JP3325853B2 - スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法 - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法

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JP3325853B2
JP3325853B2 JP10064399A JP10064399A JP3325853B2 JP 3325853 B2 JP3325853 B2 JP 3325853B2 JP 10064399 A JP10064399 A JP 10064399A JP 10064399 A JP10064399 A JP 10064399A JP 3325853 B2 JP3325853 B2 JP 3325853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリー磁性層の厚
さ方向両側に非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性層と
が積層されてなるスピンバルブ型薄膜磁気素子及びこの
スピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド及
びスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果型の磁気ヘッドには、磁気
抵抗効果を示す素子を備えたMR(Magnetoresistive)
ヘッドと巨大磁気抵抗効果を示す素子を備えたGMR
(GiantMagnetoresistive)ヘッドとがある。MRヘッ
ドにおいては、磁気抵抗効果を示す素子が磁性体からな
る単層構造とされている。一方、GMRヘッドにおいて
は、磁気抵抗効果を示す素子が複数の材料が積層されて
なる多層構造とされている。巨大磁気抵抗効果を生み出
す構造にはいくつかの種類があるが、比較的構造が単純
で、外部磁界に対して抵抗変化率が高いものとしてスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子がある。スピンバルブ型薄膜磁
気素子には、シングルスピンバルブ薄膜磁気素子とデュ
アルスピンバルブ型薄膜磁気素子とがある。
【0003】図24は、従来のスピンバルブ型薄膜磁気
素子を磁気記録媒体側からみた断面図である。図24に
示すスピンバルブ型薄膜磁気素子の上下には、ギャップ
層を介してシールド層が形成されており、前記スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子、ギャップ層、及びシールド層で、
再生用のGMRヘッドが構成されている。なお前記再生
用のGMRへッドの上に、記録用のインダクティブヘッ
ドが積層されていてもよい。このGMRヘッドは、イン
ダクティブヘッドと共に浮上式スライダのトレーリング
側端部などに設けられて薄膜磁気ヘッドを構成し、ハー
ドディスク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出するもの
である。なお、図24において、磁気記録媒体の移動方
向は図示Z方向であり、磁気記録媒体からの漏れ磁界の
方向はY方向である。
【0004】図24において、符号9はスピンバルブ型
薄膜磁気素子を示している。このスピンバルブ型薄膜磁
気素子9は、フリー磁性層の厚さ方向両側に、非磁性導
電層、固定磁性層及び反強磁性層が一層ずつ順に積層さ
れた、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子で
ある。図24において符号150は、基板119に積層
されて例えばTa(タンタル)等からなる下地層を示し
ている。この下地層150には反強磁性層116が積層
され、この反強磁性層116には、固定磁性層111、
Cu等からなる非磁性導電層112、フリー磁性層11
3、Cu等からなる非磁性導電層114、固定磁性層1
15、反強磁性層117が順次積層され、反強磁性層1
17には、Ta等からなる保護層151が積層されてい
る。このように、下地層150から保護層151までが
順次積層されて積層体110を構成している。
【0005】積層体110は、断面視略台形状とされ、
図示X1方向両側には基板119から離れる方向に向け
て互いに接近するように傾斜する傾斜側面110a、1
10aが設けられている。また、反強磁性層116、1
17は固定磁性層111、115にそれぞれ接して積層
され、反強磁性層116と固定磁性層111及び反強磁
性層117と固定磁性層115のそれぞれの界面にて交
換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、固定磁性層1
11、115の磁化方向がそれぞれ図示Y方向に固定さ
れている。
【0006】積層体110の図示X1方向両側には、例
えばCo−Pt(コバルト−白金)合金からなるバイア
ス層117、117が形成されている。このバイアス層
117、117は、フリー磁性層113の磁化方向を図
示X1方向に揃えてフリー磁性層113を単磁区化さ
せ、バルクハウゼンノイズを抑制するためのものであ
る。これにより、フリー磁性層113の磁化方向と固定
磁性層111、115の磁化方向とが交差する関係とな
る。
【0007】なお、符号170は、Cuなどで形成され
た導電層を示している。また、バイアス層117と基板
119との間、及び、バイアス層117と積層体110
との間には、例えば非磁性金属であるCrからなるバイ
アス下地層116が設けられている。更に、バイアス層
117と導電層170との間には、例えば非磁性金属で
あるTa若しくはCrからなる中間層118が設けられ
ている。
【0008】このスピンバルブ型薄膜磁気素子9では、
ハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界により、
図示X1方向に揃えられたフリー磁性層113の磁化方
向が変動すると、図示Y方向に固定された固定磁性層1
11、115の磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、
この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒
体からの洩れ磁界が検出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子9においては、前記ハードバイ
アス層117、117の一部が、バイアス下地層11
6、116を介して積層体110の傾斜側面110a、
110aに乗り上げて、基板119から離れる方向に向
けて突出している。この部分の断面形状は、基板119
から離れるにつれて厚さが薄くなり、そして積層体11
0の上面付近にあるバイアス層117、117の先端1
17a、117aは、尖った断面形状となっている。
【0010】このため、図25に示すように、一方のバ
イアス層117の先端部117aからの漏れ磁束が、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子9上に積層されている上部シ
ールド層を経て、もう一方のバイアス層117に至る磁
界(図示矢印A)となりやすく、フリー磁性層113に
印加されるバイアス磁界が減少するという不都合があっ
た。このため、フリー磁性層113の磁区制御を良好に
行うことが困難となり、スピンバルブ型薄膜磁気素子9
の安定性が低いという課題があった。
【0011】また、バイアス層117、117の先端部
117a、117aからの別の漏れ磁界が、前記バイア
ス層117の反磁界(図示矢印B及び矢印C)となって
フリー磁性層113の両端に印加され、この反磁界(矢
印B及び矢印C)の方向は、バイアス層117、117
により揃えられたフリー磁性層113の磁化の方向(図
示矢印D)と異なるので、フリー磁性層113が多磁区
化されてバルクハウゼンノイズが増加してしまうという
課題があった。
【0012】更に、バイアス層117、117は、バイ
アス下地層116、116を介して基板119上に積層
されているために、反強磁性層116のX1方向両側に
隣接することになり、そのためフリー磁性層113にバ
イアス磁界を十分に印加することができず、フリー磁性
層113の磁区制御を良好に行うことが困難となって、
スピンバルブ型薄膜磁気素子9の安定性が低くなるとい
う課題があった。
【0013】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、フリー磁性層に印加されるバイアス磁界
の減少が起こりにくく、また、フリー磁性層が多磁区化
されることがなく、フリー磁性層の磁区制御を良好に行
うことができる安定性に優れたスピンバルブ型薄膜磁気
素子を提供することを目的する。また、このスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の製造方法を提供することを目的とす
る。さらに、このスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた
薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のスピン
バルブ型薄膜磁気素子は、基板と、該基板に積層された
一方の反強磁性層と、フリー磁性層と前記フリー磁性層
の厚さ方向両側に各々非磁性導電層と固定磁性層とが積
層されてなり、前記一方の反強磁性層上に形成された断
面視略台形状の積層体と、前記一方の反強磁性層上に設
けられ、前記積層体の両側に位置して前記フリー磁性層
の磁化方向を一方向に揃える一対のバイアス層と、前記
積層体及び前記バイアス層上に設けられる強磁性薄膜
と、前記強磁性薄膜上に前記積層体及び前記バイアス層
を覆う他方の反強磁性層と、前記フリー磁性層に検出電
流を与える一対の導電層とを具備してなり、前記一対の
バイアス層が、前記基板を基準として前記積層体と同じ
階層に位置して設けられるとともに、その上面が前記積
層体の上面と略同一面を構成するように形成され、前記
他方の反強磁性層が、前記一対のバイアス層の少なくと
も一部に積層されるとともに前記強磁性薄膜に接してい
ることを特徴とする。また本発明のスピンバルブ型薄膜
磁気素子は、基板と、該基板に積層された一方の反強磁
性層と、フリー磁性層と前記フリー磁性層の厚さ方向両
側に各々非磁性導電層と固定磁性層とが積層され、更に
前記フリー磁性層よりも前記基板から離れて位置する固
定磁性層上に反強磁性薄膜が積層されてなり、前記一方
の反強磁性層上に形成された断面視略台形状の積層体
と、前記一方の反強磁性層上に設けられ、前記積層体の
両側に位置して前記フリー磁性層の磁化方向を一方向に
揃える一対のバイアス層と、前記積層体及び前記バイア
ス層を覆う他方の反強磁性層と、前記フリー磁性層に検
出電流を与える一対の導電層とを具備してなり、前記一
対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積層体と
同じ階層に位置して設けられるとともに、その上面が前
記積層体の上面と略同一面を構成するように形成され、
前記他方の反強磁性層が、前記一対のバイアス層の少な
くとも一部に積層されるとともに前記積層体の前記反強
磁性薄膜に接していることを特徴とする。また、前記バ
イアス層は、その厚さ方向両側の面が前記積層体の厚さ
方向両側の面と略同一面を構成するように形成されてい
ることが好ましい。更に、前記他方の反強磁性層が、前
記バイアス層全体及び前記積層体に積層されていること
が好ましい。更にまた、前記反強磁性層が、前記積層体
の上面に接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ
前記一対のバイアス層の一部に積層されていても良い。
【0015】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子におい
ては、バイアス層が、前記積層体と同じ階層に位置する
と共にその厚さ方向両側の面が前記積層体の厚さ方向両
側の面と略同一面を形成するように構成され、また他方
の反強磁性層が前記バイアス層と前記積層体とを覆って
積層されているので、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素
子のように、バイアス層の断面形状が突出して尖ったも
のとはならず、バイアス層からの漏れ磁界によってフリ
ー磁性層が多磁区化されることがなく、フリー磁性層の
バルクハウゼンノイズを低減することが可能になる。な
お、ここで、「バイアス層が前記積層体と同じ階層に位
置し、」とは、バイアス層及び積層体が、基板を基準と
してほぼ同じ階層に積層されていることを意味し、ま
た、バイアス層の厚さが積層体の厚さより薄い場合も含
まれる。
【0016】また、反強磁性薄膜と他方の反強磁性層を
構成する材料は、同一の組成からなるものであることが
好ましい。
【0017】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子におい
ては、積層体に反強磁性薄膜が積層されるのでこれらの
界面に不純物が混入することがなく、この反強磁性薄膜
と他方の反強磁性層とが一体化すれば、積層体の固定磁
性層と反強磁性薄膜との界面にて大きな交換結合磁界が
容易に発現して固定磁性層の磁化方向を所定の方向に強
固に固定することが可能になる。
【0018】
【0019】また上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子に
おいては、強磁性薄膜と他方の反強磁性層とが同時に積
層されるのでこれらの界面に不純物が混入することがな
く、またこの強磁性薄膜は積層体の固定磁性層と接して
いるので、他方の反強磁性層と強磁性薄膜との間で交換
結合磁界が容易に発現し、この交換結合磁界が強磁性薄
膜を介して固定磁性層に印加されて、固定磁性層の磁化
方向を所定の方向に固定することが可能になる。
【0020】前記一方及び前記他方の反強磁性層は、X
−Mn(ただし、Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、R
h、Osのうちから選択される1種の元素を示す。)の
式で示される合金からなり、Xが37原子%以上63原
子%以下の範囲であることが好ましい。また、前記一方
及び前記他方の反強磁性層は、X’−Pt−Mn(ただ
し、X’は、Pd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、O
s、Au、Agのうちから選択される1種または2種以
上の元素を示す。)の式で示される合金からなり、X’
とPtの合計量が37原子%以上63原子%以下の範囲
であっても良い。更に、前記反強磁性薄膜は、X−Mn
(ただし、Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、Rh、Os
のうちから選択される1種の元素を示す。)の式で示さ
れる合金からなり、Xが37原子%以上63原子%以下
の範囲であることが好ましい。更に、前記反強磁性薄膜
は、X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Cr、
Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Agのうちから
選択される1種または2種以上の元素を示す。)の式で
示される合金からなり、X’とPtの合計量が37原子
%以上63原子%以下の範囲であっても良い。
【0021】反強磁性層及び反強磁性薄膜に、X−Mn
の式で示される合金またはX’−Pt−Mnの式で示さ
れる合金を用いたスピンバルブ型薄膜磁気素子とするこ
とで、反強磁性層に従来から使用されているNiO合
金、FeMn合金、NiMn合金などを用いたものと比
較して、交換結合磁界が大きく、またブロッキング温度
が高く、さらに耐食性に優れているなどの優れた特性を
有するスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることが可能に
なる。
【0022】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、前記他
方の反強磁性層は、前記バイアス層全体及び前記積層体
に積層され、前記一対の導電層は、互いに離間して前記
他方の反強磁性層上に積層されてなることを特徴とす
る。この導電層は、積層体と重ならない位置に積層され
ることが好ましい。一対の導電層が、積層体に重ならな
い位置にて互いに離間されて形成されれば、検出電流を
確実に積層体に含まれる非磁性導電層に印加することが
可能になる。
【0023】また、前記他方の反強磁性層は、前記積層
体の上面に接して前記積層体よりも幅広に形成され、か
つ前記一対のバイアス層の一部に積層され、前記一対の
導電層は、前記他方の反強磁性層の両側に隣接し、かつ
前記バイアス層に積層されていてもよい。この場合の他
方の反強磁性層は、断面視略台形状とされ、その両側に
は基板から離れる方向に向けて接近する傾斜側面が設け
られていることが好ましく、導電層は、この傾斜側面と
接するように構成されることが好ましい。導電層は他方
の反強磁性層に接すると共にバイアス層に積層され、ま
たバイアス層は非磁性導電層を含む積層体と隣接してい
るので、導電層からの検出電流を、比抵抗の大きい他方
の反強磁性層を介すことなく非磁性導電層に与えること
が可能となり、外部磁界による磁気抵抗の変化量を大き
くしてスピンバルブ型薄膜磁気素子の検出感度を高くす
ることが可能になる。
【0024】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、
前記バイアス層と前記導電層との間および/または前記
バイアス層と前記他方の反強磁性層との間に、Taまた
はCrからなる中間層が設けられたことを特徴とする。
Ta、Crのような非磁性体からなる中間層を設けるこ
とにより、バイアス層と他方の反強磁性層との間で磁気
結合が発生することなく、フリー磁性層の単磁区化に必
要なバイアス磁界を増大させることができる。また、後
工程であるインダクティブヘッドの製造工程での熱処理
(UVキュア)により起きる導電層とバイアス層の間で
の熱拡散を防止して、バイアス層の磁気特性の劣化を防
止することができる。
【0025】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子であり、
前記バイアス層と前記積層体との間および前記バイアス
層と前記基板との間に、Crからなるバイアス下地層が
設けられたことを特徴とする。体心立方構造(bcc構
造)であるCrからなるバイアス下地層を設けることに
より、前記バイアス層がバイアス下地層上でエピタキシ
ャル成長して、バイアス層の磁化容易軸を所定の方向に
揃えることが可能になって、バイアス層の保磁力および
角形比が大きくなり、フリー磁性層の単磁区化に必要な
バイアス磁界を増大させることができる。
【0026】また、前記フリー磁性層は、非磁性中間層
と、前記非磁性中間層を挟む第1フリー磁性層及び第2
フリー磁性層とからなり、前記第1フリー磁性層と前記
第2フリー磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前
記第1フリー磁性層の磁化方向と前記第2フリー磁性層
の磁化方向が互いに反平行とされているものであっても
良い。このとき、第1、第2フリー磁性層の厚さは、僅
かに異なる厚さとすることが好ましい。更に、前記固定
磁性層は、別の非磁性中間層と、前記別の非磁性中間層
を挟む第1固定磁性層及び第2固定磁性層とからなり、
前記第1固定磁性層と前記第2固定磁性層が互いに反強
磁性的に結合されて、前記第1固定磁性層の磁化方向と
前記第2固定磁性層の磁化方向が互いに反平行とされて
いるものであっても良い。このとき、第1、第2固定磁
性層の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好まし
い。
【0027】フリー磁性層が、非磁性中間層を介して反
強磁性的に結合された第1、第2フリー磁性層からなる
場合、第1、第2フリー磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となる。この時例え
ば、第2フリー磁性層の厚さを、第1フリー磁性層より
も僅かに大とすると、第2フリー磁性層の磁化方向がバ
イアス層の磁化によって一定方向に揃えられ、第1フリ
ー磁性層の磁化方向が第2フリー磁性層の磁化方向の反
対方向とされる。従って、第1、第2フリー磁性層の磁
気モーメントが相互に打ち消し合うことになるが、第2
フリー磁性層の厚さが第1フリー磁性層より大とされて
いるので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性
層の磁化となり、この磁化が小さくなるので、外部磁界
の変化によってフリー磁性層の磁化方向が感度よく変動
するものとなる。
【0028】また、固定磁性層が、非磁性中間層を介し
て反強磁性的に結合された第1、第2固定磁性層からな
る場合、第1、第2固定磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となる。このとき、
第1、第2固定磁性層の厚さを僅かに異ならしめると、
第1、第2固定磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消
し合っても、固定磁性層の自発磁化が僅かに残り、この
自発磁化が反強磁性層との交換結合磁界によって更に増
幅され、固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが
可能になる。
【0029】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、スライ
ダに、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子が備えられてなることを特徴
とする。
【0030】次に本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造方法は、基板に一方の反強磁性層を積層し、該一
方の反強磁性層に、一方の固定磁性層と一方の非磁性導
電層とフリー磁性層と他方の非磁性導電層と他方の固定
磁性層と反強磁性薄膜とを順次積層して積層前駆体を形
成し、前記反強磁性薄膜上に第1リフトオフレジストを
形成し、前記第1リフトオフレジストに覆われていない
前記積層前駆体を除去して前記一方の反強磁性層を露出
させて断面視略台形状の積層体を形成し、露出した前記
一方の反強磁性層上であって前記基板を基準として前記
積層体と同じ階層にバイアス層を積層して、該バイアス
層の上面を前記積層体の上面とほぼ同一面とし、前記第
1リフトオフレジストを除去し、前記バイアス層及び
反強磁性薄膜の上に他方の反強磁性層を積層し、前記
他方の反強磁性層に接する一対の導電層を形成すること
を特徴とする。
【0031】また、上記の製造法においては、他方の反
強磁性層を積層する前に、積層体(他方の固定磁性層)
の上面をイオンミリングまたは逆スパッタ等の手段によ
りエッチングすることが好ましい。即ち、他方の反強磁
性層を積層する前に反強磁性薄膜の上面をスパッタ等の
手段によりエッチングすることが好ましい。 このとき、
反強磁性薄膜と他方の反強磁性層の材質は、同一のもの
であることが好ましい。
【0032】上記の製造方法においては、積層体の両側
にバイアス層を設ける際に、バイアス層の上面が積層体
の上面とほぼ同じ位置になるようにバイアス層を積層
し、この上に他方の反強磁性層を積層するので、従来の
ようにバイアス層の断面形状が突出して尖ったものとは
ならず、バイアス層からの漏れ磁界によってフリー磁性
層が多磁区化されることがなく、フリー磁性層が単磁区
化されたスピンバルブ型薄膜磁気素子を製造することが
可能になる
【0033】
【0034】また、上記の製造方法においては、他方の
固定磁性層に反強磁性薄膜を積層するためにこれらの界
面には酸素等の不純物が混入せず、また反強磁性薄膜に
他方の反強磁性層を積層してこれらを一体化することに
よって反強磁性薄膜が実質的に他方の反強磁性層に含ま
れることになるので、他方の固定磁性層と反強磁性薄膜
との界面にて交換結合磁界が発現し、この交換結合磁界
により磁化方向が強固に固定された固定磁性層を備えた
スピンバルブ型薄膜磁気素子を製造することができる。
また、他方の反強磁性層の積層前に積層体(反強磁性薄
膜)の上面をエッチングすることにより、酸素などの不
純物が除去され、他方の反強磁性層の交換結合磁界の劣
化が防止される。
【0035】次に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、基板に一方の反強磁性層を積層し、該
一方の反強磁性層に、一方の固定磁性層と一方の非磁性
導電層とフリー磁性層と他方の非磁性導電層と他方の固
定磁性層とを順次積層して積層前駆体を形成し、前記積
層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、前記第
1リフトオフレジストに覆われていない前記積層前駆体
を除去して前記一方の反強磁性層を露出させて断面視略
台形状の積層体を形成し、露出した前記一方の反強磁性
層上であって前記基板を基準として前記積層体と同じ階
層にバイアス層を積層して、該バイアス層の上面を前記
積層体の上面とほぼ同一面とし、前記第1リフトオフレ
ジストを除去した後に、前記積層体及び前記バイアス層
上に強磁性薄膜を積層し、該強磁性薄膜の上に他方の反
強磁性層を積層し、前記他方の反強磁性層に接する一対
の導電層を形成することを特徴とする。このとき、積層
体の上面を構成する他方の固定磁性層と強磁性薄膜の材
質は、同一であることが好ましい。またこの場合にも、
強磁性薄膜を積層する前に、積層体(他方の固定磁性
層)の上面をイオンミリングまたは逆スパッタ等の手段
によりエッチングすることが好ましい。
【0036】上記の製造方法においては、強磁性薄膜に
他方の反強磁性層を積層するためにこれらの界面には酸
素等の不純物が混入せず、強磁性薄膜と他方の反強磁性
層との界面にて交換結合磁界が発現しやすくなり、また
この強磁性薄膜が他方の固定磁性層上に積層されてこれ
らが一体化して強磁性薄膜が実質的に他方の固定磁性層
に含まれることになるので、発現した交換結合磁界が他
方の固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが可能
になる。また、強磁性薄膜の積層前に、積層体(他方の
固定磁性層)の上面をエッチングすることにより、酸素
などの不純物が除去されて他方の固定磁性層と強磁性薄
膜とを実質的に一体化し、固定磁性層の磁化方向を強固
に固定することが可能になる。
【0037】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記他方の反強磁性層上に第2
リフトオフレジストを形成し、前記第2リフトオフレジ
ストに覆われていない前記他方の反強磁性層に前記一対
の導電層を積層し、前記第2リフトオフレジストを除去
することを特徴とする。ここで第2リフトオフレジスト
は、積層体と重なるように形成することが好ましい。
【0038】上記の製造方法においては、導電層を積層
した後に第2リフトオフレジストを除去するので、導電
層を、第2リフトオフレジストが形成されなかった部分
のみに積層することができる。特に、第2リフトオフレ
ジストを積層体と重なる位置に形成すれば、導電層を積
層体の両側に位置するように形成することが可能とな
る。
【0039】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法は、先に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法であって、前記反強磁性層上に第3リフト
オフレジストを形成し、前記第3リフトオフレジストに
覆われていない前記他方の反強磁性層を除去し、残存し
た前記他方の反強磁性層の両側に前記一対の導電層を積
層し、前記第3リフトオフレジストを除去することを特
徴とする。ここで第3リフトオフレジストは、積層体と
重なるように形成することが好ましい。
【0040】上記の製造方法においては、第3リフトオ
フレジストを用いて他方の反強磁性層の一部を除去して
バイアス層を露出させ、ここに導電層を積層するので、
導電層を他方の反強磁性層の両側に隣接させ、しかもバ
イアス層上に積層することが可能となり、導電層からの
検出電流を、比抵抗が大きい他方の反強磁性層を介さず
に非磁性導電層に与えることができ、外部磁界による磁
気抵抗の変化量が大きくなって検出感度が高いスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を製造することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。 (第1の実施形態)図1及び図2に本発明の第1の実施
形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を示
し、図3及び図4に本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子を備えた薄膜磁気ヘッドを示す。
【0042】図3に示す薄膜磁気ヘッド150は、スラ
イダ151と、スライダ151の端面151dに備えら
れたGMRヘッドh1及びインダクティブヘッドh2を
主体として構成されている。符号155は、スライダ1
51の磁気記録媒体の移動方向の上流側であるリーディ
ング側を示し、符号156は、トレーリング側を示す。
このスライダ151の媒体対向面152には、レール1
51a、151a、151bが形成され、各レール同士
間は、エアーグルーブ151c、151cとされてい
る。
【0043】図4に示すように、GMRヘッドh1は、
スライダ151の端面151d上に形成された磁性合金
からなる下部シールド層163と、下部シールド層16
3に積層された下部ギャップ層164と、媒体対向面1
52から露出する本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
1と、スピンバルブ型薄膜磁気素子1及び下部ギャップ
層164を覆う上部ギャップ層166と、上部ギャップ
層166を覆う上部シールド層167とから構成されて
いる。上部シールド層167は、インダクティブヘッド
h2の下部コア層と兼用とされている。
【0044】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
(上部シールド層)167と、下部コア層167に積層
されたギャップ層174と、コイル176と、コイル1
76を覆う上部絶縁層177と、ギャップ層174に接
合され、かつコイル176側にて下部コア層167に接
合される上部コア層178とから構成されている。コイ
ル176は、平面的に螺旋状となるようにパターン化さ
れている。また、コイル176のほぼ中央部分にて上部
コア層178の基端部178bが下部コア層167に磁
気的に接続されている。また、上部コア層178には、
アルミナなどからなる保護層179が積層されている。
【0045】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子1
は、フリー磁性層の厚さ方向両側に、非磁性導電層、固
定磁性層及び反強磁性層が1層づつ積層された、いわゆ
るデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子である。図1に
示すスピンバルブ型薄膜磁気素子1において、符号50
は、基板19上に積層されたTa(タンタル)等からな
る下地層を示している。この下地層50の上には反強磁
性層60(一方の反強磁性層)が積層されている。ま
た、この反強磁性層60には、積層体10が形成されて
いる。積層体10は、固定磁性層11、非磁性導電層1
2、フリー磁性層13、非磁性導電層14、固定磁性層
15が順次積層されてなるものであり、この積層体10
は断面視略台形状とされ、積層体10の図示X1方向
(トラック幅方向)両側は2つの傾斜側面10a、10
aとされている。傾斜側面10a、10aは、基板19
から離れる方向、即ち図示Z方向に向けて互いに接近す
るように傾斜している。なお、図1及び図2において、
図示Z方向は磁気記録媒体の移動方向を示し、図示Y方
向は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向を示す。
【0046】積層体10の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体10と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17bが積層体10の上面10
bと同一面を形成し、その下面17cが積層体10の下
面10cと同一面を形成している。また、バイアス層1
7、17の一部が積層体10の傾斜側面10a、10a
に乗り上げている。また、積層体10及びバイアス層1
7、17の上には、反強磁性層61(他方の反強磁性
層)が積層されている。反強磁性層61は、固定磁性層
15と接して積層されている。
【0047】なお、ここで、「バイアス層17、17が
積層体10と同じ階層に位置し、」とは、バイアス層1
7、17及び積層体10が、基板19を基準としてZ方
向に対してほぼ同じ階層に積層されていることを意味
し、また、バイアス層の厚さが積層体の厚さより薄い場
合も含まれる。
【0048】尚、図1においては、バイアス層17、1
7の上面17b、17bが積層体10の上面10bより
も基板19側に位置し、バイアス層17、17の下面1
7c、17cが積層体10の下面10cよりも基板19
から離れて位置しているように見えるが、これはバイア
ス層17、17の上下に積層されたバイアス下地層1
6、16及び中間層18、18を図示しているためであ
り、実際のバイアス下地層16、16及び中間層18、
18の厚さはバイアス層17、17の厚さの5分の1程
度であってその厚さが極めて薄く、積層体10及びバイ
アス層17、17の上面10b、17b、17b及び下
面10c、17c、17cによりそれぞれ略同一平面が
構成される。従って反強磁性層61は、中間層18、1
8を介して上述の略同一平面上に積層されることにな
る。よって、図1に示すバイアス層17、17は、その
一部が積層体10の傾斜側面10a、10aに乗り上げ
ているものの、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のよ
うに、図示Z方向に向けて突出した形状にはならない。
【0049】従って、図2に示すように、一方のバイア
ス層17(図中右側のバイアス層)からの磁束(矢印
E)が、フリー磁性層13を通過して他方のバイアス層
17(図示左側のバイアス層)に入り(矢印F)、これ
らのバイアス層17、17のバイアス磁界によってフリ
ー磁性層13の磁化方向が図示X1方向に揃えられ(矢
印G)、フリー磁性層13が単磁区化される。バイアス
層17、17の傾斜側面10aに乗り上げている部分
は、突出した形状ではないので、バイアス層17、17
の反磁界がフリー磁性層13に印加することがなく、フ
リー磁性層13が多磁区化されることがない。
【0050】反強磁性層60、61は、PtMn合金で
形成されていることが好ましい。PtMn合金は、従来
から反強磁性層として使用されているNiMn合金やF
eMn合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキ
ング温度が高く、交換結合磁界も大きい。また、PtM
n合金に代えて、X−Mn(ただし、Xは、Pd、R
u、Ir、Rh、Osのうちから選択される1種の元素
を示す。)の式で示される合金あるいはX’−Pt−M
n(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、
Au、Agのうちから選択される1種または2種以上の
元素を示す。)の式で示される合金で形成されていても
よい。
【0051】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。反強磁性層60、61として、上記した適正な組
成範囲の合金を使用し、これをアニール処理すること
で、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層60、6
1を得ることができる。とくに、PtMn合金であれ
ば、800(Oe)を越える交換結合磁界を有し、交換
結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高
い優れた反強磁性層60、61を得ることができる。
【0052】反強磁性層60、61は固定磁性層11、
15にそれぞれ接しているので、反強磁性層60、61
と固定磁性層11、15とのそれぞれの界面にて交換結
合磁界(交換異方性磁界)が発現し、固定磁性層11、
15の磁化方向が図示Y方向に固定される。従って、フ
リー磁性層13の磁化方向と固定磁性層11、15の磁
化方向は、交差する関係となる。
【0053】固定磁性層11、15は、強磁性体の薄膜
からなり、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe
合金、CoFe合金、CoNi合金などで形成されるこ
とが好ましい。また、非磁性導電層12、14は、C
u、Cr、Au、Agなどに代表される非磁性体からな
ることが好ましい。フリー磁性層13は、固定磁性層1
1、15と同様の材質で形成されることが好ましい。
尚、図1においてはフリー磁性13は単一層とされてい
るが、Co膜、NiFe合金膜を積層してなる多層構造
であっても良い。非磁性導電層12、14を固定磁性層
11、15とフリー磁性層13とで挟む構造の巨大磁気
抵抗効果発生機構にあっては、固定磁性層11、15と
フリー磁性層13を同種の材質で構成する方が、異種の
材質で構成するよりも、伝導電子のスピン依存散乱以外
の因子が生じる可能性が低く、より高い磁気抵抗効果を
得ることが可能である。また、バイアス層17、17
は、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金等からなる
ことが好ましい。
【0054】反強磁性層61には、例えばTaなどから
なる保護層51が積層され、保護層51には、Cr、T
a、Au、Cuなどからなる一対の導電層70、70が
積層されている。導電層70、70は、積層体10と重
ならない位置に配置されて互いに離間して積層されるこ
とが好ましい。このように一対の導電層70、70が積
層体10の両側に位置するように積層されれば、検出電
流を確実に積層体10に含まれる非磁性導電層12、1
4に印加することが可能になる。
【0055】また、バイアス層17、17と基板19と
の間、及び、バイアス層17、17と積層体10との間
には、例えば非磁性金属であるCrからなるバイアス下
地層16が設けられている。体心立方構造(bcc構
造)であるCrからなるバイアス下地層16を設けるこ
とにより、バイアス層17、17がバイアス下地層16
上でエピタキシャル成長してバイアス層17、17の磁
化容易軸を所定の方向に揃えることが可能になり、これ
によりバイアス層17、17の保磁力及び角形比が大き
くなり、フリー磁性層13を単磁区化するためのバイア
ス磁界を増大させることができる。
【0056】更に、バイアス層17、17と反強磁性層
61との間には、例えば非磁性金属であるTa若しくは
Crからなる中間層18が設けられている。中間層18
を設けることにより、バイアス層17、17と反強磁性
層61との間で磁気結合が生じることがなく、フリー磁
性層13を単磁区化するためのバイアス磁界を増大させ
ることができる。
【0057】このスピンバルブ型薄膜磁気素子1では、
ハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界によって
フリー磁性層13の磁化方向が変動すると、図示Y方向
に固定された固定磁性層11、15の磁化との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0058】次に、上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子
1の製造方法を図12〜図19を参照して説明する。ま
ず、図12に示すように、基板19上に下地層50、反
強磁性層60(一方の反強磁性層)及び積層前駆体10
dを順次積層する。積層前駆体10dは、固定磁性層1
1、非磁性導電層12、フリー磁性層13、非磁性導電
層14、固定磁性層15を順に積層してなるものであ
る。次に図13に示すように、積層前駆体10d上に第
1リフトオフレジスト80を形成する。第1リフトオフ
レジスト80は、PEB(Post Expose Bake)法などの
手段により形成することが好ましい。次に図14に示す
ように、第1リフトオフレジスト80に覆われていない
部分を、イオンミリング法(物理的イオンビームエッチ
ング法)により除去して反強磁性層60を露出させて、
傾斜側面10a、10aを具備する断面視略台形状の積
層体10を形成する。
【0059】次に、図15に示すように、バイアス下地
層16、バイアス層17及び中間層18を、先の工程で
露出させた反強磁性層60と傾斜側面10a、10aと
第1リフトオフレジスト80とに順次積層する。ここ
で、第1リフトオフレジスト80の周囲には、バイアス
下地層16、バイアス層17及び中間層18の各層の構
成材料の付着層80aが付着する。バイアス層17は、
その一部が傾斜側面10aに乗り上げると共に、その上
面17bが積層体10の上面10bとほぼ同じ位置にな
るように形成することが好ましい。また、これらの各層
16、17、18は、スパッタリング法にて積層するこ
とが好ましい。
【0060】次に、第1リフトオフレジスト80を除去
可能なエッチング液に全体を侵漬して第1リフトオフレ
ジスト80と積層体10とが接合されている境界部分に
エッチング液を侵入させて第1リフトオフレジスト80
と積層体10とを分離させて、図16示すように、第1
リフトオフレジスト80を除去する。次に、図17に示
すように、積層体10及び中間層18、18の上に、反
強磁性層61(他方の反強磁性層)及び保護層51を順
次積層する。尚、反強磁性層61を積層する前に、少な
くとも積層体10の上面10bをイオンミリングまたは
逆スパッタ等の手段によりエッチングする必要がある。
これは、先の第1リフトオフレジスト80の除去工程を
スパッタリング装置等の外部にてエッチング処理にて行
うために、基板19等が一時的に大気圧雰囲気に曝さ
れ、このとき雰囲気中の酸素等の不純物により積層体1
0(固定磁性層15)の上面10bが汚染される。そし
て、この汚染された固定磁性層15の上面に反強磁性層
61を積層しても、これらの層の界面では交換結合磁界
が発現し得ないので、反強磁性層61を積層する前に積
層体10(固定磁性層15)の上面10bをエッチング
して不純物を除去する必要があるからである。
【0061】次に、図18に示すように、保護層51上
に第2リフトオフレジスト81を形成し、続いて保護層
51及び第2リフトオフレジスト81に導電層70を積
層する。ここで、第2リフトオフレジスト81の周囲に
は、導電層70の構成材料の付着層81aが付着する。
第2リフトオフレジスト81は、積層体10と重なる位
置に形成することが、積層体10の両側に導電層70を
位置させることができる点で好ましい。そして図19に
示すように、第2リフトオフレジスト81を除去して、
図1に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子1が得られる。
【0062】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子1にお
いては、バイアス層17、17が、積層体10と同じ階
層に位置してその上面17bと積層体10の上面10b
とがほぼ同じ位置とされ、また反強磁性層61がこのバ
イアス層17、17と積層体10を覆って積層されてい
るので、バイアス層17、17の傾斜側面10a、10
aに乗り上げている部分がその他の部分より図示Z方向
に突出することがなく、バイアス層17、17の反磁界
がフリー磁性層13を多磁区化することがなく、バルク
ハウゼンノイズの発生が抑制されてスピンバルブ型薄膜
磁気素子1の感度を高くすることができる。
【0063】また、反強磁性層60、61は、PtMn
合金またはX−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、I
r、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示
す。)の式で示される合金あるいはX’−Pt−Mn
(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、A
u、Agのうちから選択される1種または2種以上の元
素を示す。)の式で示される合金で形成されているの
で、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層60、6
1を得ることができ、特にPtMn合金であれば、80
0(Oe)を越える交換結合磁界を有し、交換結合磁界
を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた
反強磁性層60、61を得ることができる。
【0064】また、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
の製造方法においては、バイアス層17、17を、その
上面17b、17bが積層体10の上面10bとほぼ同
じ位置になるように形成するので、バイアス層17、1
7の傾斜側面10a、10aに乗り上げた部分がその他
の部分より突出することがなく、バイアス層17、17
からの反磁界がフリー磁性層13に印加されることな
く、フリー磁性層13が単磁区化されたスピンバルブ型
薄膜磁気素子1を製造することができる。
【0065】また、第2リフトオフレジスト81を積層
体10と重ならない位置に形成し、続いて導電層70を
積層した後に、第2リフトオフレジスト81を除去する
ので、導電層70を積層体10の両側に位置するように
形成することができる。
【0066】(第2の実施形態)図5に本発明の第2の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図5において、前述した図1に示した構
成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成
要素については簡略に説明するか若しくはその説明を省
略する。
【0067】図5に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子2
においては、基板19に下地層50と反強磁性層60が
積層されると共に、反強磁性層60上に積層体90が形
成されている。積層体90は、固定磁性層24、非磁性
導電層25、フリー磁性層13、非磁性導電層30、固
定磁性層34が順次積層されてなるものであり、この積
層体90は断面視略台形状とされ、積層体90の図示X
1方向両側は2つの傾斜側面90a、90aとされてい
る。傾斜側面90a、90aは、基板19から離れる方
向、即ち図示Z方向に向けて互いに接近するように傾斜
している。なお、図5において、図示Z方向は磁気記録
媒体の移動方向を示し、図示Y方向は磁気記録媒体から
の洩れ磁界の方向を示す。
【0068】一方の固定磁性層24は、非磁性中間層2
2と、非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び
第2固定磁性層23とからなる。第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図5においては、第2固定磁性層23の膜厚が
第1固定磁性層21より大とされている。また、第1固
定磁性層21は反強磁性層60に接している。
【0069】第1固定磁性層21の磁化方向は、反強磁
性層60との交換結合磁界により図示Y方向の反対方向
に固定され、第2固定磁性層23は、第1固定磁性層2
1と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向に
固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の磁
化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2固
定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し
合う関係にあるが、第2固定磁性層23の厚さが僅かに
大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに
残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層60との交
換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁
化方向が図示Y方向に固定される。
【0070】また、他方の固定磁性層34は、非磁性中
間層32と、非磁性中間層32を挟む第1固定磁性層3
1及び第2固定磁性層33とからなる。第1、第2固定
磁性層31、33の厚さは、僅かに異なる厚さとするこ
とが好ましく、図5においては、第2固定磁性層33の
膜厚が第1固定磁性層31より大とされている。また、
第2固定磁性層33は反強磁性層61に接している。
【0071】第2固定磁性層33の磁化方向は、反強磁
性層61との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層31は、第2固定磁性層33と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層31、33の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層31、33の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第2固定磁性層33の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層34自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層61との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層34の
磁化方向が図示Y方向に固定される。
【0072】積層体90の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体90と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17bが積層体90の上面90
bと同一面を形成し、その下面17cが積層体90の下
面90cと同一面を形成している。また、バイアス層1
7、17の一部が積層体90の傾斜側面90a、90a
に乗り上げている。また、積層体90及びバイアス層1
7、17の上には、反強磁性層61(他方の反強磁性
層)が積層されている。反強磁性層61は、固定磁性層
34と接して積層されている。
【0073】上記の第1固定磁性層21、31及び第2
固定磁性層23、33は、例えば、Co、NiFe合
金、CoFe合金、あるいはCoNiFe合金、CoN
i合金等からなることが好ましい。また、上記の非磁性
中間層22、32は、Ru、Rh、Os、Ir、Cr、
Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金からなる
ことが好ましい。また、非磁性導電層25、30は、図
1に示した非磁性導電層12、14と同様の材質からな
る。
【0074】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子2は、
反強磁性層60上に固定磁性層24と非磁性導電層25
とフリー磁性層13と非磁性導電層30と固定磁性層3
4とが積層されて積層前駆体が形成されること以外は、
前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様にして製
造される。
【0075】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子2にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子2においては、固定磁性層2
4、34が、非磁性中間層22、32と第1固定磁性層
21、31及び第2固定磁性層23、33とからそれぞ
れなり、第2固定磁性層23、33の磁化方向が図示Y
方向に固定され、第1固定磁性層21、31の磁化方向
が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第1、
第2固定磁性層21、31、23、33の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第2固定磁性層
23、33の厚さが僅かに大きく、固定磁性層24、3
4自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁
化が反強磁性層60、61との交換結合磁界によって更
に増幅され、固定磁性層24、34の磁化方向が図示Y
方向に強固に固定され、スピンバルブ型薄膜磁気素子2
の安定性を向上させることができる。
【0076】(第3の実施形態)図6に本発明の第3の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図6において、前述した図1に示した構
成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成
要素については簡略に説明するか若しくはその説明を省
略する。
【0077】図6に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子3
においては、基板19に下地層50と反強磁性層60が
積層されると共に、反強磁性層60上に積層体20が形
成されている。積層体20は、固定磁性層24、非磁性
導電層25、フリー磁性層29、非磁性導電層30、固
定磁性層34が順次積層されてなるものであり、この積
層体20は断面視略台形状とされ、積層体20の図示X
1方向両側は2つの傾斜側面20a、20aとされてい
る。傾斜側面20a、20aは、基板19から離れる方
向、即ち図示Z方向に向けて互いに接近するように傾斜
している。なお、図6において、図示Z方向は磁気記録
媒体の移動方向を示し、図示Y方向は磁気記録媒体から
の洩れ磁界の方向を示す。
【0078】一方の固定磁性層24は、非磁性中間層2
2と、非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び
第2固定磁性層23とからなる。第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図6においては、第2固定磁性層23の膜厚が
第1固定磁性層21より大とされている。また、第1固
定磁性層21は反強磁性層60に接している。
【0079】第1固定磁性層21の磁化方向は、反強磁
性層60との交換結合磁界により図示Y方向の反対方向
に固定され、第2固定磁性層23は、第1固定磁性層2
1と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向に
固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の磁
化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2固
定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し
合う関係にあるが、第2固定磁性層23の厚さが僅かに
大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに
残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層60との交
換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁
化方向が図示Y方向に固定される。
【0080】また、他方の固定磁性層34は、非磁性中
間層32と、非磁性中間層32を挟む第1固定磁性層3
1及び第2固定磁性層33とからなる。第1、第2固定
磁性層31、33の厚さは、僅かに異なる厚さとするこ
とが好ましく、図6においては、第2固定磁性層33の
膜厚が第1固定磁性層31より大とされている。また、
第2固定磁性層33は反強磁性層61に接している。
【0081】第2固定磁性層33の磁化方向は、反強磁
性層61との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層31は、第2固定磁性層33と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層31、33の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層31、33の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第2固定磁性層33の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層34自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層61との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層34の
磁化方向が図示Y方向に固定される。
【0082】フリー磁性層29は、非磁性中間層27
と、非磁性中間層27を挟む第1フリー磁性層26及び
第2フリー磁性層28とからなる。また、第1、第2フ
リー磁性層26、28の厚さは、僅かに異なる厚さとす
ることが好ましく、図6においては、第2フリー磁性層
28の膜厚が第1フリー磁性層26より大とされてい
る。
【0083】第1、第2フリー磁性層26、28は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第2フリー磁性層28の磁化方向
はハードバイアス層17、17のバイアス磁界によって
図示X1方向に揃えられ、第1フリー磁性層26は、第
2フリー磁性層28と反強磁的に結合してその磁化方向
が図示X1方向の反対方向に揃えられる。第1、第2フ
リー磁性層26、28の磁化方向が互いに反平行とされ
ているので、第1、第2フリー磁性層の磁気モーメント
が相互に打ち消し合う関係にあるが、第2フリー磁性層
28の厚さが第1フリー磁性層26より大とされている
ので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性層2
9全体の磁化となり、フリー磁性層29の磁化方向が図
示X1方向に揃えられ、またこの磁化の大きさが小さく
なるので、外部磁界の変化によってフリー磁性層29の
磁化方向が感度よく変動するものとなる。
【0084】積層体20の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体20と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17bが積層体20の上面20
bと同一面を形成し、その下面17cが積層体20の下
面20cと同一面を形成している。また、バイアス層1
7、17の一部が積層体20の傾斜側面20a、20a
に乗り上げている。また、積層体20及びバイアス層1
7、17の上には、反強磁性層61(他方の反強磁性
層)が積層されている。反強磁性層61は、固定磁性層
34と接して積層されている。
【0085】上記の第1固定磁性層21、31及び第2
固定磁性層23、33は、例えば、Co、NiFe合
金、CoFe合金、あるいはCoNiFe合金、CoN
i合金等からなることが好ましい。また、第1フリー磁
性層26及び第2フリー磁性層28についても、Co、
NiFe合金、CoFe合金、あるいはCoNiFe合
金、CoNi合金等からなることが好ましい。また、上
記の非磁性中間層22、27、32は、Ru、Rh、O
s、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以
上の合金からなることが好ましい。また、非磁性導電層
25、30は、図1に示した非磁性導電層12、14と
同様の材質からなる。
【0086】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子3は、
反強磁性層60上に固定磁性層24と非磁性導電層25
とフリー磁性層29と非磁性導電層30と固定磁性層3
4とが積層されて積層前駆体が形成されること以外は、
前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様にして製
造される。
【0087】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子3にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子3においては、固定磁性層2
4、34が、非磁性中間層22、32と第1固定磁性層
21、31及び第2固定磁性層23、33とからそれぞ
れなり、第2固定磁性層23、33の磁化方向が図示Y
方向に固定され、第1固定磁性層21、31の磁化方向
が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第1、
第2固定磁性層21、31、23、33の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第2固定磁性層
23、33の厚さが僅かに大きく、固定磁性層24、3
4自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁
化が反強磁性層60、61との交換結合磁界によって更
に増幅され、固定磁性層24、34の磁化方向が図示Y
方向に強固に固定され、スピンバルブ型薄膜磁気素子3
の安定性を向上させることができる。
【0088】また、第1、第2フリー磁性層26、28
が、反強磁性的に結合されてフェリ磁性状態となり、第
1、第2フリー磁性層26、28の磁気モーメントが相
互に打ち消し合うことになるが、第1フリー磁性層26
と第2フリー磁性層28の厚さの差分に相当する磁化が
フリー磁性層29全体の磁化となり、この磁化が小さく
なるので、フリー磁性層29の磁化方向を外部磁界の変
化に対して感度よく変動させることができ、スピンバル
ブ型薄膜磁気素子3の感度を向上させることができる。
【0089】(第4の実施形態)図7に本発明の第4の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示を示す。尚、図7において、前述した図1に示した構
成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成
要素については簡略に説明するか若しくはその説明を省
略する。
【0090】図7に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子4
においては、基板19に下地層50と反強磁性層60が
積層されると共に、反強磁性層60上に積層体40が形
成されている。積層体40は、固定磁性層41、非磁性
導電層42、フリー磁性層43、非磁性導電層44、固
定磁性層45及び反強磁性薄膜46が順次積層されてな
るものであり、この積層体40は断面視略台形状とさ
れ、積層体40の図示X1方向両側は2つの傾斜側面4
0a、40aとされている。傾斜側面40a、40a
は、基板19から離れる方向、即ち図示Z方向に向けて
互いに接近するように傾斜している。固定磁性層41は
反強磁性層60と接して積層されており、これらの層の
界面にて交換結合磁界が発現し、固定磁性層41の磁化
方向が図示Y方向に固定される。なお、図7において、
図示Z方向は磁気記録媒体の移動方向を示し、図示Y方
向は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向を示す。
【0091】積層体40の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体40と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17bが積層体40の上面40
bと同一面を形成し、その下面17cが積層体40の下
面40cと同一面を形成している。また、バイアス層1
7、17の一部が積層体40の傾斜側面40a、40a
に乗り上げている。また、積層体40及びバイアス層1
7、17の上には、反強磁性層61(他方の反強磁性
層)が積層されている。反強磁性層61は、反強磁性薄
膜46と接して積層されている。反強磁性薄膜46と反
強磁性層61は、同一の組成からなる合金からなること
が好ましい。
【0092】反強磁性層61が反強磁性薄膜46に接し
て積層されることにより、反強磁性層61と反強磁性薄
膜46とが一体化し、これら反強磁性層61と反強磁性
薄膜46とが同時にアニール処理されることによって反
強磁性薄膜46と固定磁性層45との界面にて交換結合
磁界が発現し、固定磁性層45の磁化方向が図示Y方向
に固定される。
【0093】上述のように、反強磁性薄膜46は、反強
磁性層61と同一組成の合金からなることが好ましく、
PtMn合金で形成されていることが好ましい。PtM
n合金は、従来から反強磁性層として使用されているN
iMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、
しかもブロッキング温度が高く、交換結合磁界も大き
い。また、PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、
Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択さ
れる1種の元素を示す。)の式で示される合金あるいは
X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、I
r、Rh、Os、Au、Agのうちから選択される1種
または2種以上の元素を示す。)の式で示される合金で
形成されていてもよい。
【0094】また、前記PtMn合金および前記X−M
nの式で示される合金において、PtあるいはXが37
〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好まし
くは、47〜57原子%の範囲である。さらにまた、
X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+
Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。
より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さら
に、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金として
は、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ま
しい。反強磁性薄膜46として、上記した適正な組成範
囲の合金を使用し、また反強磁性層61にも反強磁性薄
膜46と同一組成の合金を使用し、これらをアニール処
理することで、大きな交換結合磁界を発現させることが
できる。とくにPtMn合金であれば、800(Oe)
を越える交換結合磁界が発現し、交換結合磁界を失うブ
ロッキング温度を380℃と極めて高温にしてスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子4の熱安定性を高めることができ
る。
【0095】尚、固定磁性層41、45、フリー磁性層
43及び非磁性導電層42、44は、図1に示した固定
磁性層11、15、フリー磁性層13及び非磁性導電層
12、14と同等の材質からなる。
【0096】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子4の製
造方法は、先に説明したスピンバルブ型薄膜磁気素子1
の製造方法ほぼ同じであるが、積層前駆体を形成する際
に、固定磁性層と非磁性導電層とフリー磁性層と非磁性
導電層と固定磁性層に加えて、反強磁性薄膜をも積層す
る点が前述のスピンバルブ型薄膜磁気素子1の場合と異
なる。これ以降の製造工程は図13〜図19とほぼ同じ
であり、積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成
し、第1リフトオフレジストに覆われていない部分をイ
オンミリング法により除去して一方の反強磁性層を露出
させて積層体を形成する。次に、バイアス下地層、バイ
アス層及び中間層を、露出された一方の反強磁性層と傾
斜側面と第1リフトオフレジストとに順次積層し、第1
リフトオフレジストを除去する。
【0097】次に、積層体及び中間層に、他方の反強磁
性層及び保護層を積層する。尚、他方の反強磁性層を積
層する前に、積層体(反強磁性薄膜)の上面をスパッタ
リング等の手段によりエッチングする必要がある。これ
は、先の第1リフトオフレジストの除去工程をスパッタ
リング装置等の外部にて行うために、基板等が一時的に
大気圧雰囲気に曝され、このとき雰囲気中の酸素等の不
純物により積層体(反強磁性薄膜)の上面が汚染される
ため、この汚染された反強磁性薄膜の上に他方の反強磁
性層を積層しても、これら反強磁性薄膜と反強磁性層を
一体化させることができず、固定磁性層の磁化方向を固
定するに足りる十分な交換結合磁界を発現させることが
できなくなるので、積層体(反強磁性薄膜)の上面をエ
ッチングして不純物を除去する必要があるからである。
【0098】次に、第2リフトオフレジストを保護層上
に形成し、導電層を積層し、最後に第2リフトオフレジ
ストを除去することにより、図7に示すスピンバルブ型
薄膜磁気素子4が得られる。
【0099】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子4にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子4においては、固定磁性層45と反
強磁性薄膜46とが同時に積層されるので固定磁性層4
5と反強磁性薄膜46の界面に不純物等が混入すること
がなく、またこの反強磁性薄膜46と反強磁性層61と
が一体化すれば、固定磁性層45と反強磁性薄膜46a
との界面にて大きな交換結合磁界が容易に発現して固定
磁性層45の磁化方向を図示Y方向に強固に固定するこ
とができる。
【0100】また、上述の製造方法においては、固定磁
性層45と反強磁性薄膜46とを同時に形成するために
これらの界面には酸素等の不純物が混入せず、また反強
磁性薄膜46に反強磁性層61を積層してこれらを一体
化することにより、反強磁性薄膜46が実質的に反強磁
性層61に含まれることになり、固定磁性層45と反強
磁性薄膜46との界面にて交換結合磁界が発現しやすく
なり、固定磁性層45の磁化方向が強固に固定されたス
ピンバルブ型薄膜磁気素子4を製造することができる。
【0101】(第5の実施形態)図8に本発明の第5の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示す。尚、図8において、前述した図1に示した構成要
素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成要素
については簡略に説明するか若しくはその説明を省略す
る。
【0102】図8に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子5
においては、基板19に下地層50と反強磁性層60が
積層されると共に、反強磁性層60上に積層体10が形
成されている。
【0103】積層体10の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体10と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17bが積層体10の上面10
bと同一面を形成し、その下面17c、17cが積層体
10の下面10cと同一面を形成している。また、バイ
アス層17、17の一部が積層体10の傾斜側面10
a、10aに乗り上げている。
【0104】バイアス層17、17には中間層18、1
8が積層され、中間層18、18と積層体10の上面1
0bには強磁性薄膜47が積層されている。強磁性薄膜
47には反強磁性層61と保護層51が積層されてい
る。また、保護層51には、一対の導電層70、70が
積層されている。
【0105】反強磁性層61が強磁性薄膜47に接して
積層されることにより、強磁性薄膜47と反強磁性層6
1との界面にて交換結合磁界が発現する。この強磁性薄
膜47は固定磁性層15に積層されているので、強磁性
薄膜47と反強磁性層61との界面にて発現した交換結
合磁界が固定磁性層15に印加され、固定磁性層15の
磁化方向が図示Y方向に固定される。強磁性薄膜47
は、固定磁性層15と同一の材質からなることが好まし
く、例えば、強磁性体であるCo、NiFe合金、Co
NiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などからな
ることが好ましい。
【0106】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子5の製
造方法は、先に説明したスピンバルブ型薄膜磁気素子1
の製造方法ほぼ同じであるが、積層体とバイアス層の上
に強磁性薄膜を積層した後に他方の反強磁性層を積層す
る点が前述のスピンバルブ型薄膜磁気素子1の場合と異
なる。
【0107】上記以外の点は図13〜図19に示す製造
方法とほぼ同じであり、基板上に積層前駆体を形成し、
積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、第1
リフトオフレジストに覆われていない部分をイオンミリ
ング法により除去して一方の反強磁性層を露出させて積
層体を形成する。次に、露出させた反強磁性層と第1リ
フトオフレジストとに、バイアス下地層、バイアス層及
び中間層を順次積層し、第1リフトオフレジストを除去
する。
【0108】次に、積層体及び中間層に強磁性薄膜と他
方の反強磁性層と保護層を積層する。尚、強磁性薄膜を
積層する前に、積層体の上面をイオンミリングまたは逆
スパッタ等の手段によりエッチングする必要がある。こ
れは、先の第1リフトオフレジストの除去工程をスパッ
タリング装置等の外部にて行うために、基板等が一時的
に大気圧雰囲気に曝され、このとき雰囲気中の酸素等の
不純物により積層体(固定磁性層)の上面が汚染される
ので、積層体(固定磁性層)の上面をエッチングするこ
とにより不純物が除去されて固定磁性層と強磁性薄膜と
が実質的に一体化され、固定磁性層の磁化方向を強固に
固定することが可能になるからである。
【0109】次に、第2リフトオフレジストを保護層上
に形成し、導電層を積層し、最後に第2リフトオフレジ
ストを除去することにより、図8に示すスピンバルブ型
薄膜磁気素子5が得られる。
【0110】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子5にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子5においては、強磁性薄膜4
7と反強磁性層61とが同時に積層されるので強磁性薄
膜47と反強磁性層61の界面に不純物等が混入するこ
とがなく、更にこの強磁性薄膜47が固定磁性層15に
接しているので、反強磁性層61と強磁性薄膜47との
界面にて発現した交換結合磁界が固定磁性層15に印加
されて、固定磁性層15の磁化方向を図示Y方向に固定
することができる。
【0111】また、上述の製造方法においては、強磁性
薄膜47と反強磁性層61とを同時に積層するためにこ
れらの界面には酸素等の不純物が混入せず、強磁性薄膜
47と反強磁性層61との界面にて交換結合磁界が発現
しやすくなり、またこの強磁性薄膜47が固定磁性層1
5上に積層されてこれらが一体化して強磁性薄膜47が
実質的に固定磁性層15に含まれることになるので、固
定磁性層15の磁化方向が強固に固定されたスピンバル
ブ型薄膜磁気素子5を製造することができる。
【0112】(第6の実施形態)図9に本発明の第6の
実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図を
示す。尚、図9において、前述した図1に示した構成要
素と同一の構成要素には同一符号を付し、当該構成要素
については簡略に説明するか若しくはその説明を省略す
る。
【0113】図9に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子6
においては、基板19に下地層50と反強磁性層60が
積層されると共に、反強磁性層60上に積層体10が形
成されている。
【0114】積層体10の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16、16を介して反強磁
性層60上に設けられて積層体10と同じ階層に位置し
ている。また、その上面17b、17bが積層体10の
上面10bと同一面を形成し、その下面17c、17c
が積層体10の下面10cと同一面を形成している。ま
た、バイアス層17、17の一部が積層体10の傾斜側
面10a、10aに乗り上げている。
【0115】バイアス層17、17には中間層18、1
8が積層され、中間層18、18の一部及び積層体10
の上面10bには反強磁性層62が積層されている。反
強磁性層62は、積層体10と同様に断面視略台形状に
形成され、反強磁性層62の図示X1方向両側は2つの
傾斜側面62a、62aとされている。傾斜側面62
a、62aは、基板19から離れる方向、即ち図示Z方
向に向けて互いに接近するように傾斜している。反強磁
性層62は、その図示X1方向の長さが積層体10とほ
ぼ同じ長さとなるように形成されている。この反強磁性
層62は、図1における反強磁性層61と同様の材質か
らなるものである。反強磁性層62は、固定磁性層15
に接して積層され、これらの層62、15の界面におい
て交換結合磁界が発現し、この交換結合磁界により固定
磁性層15の磁化方向が図示Y方向に固定される。ま
た、反強磁性層62には、例えばTaからなる保護層5
2が積層されている。
【0116】反強磁性層62の図示X1方向両側には、
一対の導電層71、71が配置されている。この導電層
71、71は、中間層18、18を介してバイアス層1
7、17の上に積層されると共に、反強磁性層62の傾
斜側面62a、62aに接して形成されている。
【0117】次に、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
6の製造方法を図12〜図16及び図20〜図23を参
照して説明する。尚、ここでの図12〜図16の説明
は、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1の製造方法
における図12〜図16の説明と全く同一なので、ここ
では図20〜図23についてのみ説明する。
【0118】図20に示す工程の前工程は図16に示し
た通りであり、図20の説明を容易ならしめるために再
度図16を説明すると、図16は、積層体10の両側に
バイアス下地層16とバイアス層17と中間層18とを
順次積層して第1リフトオフレジスト80を除去した後
の状態を示している。続いて図20において、積層体1
0及び中間層18、18に、反強磁性層62及び保護層
52を積層する。尚、反強磁性層62を積層する前に、
積層体10の上面10bをイオンミリングまたは逆スパ
ッタ等の手段によりエッチングする必要がある。これ
は、先の第1リフトオフレジスト80の除去工程をスパ
ッタリング装置等の外部にて行うために、基板19等が
一時的に大気圧雰囲気に曝され、このとき雰囲気中の酸
素等の不純物により積層体10(固定磁性層15)の上
面10bが汚染されるため、この汚染された固定磁性層
15の上面に反強磁性層62を積層しても、これらの層
の界面では交換結合磁界が発現し得ないので、反強磁性
層62を積層する前に積層体10(固定磁性層15)の
上面10bをエッチングして不純物を除去する必要があ
るからである。
【0119】次に、図21に示すように、保護層52上
に第3リフトオフレジスト82を形成し、第3リフトオ
フレジスト82に覆われていない部分をイオンミリング
法(物理的イオンビームエッチング法)により除去して
中間層18、18を露出させて、反強磁性層62及び保
護層52を断面視略台形状に加工する。このとき、反強
磁性層62には傾斜側面62a、62aが形成される。
第3リフトオフレジスト82を積層体10と重なる位置
に形成することが、積層体10に接する部分の反強磁性
層62のみを残存させることができる点で好ましい。
【0120】次に、図22に示すように、中間層18、
18、傾斜側面62a、62a及び第3リフトオフレジ
スト82に導電層71を積層する。中間層18、18上
に積層された導電層71は、傾斜側面62a、62aと
接すると共にその上に乗り上げて積層される。第3リフ
トオフレジスト82には、導電層71の構成材料の付着
層82aが付着する。そして最後に、図23に示すよう
に、第3リフトオフレジスト82を除去して、図9に示
すスピンバルブ型薄膜磁気素子6が得られる。
【0121】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子6にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子1と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、スピンバ
ルブ型薄膜磁気素子6においては、導電層71、71
が、中間層18、18を介してバイアス層17、17上
に積層されると共に、反強磁性層62の傾斜側壁面62
a、62aに接しているので、導電層71、71とバイ
アス層17、17が中間層17、17を介して隣接する
ことになり、このバイアス層17、17は非磁性導電層
12、14を含む積層体10と隣接しているので、導電
層71、71からの検出電流を、比抵抗の大きい反強磁
性層62を介さずに非磁性導電層12、14に与えるこ
とが可能となり、外部磁界による磁気抵抗の変化量を大
きくしてスピンバルブ型薄膜磁気素子6の検出感度を高
くすることができる。また、バイアス層17、17と導
電層71、71との間に中間層18、18が設けられて
いるので、後工程であるインダクティブヘッドの製造工
程での熱処理(UVキュア)により起きる導電層71と
バイアス層17の間の熱拡散を防止して、バイアス層1
7の磁気特性の劣化を防止することができる。
【0122】また、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子
6の製造方法においては、積層体10と重なる部分の反
強磁性層62を残存させ、この反強磁性層62の両側に
隣接してしかもバイアス層17、17上に積層された導
電層71、71を形成するので、導電層71、71から
の検出電流を、比抵抗が大きい反強磁性層62を介さず
に非磁性導電層12、14に与えることができ、外部磁
界による磁気抵抗の変化量が大きくなって検出感度が高
いスピンバルブ型薄膜磁気素子6を製造することができ
る。
【0123】(第7の実施形態)図10に本発明の第7
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図
を示す。尚、図10において、前述した図1、図6及び
図9に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を
付し、当該構成要素については簡略に説明するか若しく
はその説明を省略する。
【0124】図10に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
7においては、基板19に下地層50と反強磁性層60
が積層されると共に、反強磁性層60上に積層体90が
形成されている。積層体90は、一方の固定磁性層2
4、非磁性導電層25、フリー磁性層13、非磁性導電
層30、他方の固定磁性層34が順次積層されてなるも
のであり、この積層体90は断面視略台形状とされ、積
層体90の図示X1方向両側は2つの傾斜側面90a、
90aとされている。傾斜側面90a、90aは、基板
19から離れる方向、即ち図示Z方向に向けて互いに接
近するように傾斜している。なお、図10において、図
示Z方向は磁気記録媒体の移動方向を示し、図示Y方向
は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向を示す。
【0125】一方の固定磁性層24は、非磁性中間層2
2と、非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び
第2固定磁性層23とからなる。第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図10においては、第2固定磁性層23の膜厚
が第1固定磁性層21より大とされている。また、第1
固定磁性層21は反強磁性層60に接している。
【0126】第1固定磁性層21の磁化方向は、反強磁
性層60との交換結合磁界により図示Y方向の反対方向
に固定され、第2固定磁性層23は、第1固定磁性層2
1と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向に
固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の磁
化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2固
定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し
合う関係にあるが、第2固定磁性層23の厚さが僅かに
大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに
残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層60との交
換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁
化方向が図示Y方向に固定される。
【0127】また、他方の固定磁性層34は、非磁性中
間層32と、非磁性中間層32を挟む第1固定磁性層3
1及び第2固定磁性層33とからなる。第1、第2固定
磁性層31、33の厚さは、僅かに異なる厚さとするこ
とが好ましく、図10においては、第2固定磁性層33
の膜厚が第1固定磁性層31より大とされている。ま
た、第2固定磁性層33は反強磁性層62に接してい
る。
【0128】第2固定磁性層33の磁化方向は、反強磁
性層62との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層31は、第2固定磁性層33と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層31、33の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層31、33の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第2固定磁性層33の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層34自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層62との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層34の
磁化方向が図示Y方向に固定される。
【0129】積層体90の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16を介して反強磁性層6
0上に設けられて積層体90と同じ階層に位置してい
る。また、その上面17bが積層体90の上面90bと
同一面を形成し、その下面17cが積層体90の下面9
0cと同一面を形成している。また、バイアス層17、
17の一部が積層体90の傾斜側面90a、90aに乗
り上げている。
【0130】バイアス層17、17には中間層18、1
8が積層され、中間層18、18の一部及び積層体90
の上面90bには反強磁性層62が積層されている。反
強磁性層62は、積層体90と同様に断面視略台形状に
形成され、反強磁性層62の図示X1方向両側は2つの
傾斜側面62a、62aとされている。傾斜側面62
a、62aは、基板19から離れる方向、即ち図示Z方
向に向けて互いに接近するように傾斜している。反強磁
性層62は、その図示X1方向の長さが積層体90とほ
ぼ同じ長さとなるように形成されている。また、反強磁
性層62には保護層52が積層されている。
【0131】反強磁性層62の図示X1方向両側には、
一対の導電層71、71が配置されている。この導電層
71、71は、中間層18、18を介してバイアス層1
7、17の上に積層されると共に、反強磁性層62の傾
斜側面62a、62aに接して形成されている。
【0132】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子7は、
反強磁性層60上に固定磁性層24と非磁性導電層25
とフリー磁性層13と非磁性導電層30と固定磁性層3
4とが積層されて積層前駆体が形成されること以外は、
前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子6と同様にして製
造される。
【0133】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子7にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子6と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子7においては、固定磁性層2
4、34が、非磁性中間層22、32と第1固定磁性層
21、31及び第2固定磁性層23、33とからそれぞ
れなり、第2固定磁性層23、33の磁化方向が図示Y
方向に固定され、第1固定磁性層21、31の磁化方向
が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第1、
第2固定磁性層21、23、31、33の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第2固定磁性層
23、33の厚さが僅かに大きく、固定磁性層24、3
4自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁
化が反強磁性層60、62との交換結合磁界によって更
に増幅され、固定磁性層24、34の磁化方向が図示Y
方向に強固に固定され、スピンバルブ型薄膜磁気素子7
の安定性を向上させることができる。
【0134】(第8の実施形態)図11に本発明の第8
の実施形態であるスピンバルブ型薄膜磁気素子の断面図
を示す。尚、図11において、前述した図1、図6及び
図9に示した構成要素と同一の構成要素には同一符号を
付し、当該構成要素については簡略に説明するか若しく
はその説明を省略する。
【0135】図11に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
8においては、基板19に下地層50と反強磁性層60
が積層されると共に、反強磁性層60上に積層体20が
形成されている。積層体20は、一方の固定磁性層2
4、非磁性導電層25、フリー磁性層29、非磁性導電
層30、他方の固定磁性層34が順次積層されてなるも
のであり、この積層体20は断面視略台形状とされ、積
層体20の図示X1方向両側は2つの傾斜側面20a、
20aとされている。傾斜側面20a、20aは、基板
19から離れる方向、即ち図示Z方向に向けて互いに接
近するように傾斜している。なお、図11において、図
示Z方向は磁気記録媒体の移動方向を示し、図示Y方向
は磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向を示す。
【0136】一方の固定磁性層24は、非磁性中間層2
2と、非磁性中間層22を挟む第1固定磁性層21及び
第2固定磁性層23とからなる。第1、第2固定磁性層
21、23の厚さは、僅かに異なる厚さとすることが好
ましく、図11においては、第2固定磁性層23の膜厚
が第1固定磁性層21より大とされている。また、第1
固定磁性層21は反強磁性層60に接している。
【0137】第1固定磁性層21の磁化方向は、反強磁
性層60との交換結合磁界により図示Y方向の反対方向
に固定され、第2固定磁性層23は、第1固定磁性層2
1と反強磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向に
固定されている。第1、第2固定磁性層21、23の磁
化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2固
定磁性層21、23の磁気モーメントが相互に打ち消し
合う関係にあるが、第2固定磁性層23の厚さが僅かに
大きいために、固定磁性層24自体の自発磁化が僅かに
残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層60との交
換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層24の磁
化方向が図示Y方向に固定される。
【0138】また、他方の固定磁性層34は、非磁性中
間層32と、非磁性中間層32を挟む第1固定磁性層3
1及び第2固定磁性層33とからなる。第1、第2固定
磁性層31、33の厚さは、僅かに異なる厚さとするこ
とが好ましく、図11においては、第2固定磁性層33
の膜厚が第1固定磁性層31より大とされている。ま
た、第2固定磁性層33は反強磁性層62に接してい
る。
【0139】第2固定磁性層33の磁化方向は、反強磁
性層62との交換結合磁界により図示Y方向に固定さ
れ、第1固定磁性層31は、第2固定磁性層33と反強
磁性的に結合してその磁化方向が図示Y方向の反対方向
に固定されている。第1、第2固定磁性層31、33の
磁化方向が互いに反平行とされているので、第1、第2
固定磁性層31、33の磁気モーメントが相互に打ち消
し合う関係にあるが、第2固定磁性層33の厚さが僅か
に大きいために、固定磁性層34自体の自発磁化が僅か
に残る結果となり、この自発磁化が反強磁性層62との
交換結合磁界によって更に増幅され、固定磁性層34の
磁化方向が図示Y方向に固定される。
【0140】フリー磁性層29は、非磁性中間層27
と、非磁性中間層27を挟む第1フリー磁性層26及び
第2フリー磁性層28とからなる。また、第1、第2フ
リー磁性層26、28の厚さは、僅かに異なる厚さとす
ることが好ましく、図11においては、第2フリー磁性
層28の膜厚が第1フリー磁性層26より大とされてい
る。
【0141】第1、第2フリー磁性層26、28は、交
換結合磁界によって相互に磁気的に結合されてフェリ磁
性状態となる。即ち、第2フリー磁性層28の磁化方向
はハードバイアス層17、17の磁化によって図示X1
方向に揃えられ、第1フリー磁性層26は、第2フリー
磁性層28と反強磁的に結合してその磁化方向が図示X
1方向の反対方向に揃えられる。第1、第2フリー磁性
層26、28の磁化方向が互いに反平行とされているの
で、第1、第2フリー磁性層26、28の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第2フリー磁性
層28の厚さが第1フリー磁性層26より大とされてい
るので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性層
29全体の磁化となり、フリー磁性層29の磁化方向が
図示X1方向に揃えられ、またこの磁化の大きさが小さ
くなるので、外部磁界の変化によってフリー磁性層29
の磁化方向が感度よく変動するものとなる。
【0142】積層体20の図示X1方向両側には、一対
のバイアス層17、17が隣接している。バイアス層1
7、17は、バイアス下地層16を介して反強磁性層6
0上に設けられて積層体20と同じ階層に位置してい
る。また、その上面17bが積層体20の上面20bと
同一面を形成し、その下面17cが積層体20の下面2
0cと同一面を形成している。また、バイアス層17、
17の一部が積層体20の傾斜側面20a、20aに乗
り上げている。
【0143】バイアス層17、17には中間層18、1
8が積層され、中間層18、18の一部及び積層体20
の上面20bには反強磁性層62が積層されている。反
強磁性層62は、積層体20と同様に断面視略台形状に
形成され、反強磁性層62の図示X1方向両側は2つの
傾斜側面62a、62aとされている。傾斜側面62
a、62aは、基板19から離れる方向、即ち図示Z方
向に向けて互いに接近するように傾斜している。反強磁
性層62は、その図示X1方向の長さが積層体20とほ
ぼ同じ長さとなるように形成されている。また、反強磁
性層62には保護層52が積層されている。
【0144】反強磁性層62の図示X1方向両側には、
一対の導電層71、71が配置されている。この導電層
71、71は、中間層18、18を介してバイアス層1
7、17の上に積層されると共に、反強磁性層62の傾
斜側面62a、62aに接して形成されている。
【0145】上記のスピンバルブ型薄膜磁気素子8は、
反強磁性層60上に固定磁性層24と非磁性導電層25
とフリー磁性層29と非磁性導電層30と固定磁性層3
4とが積層されて積層前駆体が形成されること以外は、
前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子6と同様にして製
造される。
【0146】上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子8にお
いては、前述したスピンバルブ型薄膜磁気素子6と同様
な効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、上述のス
ピンバルブ型薄膜磁気素子8においては、固定磁性層2
4、34が、非磁性中間層22、32と第1固定磁性層
21、31及び第2固定磁性層23、33とからそれぞ
れなり、第2固定磁性層23、33の磁化方向が図示Y
方向に固定され、第1固定磁性層21、31の磁化方向
が図示Y方向の反対方向に固定されているので、第1、
第2固定磁性層21、23、31、33の磁気モーメン
トが相互に打ち消し合う関係にあるが、第2固定磁性層
23、33の厚さが僅かに大きく、固定磁性層24、3
4自体の自発磁化が僅かに残る結果となり、この自発磁
化が反強磁性層60、62との交換結合磁界によって更
に増幅され、固定磁性層24、34の磁化方向が図示Y
方向に強固に固定され、スピンバルブ型薄膜磁気素子8
の安定性を向上させることができる。
【0147】また、第1、第2フリー磁性層26、28
が、反強磁性的に結合されてフェリ磁性状態となり、第
1、第2フリー磁性層26、28の磁気モーメントが相
互に打ち消し合うことになるが、第1フリー磁性層26
と第2フリー磁性層28の厚さの差分に相当する磁化が
フリー磁性層29全体の磁化となり、この磁化が小さく
なるので、フリー磁性層29の磁化方向を外部磁界の変
化に対して感度よく変動させることができ、スピンバル
ブ型薄膜磁気素子8の感度を向上させることができる。
【0148】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
スピンバルブ型薄膜磁気素子においては、バイアス層
が、前記積層体と同じ階層に位置すると共にその厚さ方
向両側の面が前記積層体の厚さ方向両側の面と略同一面
を形成するように構成され、また他方の反強磁性層が前
記バイアス層と前記積層体とを覆って積層されているの
で、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子のように、バイ
アス層の断面形状が突出して尖ったものとはならず、バ
イアス層からの漏れ磁界によってフリー磁性層が多磁区
化されることがなく、フリー磁性層のバルクハウゼンノ
イズを低減することができる。また、バイアス層が前記
積層体と同じ階層に位置するので、バイアス層のバイア
ス磁界を積層体のフリー磁性層に十分に印加することが
でき、フリー磁性層の磁化方向を所定の方向に揃えてフ
リー磁性層を単磁区化することができる。
【0149】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、他方の反強磁性層が反強磁性薄膜に接す
ることになり、他方の反強磁性層がこの反強磁性薄膜と
一体となるように構成されているので、これらの界面に
不純物が混入することがなく、この反強磁性薄膜と他方
の反強磁性層とが一体化すれば、固定磁性層と反強磁性
薄膜との界面にて大きな交換結合磁界が容易に発現して
固定磁性層の磁化方向を所定の方向に強固に固定するこ
とができる。
【0150】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子においては、少なくとも積層体と他方の反強磁性層と
の間に強磁性薄膜が設けられているので、他方の反強磁
性層と強磁性薄膜の界面に不純物が混入することがな
く、またこの強磁性薄膜は固定磁性層と接しているの
で、反強磁性層と強磁性薄膜との間で交換結合磁界が容
易に発現し、この交換結合磁界が強磁性薄膜を介して固
定磁性層に印加され、固定磁性層の磁化方向を所定の方
向に固定することができる。
【0151】また、一方及び他方の反強磁性層に、X−
Mnの式で示される合金またはX’−Pt−Mnの式で
示される合金を用いたスピンバルブ型薄膜磁気素子とす
ることで、反強磁性層に従来から使用されているNiO
合金、FeMn合金、NiMn合金などを用いたものと
比較して、交換結合磁界が大きく、またブロッキング温
度が高く、さらに耐食性に優れているなどの優れた特性
を有するスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることが可能
になる。
【0152】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子にお
いては、一対の導電層が互いに離間して他方の反強磁性
層上に積層されているので、検出電流を確実に積層体に
印加することができる。
【0153】また、一対の導電層は、他方の反強磁性層
の両側に隣接して前記バイアス層に積層されてなるもの
であっても良く、この場合には、導電層とバイアス層が
隣接し、バイアス層は非磁性導電層を含む積層体と隣接
しているので、導電層からの検出電流を、比抵抗の大き
い他方の反強磁性層を介さずに非磁性導電層に与えるこ
とが可能となり、外部磁界による磁気抵抗の変化量を大
きくしてスピンバルブ型薄膜磁気素子の検出感度を高く
することができる。
【0154】また、Ta、Crのような非磁性体からな
る中間層を設けることにより、ハードバイアス層と他方
の反強磁性層との間で磁気結合が発生することなく、フ
リー磁性層の単磁区化に必要なバイアス磁界を増大させ
ることができる。また、後工程であるインダクティブヘ
ッドの製造工程での熱処理(UVキュア)により起きる
導電層とバイアス層の間での熱拡散を防止して、バイア
ス層の磁気特性の劣化を防止することができる。更に、
体心立方構造(bcc構造)であるCrからなるバイア
ス下地層を設けることにより、バイアス層がバイアス下
地層上でエピタキシャル成長してバイアス層の磁化容易
軸を所定の方向に揃えることが可能になって、バイアス
層の保磁力および角形比が大きくなり、フリー磁性層の
単磁区化に必要なバイアス磁界を増大させることができ
る。
【0155】また、フリー磁性層が、非磁性中間層を介
して反強磁性的に結合された第1、第2フリー磁性層か
らなる場合、第1、第2フリー磁性層が交換結合磁界に
よって磁気的に結合されてフェリ磁性状態となり、この
時例えば、第2フリー磁性層の厚さを、第1フリー磁性
層よりも僅かに大とすると、第2フリー磁性層の磁化方
向がバイアス層の磁化によって一定方向に揃えられ、第
1フリー磁性層の磁化方向が第2フリー磁性層の磁化方
向の反対方向とされ、第1、第2フリー磁性層の磁気モ
ーメントが相互に打ち消し合うことになるが、第2フリ
ー磁性層の厚さが第1フリー磁性層より大とされている
ので、この厚さの差分に相当する磁化がフリー磁性層全
体の磁化となり、この磁化が小さくなるので、外部磁界
の変化によってフリー磁性層の磁化方向が感度よく変動
し、スピンバルブ型薄膜磁気素子の検出感度を大きくす
ることができる。
【0156】また、固定磁性層が、非磁性中間層を介し
て反強磁性的に結合された第1、第2固定磁性層からな
る場合、第1、第2固定磁性層が交換結合磁界によって
磁気的に結合されてフェリ磁性状態となり、第1、第2
固定磁性層の厚さを僅かに異ならしめると、第1、第2
固定磁性層の磁気モーメントが相互に打ち消し合って
も、固定磁性層の自発磁化が僅かに残り、この自発磁化
が反強磁性層との交換結合磁界によって更に増幅され、
固定磁性層の磁化方向を強固に固定することが可能とな
って、スピンバルブ型薄膜磁気素子の安定性を高くする
ことができる。
【0157】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法は、一方の反強磁性層上に積層体を形成し、この
積層体の両側にバイアス層を形成し、このバイアス層の
上面を積層体の上面とほぼ同じ位置とし、この上に他方
の反強磁性層を積層するので、従来のようにバイアス層
の断面形状が突出して尖ったものとはならず、バイアス
層からの漏れ磁界によってフリー磁性層が多磁区化され
ることがなく、フリー磁性層が単磁区化されたスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子を製造することができる。また、バ
イアス層が前記積層体と同じ階層に位置するので、バイ
アス層のバイアス磁界を積層体中のフリー磁性層に十分
に印加することができ、フリー磁性層の磁化方向を所定
の方向に揃えてフリー磁性層を単磁区化されて、スピン
バルブ型薄膜磁気素子の安定性を高くすることができ
る。
【0158】また、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法においては、前記積層前駆体を、固定磁性
層と非磁性導電層とフリー磁性層と非磁性導電層と固定
磁性層と反強磁性薄膜を積層して形成し、他方の反強磁
性層を前記反強磁性薄膜に接して積層しても良く、この
場合には、固定磁性層と反強磁性薄膜とを同時に積層す
るためにこれらの界面には酸素等の不純物が混入せず、
また反強磁性薄膜に他方の反強磁性層を積層してこれら
を一体化することによって反強磁性薄膜が実質的に他方
の反強磁性層に含まれることになるので、固定磁性層と
反強磁性薄膜との界面にて交換結合磁界が発現し、この
交換結合磁界により磁化方向が強固に固定された固定磁
性層を備えたスピンバルブ型薄膜磁気素子を製造するこ
とができる。
【0159】更に、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素
子の製造方法においては、前記第1リフトオフレジスト
を除去した後に、少なくとも積層体上に強磁性薄膜を形
成し、この強磁性薄膜に他方の反強磁性層を積層しても
良く、この場合には、強磁性薄膜と他方の反強磁性層と
を同時に形成するためにこれらの界面には酸素等の不純
物が混入せず、強磁性薄膜と他方の反強磁性層との界面
にて交換結合磁界が発現しやすくなり、またこの強磁性
薄膜が固定磁性層上に積層されてこれらが一体化して強
磁性薄膜が実質的に固定磁性層に含まれることになるの
で、発現した交換結合磁界が固定磁性層の磁化方向を強
固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図2】 図1に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子のハ
ードバイアス膜とフリー磁性層の磁化の方向を説明する
ための模式図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの斜視図であ
る。
【図4】 図3に示す薄膜磁気ヘッドの要部の断面図で
ある。
【図5】 本発明の第2の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図7】 本発明の第4の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図8】 本発明の第5の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図9】 本発明の第6の実施形態であるスピンバルブ
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の
構造を示した断面図である。
【図10】 本発明の第7の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図11】 本発明の第8の実施形態であるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合
の構造を示した断面図である。
【図12】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図13】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図14】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図15】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図16】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図17】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図18】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図19】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の製
造方法を説明するための工程図である。
【図20】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図21】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図22】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図23】 本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の他
の製造方法を説明するための工程図である。
【図24】 従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録
媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図で
ある。
【図25】 図24に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
のハードバイアス膜とフリー磁性層の磁化の方向を説明
するための模式図である。
【符号の説明】
1、2、3、4、5、6、7、8 スピンバルブ型薄膜
磁気素子 10、20、40、90 積層体 10b、20b、40b、90b 積層体の上面 10c、20c、40c、90c 積層体の下面 11、24、41 固定磁性層(一方の固定磁性層) 12、25、42 非磁性導電層(一方の非磁性導電
層) 13、29、43 フリー磁性層 14、30、44 非磁性導電層(他方の非磁性導電
層) 15、34、45 固定磁性層(他方の固定磁性層) 16 バイアス下地層 17 バイアス層 17b バイアス層の上面 17c バイアス層の下面 18 中間層 19 基板 21、31 第1固定磁性層 22、27、32 非磁性中間層 23、33 第2固定磁性層 26 第1フリー磁性層 28 第2フリー磁性層 46 反強磁性薄膜 47 強磁性薄膜 50 下地層 51、52 保護層 60 反強磁性層(一方の反強磁性層) 61、62 反強磁性層(他方の反強磁性層) 70、71 導電層 80 第1リフトオフレジスト 81 第2リフトオフレジスト 82 第3リフトオフレジスト

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 該基板に積層された一方の反強磁性層と、 フリー磁性層と前記フリー磁性層の厚さ方向両側に各々
    非磁性導電層と固定磁性層とが積層されてなり、前記一
    方の反強磁性層上に形成された断面視略台形状の積層体
    と、 前記一方の反強磁性層上に設けられ、前記積層体の両側
    に位置して前記フリー磁性層の磁化方向を一方向に揃え
    る一対のバイアス層と、前記積層体及び前記バイアス層
    上に設けられる強磁性薄膜と、 前記強磁性薄膜上に 前記積層体及び前記バイアス層を覆
    う他方の反強磁性層と、 前記フリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とを
    具備してなり、 前記一対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積
    層体と同じ階層に位置して設けられるとともに、その上
    面が前記積層体の上面と略同一面を構成するように形成
    され、 前記他方の反強磁性層が、前記一対のバイアス層の少な
    くとも一部に積層されるとともに前記強磁性薄膜に接し
    ていることを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 【請求項2】 基板と、 該基板に積層された一方の反強磁性層と、 フリー磁性層と前記フリー磁性層の厚さ方向両側に各々
    非磁性導電層と固定磁性層とが積層され、更に前記フリ
    ー磁性層よりも前記基板から離れて位置する固定磁性層
    上に反強磁性薄膜が積層されてなり、前記一方の反強磁
    性層上に形成された断面視略台形状の積層体と、 前記一方の反強磁性層上に設けられ、前記積層体の両側
    に位置して前記フリー磁性層の磁化方向を一方向に揃え
    る一対のバイアス層と、 前記積層体及び前記バイアス層を覆う他方の反強磁性層
    と、 前記フリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とを
    具備してなり、 前記一対のバイアス層が、前記基板を基準として前記積
    層体と同じ階層に位置して設けられるとともに、その上
    面が前記積層体の上面と略同一面を構成するように形成
    され、 前記他方の反強磁性層が、前記一対のバイアス層の少な
    くとも一部に積層されるとともに前記積層体の前記反強
    磁性薄膜に接していることを特徴とするスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】 前記他方の反強磁性層が、前記バイアス
    層全体及び前記積層体に積層されていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のスピンバ
    ルブ型薄膜磁気素子。
  4. 【請求項4】 前記他方の反強磁性層が、前記積層体の
    上面に接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ前
    記一対のバイアス層の一部に積層されていることを特徴
    とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のスピ
    ンバルブ型薄膜磁気素子。
  5. 【請求項5】 前記一方及び前記他方の反強磁性層は、
    X−Mn(ただし、Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、R
    h、Osのうちから選択される1種の元素を示す。)の
    式で示される合金からなり、Xが37原子%以上63原
    子%以下の範囲であることを特徴とする請求項1ないし
    請求項4のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素
    子。
  6. 【請求項6】 前記一方及び前記他方の反強磁性層は、
    X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Cr、R
    u、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Agのうちから選
    択される1種または2種以上の元素を示す。)の式で示
    される合金からなり、X’とPtの合計量が37原子%
    以上63原子%以下の範囲であることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  7. 【請求項7】 前記反強磁性薄膜は、X−Mn(ただ
    し、Xは、Pt、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうち
    から選択される1種の元素を示す。)の式で示される合
    金からなり、Xが37原子%以上63原子%以下の範囲
    であることを特徴とする請求項2記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  8. 【請求項8】 前記反強磁性薄膜は、X’−Pt−Mn
    (ただし、X’は、Pd、Cr、Ru、Ni、Ir、R
    h、Os、Au、Agのうちから選択される1種または
    2種以上の元素を示す。)の式で示される合金からな
    り、X’とPtの合計量が37原子%以上63原子%以
    下の範囲であることを特徴とする請求項2記載のスピン
    バルブ型薄膜磁気素子。
  9. 【請求項9】 前記他方の反強磁性層は、前記バイアス
    層全体及び前記積層体に積層され、前記一対の導電層
    は、互いに離間して前記他方の反強磁性層上に積層され
    てなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいず
    れかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 【請求項10】 前記他方の反強磁性層は、前記積層体
    の上面に接して前記積層体よりも幅広に形成され、かつ
    前記一対のバイアス層の一部に積層され、前記一対の導
    電層は、前記他方の反強磁性層の両側に隣接し、かつ前
    記バイアス層に積層されてなることを特徴とする請求項
    1ないし請求項8のいずれかに記載のスピンバルブ型薄
    膜磁気素子。
  11. 【請求項11】 前記バイアス層と前記導電層との間お
    よび/または前記バイアス層と前記他方の反強磁性層と
    の間に、TaまたはCrからなる中間層が設けられたこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに
    記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  12. 【請求項12】 前記バイアス層と前記積層体との間お
    よび前記バイアス層と前記一方の反強磁性層との間に、
    Crからなるバイアス下地層が設けられたことを特徴と
    する請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のスピ
    ンバルブ型薄膜磁気素子。
  13. 【請求項13】 前記フリー磁性層は、非磁性中間層
    と、前記非磁性中間層を挟む第1フリー磁性層及び第2
    フリー磁性層とからなり、前記第1フリー磁性層と前記
    第2フリー磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前
    記第1フリー磁性層の磁化方向と前記第2フリー磁性層
    の磁化方向が互いに反平行とされていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のスピン
    バルブ型薄膜磁気素子。
  14. 【請求項14】 前記固定磁性層は、別の非磁性中間層
    と、前記別の非磁性中間層を挟む第1固定磁性層及び第
    2固定磁性層とからなり、前記第1固定磁性層と前記第
    2固定磁性層が互いに反強磁性的に結合されて、前記第
    1固定磁性層の磁化方向と前記第2固定磁性層の磁化方
    向が互いに反平行とされていることを特徴とする請求項
    1ないし請求項12のいずれかに記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子。
  15. 【請求項15】 スライダに請求項1ないし請求項14
    のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が備え
    られてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 基板に一方の反強磁性層を積層し、 該一方の反強磁性層に、一方の固定磁性層と一方の非磁
    性導電層とフリー磁性層と他方の非磁性導電層と他方の
    固定磁性層と反強磁性薄膜とを順次積層して積層前駆体
    を形成し、 前記反強磁性薄膜上に第1リフトオフレジストを形成
    し、 前記第1リフトオフレジストに覆われていない前記積層
    前駆体を除去して前記一方の反強磁性層を露出させて断
    面視略台形状の積層体を形成し、 露出した前記一方の反強磁性層上であって前記基板を基
    準として前記積層体と同じ階層にバイアス層を積層し
    て、該バイアス層の上面を前記積層体の上面とほぼ同一
    面とし、 前記第1リフトオフレジストを除去し、前記バイアス層
    及び前記反強磁性薄膜の上に他方の反強磁性層を積層
    し、 前記他方の反強磁性層に接する一対の導電層を形成する
    ことを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 基板に一方の反強磁性層を積層し、 該一方の反強磁性層に、一方の固定磁性層と一方の非磁
    性導電層とフリー磁性層と他方の非磁性導電層と他方の
    固定磁性層とを順次積層して積層前駆体を形成し、 前記積層前駆体上に第1リフトオフレジストを形成し、 前記第1リフトオフレジストに覆われていない前記積層
    前駆体を除去して前記一方の反強磁性層を露出させて断
    面視略台形状の積層体を形成し、 露出した前記一方の反強磁性層上であって前記基板を基
    準として前記積層体と同じ階層にバイアス層を積層し
    て、該バイアス層の上面を前記積層体の上面とほ ぼ同一
    面とし、 前記第1リフトオフレジストを除去した後に、前記積層
    体及び前記バイアス層上に強磁性薄膜を積層し、該強磁
    性薄膜の上に他方の反強磁性層を積層し、 前記他方の反強磁性層に接する一対の導電層を形成する
    ことを特徴とする スピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記他方の反強磁性層上に第2リフト
    オフレジストを形成し、 前記第2リフトオフレジストに覆われていない前記他方
    の反強磁性層に前記一対の導電層を積層し、 前記第2リフトオフレジストを除去することを特徴とす
    る請求項16または請求項17に記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記他方の反強磁性層上に第3リフト
    オフレジストを形成し、 前記第3リフトオフレジストに覆われていない前記他方
    の反強磁性層を除去し、 残存した前記他方の反強磁性層の両側に前記一対の導電
    層を積層し、 前記第3リフトオフレジストを除去することを特徴とす
    る請求項16または請求項17に記載のスピンバルブ型
    薄膜磁気素子の製造方法。
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