JP3939519B2 - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に係り、特に、磁気検出素子を構成する薄膜層間の短絡を防止することができ、品質を向上させることのできる磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18及び図19は従来の磁気検出素子の製造方法を示す図、図20は従来の磁気検出素子を記録媒体からの対向面側からみた断面図である。 まず、基板(図示せず)上に、NiFeなどからなる下部シールド層1、Cuなどからなる下部電極層2を形成する。さらに、下部電極層2の上に、第1フリー磁性層3a、非磁性中間層3b、第2フリー磁性層3cからなるフリー磁性層3、非磁性材料層4、第2固定磁性層5a、非磁性中間層5b、第1固定磁性層5cからなる固定磁性層5、及び反強磁性層6を順次積層する。
【0003】
第1フリー磁性層3a、第2フリー磁性層3c、第2固定磁性層5a、第1固定磁性層5cは、NiFeなどで形成される。また、非磁性材料層4はCuなどで形成され、非磁性中間層3b及び5bはRuなどで形成される。
【0004】
フリー磁性層3から反強磁性層6までが多層膜Tとなる。さらに、多層膜T上に、リフトオフ用のレジスト層Rを形成した状態が図18に示されている。
【0005】
次に、レジスト層Rに覆われていない多層膜Tをイオンミリングによって除去した状態を図19に示す。
【0006】
さらに、前記イオンミリングにおいて削り残された多層膜Tの両側であって下部電極層2上に、絶縁層7,7を介して、CoPtなどの硬磁性材料からなるハードバイアス層8,8を積層し、ハードバイアス層8,8の上層に絶縁層9,9を積層した後、レジスト層Rを除去する。
【0007】
レジスト層Rを除去した後、Cuなどによって上部電極層10及びNiFeなどからなる上部シールド層11が積層されると、図20に示される磁気検出素子が形成される。この磁気検出素子は、反強磁性層6がフリー磁性層3の上層に位置するいわゆるトップスピン型のスピンバルブ型磁気検出素子である。
【0008】
図20に示される磁気検出素子は、いわゆるCPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子であり、センス電流が多層膜Tの各膜面に対し垂直方向に流されるものである。
【0009】
検出対象の磁界(外部磁界)が磁気検出素子に印加される前の状態において、固定磁性層5の磁化方向とフリー磁性層3の磁化方向は、所定の角度をなしている。この状態の磁気検出素子に外部磁界が印加されると、フリー磁性層3の磁化方向が回転し、固定磁性層5の磁化方向とフリー磁性層3の磁化方向の相対角度が変化して、磁気検出素子の直流抵抗値及び出力電圧が変化する。
【0010】
CPP型の磁気検出素子は、多層膜Tの各膜面に対しほぼ水平方向にセンス電流が流されるCIP(current in the plane)型の磁気検出素子と比べて、発熱量(P)を一定として、前記多層膜Tの各膜面の面積を小さくしたときの、抵抗変化量ΔR及び出力ΔVを大きくすることができる。
【0011】
すなわち、素子サイズを小さくしていくと、CIP型よりもCPP型にする方が出力を大きくでき、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズの狭小化に適切に対応できる構造であると期待されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図18及び図19に示された製造方法によって形成された図20に示される従来のCPP型の磁気検出素子では、次のような問題が生じていた。
【0013】
多層膜Tのレジスト層Rによって覆われていない領域をイオンミリングによって削るときに多層膜Tの各層の材料が、削り残される多層膜Tのトラック幅方向の側端面に付着し、図19及び図20に示されるような再付着物層L,Lとなる。
【0014】
多層膜Tを構成するフリー磁性層3、非磁性材料層4、固定磁性層5、反強磁性層6は導電性材料からなるものであるので、多層膜Tのトラック幅方向の側端面に再付着物層M,Mが付着すると、図20に示される磁気検出素子において、上部電極層10から下部電極層2に直流電流を流したときに、多層膜Tの各層が電気的に短絡してしまう。
【0015】
特に、センス電流が多層膜Tの各膜面に対し垂直方向に流されるCPP型磁気検出素子の場合には、フリー磁性層3と固定磁性層5が短絡すると、外部磁界が印加されてフリー磁性層3の磁化方向が変化しても、抵抗変化が生じなくなり、磁気検出素子として機能しなくなってしまう。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、磁気検出素子の多層膜を構成する各層間の電気的絶縁をとることができ、品質を向上させることのできる磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、並びに前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子において、
前記下部電極層上に、前記多層膜のトラック幅方向の側端面に対向して絶縁材料層が積層されており、
前記多層膜の側端面と、前記絶縁材料層との間には溝部Gが形成され、前記溝部G内にて露出した前記下部電極層の表面が凹面形状で形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明では、前記多層膜の側端面に対向して絶縁材料層が積層されている。この絶縁材料層が前記下部電極層上に設けられることにより、前記多層膜をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、前記多層膜のトラック幅方向の側端面に、前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することができる。
【0019】
また、本発明では、前記下部電極層の前記多層膜と前記絶縁材料層に挟まれる部位が凹面形状に削り込まれても、前記下部電極層の削り量を従来よりも少なくできるので、前記多層膜のトラック幅方向の側端面への、各層の材料の再付着量を低減する効果を奏することができる。
導電性を有する前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となる前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0020】
また、前記固定磁性層から前記フリー磁性層間の電気的絶縁を確実にするために、前記多層膜の少なくとも前記固定磁性層から前記フリー磁性層までの各層のトラック幅方向における側端面には、絶縁酸化膜が設けられていることが好ましい。
【0021】
前記絶縁酸化膜は、例えば、前記多層膜を構成する各層の材料が酸化されて形成された層、前記絶縁材料層と同じ材料からなる層、金属材料が酸化されて形成された層のいずれか1層または2層以上を有するものである。
【0022】
本発明では、前記多層膜を、前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層される、いわゆるボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子として形成することができる。または、前記多層膜を、前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層されるいわゆるトップ型のスピンバルブ型磁気検出素子として形成することができる。
【0026】
本発明では、前記多層膜の少なくとも前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向して、硬磁性材料からなる一対のハードバイアス層が設けられることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
前記ハードバイアス層は、前記溝部G内にまで入り込んで形成されることが好ましい。
【0027】
または、前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて反強磁性材料または強磁性材料からなる一対のエクスチェンジバイアス層が設けられることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0028】
あるいは、前記多層膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接する面と反対の面側に、分離層を介して、硬磁性材料からなるインスタックバイアス層が設けられることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0029】
また、本発明では、前記下部電極層の下層に下部シールド層が形成され、前記上部電極層の上層に上部シールド層が形成されてもよい。あるいは、前記下部電極層及び前記上部電極層が磁性材料によって形成され、前記下部電極層及び前記上部電極層がそれぞれ、下部シールド層及び上部シールド層の機能を有してもよい。
【0030】
本発明の磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)基板上に下部電極層を形成し、さらに前記下部電極層上に絶縁材料層を積層する工程と、
(b)前記絶縁材料層の一部分を除去して溝部G1を形成し、この溝部G1内に前記下部電極層の表面を露出させる工程と、
(c)前記溝部1内であって、前記下部電極層の表面上に、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
(d)前記多層膜上にレジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記多層膜を除去し、このとき、残された前記多層膜と、前記絶縁材料層との間に溝部Gを形成するとともに、この溝部G内にて露出した前記下部電極層の表面を削って凹面形状とする工程と、
(e)前記レジスト層を除去する工程と、
(f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部電極層を形成する工程。
【0031】
本発明では、前記下部電極層上に設けられる前記絶縁材料層に設けられた前記溝部G1内で、磁気検出素子を構成する多層膜をイオンミリングなどで削り出し形成する。前記絶縁材料層が存在するために、前記イオンミリング工程時に、前記多層膜のトラック幅方向の側端面に、前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減できる。
また、本発明では、前記(d)の工程において、前記下部電極層の前記多層膜と前記絶縁材料層に挟まれる部位を凹面形状に削り込むとき、前記下部電極層の削り量を従来よりも少なくできるので、前記多層膜のトラック幅方向の側端面への、各層の材料の再付着を低減する効果を奏することができる。
【0032】
前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となる前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0033】
また、前記(d)の工程において、前記溝部G1のトラック幅方向中央位置と、前記レジスト層のトラック幅方向中央位置が重なるように前記レジスト層を前記多層膜上に形成することが好ましい。
【0034】
また、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(g) 前記(d)の工程で、除去されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層を削る工程を有することが好ましい。前記金属層は、主に前記多層膜を構成する各層の材料の再付着物であり、この金属層を削ることにより、前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることがより容易になる。
【0035】
さらに、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(h)前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着させる工程を有することがより好ましい。
【0036】
また、本発明では、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(i)前記(d)の工程で除去されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層を削ると同時に、前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着させる工程を有することもできる。
【0037】
さらに、本発明では、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(j)前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着した金属層を酸化させる工程を有することにより、前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をより確実にとることができる。
【0038】
また、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(k)前記多層膜のトラック幅方向における側端面上に、金属材料の酸化物層を形成する工程を有すると、前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をさらに確実にとることができるのでより好ましい。
【0039】
なお、前記(j)の工程、あるいは、前記(k)の工程、又は、前記(j)及び(k)工程において、前記金属層、あるいは、前記金属材料、または前記金属層及び前記金属材料を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち1種以上の酸化方法で行うことができる。
【0040】
本発明では、前記(c)の工程において、前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものとして形成し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層してもよいし、前記多層膜を前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものとして形成し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層してもよい。
【0044】
本発明では、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(l)硬磁性材料からなり、前記多層膜の少なくとも前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対のハードバイアス層を設ける工程を有することにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0045】
または、前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
(m)反強磁性材料または強磁性材料からなり、前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対のエクスチェンジバイアス層を設ける工程を有することにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0046】
あるいは、前記(c)の工程において、前記多層膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接する面と反対の面側に、硬磁性材料からなり、分離層を介して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、インスタックバイアス層を設けることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0047】
本発明では、前記(a)の工程において、前記下部電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記(f)の工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シールド層を形成することができる。
【0048】
あるいは、前記(a)の工程において前記下部電極層を、前記(f)の工程において前記上部電極層を、それぞれ磁性材料によって形成することにより、前記下部電極層及び前記上部電極層が、それぞれ、下部シールド層及び上部シールド層の機能を有するようにしてもよい。
【0049】
【発明の実施の形態】
図1は、参考例の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0050】
図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記録された記録信号を再生するためのMRヘッドである。記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子を構成する薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の外部磁界(記録信号磁界)が印加されていないときの磁化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0051】
なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッドに用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆるABS面のことである。
【0052】
また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0053】
なお、トラック幅方向とは、外部磁界によって磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないときの磁化方向、すなわち図示X方向である。トラック幅方向のフリー磁性層の幅寸法が磁気検出素子のトラック幅Twを規定する。
【0054】
なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。この記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0055】
図1では、下から順に、第1フリー磁性層23a、非磁性中間層23b、第2フリー磁性層23cからなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層23、非磁性材料層24、第2固定磁性層25a、非磁性中間層25b、第1固定磁性層25cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27が下から順に積層された多層膜T1が形成されている。
【0056】
多層膜T1の下層には、基板(図示せず)上に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層(図示せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22が成膜されており、多層膜T1の上層には、上部電極層28、上部シールド層29が形成されている。
【0057】
下部電極層22は多層膜T1の下面と電気的に接続されており、上部電極層28は多層膜T1の上面と電気的に接続されている。
【0058】
多層膜T1の両側領域の下部電極層22上と、多層膜T1の側端面T1s,T1s上には、絶縁酸化膜31,31が積層されている。この絶縁酸化膜31,31によって、多層膜T1のトラック幅方向における側端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層28、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層32,32が電気的に絶縁されている。
【0059】
絶縁酸化膜31,31上には、バイアス下地層32,32を介して、ハードバイアス層33,33が積層されている。ハードバイアス層33,33上には絶縁層34,34が積層されている。この絶縁層34,34によって、上部電極層28と、多層膜T1の側端面T1s,T1s、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層32,32が絶縁されている。
【0060】
なお、本形態では、絶縁酸化膜31,31の厚さは、フリー磁性層23にハードバイアス層33,33から十分なバイアス磁界がかかるような厚さ、例えば5nmである。
【0061】
図1に示すように上記したフリー磁性層23から保護層27の各層で構成される多層膜T1は、トラック幅方向(図示X方向)における側端面T1s,T1sが、フリー磁性層23の下面から保護層27の上面まで連続した傾斜面となっており、例えば多層膜T1は図1に示すような略台形状で形成される。
【0062】
図1に示される磁気検出素子は、いわゆるトップ型のスピンバルブ型磁気検出素子である。
【0063】
図1に示された磁気検出素子は、いわゆるスピンバルブ型磁気検出素子であり、固定磁性層25の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層23の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固定磁性層25とフリー磁性層23の磁化が交叉している。記録媒体からの洩れ磁界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層23の磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、固定磁性層25の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界(記録信号磁界)が検出される。
【0064】
ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは第2固定磁性層25aの磁化方向と第2フリー磁性層23cの磁化方向の相対角であり、これらの相対角が検出電流が通電されている状態かつ記録信号磁界が印加されていない状態で直交していることが好ましい。
【0065】
の形態では、例えば上部電極層28から下部電極層22に向けてセンス電流が流れるため、前記センス電流は、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に流れる。前記センス電流が、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に流れる磁気検出素子をCPP型の磁気検出素子という。
【0066】
なおトラック幅は約10nm以上で100nm以下であることが好ましい。より好ましくは60nm以下であることが好ましい。トラック幅が、上記数値範囲程度に狭小化されると、さらなる再生出力の向上を図ることができる。
【0067】
下部シールド層21、下部電極層22、フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27、バイアス下地層32,32、ハードバイアス層33,33、絶縁層34,34、上部電極層28、上部シールド層29はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセスによって形成される。
【0068】
下部シールド層21及び上部シールド層29はNiFeなどの磁性材料を用いて形成される。なお、下部シールド層21及び上部シールド層29は磁化容易軸がトラック幅方向(図示X方向)を向いていることが好ましい。下部シールド層21及び上部シールド層29は、電解メッキ法によって形成されてもよい。
【0069】
反強磁性層26は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0070】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0071】
反強磁性層26の膜厚は、トラック幅方向の中心付近において80〜300Å、例えば200Åである。
【0072】
ここで、反強磁性層26を形成するための、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0073】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0074】
これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層26を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層26を得ることができる。
【0075】
第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にCoFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0076】
また、非磁性中間層25bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0077】
第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層の膜厚は3Å〜10Å程度で形成される。
【0078】
なお固定磁性層25は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれかの磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層構造で形成されていても良い。
【0079】
非磁性材料層24は、固定磁性層25とフリー磁性層23との磁気的な結合を防止する層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。
非磁性材料層24は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0080】
また非磁性材料層24は、Al23やSiO2などの絶縁材料で形成されていてもよいが、PP型の磁気検出素子の場合には、非磁性材料層24内部にも、膜面と垂直方向にセンス電流が流れるようにしなければならないので、非磁性材料層24が絶縁物であるときは、非磁性材料層24の膜厚を50Åに薄くして形成して絶縁耐圧を低下させる必要がある。また非磁性材料層24をAl23やTaO2などの鏡面反射効果を有する材質で形成したときは、非磁性材料層24をスペキュラー膜や実効的な素子面積を低減させる電流制限層として機能させることもできる。
【0081】
第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合金により形成されることが好ましい。
【0082】
非磁性中間層23bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0083】
第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層23bの膜厚は3Å〜10Å程度で形成される。
【0084】
なお、第2フリー磁性層23cが2層構造で形成され、非磁性材料層24と対向する側にCo膜が形成されていることが好ましい。これにより非磁性材料層24との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0085】
なおフリー磁性層23は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造で形成されていても良い。
【0086】
また本形態では、第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cの少なくとも一方を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0087】
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成はCo。
【0088】
これにより第1フリー磁性層23aと第2フリー磁性層23c間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。
【0089】
よって、第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cの磁化を適切に反平行状態にできる。
【0090】
なお第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cの双方を前記CoFeNi合金で形成することが好ましい。これにより、より安定して高いスピンフロップ磁界を得ることができ、第1フリー磁性層23aと第2フリー磁性層23cとを適切に反平行状態に磁化できる。
【0091】
また上記した組成範囲内であると、第1フリー磁性層23aと第2フリー磁性層23cの磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0092】
さらに、フリー磁性層23の軟磁気特性の向上、フリー磁性層23と非磁性材料層24間でのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0093】
なお、第2フリー磁性層23cと非磁性材料層24間にCoなどからなる拡散防止層を設け、第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cの少なくとも一方をCoFeNi合金で形成するとき、前記CoFeNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原子%以下、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以下、残りの組成比をCoにすることが好ましい。
【0094】
また、図1では、磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)が異なる第1固定磁性層25cと第2固定磁性層25aが、非磁性中間層25bを介して積層されたものが、一つの固定磁性層25として機能する。
【0095】
第1固定磁性層25cは反強磁性層26と接して形成され、磁場中アニールが施されることにより、第1固定磁性層25cと反強磁性層26との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層25cの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固定磁性層25cの磁化方向が図示Y方向に固定されると、非磁性中間層25bを介して対向する第2固定磁性層25aの磁化方向が、第1固定磁性層25cの磁化方向と反平行の状態で固定される。
【0096】
このように、第1固定磁性層25cと第2固定磁性層25aの磁化方向が、反平行となるフェリ磁性状態になっていると、第1固定磁性層25cと第2固定磁性層25aとが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層25の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。
【0097】
なお、第1固定磁性層25cの磁気的膜厚(Ms×t)と第2固定磁性層25aの磁気的膜厚(Ms×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の方向が固定磁性層25の磁化方向となる。
【0098】
図1では、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの磁気的膜厚(Ms×t)を異ならせている。
【0099】
また、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aの固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aの静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャンセルできる。これにより、固定磁性層25の固定磁化による反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層23の変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0100】
従って、フリー磁性層23の変動磁化の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を得ることが可能になる。
【0101】
ここで、アシンメトリーとは、再生出力波形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリーが小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0102】
前記アシンメトリーは、フリー磁性層23の磁化の方向と固定磁性層25の固定磁化の方向とが直交しているときに0となる。アシンメトリーが大きくずれるとメディアからの情報の読み取りが正確にできなくなり、エラーの原因となる。このため、前記アシンメトリーが小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上することになり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れたものとなる。
【0103】
また、固定磁性層25の固定磁化による反磁界(双極子磁界)Hdは、フリー磁性層23の素子高さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいという不均一な分布を持ち、フリー磁性層23内における単磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層25を上記の積層構造とすることにより双極子磁界Hdを小さくすることができ、これによってフリー磁性層23内に磁壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズなどが発生することを防止することができる。
【0104】
フリー磁性層23は、磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)の大きさが異なる第2フリー磁性層23cと第1フリー磁性層23aが、非磁性中間層23bを介して積層され、第2フリー磁性層23cと第1フリー磁性層23aの磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態である。このとき、磁気的膜厚(Ms×t)が大きい方、例えば、第2フリー磁性層23cの磁化方向が、ハードバイアス層から発生する磁界の方向(図示X方向)に向き、第1フリー磁性層23aの磁化方向が、180度反対方向(図示X方向と反平行方向)に向いた状態になる。
【0105】
第2フリー磁性層23cと第1フリー磁性層23aの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁性状態になると、フリー磁性層の膜厚を薄くすることと同等の効果が得られ、単位面積あたりの実効的な磁気モーメントが小さくなり、フリー磁性層23の磁化が変動しやすくなって、磁気検出素子の磁界検出感度が向上する。
【0106】
第2フリー磁性層23cの磁気的膜厚(Ms×t)と第1フリー磁性層23aの磁気的膜厚(Ms×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の方向がフリー磁性層23の磁化方向となる。
【0107】
ただし、固定磁性層25の磁化方向との関係で出力に寄与するのは第2フリー磁性層23cの磁化方向のみである。
【0108】
保護層27は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成される。保護層27の膜厚は30Å程度である。
【0109】
ハードバイアス層33,33は、Co−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などの硬磁性材料で形成される。これら合金の結晶構造は一般的にはバルクにおいて、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となる組成付近の膜組成に設定されている。
【0110】
バイアス下地層32,32は、Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種または2種以上の元素で形成されることが好ましい。例えば、CrやW50Mo50によって形成される。バイアス下地層32,32を結晶構造がbcc(体心立方格子)構造であるCrなどを用いて形成すると、ハードバイアス層33,33の保磁力及び角形比が大きくなりバイアス磁界を大きくできる。
【0111】
ここで上記の金属で形成されたバイアス下地層32,32とハードバイアス層33,33を構成するCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層32,32の境界面内に優先配向される。hcp構造はfcc構造に比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層33,33に磁界を与えたときの保磁力Hcは大きくなる。さらにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下地層32,32との境界面内で優先配向となっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁化で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、ハードバイアス層33,33の特性を向上させることができ、ハードバイアス層33,33から発生するバイアス磁界を増大させることができる。
【0112】
なお、下部電極層22及び上部電極層28はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなどを材料として用いて形成することができる。
【0113】
なお、上部電極層28としてTaを用いる場合には、上部電極層28の下層に、Crの中間層を設けることによってCrの上層に積層されるTaの結晶構造を低抵抗の体心立方構造にしやすくなる。
【0114】
また、上部電極層28としてCrを用いる場合には、上部電極層28の下層にTaの中間層を設けることにより、Crがエピタキシャルに成長して、抵抗値を低減できる。
【0115】
図1に示された磁気検出素子は、下部電極層22上に、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに対向して一対の絶縁材料層30,30が積層されている。
【0116】
絶縁材料層30,30は、酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al23)、Al−Si−Oなどの絶縁性材料によって形成される。
【0117】
この絶縁材料層30,30が下部電極層22上に設けられることにより、下部電極層22表面の露出面積が小さくなる。また、絶縁材料層30,30のミリングレートは、下部電極層22のミリングレートよりも著しく小さい。従って、多層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成する各層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を低減することができる。
【0118】
導電性を有するこれらの材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0119】
多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導電性材料の再付着量が少ないので、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0120】
従って、再付着した導電性材料を除去するための多層膜T1の側端面T1s,T1s垂直方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくてもすむようになるので、多層膜T1の側端面T1s,T1sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の低下を防ぐことができる。
【0121】
また、図1では、多層膜T1の側端面T1s,T1s全面に絶縁酸化膜31,31が形成されていることによって、固定磁性層25からフリー磁性層23間の電気的絶縁を確実にしている。
【0122】
絶縁酸化膜31,31は、例えば、多層膜T1を構成する各層の材料が再付着したものが酸化されて形成された層、下部電極層22の材料が酸化されて形成された層、絶縁材料層30と同じ材料からなる層、アルミニウム(Al)などの金属材料が酸化されて形成された層のいずれか1層または2層以上を有するものである。なお、前記金属材料が酸化されて形成された層は絶縁性を有することが必要である。
【0123】
前記金属材料が酸化されて形成された層が形成されていると、多層膜T1の側端面T1s,T1sと、下部電極層22、上部電極層28、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層32,32との電気的絶縁がより確実になるので好ましい。また、前記金属材料のかわりにシリコン(Si)などの半導体材料を酸化した層を前記金属材料が酸化されて形成された層の代わりに形成してもよい。、
ただし、実際の絶縁酸化膜31,31において、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限らない。
【0124】
なお、図1では、絶縁酸化膜31,31は、多層膜T1の側端面T1s,T1s全面、絶縁材料層30,30の上面及び側面、並びに多層膜T1と絶縁材料層30,30との間に露出した下部電極層22の表面に成膜されている。
【0125】
ただし、絶縁酸化膜31,31は、少なくとも固定磁性層25からフリー磁性層23までの各層のトラック幅方向における側端面に設けられているだけでもよい。
【0126】
下部電極層よりも著しく小さいミリングレートを有する絶縁材料層30,30が形成されると、多層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、イオンミリングのミリング速度の調節が容易になる。その結果、イオンミリングの工程において、多層膜T1と絶縁材料層30,30との間に露出した下部電極層22の表面22a,22aが削られないようにでき、下部電極層22の上面を平坦面とすることができる。
【0127】
従って、下部電極層22が削られない分だけ多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sへの、導電性材料の再付着を低減することができる。
【0128】
なお、図1の磁気検出素子は、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sから間隔を開けて一対の絶縁材料層30,30が積層されており、図1に示されるように、側端面T1s,T1sと絶縁材料層30の間に、溝部G,Gが生じる。
【0129】
図1では、ハードバイアス層33,33が溝部G,Gに入り込んだ状態で、多層膜T1の側端面T1s,T1sと対向している。従って、図1のようなフリー磁性層23が多層膜T1の最下層にあるトップスピン型磁気検出素子の場合でも、ハードバイアス層33,33とフリー磁性層23とを確実に対向させることができ、フリー磁性層23に十分な縦バイアス磁界を与えることができる。
【0130】
なお、ハードバイアス層33,33は、フリー磁性層23を構成する第2フリー磁性層23cと第1フリー磁性層23aのうち、一方の磁化方向を揃えるだけでよい。例えば、第2フリー磁性層23cの磁化方向が一定方向に揃えられると、第1フリー磁性層23aは磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態となり、フリー磁性層23全体の磁化方向が一定方向に揃えられる。
【0131】
なお、多層膜T1の側端面T1s,T1sと、絶縁材料層30,30の多層膜T1と対向する側の側面30a,30aとの間隔W1RとW1Lが、多層膜T1の図示X方向の両側で等しいと、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさが、図示X方向の右側端部と左側端部で等しくなるので好ましい。
【0132】
また、前記金属材料が酸化されて形成された層の厚さを適宜調節して、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層33,33の側面33a,33aとの距離を調節することにより、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさを調節することができる。
【0133】
特に、間隔W1RとW1Lが、多層膜T1の図示X方向の両側で多少異なった場合でも、前記金属材料が酸化されて形成された層の厚さを、多層膜T1の図示右側の側端面T1s上と図示左側の側端面T1s上とで異ならせることによって、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさを図示X方向の右側端部と左側端部で等しくなるようにできる。
【0134】
なお、絶縁酸化膜31を、多層膜T1内を流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面反射膜)とすることが好ましい。
【0135】
ここで前記スペキュラー膜(鏡面反射膜)を用いることによる鏡面反射効果について図6を参照しながら説明する。図6は磁気検出素子の構造の一部を模式図的に示したものである。
【0136】
アップスピン電子(図では上向き矢印で示している)は、固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化が平行となる状態では、固定磁性層、非磁性材料層を通りぬけて、前記フリー磁性層の内部を移動できる。
【0137】
ここでトラック幅Twの狭小化が進み特に素子面積が60nm角以下になると、前記アップスピン電子の一部は、前記フリー磁性層の内部を通過する前に、多層膜の側端面に衝突しやすくなるが、前記多層膜の側端面にスペキュラー膜を設けると、前記多層膜の側端面に到達した前記アップスピン電子は、そこでスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射する。そして鏡面反射したアップスピン電子の伝導電子は、移動向きを変えて前記フリー磁性層内を通り抜けることが可能になる。
【0138】
このため、素子面積の狭小化においても前記アップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よって前記アップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、ダウンスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ-との差を大きくすることができ、従って再生出力の向上とともに、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることが可能になる。
【0139】
なお、スペキュラー膜の形成により伝導電子が鏡面反射する理由は、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層の側壁とスペキュラー膜との界面付近にポテンシャル障壁が形成されるためであると考えられる。
【0140】
特に、磁気検出素子のトラック幅寸法が小さくなると、前記アップスピン電子を持つ伝導電子が多層膜の側端面に到達する回数が増え、スペキュラー膜の持つ鏡面反射効果を有効に機能させることができ、抵抗変化率の向上を図ることができる。
【0141】
前述のように、絶縁酸化膜31は、例えば、多層膜T1を構成する各層の材料が再付着したものが酸化されて形成された層、下部電極層22の材料が酸化されて形成された層、絶縁材料層30,30と同じ材料からなる層、金属材料が酸化されて形成された層のいずれか1層または2層以上を有するものである。これらの層を適切な酸化膜とすることで、絶縁酸化膜31をスペキュラー膜として機能させることができる。
【0142】
特に、前記金属材料が酸化されて形成された層を以下の材料からなる層として形成すると、絶縁酸化膜31を確実にスペキュラー膜として機能させることができる。
【0143】
Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれか1種あるいは2種以上の酸化物。
【0144】
なお例えばFe−Oの中でもα−Fe23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でもAlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0145】
これら酸化物の形成は、構成元素のターゲットを用いてスパッタ成膜するか、酸素以外の構成元素のターゲットを用意し、多層膜の側端面に酸素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、自然酸化、プラズマ酸化、あるいはラジカル酸化などによって、前記酸素以外の構成元素からなる膜を酸化させることによる。なお前記酸素以外の構成元素の膜すべてを酸化させないと適切に鏡面反射効果を有するスペキュラー膜を形成することはできない。
【0146】
また上記の酸化方法によって形成されたスペキュラー膜は、化学量論的な組成を有していた方が良いが有していなくても鏡面反射効果を発揮させることができる。
【0147】
上記のように化学量論的な組成を有さなくても十分な絶縁性を有するスペキュラー膜では、フリー磁性層23との界面付近に適切にポテンシャル障壁が形成され、鏡面反射効果を発揮することが可能になる。
【0148】
例えばスペキュラー膜をAl−Oで形成するとき、Al23で形成されたターゲットでスペキュラー膜をスパッタ成膜すると、化学量論的な組成を有するスペキュラー膜を形成することができないが、極端に酸素が少なくなければ前記スペキュラー膜とフリー磁性層23との界面付近に適切なポテンシャル障壁を形成でき、鏡面反射効果を有効に発揮させることができるのである。
【0149】
あるいは前記金属材料が酸化されて形成された層を、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物で形成してもよい。
【0150】
なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0151】
これら窒化物の形成は、構成元素のターゲットを用いてスパッタ成膜するか、例えば窒素以外の構成元素のターゲットを用意し、多層膜の側端面に窒素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、前記窒素以外の構成元素からなる膜を窒化させることによる。
【0152】
または、前記金属材料が酸化されて形成された層の代わりに、半金属ホイッスラー合金からなる層を形成してもよい。前記半金属ホイッスラー金属には、NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。
【0153】
なお、下部電極層22及び上部電極層28が磁性材料によって形成され、下部電極層22及び上部電極層28がそれぞれ、下部シールド層21及び上部シールド層29の機能を有してもよい。
【0154】
なお、図1では、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sと絶縁材料層30,30の間に間隔があるが、側端面T1s,T1sと絶縁材料層30,30が接触してもよい。
【0155】
図2は、本発明における実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0156】
図2に示される磁気検出素子は、多層膜T1と絶縁材料層30,30との間に露出した下部電極層22の表面22a,22aが削られて凹部となっている点で、図1に示された磁気検出素子と異なっている。
【0157】
図2に示されるように、下部電極層22の多層膜T1と絶縁材料層30,30に挟まれる部位が凹面形状に削り込まれる場合でも、絶縁材料層30,30が下部電極層22上に設けられることにより、下部電極層22表面の露出面積が小さくなること、絶縁材料層30,30のミリングレートは、下部電極層のミリングレートよりも著しく小さいことは図1と同じである。
【0158】
従って、多層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成する各層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を低減することができる。
【0159】
導電性を有するこれらの材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0160】
多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0161】
従って、再付着した導電性材料を除去するための多層膜T1の側端面T1s,T1s垂直方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくてもすむようになるので、多層膜T1の側端面T1s,T1sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の低下を防ぐことができる。
【0162】
図3は、参考例の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0163】
図3では、多層膜T2が下から順に、下地層40、シード層41、反強磁性層26、第1固定磁性層25c、非磁性中間層25b、第2固定磁性層25aからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層25、非磁性材料層24、第2フリー磁性層23c、非磁性中間層23b、第1フリー磁性層23aからなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層23、保護層27が積層されて形成されている点で図1に示される磁気検出素子と異なっている。
【0164】
図3の磁気検出素子は、いわゆるボトムスピンバルブ型の磁気検出素子である。
【0165】
下地層40は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。下地層40は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこの下地層40は形成されていなくても良い。
【0166】
シード層41は、NiFe、NiFeCrやCrなどを用いて形成する。
なお、図3に示される磁気検出素子は各層の膜面と垂直方向にセンス電流が流れるCPP型であるため、シード層41にも適切にセンス電流が流れる必要性がある。よってシード層41は比抵抗の高い材質でないことが好ましい。従って、CPP型ではシード層41はNiFe合金、Crなどの比抵抗の低い材質で形成されることが好ましい。なおシード層41は形成されなくても良い。
【0167】
図3の磁気検出素子でも、この絶縁材料層30,30が下部電極層22上に設けられることにより、下部電極層22表面の露出面積が小さくなること、絶縁材料層30,30のミリングレートが、下部電極層のミリングレートよりも著しく小さいことは図1と同じである。
【0168】
従って、多層膜T2をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T2のトラック幅方向の側端面T2s,T2sに、多層膜T2を構成する各層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を低減することができる。
【0169】
導電性を有するこれらの材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0170】
多層膜T2の側端面T2s,T2s上の導電性材料の再付着量が少ないので、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0171】
従って、再付着した導電性材料を除去するための多層膜T2の側端面T2s,T2s垂直方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくてもすむようになるので、多層膜T2の側端面T2s,T2sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の低下を防ぐことができる。
【0172】
導電性材料の再付着は、多層膜T2の上部に向かうにつれて多くなる。図3に示されるボトムスピンバルブ型の磁気検出素子は、フリー磁性層23と固定磁性層25が、多層膜T2の上部に位置し、導電性材料の再付着によって電気的短絡が生じやすいので、本形態の有効性が高い。
【0173】
図4は、参考例の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0174】
図4の磁気検出素子は、多層膜T2の両側領域の絶縁酸化膜31上がアルミナや酸化ケイ素からなる絶縁層42によって埋められており、絶縁層42と多層膜T2の上面のフリー磁性層23に重なる位置に縦バイアス層としてエクスチェンジバイアス層43,43が形成されている点で図3の磁気検出素子と異なっている。なお、上部電極層28は、エクスチェンジバイアス層43,43間に形成されている。
【0175】
エクスチェンジバイアス層43,43は、反強磁性層26と同じく、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することができる。
【0176】
第1フリー磁性層23aは、エクスチェンジバイアス層43,43との交換異方性磁界によって、磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)に揃えられ、第2フリー磁性層23cは、第1フリー磁性層23aとのRKKY相互作用によって、図示X方向と反平行方向の磁化方向となる。
【0177】
エクスチェンジバイアス層43,43によって、フリー磁性層23を単磁区化すると、エクスチェンジバイアス層43,43間距離で規定される光学的トラック幅と、フリー磁性層23の磁化が変動する領域のトラック幅方向寸法で規定される磁気的トラック幅が一致する。
【0178】
すなわち、ハードバイアス層によってバイアス磁界を与える構成と異なり、光学的トラック幅の領域内にいわゆる不感領域が形成されないという利点を有する。
【0179】
図4の磁気検出素子でも、多層膜T2をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T2のトラック幅方向の側端面T2s,T2sに、多層膜T2を構成する各層の材料の再付着を低減することができる。従って、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0180】
多層膜T2の側端面T2s,T2s上の導電性材料の再付着量が少ないので、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0181】
従って、再付着した導電性材料を除去するための多層膜T2の側端面T2s,T2s垂直方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくてもすむようになるので、多層膜T2の側端面T2s,T2sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の低下を防ぐことができる。
【0182】
なお、エクスチェンジバイアス層43,43とフリー磁性層26の間に、強磁性材料からなる強磁性層や非磁性材料からなる層を形成してもよい。または、エクスチェンジバイアス層43,43を強磁性材料によって形成してもよい。
【0183】
図5は、参考例の形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0184】
図5の磁気検出素子は、フリー磁性層23の上に非磁性材料からなる分離層44が積層され、分離層44上に、縦バイアス層として、硬磁性材料からなるインスタックバイアス層45が積層されている多層膜T3を有し、多層膜T3の側端面T3s,T3sに対向するハードバイアス層が形成されていない点で図3に示された磁気検出素子と異なっている。
【0185】
分離層44より下層の、下地層40、シード層41、反強磁性層26、第1固定磁性層25c、非磁性中間層25b、第2固定磁性層25aからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層25、非磁性材料層24、第2フリー磁性層23c、非磁性中間層23b、第1フリー磁性層23aからなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層23の構成は、図3に示された磁気検出素子と同じである。
【0186】
図5に示される磁気検出素子では、インスタックバイアス層45の端部とフリー磁性層23の端部間に静磁的な結合が発生し、フリー磁性層23の磁化方向が一方向にそろえられる。図5では、フリー磁性層23のうちインスタックバイアス層45に近い側の第1フリー磁性層23aとインスタックバイアス層45間に静磁的な結合が発生し、第1フリー磁性層23aの磁化が図示X方向に単磁区化され、第2フリー磁性層23cの磁化が図示X方向と180°異なる方向を向く。
【0187】
第2フリー磁性層23cの磁気的膜厚(Ms×t)と第1フリー磁性層23aの磁気的膜厚(Ms×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の方向がフリー磁性層23の磁化方向となる。
【0188】
図1から図3に示された磁気検出素子では、多層膜のトラック幅方向の側端面にハードバイアス層を対向させることでフリー磁性層23内に反磁界が生じるバックリング現象や、フリー磁性層23の磁化が側端面付近で強固に固定され磁化反転が悪化する不感領域の発生が問題になることがある。
【0189】
しかし、図5のようにフリー磁性層23の非磁性材料層24が形成された面と反対側の面に分離層44を介してインスタックバイアス層45を設けることで、バックリング現象や不感領域の発生問題を解消できる。
【0190】
従って、フリー磁性層23の単磁区化を適切に促進でき、またフリー磁性層の外部磁界に対する磁化反転を良好にでき、再生感度が良く再生波形の安定性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0191】
また図5に示す磁気検出素子では、フリー磁性層23のトラック幅方向における両側端面と連続面として分離層44及びインスタックバイアス層45の両側端面が形成される。これによってインスタックバイアス層45とフリー磁性層23間の静磁的な結合を良好にでき、フリー磁性層23の単磁区化を促進させることが可能である。
【0192】
なおインスタックバイアス層45の膜厚は50〜300Åであることが好ましい。
【0193】
図5の磁気検出素子でも、多層膜T3をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T3のトラック幅方向の側端面T3s,T3sに、多層膜T3を構成する各層の材料の再付着を低減することができる。従って、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0194】
多層膜T3の側端面T3s,T3s上の導電性材料の再付着量が少ないので、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0195】
従って、再付着した導電性材料を除去するための多層膜T3の側端面T3s,T3sに対する垂直方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくてもすむようになるので、多層膜T3の側端面T3s,T3sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の低下を防ぐことができる。
【0196】
図1に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。
まず、図7に示されるように、図示しない基板上に、アルミナなどの下地層(図示せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22、及び絶縁材料層30を成膜する。各層の材料は、図1に示された磁気検出素子と同じなので説明を省略する。
【0197】
各層の形成は例えばスパッタ成膜である。スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。なお、以下に示す工程においてスパッタ成膜を行うときにも、これらのスパッタ法を使うことができる。
【0198】
なお、下部電極層22が成膜されず、下部シールド層21上に絶縁材料層30を直接成膜してもよい。この場合、下部シールド層21が下部電極層としても働く。
【0199】
次に、絶縁材料層30上に、レジスト層R1,R1を形成する。レジスト層R1,R1のトラック幅方向(図示X方向)における間隔をW2とする。W2は、図1に示される多層膜T1の底面の幅寸法W3と同じか、幅寸法W3よりも大きくする。
【0200】
次に、レジスト層R1,R1に覆われていない絶縁材料層30の領域を、イオンミリングなどで削って除去して溝部G1を形成し、この溝部G1内に下部電極層22の表面を露出させる。このとき、絶縁材料層30,30の側面30a,30aの下部電極層22aに対する傾斜角度は、80°〜90°である。
【0201】
なお、前記イオンミリングによって、絶縁材料層30のみを削り、下部電極層22を削らないことが好ましいが、下部電極層22が多少削られてもかまわない。
【0202】
次に、図9に示すように、絶縁材料層30,30の側面30a,30aに挟まれた溝部G1内の下部電極層22の表面上、及び絶縁材料層30,30上に、第1フリー磁性層23a、非磁性中間層23b、第2フリー磁性層23cからなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層23、非磁性材料層24、第2固定磁性層25a、非磁性中間層25b、第1固定磁性層25cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27を下から順に積層する。第1フリー磁性層23aから保護層27までが多層膜T1である。
【0203】
各層の材料は、図1に示された磁気検出素子と同じなので説明を省略する。
さらに、絶縁材料層30,30の側面30a,30aに挟まれた領域(溝部G1)に重なる保護層27の上にリフトオフ用のレジスト層R2を形成する。
【0204】
レジスト層R2のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法W4は、フリー磁性層23の上面の幅寸法で決定されるトラック幅と同程度で形成する。
【0205】
なお、レジスト層R2のトラック幅方向の中央位置C3と、絶縁材料層30,30の側面30a,30aに挟まれた領域(溝部G1)のトラック幅方向の中央位置C2が、図9に示されるように重なっていることが好ましい。
【0206】
図8及び図9では、下部電極層22の絶縁材料層30,30の側面30a,30aに挟まれた領域(露出面)22a1のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法をW5としている。
【0207】
中央位置C2と中央位置C3が重なっていると、図1に示されるように、多層膜T1の側端面T1s,T1sと、絶縁材料層30,30の多層膜T1と対向する側の側面30a,30aとの間隔W1RとW1Lが等しい磁気検出素子を形成することができる。すると、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさが、図示X方向の右側端部と左側端部で等しくなるので好ましい。
【0208】
中央位置C2と中央位置C3を重ねるためには、図7に示されるレジスト層R1,R1で挟まれる領域の中央位置C1と中央位置C3が重なりあうようにすればよい。
【0209】
レジスト層R2の形成後、多層膜T1の表面に対する法線方向(前記基板の表面に対する法線方向)から角度θ1だけ傾いた入射角度のイオンミリングによって、レジスト層R2に覆われていない、保護層27からフリー磁性層23までの各層で構成される多層膜T1の両側領域を除去する(点線部分)。
【0210】
角度θ1は、例えば5°〜20°である。
多層膜T1を構成する各層の材料は金属材料であり、絶縁材料層30,30の材料は、アルミナや酸化ケイ素などの絶縁材料であるので、多層膜T1のミリングレートより絶縁材料層30,30のミリングレートの方が遅い。
【0211】
従って、レジスト層R2に覆われていない多層膜T1の両側領域は完全に除去され、下部電極層22上に、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに対向して一対の絶縁材料層30,30が積層された状態になる。
【0212】
第1フリー磁性層23aが完全に削られたところで前記イオンミリングを終了するという微妙な調節ができるのは、下部電極層22上に、ミリングレートの遅い絶縁材料層30,30が積層されているためである。
【0213】
図9及び図10に示されるミリング工程で、レジスト層R2に覆われることにより除去されずに残された多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに金属層F,Fが付着する。この金属層F,Fは多層膜T1の材料が前記ミリング工程時に再付着したものである。なお、下部電極層22が削られなければ、金属層F,Fには下部電極層22の材料が含まれることはない。
【0214】
金属層F,Fの厚さは多層膜T1の上層に行く程厚くなる。本形態では、多層膜T1の最上部での金属層F,Fの厚さは2nm〜10nmである。
【0215】
部電極層22上を覆う絶縁材料層30,30が積層されているために、前記ミリング工程時に下部電極層22が削られて、多層膜T1の側端面T1s,T1sに再付着する程度を低減できる。図10に示されるように、下部電極層22の材料の側端面T1s,T1sへの再付着を全くなくすことが可能である。
【0216】
従って多層膜T1の側端面T1s,T1sに付着する金属層F,Fの厚さを低減できる。
【0217】
次に、図11に示すように、多層膜T1の表面に対する法線方向(前記基板の表面に対する法線方向)から角度θ2だけ傾いた入射角度のイオンミリングを行う。
【0218】
角度θ2は前述の角度θ1より大きく、例えば30°〜70°である。
角度θ2のイオンミリングを行うと、図11に示されるように、多層膜T1の側端面T1s,T1sをサイドミリングして、再付着物である金属層F,Fを削って薄くする工程と絶縁材料層30,30を逆スパッタして、絶縁材料を多層膜T1の側端面T1s,T1sに付着させる工程が同時に行われる。
【0219】
なお、金属層F,Fが完全に除去されるまでイオンミリングを行うと、多層膜T1の側端面T1s,T1sにミリング粒子が打ち込まれて磁気検出素子の磁界検出特性が低下する。従って、図11に示される工程では、金属層F,Fをわずかに残すように削り、多層膜T1の側端面T1s,T1sが損傷しないようにすることが好ましい。
【0220】
次に、多層膜T1の側端面T1s,T1sに残った金属層F,Fを酸化させる。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。またこれ以外の酸化方法であっても良い。
【0221】
金属層F,Fを酸化させることにより、多層膜T1を構成する各層の電気的絶縁、特にフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることができる。
【0222】
属層F,Fの厚さが薄いため、金属層F,Fの完全な酸化を短い時間で確実に行うことができる。
【0223】
なお再付着物である金属層F,Fの厚さがもともと薄いので、金属層F,Fを削って薄くする工程を省略して、多層膜T1を削り出し形成した後、すぐに金属層F,Fを酸化させる工程に移行しても、金属層F,Fを確実に酸化させることが可能である。
【0224】
金属層F,Fを酸化させた後、図12に示すように、側端面T1s,T1s上の酸化された金属層F,F及び絶縁材料層30,30が逆スパッタされて形成された層A,A上、溝部G,G上、及び絶縁材料層30,30の側面及び上面に、金属材料をスパッタ粒子の入射方向が等方的であるスパッタ成膜法によって成膜する。さらにこの金属材料を酸化させて酸化物層O,Oを形成する。
【0225】
まず、金属材料を成膜してからこの金属材料を酸化する方法をとると、酸化金属からなるターゲットを用いて直接金属酸化膜を成膜する方法に比べて、形成される酸化物層O,Oにピンホールが発生する確率を低減することができる。
【0226】
図12では、多層膜T1を構成する各層の材料が再付着したものが酸化されて形成された層である酸化された金属層F,F、絶縁材料層30,30が逆スパッタされて形成された層A,A、金属材料が酸化されて形成された酸化物層O,Oが絶縁酸化膜31を構成している。
【0227】
ただし、実際の絶縁酸化膜31,31において、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限らない。
【0228】
絶縁酸化膜31によって、多層膜T1の側端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層28、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層32,32との電気的絶縁をとる。
【0229】
特に、酸化物層O,Oを形成することにより、絶縁酸化膜31の絶縁耐圧が向上する。
【0230】
また、多層膜T1の両側にハードバイアス層33,33を形成する場合、酸化物層O,Oの厚さを適宜調節して、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層33,33の側面33a,33aとの距離を調節することにより、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさを調節することができる。
【0231】
特に、前記間隔W1RとW1Lが、多層膜T1の図示X方向の両側で多少異なった場合でも、酸化物層O,Oの厚さを、多層膜T1の図示右側の側端面T1s上と図示左側の側端面T1s上とで異ならせることによって、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大きさを、図示X方向の右側端部と左側端部で等しくなるようにできる。
【0232】
なお、絶縁酸化膜31を、多層膜T1内を流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面反射膜)とすることが好ましい。
【0233】
前述のように、絶縁酸化膜31は、酸化された金属層F,F、絶縁材料層30,30が逆スパッタされて形成された層A,A、金属材料が酸化されて形成された酸化物層O,Oからなるものである。これらの層を適切な酸化膜とすることで、絶縁酸化膜31をスペキュラー膜として機能させることができる。
【0234】
特に、酸化物層O,Oを以下の材料からなる層として形成すると、絶縁酸化膜31を確実にスペキュラー膜として機能させることができる。
【0235】
Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれか1種或いは2種以上の酸化物。
【0236】
なお例えばFe−Oの中でもα−Fe23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でもAlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0237】
上記した酸化物層(スペキュラー膜)O,Oを形成する際、酸化物ターゲットを用いて直接酸化膜を堆積させてもよいが、まず上記各化合物の酸素を除いた元素からなるターゲットを用意し、このターゲットを用いて多層膜の側端面にかけて、各化合物の酸素を除いた元素からなる膜を成膜する。具体的に言えば、例えば酸化物層O,OをTaOで形成する場合、まずTa膜を多層膜の側端面にかけて成膜する。次に、前記Ta膜を酸化する。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。またこれ以外の酸化方法であっても良い。
【0238】
なお上記した酸化工程で酸素を除いた元素から成る膜をすべて酸化し、これによって形成された酸化物層(スペキュラー膜)は化学量論的な組成に近く、隣接する多層膜との間に、十分なポテンシャル障壁を形成することが可能となる。この結果、十分な鏡面反射効果を得ることが可能になる。
【0239】
また上記した酸化物以外に酸化物層(スペキュラー膜)O,Oを、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物で形成してもよい。
【0240】
なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0241】
かかる場合、上記の窒化物の窒素を除いた元素から成る膜を、スパッタ成膜した後、前記膜を窒化させることで窒化物から成るスペキュラー膜を形成することができる。
【0242】
あるいは、スペキュラー膜を半金属ホイッスラー合金で形成してもよい。前記は金属ホイッスラー合金には、NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。これら半金属ホイッスラー合金を、スパッタ成膜することが好ましい。
【0243】
なお上記した酸化物層(スペキュラー膜)O,Oの成膜の際におけるスパッタ条件は、例えば磁気検出素子を形成する基板の温度を20℃〜100℃とし、前記基板とターゲット間の距離を100〜300mmとし、Arガス圧を10-5〜10-3Torr(1.3×10-3〜0.13Pa)とする。
【0244】
次に絶縁酸化膜31上にバイアス下地層32及びハードバイアス層33,33をスパッタ成膜する。ハードバイアス層33,33は少なくともフリー磁性層23のトラック幅方向における側端面に対向するように形成される。
【0245】
バイアス下地層32は、結晶構造が体心立方構造(bcc構造)の金属膜で形成されることが好ましい。なおこのときバイアス下地層32の結晶配向は(100)面が優先配向するのが好ましい。
【0246】
バイアス下地層32、ハードバイアス層33,33のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向から5°〜60°である。
【0247】
ハードバイアス層33,33からフリー磁性層23に縦バイアス磁界が供給されて、フリー磁性層23の磁化は適切にトラック幅方向(図示X方向)に単磁区化される。
【0248】
次にハードバイアス層上に絶縁層34をスパッタ成膜する。絶縁層34の膜厚は50〜200Å程度であることが好ましい。これにより上部電極層28から流れるセンス電流がハードバイアス層33,33に分流するのを抑制することが可能である。
【0249】
また絶縁層34のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向から0°〜45°である。
【0250】
バイアス下地層32、ハードバイアス層33,33、及び絶縁層34の材料は、図1に示された磁気検出素子と同じ磁気検出素子なので説明を省略する。
【0251】
なお、バイアス下地層32、ハードバイアス層33,33、及び絶縁層34の材料の層が、レジスト層R2の上面や側端面に付着する。
【0252】
そしてレジスト層R2を除去する。図13に示すように、レジスト層R2の上面や側面には、絶縁材料(絶縁層34の材料)などの層が付着しているからレジスト層R2を溶剤に浸して除去することは難しい。
【0253】
このため、スクラブ洗浄によって、レジスト層R2の上面などに付着した絶縁材料たどの層を一部除去してレジスト層R2の一部の表面を露出させた後、レジスト層R2を溶剤に浸しレジスト層R2を溶かして除去する。
【0254】
なおスクラブ洗浄には、例えばドライアイスの粒子を、レジスト層R2の表面に付着した絶縁材料などの層に衝突させて、絶縁材料などの層の一部を除去する方法などがある。
【0255】
レジスト層R2の除去後、多層膜T1の上面と電気的に接続される上部電極層28及び上部磁極層29を積層すると図1に示される磁気検出素子を形成できる。
【0256】
図10では、第1フリー磁性層23aが完全に削られたところで前記イオンミリングを終了し、下部電極層22を削らないようにしている。従って、下部電極層22の上面は平坦面となっている。
【0257】
ただし、図14に示されるように、下部電極層22の上面が多少削り取られてもよい。下部電極層22の上面が多少削り取られると、図2に示された磁気検出素子が形成される。
【0258】
下部電極層22の多層膜T1と絶縁材料層30,30に挟まれる部位が凹面形状に削り込まれる場合でも、この絶縁材料層30,30が下部電極層22上に設けられることにより、下部電極層22表面の露出面積が小さくなること、絶縁材料層30,30のミリングレートは、下部電極層のミリングレートよりも著しく小さいことは図1と同じである。
【0259】
従って、多層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成する各層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を低減することができる。
【0260】
導電性を有するこれらの材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0261】
多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも可能になる。
【0262】
図15は、図2に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜31の拡大部分断面図である。
【0263】
図2に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜31は、酸化された金属層F、下部電極層22の材料が酸化されて形成された層M、絶縁材料層30,30が逆スパッタされて形成された層A、金属材料が酸化されて形成された酸化物層Oから構成されている。
【0264】
ただし、実際の絶縁酸化膜31,31において、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限らない
なお、図3に示されるトップスピン型の磁気検出素子を形成するときには、図9における多層膜の積層工程において、下から順に、下地層40、シード層41、反強磁性層26、固定磁性層25、非磁性材料層24、フリー磁性層23、保護層27を積層すればよい。
【0265】
また、図4に示される磁気検出素子を形成するときには、図12に示される工程の後、多層膜T1の両側領域を全て絶縁層42で埋める。そして、フリー磁性層23に重なる位置に、反強磁性材料からなるエクスチェンジバイアス層43,43を形成すればよい。
【0266】
なお、図4に示される磁気検出素子では、反強磁性層26と第1固定磁性層25c間に発生する交換異方性磁界の向きと、第1フリー磁性層23aとエクスチェンジバイアス層43,43間に発生する交換異方性磁界の向きを交叉させる必要がある。
【0267】
交換異方性磁界の向きを交叉させる方法として、エクスチェンジバイアス層43,43の積層後、トラック幅方向と直交する方向の第1の磁界を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、反強磁性層26およびエクスチェンジバイアス層43,43に交換結合磁界を発生させて、固定磁性層25およびフリー磁性層23の磁化を前記直交する方向に固定すると共に、反強磁性層26の交換結合磁界をエクスチェンジバイアス層43,43の交換結合磁界よりも大とし、次に、トラック幅方向に前記工程でのエクスチェンジバイアス層43,43の交換結合磁界よりも大きく、且つ反強磁性層26の交換結合磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、前記第1の熱処理温度よりも高い第2の熱処理温度で熱処理し、フリー磁性層23に固定磁性層25の磁化方向と交叉する方向の縦バイアス磁界を付与するという方法がある。
【0268】
なお、エクスチェンジバイアス層43,43とフリー磁性層26の間に、強磁性材料からなる強磁性層や非磁性材料からなる層を形成してもよい。または、エクスチェンジバイアス層43,43を強磁性材料によって形成してもよい。
【0269】
また、図5に示される磁気検出素子を形成するときには、図9に示される多層膜の積層工程において、フリー磁性層23の非磁性材料層24が形成された面と反対側の面に、非磁性材料からなる分離層44を介して、強磁性材料からなるインスタックバイアス層45を積層すればよい。
【0270】
図16及び図17は、本発明の磁気検出素子を備えた磁気ヘッドを示した図である。なお図16はスライダを記録媒体との対向面側から見た斜視図、図17は図16に示すD−D線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0271】
図16及び図17に示すように、前記磁気検出素子を具備してなるGMRヘッドh1は、インダクティブヘッドh2と共にスライダのトレーリング側端部50aに設けられて磁気ヘッドを構成し、ハードディスク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出及び記録することが可能になっている。
【0272】
図16に示すように、スライダ50の記録媒体との対向面(ABS面)52には、レール52a、52a,52aが形成され、各レール同士間は、エアーグルーブ52b、52bを構成している。
【0273】
図17に示すように、GMRヘッドh1は、スライダ50の端面50a上に形成された磁性合金からなる下部シールド層53と、下部シールド層53に積層された下部電極層54と、記録媒体との対向面52から露出する本発明の磁気検出素子55と、上部電極層56と、上部シールド層57とから構成されている。
【0274】
上部シールド層57は、インダクティブヘッドh2の下部コア層と兼用とされている。
【0275】
インダクティブヘッドh2は、下部コア層(上部シールド層)57と、下部コア層57に積層されたギャップ層58と、コイル59と、記録媒体との対向面でギャップ層58上に接合され、かつ基端部60aにて下部コア層57に接合される上部コア層60とから構成されている。
【0276】
また、上部コア層60上には、アルミナなどからなる保護層61が積層されている。
【0277】
なお、図16及び図17において、図示X方向がトラック幅方向、図示Y方向が記録媒体からの洩れ磁界方向(ハイト方向)、図示Z方向が記録媒体の移動方向である。
【0278】
また本発明では、多層膜をトンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる磁気検出素子とすることもできる。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性材料層24がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成される。
【0279】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0280】
以上本発明をその好ましい実施例に関して述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。
【0281】
なお、上述した実施例はあくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0282】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明では、前記多層膜の側端面に対向して一対の絶縁材料層が積層されている。この絶縁材料層が前記下部電極層上に設けられることにより、前記多層膜をイオンミリングなどで削り出し形成するときに、前記多層膜のトラック幅方向の側端面に、前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することができる。
【0283】
導電性を有する前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要となる前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0284】
また、本発明では、前記多層膜の少なくとも前記固定磁性層から前記フリー磁性層までの各層のトラック幅方向における側端面に、絶縁酸化膜を設けることにより、前記固定磁性層から前記フリー磁性層間の電気的絶縁を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の形態の磁気検出素子の断面図、
【図2】本発明実施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図3】参考例の形態の磁気検出素子の断面図、
【図4】参考例の形態の磁気検出素子の断面図、
【図5】参考例の形態の磁気検出素子の断面図、
【図6】スペキュラー膜による鏡面反射効果を説明するための様式説明図、
【図7】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図8】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図9】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図10】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図11】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図12】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図13】気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図14】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図15】図2に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜の部分拡大図、
【図16】本発明の磁気検出素子が取りつけられた磁気ヘッドの斜視図、
【図17】図16に示された磁気ヘッドの断面図、
【図18】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図19】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図20】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【符号の説明】
21 下部シールド層
22 下部電極層
23 フリー磁性層
23a 第1フリー磁性層
23b 非磁性中間層
23c 第2フリー磁性層
24 非磁性中間層
25 固定磁性層
25a 第2固定磁性層
25b 非磁性中間層
25c 第1固定磁性層
26 反強磁性層
27 保護層
28 上部電極層
29 上部シールド層
30 絶縁材料層
30a 側面
31 絶縁酸化膜
32 バイアス下地層
33 ハードバイアス層
34、42 絶縁層
40 下地層
41 シード層
43 エクスチェンジバイアス層
44 分離層
45 インスタックバイアス層
R1、R2 レジスト層
F 金属層
O 酸化物層
A 絶縁材料層30が逆スパッタされて形成された層
G、G1 溝部
T1、T2、T3 多層膜
T1s、T2s、T3s 側端面
C1、C2、C3 中央位置

Claims (29)

  1. 固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、並びに前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子において、
    前記下部電極層上に、前記多層膜のトラック幅方向の側端面に対向して絶縁材料層が積層されており、
    前記多層膜の側端面と、前記絶縁材料層との間には溝部Gが形成され、前記溝部G内にて露出した前記下部電極層の表面が凹面形状で形成されていることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記多層膜の、少なくとも前記固定磁性層から前記フリー磁性層までの各層のトラック幅方向における側端面には、絶縁酸化膜が設けられている請求項1に記載の磁気検出素子。
  3. 前記絶縁酸化膜は、前記多層膜を構成する各層の材料が酸化されて形成された層を有する請求項2に記載の磁気検出素子。
  4. 前記絶縁酸化膜は、前記絶縁材料層と同じ材料からなる層を有する請求項2または3に記載の磁気検出素子。
  5. 前記絶縁酸化膜は、金属材料が酸化されて形成された層を有する請求項2ないし4のいずれかに記載の磁気検出素子。
  6. 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層されている請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
  7. 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層されている請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて反強磁性材料または強磁性材料からなる一対のエクスチェンジバイアス層が設けられている請求項記載の磁気検出素子。
  9. 前記多層膜の少なくとも前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向して、硬磁性材料からなる一対のハードバイアス層が設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 前記ハードバイアス層は、前記溝部G内にまで入り込んで形成される請求項記載の磁気検出素子。
  11. 前記多層膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接する面と反対の面側に、分離層を介して硬磁性材料からなるインスタックバイアス層が設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  12. 前記下部電極層の下層に下部シールド層が形成され、前記上部電極層の上層に上部シールド層が形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子。
  13. 前記下部電極層及び前記上部電極層が磁性材料によって形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子。
  14. 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
    (a)基板上に下部電極層を形成し、さらに前記下部電極層上に絶縁材料層を積層する工程と、
    (b)前記絶縁材料層の一部分を除去して溝部G1を形成し、この溝部G1内に前記下部電極層の表面を露出させる工程と、
    (c)前記溝部G1内であって、前記下部電極層の表面上に、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層を有する多層膜を形成する工程と、
    (d)前記多層膜上にレジスト層を形成し、前記レジスト層に覆われていない前記多層膜を除去し、このとき、残された前記多層膜と、前記絶縁材料層との間に溝部Gを形成するとともに、この溝部G内にて露出した前記下部電極層の表面を削って凹面形状とする工程と、
    (e)前記レジスト層を除去する工程と、
    (f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部電極層を形成する工程。
  15. 前記(d)の工程において、前記溝部G1のトラック幅方向中央位置と、前記レジスト層のトラック幅方向中央位置が重なるように前記レジスト層を前記多層膜上に形成する請求項14に記載の磁気検出素子の製造方法。
  16. 前記(c)の工程において、前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものとして形成し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層する請求項14または15に記載の磁気検出素子の製造方法。
  17. 前記(c)の工程において、前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものとして形成し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層する請求項14または15に記載の磁気検出素子の製造方法。
  18. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (m) 反強磁性材料または強磁性材料からなり、前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対のエクスチェンジバイアス層を設ける工程を有する請求項17記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (g) 前記(d)の工程で、除去されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層を削る工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  20. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (h) 前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着させる工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  21. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (i) 前記(d)の工程で除去されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層を削ると同時に、前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着させる工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  22. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (j) 前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着した金属層を酸化させる工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  23. 前記(j)の工程において、前記金属層を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち1種以上の酸化方法で酸化させる請求項22記載の磁気検出素子の製造方法。
  24. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に
    (k)前記多層膜のトラック幅方向における側端面上に、金属材料の酸化物層を形成する工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  25. 記(k)の工程において、記金属材料を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち1種以上の酸化方法で酸化させる請求項24記載の磁気検出素子の製造方法。
  26. 前記(d)の工程と前記(e)の工程の間に、
    (l) 硬磁性材料からなり、前記多層膜の少なくとも前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対のハードバイアス層を設ける工程を有する請求項14ないし17のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  27. 前記(c)の工程において、前記多層膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接する面と反対の面側に、硬磁性材料からなり、分離層を介して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、インスタックバイアス層を設ける請求項14ないし17,19ないし25のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  28. 前記(a)の工程において、前記下部電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記(f)の工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シールド層を形成する請求項14ないし27のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  29. 前記(a)の工程において前記下部電極層を、前記(f)の工程において前記上部電極層を、それぞれ磁性材料によって形成する請求項14ないし27のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
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