強磁性材料層
が、Fe系合金による強磁性材料層であることが好まし
い。本発明の一実施形態では、このFe系合金による強
磁性材料層は、CoFe、FeSi及びNiFeのいず
れか1つの強磁性材料層であるかもしれない。
【0016】Coより磁気異方性の小さい強磁性材料層
が、Ni系合金による強磁性材料層であることが好まし
い。本発明の一実施形態では、このNi系合金による強
磁性材料層は、FeNi、NiCo及びNiCuのいず
れか1つの強磁性材料層であるかもしれない。
【0017】Coより磁気異方性の小さい強磁性材料層
が、アモルファス磁性合金であることも好ましい。
【0018】Coを含む強磁性材料層は、Co又はCo
Feであるかもしれない。
【0019】本発明の一実施形態では、Coより磁気異
方性の小さい強磁性材料層が、0.5nm以上の層厚を
有するかもしれない。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態とし
て、薄膜磁気ヘッドのスピンバルブMR素子に設けられ
たスピンバルブ積層体の基本構造を示す断面図であり、
同図において、10及び12は2つの強磁性薄膜層であ
り、この強磁性薄膜層10及び12は非磁性金属層11
で磁気的に分離してサンドイッチ構造とされている。強
磁性薄膜層12上には反強磁性薄膜層13が積層されて
おり、その界面で生じる交換バイアス磁界がこの強磁性
薄膜層(ピンド層)12に印加されてピンニングされ
る。強磁性薄膜層10は交換バイアス磁界が印加されな
いフリー層である。強磁性薄膜層12は、この実施形態
では、Coを含む強磁性材料層12bと、この強磁性材
料層12bの反強磁性薄膜層13側の面に積層されてお
りCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層12aとの
2層構造となっている。
【0021】Coを含む強磁性材料層12bとしては、
例えばCoFe又はCoが用いられる。Coより磁気異
方性の小さい強磁性材料層12aとしては、CoFe、
FeSi又はNiFe等のFe系合金か、FeNi、N
iCo又はNiCuのNi系合金が用いられる。CoF
eの組成としては、Coが0〜90at%であることが
好ましく、より好ましくは異方性定数が0となるCoが
40at%である。FeSiの組成としては、Siが0
〜40at%であることが好ましく、より好ましくは異
方性定数が0となるSiが20at%である。NiFe
又はFeNiの組成としては、Feが0〜80at%で
あることが好ましく、より好ましくは異方性定数が0と
なるFeが20at%である。NiCoの組成として
は、Coが0〜70at%であることが好ましく、より
好ましくは異方性定数が0となるCoが5at%であ
る。NiCuの組成としては、Cuが0〜50at%で
あることが好ましく、より好ましくは異方性定数が0と
なるCuが35at%である。
【0022】Coより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aの層厚としては0.5nm以上であることが望ま
しい。実際に例えばNiFeをこれ以下の層厚で用いる
と、材料が島状となってしまうことがあり、異方性の制
御を適切に行うことができない場合がある。なお、Co
より磁気異方性の小さい強磁性材料層12aとして、ア
モルファス磁性合金を用いても上述のFe系合金やNi
系合金の場合と同様の効果が期待できる。
【0023】
【実施例】第1の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co90Fe10(Co
が90at%、Feが10at%)(層厚1.0nm又
は2.0nm)による強磁性材料層12bとNi80Fe
20(Niが80at%、Feが20at%)(層厚0〜
4.0nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性
材料層12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)
12、及びRuRhMn(層厚10.0nm)による反
強磁性薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0024】次の表1及び表2は、NiFe層12aの
層厚を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。表1はピンド層12におけるCoFe
層12bの層厚を1.0nmとした場合、表2は層厚を
2.0nmとした場合である。ピンド方向の熱安定性
は、125℃(HDDに使用した際に予想されるMR素
子の最高温度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド
方向に対して直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハ
ードマグネット磁界)を印加した場合のピンド方向の回
転角度を経時的に測定することによって調べた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】これらの表1及び表2からも明らかのよう
に、NiFe層12aを設けることによって、ピンド方
向の回転角度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向
上している。また、表1から分かるように、CoFe層
12bの層厚が1.0nmである場合、NiFe層12
aの層厚を2.5nm以上にすることによって、100
0時間後のピンド方向の経時変化が10度以下となる。
さらに、表2から分かるように、CoFe層12bの層
厚が2.0nmである場合、NiFe層12aの層厚を
3.0nm以上にすることによって、1000時間後の
ピンド方向の経時変化が10度以下となる。その結果、
ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用
時における出力劣化が1.5%以下となる。
【0028】なお、ピンド方向の回転角度は、スピンバ
ルブMR素子の出力から容易に算出することが可能であ
る。即ち、図2(A)に示すように、ウエハ20に対し
てピンアニール処理時に与えたピンド方向21と直交す
る方向22に磁界を印加してρ−Hループを測定する。
ピンド方向の回転がない場合は、図2(B)に示すよう
にρ−Hループは左右対称となる。ピンド方向の回転が
起こった場合は、図2(C)に示すように、左右非対称
となりこの回転したピンド方向23と測定印加磁界の方
向22とのなす角度をθP とすると、(E1 −E0 )/
(E2 −E0 )={(1−cosθP )/2}/{(1
+cosθP )/2}となる。従って、θP =cos-1
{(E1 −E0 )/(E2 −E1 +2E0 )}となる。
ピンド方向の回転角度は、90°−θP で与えられる。
【0029】第2の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co90Fe10(Co
が90at%、Feが10at%)(層厚1.0nm又
は2.0nm)による強磁性材料層12bとNi80Fe
20(Niが80at%、Feが20at%)(層厚0〜
4.0nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性
材料層12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)
12、及びFeMn(層厚12.0nm)による反強磁
性薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0030】次の表3及び表4は、NiFe層12aの
層厚を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。表3はピンド層12におけるCoFe
層12bの層厚を1.0nmとした場合、表4は層厚を
2.0nmとした場合である。ピンド方向の熱安定性
は、125℃(HDDに使用した際に予想されるMR素
子の最高温度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド
方向に対して直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハ
ードマグネット磁界)を印加した場合のピンド方向の回
転角度を経時的に測定することによって調べた。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】これらの表3及び表4からも明らかのよう
に、NiFe層12aを設けることによって、ピンド方
向の回転角度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向
上している。また、表3から分かるように、CoFe層
12bの層厚が1.0nmである場合、NiFe層12
aの層厚を2.0nm以上にすることによって、100
0時間後のピンド方向の経時変化が20度以下となる。
さらに、表4から分かるように、CoFe層12bの層
厚が2.0nmである場合、NiFe層12aの層厚を
2.5nm以上にすることによって、1000時間後の
ピンド方向の経時変化が20度以下となる。その結果、
ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用
時における出力劣化が6.0%以下となる。
【0034】第3の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m又は2.0nm)による強磁性材料層12bとNi80
Fe20(Niが80at%、Feが20at%)(層厚
0〜4.0nm)によるCoより磁気異方性の小さい強
磁性材料層12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド
層)12、及びRuRhMn(層厚10.0nm)によ
る反強磁性薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0035】次の表5及び表6は、NiFe層12aの
層厚を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。表5はピンド層12におけるCo層1
2bの層厚を1.0nmとした場合、表6は層厚を2.
0nmとした場合である。ピンド方向の熱安定性は、1
25℃(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最
高温度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に
対して直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマ
グネット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度
を経時的に測定することによって調べた。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】これらの表5及び表6からも明らかのよう
に、NiFe層12aを設けることによって、ピンド方
向の回転角度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向
上している。また、表5から分かるように、Co層12
bの層厚が1.0nmである場合、NiFe層12aの
層厚を3.0nm以上にすることによって、1000時
間後のピンド方向の経時変化が10度以下となる。さら
に、表6から分かるように、Co層12bの層厚が2.
0nmである場合、NiFe層12aの層厚を3.5n
m以上にすることによって、1000時間後のピンド方
向の経時変化が10度以下となる。その結果、ピンド方
向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用時におけ
る出力劣化が1.5%以下となる。
【0039】第4の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m又は2.0nm)による強磁性材料層12bとNi80
Fe20(Niが80at%、Feが20at%)(層厚
0〜4.0nm)によるCoより磁気異方性の小さい強
磁性材料層12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド
層)12、及びFeMn(層厚10.0nm)による反
強磁性薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0040】次の表7及び表8は、NiFe層12aの
層厚を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。表7はピンド層12におけるCo層1
2bの層厚を1.0nmとした場合、表8は層厚を2.
0nmとした場合である。ピンド方向の熱安定性は、1
25℃(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最
高温度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に
対して直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマ
グネット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度
を経時的に測定することによって調べた。
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】これらの表7及び表8からも明らかのよう
に、NiFe層12aを設けることによって、ピンド方
向の回転角度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向
上している。また、表7から分かるように、Co層12
bの層厚が1.0nmである場合、NiFe層12aの
層厚を2.5nm以上にすることによって、1000時
間後のピンド方向の経時変化が20度以下となる。さら
に、表8から分かるように、Co層12bの層厚が2.
0nmである場合、NiFe層12aの層厚を3.0n
m以上にすることによって、1000時間後のピンド方
向の経時変化が20度以下となる。その結果、ピンド方
向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用時におけ
る出力劣化が6.0%以下となる。
【0044】第1の比較例 比較のために、従来技術である単層構造のピンド層を有
するスピンバルブ積層体を、同様のDCスパッタ装置を
用いて、基板を加熱していない状態で磁界中成膜するこ
とにより実際に作成した。具体的には、AlTiC基板
上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、Ni80Fe
20(Niが80at%、Feが20at%)(層厚9.
0nm)及びCo(層厚1.0nm)による強磁性薄膜
層(フリー層)、Cu(層厚3.0nm)による非磁性
金属層、FeCo合金の単層膜(層厚2.0nm)によ
る強磁性材料層(ピンド層)、及びFeMn(層厚1
2.0nm)による反強磁性薄膜層をこの順序で順次積
層した。
【0045】次の表9は、FeCo合金におけるCoの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0046】
【表9】
【0047】この表9からも明らかのように、ピンド層
を単層構造とすると、ほとんどの場合、1000時間後
のピンド方向の経時変化が20度以下とはならない。そ
の結果、ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度の
高温使用時における出力劣化はかなり大きくなる。
【0048】第2の比較例 同じく比較のために、従来技術である単層構造のピンド
層を有するスピンバルブ積層体を、同様のDCスパッタ
装置を用いて、基板を加熱していない状態で磁界中成膜
することにより実際に作成した。具体的には、AlTi
C基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、Ni
80Fe20(Niが80at%、Feが20at%)(層
厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)による強磁
性薄膜層(フリー層)、Cu(層厚3.0nm)による
非磁性金属層、FeCo合金の単層膜(層厚2.0n
m)による強磁性材料層(ピンド層)、及びRuRhM
n(層厚10.0nm)による反強磁性薄膜層をこの順
序で順次積層した。
【0049】次の表10は、FeCo合金におけるCo
の組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定
結果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0050】
【表10】
【0051】この表10からも明らかのように、ピンド
層を単層構造とすると、ほとんどの場合、1000時間
後のピンド方向の経時変化が20度以下とはならない。
その結果、ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度
の高温使用時における出力劣化はかなり大きくなる。
【0052】第5の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとFeSi(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びFeMn(層厚10.0nm)による反強磁性薄膜
層13をこの順序で順次積層した。
【0053】次の表11は、FeSi層におけるSiの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0054】
【表11】
【0055】この表11からも明らかのように、FeS
i層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Siの組成を16〜24at%とすることによっ
て、1000時間後のピンド方向の経時変化が20度未
満となる。その結果、ピンド方向の熱変動に起因する1
25℃程度の高温使用時における出力劣化が充分小さく
なる。
【0056】第6の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとFeSi(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びRuRhMn(層厚10.0nm)による反強磁性
薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0057】次の表12は、FeSi層におけるSiの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0058】
【表12】
【0059】この表12からも明らかのように、FeS
i層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Siの組成を16〜24at%とすることによっ
て、1000時間後のピンド方向の経時変化が20度よ
りかなり小さくなる。その結果、ピンド方向の熱変動に
起因する125℃程度の高温使用時における出力劣化が
充分小さくなる。
【0060】第7の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとFeNi(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びFeMn(層厚12.0nm)による反強磁性薄膜
層13をこの順序で順次積層した。
【0061】次の表13は、FeNi層におけるNiの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0062】
【表13】
【0063】この表13からも明らかのように、FeN
i層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Niが含まれていれば、1000時間後のピンド方
向の経時変化がほぼ20度未満となる。特にFeNi層
におけるNiの組成が20at%及び80at%の場
合、この回転角度が6度と非常に小さい。その結果、ピ
ンド方向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用時
における出力劣化が非常に小さくなる。
【0064】第8の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとFeNi(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びRuRhMn(層厚10.0nm)による反強磁性
薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0065】次の表14は、FeNi層におけるNiの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0066】
【表14】
【0067】この表14からも明らかのように、FeN
i層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Niが含まれていれば、1000時間後のピンド方
向の経時変化が20度よりかなり小さくなる。特にFe
Ni層におけるNiの組成が20at%及び80at%
の場合、この回転角度が3度と非常に小さい。その結
果、ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度の高温
使用時における出力劣化が非常に小さくなる。
【0068】第3の比較例 比較のために、従来技術である単層構造のピンド層を有
するスピンバルブ積層体を、同様のDCスパッタ装置を
用いて、基板を加熱していない状態で磁界中成膜するこ
とにより実際に作成した。具体的には、AlTiC基板
上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、NiFe
(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)による
強磁性薄膜層(フリー層)、Cu(層厚3.0nm)に
よる非磁性金属層、NiCo合金の単層膜(層厚2.0
nm)による強磁性材料層(ピンド層)、及びFeMn
(層厚12.0nm)による反強磁性薄膜層をこの順序
で順次積層した。
【0069】次の表15は、NiCo合金におけるCo
の組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定
結果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0070】
【表15】
【0071】この表15からも明らかのように、ピンド
層を単層構造とすると、ほとんどの場合、1000時間
後のピンド方向の経時変化が20度以下とはならない。
その結果、ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度
の高温使用時における出力劣化はかなり大きくなる。
【0072】第4の比較例 同じく比較のために、従来技術である単層構造のピンド
層を有するスピンバルブ積層体を、同様のDCスパッタ
装置を用いて、基板を加熱していない状態で磁界中成膜
することにより実際に作成した。具体的には、AlTi
C基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、Ni
Fe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)に
よる強磁性薄膜層(フリー層)、Cu(層厚3.0n
m)による非磁性金属層、NiCo合金の単層膜(層厚
2.0nm)による強磁性材料層(ピンド層)、及びR
uRhMn(層厚10.0nm)による反強磁性薄膜層
をこの順序で順次積層した。
【0073】次の表16は、NiCo合金におけるCo
の組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定
結果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0074】
【表16】
【0075】この表16からも明らかのように、ピンド
層を単層構造とすると、ほとんどの場合、1000時間
後のピンド方向の経時変化が20度以下とはならない。
その結果、ピンド方向の熱変動に起因する125℃程度
の高温使用時における出力劣化はかなり大きくなる。
【0076】第9の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとNiCu(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びFeMn(層厚12.0nm)による反強磁性薄膜
層13をこの順序で順次積層した。
【0077】次の表17は、NiCu層におけるCuの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0078】
【表17】
【0079】この表17からも明らかのように、NiC
u層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Cuの組成を15〜45at%とすることによっ
て、1000時間後のピンド方向の経時変化が20度未
満となる。その結果、ピンド方向の熱変動に起因する1
25℃程度の高温使用時における出力劣化が小さくな
る。
【0080】第10の実施例 DCスパッタ装置を用いて、基板を加熱していない状態
で磁界中成膜することにより、図1の構造を有するスピ
ンバルブ積層体を実際に作成した。具体的には、AlT
iC基板上にTa(層厚5.0nm)による下地膜、N
iFe(層厚9.0nm)及びCo(層厚1.0nm)
による強磁性薄膜層(フリー層)10、Cu(層厚3.
0nm)による非磁性金属層11、Co(層厚1.0n
m)による強磁性材料層12bとNiCu(層厚4.0
nm)によるCoより磁気異方性の小さい強磁性材料層
12aとの2層構造の強磁性薄膜層(ピンド層)12、
及びRuRhMn(層厚10.0nm)による反強磁性
薄膜層13をこの順序で順次積層した。
【0081】次の表18は、NiCu層におけるCuの
組成を変化させた場合のピンド方向の熱安定性の測定結
果を示している。ピンド方向の熱安定性は、125℃
(HDDに使用した際に予想されるMR素子の最高温
度)の雰囲気中でアニール時に与えたピンド方向に対し
て直交する方向に190Oeの磁界(模擬ハードマグネ
ット磁界)を印加した場合のピンド方向の回転角度を経
時的に測定することによって調べた。
【0082】
【表18】
【0083】この表18からも明らかのように、NiC
u層12aを設けることによって、ピンド方向の回転角
度が小さくなり、ピンド方向の熱安定性が向上してい
る。Cuが含まれていれば、1000時間後のピンド方
向の経時変化が20度より小さくなる。その結果、ピン
ド方向の熱変動に起因する125℃程度の高温使用時に
おける出力劣化が小さくなる。
【0084】以上述べた実施形態及び実施例は全て本発
明を例示的に示すものであって限定的に示すものではな
く、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施す
ることができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲
及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0085】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、第2の強磁性層(ピンド層)が、Coを含む強磁
性材料層と、Coを含む強磁性材料層の反強磁性層側の
面に積層されておりCoより磁気異方性の小さい強磁性
材料層とを含んでいることにより、このピンド層全体の
磁気異方性が小さくなり、従ってピンド方向の熱変動が
小さくなる。その結果、ピンド方向の熱変動に起因する
高温使用時における出力の劣化や出力波形の対称性の劣
化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、薄膜磁気ヘッドの
スピンバルブMR素子に設けられたスピンバルブ積層体
の基本構造を示す断面図である。
【図2】ピンド方向の求め方を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
10、12 強磁性薄膜層 11 非磁性金属層 12a Coより磁気異方性の小さい強磁性材料層 12b Coを含む強磁性材料層 13 反強磁性薄膜層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層と、該非磁性層を挟んで積層さ
    れた第1及び第2の強磁性層と、該第2の強磁性層の前
    記非磁性層とは反対側の面に積層された反強磁性層とを
    含む磁気抵抗効果多層膜であって、前記第2の強磁性層
    が、Coを含む強磁性材料層と、該Coを含む強磁性材
    料層の前記反強磁性層側の面に積層されておりCoより
    磁気異方性の小さい強磁性材料層とを含んでいることを
    特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
  2. 【請求項2】 前記Coより磁気異方性の小さい強磁性
    材料層が、Fe系合金による強磁性材料層であることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果多層膜。
  3. 【請求項3】 前記Fe系合金による強磁性材料層が、
    CoFe、FeSi及びNiFeのいずれか1つの強磁
    性材料層であることを特徴とする請求項2に記載の磁気
    抵抗効果多層膜。
  4. 【請求項4】 前記Coより磁気異方性の小さい強磁性
    材料層が、Ni系合金による強磁性材料層であることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果多層膜。
  5. 【請求項5】 前記Ni系合金による強磁性材料層が、
    FeNi、NiCo及びNiCuのいずれか1つの強磁
    性材料層であることを特徴とする請求項4に記載の磁気
    抵抗効果多層膜。
  6. 【請求項6】 前記Coより磁気異方性の小さい強磁性
    材料層が、アモルファス磁性合金であることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気抵抗効果多層膜。
  7. 【請求項7】 前記Coより磁気異方性の小さい強磁性
    材料層が、0.5nm以上の層厚を有することを特徴と
    する請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効
    果多層膜。
  8. 【請求項8】 前記Coを含む強磁性材料層が、Co又
    はCoFeであることを特徴とする請求項1から7のい
    ずれか1項に記載の磁気抵抗効果多層膜。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれか1項に記載の
    磁気抵抗効果多層膜を備えたことを特徴とする薄膜磁気
    ヘッド。
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