JP3818592B2 - 磁気抵抗効果装置およびその製造方法、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリならびにハードディスク装置 - Google Patents

磁気抵抗効果装置およびその製造方法、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリならびにハードディスク装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気的信号読み出しのための磁気抵抗効果素子を備えた磁気抵抗効果装置およびその製造方法、ならびに磁気抵抗効果装置を含む薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置に関する。
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
MR素子としては、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magnetoresistive)効果を用いたAMR素子や、巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistive)効果を用いたGMR素子や、トンネル磁気抵抗(Tunnel-type Magnetoresistive)効果を用いたTMR素子等がある。
再生ヘッドの特性としては、高感度および高出力であることが要求される。この要求を満たす再生ヘッドとして、既に、スピンバルブ型GMR素子を用いたGMRヘッドが量産されている。このGMRヘッドにおいて、GMR素子は下部シールド層と上部シールド層との間に挿入されている。上下の各シールド層の材料としては、NiFe、FeAlSi等の金属磁性材料が用いられる。
従来のGMRヘッドでは、磁気的信号検出用の電流(以下、センス電流という。)を、GMR素子を構成する各膜の面に対して平行な方向に流す構造になっていた。このような構造は、CIP(Current In Plane)構造と呼ばれる。このCIP構造のGMRヘッドでは、GMR素子と上下の各シールド層との間は絶縁膜によって絶縁される。そのため、CIP構造のGMRヘッドでは、線記録密度を高めるために上下のシールド層の間隔を短くしていくと、上記絶縁膜が薄くなり、GMR素子とシールド層との間の絶縁を保つことが難しくなるという問題点があった。
そこで、センス電流を、GMR素子を構成する各膜の面に対して垂直な方向に流す構造のGMRヘッドも提案されている。このような構造は、CPP(Current Perpendicular to Plane)構造と呼ばれる。CPP構造のGMRヘッドでは、GMR素子とシールド層との間を絶縁する必要がない。そのため、CPP構造のGMRヘッドでは、上述の問題は生じない。また、TMR素子を用いたTMRヘッドもCPP構造となる。
ところで、MR素子の特性は、MR素子を構成する膜の結晶性や配向性の影響を受ける。そのため、MR素子の下には、MR素子を構成する膜の結晶性や配向性を向上させるための下地層が設けられることが多い。CPP構造のヘッドにおいて、この下地層を設ける場合には、金属磁性材料よりなる下部シールド層の上に、下地層を介して、MR素子を構成する膜が形成されることになる。
特許文献1および特許文献2には、それぞれCPP構造のGMRヘッドが記載されている。特許文献1に記載されたGMRヘッドでは、下部シールド層の上に、絶縁ギャップ層を介して、あるいは直接、導体層が形成され、この導体層の上にスピンバルブ型GMR素子が形成されている。導体層の材料は、Rh、Al、Au、TaあるいはAg、またはこれらの合金を含んでいる。
特許文献2に記載されたGMRヘッドでは、下部シールド層の上に、下部金属層を介してスピンバルブ型GMR素子が形成されている。下部金属層は、例えば、Ta層と、その上に形成されたNiFe層とで構成されている。
特表平11−509956号公報 特開2003−60262号公報
特許文献1に記載されているように、CPP構造のヘッドにおいて、下部シールド層の上に、Rh、Al、Au、Ta、Ag等よりなる1層の導体層を介して、MR素子を形成した場合には、MR素子を構成する膜として、結晶性や配向性に優れた膜を形成することが困難であった。これは、上記導体層の表面の濡れ性が悪いためと考えられる。
また、特許文献2に記載されているように、CPP構造のヘッドにおいて、下部シールド層の上に、Ta層とNiFe層の2層構造の下部金属層を介してMR素子を形成した場合には、MR素子を構成する膜として、結晶性や配向性に優れた膜を形成することが可能であった。しかし、この場合には、磁気抵抗変化率(以下、MR比という。)等のMR素子の特性を向上させることが困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気抵抗効果素子を構成する膜の結晶性や配向性を向上させることによって、特性を向上させることができるようにした磁気抵抗効果装置およびその製造方法、ならびに磁気抵抗効果装置を含む薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置を提供することにある。
本発明の磁気抵抗効果装置は、所定の間隔を開けて配置された第1および第2のシールド層と、第1のシールド層と第2のシールド層との間に配置された磁気抵抗効果素子と、第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層とを備えている。下地層、磁気抵抗効果素子および第2のシールド層は第1のシールド層に積層されている。下地層は、一方の面が第1のシールド層に直接、あるいは第1の導電層を介して接する第1の層と、一方の面が第1の層の他方の面に接すると共に、他方の面が磁気抵抗効果素子に直接、あるいは第2の導電層を介して接する第2の層とを含んでいる。第1の層の材料はTa(タンタル)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)のうちの少なくとも1種を含む。第2の層の材料はNi(ニッケル)およびCr(クロム)を含む合金である。
本発明の磁気抵抗効果装置では、第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層が、上記の材料よりなる第1の層と第2の層とを含むことにより、磁気抵抗効果素子を構成する膜の結晶性や配向性が向上し、その結果、磁気抵抗効果装置の特性が向上する。
本発明の磁気抵抗効果装置において、第1の層の一方の面は第1のシールド層に直接接し、第2の層の他方の面は磁気抵抗効果素子に直接接し、第1のシールド層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置において、第1の層の一方の面は第1の導電層を介して第1のシールド層に接し、第2の層の他方の面は磁気抵抗効果素子に直接接し、第1の導電層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置において、第1の層の一方の面は第1のシールド層に直接接し、第2の層の他方の面は第2の導電層を介して磁気抵抗効果素子に接し、第2の導電層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置において、磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子であってもよいし、トンネル磁気抵抗効果を用いるものであってもよい。
本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法は、所定の間隔を開けて配置された第1および第2のシールド層と、第1のシールド層と第2のシールド層との間に配置された磁気抵抗効果素子と、第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層とを備えた磁気抵抗効果装置を製造する方法である。下地層は、一方の面が第1のシールド層に直接、あるいは第1の導電層を介して接する第1の層と、一方の面が第1の層の他方の面に接すると共に、他方の面が磁気抵抗効果素子に直接、あるいは第2の導電層を介して接する第2の層とを含むものである。
本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法は、第1のシールド層を形成する工程と、第1のシールド層の上に、直接、あるいは第1の導電層を介して下地層の第1の層を形成する工程と、第1の層の上に第2の層を形成する工程と、第2の層の上に、直接、あるいは第2の導電層を介して磁気抵抗効果素子を形成する工程と、磁気抵抗効果素子の上に第2のシールド層を形成する工程とを備えている。第1の層の材料はTa,Ti,W,Hf,Yのうちの少なくとも1種を含み、第2の層の材料はNiおよびCrを含む合金である。
本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法において、第1の層は、第1のシールド層の上に直接形成され、第1の層、第2の層および磁気抵抗効果素子は、同一の薄膜形成方法により連続的に形成され、第1のシールド層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法において、第1の層は、第1のシールド層の上に第1の導電層を介して形成され、第1の層、第2の層および磁気抵抗効果素子は、同一の薄膜形成方法により連続的に形成され、第1の導電層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法において、第1の層は、第1のシールド層の上に直接形成され、磁気抵抗効果素子は、第2の層の上に第2の導電層を介して形成され、第1の層、第2の層、第2の導電層および磁気抵抗効果素子は、同一の薄膜形成方法により連続的に形成され、第2の導電層は、磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであってもよい。
また、本発明の磁気抵抗効果装置の製造方法において、磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子であってもよいし、トンネル磁気抵抗効果を用いるものであってもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、記録媒体からの信号磁界を検出するために媒体対向面の近傍に配置された本発明の磁気抵抗効果装置とを備えたものである。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを弾性的に支持するサスペンションとを備えたものである。
本発明のハードディスク装置は、本発明の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、スライダを支持すると共に記録媒体に対して位置決めする位置決め装置とを備えたものである。
本発明の磁気抵抗効果装置またはその製造方法、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリあるいはハードディスク装置では、第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層が、Ta、Ti、W、Hf、Yのうちの少なくとも1種を含む材料よりなる第1の層と、NiおよびCrを含む合金よりなる第2の層とを含んでいる。これにより、本発明によれば、磁気抵抗効果素子を構成する膜の結晶性や配向性が向上し、その結果、磁気抵抗効果装置の特性が向上するという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
始めに、図4および図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成および製造方法の概略について説明する。図4は薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面および基板に垂直な断面を示す断面図、図5は薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2を、例えば1〜5μmの厚さに形成する。次に、絶縁層2の上に、めっき法等によって、NiFe、FeAlSi等の磁性材料よりなる再生ヘッド用の第1のシールド層3を、所定のパターンに形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPという。)によって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。
次に、第1のシールド層3の上に、再生用のMR素子5と、このMR素子5の2つの側部に隣接するように配置される2つのバイアス磁界印加層18と、MR素子5およびバイアス磁界印加層18の周囲に配置される絶縁層7とを形成する。絶縁層7は、アルミナ等の絶縁材料によって形成される。
次に、MR素子5、バイアス磁界印加層18および絶縁層7の上に、磁性材料からなり、記録ヘッドの下部磁極層を兼ねた再生ヘッドの第2のシールド層8を形成する。なお、第2のシールド層8に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。第2のシールド層8は、例えばめっき法またはスパッタリング法によって形成される。なお、第2のシールド層8の代わりに、第2のシールド層と、この第2のシールド層の上にスパッタリング法等によって形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層と、この分離層の上に形成された下部磁極層とを設けてもよい。
次に、第2のシールド層8の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の絶縁材料よりなる記録ギャップ層9を、例えば50〜300nmの厚さに形成する。次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイルの中心部分において、記録ギャップ層9を部分的にエッチングしてコンタクトホール9aを形成する。
次に、記録ギャップ層9の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第1層部分10を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図4において、符号10aは、第1層部分10のうち、後述する薄膜コイルの第2層部分15に接続される接続部を表している。第1層部分10は、コンタクトホール9aの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第1層部分10およびその周辺の記録ギャップ層9を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層11を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層11の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層11の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層11のうちの後述するエアベアリング面20側の斜面部分からエアベアリング面20側にかけての領域において、記録ギャップ層9および絶縁層11の上に、記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のトラック幅規定層12aを形成する。上部磁極層12は、このトラック幅規定層12aと、後述する連結部分層12bおよびヨーク部分層12cとで構成される。
トラック幅規定層12aは、記録ギャップ層9の上に形成され、上部磁極層12の磁極部分となる先端部と、絶縁層11のエアベアリング面20側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層12cに接続される接続部とを有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
トラック幅規定層12aを形成する際には、同時に、コンタクトホール9aの上に磁性材料よりなる連結部分層12bを形成すると共に、接続部10aの上に磁性材料よりなる接続層13を形成する。連結部分層12bは、上部磁極層12のうち、第2のシールド層8に磁気的に連結される部分を構成する。
次に、磁極トリミングを行う。すなわち、トラック幅規定層12aの周辺領域において、トラック幅規定層12aをマスクとして、記録ギャップ層9および第2のシールド層8の磁極部分における記録ギャップ層9側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図5に示したように、上部磁極層12の磁極部分、記録ギャップ層9および第2のシールド層8の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層9の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層14を、例えば3〜4μmの厚さに形成する。次に、この絶縁層14を、例えばCMPによって、トラック幅規定層12a、連結部分層12bおよび接続層13の表面に至るまで研磨して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層14の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイルの第2層部分15を、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図4において、符号15aは、第2層部分15のうち、接続層13を介して薄膜コイルの第1層部分10の接続部10aに接続される接続部を表している。第2層部分15は、連結部分層12bの周囲に巻回される。
次に、薄膜コイルの第2層部分15およびその周辺の絶縁層14を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層16を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層16の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層16の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、トラック幅規定層12a、絶縁層14,16および連結部分層12bの上に、パーマロイ等の記録ヘッド用の磁性材料によって、上部磁極層12のヨーク部分を構成するヨーク部分層12cを形成する。ヨーク部分層12cのエアベアリング面20側の端部は、エアベアリング面20から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層12cは、連結部分層12bを介して第2のシールド層8に接続されている。
次に、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層17を形成する。最後に、上記各層を含むスライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面としてのエアベアリング面20と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドの構成については、後で詳しく説明する。
記録ヘッドは、エアベアリング面20側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層(第2のシールド層8)および上部磁極層12と、この下部磁極層の磁極部分と上部磁極層12の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層9と、少なくとも一部が下部磁極層および上部磁極層12の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル10,15とを有している。この薄膜磁気ヘッドでは、図4に示したように、エアベアリング面20から、絶縁層11のエアベアリング面20側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、エアベアリング面20から、2つの磁極層の間隔が開き始める位置までの長さ(高さ)をいう。
次に、図1ないし図3を参照して、本実施の形態における再生ヘッド、すなわち本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の構成について詳しく説明する。図1は磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。図2はMR素子の層の構成の一例を示す断面図である。図3はMR素子の層の構成の他の例を示す断面図である。
図1に示したように、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5と、第1のシールド層3とMR素子5との間に配置された下地層4とを備えている。下地層4、MR素子5および第2のシールド層8は第1のシールド層3に積層されている。
磁気抵抗効果装置は、更に、MR素子5の2つの側部に隣接するように配置され、MR素子5に対してバイアス磁界を印加する2つのバイアス磁界印加層18と、MR素子5およびバイアス磁界印加層18の周囲に配置された絶縁層7とを備えている。バイアス磁界印加層18は、硬磁性層(ハードマグネット)や、強磁性層と反強磁性層との積層体等を用いて構成される。絶縁層7は、絶縁膜7a,7bを有している。絶縁膜7aは、第1のシールド層3、下地層4およびMR素子5と、バイアス磁界印加層18との間に介在して、これらの間を絶縁する。絶縁膜7bは、バイアス磁界印加層18と第2のシールド層8との間に介在して、これらの間を絶縁する。
MR素子5は、例えば、スピンバルブ型GMR素子またはトンネル磁気抵抗効果を用いるTMR素子である。MR素子5は、外部磁界、すなわち記録媒体からの信号磁界に応じて抵抗値が変化する。第1および第2のシールド層3,8は、MR素子5に磁気的信号検出用の電流であるセンス電流を流すために用いられる。センス電流は、MR素子5を構成する各膜の面に対して垂直な方向に流れる。MR素子5の抵抗値はセンス電流より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
下地層4は、一方の面(下面)が第1のシールド層3に直接接する第1の層4aと、一方の面(下面)が第1の層4aの他方の面(上面)に接すると共に、他方の面(上面)がMR素子5に直接接する第2の層4bとを含んでいる。第1の層4aの材料は、Ta,Ti,W,Hf,Yのうちの少なくとも1種を含んでいる。第2の層4bの材料は、NiおよびCrを含む合金である。第2の層4bの材料は、NiおよびCrの他に、Fe、Co、Cu、Au、Ag、Pt、Pd、Ru、Rh、Ti、Ta、W、V、Hfのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
図2は、MR素子5としてスピンバルブ型GMR素子を用いたときのMR素子5の層の構成の一例を示している。このMR素子5は、下地層4の上に順に積層された反強磁性層21、ピンド層22、非磁性導電層23、フリー層24および保護層25を有している。ピンド層22は磁化の方向が固定された層であり、反強磁性層21はピンド層22における磁化の方向を固定する層である。フリー層24は、軟磁性層からなり、記録媒体からの信号磁界に応じて磁化の方向が変化する層である。
反強磁性層21の厚さは、例えば5〜30nmである。反強磁性層21は、例えば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ni、Au、Ag、Cu、Ir、CrおよびFeからなる群のうちの少なくとも1種MIIと、Mnとを含む反強磁性材料により構成されている。このうちMnの含有量は35原子%以上95原子%以下、その他の元素MIIの含有量は5原子%以上65原子%以下であることが好ましい。この反強磁性材料には、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起する非熱処理系反強磁性材料と、熱処理により反強磁性を示すようになる熱処理系反強磁性材料とがある。この反強磁性層21は、そのどちらにより構成されていてもよい。
なお、非熱処理系反強磁性材料にはγ相を有するMn合金等があり、具体的には、RuRhMn、FeMnあるいはIrMn等がある。熱処理系反強磁性材料には規則結晶構造を有するMn合金等があり、具体的には、PtMn、NiMnおよびPtRhMn等がある。
ピンド層22では、反強磁性層21との界面における交換結合により、磁化の向きが固定されている。ピンド層22は、例えば、反強磁性層21側から順に、第1の強磁性層、結合層および第2の強磁性層を、この順に積層した構造を有している。第1の強磁性層および第2の強磁性層は、例えば、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む強磁性材料により構成されている。特に、この強磁性材料の(111)面は積層方向に配向していることが好ましい。2つの強磁性層を合わせた厚さは、例えば1.5〜5nmである。2つの強磁性層は、反強磁性結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。
ピンド層22における結合層の厚さは、例えば0.2〜1.2nmである。結合層は、例えば、Ru、Rh、Ir、Re、CrおよびZrからなる群のうち少なくとも1種を含む非磁性材料により構成されている。この結合層は、第1および第2の強磁性層の間に反強磁性交換結合を生じさせ、第1の強磁性層の磁化と第2の強磁性層の磁化とを互いに逆方向に固定するためのものである。なお、第1の強磁性層の磁化と第2の強磁性層の磁化が互いに逆方向というのは、これら2つの磁化の方向が互いに180°異なる場合のみならず、2つの磁化の方向が180°±20°異なる場合を含む。
ピンド層22における第2の強磁性層は、その内側において、磁性を有し、他の部分よりも電気抵抗が大きい強磁性層内高抵抗層を有していてもよい。この強磁性層内高抵抗層は、電子の少なくとも一部を反射して電子の移動を制限することにより、MR素子5の抵抗変化率を大きくするためのものである。強磁性層内高抵抗層の厚さは0.3〜1nmが好ましい。強磁性層内高抵抗層は、酸化物、窒化物および酸化窒化物のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。それは、磁気的に安定であり、出力変動を小さくすることができるからである。また、強磁性層内高抵抗層は、第2の強磁性層の他の部分を構成する材料の一部を酸化、窒化または酸化および窒化することによって形成してもよい。
非磁性導電層23の厚さは、例えば1.0〜3.0nmである。非磁性導電層23は、例えば、Cu、AuおよびAgからなる群のうち少なくとも1種を80重量%以上含む非磁性の導電性材料により構成されている。
フリー層24の厚さは、例えば1.0〜8.0nmである。フリー層24は、単層で構成されていてもよいし、2つ以上の層によって構成されていてもよい。ここでは、フリー層24が2つの軟磁性層で構成される場合の例を挙げる。2つの軟磁性層のうち、非磁性導電層23側の層を第1の軟磁性層と呼び、保護層25側の層を第2の軟磁性層と呼ぶ。
第1の軟磁性層の厚さは、例えば0.5〜3nmである。第1の軟磁性層は、例えば、Ni、CoおよびFeからなる群のうちの少なくともCoを含む磁性材料により構成されている。具体的には、第1の軟磁性層は、(111)面が積層方向に配向しているCoxFeyNi100-(x+y)により構成されることが好ましい。式中、x,yはそれぞれ原子%で70≦x≦100、0≦y≦25の範囲内である。
第2の軟磁性層の厚さは、例えば0.5〜8nmである。第2の軟磁性層は、例えば、Ni、Co、Fe、Ta、Cr、Rh、MoおよびNbからなる群のうち少なくともNiを含む磁性材料により構成されている。具体的には、第2の軟磁性層は、[NixCoyFe100-(x+y)100-ZIZにより構成されることが好ましい。式中、MIは、Ta、Cr、Rh、MoおよびNbのうち少なくとも1種を表し、x、y、zはそれぞれ原子%で75≦x≦90、0≦y≦15、0≦z≦15の範囲内である。
保護層25の厚さは、例えば0.5〜10nmである。保護層25の材料としては、例えばTaが用いられる。また、保護層25は、Ta層、Ru層等の組み合わせの2積層構造や、Ta層、Ru層、Ta層等の組み合わせの3積層構造としてもよい。
フリー層24と保護層25との間には、Cu層等の非磁性導電層が設けられていてもよい。この非磁性導電層は、フリー層24を通過した電子を、非磁性導電層と保護層25との界面で反射させて、MR素子5の抵抗変化率を大きくすると共に特性の安定性を向上させるためのものである。
図3は、MR素子5としてTMR素子を用いたときのMR素子5の層の構成の一例を示している。このMR素子5は、図2に示したMR素子5における非磁性導電層23の代わりに、非磁性絶縁層よりなるトンネルバリア層26が設けられた構成になっている。このトンネルバリア層26は、トンネル効果によりスピンを保存した状態で電子が通過できる層である。トンネルバリア層26の厚さは、例えば0.5〜2nmである。トンネルバリア層26の材料としては、例えばAl23、NiO、GdO、MgO、Ta25、MoO2、TiO2またはWO2が用いられる。図3に示したMR素子5のその他の構成は、図2に示したMR素子5と同様である。
なお、MR素子5の層の構成は、図2または図3に示した構成と上下が逆の構成であってもよい。
次に、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の製造方法について説明する。この磁気抵抗効果装置の製造方法では、まず、絶縁層2の上に、めっき法等によって、所定のパターンの第1のシールド層3を形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。この時点で、第1のシールド層3の上面が大気に暴露されることにより、第1のシールド層3の上面近傍には薄い酸化膜が形成される。次に、例えば逆スパッタリング法(スパッタエッチング法)により、第1のシールド層3の上面近傍の酸化膜を除去する。次に、同一の薄膜形成方法、例えばスパッタリング法により、第1のシールド層3の上に、第1の層4a、第2の層4bおよびMR素子5を連続的に形成する。また、第1のシールド層3の上面近傍の酸化膜の除去と、第1の層4a、第2の層4bおよびMR素子5の形成は、途中で大気に暴露されることなく、真空中で行なわれる。
次に、下地層4およびMR素子5をエッチングによってパターニングする。次に、例えばスパッタリング法によって、絶縁膜7a、バイアス磁界印加層18、絶縁膜7bを順に形成する。次に、MR素子5および絶縁膜7bの上に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、第2のシールド層8を形成する。
次に、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置および薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドである磁気抵抗効果装置によって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
再生ヘッドにおいて、バイアス磁界印加層18によるバイアス磁界の方向は、エアベアリング面20に垂直な方向と直交している。MR素子5において、信号磁界がない状態では、フリー層24の磁化の方向は、バイアス磁界の方向に揃えられている。一方、ピンド層22の磁化の方向は、エアベアリング面20に垂直な方向に固定されている。
MR素子5では、記録媒体からの信号磁界に応じてフリー層24の磁化の方向が変化し、これにより、フリー層24の磁化の方向とピンド層22の磁化の方向との間の相対角度が変化し、その結果、MR素子5の抵抗値が変化する。MR素子5の抵抗値は、第1および第2のシールド層3,8によってMR素子5にセンス電流を流したときのシールド層3,8間の電位差より求めることができる。このようにして、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
次に、本実施の形態における下地層4の特徴について説明する。前述のように、本実施の形態では、下地層4は、一方の面(下面)が第1のシールド層3に直接接する第1の層4aと、一方の面(下面)が第1の層4aの他方の面(上面)に接すると共に、他方の面(上面)がMR素子5に直接接する第2の層4bとを含んでいる。第1の層4aの材料は、Ta,Ti,W,Hf,Yのうちの少なくとも1種を含む。第2の層4bの材料はNiCrを含んでいる。これにより、MR素子5を構成する膜の結晶性や配向性が向上し、その結果、磁気抵抗効果装置の特性が向上する。
次に、上記の下地層4の特徴に基づく効果を確かめるために行なった実験の結果について説明する。まず、第1の実験について説明する。第1の実験では、MR素子5の下地が、MR素子5を構成する膜の結晶性および配向性に与える影響について調べた。
第1の実験では、MR素子5としてスピンバルブ型GMR素子を用いた。このMR素子5の層の構成は、以下の通りである。反強磁性層21は厚さ13nmのPtMn層とした。ピンド層22は、第1の強磁性層としての厚さ1.5nmのCoFe層、結合層としての厚さ0.8nmのRu層、第2の強磁性層としての厚さ1.5nmの2つのCoFe層を、この順に積層した構造とした。第2の強磁性層において、厚さ1.5nmの2つのCoFe層の間には、強磁性層内高抵抗層として、CoFe層の一部を酸化させてなる酸化層が形成されている。また、非磁性導電層23は厚さ2.3nmのCu層とし、フリー層24は、厚さ3nmのCoFe層とした。保護層25は厚さ0.8nmのTa層とした。フリー層24と保護層25との間には、厚さ0.5nmの非磁性導電層であるCu層が設けられている。
第1の実験では、以下の4つの磁気抵抗効果装置の試料を作製した。そのうちの2つは、本実施の形態の実施例の試料であり、残りの2つは比較例の試料である。第1および第2の実施例の試料は、第1のシールド層3の上に下地層4を介してMR素子5を形成したものである。第1の実施例の試料では、下地層4は、厚さ0.5nmのTa層よりなる第1の層4aと、厚さ5nmのNiCr層よりなる第2の層4bとを有している。第2の実施例の試料では、下地層4は、厚さ3nmのTa層よりなる第1の層4aと、厚さ5nmのNiCr層よりなる第2の層4bとを有している。第1の比較例の試料は、第1のシールド層3の上に、厚さ5nmのNiCr層のみを介してMR素子5を形成したものである。第2の比較例の試料は、第1のシールド層3の上に、厚さ3nmのTa層を形成し、その上に、厚さ2nmのNiFe層を形成し、その上にMR素子5を形成したものである。なお、いずれの試料においても、第1のシールド層3は、NiFeよりなる。また、いずれの試料においても、第1のシールド層3の上面近傍に形成される酸化膜を除去した後に、その上の層を連続的に形成した。
上記の4つの試料について、θ−2θ法を用いてMR素子5のX線回折強度を測定した結果を図10に示す。図10において、横軸は2θ(°)、縦軸はX線回折強度を表している。θはブラッグ角度である。X線回折強度は、1秒あたりのX線のカウント数で表している。図10において、符号51は第1の実施例の試料のX線回折強度を示し、符号52は第2の実施例の試料のX線回折強度を示し、符号61は第1の比較例の試料のX線回折強度を示し、符号62は第2の比較例の試料のX線回折強度を示している。
図10に示した各試料のX線回折強度は、2θが40°の近傍において第1のピークを有し、2θが44°の近傍において第2のピークを有している。第1のピークは、反強磁性層21の(111)面における反射に対応する。第2のピークは、ピンド層22、非磁性導電層23およびフリー層24からなる多層膜中の(111)面における反射に対応する。
以下の表に、4つの試料毎に、第1のピークにおけるピーク強度(カウント/秒)および配向角(°)を示す。ここで言う配向角とは、法線方向が膜面に垂直な方向となる(111)面での反射による回折線のピークの分布の広がりの度合いを表す。ここでは、配向角を、ロッキングカーブの半値幅で表す。ロッキングカーブとは、結晶面に一定方向から単色X線をあて、ブラッグ条件を満たす方位付近で結晶を回転したときの回折線の強度分布曲線を言う。
Figure 0003818592
また、次の表に、4つの試料毎に、第2のピークにおけるピーク強度および配向角を示す。
Figure 0003818592
MR素子5を構成する各膜の結晶性および配向性が高いほど、ピーク強度は大きくなり、配向角は小さくなる。図10および上記の2つの表から分かるように、第1のシールド層3の上にNiCr層のみを介してMR素子5が形成された第1の比較例の試料では、MR素子5を構成する各膜の結晶性および配向性が低い。これに対し、第1のシールド層3の上にTa層とNiCr層を介してMR素子5が形成された第1および第2の実施例の各試料では、MR素子5を構成する各膜の結晶性および配向性が高い。また、第1のシールド層3の上にTa層とNiFe層を介してMR素子5が形成された第2の比較例の試料においても、MR素子5を構成する各膜の結晶性および配向性が高い。しかしながら、後で説明するように、第2の比較例の試料では、MR比等のMR素子5の特性を向上させることが困難である。
次に、第2の実験について説明する。第2の実験では、MR素子5の下地が、MR素子5の特性に与える影響について調べた。第2の実験で使用したMR素子5の構成は、第1の実験と同様である。第2の実験では、下地層4の第2の層4bを厚さ5nmのNiCr層とした7つの磁気抵抗効果装置の試料を作製した。7つの試料のうちの1つは、第1の層4aを有しておらず、第1の実験における第1の比較例の試料と同じものである。他の6つの試料では、第1の層4aはTa層になっている。この6つの試料における第1の層4aの厚さは、0.1nm、0.3nm、0.5nm、1nm、3nm、5nmである。下記の表は、上記の7つの試料におけるMR素子5の特性を、第1の実験における第2の比較例の試料と比較して示したものである。
Figure 0003818592
上記の表に記載したMR比の値は、第2の比較例の試料の実際のMR比に対する各試料における実際のMR比の比で表している。第1の層4aの厚さが0.3nm以上の試料では、第1の層4aを有しない試料および第2の比較例の試料に比べて、MR比が大きくなっている。
Hkは、フリー層24の異方性磁界に対応するパラメータである。第2の実験では、Hkを、以下のようにして、フリー層24の磁化反転を示すマイナーループから求めている。図11は、フリー層24の磁化反転を示すマイナーループを、直線で近似して表している。図11において、横軸はMR素子に印加される磁界を表し、縦軸はMR素子の抵抗値を表している。また、符号OはMR素子の最小抵抗値を表し、符号QはMR素子の最大抵抗値を表している。直線PRは、最小抵抗値と最大抵抗値の平均値を示している。また、直線PRとマイナーループの2つの交点のうち、磁界が大きい方に対応する点を符号Mで表し、磁界が小さい方に対応する点を符号Nで表している。また、マイナーループにおいて、MR素子の抵抗値が最大抵抗値Qとなるときの最大磁界に対応する点を符号M´で表し、MR素子の抵抗値が最大抵抗値Qとなるときの最小磁界に対応する点を符号N´で表している。また、マイナーループにおいて、MR素子の抵抗値が最小抵抗値Oとなるときの最大磁界に対応する点を符号M”で表し、MR素子の抵抗値が最小抵抗値Oとなるときの最小磁界に対応する点を符号N”で表している。
ここで、点M,N間の中点における磁界をHinとする。また、点M´,N´,M”,N”における磁界を、それぞれ、H(M´),H(N´),H(M”),H(N”)とする。第2の実験におけるHkは、以下の式で表される。
Hk=[{H(M´)−Hin}+{H(N´)−Hin}+{Hin−H(M”)}+{Hin−H(N”)]/4
上記の表に記載したHkの値は、各試料における実際のHkと第2の比較例の試料の実際のHkとの差で表している。Hkの値が小さいほど、フリー層24の感度が高いと言える。第1の層4aを有する試料では、第1の層4aを有しない試料および第2の比較例の試料に比べて、Hkの値が小さくなっている。
Hexは、ピンド層22の交換結合磁界を表している。第2の実験では、Hexを、以下のようにして、ピンド層22の磁化反転を示す履歴曲線から求めている。図12は、ピンド層22の磁化反転を示す履歴曲線を表している。図12において、横軸はMR素子に印加される磁界を表し、縦軸はMR素子の抵抗値を表している。また、符号OはMR素子の最小抵抗値を表し、符号QはMR素子の最大抵抗値を表している。直線PRは、最小抵抗値と最大抵抗値の平均値を示している。図12において、右側のループがピンド層22の磁化反転を表している。このループと直線PRの2つの交点のうち、磁界が大きい方に対応する点を符号mで表し、磁界が小さい方に対応する点を符号nで表す。点m,n間の中点における磁界をHexとする。
上記の表に記載したHexの値は、第2の比較例の試料の実際のHexに対する各試料における実際のHexの比で表している。Hexは、外部磁界に対するピンド層22の耐性を表している。Hexの値が大きいほど、MR素子の信頼性および出力が向上する。第1の層4aの厚さが0.3nm以上の試料では、第1の層4aを有しない試料および第2の比較例の試料に比べて、Hexが大きくなっている。
第2の実験の結果から分かるように、第1のシールド層3の上にTa層とNiCr層を介してMR素子5を形成した場合には、第1のシールド層3の上にTa層とNiFe層を介してMR素子5を形成した場合に比べて、MR比が増加し、Hkが減少し、Hexが増加する。すなわち、MR素子5の特性が向上する。
なお、第1および第2の実験では、第1の層4aの材料をTaとし、第2の層4bの材料をNiCrとした。しかし、第1の層4aの材料がTi、W、Hf、Yのうちの少なくとも1種を含む場合や、第2の層4bの材料がNiおよびCrの他に、Fe、Co、Cu、Au、Ag、Pt、Pd、Ru、Rh、Ti、Ta、W、V、Hfのうちの少なくとも1種を含む場合にも、上記の実験結果と同様の結果が得られる。
ところで、本実施の形態における下地層4の構成は、金属磁性材料よりなるシールド層の上にMR素子が配置されるCPP構造の再生ヘッドにおいて効果を発揮する。しかし、本実施の形態における下地層4の構成は、絶縁膜の上にMR素子が配置されるCIP構造の再生ヘッドでは効果を発揮しない。以下、このことを示す第3の実験について説明する。
第3の実験では、厚さ40nmのAl23層の上に下地層を介してMR素子を形成した。MR素子の層の構成は、以下の通りである。下地層の上に配置される反強磁性層は、厚さ15nmのPtMn層とした。反強磁性層の上に配置されるピンド層は、厚さ1.5nmのCoFe層、厚さ0.8nmのRu層、厚さ2.5nmのCoFe層を、この順に積層した構造とした。非磁性導電層は厚さ2.4nmのCu層とした。フリー層は、厚さ1nmのCoFe層と厚さ3nmのNiFe層を積層した構造とした。保護層は厚さ2nmのTa層とした。
第3の実験における下地層は、厚さ5nmのNiCr層のみからなるもの、あるいはTa層と、その上に配置された厚さ5nmのNiCr層からなるものである。第3の実験では、5つの磁気抵抗効果装置の試料を作製した。5つの試料のうちの1つは、下地層がNiCr層のみからなるものである。他の4つの試料は、下地層がTa層とNiCr層からなるものである。この4つの試料におけるTa層の厚さは、1nm、1.5nm、2.0nm、3.0nmである。これら5つの試料におけるMR素子の特性を、以下の表に示す。
Figure 0003818592
上記の表から分かるように、CIP構造の再生ヘッドでは、Ta層とNiCr層からなる下地層を用いると、NiCr層のみからなる下地層を用いた場合に比べて、MR比、抵抗変化量およびHexが減少する。すなわち、MR素子の特性が劣化する。
以下、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置について説明する。まず、図6を参照して、ヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダ210について説明する。ハードディスク装置において、スライダ210は、回転駆動される円盤状の記録媒体であるハードディスクに対向するように配置される。このスライダ210は、主に図4における基板1およびオーバーコート層17からなる基体211を備えている。基体211は、ほぼ六面体形状をなしている。基体211の六面のうちの一面は、ハードディスクに対向するようになっている。この一面には、エアベアリング面20が形成されている。ハードディスクが図6におけるz方向に回転すると、ハードディスクとスライダ210との間を通過する空気流によって、スライダ210に、図6におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ210は、この揚力によってハードディスクの表面から浮上するようになっている。なお、図6におけるx方向は、ハードディスクのトラック横断方向である。スライダ210の空気流出側の端部(図6における左下の端部)の近傍には、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド100が形成されている。
次に、図7を参照して、本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリ220について説明する。ヘッドジンバルアセンブリ220は、スライダ210と、このスライダ210を弾性的に支持するサスペンション221とを備えている。サスペンション221は、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム222、このロードビーム222の一端部に設けられると共にスライダ210が接合され、スライダ210に適度な自由度を与えるフレクシャ223と、ロードビーム222の他端部に設けられたベースプレート224とを有している。ベースプレート224は、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向xに移動させるためのアクチュエータのアーム230に取り付けられるようになっている。アクチュエータは、アーム230と、このアーム230を駆動するボイスコイルモータとを有している。フレクシャ223において、スライダ210が取り付けられる部分には、スライダ210の姿勢を一定に保つためのジンバル部が設けられている。
ヘッドジンバルアセンブリ220は、アクチュエータのアーム230に取り付けられる。1つのアーム230にヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドアームアセンブリと呼ばれる。また、複数のアームを有するキャリッジの各アームにヘッドジンバルアセンブリ220を取り付けたものはヘッドスタックアセンブリと呼ばれる。
図7は、ヘッドアームアセンブリの一例を示している。このヘッドアームアセンブリでは、アーム230の一端部にヘッドジンバルアセンブリ220が取り付けられている。アーム230の他端部には、ボイスコイルモータの一部となるコイル231が取り付けられている。アーム230の中間部には、アーム230を回動自在に支持するための軸234に取り付けられる軸受け部233が設けられている。
次に、図8および図9を参照して、ヘッドスタックアセンブリの一例と本実施の形態に係るハードディスク装置について説明する。図8はハードディスク装置の要部を示す説明図、図9はハードディスク装置の平面図である。ヘッドスタックアセンブリ250は、複数のアーム252を有するキャリッジ251を有している。複数のアーム252には、複数のヘッドジンバルアセンブリ220が、互いに間隔を開けて垂直方向に並ぶように取り付けられている。キャリッジ251においてアーム252とは反対側には、ボイスコイルモータの一部となるコイル253が取り付けられている。ヘッドスタックアセンブリ250は、ハードディスク装置に組み込まれる。ハードディスク装置は、スピンドルモータ261に取り付けられた複数枚のハードディスク262を有している。各ハードディスク262毎に、ハードディスク262を挟んで対向するように2つのスライダ210が配置される。また、ボイスコイルモータは、ヘッドスタックアセンブリ250のコイル253を挟んで対向する位置に配置された永久磁石263を有している。
スライダ210を除くヘッドスタックアセンブリ250およびアクチュエータは、本発明における位置決め装置に対応し、スライダ210を支持すると共にハードディスク262に対して位置決めする。
本実施の形態に係るハードディスク装置では、アクチュエータによって、スライダ210をハードディスク262のトラック横断方向に移動させて、スライダ210をハードディスク262に対して位置決めする。スライダ210に含まれる薄膜磁気ヘッドは、記録ヘッドによって、ハードディスク262に情報を記録し、再生ヘッドによって、ハードディスク262に記録されている情報を再生する。
本実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリおよびハードディスク装置は、前述の本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドと同様の効果を奏する。
[第2の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の構成について説明する。図13は、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、第1の実施の形態と同様に、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5と、第1のシールド層3とMR素子5との間に配置された下地層4とを備えている。本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、更に、第1のシールド層3と下地層4との間に配置された導電層31と、MR素子5と第2のシールド層8との間に配置された導電層32とを備えている。導電層31、下地層4、MR素子5、導電層32および第2のシールド層8は第1のシールド層3に積層されている。導電層31は本発明における第1の導電層に対応する。導電層31,32は、MR素子5にセンス電流を流すために用いられる。第1の実施の形態と同様に、MR素子5は、例えば、スピンバルブ型GMR素子またはトンネル磁気抵抗効果を用いるTMR素子である。
第1の実施の形態と同様に、下地層4は、第1の層4aと第2の層4bとを有している。本実施の形態では、第1の層4aの下面は導電層31を介して第1のシールド層3に接し、第2の層4bの下面は第1の層4aの上面に接し、第2の層4bの上面はMR素子5に直接接している。第1の層4aと第2の層4bの各材料は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、第1の実施の形態と同様に、更に、MR素子5の2つの側部に隣接するように配置され、MR素子5に対してバイアス磁界を印加する2つのバイアス磁界印加層18と、MR素子5およびバイアス磁界印加層18の周囲に配置された絶縁層7とを備えている。絶縁層7は、絶縁膜7a,7bを有している。絶縁膜7aは、第1のシールド層3、導電層31、下地層4およびMR素子5と、バイアス磁界印加層18との間に介在して、これらの間を絶縁する。絶縁膜7bは、バイアス磁界印加層18と第2のシールド層8との間に介在して、これらの間を絶縁する。
次に、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の製造方法について説明する。この磁気抵抗効果装置の製造方法では、まず、絶縁層2の上に、めっき法等によって、所定のパターンの第1のシールド層3を形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。次に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、第1のシールド層3の上に導電層31を形成する。この後、導電層31の上面が大気に暴露されることにより、導電層31の上面近傍には薄い酸化膜が形成される。次に、例えば逆スパッタリング法(スパッタエッチング法)により、導電層31の上面近傍の酸化膜を除去する。次に、同一の薄膜形成方法、例えばスパッタリング法により、導電層31の上に、第1の層4a、第2の層4bおよびMR素子5を連続的に形成する。また、導電層31の上面近傍の酸化膜の除去と、第1の層4a、第2の層4bおよびMR素子5の形成は、途中で大気に暴露されることなく、真空中で行なわれる。次に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、MR素子5の上に導電層32を形成する。
次に、導電層31、下地層4、MR素子5および導電層32をエッチングによってパターニングする。次に、例えばスパッタリング法によって、絶縁膜7a、バイアス磁界印加層18、絶縁膜7bを順に形成する。次に、導電層32および絶縁膜7bの上に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、第2のシールド層8を形成する。
本実施の形態では、下地層4は、一方の面(下面)が導電層31を介して第1のシールド層3に接する第1の層4aと、一方の面(下面)が第1の層4aの他方の面(上面)に接すると共に、他方の面(上面)がMR素子5に直接接する第2の層4bとを含んでいる。第1の層4aの材料は、Ta,Ti,W,Hf,Yのうちの少なくとも1種を含む。第2の層4bの材料はNiCrを含んでいる。これにより、MR素子5を構成する膜の結晶性や配向性が向上し、その結果、磁気抵抗効果装置の特性が向上する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の構成について説明する。図14は、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、第1の実施の形態と同様に、所定の間隔を開けて配置された第1のシールド層3および第2のシールド層8と、第1のシールド層3と第2のシールド層8との間に配置されたMR素子5と、第1のシールド層3とMR素子5との間に配置された下地層4とを備えている。本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、更に、下地層4とMR素子5との間に配置された導電層33と、MR素子5と第2のシールド層8との間に配置された導電層32とを備えている。下地層4、導電層33、MR素子5、導電層32および第2のシールド層8は第1のシールド層3に積層されている。導電層33は本発明における第2の導電層に対応する。導電層33,32は、MR素子5にセンス電流を流すために用いられる。第1の実施の形態と同様に、MR素子5は、例えば、スピンバルブ型GMR素子またはトンネル磁気抵抗効果を用いるTMR素子である。
第1の実施の形態と同様に、下地層4は、第1の層4aと第2の層4bとを有している。本実施の形態では、第1の層4aの下面は第1のシールド層3に直接接し、第2の層4bの下面は第1の層4aの上面に接し、第2の層4bの上面は導電層33を介してMR素子5に接している。第1の層4aと第2の層4bの各材料は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置は、第1の実施の形態と同様に、更に、MR素子5の2つの側部に隣接するように配置され、MR素子5に対してバイアス磁界を印加する2つのバイアス磁界印加層18と、MR素子5およびバイアス磁界印加層18の周囲に配置された絶縁層7とを備えている。絶縁層7は、絶縁膜7a,7bを有している。絶縁膜7aは、第1のシールド層3、下地層4および導電層33およびMR素子5と、バイアス磁界印加層18との間に介在して、これらの間を絶縁する。絶縁膜7bは、バイアス磁界印加層18と第2のシールド層8との間に介在して、これらの間を絶縁する。
次に、本実施の形態に係る磁気抵抗効果装置の製造方法について説明する。この磁気抵抗効果装置の製造方法では、まず、絶縁層2の上に、めっき法等によって、所定のパターンの第1のシールド層3を形成する。次に、図示しないが、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のシールド層3が露出するまで絶縁層を研磨して、第1のシールド層3および絶縁層の上面を平坦化する。この時点で、第1のシールド層3の上面が大気に暴露されることにより、第1のシールド層3の上面近傍には薄い酸化膜が形成される。次に、例えば逆スパッタリング法(スパッタエッチング法)により、第1のシールド層3の上面近傍の酸化膜を除去する。次に、同一の薄膜形成方法、例えばスパッタリング法により、第1のシールド層3の上に、第1の層4a、第2の層4b、導電層33およびMR素子5を連続的に形成する。また、第1のシールド層3の上面近傍の酸化膜の除去と、第1の層4a、第2の層4b、導電層33およびMR素子5の形成は、途中で大気に暴露されることなく、真空中で行なわれる。次に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、MR素子5の上に導電層32を形成する。
次に、下地層4、導電層33、MR素子5および導電層32をエッチングによってパターニングする。次に、例えばスパッタリング法によって、絶縁膜7a、バイアス磁界印加層18、絶縁膜7bを順に形成する。次に、導電層32および絶縁膜7bの上に、例えばめっき法またはスパッタリング法によって、第2のシールド層8を形成する。
本実施の形態では、下地層4は、一方の面(下面)が第1のシールド層3に直接接する第1の層4aと、一方の面(下面)が第1の層4aの他方の面(上面)に接すると共に、他方の面(上面)が導電層33を介してMR素子5に接する第2の層4bとを含んでいる。第1の層4aの材料は、Ta,Ti,W,Hf,Yのうちの少なくとも1種を含む。第2の層4bの材料はNiCrを含んでいる。これにより、下地層4上に形成される導電層33の結晶性や配向性が向上する。その結果、導電層33上に形成される、MR素子5を構成する膜の結晶性や配向性が向上し、磁気抵抗効果装置の特性が向上する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
また、読み取り専用として用いる場合には、薄膜磁気ヘッドを、再生ヘッドだけを備えた構成としてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるMR素子の層の構成の一例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるMR素子の層の構成の他の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面および基板に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリに含まれるスライダを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るヘッドジンバルアセンブリを含むヘッドアームアセンブリを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るハードディスク装置の要部を説明するための説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るハードディスク装置の平面図である。 本発明の第1の実施の形態における下地層の特徴に基づく効果を示す特性図である。 MR素子のフリー層の磁化反転を示すマイナーループを表した説明図である。 MR素子のピンド層の磁化反転を示す履歴曲線を表した説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る磁気抵抗効果装置のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
符号の説明
1…基板、2…絶縁層、3…第1のシールド層、4…下地層、4a…第1の層、4b…第2の層、5…MR素子、7…絶縁層、7a,7b…絶縁膜、8…第2のシールド層、9…記録ギャップ層、10…薄膜コイルの第1層部分、12…上部磁極層、15…薄膜コイルの第2層部分、17…オーバーコート層、18…バイアス磁界印加層、20…エアベアリング面、21…反強磁性層、22…ピンド層、23…非磁性導電層、24…フリー層。

Claims (9)

  1. 所定の間隔を開けて配置された第1および第2のシールド層と、
    前記第1のシールド層と第2のシールド層との間に配置された磁気抵抗効果素子と、
    前記第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層とを備え、
    前記下地層、磁気抵抗効果素子および第2のシールド層は前記第1のシールド層に積層された磁気抵抗効果装置であって、
    前記下地層は、一方の面が前記第1のシールド層に直接接する第1の層と、一方の面が前記第1の層の他方の面に接すると共に、他方の面が前記磁気抵抗効果素子に導電層を介して接する第2の層とを含み、
    前記導電層は、結晶成長する材料よりなり、前記磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものであり、
    前記第1の層の材料はTaであり
    前記第2の層の材料はNiおよびCrを含む合金であることを特徴とする磁気抵抗効果装置。
  2. 前記磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果装置。
  3. 前記磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗効果を用いるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果装置。
  4. 所定の間隔を開けて配置された第1および第2のシールド層と、
    前記第1のシールド層と第2のシールド層との間に配置された磁気抵抗効果素子と、
    前記第1のシールド層と磁気抵抗効果素子との間に配置された下地層とを備え、
    前記下地層は、一方の面が前記第1のシールド層に直接接する第1の層と、一方の面が前記第1の層の他方の面に接すると共に、他方の面が前記磁気抵抗効果素子に導電層を介して接する第2の層とを含み、
    前記導電層は、結晶成長する材料よりなり、前記磁気抵抗効果素子に磁気的信号検出用の電流を流すために用いられるものである磁気抵抗効果装置を製造する方法であって、
    前記第1のシールド層を形成する工程と、
    前記第1のシールド層の上に、直接前記下地層の第1の層を形成する工程と、
    前記第1の層の上に前記第2の層を形成する工程と、
    前記第2の層の上に、前記導電層を介して前記磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
    前記磁気抵抗効果素子の上に前記第2のシールド層を形成する工程とを備え、
    前記第1の層、第2の層、導電層および磁気抵抗効果素子は、同一の薄膜形成方法により連続的に形成され、
    前記第1の層の材料はTaであり
    前記第2の層の材料はNiおよびCrを含む合金であることを特徴とする磁気抵抗効果装置の製造方法。
  5. 前記磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項4記載の磁気抵抗効果装置の製造方法。
  6. 前記磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗効果を用いるものであることを特徴とする請求項4記載の磁気抵抗効果装置の製造方法。
  7. 記録媒体に対向する媒体対向面と、
    前記記録媒体からの信号磁界を検出するために前記媒体対向面の近傍に配置された請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気抵抗効果装置と
    を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  8. 請求項7記載の薄膜磁気ヘッドを含み、記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを弾性的に支持するサスペンションと
    を備えたことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  9. 請求項7記載の薄膜磁気ヘッドを含み、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置されるスライダと、
    前記スライダを支持すると共に前記記録媒体に対して位置決めする位置決め装置と
    を備えたことを特徴とするハードディスク装置。
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