JP2003086862A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法

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JP2003086862A
JP2003086862A JP2001279198A JP2001279198A JP2003086862A JP 2003086862 A JP2003086862 A JP 2003086862A JP 2001279198 A JP2001279198 A JP 2001279198A JP 2001279198 A JP2001279198 A JP 2001279198A JP 2003086862 A JP2003086862 A JP 2003086862A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果を有する多層膜の両側面部の電
気的絶縁を確実にとることが可能なCPP型磁気検出素
子を提供する。 【解決手段】 多層膜T1の側端面T1s,T1sに対
向する一対の絶縁材料層30,30を形成する。絶縁材
料層30,30が下部電極層22上に設けられることに
より、多層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成
するときに、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1
s,T1sへの、多層膜を構成する各層の材料の再付着
を低減することができる。導電性を有する多層膜T1を
構成する各層の材料の再付着量を低減することができる
と、磁気検出素子が磁界検出能を発揮するために重要と
なるフリー磁性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁
をとることが容易になり、形成される磁気検出素子の品
質を向上させることができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CPP(current
perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に
係り、特に、磁気検出素子を構成する薄膜層間の短絡を
防止することができ、品質を向上させることのできる磁
気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図18及び図19は従来の磁気検出素子
の製造方法を示す図、図20は従来の磁気検出素子を記
録媒体からの対向面側からみた断面図である。 まず、
基板(図示せず)上に、NiFeなどからなる下部シー
ルド層1、Cuなどからなる下部電極層2を形成する。
さらに、下部電極層2の上に、第1フリー磁性層3a、
非磁性中間層3b、第2フリー磁性層3cからなるフリ
ー磁性層3、非磁性材料層4、第2固定磁性層5a、非
磁性中間層5b、第1固定磁性層5cからなる固定磁性
層5、及び反強磁性層6を順次積層する。
【0003】第1フリー磁性層3a、第2フリー磁性層
3c、第2固定磁性層5a、第1固定磁性層5cは、N
iFeなどで形成される。また、非磁性材料層4はCu
などで形成され、非磁性中間層3b及び5bはRuなど
で形成される。
【0004】フリー磁性層3から反強磁性層6までが多
層膜Tとなる。さらに、多層膜T上に、リフトオフ用の
レジスト層Rを形成した状態が図18に示されている。
【0005】次に、レジスト層Rに覆われていない多層
膜Tをイオンミリングによって除去した状態を図19に
示す。
【0006】さらに、前記イオンミリングにおいて削り
残された多層膜Tの両側であって下部電極層2上に、絶
縁層7,7を介して、CoPtなどの硬磁性材料からな
るハードバイアス層8,8を積層し、ハードバイアス層
8,8の上層に絶縁層9,9を積層した後、レジスト層
Rを除去する。
【0007】レジスト層Rを除去した後、Cuなどによ
って上部電極層10及びNiFeなどからなる上部シー
ルド層11が積層されると、図20に示される磁気検出
素子が形成される。この磁気検出素子は、反強磁性層6
がフリー磁性層3の上層に位置するいわゆるトップスピ
ン型のスピンバルブ型磁気検出素子である。
【0008】図20に示される磁気検出素子は、いわゆ
るCPP(current perpendicularto the plane)型
の磁気検出素子であり、センス電流が多層膜Tの各膜面
に対し垂直方向に流されるものである。
【0009】検出対象の磁界(外部磁界)が磁気検出素
子に印加される前の状態において、固定磁性層5の磁化
方向とフリー磁性層3の磁化方向は、所定の角度をなし
ている。この状態の磁気検出素子に外部磁界が印加され
ると、フリー磁性層3の磁化方向が回転し、固定磁性層
5の磁化方向とフリー磁性層3の磁化方向の相対角度が
変化して、磁気検出素子の直流抵抗値及び出力電圧が変
化する。
【0010】CPP型の磁気検出素子は、多層膜Tの各
膜面に対しほぼ水平方向にセンス電流が流されるCIP
(current in the plane)型の磁気検出素子と比べ
て、発熱量(P)を一定として、前記多層膜Tの各膜面
の面積を小さくしたときの、抵抗変化量ΔR及び出力Δ
Vを大きくすることができる。
【0011】すなわち、素子サイズを小さくしていく
と、CIP型よりもCPP型にする方が出力を大きくで
き、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズ
の狭小化に適切に対応できる構造であると期待されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図18及び図
19に示された製造方法によって形成された図20に示
される従来のCPP型の磁気検出素子では、次のような
問題が生じていた。
【0013】多層膜Tのレジスト層Rによって覆われて
いない領域をイオンミリングによって削るときに多層膜
Tの各層の材料が、削り残される多層膜Tのトラック幅
方向の側端面に付着し、図19及び図20に示されるよ
うな再付着物層L,Lとなる。
【0014】多層膜Tを構成するフリー磁性層3、非磁
性材料層4、固定磁性層5、反強磁性層6は導電性材料
からなるものであるので、多層膜Tのトラック幅方向の
側端面に再付着物層M,Mが付着すると、図20に示さ
れる磁気検出素子において、上部電極層10から下部電
極層2に直流電流を流したときに、多層膜Tの各層が電
気的に短絡してしまう。
【0015】特に、センス電流が多層膜Tの各膜面に対
し垂直方向に流されるCPP型磁気検出素子の場合に
は、フリー磁性層3と固定磁性層5が短絡すると、外部
磁界が印加されてフリー磁性層3の磁化方向が変化して
も、抵抗変化が生じなくなり、磁気検出素子として機能
しなくなってしまう。
【0016】本発明は、上記従来の課題を解決するため
のものであり、磁気検出素子の多層膜を構成する各層間
の電気的絶縁をとることができ、品質を向上させること
のできる磁気検出素子及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定磁性層、
非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、並びに
前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極層及び
前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極層を有
し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を供給す
る磁気検出素子において、前記下部電極層上に、前記多
層膜のトラック幅方向の側端面に対向して絶縁材料層が
積層されていることを特徴とするものである。
【0018】本発明では、前記多層膜の側端面に対向し
て絶縁材料層が積層されている。この絶縁材料層が前記
下部電極層上に設けられることにより、前記多層膜をイ
オンミリングなどで削り出し形成するときに、前記多層
膜のトラック幅方向の側端面に、前記多層膜を構成する
各層の材料の再付着量を低減することができる。
【0019】導電性を有する前記多層膜を構成する各層
の材料の再付着量を低減することができると、磁気検出
素子が磁界検出能を発揮するために重要となる前記フリ
ー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることが
容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させ
ることができるようになる。
【0020】また、前記固定磁性層から前記フリー磁性
層間の電気的絶縁を確実にするために、前記多層膜の少
なくとも前記固定磁性層から前記フリー磁性層までの各
層のトラック幅方向における側端面には、絶縁酸化膜が
設けられていることが好ましい。
【0021】前記絶縁酸化膜は、例えば、前記多層膜を
構成する各層の材料が酸化されて形成された層、前記絶
縁材料層と同じ材料からなる層、金属材料が酸化されて
形成された層のいずれか1層または2層以上を有するも
のである。
【0022】本発明では、前記多層膜を、前記固定磁性
層に接する反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固
定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層さ
れる、いわゆるボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子
として形成することができる。または、前記多層膜を、
前記固定磁性層に接する反強磁性層を有し、下から、フ
リー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層
の順序で積層されるいわゆるトップ型のスピンバルブ型
磁気検出素子として形成することができる。
【0023】なお、本発明では、前記絶縁材料層が形成
されるので、前記多層膜をイオンミリングなどで削り出
し形成するときに、前記イオンミリングのミリング速度
の調節が容易になる。その結果、前記イオンミリングの
工程において、前記下部電極層が削られないようにで
き、前記下部電極層の上面が平坦面であるものとするこ
とができる。
【0024】従って、前記下部電極層が削られない分だ
け前記多層膜のトラック幅方向の側端面への、前記多層
膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することがで
きる。
【0025】ただし、本発明では、前記下部電極層の前
記多層膜と前記絶縁材料層に挟まれる部位が凹面形状に
削り込まれる場合でも、前記下部電極層の削り量を従来
よりも少なくできるので、前記多層膜のトラック幅方向
の側端面への、各層の材料の再付着量を低減する効果を
奏することができる。
【0026】本発明では、前記多層膜の少なくとも前記
フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向し
て、硬磁性材料からなる一対の縦バイアス層が設けられ
ることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与
えることができる。
【0027】または、前記多層膜の前記フリー磁性層に
重ねられて反強磁性材料または強磁性材料からなる一対
の縦バイアス層が設けられることにより、前記フリー磁
性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0028】あるいは、前記多層膜の前記フリー磁性層
の前記非磁性材料層と接する面と反対の面側に、分離層
を介して、硬磁性材料からなる縦バイアス層が設けられ
ることにより、前記フリー磁性層に縦バイアス磁界を与
えることができる。
【0029】また、本発明では、前記下部電極層の下層
に下部シールド層が形成され、前記上部電極層の上層に
上部シールド層が形成されてもよい。あるいは、前記下
部電極層及び前記上部電極層が磁性材料によって形成さ
れ、前記下部電極層及び前記上部電極層がそれぞれ、下
部シールド層及び上部シールド層の機能を有してもよ
い。
【0030】本発明の磁気検出素子の製造方法は、以下
の工程を有することを特徴とするものである。 (a)基板上に下部電極層を形成し、さらに前記下部電
極層上に絶縁材料層を積層する工程と、(b)前記絶縁
材料層の一部分を除去して溝部を形成し、この溝部内に
前記下部電極層の表面を露出させる工程と、(c)前記
溝部内であって、前記下部電極層の表面上に、固定磁性
層、非磁性材料層、フリー磁性層を有する多層膜を形成
する工程と、(d)前記多層膜上にレジスト層を形成
し、前記レジスト層に覆われていない前記多層膜を除去
する工程と、(e)前記レジスト層を除去する工程と、
(f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部電極
層を形成する工程。
【0031】本発明では、前記下部電極層上に設けられ
る前記絶縁材料層に設けられた前記溝部内で、磁気検出
素子を構成する多層膜をイオンミリングなどで削り出し
形成する。前記絶縁材料層が存在するために、前記イオ
ンミリング工程時に、前記多層膜のトラック幅方向の側
端面に、前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を
低減できる。
【0032】前記多層膜を構成する各層の材料の再付着
量を低減することができると、磁気検出素子が磁界検出
能を発揮するために重要となる前記フリー磁性層と前記
固定磁性層間の電気的絶縁をとることが容易になり、形
成される磁気検出素子の品質を向上させることができる
ようになる。
【0033】また、前記(d)の工程において、前記溝
部のトラック幅方向中央位置と、前記レジスト層のトラ
ック幅方向中央位置が重なるように前記レジスト層を前
記多層膜上に形成することが好ましい。
【0034】また、前記(d)の工程と前記(e)の工
程の間に、(g) 前記(d)の工程で、除去されずに
残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金
属層を削る工程を有することが好ましい。前記金属層
は、主に前記多層膜を構成する各層の材料の再付着物で
あり、この金属層を削ることにより、前記フリー磁性層
と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることがより容易
になる。
【0035】さらに、前記(d)の工程と前記(e)の
工程の間に、(h)前記絶縁材料層を逆スパッタして、
絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面
に付着させる工程を有することがより好ましい。
【0036】また、本発明では、前記(d)の工程と前
記(e)の工程の間に、(i)前記(d)の工程で除去
されずに残された多層膜のトラック幅方向の側端面に付
着した金属層を削ると同時に、前記絶縁材料層を逆スパ
ッタして、絶縁材料を前記多層膜のトラック幅方向にお
ける側端面に付着させる工程を有することもできる。
【0037】さらに、本発明では、前記(d)の工程と
前記(e)の工程の間に、(j)前記多層膜のトラック
幅方向における側端面に付着した金属層を酸化させる工
程を有することにより、前記フリー磁性層と前記固定磁
性層間の電気的絶縁をより確実にとることができる。
【0038】また、前記(d)の工程と前記(e)の工
程の間に、(k)前記多層膜のトラック幅方向における
側端面上に、金属材料の酸化物層を形成する工程を有す
ると、前記フリー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶
縁をさらに確実にとることができるのでより好ましい。
【0039】なお、前記(j)の工程及び/又は前記
(k)の工程において、前記金属層及び/又は金属材料
の酸化を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化
のうち1種以上の酸化方法で行うことができる。
【0040】本発明では、前記(c)の工程において、
前記多層膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有す
るものとして形成し、下から、反強磁性層、固定磁性
層、非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層してもよ
いし、前記多層膜を前記多層膜を前記固定磁性層に接す
る反強磁性層を有するものとして形成し、下から、フリ
ー磁性層、非磁性材料層、固定磁性層及び反強磁性層の
順序で積層してもよい。
【0041】本発明では、前記絶縁材料層が形成される
ために、前記(d)の工程において、前記多層膜をイオ
ンミリングなどで削り出し形成するときに、前記イオン
ミリングのミリング速度の調節が容易になる。その結
果、前記イオンミリングの工程において、前記下部電極
層が削られないようにでき、前記下部電極層の上面が平
坦面であるものとすることができる。
【0042】従って、前記下部電極層が削られない分だ
け前記多層膜のトラック幅方向の側端面への、前記多層
膜を構成する各層の材料の再付着量を低減することがで
きる。
【0043】ただし、本発明では、前記(d)の工程に
おいて、前記下部電極層の前記多層膜と前記絶縁材料層
に挟まれる部位を凹面形状に削り込む場合でも、前記下
部電極層の削り量を従来よりも少なくできるので、前記
多層膜のトラック幅方向の側端面への、各層の材料の再
付着を低減する効果を奏することができる。
【0044】本発明では、前記(d)の工程と前記
(e)の工程の間に、(l)硬磁性材料からなり、前記
多層膜の少なくとも前記フリー磁性層のトラック幅方向
における側端面に対向して前記フリー磁性層にトラック
幅方向の磁界を印加する、一対の縦バイアス層を設ける
工程を有することにより、前記フリー磁性層に縦バイア
ス磁界を与えることができる。
【0045】または、前記(d)の工程と前記(e)の
工程の間に、(m)反強磁性材料または強磁性材料から
なり、前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて前記
フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対
の縦バイアス層を設ける工程を有することにより、前記
フリー磁性層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0046】あるいは、前記(c)の工程において、前
記多層膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接す
る面と反対の面側に、硬磁性材料からなり、分離層を介
して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加す
る、縦バイアス層を設けることにより、前記フリー磁性
層に縦バイアス磁界を与えることができる。
【0047】本発明では、前記(a)の工程において、
前記下部電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記
(f)の工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シー
ルド層を形成することができる。
【0048】あるいは、前記(a)の工程において前記
下部電極層を、前記(f)の工程において前記上部電極
層を、それぞれ磁性材料によって形成することにより、
前記下部電極層及び前記上部電極層が、それぞれ、下部
シールド層及び上部シールド層の機能を有するようにし
てもよい。
【0049】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における第1の実
施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0050】図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記
録された記録信号を再生するためのMRヘッドである。
記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子を構成する
薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の
外部磁界(記録信号磁界)が印加されていないときの磁
化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対
向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0051】なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッド
に用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆる
ABS面のことである。
【0052】また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チ
タンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスラ
イダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、
記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによ
る弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置
が構成される。
【0053】なお、トラック幅方向とは、外部磁界によ
って磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例
えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないとき
の磁化方向、すなわち図示X方向である。トラック幅方
向のフリー磁性層の幅寸法が磁気検出素子のトラック幅
Twを規定する。
【0054】なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体
との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。こ
の記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0055】図1では、下から順に、第1フリー磁性層
23a、非磁性中間層23b、第2フリー磁性層23c
からなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層
23、非磁性材料層24、第2固定磁性層25a、非磁
性中間層25b、第1固定磁性層25cからなるシンセ
ティックフェリピンド型の固定磁性層25、反強磁性層
26、保護層27が下から順に積層された多層膜T1が
形成されている。
【0056】多層膜T1の下層には、基板(図示せず)
上に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層(図示
せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22
が成膜されており、多層膜T1の上層には、上部電極層
28、上部シールド層29が形成されている。
【0057】下部電極層22は多層膜T1の下面と電気
的に接続されており、上部電極層28は多層膜T1の上
面と電気的に接続されている。
【0058】多層膜T1の両側領域の下部電極層22上
と、多層膜T1の側端面T1s,T1s上には、絶縁酸
化膜31,31が積層されている。この絶縁酸化膜3
1,31によって、多層膜T1のトラック幅方向におけ
る側端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層
28、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層
32,32が電気的に絶縁されている。
【0059】絶縁酸化膜31,31上には、バイアス下
地層32,32を介して、ハードバイアス層33,33
が積層されている。ハードバイアス層33,33上には
絶縁層34,34が積層されている。この絶縁層34,
34によって、上部電極層28と、多層膜T1の側端面
T1s,T1s、ハードバイアス層33,33及びバイ
アス下地層32,32が絶縁されている。
【0060】なお、本実施の形態では、絶縁酸化膜3
1,31の厚さは、フリー磁性層23にハードバイアス
層33,33から十分なバイアス磁界がかかるような厚
さ、例えば5nmである。
【0061】図1に示すように上記したフリー磁性層2
3から保護層27の各層で構成される多層膜T1は、ト
ラック幅方向(図示X方向)における側端面T1s,T
1sが、フリー磁性層23の下面から保護層27の上面
まで連続した傾斜面となっており、例えば多層膜T1は
図1に示すような略台形状で形成される。
【0062】図1に示される磁気検出素子は、いわゆる
トップ型のスピンバルブ型磁気検出素子である。
【0063】図1に示された磁気検出素子は、いわゆる
スピンバルブ型磁気検出素子であり、固定磁性層25の
磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定さ
れ、しかもフリー磁性層23の磁化が適正に図示X方向
に揃えられており、固定磁性層25とフリー磁性層23
の磁化が交叉している。記録媒体からの洩れ磁界が磁気
検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層23の磁
化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、固定磁性
層25の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、こ
の電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体
からの洩れ磁界(記録信号磁界)が検出される。
【0064】ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接
寄与するのは第2固定磁性層25aの磁化方向と第2フ
リー磁性層23cの磁化方向の相対角であり、これらの
相対角が検出電流が通電されている状態かつ記録信号磁
界が印加されていない状態で直交していることが好まし
い。
【0065】この実施形態では、例えば上部電極層28
から下部電極層22に向けてセンス電流が流れるため、
前記センス電流は、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に
流れる。前記センス電流が、多層膜内の各層を膜面と垂
直方向に流れる磁気検出素子をCPP型の磁気検出素子
という。
【0066】なお本発明では、トラック幅は約10nm
以上で100nm以下であることが好ましい。より好ま
しくは60nm以下であることが好ましい。トラック幅
が、上記数値範囲程度に狭小化されると、さらなる再生
出力の向上を図ることができる。
【0067】下部シールド層21、下部電極層22、フ
リー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層25、
反強磁性層26、保護層27、バイアス下地層32,3
2、ハードバイアス層33,33、絶縁層34,34、
上部電極層28、上部シールド層29はスパッタ法や蒸
着法などの薄膜形成プロセスによって形成される。
【0068】下部シールド層21及び上部シールド層2
9はNiFeなどの磁性材料を用いて形成される。な
お、下部シールド層21及び上部シールド層29は磁化
容易軸がトラック幅方向(図示X方向)を向いているこ
とが好ましい。下部シールド層21及び上部シールド層
29は、電解メッキ法によって形成されてもよい。
【0069】反強磁性層26は、PtMn合金、また
は、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,
Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素
である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただし
X′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,
Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1また
は2種以上の元素である)合金で形成する。
【0070】これらの合金は、成膜直後の状態では、不
規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によ
ってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に
構造変態する。
【0071】反強磁性層26の膜厚は、トラック幅方向
の中心付近において80〜300Å、例えば200Åで
ある。
【0072】ここで、反強磁性層26を形成するため
の、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される
合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範
囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び
前記X−Mnの式で示される合金において、Ptあるい
はXが47〜57at%の範囲であることがより好まし
い。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下
限は以下、以上を意味する。
【0073】また、Pt−Mn−X’の式で示される合
金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であ
ることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で
示される合金において、X’+Ptが47〜57at%
の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−
Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2
〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、
X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのい
ずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’
は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0074】これらの合金を使用し、これを熱処理する
ことにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層
26を得ることができる。特に、PtMn合金であれ
ば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交
換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキン
グ温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層26を
得ることができる。
【0075】第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層
25aは、強磁性材料により形成されるもので、例えば
NiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合
金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特
にCoFe合金またはCoにより形成されることが好ま
しい。また、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層
25aは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0076】また、非磁性中間層25bは、非磁性材料
により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、R
e、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形
成されている。特にRuによって形成されることが好ま
しい。
【0077】第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層
25aは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。ま
た非磁性中間層の膜厚は3Å〜10Å程度で形成され
る。
【0078】なお固定磁性層25は上記したいずれかの
磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれか
の磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層
構造で形成されていても良い。
【0079】非磁性材料層24は、固定磁性層25とフ
リー磁性層23との磁気的な結合を防止する層であり、
Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料
により形成されることが好ましい。特にCuによって形
成されることが好ましい。非磁性材料層24は例えば1
8〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0080】また非磁性材料層24は、Al23やSi
2などの絶縁材料で形成されていてもよいが、本発明
のようにCPP型の磁気検出素子の場合には、非磁性材
料層24内部にも、膜面と垂直方向にセンス電流が流れ
るようにしなければならないので、非磁性材料層24が
絶縁物であるときは、非磁性材料層24の膜厚を50Å
に薄くして形成して絶縁耐圧を低下させる必要がある。
また非磁性材料層24をAl23やTaO2などの鏡面
反射効果を有する材質で形成したときは、非磁性材料層
24をスペキュラー膜や実効的な素子面積を低減させる
電流制限層として機能させることもできる。
【0081】第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁
性層23cは、強磁性材料により形成されるもので、例
えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe
合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、
特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合
金により形成されることが好ましい。
【0082】非磁性中間層23bは、非磁性材料により
形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、C
uのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成され
ている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0083】第1フリー磁性層23a及び第2フリー磁
性層23cは、それぞれ10〜70Å程度で形成され
る。また非磁性中間層23bの膜厚は3Å〜10Å程度
で形成される。
【0084】なお、第2フリー磁性層23cが2層構造
で形成され、非磁性材料層24と対向する側にCo膜が
形成されていることが好ましい。これにより非磁性材料
層24との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗
変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0085】なおフリー磁性層23は上記したいずれか
の磁性材料を使用した1層構造で形成されていても良
い。
【0086】また本実施の形態では、第1フリー磁性層
23a及び第2フリー磁性層23cの少なくとも一方
を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ま
しい。
【0087】組成式がCoFeNiで示され、Feの組
成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比
は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成は
Co。
【0088】これにより第1フリー磁性層23aと第2
フリー磁性層23c間で発生するRKKY相互作用にお
ける交換結合磁界を強くすることができる。具体的に
は、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフ
ロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大
きくすることができる。
【0089】よって、第1フリー磁性層23a及び第2
フリー磁性層23cの磁化を適切に反平行状態にでき
る。
【0090】なお第1フリー磁性層23a及び第2フリ
ー磁性層23cの双方を前記CoFeNi合金で形成す
ることが好ましい。これにより、より安定して高いスピ
ンフロップ磁界を得ることができ、第1フリー磁性層2
3aと第2フリー磁性層23cとを適切に反平行状態に
磁化できる。
【0091】また上記した組成範囲内であると、第1フ
リー磁性層23aと第2フリー磁性層23cの磁歪を−
3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることがで
き、また保磁力を790(A/m)以下に小さくでき
る。
【0092】さらに、フリー磁性層23の軟磁気特性の
向上、フリー磁性層23と非磁性材料層24間でのNi
の拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/
R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0093】なお、第2フリー磁性層23cと非磁性材
料層24間にCoなどからなる拡散防止層を設け、第1
フリー磁性層23a及び第2フリー磁性層23cの少な
くとも一方をCoFeNi合金で形成するとき、前記C
oFeNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原
子%以下、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以
下、残りの組成比をCoにすることが好ましい。
【0094】また、図1では、磁気的膜厚(Ms×t;
飽和磁化と膜厚の積)が異なる第1固定磁性層25cと
第2固定磁性層25aが、非磁性中間層25bを介して
積層されたものが、一つの固定磁性層25として機能す
る。
【0095】第1固定磁性層25cは反強磁性層26と
接して形成され、磁場中アニールが施されることによ
り、第1固定磁性層25cと反強磁性層26との界面に
て交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性
層25cの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固
定磁性層25cの磁化方向が図示Y方向に固定される
と、非磁性中間層25bを介して対向する第2固定磁性
層25aの磁化方向が、第1固定磁性層25cの磁化方
向と反平行の状態で固定される。
【0096】このように、第1固定磁性層25cと第2
固定磁性層25aの磁化方向が、反平行となるフェリ磁
性状態になっていると、第1固定磁性層25cと第2固
定磁性層25aとが互いに他方の磁化方向を固定しあう
ので、全体として固定磁性層25の磁化方向を一定方向
に強力に固定することができる。
【0097】なお、第1固定磁性層25cの磁気的膜厚
(Ms×t)と第2固定磁性層25aの磁気的膜厚(M
s×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)
の方向が固定磁性層25の磁化方向となる。
【0098】図1では、第1固定磁性層25c及び第2
固定磁性層25aを同じ材料を用いて形成し、さらに、
それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの磁
気的膜厚(Ms×t)を異ならせている。
【0099】また、第1固定磁性層25c及び第2固定
磁性層25aの固定磁化による反磁界(双極子磁界)
を、第1固定磁性層25c及び第2固定磁性層25aの
静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャン
セルできる。これにより、固定磁性層25の固定磁化に
よる反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層23の
変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0100】従って、フリー磁性層23の変動磁化の方
向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシ
ンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜
磁気素子を得ることが可能になる。
【0101】ここで、アシンメトリーとは、再生出力波
形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形
が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリー
が小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程
再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0102】前記アシンメトリーは、フリー磁性層23
の磁化の方向と固定磁性層25の固定磁化の方向とが直
交しているときに0となる。アシンメトリーが大きくず
れるとメディアからの情報の読み取りが正確にできなく
なり、エラーの原因となる。このため、前記アシンメト
リーが小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上す
ることになり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れた
ものとなる。
【0103】また、固定磁性層25の固定磁化による反
磁界(双極子磁界)Hdは、フリー磁性層23の素子高
さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいとい
う不均一な分布を持ち、フリー磁性層23内における単
磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層25を上
記の積層構造とすることにより双極子磁界Hdを小さく
することができ、これによってフリー磁性層23内に磁
壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズ
などが発生することを防止することができる。
【0104】フリー磁性層23は、磁気的膜厚(Ms×
t;飽和磁化と膜厚の積)の大きさが異なる第2フリー
磁性層23cと第1フリー磁性層23aが、非磁性中間
層23bを介して積層され、第2フリー磁性層23cと
第1フリー磁性層23aの磁化方向が反平行となるフェ
リ磁性状態である。このとき、磁気的膜厚(Ms×t)
が大きい方、例えば、第2フリー磁性層23cの磁化方
向が、ハードバイアス層から発生する磁界の方向(図示
X方向)に向き、第1フリー磁性層23aの磁化方向
が、180度反対方向(図示X方向と反平行方向)に向
いた状態になる。
【0105】第2フリー磁性層23cと第1フリー磁性
層23aの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁
性状態になると、フリー磁性層の膜厚を薄くすることと
同等の効果が得られ、単位面積あたりの実効的な磁気モ
ーメントが小さくなり、フリー磁性層23の磁化が変動
しやすくなって、磁気検出素子の磁界検出感度が向上す
る。
【0106】第2フリー磁性層23cの磁気的膜厚(M
s×t)と第1フリー磁性層23aの磁気的膜厚(Ms
×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の
方向がフリー磁性層23の磁化方向となる。
【0107】ただし、固定磁性層25の磁化方向との関
係で出力に寄与するのは第2フリー磁性層23cの磁化
方向のみである。
【0108】保護層27は、Ta,Hf,Nb,Zr,
Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成され
る。保護層27の膜厚は30Å程度である。
【0109】ハードバイアス層33,33は、Co−P
t(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバル
ト−クロム−白金)合金などの硬磁性材料で形成され
る。これら合金の結晶構造は一般的にはバルクにおい
て、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)
の混相となる組成付近の膜組成に設定されている。
【0110】バイアス下地層32,32は、Cr,T
i,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種ま
たは2種以上の元素で形成されることが好ましい。例え
ば、CrやW50Mo50によって形成される。バイアス下
地層32,32を結晶構造がbcc(体心立方格子)構
造であるCrなどを用いて形成すると、ハードバイアス
層33,33の保磁力及び角形比が大きくなりバイアス
磁界を大きくできる。
【0111】ここで上記の金属で形成されたバイアス下
地層32,32とハードバイアス層33,33を構成す
るCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値とな
るために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらく
hcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造
のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層32,32の
境界面内に優先配向される。hcp構造はfcc構造に
比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハー
ドバイアス層33,33に磁界を与えたときの保磁力H
cは大きくなる。さらにhcpのc軸はCoPt系合金
とバイアス下地層32,32との境界面内で優先配向と
なっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁
化で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、ハー
ドバイアス層33,33の特性を向上させることがで
き、ハードバイアス層33,33から発生するバイアス
磁界を増大させることができる。
【0112】なお、下部電極層22及び上部電極層28
はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなど
を材料として用いて形成することができる。
【0113】なお、上部電極層28としてTaを用いる
場合には、上部電極層28の下層に、Crの中間層を設
けることによってCrの上層に積層されるTaの結晶構
造を低抵抗の体心立方構造にしやすくなる。
【0114】また、上部電極層28としてCrを用いる
場合には、上部電極層28の下層にTaの中間層を設け
ることにより、Crがエピタキシャルに成長して、抵抗
値を低減できる。
【0115】図1に示された磁気検出素子は、下部電極
層22上に、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1
s,T1sに対向して一対の絶縁材料層30,30が積
層されている。
【0116】絶縁材料層30,30は、酸化ケイ素(S
iO2)、アルミナ(Al23)、Al−Si−Oなど
の絶縁性材料によって形成される。
【0117】この絶縁材料層30,30が下部電極層2
2上に設けられることにより、下部電極層22表面の露
出面積が小さくなる。また、絶縁材料層30,30のミ
リングレートは、下部電極層22のミリングレートより
も著しく小さい。従って、多層膜T1をイオンミリング
などで削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック
幅方向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成す
る各層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁
性層25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付
着を低減することができる。
【0118】導電性を有するこれらの材料の再付着量を
低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を
発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性
層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成さ
れる磁気検出素子の品質を向上させることができるよう
になる。
【0119】多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0120】従って、再付着した導電性材料を除去する
ための多層膜T1の側端面T1s,T1s垂直方向に近
い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくても
すむようになるので、多層膜T1の側端面T1s,T1
sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の
低下を防ぐことができる。
【0121】また、図1では、多層膜T1の側端面T1
s,T1s全面に絶縁酸化膜31,31が形成されてい
ることによって、固定磁性層25からフリー磁性層23
間の電気的絶縁を確実にしている。
【0122】絶縁酸化膜31,31は、例えば、多層膜
T1を構成する各層の材料が再付着したものが酸化され
て形成された層、下部電極層22の材料が酸化されて形
成された層、絶縁材料層30と同じ材料からなる層、ア
ルミニウム(Al)などの金属材料が酸化されて形成さ
れた層のいずれか1層または2層以上を有するものであ
る。なお、前記金属材料が酸化されて形成された層は絶
縁性を有することが必要である。
【0123】前記金属材料が酸化されて形成された層が
形成されていると、多層膜T1の側端面T1s,T1s
と、下部電極層22、上部電極層28、ハードバイアス
層33,33及びバイアス下地層32,32との電気的
絶縁がより確実になるので好ましい。また、前記金属材
料のかわりにシリコン(Si)などの半導体材料を酸化
した層を前記金属材料が酸化されて形成された層の代わ
りに形成してもよい。、ただし、実際の絶縁酸化膜3
1,31において、これらの各層が明確に分離した状態
にあるとは限らない。
【0124】なお、図1では、絶縁酸化膜31,31
は、多層膜T1の側端面T1s,T1s全面、絶縁材料
層30,30の上面及び側面、並びに多層膜T1と絶縁
材料層30,30との間に露出した下部電極層22の表
面に成膜されている。
【0125】ただし、絶縁酸化膜31,31は、少なく
とも固定磁性層25からフリー磁性層23までの各層の
トラック幅方向における側端面に設けられているだけで
もよい。
【0126】下部電極層よりも著しく小さいミリングレ
ートを有する絶縁材料層30,30が形成されると、多
層膜T1をイオンミリングなどで削り出し形成するとき
に、イオンミリングのミリング速度の調節が容易にな
る。その結果、イオンミリングの工程において、多層膜
T1と絶縁材料層30,30との間に露出した下部電極
層22の表面22a,22aが削られないようにでき、
下部電極層22の上面を平坦面とすることができる。
【0127】従って、下部電極層22が削られない分だ
け多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1s
への、導電性材料の再付着を低減することができる。
【0128】なお、図1の磁気検出素子は、多層膜T1
のトラック幅方向の側端面T1s,T1sから間隔を開
けて一対の絶縁材料層30,30が積層されており、図
1に示されるように、側端面T1s,T1sと絶縁材料
層30の間に、溝部G,Gが生じる。
【0129】図1では、ハードバイアス層33,33が
溝部G,Gに入り込んだ状態で、多層膜T1の側端面T
1s,T1sと対向している。従って、図1のようなフ
リー磁性層23が多層膜T1の最下層にあるトップスピ
ン型磁気検出素子の場合でも、ハードバイアス層33,
33とフリー磁性層23とを確実に対向させることがで
き、フリー磁性層23に十分な縦バイアス磁界を与える
ことができる。
【0130】なお、ハードバイアス層33,33は、フ
リー磁性層23を構成する第2フリー磁性層23cと第
1フリー磁性層23aのうち、一方の磁化方向を揃える
だけでよい。例えば、第2フリー磁性層23cの磁化方
向が一定方向に揃えられると、第1フリー磁性層23a
は磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態となり、フリ
ー磁性層23全体の磁化方向が一定方向に揃えられる。
【0131】なお、多層膜T1の側端面T1s,T1s
と、絶縁材料層30,30の多層膜T1と対向する側の
側面30a,30aとの間隔W1RとW1Lが、多層膜
T1の図示X方向の両側で等しいと、フリー磁性層23
がハードバイアス層33,33から受け取る縦バイアス
磁界の大きさが、図示X方向の右側端部と左側端部で等
しくなるので好ましい。
【0132】また、前記金属材料が酸化されて形成され
た層の厚さを適宜調節して、多層膜T1の側端面T1
s,T1sとハードバイアス層33,33の側面33
a,33aとの距離を調節することにより、フリー磁性
層23がハードバイアス層33,33から受け取る縦バ
イアス磁界の大きさを調節することができる。
【0133】特に、間隔W1RとW1Lが、多層膜T1
の図示X方向の両側で多少異なった場合でも、前記金属
材料が酸化されて形成された層の厚さを、多層膜T1の
図示右側の側端面T1s上と図示左側の側端面T1s上
とで異ならせることによって、フリー磁性層23がハー
ドバイアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の
大きさを図示X方向の右側端部と左側端部で等しくなる
ようにできる。
【0134】なお、絶縁酸化膜31を、多層膜T1内を
流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態な
ど)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面
反射膜)とすることが好ましい。
【0135】ここで前記スペキュラー膜(鏡面反射膜)
を用いることによる鏡面反射効果について図6を参照し
ながら説明する。図6は本発明における磁気検出素子の
構造の一部を模式図的に示したものである。
【0136】アップスピン電子(図では上向き矢印で示
している)は、固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化
が平行となる状態では、固定磁性層、非磁性材料層を通
りぬけて、前記フリー磁性層の内部を移動できる。
【0137】ここでトラック幅Twの狭小化が進み特に
素子面積が60nm角以下になると、前記アップスピン
電子の一部は、前記フリー磁性層の内部を通過する前
に、多層膜の側端面に衝突しやすくなるが、前記多層膜
の側端面にスペキュラー膜を設けると、前記多層膜の側
端面に到達した前記アップスピン電子は、そこでスピン
状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面
反射する。そして鏡面反射したアップスピン電子の伝導
電子は、移動向きを変えて前記フリー磁性層内を通り抜
けることが可能になる。
【0138】このため、素子面積の狭小化においても前
記アップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+
を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よって前記ア
ップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、
ダウンスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ-
の差を大きくすることができ、従って再生出力の向上と
ともに、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることが可
能になる。
【0139】なお、スペキュラー膜の形成により伝導電
子が鏡面反射する理由は、フリー磁性層、非磁性材料
層、固定磁性層の側壁とスペキュラー膜との界面付近に
ポテンシャル障壁が形成されるためであると考えられ
る。
【0140】特に、磁気検出素子のトラック幅寸法が小
さくなると、前記アップスピン電子を持つ伝導電子が多
層膜の側端面に到達する回数が増え、スペキュラー膜の
持つ鏡面反射効果を有効に機能させることができ、抵抗
変化率の向上を図ることができる。
【0141】前述のように、絶縁酸化膜31は、例え
ば、多層膜T1を構成する各層の材料が再付着したもの
が酸化されて形成された層、下部電極層22の材料が酸
化されて形成された層、絶縁材料層30,30と同じ材
料からなる層、金属材料が酸化されて形成された層のい
ずれか1層または2層以上を有するものである。これら
の層を適切な酸化膜とすることで、絶縁酸化膜31をス
ペキュラー膜として機能させることができる。
【0142】特に、前記金属材料が酸化されて形成され
た層を以下の材料からなる層として形成すると、絶縁酸
化膜31を確実にスペキュラー膜として機能させること
ができる。
【0143】Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−F
e−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−
O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O
(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれ
か1種あるいは2種以上の酸化物。
【0144】なお例えばFe−Oの中でもα−Fe
23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でも
AlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすこ
とが好ましい。
【0145】これら酸化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、酸素以外の構成元素
のターゲットを用意し、多層膜の側端面に酸素以外の構
成元素の膜をスパッタ成膜した後、自然酸化、プラズマ
酸化、あるいはラジカル酸化などによって、前記酸素以
外の構成元素からなる膜を酸化させることによる。なお
前記酸素以外の構成元素の膜すべてを酸化させないと適
切に鏡面反射効果を有するスペキュラー膜を形成するこ
とはできない。
【0146】また上記の酸化方法によって形成されたス
ペキュラー膜は、化学量論的な組成を有していた方が良
いが有していなくても鏡面反射効果を発揮させることが
できる。
【0147】上記のように化学量論的な組成を有さなく
ても十分な絶縁性を有するスペキュラー膜では、フリー
磁性層23との界面付近に適切にポテンシャル障壁が形
成され、鏡面反射効果を発揮することが可能になる。
【0148】例えばスペキュラー膜をAl−Oで形成す
るとき、Al23で形成されたターゲットでスペキュラ
ー膜をスパッタ成膜すると、化学量論的な組成を有する
スペキュラー膜を形成することができないが、極端に酸
素が少なくなければ前記スペキュラー膜とフリー磁性層
23との界面付近に適切なポテンシャル障壁を形成で
き、鏡面反射効果を有効に発揮させることができるので
ある。
【0149】あるいは前記金属材料が酸化されて形成さ
れた層を、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、S
i、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから
選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、
Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択され
る1種以上)の窒化物で形成してもよい。
【0150】なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−
Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式
を満たすことが好ましい。
【0151】これら窒化物の形成は、構成元素のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜するか、例えば窒素以外の構
成元素のターゲットを用意し、多層膜の側端面に窒素以
外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、前記窒素以外
の構成元素からなる膜を窒化させることによる。
【0152】または、前記金属材料が酸化されて形成さ
れた層の代わりに、半金属ホイッスラー合金からなる層
を形成してもよい。前記半金属ホイッスラー金属には、
NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。
【0153】なお、下部電極層22及び上部電極層28
が磁性材料によって形成され、下部電極層22及び上部
電極層28がそれぞれ、下部シールド層21及び上部シ
ールド層29の機能を有してもよい。
【0154】なお、図1では、多層膜T1のトラック幅
方向の側端面T1s,T1sと絶縁材料層30,30の
間に間隔があるが、側端面T1s,T1sと絶縁材料層
30,30が接触してもよい。
【0155】図2は、本発明における第2の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0156】図2に示される磁気検出素子は、多層膜T
1と絶縁材料層30,30との間に露出した下部電極層
22の表面22a,22aが削られて凹部となっている
点で、図1に示された磁気検出素子と異なっている。
【0157】図2に示されるように、下部電極層22の
多層膜T1と絶縁材料層30,30に挟まれる部位が凹
面形状に削り込まれる場合でも、絶縁材料層30,30
が下部電極層22上に設けられることにより、下部電極
層22表面の露出面積が小さくなること、絶縁材料層3
0,30のミリングレートは、下部電極層のミリングレ
ートよりも著しく小さいことは図1と同じである。
【0158】従って、多層膜T1をイオンミリングなど
で削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック幅方
向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成する各
層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層
25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を
低減することができる。
【0159】導電性を有するこれらの材料の再付着量を
低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を
発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性
層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成さ
れる磁気検出素子の品質を向上させることができるよう
になる。
【0160】多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0161】従って、再付着した導電性材料を除去する
ための多層膜T1の側端面T1s,T1s垂直方向に近
い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくても
すむようになるので、多層膜T1の側端面T1s,T1
sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の
低下を防ぐことができる。
【0162】図3は、本発明における第3の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0163】図3では、多層膜T2が下から順に、下地
層40、シード層41、反強磁性層26、第1固定磁性
層25c、非磁性中間層25b、第2固定磁性層25a
からなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層2
5、非磁性材料層24、第2フリー磁性層23c、非磁
性中間層23b、第1フリー磁性層23aからなるシン
セティックフェリフリー型のフリー磁性層23、保護層
27が積層されて形成されている点で図1に示される磁
気検出素子と異なっている。
【0164】図3の磁気検出素子は、いわゆるボトムス
ピンバルブ型の磁気検出素子である。
【0165】下地層40は、Ta,Hf,Nb,Zr,
Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成される
ことが好ましい。下地層40は50Å以下程度の膜厚で
形成される。なおこの下地層40は形成されていなくて
も良い。
【0166】シード層41は、NiFe、NiFeCr
やCrなどを用いて形成する。なお、図3に示される磁
気検出素子は各層の膜面と垂直方向にセンス電流が流れ
るCPP型であるため、シード層41にも適切にセンス
電流が流れる必要性がある。よってシード層41は比抵
抗の高い材質でないことが好ましい。従って、CPP型
ではシード層41はNiFe合金、Crなどの比抵抗の
低い材質で形成されることが好ましい。なおシード層4
1は形成されなくても良い。
【0167】図3の磁気検出素子でも、この絶縁材料層
30,30が下部電極層22上に設けられることによ
り、下部電極層22表面の露出面積が小さくなること、
絶縁材料層30,30のミリングレートが、下部電極層
のミリングレートよりも著しく小さいことは図1と同じ
である。
【0168】従って、多層膜T2をイオンミリングなど
で削り出し形成するときに、多層膜T2のトラック幅方
向の側端面T2s,T2sに、多層膜T2を構成する各
層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層
25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を
低減することができる。
【0169】導電性を有するこれらの材料の再付着量を
低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を
発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性
層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成さ
れる磁気検出素子の品質を向上させることができるよう
になる。
【0170】多層膜T2の側端面T2s,T2s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0171】従って、再付着した導電性材料を除去する
ための多層膜T2の側端面T2s,T2s垂直方向に近
い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくても
すむようになるので、多層膜T2の側端面T2s,T2
sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の
低下を防ぐことができる。
【0172】導電性材料の再付着は、多層膜T2の上部
に向かうにつれて多くなる。図3に示されるボトムスピ
ンバルブ型の磁気検出素子は、フリー磁性層23と固定
磁性層25が、多層膜T2の上部に位置し、導電性材料
の再付着によって電気的短絡が生じやすいので、本発明
の有効性が高い。
【0173】図4は、本発明における第4の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0174】図4の磁気検出素子は、多層膜T2の両側
領域の絶縁酸化膜31上がアルミナや酸化ケイ素からな
る絶縁層42によって埋められており、絶縁層42と多
層膜T2の上面のフリー磁性層23に重なる位置に縦バ
イアス層としてエクスチェンジバイアス層43,43が
形成されている点で図3の磁気検出素子と異なってい
る。なお、上部電極層28は、エクスチェンジバイアス
層43,43間に形成されている。
【0175】エクスチェンジバイアス層43,43は、
反強磁性層26と同じく、PtMn合金、または、X―
Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,N
i,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)
合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、P
d,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,N
i,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以
上の元素である)合金で形成することができる。
【0176】第1フリー磁性層23aは、エクスチェン
ジバイアス層43,43との交換異方性磁界によって、
磁化方向がトラック幅方向(図示X方向)に揃えられ、
第2フリー磁性層23cは、第1フリー磁性層23aと
のRKKY相互作用によって、図示X方向と反平行方向
の磁化方向となる。
【0177】エクスチェンジバイアス層43,43によ
って、フリー磁性層23を単磁区化すると、エクスチェ
ンジバイアス層43,43間距離で規定される光学的ト
ラック幅と、フリー磁性層23の磁化が変動する領域の
トラック幅方向寸法で規定される磁気的トラック幅が一
致する。
【0178】すなわち、ハードバイアス層によってバイ
アス磁界を与える構成と異なり、光学的トラック幅の領
域内にいわゆる不感領域が形成されないという利点を有
する。
【0179】図4の磁気検出素子でも、多層膜T2をイ
オンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T
2のトラック幅方向の側端面T2s,T2sに、多層膜
T2を構成する各層の材料の再付着を低減することがで
きる。従って、フリー磁性層23と固定磁性層25間の
電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検
出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0180】多層膜T2の側端面T2s,T2s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0181】従って、再付着した導電性材料を除去する
ための多層膜T2の側端面T2s,T2s垂直方向に近
い方向からのミリング(サイドミリング)をしなくても
すむようになるので、多層膜T2の側端面T2s,T2
sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検出特性の
低下を防ぐことができる。
【0182】なお、エクスチェンジバイアス層43,4
3とフリー磁性層26の間に、強磁性材料からなる強磁
性層や非磁性材料からなる層を形成してもよい。また
は、エクスチェンジバイアス層43,43を強磁性材料
によって形成してもよい。
【0183】図5は、本発明における第5の実施形態の
磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面
図である。
【0184】図5の磁気検出素子は、フリー磁性層23
の上に非磁性材料からなる分離層44が積層され、分離
層44上に、縦バイアス層として、硬磁性材料からなる
インスタックバイアス層45が積層されている多層膜T
3を有し、多層膜T3の側端面T3s,T3sに対向す
るハードバイアス層が形成されていない点で図3に示さ
れた磁気検出素子と異なっている。
【0185】分離層44より下層の、下地層40、シー
ド層41、反強磁性層26、第1固定磁性層25c、非
磁性中間層25b、第2固定磁性層25aからなるシン
セティックフェリピンド型の固定磁性層25、非磁性材
料層24、第2フリー磁性層23c、非磁性中間層23
b、第1フリー磁性層23aからなるシンセティックフ
ェリフリー型のフリー磁性層23の構成は、図3に示さ
れた磁気検出素子と同じである。
【0186】図5に示される磁気検出素子では、インス
タックバイアス層45の端部とフリー磁性層23の端部
間に静磁的な結合が発生し、フリー磁性層23の磁化方
向が一方向にそろえられる。図5では、フリー磁性層2
3のうちインスタックバイアス層45に近い側の第1フ
リー磁性層23aとインスタックバイアス層45間に静
磁的な結合が発生し、第1フリー磁性層23aの磁化が
図示X方向に単磁区化され、第2フリー磁性層23cの
磁化が図示X方向と180°異なる方向を向く。
【0187】第2フリー磁性層23cの磁気的膜厚(M
s×t)と第1フリー磁性層23aの磁気的膜厚(Ms
×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の
方向がフリー磁性層23の磁化方向となる。
【0188】図1から図3に示された磁気検出素子で
は、多層膜のトラック幅方向の側端面にハードバイアス
層を対向させることでフリー磁性層23内に反磁界が生
じるバックリング現象や、フリー磁性層23の磁化が側
端面付近で強固に固定され磁化反転が悪化する不感領域
の発生が問題になることがある。
【0189】しかし、図5のようにフリー磁性層23の
非磁性材料層24が形成された面と反対側の面に分離層
44を介してインスタックバイアス層45を設けること
で、バックリング現象や不感領域の発生問題を解消でき
る。
【0190】従って、フリー磁性層23の単磁区化を適
切に促進でき、またフリー磁性層の外部磁界に対する磁
化反転を良好にでき、再生感度が良く再生波形の安定性
に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0191】また図5に示す磁気検出素子では、フリー
磁性層23のトラック幅方向における両側端面と連続面
として分離層44及びインスタックバイアス層45の両
側端面が形成される。これによってインスタックバイア
ス層45とフリー磁性層23間の静磁的な結合を良好に
でき、フリー磁性層23の単磁区化を促進させることが
可能である。
【0192】なおインスタックバイアス層45の膜厚は
50〜300Åであることが好ましい。
【0193】図5の磁気検出素子でも、多層膜T3をイ
オンミリングなどで削り出し形成するときに、多層膜T
3のトラック幅方向の側端面T3s,T3sに、多層膜
T3を構成する各層の材料の再付着を低減することがで
きる。従って、フリー磁性層23と固定磁性層25間の
電気的絶縁をとることが容易になり、形成される磁気検
出素子の品質を向上させることができるようになる。
【0194】多層膜T3の側端面T3s,T3s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0195】従って、再付着した導電性材料を除去する
ための多層膜T3の側端面T3s,T3sに対する垂直
方向に近い方向からのミリング(サイドミリング)をし
なくてもすむようになるので、多層膜T3の側端面T3
s,T3sの面粗れを防止でき、磁気検出素子の磁界検
出特性の低下を防ぐことができる。
【0196】図1に示された磁気検出素子の製造方法を
説明する。まず、図7に示されるように、図示しない基
板上に、アルミナなどの下地層(図示せず)を介して、
下部シールド層21、下部電極層22、及び絶縁材料層
30を成膜する。各層の材料は、図1に示された磁気検
出素子と同じなので説明を省略する。
【0197】各層の形成は例えばスパッタ成膜である。
スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ
法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッ
タ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッ
タ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法
などを使用できる。なお、以下に示す工程においてスパ
ッタ成膜を行うときにも、これらのスパッタ法を使うこ
とができる。
【0198】なお、下部電極層22が成膜されず、下部
シールド層21上に絶縁材料層30を直接成膜してもよ
い。この場合、下部シールド層21が下部電極層として
も働く。
【0199】次に、絶縁材料層30上に、レジスト層R
1,R1を形成する。レジスト層R1,R1のトラック
幅方向(図示X方向)における間隔をW2とする。W2
は、図1に示される多層膜T1の底面の幅寸法W3と同
じか、幅寸法W3よりも大きくする。
【0200】次に、レジスト層R1,R1に覆われてい
ない絶縁材料層30の領域を、イオンミリングなどで削
って除去して溝部G1を形成し、この溝部G1内に下部
電極層22の表面を露出させる。このとき、絶縁材料層
30,30の側面30a,30aの下部電極層22aに
対する傾斜角度は、80°〜90°である。
【0201】なお、前記イオンミリングによって、絶縁
材料層30のみを削り、下部電極層22を削らないこと
が好ましいが、下部電極層22が多少削られてもかまわ
ない。
【0202】次に、図9に示すように、絶縁材料層3
0,30の側面30a,30aに挟まれた溝部G1内の
下部電極層22の表面上、及び絶縁材料層30,30上
に、第1フリー磁性層23a、非磁性中間層23b、第
2フリー磁性層23cからなるシンセティックフェリフ
リー型のフリー磁性層23、非磁性材料層24、第2固
定磁性層25a、非磁性中間層25b、第1固定磁性層
25cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁
性層25、反強磁性層26、保護層27を下から順に積
層する。第1フリー磁性層23aから保護層27までが
多層膜T1である。
【0203】各層の材料は、図1に示された磁気検出素
子と同じなので説明を省略する。さらに、絶縁材料層3
0,30の側面30a,30aに挟まれた領域(溝部G
1)に重なる保護層27の上にリフトオフ用のレジスト
層R2を形成する。
【0204】レジスト層R2のトラック幅方向(図示X
方向)における幅寸法W4は、フリー磁性層23の上面
の幅寸法で決定されるトラック幅と同程度で形成する。
【0205】なお、レジスト層R2のトラック幅方向の
中央位置C3と、絶縁材料層30,30の側面30a,
30aに挟まれた領域(溝部G1)のトラック幅方向の
中央位置C2が、図9に示されるように重なっているこ
とが好ましい。
【0206】図8及び図9では、下部電極層22の絶縁
材料層30,30の側面30a,30aに挟まれた領域
(露出面)22a1のトラック幅方向(図示X方向)に
おける幅寸法をW5としている。
【0207】中央位置C2と中央位置C3が重なってい
ると、図1に示されるように、多層膜T1の側端面T1
s,T1sと、絶縁材料層30,30の多層膜T1と対
向する側の側面30a,30aとの間隔W1RとW1L
が等しい磁気検出素子を形成することができる。する
と、フリー磁性層23がハードバイアス層33,33か
ら受け取る縦バイアス磁界の大きさが、図示X方向の右
側端部と左側端部で等しくなるので好ましい。
【0208】中央位置C2と中央位置C3を重ねるため
には、図7に示されるレジスト層R1,R1で挟まれる
領域の中央位置C1と中央位置C3が重なりあうように
すればよい。
【0209】レジスト層R2の形成後、多層膜T1の表
面に対する法線方向(前記基板の表面に対する法線方
向)から角度θ1だけ傾いた入射角度のイオンミリング
によって、レジスト層R2に覆われていない、保護層2
7からフリー磁性層23までの各層で構成される多層膜
T1の両側領域を除去する(点線部分)。
【0210】角度θ1は、例えば5°〜20°である。
多層膜T1を構成する各層の材料は金属材料であり、絶
縁材料層30,30の材料は、アルミナや酸化ケイ素な
どの絶縁材料であるので、多層膜T1のミリングレート
より絶縁材料層30,30のミリングレートの方が遅
い。
【0211】従って、レジスト層R2に覆われていない
多層膜T1の両側領域は完全に除去され、下部電極層2
2上に、多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,
T1sに対向して一対の絶縁材料層30,30が積層さ
れた状態になる。
【0212】第1フリー磁性層23aが完全に削られた
ところで前記イオンミリングを終了するという微妙な調
節ができるのは、下部電極層22上に、ミリングレート
の遅い絶縁材料層30,30が積層されているためであ
る。
【0213】図9及び図10に示されるミリング工程
で、レジスト層R2に覆われることにより除去されずに
残された多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,
T1sに金属層F,Fが付着する。この金属層F,Fは
多層膜T1の材料が前記ミリング工程時に再付着したも
のである。なお、下部電極層22が削られなければ、金
属層F,Fには下部電極層22の材料が含まれることは
ない。
【0214】金属層F,Fの厚さは多層膜T1の上層に
行く程厚くなる。本発明では、多層膜T1の最上部での
金属層F,Fの厚さは2nm〜10nmである。
【0215】本発明では、下部電極層22上を覆う絶縁
材料層30,30が積層されているために、前記ミリン
グ工程時に下部電極層22が削られて、多層膜T1の側
端面T1s,T1sに再付着する程度を低減できる。図
10に示されるように、下部電極層22の材料の側端面
T1s,T1sへの再付着を全くなくすことが可能であ
る。
【0216】従って、本発明では、多層膜T1の側端面
T1s,T1sに付着する金属層F,Fの厚さを低減で
きる。
【0217】次に、図11に示すように、多層膜T1の
表面に対する法線方向(前記基板の表面に対する法線方
向)から角度θ2だけ傾いた入射角度のイオンミリング
を行う。
【0218】角度θ2は前述の角度θ1より大きく、例
えば30°〜70°である。角度θ2のイオンミリング
を行うと、図11に示されるように、多層膜T1の側端
面T1s,T1sをサイドミリングして、再付着物であ
る金属層F,Fを削って薄くする工程と絶縁材料層3
0,30を逆スパッタして、絶縁材料を多層膜T1の側
端面T1s,T1sに付着させる工程が同時に行われ
る。
【0219】なお、金属層F,Fが完全に除去されるま
でイオンミリングを行うと、多層膜T1の側端面T1
s,T1sにミリング粒子が打ち込まれて磁気検出素子
の磁界検出特性が低下する。従って、図11に示される
工程では、金属層F,Fをわずかに残すように削り、多
層膜T1の側端面T1s,T1sが損傷しないようにす
ることが好ましい。
【0220】次に、多層膜T1の側端面T1s,T1s
に残った金属層F,Fを酸化させる。酸化には自然酸
化、プラズマ酸化、ラジカル酸化のうちいずれか1種以
上の酸化方法を用いることが好ましい。またこれ以外の
酸化方法であっても良い。
【0221】金属層F,Fを酸化させることにより、多
層膜T1を構成する各層の電気的絶縁、特にフリー磁性
層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることがで
きる。
【0222】本発明では、金属層F,Fの厚さが薄いた
め、金属層F,Fの完全な酸化を短い時間で確実に行う
ことができる。
【0223】なお、本発明では、再付着物である金属層
F,Fの厚さがもともと薄いので、金属層F,Fを削っ
て薄くする工程を省略して、多層膜T1を削り出し形成
した後、すぐに金属層F,Fを酸化させる工程に移行し
ても、金属層F,Fを確実に酸化させることが可能であ
る。
【0224】金属層F,Fを酸化させた後、図12に示
すように、側端面T1s,T1s上の酸化された金属層
F,F及び絶縁材料層30,30が逆スパッタされて形
成された層A,A上、溝部G,G上、及び絶縁材料層3
0,30の側面及び上面に、金属材料をスパッタ粒子の
入射方向が等方的であるスパッタ成膜法によって成膜す
る。さらにこの金属材料を酸化させて酸化物層O,Oを
形成する。
【0225】まず、金属材料を成膜してからこの金属材
料を酸化する方法をとると、酸化金属からなるターゲッ
トを用いて直接金属酸化膜を成膜する方法に比べて、形
成される酸化物層O,Oにピンホールが発生する確率を
低減することができる。
【0226】図12では、多層膜T1を構成する各層の
材料が再付着したものが酸化されて形成された層である
酸化された金属層F,F、絶縁材料層30,30が逆ス
パッタされて形成された層A,A、金属材料が酸化され
て形成された酸化物層O,Oが絶縁酸化膜31を構成し
ている。
【0227】ただし、実際の絶縁酸化膜31,31にお
いて、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限
らない。
【0228】絶縁酸化膜31によって、多層膜T1の側
端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層2
8、ハードバイアス層33,33及びバイアス下地層3
2,32との電気的絶縁をとる。
【0229】特に、酸化物層O,Oを形成することによ
り、絶縁酸化膜31の絶縁耐圧が向上する。
【0230】また、多層膜T1の両側にハードバイアス
層33,33を形成する場合、酸化物層O,Oの厚さを
適宜調節して、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハ
ードバイアス層33,33の側面33a,33aとの距
離を調節することにより、フリー磁性層23がハードバ
イアス層33,33から受け取る縦バイアス磁界の大き
さを調節することができる。
【0231】特に、前記間隔W1RとW1Lが、多層膜
T1の図示X方向の両側で多少異なった場合でも、酸化
物層O,Oの厚さを、多層膜T1の図示右側の側端面T
1s上と図示左側の側端面T1s上とで異ならせること
によって、フリー磁性層23がハードバイアス層33,
33から受け取る縦バイアス磁界の大きさを、図示X方
向の右側端部と左側端部で等しくなるようにできる。
【0232】なお、絶縁酸化膜31を、多層膜T1内を
流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態な
ど)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面
反射膜)とすることが好ましい。
【0233】前述のように、絶縁酸化膜31は、酸化さ
れた金属層F,F、絶縁材料層30,30が逆スパッタ
されて形成された層A,A、金属材料が酸化されて形成
された酸化物層O,Oからなるものである。これらの層
を適切な酸化膜とすることで、絶縁酸化膜31をスペキ
ュラー膜として機能させることができる。
【0234】特に、酸化物層O,Oを以下の材料からな
る層として形成すると、絶縁酸化膜31を確実にスペキ
ュラー膜として機能させることができる。
【0235】Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−F
e−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−
O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O
(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれ
か1種或いは2種以上の酸化物。
【0236】なお例えばFe−Oの中でもα−Fe
23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でも
AlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすこ
とが好ましい。
【0237】上記した酸化物層(スペキュラー膜)O,
Oを形成する際、酸化物ターゲットを用いて直接酸化膜
を堆積させてもよいが、まず上記各化合物の酸素を除い
た元素からなるターゲットを用意し、このターゲットを
用いて多層膜の側端面にかけて、各化合物の酸素を除い
た元素からなる膜を成膜する。具体的に言えば、例えば
酸化物層O,OをTaOで形成する場合、まずTa膜を
多層膜の側端面にかけて成膜する。次に、前記Ta膜を
酸化する。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル
酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが
好ましい。またこれ以外の酸化方法であっても良い。
【0238】なお上記した酸化工程で酸素を除いた元素
から成る膜をすべて酸化し、これによって形成された酸
化物層(スペキュラー膜)は化学量論的な組成に近く、
隣接する多層膜との間に、十分なポテンシャル障壁を形
成することが可能となる。この結果、十分な鏡面反射効
果を得ることが可能になる。
【0239】また上記した酸化物以外に酸化物層(スペ
キュラー膜)O,Oを、Al−N、Al−Q−N(ここ
でQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでR
はTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W
から選択される1種以上)の窒化物で形成してもよい。
【0240】なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−
Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式
を満たすことが好ましい。
【0241】かかる場合、上記の窒化物の窒素を除いた
元素から成る膜を、スパッタ成膜した後、前記膜を窒化
させることで窒化物から成るスペキュラー膜を形成する
ことができる。
【0242】あるいは、スペキュラー膜を半金属ホイッ
スラー合金で形成してもよい。前記は金属ホイッスラー
合金には、NiMnSb、PtMnSbなどを選択でき
る。これら半金属ホイッスラー合金を、スパッタ成膜す
ることが好ましい。
【0243】なお上記した酸化物層(スペキュラー膜)
O,Oの成膜の際におけるスパッタ条件は、例えば磁気
検出素子を形成する基板の温度を20℃〜100℃と
し、前記基板とターゲット間の距離を100〜300m
mとし、Arガス圧を10-5〜10-3Torr(1.3
×10-3〜0.13Pa)とする。
【0244】次に絶縁酸化膜31上にバイアス下地層3
2及びハードバイアス層33,33をスパッタ成膜す
る。ハードバイアス層33,33は少なくともフリー磁
性層23のトラック幅方向における側端面に対向するよ
うに形成される。
【0245】バイアス下地層32は、結晶構造が体心立
方構造(bcc構造)の金属膜で形成されることが好ま
しい。なおこのときバイアス下地層32の結晶配向は
(100)面が優先配向するのが好ましい。
【0246】バイアス下地層32、ハードバイアス層3
3,33のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入射角度
は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向から5°
〜60°である。
【0247】ハードバイアス層33,33からフリー磁
性層23に縦バイアス磁界が供給されて、フリー磁性層
23の磁化は適切にトラック幅方向(図示X方向)に単
磁区化される。
【0248】次にハードバイアス層上に絶縁層34をス
パッタ成膜する。絶縁層34の膜厚は50〜200Å程
度であることが好ましい。これにより上部電極層28か
ら流れるセンス電流がハードバイアス層33,33に分
流するのを抑制することが可能である。
【0249】また絶縁層34のスパッタ時におけるスパ
ッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面に対す
る法線方向から0°〜45°である。
【0250】バイアス下地層32、ハードバイアス層3
3,33、及び絶縁層34の材料は、図1に示された磁
気検出素子と同じ磁気検出素子なので説明を省略する。
【0251】なお、バイアス下地層32、ハードバイア
ス層33,33、及び絶縁層34の材料の層が、レジス
ト層R2の上面や側端面に付着する。
【0252】そしてレジスト層R2を除去する。図13
に示すように、レジスト層R2の上面や側面には、絶縁
材料(絶縁層34の材料)などの層が付着しているから
レジスト層R2を溶剤に浸して除去することは難しい。
【0253】このため、スクラブ洗浄によって、レジス
ト層R2の上面などに付着した絶縁材料たどの層を一部
除去してレジスト層R2の一部の表面を露出させた後、
レジスト層R2を溶剤に浸しレジスト層R2を溶かして
除去する。
【0254】なおスクラブ洗浄には、例えばドライアイ
スの粒子を、レジスト層R2の表面に付着した絶縁材料
などの層に衝突させて、絶縁材料などの層の一部を除去
する方法などがある。
【0255】レジスト層R2の除去後、多層膜T1の上
面と電気的に接続される上部電極層28及び上部磁極層
29を積層すると図1に示される磁気検出素子を形成で
きる。
【0256】図10では、第1フリー磁性層23aが完
全に削られたところで前記イオンミリングを終了し、下
部電極層22を削らないようにしている。従って、下部
電極層22の上面は平坦面となっている。
【0257】ただし、図14に示されるように、下部電
極層22の上面が多少削り取られてもよい。下部電極層
22の上面が多少削り取られると、図2に示された磁気
検出素子が形成される。
【0258】下部電極層22の多層膜T1と絶縁材料層
30,30に挟まれる部位が凹面形状に削り込まれる場
合でも、この絶縁材料層30,30が下部電極層22上
に設けられることにより、下部電極層22表面の露出面
積が小さくなること、絶縁材料層30,30のミリング
レートは、下部電極層のミリングレートよりも著しく小
さいことは図1と同じである。
【0259】従って、多層膜T1をイオンミリングなど
で削り出し形成するときに、多層膜T1のトラック幅方
向の側端面T1s,T1sに、多層膜T1を構成する各
層(フリー磁性層23、非磁性材料層24、固定磁性層
25、反強磁性層26、保護層27)の材料の再付着を
低減することができる。
【0260】導電性を有するこれらの材料の再付着量を
低減することができると、磁気検出素子が磁界検出能を
発揮するために重要となるフリー磁性層23と固定磁性
層25間の電気的絶縁をとることが容易になり、形成さ
れる磁気検出素子の品質を向上させることができるよう
になる。
【0261】多層膜T1の側端面T1s,T1s上の導
電性材料の再付着量が少ない本発明では、例えば、再付
着した導電性材料をラジカル酸化するだけで、フリー磁
性層23と固定磁性層25間の電気的絶縁をとることも
可能になる。
【0262】図15は、図2に示された磁気検出素子の
絶縁酸化膜31の拡大部分断面図である。
【0263】図2に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜
31は、酸化された金属層F、下部電極層22の材料が
酸化されて形成された層M、絶縁材料層30,30が逆
スパッタされて形成された層A、金属材料が酸化されて
形成された酸化物層Oから構成されている。
【0264】ただし、実際の絶縁酸化膜31,31にお
いて、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限
らないなお、図3に示されるトップスピン型の磁気検出
素子を形成するときには、図9における多層膜の積層工
程において、下から順に、下地層40、シード層41、
反強磁性層26、固定磁性層25、非磁性材料層24、
フリー磁性層23、保護層27を積層すればよい。
【0265】また、図4に示される磁気検出素子を形成
するときには、図12に示される工程の後、多層膜T1
の両側領域を全て絶縁層42で埋める。そして、フリー
磁性層23に重なる位置に、反強磁性材料からなるエク
スチェンジバイアス層43,43を形成すればよい。
【0266】なお、図4に示される磁気検出素子では、
反強磁性層26と第1固定磁性層25c間に発生する交
換異方性磁界の向きと、第1フリー磁性層23aとエク
スチェンジバイアス層43,43間に発生する交換異方
性磁界の向きを交叉させる必要がある。
【0267】交換異方性磁界の向きを交叉させる方法と
して、エクスチェンジバイアス層43,43の積層後、
トラック幅方向と直交する方向の第1の磁界を印加しつ
つ、第1の熱処理温度で熱処理し、反強磁性層26およ
びエクスチェンジバイアス層43,43に交換結合磁界
を発生させて、固定磁性層25およびフリー磁性層23
の磁化を前記直交する方向に固定すると共に、反強磁性
層26の交換結合磁界をエクスチェンジバイアス層4
3,43の交換結合磁界よりも大とし、次に、トラック
幅方向に前記工程でのエクスチェンジバイアス層43,
43の交換結合磁界よりも大きく、且つ反強磁性層26
の交換結合磁界よりも小さい第2の磁界を印加しつつ、
前記第1の熱処理温度よりも高い第2の熱処理温度で熱
処理し、フリー磁性層23に固定磁性層25の磁化方向
と交叉する方向の縦バイアス磁界を付与するという方法
がある。
【0268】なお、エクスチェンジバイアス層43,4
3とフリー磁性層26の間に、強磁性材料からなる強磁
性層や非磁性材料からなる層を形成してもよい。また
は、エクスチェンジバイアス層43,43を強磁性材料
によって形成してもよい。
【0269】また、図5に示される磁気検出素子を形成
するときには、図9に示される多層膜の積層工程におい
て、フリー磁性層23の非磁性材料層24が形成された
面と反対側の面に、非磁性材料からなる分離層44を介
して、強磁性材料からなるインスタックバイアス層45
を積層すればよい。
【0270】図16及び図17は、本発明の磁気検出素
子を備えた磁気ヘッドを示した図である。なお図16は
スライダを記録媒体との対向面側から見た斜視図、図1
7は図16に示すD−D線から切断し矢印方向から見た
縦断面図である。
【0271】図16及び図17に示すように、前記磁気
検出素子を具備してなるGMRヘッドh1は、インダク
ティブヘッドh2と共にスライダのトレーリング側端部
50aに設けられて磁気ヘッドを構成し、ハードディス
ク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出及び記録すること
が可能になっている。
【0272】図16に示すように、スライダ50の記録
媒体との対向面(ABS面)52には、レール52a、
52a,52aが形成され、各レール同士間は、エアー
グルーブ52b、52bを構成している。
【0273】図17に示すように、GMRヘッドh1
は、スライダ50の端面50a上に形成された磁性合金
からなる下部シールド層53と、下部シールド層53に
積層された下部電極層54と、記録媒体との対向面52
から露出する本発明の磁気検出素子55と、上部電極層
56と、上部シールド層57とから構成されている。
【0274】上部シールド層57は、インダクティブヘ
ッドh2の下部コア層と兼用とされている。
【0275】インダクティブヘッドh2は、下部コア層
(上部シールド層)57と、下部コア層57に積層され
たギャップ層58と、コイル59と、記録媒体との対向
面でギャップ層58上に接合され、かつ基端部60aに
て下部コア層57に接合される上部コア層60とから構
成されている。
【0276】また、上部コア層60上には、アルミナな
どからなる保護層61が積層されている。
【0277】なお、図16及び図17において、図示X
方向がトラック幅方向、図示Y方向が記録媒体からの洩
れ磁界方向(ハイト方向)、図示Z方向が記録媒体の移
動方向である。
【0278】また本発明では、多層膜をトンネル型磁気
抵抗効果型素子と呼ばれる磁気検出素子とすることもで
きる。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性材料
層24がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成され
る。
【0279】なお本発明における磁気検出素子は、ハー
ドディスク装置に搭載される磁気ヘッドにのみ使用可能
なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなど
にも使用可能なものである。
【0280】以上本発明をその好ましい実施例に関して
述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変
更を加えることができる。
【0281】なお、上述した実施例はあくまでも例示で
あり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではな
い。
【0282】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明では、前記多
層膜の側端面に対向して一対の絶縁材料層が積層されて
いる。この絶縁材料層が前記下部電極層上に設けられる
ことにより、前記多層膜をイオンミリングなどで削り出
し形成するときに、前記多層膜のトラック幅方向の側端
面に、前記多層膜を構成する各層の材料の再付着量を低
減することができる。
【0283】導電性を有する前記多層膜を構成する各層
の材料の再付着量を低減することができると、磁気検出
素子が磁界検出能を発揮するために重要となる前記フリ
ー磁性層と前記固定磁性層間の電気的絶縁をとることが
容易になり、形成される磁気検出素子の品質を向上させ
ることができるようになる。
【0284】また、本発明では、前記多層膜の少なくと
も前記固定磁性層から前記フリー磁性層までの各層のト
ラック幅方向における側端面に、絶縁酸化膜を設けるこ
とにより、前記固定磁性層から前記フリー磁性層間の電
気的絶縁を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図2】本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図3】本発明の第3の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図4】本発明の第4の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図5】本発明の第5の実施の形態の磁気検出素子の断
面図、
【図6】スペキュラー膜による鏡面反射効果を説明する
ための様式説明図、
【図7】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図8】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図9】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態
を示す一工程図、
【図10】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図11】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図12】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図13】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図14】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形
態を示す一工程図、
【図15】図2に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜の
部分拡大図、
【図16】本発明の磁気検出素子が取りつけられた磁気
ヘッドの斜視図、
【図17】図16に示された磁気ヘッドの断面図、
【図18】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程
図、
【図19】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程
図、
【図20】従来の磁気検出素子の製造方法を示す一工程
図、
【符号の説明】
21 下部シールド層 22 下部電極層 23 フリー磁性層 23a 第1フリー磁性層 23b 非磁性中間層 23c 第2フリー磁性層 24 非磁性中間層 25 固定磁性層 25a 第2固定磁性層 25b 非磁性中間層 25c 第1固定磁性層 26 反強磁性層 27 保護層 28 上部電極層 29 上部シールド層 30 絶縁材料層 30a 側面 31 絶縁酸化膜 32 バイアス下地層 33 ハードバイアス層 34、42 絶縁層 40 下地層 41 シード層 43 エクスチェンジバイアス層 44 分離層 45 インスタックバイアス層 R1、R2 レジスト層 F 金属層 O 酸化物層 A 絶縁材料層30が逆スパッタされて形成された層 G、G1 溝部 T1、T2、T3 多層膜 T1s、T2s、T3s 側端面 C1、C2、C3 中央位置

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁
    性層を有する多層膜、並びに前記多層膜の上面に電気的
    に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に電気的
    に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各層の膜
    面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子において、 前記下部電極層上に、前記多層膜のトラック幅方向の側
    端面に対向して絶縁材料層が積層されていることを特徴
    とする磁気検出素子。
  2. 【請求項2】 前記多層膜の、少なくとも前記固定磁性
    層から前記フリー磁性層までの各層のトラック幅方向に
    おける側端面には、絶縁酸化膜が設けられている請求項
    1に記載の磁気検出素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁酸化膜は、前記多層膜を構成す
    る各層の材料が酸化されて形成された層を有する請求項
    2に記載の磁気検出素子。
  4. 【請求項4】 前記絶縁酸化膜は、前記絶縁材料層と同
    じ材料からなる層を有する請求項2または3に記載の磁
    気検出素子。
  5. 【請求項5】 前記絶縁酸化膜は、金属材料が酸化され
    て形成された層を有する請求項2ないし4のいずれかに
    記載の磁気検出素子。
  6. 【請求項6】 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する
    反強磁性層を有し、下から、反強磁性層、固定磁性層、
    非磁性材料層、フリー磁性層の順序で積層されている請
    求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
  7. 【請求項7】 前記多層膜は、前記固定磁性層に接する
    反強磁性層を有し、下から、フリー磁性層、非磁性材料
    層、固定磁性層及び反強磁性層の順序で積層されている
    請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
  8. 【請求項8】 前記下部電極層の上面が平坦面である請
    求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記下部電極層の前記多層膜と前記絶縁
    材料層に挟まれる部位が凹面形状である請求項1ないし
    7のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 前記多層膜の少なくとも前記フリー磁
    性層のトラック幅方向における側端面に対向して、硬磁
    性材料からなる一対の縦バイアス層が設けられている請
    求項1ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  11. 【請求項11】 前記多層膜の前記フリー磁性層に重ね
    られて反強磁性材料または強磁性材料からなる一対の縦
    バイアス層が設けられている請求項1ないし10のいず
    れかに記載の磁気検出素子。
  12. 【請求項12】 前記多層膜の前記フリー磁性層の前記
    非磁性材料層と接する面と反対の面側に、分離層を介し
    て硬磁性材料からなる縦バイアス層が設けられている請
    求項1ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  13. 【請求項13】 前記下部電極層の下層に下部シールド
    層が形成され、前記上部電極層の上層に上部シールド層
    が形成されている請求項1ないし12のいずれかに記載
    の磁気検出素子。
  14. 【請求項14】 前記下部電極層及び前記上部電極層が
    磁性材料によって形成されている請求項1ないし12の
    いずれかに記載の磁気検出素子。
  15. 【請求項15】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。 (a)基板上に下部電極層を形成し、さらに前記下部電
    極層上に絶縁材料層を積層する工程と、(b)前記絶縁
    材料層の一部分を除去して溝部を形成し、この溝部内に
    前記下部電極層の表面を露出させる工程と、(c)前記
    溝部内であって、前記下部電極層の表面上に、固定磁性
    層、非磁性材料層、フリー磁性層を有する多層膜を形成
    する工程と、(d)前記多層膜上にレジスト層を形成
    し、前記レジスト層に覆われていない前記多層膜を除去
    する工程と、(e)前記レジスト層を除去する工程と、
    (f)前記多層膜の上面と電気的に接続される上部電極
    層を形成する工程。
  16. 【請求項16】 前記(d)の工程において、前記溝部
    のトラック幅方向中央位置と、前記レジスト層のトラッ
    ク幅方向中央位置が重なるように前記レジスト層を前記
    多層膜上に形成する請求項15に記載の磁気検出素子の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(g)前記(d)の工程で、除去されずに残さ
    れた多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層
    を削る工程を有する請求項15または16に記載の磁気
    検出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(h)前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁
    材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付
    着させる工程を有する請求項15ないし17のいずれか
    に記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(i)前記(d)の工程で除去されずに残され
    た多層膜のトラック幅方向の側端面に付着した金属層を
    削ると同時に、前記絶縁材料層を逆スパッタして、絶縁
    材料を前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付
    着させる工程を有する請求項15または16に記載の磁
    気検出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(j)前記多層膜のトラック幅方向における側
    端面に付着した金属層を酸化させる工程を有する請求項
    15ないし19のいずれかに記載の磁気検出素子の製造
    方法。
  21. 【請求項21】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に(k)前記多層膜のトラック幅方向における側端
    面上に、金属材料の酸化物層を形成する工程を有する請
    求項15ないし20のいずれかに記載の磁気検出素子の
    製造方法。
  22. 【請求項22】 前記(j)の工程及び/又は前記
    (k)の工程において、前記金属層及び/又は金属材料
    を自然酸化、プラズマ酸化あるいはラジカル酸化のうち
    1種以上の酸化方法で酸化させる請求項20または21
    に記載の磁気検出素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記(c)の工程において、前記多層
    膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものと
    して形成し、下から、反強磁性層、固定磁性層、非磁性
    材料層、フリー磁性層の順序で積層する請求項15ない
    し22のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記(c)の工程において、前記多層
    膜を前記固定磁性層に接する反強磁性層を有するものと
    して形成し、下から、フリー磁性層、非磁性材料層、固
    定磁性層及び反強磁性層の順序で積層する請求項15な
    いし22のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記(d)の工程において、前記下部
    電極層の上面を平坦面とする請求項15ないし24のい
    ずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記(d)の工程において、前記下部
    電極層の前記多層膜と前記絶縁材料層に挟まれる部位を
    凹面形状にする請求項15ないし24のいずれかに記載
    の磁気検出素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(l)硬磁性材料からなり、前記多層膜の少な
    くとも前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端
    面に対向して前記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界
    を印加する、一対の縦バイアス層を設ける工程を有する
    請求項15ないし26のいずれかに記載の磁気検出素子
    の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記(d)の工程と前記(e)の工程
    の間に、(m)反強磁性材料または強磁性材料からな
    り、前記多層膜の前記フリー磁性層に重ねられて前記フ
    リー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、一対の
    縦バイアス層を設ける工程を有する請求項15ないし2
    7のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記(c)の工程において、前記多層
    膜の前記フリー磁性層の前記非磁性材料層と接する面と
    反対の面側に、硬磁性材料からなり、分離層を介して前
    記フリー磁性層にトラック幅方向の磁界を印加する、縦
    バイアス層を設ける請求項15ないし26のいずれかに
    記載の磁気検出素子の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記(a)の工程において、前記下部
    電極層の下層に下部シールド層を形成し、前記(f)の
    工程の後で、前記上部電極層の上層に上部シールド層を
    形成する請求項15ないし29のいずれかに記載の磁気
    検出素子の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記(a)の工程において前記下部電
    極層を、前記(f)の工程において前記上部電極層を、
    それぞれ磁性材料によって形成する請求項15ないし2
    9のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
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