JP2008021896A - Cpp構造のgmr素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置 - Google Patents

Cpp構造のgmr素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁化固定層としてシンセティックピンド層を用いたCPP構造のGMR素子において、シンセティックピンド層を構成するインナーピン層の厚さを薄くすること無く、また、外部磁界耐性というシンセティックピンド層そのものの機能を損なうことなく、アウターピン層の厚さを薄くする。
【解決手段】 磁化固定層(ピンド層)としてシンセティックピンド層を用いたCPP構造のGMR素子において、インナーピン層の幅W1を50nm以下に設定し、かつ、磁化固定層を媒体対向面側から見た両端部に所定の角度範囲のテーパー部を有する構造とし、かつ、インナーピン層とアウターピン層との磁気体積比を0.9〜1.1の範囲とし、かつ、インナーピン層とアウターピン層との磁気膜厚比を0.8以下となるように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るためのCPP構造のGMR素子、その素子を備える薄膜磁気ヘッド、ならびにその薄膜磁気ヘッドを含むヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置に関する。
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能の向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し専用の磁気抵抗効果素子(以下、単にMR(Magneto-resistive)素子と簡略に記すことがある)を有する再生ヘッドと、書き込み専用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと、を積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く使用されている。
MR素子としては、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto-resistive)効果を用いたAMR素子や、巨大磁気抵抗(Giant Magneto-resistive)効果を用いたGMR素子や、トンネル磁気抵抗(Tunnel-type Magneto-resistive)効果を用いたTMR素子等が挙げられる。
再生ヘッドの特性としては、特に、高感度で高出力であることが要求される。このような要求を満たす再生ヘッドとして、既に、スピンバルブ型GMR素子を用いたGMRヘッドが量産されている。また、近年では面記録密度のさらなる向上を目指してTMR素子を用いた再生ヘッドの開発が行なわれている。
スピンバルブ型GMR素子は、一般に、非磁性層と、この非磁性層の一方の面に形成されたフリー層と、非磁性層の他方の面に形成された磁化固定層と、非磁性層とは反対に位置する側の磁化固定層の上に形成されたピンニング層(一般には反強磁性層)とを有している。フリー層は外部からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化するよう作用する層であり、磁化固定層は、ピンニング層(反強磁性層)からの磁界によって、磁化の方向が固定される層である。なお、磁化固定層は、好ましい態様として、非磁性中間層をインナー層とアウター層とで挟み込んだシンセティックピンド層(synthetic pinned layer)から構成される。
従来のGMRヘッドは、磁気的信号検出用の電流(いわゆる、センス電流)を、GMR素子を構成する各層の面に対して平行な方向に流す構造、すなわち、CIP(Current In Plane)構造が主流となっていた。これに対して、センス電流を、GMR素子を構成する各層の面に対して垂直方向(積層方向)に流す構造、すなわち、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR素子(以下、単に「CPP-GMR素子」と称する場合がある)も次世代の素子として開発が進められている。なお、前述したTMR素子もCPP構造という広い概念の範疇に入るものである。
CPP-GMR素子は、CPP−TMR素子と比較して低抵抗であること、また、CIP(Current in Plane)−GMR素子と比較して狭トラック幅において高出力が得られることから、高いポテンシャルが期待される。
CPP-GMR素子の基本構造として、ピンニング層としての反強磁性層、ピンド層としての磁化固定層、非磁性スペーサー層、およびフリー層が順次積層されたスピンバルブ積層膜を有している。そして、このスピンバルブ積層膜を積層方向の上下に挟み込むように一対のシールド層が対向配置されて形成されている。通常、この一対シールド層は、積層方向にセンス電流を流すための電極として機能をも兼用している。
ところで、スピンバルブ積層膜の磁化固定層(ピンド層)にはRuあるいはRhなどの非磁性中間層を挟んで強磁性層を積層するシンセティックピンド層が用いられている。この構成は、非磁性中間層を挟む2つの強磁性層が互いに反強磁性的に結合した構成であり、互いの強磁性層が反平行となるので磁化固定層(ピンド層)の磁化が抑制、安定化され、また、ヘッドの読み取り素子とした場合、磁化固定層(ピンド層)からの静磁界によるバイアスポイントのずれを回避することができる。
このような理由から、シンセティックピンド層を形成する2つの強磁性層の磁気モーメントはバランスされている必要がある。このバランスが崩れると、2つの強磁性層のうちのどちらか一方の層のネットモーメントが大きくなり、外部磁界に対して磁化が不安定となってしまう。ここで、シンセティックピンド層を形成する2つの強磁性層のうち、非磁性スペーサー層に近い側の磁化固定層(ピンド層)をインナーピン層、遠い側のピン層をアウターピン層と呼ぶことにする。磁気抵抗効果に寄与するのはインナーピン層であって、アウターピン層はあくまでもピンド層の磁化を安定化させるためのものである。
特開2006−80144号公報 特開2000−91667号公報 特開2005−223193号公報
ところで、CPP-GMR素子では、磁気抵抗効果に対するバルク散乱効果の寄与が大きい。つまり、比較対象であるCIP−GMR素子におけるセンス電流の流れる方向(通電方向)は、膜面内方向であるため、界面におけるスピン依存散乱による抵抗変化が十分得られる。これに対してCPP-GMR素子では、センス電流は膜面すなわち界面に対して垂直に流れるため、電流は界面を通過し、その寄与が十分ではなく、さらに、通常のGMR膜では界面数は非磁性スペーサー層の上下の2つの面と少ないので、特に界面の寄与が少ない。そのため、高いMR変化率を得るためには磁性層が厚いほうが有利となる。
この一方で、高記録密度化のためには、シールド間ギャップをできるだけ狭くすることが要求され、磁化固定層(ピンド層)の膜厚は薄い方が有利となる。このような観点から、磁気抵抗効果に寄与するインナーピン層の厚さを維持しながら、磁気抵抗効果には寄与しないアウターピン層の厚さを薄くできれば、抵抗変化特性をそのまま維持しながら、シールド間ギャップを狭めることが可能になると考えられる。
本発明はこのような実状のものに創案されたものであって、その目的は、磁化固定層(ピンド層)としてシンセティックピンド層を用いたCPP構造のGMR素子において、シンセティックピンド層を構成するインナーピン層の厚さを薄くすること無く、また、外部磁界耐性というシンセティックピンド層そのものの機能を損なうことなく、アウターピン層の厚さを薄くすることにより、シールド間ギャップを狭くして、より高密度化への対応が可能となるCPP構造のGMR素子を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明は、非磁性スペーサー層と、前記非磁性スペーサー層を挟むようにして積層形成される磁化固定層およびフリー層を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR(Giant Magneto-resistive)素子であって、前記フリー層は、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するように機能しており、前記磁化固定層は、非磁性中間層を挟むようにしてインナーピン層およびアウターピン層が積層されたシンセティックピンドの形態を有しており、前記インナーピン層は、前記アウターピン層よりも前記非磁性スペーサー層に近い位置に配置されており、前記インナーピン層は、媒体対向面から見た前記非磁性スペーサー層と接する位置における幅W1が50nm以下に設定されており、前記磁化固定層は、媒体対向面側から見た両端部にテーパー部を有しており、前記テーパー部は、素子の積層方向を中心軸方向として、前記非磁性スペーサー層に近づくにつれて狭まるテーパー形状をなし、媒体対向面側から見た積層面を基準線としてこの基準線に対するテーパー角度をθ1とした場合に、θ1は40°〜60°の角度範囲に設定されており、かつ、前記インナーピン層の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲にあり、かつ、前記インナーピン層の飽和磁化Msiと厚さt1の積である(Msi×t1)値に対する、アウターピン層の飽和磁化Msoと厚さt2の積である(Mso×t2)値との比で表される磁気膜厚比(Mso×t2)/(Msi×t1)が、0.8以下となるように設定される。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記インナーピン層の上端部の幅W1は、10〜50nmとされる。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記テーパー角度は、θ1は45〜55°の角度範囲に設定される。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記磁化固定層は、媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面において、傾斜面を有しており、前記傾斜面は、前記非磁性スペーサー層に近づくにつれて狭まる形態を有するとともに積層面を基準とする傾斜角θ2を有し、θ2は、40°〜60°の角度範囲に設定される。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記インナーピン層は、媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面において、前記非磁性スペーサー層と接する位置における奥域方向の長さL1が50nm以下となるように設定される。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記インナーピン層の上端部の長さL1は、10〜50nmとされる。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記アウターピン層は、磁化の方向が固定された強磁性層を含み、前記インナーピン層における磁化の方向は、前記アウター層における強磁性層の磁化の方向とは逆の方向(反平行方向)に固定される。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記アウターピン層における強磁性層の磁化方向の固定は、前記アウターピン層に接して形成されている反強磁性層の作用により行なわれる。
また、本発明のCPP構造のGMR素子の好ましい態様として、前記非磁性スペーサー層は、導電材料より構成される。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された前記CPP構造のGMR素子と、前記磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流すための一対の電極と、を有して構成される。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、前記薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、を備えて構成される。
本発明のハードディスク装置は、前記薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、を備えてなるように構成される。
磁化固定層(ピンド層)としてシンセティックピンド層を用いたCPP構造のGMR素子において、インナーピン層の幅W1を50nm以下に設定し、かつ、磁化固定層を媒体対向面側から見た両端部に所定の角度範囲のテーパー部を有する構造とし、かつ、インナーピン層とアウターピン層との磁気体積比を0.9〜1.1の範囲とし、かつ、インナーピン層とアウターピン層との磁気膜厚比を0.8以下となるようにしているので、シンセティックピンド層を構成するインナーピン層の厚さを薄くすること無く、さらには、外部磁界耐性というシンセティックピンド層そのものの機能を損なうことなく、アウターピン層の厚さを薄くすることができる。これにより、シールド間ギャップを狭くして、より高密度化への対応が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における再生ヘッドのABS(Air Bearing Surface)であって、特に本発明の要部であるCPP構造のGMR素子のABSを模式的に示した図面である。ABSとは、再生ヘッドが記録媒体と対向する面(以下、「媒体対向面」ともいう)に相当するのであるが、本発明でいうABSは素子の積層構造が明瞭に観察できる位置での断面までを含む趣旨であり、例えば、厳密な意味での媒体対向面に位置しているDLC等の保護層(素子を覆う保護層)は必要に応じて省略して考えることができる。
図2は、図1における磁気固定層30のみを部分的に取り出して拡大した図面である。図3は、図1におけるABSに垂直な断面を示した図面、すなわち、図1のα−α断面矢視図に相当する。図4は、図3における磁気固定層30のみを部分的に取り出して拡大した図面である。
図5は、本発明の好適な一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を説明するための図面であり、薄膜磁気ヘッドのABSおよび基板に垂直な断面を示す図面である。図6は、本発明の好適な一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を説明するための図面であり、特に、薄膜磁気ヘッドの磁極部分のABSに平行な断面を示した図面である。図7は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。図8は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。図9は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の要部を示す説明図である。図10は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の平面図である。
CPP構造のGMR素子
図1を参照して、本発明のCPP構造のGMR素子を有する再生ヘッドの構成について、詳細に説明する。
図1は、上述したように、再生ヘッドの媒体対向面に平行な断面に相当する断面図である。
本実施の形態における再生ヘッドは、図1に示されるように所定の間隔を開けて対向配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、これら第1のシールド層と第2のシールド層8との間に配置されたCPP構造のGMR素子5(以下、単に「CPP-GMR素子5」と称す)と、CPP-GMR素子5の2つの側部およびこの側部に沿って第1のシールド層3の上面の一部を覆う絶縁膜4と、絶縁膜4を介してMR素子5の2つの側部に隣接する2つのバイアス磁界印加層6とを有している。
第1のシールド層3と第2のシールド層8は、いわゆる磁気シールドの役目と、一対の電極として役目を兼ね備えている。つまり、磁気シールド機能に加え、センス電流をCPP-GMR素子に対して、CPP-GMR素子5を構成する各層の面と交差する方向、すなわち、素子を構成する各層の面に対して垂直な方向(積層方向)に流すための一対の電極としての機能をも有している。
なお、本発明の実施の態様においては、CPP-GMR素子5と第2のシールド層8との間には、非磁性金属層27(「Metal Gap」という場合もある)が形成されている。非磁性金属層27(「Metal Gap」)は、フリー層とシールド間の距離を調整するために設けられる。シールド間ギャップのおよそ中心にフリー層が存在していることが好ましく、そのフリー層の位置、つまり間隔を調整するために、非磁性金属層27(「Metal Gap」)が設けられる。従って、アウターピン層31の厚さを薄くすることによって、非磁性金属層27(「Metal Gap」)も薄くすることができ、その分だけシールド間ギャップが薄くでき、後述する実験例からも分かるようにPW50(出力波形の半値幅)の特性も良好なものとなる。
次いで、本発明の要部であるCPP-GMR素子5について詳細に説明する。
本発明におけるCPP-GMR素子5は、非磁性スペーサー層24と、この非磁性スペーサー層24を挟むようにして積層形成される磁化固定層30およびフリー層50を有している。そして、素子5の積層方向にセンス電流が印加されて、その素子機能を発揮する、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR素子5である。
フリー層50は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層であり、磁化固定層30は、反強磁性層22の作用によって磁化の方向が固定された層である。
(磁化固定層30の説明)
本発明における磁化固定層30は、第1のシールド層3の上に形成された下地層21を介して形成されたピンニング作用を果たす反強磁性層22の上に形成されている。磁化固定層30は、反強磁性層22側から、アウターピン層31、非磁性中間層32、およびインナーピン層33が順次積層された構成、すなわち、いわゆるシンセティックピンド層を構成している。
シンセティックピンド層の構成は、非磁性中間層32を挟む2つの強磁性層であるアウターピン層31およびインナーピン層33が互いに反強磁性的に結合した構成である。アウターピン層31とインナーピン層33が反平行となるので磁化固定層(ピンド層)の磁化が抑制、安定化され、また、ヘッドの読み取り素子とした場合、磁化固定層(ピンド層)からの静磁界によるバイアスポイントのずれを回避することができる。
このような理由から、シンセティックピンド層を形成するアウターピン層31およびインナーピン層33の磁気モーメントはバランスされている必要がある。このバランスが崩れると、2つの層31、33のうちのどちらか一方の層のネットモーメントが大きくなり、外部磁界に対して磁化が不安定となってしまう。なお、本発明では、シンセティックピンド層を形成する2つの強磁性層のうち、非磁性スペーサー層24に近い側のピンド層をインナーピン層33、遠い側のピンド層をアウターピン層31と呼んでいる。磁気抵抗効果に寄与するのはインナーピン層33であって、アウターピン層31はあくまでもピンド層の磁化を安定化させるためのものである。
このような構成からなる本発明の磁化固定層30は、図1および図2に示されるように媒体対向面側から見た両端部30a,30a(図2)にテーパー部を有している。このテーパー部は、素子の積層方向を中心軸方向として、非磁性スペーサー層24に近づくにつれて狭まるテーパー形状をなしている。そして、図1および図2に示されるように媒体対向面側から見た積層面の端部(例えば、図2の符号30b)を基準線として、この基準線30bに対するテーパー角度をθ1とした場合に、θ1は40°〜60°、好ましくは45°〜55°の角度範囲に設定される。
加えて、本発明の磁化固定層30におけるインナーピン層33は、図2に示されるように媒体対向面から見た非磁性スペーサー層24と接する位置における幅W1が50nm以下、特に、10〜50nm、さらに好ましくは、20〜50nmに設定される。
加えて、インナーピン層33の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層31の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲内となるように設定される。(Mso×V2)/(Msi×V1)の値が、0.9未満となったり、1.1を超えたりすると、磁気モーメントのバランスが崩れてしまい、2つの層31、33のうちのどちらか一方の層のネットモーメントが大きくなり、外部磁界に対して磁化が不安定となってしまう。なお、インナーピン層33とアウターピン層31とが同じ材質から構成される場合には、Msi=Msoとなる。生産性を考慮して、双方同じ材質から構成されることが一般的ではあるが、アウターピン層31のさらなる薄層化を図るのであれば、Msi<Msoとすることもできる。
さらに、本発明においては、インナーピン層33の飽和磁化Msiと厚さt1の積である(Msi×t1)値に対する、アウターピン層31の飽和磁化Msoと厚さt2の積である(Mso×t2)値との比で表される磁気膜厚比(Mso×t2)/(Msi×t1)が、0.8以下、特に、0.5〜0.8となるように設定される。この値を0.8以下とするのは、インナーピン層33の厚さt1に対して、アウターピン層31の厚さt2を、少なくとも20%以上減少させて、本発明の効果を発現させるためである。なお、前述したようにインナーピン層33とアウターピン層31とが同じ材質から構成される場合には、Msi=Msoとなる。
本発明における上記の所定範囲の磁気膜厚比と、上記所定範囲の磁気体積比についての設定趣旨は以下のとおりである。すなわち、従来技術におけるシンセティックピンド層のインナーピン層33およびアウターピン層31に関する設計指針は磁気膜厚比のみをバランスさせることであった。これに対して、本願のインナーピン層33およびアウターピン層31に関する設計指針は、磁気体積比でバランスさせ、磁気膜厚比は逆にバランスから大きく外すことにある。これによって、(1)ピンド層のネットモーメントを小さくすることによりピン強度を維持する、(2)インナーピン層33の厚さを薄くすること無く、アウターピン層31の厚さを薄くすることで、シールド間ギャップを狭くすることができ、PW50(出力波形の半値幅)を小さくすることができ、より高密度化への対応が可能となる。
上記説明の幅W1の値が50nmを超えると、CPP-GMR素子5に期待されている高いポテンシャル、すなわち、超狭トラック幅に対応でき、超狭シールド間ギャップを備える素子であり、かつ高出力が得られるという高いポテンシャルに応じることができなくなってしまう。
また、上記θ1の角度範囲の設定は、幅W1が50nm以下となることを前提に設定されたものである。仮に、幅W1が150nm程度では、本発明のθ1の角度範囲の設定は、さほど意味がないものとなってしまう。これについては、後述する実験例を参照されたい。
また、上記説明のθ1の値が60°を超えると、インナーピン層33とアウターピン層31とのピンバランスを保ちながら、インナーピン層33の厚さt1に対するアウターピン層31の厚さt2を薄くすることができなくなくなってしまう。その結果、本発明が目的とするシールド間ギャップを狭くして、より高密度化への対応を図るということができなくなってしまう。この一方で、θ1の値が40°未満となると、インナーピン層33の上端部の幅が狭く成り過ぎて、インナーピン層33の上に順次積層される膜の機能が十分に発揮できないおそれが生じてしまう。
また、本発明における磁化固定層30は、より好ましい態様として、図3および図4に示されるように媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面30cにおいて、傾斜面を有している。この傾斜面は、非磁性スペーサー層24に近づくにつれて狭まる形態を有するとともに、媒体対向面に垂直な断面により見た積層面(例えば、図4の符号30d)を基準線として、この基準線30dに対する傾斜角θ2を有している。この傾斜角θ2は、40°〜60°の角度範囲に設定されることが望ましい。このような傾斜角θ2を設けることによって、アウターピン層の厚さをより薄くすることができ、シールド間ギャップをより狭くして、より高密度化への対応を図ることができる。なお、図3における符号28は、アルミナ等から形成される絶縁層である。
インナーピン層33は、図4に示されるように媒体対向面に垂直な断面図における奥域方向端面30cにおいて、非磁性スペーサー層24と接する位置における奥域方向の長さL1が50nm以下、特に、10〜50nm、さらに好ましくは、20〜50nmに設定されることが好ましい。このような好ましい態様である長さL1の設定は、好ましい態様である上記傾斜角θ2の設定と相俟って、インナーピン層33とアウターピン層31とのピンバランスを保ちながら、インナーピン層33の厚さt1に対するアウターピン層31の厚さt2を薄くするという効果を発現するに有利に作用する。
上述してきたCPP-GMR素子のテーパー角度θ1を調整するには、下部シールド層の上にCPP-GMR素子を構成する積層膜をスパッタ等で順次成膜した後、フォトレジストをマスクとしてCPP-GMR素子積層膜をミリングする条件を適宜、変えてやるようにすればよい。より具体的には、積層膜が形成されている基板を回転させながら、ミリング時のイオンビームの入射角度、すなわちミリング角度を変えたり、あるいは、ミリング深さを変えたりするようにすればよい。ミリング角度を寝かせ、ミリング深さを浅くすることで、よりテーパー角度θ1を小さくすることが可能となる。
また、媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面30cにおける傾斜角θ2を調整する手法も、上記のθ1と同様な手法によればよい。
以下、上述してきたアウターピン層31、非磁性中間層32およびインナーピン層33の各層の具体的構成について詳細に説明する。
アウターピン層31
上述したようにアウターピン層31とインナーピン層33は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が逆方向となるように固定されている。
アウターピン層31は、例えば、Coを含む強磁性材料からなる強磁性層を有して構成され、Co70Fe30(原子%)の合金層が好適例として挙げられる。厚さは、3〜7nm程度とされるが、本発明では、上述したようにアウターピン層31の厚さを、できるだけ薄くできるような工夫が施されている。アウターピン層31とインナーピン層33は、同じ磁性材質から構成してもよいし、異なる磁性材料から構成するようにしてもよい。
非磁性中間層32
非磁性中間層32は、例えば、Ru,Ph,Ir,Re,Cr,Zr,Cuのグループから選ばれた少なくとも1種を含む非磁性材料から構成される。非磁性中間層32の厚さは、例えば0.35〜1.0nm程度とされる。非磁性中間層32はインナーピン層33の磁化と、アウターピン層31の磁化とを互いに逆方向に固定するために設けられている。「磁化が互いに逆方向」というのは、これらの2つの磁化が互いに180°異なる場合のみに狭く限定解釈されることなく、180°±20°異なる場合をも含む広い概念である。
インナーピン層33
インナーピン層33は、例えば、Coを含む強磁性材料からなる強磁性層を有して構成され、Co70Fe30(原子%)の合金層が好適例として挙げられる。厚さは、3〜7nm程度とされる。また、インナーピン層33は、積層体構造としてもよく、例えば、非磁性中間層32側から、Co50-70Fe(原子%)の合金層、ホイスラー合金層、およびFeCo30-50の合金層からなる積層体が好適例として例示することができる。さらには、ホイスラー合金層をFe層でサンドイッチ状に挟み込むようにしてもよい。
(反強磁性層22の説明)
反強磁性層22は、上述したように磁化固定層30との交換結合により、磁化固定層30の磁化の方向を固定するように作用している。
反強磁性層22は、例えば、Pt,Ru,Rh,Pd,Ni,Cu,Ir,CrおよびFeのグループの中から選ばれた少なくとも1種からなる元素M´と、Mnとを含む反強磁性材料から構成される。Mnの含有量は35〜95原子%とすることが好ましい。反強磁性材料の中には、(1)熱処理しなくても反強磁性を示して強磁性材料との間で交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、(2)熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。本発明においては(1)、(2)のいずれのタイプを用いても良い。非熱処理系反強磁性材料としては、RuRhMn,FeMn、IrMn等が例示できる。熱処理系反強磁性材料としては、PtMn,NiMn,PtRhMn等が例示できる。
反強磁性層22の厚さは、5〜30nm程度とされる。
なお、反磁性層22の下に形成されている下地層21は、その上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させるための層であり、特に、反強磁性層22と磁化固定層30との交換結合を良好にするために設けられる。このような下地層21としては、例えばTa層とNiCr層との積層体が用いられる。下地層21の厚さは、例えば2〜6nm程度とされる。
絶縁層4を構成する材料としては、例えばアルミナが用いられる。バイアス磁界印加層6としては、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体が用いられ、具体的には、CoPtやCoCrPtを例示することができる。
(非磁性スペーサー層24の説明)
非磁性スペーサー層24は、磁化固定層30とフリー層50との間に介在される層である。非磁性スペーサー層24は、例えば、Cu,AuおよびAgからなる群のうち少なくとも1種を80重量%以上含む非磁性の導電性材料から構成される。その厚さは、例えば1〜4nm程度とされる。
(フリー層50の説明)
フリー層50は、例えば、Coを含む合金層から構成され、例えば、CoFe合金からなる体心立方構造の磁性合金層とすることが好ましい。Coの含有割合は、50〜90原子%とすることが好ましい。この含有範囲で分極率が高く、しかもフリー層に要求される小さい保磁力特性が得られるからである。好適例としてCo50-90Fe(原子%)の合金層が挙げられる。その厚さは、2〜10nm程度とされる。厚さは、3〜7nm程度とされる。
フリー層50は、積層体構造としてもよく、例えば、非磁性スペーサー層24側から、Co50-90Fe(原子%)の合金層、およびホイスラー合金層からなる積層体を好適例として例示することができる。さらには、ホイスラー合金層をFe層でサンドイッチ状に挟み込むようにしてもよい。
フリー層50の上には、例えばRu層からなる保護層26が形成される。その厚さは、0.5〜10nm程度とされる。
また、前述したように本発明の実施の態様においては、CPP-GMR素子5と第2のシールド層8との間には、Ta等からなる非磁性金属層27(「Metal Gap」)が形成されている。その厚さは、フリー層の位置がシールド間のおよそ中心となるように設定され、例えば、5〜20nmとされ、キャップ層と合わせて100〜300nm程度とされる。
(薄膜磁気ヘッドの全体構成の説明)
次いで、上述してきた磁気抵抗効果素子を備えてなる薄膜磁気ヘッドの全体構成について説明する。前述したように図5および図6は本発明の好適な一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成について説明するための図面であり、図5は、薄膜磁気ヘッドのABSおよび基板に垂直な断面を示している。図6は、薄膜磁気ヘッドの磁極部分のABSに平行な断面を示している。
薄膜磁気ヘッドの全体構造は、その製造工程に沿って説明することによりその構造が容易に理解できると思われる。そのため、以下、製造工程を踏まえて薄膜磁気ヘッドの全体構造を説明する。
まず、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1の上に、スパッタ法等によって、アルミナ(Al23)、二酸化珪素(SiO2)等の絶縁材料からなる絶縁層2を形成する。厚さは、例えば0.5〜20μm程度とする。
次に、この絶縁層2の上に、磁性材料からなる再生ヘッド用の下部シールド層3を形成する。厚さは、例えば0.1〜5μm程度とする。このような下部シールド層3に用いられる磁性材料としては、例えば、FeAlSi、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN、FeZrN、FeTaN、CoZrNb、CoZrTa等が挙げられる。下部シールド層3は、スパッタ法またはめっき法等によって形成される。
次に、下部シールド層3の上に、再生用のCPP-GMR素子5を形成する。
次に、図面では示していないが、CPP-GMR素子5の2つの側部および第1のシールド層3の上面を覆うように絶縁膜を形成する。絶縁膜はアルミナ等の絶縁材料より形成される。
次に、絶縁膜を介してCPP-GMR素子5の2つの側部に隣接するように、2つのバイアス磁界印加層6を形成する。次に、CPP-GMR素子5およびバイアス磁界印加層6の周囲に配置されるように絶縁膜7を形成する。絶縁膜7は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。
次に、CPP-GMR素子5、バイアス磁界印加層6および絶縁層7の上に、Ta等の非磁性金属層27(「Metal Gap」)を積層した後、磁性材料からなる再生ヘッド用の第2のシールド層8を形成する。第2のシールド層8は、例えば、めっき法やスパッタ法により形成される。
次に、上部シールド層8の上に、スパッタ法等によって、アルミナ等の絶縁材料からなる分離層18を形成する。次に、この分離層18の上に、例えば、めっき法やスパッタ法により、磁性材料からなる記録ヘッド用の下部磁極層19を形成する。第2のシールド層8および下部磁極層19に用いられる磁性材料としては、NiFe,CoFe,CoFeNi,FeN等の軟磁性材料があげられる。なお、第2のシールド層8、分離層18および下部磁極層19の積層体の代わりに、下部電極層を兼ねた第2のシールド層を設けても良い。
次に、下部磁極層19の上に、スパッタ法等によって、アルミナ等の非磁性材料からなる記録ギャップ層9が形成される。厚さは、50〜300nm程度とされる。
次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイルの中心部において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
次に、記録ギャップ層9の上に、例えば銅(Cu)からなる薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図5において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を示している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機材料からなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。
次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層11のうちの後述する媒体対向面20側の斜面部分から媒体対向面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。上部磁極層12は、このトラック幅規定層12aと、後述する連結部分層12bおよびヨーク部分層12cとで構成される。
トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部と、絶縁層11の媒体対向面20側の斜面部分の上に形成されヨーク部分層12cに接続される接続部と、を有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時にコンタクトホール9aの上に磁性材料からなる連結部分層12bを形成するとともに、接続部10aの上に磁性材料からなる接続層13を形成する。連結部分層12bは、上部磁極層12のうち、上部シールド層8に磁気的に連結される部分を構成する。
次に、磁極トリミングを行なう。すなわち、トラック幅規定層12aの周辺領域において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および上部シールド層8の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図6に示されるごとく、上部磁極層12の磁極部分、記録ギャップ層9および上部シールド層8の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層9の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料からなる絶縁層14を、例えば3〜4μm厚さに形成する。
次に、この絶縁層14を、例えば化学機械研摩によって、トラック幅規定層12a、連結部分層12b、接続層13の表面に至るまで研摩して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層14の上に、例えば銅(Cu)からなる薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図5において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を示している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機材料からなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。
次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、トラック幅規定層12a、絶縁層14、16および連結部分層12bの上にパーマロイ等の記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁性層12のヨーク部分を構成するヨーク部分層12cを形成する。ヨーク部分層12cの媒体対向面20側の端部は、媒体対向面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して下部磁極層19に接続されている。
次に、全体を覆うように、例えばアルミナからなるオーバーコート層17を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行い、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜ヘッドの媒体対向面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面20と、前述した再生ヘッドと、記録ヘッド(誘導型磁気変換素子)とを備えている。
記録ヘッドは、媒体対向面20側において互いに対向する磁極部分を含むとともに、互いに磁気的に連結された下部磁極層19および上部磁極層12と、この下部磁極層19の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層19および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配置された薄膜コイル10、15と、を有している。
このような薄膜磁気ヘッドでは、図5に示されるように、媒体対向面20から、絶縁層11の媒体対向面側の端部までの長さが、スロートハイト(図面上、符号THで示される)となる。なお、スロートハイトとは、媒体対向面20から、2つの磁極層の間隔が開き始める位置までの長さ(高さ)をいう。
(薄膜磁気ヘッドの作用の説明)
次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドにおいて、バイアス磁界印加層6によるバイアス磁界の方向は、媒体対向面20に垂直な方向と直交している。CPP-GMR素子5において、信号磁界がない状態では、フリー層50の磁化の方向は、バイアス磁界の方向に揃えられている。磁化固定層30の磁化の方向は、媒体対向面20に垂直な方向に固定されている。
CPP-GMR素子5では、記録媒体からの信号磁界に応じてフリー層50の磁化の方向が変化し、これにより、フリー層50の磁化の方向と磁化固定層30の磁化の方向との間の相対角度が変化し、その結果、CPP-GMR素子5の抵抗値が変化する。CPP-GMR素子5の抵抗値は、第1および第2のシールド層3,8によって、CPP-GMR素子5にセンス電流を流したときの2つの電極層3,8間の電位差より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
(ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置についての説明)
以下、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置について説明する。
まず、図7を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図5における基板1およびオーバーコート17からなる基体211を備えている。
基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面20が形成されている。
ハードディスクが図7におけるz方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図7におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図7におけるx方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。
スライダ210の空気流出側の端部(図7における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図8を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。
ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図8は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に図9および図10を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係るハードディスク装置について説明する。
図9はハードディスク装置の要部を示す説明図、図10はハードディスク装置の平面図である。
ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。
ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応しスライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係るハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
また、実施の形態では、基本側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。また、読み取り専用として用いる場合には、薄膜磁気ヘッドを、再生ヘッドだけを備えた構成としてもよい。
また、本発明の要部は磁気ヘッドに限らず、いわゆる磁界を検知するための薄膜磁界センサーとして応用することができる。
上述してきたCPP-GMR素子の発明を、以下に示す具体的実施例によりさらに詳細に説明する。
〔実験例I〕
幅W1で代表される素子の大きさと、テーパー角度θ1の関係が、アウターピン層31の薄層化に及ぼす影響を調べた。
CPP-GMR素子の膜構成を以下のように設定した。
(CPP-GMR素子の膜構成)
・保護層26 材質:Ru 厚さ10nm
・フリー層50 材質:Co90Fe10 厚さ5nm
・非磁性スペーサー層24 材質:Cu 厚さ3nm
・インナーピン層33 材質:Co70Fe30 厚さ7nm
・非磁性中間層32 材質:Ru 厚さ0.8nm
・アウターピン層31 材質:Co70Fe30 厚さXnm
(X:求める厚さ)
・反強磁性層22 材質:IrMn 厚さ7nm
・下地層21 材質:NiFeCr(5nm)/Ta(1nm)
上記のCPP-GMR素子の膜構成において、インナーピン層33、非磁性中間層32、およびアウターピン層31からなる磁化固定層30のみをピックアップして考察する。インナーピン層33の厚さは、7nmに固定し、シンセティック結合の非磁性中間層32の厚さは、0.8nmに固定し、アウターピン層31の厚さは、求める厚さX(nm)とした。
インナーピン層33の幅W1を、W1=150nmとW1=50nmの2タイプに固定し、これらの2タイプのものに対して、それぞれテーパー角度θ1を80°、70°、60°、45°、および30°に変えた場合の磁化固定層30の形態概念図を図11(A)、図11(B)にそれぞれ示した。
図11に示される各テーパー角度θ1に対応するインナーピン層33の面積と、アウターピン層31の面積との面積比が1となるように、アウターピン層31の厚さX(nm)を求めるとともに、アウターピン層31の薄層化率P=〔1−(X/7)〕×100(%)を算出した。
面積比を1とする理由は次のとおり。すなわち、磁化固定層30は、シンセティックピンド層構造であり、インナーピン層33の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層31の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲にあり、バランスしている必要がある。ここでは、(Mso×V2)/(Msi×V1)=1.0とした。そして、図11の状態では、インナーピン層33とアウターピン層31の材質が同じで、かつ、図面の奥域の長さを基準単位長さとして同一に扱っているために(図4のθ2=90°を考えている)、面積比=1のみを考慮すればよいことになる。
結果を下記表1に示した。
Figure 2008021896
表1に示される結果より、W1のサイズが150nmから50nmに小さくなって、なおかつ、テーパー角度θ1が小さくなってくると、アウターピン層31の薄層化率Pが大きくなることがわかる。すなわち、W1のサイズが50nmで、テーパー角度θ1が60°以下となると、14.3%以上のアウターピン層31の薄層化率が期待できる。これにより、シールド間ギャップを狭くして、より高密度化への対応が可能となる。
〔実験例II〕
図1〜図4に示されるような幅W1(図2)、長さL1(図4)で代表される素子の大きさと、テーパー角度θ1(図2)、傾斜角θ2(図4)の関係が、アウターピン層31の薄層化に及ぼす影響を調べた。
ギャップ層27およびCPP-GMR素子の膜構成を以下のように設定した。
・ギャップ層27 材質:Ta 厚さ20nm
・保護層26 材質:Ru 厚さ10nm
・フリー層50 材質:Co90Fe10 厚さ5nm
・非磁性スペーサー層24 材質:Cu 厚さ3nm
・インナーピン層33 材質:Co70Fe30 厚さ7nm
・非磁性中間層32 材質:Ru 厚さ0.8nm
・アウターピン層31 材質:Co70Fe30 厚さXnm
(X:パラメータ厚さ)
・反強磁性層22 材質:IrMn 厚さ7nm
・下地層21 材質:NiFeCr(5nm)/Ta(1nm)
上記のCPP-GMR素子の膜構成において、インナーピン層33、非磁性中間層32、およびアウターピン層31からなる磁化固定層30のみをピックアップして考察する。
インナーピン層33の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層31の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲にあり、バランスしている必要がある。ここでは、(Mso×V2)/(Msi×V1)=1.0とした。双方の層33,31は同じ材質であるから、インナーピン層33の体積V1と、アウターピン層31の体積V2の比である、V2/V1のみ考慮すればよい。磁気膜厚比(Mso×t2)/(Msi×t1)についても同様に、t2/t1のみ考慮すればよい。
インナーピン層33の厚さは7nmに固定し、シンセティック結合の非磁性中間層32の厚さは、0.8nmに固定し、アウターピン層31の厚さ、変数X(nm)とした。W1=L1=50nmとし、θ1とθ2を下記表2のごとく変化させて、体積比(V2/V1)=1となるときのアウターピン層31の厚さt2を求めた。さらに、このt2の値より、層厚比(t2/t1)を求めた。ここで、層厚比(t2/t1)は、インナーピン層33の厚さt1に対するアウターピン層31の厚さt2の比である。
Figure 2008021896
なお、表2には、テーパー角度θ1が40°未満のものは示されていない。テーパー角度θ1を40°よりもさらに小さくして角度を寝かせると、アウターピン層31の厚さを薄くすることができる。しかしながら、本願の発明者らの実験によれば、テーパー角度θ1が40°でCPP-GMR素子の最上部の幅は8〜10nm程度になってしまい、テーパー角度θ1を40°よりもさらに小さくすると、W1の値を50nmを超えて拡張させる必要があることが判明した。例えば、テーパー角度θ1を30°とすると、W1は70nmにする必要があり、この場合、体積比がバランスするアウターピン層の厚さt2は5nm程度となり、W1=50nm、θ1=40°の場合よりも厚くなる傾向が生じることがあり、W1=50nm以上に幅を広げて、テーパー角度θ1を40°よりもさらに小さくすることはあまり効果がないことが確認されている。
〔実験例III〕
上記表2におけるサンプル2−5−5の条件(t1=7nm、W1=L1=50nm、θ1=θ2=40°)、サンプル2−4−4の条件(t1=7nm、W1=L1=50nm、θ1=θ2=45°)およびサンプル2−2−2の条件(t1=7nm、W1=L1=50nm、θ1=θ2=60°)において、アウターピン層31の厚さt2を変えて、インナーピン層33の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層31の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲にあることの必要性を示すための実験を行なった。なお、各ピン層31、33の材質は同じであるので、V2/V1=0.9〜1.1を考慮すればよい。
図12に示される素子の抵抗ー磁界曲線のグラフを参照しつつ説明する。
まず、バックグランドから説明する。インナーピン層33とアウターピン層31のバランスが崩れると、理想的にはフラットな領域が広いのほうがよいが、外部磁界に対して応答しやすくなる。フリー層とインナーピン層33が反平行で抵抗値が最大になるが、インナーピン層33側の体積V1がより大きくなると、インナー層33が外部磁界の方向に向きやすく、結果的に早く磁化が回転する。極端な場合にはフラットな領域ができなくなる。
ここで、図12に示されるように最大の抵抗値から半分の抵抗値にまで低減した磁界をH1とし、これが体積比率との関係でどのように推移するかに注目する。
インナーピン層33の厚さt1が厚くなればなるほど、H1は小さくなる。テーパーθ1が無い場合には、アウターピン層31の厚さt2をそのまま薄くすると、H1が小さくなってしまう。逆に、テーパーθ1がある場合には、アウターピン層の厚さt2を薄くしてバランスできる。
なお、H1が小さくなると、測定磁界中で抵抗ー磁界曲線の直線性が維持できなくなり、再生波形形状に影響する。
逆に、アウターピン層31の厚さt2が厚くなると、アウターピン層31が回るので、負の磁界でフラットから外れて抵抗増加を示す。ただし、この場合はインナーピン層33は磁場方向を向いているので、完全には反転せず、抵抗上昇は最大値までは戻らない。図12に示されるように負の磁界での最大値の半値幅の磁界をH2と定義する。これも小さいほうがバランスされている、ということになる。
H1、H2の値は、素子としての使用の目安として、1KOe以上が要望される。
このようなバックグラウンドのもとに、W1、L1を50nmに固定し、θ1およびθ2をそれぞれ、40deg(表3)、45deg(表4)、60deg(表5)の3水準に区分した。これらの各水準について、アウターピン層の厚さt2を振った場合の出力(層厚比t2/t1が1の場合を基準にして規格化している)、PW50(層厚比t2/t1が1の場合を基準にして規格化している)、H1、およびH2の測定結果を下記表3〜表5に、それぞれ示した。
Figure 2008021896
Figure 2008021896
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表3〜表5に示される結果より、本願発明の実施例では、層厚比がかなり外れたところで、体積比がバランスし、H1、H2が適当な範囲に収まっていることが確認できる。
すなわち、表3〜表5に示される本願発明の実施例では、いずれも磁気体積比が0.9〜1.1でバランスし、磁気膜厚比は0.8以下となっている。そして、このような範囲内で、PW50で5%以上のゲインがあり、目安のH1、およびH2が得られている。
なお、表中の評価について、H1、およびH2の測定は、80mVの印加電圧、8KOeの印加磁界の条件を用いて、抵抗-磁界曲線を測定して求めた、また、PW50はヘッドジンバルアセンブリを組み立て、電磁変換特性の評価結果を比較して求めた。
磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るためのCPP-GMR素子を備えるハードディスク装置の産業に利用できる。
図1は、本発明の実施の形態における再生ヘッドのABS(Air Bearing Surface)であって、特に本発明の要部であるCPP構造のGMR素子のABSを模式的に示した図面である。 図2は、図1における磁気固定層のみを部分的に取り出して拡大した図面である。 図3は、図1におけるABSに垂直な断面を示した図面、すなわち、図1のα−α断面矢視図に相当する。 図4は、図3における磁気固定層のみを部分的に取り出して拡大した図面である。 図5は、本発明の好適な一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を説明するための図面であり、薄膜磁気ヘッドのABSおよび基板に垂直な断面を示す図面である。 図6は、本発明の好適な一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を説明するための図面であり、特に、薄膜磁気ヘッドの磁極部分のABSに平行な断面を示した図面である。 図7は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 図8は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 図9は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の要部を示す説明図である。 図10は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の平面図である。 図11(A)はW1=150nmの素子であって、テーパー角度θ1を80°、70°、60°、45°、および30°に変えた場合の磁化固定層の形態概念図、図11(B)は、W1=50nmの素子であって、テーパー角度θ1を80°、70°、60°、45°、および30°に変えた場合の磁化固定層の形態概念図である。 図12は、素子の抵抗ー磁界曲線を示すグラフである。
符号の説明
1…基板
2…絶縁層
3…第1のシールド層
4…絶縁膜
5…磁気抵抗効果素子(MR素子)
6…バイアス磁界印加層
7…絶縁層
8…第2のシールド層
9…記録ギャップ層
10…薄膜コイルの第1層部分
12…上部磁極層
15…薄膜コイル第2層部分
17…オーバーコート層
20…媒体対向面(ABS)
21…下地層
22…反強磁性層
24…非磁性スペーサー層
30…磁化固定層
31…アウターピン層
32…非磁性中間層
33…インナーピン層
50…フリー層

Claims (12)

  1. 非磁性スペーサー層と、
    前記非磁性スペーサー層を挟むようにして積層形成される磁化固定層およびフリー層を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造のGMR(Giant Magneto-resistive)素子であって、
    前記フリー層は、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するように機能しており、
    前記磁化固定層は、非磁性中間層を挟むようにしてインナーピン層およびアウターピン層が積層されたシンセティックピンドの形態を有しており、前記インナーピン層は、前記アウターピン層よりも前記非磁性スペーサー層に近い位置に配置されており、
    前記インナーピン層は、媒体対向面から見た前記非磁性スペーサー層と接する位置における幅W1が50nm以下に設定されており、
    前記磁化固定層は、媒体対向面側から見た両端部にテーパー部を有しており、
    前記テーパー部は、素子の積層方向を中心軸方向として、前記非磁性スペーサー層に近づくにつれて狭まるテーパー形状をなし、媒体対向面側から見た積層面を基準線としてこの基準線に対するテーパー角度をθ1とした場合に、θ1は40°〜60°の角度範囲に設定されており、かつ、
    前記インナーピン層の飽和磁化Msiと体積V1の積である(Msi×V1)値に対する、アウターピン層の飽和磁化Msoと体積V2の積である(Mso×V2)値との比、で表される磁気体積比(Mso×V2)/(Msi×V1)が0.9〜1.1の範囲にあり、かつ、
    前記インナーピン層の飽和磁化Msiと厚さt1の積である(Msi×t1)値に対する、アウターピン層の飽和磁化Msoと厚さt2の積である(Mso×t2)値との比で表される磁気膜厚比(Mso×t2)/(Msi×t1)が、0.8以下となるように設定されていることを特徴とするCPP構造のGMR素子。
  2. 前記インナーピン層の上端部の幅W1は、10〜50nmである請求項1に記載のCPP構造のGMR素子。
  3. 前記テーパー角度は、θ1は45〜55°の角度範囲に設定されてなる請求項1または請求項2に記載のCPP構造のGMR素子。
  4. 前記磁化固定層は、媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面において、傾斜面を有しており、前記傾斜面は、前記非磁性スペーサー層に近づくにつれて狭まる形態を有するとともに積層面を基準とする傾斜角θ2を有し、θ2は、40°〜60°の角度範囲に設定されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のCPP構造のGMR素子。
  5. 前記インナーピン層は、媒体対向面に垂直な断面により見た奥域方向端面において、前記非磁性スペーサー層と接する位置における奥域方向の長さL1が50nm以下に設定されてなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のCPP構造のGMR素子。
  6. 前記インナーピン層の上端部の長さL1は、10〜50nmである請求項5に記載のCPP構造のGMR素子。
  7. 前記アウターピン層は、磁化の方向が固定された強磁性層を含み、
    前記インナーピン層における磁化の方向は、前記アウター層における強磁性層の磁化の方向とは逆の方向(反平行方向)に固定されている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のCPP構造のGMR素子。
  8. 前記アウターピン層における強磁性層の磁化方向の固定は、前記アウターピン層に接して形成されている反強磁性層の作用により行なわれる請求項7に記載のCPP構造のGMR素子。
  9. 前記非磁性スペーサー層は、導電材料よりなる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のCPP構造のGMR素子。
  10. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1ないし請求項9のいずれかに記載されたCPP構造のGMR素子と、
    前記磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流すための一対の電極と、
    を有してなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  11. 請求項10に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
    を備えてなることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  12. 請求項10に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、
    を備えてなることを特徴とするハードディスク装置。
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