JP3774375B2 - 磁気検出素子及びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定磁性層の磁化の方向と外部磁界の影響を受けるフリー磁性層の磁化の方向との関係で電気抵抗が変化する磁気検出素子に係り、特にヒステリシスが無く、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子、およびその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は従来のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図である。
【0003】
符号6はTaなどの下地層であり、前記下地層6の上に反強磁性材料で形成された反強磁性層1が形成されている。さらにその上にはNiFe合金などの磁性材料製の固定磁性層2、Cuなどの非磁性金属材料で形成された非磁性中間層3、NiFe合金などの磁性材料製のフリー磁性層4及びTaなどの保護層7が積層されている。
【0004】
前記固定磁性層2の磁化は、前記反強磁性層1と固定磁性層2との界面で発生した交換異方性磁界によってハイト方向(図示Y方向)に固定されている。
【0005】
前記下地層6から保護層7までの多層膜9の両側には、ハードバイアス層5と電極層8とが積層されている。また前記ハードバイアス層5の下には、例えばCrなどの非磁性材料で形成されたバイアス下地層10が敷かれており、前記バイアス下地層10は前記多層膜9のトラック幅方向における両側端面上にまで延びて形成されている。
【0006】
前記フリー磁性層4の磁化は前記ハードバイアス層5からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向(図示X方向)に揃えられ、前記固定磁性層2の磁化とほど直交関係にされている。
【0007】
図15に示すように、前記フリー磁性層4の上面のトラック幅方向における幅寸法でトラック幅Twが規定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで図15に示すように、前記ハードバイアス層5の下にCrなどのバイアス下地層10を設ける理由は、前記ハードバイアス層5の特性(保磁力Hcと角形比S)を向上させるためであった。
【0009】
前記ハードバイアス層5の下に前記バイアス下地層10を敷くと、前記ハードバイアス層5の保磁力Hc及び角形比Sが大きくなることが知られている。
【0010】
しかしながら図15に示す従来の構造では、前記フリー磁性層4のトラック幅方向の両側にも前記バイアス下地層10が形成され、前記フリー磁性層4とバイアス下地層10とが磁気的な連続体となっていないため、前記フリー磁性層4のトラック幅方向における両側端部の磁化は、反磁界の影響で乱れて磁壁が生じるという磁化不連続現象、いわゆるバックリング現象が起こることがわかった。
【0011】
特に今後の高記録密度化に伴い、トラック幅Twを狭くすると、前記反磁界が増加し、前記バックリング現象が顕著になるため、前記フリー磁性層4の磁区制御に悪影響を及ぼし、再生波形の安定性が低下し、また再生出力が低下することがわかった。
【0012】
そこで図15に示すスピンバルブ型薄膜素子の構造に代えて、図16に示すスピンバルブ型薄膜素子の構造が考えられた。図16はスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面と平行な方向から切断した部分断面図である。
【0013】
図16に示す構造では、図15と異なり、前記ハードバイアス層5の保磁力Hc及び角形比Sを向上させるためのバイアス下地層10が、前記ハードバイアス層5の下のみに形成され、前記フリー磁性層4の両側には形成されていない。
【0014】
図16における前記バイアス下地層10の形成は、スパッタの際におけるスパッタ粒子照射角度を基板に対し垂直方向に近い角度とすることで達成される。
【0015】
図16では、ハードバイアス層5が前記フリー磁性層4の両側に直接接続され、磁気的な連続体を形成することで、前記フリー磁性層4の反磁界を減少させることができ、上記のバックリング現象を低減させることができると考えられた。
【0016】
ところが、前記フリー磁性層4の両側に形成されたハードバイアス層5は、保磁力Hcが非常に大きく、図16の構造では、前記ハードバイアス層5の保磁力Hcが前記フリー磁性層4に転写されてしまい、これによってヒステリシスが生じ、また再生波形のベースラインシフトなどの不具合が懸念された。
【0017】
そこで本発明は上記従来の問題点を解決するためのものであり、特にヒステリシスが無く再生波形の安定性を向上させることが可能な磁気検出素子、およびその製造方法、ならびに前記磁気検出素子を用いた薄膜磁気ヘッドを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明における磁気検出素子は、第1の反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを有する多層膜が設けられ、
前記多層膜のトラック幅方向の両側領域には、第2の反強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に形成される軟磁性層とが設けられ、前記磁性層のトラック幅方向の両側にはイアス層が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
このように前記バイアス層を前記フリー磁性層からトラック幅方向に離して形成することで、前記フリー磁性層への前記バイアス層の保磁力の転写の問題やバックリング現象の問題は発生せず、また前記フリー磁性層と前記バイアス層間に介在する軟磁性層の磁化は前記バイアス層からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向に向けられているため、前記軟磁性層との強磁性結合により、前記フリー磁性層の磁化は、適切にトラック幅方向に揃えられる。
【0021】
よって本発明では、従来のようにヒステリシスが生じず、また再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0026】
また発明では、前記多層膜のトラック幅方向の両側に第2の反強磁性層とフリー磁性層の両側で接する軟磁性層とが積層されている。これにより前記第2の反強磁性層と前記軟磁性層間で交換異方性磁界が発生し、前記軟磁性層の磁化はトラック幅方向に固定される。また前記軟磁性層のトラック幅方向の両側に形成されたバイアス層から、前記軟磁性層に縦バイアス磁界が供給されることで、前記軟磁性層と前記フリー磁性層間の強磁性結合が強まり、前記フリー磁性層の磁区制御が容易となり、前記フリー磁性層の単磁区化を促進することができる。
【0027】
また上記のように前記軟磁性層の磁化はトラック幅方向に固定されるものであるが、これによって以下のような効果を期待することができる。
【0028】
すなわち、前記軟磁性層の磁化が適切にトラック幅方向に固定されていることで、外部磁界が侵入してきても、前記外部磁界によって前記軟磁性層の磁化が回転することが無い。前記軟磁性層とフリー磁性層とは強磁性結合をしているため、仮に前記軟磁性層の磁化が回転すると、その磁化変動が、前記フリー磁性層にも伝播して前記フリー磁性層の磁化まで回転する、いわゆるサイドリーディング(Side Reading)の問題が発生しやすく、これによって再生波形にノイズが乗り、再生波形の安定性が低下する。
【0029】
本発明では、前記軟磁性層の磁化が、トラック幅方向に固定されているから、前記サイドリーディングの問題は発生せず、したがってノイズの発生がない再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0030】
また本発明における具体的な磁気検出素子は、前記多層膜が下から、第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層およびフリー磁性層の順で積層され、前記多層膜の両側領域に、前記第2の反強磁性層と、その上に前記軟磁性層とが積層されている構造である。この構造は図3に提示してある。
【0031】
あるいは本発明における具体的な磁気検出素子は、前記多層膜が下からフリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層及び第1の反強磁性層の順で積層され、前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その上に前記第2の反強磁性層とが積層されている構造である。この構造は図4に提示してある。
【0032】
また本発明では、前記軟磁性層は、NiFe合金、CoFe合金、あるいはNiFeCo合金で形成されることが好ましい。
【0033】
あるいは本発明では、前記軟磁性層は、NiFeX合金(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以上)で形成されることが好ましい。
【0034】
前記軟磁性層の膜厚が大きく形成され、また前記軟磁性層がNiFe合金などの比抵抗の小さい材質で形成されていると、前記軟磁性層そのものの持つ異方性磁気抵抗効果(AMR効果)が無視できなくなり、フリー磁性層と同様に磁気抵抗効果に寄与する可能性がある。そこで前記軟磁性層が磁気抵抗効果に寄与しなくするためには、前記軟磁性層の比抵抗を高めることが効果的であり、そのためNiFe合金に元素Xを添加して前記軟磁性層の比抵抗値を高めている。さらにNiFeX合金で形成された前記軟磁性層は、残留磁化が小さくなるため、以下に記述する残留磁化×膜厚値の制御を容易化できる。
【0035】
本発明では、前記軟磁性層の残留磁化×膜厚は、前記バイアス層の残留磁化×膜厚に比べて小さいことが好ましい。
【0036】
これにより前記軟磁性層と前記フリー磁性層間の強磁性結合は、従来、前記フリー磁性層とバイアス層間における静磁結合に比べて小さくなる。
【0037】
前記フリー磁性層に従来のようにハードバイアス層から強い磁場が与えられると、前記フリー磁性層の特にトラック幅方向の両側端部における磁化が外部磁界によって動き難くなり、前記両側端部における再生感度が低下してしまい特にこの傾向は狭トラック化が進むほど顕著になるが、本発明では、前記フリー磁性層と軟磁性層間の強磁性結合を、前記バイアス層との静磁結合に比べて弱めることができるので、前記フリー磁性層全体の再生感度を向上させることができ、従来に比べて高い再生出力を得ることが可能である。よって本発明では狭トラック化においても、前記フリー磁性層の再生感度の向上を図ることができ、今後の高記録密度化に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能である。
【0038】
また本発明では、前記フリー磁性層のトラック幅方向の端面の中心からトラック幅方向における前記軟磁性層の幅寸法は、500Å以上で2000Å以下であることが好ましい。
【0039】
また本発明では、少なくとも前記バイアス層の下には、バイアス下地層が形成されていることが好ましい。
【0040】
また本発明では、前記バイアス下地層は、結晶構造がbcc構造の金属膜で形成されていることが好ましく、前記バイアス下地層はCr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのうちいずれか1種または2種以上の金属膜で形成されることが好ましい。
【0041】
また本発明では、少なくとも前記バイアス層の上には電極層が形成されていることが好ましい。
【0042】
また本発明における磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及びフリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
(b)前記多層膜に、ハイト方向の第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理を行い、前記第1の反強磁性層と固定磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化を前記ハイト方向に固定する工程と、
(c)前記多層膜の両側領域に第2の反強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に対向する軟磁性層とを積層し、トラック幅方向に、前記第1の反強磁性層の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よりも低い第2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反強磁性層と軟磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記軟磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する工程と、
(d)前記第2の反強磁性層及び前記軟磁性層の両側にバイアス層を形成し、前記バイアス層の上に電極層を形成する工程。
【0043】
上記の製造方法では、印加磁界と熱処理温度の大きさを適切に制御することで、前記第1の反強磁性層に接する固定磁性層の磁化をトラック幅方向と交叉する方向(ハイト方向)に固定し、第2の反強磁性層と接する軟磁性層の磁化を前記トラック幅方向に固定することができる。
【0044】
このように、前記固定磁性層の磁化制御と軟磁性層の磁化制御を、印加磁界と熱処理温度を調整するのみで簡単に行うことができる。
【0045】
また本発明では、前記第1の反強磁性層と第2の反強磁性層を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。
【0046】
また本発明では、前記第1の反強磁性層と第2の反強磁性層をX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成しても良い。
【0047】
また本発明における薄膜磁気ヘッドは、下部シールド層上に下部ギャップ層を介して、上記した磁気検出素子が形成され、前記磁気検出素子上に上部ギャップ層を介して上部シールド層が形成されることを特徴とするものである。
【0048】
この発明では、ヒステリシスがなく、また再生波形の安定性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造できると共に、前記上部ギャップ層を電気的短絡が無いように容易に形成でき、さらに前記多層膜のトラック幅方向の両側における前記シールド層間の距離を小さくできることで実効トラック幅を小さくでき、クロストークの問題を低減させることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
図1は、参考例の磁気検出素子(スピンバルブ型薄膜素子)を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0050】
図1に示す薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に記録された外部信号を再生するためのMRヘッドである。図1には前記MRヘッドのみが開示されているが、前記MRヘッドの上に記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。前記インダクティブヘッドは磁性材料製のコア層とコイル層とを有して構成される。
【0051】
また前記薄膜磁気ヘッドは、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。前記スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0052】
図1に示す符号20は、下部シールド層である。前記下部シールド層20はNiFe合金やセンダストなどの磁性材料によって形成される。
【0053】
前記下部シールド層20上にはAl23やSiO2などの絶縁材料製の下部ギャップ層21が形成されている。
【0054】
そして前記下部ギャップ層21上に磁気検出素子22が形成される。図1に示す磁気検出素子22は、いわゆるシングルスピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる構成である。以下、前記磁気検出素子22を構成する各層について説明する。
【0055】
まず、前記下部ギャップ層21の図面中央の上面には下地層23が形成される。前記下地層23は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。前記下地層23は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこの下地層23は形成されていなくても良い。
【0056】
次に前記下地層23の上には反強磁性層26が形成される。前記反強磁性層26は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。あるいは前記反強磁性層26は、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnを含有する反強磁性材料により形成されることが好ましい。
【0057】
これらの反強磁性材料は、耐食性に優れしかもブロッキング温度も高く次に説明する固定磁性層27との界面で大きな交換異方性磁界を発生し得る。また前記反強磁性層26は80Å以上で250Å以下の膜厚で形成されることが好ましい。
【0058】
次に前記反強磁性層26の上には固定磁性層27が形成されている。前記固定磁性層27はNiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などにより形成される。前記固定磁性層27が積層された後、ハイト方向(図示Y方向)への磁場中アニールを施すことで、前記固定磁性層27と反強磁性層26との界面で発生する交換異方性磁界により、前記固定磁性層27の磁化はハイト方向(図示Y方向)に強固に固定される。前記固定磁性層27は10Å以上で60Å以下程度の膜厚で形成されることが好ましい。
【0059】
前記固定磁性層27の上には非磁性中間層28が形成されている。前記非磁性中間層28は例えばCuなどの電気抵抗の低い導電性材料によって形成される。前記非磁性中間層28は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0060】
次に前記非磁性中間層28の上にはフリー磁性層29が形成される。前記フリー磁性層29は、NiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などにより形成される。また前記フリー磁性層29は、20Å以上で40Å以下程度の膜厚で形成されることが好ましい。また前記フリー磁性層29は2層構造で形成され、前記非磁性中間層28と対向する側にCo膜が形成されていることが好ましい。これにより前記非磁性中間層28との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0061】
次に前記フリー磁性層29の上には保護層30が形成される。前記保護層30はTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成される。前記保護層30の膜厚は30Å程度である。
【0062】
1に示すように上記した前記下地層23から保護層30の各層で構成される多層膜31は、トラック幅方向(図示X方向)における両側端面31a,31aが、前記下地層23の下面から前記保護層30の上面まで連続した傾斜面となっており、例えば前記多層膜31は図1に示すような略台形状で形成される。
【0063】
次に前記多層膜31のトラック幅方向(図示X方向)の両側領域31b,31bには、電極層32(なお図1及び図2に示す形態では前記電極層を第1の電極層と称す)とその上に軟磁性層33、及び保護層30が積層形成されている。
【0064】
前記軟磁性層33は前記フリー磁性層28の両側に接して形成されている。また図1に示すように前記第1の電極層32の上面は前記フリー磁性層29の下面と同位置かあるいはそれよりも下側に位置し、前記第1の電極層32の上に形成された前記軟磁性層33の上面は前記フリー磁性層29の上面と同位置かあるいはそれよりも上側まで形成されている。これにより前記フリー磁性層29の両側端面は前記軟磁性層33のみが接合された状態になっている。
【0065】
また図1に示すように、前記第1の電極層32及び前記軟磁性層33のトラック幅方向における両側端面34、34は、連続した傾斜面となっており、この形態では、前記第1の電極層32の下層側は、前記両側端面34、34よりもさらに図示X方向に延びて形成されている。なお前記両側端面34、34は、前記下部ギャップ層21にまで形成されていてもかまわない。
【0066】
次に図1に示すように、前記第1の電極層32上から前記両側端面34、34上にかけてバイアス下地層35、35が形成されており、前記バイアス下地層35の上にハードバイアス層36が形成されている。さらに前記ハードバイアス層36の上には電極層37(なお図1、2に示す形態及び図7に示す実施形態では前記電極層を第2の電極層と称す)が形成されている。前記第2の電極層37と前記第1の電極層32とは、バイアス下地層を介して電気的に接続されている。
【0067】
前記第1の電極層32及び第2の電極層37は、例えばα−Ta、Au、Cr、Cu(銅)、Rh、Ir、RuやW(タングステン)などで形成されている。前記第1の電極層32及び第2の電極層37は同じ材質の金属材料で形成されていても良いし異なる金属材料で形成されていても良い。また前記ハードバイアス層36は、例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されている。
【0068】
次に図1に示すように、前記電極層37上から軟磁性層33上及び多層膜31上にかけて上部ギャップ層38が形成され、前記上部ギャップ層38の上に上部シールド層39が形成される。前記上部ギャップ層38は前記下部ギャップ層21として使用可能な非磁性材料で形成され、また上部シールド層39は下部シールド層20として使用可能な磁性材料で形成される。なお前記上部シールド層39の上にインダクティブヘッドも形成される場合には、前記上部シールド層39は前記インダクティブヘッドの下部コア層として兼用されても良いし、前記下部コア層を別に形成しても良い。
【0069】
ところで図1では、前記フリー磁性層29のトラック幅方向(図示X方向)の両側に軟磁性層33を介してハードバイアス層36が設けられている。図1では、前記ハードバイアス層36はトラック幅方向(図示X方向)に磁化されており、前記ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界の影響を受けて前記軟磁性層33はトラック幅方向に磁化されている。そして前記軟磁性層33とフリー磁性層29とが直接接合されていることで強磁性結合によって、前記フリー磁性層29はトラック幅方向に磁化され、前記固定磁性層27の磁化とほぼ交叉する方向に揃えられる。
【0070】
1に示す形態では、前記軟磁性層33とハードバイアス層36との間には、バイアス下地層35が介在しているので、前記軟磁性層33の前記ハードバイアス層36と対向する側の端部33aでは反磁界が大きくなって、図15で説明した前記バックリング現象が起こりやすくなっている。しかしながら前記ハードバイアス層36から離れた前記フリー磁性層29と接する側の端部33b、33bでは、もはや上記のバックリング現象は起こっておらず、前記端部33bでの磁化は適切にトラック幅方向に向けられている。
【0071】
また前記軟磁性層33とハードバイアス層36間に前記バイアス下地層35が形成されておらず、前記バイアス下地層35は前記ハードバイアス層36の下のみに形成され、前記軟磁性層33と前記ハードバイアス層36が直接接合されていてもよい。かかる場合、前記軟磁性層33の前記ハードバイアス層36と対向する側の端部33aでは、前記ハードバイアス層36の高い保磁力Hcが転写されやすくなっているが、前記ハードバイアス層36から離れた前記フリー磁性層29と接する側の端部33b、33bでは、もはや上記の保磁力Hcの転写は低減されており、前記端部33bでの保磁力Hcは軟磁性材料そのものが有する保磁力Hc程度までに小さくなっている。
【0072】
したがって前記フリー磁性層29の両側に軟磁性層33を形成し、さらにその両側にハードバイアス層36を形成する構成とすることで、前記フリー磁性層29には、従来のようにバックリング現象が起こらず、またハードバイアス層36からの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー磁性層29の形成が可能になるのである。
【0073】
よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0074】
次に本発明における前記軟磁性層33の好ましい材質について以下に説明する。
【0075】
本発明では、前記軟磁性層33は、NiFe合金、CoFe合金、あるいはNiFeCo合金で形成されることが好ましい。これらの磁性材料で形成された軟磁性層33は比抵抗が小さく、第1の電極層32及び第2の電極層37からのセンス電流を前記軟磁性層33を介してフリー磁性層29、非磁性中間層28及び固定磁性層27に導きやすくできる。
【0076】
ただし前記軟磁性層33の膜厚は薄い方が好ましく、前記軟磁性層33の膜厚は50Å以上で150Å以下であることが好ましい。前記軟磁性層33の膜厚が厚くなると、残留磁化×膜厚が大きくなることで、前記フリー磁性層29と前軟磁性層33間の強磁性結合が強まり、前記フリー磁性層29のトラック幅方向における両側端部が強固にトラック幅方向に固定されてしまい、前記両側端部での再生感度が低下し、再生出力が低下する。特に前記フリー磁性層29の上面のトラック幅方向の寸法で決定されるトラック幅Tw(光学的なトラック幅)が小さくなることによって、上記問題は顕著になる。
【0077】
そこで本発明では、前記軟磁性層33の残留磁化×膜厚は、前記ハードバイアス層36の残留磁化×膜厚よりも小さくなるように、前記軟磁性層33の材質及び膜厚を設定することが好ましい。これにより前記フリー磁性層29と前記軟磁性層33間の強磁性結合の強さを、従来の前記フリー磁性層29とハードバイアス層36間の静磁結合に比べて弱めることができ、前記フリー磁性層29のトラック幅方向全体を適切な感度領域として機能させることができ、再生出力を向上させることができる。
【0078】
本発明では、前記軟磁性層33は、NiFeX合金(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以上)で形成されても良い。これらの磁性材料は元素XがNiFe合金に添加されていることで比抵抗が大きくなり、また残留磁化は低下する。
【0079】
したがって、図1の別の形態として、例えば第1の電極層32を形成せず、あるいは前記第1の電極層32を薄く形成して、前記第1の電極層32が形成されていた領域にも前記軟磁性層33を形成した場合でも、前記軟磁性層33の残留磁化×膜厚を、前記ハードバイアス層36の残留磁化×膜厚に比べて小さくすることが可能である。したがって、前記軟磁性層33にNiFeX合金を使用した方が、NiFe合金を使用する場合に比べて、前記軟磁性層33及び第1の電極層32の膜厚の制御を容易にできる。
【0080】
また本発明では、前記軟磁性層33の磁化は外部磁界の影響を受けて回転する可能性がある。このように前記軟磁性層33の磁化が外部磁界の影響を受けて回転すると、前記軟磁性層33のフリー磁性層29に近い側の端部33bの部分も磁気抵抗効果に寄与する虞があり、トラック幅Twが実質的に前記端部33b付近にまで広がる可能性がある。これでは今後の高記録密度化に伴う狭トラック化を適切に図ることができなくなる。
【0081】
このため前記軟磁性層33を上記したNiFeX合金で形成し、前記軟磁性層33の比抵抗を上げて異方性磁気抵抗効果(AMR効果)を低減させることで、前記軟磁性層33の端部33bが、磁気抵抗効果に寄与しないようにすることができる。
【0082】
ただし前記軟磁性層33の膜厚が上記した50Å〜150Å程度に薄ければ、前記軟磁性層33が前記NiFe合金などの比抵抗の小さい磁性材料で形成されても、前記軟磁性層33が寄与する磁気抵抗効果は無視できるほどに小さくなるので、かかる場合、前記軟磁性層33を前記NiFe合金などの比抵抗の小さい磁性材料で形成することが好ましい。
【0083】
次に、前記軟磁性層33の前記フリー磁性層29の端面31a中心からトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法T1について規定する。
【0084】
本発明では前記幅寸法T1は500Å以上で2000Å以下であることが好ましい。
【0085】
前記幅寸法T1が500Åよりも小さくなると、前記ハードバイアス層36からの高い保磁力Hcが前記軟磁性層33のフリー磁性層29に近い側の端部33bにまで転写されやすく、前記フリー磁性層29の保磁力Hcも大きくなりやすい。また前記軟磁性層33のハードバイアス層36と対向する側の端部33aで発生していたバックリング現象の影響を受けて、前記軟磁性層33全体の磁化が乱れ、前記フリー磁性層29の磁化をトラック幅方向に適切に単磁区化できないといった問題が発生しやすい。
【0086】
また前記幅寸法T1が2000Åよりも大きくなると、前記軟磁性層33のフリー磁性層29に接する端部33bまで適切にトラック幅方向(図示X方向)に磁化されにくく、前記フリー磁性層29の磁化をトラック幅方向に適切に単磁区化できないといった問題が発生する。
【0087】
よって本発明では上記のように前記軟磁性層33の前記フリー磁性層29の端面31a中心からトラック幅方向への幅寸法T1を500Å以上で2000Å以下に設定した。
【0088】
次に第2の電極層37の構造について以下に説明する。図1に示す形態では、前記磁気検出素子22が現れるトラック幅方向(図示X方向)の断面では、前記第2の電極層37は前記ハードバイアス層36の上のみに形成されている。
【0089】
ただし前記第2の電極層37は、図1の点線37aに示すように、前記ハードバイアス層36上から前記軟磁性層33上にかけて形成されていても良い。かかる場合、図1の点線37aで示すように、前記多層膜31の上面と、前記第2の電極層37の内側端部37b間が離れていることが好ましい。これにより以下のような効果を期待することができる。
【0090】
第1に、前記多層膜31上から前記軟磁性層33上さらには前記第2の電極層37上にかけて形成される上部ギャップ層38をピンホールなどの欠陥がなく所定膜厚で形成でき、電気的絶縁性を良好にできる。
【0091】
第2に、前記多層膜31の両側領域31b、31bであって、前記第2の電極層37が前記軟磁性層33上に形成されていない部分での、シールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31とその上下に形成されたシールド層20、39間の膜厚(ギャップと呼ばれる)H2との差(H1−H2)が90nm以下で−20nm以上であれば、クロストークの問題を低減できる。
【0092】
クロストークとは、前記多層膜31の両側領域31bにおけるシールド層20、39間の間隔が広がると、前記シールド層20、39のシールド機能が低下することで、前記多層膜31の両側領域31bと対向する位置で発生している外部信号が、前記多層膜31内に引きずり込まれることであり、これにより実効トラック幅Twは広がってしまう。
【0093】
このようなクロストークの問題を低減させるには、前記第2の電極層37が前記軟磁性層33上に形成されていない部分での、シールド層20、39間の膜厚H1を、膜厚H2程度にまで小さくし、前記シールド層20、39間の距離を狭めてシールド機能を向上させることが好ましく、本発明では、前記膜厚H1とH2との差(H1−H2)を、90nm以下で−20nm以上に規定している。なお好ましくは70nm以下、より好ましくは30nm以下である。そしてこれによって実効トラック幅を小さくできる。本発明では上記数値範囲を満たすことで前記実効トラック幅Twを0.17μm以下にでき、狭トラック化に対応可能な磁気検出素子22を製造することが可能である。なお実効トラック幅の測定は、フルトラックプロファイル法やマイクロトラックプロファイル法などによって測定されており、前記実効トラック幅は、図1に図示されている、光学的な方法によって測定されたトラック幅Tw(これを光学的トラック幅Twと呼ぶ)とは異なる測定方法によって求められたものである。
【0094】
次に前記ハードバイアス層36と軟磁性層33及び第1の電極層32の端面34間に形成されているバイアス下地層35の材質について以下に説明する。
【0095】
本発明では、前記バイアス下地層35は、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜で形成されることが好ましい。なおこのとき前記バイアス下地層35の結晶配向は(100)面が優先配向することが好ましい。
【0096】
このような結晶構造及び結晶配向性を有する金属膜によってバイアス下地層35を形成する理由は、前記バイアス下地層35上に形成されるハードバイアス層36の保磁力Hc及び角形比Sを高めるためである。
【0097】
前記ハードバイアス層36は、CoPt合金やCoPtCr合金などで形成される。これら合金の結晶構造は一般的にはバルクにおいて、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となる組成付近の膜組成に設定されている。
【0098】
ここで上記の金属膜で形成されたバイアス下地層35とハードバイアス層36を構成するCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層の境界面内に優先配向される。前記hcp構造はfcc構造に比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層に磁界を与えたときの保磁力Hcは大きくなるのである。さらにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下地層との境界面内で優先配向となっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁化で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、前記ハードバイアス層36の特性を向上させることができ、前記ハードバイアス層36から発生するバイアス磁界を増大させることができる。
【0099】
本発明では、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜は、Cr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成されることが好ましい。
【0100】
また既に説明したように、前記バイアス下地層35は、前記ハードバイアス層36の下のみに形成されていても良い。
【0101】
また図1の場合、前記多層膜31の両側端面31a、31aは下地層23から保護層30まで連続した傾斜面となっているが、前記反強磁性層26の下側の一部がトラック幅方向(図示X方向)に延びて形成されていてもかまわない。
【0102】
このようにして形成された磁気検出素子では、図示Y方向の外部磁界により、フリー磁性層29のトラック幅Tw領域の磁化が図示X方向から図示Y方向に変化する。このフリー磁性層29内での磁化の方向の変動と、固定磁性層27の固定磁化方向(図示Y方向)との関係で電気抵抗値が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。なおこの原理は図2以降の磁気検出素子においても同じである。
【0103】
図2は、参考例の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0104】
図2では図1と異なり、前記多層膜31は下から下地層23、フリー磁性層29、非磁性中間層28、固定磁性層27、反強磁性層26及び保護層30の順に積層されている。
【0105】
また前記多層膜31のトラック幅方向における両側領域31bでは、下から軟磁性層33及び第1の電極層32の順に積層され、前記軟磁性層33は、前記フリー磁性層29の上面と同位置か、あるいはそれよりもさらに上側にまで形成され、前記フリー磁性層29の両側全体に前記軟磁性層33を形成することが好ましい。
【0106】
の形態では、前記軟磁性層33の下には、下地層40が形成されている。これにより前記軟磁性層33の結晶配向を膜面と平行な方向に(111)優先配向させている。ただし前記下地層40は前記軟磁性層33と前記フリー磁性層29の両側端面間には形成されておらず、前記軟磁性層33が直接、前記フリー磁性層29の両側に接合されている。また前記下地層40は、前記軟磁性層33とフリー磁性層29間に若干形成されていてもよいが、その膜厚は、1nm以下とする。前記膜厚が1nm以下であれば、前記下地層40にピンホールなどが生じ易く、前記軟磁性層33とフリー磁性層29とが強磁性結合により磁気的に連続体となりやすいからである。
【0107】
なお前記下地層40の材質は、Ta、Hf、Nb、Zr、Ti、Mo、Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。また前記下地層40は形成されていなくても良い。
【0108】
の形態でも図1と同様に、前記フリー磁性層29の両側に軟磁性層33を形成し、さらに両側にハードバイアス層36を形成する構成とすることで、前記フリー磁性層29には、従来のようにバックリング現象が起こらず、またハードバイアス層36からの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー磁性層29の形成が可能になる。
【0109】
よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0110】
なお前記軟磁性層33のフリー磁性層29の端面の中心からトラック幅方向における幅寸法T1や、前記軟磁性層33の膜厚や材質、さらには前記多層膜31の両側領域31bであって、前記第2の電極層37が形成されていない部分での前記シールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された部分でのシールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)、第2の電極層37の形状などは図1で説明した通りである。
【0111】
図3は本発明における第実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0112】
この実施形態では、下部シールド層20の上に下部ギャップ層21を介して、磁気検出素子22が形成されている。前記磁気検出素子22は、前記下部ギャップ層21のトラック幅方向(図示X方向)における上面中央に下地層23、反強磁性層26(なお前記反強磁性層26は図3、4では第1の反強磁性層と称す)、固定磁性層27、非磁性中間層28、フリー磁性層29及び保護層30の順で積層された多層膜31と、前記多層膜31の両側領域31b、31bとで構成される。
【0113】
図3に示すように、前記多層膜31の両側領域31b、31bには下から第2の反強磁性層42及び軟磁性層33が積層形成されている。前記第2の反強磁性層42の上面は、前記フリー磁性層29の下面と同程度かあるいはそれよりも下側に形成され、前記前記軟磁性層33の上面は、前記フリー磁性層29の上面と同位置かあるいはそれよりも上側に形成され、前記フリー磁性層29の両側前端に前記軟磁性層33が形成されていることが好ましい。なお前記軟磁性層33と前記フリー磁性層とは直接、接合されている。
【0114】
さらに前記下部ギャップ層21上から前記第2の反強磁性層42及び軟磁性層33の両側端面43にかけてバイアス下地層35が形成され、前記バイアス下地層35の上にハードバイアス層36及び、前記ハードバイアス層36の上に電極層37が積層形成されている。
【0115】
図3に示すように、前記電極層37上から前記軟磁性層33上、さらには前記多層膜31上にかけて上部ギャップ層38が形成され、前記上部ギャップ層38の上に上部シールド層39が形成されている。
【0116】
この実施形態では図1及び図2と異なり、前記多層膜31の両側領域31b、31bには、第2の反強磁性層42と軟磁性層33が形成され、前記第2の反強磁性層42と前記軟磁性層33との間で発生する交換異方性磁界によって前記軟磁性層33の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に固定される。
【0117】
また前記軟磁性層33の両側に形成されたハードバイアス層36はトラック幅方向に磁化されており、前記ハードバイアス層36からの縦バイアス磁界によって、前記軟磁性層33と前記フリー磁性層29間の強磁性結合は強められている。
【0118】
この実施形態においても図1及び図2と同様に、前記フリー磁性層29の両側に軟磁性層33を形成し、さらに両側にハードバイアス層36を形成する構成とすることで、前記フリー磁性層29には、従来のようにバックリング現象が起こらず、またハードバイアス層36からの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー磁性層29の形成が可能になる。
【0119】
よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0120】
しかも図3に示す実施形態では、前記軟磁性層33の下側に第2の反強磁性層42が形成され、前記第2の反強磁性層42との交換異方性磁界によって、前記軟磁性層33の磁化は図示X方向に固定されており、外部磁界が侵入してきても前記軟磁性層33の磁化は回転しにくくなっている。
【0121】
仮に前記軟磁性層33の磁化が外部磁界の影響を受けて回転すると、前記軟磁性層33とフリー磁性層29とが強磁性結合していることで、前記の磁化回転の影響が磁壁の厚み分(約500Å〜1000Å程度)離れた前記フリー磁性層29の磁化まで及び、前記フリー磁性層29の磁化が回転する、サイドリーディングの問題が発生することにより、再生波形にノイズが乗り、再生波形の安定性は低下してしまう。
【0122】
そこで本発明では、前記軟磁性層33を、第2の反強磁性層42との交換異方性磁界によってトラック幅方向に固定できるようにしている。
【0123】
図4(本発明における第実施形態の磁気再生素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図)も同様で、図4では、多層膜31は、下から下地層23、フリー磁性層29、非磁性中間層28、固定磁性層27、第1の反強磁性層26及び保護層30の順に積層されており、前記多層膜31の両側領域31b、31bには、下から軟磁性層33及び第2の反強磁性層42が積層されている。前記軟磁性層33は、前記フリー磁性層29の上面と同程度の位置か、それよりも上側にまで形成され、前記フリー磁性層の両側端面全体に前記軟磁性層33が形成されていることが好ましい。
【0124】
前記軟磁性層33の磁化は、前記第2の反強磁性層42との間で発生する交換異方性磁界によって適切にトラック幅方向に固定されており、また前記軟磁性層33のトラック幅方向における両側にはハードバイアス層36が設けられていることで、前記軟磁性層33とフリー磁性層29との強磁性結合を強めることができる。図4の実施形態も図3と同様にサイドリーディングの問題を解消でき、再生波形にノイズが乗らない、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0125】
なお図3及び図4の実施形態において、前記軟磁性層33のフリー磁性層29の端面の中心からトラック幅方向における幅寸法T1や、前記軟磁性層33の膜厚や材質、さらには前記多層膜31の両側領域31bであって、前記第2の電極層37が形成されていない部分での前記シールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された部分でのシールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)、第2の電極層37の形状などは図1で説明した通りである。
【0126】
ところで図3及び図4に示す実施形態では、反強磁性層26、42が2層形成されている。前記第1の反強磁性層26は固定磁性層27の磁化をハイト方向(図示Y方向)に固定するために用いられるものであり、第2の反強磁性層42は前記軟磁性層33の磁化をトラック幅方向(図示X方向)に固定することによりフリー磁性層29の磁化をトラック幅方向に向けるために用いられるものである。
【0127】
このように固定磁性層27とフリー磁性層29の磁化を前記反強磁性層26、42を用いて互いに交叉する方向に向けるためには、以下のように製造方法を工夫する必要性がある。
【0128】
図11ないし図14は、図3に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図であり、各図は、記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0129】
図11に示す工程では、基板44上に、下から下地層23、第1の反強磁性層26、固定磁性層27、非磁性中間層28、フリー磁性層29及び保護層30の順で積層された多層膜31を形成する。各層の形成は例えばスパッタ成膜である。スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0130】
本発明では前記第1の反強磁性層26を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。あるいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成することが好ましい。
【0131】
前記元素Xの組成比、あるいは元素X+元素X′の組成比を、例えば37原子%以上で63原子%以下に設定する。または前記元素Xの組成比、あるいは前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以上で57原子%以下に設定することが好ましい。
【0132】
次に第1の熱処理工程を行う。まずハイト方向(図示Y方向)に第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、前記第1の反強磁性層26に交換異方性磁界を発生させて、前記固定磁性層27の磁化をハイト方向に固定する。
例えば前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800k(A/m)とする。
【0133】
次に図11に示すように、前記保護層30の上にリフトオフ用のレジスト層45を形成する。そして前記レジスト層45に覆われていない前記多層膜31をイオンミリングで除去し、前記多層膜31のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面31a、31aを傾斜面にて形成する。
【0134】
次に図12に示す工程では、前記多層膜31の両側領域31b、31bに下からバイアス下地層40、第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護層30を積層する。なお各層はスパッタ成膜されることが好ましく、スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0135】
なお本発明では、前記第2の反強磁性層42の上面42aは、前記フリー磁性層29の下側に位置するように前記第2の反強磁性層42の膜厚を調整し、前記第2の反強磁性層42の上に形成される軟磁性層33を前記フリー磁性層29の両側端面に直接接合できるようにする。そして、前記レジスト層45を除去する。
【0136】
また本発明では前記第2の反強磁性層42を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。あるいは、前記第1の反強磁性層26を、X−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成することが好ましい。
【0137】
このとき、前記元素Xの組成比、あるいは元素X+元素X′の組成比を、例えば37原子%以上で63原子%以下に設定し、または前記元素Xの組成比、あるいは前記元素X+元素X′の組成比を47原子%以上で57原子%以下に設定することが好ましい。
【0138】
次に第2の熱処理工程を行う。この工程では第1の印加磁界と交叉する方向、すなわちトラック幅方向(図示X方向)に、前記第1の反強磁性層26の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前記第1の反強磁性層26のブロッキング温度よりも低い熱処理温度で処理する。
【0139】
この工程により、第2の反強磁性層42には交換異方性磁界が発生し、前記軟磁性層33の磁化をトラック幅方向(図示X方向)に固定することができる。
【0140】
なおこの第2の熱処理工程では、第2の印加磁界は、第1の反強磁性層26の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度は、前記第1の反強磁性層26のブロッキング温度よりも低いから、前記第1の反強磁性層26の交換異方性磁界の方向をハイト方向に向けたまま、前記第2の反強磁性層42の交換異方性磁界をトラック幅方向に向けることができる。この際、固定磁性層27を例えばCoFe/Ru/CoFeなる積層構造の人工フェリ磁性状態として形成することにより第1の反強磁性層26の交換異方性磁界を高めることができ、第2の熱処理による固定磁性層の磁化の傾斜を最小限に抑えることができる。なお前記第1の反強磁性層26と第2の反強磁性層42の組成は同じであっても良いし異なっていても良い。
【0141】
なお第2の熱処理温度は例えば250℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。また上記した組成比で形成された反強磁性層26、42では、48k(A/m)以上の交換結合磁界を得ることができ、またブロッキング温度を380℃程度にすることができる。
【0142】
次に、図13に示すように、前記多層膜31及び前記軟磁性層33の上に、前記レジスト層45よりもトラック幅方向の幅寸法が長いリフトオフ用のレジスト層46を形成する。前記リフトオフ用のレジスト層46の下面46aが少なくとも前記多層膜31の上面のトラック幅方向における幅寸法よりも長くなるように、前記レジスト層46を形成する。
【0143】
次に図13に示すように、前記レジスト層46によって覆われていない第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護層30をイオンミリングで斜め方向から削り、前記第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護層30の両側端面43、43を傾斜面で形成する。
【0144】
図14に示す最終工程では、前記基板44と、前記第2の反強磁性層42、軟磁性層33及び保護層30の両側端面43、43との間にバイアス下地層35、ハードバイアス層36及び電極層37を積層する。なお各層はスパッタ成膜されることが好ましく、スパッタ成膜では、例えばイオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0145】
そして前記レジスト層46を除去すると、図3と同じ磁気検出素子が完成する。
【0146】
なお図4も図11ないし図14と同じ製造方法に基づいて形成することができ、図11工程では、多層膜31を形成した後、第1の熱処理工程を行い、図12に示す工程では、前記多層膜31の両側に下から軟磁性層33及び第2の反強磁性層42を形成した後、第2の熱処理工程を行い、図13、14工程で、前記軟磁性層33及び第2の反強磁性層42の両側にハードバイアス層36及び電極層37を形成する。
【0147】
また図1及び図2における磁気検出素子の製造方法についても説明すると、図11と同じ工程を施した後、図12に示す工程で、前記多層膜31の両側領域31b、31bに、電極層32と軟磁性層33を積層形成し、図13と同じ工程を施して、前記電極層32及び軟磁性層33の両側端部をイオンミリングで除去し、次に図14と同じ工程を施して、ハードバイアス層36及び電極層37を形成すれば、図1及び図2に示す磁気検出素子が完成する。
【0148】
図5は参考例の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0149】
図5に示す形態では、多層膜31の膜構成は図1における多層膜31の膜構成と同じであり、前記多層膜31の両側領域31b、31bには、第1の電極層32と前記第1の電極層32の上に軟磁性層33が積層形成されている。
【0150】
の形態では図1と異なり、前記軟磁性層33の上であって、前記多層膜31からトラック幅方向に離れた位置に反強磁性層47が形成されているが、これにより前記反強磁性層47と前記軟磁性層33間で発生する交換異方性磁界によって前記軟磁性層33の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に向けられている。
【0151】
そして前記軟磁性層33は前記フリー磁性層29の両側端面に直接接合されており、前記軟磁性層33とフリー磁性層29間の強磁性結合により前記軟磁性層33の磁化はトラック幅方向(図示X方向)に適切に揃えられる。なお前記強磁性結合を強めるために、前記軟磁性層33のトラック幅方向の両側にハードバイアス層を設けてもよい。
【0152】
の形態では、前記フリー磁性層29のトラック幅方向の両側には、軟磁性層33が形成され、前記多層膜31からトラック幅方向に離れた位置での前記軟磁性層33上には、反強磁性層47が形成されている。
【0153】
このように、従来のようにフリー磁性層の両側にハードバイアス層が設けられたものではないから、前記フリー磁性層29には、従来のようにバックリング現象が起こらず、またハードバイアス層からの保磁力Hcの転写も無く、前記軟磁性層33との強磁性結合によって適切にトラック幅方向に磁化されたフリー磁性層29の形成が可能になる。
【0154】
よって従来に比べて前記フリー磁性層の磁区制御が容易となり、ヒステリシスの無い、再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0155】
なお前記反強磁性層47は前記軟磁性層33の下側に形成されてもかまわないが、図5に示すように前記反強磁性層47を前記軟磁性層33上に形成する方が、製造工程を容易化できて好ましい。
【0156】
図6は本発明における第実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0157】
図6に示す実施形態の多層膜31は、図4の実施形態の多層膜31と同じ膜構成であり、前記多層膜31の両側領域31b、31bには、下から軟磁性層33及び第2の反強磁性層42が積層形成されている。
【0158】
この実施形態では、電極層37が、前記第2の反強磁性層42上にまで延びて形成されている。ただし前記多層膜31の上面と、前記電極層37の内側端面37cとの間は離れており、図1で説明したのと同様に、前記多層膜31の両側領域31bの前記電極層37が延びて形成されていない部分でのシールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された位置での前記シールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)は、90nm以下で−20nm以上であることが好ましい。これにより電気的絶縁性に優れた記上部ギャップ層38を形成できると共に、クロストークの問題を低減させることができる。
【0159】
また図6に示す実施形態では、前記電極層37の上であって、前記電極層37の内側端面37cよりもトラック幅方向に離れた前記電極層37の上にさらに電極層48が設けられている。これにより磁気検出素子の直流抵抗値が大きくなることを抑えることができる。
【0160】
なお図6に示す実施形態は、図4に示す膜構成の場合のみに適用可能なものではない。図1ないし図3、および図5のいずれの形態でも適用可能なものである。
【0161】
図7は本発明における第実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0162】
図7に示す実施形態は図4に示す実施形態の一部を変更したものである。図7では、前記多層膜31の両側領域31b、31bに、下から軟磁性層33、第2の反強磁性層42及び電極層49が積層形成されている。
【0163】
この実施形態では、図4の場合よりも、軟磁性層33の上に形成された第2の反強磁性層42の膜厚を薄くし、前記第2の反強磁性層42上と前記多層膜31間に前記電極層49が形成できるようにしている。
【0164】
この実施形態でも、前記多層膜31の両側領域31bの部分でのシールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された位置での前記シールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)は、90nm以下で−20nm以上であることが好ましい。このような数値範囲となるように、前記軟磁性層33、第2の反強磁性層42、電極層49の膜厚を調整する。これによって電気的絶縁性に優れた上部ギャップ層38を形成できると共に、クロストークの問題を低減させることができる。
【0165】
なお図7の実施形態は、図3でも適用できる。すなわち図3に示す多層膜31の両側領域31bには、下から電極層49、第2の反強磁性層42、軟磁性層33が積層形成されるようにする。そして前記多層膜31の両側領域31bの部分でのシールド層20、39間の膜厚H1と、前記多層膜31が形成された位置での前記シールド層20、39間の膜厚H2との差(H1−H2)が、90nm以下で−20nm以上となるように、前記軟磁性層33、第2の反強磁性層42、電極層49の膜厚を調整する。
【0166】
図7に示す実施形態では、前記多層膜31の両側に電極層49が形成されることで、前記多層膜31のフリー磁性層29、非磁性中間層28及び固定磁性層27に適切な大きさのセンス電流を供給することができ、素子の直流抵抗値を低減させると共に、通電信頼性(耐エレクトロマイグレーション)を向上させることができる。
【0167】
図8は、多層膜31の部分を拡大した部分拡大断面図であり、本発明における好ましい膜構成が示されている。
【0168】
図8では、下地層23の上にシードレイヤ50が形成されている。前記シードレイヤ50は一層の非磁性材料あるいは磁性材料で形されているが、特に高抵抗材料で形成されることが好ましい。前記シードレイヤ50は例えばNiFeY合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種以上)で形成されることが好ましい。このうち前記シードレイヤ50はNiFeCr合金で形成されることがより好ましい。前記シードレイヤ50の(111)面を、より適切に反強磁性層26との界面と平行な方向に優先配向させることができ、さらに高比抵抗にできるからである。
【0169】
前記シードレイヤ50が高比抵抗であると、電極層37から流れるセンス電流の前記シードレイヤ50への分流を抑制することが可能である。これによって抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることができ、またバルクハウゼンノイズを減少させることができる。
【0170】
上記したように前記シードレイヤ50は、前記反強磁性層26との界面と平行な方向に面心立方晶の(111)面あるいは体心立方晶の(110)面が優先配向していることで、前記シードレイヤ50上に形成される反強磁性層26の(111)面、さらには前記反強磁性層26上に形成される各層の(111)面を前記界面と平行な方向に優先配向させることが可能であり、これによって結晶粒径が大きくなり抵抗変化率(ΔR/R)を向上させることが可能である。
【0171】
図8に示す実施形態では前記反強磁性層26の上に形成された固定磁性層27は3層構造で形成される。
【0172】
前記固定磁性層27を構成する符号51及び53の層は磁性層であり、例えばCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどで形成される。前記磁性層51,53間にはRuなどで形成された中間層52が介在し、この構成により、前記磁性層51と前記磁性層53の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これはいわゆる人工フェリ状態と呼ばれ、この構成により前記固定磁性層27の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層27と反強磁性層26との界面で発生する交換異方性磁界を見かけ上大きくすることができる。
【0173】
同様に、前記固定磁性層27の上に非磁性中間層28を介して形成されたフリー磁性層29も3層構造で形成され、前記フリー磁性層29を構成する符号54及び56の層はCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層であり、前記磁性層54,56間にRuなどの中間層55が介在する。これによって前記磁性層54,56の磁化は互いに反平行にされ、前記フリー磁性層29の磁化を安定した状態にでき、フリー磁性層29全体としての磁気的な膜厚を薄く形成できる。これによって前記フリー磁性層の磁化は、前記磁性層54,56が外部磁界に対し反平行を保ちながら反転しやすくなり、再生特性の向上を図ることができる。
【0174】
なお前記人工フェリ構造は固定磁性層27及びフリー磁性層29のどちらか一方において形成されていてもよい。この場合は特に固定磁性層27においてのみ形成されることが好ましい。
【0175】
また前記磁性層51,53および磁性層54,56の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また中間層52、55の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0176】
また図8に示す実施形態では、前記フリー磁性層29の上に、金属材料あるいは非磁性金属のCu,Au,Agからなるバックド層57が形成されている。また前記バックド層57の上に形成される保護層30はTaなどから成り、その表面が酸化された酸化層であることが好ましい。
【0177】
前記バックド層57が形成されることによって、磁気抵抗効果に寄与する+スピン(上向きスピン)の電子における平均自由行程(mean free path)を延ばし、いわゆるスピンフィルター効果(spin filter effect)により磁気抵抗効果素子において、大きな抵抗変化率が得られ、高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0178】
前記多層膜31の両側領域31b、31bには、例えば図3と同様に下から第2の反強磁性層42及び軟磁性層33が積層されている。図8のようにフリー磁性層29がフェリ構造であるときは、一方の磁性層54、56の両側端部のみに前記軟磁性層33の端部が接するように前記第2の反強磁性層42及び軟磁性層33の膜厚を調整することが好ましい。これにより前記一方の磁性層が前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に磁化され、他方の磁性層の磁化が前記一方の磁性層の磁化方向と反平行にされて、安定した人工フェリ状態を維持できる。
【0179】
ただし前記磁性層54、56の双方の両側端部に前記軟磁性層33の端部が接して形成されていても良い。前記磁性層54、56は、飽和磁化Msと膜厚tとをかけて求められる単位面積当たりの磁気モーメントが異なっており、前記磁気モーメントが大きい方の磁性層が優先的に前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に磁化され、磁気モーメントの小さい方の磁性層の磁化は、前記磁気モーメントの大きい磁性層の磁化方向と反平行に向けられるようになっている。
【0180】
また図8に示すように前記軟磁性層33の上には図7に示す実施形態と同様に電極層49を形成しても良いし、形成しなくても良い。また前記多層膜31からトラック幅方向に離れた位置に形成された電極層37を前記軟磁性層33上にまで延ばして形成しても良い。
【0181】
また図8に示す前記多層膜31の両側領域31b、31bの膜構成は、図1と同様に下から電極層32及び軟磁性層33の順に積層されたものであっても良い。
【0182】
図9は本発明における別の好ましい多層膜31の構造を示す部分拡大断面図である。
【0183】
図9では、下地層23の上に3層のフェリ構造で形成されたフリー磁性層29が形成されている。また前記フリー磁性層29の上には非磁性中間層28を介して、3層のフェリ構造で形成された固定磁性層27が形成されている。また前記固定磁性層27の上には反強磁性層26及び保護層30が形成されている。
【0184】
前記フリー磁性層29を構成する磁性層54、56及び固定磁性層27を構成する磁性層51、53は、Co、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層であり、符号55、52がRuなどの中間層である。また前記磁性層51,53および磁性層54,56の膜厚はそれぞれ10〜70Å程度で形成される。また中間層52、55の膜厚は3Å〜10Å程度で形成される。
【0185】
図9における実施形態では、前記多層膜31の両側領域31b、31bには、下から下地層40、軟磁性層33及び電極層32が積層形成されている。すなわち図2と同じ積層構成である。
【0186】
図9に示す実施形態では、前記フリー磁性層29は3層のフェリ構造で形成されているから、磁性層54、56のうち一方の磁性層の両側端部にのみ前記軟磁性層33の端部が接合されていることが好ましい。これによって前記フリー磁性層29の人工フェリ状態を安定化することができる。ただし前記磁性層54、56の双方の両側端部に前記軟磁性層33の端部が接して形成されていても良い。前記磁性層54、56は、飽和磁化Msと膜厚tとをかけて求められる単位面積当たりの磁気モーメントが異なっており、前記磁気モーメントが大きい方の磁性層が優先的に前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に磁化され、磁気モーメントの小さい方の磁性層の磁化は、前記磁気モーメントの大きい磁性層の磁化方向と反平行に向けられるようになっている。
【0187】
また図9に示す実施形態では図4と同様に前記軟磁性層33の上に第2の反強磁性層42が形成されていている構造であっても良い。また図7と同様に前記第2の反強磁性層42の上に電極層49が重ねて形成されていても良い。
【0188】
なお図9では、固定磁性層27及びフリー磁性層29の一方が上記の人工フェリ構造であっても良い。この場合、固定磁性層27が人工フェリ磁性構造とされることが好ましい。
【0189】
図10は本発明における別の多層膜31の好ましい構造を示す部分拡大断面図である。
【0190】
図10に示す多層膜31の構造は図1ないし図9とは異なりデュアルスピンバルブ型と呼ばれるものである。
【0191】
図10に示すように、下地層23の上には第1の反強磁性層58が形成され、その上にはRuなどの中間層52を介してCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層51、53が対向する3層のフェリ構造の第1の固定磁性層60が形成される。さらに前記第1の固定磁性層60の上には非磁性中間層28を介して、Ruなどの中間層55を介してCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層54、56が対向する3層のフェリ構造のフリー磁性層29が形成される。さらに前記フリー磁性層29の上には非磁性中間層28を介して、Ruなどの中間層52を介してCo、CoFe、NiFe、CoFeNiなどの磁性層51、53が対向する3層のフェリ構造の第2の固定磁性層61が形成される。さらに前記第2の固定磁性層61の上には反強磁性層59が形成され、前記反強磁性層59の上には、保護層30が形成される。
【0192】
前記フリー磁性層の磁性層54、56の磁化は反平行状態にされており、前記磁性層54と対向する第1の固定磁性層60の磁性層53の磁化が図示Y方向に固定されている場合、前記磁性層56と対向する第2の固定磁性層61の磁性層53の磁化は図示Y方向と逆方向に固定されるようになっている。
【0193】
また前記フリー磁性層29が単層、あるいはNiFe合金などの磁性層の上下にCoのなどの磁性層が形成された3層の磁性層構造である場合には、前記第1の固定磁性層60及び第2の固定磁性層61の磁性層53は共に同じ方向(例えば図示Y方向)に固定される。
【0194】
図10に示すように前記多層膜31の両側には、図2と同様に、軟磁性層33とその上に電極層32とが積層形成されている。図10では前記フリー磁性層29は3層の人工フェリ構造であるから、前記軟磁性層33の端部は、前記フリー磁性層29の一方の磁性層54の両側端部のみ接合されるように、前記軟磁性層33の膜厚を調整することが好ましい。これにより前記フリー磁性層29の人工フェリ構造を安定化させることができる。ただし前記磁性層54、56の双方の両側端部に前記軟磁性層33の端部が接して形成されていても良い。前記磁性層54、56は、飽和磁化Msと膜厚tとをかけて求められる単位面積当たりの磁気モーメントが異なっており、前記磁気モーメントが大きい方の磁性層が優先的に前記軟磁性層33の磁化方向と同一方向に磁化され、磁気モーメントの小さい方の磁性層の磁化は、前記磁気モーメントの大きい磁性層の磁化方向と反平行に向けられるようになっている。
【0195】
また図10では、図4と同様に前記軟磁性層33の上に第2の反強磁性層42が形成された構造であっても良く、あるいは図7と同様に前記第2の反強磁性層42の上にさらに電極層49が重ねて形成されている構成であってもよい。あるいは前記電極層49を形成せず、前記多層膜31よりもトラック幅方向に離れた位置に形成された電極層37を前記第2の反強磁性層42にまで延ばして形成してもかまわない。
【0196】
また本発明は、トンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる磁気検出素子にも適用可能である。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性中間層28がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成される。またトンネル型磁気抵抗効果型素子の場合、電極層は、多層膜31の上下に形成される。したがってトンネル型磁気抵抗効果型素子に本発明を適用する場合には、図3や図4のように多層膜31の両側に第2の反強磁性層42と軟磁性層33を形成し、前記多層膜31の上下に電極層を形成する形態や、あるいは図1や図2を利用するときは、多層膜31の両側に軟磁性層33のみを形成し、前記多層膜31の上下に電極層を形成する形態が考えられる。
【0197】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0198】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、フリー磁性層の両側に軟磁性層を介してバイアス層を設けることで、従来のように前記フリー磁性層への前記バイアス層の保磁力の転写の問題やバックリング現象の問題は起こらず、また前記フリー磁性層と前記バイアス層間に介在する前記軟磁性層の磁化は前記バイアス層からの縦バイアス磁界によってトラック幅方向に向けられているため、前記軟磁性層との強磁性結合により、前記フリー磁性層の磁化は、適切にトラック幅方向に揃えられる。
【0199】
よって本発明では、従来のようにヒステリシスが生じず、また再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0200】
また本発明では、前記軟磁性層に重ねて第2の反強磁性層を形成することで、前記軟磁性層の磁化が適切にトラック幅方向に固定されるので、外部磁界が侵入してきても、前記外部磁界によって前記軟磁性層の磁化が回転することが無い。したがって本発明では、サイドリーディングの問題は発生せず、ノイズの発生がない再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0201】
また本発明における磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドであれば、上記効果に加えて、上部ギャップ層を電気的短絡が無いように容易に形成でき、さらに前記多層膜のトラック幅方向の両側におけるシールド層間の距離を小さくできることで実効トラック幅を小さくでき、クロストークの問題を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】参考例の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明における第の実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明における第の実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】参考例の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明における第の実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明における第の実施形態の磁気検出素子を備えた薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】本発明の好ましい多層膜の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明の別の好ましい多層膜の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図10】本発明の別の好ましい多層膜の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図11】図3に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す一工程図、
【図12】図11に示す工程の次に行われる一工程図、
【図13】図12に示す工程の次に行われる一工程図、
【図14】図13に示す工程の次に行われる一工程図、
【図15】従来における薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図16】従来における別の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【符号の説明】
20 下部シールド層
21 下部ギャップ層
22 磁気検出素子
23、40 下地層
26、47 反強磁性層
27 固定磁性層
28 非磁性中間層
29 フリー磁性層
30 保護層
32、37、48、49 電極層
33 軟磁性層
35 バイアス下地層
36 ハードバイアス層
38 上部ギャップ層
39 上部シールド層
42 第2の反強磁性層
45、46 レジスト層
50 シードレイヤ
57 バックド層

Claims (15)

  1. 第1の反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを有する多層膜が設けられ、
    前記多層膜のトラック幅方向の両側領域には、第2の反強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に形成される軟磁性層とが設けられ、前記軟磁性層のトラック幅方向の両側にはバイアス層が設けられていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記多層膜は下から、第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層およびフリー磁性層の順で積層され、前記多層膜の両側領域に、前記第2の反強磁性層と、その上に前記軟磁性層とが積層されている請求項記載の磁気検出素子。
  3. 前記多層膜は下からフリー磁性層、非磁性中間層、固定磁性層及び第1の反強磁性層の順で積層され、前記多層膜の両側領域に、前記軟磁性層と、その上に前記第2の反強磁性層とが積層されている請求項記載の磁気検出素子。
  4. 前記軟磁性層は、NiFe合金、CoFe合金、あるいはNiFeCo合金で形成される請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  5. 前記軟磁性層は、NiFeX合金(ただし元素Xは、Cr、Nb、Ta、Rh、Ir、Re、Ruのうちいずれか1種または2種以上)で形成される請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  6. 前記軟磁性層の残留磁化×膜厚は、前記バイアス層の残留磁化×膜厚に比べて小さい請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  7. 前記フリー磁性層のトラック幅方向の端面の中心からトラック幅方向における前記軟磁性層の幅寸法は、500Å以上で2000Å以下である請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 少なくとも前記バイアス層の下には、バイアス下地層が形成されている請求項1ないしのいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 前記バイアス下地層は、結晶構造がbcc構造の金属膜で形成されたものである請求項記載の磁気検出素子。
  10. 前記バイアス下地層はCr,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのうちいずれか1種または2種以上の金属膜で形成される請求項記載の磁気検出素子。
  11. 少なくとも前記バイアス層の上には電極層が形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (a)第1の反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層及びフリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
    (b)前記多層膜に、ハイト方向の第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理を行い、前記第1の反強磁性層と固定磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化を前記ハイト方向に固定する工程と、
    (c)前記多層膜の両側領域に第2の反強磁性層と、少なくとも前記フリー磁性層の両側に対向する軟磁性層とを積層し、トラック幅方向に、前記第1の反強磁性層の交換異方性磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前記第1の反強磁性層のブロッキング温度よりも低い第2の熱処理温度で熱処理して、前記第2の反強磁性層と軟磁性層間に交換異方性磁界を発生させ、前記軟磁性層の磁化をトラック幅方向に固定する工程と、
    (d)前記第2の反強磁性層及び前記軟磁性層の両側にバイアス層を形成し、前記バイアス層の上に電極層を形成する工程。
  13. 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁性層を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成する請求項12記載の磁気検出素子の製造方法。
  14. 前記第1の反強磁性層と第2の反強磁性層をX−Mn−X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成する請求項12記載の磁気検出素子の製造方法。
  15. 下部シールド層上に下部ギャップ層を介して、請求項1ないし11のいずれかに記載された磁気検出素子が形成され、前記磁気検出素子上に上部ギャップ層を介して上部シールド層が形成されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
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