JP3699000B2 - スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法 - Google Patents

スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、固定磁性層の磁化の方向と外部磁界の影響で変化するフリー磁性層の磁化の方向との関係で電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
ハードデイスクなどの記録媒体からの記録磁界を検出して電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜素子(スピンバルブ型薄膜磁気ヘッド)について、従来の構造を図14に示す。
【0003】
このスピンバルブ型薄膜素子には、同図に示すように、トラック幅Twに対応した所定の領域(以下、トラック領域)に、反強磁性層101、固定磁性層102、非磁性導電層103およびフリー磁性層104を積層した略台形状を呈し磁気抵抗効果を発揮する多層膜100を設けるとともに、この両側(以下、両側領域とよぶ)に、ハードバイアス層105、電極層106などを一対設けた構成のものが知られている。
【0004】
このように構成されたスピンバルブ型薄膜素子では、フリー磁性層104の磁化方向が、トラック幅(X)方向に磁化されているハードバイアス層105(バイアス磁界)の磁界により、同じX方向へ揃えられる。また、このスピンバルブ型薄膜素子では、ハードバイアス層105の上に形成された電極層106から固定磁性層102、非磁性導電層103およびフリー磁性層104に定常電流(センス電流)が与えられる。
【0005】
一方、図示外の記録媒体の走行方向は積層(Z)方向であり、この記録媒体からの信号磁界がハイト(Y)方向に与えられると、フリー磁性層104内での磁化の方向がX方向からY方向へ向けて変化する。従って、このフリー磁性層104内での磁化の方向の変動と、固定磁性層102の固定磁化方向との関係で電気抵抗値が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの信号磁界が検出される。
【0006】
ところで、このようなスピンバルブ型薄膜素子では、例えばCrなどのバイアス下地層107を介在させることにより、ハードバイアス層105の結晶性を高めてバイアス磁界を増大させることが可能になっており、フリー磁性層104の単磁区化が行い易くなる。
【0007】
ところが、このような構成のスピンバルブ型薄膜素子では、例えばバイアス下地層107を設けた構成のものでは、このバイアス下地層107の多層膜100上面100Aに向けて傾斜した領域(以下、これを傾斜部とよぶ)がこれら双方の間に介在されている。従って、このバイアス下地層107の膜厚が厚いと、バイアス下地層107の傾斜部の影響で、ハードバイアス層105からフリー磁性層104に作用するバイアス磁界が弱められてしまう。このため、安定性が確保できず、良好な再生特性が得られない。
【0008】
一方、このバイアス下地層107の膜厚が薄いと、反強磁性層101とハードバイアス層105との間で不要な交換結合磁界を生じ、双方の磁化が互いに影響を受けて反強磁性層101の磁化方向とハードバイアス層105の磁化方向との直交性が損なわれる虞れがある。
【0009】
また、このような構成のスピンバルブ型薄膜素子では、図14において、多層膜100の傾斜した側面100Bにハードバイアス層105の傾斜した領域105A(以下、傾斜部とよぶ)が隣接して乗り上げ、特にフリー磁性層104の両側には先細りした傾斜部105Aのみしか隣接していないために、フリー磁性層104に十分なバイアス磁界を印加できない虞れがある。即ち、ハードバイアス層105の平坦な領域105B(以下、平坦部とよぶ)がフリー磁性層104に隣接して配置されていないため、フリー磁性層104に十分なバイアス磁界が印加できず、バルクハウゼンノイズを生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記した事情に鑑み、再生特性の安定化の確保と狭トラック化に好適なスピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、トラック領域に、少なくとも反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピンバルブ型薄膜素子であって、前記多層膜が、記録媒体との対向面から見たときに、積層方向の下部に位置する基部と、前記フリー磁性層を含み前記基部上に積層された突出部とを有する全体略凸形状を呈し、前記基部には、少なくとも前記反強磁性層の全ておよび前記固定磁性層の一部が含まれ、前記基部の両側領域には前記第1のハードバイアス層が形成・配置されるとともに、前記突出部の両側領域にはフリー磁性層の両側面に直接接触して前記第2のハードバイアス層が形成・配置され、前記第2のハードバイアス層の平坦部の上面の方が前記フリー磁性層の上面よりも上方に配置されるとともに、前記平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面よりも下方に配置され、前記突出部の両側領域に形成された第2のハードバイアス層が、前記基部の両側領域に形成された第1のハードバイアス層に接触するように積層されたことを特徴としている。
【0013】
前記第1のハードバイアス層の下にバイアス下地層を設けることが好ましい。
【0014】
前記バイアス下地層が、Crからなり、少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含んでいるのが好ましい。
【0015】
前記第1および第2のハードバイアス層のうち少なくとも一方が、CoPt合金またはCoCrPt合金であるのが好ましい。
【0016】
前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含んだ構成であるのが好ましい。
【0017】
前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、[002]面が膜面垂直方向に優先配向した構成であるのが好ましい。
【0018】
前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含み、[002]面が優先配向しているのが好ましい。
【0019】
前記多層膜中のフリー磁性層の上に、非磁性導電材料からなるバックド層が成膜されているのが好ましい。
【0020】
前記多層膜中に、鏡面反射層が成膜されていてもよい。
【0021】
前記フリー磁性層が、下から順に、第1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積層した構成でもよい。
【0022】
前記固定磁性層が、下から順に、第1の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層した構成でもよい。
【0023】
また、この発明のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法は、トラック領域に、少なくとも反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー磁性層を含んで順に積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピンバルブ型薄膜素子の製造方法であって、前記トラック領域の多層膜を残してその両側領域の下部ギャップ層の一部まで除去し、前記トラック領域の多層膜を挟んで除去した前記両側領域に、第1のハードバイアス層を積層した後、前記多層膜のフリー磁性層が積層された深さよりも深く、前記多層膜の両側領域に接する側面を含む側面部と両側領域を除去して前処理を行い、この前処理により、前記多層膜を、記録媒体との対向面から見たときに、積層方向の下部に位置する基部とフリー磁性層を含み基部上に積層された突出部とを有する全体凸形状に形成し、前記基部には、少なくとも反強磁性層の全て及び固定磁性層の少なくとも一部が含まれていて、その後、その除去した多層膜の側面部および両側領域に、第1のハードバイアス層に接触して第2のハードバイアス層を積層させることを特徴としている。
【0025】
また、この製造方法では、前記第2のハードバイアス層は、フリー磁性層の側面に接する傾斜部から離間した平坦部の上面の方が、フリー磁性層の上面よりも上方位置に配置されるとともに、平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面よりも下方に配置され、
この第2のハードバイアス層の直下には、前記突出部の側面に当接して、前記第2のハードバイアス層の成膜工程より前の工程で成膜された第1のハードバイアス層が成膜される。
【0026】
また、この製造方法では、前記第1のハードバイアス層の下にバイアス下地層を設けることが好ましい。
【0027】
また、この製造方法では、前記バイアス下地層は、Crからなり、少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に配向していることが好ましい。
【0028】
また、この製造方法では、前記第1および第2のハードバイアス層のうちの少なくとも一方は、CoPt合金またはCoCrPt合金のいずれかよりなるのが好ましい。
【0029】
また、この製造方法では、前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向する結晶を含んでいるのが好ましい。
【0030】
また、この製造方法では、前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、[002]面が膜面垂直方向に優先配向しているのが好ましい。
【0031】
また、この製造方法では、前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直方向に配向する結晶を含み、[002]面が優先配向しているのが好ましい。
【0032】
前記多層膜中にバックド層が成膜されていてもよい。
【0033】
前記多層膜中に鏡面反射層が成膜されていてもよい。
【0034】
前記フリー磁性層が、下から順に、第1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積層した構成でもよい。
【0035】
前記固定磁性層が、下から順に、第1の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層する構成でもよい。
【0036】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する
[第1の実施形態]
図1はこの発明の第1の実施形態に係る薄膜磁気ヘッド1の製造途中の状態を図示外のハードディスクなどの磁気記録媒体との対向面であるABS面から見た断面図である。この薄膜磁気ヘッド1には、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素子の一種であるボトムスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2を使用している。
【0037】
この薄膜磁気ヘッド1は、図示外のハードデイスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられており、磁気記録媒体に超高密度で記録されている記録磁気情報を検出する。ここで、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は積層(Z)方向であり、この磁気記録媒体からの信号磁界の方向はハイト(Y)方向である。なお、この薄膜磁気ヘッド1は、再生用の磁気ヘッドとして使用するが、この薄膜磁気ヘッド1の上(Z方向)には記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。
【0038】
図1において、最下層に位置する基板12はアルミナチタンカーバイト(AlTiC)などのセラミックス材料で形成されている。この基板12の上には、図示外の保護層(アンダコート)が形成されている。この保護層は、アルミナ(Al23)などで形成されている。
【0039】
保護層の上には、下部シールド層13が形成されている。この下部シールド層13は、磁気抵抗効果素子2の下部側において、磁気シールドを行うためのものであり、磁性材料で形成されている。
【0040】
さらに、この下部シールド層13の上部には、下部ギャップ層14が形成されている。この下部ギャップ層14は、後述する電極層34と下部シールド層13との間の電気的絶縁性を確保するためのものであり、アルミナ(Al23)が材料として使用されている。
【0041】
そして、この下部ギャップ層14の上面α(磁気抵抗効果素子の形成面)には、磁気抵抗効果素子2が形成されている。
【0042】
この磁気抵抗効果素子2には、ボトムスピンバルブ型の薄膜素子とよばれる構成の磁気抵抗効果を発揮する多層膜20を有する。
【0043】
この多層膜20には、下から順に、シードレイヤ層21、反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性導電層24、フリー磁性層25、バックド層26、保護層27を積層させている。この多層膜20では、この上面20dの幅寸法が光学的に測定可能なトラック幅(Tw2)を構成している。
【0044】
この多層膜20は、後に詳述するが、まず各層を磁気抵抗効果素子2の形成面α上に成膜した後、この多層膜20の中央部の上面20dに第1のリフトオフ用のレジスト膜R1(図6及び図7参照)を形成し、この第1のレジスト膜R1に覆われていない多層膜20の両側の領域(以下、両側領域とよぶ)をイオンミリングなどでエッチングして除去する。
【0045】
この場合、さらに、第2のリフトオフ用のレジスト膜R2(但し、第2のレジスト膜R2の方が第1のレジスト膜R1よりも、0.2〜0.4μm小さい)を形成し、再度、エッチングする。このため、多層膜20は、図1に示すような全体略凸形状に形成できる。
【0046】
この多層膜20は、ABS面側からハイト方向を見たときに、図1に示す概略断面において、積層(Z)方向下部でステップ面20bに相当する部分だけトラック幅(X)方向に延びる基部Bと、この基部B上の突出部Cとを有する構造となっており、基部Bにはシードレイア層(下地層)21、反強磁性層22及び固定磁性層23の一部が含まれるとともに、突出部Cには固定磁性層23の大部分、非磁性導電層24、フリー磁性層25、バックド層26及び保護層27が含まれている。
【0047】
シードレイヤ層21は、下地層(図略)と、この上に積層した非磁性材料あるいは磁性材料で形成された配向層(図略)とで構成される。なお、このシードレイヤ層21は、一層の非磁性材料あるいは磁性材料で形成された配向層のみで構成してもよいが、配向層の結晶配向を整えるためには下地層を形成している方が好ましい。
【0048】
下地層は、Ta(タンタル),Hf(ハフニウム),Nb(ニオブ),Zr(ジルコニウム),Ti(チタン),Mo(モリブデン),W(タングステン)のうち少なくとも1種または2種以上で形成するのが好ましい。
【0049】
一方、配向層は、上記のように磁性材料あるいは非磁性材料で形成するが、特に高抵抗材料で形成するのが好ましい。この配向層は、例えばNiFeY合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種以上)で形成するのが好ましい。このうち、配向層はNiFeCr合金で形成するのがより好ましい。この配向層の(111)面を、より適切に反強磁性層22との界面と平行な方向に優先配向させることができ、さらに高比抵抗にできるからである。
【0050】
また、配向層が高比抵抗であると、後述する電極層34から流れるセンス電流のシードレイヤ層21への分流を抑制することが可能である。これによって抵抗変化率(ΔMR)を向上させることができ、またバルクハウゼンノイズを減少させることができる。
【0051】
シードレイヤ層21の上面(磁気抵抗効果素子の形成面α)には、反強磁性層22が形成される。この反強磁性層22は、PtMn(プラチナマンガン)から形成されているが、例えば、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、あるいは、元素Xと元素X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料により形成することができる。これらの反強磁性材料は、耐食性に優れ、しかもブロッキング温度も高く、次に説明する固定磁性層23との界面で大きな交換結合磁界を発生し得る。
【0052】
次に、この反強磁性層22の上には固定磁性層23が形成されている。
固定磁性層23は、第1の固定磁性層23A、非磁性中間層23Bおよび第2の固定磁性層23Cで構成されたシンセティックフェリピンド層(SFP)で構成されているが、単層構造であってもよい。第1の固定磁性層23Aおよび第2の固定磁性層23Cは、例えばCoFe合金で形成されているが、Co膜、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合金などで形成してもよい。なお、非磁性中間層23Bは、Ru、Rh、Irなどの材料で形成されている。
【0053】
この3層構成により、第1の磁性層23Aと第2の磁性層23Cの磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆるフェリ磁性状態と呼ばれるものであり、固定磁性層23の磁化を安定した状態にでき、また固定磁性層23と反強磁性層22との界面で発生する交換結合磁界を大きくすることができる。
この固定磁性層23が積層された後、ハイト方向(図示Y方向)への磁場中アニールを施すことで、固定磁性層23と反強磁性層22との界面で発生する交換結合磁界により、固定磁性層23の磁化はハイト方向(図示Y方向)に強固に固定される。
【0054】
この固定磁性層23の上には非磁性導電層24が形成されている。この非磁性導電層24は、例えばCuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成される。
【0055】
次に、前記非磁性導電層24の上にはフリー磁性層25が形成される。このフリー磁性層25は、NiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などにより形成される。また、このフリー磁性層25は、非磁性導電層24と対向する側にCr又はCo膜をさらに設けてもよい。これにより、非磁性導電層24との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率(ΔGMR)を大きくすることができる。
【0056】
なお、このフリー磁性層25としては、第1のフリー磁性層、非磁性中間層及び第2のフリー磁性層を有するシンセティックフェリフリー(SFF)構造であってもよい。このシンセティックフェリフリー構造の場合には、第1のフリー磁性層及び第2のフリー磁性層には、それぞれ単層のものであって、CoFeNi合金が組成を限定して使用する一方、非磁性中間層には、Ru、Rh、Irなどが材料として使用可能であるがRuが好ましい。
【0057】
これにより、同様に、第1のフリー磁性層及び第2のフリー磁性層の磁化は互いに反平行とされ、各フリー磁性層の磁化を安定した状態に保持でき、各フリー磁性層の磁気的な膜厚を薄く形成できる。その結果、フリー磁性層の磁化は、第1及び第2の磁性層が外部磁界に対し反平行を保ちながら反転しやすくなり、再生特性の向上を図ることができる。このフェリ構造は、固定磁性層23及びフリー磁性層25のどちらか一方において形成されていてもよい。
【0058】
次に、フリー磁性層25の上には、バックド層26が形成されている。このバックド層26は、例えば、Cu等の金属材料や非磁性導電材料からなり、Au、Ag、Cuからなる群から選択された材料から構成することができる。このバックド層26により、磁気抵抗効果に寄与するアップスピン(上向きスピン;up spin)の電子における平均自由工程(mean free path)を延ばし、所謂スピンフィルター効果(spin filter effect)により、スピンバルブ型薄膜素子において、大きなΔR/R(抵抗変化率)が得られ、高密度記録化に対応可能となる。
【0059】
なお、このバックド層26の上に鏡面反射層を積層させてもよい。このように構成すれば、スピンフィルター効果と同時に、鏡面反射効果(specular effect)を発現させることができ、アップスピンの伝導電子の平均自由工程を大幅に伸ばすことができるので、ダウンスピン(下向きスピン;down spin)の伝導電子との平均自由工程差を十分拡大させることができるようになり、さらに抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができる。
【0060】
なお、鏡面反射層を構成する絶縁材料としては、α−Fe23、NiO、CoO、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al23、Al−Q−O(ここで、Qは、B、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上の原子)、R−O(ここで、Rは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の原子)等の酸化物、Al−N、AL−Q−N(ここで、Qは、B、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上の原子)、R−N(ここで、Rは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の原子)などの窒化物などを挙げることができる。
【0061】
ここで、鏡面反射層として、α−Fe23やNiOなどの反強磁性体を用いた場合、鏡面反射層によって、バイアス層の一部、または全部を兼ねることができる。さらに、この鏡面反射層を構成する絶縁材料として、また、半金属ホイスラー合金からなる手段を採用することができ、NiMnSb、PtMnSbのいずれか1つ以上の単層膜または多層膜でもよい。これらの材料を採用することで、隣接する層との間に、十分なポテンシャル障壁を形成することが可能であり、これにより十分な鏡面反射効果を得ることができる。
【0062】
さらに、このバックド層26の上には、保護層27が形成される。この保護層27はTaなどで形成される。
【0063】
上記したシードレイヤ層21から保護層27までの各層で構成される多層膜20には、シードレイヤ層21から反強磁性層22及び固定磁性層23の一部までで構成する基部Bのトラック幅(X)方向の両側面2aが、連続した第1の傾斜面20aを形成している。さらに、この基部Bの上面であるステップ面20bから上には、突出部Cのトラック幅(X)方向の両側面2aが前記保護層30の上面まで連続した第2の傾斜面20cを形成している。
【0064】
多層膜20は、各層を形成面α上に成膜した後、(幅広の)リフトオフ用の第1のレジスト膜R1及び第1のレジスト膜R1よりも幅を狭めた(幅狭の)リフトオフ用の第2のレジスト膜R2を用い、これらのレジスト膜R1に覆われていない多層膜20の両側領域が、再度、イオンミリングなどでエッチングして除去される。これにより、多層膜20は、磁気記録媒体との対向面であるABS面から眺めたときに、第1の傾斜面と第2の傾斜面との間にトラック幅(X)方向に平行なステップ面20bを形成した、全体略凸形状に形成される。
【0065】
即ち、多層膜20の両側領域において、シードレイヤ層21の一部のみを残しその上側の各層全てを除去し、例えば、図6、図7に示すような台形状に形成する。この場合、多層膜20の基部Bの両側面2a、つまり第1の傾斜面20aの形成面αに対する傾きは、この両側領域の多層膜を、例えばリフトオフ法でエッチングして除去することにより、所望の角度に形成できる。
【0066】
このように台形状に形成した多層膜20の両側領域には、下から順にバイアス下地層31、第1のハードバイアス層32、第2のハードバイアス層33、電極層34及び図示外の保護層がそれぞれ積層されている。このうち、第2のハードバイアス層33は、図10に示すように、ステップ面20bの上に形成されており、第2のハードバイアス層33の平坦部33aが、フリー磁性層25の両側領域に直接、隣接して配置されている。第2のハードバイアス層33をこのような構造にすることで、十分なバイアス磁界をフリー磁性層25に印加することができるようになる。
【0067】
なお、この多層膜20を挟んだ両側領域には、磁気記録媒体に臨む対向面であるABS面から見たときに、積層方向下方において、多層膜20の基部Bのトラック幅(X)方向両側の側面2a(第1の傾斜面20a)に接して設けた両側基部Eと、基部Bのステップ面20bに上から接する状態でこの両側基部E上に積層して設けた両側上部Fとを有する構造となっている。このうち、両側基部Eには、バイアス下地層31及び第1のハードバイアス層32が含まれるとともに、両側上部Fには、第2のハードバイアス層33及び電極層34が含まれる。
【0068】
また、図10において、第2のハードバイアス層33では、フリー磁性層25の側面、つまり第2の傾斜面20cに直接接触して配置する傾斜部33bと,この傾斜部33bの下部に設けた平坦部33aとを備えた構成であるが、この平坦部33aの上面βの方がフリー磁性層25の上面25aよりも上方位置に配置される。一方、この平坦部33aの下面γの方は、フリー磁性層25の下面25bよりも下方に配置される。なお、この実施形態の第2のハードバイアス層33は第1のハードバイアス層32に電気的に接触している。
【0069】
図2は、図1に示す薄膜磁気ヘッドの左側部分のみを拡大した部分断面図である。この図2に示すように、多層膜20の両側領域において、形成面α上には、下から順位に、バイアス下地層31、第1のハードバイアス層32、第2のハードバイアス層33、電極層34が形成されている。
【0070】
この図2から分かるように、第2のハードバイアス層33には、多層膜20の突出部Cの両側面2a(第2の傾斜面20c)との間にバイアス下地層31が形成されていないため、フリー磁性層25を第2のハードバイアス層33に直接接触させることができる。このため、バイアス磁界を強磁性結合により、直接フリー磁性層25に印加させることができるようになり、双方の間には、直接、交換結合力が作用して安定した再生出力を得ることができるようになる。この場合、第1のハードバイアス層32は、勿論、反強磁性層22に当接しないから、これら双方の間には交換結合力が作用するといった不都合を生じることがない。
【0071】
また、バイアス下地層31は、図10に示すように、下部ギャップ層14上に形成された平坦部31aと、この平坦部31a上に形成された傾斜部31bとで構成されるが、傾斜部31bの上部は、第2のレジスト膜R2を用いた2回目に行うミリングによって除去させてある。
【0072】
このバイアス下地層31は、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)を有する金属膜で形成されている。即ち、Cr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成されることが好ましいが、特に、Cr膜で形成することが好ましい。このCr膜は、第1のハードバイアス層32の結晶配向を整える機能に優れ、第1のハードバイアス層32の保磁力を適切に大きくすることができるからである。
【0073】
また、このバイアス下地層31は、Crを用いた場合、基板の法線となす角度θの方向からIBDで成膜するときの成膜角度θが20度(基板の法線方向を0度とした)で成膜すると、図11に示すように、優先結晶配向が(110)となる。また、体心立方格子(bcc)のCrを用いたバイアス下地層31では、例えば成膜角度θを50度で成膜すると、図12に示すように、優先結晶配向が(110)の他に、(211)、(200)となる。このように、Crの結晶配向方向に(211)や(200)が含まれると、第1のハードバイアス層32の一例であるCoPtとの結晶配向が[100]に優先配向し、六方晶であるCoPtのc軸が面内に向くような結晶配向を含むこととなり、第1のハードバイアス層32の保磁力を増大させることができる。
【0074】
このように、結晶構造及び結晶配向性を有する金属膜によってバイアス下地層31を形成する理由は、このバイアス下地層31上に形成される第1のハードバイアス層32の保磁力を増大させるためである。また、かりに、バイアス下地層31を反強磁性層22の上に形成すると、反強磁性層22の結晶配向の影響により、バイアス下地層31の結晶性が低下し、第1のハードバイアス層32の結晶性も低下することとなるが、本発明によれば、バイアス下地層31の下には、反強磁性層22が形成されていない。従って、このような事態も防止できる。
【0075】
次に、このバイアス下地層31上には第1のハードバイアス層32及び第2のハードバイアス層33が形成される。この第2のハードバイアス層33は、平坦部33aの下面γが、多層膜20の基部Bの上面、つまりステップ面20bに上から接する状態で、突出部Cの両側面2a(第2の傾斜面20c)に接するまでトラック幅(X)方向に延出して積層されている。なお、第1のハードバイアス層32及び第2のハードバイアス層33は、それぞれ、CoPt合金やCoPtCr合金などで形成される。これら合金の結晶構造は、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となっている。
【0076】
ここで、金属膜で形成されたバイアス下地層31と第1のハードバイアス層32を構成するCoPt系合金の(hcp)構造の格子定数は近い値となるために、第1のハードバイアス層32のCoPt系合金の結晶構造は、(fcc)構造を形成しづらく(hcp)構造で形成されやすくなる。このとき、(hcp)構造のc軸は、CoPt系合金の境界面内に優先配向される。この結果、(hcp)構造は、(fcc)構造に比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、第1のハードバイアス層32に磁界を与えたときの保磁力は大きくなる。
【0077】
そして、第1のハードバイアス層32に接して第2のハードバイアス層33が形成される。この第2のハードバイアス層33は、図2に示すように、平坦部33aの膜厚をDとすると、その膜厚の中間D/2に相当する位置が、膜厚dを有するフリー磁性層25の膜厚の中間位置d/2とほぼ一致するような状態で成膜されている。
【0078】
なお、第2のハードバイアス層33は、バイアス下地層31上に形成されて好ましい結晶配向に制御された第1のハードバイアス層32と直接接触して成膜されるため、強磁性結合により安定した大きなバイアス磁界を発生させることができる。しかも、この第2のハードバイアス層33は、第1のハードバイアス層32の直上またはバイアス下地層31の直上に成膜されるので、これらの層の影響により結晶配向が良好となる。
【0079】
また、この第2のハードバイアス層33上には、電極層34が形成される。この電極層34には、CrやAuなどのスパッタ成膜、あるいはTa膜が一般に使用されている。さらに、この電極層36上には、Taなどで形成された保護層37が形成される。
【0080】
以上のような構成の磁気抵抗効果素子2の上には、絶縁材料を使用して図示外の上部ギャップ層が形成され、この上部ギャップ層の上には磁性材料を使用して同じく図示外の上部シールド層が形成される。
【0081】
このように構成されたスピンバルブ型薄膜素子では、電極層34から固定磁性層23、非磁性導電層24およびフリー磁性層25に定常電流(センス電流)が与えられ、しかも磁気記録媒体からハイト(Y)方向へ磁界が与えられると、フリー磁性層25の磁化方向がトラック幅(X)方向からハイト(Y)方向に向けて変化する。このとき、フリー磁性層25と固定磁性層23の間では、非磁性導電層24と固定磁性層23との界面、及び非磁性導電層24とフリー磁性層25との界面で伝導電子のスピンに依存した散乱を起こし、電気抵抗が変化する。これにより、定常電流が変化し、再生出力を得ることができる。
【0082】
なお、この実施形態では、薄膜磁気ヘッド1に巨大磁気抵抗効果を利用したGMR素子の一種であるボトムスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2を使用しているが、この他に、例えば、次に述べるデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2´を使用してもよい。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、この実施形態において、先の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。
この第2の実施形態の磁気抵抗効果素子2´は、デュアルスピンバルブ型で構成されており、この多層膜20´については、前述のトップスピンバルブ型を構成する多層膜20´とは異なり、シード層(下地層)21よりも上層部分が、フリー磁性層25を中心にしてその上下に非磁性導電層24,27と、固定磁性層23,28と、反強磁性層22,29とが積層された構成となっている。また、これらの各層のうち、固定磁性層23及び固定磁性層28が、それぞれ非磁性中間層を介して2層に分断されている。
【0084】
即ち、この多層膜20´は、下から順に、シード層(下地層)21、(下側の)反強磁性層22、(下側の)固定磁性層23、(下側の)非磁性導電層24A、フリー磁性層25、(上側の)非磁性導電層24B、(上側の)固定磁性層28、(上側の)反強磁性層29及び保護層27とを積層させてある。
【0085】
このうち、下側の固定磁性層23は、下から順に、第1の固定磁性層23Aと、非磁性中間層23Bと、第2の固定磁性層23Cと積層してなる。フリー磁性層25は、下から順に、Co又はCoFe、CoFeNi等のCo合金からなる第2の強磁性層25Cと、NiFe等からなる第3の強磁性層25Bと、Co又はCoFe、CoFeNi等のCo合金からなる第1の強磁性層25Aとを積層してなる。
【0086】
一方、上側の固定磁性層28は、下から順に、第2の固定磁性層28Cと、非磁性中間層28Bと、第1の固定磁性層28Aとを積層してなる。これらは、下側の固定磁性層23と同一材料で形成される。なお、上側の非磁性導電層24Bは、下側の非磁性導電層24Aと同一材料で、また上側の反強磁性層29は下側の反強磁性層22と同一材料で形成される。
【0087】
なお、この多層膜20´でも、磁気記録媒体との対向面であるABS面側から見た図1に示す概略断面において、積層(Z)方向の下方でトラック幅(X)方向に延びる基部Bと、この基部Bの上の突出部Cとを有する構造となっている。そして、この基部Bには、シード層(下地層)21、(下側の)反強磁性層22及び(下側の)固定磁性層23の大部分が含まれる一方、突出部Cには、(下側の)固定磁性層23の一部、(下側の)非磁性導電層24A、フリー磁性層25、(上側の)非磁性導電層24B、(上側の)固定磁性層28、(上側の)反強磁性層29及び保護層27が含まれている。
【0088】
さらに、この多層膜20´を挟んだ両側領域には、第1の実施形態と同様に、磁気記録媒体を臨む対向面であるABS面から見たときに、積層方向の下方において、多層膜20´の基部Bのトラック幅(X)方向の両側に位置するとともに両側面2a、特に第1の傾斜面20aに接して設けた両側基部Eと、基部Bのステップ面20bに上から接する状態で積層するとともに両側面2a、特に第2の傾斜面20cに接して設けた両側上部Fとを有する構造となっている。このうち、両側基部Eには、バイアス下地層31及び第1のハードバイアス層32が含まれるとともに、両側上部Fには、第2のハードバイアス層33及び電極層34が含まれる。
【0089】
また、この実施形態では、第2のハードバイアス層33には、傾斜部(図1で33bの領域がこれに相当)が形成されておらず、平坦部(図1で33aの領域がこれに相当)のみの構成であり、この上面βの方がフリー磁性層25の上面25aよりも上方位置に配置される一方、この下面γの方がフリー磁性層25の下面25bよりも下方に配置されている。なお、この実施形態の第2のハードバイアス層33も第1のハードバイアス層32に電気的に接触している。また第2のハードバイアス層33は、フリー磁性層25の側面、つまり第2の傾斜面20cに直接接触して配置されており、フリー磁性層25に充分なバイアス磁界を印加することができる。
【0090】
次に、図1に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法について、図4乃至図10を参照しながら説明する。なお、各図は記録媒体との対向面(ABS面)側から見た部分断面図である。
【0091】
(1)最初に、図4に示すように、例えばアルチック(アルミナチタンカーバイト、AlTiC)などのセラミックス材料からなる基板12上に、図示外のアルミナ(Al23)などで保護層(アンダコート)を積層させる。
【0092】
(2)次に、この保護層(アンダコート)上に下部シールド層13を形成するとともに、この下部シールド層13の上に、電気絶縁性の高いセラミック、例えばアルミナ(Al23)などで下部ギャップ層14を成膜する。
【0093】
(3)次に、図5に示すように、下部ギャップ層14上の全面に、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素子の一種であるボトムスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2を構成する多層膜20を形成する。
【0094】
この多層膜20が、例えば、スピンフィルタタイプのボトムスピンバルブ型磁気抵抗効果素子2の場合、この多層膜20を構成する各層については、具体的には、下部ギャップ層14の上面αに、先ず、シードレイヤ層21及びPtMn合金などで形成された反強磁性層22を形成する。さらに、この反強磁性層22の上に、NiFe合金などの磁性材料で形成された固定磁性層23、Cuなどで形成された非磁性導電層24、NiFe合金などで形成されたフリー磁性層25、バックド層26及びTaなどで形成された保護層27などを形成する。
【0095】
なお、スピンスペキュラータイプの場合には、鏡面反射層を適宜の位置に積層させる。また、この多層膜20が、デュアルバルブ型の多層膜20´である場合には、シードレイヤ層21の上に、反強磁性層22からフリー磁性層25までの各層を下から順に積層させたのち、フリー磁性層25の上に、さらに、非磁性導電層24B、固定磁性層28及び反強磁性層29を、下から順に積層させる。また、3層フェリピンド型の固定磁性層の替わりに、単層の固定磁性層でもよいし、3層フェリフリー型のフリー磁性層の替わりに、単層のフリー磁性層でもよい。
【0096】
(4)このようにして、下部ギャップ層14の全面に多層膜20を形成したら、次に、トラック幅Tw領域の両側である両側領域に、下地層31や第1のハードバイアス層32を形成するため、図6に示すように、成膜された多層膜20のうち、第1のトラック領域(Tw1)に対応する多層膜20のエリアに、幅広形状のリフトオフ用の第1のレジスト膜R1を塗布して、マスキングを行う。
【0097】
(5)そして、例えばエッチング、例えばIBE(ion-beam etching)などにより、そのトラック領域(Tw1)以外のエリア、つまり両側領域を除去する。このようにして、両側領域については、図6に示すように、多層膜20の最下層であるシードレイヤ層21の下の下部ギャップ層14の厚さのほぼ中間部分まで除去する。つまり、多層膜20の両側領域において、下部ギャップ層14の上面(磁気抵抗効果素子の形成面α)よりも下のところまで、イオンミリング法などのエッチング処理により除去する。これにより、残された多層膜20は、両側面2aが上面まで連続した傾斜面となり、多層膜20はほぼ台形状となる。
【0098】
(6)このようにして、両側領域の多層膜20を除去したならば、次に、図7に示す工程では、多層膜20の両側領域である除去した凹所に、バイアス下地層31、第1のハードバイアス層32を下から順に所定膜厚にスパッタ成膜する。なお、多層膜20上の両側領域で挟まれたトラック領域には、前述のリフトオフ用の第1のレジスト膜R1を設けてあり、スパッタ粒子を一定角度θに傾けて成膜させるので、各層について、それぞれ、平坦部及び(多層膜20の両側面2aの最上部に向けて)上方へ傾斜した傾斜部が形成される。
【0099】
特に、バイアス下地層31のスパッタの際、成膜角度を十分に傾斜させて、例えば50度以上の成膜角度でスパッタ成膜する。これにより、後述するように、その直上に成膜する第1のハードバイアス層32には大きな保持力(Hc)が得られる。
【0100】
バイアス下地層31は、Cr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのうちいずれか1種以上を選択できる。このうちCr膜でバイアス下地層31を形成することが好ましい。第2のハードバイアス層32は、CoPtCr合金などにより成膜する。
なお、バイアス下地層31、第1のハードバイアス層32は、形成面αの垂直方向(図示Z方向)に対して、スパッタ粒子入射角度θ(成膜角度θ)を有してスパッタ成膜される。この成膜角度θは、具体的には30°以上で70°以下であることが好ましい。より好ましくは40°以上で60°以下である。
【0101】
(7)さらに、図8に示すように、多層膜20の上面の中央部に位置合わせして、第1のリフトオフ用のレジスト膜R1よりも幅の狭い第2のリフトオフ用のレジスト膜R2を設けるとともに、イオンミリングなどにより、ハードバイアス層32(これが第1のハードバイアス層32に相当する)の前処理ミリングを行う。なお、第2のレジスト膜R2のトラック幅(X)方向の長さL2は、第1のレジスト膜R1の同方向の長さL1よりも0.2〜0.4μm程度小さく形成されている。
【0102】
この場合、深さ(Z)方向については、例えば破線で示すように、固定磁性層23の一部が残る程度の深さまで浅くオーバエッチングを行い、ハードバイアス層32の平坦部の膜厚の略100Åのところまで両側領域を除去する。また、トラック幅(X)方向については、例えば破線で示すように、多層膜20の上面20d(第1トラック幅Tw1)の長さの略0.2μmのところまでを除去する。
これにより、図9に示すような多層膜20が一段ステップを有する略凸形状に形成される。即ち、これにより、多層膜20には、シードレイヤ層21、反強磁性層22及びフリー磁性層23の一部からなる基部Bと、トラック幅方向(X方向)に突出した突出部Cとを形成する。
【0103】
(8)次に、図10において、第2のハードバイアス層33が多層膜20の側面2a、特に第2の傾斜面20cでフリー磁性層25に直接接触するように、IBD(イオン・ビーム・デポジッション)などでスパッタ成膜する。このときの成膜角度は、20°である。このときの第2のハードバイアス層33は、例えば図2に示すように、平坦部33aの膜厚Dの半分であるD/2の位置が、フリー磁性層25の膜厚dの半分であるd/2の位置と略一致するような状態で成膜する。
【0104】
この第2のハードバイアス層33の成膜を行う場合に、前処理ミリングにより両側領域(バイアス下地層31および第1のハードバイアス層32)を除去する深さを浅くしてあるので、第2のハードバイアス層33の平坦部33aが十分な厚さでフリー磁性層25に当接させることができるようになり、バイアス下地層31の傾斜部31bがフリー磁性層25に当接するのを回避できる。
【0105】
(9)その後、図10に示すように、第2のハードバイアス層33より上層部分を積層する。
【0106】
(10)次に、多層膜20及び電極層34の上に、電気絶縁性の高いセラミック、例えばアルミナ(Al23)などで図示外の上部ギャップ層を積層する。さらに、この上に同じく図示外の上部シールド層などを形成すると,図1に示す薄膜磁気ヘッド1が完成する。
【0107】
【実施例】
次に、前述した製造法によってスピンバルブ型薄膜素子を形成した場合、図7に示す成膜工程で、イオンビームスパッタ法によりスパッタ成膜するときのスパッタ粒子の入射角θ(成膜角度)を変化させ、そのとき得られたバイアス下地層31であるCr膜について、その膜表面に配向する結晶面をX線解析(XRD)によって調べる実験を行った。そのときの結果を、図11及び図12に示す。
【0108】
図11は、Siを用いた基板(Si基板)の表面の法線方向に対して20度の角度からスパッタ粒子を入射させてCr膜を成膜したときの結果、図12は、Si基板の表面の法線方向に対して50度の角度からスパッタ粒子を入射させCr膜を成膜したときの結果である。
【0109】
図11に示すように、20度の成膜角度でスパッタ粒子を入射させてCr膜を成膜させたときには、得られたCr膜の膜表面に配向する結晶面は(110)面が見られるのみであることが分かる。
一方、成膜角度を50度にすると、図12に示すように、得られたCr膜の膜表面に配向する結晶面には(200)面、(211)面も見出されることが分かる。
なお、この場合、バイアス下地層を構成するCr膜は、単層であって、結晶構造は体心立方格子(bcc)構造である。
【0110】
次に、Si基板上に、イオンビームスパッタ法を用いて、バイアス下地層31を構成するCr膜と第1のハードバイアス層32を構成するCoPt膜の2層膜をスパッタ成膜し、CoPt膜の膜表面に配向する結晶面をX線回折によって調べてみた。このときの結果を図13に示す。なお、Cr膜を成膜するときに、スパッタ粒子の成膜角度は、20度から70度の範囲で変化させた。
【0111】
この図13のグラフから分かるように、バイアス下地層31であるCr膜の成膜角度を、20度(aで示す)、50度(bで示す)、60度(cで示す)、70度(dで示す)と次第に大きくすると、その上に成膜される第1のハードバイアス層32の[002]のピーク強度は小さくなり、逆に[100]のピーク強度は大きくなっていくことが分かる。即ち、第1のハードバイアス膜32であるCoPt膜の表面結晶配向は、[002]面から[100]面へと変化する。つまり、CoPt膜の表面結晶配向は、c軸が膜面垂直配向から膜面面内配向へと変化する。また、この場合、CoPt膜の保磁力(Hc)も、1700(Oe)、2140(Oe)、2385(Oe)、2460(Oe)へと次第に増大していく。
【0112】
従って、前述したような方法で製造したスピンバルブ型薄膜素子によれば、例えば、バイアス下地層31であるCr膜の成膜角度を70度程度(図13中のdで示す)にして成膜することにより、第1のハードバイアス膜32であるCoPt膜の保磁力(Hc)を増大させることができるようになる。そのため、これに接触するように第2のハードバイアス膜33を成膜角度θを小さくして成膜しても、この第2のハードバイアス膜33には、第1のハードバイアス膜32からの大きな保磁力(Hc)を増大させることができるようになる。
【0113】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、第2のハードバイアス層の平坦部が、直接フリー磁性層に接しており、換言すれば、十分なバルクのハードバイアス層をフリー磁性層に当接させることができるようになっており、その分、大きなバイアス磁界をフリー磁性層に印加できるようになるから、良好な再生特性を得ることができる。
【0114】
また、この発明によれば、バイアス下地層を介在させなくても、反強磁性層と第2のハードバイアス層との間で直接当接することが防止できるようになるので、これらの間で不要な交換結合磁界の発生を防止して、反強磁性層の磁化方向とハードバイアス層の磁化方向との直交性を確保することができる。
【0115】
さらに、この発明によれば、バイアス下地層の成膜角度を大きくして成膜することにより、この上層に成膜した第1のハードバイアス層には大きな保磁力が得られるようになる。従って、これと接する第2のハードバイアス層も大きな保磁力を発揮することができるようになるので、フリー磁性層には大きなバイアス磁界を印加できるようになり、安定した再生出力を得ることが可能になる。しかも、この第2のハードバイアス層は、成膜角度を小さくして成膜しても大きな保磁力を発揮することができるようになるので、従来のようにハードバイアス層に先細りの傾斜部が形成されることがなく、充分な膜厚を有するハードバイアス層の平坦部をフリー磁性層の両側面に接合させることができ、ひいては大きなバイアス磁界をフリー磁性層に印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るスピンバルブ型薄膜素子をABS面から見たときの状態を示す断面図である。
【図2】図1に示すスピンバルブ型薄膜素子の要部断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係るデュアルスピンバルブ型薄膜素子をABS面から見たときの状態を示す断面図である。
【図4】図1に示すスピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図10】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図11】Cr膜を20度の成膜角度で成膜した場合のX線解析結果を示すグラフである。
【図12】Cr膜を50度の成膜角度で成膜した場合のX線解析結果を示すグラフである。
【図13】Cr/CoPt積層膜のX線解析結果を示すグラフである。
【図14】従来の製造方法で形成された同スピンバルブ型薄膜素子をABS面から眺めた図である。
【符号の説明】
12 基板
13 下部シールド層
14 下部ギャップ層
2 磁気抵抗効果素子
2a 両側面
20 20´ 多層膜
20a 第1の傾斜面(両側面)
20b ステップ面
20c 第2の傾斜面(両側面)
20d 上面
21 シードレイヤ層
22 反強磁性層
23 固定磁性層
24 非磁性導電層
24A 非磁性導電層
24B 非磁性導電層
25 フリー磁性層
26 バックド層
28 固定磁性層
29 反強磁性層
31 バイアス下地層
31a 平坦部
31b 傾斜部
32 第1のハードバイアス層
33 第2のハードバイアス層
33a 平坦部
33b 傾斜部
34 電極層
α 形成面
β 第2のハードバイアス層の上面
γ 第2のハードバイアス層の下面
B 基部
C 突出部
E 両側基部
F 両側上部
R1 リフトオフ用の第1の(広幅)レジスト膜
R2 リフトオフ用の第2の(狭幅)レジスト膜
Tw1 第1のトラック幅
Tw2 第2のトラック幅
X トラック幅方向
Y ハイト方向
Z 積層方向

Claims (23)

  1. トラック領域に、少なくとも反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピンバルブ型薄膜素子であって、
    前記多層膜が、記録媒体との対向面から見たときに、積層方向の下部に位置する基部と、前記フリー磁性層を含み前記基部上に積層された突出部とを有する全体略凸形状を呈し、
    前記基部には、少なくとも前記反強磁性層の全ておよび前記固定磁性層の一部が含まれ、
    前記基部の両側領域には前記第1のハードバイアス層が形成・配置されるとともに、前記突出部の両側領域にはフリー磁性層の両側面に直接接触して前記第2のハードバイアス層が形成・配置され、
    前記第2のハードバイアス層の平坦部の上面の方が前記フリー磁性層の上面よりも上方に配置されるとともに、前記平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面よりも下方に配置され、
    前記突出部の両側領域に形成された第2のハードバイアス層が、前記基部の両側領域に形成された第1のハードバイアス層に接触するように積層されたことを特徴とするスピンバルブ型薄膜素子。
  2. 前記第1のハードバイアス層の下にバイアス下地層を設けたことを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  3. 前記バイアス下地層が、Crからなり、少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含んだことを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  4. 前記第1および第2のハードバイアス層のうち少なくとも一方が、CoPt合金またはCoCrPt合金であることを特徴とする請求項1記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  5. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含んだ構成であることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  6. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、[002]面が膜面垂直方向に優先配向した構成であることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  7. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金が、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直方向に配向した結晶を含み、[002]面が優先配向していることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  8. 前記多層膜中のフリー磁性層の上に、非磁性導電材料からなるバックド層が成膜されたことを特徴とする請求項1記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  9. 前記多層膜中に、鏡面反射層が成膜されたことを特徴とする請求項1記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  10. 前記フリー磁性層が、下から順に、第1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積層した構成であることを特徴とする請求項1または記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  11. 前記固定磁性層が、下から順に、第1の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層した構成であることを特徴とする請求項1記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  12. トラック領域に、少なくとも反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー磁性層を含んで順に積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピンバルブ型薄膜素子の製造方法であって、
    前記トラック領域の多層膜を残してその両側領域の下部ギャップ層の一部まで除去し、
    前記トラック領域の多層膜を挟んで除去した前記両側領域に、第1のハードバイアス層を積層した後、
    前記多層膜のフリー磁性層が積層された深さよりも深く、前記多層膜の両側領域に接する側面を含む側面部と両側領域とを除去して前処理を行い、この前処理により、前記多層膜を、記録媒体との対向面から見たときに、積層方向の下部に位置する基部とフリー磁性層を含み基部上に積層された突出部とを有する全体凸形状に形成し、
    前記基部には、少なくとも反強磁性層の全て及び固定磁性層の少なくとも一部が含まれていて、
    その後、その除去した多層膜の側面部および両側領域に、第1のハードバイアス層に接触して第2のハードバイアス層を積層させることを特徴とするスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  13. 前記第2のハードバイアス層は、フリー磁性層の側面に接する傾斜部から離間した平坦部の上面の方が、フリー磁性層の上面よりも上方位置に配置されるとともに、平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面よりも下方に配置され、
    この第2のハードバイアス層の直下には、前記突出部の側面に当接して、前記第2のハードバイアス層の成膜工程より前の工程で成膜された第1のハードバイアス層が成膜されることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  14. 前記第1のハードバイアス層の下にバイアス下地層を設けることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  15. 前記バイアス下地層は、Crからなり、少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に配向していることを特徴とする請求項14記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  16. 前記第1および第2のハードバイアス層のうちの少なくとも一方は、CoPt合金またはCoCrPt合金のいずれかよりなることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  17. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向する結晶を含んでいることを特徴とする請求項16記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  18. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、[002]面が膜面垂直方向に優先配向していることを特徴とする請求項16記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  19. 前記CoPt合金またはCoCrPt合金は、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直方向に配向する結晶を含み、[002]面が優先配向していることを特徴とする請求項16記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  20. 前記多層膜中にバックド層が成膜されることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  21. 前記多層膜中に鏡面反射層が成膜されることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  22. 前記フリー磁性層が、下から順に、第1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積層した構成であることを特徴とする請求項12または13に記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  23. 前記固定磁性層が、下から順に、第1の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層する構成であることを特徴とする請求項12記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
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