JP2002289946A - 磁気検出素子及びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッド

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JP2002289946A
JP2002289946A JP2001089408A JP2001089408A JP2002289946A JP 2002289946 A JP2002289946 A JP 2002289946A JP 2001089408 A JP2001089408 A JP 2001089408A JP 2001089408 A JP2001089408 A JP 2001089408A JP 2002289946 A JP2002289946 A JP 2002289946A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来では、狭いトラック幅の再生素子におい
て十分な再生感度を有しつつ、ヒステリシスが無く再生
波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが困
難であった。 【解決手段】 フリー磁性層29の両側に軟磁性層33
を介してハードバイアス層36を設ける。これによっ
て、前記フリー磁性層29への前記バイアス層の保磁力
の転写の問題やバックリング現象の問題は発生せず、ま
た前記軟磁性層33の磁化は前記ハードバイアス層36
からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向に向けら
れているため、前記軟磁性層33との強磁性結合によ
り、前記フリー磁性層29の磁化は、適切にトラック幅
方向に揃えられる。よって本発明では、従来のようにヒ
ステリシスが生じず、また再生波形の安定性に優れた磁
気検出素子を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定磁性層の磁化
の方向と外部磁界の影響を受けるフリー磁性層の磁化の
方向との関係で電気抵抗が変化する磁気検出素子に係
り、特にヒステリシスが無く、再生波形の安定性に優れ
た磁気検出素子、およびその製造方法、ならびに前記磁
気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図15は従来のスピンバルブ型薄膜素子
を記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断
面図である。
【0003】符号6はTaなどの下地層であり、前記下
地層6の上に反強磁性材料で形成された反強磁性層1が
形成されている。さらにその上にはNiFe合金などの
磁性材料製の固定磁性層2、Cuなどの非磁性金属材料
で形成された非磁性中間層3、NiFe合金などの磁性
材料製のフリー磁性層4及びTaなどの保護層7が積層
されている。
【0004】前記固定磁性層2の磁化は、前記反強磁性
層1と固定磁性層2との界面で発生した交換異方性磁界
によってハイト方向(図示Y方向)に固定されている。
【0005】前記下地層6から保護層7までの多層膜9
の両側には、ハードバイアス層5と電極層8とが積層さ
れている。また前記ハードバイアス層5の下には、例え
ばCrなどの非磁性材料で形成されたバイアス下地層1
0が敷かれており、前記バイアス下地層10は前記多層
膜9のトラック幅方向における両側端面上にまで延びて
形成されている。
【0006】前記フリー磁性層4の磁化は前記ハードバ
イアス層5からの縦バイアス磁界によってトラック幅方
向(図示X方向)に揃えられ、前記固定磁性層2の磁化
とほど直交関係にされている。
【0007】図15に示すように、前記フリー磁性層4
の上面のトラック幅方向における幅寸法でトラック幅T
wが規定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで図15に示す
ように、前記ハードバイアス層5の下にCrなどのバイ
アス下地層10を設ける理由は、前記ハードバイアス層
5の特性(保磁力Hcと角形比S)を向上させるためで
あった。
【0009】前記ハードバイアス層5の下に前記バイア
ス下地層10を敷くと、前記ハードバイアス層5の保磁
力Hc及び角形比Sが大きくなることが知られている。
【0010】しかしながら図15に示す従来の構造で
は、前記フリー磁性層4のトラック幅方向の両側にも前
記バイアス下地層10が形成され、前記フリー磁性層4
とバイアス下地層10とが磁気的な連続体となっていな
いため、前記フリー磁性層4のトラック幅方向における
両側端部の磁化は、反磁界の影響で乱れて磁壁が生じる
という磁化不連続現象、いわゆるバックリング現象が起
こることがわかった。
【0011】特に今後の高記録密度化に伴い、トラック
幅Twを狭くすると、前記反磁界が増加し、前記バック
リング現象が顕著になるため、前記フリー磁性層4の磁
区制御に悪影響を及ぼし、再生波形の安定性が低下し、
また再生出力が低下することがわかった。
【0012】そこで図15に示すスピンバルブ型薄膜素
子の構造に代えて、図16に示すスピンバルブ型薄膜素
子の構造が考えられた。図16はスピンバルブ型薄膜素
子を記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分
断面図である。
【0013】図16に示す構造では、図15と異なり、
前記ハードバイアス層5の保磁力Hc及び角形比Sを向
上させるためのバイアス下地層10が、前記ハードバイ
アス層5の下のみに形成され、前記フリー磁性層4の両
側には形成されていない。
【0014】図16における前記バイアス下地層10の
形成は、スパッタの際におけるスパッタ粒子照射角度を
基板に対し垂直方向に近い角度とすることで達成され
る。
【0015】図16では、ハードバイアス層5が前記フ
リー磁性層4の両側に直接接続され、磁気的な連続体を
形成することで、前記フリー磁性層4の反磁界を減少さ
せることができ、上記のバックリング現象を低減させる
ことができると考えられた。
【0016】ところが、前記フリー磁性層4の両側に形
成されたハードバイアス層5は、保磁力Hcが非常に大
きく、図16の構造では、前記ハードバイアス層5の保
磁力Hcが前記フリー磁性層4に転写されてしまい、こ
れによってヒステリシスが生じ、また再生波形のベース
ラインシフトなどの不具合が懸念された。
【0017】そこで本発明は上記従来の問題点を解決す
るためのものであり、特にヒステリシスが無く再生波形
の安定性を向上させることが可能な磁気検出素子、およ
びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄
膜磁気ヘッドを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明における磁気検出
素子は、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成さ
れ、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向
が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中
間層を介して形成されたフリー磁性層とを有する多層膜
が設けられ、前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側
には軟磁性層を介してバイアス層が設けられていること
を特徴とするものである。
【0019】本発明では、上記のようにフリー磁性層の
両側に軟磁性層を介してバイアス層が設けられたもので
ある。
【0020】このように前記バイアス層を前記フリー磁
性層からトラック幅方向に離して形成することで、前記
フリー磁性層への前記バイアス層の保磁力の転写の問題
やバックリング現象の問題は発生せず、また前記フリー
磁性層と前記バイアス層間に介在する軟磁性層の磁化は
前記バイアス層からの縦バイアス磁界によってトラック
幅方向に向けられているため、前記軟磁性層との強磁性
結合により、前記フリー磁性層の磁化は、適切にトラッ
ク幅方向に揃えられる。
【0021】よって本発明では、従来のようにヒステリ
シスが生じず、また再生波形の安定性に優れた磁気検出
素子を製造することができる。
【0022】本発明における具体的な磁気検出素子は、
前記多層膜が、下から反強磁性層、固定磁性層、非磁性
中間層、およびフリー磁性層の順に積層され、前記多層
膜の両側領域に、電極層と、その上に前記軟磁性層とが
積層されている構造である。この構造は図1に提示して
ある。
【0023】あるいは本発明における具体的な磁気検出
素子は、前記多層膜が、下からフリー磁性層、非磁性中
間層、固定磁性層、および反強磁性層の順に積層され、
前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その上に電
極層とが積層されている構造である。この構造は図2に
提示してある。
【0024】また本発明における磁気検出素子は、第1
の反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前
記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定
される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を
介して形成されたフリー磁性層とを有する多層膜が設け
られ、前記多層膜のトラック幅方向の両側領域には、第
2の反強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側
に形成される軟磁性層とが設けられ、前記軟磁性層のト
ラック幅方向の両側にはバイアス層が設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0025】この発明でも、前記バイアス層は前記フリ
ー磁性層からトラック幅方向に離されて形成されている
から、前記フリー磁性層への前記バイアス層の保磁力の
転写の問題やバックリング現象の問題は生じない。
【0026】また上記の本発明では、前記多層膜のトラ
ック幅方向の両側に第2の反強磁性層とフリー磁性層の
両側で接する軟磁性層とが積層されている。これにより
前記第2の反強磁性層と前記軟磁性層間で交換異方性磁
界が発生し、前記軟磁性層の磁化はトラック幅方向に固
定される。また前記軟磁性層のトラック幅方向の両側に
形成されたバイアス層から、前記軟磁性層に縦バイアス
磁界が供給されることで、前記軟磁性層と前記フリー磁
性層間の強磁性結合が強まり、前記フリー磁性層の磁区
制御が容易となり、前記フリー磁性層の単磁区化を促進
することができる。
【0027】また上記のように前記軟磁性層の磁化はト
ラック幅方向に固定されるものであるが、これによって
以下のような効果を期待することができる。
【0028】すなわち、前記軟磁性層の磁化が適切にト
ラック幅方向に固定されていることで、外部磁界が侵入
してきても、前記外部磁界によって前記軟磁性層の磁化
が回転することが無い。前記軟磁性層とフリー磁性層と
は強磁性結合をしているため、仮に前記軟磁性層の磁化
が回転すると、その磁化変動が、前記フリー磁性層にも
伝播して前記フリー磁性層の磁化まで回転する、いわゆ
るサイドリーディング(Side Reading)の
問題が発生しやすく、これによって再生波形にノイズが
乗り、再生波形の安定性が低下する。
【0029】本発明では、前記軟磁性層の磁化が、トラ
ック幅方向に固定されているから、前記サイドリーディ
ングの問題は発生せず、したがってノイズの発生がない
再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造すること
が可能になっている。
【0030】また本発明における具体的な磁気検出素子
は、前記多層膜が下から、第1の反強磁性層、固定磁性
層、非磁性中間層およびフリー磁性層の順で積層され、
前記多層膜の両側領域に、前記第2の反強磁性層と、そ
の上に前記軟磁性層とが積層されている構造である。こ
の構造は図3に提示してある。
【0031】あるいは本発明における具体的な磁気検出
素子は、前記多層膜が下からフリー磁性層、非磁性中間
層、固定磁性層及び第1の反強磁性層の順で積層され、
前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その上に前
記第2の反強磁性層とが積層されている構造である。こ
の構造は図4に提示してある。
【0032】また本発明では、前記軟磁性層は、NiF
e合金、CoFe合金、あるいはNiFeCo合金で形
成されることが好ましい。
【0033】あるいは本発明では、前記軟磁性層は、N
iFeX合金(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、R
h、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以
上)で形成されることが好ましい。
【0034】前記軟磁性層の膜厚が大きく形成され、ま
た前記軟磁性層がNiFe合金などの比抵抗の小さい材
質で形成されていると、前記軟磁性層そのものの持つ異
方性磁気抵抗効果(AMR効果)が無視できなくなり、
フリー磁性層と同様に磁気抵抗効果に寄与する可能性が
ある。そこで前記軟磁性層が磁気抵抗効果に寄与しなく
するためには、前記軟磁性層の比抵抗を高めることが効
果的であり、そのためNiFe合金に元素Xを添加して
前記軟磁性層の比抵抗値を高めている。さらにNiFe
X合金で形成された前記軟磁性層は、残留磁化が小さく
なるため、以下に記述する残留磁化×膜厚値の制御を容
易化できる。
【0035】本発明では、前記軟磁性層の残留磁化×膜
厚は、前記バイアス層の残留磁化×膜厚に比べて小さい
ことが好ましい。
【0036】これにより前記軟磁性層と前記フリー磁性
層間の強磁性結合は、従来、前記フリー磁性層とバイア
ス層間における静磁結合に比べて小さくなる。
【0037】前記フリー磁性層に従来のようにハードバ
イアス層から強い磁場が与えられると、前記フリー磁性
層の特にトラック幅方向の両側端部における磁化が外部
磁界によって動き難くなり、前記両側端部における再生
感度が低下してしまい特にこの傾向は狭トラック化が進
むほど顕著になるが、本発明では、前記フリー磁性層と
軟磁性層間の強磁性結合を、前記バイアス層との静磁結
合に比べて弱めることができるので、前記フリー磁性層
全体の再生感度を向上させることができ、従来に比べて
高い再生出力を得ることが可能である。よって本発明で
は狭トラック化においても、前記フリー磁性層の再生感
度の向上を図ることができ、今後の高記録密度化に対応
可能な磁気検出素子を製造することが可能である。
【0038】また本発明では、前記フリー磁性層のトラ
ック幅方向の端面の中心からトラック幅方向における前
記軟磁性層の幅寸法は、500Å以上で2000Å以下
であることが好ましい。
【0039】また本発明では、少なくとも前記バイアス
層の下には、バイアス下地層が形成されていることが好
ましい。
【0040】また本発明では、前記バイアス下地層は、
結晶構造がbcc構造の金属膜で形成されていることが
好ましく、前記バイアス下地層はCr,W,Mo,V,
Mn,Nb,Taのうちいずれか1種または2種以上の
金属膜で形成されることが好ましい。
【0041】また本発明では、少なくとも前記バイアス
層の上には電極層が形成されていることが好ましい。
【0042】また本発明における磁気検出素子の製造方
法は、以下の工程を有することを特徴とするものであ
る。 (a)第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及
びフリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
(b)前記多層膜に、ハイト方向の第1の磁界を印加し
つつ、第1の熱処理温度で熱処理を行い、前記第1の反
強磁性層と固定磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、
前記固定磁性層の磁化を前記ハイト方向に固定する工程
と、(c)前記多層膜の両側領域に第2の反強磁性層
と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に対向する軟磁
性層とを積層し、トラック幅方向に、前記第1の反強磁
性層の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加し
つつ、前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よりも
低い第2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反強磁
性層と軟磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記軟
磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する工程と、
(d)前記第2の反強磁性層及び前記軟磁性層の両側に
バイアス層を形成し、前記バイアス層の上に電極層を形
成する工程。
【0043】上記の製造方法では、印加磁界と熱処理温
度の大きさを適切に制御することで、前記第1の反強磁
性層に接する固定磁性層の磁化をトラック幅方向と交叉
する方向(ハイト方向)に固定し、第2の反強磁性層と
接する軟磁性層の磁化を前記トラック幅方向に固定する
ことができる。
【0044】このように、前記固定磁性層の磁化制御と
軟磁性層の磁化制御を、印加磁界と熱処理温度を調整す
るのみで簡単に行うことができる。
【0045】また本発明では、前記第1の反強磁性層と
第2の反強磁性層を、元素X(ただしXは、Pt,P
d,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上
の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成
することが好ましい。
【0046】また本発明では、前記第1の反強磁性層と
第2の反強磁性層をX−Mn−X′合金(ただし元素
X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,
Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)で形成しても良い。
【0047】また本発明における薄膜磁気ヘッドは、下
部シールド層上に下部ギャップ層を介して、上記した磁
気検出素子が形成され、前記磁気検出素子上に上部ギャ
ップ層を介して上部シールド層が形成されることを特徴
とするものである。
【0048】この発明では、ヒステリシスがなく、また
再生波形の安定性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造できる
と共に、前記上部ギャップ層を電気的短絡が無いように
容易に形成でき、さらに前記多層膜のトラック幅方向の
両側における前記シールド層間の距離を小さくできるこ
とで実効トラック幅を小さくでき、クロストークの問題
を低減させることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における第1の実
施形態の磁気検出素子(スピンバルブ型薄膜素子)を備
えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部
分断面図である。
【0050】図1に示す薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に
記録された外部信号を再生するためのMRヘッドであ
る。図1には前記MRヘッドのみが開示されているが、
前記MRヘッドの上に記録用のインダクティブヘッドが
積層されていてもよい。前記インダクティブヘッドは磁
性材料製のコア層とコイル層とを有して構成される。
【0051】また前記薄膜磁気ヘッドは、例えばアルミ
ナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成され
たスライダのトレーリング端面上に形成される。前記ス
ライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス
材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気
ヘッド装置が構成される。
【0052】図1に示す符号20は、下部シールド層で
ある。前記下部シールド層20はNiFe合金やセンダ
ストなどの磁性材料によって形成される。
【0053】前記下部シールド層20上にはAl23
SiO2などの絶縁材料製の下部ギャップ層21が形成
されている。
【0054】そして前記下部ギャップ層21上に磁気検
出素子22が形成される。図1に示す磁気検出素子22
は、いわゆるシングルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれ
る構成である。以下、前記磁気検出素子22を構成する
各層について説明する。
【0055】まず、前記下部ギャップ層21の図面中央
の上面には下地層23が形成される。前記下地層23
は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少
なくとも1種以上で形成されることが好ましい。前記下
地層23は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこ
の下地層23は形成されていなくても良い。
【0056】次に前記下地層23の上には反強磁性層2
6が形成される。前記反強磁性層26は、元素X(ただ
しXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1
種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反
強磁性材料で形成されることが好ましい。あるいは前記
反強磁性層26は、元素Xと元素X′(ただし元素X′
は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,M
g,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)とMnを含有する反強磁性材料により形成されるこ
とが好ましい。
【0057】これらの反強磁性材料は、耐食性に優れし
かもブロッキング温度も高く次に説明する固定磁性層2
7との界面で大きな交換異方性磁界を発生し得る。また
前記反強磁性層26は80Å以上で250Å以下の膜厚
で形成されることが好ましい。
【0058】次に前記反強磁性層26の上には固定磁性
層27が形成されている。前記固定磁性層27はNiF
e合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などに
より形成される。前記固定磁性層27が積層された後、
ハイト方向(図示Y方向)への磁場中アニールを施すこ
とで、前記固定磁性層27と反強磁性層26との界面で
発生する交換異方性磁界により、前記固定磁性層27の
磁化はハイト方向(図示Y方向)に強固に固定される。
前記固定磁性層27は10Å以上で60Å以下程度の膜
厚で形成されることが好ましい。
【0059】前記固定磁性層27の上には非磁性中間層
28が形成されている。前記非磁性中間層28は例えば
Cuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成され
る。前記非磁性中間層28は例えば18〜30Å程度の
膜厚で形成される。
【0060】次に前記非磁性中間層28の上にはフリー
磁性層29が形成される。前記フリー磁性層29は、N
iFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金な
どにより形成される。また前記フリー磁性層29は、2
0Å以上で40Å以下程度の膜厚で形成されることが好
ましい。また前記フリー磁性層29は2層構造で形成さ
れ、前記非磁性中間層28と対向する側にCo膜が形成
されていることが好ましい。これにより前記非磁性中間
層28との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗
変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0061】次に前記フリー磁性層29の上には保護層
30が形成される。前記保護層30はTa,Hf,N
b,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で
形成される。前記保護層30の膜厚は30Å程度であ
る。
【0062】本発明では、図1に示すように上記した前
記下地層23から保護層30の各層で構成される多層膜
31は、トラック幅方向(図示X方向)における両側端
面31a,31aが、前記下地層23の下面から前記保
護層30の上面まで連続した傾斜面となっており、例え
ば前記多層膜31は図1に示すような略台形状で形成さ
れる。
【0063】次に前記多層膜31のトラック幅方向(図
示X方向)の両側領域31b,31bには、電極層32
(なお図1及び図2に示す実施形態では前記電極層を第
1の電極層と称す)とその上に軟磁性層33、及び保護
層30が積層形成されている。
【0064】前記軟磁性層33は前記フリー磁性層28
の両側に接して形成されている。また図1に示すように
前記第1の電極層32の上面は前記フリー磁性層29の
下面と同位置かあるいはそれよりも下側に位置し、前記
第1の電極層32の上に形成された前記軟磁性層33の
上面は前記フリー磁性層29の上面と同位置かあるいは
それよりも上側まで形成されている。これにより前記フ
リー磁性層29の両側端面は前記軟磁性層33のみが接
合された状態になっている。
【0065】また図1に示すように、前記第1の電極層
32及び前記軟磁性層33のトラック幅方向における両
側端面34、34は、連続した傾斜面となっており、こ
の実施形態では、前記第1の電極層32の下層側は、前
記両側端面34、34よりもさらに図示X方向に延びて
形成されている。なお前記両側端面34、34は、前記
下部ギャップ層21にまで形成されていてもかまわな
い。
【0066】次に図1に示すように、前記第1の電極層
32上から前記両側端面34、34上にかけてバイアス
下地層35、35が形成されており、前記バイアス下地
層35の上にハードバイアス層36が形成されている。
さらに前記ハードバイアス層36の上には電極層37
(なお図1、2及び図7に示す実施形態では前記電極層
を第2の電極層と称す)が形成されている。前記第2の
電極層37と前記第1の電極層32とは、バイアス下地
層を介して電気的に接続されている。
【0067】前記第1の電極層32及び第2の電極層3
7は、例えばα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、R
h、Ir、RuやW(タングステン)などで形成されて
いる。前記第1の電極層32及び第2の電極層37は同
じ材質の金属材料で形成されていても良いし異なる金属
材料で形成されていても良い。また前記ハードバイアス
層36は、例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金や
Co−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金など
で形成されている。
【0068】次に図1に示すように、前記電極層37上
から軟磁性層33上及び多層膜31上にかけて上部ギャ
ップ層38が形成され、前記上部ギャップ層38の上に
上部シールド層39が形成される。前記上部ギャップ層
38は前記下部ギャップ層21として使用可能な非磁性
材料で形成され、また上部シールド層39は下部シール
ド層20として使用可能な磁性材料で形成される。なお
前記上部シールド層39の上にインダクティブヘッドも
形成される場合には、前記上部シールド層39は前記イ
ンダクティブヘッドの下部コア層として兼用されても良
いし、前記下部コア層を別に形成しても良い。
【0069】ところで図1に示す本発明では、前記フリ
ー磁性層29のトラック幅方向(図示X方向)の両側に
軟磁性層33を介してハードバイアス層36が設けられ
ている。図1に示す実施形態では、前記ハードバイアス
層36はトラック幅方向(図示X方向)に磁化されてお
り、前記ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界の
影響を受けて前記軟磁性層33はトラック幅方向に磁化
されている。そして前記軟磁性層33とフリー磁性層2
9とが直接接合されていることで強磁性結合によって、
前記フリー磁性層29はトラック幅方向に磁化され、前
記固定磁性層27の磁化とほぼ交叉する方向に揃えられ
る。
【0070】ここで前記軟磁性層の磁化状態について説
明する。図1に示す実施形態では、前記軟磁性層33と
ハードバイアス層36との間には、バイアス下地層35
が介在しているので、前記軟磁性層33の前記ハードバ
イアス層36と対向する側の端部33aでは反磁界が大
きくなって、図15で説明した前記バックリング現象が
起こりやすくなっている。しかしながら前記ハードバイ
アス層36から離れた前記フリー磁性層29と接する側
の端部33b、33bでは、もはや上記のバックリング
現象は起こっておらず、前記端部33bでの磁化は適切
にトラック幅方向に向けられている。
【0071】また前記軟磁性層33とハードバイアス層
36間に前記バイアス下地層35が形成されておらず、
前記バイアス下地層35は前記ハードバイアス層36の
下のみに形成され、前記軟磁性層33と前記ハードバイ
アス層36が直接接合されていてもよい。かかる場合、
前記軟磁性層33の前記ハードバイアス層36と対向す
る側の端部33aでは、前記ハードバイアス層36の高
い保磁力Hcが転写されやすくなっているが、前記ハー
ドバイアス層36から離れた前記フリー磁性層29と接
する側の端部33b、33bでは、もはや上記の保磁力
Hcの転写は低減されており、前記端部33bでの保磁
力Hcは軟磁性材料そのものが有する保磁力Hc程度ま
でに小さくなっている。
【0072】したがって本発明では、前記フリー磁性層
29の両側に軟磁性層33を形成し、さらにその両側に
ハードバイアス層36を形成する構成とすることで、前
記フリー磁性層29には、従来のようにバックリング現
象が起こらず、またハードバイアス層36からの保磁力
Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性結合に
よって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー磁性層
29の形成が可能になるのである。
【0073】よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁
区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の
安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能であ
る。
【0074】次に本発明における前記軟磁性層33の好
ましい材質について以下に説明する。
【0075】本発明では、前記軟磁性層33は、NiF
e合金、CoFe合金、あるいはNiFeCo合金で形
成されることが好ましい。これらの磁性材料で形成され
た軟磁性層33は比抵抗が小さく、第1の電極層32及
び第2の電極層37からのセンス電流を前記軟磁性層3
3を介してフリー磁性層29、非磁性中間層28及び固
定磁性層27に導きやすくできる。
【0076】ただし前記軟磁性層33の膜厚は薄い方が
好ましく、前記軟磁性層33の膜厚は50Å以上で15
0Å以下であることが好ましい。前記軟磁性層33の膜
厚が厚くなると、残留磁化×膜厚が大きくなることで、
前記フリー磁性層29と前軟磁性層33間の強磁性結合
が強まり、前記フリー磁性層29のトラック幅方向にお
ける両側端部が強固にトラック幅方向に固定されてしま
い、前記両側端部での再生感度が低下し、再生出力が低
下する。特に前記フリー磁性層29の上面のトラック幅
方向の寸法で決定されるトラック幅Tw(光学的なトラ
ック幅)が小さくなることによって、上記問題は顕著に
なる。
【0077】そこで本発明では、前記軟磁性層33の残
留磁化×膜厚は、前記ハードバイアス層36の残留磁化
×膜厚よりも小さくなるように、前記軟磁性層33の材
質及び膜厚を設定することが好ましい。これにより前記
フリー磁性層29と前記軟磁性層33間の強磁性結合の
強さを、従来の前記フリー磁性層29とハードバイアス
層36間の静磁結合に比べて弱めることができ、前記フ
リー磁性層29のトラック幅方向全体を適切な感度領域
として機能させることができ、再生出力を向上させるこ
とができる。
【0078】本発明では、前記軟磁性層33は、NiF
eX合金(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、
Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以上)
で形成されても良い。これらの磁性材料は元素XがNi
Fe合金に添加されていることで比抵抗が大きくなり、
また残留磁化は低下する。
【0079】したがって、図1の別の形態として、例え
ば第1の電極層32を形成せず、あるいは前記第1の電
極層32を薄く形成して、前記第1の電極層32が形成
されていた領域にも前記軟磁性層33を形成した場合で
も、前記軟磁性層33の残留磁化×膜厚を、前記ハード
バイアス層36の残留磁化×膜厚に比べて小さくするこ
とが可能である。したがって、前記軟磁性層33にNi
FeX合金を使用した方が、NiFe合金を使用する場
合に比べて、前記軟磁性層33及び第1の電極層32の
膜厚の制御を容易にできる。
【0080】また本発明では、前記軟磁性層33の磁化
は外部磁界の影響を受けて回転する可能性がある。この
ように前記軟磁性層33の磁化が外部磁界の影響を受け
て回転すると、前記軟磁性層33のフリー磁性層29に
近い側の端部33bの部分も磁気抵抗効果に寄与する虞
があり、トラック幅Twが実質的に前記端部33b付近
にまで広がる可能性がある。これでは今後の高記録密度
化に伴う狭トラック化を適切に図ることができなくな
る。
【0081】このため前記軟磁性層33を上記したNi
FeX合金で形成し、前記軟磁性層33の比抵抗を上げ
て異方性磁気抵抗効果(AMR効果)を低減させること
で、前記軟磁性層33の端部33bが、磁気抵抗効果に
寄与しないようにすることができる。
【0082】ただし前記軟磁性層33の膜厚が上記した
50Å〜150Å程度に薄ければ、前記軟磁性層33が
前記NiFe合金などの比抵抗の小さい磁性材料で形成
されても、前記軟磁性層33が寄与する磁気抵抗効果は
無視できるほどに小さくなるので、かかる場合、前記軟
磁性層33を前記NiFe合金などの比抵抗の小さい磁
性材料で形成することが好ましい。
【0083】次に、前記軟磁性層33の前記フリー磁性
層29の端面31a中心からトラック幅方向(図示X方
向)における幅寸法T1について規定する。
【0084】本発明では前記幅寸法T1は500Å以上
で2000Å以下であることが好ましい。
【0085】前記幅寸法T1が500Åよりも小さくな
ると、前記ハードバイアス層36からの高い保磁力Hc
が前記軟磁性層33のフリー磁性層29に近い側の端部
33bにまで転写されやすく、前記フリー磁性層29の
保磁力Hcも大きくなりやすい。また前記軟磁性層33
のハードバイアス層36と対向する側の端部33aで発
生していたバックリング現象の影響を受けて、前記軟磁
性層33全体の磁化が乱れ、前記フリー磁性層29の磁
化をトラック幅方向に適切に単磁区化できないといった
問題が発生しやすい。
【0086】また前記幅寸法T1が2000Åよりも大
きくなると、前記軟磁性層33のフリー磁性層29に接
する端部33bまで適切にトラック幅方向(図示X方
向)に磁化されにくく、前記フリー磁性層29の磁化を
トラック幅方向に適切に単磁区化できないといった問題
が発生する。
【0087】よって本発明では上記のように前記軟磁性
層33の前記フリー磁性層29の端面31a中心からト
ラック幅方向への幅寸法T1を500Å以上で2000
Å以下に設定した。
【0088】次に第2の電極層37の構造について以下
に説明する。図1に示す実施形態では、前記磁気検出素
子22が現れるトラック幅方向(図示X方向)の断面で
は、前記第2の電極層37は前記ハードバイアス層36
の上のみに形成されている。
【0089】ただし前記第2の電極層37は、図1の点
線37aに示すように、前記ハードバイアス層36上か
ら前記軟磁性層33上にかけて形成されていても良い。
かかる場合、図1の点線37aで示すように、前記多層
膜31の上面と、前記第2の電極層37の内側端部37
b間が離れていることが好ましい。これにより以下のよ
うな効果を期待することができる。
【0090】第1に、前記多層膜31上から前記軟磁性
層33上さらには前記第2の電極層37上にかけて形成
される上部ギャップ層38をピンホールなどの欠陥がな
く所定膜厚で形成でき、電気的絶縁性を良好にできる。
【0091】第2に、前記多層膜31の両側領域31
b、31bであって、前記第2の電極層37が前記軟磁
性層33上に形成されていない部分での、シールド層2
0、39間の膜厚H1と、前記多層膜31とその上下に
形成されたシールド層20、39間の膜厚(ギャップと
呼ばれる)H2との差(H1−H2)が90nm以下で
−20nm以上であれば、クロストークの問題を低減で
きる。
【0092】クロストークとは、前記多層膜31の両側
領域31bにおけるシールド層20、39間の間隔が広
がると、前記シールド層20、39のシールド機能が低
下することで、前記多層膜31の両側領域31bと対向
する位置で発生している外部信号が、前記多層膜31内
に引きずり込まれることであり、これにより実効トラッ
ク幅Twは広がってしまう。
【0093】このようなクロストークの問題を低減させ
るには、前記第2の電極層37が前記軟磁性層33上に
形成されていない部分での、シールド層20、39間の
膜厚H1を、膜厚H2程度にまで小さくし、前記シール
ド層20、39間の距離を狭めてシールド機能を向上さ
せることが好ましく、本発明では、前記膜厚H1とH2
との差(H1−H2)を、90nm以下で−20nm以
上に規定している。なお好ましくは70nm以下、より
好ましくは30nm以下である。そしてこれによって実
効トラック幅を小さくできる。本発明では上記数値範囲
を満たすことで前記実効トラック幅Twを0.17μm
以下にでき、狭トラック化に対応可能な磁気検出素子2
2を製造することが可能である。なお実効トラック幅の
測定は、フルトラックプロファイル法やマイクロトラッ
クプロファイル法などによって測定されており、前記実
効トラック幅は、図1に図示されている、光学的な方法
によって測定されたトラック幅Tw(これを光学的トラ
ック幅Twと呼ぶ)とは異なる測定方法によって求めら
れたものである。
【0094】次に前記ハードバイアス層36と軟磁性層
33及び第1の電極層32の端面34間に形成されてい
るバイアス下地層35の材質について以下に説明する。
【0095】本発明では、前記バイアス下地層35は、
結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜で形成
されることが好ましい。なおこのとき前記バイアス下地
層35の結晶配向は(100)面が優先配向することが
好ましい。
【0096】このような結晶構造及び結晶配向性を有す
る金属膜によってバイアス下地層35を形成する理由
は、前記バイアス下地層35上に形成されるハードバイ
アス層36の保磁力Hc及び角形比Sを高めるためであ
る。
【0097】前記ハードバイアス層36は、CoPt合
金やCoPtCr合金などで形成される。これら合金の
結晶構造は一般的にはバルクにおいて、面心立方構造
(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となる組成
付近の膜組成に設定されている。
【0098】ここで上記の金属膜で形成されたバイアス
下地層35とハードバイアス層36を構成するCoPt
系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、
CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造
で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はC
oPt系合金とバイアス下地層の境界面内に優先配向さ
れる。前記hcp構造はfcc構造に比べてc軸方向に
大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層に磁
界を与えたときの保磁力Hcは大きくなるのである。さ
らにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下地層と
の境界面内で優先配向となっているため、残留磁化が増
大し、残留磁化/飽和磁化で求められる角形比Sは大き
くなる。その結果、前記ハードバイアス層36の特性を
向上させることができ、前記ハードバイアス層36から
発生するバイアス磁界を増大させることができる。
【0099】本発明では、結晶構造が体心立方構造(b
cc構造)の金属膜は、Cr,W,Mo,V,Mn,N
b,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成さ
れることが好ましい。
【0100】また既に説明したように、前記バイアス下
地層35は、前記ハードバイアス層36の下のみに形成
されていても良い。
【0101】また図1の場合、前記多層膜31の両側端
面31a、31aは下地層23から保護層30まで連続
した傾斜面となっているが、前記反強磁性層26の下側
の一部がトラック幅方向(図示X方向)に延びて形成さ
れていてもかまわない。
【0102】このようにして形成された磁気検出素子で
は、図示Y方向の外部磁界により、フリー磁性層29の
トラック幅Tw領域の磁化が図示X方向から図示Y方向
に変化する。このフリー磁性層29内での磁化の方向の
変動と、固定磁性層27の固定磁化方向(図示Y方向)
との関係で電気抵抗値が変化し、この電気抵抗値の変化
に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検
出される。なおこの原理は図2以降の磁気検出素子にお
いても同じである。
【0103】図2は、本発明における第2実施形態の磁
気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向
面側から見た部分断面図である。
【0104】図2では図1と異なり、前記多層膜31は
下から下地層23、フリー磁性層29、非磁性中間層2
8、固定磁性層27、反強磁性層26及び保護層30の
順に積層されている。
【0105】また前記多層膜31のトラック幅方向にお
ける両側領域31bでは、下から軟磁性層33及び第1
の電極層32の順に積層され、前記軟磁性層33は、前
記フリー磁性層29の上面と同位置か、あるいはそれよ
りもさらに上側にまで形成され、前記フリー磁性層29
の両側全体に前記軟磁性層33を形成することが好まし
い。
【0106】この実施形態では、前記軟磁性層33の下
には、下地層40が形成されている。これにより前記軟
磁性層33の結晶配向を膜面と平行な方向に(111)
優先配向させている。ただし前記下地層40は前記軟磁
性層33と前記フリー磁性層29の両側端面間には形成
されておらず、前記軟磁性層33が直接、前記フリー磁
性層29の両側に接合されている。また前記下地層40
は、前記軟磁性層33とフリー磁性層29間に若干形成
されていてもよいが、その膜厚は、1nm以下とする。
前記膜厚が1nm以下であれば、前記下地層40にピン
ホールなどが生じ易く、前記軟磁性層33とフリー磁性
層29とが強磁性結合により磁気的に連続体となりやす
いからである。
【0107】なお前記下地層40の材質は、Ta、H
f、Nb、Zr、Ti、Mo、Wのうち少なくとも1種
以上で形成されることが好ましい。また前記下地層40
は形成されていなくても良い。
【0108】この実施形態でも図1と同様に、前記フリ
ー磁性層29の両側に軟磁性層33を形成し、さらに両
側にハードバイアス層36を形成する構成とすること
で、前記フリー磁性層29には、従来のようにバックリ
ング現象が起こらず、またハードバイアス層36からの
保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性
結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー
磁性層29の形成が可能になる。
【0109】よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁
区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の
安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能であ
る。
【0110】なお前記軟磁性層33のフリー磁性層29
の端面の中心からトラック幅方向における幅寸法T1
や、前記軟磁性層33の膜厚や材質、さらには前記多層
膜31の両側領域31bであって、前記第2の電極層3
7が形成されていない部分での前記シールド層20、3
9間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された部分で
のシールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H
2)、第2の電極層37の形状などは図1で説明した通
りである。
【0111】図3は本発明における第3実施形態の磁気
検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面
側から見た部分断面図である。
【0112】この実施形態では、下部シールド層20の
上に下部ギャップ層21を介して、磁気検出素子22が
形成されている。前記磁気検出素子22は、前記下部ギ
ャップ層21のトラック幅方向(図示X方向)における
上面中央に下地層23、反強磁性層26(なお前記反強
磁性層26は図3、4では第1の反強磁性層と称す)、
固定磁性層27、非磁性中間層28、フリー磁性層29
及び保護層30の順で積層された多層膜31と、前記多
層膜31の両側領域31b、31bとで構成される。
【0113】図3に示すように、前記多層膜31の両側
領域31b、31bには下から第2の反強磁性層42及
び軟磁性層33が積層形成されている。前記第2の反強
磁性層42の上面は、前記フリー磁性層29の下面と同
程度かあるいはそれよりも下側に形成され、前記前記軟
磁性層33の上面は、前記フリー磁性層29の上面と同
位置かあるいはそれよりも上側に形成され、前記フリー
磁性層29の両側前端に前記軟磁性層33が形成されて
いることが好ましい。なお前記軟磁性層33と前記フリ
ー磁性層とは直接、接合されている。
【0114】さらに前記下部ギャップ層21上から前記
第2の反強磁性層42及び軟磁性層33の両側端面43
にかけてバイアス下地層35が形成され、前記バイアス
下地層35の上にハードバイアス層36及び、前記ハー
ドバイアス層36の上に電極層37が積層形成されてい
る。
【0115】図3に示すように、前記電極層37上から
前記軟磁性層33上、さらには前記多層膜31上にかけ
て上部ギャップ層38が形成され、前記上部ギャップ層
38の上に上部シールド層39が形成されている。
【0116】この実施形態では図1及び図2と異なり、
前記多層膜31の両側領域31b、31bには、第2の
反強磁性層42と軟磁性層33が形成され、前記第2の
反強磁性層42と前記軟磁性層33との間で発生する交
換異方性磁界によって前記軟磁性層33の磁化はトラッ
ク幅方向(図示X方向)に固定される。
【0117】また前記軟磁性層33の両側に形成された
ハードバイアス層36はトラック幅方向に磁化されてお
り、前記ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界に
よって、前記軟磁性層33と前記フリー磁性層29間の
強磁性結合は強められている。
【0118】この実施形態においても図1及び図2と同
様に、前記フリー磁性層29の両側に軟磁性層33を形
成し、さらに両側にハードバイアス層36を形成する構
成とすることで、前記フリー磁性層29には、従来のよ
うにバックリング現象が起こらず、またハードバイアス
層36からの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層3
3との強磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化
されたフリー磁性層29の形成が可能になる。
【0119】よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁
区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の
安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能であ
る。
【0120】しかも図3に示す実施形態では、前記軟磁
性層33の下側に第2の反強磁性層42が形成され、前
記第2の反強磁性層42との交換異方性磁界によって、
前記軟磁性層33の磁化は図示X方向に固定されてお
り、外部磁界が侵入してきても前記軟磁性層33の磁化
は回転しにくくなっている。
【0121】仮に前記軟磁性層33の磁化が外部磁界の
影響を受けて回転すると、前記軟磁性層33とフリー磁
性層29とが強磁性結合していることで、前記の磁化回
転の影響が磁壁の厚み分(約500Å〜1000Å程
度)離れた前記フリー磁性層29の磁化まで及び、前記
フリー磁性層29の磁化が回転する、サイドリーディン
グの問題が発生することにより、再生波形にノイズが乗
り、再生波形の安定性は低下してしまう。
【0122】そこで本発明では、前記軟磁性層33を、
第2の反強磁性層42との交換異方性磁界によってトラ
ック幅方向に固定できるようにしている。
【0123】図4(本発明における第4実施形態の磁気
再生素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面
側から見た部分断面図)も同様で、図4では、多層膜3
1は、下から下地層23、フリー磁性層29、非磁性中
間層28、固定磁性層27、第1の反強磁性層26及び
保護層30の順に積層されており、前記多層膜31の両
側領域31b、31bには、下から軟磁性層33及び第
2の反強磁性層42が積層されている。前記軟磁性層3
3は、前記フリー磁性層29の上面と同程度の位置か、
それよりも上側にまで形成され、前記フリー磁性層の両
側端面全体に前記軟磁性層33が形成されていることが
好ましい。
【0124】前記軟磁性層33の磁化は、前記第2の反
強磁性層42との間で発生する交換異方性磁界によって
適切にトラック幅方向に固定されており、また前記軟磁
性層33のトラック幅方向における両側にはハードバイ
アス層36が設けられていることで、前記軟磁性層33
とフリー磁性層29との強磁性結合を強めることができ
る。図4の実施形態も図3と同様にサイドリーディング
の問題を解消でき、再生波形にノイズが乗らない、再生
波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可
能である。
【0125】なお図3及び図4の実施形態において、前
記軟磁性層33のフリー磁性層29の端面の中心からト
ラック幅方向における幅寸法T1や、前記軟磁性層33
の膜厚や材質、さらには前記多層膜31の両側領域31
bであって、前記第2の電極層37が形成されていない
部分での前記シールド層20、39間の膜厚H1と、前
記多層膜31が形成された部分でのシールド層20、3
9間の膜厚H2との差(H1−H2)、第2の電極層3
7の形状などは図1で説明した通りである。
【0126】ところで図3及び図4に示す実施形態で
は、反強磁性層26、42が2層形成されている。前記
第1の反強磁性層26は固定磁性層27の磁化をハイト
方向(図示Y方向)に固定するために用いられるもので
あり、第2の反強磁性層42は前記軟磁性層33の磁化
をトラック幅方向(図示X方向)に固定することにより
フリー磁性層29の磁化をトラック幅方向に向けるため
に用いられるものである。
【0127】このように固定磁性層27とフリー磁性層
29の磁化を前記反強磁性層26、42を用いて互いに
交叉する方向に向けるためには、以下のように製造方法
を工夫する必要性がある。
【0128】図11ないし図14は、図3に示す磁気検
出素子の製造方法を示す一工程図であり、各図は、記録
媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0129】図11に示す工程では、基板44上に、下
から下地層23、第1の反強磁性層26、固定磁性層2
7、非磁性中間層28、フリー磁性層29及び保護層3
0の順で積層された多層膜31を形成する。各層の形成
は例えばスパッタ成膜である。スパッタ成膜では、例え
ばDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパ
ッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッ
タ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそ
れらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0130】本発明では前記第1の反強磁性層26を、
元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,
Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnと
を含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。あ
るいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn−X′
合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,B
e,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,C
r,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Z
r,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2
種以上の元素である)で形成することが好ましい。
【0131】前記元素Xの組成比、あるいは元素X+元
素X′の組成比を、例えば37原子%以上で63原子%
以下に設定する。または前記元素Xの組成比、あるいは
前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以上で57
原子%以下に設定することが好ましい。
【0132】次に第1の熱処理工程を行う。まずハイト
方向(図示Y方向)に第1の磁界を印加しつつ、第1の
熱処理温度で熱処理し、前記第1の反強磁性層26に交
換異方性磁界を発生させて、前記固定磁性層27の磁化
をハイト方向に固定する。例えば前記第1の熱処理温度
を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)と
する。
【0133】次に図11に示すように、前記保護層30
の上にリフトオフ用のレジスト層45を形成する。そし
て前記レジスト層45に覆われていない前記多層膜31
をイオンミリングで除去し、前記多層膜31のトラック
幅方向(図示X方向)における両側端面31a、31a
を傾斜面にて形成する。
【0134】次に図12に示す工程では、前記多層膜3
1の両側領域31b、31bに下からバイアス下地層4
0、第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護層3
0を積層する。なお各層はスパッタ成膜されることが好
ましく、スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンス
パッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビーム
スパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーション
スパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパ
ッタ法などを使用できる。
【0135】なお本発明では、前記第2の反強磁性層4
2の上面42aは、前記フリー磁性層29の下側に位置
するように前記第2の反強磁性層42の膜厚を調整し、
前記第2の反強磁性層42の上に形成される軟磁性層3
3を前記フリー磁性層29の両側端面に直接接合できる
ようにする。そして、前記レジスト層45を除去する。
【0136】また本発明では前記第2の反強磁性層42
を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,R
u,Osのうち1種または2種以上の元素である)とM
nとを含有する反強磁性材料で形成することが好まし
い。あるいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn
−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,X
e,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,
V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,G
e,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,T
a,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種
または2種以上の元素である)で形成することが好まし
い。
【0137】このとき、前記元素Xの組成比、あるいは
元素X+元素X′の組成比を、例えば37原子%以上で
63原子%以下に設定し、または前記元素Xの組成比、
あるいは前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以
上で57原子%以下に設定することが好ましい。
【0138】次に第2の熱処理工程を行う。この工程で
は第1の印加磁界と交叉する方向、すなわちトラック幅
方向(図示X方向)に、前記第1の反強磁性層26の交
換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前
記第1の反強磁性層26のブロッキング温度よりも低い
熱処理温度で処理する。
【0139】この工程により、第2の反強磁性層42に
は交換異方性磁界が発生し、前記軟磁性層33の磁化を
トラック幅方向(図示X方向)に固定することができ
る。
【0140】なおこの第2の熱処理工程では、第2の印
加磁界は、第1の反強磁性層26の交換異方性磁界より
も小さく、しかも熱処理温度は、前記第1の反強磁性層
26のブロッキング温度よりも低いから、前記第1の反
強磁性層26の交換異方性磁界の方向をハイト方向に向
けたまま、前記第2の反強磁性層42の交換異方性磁界
をトラック幅方向に向けることができる。この際、固定
磁性層27を例えばCoFe/Ru/CoFeなる積層
構造の人工フェリ磁性状態として形成することにより第
1の反強磁性層26の交換異方性磁界を高めることがで
き、第2の熱処理による固定磁性層の磁化の傾斜を最小
限に抑えることができる。なお前記第1の反強磁性層2
6と第2の反強磁性層42の組成は同じであっても良い
し異なっていても良い。
【0141】なお第2の熱処理温度は例えば250℃で
あり、磁界の大きさは24k(A/m)である。また上
記した組成比で形成された反強磁性層26、42では、
48k(A/m)以上の交換結合磁界を得ることがで
き、またブロッキング温度を380℃程度にすることが
できる。
【0142】次に、図13に示すように、前記多層膜3
1及び前記軟磁性層33の上に、前記レジスト層45よ
りもトラック幅方向の幅寸法が長いリフトオフ用のレジ
スト層46を形成する。前記リフトオフ用のレジスト層
46の下面46aが少なくとも前記多層膜31の上面の
トラック幅方向における幅寸法よりも長くなるように、
前記レジスト層46を形成する。
【0143】次に図13に示すように、前記レジスト層
46によって覆われていない第2の反強磁性層42、軟
磁性層33及び保護層30をイオンミリングで斜め方向
から削り、前記第2の反強磁性層42、軟磁性層33及
び保護層30の両側端面43、43を傾斜面で形成す
る。
【0144】図14に示す最終工程では、前記基板44
と、前記第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護
層30の両側端面43、43との間にバイアス下地層3
5、ハードバイアス層36及び電極層37を積層する。
なお各層はスパッタ成膜されることが好ましく、スパッ
タ成膜では、例えばイオンビームスパッタ法、ロングス
ロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれ
か、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用で
きる。
【0145】そして前記レジスト層46を除去すると、
図3と同じ磁気検出素子が完成する。
【0146】なお図4も図11ないし図14と同じ製造
方法に基づいて形成することができ、図11工程では、
多層膜31を形成した後、第1の熱処理工程を行い、図
12に示す工程では、前記多層膜31の両側に下から軟
磁性層33及び第2の反強磁性層42を形成した後、第
2の熱処理工程を行い、図13、14工程で、前記軟磁
性層33及び第2の反強磁性層42の両側にハードバイ
アス層36及び電極層37を形成する。
【0147】また図1及び図2における磁気検出素子の
製造方法についても説明すると、図11と同じ工程を施
した後、図12に示す工程で、前記多層膜31の両側領
域31b、31bに、電極層32と軟磁性層33を積層
形成し、図13と同じ工程を施して、前記電極層32及
び軟磁性層33の両側端部をイオンミリングで除去し、
次に図14と同じ工程を施して、ハードバイアス層36
及び電極層37を形成すれば、図1及び図2に示す磁気
検出素子が完成する。
【0148】図5は本発明における第5実施形態の薄膜
磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図
である。
【0149】図5に示す実施形態では、多層膜31の膜
構成は図1における多層膜31の膜構成と同じであり、
前記多層膜31の両側領域31b、31bには、第1の
電極層32と前記第1の電極層32の上に軟磁性層33
が積層形成されている。
【0150】この実施形態では図1と異なり、前記軟磁
性層33の上であって、前記多層膜31からトラック幅
方向に離れた位置に反強磁性層47が形成されている
が、これにより前記反強磁性層47と前記軟磁性層33
間で発生する交換異方性磁界によって前記軟磁性層33
の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に向けられてい
る。
【0151】そして前記軟磁性層33は前記フリー磁性
層29の両側端面に直接接合されており、前記軟磁性層
33とフリー磁性層29間の強磁性結合により前記軟磁
性層33の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に適切
に揃えられる。なお前記強磁性結合を強めるために、前
記軟磁性層33のトラック幅方向の両側にハードバイア
ス層を設けてもよい。
【0152】この実施形態では、前記フリー磁性層29
のトラック幅方向の両側には、軟磁性層33が形成さ
れ、前記多層膜31からトラック幅方向に離れた位置で
の前記軟磁性層33上には、反強磁性層47が形成され
ている。
【0153】このように本発明では、従来のようにフリ
ー磁性層の両側にハードバイアス層が設けられたもので
はないから、前記フリー磁性層29には、従来のように
バックリング現象が起こらず、またハードバイアス層か
らの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強
磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフ
リー磁性層29の形成が可能になる。
【0154】よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁
区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の
安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能であ
る。
【0155】なお前記反強磁性層47は前記軟磁性層3
3の下側に形成されてもかまわないが、図5に示すよう
に前記反強磁性層47を前記軟磁性層33上に形成する
方が、製造工程を容易化できて好ましい。
【0156】図6は本発明における第6実施形態の磁気
検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面
側から見た部分断面図である。
【0157】図6に示す実施形態の多層膜31は、図4
の実施形態の多層膜31と同じ膜構成であり、前記多層
膜31の両側領域31b、31bには、下から軟磁性層
33及び第2の反強磁性層42が積層形成されている。
【0158】この実施形態では、電極層37が、前記第
2の反強磁性層42上にまで延びて形成されている。た
だし前記多層膜31の上面と、前記電極層37の内側端
面37cとの間は離れており、図1で説明したのと同様
に、前記多層膜31の両側領域31bの前記電極層37
が延びて形成されていない部分でのシールド層20、3
9間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された位置で
の前記シールド層20、39間の膜厚H2との差(H1
−H2)は、90nm以下で−20nm以上であること
が好ましい。これにより電気的絶縁性に優れた記上部ギ
ャップ層38を形成できると共に、クロストークの問題
を低減させることができる。
【0159】また図6に示す実施形態では、前記電極層
37の上であって、前記電極層37の内側端面37cよ
りもトラック幅方向に離れた前記電極層37の上にさら
に電極層48が設けられている。これにより磁気検出素
子の直流抵抗値が大きくなることを抑えることができ
る。
【0160】なお図6に示す実施形態は、図4に示す膜
構成の場合のみに適用可能なものではない。図1ないし
図3、および図5のいずれの実施形態でも適用可能なも
のである。
【0161】図7は本発明における第7実施形態の磁気
検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面
側から見た部分断面図である。
【0162】図7に示す実施形態は図4に示す実施形態
の一部を変更したものである。図7では、前記多層膜3
1の両側領域31b、31bに、下から軟磁性層33、
第2の反強磁性層42及び電極層49が積層形成されて
いる。
【0163】この実施形態では、図4の場合よりも、軟
磁性層33の上に形成された第2の反強磁性層42の膜
厚を薄くし、前記第2の反強磁性層42上と前記多層膜
31間に前記電極層49が形成できるようにしている。
【0164】この実施形態でも、前記多層膜31の両側
領域31bの部分でのシールド層20、39間の膜厚H
1と、前記多層膜31が形成された位置での前記シール
ド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)は、
90nm以下で−20nm以上であることが好ましい。
このような数値範囲となるように、前記軟磁性層33、
第2の反強磁性層42、電極層49の膜厚を調整する。
これによって電気的絶縁性に優れた上部ギャップ層38
を形成できると共に、クロストークの問題を低減させる
ことができる。
【0165】なお図7の実施形態は、図3でも適用でき
る。すなわち図3に示す多層膜31の両側領域31bに
は、下から電極層49、第2の反強磁性層42、軟磁性
層33が積層形成されるようにする。そして前記多層膜
31の両側領域31bの部分でのシールド層20、39
間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された位置での
前記シールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−
H2)が、90nm以下で−20nm以上となるよう
に、前記軟磁性層33、第2の反強磁性層42、電極層
49の膜厚を調整する。
【0166】図7に示す実施形態では、前記多層膜31
の両側に電極層49が形成されることで、前記多層膜3
1のフリー磁性層29、非磁性中間層28及び固定磁性
層27に適切な大きさのセンス電流を供給することがで
き、素子の直流抵抗値を低減させると共に、通電信頼性
(耐エレクトロマイグレーション)を向上させることが
できる。
【0167】図8は、多層膜31の部分を拡大した部分
拡大断面図であり、本発明における好ましい膜構成が示
されている。
【0168】図8では、下地層23の上にシードレイヤ
50が形成されている。前記シードレイヤ50は一層の
非磁性材料あるいは磁性材料で形されているが、特に高
抵抗材料で形成されることが好ましい。前記シードレイ
ヤ50は例えばNiFeY合金(ただしYは、Cr,R
h,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なく
とも1種以上)で形成されることが好ましい。このうち
前記シードレイヤ50はNiFeCr合金で形成される
ことがより好ましい。前記シードレイヤ50の(11
1)面を、より適切に反強磁性層26との界面と平行な
方向に優先配向させることができ、さらに高比抵抗にで
きるからである。
【0169】前記シードレイヤ50が高比抵抗である
と、電極層37から流れるセンス電流の前記シードレイ
ヤ50への分流を抑制することが可能である。これによ
って抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができ、
またバルクハウゼンノイズを減少させることができる。
【0170】上記したように前記シードレイヤ50は、
前記反強磁性層26との界面と平行な方向に面心立方晶
の(111)面あるいは体心立方晶の(110)面が優
先配向していることで、前記シードレイヤ50上に形成
される反強磁性層26の(111)面、さらには前記反
強磁性層26上に形成される各層の(111)面を前記
界面と平行な方向に優先配向させることが可能であり、
これによって結晶粒径が大きくなり抵抗変化率(ΔR/
R)を向上させることが可能である。
【0171】図8に示す実施形態では前記反強磁性層2
6の上に形成された固定磁性層27は3層構造で形成さ
れる。
【0172】前記固定磁性層27を構成する符号51及
び53の層は磁性層であり、例えばCo、CoFe、N
iFe、CoFeNiなどで形成される。前記磁性層5
1,53間にはRuなどで形成された中間層52が介在
し、この構成により、前記磁性層51と前記磁性層53
の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆ
る人工フェリ状態と呼ばれ、この構成により前記固定磁
性層27の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁
性層27と反強磁性層26との界面で発生する交換異方
性磁界を見かけ上大きくすることができる。
【0173】同様に、前記固定磁性層27の上に非磁性
中間層28を介して形成されたフリー磁性層29も3層
構造で形成され、前記フリー磁性層29を構成する符号
54及び56の層はCo、CoFe、NiFe、CoF
eNiなどの磁性層であり、前記磁性層54,56間に
Ruなどの中間層55が介在する。これによって前記磁
性層54,56の磁化は互いに反平行にされ、前記フリ
ー磁性層29の磁化を安定した状態にでき、フリー磁性
層29全体としての磁気的な膜厚を薄く形成できる。こ
れによって前記フリー磁性層の磁化は、前記磁性層5
4,56が外部磁界に対し反平行を保ちながら反転しや
すくなり、再生特性の向上を図ることができる。
【0174】なお前記人工フェリ構造は固定磁性層27
及びフリー磁性層29のどちらか一方において形成され
ていてもよい。この場合は特に固定磁性層27において
のみ形成されることが好ましい。
【0175】また前記磁性層51,53および磁性層5
4,56の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成され
る。また中間層52、55の膜厚は3Å〜10Å程度で
形成で形成される。
【0176】また図8に示す実施形態では、前記フリー
磁性層29の上に、金属材料あるいは非磁性金属のC
u,Au,Agからなるバックド層57が形成されてい
る。また前記バックド層57の上に形成される保護層3
0はTaなどから成り、その表面が酸化された酸化層で
あることが好ましい。
【0177】前記バックド層57が形成されることによ
って、磁気抵抗効果に寄与する+スピン(上向きスピ
ン)の電子における平均自由行程(mean free
path)を延ばし、いわゆるスピンフィルター効果
(spin filter effect)により磁気
抵抗効果素子において、大きな抵抗変化率が得られ、高
記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造すること
ができる。
【0178】前記多層膜31の両側領域31b、31b
には、例えば図3と同様に下から第2の反強磁性層42
及び軟磁性層33が積層されている。図8のようにフリ
ー磁性層29がフェリ構造であるときは、一方の磁性層
54、56の両側端部のみに前記軟磁性層33の端部が
接するように前記第2の反強磁性層42及び軟磁性層3
3の膜厚を調整することが好ましい。これにより前記一
方の磁性層が前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に
磁化され、他方の磁性層の磁化が前記一方の磁性層の磁
化方向と反平行にされて、安定した人工フェリ状態を維
持できる。
【0179】ただし前記磁性層54、56の双方の両側
端部に前記軟磁性層33の端部が接して形成されていて
も良い。前記磁性層54、56は、飽和磁化Msと膜厚
tとをかけて求められる単位面積当たりの磁気モーメン
トが異なっており、前記磁気モーメントが大きい方の磁
性層が優先的に前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向
に磁化され、磁気モーメントの小さい方の磁性層の磁化
は、前記磁気モーメントの大きい磁性層の磁化方向と反
平行に向けられるようになっている。
【0180】また図8に示すように前記軟磁性層33の
上には図7に示す実施形態と同様に電極層49を形成し
ても良いし、形成しなくても良い。また前記多層膜31
からトラック幅方向に離れた位置に形成された電極層3
7を前記軟磁性層33上にまで延ばして形成しても良
い。
【0181】また図8に示す前記多層膜31の両側領域
31b、31bの膜構成は、図1と同様に下から電極層
32及び軟磁性層33の順に積層されたものであっても
良い。
【0182】図9は本発明における別の好ましい多層膜
31の構造を示す部分拡大断面図である。
【0183】図9では、下地層23の上に3層のフェリ
構造で形成されたフリー磁性層29が形成されている。
また前記フリー磁性層29の上には非磁性中間層28を
介して、3層のフェリ構造で形成された固定磁性層27
が形成されている。また前記固定磁性層27の上には反
強磁性層26及び保護層30が形成されている。
【0184】前記フリー磁性層29を構成する磁性層5
4、56及び固定磁性層27を構成する磁性層51、5
3は、Co、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの
磁性層であり、符号55、52がRuなどの中間層であ
る。また前記磁性層51,53および磁性層54,56
の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また
中間層52、55の膜厚は3Å〜10Å程度で形成され
る。
【0185】図9における実施形態では、前記多層膜3
1の両側領域31b、31bには、下から下地層40、
軟磁性層33及び電極層32が積層形成されている。す
なわち図2と同じ積層構成である。
【0186】図9に示す実施形態では、前記フリー磁性
層29は3層のフェリ構造で形成されているから、磁性
層54、56のうち一方の磁性層の両側端部にのみ前記
軟磁性層33の端部が接合されていることが好ましい。
これによって前記フリー磁性層29の人工フェリ状態を
安定化することができる。ただし前記磁性層54、56
の双方の両側端部に前記軟磁性層33の端部が接して形
成されていても良い。前記磁性層54、56は、飽和磁
化Msと膜厚tとをかけて求められる単位面積当たりの
磁気モーメントが異なっており、前記磁気モーメントが
大きい方の磁性層が優先的に前記軟磁性層33の磁化方
向と同一方向に磁化され、磁気モーメントの小さい方の
磁性層の磁化は、前記磁気モーメントの大きい磁性層の
磁化方向と反平行に向けられるようになっている。
【0187】また図9に示す実施形態では図4と同様に
前記軟磁性層33の上に第2の反強磁性層42が形成さ
れていている構造であっても良い。また図7と同様に前
記第2の反強磁性層42の上に電極層49が重ねて形成
されていても良い。
【0188】なお図9では、固定磁性層27及びフリー
磁性層29の一方が上記の人工フェリ構造であっても良
い。この場合、固定磁性層27が人工フェリ磁性構造と
されることが好ましい。
【0189】図10は本発明における別の多層膜31の
好ましい構造を示す部分拡大断面図である。
【0190】図10に示す多層膜31の構造は図1ない
し図9とは異なりデュアルスピンバルブ型と呼ばれるも
のである。
【0191】図10に示すように、下地層23の上には
第1の反強磁性層58が形成され、その上にはRuなど
の中間層52を介してCo、CoFe、NiFe、Co
FeNiなどの磁性層51、53が対向する3層のフェ
リ構造の第1の固定磁性層60が形成される。さらに前
記第1の固定磁性層60の上には非磁性中間層28を介
して、Ruなどの中間層55を介してCo、CoFe、
NiFe、CoFeNiなどの磁性層54、56が対向
する3層のフェリ構造のフリー磁性層29が形成され
る。さらに前記フリー磁性層29の上には非磁性中間層
28を介して、Ruなどの中間層52を介してCo、C
oFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層51、5
3が対向する3層のフェリ構造の第2の固定磁性層61
が形成される。さらに前記第2の固定磁性層61の上に
は反強磁性層59が形成され、前記反強磁性層59の上
には、保護層30が形成される。
【0192】前記フリー磁性層の磁性層54、56の磁
化は反平行状態にされており、前記磁性層54と対向す
る第1の固定磁性層60の磁性層53の磁化が図示Y方
向に固定されている場合、前記磁性層56と対向する第
2の固定磁性層61の磁性層53の磁化は図示Y方向と
逆方向に固定されるようになっている。
【0193】また前記フリー磁性層29が単層、あるい
はNiFe合金などの磁性層の上下にCoのなどの磁性
層が形成された3層の磁性層構造である場合には、前記
第1の固定磁性層60及び第2の固定磁性層61の磁性
層53は共に同じ方向(例えば図示Y方向)に固定され
る。
【0194】図10に示すように前記多層膜31の両側
には、図2と同様に、軟磁性層33とその上に電極層3
2とが積層形成されている。図10では前記フリー磁性
層29は3層の人工フェリ構造であるから、前記軟磁性
層33の端部は、前記フリー磁性層29の一方の磁性層
54の両側端部のみ接合されるように、前記軟磁性層3
3の膜厚を調整することが好ましい。これにより前記フ
リー磁性層29の人工フェリ構造を安定化させることが
できる。ただし前記磁性層54、56の双方の両側端部
に前記軟磁性層33の端部が接して形成されていても良
い。前記磁性層54、56は、飽和磁化Msと膜厚tと
をかけて求められる単位面積当たりの磁気モーメントが
異なっており、前記磁気モーメントが大きい方の磁性層
が優先的に前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に磁
化され、磁気モーメントの小さい方の磁性層の磁化は、
前記磁気モーメントの大きい磁性層の磁化方向と反平行
に向けられるようになっている。
【0195】また図10では、図4と同様に前記軟磁性
層33の上に第2の反強磁性層42が形成された構造で
あっても良く、あるいは図7と同様に前記第2の反強磁
性層42の上にさらに電極層49が重ねて形成されてい
る構成であってもよい。あるいは前記電極層49を形成
せず、前記多層膜31よりもトラック幅方向に離れた位
置に形成された電極層37を前記第2の反強磁性層42
にまで延ばして形成してもかまわない。
【0196】また本発明は、トンネル型磁気抵抗効果型
素子と呼ばれる磁気検出素子にも適用可能である。トン
ネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性中間層28がA
23やSiO2などの絶縁材料で形成される。またト
ンネル型磁気抵抗効果型素子の場合、電極層は、多層膜
31の上下に形成される。したがってトンネル型磁気抵
抗効果型素子に本発明を適用する場合には、図3や図4
のように多層膜31の両側に第2の反強磁性層42と軟
磁性層33を形成し、前記多層膜31の上下に電極層を
形成する形態や、あるいは図1や図2を利用するとき
は、多層膜31の両側に軟磁性層33のみを形成し、前
記多層膜31の上下に電極層を形成する形態が考えられ
る。
【0197】なお本発明における磁気検出素子は、ハー
ドディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用
可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサ
などにも使用可能なものである。
【0198】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フリー磁
性層の両側に軟磁性層を介してバイアス層を設けること
で、従来のように前記フリー磁性層への前記バイアス層
の保磁力の転写の問題やバックリング現象の問題は起こ
らず、また前記フリー磁性層と前記バイアス層間に介在
する前記軟磁性層の磁化は前記バイアス層からの縦バイ
アス磁界によってトラック幅方向に向けられているた
め、前記軟磁性層との強磁性結合により、前記フリー磁
性層の磁化は、適切にトラック幅方向に揃えられる。
【0199】よって本発明では、従来のようにヒステリ
シスが生じず、また再生波形の安定性に優れた磁気検出
素子を製造することができる。
【0200】また本発明では、前記軟磁性層に重ねて第
2の反強磁性層を形成することで、前記軟磁性層の磁化
が適切にトラック幅方向に固定されるので、外部磁界が
侵入してきても、前記外部磁界によって前記軟磁性層の
磁化が回転することが無い。したがって本発明では、サ
イドリーディングの問題は発生せず、ノイズの発生がな
い再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造するこ
とが可能になっている。
【0201】また本発明における磁気検出素子を備えた
薄膜磁気ヘッドであれば、上記効果に加えて、上部ギャ
ップ層を電気的短絡が無いように容易に形成でき、さら
に前記多層膜のトラック幅方向の両側におけるシールド
層間の距離を小さくできることで実効トラック幅を小さ
くでき、クロストークの問題を低減させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図2】本発明における第2の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図3】本発明における第3の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図4】本発明における第4の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図5】本発明における第5の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図6】本発明における第6の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図7】本発明における第7の実施形態の磁気検出素子
を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見
た部分断面図、
【図8】本発明の好ましい多層膜の構造を記録媒体との
対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明の別の好ましい多層膜の構造を記録媒体
との対向面側から見た部分断面図、
【図10】本発明の別の好ましい多層膜の構造を記録媒
体との対向面側から見た部分断面図、
【図11】図3に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す
一工程図、
【図12】図11に示す工程の次に行われる一工程図、
【図13】図12に示す工程の次に行われる一工程図、
【図14】図13に示す工程の次に行われる一工程図、
【図15】従来における薄膜磁気ヘッドを記録媒体との
対向面側から見た部分断面図、
【図16】従来における別の薄膜磁気ヘッドを記録媒体
との対向面側から見た部分断面図、
【符号の説明】
20 下部シールド層 21 下部ギャップ層 22 磁気検出素子 23、40 下地層 26、47 反強磁性層 27 固定磁性層 28 非磁性中間層 29 フリー磁性層 30 保護層 32、37、48、49 電極層 33 軟磁性層 35 バイアス下地層 36 ハードバイアス層 38 上部ギャップ層 39 上部シールド層 42 第2の反強磁性層 45、46 レジスト層 50 シードレイヤ 57 バックド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/12 G01R 33/06 R

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反強磁性層と、この反強磁性層と接して
    形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁
    化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非
    磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを有する
    多層膜が設けられ、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側には軟磁性層
    を介してバイアス層が設けられていることを特徴とする
    磁気検出素子。
  2. 【請求項2】 前記多層膜は、下から反強磁性層、固定
    磁性層、非磁性中間層、およびフリー磁性層の順に積層
    され、前記多層膜の両側領域に、電極層と、その上に前
    記軟磁性層とが積層されている請求項1記載の磁気検出
    素子。
  3. 【請求項3】 前記多層膜は、下からフリー磁性層、非
    磁性中間層、固定磁性層、および反強磁性層の順に積層
    され、前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その
    上に電極層とが積層されている請求項1記載の磁気検出
    素子。
  4. 【請求項4】 第1の反強磁性層と、この反強磁性層と
    接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界に
    より磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性
    層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを
    有する多層膜が設けられ、 前記多層膜のトラック幅方向の両側領域には、第2の反
    強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に形成
    される軟磁性層とが設けられ、前記軟磁性層のトラック
    幅方向の両側にはバイアス層が設けられていることを特
    徴とする磁気検出素子。
  5. 【請求項5】 前記多層膜は下から、第1の反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性中間層およびフリー磁性層の順
    で積層され、前記多層膜の両側領域に、前記第2の反強
    磁性層と、その上に前記軟磁性層とが積層されている請
    求項4記載の磁気検出素子。
  6. 【請求項6】 前記多層膜は下からフリー磁性層、非磁
    性中間層、固定磁性層及び第1の反強磁性層の順で積層
    され、前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その
    上に前記第2の反強磁性層とが積層されている請求項4
    記載の磁気検出素子。
  7. 【請求項7】 前記軟磁性層は、NiFe合金、CoF
    e合金、あるいはNiFeCo合金で形成される請求項
    1ないし6のいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 【請求項8】 前記軟磁性層は、NiFeX合金(ただ
    し元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、Ir、Re、R
    uのうちいずれか1種または2種以上)で形成される請
    求項1ないし6のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記軟磁性層の残留磁化×膜厚は、前記
    バイアス層の残留磁化×膜厚に比べて小さい請求項1な
    いし8のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 前記フリー磁性層のトラック幅方向の
    端面の中心からトラック幅方向における前記軟磁性層の
    幅寸法は、500Å以上で2000Å以下である請求項
    1ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  11. 【請求項11】 少なくとも前記バイアス層の下には、
    バイアス下地層が形成されている請求項1ないし10の
    いずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 【請求項12】 前記バイアス下地層は、結晶構造がb
    cc構造の金属膜で形成されたものである請求項11記
    載の磁気検出素子。
  13. 【請求項13】 前記バイアス下地層はCr,W,M
    o,V,Mn,Nb,Taのうちいずれか1種または2
    種以上の金属膜で形成される請求項12記載の磁気検出
    素子。
  14. 【請求項14】 少なくとも前記バイアス層の上には電
    極層が形成されている請求項1ないし13のいずれかに
    記載の磁気検出素子。
  15. 【請求項15】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。 (a)第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及
    びフリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
    (b)前記多層膜に、ハイト方向の第1の磁界を印加し
    つつ、第1の熱処理温度で熱処理を行い、前記第1の反
    強磁性層と固定磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、
    前記固定磁性層の磁化を前記ハイト方向に固定する工程
    と、(c)前記多層膜の両側領域に第2の反強磁性層
    と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に対向する軟磁
    性層とを積層し、トラック幅方向に、前記第1の反強磁
    性層の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加し
    つつ、前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よりも
    低い第2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反強磁
    性層と軟磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記軟
    磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する工程と、
    (d)前記第2の反強磁性層及び前記軟磁性層の両側に
    バイアス層を形成し、前記バイアス層の上に電極層を形
    成する工程。
  16. 【請求項16】 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁
    性層を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,R
    h,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素であ
    る)とMnとを含有する反強磁性材料で形成する請求項
    15記載の磁気検出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁
    性層をX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,
    Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,S
    i,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Z
    n,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,S
    n,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元
    素のうち1種または2種以上の元素である)で形成する
    請求項15記載の磁気検出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 下部シールド層上に下部ギャップ層を
    介して、請求項1ないし14のいずれかに記載された磁
    気検出素子が形成され、前記磁気検出素子上に上部ギャ
    ップ層を介して上部シールド層が形成されることを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
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