JP3904467B2 - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に係り、特に光学的な素子サイズは大きくても実効的な素子サイズを小さくでき、効果的にしかも容易に再生出力を向上させることが可能な磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図23は従来における磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0003】
図23に示す符号1はTaなどの下地層であり、その上にPtMnなどの反強磁性層2が形成されている。さらに前記反強磁性層2の上にはNiFeなどで形成された固定磁性層3が形成され、前記固定磁性層3の上にはCuなどで形成された非磁性中間層4が形成され、さらに前記非磁性中間層4の上にはNiFeなどで形成されたフリー磁性層5が形成されている。また前記フリー磁性層5の上にはTaなどの保護層6が形成されている。前記下地層1から保護層6までで多層膜9が構成される。
【0004】
前記固定磁性層3の磁化は、前記反強磁性層2との交換異方性磁界によって図示Y方向に固定される。
【0005】
また前記フリー磁性層5の磁化は、前記フリー磁性層5のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成されたハードバイアス層7、7からの縦バイアス磁界によって図示X方向に揃えられる。
【0006】
図23に示すように、前記ハードバイアス層7、7の上には電極層8、8が形成されている。なおトラック幅Twは前記フリー磁性層5の上面のトラック幅方向(図示X方向)における長さで決定される。
【0007】
図23に示す磁気検出素子のセンス電流の流れの向きは、多層膜9の各膜面に対しほぼ平行な方向に流れるCIP(current in the plane)型と呼ばれるものであり、その模式図は図24に示されている。
【0008】
図24に示すように、反強磁性層からフリー磁性層までの各層で構成される多層膜のフリー磁性層の上面の幅はトラック幅Twであり、また前記多層膜の膜厚はT、前記多層膜のハイト方向(図示Y方向)への長さはMRhである。
【0009】
ここで例えば電流密度(J=I/(MRh×T))と膜厚Tを一定とし、前記トラック幅Twとハイト長さMRhを1/Sに縮小したとすると、前記多層膜の抵抗値Rは一定であり、よって抵抗変化量ΔRも一定である。またセンス電流Iは1/S倍となる。したがって出力ΔV(=ΔR×I)は1/S倍に小さくなってしまう。
【0010】
一方、発熱量Pを一定として、前記トラック幅Twとハイト長さMRhを1/Sに縮小したとすると、多層膜の抵抗値Rは一定であり、よって抵抗変化量ΔRも一定であり、またセンス電流Iも一定であるから、出力ΔVは一定値となる。
【0011】
一方、多層膜の各膜面に対し垂直方向からセンス電流を流すCPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子の場合は、以下のように出力(ΔV)が変化する。
【0012】
図25はCPP型の磁気検出素子の模式図である。図24と同様に、前記磁気検出素子の多層膜のフリー磁性層の上面の幅で決められるトラック幅はTwで示され、また前記多層膜の膜厚はT、前記多層膜のハイト方向(図示Y方向)への長さはMRhである。
【0013】
ここで上記したCIP型の場合と同様に、電流密度(J=I/(Tw×MRh))と膜厚Tを一定とし、前記トラック幅Twとハイト長さMRhを1/S倍に縮小したとすると、前記多層膜の抵抗値RはS2倍となり、よって抵抗変化量ΔRもS2倍となる。またセンス電流Iは1/S2倍となる。したがって出力ΔV(=ΔR×I)は一定である。
【0014】
一方、発熱量Pを一定として、前記トラック幅Twとハイト長さMRhを1/S倍に縮小したとすると、多層膜の抵抗値RはS2倍となり、よって抵抗変化量ΔRもS2倍となる。またセンス電流Iは1/S倍となるから、出力ΔVはS倍に大きくなる。
【0015】
このように素子サイズの狭小化が進むと、CIP型よりもCPP型にする方が再生出力ΔVを大きくでき、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズの狭小化に適切に対応できるものと期待された。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらCPP型の磁気検出素子は、前記トラック幅Tw及びハイト方向への長さMRhが0.1μm以下とならないと(すなわち素子面積が0.01μm2以下とならないと)、CIP型よりも効果的に高い再生出力を得られないことがわかった。
【0017】
今後の高記録密度化に伴って素子サイズは徐々に小さくなっていくものと考えられるが、0.1μm角の素子面積を有する磁気検出素子を形成することは、現時点でのフォトリソグラフィー技術の精度では極めて困難であるとともに、あまり素子サイズを小さくしすぎても、記録媒体からの漏れ磁界を有効に前記磁気検出素子で検出することができなくなり、再生出力の低下や再生波形の安定性の低下を招くものと考えられる。
【0018】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、光学的な素子サイズを小さくすることなく、実効的な素子サイズを小さくでき、効果的にしかも容易に再生出力を向上させることが可能な磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気検出素子は、下から反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層フリー磁性層、電流制限層の順、または、下から電流制限層、フリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層、反強磁性層の順に形成された多層膜が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れ
前記電流制限層には、絶縁部と導電部とが混在しており、前記導電部は導電性粒子であり、前記導電性粒子は前記絶縁部となる絶縁性材料膜内に分散されており、
前記電流制限層は、Feを主成分とした前記導電部となる導電性粒子が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素Mと、OあるいはNとの化合物を含む前記絶縁部となる非晶質の絶縁材料膜中に分散された膜構成であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明はCPP型の磁気検出素子であり、センス電流は、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に流れる。
【0021】
従って前記センス電流は、前記電流制限層内を垂直に流れるが、本発明では、フリー磁性層の上面あるいは少なくとも一方に直接にあるいは他層を介して設けられた前記電流制限層を絶縁部と導電部とが混在する構成としているから、前記センス電流は前記導電部内のみに流れることになる。
【0022】
このため電極層から前記電流制限層を介してフリー磁性層内に流れるセンス電流は、前記フリー磁性層内を前記導電部と対向する部分のみに局部的に流れる(この部分の電流密度が局所的に高くなることになる)。
【0023】
したがって本発明によれば、膜面と平行な方向におけるフリー磁性層の素子面積(この素子面積を光学的な素子面積という)を従来と同程度に大きく形成しても実際に前記フリー磁性層内にセンス電流が流れて、磁気抵抗効果に関与する素子面積(この素子面積を実効的な素子面積という)を小さくでき、よって従来と同程度の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて光学的な素子サイズが大きい前記磁気検出素子を形成しても、再生出力の高いCPP型の磁気検出素子を容易に形成することができる。
【0024】
また素子サイズを従来と同程度に大きく形成できるから、記録媒体からの外部磁界を効果的に前記磁気検出素子で検出することが可能であり、再生出力の向上、再生波形の安定性の向上を図ることが可能である。
【0025】
また本発明では、前記電流制限層の下面あるいは上面のどちらか一方あるいは両方に、貴金属材料層が形成されていることが好ましい。本発明では前記電流制限層は、これを縦断面(膜厚方向から切断した面)で見たときに、開口部(すなわちセンス電流の電流経路となる部分)と非開口部の導電率のコントラストが高いことが必要である。
【0026】
図26は、上記したコントラストが悪い例であり、図26に示すように、GMR膜上一面に凹凸のある絶縁膜(絶縁部)が形成されている。このような絶縁膜の形成は例えば酸化が必要以上に進んだ場合である。そしてこの絶縁膜の上に導電膜が形成され、この絶縁膜と導電膜とで電流制限層が構成されている。しかし図26に示す例では、前記絶縁膜がGMR膜上の一面に形成されているので、この電流制限層内を通過する電流(矢印で示されている)が、膜厚の薄い絶縁膜の部分に流れやすくなるものの適切に電流経路を絞り込むことができず、コンタクト抵抗値が増大するだけで、見かけ上のΔR*A(抵抗変化量*素子面積)は適切に改善されない。
【0027】
一方、図27は、上記したコントラストが良好な例であり、図27に示すようにGMR膜上には、貴金属で形成された下地層の上に電流制限層が形成されている。
【0028】
前記電流制限層を構成する絶縁膜(絶縁部)は前記下地層上に例えば島状に点在して形成され、前記絶縁膜間には、下面から上面にかけて複数の孔が形成され、この孔が開口部となる。そして導電膜(導電部)がこの孔内を埋めている。図27に示す例では、開口部(孔)と非開口部(絶縁部)とのコントラストが良好で、前記電流制限層内を流れる電流(矢印で示されている)は、前記開口部に集中して流れ、適切に電流経路が絞り込まれている。よって図26の例に比べて見かけ上のΔR*A(抵抗変化量*素子面積)を向上させることができ、再生出力等の再生特性の向上を適切に図ることができる。
【0029】
上記したコントラストを良好にするには図27に示すように、貴金属の下地層を敷くことが好ましい。前記貴金属の下地層は、表面エネルギー(γs)が小さく、適切に前記下地層上に例えば島状の絶縁膜を成長させることができる。このように島状に膜成長することをVolmer−Weber(VW)型成長と呼ぶ。このVW型成長の詳細については、日本応用磁気学会誌「薄膜成長プロセス概論」Vol.14,No.3,1990(P527−P531)を参照されたい。
【0030】
また前記貴金属の下地層を敷くことで、例えば前記下地層上に金属の薄い膜を島状に膜成長させ、この薄い膜を酸化したとき、この酸化が前記下地層の下に形成されているGMR膜にまで及ばない。GMR膜にまで酸化が及ぶと図26のようにコントラストが悪化するが、GMR膜にまで酸化が及ばないから開口部と非開口部とのコントラストを良好に保つことができるのである。
【0031】
また前記電流制限層の上に前記貴金属元素からなる層(保護層)を設けることで、前記電流制限層形成後、製造工程中に施される熱処理により前記電流制限層上に形成された層にまで酸素が拡散せず、依然として良好なコントラストを保つことができるのである。
【0032】
本発明では、前記貴金属材料層は、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成されていることが好ましい。あるいは前記貴金属材料層に代えてCu層が形成されていてもよい。
【0033】
また本発明では、少なくとも前記フリー磁性層の電流到達面側に、直接的にあるいは他層を介して前記電流制限層が設けられていることが好ましい。これにより適切にセンス電流の電流経路を絞り込み、実効的な素子面積を小さくできるので、再生出力の高いCPP型磁気検出素子を製造することが可能になる。
【0041】
なお上記の場合、前記電流制限層は、FeaMbOcの組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40であり、a+b+c=100なる関係を満たすことが好ましい。
【0042】
また本発明では、前記電流制限層は、FedMeNfの組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25であり、d+e+f=100なる関係を満たすことが好ましい。
【0043】
また本発明の磁気検出素子は、下から反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、フリー磁性層、電流制限層の順、または、下から電流制限層、フリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層、反強磁性層の順に形成された多層膜が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れ、
前記電流制限層には、絶縁部と導電部とが混在しており、前記導電部は導電性粒子であり、前記導電性粒子は前記絶縁部となる絶縁性材料膜内に分散されており、
前記絶縁材料膜は主としてCoが酸化された層であり、この絶縁材料膜内に、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属材料で形成された導電性粒子が分散していることを特徴とするものである。
【0045】
上記した電流制限層では、いずれも適切に絶縁部と導電部とが混在する膜構成とすることができ、実効的な素子サイズの狭小化を適切に図ることが可能である。
【0046】
また本発明における磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)下から第1の電極層、反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、およびフリー磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記フリー磁性層の上面に絶縁材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に、前記絶縁材料膜の上面から下面にまで通じる複数の孔を形成する工程と、
(b)前記絶縁材料膜上に導電性材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に形成された孔内を前記導電性材料膜で埋める工程と、
(c)前記絶縁材料膜と導電性材料膜とで構成された電流制限層上に第2の電極層を形成する工程。
【0047】
上記の工程によって、フリー磁性層の上面に容易に、例えば下面から上面にまで通じる複数の孔が設けられた絶縁材料膜と、この孔内に埋め込まれた導電材料層とで構成される電流制限層を容易に形成することが可能である。
【0048】
また本発明では、前記(a)工程で、貴金属元素からなる下地層を形成し、その後、前記下地層の上に前記絶縁材料膜を形成することが好ましい。このとき前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成することが好ましい。
【0049】
あるいは前記(a)工程で、Cuからなる下地層を形成し、その後、前記下地層の上に前記絶縁材料膜を形成してもよい。
【0050】
また本発明では、前記(a)工程で、前記絶縁材料膜をスパッタ成膜するとき、前記絶縁材料膜を前記フリー磁性層上あるいは下地層上で不連続体膜として形成することが好ましい。これにより、前記絶縁材料膜に例えば下面から上面にまで通じる複数の孔を形成することが容易になる。前記絶縁材料膜を不連続体膜とするには、材料の選定とスパッタ条件が重要である。スパッタ条件とは、基板温度やArガス圧、基板とターゲット間の距離などである。
【0051】
また上記したように、前記貴金属元素からなる下地層を敷いておくと、前記絶縁材料膜を特に不連続体膜として形成しやすくなる。その理由は前記下地層の表面エネルギーはGMR膜表面に比べて低く、元素が凝集して核を形成しやすいからである。
【0052】
また本発明では、前記絶縁材料膜を、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の酸化物からなる絶縁材料でスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が残された状態でスパッタを止めることが好ましい。
【0053】
また本発明では、前記(a)工程の絶縁材料膜の形成時において、まずAg、Cu、Zn、Ge、Pb、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の金属元素をスパッタで形成し、この金属元素からなる膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が残された状態でスパッタを止め、その後、前記金属元素からなる膜を酸化し、この酸化膜を絶縁材料膜とすることが好ましい。
【0054】
上記したように、酸化工程が必要な場合、特に前記電流制限層の下には貴金属元素で形成された下地層を敷いておくことで、前記下地層の下に形成されたGMR膜まで前記酸化が及ぶのを適切に回避することができ、前記電流制限層の開口部と非開口部とのコントラストを良好に保つことができる。
【0055】
また本発明では、前記絶縁材料膜を、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の窒化物からなる絶縁材料でスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が残された状態でスパッタを止めることが好ましい。
【0056】
あるいは本発明では、前記(a)工程の絶縁材料膜の形成時において、まずAg、Cu、Zn、Ge、Pb、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の金属元素をスパッタで形成し、この金属元素からなる膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が残された状態でスパッタを止め、その後、前記金属元素からなる膜を窒化し、この窒化膜を絶縁材料膜とすることが好ましい。
【0057】
また本発明における磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(d)下から第1の電極層、反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、およびフリー磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記フリー磁性層の上面に、FeaMbOc(ただし元素MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)なる組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40で、a+b+c=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとOとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜する工程と、
(e)前記電流制限層上に第2の電極層を形成する工程。
【0058】
本発明では、上記した電流制限層を熱処理し、この熱処理によって膜内の酸化されやすい元素の酸化を促進させて、前記電流制限層の開口部の割合(比率)を調整することが好ましい。前記開口部の割合は全体の10%〜30%程度であることが好ましい。
【0059】
あるいは本発明では、前記(d)工程のFeaMbOcに代えて、FedMeNf(ただし元素Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)からなる組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25で、d+e+f=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとNとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜してもよい。
【0060】
上記の製造方法では、フリー磁性層の上面に、Feを主成分とした微結晶粒が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素Mと、OあるいはNとの化合物を含む非晶質中に分散された電流制限層を容易に形成することができる。
【0061】
また本発明では、前記(d)工程のFeaMbOcに代えて、電流制限層を、Coと、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属元素を含む材料をスパッタ成膜した後、熱処理を施すことでCoを酸化して形成してもよい。
【0062】
また本発明では、前記(d)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記フリー磁性層の上面に貴金属材料からなる下地層を形成することが好ましい。
【0063】
特に上記したように電流制限層に対し熱処理を施して酸化層の割合を進行させる製造工程を用いる場合には、前記電流制限層の下に貴金属元素からなる下地層を設けることで、前記下地層の下に形成されたGMR膜にまで酸化が及ばないようにすることが可能である。
【0064】
なお前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成することが好ましい。あるいは前記(d)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記フリー磁性層の上面にCuからなる下地層を形成することが好ましい。
【0065】
また本発明では、前記電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料からなる保護層を形成することが好ましい。あるいは電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Cuからなる保護層を形成することが好ましい
磁気検出素子の製造工程において、前記電流制限層を形成した後、熱処理を施す場合があるが、前記貴金属元素からなる保護層を設けたことで、前記電流制限層上に形成された層への酸素の拡散を適切に防止することが可能である。なおかかる場合、前記保護層を第2の電極層とすることができる。
【0066】
また本発明では、下から、第1の電極層、電流制限層、フリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層及び反強磁性層の順で多層膜を積層するものであってもよい。
【0067】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態の磁気検出素子(シングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子)の全体構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0068】
図1に示す磁気検出素子の上下には、ギャップ層(図示せず)を介してシールド層(図示せず)が設けられており、前記磁気検出素子、ギャップ層及びシールド層を合わせてMRヘッドと呼ばれる。
【0069】
なお図1に示す電極層20、33が前記ギャップ層を兼ねていてもよいし、あるいは前記電極層20、33が磁性材料で形成されるときは、シールド層を兼ねていてもよい。
【0070】
前記MRヘッドは、記録媒体に記録された外部信号を再生するためのものである。また本発明では、前記MRヘッドの上に記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。前記磁気検出素子の上側に形成されたシールド層(上部シールド層)は、前記インダクティブヘッドの下部コア層として兼用されてもよい。
【0071】
また前記MRヘッドは、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al2O3−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。前記スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0072】
図1に示す符号20は、第1の電極層である。前記第1の電極層20は、例えばα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)やW(タングステン)などで形成されている。
【0073】
前記第1の電極層20の上面中央には、下地層21が形成される。前記下地層21は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。前記下地層21は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこの下地層21は形成されていなくても良い。
【0074】
次に前記下地層21の上にはシードレイヤ22が形成される。前記シードレイヤ22は、主として面心立方晶から成り、次に説明する反強磁性層23との界面と平行な方向に(111)面が優先配向されている。前記シードレイヤ22は、NiFe合金、あるいはNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種以上)で形成されることが好ましい。これらの材質で形成されたシードレイヤ22はTa等で形成された下地層21上に形成されることにより反強磁性層23との界面と平行な方向に(111)面が優先配向しやすくなる。前記シードレイヤ22は、例えば30Å程度で形成される。
【0075】
なお本発明における磁気検出素子は各層の膜面と垂直方向にセンス電流が流れるCPP型であるため、前記シードレイヤ22にも適切にセンス電流が流れる必要性がある。よって前記シードレイヤ22は比抵抗の高い材質でないことが好ましい。すなわちCPP型では前記シードレイヤ22はNiFe合金などの比抵抗の低い材質で形成されることが好ましい。なお前記シードレイヤ22は形成されなくても良い。
【0076】
次に前記シードレイヤ22上には反強磁性層23が形成される。前記反強磁性層23は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。あるいは前記反強磁性層23は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料により形成されることが好ましい。
【0077】
これらの反強磁性材料は、耐食性に優れしかもブロッキング温度も高く次に説明する固定磁性層24との界面で大きな交換異方性磁界を発生し得る。また前記反強磁性層23は80Å以上で300Å以下の膜厚で形成されることが好ましい。
【0078】
次に前記反強磁性層23の上には固定磁性層24が形成されている。この実施形態では前記固定磁性層24は3層構造で形成されている。
【0079】
前記固定磁性層24を構成する符号51及び53の層は磁性層であり、例えばCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどで形成される。前記磁性層51,53間にはRuなどで形成された中間層52が介在し、この構成により、前記磁性層51と前記磁性層53の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆる人工フェリ構造と呼ばれる。
【0080】
前記反強磁性層23と、前記固定磁性層24の前記反強磁性層23に接する磁性層51との間には磁場中熱処理によって交換異方性磁界が発生し、例えば前記磁性層51の磁化がハイト方向(図示Y方向)に固定された場合、もう一方の磁性層53はRKKY相互作用により、ハイト方向とは逆方向(図示Y方向と逆方向)に磁化され固定される。この構成により前記固定磁性層24の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層24と前記反強磁性層23との界面で発生する交換異方性磁界を見かけ上大きくすることができる。
【0081】
なお例えば、前記磁性層51,53の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また中間層52の膜厚は3Å〜10Å程度で形成される。
【0082】
また前記磁性層51、53はそれぞれ単位面積当たりの磁気モーメントが異なるように、前記磁性層51、53の材質や膜厚がそれぞれ異なっている。前記磁気モーメントは飽和磁化Ms×膜厚tで設定され、例えば前記磁性層51、53を共に同じ材質で同じ組成の材料で形成するとき、前記磁性層51、53の膜厚を異ならせることで、前記磁性層51、53の磁気モーメントを異ならせることができる。これによって適切に前記磁性層51、53を人工フェリ構造にすることが可能である。
【0083】
なお本発明では前記固定磁性層24はフェリ構造ではなくNiFe合金、NiFeCo合金、あるいはCoFe合金などの単層膜あるいは積層膜で形成されていても良い。
【0084】
前記固定磁性層24の上には非磁性中間層25が形成されている。前記非磁性中間層25は例えばCuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成される。前記非磁性中間層25は例えば25Å程度の膜厚で形成される。
【0085】
次に前記非磁性中間層25の上にはフリー磁性層26が形成される。前記フリー磁性層26は2層構造で形成され、前記非磁性中間層25と対向する側にCo膜54が形成されていることが好ましい。これにより前記非磁性中間層25との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率(ΔGMR)を大きくすることができる。また前記Co膜54上には、NiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などにより形成された磁性層55が形成されることが好ましい。また前記フリー磁性層26の全体の膜厚は、20Å以上で100Å以下程度の膜厚で形成されることが好ましい。
【0086】
なお前記フリー磁性層26は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造で形成されていても良い。
【0087】
前記フリー磁性層26の上には電流制限層27が形成されている。前記電流制限層27の膜構造等に関しては、後から詳しく説明する。
【0088】
本発明では、前記下地層21から前記電流制限層27までの多層膜28のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面28a、28aは、連続した傾斜面となっており、前記多層膜28は略台形状となっている。
【0089】
図1に示すように、前記多層膜28のトラック幅方向の両側領域には、絶縁層29が形成されている。前記絶縁層29は例えばAl23、SiO2など一般的な絶縁材料で形成される。
【0090】
前記絶縁層29の上面29aは、前記フリー磁性層26の下面よりも図示下側(図示Z方向とは逆方向)に形成されていることが好ましい。
【0091】
前記絶縁層29の上には、バイアス下地層30が形成されている。また前記バイアス下地層30の上にはハードバイアス層31が形成されている。前記ハードバイアス層31は、前記フリー磁性層26の両側に対向する位置に形成される。前記ハードバイアス層31は、トラック幅方向(図示X方向)に磁化されており、前記ハードバイアス層31からの縦バイアス磁界によって、前記フリー磁性層26の磁化は図示X方向に揃えられる。
【0092】
前記バイアス下地層30は前記ハードバイアス層31の特性(保磁力Hc、角形比S)を向上させるために設けられたものである。
【0093】
本発明では、前記バイアス下地層30は、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜で形成されることが好ましい。なおこのとき前記バイアス下地層30の結晶配向は(100)面が優先配向するのが好ましい。
【0094】
また前記ハードバイアス層31は、CoPt合金やCoPtCr合金などで形成される。これら合金の結晶構造は、稠密六方構造(hcp)単相あるいは面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となっている。
【0095】
ここで上記の金属膜で形成されたバイアス下地層30とハードバイアス層31を構成するCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層の境界面内に優先配向される。前記hcp構造はfcc構造に比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層31に磁界を与えたときの保磁力Hcは大きくなるのである。さらにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下地層との境界面内で優先配向となっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁束密度で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、前記ハードバイアス層31の特性を向上させることができ、前記ハードバイアス層31から発生するバイアス磁界を増大させることができる。
【0096】
本発明では、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜は、Cr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成されることが好ましい。
【0097】
また本発明では前記バイアス下地層30はハードバイアス層31の下側にのみ形成されていることが好ましいが、前記多層膜28の両側端面28aとハードバイアス層31間にも若干、介在してもよい。前記多層膜28の両側端面28aに形成されるバイアス下地層30のトラック幅方向(図示X方向)における膜厚は1nm以下であることが好ましい。
【0098】
これにより前記ハードバイアス層31とフリー磁性層26とを磁気的に連続体にできるから、前記フリー磁性層26の端部が反磁界の影響を受けるバックリング現象などの問題も発生せず、前記フリー磁性層26の磁区制御を容易にできる。
【0099】
また図1に示すように、前記ハードバイアス層31の上には絶縁層32が形成されている。前記絶縁層32は、Al2O3やSiO2などの一般的な絶縁材料で形成される。
【0100】
なおこの実施形態では、前記絶縁層32の上面と電流制限層27の上面とが同一面上で平坦化されているが、前記絶縁層32の上面と前記電流制限層27の上面とが同一面上である必要はない。
【0101】
そして前記絶縁層32上から電流制限層27上にかけて第2の電極層33が形成される。前記第2の電極層33は前記第1の電極層20と同様に、例えばα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)やW(タングステン)などで形成されている。
【0102】
この実施形態では、前記第2の電極層33から第1の電極層20に向けてセンス電流が流れるが、第1の電極層20から第2の電極層33に向けて前記センス電流が流れても良い。従って前記センス電流は、多層膜28内の各層を膜面と垂直方向に流れ、このようなセンス電流の流れ方向はCPP型と呼ばれる。
【0103】
この磁気検出素子では、固定磁性層24、非磁性中間層25及びフリー磁性層26に検出電流(センス電流)が与えられ、ハードディスクなどの記録媒体の走行方向はZ方向であり、記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与えられると、フリー磁性層26の磁化が図示X方向の一方向からY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層26内での磁化の方向の変動と、固定磁性層24の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し(これを磁気抵抗効果という)、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0104】
ところで本発明では図1に示すように、前記フリー磁性層26と第2の電極層33との間に電流制限層27が形成されている。
【0105】
本発明における電流制限層27は例えば図9に示す膜構成である。図9は、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26及び電流制限層27の部分模式図である。
【0106】
図9に示すように前記電流制限層27は、複数の孔56が形成された絶縁材料膜(絶縁部)57が母材となっている。前記孔56のうち少なくとも一部の孔56は、前記絶縁材料膜57を下面から上面にまで貫通している。
【0107】
図9に示すように、前記絶縁材料膜57上には導電性材料膜(導電部)58が形成されている。前記導電性材料膜58は前記絶縁材料膜57に形成された孔56内にも形成されており、前記孔56は前記導電性材料膜58によって埋められた状態になっている。なお図9では、図面上の記載を簡潔にするため、一部の孔のみに「孔56」及び「導電性材料膜58」なる文言を記入している。
【0108】
ここで前記絶縁材料膜57は、酸化膜あるいは窒化膜で形成されることが好ましい。また前記酸化膜は、Ag、Cu、Zn、Ge、Pd、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の酸化物からなる絶縁材料で形成されることが好ましい。また窒化膜は、Ag、Cu、Zn、Ge、Pd、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の窒化物からなる絶縁材料で形成されることが好ましい。
【0109】
これら酸化膜及び窒化膜は、前記フリー磁性層26上で薄く成膜されると、スパッタ成膜の際に凝集して不連続体膜になりやすい材質である。前記不連続体膜になると前記絶縁材料膜57には図9に示すような上面から下面にまで貫通する孔56が形成されやすくなる。
【0110】
また前記不連続体膜となるか否かは材質の選定のみならず、スパッタ条件も重要な要素である。前記絶縁材料膜57を不連続体膜とするためのスパッタ条件は、基板温度を20℃〜200℃程度に低くしたり、Arガス圧を10〜50mTorr(1.3〜6.7Pa)程度に高くしたり、また基板とターゲット間の距離を200〜300mm程度に離したりすること等である。
【0111】
なお上記したスパッタ成膜では、例えば、RFスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0112】
次に導電性材料膜58は、一般的な導電性材料を使用することができ、例えば電極層20、33と同様にα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)やW(タングステン)などで形成することもできるが、前記導電性材料膜58はRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属元素から形成されていることが好ましい。なおCuが添加されていてもよい。
【0113】
貴金属元素はそれ自体、酸化されにくい材質であり、絶縁材料膜57上及び孔56内に前記貴金属元素から形成された導電性材料膜58を形成することで、熱処理などによって酸素の拡散を抑制でき、図9に示す開口部(孔)と非開口部(絶縁材料層)とのコントラストを良好に保つことができる。
【0114】
以上のように本発明ではフリー磁性層26上に絶縁部と導電部とが混在した電流制限層27を設けることで、次のような効果を期待することができる。
【0115】
すなわち本発明のようにCPP型の磁気検出素子では、第2の電極層33から流れるセンス電流は、前記電流制限層27内を膜面と垂直方向に流れるが、本発明では、前記電流制限層27を絶縁材料膜(絶縁部)57に形成された孔56内に導電性材料膜(導電部)58を埋め込んだ構造としているから、前記センス電流は前記導電性材料膜58内のみに流れることになる。
【0116】
このため第2の電極層33から前記電流制限層27を介してフリー磁性層26内に流れるセンス電流は、前記フリー磁性層26内を前記導電性材料膜58と対向する部分のみに局部的に流れる(この部分の電流密度が局所的に高くなることになる)。
【0117】
したがって本発明によれば、膜面と平行な方向におけるフリー磁性層26の素子面積(この素子面積を光学的な素子面積という)を従来と同程度に大きく形成しても実際に前記フリー磁性層26内にセンス電流が流れて、磁気抵抗効果に関与する素子面積(この素子面積を実効的な素子面積という)を小さくでき、よって従来と同程度の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて光学的な素子サイズが大きい前記磁気検出素子を形成しても、再生出力の高いCPP型の磁気検出素子を容易に形成することができる。
【0118】
なお本発明では、上記のように従来と同程度の素子面積で磁気検出素子を形成でき、具体的には図9に示すトラック幅Twを0.15〜0.3μmに形成でき、またハイト方向の長さMRhを0.15〜0.3μmに形成でき、よって光学的な素子面積を0.02〜0.09μm2に大きく形成できる。
【0119】
また本発明では、前記実効的な素子面積は、0.01μm2以下であることが好ましい。実効的な素子面積の求め方としては、例えば光学的な素子面積(Tw×MRh)に、孔56の開口率をかけて求めることができる。これは、GMR膜単独の抵抗値と、電極を含んだ素子全体の抵抗値との差から概略で求めることができる。
【0120】
また前記電流制限層27を膜面と平行な平面から見たときに、前記開口部(孔56)の割合は10%〜30%程度であることが好ましい。
【0121】
また本発明では、光学的な素子面積は従来と同程度であるから、記録媒体からの外部磁界を有効に前記磁気検出素子で検出することができ、感度の良い再生特性に優れたCPP型磁気検出素子を製造することができる。
【0122】
また本発明では前記電流制限層27の膜構成は図9のようなものに限らず、例えば他に図10のような膜構成を提示できる。
【0123】
図10に示す電流制限層27の前記絶縁材料膜57には、前記電流制限層を膜面と平行な方向から見たときに、連続して延びる溝68が形成され、この溝68は前記電流制限層27の上面から下面にまで通じて形成されている。前記溝68の平面形状は細長の曲線であったり、途中で枝別れしているが、形状はどのようなものであってもよい。そして前記溝68内及び絶縁材料層57上に導電材料膜58が形成されている。この図9と図10との絶縁材料膜57の形状の違いは薄膜の核成長の違いによるものである。薄膜(絶縁材料膜57あるいは絶縁材料膜57の基になる層)は、フリー磁性層26上でまず島状に成長していき、さらに成長させると、これら島どうしがくっつきはじめ、図10のような連続して延びる溝68を形成する。
【0124】
すなわち薄膜の成長をどの段階で止めるかによって、前記電流制限層27の平面形状は変化していく。ここで重要なのは、前記電流制限層27を構成する絶縁材料膜57に下面から上面にかけて貫通する孔56あるいは溝68が適切に形成されていることである。このような孔56あるいは溝68が貫通して形成されていると、この孔56あるいは溝68内に埋め込まれた導電性材料膜58がフリー磁性層26まで電流を流す経路となり、適切に電流経路を絞り込むことができる。これは既に図26及び図27のところで説明した通りであり、本発明では図27のように絶縁材料膜がフリー磁性層上を完全に覆っているのではなく、所々に貫通する孔や溝が設けられ、この孔や溝内に導電性材料層が埋め込まれている。
【0125】
なお図27は前記電流制限層27の下に貴金属元素からなる下地層が設けられた例であるが、この実施例については後で図面を参照して詳述する。
【0126】
また図10のように、前記電流制限層27の絶縁材料膜57には、前記電流制限層27の上面から下面にまで通じる孔56と、膜面と平行な平面から見たときに連続して延び、前記電流制限層27の上面から下面にまで通じる溝68とが混在していてもよい。
【0127】
次に図9に示す電流制限層27は、複数の孔56が形成された絶縁材料膜57と、この孔56を埋める導電性材料膜58とで構成されているが、本発明では、以下の膜構成を有する電流制限層27でも良い。
【0128】
本発明では、例えば絶縁材料のターゲットと導電性材料のターゲットを用意し、これら2つのターゲットを同時にスパッタすることで、前記フリー磁性層26上には絶縁材料の粒子と導電性材料の粒子とが混在した電流制限層27を形成することができる。
【0129】
具体的には、前記電流制限層27の導電部は導電性粒子であり、前記導電性粒子は絶縁部となる絶縁材料膜内に分散されている膜構成を提供することができる。
【0130】
上記膜構成を有する電流制限層27を例示すると、前記電流制限層27は、Feを主成分とした導電部となる微結晶粒が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素Mと、OあるいはNとの化合物を含む絶縁部となる非晶質中に分散された膜構成である。
【0131】
この電流制限層27では、FeaMbOcの組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40であり、a+b+c=100なる関係を満たすことが好ましい。
【0132】
あるいは前記電流制限層27では、FedMeNfの組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25であり、d+e+f=100なる関係を満たすことが好ましい。
【0133】
上記の電流制限層27の形成は、例えばFeのターゲットと、HfO2のターゲットの2つを用意し、これら2つのターゲットをスパッタする。これにより、非晶質相のマトリックスの内部にbccFeを主成分とした微結晶粒が多数析出された前記電流制限層27を形成することができる。
【0134】
なお上記したスパッタ成膜では、例えば、RFスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0135】
あるいは本発明では、前記電流制限層27を構成する絶縁材料膜は主としてCoが酸化された層であり、この絶縁材料膜内に、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成された導電性粒子が分散している、電流制限層27を形成することができる。
【0136】
あるいは、前記電流制限層27の絶縁部は絶縁性粒子であり、前記絶縁性粒子は、導電部となる導電性材料膜内に分散されている膜構成であってもよい。
【0137】
なお上記した導電性粒子にはCuなどの一般的な導電性材料を使用でき、絶縁性粒子には、Al2O3などの一般的な絶縁性材料を使用することもできる。
【0138】
また上記したように導電性粒子を混在させたいわゆるグラニュラー膜で電流制限層27を形成するときは、前記導電性粒子の粒径より前記電流制限層27の膜厚が薄くないと、前記導電性粒子がセンス電流の電流経路として適切に機能せず、再生出力等の再生特性の悪化を招く。
【0139】
次に本発明における磁気検出素子の膜厚について以下に説明する。
【0140】
本発明では、前記固定磁性層24(但し図1の場合は実質的に磁気抵抗効果に寄与する磁性層53)、非磁性中間層25及びフリー磁性層26の総合膜厚T2(図1を参照のこと)は60Å以上で300Å以下であることが好ましい。例えば前記固定磁性層24の膜厚は20Å程度、非磁性中間層25の膜厚は20Å程度、フリー磁性層26の膜厚は30Å程度である。
【0141】
前記固定磁性層24からフリー磁性層26までの総合膜厚T2が60Å以上で300Å以下であると、前記総合膜厚T2は伝導電子の平均自由行程と同じくらいか、あるいはそれよりもやや小さい程度になる。このため前記伝導電子は、前記フリー磁性層26内を散乱されることなしに自由に通過することが可能であり、磁気検出素子の抵抗変化率(ΔMR)の向上を図ることが可能である。なお前記総合膜厚T2が60Å以下の膜厚であると、再生出力が低下し好ましくない。
【0142】
また図1に示す磁気検出素子ではセンス電流は第2の電極層33から第1の電極層20に向かって流れ(逆でもよい)、前記電流制限層27は前記フリー磁性層26の前記センス電流の到達面側(図1において、センス電流が第2の電極層33から第1の電極層20に向かって流れているときフリー磁性層26の上面がセンス電流の伝導電子の到達面側、下面がセンス電流の伝導電子の通過面側である)に形成されている。これにより前記センス電流は前記電流制限層27の部分で効果的に絞り込まれて実効的な素子面積を小さくでき、再生出力の高いCPP型磁気検出素子を製造することができる。
【0143】
次に図1に示す磁気検出素子の膜構造の特徴点について以下に説明する。
図1に示す磁気検出素子では、前記フリー磁性層26のトラック幅方向(図示X方向)の両側にハードバイアス層31が設けられているが、その上下は絶縁層29、32で囲まれている。
【0144】
このため前記第1の電極層20と第2の電極層33間を流れるセンス電流は、下地層21から電流制限層27までの多層膜28の両側領域には分流しずらくなり、したがって前記センス電流は適切に前記多層膜28内を流れて、高い再生出力を得ることが可能である。
【0145】
また前記総合膜厚T2が伝導電子の平均自由行程より小さい場合は、伝導電子は、その方向を変えることなしに直接、垂直方向に流れて他の電極層に達する。この場合は、絶縁層29と32のうちどちらか一方を省略してもよい。
【0146】
以下、図1に示す磁気検出素子以外の膜構成について説明する。
図2は本発明における第2実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号が付けられた層は、図1と同じ層と示している。
【0147】
図2に示す実施形態では、前記第1の電極層20の中央上面に、下から電流制限層27、フリー磁性層26、非磁性中間層25、固定磁性層24及び反強磁性層23の順で積層された多層膜34が形成されている。
【0148】
前記多層膜34のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面34a、34aは連続した傾斜面となっており、略台形状となっている。
【0149】
前記多層膜34の両側領域には、下から絶縁層35、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、および絶縁層36の順で積層されている。
【0150】
そして前記絶縁層36上から前記反強磁性層23上にかけて第2の電極層33が形成されている。
【0151】
図2に示す実施形態の多層膜34の積層順序は、図1に示す実施形態の多層膜28の積層順序とは逆となっている。
【0152】
この実施形態においても前記電流制限層27は絶縁部と導電部とが混在した構造である。
【0153】
すなわち前記電流制限層27の前記絶縁部は、少なくとも前記電流制限層27の上面から下面にまで通じる複数の孔56が設けられた絶縁材料膜57であり、この孔56内に前記導電部となる導電性材料膜58が埋め込まれた膜構成である(図9を参照のこと)。あるいは前記電流制限層27の前記絶縁部は、膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝68を有し、この溝68は前記電流制限層の下面から上面にまで通じて形成され、この溝68内に前記導電部となる導電性材料膜58が埋め込まれた膜構成である(図10を参照のこと)。
【0154】
あるいは前記電流制限層27の前記導電部は導電性粒子であり、前記導電粒子は前記絶縁部となる絶縁性材料層内に分散されている膜構成である。
【0155】
または前記電流制限層27の前記絶縁部は絶縁性粒子であり、前記絶縁性粒子は、前記導電部となる導電性材料膜内に分散されている膜構成である。
【0156】
またこの実施形態でも、前記多層膜34のトラック幅方向(図示X方向)における両側領域に形成されたハードバイアス層31の上下には絶縁層35、36が形成されており、前記第1の電極層20と第2の電極層33間を流れるセンス電流が前記両側領域に分流するのを防ぎ、前記多層膜34に主にセンス電流が流れるようになるので、再生出力の向上を図ることが可能である。
【0157】
なおこの図2に示す実施形態では、前記センス電流は第1の電極層20から第2の電極層33に向けて流れ(あるいは逆でもよい)、したがって前記電流制限層27は前記フリー磁性層26の前記センス電流の到達面側に直接、設けられている。
【0158】
次に図3は本発明における第3実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号が付けられている層は、図1と同じ層を示している。またセンス電流は第2の電極層33から第1の電極層20に向けて流れる(あるいは逆でもよい)。
【0159】
この実施形態では、前記第1の電極層20と第2の電極層33間に形成される多層膜28の膜構成は図1と同じである。
【0160】
この実施形態では、前記第1の電極層20上から前記多層膜28のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面28a、28aにかけてスペキュラー膜(鏡面反射層とも言う)37、37が形成されている。
【0161】
前記スペキュラー膜37は、Fe−O、NiO、CoO、CoFeO、CoFeNiO、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)等の酸化物、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)等の窒化物、NiMnSb、PtMnSbなどの半金属ホイッスラー金属等で形成できる。
【0162】
前記スペキュラー膜37の上には絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、および絶縁層32が積層形成されている。そして前記絶縁層32上から電流制限層27上にかけて第2の電極層33が形成されている。
【0163】
この実施形態では、前記多層膜28の両側端面28aにスペキュラー膜37が形成されたことで、前記多層膜28の光学的な素子面積(Tw×MRh)が小さくなっても伝導電子を前記スペキュラー膜37で鏡面反射させることができ、前記両側端面28aで前記伝導電子が散乱するのを抑制することができる。このため前記伝導電子の平均自由行程(スピン拡散長)を伸ばすことができ、抵抗変化率の向上をよりいっそう図ることが可能である。
【0164】
図4は本発明における第4実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。なお図1と同じ符号が付けられている層は、図1と同じ層を示している。またセンス電流は第2の電極層33から第1の電極層20に向けて流れる(あるいは逆でも良い)。
【0165】
図4に示す実施形態では、前記フリー磁性層26の上に中間層38を介してハードバイアス層39が設けられている。そして前記ハードバイアス層39の上に前記電流制限層27が設けられている。
【0166】
この実施形態では、前記フリー磁性層26上に中間層38を介して形成されたハードバイアス層39の両側端部から前記フリー磁性層26に向けて縦バイアス磁界が供給されて(矢印で示す)、前記フリー磁性層26の磁化が図示X方向に向けられるようになっている。
【0167】
前記中間層38は、非磁性導電材料で形成されることが好ましい。具体的には、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されていることが好ましい。また前記中間層38が本発明における電流制限層を兼ねることもできる。その実施形態は図5である。
【0168】
図5に示す実施形態では前記フリー磁性層26上に電流制限層27が形成されている。前記電流制限層27の膜構成や材質などについては図1で説明したものと同じなのでそちらを参照されたい。
【0169】
そして前記電流制限層27の上にハードバイアス層39が形成されている。この実施形態では、図4のように中間層38と電流制限層27とを別々に形成する必要がないから製造工程を容易にできる。
【0170】
ただし、図5において、前記ハードバイアス層39と第2の電極層33間に電流制限層27が設けられていてもよい。
【0171】
また図4において、前記中間層38は、例えばAl2O3やSiO2などの絶縁材料で形成されてもよいが、かかる場合、前記中間層38を薄く形成して、前記第1の電極層20と第2の電極層33間に流れるセンス電流が、前記中間層38の部分で遮断されないようにすることが必要である。前記中間層38の膜厚は20〜100Åで形成されることが好ましい。
【0172】
またこの実施形態のように、前記電流制限層27は、前記フリー磁性層26のセンス電流の到達面側(上面側)に直接設けられていなくても、他層を介して設けられていてもよい。
【0173】
なお前記電流制限層27は、前記フリー磁性層26と中間層38間に形成されて、前記フリー磁性層26のセンス電流の到達面側に直接的に形成されていてもよい。
【0174】
また図2に示す実施形態のように、フリー磁性層26が、前記反強磁性層23よりも下側に形成された場合には、前記第1の電極層20上に電流制限層27、ハードバイアス層39、中間層38及びフリー磁性層26の順に積層形成する。
【0175】
あるいは第1の電極層20上にハードバイアス層39、電流制限層27、フリー磁性層26の順に積層形成する。なおかかる場合には、センス電流は第1の電極層20から第2の電極層33に向けて流れ、前記フリー磁性層26の下面側がセンス電流の伝導電子の到達面側になる。なお前記センス電流の伝導電子は、第2の電極層33から第1の電極層20に向けて流れても良い。
【0176】
図4のように、フリー磁性層26に中間層38を介してハードバイアス層39を設ける構造であると、あるいは図5のように前記フリー磁性層26に電流制限層27を介してハードバイアス層39を設ける構造であると、前記フリー磁性層26の両側にハードバイアス層を設ける場合に比べて、前記フリー磁性層26が強固に磁化されることがなく前記フリー磁性層26の磁区制御を適正化でき、前記フリー磁性層26の外部磁界に対する磁化変動を良好にすることが可能である。
【0177】
また図4及び図5に示す実施形態では、前記下地層21から前記電流制限層27まで(図5ではハードバイアス層39まで)の多層膜41のトラック幅方向(図示X方向)の両側領域には絶縁層40のみが形成されている。
【0178】
したがって図4及び図5に示す実施形態では、第1の電極層20と第2の電極層33間に流れるセンス電流は、効果的に多層膜41内のみを流れ、前記センス電流の分流ロスを低減させることが可能である。
【0179】
図6は本発明における第6実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0180】
図6に示す実施形態では、前記フリー磁性層26が3層の人工フェリ構造となっている。
【0181】
前記フリー磁性層26を構成する符号65及び67の層は磁性層であり、例えばCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどで形成される。前記磁性層65,67間にはRuなどで形成された中間層66が介在し、この構成により、前記磁性層65と前記磁性層67の磁化方向はRKKY相互作用により互いに反平行状態にされる。これはいわゆる人工フェリ状態と呼ばれる。
【0182】
前記磁性層65,67の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また中間層66の膜厚は3Å〜10Å程度で形成される。
【0183】
なお前記磁性層65、67はそれぞれ単位面積当たりの磁気モーメントが異なるように、前記磁性層65、67の材質や膜厚はそれぞれ異なっている。前記磁気モーメントは飽和磁化Ms×膜厚tで設定され、例えば前記磁性層65、67を共に同じ材質で同じ組成の材料で形成するとき、前記磁性層65、67の膜厚を異ならせることで、前記磁性層65、67の磁気モーメントを異ならせることができる。これによって適切に前記磁性層65、67を人工フェリ構造にすることが可能である。
【0184】
図6のように前記フリー磁性層26を人工フェリ構造とすることで、前記フリー磁性層26を適切に単磁区化でき、バルクハウゼンノイズが少なく、再生出力の高い磁気検出素子を製造することが可能である。なお前記フリー磁性層26の磁性層65、67のうち、磁気抵抗効果に関与する層は、非磁性中間層25に接する磁性層65である。
【0185】
図6に示すように、前記下地層21から前記電流制限層27までの多層膜42のトラック幅方向(図示X方向)の両側には絶縁層29が形成されているが、前記絶縁層29の上面は、前記フリー磁性層26の中間層66の上面と同程度の位置まで形成してもよい。すなわち前記絶縁層29の上にバイアス下地層30を介して形成されるハードバイアス層31を、前記フリー磁性層26を構成する一方の磁性層67の両側のみに接合させてもよい。
【0186】
前記ハードバイアス層31からの縦バイアス磁界を受けた前記磁性層67は図示X方向に磁化されると、磁性層65は、前記磁性層67間でのRKKY相互作用によって、前記磁性層67の磁化方向と反平行に磁化される。
【0187】
なお図6に示す3層フェリ構造のフリー磁性層26は、図2ないし図5の各実施形態に適用可能なものである。
【0188】
また図3のように、多層膜の両側にスペキュラー膜37を形成する構造、および図4のように、フリー磁性層26の非磁性中間層25と接する面と反対側の面に中間層38を介してハードバイアス層39を形成する構造、および図5のようにフリー磁性層26の非磁性中間層25と接する面と反対側の面に電流制限層27を介してハードバイアス層39を形成する構造は、いずれも図6の実施形態に適用できるものである。
【0189】
図7は本発明における第7実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0190】
図7に示す磁気検出素子は、いわゆるデュアル型のスピンバルブ型薄膜素子である。なお図1と同じ符号が付けられた層は図1と同じ層を示している。
【0191】
第1の電極層20の中央上面には、下から下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、3層フェリ構造の固定磁性層24、非磁性中間層25及びフリー磁性層26が形成されている。ここまでの積層構造は図1と同じである。
【0192】
さらにこの実施形態では、前記フリー磁性層26の上面にCo膜54が形成されて、その上に非磁性中間層59、磁性層60と62とその間に形成されたRuなどの中間層61からなる3層フェリ構造の固定磁性層63、反強磁性層64、および電流制限層27が順次積層されている。
【0193】
図7に示す構造のデュアルスピンバルブ型薄膜素子の場合、フリー磁性層26よりも下側に形成された固定磁性層24のうち磁気抵抗効果に関与する磁性層53が、例えばハイト方向(図示Y方向)に固定されていた場合、前記フリー磁性層26よりも上側に形成された固定磁性層63のうち磁気抵抗効果に関与する磁性層60も、ハイト方向(図示Y方向)に固定される。
【0194】
またこの実施形態では、前記フリー磁性層26が図6に示す3層のフェリ構造であってもよく、かかる場合、フリー磁性層26よりも下側で、磁気抵抗効果に寄与する固定磁性層24の磁性層53が図示Y方向に磁化されているとき、フリー磁性層26よりも上側で、磁気抵抗効果に寄与する固定磁性層63の磁性層60は、図示Y方向とは逆方向に磁化される。
【0195】
図7に示すように、前記下地層21から電流制限層27までの多層膜43のトラック幅方向(図示X方向)における両側領域には、絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層32が順次積層形成されている。
【0196】
この実施形態でも、図3のようにスペキュラー膜37を用いる形態を使用することができる。
【0197】
またこの実施形態ではセンス電流は、第2の電極層33から第1の電極層20に向けて流れ(あるいは逆でも良い)、前記フリー磁性層26の上面側が前記センス電流の到達面側となっている。そして前記電流制限層27がフリー磁性層26よりも上側に形成された反強磁性層64の上面に形成されているが、前記電流制限層27は、フリー磁性層26と非磁性中間層59間に形成され、前記電流制限層27が前記フリー磁性層26のセンス電流の到達面(上面)に直接的に設けられていてもよい。
【0198】
以上図2ないし図7に示す実施形態においても図1と同様にフリー磁性層26上に絶縁部と導電部とが混在した電流制限層27を設けることで、次のような効果を期待することができる。
【0199】
すなわち本発明のようにCPP型の磁気検出素子では、第2の電極層33から第1の電極層20に向けて流れるセンス電流(図2の場合は第1の電極層20から第2の電極層33に向けて流れるセンス電流)は、前記電流制限層27内を膜面と垂直方向に流れるが、本発明では、前記電流制限層27を絶縁材料膜(絶縁部)57に形成された孔56内に導電性材料膜(導電部)58を埋め込んだ構造としているから、前記センス電流は前記導電性材料膜58内のみに流れることになる。
【0200】
このため第2の電極層33から前記電流制限層27を介してフリー磁性層26内に流れるセンス電流は、前記フリー磁性層26内を前記導電性材料膜58と対向する部分のみに局部的に流れる(この部分の電流密度が局所的に高くなることになる)。
【0201】
したがって本発明によれば、膜面と平行な方向におけるフリー磁性層26の素子面積(この素子面積を光学的な素子面積という)を従来と同程度に大きく形成しても実際に前記フリー磁性層26内にセンス電流が流れて、磁気抵抗効果に関与する素子面積(この素子面積を実効的な素子面積という)を小さくでき、よって従来と同程度の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて光学的な素子サイズが大きい前記磁気検出素子を形成しても、再生出力の高いCPP型の磁気検出素子を容易に形成することができる。
【0202】
また本発明では、光学的な素子面積は従来と同程度であるから、記録媒体からの外部磁界を有効に前記磁気検出素子で検出することができ、感度の良い再生特性に優れたCPP型の磁気検出素子を製造することができる。
【0203】
なお図1ないし図7に示すいずれの実施形態においても前記電流制限層27は、フリー磁性層26のセンス電流の到達面側に形成されているが、前記フリー磁性層26のセンス電流の到達面側と逆面側に直接にあるいは他層を介して前記電流制限層27が設けられていてもよい。ただし実質的に磁気抵抗効果を発生させる部分であるT2(図1を参照のこと)により近い側に前記電流制限層27を設ける方が、センス電流の電流経路をより適切に絞り込むことができ、よって実効的な素子面積の狭小化を図り再生出力の高いCPP型磁気検出素子を製造できる。
【0204】
なお前記電流制限層27は、前記フリー磁性層26の上下双方に直接にあるいは他層を介して設けられていてもよい。
【0205】
図8は本発明の第8の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0206】
図8は、図1ないし図7の磁気検出素子よりも好ましい膜構成となっている。図8では前記フリー磁性層26上に貴金属元素からなる下地層70が形成され、この下地層70の上に電流制限層27が形成されている。前記電流制限層27の上には貴金属元素からなる保護層71が形成されている。
【0207】
図27で説明したように、本発明では前記電流制限層27に形成された開口部(孔)と非開口部(絶縁材料膜)との導電率のコントラストが高いことが重要である。そうでないと電極層から流れるセンス電流が適切に開口部で絞り込められず、見かけ上のΔR*A(抵抗変化量*素子面積)の向上を図れないからである。
【0208】
すなわち前記電流制限層27を構成する絶縁材料膜を形成する際に、この絶縁材料膜が例えば島状のように凝集して形成されるようにする必要があるのである。上記した開口部は微細なサイズでランダムに且つ均一に混在していることが必要であるが、このような制御を行うのに重要な一つの要素は、既に図1のところで説明した材質やスパッタ条件であり、もう一つが前記電流制限層27の下に形成される下地の表面エネルギー(γs)である。
【0209】
前記下地の表面エネルギーが高いと、薄膜の成長モードは完全濡れモードになりやすく、単層成長(FMモード)しやすくなる。日本応用磁気学会誌「薄膜成長プロセス概論」Vol.14,No.3,1990の第528頁には「γs>γfs+γf」(ここでγfsは、基板と薄膜の界面エネルギー、γfは、薄膜の表面エネルギー)の関係式が成り立つと、完全濡れモードになり単層成長することが記載されている。
【0210】
このため単層成長しにくくし、すなわち基板上に形成される薄膜が島状のように点在して形成されるようにするには、前記基板エネルギー(γs)を低下させることが必要である。
【0211】
本発明では、この点に鑑み、前記電流制限層27の下に表面エネルギーが低い貴金属元素からなる下地層70を敷くことにしたのである。前記下地層70の表面エネルギーはその下に形成された磁気検出素子表面の表面エネルギーよりも低いことが必要である。
【0212】
前記下地層70上に前記電流制限層27を形成すると、前記電流制限層27を構成する絶縁材料膜(あるいは絶縁材料膜となるべき層)は前記下地層70上で島状のように凝集して成長していく。この成長モードをVolmer−Weber(VW)型成長と呼ぶ。
【0213】
また貴金属元素からなる下地層70を敷くことで、例えば前記下地層70上に金属膜を島状に凝集させ、この金属膜を酸化して酸化物の絶縁材料膜を形成する際に、酸化の影響が前記下地層70の部分で食い止められ、それより下の層に前記酸化の影響が及ばない。
【0214】
このため前記電流制限層27を構成する絶縁材料膜は適切に例えば島状形状のまま保たれ、開口部と非開口部とのコントラストを高く保つことが可能である。
【0215】
また前記電流制限層27上に貴金属元素からなる保護層71が形成されているが、前記保護層71を設けることで、前記電流制限層27を形成後、熱処理する段階において、前記熱処理を施しても前記電流制限層27上の層に酸素の拡散が起こらず、前記電流制限層27の開口部と非開口部とのコントラストを高く保つことができる。
【0216】
このように図8に示す実施形態によれば、前記電流制限層27の上下を貴金属元素からなる層でサンドイッチすることで、前記電流制限層27の開口部と非開口部とのコントラストを高く保つことができ、よってΔR*Aを向上させることができ再生出力の高い再生特性に優れた磁気検出素子を製造することが可能になるのである。
【0217】
なお前記電流制限層27の上下に形成される下地層70あるいは保護層71はどちらか一方にのみ形成されていてもよい。
【0218】
また図8に示す実施形態では、前記電流制限層27上に形成される貴金属元素からなる保護層71を第2の電極層33として機能させることも可能であり、係る場合、図8に示す第2の電極層33を形成しなくてもよい。
【0219】
なお本発明では、前記下地層70及び/または保護層71は、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成されていることが好ましい。あるいは下地層70及び/または保護層71はCuで形成されていてもよい。
【0220】
また前記下地層70及び保護層71の存在は、透過電子顕微鏡(TEM)で見ることが可能である。
【0221】
次に図1に示す磁気検出素子の製造方法について、図11ないし図22に示す製造工程を参照しながら以下に説明する。なお図11及び図22は、製造中の磁気検出素子を記録媒体との対向面から見た部分断面図であり、図12ないし図21は、フリー磁性層上に電流制限層を形成する際の前記フリー磁性層上面の状態等を示す部分模式図である。
【0222】
図11に示す工程では、第1の電極層20上に、Taなどで形成された下地層21、NiFeCrなどで形成されたシードレイヤ22、PtMnなどで形成された反強磁性層23、Coなどで形成された磁性層51と53と、前記磁性層51、53間にRuなどの中間層52が形成された3層フェリ構造の固定磁性層24、Cuなどで形成された非磁性中間層25、Co膜54とNiFeなどの磁性層55で形成されたフリー磁性層26、絶縁部と導電部とが混在した電流制限層27を順次積層する。
【0223】
ここで前記電流制限層27の製造方法について、図12ないし図14を参照しながら説明する。
【0224】
前記電流制限層27を形成するには、まずAl23やSiO2などの酸化膜やAlNなどの窒化膜を前記フリー磁性層26上にスパッタ成膜する。本発明では前記酸化膜としては、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の酸化物からなる絶縁材料を用いることが好ましい。
【0225】
また窒化膜としては、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の窒化物からなる絶縁材料を用いることが好ましい。
【0226】
これら酸化膜や窒化膜は、成膜条件によっては、前記フリー磁性層26上で連続体膜となりにくく、すなわち不連続体膜となりやすくすることができる絶縁材料である。不連続体膜になりやすいとは、図12に示すように、前記フリー磁性層26で絶縁材料の粒子が凝集しやすく、核を形成しやすいことを意味する。
【0227】
またより凝集性を高めるには、前記絶縁材料のスパッタ成膜時におけるスパッタ条件を適切に調整することが重要である。
【0228】
まず基板温度を20〜200℃程度に低温にする。また基板とターゲット間の距離を200〜300mm程度に離す。またArガスのガス圧を10〜50mTorr(1.3〜6.7Pa)程度に高くする。
【0229】
上記したスパッタ条件であると、前記絶縁材料の原子は、前記フリー磁性層26で、表面移動が不十分となり凝集して核を形成しやすくなるのである。
【0230】
前記核が成長した状態は図13に示されており、このように前記フリー磁性層26上に形成された絶縁材料膜には、前記絶縁材料膜の上面から下面にまで通じる複数の孔が形成される。なお前記絶縁材料膜には図10に示すような膜面と平行な平面から見たときに、連続して延びる溝が形成されていてもよい。
【0231】
次に図14に示す工程では、前記絶縁材料膜上から前記孔内にかけて、導電性材料をスパッタ成膜する。これにより前記絶縁材料膜上から孔内には導電材料層が形成され、前記孔は前記導電材料層により埋められた状態になる。
【0232】
なお前記導電性材料には、α−Ta、Au、Cr、Cu(銅)やW(タングステン)などを使用できるが、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料を用いる方が好ましい。あるいはCuを用いてもよい。貴金属材料を用いると、前記貴金属材料はそれ自体、酸化されにくい材質であるから、熱処理などによって酸素の拡散が生じないようにする保護層としても機能させることができ、前記電流制限層の開口部(孔)と非開口部(絶縁膜)とのコントラストを高く保つことが可能である。
【0233】
なお前記導電性材料のスパッタ条件では、例えば基板温度を20〜100℃程度にする。また基板とターゲット間の距離を40〜100mm程度にする。またArガスのガス圧を0.5〜10mTorr(0.07〜1.3Pa)程度にする。
【0234】
上記の製造方法によって電流制限層27を形成することが可能である。
【0235】
あるいは本発明では、まずAg、Cu、Zn、Ge、Pb、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の金属元素からなる膜をスパッタで形成し、このとき、前記金属膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が適切に残されている状態でスパッタを止める。次に、この金属膜を酸化する。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化や陽極酸化を用いることができる。
【0236】
この酸化工程によって、前記金属膜は酸化され絶縁材料膜になる。そして図14工程で、前記絶縁材料膜上から前記孔内にかけて、導電性材料をスパッタ成膜する。これにより前記絶縁材料膜上から孔内には導電材料層が形成され、前記孔は前記導電材料層により埋められた状態になる。
【0237】
ただし、上記した酸化工程によって、前記電流制限層下の層までも酸化の影響を受けやすい。そして上記の酸化工程によって例えば前記フリー磁性層が酸化されてしまうと、膜面方向の全体に酸化膜が形成された状態となり図26で説明したのと同様のコントラストの悪化の問題を生じ好ましくない。
【0238】
また図12に示す凝集した核形成は、その下に形成されている層(図12ではフリー磁性層)の表面エネルギーが高いと、完全濡れモードとなりやすく、単層成長(FMモード)しやすくなる。このため表面エネルギーが低く且つ酸化されにくい材質の下地層を前記電流制限層27を形成する前に敷いておくことが好ましい。
【0239】
その製造方法を示したのが図15ないし図17に示す工程である。図15に示すようにまずフリー磁性層の上に貴金属元素からなる下地層をスパッタ形成する。
【0240】
このとき前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成することが好ましい。あるいはCuで下地層を形成してもよい。前記貴金属元素で形成された下地層は表面エネルギーがフリー磁性層表面のエネルギーよりも低く、また酸化されにくい材質である。
【0241】
次に図15に示すように、Ag、Cu、Zn、Ge、Pb、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の金属元素をスパッタで形成する。前記金属元素は、貴金属元素からなる下地層表面に凝集して核を形成しやすく、図16に示すように例えば島状に凝集して形成され、前記金属膜には下面から上面にまで通じる複数の孔が設けられる。
【0242】
次に図16のように前記金属膜を酸化する。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化や陽極酸化などの既存の方法を使うことができる。これにより前記金属膜を酸化物の絶縁材料膜に変化させる。このとき、前記金属膜の下には酸化されにくい貴金属元素からなる下地層が形成されているから酸化は前記下地層の位置で食い止められ、前記下地層以下の層に酸化が及ばない。
【0243】
そして図17に示す工程で、前記絶縁材料膜上から孔にかけて金属元素からなる導電膜をスパッタ成膜する。このとき前記金属元素を、前記下地層と同じ貴金属元素とすることが好ましい。すなわち図17に示す導電層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成することが好ましい。あるいは導電層をCuで形成してもよい。
【0244】
前記貴金属元素以外の元素で導電層の形成を行うと、その後に施される熱処理等により、絶縁材料膜から酸素が第2の電極層などに移動し、酸素の分布がぼやけて開口部と非開口部とのコントラストが悪化するからである。
【0245】
あるいは本発明では、絶縁材料で形成されたターゲットと導電性材料で形成されたターゲットを用意し、これら2つのターゲットをスパッタする。これにより前記フリー磁性層26上には、絶縁材料の粒子と導電性材料の粒子とが混在した電流制限層27を形成することができる。前記絶縁材料及び導電性材料には上記した材質を使用してもよいが、本発明では以下の材料によって、絶縁材料膜に導電性粒子が分散された膜構成の電流制限層27を形成することができる。
【0246】
具体的には本発明では、前記フリー磁性層26の上面に、FeaMbOc(ただし元素MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)なる組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40で、a+b+c=100なる関係を満たし、また膜構造は、Feを主成分とした微結晶粒が、元素MとOとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層27をスパッタ成膜する。
【0247】
あるいは前記フリー磁性層26の上面に、FedMeNf(ただし元素Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)からなる組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25で、d+e+f=100なる関係を満たし、また膜構造は、Feを主成分とした微結晶粒が、元素MとNとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層27をスパッタ成膜してもよい。
【0248】
これらFeMOやFeMN合金を成膜するには、例えばFeのターゲットとMOやMNからなるターゲットを用意しておき、これら2つのターゲットをスパッタすることで、上記した組成比及び膜構造を有する電流制限層27を形成することができる。
【0249】
あるいは本発明では、電流制限層27を、Coと、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属材料をスパッタ成膜した後、熱処理を施すことでCoを酸化して形成してもよい。
【0250】
ただし、上記したCoと貴金属元素との混合からなる電流制限層27の形成、及びFeMOやFeMN合金の形成時のときにでも、熱処理を施して酸化を促進させる工程があるため、この熱処理によって電流制限層27下の層にまで酸化が及ぶ可能性がある。
【0251】
従ってCoと貴金属元素との混合からなる電流制限層27やFeMOやFeMN合金からなる電流制限層27、いわゆるこれらグラニュラー膜からなる電流制限層27の形成の場合でも図18に示す工程以降のように、まずフリー磁性層27の上に貴金属元素からなる下地層を形成しておくことが好ましい。前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成することが好ましい。あるいは前記下地層をCuで形成してもよい。ただし貴金属を用いる方が好ましい。
【0252】
図18に示す工程では前記貴金属元素からなる下地層の上にFeMOやFeMN合金からなる電流制限層27をスパッタ成膜する。さらに前記電流制限層27の上に、下地層と同じく貴金属元素からなる保護層を形成することが好ましい。下地層、電流制限層及び保護層を成膜後、熱処理を施すと前記電流制限層のグラニュラーの相分離が進み、酸化されている部分とされていない部分とのコントラストが高まる。このとき、前記電流制限層の上下は貴金属元素からなる層に挟まれているから酸化は前記電流制限層の上下の層にまで及ばない。
【0253】
図19に示す工程ではフリー磁性層上に貴金属元素からなる下地層をスパッタ成膜し、その上にCoと、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属材料とを混合した材料をスパッタ成膜する。その後、アニールをして相分離を促進させる。図20に示す工程では自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化等を施して卑な物質よりなる主としてCoの部分を酸化する。一方、Auなどで形成された貴金属粒子は酸化されず、導電性粒子そしてそのまま残される。
【0254】
この熱処理及び酸化のときでも前記電流制限層の下には貴金属元素からなる下地層が設けられているので、酸化は前記電流制限層の下の層にまでは及ばない。
【0255】
図21に示す工程では前記電流制限層の上に貴金属元素からなる保護層をスパッタ成膜する。このように前記電流制限層の上も貴金属元素からなる保護層でキャップしてしまうことで、その後に熱処理等が行なわれても前記電流制限層の上に形成された層にまで酸素が拡散せず、前記電流制限層の酸化された部分と酸化されていない部分とのコントラストを良好に保つことができる。
【0256】
なお図18及び図19に示す工程時の双方に言えることは、前記電流制限層の膜厚をその中に含まれる導電性粒子の粒径よりも小さくすることである。そうしないと前記電流制限層の上面から下面にかけてセンス電流が流れる電流通路が適切に形成されず、良好にセンス電流の電流経路を絞り込み再生出力の向上を図ることができないからである。
【0257】
また図18や図21に示す工程のように前記電流制限層の上に貴金属元素からなる保護層を設けると、この保護層自体を第2の電極層として機能させることもでき、その後の工程において前記第2の電極層の形成が必要なくなり製造工程の簡略化を図ることができる。
【0258】
なお図15ないし図21に示す工程では、酸化工程を施して酸化物からなる絶縁材料膜を形成したが、窒化してもよい。
【0259】
次に図11に示す工程では、前記電流制限層27の上にレジスト層44を形成する。なお前記レジスト層44はリフトオフ用のレジスト層であってもよい。
【0260】
前記レジスト層44の下面44aの面積は、磁気検出素子の光学的な素子面積と同程度かあるいはそれよりも若干小さく形成する。本発明ではフリー磁性層26の上面のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法で決まるトラック幅Twを0.15〜0.3μmに、ハイト方向(図示Y方向)への長さMRhを0.15〜0.3μmにでき、したがって光学的な素子面積を0.02〜0.09μm2に大きく形成することができる。
【0261】
上記の光学的な素子面積は従来と同程度であり、本発明では従来と同等の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて磁気検出素子の製造が可能になっている。
【0262】
次に図11に示すように、前記レジスト層44に覆われていない、下地層21から電流制限層27までの多層膜28を、矢印F方向からのイオンミリングなどで除去する(図11に示す点線部分)。これにより前記第1の電極層20の上面中央には、下地層21から電流制限層27までで構成される多層膜28が略台形状となって残される。なお前記イオンミリング後、前記多層膜28の両側端面にはミリングで除去された物質の一部が再付着するので、前記再付着物をサイドミリングで除去することが好ましい。
【0263】
次に図22に示す工程では、前記第1の電極層20上から前記多層膜28の両側端面28a上にかけて、Al2O3などで形成された絶縁層29、Crなどで形成されたバイアス下地層30、CoPtCrなどで形成されたハードバイアス層31及びAl2O3などで形成された絶縁層32をスパッタ成膜する。
【0264】
なお図22に示すように、前記絶縁層29から前記絶縁層32までの各層のスパッタ成膜の際におけるスパッタ粒子照射角度は基板に対しほぼ垂直方向Gとすることが好ましい。
【0265】
また図22に示すように、前記レジスト層44の上にも絶縁層29b、バイアス下地材料層30a、バイアス材料層31a及び絶縁材料膜32aが積層形成される。
【0266】
前記多層膜28の両側領域に絶縁層29から絶縁層32までの各層を積層した後、前記レジスト層44を除去するが、前記レジスト層44の表面全体が、上記した絶縁層29bなどで覆われているときは、前記レジスト層44の除去を適切に行うことができないため、例えばスクラブ洗浄、具体的にはドライアイスの粒子などを前記レジスト層44表面を覆う絶縁層29bなどの各層に衝突させて一部を除去し、前記レジスト層44の表面を一部露出させた後、前記レジスト層44を溶剤に浸して、前記レジスト層44を溶して除去する方法などが考えられる。
【0267】
なお前記レジスト層44を除去した後、前記絶縁層32から電流制限層27の上面には、前記絶縁層29bなどの不要なバリが残ることがあるので、前記絶縁層32上から前記電流制限層27上を例えばスクラブ洗浄して、前記バリを除去しきれいな面に加工することが好ましい。なお前記スクラブ洗浄には、例えばドライアイスの粒子を前記バリに衝突させる方法などが考えられる。
【0268】
その後、前記絶縁層32上から前記電流制限層27上にかけて第2の電極層33をスパッタ成膜する(図1を参照のこと)。
【0269】
他の磁気検出素子の製造方法について簡単に説明する。図2に示す磁気検出素子では、第1の電極層20上に、電流制限層27、フリー磁性層26、非磁性中間層25、固定磁性層24、反強磁性層23をスパッタ成膜した後、図11に示す工程と同様に、前記反強磁性層23にレジスト層44を形成し、さらに前記レジスト層44に覆われていない多層膜34をイオンミリングで削る。次に前記第1の電極層20上から前記多層膜34の両側端面34aにかけて、絶縁層35、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層36をスパッタ成膜し、前記レジスト層44を除去する。そして前記絶縁層36上から前記反強磁性層23上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0270】
図3に示す磁気検出素子では、第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26、および電流制限層27を成膜した後、前記電流制限層27の上に、図11と同じレジスト層44を形成し、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜28をイオンミリングで除去する。次に前記イオンミリングで前記多層膜28の両側端面28aに付着した再付着物をサイドミリングで削り取る。
【0271】
次に、前記第1の電極層20上から前記多層膜28の両側端面28aにかけて、スペキュラー膜37をスパッタ成膜する。なお前記スペキュラー膜37のスパッタ成膜は、基板に対し斜め方向から行う。前記スパッタ時のスパッタ粒子照射角度は、基板表面に対する垂直方向から20〜70°程度、傾けることが好ましい。
【0272】
次に前記スペキュラー膜37上に、絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層32をスパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層32上から前記電流制限層27上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0273】
図4に示す磁気検出素子の製造方法は、まず第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26、中間層38、ハードバイアス層39、及び電流制限層27を連続スパッタ成膜した後、図8に示すレジスト層44を用いて、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜41をイオンミリングで除去する。次に前記イオンミリングで前記多層膜41の両側端面41aに付着した再付着物をサイドミリングで削り取る。
【0274】
次に、前記第1の電極層20上から前記多層膜41の両側端面41aにかけて、スペキュラー膜37をスパッタ成膜する。なお前記スペキュラー膜37のスパッタ成膜は、基板に対し斜め方向から行う。前記スパッタ時のイオン照射角度は、基板表面に対する垂直方向から20〜70°程度、傾けることが好ましい。
【0275】
次に前記スペキュラー膜37上に、絶縁層40をスパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層40上から前記電流制限層27上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0276】
図5に示す磁気検出素子の製造方法は、まず第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26、電流制限層27及びハードバイアス層39を連続スパッタ成膜した後、図11に示すレジスト層44を用いて、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜41をイオンミリングで除去する。
【0277】
次に、前記第1の電極層20上から前記多層膜41の両側端面41aにかけて、スペキュラー膜37をスパッタ成膜する。そして前記スペキュラー膜37上に、絶縁層40をスパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層40上からハードバイアス層39上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0278】
図6に示す磁気検出素子の製造方法は、まず第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、3層フェリ構造のフリー磁性層26、及び電流制限層27を連続スパッタ成膜した後、図11に示すレジスト層44を用いて、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜42をイオンミリングで除去する。
【0279】
次に前記第1の電極層20上から前記多層膜42の両側端面42a上にかけて、絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層32を連続スパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層32上から前記電流制限層27上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0280】
図7に示す磁気検出素子の製造方法は、まず第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26、非磁性中間層59、固定磁性層63、反強磁性層64及び電流制限層27を連続スパッタ成膜した後、図11に示すレジスト層44を用いて、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜43をイオンミリングで除去する。
【0281】
次に前記第1の電極層20上から前記多層膜43の両側端面上にかけて、絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層32を連続スパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層32上から前記電流制限層27上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0282】
図8に示す磁気検出素子の製造方法は、まず第1の電極層20上に、下地層21、シードレイヤ22、反強磁性層23、固定磁性層24、非磁性中間層25、フリー磁性層26、貴金属元素からなる下地層70、電流制限層27、貴金属元素からなる保護層71を連続スパッタ成膜した後、図11に示すレジスト層44を用いて、前記レジスト層44に覆われていない前記多層膜41をイオンミリングで除去する。下地層70、電流制限層27、貴金属元素からなる保護層71の形成方法については、図15ないし図21で詳しく説明したのでそちらを参照されたい。
【0283】
次に前記第1の電極層20上から前記多層膜43の両側端面上にかけて、絶縁層29、バイアス下地層30、ハードバイアス層31、絶縁層32を連続スパッタ成膜した後、前記レジスト層44を除去し、さらに前記絶縁層32上から前記保護層71上にかけて第2の電極層33を形成する。
【0284】
以上に説明した本発明における磁気検出素子の製造方法では、電流制限層27を容易に形成することができ、効果的に実効的な素子サイズの狭小化を図ることができ、再生出力の向上を図ることが可能な磁気検出素子を製造することができる。特に前記電流制限層27の下に貴金属元素からなる下地層を設けることで、核をより凝集して形成できるので、絶縁材料膜の開口部と非開口部とのコントラストを高めることができると同時に、熱処理などによる酸化工程を施しても酸化が前記下地層で食い止められ、その下の層にまで酸化の影響が及ぶのを防止できる。また前記電流制限層27の上にも貴金属元素からなる保護層を設けると、前記電流制限層の上の層にまで酸化の影響が及ぶのを防止できて好ましい。
【0285】
また本発明の製造方法では、前記磁気検出素子のトラック幅Twやハイト方向への長さMRhを従来と同様にすることができるから、従来と同程度の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて、実効的な素子サイズが小さくなる磁気検出素子を容易に形成することが可能である。
【0286】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0287】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、少なくともフリー磁性層のセンス電流の到達面側に、直接的にあるいは他層を介して絶縁部と導電部とが混在した電流制限層が設けられている。
【0288】
従って前記センス電流は、前記電流制限層内を垂直に流れるが、本発明では、フリー磁性層の前記センス電流の到達面側に直接的にあるいは他層を介して設けられた前記電流制限層を絶縁部と導電部とが混在する構成としているから、前記センス電流は前記導電部内のみに流れることになる。
【0289】
このため電極層から前記電流制限層を介してフリー磁性層内に流れるセンス電流は、前記フリー磁性層内を前記導電部と対向する部分のみに局部的に流れる(この部分の電流密度が局所的に高くなることになる)。
【0290】
したがって本発明によれば、膜面と平行な方向におけるフリー磁性層の素子面積(この素子面積を光学的な素子面積という)を従来と同程度に大きく形成しても実際に前記フリー磁性層内にセンス電流が流れて、磁気抵抗効果に関与する素子面積(この素子面積を実効的な素子面積という)を小さくでき、よって従来と同程度の精度を有するフォトリソグラフィー技術を用いて光学的な素子サイズが大きい前記磁気検出素子を形成しても、再生出力の高いCPP型の磁気検出素子を容易に形成することができる。
【0291】
また素子サイズを従来と同程度に大きく形成できるから、記録媒体からの外部磁界を効果的に前記磁気検出素子で検出することが可能であり、再生出力の向上、再生波形の安定性の向上を図ることが可能である。
【0292】
また本発明では、前記電流制限層の下に貴金属元素からなる下地層を設けることで、核をより凝集して形成できるので、絶縁材料膜の開口部と非開口部とのコントラストを高めることができると同時に、熱処理などの工程を施しても酸化が前記下地層で食い止められ、その下の層にまで酸化の影響が及ぶのを防止できる。また前記電流制限層の上にも貴金属元素からなる保護層を設けると、前記電流制限層の上の層にまで酸化の影響が及ぶのを防止できて好ましい。
【0293】
このように電流制限層の開口部と非開口部とのコントラストを高めることができるので、適切に前記電流制限層によってセンス電流の電流経路を絞り込むことができ、効果的に再生出力の大きな磁気検出素子を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明における第2の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明における第3の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明における第4の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明における第5の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明における第6の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明における第7の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】本発明における第8の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明における多層膜及び電流制限層の膜構成を示す部分模式図、
【図10】本発明における別の多層膜及び電流制限層の膜構成を示す部分模式図、
【図11】図1に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す一工程図、
【図12】フリー磁性層に電極制限層を形成する際の前記フリー磁性層上面の状態を示す模式図、
【図13】図12の次の状態を示す部分模式図、
【図14】図13の次の状態を示す部分模式図、
【図15】フリー磁性層に下地層を形成し、前記下地層上に電極制限層を形成する際の前記フリー磁性層上面の状態を示す模式図、
【図16】図15の次の状態を示す部分模式図、
【図17】図16の次の状態を示す部分模式図、
【図18】フリー磁性層に下地層を形成し、前記下地層上に電流制限層(グラニュラー膜)を形成し、さらに前記電流制限層上に保護層を形成する際の前記フリー磁性層上面の状態を示す模式図、
【図19】フリー磁性層に下地層を形成し、前記下地層上に電流制限層(グラニュラー膜)を形成し、さらに前記電流制限層上に保護層を形成する際の前記フリー磁性層上面の状態を示す模式図、
【図20】図19の次の状態を示す部分模式図、
【図21】図20の次の状態を示す部分模式図、
【図22】図11工程の次に行われる一工程図、
【図23】従来における磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図24】CIP型磁気検出素子の部分模式図、
【図25】CPP型磁気検出素子の部分模式図、
【図26】電流制限層の開口部と非開口部とのコントラストが悪い例を示す部分模式図、
【図27】電流制限層の開口部と非開口部とのコントラストが良い例を示す部分模式図、
【符号の説明】
20 第1の電極層
21 下地層
22 シードレイヤ
23 反強磁性層
24、63 固定磁性層
25 非磁性中間層
26 フリー磁性層
27 電流制限層
28、34、41、42、43 多層膜
29、32、40 絶縁層
31、39 ハードバイアス層
33 第2の電極層
37 スペキュラー膜
38 中間層
44 レジスト層
56 孔
57 絶縁材料膜
58 導電性材料膜
68 溝
70 下地層
71 保護層

Claims (31)

  1. 下から反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層フリー磁性層、電流制限層の順、または、下から電流制限層、フリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層、反強磁性層の順に形成された多層膜が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れ
    前記電流制限層には、絶縁部と導電部とが混在しており、前記導電部は導電性粒子であり、前記導電性粒子は前記絶縁部となる絶縁性材料膜内に分散されており、
    前記電流制限層は、Feを主成分とした前記導電部となる導電性粒子が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素Mと、OあるいはNとの化合物を含む前記絶縁部となる非晶質の絶縁材料膜中に分散された膜構成であることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記電流制限層は、Feabcの組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40であり、a+b+c=100なる関係を満たす請求項記載の磁気検出素子。
  3. 前記電流制限層は、Fedefの組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25であり、d+e+f=100なる関係を満たす請求項記載の磁気検出素子。
  4. 下から反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、フリー磁性層、電流制限層の順、または、下から電流制限層、フリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層、反強磁性層の順に形成された多層膜が設けられ、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流が流れ、
    前記電流制限層には、絶縁部と導電部とが混在しており、前記導電部は導電性粒子であり、前記導電性粒子は前記絶縁部となる絶縁性材料膜内に分散されており、
    前記絶縁材料膜は主としてCoが酸化された層であり、この絶縁材料膜内に、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属材料で形成された導電性粒子が分散していることを特徴とする磁気検出素子。
  5. 前記電流制限層の前記絶縁部は、少なくとも前記電流制限層の上面から下面にまで通じる複数の孔が設けられた絶縁材料膜であり、この孔内に前記導電部となる導電性粒子が埋め込まれている請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  6. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (a)下から第1の電極層、反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、およびフリー磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記フリー磁性層の上面に絶縁材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に、前記絶縁材料膜の上面から下面にまで通じる複数の孔を形成する工程と、
    (b)前記絶縁材料膜上に導電性材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に形成された孔内を前記導電性材料膜で埋める工程と、
    (c)前記絶縁材料膜と導電性材料膜とで構成された電流制限層上に第2の電極層を形成する工程。
  7. 前記(a)工程で、前記絶縁材料膜をスパッタ成膜するとき、前記絶縁材料膜を前記フリー磁性層上で不連続体膜として形成する請求項記載の磁気検出素子の製造方法。
  8. 前記電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料からなる保護層を形成する請求項6又は7に記載の磁気検出素子の製造方法。
  9. 前記電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Cuからなる保護層を形成する請求項6又は7に記載の磁気検出素子の製造方法。
  10. 前記保護層を第2の電極層とする請求項またはに記載の磁気検出素子の製造方法。
  11. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (f)第1の電極層の上面に絶縁材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に、 前記絶縁材料膜の上面から下面にまで通じる複数の孔を形成する工程と、
    (g)前記絶縁材料膜上に導電性材料膜をスパッタ成膜し、このとき前記絶縁材料膜に形成された孔内を前記導電性材料膜で埋める工程と、
    (h)前記絶縁材料膜と導電性材料膜とで構成された電流制限層上に、下からフリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層および反強磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記反強磁性層上に第2の電極層を形成する工程。
  12. 前記()工程で、前記絶縁材料膜をスパッタ成膜するとき、前記絶縁材料膜を前記第1の電極層上で不連続体膜として形成する請求項11記載の磁気検出素子の製造方法。
  13. 前記絶縁材料膜を、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の酸化物からなる絶縁材料でスパッタ成膜する請求項7又は12に記載の磁気検出素子の製造方法。
  14. 前記絶縁材料膜を、Al、Si、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Ni、Coのうちいずれか1種または2種以上の窒化物からなる絶縁材料でスパッタ成膜する請求項7又は12に記載の磁気検出素子の製造方法。
  15. 前記絶縁材料膜を、まずAg、Cu、Zn、Ge、Pb、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Ta、V、Nb、Mo、W、Fe、Co、Si、Ni、希土類元素のうちいずれか1種または2種以上の金属元素からなる膜をスパッタで形成し、この金属元素からなる膜に下面から上面にまで通じる複数の孔あるいは膜面と平行な平面から見たときに連続して延びる溝が残された状態でスパッタを止め、その後、前記金属元素からなる膜を窒化して形成する請求項7又は12に記載の磁気検出素子の製造方法。
  16. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (d)下から第1の電極層、反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、およびフリー磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記フリー磁性層の上面に、Feabc(ただし元素MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)なる組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40で、a+b+c=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとOとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜する工程と、
    (e)前記電流制限層上に第2の電極層を形成する工程。
  17. 前記(d)工程のFeabcに代えて、Fedef(ただし元素Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)からなる組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25で、d+e+f=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとNとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜する請求項16記載の磁気検出素子の製造方法。
  18. 前記(d)工程のFeabcに代えて、電流制限層を、Coと、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属元素を含む材料をスパッタ成膜した後、熱処理を施すことでCoを酸化して形成する請求項16記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 前記(d)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記フリー磁性層の上面に貴金属材料からなる下地層を形成する請求項16ないし18のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  20. 前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成する請求項19記載の磁気検出素子の製造方法。
  21. 前記(d)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記フリー磁性層の上面にCuからなる下地層を形成する請求項16ないし18のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  22. 前記電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Pt、Au、 Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料からなる保護層を形成する請求項16ないし21のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  23. 前記電流制限層を形成後、前記電流制限層の上面に、Cuからなる保護層を形成する請求項16ないし21のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  24. 前記保護層を第2の電極層とする請求項22または23に記載の磁気検出素子の製造方法。
  25. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (i)第1の電極層の上面に、Fe a b c (ただし元素MはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)なる組成式を有し、組成比a、b、cは原子%で、40≦a≦50、10≦b≦30、20≦c≦40で、a+b+c=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとOとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜する工程と、
    (j) 前記電流制限層上に、下からフリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層及び反強磁性層の順で多層膜を積層し、さらに前記反強磁性層上に第2の電極層を形成する工程。
  26. 前記(i)工程のFe a b c に代えて、Fe d e f (ただし元素Mは、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W及び希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)からなる組成式を有し、組成比d、e、fは原子%で、60≦d≦70、10≦e≦15、19≦f≦25で、d+e+f=100なる関係を満たし、またFeを主成分とした微結晶粒が、元素MとNとの化合物を含む非晶質中に分散された膜構成を有する、電流制限層をスパッタ成膜する請求項25に記載の磁気検出素子の製造方法。
  27. 前記(i)工程のFe a b c に代えて、電流制限層を、Coと、Ru、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Cu、Agのうちいずれか1種または2種以上の金属元素を含む材料をスパッタ成膜した後、熱処理を施すことでCoを酸化して形成する請求項25記載の磁気検出素子の製造方法。
  28. 前記(i)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記第1の電極層の上面に貴金属材料からなる下地層を形成する請求項25ないし27のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  29. 前記下地層をRu、Pt、Au、Rh、Ir、Pd、Os、Reのうちいずれか1種または2種以上の貴金属材料で形成する請求項28記載の磁気検出素子の製造方法。
  30. 前記(i)工程において、前記電流制限層を形成する前に、前記第1の電極層の上面にCuからなる下地層を形成する請求項25ないし27のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  31. 前記電流制限層を熱処理する請求項16ないし30のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
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