JP2002305336A - スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法 - Google Patents

スピンバルブ型薄膜素子およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生特性の安定化の確保が難しく、狭トラッ
ク化に不都合であった。 【解決手段】 多層膜20は、トラック領域内におい
て、両側領域に当接する斜面の下部側がトラック幅方向
に向けて突出した基部B(ステップ面20b)と、この
基部Bの上の突出部Cを有する全体略凸形状を呈してい
る。この基部B内には、少なくとも反強磁性層22の全
てと固定磁性層23の一部とが設けられている。一方、
突出部Cに対向する両側領域では、第2のハードバイア
ス層33の平坦部33aが、フリー磁性層25に直接接
触している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、固定磁性層の磁化の方向
と外部磁界の影響で変化するフリー磁性層の磁化の方向
との関係で電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜素子
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】ハードデイスクなどの記録
媒体からの記録磁界を検出して電気抵抗が変化するスピ
ンバルブ型薄膜素子(スピンバルブ型薄膜磁気ヘッド)に
ついて、従来の構造を図14に示す。
【0003】このスピンバルブ型薄膜素子には、同図に
示すように、トラック幅Twに対応した所定の領域(以
下、トラック領域)に、反強磁性層101、固定磁性層
102、非磁性導電層103およびフリー磁性層104
を積層した略台形状を呈し磁気抵抗効果を発揮する多層
膜100を設けるとともに、この両側(以下、両側領域
とよぶ)に、ハードバイアス層105、電極層106な
どを一対設けた構成のものが知られている。
【0004】このように構成されたスピンバルブ型薄膜
素子では、フリー磁性層104の磁化方向が、トラック
幅(X)方向に磁化されているハードバイアス層105
(バイアス磁界)の磁界により、同じX方向へ揃えられ
る。また、このスピンバルブ型薄膜素子では、ハードバ
イアス層105の上に形成された電極層106から固定
磁性層102、非磁性導電層103およびフリー磁性層
104に定常電流(センス電流)が与えられる。
【0005】一方、図示外の記録媒体の走行方向は積層
(Z)方向であり、この記録媒体からの信号磁界がハイ
ト(Y)方向に与えられると、フリー磁性層104内で
の磁化の方向がX方向からY方向へ向けて変化する。従
って、このフリー磁性層104内での磁化の方向の変動
と、固定磁性層102の固定磁化方向との関係で電気抵
抗値が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化
により、記録媒体からの信号磁界が検出される。
【0006】ところで、このようなスピンバルブ型薄膜
素子では、例えばCrなどのバイアス下地層107を介
在させることにより、ハードバイアス層105の結晶性
を高めてバイアス磁界を増大させることが可能になって
おり、フリー磁性層104の単磁区化が行い易くなる。
【0007】ところが、このような構成のスピンバルブ
型薄膜素子では、例えばバイアス下地層107を設けた
構成のものでは、このバイアス下地層107の多層膜1
00上面100Aに向けて傾斜した領域(以下、これを
傾斜部とよぶ)がこれら双方の間に介在されている。従
って、このバイアス下地層107の膜厚が厚いと、バイ
アス下地層107の傾斜部の影響で、ハードバイアス層
105からフリー磁性層104に作用するバイアス磁界
が弱められてしまう。このため、安定性が確保できず、
良好な再生特性が得られない。
【0008】一方、このバイアス下地層107の膜厚が
薄いと、反強磁性層101とハードバイアス層105と
の間で不要な交換結合磁界を生じ、双方の磁化が互いに
影響を受けて反強磁性層101の磁化方向とハードバイ
アス層105の磁化方向との直交性が損なわれる虞れが
ある。
【0009】また、このような構成のスピンバルブ型薄
膜素子では、図14において、多層膜100の傾斜した
側面100Bにハードバイアス層105の傾斜した領域
105A(以下、傾斜部とよぶ)が隣接して乗り上げ、特
にフリー磁性層104の両側には先細りした傾斜部10
5Aのみしか隣接していないために、フリー磁性層10
4に十分なバイアス磁界を印加できない虞れがある。即
ち、ハードバイアス層105の平坦な領域105B(以
下、平坦部とよぶ)がフリー磁性層104に隣接して配
置されていないため、フリー磁性層104に十分なバイ
アス磁界が印加できず、バルクハウゼンノイズを生じて
しまう。
【0010】そこで、本発明は、上記した事情に鑑み、
再生特性の安定化の確保と狭トラック化に好適なスピン
バルブ型薄膜素子およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のスピンバルブ型
薄膜素子は、トラック領域に、少なくとも反強磁性層、
固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に積
層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラッ
ク領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から順
に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス層、
第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピンバ
ルブ型薄膜素子であって、前記多層膜が、記録媒体との
対向面から見たときに、積層方向の下部に位置する基部
と、前記フリー磁性層を含み前記基部上に積層された突
出部とを有する全体略凸形状を呈し、前記基部の両側領
域には前記第1のハードバイアス層が形成・配置される
とともに、前記突出部の両側領域にはフリー磁性層の両
側面に直接接触して前記第2のハードバイアス層が形成
・配置され、前記第2のハードバイアス層の平坦部の上
面の方が前記フリー磁性層の上面よりも上方に配置され
るとともに、前記平坦部の下面の方がフリー磁性層の下
面よりも下方に配置され、前記突出部の両側領域に形成
された第2のハードバイアス層が、前記基部の両側領域
に形成された第1のハードバイアス層に接触するように
積層されたことを特徴としている。
【0012】前記基部には、少なくとも反強磁性層の全
て、および固定磁性層の少なくとも一部が含まれている
のが好ましい。
【0013】前記第1のハードバイアス層の下にバイア
ス下地層を設けることが好ましい。
【0014】前記バイアス下地層が、Crからなり、少
なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に配
向した結晶を含んでいるのが好ましい。
【0015】前記第1および第2のハードバイアス層の
うち少なくとも一方が、CoPt合金またはCoCrP
t合金であるのが好ましい。
【0016】前記CoPt合金またはCoCrPt合金
が、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向した結
晶を含んだ構成であるのが好ましい。
【0017】前記CoPt合金またはCoCrPt合金
が、[002]面が膜面垂直方向に優先配向した構成であ
るのが好ましい。
【0018】前記CoPt合金またはCoCrPt合金
が、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直方
向に配向した結晶を含み、[002]面が優先配向してい
るのが好ましい。
【0019】前記多層膜中のフリー磁性層の上に、非磁
性導電材料からなるバックド層が成膜されているのが好
ましい。
【0020】前記多層膜中に、鏡面反射層が成膜されて
いてもよい。
【0021】前記フリー磁性層が、下から順に、第1の
フリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積
層した構成でもよい。
【0022】前記固定磁性層が、下から順に、第1の固
定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層した
構成でもよい。
【0023】また、この発明のスピンバルブ型薄膜素子
の製造方法は、トラック領域に、少なくとも反強磁性
層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に
積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラ
ック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から
順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス
層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピ
ンバルブ型薄膜素子の製造方法であって、前記トラック
領域の多層膜を残してその両側領域の下部ギャップ層の
一部まで除去し、前記トラック領域の多層膜を挟んで除
去した前記両側領域に、第1のハードバイアス層を積層
した後、前記多層膜のフリー磁性層が積層された深さよ
りも深く、前記多層膜の両側領域に接する側面を含む側
面部と両側領域とを除去して前処理を行い、その後、そ
の削り取った多層膜の側面部および両側領域に、第1の
ハードバイアス層に接触して第2のハードバイアス層を
積層させることを特徴としている。
【0024】また、この製造方法では、前記基部には、
少なくとも反強磁性層の全て及び固定磁性層の少なくと
も一部が含まれているのが好ましい。
【0025】また、この製造方法では、前記第2のハー
ドバイアス層は、フリー磁性層の側面に接する傾斜部か
ら離間した平坦部の上面の方が、フリー磁性層の上面よ
りも上方位置に配置されるとともに、平坦部の下面の方
がフリー磁性層の下面よりも下方に配置され、この第2
のハードバイアス層の直下には、前記突出部の側面に当
接して、前記第2のハードバイアス層の成膜工程より前
の工程で成膜された第1のハードバイアス層が成膜され
る。
【0026】また、この製造方法では、前記第1のハー
ドバイアス層の下にバイアス下地層を設けることが好ま
しい。
【0027】また、この製造方法では、前記バイアス下
地層は、Crからなり、少なくとも[211]または[20
0]面が膜面垂直方向に配向していることが好ましい。
【0028】また、この製造方法では、前記第1および
第2のハードバイアス層のうちの少なくとも一方は、C
oPt合金またはCoCrPt合金のいずれかよりなる
のが好ましい。
【0029】また、この製造方法では、前記CoPt合
金またはCoCrPt合金は、少なくとも[002]面が
膜面垂直方向に配向する結晶を含んでいるのが好まし
い。
【0030】また、この製造方法では、前記CoPt合
金またはCoCrPt合金は、[002]面が膜面垂直方
向に優先配向しているのが好ましい。
【0031】また、この製造方法では、前記CoPt合
金またはCoCrPt合金は、少なくとも[100]およ
び[002]面が膜面垂直方向に配向する結晶を含み、
[002]面が優先配向しているのが好ましい。
【0032】前記多層膜中にバックド層が成膜されてい
てもよい。
【0033】前記多層膜中に鏡面反射層が成膜されてい
てもよい。
【0034】前記フリー磁性層が、下から順に、第1の
フリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層を積
層した構成でもよい。
【0035】前記固定磁性層が、下から順に、第1の固
定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層する
構成でもよい。
【0036】
【発明の実施形態】以下、この発明の実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら説明する [第1の実施形態]図1はこの発明の第1の実施形態に係
る薄膜磁気ヘッド1の製造途中の状態を図示外のハード
ディスクなどの磁気記録媒体との対向面であるABS面
から見た断面図である。この薄膜磁気ヘッド1には、巨
大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresis
tive)素子の一種であるボトムスピンバルブ型の磁気抵
抗効果素子2を使用している。
【0037】この薄膜磁気ヘッド1は、図示外のハード
デイスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリン
グ側端部などに設けられており、磁気記録媒体に超高密
度で記録されている記録磁気情報を検出する。ここで、
ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は積層
(Z)方向であり、この磁気記録媒体からの信号磁界の
方向はハイト(Y)方向である。なお、この薄膜磁気ヘ
ッド1は、再生用の磁気ヘッドとして使用するが、この
薄膜磁気ヘッド1の上(Z方向)には記録用のインダク
ティブヘッドが積層されていてもよい。
【0038】図1において、最下層に位置する基板12
はアルミナチタンカーバイト(AlTiC)などのセラ
ミックス材料で形成されている。この基板12の上に
は、図示外の保護層(アンダコート)が形成されてい
る。この保護層は、アルミナ(Al23)などで形成さ
れている。
【0039】保護層の上には、下部シールド層13が形
成されている。この下部シールド層13は、磁気抵抗効
果素子2の下部側において、磁気シールドを行うための
ものであり、磁性材料で形成されている。
【0040】さらに、この下部シールド層13の上部に
は、下部ギャップ層14が形成されている。この下部ギ
ャップ層14は、後述する電極層34と下部シールド層
13との間の電気的絶縁性を確保するためのものであ
り、アルミナ(Al23)が材料として使用されてい
る。
【0041】そして、この下部ギャップ層14の上面α
(磁気抵抗効果素子の形成面)には、磁気抵抗効果素子2
が形成されている。
【0042】この磁気抵抗効果素子2には、ボトムスピ
ンバルブ型の薄膜素子とよばれる構成の磁気抵抗効果を
発揮する多層膜20を有する。
【0043】この多層膜20には、下から順に、シード
レイヤ層21、反強磁性層22、固定磁性層23、非磁
性導電層24、フリー磁性層25、バックド層26、保
護層27を積層させている。この多層膜20では、この
上面20dの幅寸法が光学的に測定可能なトラック幅
(Tw2)を構成している。
【0044】この多層膜20は、後に詳述するが、まず
各層を磁気抵抗効果素子2の形成面α上に成膜した後、
この多層膜20の中央部の上面20dに第1のリフトオ
フ用のレジスト膜R1(図6及び図7参照)を形成し、
この第1のレジスト膜R1に覆われていない多層膜20
の両側の領域(以下、両側領域とよぶ)をイオンミリン
グなどでエッチングして除去する。
【0045】この場合、さらに、第2のリフトオフ用の
レジスト膜R2(但し、第2のレジスト膜R2の方が第
1のレジスト膜R1よりも、0.2〜0.4μm小さ
い)を形成し、再度、エッチングする。このため、多層
膜20は、図1に示すような全体略凸形状に形成でき
る。
【0046】この多層膜20は、ABS面側からハイト
方向を見たときに、図1に示す概略断面において、積層
(Z)方向下部でステップ面20bに相当する部分だけ
トラック幅(X)方向に延びる基部Bと、この基部B上
の突出部Cとを有する構造となっており、基部Bにはシ
ードレイア層(下地層)21、反強磁性層22及び固定
磁性層23の一部が含まれるとともに、突出部Cには固
定磁性層23の大部分、非磁性導電層24、フリー磁性
層25、バックド層26及び保護層27が含まれてい
る。
【0047】シードレイヤ層21は、下地層(図略)
と、この上に積層した非磁性材料あるいは磁性材料で形
成された配向層(図略)とで構成される。なお、このシ
ードレイヤ層21は、一層の非磁性材料あるいは磁性材
料で形成された配向層のみで構成してもよいが、配向層
の結晶配向を整えるためには下地層を形成している方が
好ましい。
【0048】下地層は、Ta(タンタル),Hf(ハフ
ニウム),Nb(ニオブ),Zr(ジルコニウム),T
i(チタン),Mo(モリブデン),W(タングステ
ン)のうち少なくとも1種または2種以上で形成するの
が好ましい。
【0049】一方、配向層は、上記のように磁性材料あ
るいは非磁性材料で形成するが、特に高抵抗材料で形成
するのが好ましい。この配向層は、例えばNiFeY合
金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Z
r,Tiから選ばれる少なくとも1種以上)で形成する
のが好ましい。このうち、配向層はNiFeCr合金で
形成するのがより好ましい。この配向層の(111)面
を、より適切に反強磁性層22との界面と平行な方向に
優先配向させることができ、さらに高比抵抗にできるか
らである。
【0050】また、配向層が高比抵抗であると、後述す
る電極層34から流れるセンス電流のシードレイヤ層2
1への分流を抑制することが可能である。これによって
抵抗変化率(ΔMR)を向上させることができ、またバ
ルクハウゼンノイズを減少させることができる。
【0051】シードレイヤ層21の上面(磁気抵抗効果
素子の形成面α)には、反強磁性層22が形成される。
この反強磁性層22は、PtMn(プラチナマンガン)
から形成されているが、例えば、元素X(ただしXは、
Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または
2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材
料、あるいは、元素Xと元素X′合金(ただし元素X′
は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,M
g,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、
及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素であ
る)とMnを含有する反強磁性材料により形成すること
ができる。これらの反強磁性材料は、耐食性に優れ、し
かもブロッキング温度も高く、次に説明する固定磁性層
23との界面で大きな交換結合磁界を発生し得る。
【0052】次に、この反強磁性層22の上には固定磁
性層23が形成されている。固定磁性層23は、第1の
固定磁性層23A、非磁性中間層23Bおよび第2の固
定磁性層23Cで構成されたシンセティックフェリピン
ド層(SFP)で構成されているが、単層構造であって
もよい。第1の固定磁性層23Aおよび第2の固定磁性
層23Cは、例えばCoFe合金で形成されているが、
Co膜、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合
金などで形成してもよい。なお、非磁性中間層23B
は、Ru、Rh、Irなどの材料で形成されている。
【0053】この3層構成により、第1の磁性層23A
と第2の磁性層23Cの磁化方向は互いに反平行状態に
される。これはいわゆるフェリ磁性状態と呼ばれるもの
であり、固定磁性層23の磁化を安定した状態にでき、
また固定磁性層23と反強磁性層22との界面で発生す
る交換結合磁界を大きくすることができる。この固定磁
性層23が積層された後、ハイト方向(図示Y方向)へ
の磁場中アニールを施すことで、固定磁性層23と反強
磁性層22との界面で発生する交換結合磁界により、固
定磁性層23の磁化はハイト方向(図示Y方向)に強固
に固定される。
【0054】この固定磁性層23の上には非磁性導電層
24が形成されている。この非磁性導電層24は、例え
ばCuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成さ
れる。
【0055】次に、前記非磁性導電層24の上にはフリ
ー磁性層25が形成される。このフリー磁性層25は、
NiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金
などにより形成される。また、このフリー磁性層25
は、非磁性導電層24と対向する側にCr又はCo膜を
さらに設けてもよい。これにより、非磁性導電層24と
の界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率
(ΔGMR)を大きくすることができる。
【0056】なお、このフリー磁性層25としては、第
1のフリー磁性層、非磁性中間層及び第2のフリー磁性
層を有するシンセティックフェリフリー(SFF)構造
であってもよい。このシンセティックフェリフリー構造
の場合には、第1のフリー磁性層及び第2のフリー磁性
層には、それぞれ単層のものであって、CoFeNi合
金が組成を限定して使用する一方、非磁性中間層には、
Ru、Rh、Irなどが材料として使用可能であるがR
uが好ましい。
【0057】これにより、同様に、第1のフリー磁性層
及び第2のフリー磁性層の磁化は互いに反平行とされ、
各フリー磁性層の磁化を安定した状態に保持でき、各フ
リー磁性層の磁気的な膜厚を薄く形成できる。その結
果、フリー磁性層の磁化は、第1及び第2の磁性層が外
部磁界に対し反平行を保ちながら反転しやすくなり、再
生特性の向上を図ることができる。このフェリ構造は、
固定磁性層23及びフリー磁性層25のどちらか一方に
おいて形成されていてもよい。
【0058】次に、フリー磁性層25の上には、バック
ド層26が形成されている。このバックド層26は、例
えば、Cu等の金属材料や非磁性導電材料からなり、A
u、Ag、Cuからなる群から選択された材料から構成
することができる。このバックド層26により、磁気抵
抗効果に寄与するアップスピン(上向きスピン;up spi
n)の電子における平均自由工程(mean free path)を延ば
し、所謂スピンフィルター効果(spin filter effect)
により、スピンバルブ型薄膜素子において、大きなΔR
/R(抵抗変化率)が得られ、高密度記録化に対応可能と
なる。
【0059】なお、このバックド層26の上に鏡面反射
層を積層させてもよい。このように構成すれば、スピン
フィルター効果と同時に、鏡面反射効果(specular effe
ct)を発現させることができ、アップスピンの伝導電子
の平均自由工程を大幅に伸ばすことができるので、ダウ
ンスピン(下向きスピン;down spin)の伝導電子との平
均自由工程差を十分拡大させることができるようにな
り、さらに抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることがで
きる。
【0060】なお、鏡面反射層を構成する絶縁材料とし
ては、α−Fe23、NiO、CoO、Co−Fe−
O、Co−Fe−Ni−O、Al23、Al−Q−O
(ここで、Qは、B、Si、N、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Niから選択される1種以上の原
子)、R−O(ここで、Rは、Ti、V、Cr、Zr、
Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の
原子)等の酸化物、Al−N、AL−Q−N(ここで、
Qは、B、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Niから選択される1種以上の原子)、R−N(こ
こで、Rは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、H
f、Ta、Wから選択される1種以上の原子)などの窒
化物などを挙げることができる。
【0061】ここで、鏡面反射層として、α−Fe23
やNiOなどの反強磁性体を用いた場合、鏡面反射層に
よって、バイアス層の一部、または全部を兼ねることが
できる。さらに、この鏡面反射層を構成する絶縁材料と
して、また、半金属ホイスラー合金からなる手段を採用
することができ、NiMnSb、PtMnSbのいずれ
か1つ以上の単層膜または多層膜でもよい。これらの材
料を採用することで、隣接する層との間に、十分なポテ
ンシャル障壁を形成することが可能であり、これにより
十分な鏡面反射効果を得ることができる。
【0062】さらに、このバックド層26の上には、保
護層27が形成される。この保護層27はTaなどで形
成される。
【0063】上記したシードレイヤ層21から保護層2
7までの各層で構成される多層膜20には、シードレイ
ヤ層21から反強磁性層22及び固定磁性層23の一部
までで構成する基部Bのトラック幅(X)方向の両側面
2aが、連続した第1の傾斜面20aを形成している。
さらに、この基部Bの上面であるステップ面20bから
上には、突出部Cのトラック幅(X)方向の両側面2a
が前記保護層30の上面まで連続した第2の傾斜面20
cを形成している。
【0064】多層膜20は、各層を形成面α上に成膜し
た後、(幅広の)リフトオフ用の第1のレジスト膜R1
及び第1のレジスト膜R1よりも幅を狭めた(幅狭の)
リフトオフ用の第2のレジスト膜R2を用い、これらの
レジスト膜R1に覆われていない多層膜20の両側領域
が、再度、イオンミリングなどでエッチングして除去さ
れる。これにより、多層膜20は、磁気記録媒体との対
向面であるABS面から眺めたときに、第1の傾斜面と
第2の傾斜面との間にトラック幅(X)方向に平行なス
テップ面20bを形成した、全体略凸形状に形成され
る。
【0065】即ち、多層膜20の両側領域において、シ
ードレイヤ層21の一部のみを残しその上側の各層全て
を除去し、例えば、図6、図7に示すような台形状に形
成する。この場合、多層膜20の基部Bの両側面2a、
つまり第1の傾斜面20aの形成面αに対する傾きは、
この両側領域の多層膜を、例えばリフトオフ法でエッチ
ングして除去することにより、所望の角度に形成でき
る。
【0066】このように台形状に形成した多層膜20の
両側領域には、下から順にバイアス下地層31、第1の
ハードバイアス層32、第2のハードバイアス層33、
電極層34及び図示外の保護層がそれぞれ積層されてい
る。このうち、第2のハードバイアス層33は、図10
に示すように、ステップ面20bの上に形成されてお
り、第2のハードバイアス層33の平坦部33aが、フ
リー磁性層25の両側領域に直接、隣接して配置されて
いる。第2のハードバイアス層33をこのような構造に
することで、十分なバイアス磁界をフリー磁性層25に
印加することができるようになる。
【0067】なお、この多層膜20を挟んだ両側領域に
は、磁気記録媒体に臨む対向面であるABS面から見た
ときに、積層方向下方において、多層膜20の基部Bの
トラック幅(X)方向両側の側面2a(第1の傾斜面2
0a)に接して設けた両側基部Eと、基部Bのステップ
面20bに上から接する状態でこの両側基部E上に積層
して設けた両側上部Fとを有する構造となっている。こ
のうち、両側基部Eには、バイアス下地層31及び第1
のハードバイアス層32が含まれるとともに、両側上部
Fには、第2のハードバイアス層33及び電極層34が
含まれる。
【0068】また、図10において、第2のハードバイ
アス層33では、フリー磁性層25の側面、つまり第2
の傾斜面20cに直接接触して配置する傾斜部33b
と,この傾斜部33bの下部に設けた平坦部33aとを
備えた構成であるが、この平坦部33aの上面βの方が
フリー磁性層25の上面25aよりも上方位置に配置さ
れる。一方、この平坦部33aの下面γの方は、フリー
磁性層25の下面25bよりも下方に配置される。な
お、この実施形態の第2のハードバイアス層33は第1
のハードバイアス層32に電気的に接触している。
【0069】図2は、図1に示す薄膜磁気ヘッドの左側
部分のみを拡大した部分断面図である。この図2に示す
ように、多層膜20の両側領域において、形成面α上に
は、下から順位に、バイアス下地層31、第1のハード
バイアス層32、第2のハードバイアス層33、電極層
34が形成されている。
【0070】この図2から分かるように、第2のハード
バイアス層33には、多層膜20の突出部Cの両側面2
a(第2の傾斜面20c)との間にバイアス下地層31
が形成されていないため、フリー磁性層25を第2のハ
ードバイアス層33に直接接触させることができる。こ
のため、バイアス磁界を強磁性結合により、直接フリー
磁性層25に印加させることができるようになり、双方
の間には、直接、交換結合力が作用して安定した再生出
力を得ることができるようになる。この場合、第1のハ
ードバイアス層32は、勿論、反強磁性層22に当接し
ないから、これら双方の間には交換結合力が作用すると
いった不都合を生じることがない。
【0071】また、バイアス下地層31は、図10に示
すように、下部ギャップ層14上に形成された平坦部3
1aと、この平坦部31a上に形成された傾斜部31b
とで構成されるが、傾斜部31bの上部は、第2のレジ
スト膜R2を用いた2回目に行うミリングによって除去
させてある。
【0072】このバイアス下地層31は、結晶構造が体
心立方構造(bcc構造)を有する金属膜で形成されて
いる。即ち、Cr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taの
いずれか1種または2種以上の元素で形成されることが
好ましいが、特に、Cr膜で形成することが好ましい。
このCr膜は、第1のハードバイアス層32の結晶配向
を整える機能に優れ、第1のハードバイアス層32の保
磁力を適切に大きくすることができるからである。
【0073】また、このバイアス下地層31は、Crを
用いた場合、基板の法線となす角度θの方向からIBD
で成膜するときの成膜角度θが20度(基板の法線方向
を0度とした)で成膜すると、図11に示すように、優
先結晶配向が(110)となる。また、体心立方格子
(bcc)のCrを用いたバイアス下地層31では、例
えば成膜角度θを50度で成膜すると、図12に示すよ
うに、優先結晶配向が(110)の他に、(211)、
(200)となる。このように、Crの結晶配向方向に
(211)や(200)が含まれると、第1のハードバ
イアス層32の一例であるCoPtとの結晶配向が[1
00]に優先配向し、六方晶であるCoPtのc軸が面
内に向くような結晶配向を含むこととなり、第1のハー
ドバイアス層32の保磁力を増大させることができる。
【0074】このように、結晶構造及び結晶配向性を有
する金属膜によってバイアス下地層31を形成する理由
は、このバイアス下地層31上に形成される第1のハー
ドバイアス層32の保磁力を増大させるためである。ま
た、かりに、バイアス下地層31を反強磁性層22の上
に形成すると、反強磁性層22の結晶配向の影響によ
り、バイアス下地層31の結晶性が低下し、第1のハー
ドバイアス層32の結晶性も低下することとなるが、本
発明によれば、バイアス下地層31の下には、反強磁性
層22が形成されていない。従って、このような事態も
防止できる。
【0075】次に、このバイアス下地層31上には第1
のハードバイアス層32及び第2のハードバイアス層3
3が形成される。この第2のハードバイアス層33は、
平坦部33aの下面γが、多層膜20の基部Bの上面、
つまりステップ面20bに上から接する状態で、突出部
Cの両側面2a(第2の傾斜面20c)に接するまでト
ラック幅(X)方向に延出して積層されている。なお、
第1のハードバイアス層32及び第2のハードバイアス
層33は、それぞれ、CoPt合金やCoPtCr合金
などで形成される。これら合金の結晶構造は、面心立方
構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となっ
ている。
【0076】ここで、金属膜で形成されたバイアス下地
層31と第1のハードバイアス層32を構成するCoP
t系合金の(hcp)構造の格子定数は近い値となるた
めに、第1のハードバイアス層32のCoPt系合金の
結晶構造は、(fcc)構造を形成しづらく(hcp)
構造で形成されやすくなる。このとき、(hcp)構造
のc軸は、CoPt系合金の境界面内に優先配向され
る。この結果、(hcp)構造は、(fcc)構造に比
べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、第1の
ハードバイアス層32に磁界を与えたときの保磁力は大
きくなる。
【0077】そして、第1のハードバイアス層32に接
して第2のハードバイアス層33が形成される。この第
2のハードバイアス層33は、図2に示すように、平坦
部33aの膜厚をDとすると、その膜厚の中間D/2に
相当する位置が、膜厚dを有するフリー磁性層25の膜
厚の中間位置d/2とほぼ一致するような状態で成膜さ
れている。
【0078】なお、第2のハードバイアス層33は、バ
イアス下地層31上に形成されて好ましい結晶配向に制
御された第1のハードバイアス層32と直接接触して成
膜されるため、強磁性結合により安定した大きなバイア
ス磁界を発生させることができる。しかも、この第2の
ハードバイアス層33は、第1のハードバイアス層32
の直上またはバイアス下地層31の直上に成膜されるの
で、これらの層の影響により結晶配向が良好となる。
【0079】また、この第2のハードバイアス層33上
には、電極層34が形成される。この電極層34には、
CrやAuなどのスパッタ成膜、あるいはTa膜が一般
に使用されている。さらに、この電極層36上には、T
aなどで形成された保護層37が形成される。
【0080】以上のような構成の磁気抵抗効果素子2の
上には、絶縁材料を使用して図示外の上部ギャップ層が
形成され、この上部ギャップ層の上には磁性材料を使用
して同じく図示外の上部シールド層が形成される。
【0081】このように構成されたスピンバルブ型薄膜
素子では、電極層34から固定磁性層23、非磁性導電
層24およびフリー磁性層25に定常電流(センス電流)
が与えられ、しかも磁気記録媒体からハイト(Y)方向
へ磁界が与えられると、フリー磁性層25の磁化方向が
トラック幅(X)方向からハイト(Y)方向に向けて変
化する。このとき、フリー磁性層25と固定磁性層23
の間では、非磁性導電層24と固定磁性層23との界
面、及び非磁性導電層24とフリー磁性層25との界面
で伝導電子のスピンに依存した散乱を起こし、電気抵抗
が変化する。これにより、定常電流が変化し、再生出力
を得ることができる。
【0082】なお、この実施形態では、薄膜磁気ヘッド
1に巨大磁気抵抗効果を利用したGMR素子の一種であ
るボトムスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2を使用し
ているが、この他に、例えば、次に述べるデュアルスピ
ンバルブ型の磁気抵抗効果素子2´を使用してもよい。
【0083】[第2の実施形態]次に、この発明の第2の
実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、
この実施形態において、先の実施形態と同一部分には同
一符号を付して重複説明を避ける。この第2の実施形態
の磁気抵抗効果素子2´は、デュアルスピンバルブ型で
構成されており、この多層膜20´については、前述の
トップスピンバルブ型を構成する多層膜20´とは異な
り、シード層(下地層)21よりも上層部分が、フリー
磁性層25を中心にしてその上下に非磁性導電層24,
27と、固定磁性層23,28と、反強磁性層22,2
9とが積層された構成となっている。また、これらの各
層のうち、固定磁性層23及び固定磁性層28が、それ
ぞれ非磁性中間層を介して2層に分断されている。
【0084】即ち、この多層膜20´は、下から順に、
シード層(下地層)21、(下側の)反強磁性層22、
(下側の)固定磁性層23、(下側の)非磁性導電層2
4A、フリー磁性層25、(上側の)非磁性導電層24
B、(上側の)固定磁性層28、(上側の)反強磁性層
29及び保護層27とを積層させてある。
【0085】このうち、下側の固定磁性層23は、下か
ら順に、第1の固定磁性層23Aと、非磁性中間層23
Bと、第2の固定磁性層23Cと積層してなる。フリー
磁性層25は、下から順に、Co又はCoFe、CoF
eNi等のCo合金からなる第2の強磁性層25Cと、
NiFe等からなる第3の強磁性層25Bと、Co又は
CoFe、CoFeNi等のCo合金からなる第1の強
磁性層25Aとを積層してなる。
【0086】一方、上側の固定磁性層28は、下から順
に、第2の固定磁性層28Cと、非磁性中間層28B
と、第1の固定磁性層28Aとを積層してなる。これら
は、下側の固定磁性層23と同一材料で形成される。な
お、上側の非磁性導電層24Bは、下側の非磁性導電層
24Aと同一材料で、また上側の反強磁性層29は下側
の反強磁性層22と同一材料で形成される。
【0087】なお、この多層膜20´でも、磁気記録媒
体との対向面であるABS面側から見た図1に示す概略
断面において、積層(Z)方向の下方でトラック幅
(X)方向に延びる基部Bと、この基部Bの上の突出部
Cとを有する構造となっている。そして、この基部Bに
は、シード層(下地層)21、(下側の)反強磁性層2
2及び(下側の)固定磁性層23の大部分が含まれる一
方、突出部Cには、(下側の)固定磁性層23の一部、
(下側の)非磁性導電層24A、フリー磁性層25、
(上側の)非磁性導電層24B、(上側の)固定磁性層
28、(上側の)反強磁性層29及び保護層27が含ま
れている。
【0088】さらに、この多層膜20´を挟んだ両側領
域には、第1の実施形態と同様に、磁気記録媒体を臨む
対向面であるABS面から見たときに、積層方向の下方
において、多層膜20´の基部Bのトラック幅(X)方
向の両側に位置するとともに両側面2a、特に第1の傾
斜面20aに接して設けた両側基部Eと、基部Bのステ
ップ面20bに上から接する状態で積層するとともに両
側面2a、特に第2の傾斜面20cに接して設けた両側
上部Fとを有する構造となっている。このうち、両側基
部Eには、バイアス下地層31及び第1のハードバイア
ス層32が含まれるとともに、両側上部Fには、第2の
ハードバイアス層33及び電極層34が含まれる。
【0089】また、この実施形態では、第2のハードバ
イアス層33には、傾斜部(図1で33bの領域がこれ
に相当)が形成されておらず、平坦部(図1で33aの
領域がこれに相当)のみの構成であり、この上面βの方
がフリー磁性層25の上面25aよりも上方位置に配置
される一方、この下面γの方がフリー磁性層25の下面
25bよりも下方に配置されている。なお、この実施形
態の第2のハードバイアス層33も第1のハードバイア
ス層32に電気的に接触している。また第2のハードバ
イアス層33は、フリー磁性層25の側面、つまり第2
の傾斜面20cに直接接触して配置されており、フリー
磁性層25に充分なバイアス磁界を印加することができ
る。
【0090】次に、図1に示す薄膜磁気ヘッドの製造方
法について、図4乃至図10を参照しながら説明する。
なお、各図は記録媒体との対向面(ABS面)側から見
た部分断面図である。
【0091】(1)最初に、図4に示すように、例えば
アルチック(アルミナチタンカーバイト、AlTiC)
などのセラミックス材料からなる基板12上に、図示外
のアルミナ(Al23)などで保護層(アンダコート)
を積層させる。
【0092】(2)次に、この保護層(アンダコート)
上に下部シールド層13を形成するとともに、この下部
シールド層13の上に、電気絶縁性の高いセラミック、
例えばアルミナ(Al23)などで下部ギャップ層14
を成膜する。
【0093】(3)次に、図5に示すように、下部ギャ
ップ層14上の全面に、巨大磁気抵抗効果を利用したG
MR(giant magnetoresistive)素子の一種であるボト
ムスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子2を構成する多層
膜20を形成する。
【0094】この多層膜20が、例えば、スピンフィル
タタイプのボトムスピンバルブ型磁気抵抗効果素子2の
場合、この多層膜20を構成する各層については、具体
的には、下部ギャップ層14の上面αに、先ず、シード
レイヤ層21及びPtMn合金などで形成された反強磁
性層22を形成する。さらに、この反強磁性層22の上
に、NiFe合金などの磁性材料で形成された固定磁性
層23、Cuなどで形成された非磁性導電層24、Ni
Fe合金などで形成されたフリー磁性層25、バックド
層26及びTaなどで形成された保護層27などを形成
する。
【0095】なお、スピンスペキュラータイプの場合に
は、鏡面反射層を適宜の位置に積層させる。また、この
多層膜20が、デュアルバルブ型の多層膜20´である
場合には、シードレイヤ層21の上に、反強磁性層22
からフリー磁性層25までの各層を下から順に積層させ
たのち、フリー磁性層25の上に、さらに、非磁性導電
層24B、固定磁性層28及び反強磁性層29を、下か
ら順に積層させる。また、3層フェリピンド型の固定磁
性層の替わりに、単層の固定磁性層でもよいし、3層フ
ェリフリー型のフリー磁性層の替わりに、単層のフリー
磁性層でもよい。
【0096】(4)このようにして、下部ギャップ層1
4の全面に多層膜20を形成したら、次に、トラック幅
Tw領域の両側である両側領域に、下地層31や第1の
ハードバイアス層32を形成するため、図6に示すよう
に、成膜された多層膜20のうち、第1のトラック領域
(Tw1)に対応する多層膜20のエリアに、幅広形状
のリフトオフ用の第1のレジスト膜R1を塗布して、マ
スキングを行う。
【0097】(5)そして、例えばエッチング、例えば
IBE(ion-beam etching)などにより、そのトラック領
域(Tw1)以外のエリア、つまり両側領域を除去す
る。このようにして、両側領域については、図6に示す
ように、多層膜20の最下層であるシードレイヤ層21
の下の下部ギャップ層14の厚さのほぼ中間部分まで除
去する。つまり、多層膜20の両側領域において、下部
ギャップ層14の上面(磁気抵抗効果素子の形成面α)
よりも下のところまで、イオンミリング法などのエッチ
ング処理により除去する。これにより、残された多層膜
20は、両側面2aが上面まで連続した傾斜面となり、
多層膜20はほぼ台形状となる。
【0098】(6)このようにして、両側領域の多層膜
20を除去したならば、次に、図7に示す工程では、多
層膜20の両側領域である除去した凹所に、バイアス下
地層31、第1のハードバイアス層32を下から順に所
定膜厚にスパッタ成膜する。なお、多層膜20上の両側
領域で挟まれたトラック領域には、前述のリフトオフ用
の第1のレジスト膜R1を設けてあり、スパッタ粒子を
一定角度θに傾けて成膜させるので、各層について、そ
れぞれ、平坦部及び(多層膜20の両側面2aの最上部
に向けて)上方へ傾斜した傾斜部が形成される。
【0099】特に、バイアス下地層31のスパッタの
際、成膜角度を十分に傾斜させて、例えば50度以上の
成膜角度でスパッタ成膜する。これにより、後述するよ
うに、その直上に成膜する第1のハードバイアス層32
には大きな保持力(Hc)が得られる。
【0100】バイアス下地層31は、Cr,W,Mo,
V,Mn,Nb,Taのうちいずれか1種以上を選択で
きる。このうちCr膜でバイアス下地層31を形成する
ことが好ましい。第2のハードバイアス層32は、Co
PtCr合金などにより成膜する。なお、バイアス下地
層31、第1のハードバイアス層32は、形成面αの垂
直方向(図示Z方向)に対して、スパッタ粒子入射角度
θ(成膜角度θ)を有してスパッタ成膜される。この成
膜角度θは、具体的には30°以上で70°以下である
ことが好ましい。より好ましくは40°以上で60°以
下である。
【0101】(7)さらに、図8に示すように、多層膜
20の上面の中央部に位置合わせして、第1のリフトオ
フ用のレジスト膜R1よりも幅の狭い第2のリフトオフ
用のレジスト膜R2を設けるとともに、イオンミリング
などにより、ハードバイアス層32(これが第1のハー
ドバイアス層32に相当する)の前処理ミリングを行
う。なお、第2のレジスト膜R2のトラック幅(X)方
向の長さL2は、第1のレジスト膜R1の同方向の長さ
L1よりも0.2〜0.4μm程度小さく形成されてい
る。
【0102】この場合、深さ(Z)方向については、例
えば破線で示すように、固定磁性層23の一部が残る程
度の深さまで浅くオーバエッチングを行い、ハードバイ
アス層32の平坦部の膜厚の略100Åのところまで両
側領域を除去する。また、トラック幅(X)方向につい
ては、例えば破線で示すように、多層膜20の上面20
d(第1トラック幅Tw1)の長さの略0.2μmのとこ
ろまでを除去する。これにより、図9に示すような多層
膜20が一段ステップを有する略凸形状に形成される。
即ち、これにより、多層膜20には、シードレイヤ層2
1、反強磁性層22及びフリー磁性層23の一部からな
る基部Bと、トラック幅方向(X方向)に突出した突出
部Cとを形成する。
【0103】(8)次に、図10において、第2のハー
ドバイアス層33が多層膜20の側面2a、特に第2の
傾斜面20cでフリー磁性層25に直接接触するよう
に、IBD(イオン・ビーム・デポジッション)などでス
パッタ成膜する。このときの成膜角度は、20°であ
る。このときの第2のハードバイアス層33は、例えば
図2に示すように、平坦部33aの膜厚Dの半分である
D/2の位置が、フリー磁性層25の膜厚dの半分であ
るd/2の位置と略一致するような状態で成膜する。
【0104】この第2のハードバイアス層33の成膜を
行う場合に、前処理ミリングにより両側領域(バイアス
下地層31および第1のハードバイアス層32)を除去
する深さを浅くしてあるので、第2のハードバイアス層
33の平坦部33aが十分な厚さでフリー磁性層25に
当接させることができるようになり、バイアス下地層3
1の傾斜部31bがフリー磁性層25に当接するのを回
避できる。
【0105】(9)その後、図10に示すように、第2
のハードバイアス層33より上層部分を積層する。
【0106】(10)次に、多層膜20及び電極層34
の上に、電気絶縁性の高いセラミック、例えばアルミナ
(Al23)などで図示外の上部ギャップ層を積層す
る。さらに、この上に同じく図示外の上部シールド層な
どを形成すると,図1に示す薄膜磁気ヘッド1が完成す
る。
【0107】
【実施例】次に、前述した製造法によってスピンバルブ
型薄膜素子を形成した場合、図7に示す成膜工程で、イ
オンビームスパッタ法によりスパッタ成膜するときのス
パッタ粒子の入射角θ(成膜角度)を変化させ、そのとき
得られたバイアス下地層31であるCr膜について、そ
の膜表面に配向する結晶面をX線解析(XRD)によっ
て調べる実験を行った。そのときの結果を、図11及び
図12に示す。
【0108】図11は、Siを用いた基板(Si基板)
の表面の法線方向に対して20度の角度からスパッタ粒
子を入射させてCr膜を成膜したときの結果、図12
は、Si基板の表面の法線方向に対して50度の角度か
らスパッタ粒子を入射させCr膜を成膜したときの結果
である。
【0109】図11に示すように、20度の成膜角度で
スパッタ粒子を入射させてCr膜を成膜させたときに
は、得られたCr膜の膜表面に配向する結晶面は(11
0)面が見られるのみであることが分かる。一方、成膜
角度を50度にすると、図12に示すように、得られた
Cr膜の膜表面に配向する結晶面には(200)面、(2
11)面も見出されることが分かる。なお、この場合、
バイアス下地層を構成するCr膜は、単層であって、結
晶構造は体心立方格子(bcc)構造である。
【0110】次に、Si基板上に、イオンビームスパッ
タ法を用いて、バイアス下地層31を構成するCr膜と
第1のハードバイアス層32を構成するCoPt膜の2
層膜をスパッタ成膜し、CoPt膜の膜表面に配向する
結晶面をX線回折によって調べてみた。このときの結果
を図13に示す。なお、Cr膜を成膜するときに、スパ
ッタ粒子の成膜角度は、20度から70度の範囲で変化
させた。
【0111】この図13のグラフから分かるように、バ
イアス下地層31であるCr膜の成膜角度を、20度
(aで示す)、50度(bで示す)、60度(cで示
す)、70度(dで示す)と次第に大きくすると、その
上に成膜される第1のハードバイアス層32の[002]
のピーク強度は小さくなり、逆に[100]のピーク強度
は大きくなっていくことが分かる。即ち、第1のハード
バイアス膜32であるCoPt膜の表面結晶配向は、
[002]面から[100]面へと変化する。つまり、Co
Pt膜の表面結晶配向は、c軸が膜面垂直配向から膜面
面内配向へと変化する。また、この場合、CoPt膜の
保磁力(Hc)も、1700(Oe)、2140(O
e)、2385(Oe)、2460(Oe)へと次第に
増大していく。
【0112】従って、前述したような方法で製造したス
ピンバルブ型薄膜素子によれば、例えば、バイアス下地
層31であるCr膜の成膜角度を70度程度(図13中
のdで示す)にして成膜することにより、第1のハード
バイアス膜32であるCoPt膜の保磁力(Hc)を増
大させることができるようになる。そのため、これに接
触するように第2のハードバイアス膜33を成膜角度θ
を小さくして成膜しても、この第2のハードバイアス膜
33には、第1のハードバイアス膜32からの大きな保
磁力(Hc)を増大させることができるようになる。
【0113】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、第2のハードバイアス層の平坦部が、直接フリー
磁性層に接しており、換言すれば、十分なバルクのハー
ドバイアス層をフリー磁性層に当接させることができる
ようになっており、その分、大きなバイアス磁界をフリ
ー磁性層に印加できるようになるから、良好な再生特性
を得ることができる。
【0114】また、この発明によれば、バイアス下地層
を介在させなくても、反強磁性層と第2のハードバイア
ス層との間で直接当接することが防止できるようになる
ので、これらの間で不要な交換結合磁界の発生を防止し
て、反強磁性層の磁化方向とハードバイアス層の磁化方
向との直交性を確保することができる。
【0115】さらに、この発明によれば、バイアス下地
層の成膜角度を大きくして成膜することにより、この上
層に成膜した第1のハードバイアス層には大きな保磁力
が得られるようになる。従って、これと接する第2のハ
ードバイアス層も大きな保磁力を発揮することができる
ようになるので、フリー磁性層には大きなバイアス磁界
を印加できるようになり、安定した再生出力を得ること
が可能になる。しかも、この第2のハードバイアス層
は、成膜角度を小さくして成膜しても大きな保磁力を発
揮することができるようになるので、従来のようにハー
ドバイアス層に先細りの傾斜部が形成されることがな
く、充分な膜厚を有するハードバイアス層の平坦部をフ
リー磁性層の両側面に接合させることができ、ひいては
大きなバイアス磁界をフリー磁性層に印加することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るスピンバルブ
型薄膜素子をABS面から見たときの状態を示す断面図
である。
【図2】図1に示すスピンバルブ型薄膜素子の要部断面
図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係るデュアルスピ
ンバルブ型薄膜素子をABS面から見たときの状態を示
す断面図である。
【図4】図1に示すスピンバルブ型薄膜素子の製造方法
を工程順に示す断面図である。
【図5】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順
に示す断面図である。
【図6】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順
に示す断面図である。
【図7】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順
に示す断面図である。
【図8】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順
に示す断面図である。
【図9】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程順
に示す断面図である。
【図10】同スピンバルブ型薄膜素子の製造方法を工程
順に示す断面図である。
【図11】Cr膜を20度の成膜角度で成膜した場合の
X線解析結果を示すグラフである。
【図12】Cr膜を50度の成膜角度で成膜した場合の
X線解析結果を示すグラフである。
【図13】Cr/CoPt積層膜のX線解析結果を示す
グラフである。
【図14】従来の製造方法で形成された同スピンバルブ
型薄膜素子をABS面から眺めた図である。
【符号の説明】
12 基板 13 下部シールド層 14 下部ギャップ層 2 磁気抵抗効果素子 2a 両側面 20 20´ 多層膜 20a 第1の傾斜面(両側面) 20b ステップ面 20c 第2の傾斜面(両側面) 20d 上面 21 シードレイヤ層 22 反強磁性層 23 固定磁性層 24 非磁性導電層 24A 非磁性導電層 24B 非磁性導電層 25 フリー磁性層 26 バックド層 28 固定磁性層 29 反強磁性層 31 バイアス下地層 31a 平坦部 31b 傾斜部 32 第1のハードバイアス層 33 第2のハードバイアス層 33a 平坦部 33b 傾斜部 34 電極層 α 形成面 β 第2のハードバイアス層の上面 γ 第2のハードバイアス層の下面 B 基部 C 突出部 E 両側基部 F 両側上部 R1 リフトオフ用の第1の(広幅)レジスト膜 R2 リフトオフ用の第2の(狭幅)レジスト膜 Tw1 第1のトラック幅 Tw2 第2のトラック幅 X トラック幅方向 Y ハイト方向 Z 積層方向
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/12 G01R 33/06 R Fターム(参考) 2G017 AA01 AB07 AC09 AD55 AD65 5D034 BA03 BA05 BA12 BA21 CA08 DA07 5E049 AA04 AC05 BA12 CB02

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トラック領域に、少なくとも反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に
    積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラ
    ック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から
    順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス
    層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピ
    ンバルブ型薄膜素子であって、 前記多層膜が、記録媒体との対向面から見たときに、積
    層方向の下部に位置する基部と、前記フリー磁性層を含
    み前記基部上に積層された突出部とを有する全体略凸形
    状を呈し、 前記基部の両側領域には前記第1のハードバイアス層が
    形成・配置されるとともに、前記突出部の両側領域には
    フリー磁性層の両側面に直接接触して前記第2のハード
    バイアス層が形成・配置され、 前記第2のハードバイアス層の平坦部の上面の方が前記
    フリー磁性層の上面よりも上方に配置されるとともに、
    前記平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面よりも下方
    に配置され、 前記突出部の両側領域に形成された第2のハードバイア
    ス層が、前記基部の両側領域に形成された第1のハード
    バイアス層に接触するように積層されたことを特徴とす
    るスピンバルブ型薄膜素子。
  2. 【請求項2】 前記基部には、少なくとも反強磁性層の
    全て、および固定磁性層の少なくとも一部が含まれたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のスピンバルブ型薄膜素
    子。
  3. 【請求項3】 前記第1のハードバイアス層の下にバイ
    アス下地層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に
    記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  4. 【請求項4】 前記バイアス下地層が、Crからなり、
    少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方向に
    配向した結晶を含んだことを特徴とする請求項3に記載
    のスピンバルブ型薄膜素子。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2のハードバイアス層
    のうち少なくとも一方が、CoPt合金またはCoCr
    Pt合金であることを特徴とする請求項1に記載のスピ
    ンバルブ型薄膜素子。
  6. 【請求項6】 前記CoPt合金またはCoCrPt合
    金が、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向した
    結晶を含んだ構成であることを特徴とする請求項5に記
    載のスピンバルブ型薄膜素子。
  7. 【請求項7】 前記CoPt合金またはCoCrPt合
    金が、[002]面が膜面垂直方向に優先配向した構成で
    あることを特徴とする請求項5に記載のスピンバルブ型
    薄膜素子。
  8. 【請求項8】 前記CoPt合金またはCoCrPt合
    金が、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂直
    方向に配向した結晶を含み、[002]面が優先配向して
    いることを特徴とする請求項5に記載のスピンバルブ型
    薄膜素子。
  9. 【請求項9】 前記多層膜中のフリー磁性層の上に、非
    磁性導電材料からなるバックド層が成膜されたことを特
    徴とする請求項1に記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  10. 【請求項10】 前記多層膜中に、鏡面反射層が成膜さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載のスピンバルブ型
    薄膜素子。
  11. 【請求項11】 前記フリー磁性層が、下から順に、第
    1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層
    を積層した構成であることを特徴とする請求項1または
    9に記載のスピンバルブ型薄膜素子。
  12. 【請求項12】 前記固定磁性層が、下から順に、第1
    の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層
    した構成であることを特徴とする請求項1に記載のスピ
    ンバルブ型薄膜素子。
  13. 【請求項13】 トラック領域に、少なくとも反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性導電層及びフリー層を含んで順に
    積層した、磁気抵抗効果を発揮する多層膜と、前記トラ
    ック領域を挟んでその両側に位置する両側領域に下から
    順に一対積層した、少なくとも第1のハードバイアス
    層、第2のハードバイアス層及び電極層とを備えるスピ
    ンバルブ型薄膜素子の製造方法であって、 前記トラック領域の多層膜を残してその両側領域の下部
    ギャップ層の一部まで除去し、 前記トラック領域の多層膜を挟んで除去した前記両側領
    域に、第1のハードバイアス層を積層した後、 前記多層膜のフリー磁性層が積層された深さよりも深
    く、前記多層膜の両側領域に接する側面を含む側面部と
    両側領域とを除去して前処理を行い、 その後、その除去した多層膜の側面部および両側領域
    に、第1のハードバイアス層に接触して第2のハードバ
    イアス層を積層させることを特徴とするスピンバルブ型
    薄膜素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記基部には、少なくとも反強磁性層
    の全て及び固定磁性層の少なくとも一部が含まれている
    ことを特徴とする請求項13に記載のスピンバルブ型薄
    膜素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第2のハードバイアス層は、フリ
    ー磁性層の側面に接する傾斜部から離間した平坦部の上
    面の方が、フリー磁性層の上面よりも上方位置に配置さ
    れるとともに、平坦部の下面の方がフリー磁性層の下面
    よりも下方に配置され、 この第2のハードバイアス層の直下には、前記突出部の
    側面に当接して、前記第2のハードバイアス層の成膜工
    程より前の工程で成膜された第1のハードバイアス層が
    成膜されることを特徴とする請求項13に記載のスピン
    バルブ型薄膜素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1のハードバイアス層の下にバ
    イアス下地層を設けることを特徴とする請求項13に記
    載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記バイアス下地層は、Crからな
    り、少なくとも[211]または[200]面が膜面垂直方
    向に配向していることを特徴とする請求項16に記載の
    スピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記第1および第2のハードバイアス
    層のうちの少なくとも一方は、CoPt合金またはCo
    CrPt合金のいずれかよりなることを特徴とする請求
    項13に記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記CoPt合金またはCoCrPt
    合金は、少なくとも[002]面が膜面垂直方向に配向す
    る結晶を含んでいることを特徴とする請求項18に記載
    のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記CoPt合金またはCoCrPt
    合金は、[002]面が膜面垂直方向に優先配向している
    ことを特徴とする請求項18に記載のスピンバルブ型薄
    膜素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記CoPt合金またはCoCrPt
    合金は、少なくとも[100]および[002]面が膜面垂
    直方向に配向する結晶を含み、[002]面が優先配向し
    ていることを特徴とする請求項18に記載のスピンバル
    ブ型薄膜素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記多層膜中にバックド層が成膜され
    ることを特徴とする請求項13に記載のスピンバルブ型
    薄膜素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記多層膜中に鏡面反射層が成膜され
    ることを特徴とする請求項13に記載のスピンバルブ型
    薄膜素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記フリー磁性層が、下から順に、第
    1のフリー磁性層、非磁性中間層、第2のフリー磁性層
    を積層した構成であることを特徴とする請求項13また
    は15に記載のスピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記固定磁性層が、下から順に、第1
    の固定磁性層、非磁性中間層、第2の固定磁性層を積層
    する構成であることを特徴とする請求項13に記載のス
    ピンバルブ型薄膜素子の製造方法。
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