JP2007317824A - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】MR素子を構成する各層の面と交差する方向に電流が流されるMR素子におけるMR比を大きくする。
【解決手段】MR素子5は、非磁性導電層24と、非磁性導電層24を挟むように配置された固定層23およびフリー層25を備えている。固定層23とフリー層25は、それぞれホイスラー合金層33H,25Hを含んでいる。ホイスラー合金層33H,25Hは、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含んでいる。固定層23とフリー層25の少なくとも一方は、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに、磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
近年、磁気ディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
MR素子としては、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magnetoresistive)効果を用いたAMR素子や、巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistive)効果を用いたGMR素子や、トンネル磁気抵抗(Tunneling Magnetoresistive)効果を用いたTMR素子等がある。
再生ヘッドの特性としては、高感度および高出力であることが要求される。この要求を満たす再生ヘッドとして、既に、スピンバルブ型GMR素子を用いたGMRヘッドが量産されている。スピンバルブ型GMR素子は、一般的には、互いに反対側を向く2つの面を有する非磁性導電層と、この非磁性導電層の一方の面に隣接するように配置されたフリー層と、非磁性導電層の他方の面に隣接するように配置された固定層と、この固定層における非磁性導電層とは反対側の面に隣接するように配置された反強磁性層とを有している。フリー層は信号磁界に応じて磁化の方向が変化する強磁性層である。固定層は、磁化の方向が固定された強磁性層である。反強磁性層は、固定層との交換結合により、固定層における磁化の方向を固定する層である。
ところで、従来のGMRヘッドでは、磁気的信号検出用の電流(以下、センス電流という。)を、GMR素子を構成する各層の面に対して平行な方向に流す構造になっていた。このような構造は、CIP(Current In Plane)構造と呼ばれる。これに対し、センス電流を、GMR素子を構成する各層の面と交差する方向、例えばGMR素子を構成する各層の面に対して垂直な方向に流す構造のGMRヘッドの開発も進められている。このような構造は、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ばれる。以下、CPP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCPP−GMR素子と呼び、CIP構造の再生ヘッドに用いられるGMR素子をCIP−GMR素子と呼ぶ。
従来のCPP−GMR素子では、固定層とフリー層の材料として、主にCoFe合金やNiFe合金が用いられていた。このような従来のCPP−GMR素子では、実用的な再生ギャップ長を実現できる層の構成において、抵抗に対する磁気抵抗変化の比率である磁気抵抗変化率(以下、MR比という。)は高々4%程度であり、実用上十分な大きさではなかった。
上記の従来のCPP−GMR素子におけるMR比が小さいのは、固定層とフリー層の材料として用いられているCoFe合金やNiFe合金のスピン分極率が小さいことに起因していると考えられる。
最近、MR比を大きくするために、固定層やフリー層の材料として、スピン分極率が従来のCoFe合金等の金属と比較して高いハーフメタルを用いたCPP−GMR素子が提案されている。特許文献1には、固定層やフリー層の材料として、ハーフメタルの一種であるホイスラー合金を用いたGMR素子が記載されている。また、特許文献2には、固定層やフリー層がホイスラー合金層を含むCPP−GMR素子が記載されている。
ここで、ホイスラー合金について簡単に説明する。ホイスラー合金とは、XYZまたはXYZの化学組成を持つ規則合金の総称である。XYZの化学組成を持つ規則合金はハーフホイスラー合金と呼ばれ、XYZの化学組成を持つ規則合金はフルホイスラー合金と呼ばれる。ここで、Xは、周期表上におけるFe族、Co族、Ni族、Cu族の遷移元素および貴金属元素の中から選択された元素である。Yは、周期表上におけるTi族、V族、Cr族、Mn族の遷移元素およびFeの中から選択された1種以上の元素である。Zは、周期表上における第3周期から第5周期の典型元素の中から選択された1種以上の元素である。
特開平10−177705号公報 特開2005−116703号公報
ホイスラー合金層を固定層やフリー層に用いることにより、CPP−GMR素子のMR比を大幅に大きくできる可能性がある。ところが、従来は、実際にホイスラー合金層を固定層やフリー層に用いたCPP−GMR素子を作製しても、高々5%程度のMR比しか得られなかった。その原因の一つは、ホイスラー合金層を形成する際に行なわれる熱処理にあると考えられる。以下、このことについて詳しく説明する。一般的に、ホイスラー合金層は、ホイスラー合金層となる膜の成膜後、この膜に対して熱処理を施して、この膜の結晶構造を、大きなスピン分極率が発現する結晶構造に変化させることによって形成される。ところが、ホイスラー合金層を固定層やフリー層に用いたCPP−GMR素子では、上記の熱処理の過程で、非磁性導電層を構成する材料がホイスラー合金層へ拡散する。そして、この拡散により、ホイスラー合金層の非磁性導電層側の面の粗さが大きくなったり、ホイスラー合金層のうちの非磁性導電層側の面の近傍において結晶構造の規則性が損なわれたりすると考えられる。また、その結果、ホイスラー合金層のうちの非磁性導電層側の面の近傍におけるスピン分極率が低下し、MR比が低下すると考えられる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向に電流が流される磁気抵抗効果素子であって、磁気抵抗変化率が大きい磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに、この磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の磁気抵抗効果素子は、互いに反対側を向く第1および第2の面を有する非磁性導電層と、非磁性導電層の第1の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定された固定層と、非磁性導電層の第2の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備えている。本発明の磁気抵抗効果素子において、磁気的信号検出用の電流は、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向に流される。
本発明の磁気抵抗効果素子において、固定層とフリー層の少なくとも一方はホイスラー合金層を含んでいる。ホイスラー合金層は、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含んでいる。固定層とフリー層の少なくとも一方は、非磁性導電層に隣接する領域であって、非磁性導電層に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含んでいる。
本発明の磁気抵抗効果素子では、固定層とフリー層の少なくとも一方が、非磁性導電層に隣接する領域であって、非磁性導電層に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含むことによって、固定層およびフリー層が上記のような領域を含まない場合に比べて、磁気抵抗変化率が大きくなる。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、固定層、非磁性層、フリー層を形成する各工程を備えている。固定層を形成する工程とフリー層を形成する工程の少なくとも一方は、ホイスラー合金層を形成する工程を含んでいる。ホイスラー合金層を形成する工程は、熱処理されることによりホイスラー合金層となる膜を形成する工程と、ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程とを含んでいる。そして、熱処理によって、固定層とフリー層の少なくとも一方において、非磁性導電層に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域が形成される。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法では、固定層とフリー層の少なくとも一方において、非磁性導電層に隣接する領域であって、非磁性導電層に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域が形成される。このようにして製造される磁気抵抗効果素子では、固定層およびフリー層が上記のような領域を含まない磁気抵抗効果素子に比べて、磁気抵抗変化率が大きくなる。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法では、ホイスラー合金層となる膜において、ホイスラー合金を構成する元素の総量に対する添加元素の割合は、2〜20原子%の範囲内であってもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体からの信号磁界を検出するために媒体対向面の近傍に配置された本発明の磁気抵抗効果素子と、磁気的信号検出用の電流を、磁気抵抗効果素子に対して、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向に流すための一対の電極とを備えたものである。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションとを備えたものである。また、本発明のヘッドアームアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションと、スライダを記録媒体のトラック横断方向に移動させるためのアームとを備え、サスペンションがアームに取り付けられているものである。
本発明の磁気ディスク装置は、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを支持すると共に記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えたものである。
本発明では、磁気抵抗効果素子において、固定層とフリー層の少なくとも一方がホイスラー合金層を含むと共に、固定層とフリー層の少なくとも一方が、非磁性導電層に隣接する領域であって、非磁性導電層に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含む。これにより、本発明によれば、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向に電流が流される磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化率を大きくすることが可能になるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図2および図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成および製造方法の概略について説明する。図2は薄膜磁気ヘッドの媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図、図3は薄膜磁気ヘッドの磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1の上に、スパッタ法等によって、アルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2を、例えば0.2〜2μmの厚さに形成する。次に、絶縁層2の上に、めっき法等によって、NiFe、FeAlSi等の磁性材料よりなる再生ヘッド用の第1のシールド層3を、所定のパターンに形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPという。)によって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。
次に、第1のシールド層3の上に、再生用のMR素子5を形成する。次に、図示しないが、MR素子5の2つの側部および第1のシールド層3の上面を覆うように絶縁膜を形成する。絶縁膜は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。次に、絶縁膜を介してMR素子5の2つの側部に隣接するように2つのバイアス磁界印加層6を形成する。次に、MR素子5およびバイアス磁界印加層6の周囲に配置されるように絶縁層7を形成する。絶縁層7は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。
次に、MR素子5、バイアス磁界印加層6および絶縁層7の上に、磁性材料からなる、再生ヘッド用の第2のシールド層8を形成する。第2のシールド層8は、例えばめっき法またはスパッタ法によって形成される。次に、第2のシールド層8の上に、スパッタ法等によって、アルミナ等の非磁性材料よりなる分離層18を形成する。次に、この分離層18の上に、例えばめっき法またはスパッタ法によって、磁性材料よりなる、記録ヘッド用の下部磁極層19を形成する。第2のシールド層8および下部磁極層19に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。なお、第2のシールド層8、分離層18および下部磁極層19の代わりに、下部磁極層を兼ねた第2のシールド層を設けてもよい。
次に、下部磁極層19の上に、スパッタ法等によって、アルミナ等の非磁性材料よりなる記録ギャップ層9を、例えば50〜300nmの厚みに形成する。次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイルの中心部分において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
次に、記録ギャップ層9の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。なお、図2において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を表している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層11のうちの後述する媒体対向面20側の斜面部分から媒体対向面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。上部磁極層12は、このトラック幅規定層12aと、後述する連結部分層12bおよびヨーク部分層12cとで構成される。
トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部と、絶縁層11の媒体対向面20側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層12cに接続される接続部とを有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時に、コンタクトホール9aの上に磁性材料よりなる連結部分層12bを形成すると共に、接続部10aの上に磁性材料よりなる接続層13を形成する。連結部分層12bは、上部磁極層12のうち、下部磁極層19に磁気的に連結される部分を構成する。
次に、磁極トリミングを行う。すなわち、トラック幅規定層12aの周辺領域において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および下部磁極層19の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図3に示したように、上部磁極層12の磁極部分、記録ギャップ層9および下部磁極層19の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層9の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層14を、例えば3〜4μmの厚みに形成する。次に、この絶縁層14を、例えばCMPによって、トラック幅規定層12a、連結部分層12bおよび接続層13の表面に至るまで研磨して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層14の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚みに形成する。なお、図2において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を表している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、トラック幅規定層12a、絶縁層14,16および連結部分層12bの上に、パーマロイ等の記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のヨーク部分を構成するヨーク部分層12cを形成する。ヨーク部分層12cの媒体対向面20側の端部は、媒体対向面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して下部磁極層19に接続されている。
次に、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層17を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドの媒体対向面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面20と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドの構成については、後で詳しく説明する。
記録ヘッドは、媒体対向面20側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層19および上部磁極層12と、この下部磁極層19の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層19および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10,15とを有している。この薄膜磁気ヘッドでは、図2に示したように、媒体対向面20から、絶縁層11の媒体対向面20側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、媒体対向面20から、2つの磁極層の間隔が大きくなり始める位置までの長さ(高さ)をいう。なお、図2および図3には、長手磁気記録方式用の記録ヘッドを示したが、本実施の形態における記録ヘッドは、垂直磁気記録方式用の記録ヘッドであってもよい。
次に、図1を参照して、再生ヘッドの構成について詳しく説明する。図1は再生ヘッドの媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態における再生ヘッドは、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5と、MR素子5の2つの側部および第1のシールド層3の上面を覆う絶縁膜4と、絶縁膜4を介してMR素子5の2つの側部に隣接する2つのバイアス磁界印加層6とを備えている。絶縁膜4は、例えばアルミナによって形成される。バイアス磁界印加層6は、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体等を用いて構成される。具体的には、バイアス磁界印加層6は、例えばCoPtやCoCrPtによって形成される。
本実施の形態における再生ヘッドは、CPP構造の再生ヘッドである。第1のシールド層3と第2のシールド層8は、センス電流を、MR素子5に対して、MR素子5を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流すための一対の電極を兼ねている。なお、第1のシールド層3および第2のシールド層8とは別に、MR素子5の上下に一対の電極を設けてもよい。MR素子5は、CPP−GMR素子である。MR素子5は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて抵抗値が変化する。センス電流は、MR素子5を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に流れる。MR素子5の抵抗値はセンス電流より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
MR素子5は、第1のシールド層3の上に順に積層された下地層21、反強磁性層22、固定層23、非磁性導電層24、フリー層25および保護層26を備えている。固定層23は磁化の方向が固定された層であり、反強磁性層22は、固定層23との交換結合により、固定層23における磁化の方向を固定する層である。下地層21は、その上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させ、特に、反強磁性層22と固定層23との交換結合を良好にするために設けられる。フリー層25は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層である。保護層26は、その下の各層を保護するための層である。
下地層21の厚さは、例えば2〜6nmである。下地層21としては、例えばTa層とRu層との積層体等が用いられる。
反強磁性層22の厚さは、例えば5〜30nmである。反強磁性層22は、例えば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ni、Cu、Ir、CrおよびFeからなる群のうちの少なくとも1種MIIと、Mnとを含む反強磁性材料により構成されている。このうちMnの含有量は35原子%以上95原子%以下、その他の元素MIIの含有量は5原子%以上65原子%以下であることが好ましい。この反強磁性材料には、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。この反強磁性層22は、そのどちらにより構成されていてもよい。非熱処理系反強磁性材料にはγ相を有するMn合金等があり、具体的には、RuRhMn、FeMnあるいはIrMn等がある。熱処理系反強磁性材料には規則結晶構造を有するMn合金等があり、具体的には、PtMn、NiMnおよびPtRhMn等がある。
なお、固定層23における磁化の方向を固定する層として、上記のような反強磁性層22の代わりに、CoPt等の硬磁性材料よりなる硬磁性層を設けてもよい。この場合には、下地層21の材料としては、Cr、CrTi、TiW等が用いられる。
固定層23では、反強磁性層22との界面における交換結合により、磁化の向きが固定されている。本実施の形態における固定層23は、反強磁性層22の上に順に積層されたアウター層31、非磁性中間層32およびインナー層33を有し、いわゆるシンセティック固定層になっている。アウター層31は、例えば、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む強磁性材料により構成された強磁性層を含んでいる。アウター層31とインナー層33は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。アウター層31の厚さは、例えば3〜7nmである。インナー層33の厚さは、例えば3〜10nmである。
非磁性中間層32の厚さは、例えば0.35〜1.0nmである。非磁性中間層32は、例えば、Ru、Rh、Ir、Re、Cr、ZrおよびCuからなる群のうち少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。この非磁性中間層32は、インナー層33とアウター層31の間に反強磁性交換結合を生じさせ、インナー層33の磁化とアウター層31の磁化とを互いに逆方向に固定するためのものである。なお、インナー層33の磁化とアウター層31の磁化が互いに逆方向というのは、これら2つの磁化の方向が互いに180°異なる場合のみならず、2つの磁化の方向が180°±20°異なる場合を含む。
インナー層33は、ホイスラー合金層33Hを含んでいる。ホイスラー合金層33Hについては、後で詳しく説明する。インナー層33は、その全体がホイスラー合金層33Hによって構成されていてもよい。あるいは、インナー層33は、非磁性中間層32とホイスラー合金層33Hとの間に配置された下地磁性層を含んでいてもよい。また、インナー層33は、ホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24との間に配置された中間磁性層を含んでいてもよい。下地磁性層や中間磁性層は、例えばCoFeによって構成される。ホイスラー合金層33Hの厚さは、例えば3〜7nmである。
非磁性導電層24の厚さは、例えば1.0〜4.0nmである。非磁性導電層24は、非磁性金属元素、例えばCu、AuおよびAgからなる群のうち少なくとも1種を80重量%以上含む非磁性の導電材料により構成されている。
フリー層25は、ホイスラー合金層25Hを含んでいる。このホイスラー合金層25Hについても、後で詳しく説明する。フリー層25は、その全体がホイスラー合金層25Hによって構成されていてもよい。あるいは、フリー層25は、非磁性導電層24とホイスラー合金層25Hとの間に配置された下地磁性層を含んでいてもよい。下地磁性層は、例えばCoFeによって構成される。また、フリー層25は、ホイスラー合金層25Hと保護層26との間に配置された磁性層を含んでいてもよい。この磁性層は、NiFe等の軟磁性材料によって構成される。フリー層25の厚さは、例えば2〜10nmであり、ホイスラー合金層25Hの厚さは、例えば2〜9nmである。
保護層26の厚さは、例えば0.5〜10nmである。保護層26としては、例えば、Ru層が用いられる。
本実施の形態に係るMR素子5の製造方法は、それぞれ、例えばスパッタ法によって下地層21、反強磁性層22、固定層23、非磁性導電層24、フリー層25および保護層26を形成する各工程を備えている。
次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドにおいて、バイアス磁界印加層6によるバイアス磁界の方向は、媒体対向面20に垂直な方向と直交している。MR素子5において、信号磁界がない状態では、フリー層25の磁化の方向は、バイアス磁界の方向に揃えられている。固定層23の磁化の方向は、媒体対向面20に垂直な方向に固定されている。
MR素子5では、記録媒体からの信号磁界に応じてフリー層25の磁化の方向が変化し、これにより、フリー層25の磁化の方向と固定層23の磁化の方向との間の相対角度が変化し、その結果、MR素子5の抵抗値が変化する。MR素子5の抵抗値は、第1および第2のシールド層3,8によってMR素子5にセンス電流を流したときのシールド層3,8間の電位差より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
次に、本実施の形態に係るMR素子5およびその製造方法の特徴について説明する。本実施の形態に係るMR素子5は、互いに反対側を向く第1の面(下面)および第2の面(上面)を有する非磁性導電層24と、非磁性導電層24の第1の面(下面)に隣接するように配置され、磁化の方向が固定された固定層23と、非磁性導電層24の第2の面(上面)に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層25とを備えている。MR素子5には、MR素子5を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子5を構成する各層の面に対して垂直な方向に、センス電流が流される。
本実施の形態における固定層23は、反強磁性層22の上に順に積層されたアウター層31、非磁性中間層32およびインナー層33を有している。インナー層33は、ホイスラー合金層33Hを含んでいる。また、フリー層25は、ホイスラー合金層25Hを含んでいる。
本実施の形態に係るMR素子5の製造方法において、固定層23を形成する工程は、それぞれ例えばスパッタ法を用いてアウター層31、非磁性中間層32およびインナー層33を形成する各工程を含んでいる。インナー層33を形成する工程は、ホイスラー合金層33Hを形成する工程を含んでいる。また、フリー層25を形成する工程は、ホイスラー合金層25Hを形成する工程を含んでいる。
インナー層33に含まれるホイスラー合金層33Hおよびフリー層25に含まれるホイスラー合金層25Hは、いずれも、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含んでいる。また、インナー層33とフリー層25の少なくとも一方は、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含んでいる。
本実施の形態におけるホイスラー合金は、XYZの化学組成を持つ。ここで、元素Xの原子は、単位格子の体心位置に配置される。本実施の形態において、元素Xは、磁性金属元素、すなわち、Fe,Co,Niの中から選択された1種以上の元素である。Yは、周期表上におけるTi族、V族、Cr族、Mn族の遷移元素およびFeの中から選択された1種以上の元素である。Zは、周期表上における第3周期から第5周期の典型元素の中から選択された1種以上の元素である。本実施の形態におけるホイスラー合金の一例としては、CoMnSi合金がある。また、本実施の形態におけるホイスラー合金の格子定数は、2.75〜2.85Åの範囲内である。
ホイスラー合金層33H,25Hに含まれる添加元素は、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素と親和性の高い元素であることが好ましい。具体的には、添加元素は、周期表上における5〜11族の元素の中から選択された1種以上の元素であることが好ましく、Cuおよび貴金属元素(Au,Ag,Pt,Pd,Rh,Ir,Ru,Os)の中から選択された1種以上の元素であることがより好ましい。特に、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素とホイスラー合金層33H,25Hに含まれる添加元素の親和性を高めるために、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素とホイスラー合金層33H,25Hに含まれる添加元素が、いずれも、Cuおよび貴金属元素の中から選択された1種以上の元素であることが好ましい。非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素とホイスラー合金層33H,25Hに含まれる添加元素は、同じ元素であってもよい。
本実施の形態において、ホイスラー合金層33H,25Hを形成する工程は、熱処理されることによりホイスラー合金層となる膜を形成する工程と、ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程とを含んでいる。ホイスラー合金層となる膜を形成する工程では、例えばスパッタ法によって、ホイスラー合金を構成する元素および添加元素を含む膜を形成する。ホイスラー合金層となる膜において、ホイスラー合金を構成する元素の総量に対する添加元素の割合は、2〜20原子%の範囲内であることが好ましい。熱処理は、ホイスラー合金層となる膜を所定の温度で加熱することによって、ホイスラー合金の結晶構造をB2構造またはL2構造に変化させる処理である。熱処理における上記の所定の温度は、例えば270〜350℃の範囲内である。
インナー層33に含まれるホイスラー合金層33Hを形成する工程における熱処理と、フリー層25に含まれるホイスラー合金層25Hを形成する工程における熱処理は、フリー層25に含まれるホイスラー合金層となる膜の形成後のいずれかの段階において、同時に行うことが好ましい。
ここで、一般的なフルホイスラー合金がとり得る結晶構造について図8ないし図10を参照して説明する。ここでは、本明細書の[背景技術]における説明と同様に、一般的なフルホイスラー合金の化学組成をXYZと表す。一般的なフルホイスラー合金がとり得る結晶構造は、L2構造、B2構造、A2構造の3つである。図8はL2構造を表している。図9はB2構造を表している。図10はA2構造を表している。L2構造、B2構造、A2構造のいずれも体心立方構造に類似している。
図8に示したL2構造では、単位格子の体心位置に元素Xの原子が配置され、単位格子の頂点位置には元素Yの原子と元素Zの原子が交互に規則的に配置される。
図9に示したB2構造では、単位格子の体心位置に元素Xの原子が配置され、単位格子の頂点位置には元素Yの原子または元素Zの原子が不規則に配置される。
図10に示したA2構造では、単位格子の体心位置と頂点位置のいずれにも、元素Xの原子または元素Yの原子または元素Zの原子が不規則に配置される。
L2構造、B2構造、A2構造のうち、L2構造とB2構造において大きなスピン分極率が発現する。
本実施の形態において、インナー層33とフリー層25の少なくとも一方は、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含んでいる。この領域は、ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程において、添加元素の原子が非磁性導電層24に向けて拡散することによって形成される。特に、ホイスラー合金層33H,25Hに含まれる添加元素が、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素と親和性の高い元素である場合には、上記の熱処理する工程において、上記の領域を容易に形成することができる。
なお、インナー層33が、ホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24との間に配置された中間磁性層を含んでいる場合には、インナー層33における上記の領域は、中間磁性層の少なくとも一部を含む領域となる。また、フリー層25が、非磁性導電層24とホイスラー合金層25Hとの間に配置された下地磁性層を含んでいる場合には、フリー層25における上記の領域は、下地磁性層の少なくとも一部を含む領域となる。
以上説明したように、本実施の形態では、MR素子5において、固定層23(インナー層33)およびフリー層25がそれぞれホイスラー合金層33H,25Hを含んでいる。ホイスラー合金層33H,25Hは、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含んでいる。
単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金では、高いキュリー温度を得ることができる。従って、本実施の形態では、磁気ヘッドに用いるのに適した実用的なMR素子5を実現することができる。
本実施の形態において、固定層23とフリー層25の少なくとも一方は、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含んでいる。これにより、本実施の形態によれば、後で示す実験結果から分かるように、固定層23およびフリー層25が上記のような領域を含まない場合に比べて、MR素子5のMR比を大きくすることができる。
固定層23とフリー層25の少なくとも一方が上記の領域を含むことによって、固定層23およびフリー層25が上記のような領域を含まない場合に比べて、MR素子5のMR比が大きくなる理由は、以下のように推測される。ホイスラー合金層となる膜が添加元素を含んでいない場合には、上記の領域は形成されない。ホイスラー合金層となる膜が添加元素を含んでいない場合には、ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程において、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素の原子がホイスラー合金層33H,25Hに向けて拡散する。このことが、MR素子のMR比を低下させる一因と考えられる。
これに対し、本実施の形態では、ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程において、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素の原子がホイスラー合金層33H,25Hに向けて拡散すると共に、ホイスラー合金層となる膜に含まれる添加元素の原子が非磁性導電層24に向けて拡散する。その結果、上記の領域が形成される。このように、本実施の形態では、ホイスラー合金層33H,25Hの非磁性導電層24側の面の近傍において、非磁性導電層24を構成する非磁性金属元素の原子のホイスラー合金層33H,25H側への拡散と添加元素の原子の非磁性導電層24側への拡散とが発生することが、ホイスラー合金層33H,25Hの非磁性導電層24側の面の粗さの低減やホイスラー合金層33H,25Hのうちの非磁性導電層24側の面の近傍における結晶構造の規則性の向上に寄与していると推測される。そして、これにより、添加元素が存在せず、上記の領域も存在しない場合に比べて、ホイスラー合金層33H,25Hのうちの非磁性導電層24側の面の近傍におけるスピン分極率が向上し、MR素子5のMR比が大きくなると考えられる。
また、本実施の形態では、ホイスラー合金層となる膜が添加元素を含んでいることから、ホイスラー合金層となる膜が添加元素を含んでいない場合に比べて、熱処理の温度を下げることが可能になる。熱処理の温度が高い場合には、熱処理の際に第1のシールド層3において結晶粒の粗大化が生じて第1のシールド層3の透磁率が低下したり、MR素子5の製造のスループットが低下したりする。本実施の形態によれば、これらの問題の発生を防止することができる。
次に、本実施の形態における効果を示す実験の結果について説明する。この実験では、MR素子の試料として、試料1〜6を作製した。下記の表1は、試料1〜6の膜構成を表している。試料1〜6において、インナー層33は、CoFeよりなる下地磁性層とホイスラー合金層33Hとによって構成され、フリー層25は、ホイスラー合金層25Hのみによって構成されている。
Figure 2007317824
試料1〜6では、試料毎に、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25(ホイスラー合金層25H)における添加元素と、非磁性導電層24の材料と、ホイスラー合金層となる膜に対する熱処理の有無が異なっている。これらの条件を、以下の表2を参照して説明する。試料1におけるインナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、ホイスラー合金を含むが添加元素を含まないホイスラー合金層によって構成されている。試料2〜6におけるインナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と表2に示す添加元素とを含むホイスラー合金層によって構成されている。試料1〜6におけるホイスラー合金は、いずれもCoMnSi合金である。試料1,3〜6における熱処理は、320℃で行った。
Figure 2007317824
実験では、試料1〜6について、二次イオン質量分析によって、インナー層33のホイスラー合金層33H、非磁性導電層24およびフリー層25における元素の濃度を分析した。その結果を、図11ないし図16に示す。図11ないし図16は、それぞれ、試料1〜6についての分析結果を示している。この分析では、フリー層25、非磁性導電層24、インナー層33のホイスラー合金層33Hの順に一次イオンで試料をスパッタしながら、二次イオンの強度を測定した。図11ないし図16において、横軸は、試料における厚み方向の位置に対応する一次イオンの照射時間を示し、縦軸は、元素の濃度に対応する二次イオンの強度を示している。図11ないし図16において、Cuについては二次イオン強度を3倍にして表し、Ag,Auについては二次イオン強度を30倍にして表している。また、図11ないし図16において、符号25,24,33Hを付して示した範囲は、それぞれ、フリー層25、非磁性導電層24、インナー層33のホイスラー合金層33Hの範囲を表している。また、実験では、試料1〜6のMR比を測定した。この試料1〜6のMR比を表2に示す。
試料1では、インナー層33のホイスラー合金層33Hおよびフリー層25が、添加元素を含まないホイスラー合金層によって構成されている。この試料1におけるMR比は5.0%であり、十分に大きいとは言えない。
試料2では、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と添加元素Agとを含むホイスラー合金層によって構成されている。しかし、試料2では、熱処理が行われていないため、MR比は、0.2%という非常に小さい値になっている。また、図12に示したように、試料2では、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25のいずれにおいても、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域は形成されていない。
試料3では、非磁性導電層24はCuによって構成され、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と添加元素Agとを含むホイスラー合金層によって構成されている。図13に示したように、試料3では、フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍において、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。また、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍においても、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。図13において、符号131,132を付した2つの点線は、それぞれ添加元素Agの濃度(二次イオン強度)の勾配を表している。図13に示した測定結果では、二次イオン強度に細かな変動が見られるが、この変動は測定誤差によるものである。フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍と、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍における添加元素Agの濃度の勾配は、符号131,132を付した2つの点線で示すようになっていると考えられる。試料3では、少なくともフリー層25において、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域133が形成されている。試料3のMR比は、9.0%という大きな値になっている。
試料4では、非磁性導電層24はCuによって構成され、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と添加元素Auとを含むホイスラー合金層によって構成されている。図14に示したように、試料4では、フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍において、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Auの濃度が大きくなる領域が形成されている。図14において、符号141を付した点線は、添加元素Auの濃度(二次イオン強度)の勾配を表している。図14に示した測定結果では、二次イオン強度に細かな変動が見られるが、この変動は測定誤差によるものである。フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍における添加元素Auの濃度の勾配は、符号141を付した点線で示すようになっていると考えられる。試料4では、少なくともフリー層25において、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素Auの濃度が大きくなる領域143が形成されている。試料4のMR比は、9.1%という大きな値になっている。
試料5では、非磁性導電層24はAgによって構成され、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と添加元素Agとを含むホイスラー合金層によって構成されている。図15に示したように、試料5では、フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍において、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。また、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍においても、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。図15において、符号151,152を付した2つの点線は、それぞれ添加元素Agの濃度(二次イオン強度)の勾配を表している。図15に示した測定結果では、二次イオン強度に細かな変動が見られるが、この変動は測定誤差によるものである。フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍と、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍における添加元素Agの濃度の勾配は、符号151,152を付した2つの点線で示すようになっていると考えられる。試料5では、フリー層25およびインナー層33のホイスラー合金層33Hにおいて、それぞれ、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域153,154が形成されている。試料5のMR比は、8.6%という大きな値になっている。
試料6では、非磁性導電層24はCuAgによって構成され、インナー層33のホイスラー合金層33Hとフリー層25は、それぞれ、ホイスラー合金と添加元素Agとを含むホイスラー合金層によって構成されている。図16に示したように、試料6では、フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍において、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。また、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍においても、この界面を含み、非磁性導電層24の厚み方向の中央に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域が形成されている。図16において、符号161,162を付した2つの点線は、それぞれ添加元素Agの濃度(二次イオン強度)の勾配を表している。図16に示した測定結果では、二次イオン強度に細かな変動が見られるが、この変動は測定誤差によるものである。フリー層25と非磁性導電層24の界面近傍と、インナー層33のホイスラー合金層33Hと非磁性導電層24の界面近傍における添加元素Agの濃度の勾配は、符号161,162を付した2つの点線で示すようになっていると考えられる。試料6では、フリー層25およびインナー層33のホイスラー合金層33Hにおいて、それぞれ、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素Agの濃度が大きくなる領域163,164が形成されている。試料6のMR比は、9.5%という大きな値になっている。
以上の実験結果から、固定層23(インナー層33)とフリー層25の少なくとも一方が、非磁性導電層24に隣接する領域であって、非磁性導電層24に近づくに従って添加元素の濃度が大きくなる領域を含むことにより、固定層23およびフリー層25が上記のような領域を含まない場合に比べて、MR素子5のMR比が大きくなることが分かる。
次に、本実施の形態における添加元素の割合の好ましい範囲を調べた実験の結果について説明する。この実験では、CoMnSiの組成のホイスラー合金と添加元素Agとを含むホイスラー合金層を作製し、ホイスラー合金層の磁化を測定した。ここでは、熱処理前の状態のホイスラー合金層となる膜における、ホイスラー合金を構成する元素の総量に対する添加元素Agの割合をAg添加量と呼ぶ。実験では、Ag添加量を表3に示したように異ならせた複数のホイスラー合金層となる膜を形成し、これらを400℃の温度で熱処理して、複数のホイスラー合金層を作製した。各ホイスラー合金層の磁化を表3に示す。また、これらのホイスラー合金層におけるAg添加量と磁化との関係を図17に示す。
Figure 2007317824
図17から分かるように、Ag添加量が2〜20原子%の範囲内ではホイスラー合金層の磁化はほぼ一定であるが、Ag添加量が20原子%を超えると、Ag添加量が多くなるほどホイスラー合金層の磁化が低下する。固定層23(インナー層33)やフリー層25に用いられるホイスラー合金層では、大きな磁化が必要である。この観点から、Ag添加量、すなわち、ホイスラー合金層となる膜における、ホイスラー合金を構成する元素の総量に対する添加元素Agの割合は、2〜20原子%の範囲内であることが好ましい。
なお、本実施の形態では、固定層23とフリー層25の両方がホイスラー合金層を含んでいる。しかし、固定層23とフリー層25の一方のみがホイスラー合金層を含んでいてもよい。この場合にも、上述の効果が得られる。
以下、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置について説明する。まず、図4を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。磁気ディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体である磁気ディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図2における基板1およびオーバーコート層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、磁気ディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面20が形成されている。磁気ディスクが図4におけるz方向に回転すると、磁気ディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図4におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によって磁気ディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図4におけるx方向は、磁気ディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図4における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図5は、本実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図6および図7を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係る磁気ディスク装置について説明する。図6は磁気ディスク装置の要部を示す説明図、図7は磁気ディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、磁気ディスク装置に組み込まれる。磁気ディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚の磁気ディスク262を有している。各磁気ディスク262毎に、磁気ディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共に磁気ディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係る磁気ディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210を磁気ディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210を磁気ディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、磁気ディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、磁気ディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明において、固定層23はシンセティック固定層に限らない。
また、各実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
また、読み取り専用として用いる場合には、薄膜磁気ヘッドを、再生ヘッドだけを備えた構成としてもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果素子は、薄膜磁気ヘッドにおける再生ヘッドに限らず、磁気センサ等の他の用途にも用いることができる。
本発明の一実施の形態における再生ヘッドの媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の平面図である。 L2構造を示す説明図である。 B2構造を示す説明図である。 A2構造を示す説明図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における効果を示す実験の結果を示す特性図である。 本発明の一実施の形態における添加元素の割合の好ましい範囲を調べた実験の結果を示す特性図である。
符号の説明
1…基板、2…絶縁層、3…第1のシールド層、4…絶縁膜、5…MR素子、6…バイアス磁界印加層、7…絶縁層、8…第2のシールド層、9…記録ギャップ層、10…薄膜コイルの第1層部分、12…上部磁極層、15…薄膜コイルの第2層部分、17…オーバーコート層、20…媒体対向面、21…下地層、22…反強磁性層、23…固定層、24…非磁性導電層、25…フリー層、25H…ホイスラー合金層、26…保護層、33…インナー層、33H…ホイスラー合金層。

Claims (7)

  1. 互いに反対側を向く第1および第2の面を有する非磁性導電層と、
    前記非磁性導電層の前記第1の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定された固定層と、
    前記非磁性導電層の前記第2の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備え、
    磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流される磁気抵抗効果素子であって、
    前記固定層とフリー層の少なくとも一方はホイスラー合金層を含み、
    前記ホイスラー合金層は、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含み、
    前記固定層とフリー層の少なくとも一方は、前記非磁性導電層に隣接する領域であって、前記非磁性導電層に近づくに従って前記添加元素の濃度が大きくなる領域を含むことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 互いに反対側を向く第1および第2の面を有する非磁性導電層と、
    前記非磁性導電層の前記第1の面に隣接するように配置され、磁化の方向が固定された固定層と、
    前記非磁性導電層の前記第2の面に隣接するように配置され、外部磁界に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備え、
    磁気的信号検出用の電流が、前記各層の面と交差する方向に流され、
    前記固定層とフリー層の少なくとも一方はホイスラー合金層を含み、
    前記ホイスラー合金層は、単位格子の体心位置に磁性金属元素の原子が配置されたホイスラー合金と、ホイスラー合金を構成しない非磁性金属元素である添加元素とを含み、
    前記固定層とフリー層の少なくとも一方は、前記非磁性導電層に隣接する領域であって、前記非磁性導電層に近づくに従って前記添加元素の濃度が大きくなる領域を含む磁気抵抗効果素子を製造する方法であって、
    前記固定層、非磁性導電層、フリー層を形成する各工程を備え、
    前記固定層を形成する工程と前記フリー層を形成する工程の少なくとも一方は、前記ホイスラー合金層を形成する工程を含み、
    前記ホイスラー合金層を形成する工程は、熱処理されることにより前記ホイスラー合金層となる膜を形成する工程と、前記ホイスラー合金層となる膜を熱処理する工程とを含み、
    前記熱処理によって、前記固定層とフリー層の少なくとも一方において、前記非磁性導電層に近づくに従って前記添加元素の濃度が大きくなる前記領域が形成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. 前記ホイスラー合金層となる膜において、前記ホイスラー合金を構成する元素の総量に対する前記添加元素の割合は、2〜20原子%の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  4. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1記載の磁気抵抗効果素子と、
    磁気的信号検出用の電流を、前記磁気抵抗効果素子に対して、磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向に流すための一対の電極と
    を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  5. 請求項4記載の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと
    を備えたことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  6. 請求項4記載の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
    前記スライダを記録媒体のトラック横断方向に移動させるためのアームと
    を備え、前記サスペンションが前記アームに取り付けられていることを特徴とするヘッドアームアセンブリ。
  7. 請求項4載の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを支持すると共に前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と
    を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
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