JP2009176400A - Cpp型磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置 - Google Patents

Cpp型磁気抵抗効果素子および磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁区構造の安定性に優れ、シールド層の影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることができる新規な素子構造を提供する。
【解決手段】第1のシールド層3および第2のシールド層5と、を有し、積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP構造の磁気抵抗効果素子で、第1のシールド層および第2のシールド層の少なくとも一方は、X−Y平面が、フロント枠構成部51と、バック枠構成部55とを有した窓枠形状体に形成されており、バック枠構成部の奥域長さは、フロント枠構成部の奥域長さよりも大きく、バック枠構成部は、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体を部分的に備え、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成し、フロント枠構成部の磁化を単磁区化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果素子、その磁気抵抗効果素子を備える薄膜磁気ヘッド、ならびにその薄膜磁気ヘッドを含むヘッドジンバルアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
薄膜磁気ヘッドは、読み出し用の磁気抵抗効果素子(MR素子)を有する再生ヘッドと、書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドと、を備えて構成される。
MR素子の代表的な要部構成としては、反強磁性層/第1の強磁性層/非磁性中間層/第2の強磁性層、の積層体構造が挙げられる。
第1の強磁性層の磁化方向は、隣接する反強磁性層によって一方向に固定されており磁化固定層とも呼ばれている。それに対して、第2の強磁性層の磁化方向は、外部磁場の変化に対して敏感に反応して磁化方向が変化するためにフリー層と呼ばれている。
また、上記MR素子の積層体を上下に挟み込むように、下部電極兼シールド層および上部電極兼シールド層(以下、単に、「シールド層」と称すこともある)がそれぞれ設けられ、隣接する記録データからの漏れ磁束をカットできるように構成されている。
MR素子の積層体の上下に配置されるシールド層は、軟磁性薄膜から構成され、一般に、MR素子のトラック幅方向と同一方向に磁化容易軸を有する還流磁区構造を形成するように構成される。この時、シールド層の磁区構造が安定に形成されず、ヘッド個体毎にばらつきが生じた場合、MR素子に印加されているバイアス状態(特に、フリー層に印加されているバイアス)もばらついてしまい、製造歩留まりの向上が妨げられるという問題が生じる。
磁気記録密度の増加に伴って、MR素子サイズも必然的に狭トラック化、狭リードギャップ化が要求されるようになっている。この狭リードギャップ化が進むにつれて、シールド層と、MR素子部を構成するフリー層の距離も著しく減少し、シールド層がMR素子部のバイアス状態により強く影響を与えるようになってきている。具体的には、外部磁場によりシールド層の磁区構造が変化することが生じてしまえば、MR素子としての出力変動が生じてしまう。すなわち、外部磁場耐性(耐磁場性)が悪化することとなる。
シールド層の磁区構造を安定にするために、特開平8−212521号公報では、磁気シールドに対し磁区安定化のための磁区制御層を設ける技術が開示されている。具体的には磁気シールドに対して反強磁性膜あるいは硬磁性膜を形成し、単一の磁化方向を有する単磁区構造を実現する方法が開示されている。
また、同様の効果を得る方法として、特開平8−169023号公報では、磁気シールドを、軟磁性膜と非磁性膜の積層体からなる多層膜構造とする事が開示されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも製造工程上、非常に難しく、実用性の観点で問題があった。具体的には、前者は、シールド層厚1μm程度に対して、反強磁性膜や硬磁性膜の交換結合を用いて単磁区化させる事は非常に難しい。後者も、単磁区化するための積層回数が非常に多くなり、現実性に乏しいと言える。
また、特開2007−242140号公報には、再生ヘッドのシールド部の平面形状を環状に形成するように構成し、シールド部の磁区構造を制御し、シールドの影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて、安定した出力を得るための技術の開示がなされている。
しかしながら、上記の提案に開示された技術の内容だけでは、シールド部の磁区構造の制御は十分なものとは言えず、さらに、シールドの影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることへの新規な技術の提案が要望されている。
特開2002−123912 特開2004−319709 特開2002−175611 特開平8−212521 特開2007−242140
このような実状のもとに、本願発明は創案されたものであって、その目的は、数千Å〜数μmオーダーのシールド層の単磁区化を容易かつ安定に実現でき、磁区構造の安定性に優れ、シールド層の影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることができる新規な素子構造を提案することにある。
上記課題を解決するために、本願発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層および上方に位置する第2のシールド層の少なくとも一方は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さは、前記フロント枠構成部の奥域長さよりも大きく形成されており、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記バイアス磁界印加層から流出される全磁束量をΦb、前記磁気抵抗効果素子部が位置するフロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦf(s)、とした場合、Φb/Φf(s)=0.3〜2.0の範囲に設定される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記バック枠構成部の奥域長さが、前記フロント枠構成部の奥域長さの1.4〜10倍であるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記非磁性ギャップ層は、前記バック枠構成部に埋設されており、当該非磁性ギャップ層に接してバイアス磁界印加層が形成されるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記上方に位置する第2のシールド層は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さY1は、前記フロント枠構成部の奥域長さY2よりも大きく形成されており(Y1>Y2)、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されており、前記下方に位置する第1のシールド層は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さY11は、前記フロント枠構成部の奥域長さY22よりも大きく形成されており(Y11>Y22)、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第2のシールド層において、前記バック枠構成部の奥域長さY1が、前記フロント枠構成部の奥域長さY2の1.4〜10倍であり、前記第1のシールド層において、前記バック枠構成部の奥域長さY11が、前記フロント枠構成部の奥域長さY22の1.4〜10倍であるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1および第2のシールド層において、各々の前記非磁性ギャップ層は、前記バック枠構成部に埋設されており、当該非磁性ギャップ層に接してバイアス磁界印加層が形成されるよう構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記第1のシールド層および第2のシールド層の厚さが、0.5〜2.0μmであり、バイアス磁界印加層の厚さが0.1〜0.3μmであるように構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記磁気抵抗効果部の幅方向(X方向)両端部には、フリーとして機能する第1の強磁性層または第2の強磁性層に、バイアス磁界を印加するための素子バイアス印加層が配置されて構成される。
また、本発明の磁気抵抗効果素子の好ましい態様として、前記バイアス磁界印加層および素子バイアス印加層は、一括同時に着磁操作され、幅方向(X方向)に着磁されて構成される。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された上記の磁気抵抗効果素子と、を有して構成される。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、上記の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、を備えてなるように構成される。
本発明の磁気ディスク装置は、上記の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、を備えて構成される。
本発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層および上方に位置する第2のシールド層の少なくとも一方は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さは、前記フロント枠構成部の奥域長さよりも大きく形成されており、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されているので、シールド層の単磁区化を容易かつ安定に実現でき、磁区構造の安定性に優れ、シールド層の影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の磁気抵抗効果素子は、薄膜磁気ヘッドの、特に再生ヘッドに好適に用いられる。
以下の本発明の説明において、各図面に示されるX軸方向の寸法を「幅」、Y軸方向の寸法を「長さ」、Z軸方向の寸法を「厚さ」とそれぞれ表記する。また、Y軸方向のうちのエアベアリング面(記録媒体と対向する薄膜磁気ヘッドの面)に近い側を「前方」、その反対側(奥域側)を「後方」と表記する。また、素子の積層膜を積み上げる方向を「上方」または「上側」、その反対方向を「下方」または「下側」と称する。
図1は、本発明の実施の形態における磁気抵抗効果素子のABS(Air Bearing Surface)から見た斜視図である。ABSとは、素子が記録媒体と対向する面(以下、媒体対向面ともいう)に相当する。本発明でいうABSは素子の積層構造が明瞭に観察できる位置での断面までを含む趣旨であり、例えば、厳密な意味での媒体対向面に位置しているDLC等の保護層(素子を覆う保護層)は必要に応じて省略して考えることができる。
図2は、図1における磁気抵抗効果素子を構成する一部材であって、上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層のみを取り出した状態を示す斜視図である。
図3は、図2のA−A断面矢視図である。
〔磁気抵抗効果素子の構造の説明〕
本発明の磁気抵抗効果素子は、図1に示されるように、磁気抵抗効果部8と、この磁気抵抗効果部8を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層3(下部シールド層3と呼ぶ場合もある)、および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層5(上部シールド層5と呼ぶ場合もある)とを有し構成されている。
そして、本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果部8の積層方向(Z方向)にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子である。
磁気抵抗効果部8は、非磁性中間層140と、この非磁性中間層140を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層130および第2の強磁性層150を有している。
本発明において、上方に位置する第2のシールド層5は、図1に示されるように素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されている。さらに、本発明の実施形態では、下方に位置する第1のシールド層3も、第2のシールド層5と同様に、窓枠形状体に形成されている。そして、図1における、第1のシールド層3および第2のシールド層5は、それぞれ、シールド層3,5に組み込まれたバイアス磁界印加層により、磁化方向が制御されている。
上方に位置する第2のシールド層5と下方に位置する第1のシールド層3は、双方、窓枠形状体に形成されていることが好ましいのであるが、上方に位置する第2のシールド層5もしくは下方に位置する第1のシールド層3のどちらか一方は、窓枠形状でなない通常の長方形の形状、例えば、平面形状(X−Y平面)寸法が30μm×15μm程度の長方形の形状とすることもできる。
以下、これらの本発明の各構成について詳細に説明する。
第1のシールド層3および第2のシールド層5の説明
本発明の実施形態における第1のシールド層3(下部シールド層3と呼ぶ場合もある)および第2のシールド層5(上部シールド層5と呼ぶ場合もある)は、それぞれ、
(1)外部磁界からの磁気シールド機能、および
(2)電極として機能、を有している。
上記(2)の機能は特になくてもよい。別途、新たな電極層を付加する形態を採用することにより対応可能であるからである。本発明で特に、強調すべきは、外部磁界からの磁気シールド機能を高め、耐磁場性を良好にするために、従来には見られない特殊な形態および構造を採択している点にある。以下、詳細に説明する。
本発明の実施例において、第1のシールド層3およびおよび第2のシールド層5は、同じ構造および形態から構成されている一つの実施態様が示されており、ここでは、まず、第2のシールド層5を代表させて、以下に説明していく。
本発明において、上方に位置する第2のシールド層5は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されている。別の表現をすれば、長方形の板から中央部に、略四角形状の窓を打抜いた形態をなしている。図2には、上方に位置する第2のシールド層5のみを抽出して描いた斜視図が示される。
第2のシールド層5の窓枠形状体は、図1や図2に示されるように、前方の媒体対向面(ABS)側であって、磁気抵抗効果部8が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部51と、このフロント枠構成部51の後方に略平行に配置されるバック枠構成部55とを有している。
バック枠構成部55の奥域長さY1は、フロント枠構成部51の奥域長さY2よりも大きく形成されている(Y1>Y2)。より好ましくは、バック枠構成部の奥域長さY1が、前記フロント枠構成部の奥域長さY2の1.4〜10倍となるように構成される。
バック枠構成部55とフロント枠構成部51とを繋いでいる側枠構成部53の幅Y3は、フロント枠構成部51の奥域長さY2よりも大きく形成されている(Y3>Y2)。より好ましくは、側枠構成部53の幅Y3が、前記フロント枠構成部51の奥域長さY2の1.2〜2.0倍となるように構成される。
これらの要件が必要となることは、後述する(1)シールドに形成されるバイアス磁界印加層156の成膜厚さと、第2のシールド層5の(フロント枠構成部51の)成膜厚さとの関係に端を発し、(2)最終的に、後述するバイアス磁界印加層156から流出される全磁束量Φbと、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)との関係、に起因するものでもある。
第2のシールド層5の後方に位置するバック枠構成部55は、図1〜図3に示されるように、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体を部分的に備えている。第2のシールド層5において、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体以外の部材は、透磁率の高い軟磁性材料から構成されており、これが、本願発明において「実質的に軟磁性からなる第2のシールド層5」と記載する理由である。
図2および図3に示されるように、非磁性ギャップ層155は、バック枠構成部55に埋設されており、この非磁性ギャップ層155に接してバイアス磁界印加層156が形成されている。図示の形態では、非磁性ギャップ層155の上にバイアス磁界印加層156が形成されている。また、図示の形態では、非磁性ギャップ層155により、第2のシールド層5の軟磁性部材が一部、分断されているが、図4や図5に示されるように、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との積層体によって、第2のシールド層5の軟磁性部材を一部分、分断するようにしてもよい。
本発明においては、非磁性ギャップ層155の作用が特に重要であり、非磁性ギャップ層155は、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部51側まで送り出す作用をするように設計配置されることが重要である。
もし、仮に、図3において、非磁性ギャップ層155を無くし、非磁性ギャップ層155の箇所が、第2のシールド層5の軟磁性部材に置換されているならば、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束の大部分は、置換された軟磁性部材の箇所を通って逆戻りをしてしまうという不都合が生じることがある。つまり、バイアス磁界印加層156から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部51側まで送り出す作用ができなくなってしまう。
このような観点から、本発明における非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との組合わせ体は、第2のシールド層5を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を単磁区化するように設計・構成される。非磁性ギャップ層155のX方向長さGpは、シールド膜厚Tf以上となるように設定することが好ましい。またバイアス磁界印加層156のX方向の長さは、バイアス磁界印加層156の膜厚Tbのおよそ5倍以上となるように設定することが好ましい。非磁性ギャップ層155のX方向長さGpおよびバイアス磁界印加層156のX方向の長さ、の双方の上限値は、それぞれ、シールド形状により規定され、中央部に打ち抜かれた略四角形状のおよそ幅d(図2)以下とすることが好ましい。
特に、本発明においては、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を単磁区化するために、バイアス磁界印加層156から流出される全磁束量をΦb、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦf(s)とした場合、Φb/Φf(s)の値は、0.3〜2.0の範囲、好ましくは、0.8〜2.0の範囲に設定される。
バイアス磁界印加層156から流出される全磁束量Φbは、バイアス磁界印加層156を構成する材料の残留磁束密度Brbと、バイアス磁界印加層156から流出する磁束の断面積Sbとの積として表される。つまり、Φb=Brb×Sbである。なお、断面積SbはY−Z平面であり、図2に示される厚さTb×奥域長さYbで(=Y1)表される(Sb=Tb×Yb)。
磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51の磁化を飽和させるための磁束の飽和量Φf(s)は、フロント枠構成部51を構成する材料の飽和磁束密度Bsfと、フロント枠構成部51の断面積Sfとの積として表される。つまり、Φf(s)=Bsf×Sfである。なお、断面積SfはY−Z平面であり、図2に示される厚さTf×奥域長さY2表される(Sf=Tf×Y2)。
第2のシールド層5の厚さと同じであるフロント枠構成部51の厚さTfは、0.5〜2.0μmとされる。この膜厚は、いわゆる磁気シールド機能を発揮するために必要な膜厚であり、当該膜は、いわゆるめっき法により形成される。
これに対して、バイアス磁界印加層156の厚さTbは、0.1〜0.3μmとされる。
当該バイアス磁界印加層156の膜はスパッタ法により成膜されるために、上限値を超えて厚くすることは経済的ロスが大きくなってしまい、また、下限未満とすることはバイアス磁界印加の本来の効果が発揮しにくくなってしまう。
このような膜厚Tf、Tbの違いのもとに、バイアス磁界印加層156から流出される磁束が、磁気抵抗効果素子部8が位置するフロント枠構成部51にまで到達することができ、かつ、フロント枠構成部51の磁化を単磁区化することが出来るまでに必要な磁束が得られるように、上記所望の数値要件を満たすことが必要となる。
なお、フロント枠構成部51の大きさの一例を挙げると、Y2=5μm、Tf=1μm、X方向幅=30μmである。
バイアス磁界印加層156は、例えば、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体が用いられる。具体的には、前者としてCoPtやCoCrPtを例示することができ、後者は、CoFeとIrMnとの積層体を例示することができる。
また、非磁性ギャップ層155としては、アルミナ、シリカ等の酸化物;アルミナナイトライド、シリコンナイトライド等の窒化物;Cr、Ta、NiCr、Au、Cu等の非磁性金属;を用いることができる。
また、非磁性ギャップ層155のとバイアス磁界印加層156との間には、下地層およびバッファ層を設けることが望ましい。つまり、好ましい態様として、非磁性ギャップ層155の上には、下地層、バッファ層が順次形成され、バッファ層の上に、バイアス磁界印加層156が形成される。
下地層は、主として、非磁性ギャップ層155の表面を平坦化させるために形成され、Ti、Ta等が用いられる。膜厚は、1〜5nm程度とされる。
バッファ層は、バイアス磁界印加層156の結晶性や配向性を向上させる目的で用いられる。バイアス磁界印加層156が硬磁性層(ハードマグネット)から構成される場合、バッファ層の材料としては、Cr、CrTi等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。また、バイアス磁界印加層156が強磁性層と反強磁性層との積層体から構成される場合、バッファ層の材料としては、Ru、NiCr等が用いられ、膜厚は2〜10nm程度とされる。
このような下地層やバッファ層は、双方、用いることが好適ではあるが、下地層やバッファ層のいずれか一方のみを用いてもよい。また、双方使用しない場合であってもよい。
第2のシールド層5の実質的に軟磁性からなる材料としては、NiFe(パーマロイ)、CoZrTa、センダスト、NiFeCo、CoZrNb等を例示することができる。
第1のシールド層3もまた、上述してきた第2のシールド層5と同様な形態から構成されることが望ましい。より確実に、シールドの影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることができるようにするためである。
すなわち、下方に位置する第1のシールド層3は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さY11(図2のY1に相当)は、前記フロント枠構成部の奥域長さY22(図2のY2に相当)よりも大きく形成されており(Y11>Y22)、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されるのがよい。
そのため、第1のシールド層3において、バイアス磁界印加層から流出される全磁束量をΦ´b、磁気抵抗効果素子部が位置するフロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦ´f(s)、とした場合、Φ´b/Φ´f(s)は、0.3〜2.0の範囲、好ましくは0.8〜2.0の範囲に設定される。
また、第1のシールド層3において、バック枠構成部の奥域長さY11(図2のY1に相当)が、前記フロント枠構成部の奥域長さY22(図2のY2に相当)の1.4〜10倍となるように構成される。
また、第1のシールド層3においても前述した第2のシールド層5で述べたのと同様な、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体の態様を採択することができる。
〔磁気抵抗効果部8の説明〕
本実施の形態における磁気抵抗効果素子は、図1に示されるように所定の間隔を開けて図面の上下に対向配置された第1のシールド層3および第2のシールド層5と、これら第1のシールド層3と第2のシールド層5との間に配置されたCPP構造の磁気抵抗効果素子部8と、磁気抵抗効果素子部8の2つの側部およびこの側部に沿って第1のシールド層3の上面の一部を覆う絶縁膜144と、絶縁膜144を介して磁気抵抗効果部8の両側部に隣接する2つの素子バイアス印加層160と、を有している。
磁気抵抗効果部8としては、巨大磁気抵抗(Giant Magneto-resistive)効果を用いたCPP−GMR素子部や、トンネル磁気抵抗(Tunnel-type Magneto-resistive)効果を用いたTMR素子部等が挙げられ、図1に示されるように、非磁性中間層140と、この非磁性中間層140を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層130および第2の強磁性層150を有し、構成される。
図1において、例えば、第1の強磁性層130は、磁化の方向が固定された磁化固定層130として機能するように構成されており、第2の強磁性層150は、外部からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化するよう作用するフリー層150として機能するように構成されている。
すなわち、図1において例示される磁気抵抗効果部8は、第1のシールド層3の上に下地層121を介して形成されたピンニング層としての反強磁性層122と、この反強磁性層122の上に形成された磁化固定層130と、この磁化固定層130の上に形成された非磁性中間層140と、この非磁性中間層140の上に形成されたフリー層150と、このフリー層150の上に形成されたキャップ層126(保護層126)が順次積層形成された多層膜として構成されている。
この多層膜は、第1のシールド層3と第2のシールド層5のABS側のフロント枠構成部によって挟持されており、第1のシールド層3と第2のシールド層5との間に電圧が印加されることによって、多層膜の厚さ方向にセンス電流が流れるようになっている。
以下、磁気抵抗効果部8を構成する各層について、さらに詳細に説明を行う。
(磁化固定層130の説明)
本発明における磁化固定層130は、第1のシールド層3の上に形成された下地層21を介して形成されたピンニング作用を果たす反強磁性層122の上に形成されている。
磁化固定層130は、単層膜あるいは積層膜のいずれの形態であってもよい。
好適な態様である積層膜の場合を例にとって説明すると、磁化固定層130は、反強磁性層122側から、アウター層、非磁性層、およびインナー層が順次積層された構成、すなわち、いわゆるシンセティックピンド層を形成するように構成される。アウター層およびインナー層は、例えば、CoやFeを含む強磁性材料から構成される。アウター層とインナー層は、反強磁性的に結合し、互いの磁化の方向が逆方向となるように固定されている。
アウター層およびインナー層は、例えば、Co70Fe30(原子%)の合金層とすることが好ましい。アウター層の厚さは、3〜7nm程度、インナー層の厚さは3〜10nm程度とすることが好ましい。非磁性層は、例えば、Ru,Rh,Ir,Re,Cr,Zr,Cuのグループから選ばれた少なくとも1種を含む非磁性材料から構成される。非磁性層の厚さは、例えば0.35〜1.0nm程度とされる。
(フリー層150およびキャップ層126の説明)
フリー層150は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層であり、保磁力が小さい強磁性層(軟磁性層)により構成される。フリー層150の厚さは、例えば2〜10nm程度とされる。単層のみで構成することもできるが、積層された複数の強磁性層を含んだ多層膜としてもよい。
このようなフリー層150の上には、図1に示されるごとく、例えばTaやRu層からなるキャップ層126(保護層126)が形成される。その厚さは、0.5〜20nm程度とされる。
(非磁性中間層140の説明)
本発明における素子としては、いわゆるCPP−GMR素子およびTMR素子が好適例となっている。そのため、非磁性中間層140は、例えば、Al2X、MgO、Cu、Au、Ag、ZnO、TiOX、SiO2、HfOX、ZrOX等のグループから選択された1種の材料から構成される。その厚さは、1.0〜3.0nm程度とされる。
(反強磁性層122の説明)
ピンニング層として機能する反強磁性層122は、上述したように磁化固定層130との交換結合により、磁化固定層130の磁化の方向を固定するように作用している。
反強磁性層122は、例えば、Pt,Ru,Rh,Pd,Ni,Cu,Ir,CrおよびFeのグループの中から選ばれた少なくとも1種からなる元素M´と、Mnとを含む反強磁性材料から構成される。Mnの含有量は35〜95原子%とすることが好ましい。反強磁性材料の中には、(1)熱処理しなくても反強磁性を示して強磁性材料との間で交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、(2)熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。本発明においては(1)、(2)のいずれのタイプを用いても良い。非熱処理系反強磁性材料としては、RuRhMn,FeMn、IrMn等が例示できる。熱処理系反強磁性材料としては、PtMn,NiMn,PtRhMn等が例示できる。
反強磁性層122の厚さは、4〜30nm程度とされる。
なお、磁化固定層130の磁化の方向を固定するための層として、上記反強磁性層に代えてCoPt等の硬磁性材料からなる硬磁性層を設けるようにしてもよい。
また、反磁性層122の下に形成されている下地層121は、その上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させるための層であり、特に、反強磁性層122と磁化固定層130との交換結合を良好にするために設けられる。このような下地層121としては、例えばTa層とNiCr層との積層体が用いられる。下地層121の厚さは、例えば2〜6nm程度とされる。
さらに、図1に示される絶縁層144を構成する材料としては、例えばアルミナが用いられる。素子バイアス印加層160としては、例えば、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体が用いられ、具体的には、CoPtやCoCrPtを例示することができる。
なお、本発明においては、図1に示されるように、素子バイアス印加層160の着磁方向と、シールド層のバック枠構成部55に形成されているバイアス磁界印加層156との着磁方向は、幅方向(X方向)の同一方向とすることができる。そのため、これらのバイアス層160、156の着磁は、一括で同時に着磁操作することができ、製造プロセスの簡便性を考慮すると、大きなメリットとなっている。
〔薄膜磁気ヘッドの全体構造についての説明〕
図6には、いわゆるエアベアリング面(ABS)に平行な薄膜磁気ヘッドの断面図(Y−Z平面での断面)が示されている。
図6に示される薄膜磁気ヘッド100は、媒体進行方向Mに移動する例えばハードディスクなどの記録媒体10に磁気的な処理を施すために、例えばハードディスクドライブなどの磁気記録装置に搭載されて使用される。
図面に例示されている薄膜磁気ヘッド100は、磁気的処理として記録処理および再生処理の双方を実行可能ないわゆる複合型ヘッドであり、その構造は、図6に示されるように、例えばアルティック(Al23・TiC)などのセラミック材料より構成されたスライダ基板1の上に、磁気ヘッド部101が形成された構成を有している。
磁気ヘッド部101は、磁気抵抗(MR:Magneto-Resistive)効果を利用して記録された磁気情報の再生処理を行う再生ヘッド部100Aと、例えば、垂直記録方式の記録処理を実行するシールド型の記録ヘッド部100Bとが、積層された構成を有している。
以下さらに詳細に説明する。
第1のシールド層3と第2のシールド層5は、スライダ基板1の側面1aに略平行となるように形成された平面的な層であり、また、これらの層3、5は、媒体対向面70であるABSの一部を形成している。
磁気抵抗効果部8は、第1のシールド層3および第2のシールド層5に挟まれるように配置されており、媒体対向面70の一部を形成している。そして、媒体対向面70に垂直方向(Y方向)のハイトがMRハイト(MR−h)となる。
第1のシールド層3および第2のシールド層5は、例えば、フレームめっき法を含むパターンめっき等によって形成される。なお、図面では明示してないが、第1のシールド層3および第2のシールド層5は、上述してきた本発明の作用効果を発現するように構成されている必要がある。
磁気抵抗効果部8は、スライダ基板1の側面1aに略平行となるように形成された積層膜であり、媒体対向面70の一部を構成している。
磁気抵抗効果部8は、例えば、その積層面と垂直方向にセンス電流が流れる膜面垂直型(CPP(Current Perpendicular to Plane))の積層膜であり、トンネル磁気抵抗効果(TMR(Tunnel Magneto Resistance))膜や、CPP型GMR(Giant Magneto Resistance)膜を好適に用いることができる。磁気抵抗効果部8としてこのような磁気抵抗効果膜を用いることで、非常に高い感度で磁気ディスクからの信号磁界を感受することが可能となる。
磁気抵抗効果部8として、TMR素子を用いる場合、反強磁性層、磁化固定層、トンネルバリア層および磁化自由層(フリー層)が、順次積層された構造を備えている。反強磁性層としては、IrMn、PtMn、NiMn、RuRhMn等からなる厚さ5〜15nm程度の膜が用いられる。磁化固定層としては、例えば、強磁性材料であるCoFeなどや、あるいはRu等の非磁性金属層を2層のCoFe等で挟んだ、いわゆるシンセティックピンド層構成のものが例示できる。トンネルバリア層としては、例えばAl、AlCu、Mg等からなる厚さ0.5〜1nm程度の金属膜を酸化させた膜が用いられる。酸化方法としては、例えば真空装置内に導入された酸素によって酸化させてもよいし、あるいは自然酸化によって酸化させたものでもよい。磁化自由層(フリー層)は、例えば、強磁性材料である厚さ1nm程度のCoFe等と、厚さ3〜4nm程度のNiFe等との2層膜から構成される。磁化自由層(フリー層)は、トンネルバリア層を介して磁化固定層との間でトンネル接合をなしている。磁気抵抗効果部8として、いわゆるCPP型GMR膜を用いる場合、上述のTMR膜におけるトンネルバリア層を、Cu等からなる厚さ1〜3nm程度の非磁性導電層に置換させた構造とされる。
また、図6に示されるように、第1のシールド層3と磁気抵抗効果部8の間、および磁気抵抗効果部8と第2のシールド層5の間には、それぞれ、下部メタルギャップ層(下地層)121および上部メタルギャップ層(キャップ層)126が設けられている。これらの各層121、126は、例えば、RuやTa等の非磁性材料から構成される。
また、図6に示されるように、第2のシールド層5と記録ヘッド部100Bとの間には、第2のシールド層5と同様の材料からなる素子間シールド層9が形成されている。
素子間シールド層9は、センサーとして機能する磁気抵抗効果部8を、記録ヘッド部100Bより発生する磁界から遮断して、読み出しの際の外来ノイズを防止する役割を果たしている。また、素子間シールド層9と記録ヘッド部100Bとの間に、さらにバッキングコイル部が形成されていてもよい。バッキングコイル部は、記録ヘッド部100Bから発生して磁気抵抗効果部8の上下電極層を経由する磁束ループを打ち消す磁束を発生させるものであり、磁気ディスクへの不要な書き込み、または消去動作である広域隣接トラック消去(WATE)現象の抑制を図るように作用する。
磁気抵抗効果部8の媒体対向面70とは反対側の第1および第2シールド層3、5の間隙;並びに第1および第2シールド層3、5、および素子間シールド層9の媒体対向面70とは反対側である後方部位;並びに第1のシールド層3とスライダ基板1との間隙;並びに素子間シールド層9と記録ヘッド部100Bとの間隙、にはそれぞれアルミナ等から形成された絶縁層4、44が形成されている。
記録ヘッド部100Bは、垂直磁気記録用として構成されることが好ましく、図6に示されるように、主磁極層15、ギャップ層18、コイル絶縁層26、コイル層23、および補助磁極層25を有している。
主磁極層15は、コイル層23によって誘導された磁束を、書き込みがなされる磁気記録媒体10の記録層まで収束させながら導くための導磁路として構成される。ここで主磁極層15の媒体対向面70側の端部において、トラック幅方向(図6のX軸に沿った方向)の幅、および積層方向(図6のZ軸に沿った方向)の厚さは、他の部分に比べて小さくすることが好ましい。この結果、高記録密度化に対応した微細で強い書き込み用磁界を発生させることが可能となる。
主磁極層15に磁気的に結合した補助磁極層25の媒体対向面70側の端部は、補助磁極層25の他の部分よりも層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。図6に示されるように、補助磁極層25は、アルミナ等の絶縁材料により形成されたギャップ層18、およびコイル絶縁層26を介在させて、主磁極層15の媒体対向面70側の端部と対向配置されている。
このような補助磁極層25を設けることによって、媒体対向面70近傍における補助磁極層25と主磁極層15との間において磁界勾配をより急峻にさせることができる。この結果、信号出力のジッタが小さくなって読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
補助磁極層25は、例えば、フレームめっき法、スパッタリング法等を用いて、例えば、厚さ約0.5〜5μmに形成される。使用材料としては、例えば、Ni、FeおよびCoのうち、いずれか2つ若しくは3つからなる合金を用いたり、あるいは、これらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成される。
ギャップ層18は、コイル層23と主磁極層15とを離間させるように形成される。ギャップ層18は、例えばスパッタリング法、CVD法等を用いて形成された、例えば、厚さ0.01〜0.5μm程度のAl23、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等から構成される。
〔ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置についての説明〕
次いで、上述してきた薄膜ヘッドが搭載されて使用されるヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置の一例について説明する。
まず、図7を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に基板およびオーバーコートからなる基体211を備えている。
基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、媒体対向面70が形成されている。
ハードディスクが図7におけるz方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図7におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図7におけるx方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。
スライダ210の空気流出側の端部(図7における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドが形成されている。
次に、図8を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。
ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図8は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に図9および図10を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係るハードディスク装置について説明する。
図9はハードディスク装置の要部を示す説明図、図10はハードディスク装置の平面図である。
ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。
ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応しスライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係るハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
また、実施の形態では、基体側に再生ヘッド部を形成し、その上に、垂直記録ヘッド部を積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。また、再生専用の薄膜ヘッドとして用いる場合には、再生ヘッド部だけを備えた構成としてもよい。
以下に、本発明の磁気抵抗効果素子に関する具体的実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実験例1)
図1に示される形態であって、かつ、下記表1に示されるような構成からなる磁気抵抗効果素子の実験用サンプルを作製した。
すなわち、下記表1に示されるように、実質的にNiFe(飽和磁束密度Bs=1T)からなる第1のシールド層3の上に、表1に示される積層構成からなる磁気抵抗効果部8を形成し、この磁気抵抗効果部8の上に、実質的にNiFe(飽和磁束密度Bs=1T)からなる第2のシールド層5を形成した。
第1のシールド層3および第2のシールド層5は、それぞれ、同じ形態で同じ寸法とした。
第2のシールド層5を代表にとって説明すると、第2のシールド層5は、厚さ1μm(Z軸方向の寸法)、幅30μm(X軸方向の寸法)、Y軸方向の寸法である長さはバック枠構成部55の奥域長さY1を考慮して任意の長さ、からなる長方形の板から、中央部に、略四角形状(15μm×10μm)の窓を打抜いた形態である窓枠形状体とした。
磁気抵抗効果部8が近接して形成されている第2のシールド層5のフロント枠構成部51の奥域長さY2は、5μmとした(Y2=5μm)。なお、側枠構成部53の幅Y3は、7.5μmとした。
第2のシールド層5のバック枠構成部55に、図1〜図3に示されるごとく非磁性ギャップ層155およびバイアス磁界印加層156との組合わせ体を形成した。なお、非磁性ギャップ層155とバイアス磁界印加層156との間には、非磁性ギャップ層155側から、Taからなる下地層(厚さ3nm)およびCrTiからなるバッファ層(厚さ5nm)を介在させた。
非磁性ギャップ層155およびバイアス磁界印加層156の奥域長さYbは、バック枠構成部55の奥域長さY1と、同じとした。非磁性ギャップ層155のX方向の幅Gpは、10μmとした。バイアス磁界印加層156のX方向の幅も同じく10μmとした。
非磁性ギャップ層155は、アルミナから構成した。
バイアス磁界印加層156は、CoCrPt(残留磁束密度Br=1T)の硬磁性材料をスパッタ法により厚さ0.2μmに成膜して構成した。
非磁性ギャップ層155およびバイアス磁界印加層156との組合わせ体に相当する
箇所の構成は、下記表1−2を参照のこと。
Figure 2009176400
Figure 2009176400
なお、フリー層にバイアスを印加するための素子バイアス印加層160は、CrTi/CoCrPtから形成した。
バイアス磁界印加層156の奥域長さYb(バック枠構成部55の奥域長さY1と同じ)を、1〜50μmの間で種々変えることによって、第2のシールド層5におけるΦb/Φf(s)(第1のシールド層3におけるΦ´b/Φ´f(s)の値を変え、この値が、長手方向(X方向)における耐磁場性に与える影響を調べた。
(長手方向の耐磁場性評価方法)
再生磁気ヘッドの200素子に対して、バーQST(Quasi-Static-Test)を±500 Oeにて行い、出力Ampbeforeを調べた。
次いで、再生磁気ヘッドの200素子に対して、長手方向に対するストレス磁界500 Oeを印加した。
その後、200素子に対して、バーQST(Quasi-Static-Test)を±500 Oeにて行い、出力Ampafterを調べた。
Ampafterと、Ampbeforeの値を用いて、出力変動を下記のように定義し、出力変動が±10%の範囲を外れる素子(ー10%〜+10%の範囲外であった素子)を不良素子として判定した。
出力変動=(Ampafter−Ampbefore)/Ampbefore×100 (%)
不良の発生割合を不良率(%)として、表示した。
結果を下記表2に示した。
Figure 2009176400
なお、比較例1−4*は、従来より一般的に使用されているシールドであって、平面形状が30μm×15μmの長方形形状で、厚さ1μmの長方形シールドを用いた。
表1に示される結果より、本願発明の範囲内のものは、過酷な測定条件の下、従来例である比較例に比べて、不良率発生が低減されていることがわかる。
(実験例2)
上記実験例1の実施例1−5サンプルにおいて、第1のシールド層3および第2のシールド層5のバック枠構成部に部分的に用いた非磁性ギャップ層155をNiFeに変えて、比較例2−5*サンプルを作製した。つまり、比較例2−5*サンプルは、図3において、非磁性ギャップ層155の部分が透磁率の高いシールド材料で構成されており、連続したNiFe材料からなる窓枠形状体の一部にバイアス磁界印加層156が形成された形態をなしている(JP特開2007−242140の図3と類似する形態)。
この比較例2−5*サンプルについて、上記の要領で不良率(%)を求め、実施例1−5サンプルの不良率(%)と比較した。結果を下記表3に示した。
Figure 2009176400
(実験例3)
上記実験例1の実施例1−5サンプルにおいて、第1のシールド層3および第2のシールド層5のバック枠構成部に部分的に用いた非磁性ギャップ層155をバイアス磁界印加層156に置換して、比較例3−5*サンプルを作製した。つまり、比較例3−5*サンプルは、図3において、非磁性ギャップ層155の部分がバイアス磁界印加層156となる(JP特開2007−242140の図4と類似する形態)。
この比較例3−5*サンプルについて、上記の要領で不良率(%)を求め、実施例1−5サンプルの不良率(%)と比較した。結果を下記表4に示した。
Figure 2009176400
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
すなわち、本発明は、磁気抵抗効果部と、前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、前記下方に位置する第1のシールド層および上方に位置する第2のシールド層の少なくとも一方は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、前記バック枠構成部の奥域長さは、前記フロント枠構成部の奥域長さよりも大きく形成されており、前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されているので、シールド層の単磁区化を容易かつ安定に実現でき、磁区構造の安定性に優れ、シールド層の影響による再生ヘッドの出力バラツキを抑えて安定した出力を得ることができる。
本発明の産業上の利用可能性として、本発明は、磁気記録媒体等の磁界強度を信号として読み取るための磁気抵抗効果素子を備える磁気ディスク装置の産業に利用できる。
図1は、本発明の実施の形態における磁気抵抗効果素子のABS(Air Bearing Surface)から見た斜視図である。 図2は、図1における磁気抵抗効果素子を構成する一部材であって、上方に位置する第2のシールド層を、取り出した状態を示す斜視図である。 図3は、図2のA−A断面矢視図である。 図4は、図3の変形例を示す図面である。 図5は、図3の変形例を示す図面である。 図6は、いわゆるエアベアリング面(ABS)に平行な薄膜磁気ヘッドの断面図を示したものである。 図7は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 図8は、本発明の一実施の形態におけるヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 図9は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の要部を示す説明図である。 図10は、本発明の一実施の形態におけるハードディスク装置の平面図である。
符号の説明
3…第1のシールド層
5…第2のシールド層
8…磁気抵抗効果部
51…フロント枠構成部
55…バック枠構成部
130…第1の強磁性層
140…非磁性中間層
150…第2の強磁性層
155…非磁性ギャップ層
156…バイアス磁界印加層

Claims (13)

  1. 磁気抵抗効果部と、
    前記磁気抵抗効果部を上下に挟むようにして配置形成され、下方に位置する実質的に軟磁性からなる第1のシールド層および上方に位置する実質的に軟磁性からなる第2のシールド層と、を有し、この積層方向にセンス電流が印加されてなるCPP(Current Perpendicular to Plane)構造の磁気抵抗効果素子であって、
    前記磁気抵抗効果部は、非磁性中間層と、この非磁性中間層を挟むようにして積層形成される第1の強磁性層および第2の強磁性層とを有し、
    前記下方に位置する第1のシールド層および上方に位置する第2のシールド層の少なくとも一方は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、
    前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、
    前記バック枠構成部の奥域長さは、前記フロント枠構成部の奥域長さよりも大きく形成されており、
    前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、
    前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、
    前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記バイアス磁界印加層から流出される全磁束量をΦb、前記磁気抵抗効果素子部が位置するフロント枠構成部の磁化を飽和させるための磁束の飽和量をΦf(s)、とした場合、Φb/Φf(s)=0.3〜2.0の範囲に設定される請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記バック枠構成部の奥域長さが、前記フロント枠構成部の奥域長さの1.4〜10倍である請求項1または請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記非磁性ギャップ層は、前記バック枠構成部に埋設されており、当該非磁性ギャップ層に接してバイアス磁界印加層が形成されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記上方に位置する第2のシールド層は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、
    前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、
    前記バック枠構成部の奥域長さY1は、前記フロント枠構成部の奥域長さY2よりも大きく形成されており(Y1>Y2)、
    前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、
    前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、
    前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成されており、
    前記下方に位置する第1のシールド層は、素子の幅方向と長さ方向で規定される平面形状(X−Y平面)が、窓枠形状体に形成されており、
    前記窓枠形状体は、前方の媒体対向面側であって、磁気抵抗効果部が位置する近傍に配置されるフロント枠構成部と、このフロント枠構成部の後方に配置されるバック枠構成部とを有し、
    前記バック枠構成部の奥域長さY11は、前記フロント枠構成部の奥域長さY22よりも大きく形成されており(Y11>Y22)、
    前記バック枠構成部は、非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体を部分的に備え、
    前記非磁性ギャップ層は、前記バイアス磁界印加層から発せられる磁束を、効率よく前記フロント枠構成部側まで送り出す作用をするように設計配置されており、
    前記非磁性ギャップ層とバイアス磁界印加層との組合わせ体は、前記第1のシールド層を構成する窓枠形状体を磁束がぐるりと回る閉磁路を形成するとともに、前記フロント枠構成部の磁化を単磁区化するように構成される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第2のシールド層において、前記バック枠構成部の奥域長さY1が、前記フロント枠構成部の奥域長さY2の1.4〜10倍であり、
    前記第1のシールド層において、前記バック枠構成部の奥域長さY11が、前記フロント枠構成部の奥域長さY22の1.4〜10倍である請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第1および第2のシールド層において、各々の前記非磁性ギャップ層は、前記バック枠構成部に埋設されており、当該非磁性ギャップ層に接してバイアス磁界印加層が形成されている請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第1のシールド層および第2のシールド層の厚さが、0.5〜2.0μmであり、バイアス磁界印加層の厚さが0.1〜0.3μmである請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記磁気抵抗効果部の幅方向(X方向)両端部には、フリーとして機能する第1の強磁性層または第2の強磁性層に、バイアス磁界を印加するための素子バイアス印加層が配置される請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記バイアス磁界印加層および素子バイアス印加層は、一括同時に着磁操作され、幅方向(X方向)に着磁されてなる請求項9に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1ないし請求項10のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子と、
    を有してなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  12. 請求項11に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと、
    を備えてなることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  13. 請求項11に記載された薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを支持するとともに前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と、
    を備えてなることを特徴とする磁気ディスク装置。
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