JP3859959B2 - スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド Download PDF

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    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)の固定磁化方向と外部磁界の影響を受けるフリー(Free)磁性層の磁化方向との関係で電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜磁気素子および、このスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドに関し、特に、狭トラック化に対応して、出力の向上とスタビリティの向上とを図り、バルクハウゼンノイズ発生の低減等、素子の安定性を向上させ、フリー磁性層の磁区制御を良好に行うことができるスピンバルブ型薄膜磁気素子に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵抗効果を示すGMR(Giant Magnetoresistive)素子の一種であり、ハードディスクなどの記録媒体から記録磁界を検出するものである。
前記スピンバルブ型薄膜素子は、GMR素子の中で比較的構造が単純で、しかも、外部磁界に対して抵抗変化率が高く、弱い磁界で抵抗が変化するなどの優れた点を有している。
【0003】
図33は、従来のスピンバルブ型薄膜素子の一例を記録媒体との対向面(ABS面)側から見た場合の構造を示した断面図である。
図33に示すスピンバルブ型薄膜素子は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層が一層ずつ形成された、いわゆるボトム型のシングルスピンバルブ型薄膜素子である。
このスピンバルブ型薄膜素子では、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は、図示Z方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向は、Y方向である。
【0004】
図33における従来のスピンバルブ型薄膜素子は、基板上に、下から下地層106、反強磁性層101、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)102、非磁性導電層103、フリー(Free)磁性層104、および保護層107で構成された積層体109と、この積層体109の両側に形成された一対のハードバイアス層105,105と、このハードバイアス層105,105の上に形成された一対の電極層108,108とで構成されている。下地層106は、Ta(タンタル)などからなり、反強磁性層101が、NiO合金、FeMn合金、NiMn合金などから形成されている。さらに、前記固定磁性層102およびフリー磁性層104は、Co、NiFe合金などから形成され、非磁性導電層103にはCu(銅)膜が適応され、また、ハードバイアス層105,105が、Co−Pt(コバルトー白金)合金などで形成され、電極層108,108がTa,Au,Cr,Wなどで形成されている。
【0005】
前記固定磁性層102は、前記反強磁性層101に接して形成されることにより、前記固定磁性層102と反強磁性層101との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、前記固定磁性層102の固定磁化は、例えば、図示Y方向に固定されている。
前記ハードバイアス層105,105が図示X1方向に磁化されていることで、これらハードバイアス層105,105によって挟まれたフリー磁性層104の変動磁化が図示X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層104の変動磁化と前記固定磁性層102の固定磁化とが交差する関係となっている。
【0006】
このスピンバルブ型薄膜素子では、ハードバイアス層105の上に形成された電極層108から、固定磁性層102、非磁性導電層103、フリー(Free)磁性層104、に検出電流(センス電流)が与えられる。ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は、図示Z方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与えられると、フリー磁性層104の磁化がX1方向からY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層104内での磁化の方向の変動と、固定磁性層102の固定磁化方向との関係で電気抵抗値が変化し、(これを磁気抵抗(MR)効果という)、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、磁気記録媒体からの漏れ磁界が検出される。
【0007】
このようなスピンバルブ型薄膜素子においては、フリー磁性層104の変動磁化が、このフリー磁性層104の両側のハードバイアス層105,105によりしっかりと固定されたタイプ(abutted junction type)とされており、フリー磁性層104の磁化の安定性が高い。
通常、フリー磁性層104は、その両側に形成されトラック幅方向に磁化されたハードバイアス層105の影響を受けて、前記フリー磁性層104の磁化がトラック幅方向に揃えられる。しかし、前記ハードバイアス層105の影響は、フリー磁性層104の両端部が最も大きく、フリー磁性層104の中央部に近づくほど、すなわち前記ハードバイアス層105から距離的に離れるほど小さくなる。
【0008】
図34,図35は、図33に示すスピンバルブ型薄膜磁気ヘッドのトラック幅方向における出力分布を示す模式グラフである。
ここで、スピンバルブ型薄膜素子の再生出力は、再生トラック幅方向(図33に示すX1方向)にある分布を有しており、積層体109の中央部分が、実質的に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与し、磁気抵抗効果を発揮する程度に再生出力の高い感度領域109aであり、再生トラック幅Twに対応している。そして、積層体109における感度領域109aの両側に位置する部分は、図34に示すように、実質的に磁気記録媒体からの記録磁界の再生に寄与しない程度に再生出力の低い不感領域109b,109bとなっている。
この積層体に占める感度領域109aおよび不感領域109bは、後述するマイクロトラックプロファイル法によって測定される。
【0009】
このようなスピンバルブ型薄膜素子においては、その出力のインスタビリティが小さいほうが好ましい。
そして、メディアへの磁気記録に際して、記録密度の向上への要求が存在し、これに伴って、スピンバルブ型薄膜素子では、検出トラック幅が1μm以下、さらに0.5μm程度以下、特に0.4μm以下への狭トラック化と、同時に出力の低下防止という強い要求があった。
【0010】
しかし、このタイプ(abutted junction type )のようなスピンバルブ型薄膜素子において、トラック幅を狭く設定した場合には、再生出力そのものが低下してしまうという問題があった。
というのも、上記のようなトラック幅方向の再生出力分布は、感度領域109aに対応するフリー磁性層104中央部分の感度領域104aに比べて、ハードバイアス層105に近い部分の不感領域104bの方が、ハードバイアス層105,105に近い分だけ、このハードバイアス層105からの磁界が強く、その分フリー磁性層104の変動磁化に対する固定が強固に固定されていることに起因する。つまり、前記ハードバイアス層105の影響が、フリー磁性層104の両端部が最も大きく、フリー磁性層104の中央部に近づくほど、すなわち前記ハードバイアス層105から距離的に離れるほど小さくなるため、不感領域104b,104bができると考えられる。
ここで、不感領域104b,104bは、あくまで、ハードバイアス層105からの磁界によってフリー磁性層104の変動磁化の回転が鈍くなっている部分を指すものであり、物理的トラック幅と光学トラック幅寸法との差とは異なるものである。
このため、不感領域104bのトラック幅方向長さ寸法は、スピンバルブ型薄膜素子のトラック幅方向寸法に依存しないため、狭トラック化を図って積層体109全体のトラック幅寸法を小さく設定した場合にも、不感領域104b,104bのトラック幅方向寸法は変化せず、狭くならない。
【0011】
したがって、狭トラック化を図りトラック幅寸法を狭く設定した場合には、結果的に、あたかも感度領域104aが減少したようになり、両脇の不感領域104b,104bに対応する再出力分布曲線がトラック幅方向中心に移動してしまう。
特に、一層の狭トラック化を図り、再生トラック幅寸法を0.4μm以下程度に設定した場合には、あたかも感度領域104aが無くなってトラック幅方向全体が、不感領域104bになったようになり、図35に示すように、スピンバルブ型薄膜素子全体としての再生出力つまり再生出力の最大値そのものが減少してしまうという問題があった。
【0012】
一方、金属膜の多層構造であるスピンバルブ型薄膜素子は、その上下、およびハイト奥側の側面が、絶縁膜(ギャップ膜)により覆われ、前記ハイト側の逆側(すなわちABS面側;正面側)の面が外部に露出した構造となっており、前記スピンバルブ型薄膜素子におけるフリー磁性層の中央付近には、ハイト方向に引っ張り応力が働いている。
【0013】
したがって、再生トラック幅寸法を1μm程度以上程度に設定した場合には、前述したように、前記ハードバイアス層105の影響が、フリー磁性層104の両端部が最も大きく、フリー磁性層104の中央部に近づくほど小さくなるため、特に、フリー磁性層104の中央付近では、前記フリー磁性層104に加わる応力と磁歪とで求めることができる逆磁歪効果による一軸義気異方性磁界の影響が、大きくなっている。
前述したように、フリー磁性層104の中央部付近には、ハイト方向に引っ張り応力が働いているため、前記フリー磁性層104の磁歪が正の値で、しかもその値が大きくなるほど、逆磁歪効果によるハイト方向への磁化回転容易性は大きくなり、ハイト方向が磁化容易軸方向となってしまう。このような状態であると、フリー磁性層の中央付近における磁化は、ハイト方向に向きやすく、バルクハウゼンノイズが発生しやすくなるといった問題が起こる。
【0014】
言い換えると、フリー磁性層104に磁歪が発生していると、磁気履歴ヒステリシスが発生する可能性があり、図36に示すように、フリー磁性層104内に、あたかも、磁壁104c,104cができたように、単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability)の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生しやすくなるという可能性があった。
例えば、ヒステリシスが発生した場合には、図37に示すヒステリシスのない場合の再生波形に対して、図38に示すように、ベースラインシフト(Baseline shift )が出て、再生波形がシンメトリー(対称形)にならない。ここで、図37、図38は、スピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示すグラフである。
したがって、スピンバルブ型薄膜素子において、磁歪によって生じる影響を低減しようとしていた。
【0015】
さらに、根本的に、スピンバルブ型薄膜素子におけ狭トラック化を図るとともに、より一層の出力特性の向上、および、感度の向上を図りたいという要求が存在していた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
▲1▼ スピンバルブ型薄膜素子において狭トラック化に対応し出力特性の向上を図ること。
▲2▼ 再生波形の安定性(stability)の向上を図ること。
▲3▼ 磁歪のコントロールを図ること。
▲4▼ 上記のようなスピンバルブ型薄膜素子を備えた薄膜磁気ヘッドを提供すること。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有し、
磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以下に設定されるとともに、
前記フリー磁性層の磁歪λsが、―7.0×10-6≦λs≦2.0×10-5の範囲に設定されてなることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すように、
点A1 (0.4,6),点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3),点V1 (0.4,−7)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図2に各点(Tw,λs)で示すように、
点A2 (0.4,6),点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6),点V2 (0.4,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図3に各点(Tw,λs)で示すように、
点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図4に各点(Tw,λs)で示すように、
点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図5に各点(Tw,λs)で示すように、
点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図6に各点(Tw,λs)で示すように、
点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図7に各点(Tw,λs)で示すように、
点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図8に各点(Tw,λs)で示すように、
点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図9に各点(Tw,λs)で示すように、
点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図10に各点(Tw,λs)で示すように、
点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図11に各点(Tw,λs)で示すように、
点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図12に各点(Tw,λs)で示すように、
点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図13に各点(Tw,λs)で示すように、
点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図14に各点(Tw,λs)で示すように、
点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図15に各点(Tw,λs)で示すように、
点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図16に各点(Tw,λs)で示すように、
点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図17に各点(Tw,λs)で示すように、
点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図18に各点(Tw,λs)で示すように、
点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。本発明の前記基板上には、前記各層が、少なくとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性導電層、前記フリー磁性層の順に積層されてなることが好ましい。
本発明において、前記反強磁性層が、X−Mn合金,Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから選択される1種または2種以上を示す)のいずれかからなることができる。
本発明において、前記固定磁性層とフリー磁性層との少なくとも一方が非磁性中間層を介して2つに分断され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性状態とされていてもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えたことにより上記課題を解決することができる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有する素子であって、
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10 −6 )とが、添付図面図11に各点(Tw,λs)で示すように、点G (0.18,20),点H (0.17,20),点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5),点O (0.17,2),点P (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定され、かつ、前記ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brtと、フリー磁性層膜厚とが、22T・nm、3.6nmかまたは、14T・nm、3.6nmかまたは、14T・nm、2.5nmに設定されるとともに、 10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が1.2〜2.0mVの範囲とされることにより上記課題を解決した。
特に本発明において、基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有する素子であって、
磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10 −6 )とが、添付図面図12に各点(Tw,λs)で示すように、点G (0.2,13.5),点H (0.17,16),点I (0.15,17.5),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5),点O (0.17,2),点P (0.2,1)で囲まれる範囲内の値に設定され、かつ、前記ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brtと、フリー磁性層膜厚とが、22T・nm、3.6nmかまたは、14T・nm、3.6nmかまたは、14T・nm、2.5nmに設定されるとともに、 10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が1.2〜2.0mVの範囲とされることにより上記課題を解決した。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図13に各点(Tw,λs)で示すように、点H (0.17,20),点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5),点O (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに、本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図14に各点(Tw,λs)で示すように、点H(0.17,16),点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5),点O(0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図15に各点(Tw,λs)で示すように、点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい。
さらに本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図16に各点(Tw,λs)で示すように、点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることが好ましい
発明の前記基板上には、前記各層が、少なくとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性導電層、前記フリー磁性層の順に積層されてなることが好ましい。
本発明において、前記反強磁性層が、X−Mn合金,Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから選択される1種または2種以上を示す)のいずれかからなることができる。
本発明において、前記固定磁性層とフリー磁性層との少なくとも一方が非磁性中間層を介して2つに分断され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性状態とされていてもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、上述のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えたことにより上記課題を解決することができる。
【0019】
図39に示すように、磁気抵抗効果を発揮する積層体と、その両側に形成されたハードバイアス層と、このハードバイアス層上に形成された電極層とを有し、かつ、磁歪の影響を無視し得る、従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子を基板上に形成する。
次に、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡によって、積層体の上面の幅寸法Aを測定する。この幅寸法Aは光学的方法によって測定されたトラック幅Tw(以下、光学的トラック幅寸法O−Twという)として定義され、1μm程度に設定される。
【0020】
そして、磁気記録媒体上に、微小トラックとして、所定の信号を記録しておき、スピンバルブ型薄膜磁気素子を、この微小トラック上でトラック幅方向に走査させることにより、積層体の幅寸法Aと、再生出力との関係を測定する。あるいは、微小トラックが形成された磁気記録媒体側を、スピンバルブ型薄膜磁気素子上にトラック幅方向に走査させて積層体の幅寸法Aと、再生出力との関係を測定してもよい。その測定結果の一例が、図39の下側に示されている。
【0021】
この測定結果によると、積層体の中央付近では、再生出力が高くなり、前記積層体の側部付近では、再生出力が低くなることがわかる。この結果から、積層体の中央付近では、良好に磁気抵抗効果が発揮され、再生機能に関与するが、その両側部付近においては、磁気抵抗効果が悪化して再生出力が低く、再生機能が低下している。
【0022】
通常、図39に示すように、積層体上面におけるトラック幅寸法Aのうち、最大再生出力に対して50%以上の再生出力が発生する積層体上面の幅寸法Bで形成された領域を感度領域と定義し、最大再生出力に対して50%以下の再生出力しか発生しない積層体上面の幅寸法Cを有して形成された領域を不感領域として定義する。ここで、不感領域は、ハードバイアス層からの磁界によってフリー磁性層の変動磁化の回転が鈍くなっている部分であり、物理的トラック幅と光学トラック幅寸法との差とは異なるものである。
【0023】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子においては、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層とが積層されて積層体を形成し、この積層体のトラック幅方向両側位置に、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有し、前記積層体上面において後述するマイクロトラッププロファイル法により定義された磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以下に設定されるとともに、前記フリー磁性層の磁歪λsが、―7.0×10-6≦λs≦2.0×10-5の範囲に設定されてなることにより、狭トラック化によって低下するスピンバルブ型薄膜磁気素子の再生出力を向上することができる。
ここで、トラック幅方向とは、薄膜磁気ヘッドとして形成されて場合における媒体対向面(ABS面)と平行でかつ積層体における各層の膜面内方向と平行な方向を意味しており、素子高さ方向とは、前記媒体対向面と直交する方向を意味している。
【0024】
スピンバルブ型薄膜素子において、トラック幅が1μm程度に設定された場合に比べて、トラック幅が0.4μm以下に設定されている場合には、このままでは、前述したようにスピンバルブ型薄膜磁気素子の再生出力が低下するが、本発明では、逆磁歪効果により再生出力の向上を図る。
【0025】
次に、磁歪と、スピンバルブ型薄膜磁気素子の出力との関係について説明する。
【0026】
一般的に、平面的に成膜された膜にかかっている応力というのは、その膜面内方向でほぼ等方的な状態になっている。しかし、例えばフリー磁性層に対するABS面のように、一部を切断することにより一部が開放された膜においては、膜面内における応力分布が異方的になってしまう。例えば、この場合、フリー磁性層内には、素子高さ方向(ストライプハイト方向)に引張応力が異方的にはたらくことになる。
ここで、磁性体、いまの場合フリー磁性層の磁歪がゼロの場合には、フリー磁性層を磁化したときにも磁歪が起こることはない。したがって、フリー磁性層の磁歪によって誘導される磁気異方性は等方的になっている。
しかし、磁歪をプラス、つまり磁化した方向に伸びる状態に設定することで、逆磁歪効果により、作用する引張応力の方向に磁化が向きやすくなり、磁気異方性が現出することになる。つまり、この引張応力の作用するフリー磁性層においては、前記引張応力の方向を磁化容易軸とすることができる。
したがって、フリー磁性層の磁化変化状態はハードバイアス層からの磁界によりトラック幅方向に固定されているが、素子高さ方向の磁気異方性を有することにより、そのハードバイアスの磁界に反して(打ち勝って)、割と磁化容易軸方向、つまり素子高さ方向に回転しやすくなる。
その結果、スピンバルブ型薄膜磁気素子において、フリー磁性層の変動磁化方向が、固定磁性層の固定磁化方向に対して回転することにより発現する磁気抵抗効果による抵抗変化がおこりやすくなるため、再生出力の増大を見込むことができる。
【0027】
一方、スピンバルブ型薄膜素子において、上記のようにトラック幅が0.4μm以下に設定されている場合には、ハードバイアス層の影響を受けて前記フリー磁性層の磁化がトラック幅方向に揃えられる際に、フリー磁性層には、前述した感度領域の生じるほど前記ハードバイアス層から距離的に離れている部分がないため、トラック幅が0.4μmより広い場合に比較してトラック幅方向においてフリー磁性層へ前記ハードバイアス層からの影響が大きく変動することが防止される。
従って、上記のように磁歪λsを設定することにより、トラック幅方向において、フリー磁性層の変動磁化の回転容易性が大きな分布を有し、磁壁ができて磁区が不安定になることをトラック幅が広い場合に比較して防止することができる。
このため、フリー磁性層には、トラック幅方向において、感度のばらつく領域が形成されることがなく、フリー磁性層内に磁壁ができて単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
【0028】
本発明においては、磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以上に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層内に磁壁ができる可能性があるとともに、前記フリー磁性層の磁歪λsが、―7.0×10-6より小さく設定されると、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好ましくない。また、磁歪λsが2.0×10-5以上に設定された場合には、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下するため好ましくない。
【0029】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すように、点A1 (0.4,6),点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3),点V1 (0.4,−7)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲以外に設定された場合には、以下のような不都合があった。
▲1▼磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図1において点A1 ,点V1 より右側に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性があり好ましくない。
▲2▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層の磁歪λsが、点A1 ,点B1 ,点C1 ,点D1 ,点E1 より外側に設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性があり、好ましくない。
▲3▼前記フリー磁性層の磁歪λsが、点E1 ,点F1 ,点G1 ,点H1 ,点I1 ,点J1 ,点K1 より上側に設定された場合には、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加するため好ましくない。
▲3▼磁気記録トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層の磁歪λsが、点L1 ,点M1 ,点N1 ,点O1 ,点P1 ,点Q1 ,点R1 ,点S1 ,点T1 ,点U1 ,点V1 より下側に設定された場合には、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好ましくない。
なお、トラック幅が0.1μm未満の場合については、磁歪をプラズに大きくしても出力が得られにくく、ハードバイアスによりフリー磁性層の磁化を固定するいわゆるハードバイアス方式そのものが適用される可能性が低いため、本発明からは除外している。
【0030】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図2に各点(Tw,λs)で示すように、点A2 (0.4,6),点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6),点V2 (0.4,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲以外に設定された場合には、以下のような不都合があった。
▲1▼磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図2において点A2 ,点V2 より右側に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性があり好ましくない。
▲2▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層の磁歪λsが、点A2 ,点B2 ,点C2 ,点D2 ,点E2 ,点F2 ,点G2 ,点H2 ,点I2 ,点J2 より外側に設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性があり、好ましくない。
さらに、上記のような、点A2 ないし点J2 の内側に設定されることにより、トラック幅が狭くなるにしたがって、フリー磁性層の変動磁化を安定化するためのハードバイアス層の残留磁化×膜厚積は少なくてよいため、磁気的再生トラック幅の制御の上でより好ましい。
▲3▼前記フリー磁性層の磁歪λsが、点J2 ,点K2 より上側に設定された場合には、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加するするため好ましくない。
▲4▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層の磁歪λsが、点L12 ,点M2 ,点N2 ,点O2 ,点P2 ,点Q2 ,点R2 ,点S2 ,点T2 ,点U2 ,点V2 より下側に設定された場合には、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好ましくない。
さらに、上記のような、点E2 ないし点V2 の内側に設定されることにより、トラック幅が狭くなるにしたがって、フリー磁性層の変動磁化を安定化するためのハードバイアス層の残留磁化×膜厚積を再生波形の不安定性をより確実に防止するのに必要とされる以下に小さくしなくてよいため、より好ましい。
【0031】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図3に各点(Tw,λs)で示すように、点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.35μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0032】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図4に各点(Tw,λs)で示すように、点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.35μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0033】
本発明において、前記再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図5に各点(Tw,λs)で示すように、点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.3μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0034】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図6に各点(Tw,λs)で示すように、点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.3μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0035】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図7に各点(Tw,λs)で示すように、点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.25μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0036】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図8に各点(Tw,λs)で示すように、点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.25μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0037】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図9に各点(Tw,λs)で示すように、点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、
この範囲であると、特に、0.19μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0038】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図10に各点(Tw,λs)で示すように、点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.23μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0039】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図11に各点(Tw,λs)で示すように、点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.18μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0040】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図12に各点(Tw,λs)で示すように、点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.2μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0041】
本発明において、前記磁気再生ラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図13に各点(Tw,λs)で示すように、点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.17μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0042】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図14に各点(Tw,λs)で示すように、点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.17μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0043】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図15に各点(Tw,λs)で示すように、点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.15μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0044】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図16に各点(Tw,λs)で示すように、点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.15μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0045】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図17に各点(Tw,λs)で示すように、点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.13μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0046】
本発明において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図18に各点(Tw,λs)で示すように、点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.13μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0047】
さらに、本発明の前記フリー磁性層においては、そのトラック幅方向の幅寸法と前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法とが略1:1〜3:2の比率に設定され、前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法が0.06μm〜0.4μmの範囲に設定されてなることができ、これにより、横長の形状による形状磁気異方性によって素子高さ方向における磁区の単一性を向上して、不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を低減することができる。
【0048】
前記基板上には、前記各層が、基板側から、少なくとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性導電層、前記フリー磁性層の順に積層された、いわゆるボトムタイプのシングルスピンバルブ型とされてなることができ、また、前記基板上には、前記各層が、基板側から、少なくとも前記フリー磁性層、前記非磁性導電層、前記固定磁性層、前記反強磁性層の順に積層された、いわゆるトップタイプのシングルスピンバルブ型とされてなること、また、前記フリー磁性層の厚さ方向両側に各々非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性層とが積層された、いわゆる、デュアルスピンバルブ型とされてなることができる。また、前記反強磁性層が、X−Mn合金,Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから選択される1種または2種以上を示す)のいずれかからなることや、前記固定磁性層とフリー磁性層との少なくとも一方が非磁性層を介して2つに分断され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性状態とされてなることができる。
フリー磁性層が非磁性中間層を介して2つに分断されたスピンバルブ型薄膜素子とした場合、2つに分断されたフリー磁性層どうしの間に互いの磁化を反平行に向けるように作用する交換結合磁界が発生し、フェリ磁性状態とされ、磁気的な膜厚が減少するので外部磁界に対して感度よく反転できるものとなる。
固定磁性層が非磁性中間層を介して2つに分断されたスピンバルブ型薄膜素子とした場合、2つに分断された固定磁性層どうしの間に互いの磁化を反平行に向けるように作用する交換結合磁界が発生し、フェリ磁性状態とされ、磁気的な安定性を向上することができる。
【0049】
さらにまた、上記のスピンバルブ型薄膜素子が備えられてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッドによって、前記課題を解決することができる。
【0050】
なお、金属膜の多層構造であるスピンバルブ型薄膜素子は、その上下、およびハイト側の側面が例えばAl23などの絶縁膜(ギャップ膜)により覆われ、前記ハイト側の逆側(すなわちABS面側;正面側)の面が外部に露出した構造となっており、このギャップ膜、および、フリー磁性層の組成、成膜条件をコントロールすることにより、フリー磁性層にかかるハイト方向(素子高さ方向)の引っ張り応力をコントロールすることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびその製造方法、およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図19は、本発明の第1実施形態のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresitive )素子の一種である。このスピンバルブ型薄膜素子は、後述するように、ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダーのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は図においてZ方向であり、磁気記録媒体からの漏れ磁界方向はY方向である。
本発明の第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜素子は、反強磁性層、2層の固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層が形成されたボトム型(Bottom type )とされ、さらに、固定磁性層が、第1の固定磁性層と、前記第1の固定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、前記第1の固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第2の固定磁性層と、を有し、固定磁性層が合成フェリ磁性状態とされてなる手段、いわゆる、シンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とされるシングルスピンバルブ型薄膜素子の一種である。
【0052】
図19において、符号11は、基板10上に設けられた反強磁性層である。この反強磁性層11の上には、固定磁性層12A,12B,12Cが形成されている。
この固定磁性層12A,12B,12Cは、第1の固定磁性層12Aと、前記第1の固定磁性層12Aの上に非磁性中間層12Bを介して形成され、前記第1の固定磁性層12Aの磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第2の固定磁性層12Cとからなる。
この第2の固定磁性層12Cの上には、Cu(銅)等からなる非磁性導電層13が形成され、さらに、前記非磁性導電層13の上には、フリー磁性層14が形成されている。前記フリー磁性層14の上には、Taなどで形成された保護層15が形成され、この保護層の上側が、酸化タンタル(Ta−Oxide )からなる酸化層15aとされている。
図19に示すように、これら反強磁性層11の一部から酸化層15aまでの各層により、略台形状の断面形状を有する積層体16が構成されている。
【0053】
また、符号17,17は、ハードバイアス層を、符号18,18は、電極層を示している。
これら、ハードバイアス層17,17は、積層体16の両側位置に張り出している反強磁性層11上にバイアス下地層17aを介して形成されている。このハードバイアス層17,17上には、TaまたはCrからなる中間層19を介して電極層18,18が形成されている。
【0054】
さらに詳細に説明すると、本発明の第1の実施形態のスピンバルブ型薄膜素子では、図19に矢印X1で示す方向の寸法、つまりトラック幅方向の光学的寸法(磁気再生トラック幅方向寸法)Twが、0.4μm以下に設定されている。ここで、光学トラック幅寸法は、図19に示すように、断面台形形状であるフリー磁性層14の厚さ方向(Z方向)の中間位置におけるX1方向の幅寸法として定義される。
前記反強磁性層11は、積層体19中央部分において、80〜300オングストローム程度の厚さとされ、PtMn合金で形成されることが好ましい。PtMn合金は、従来から反強磁性層として使用されているNiMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温度が高く、交換結合磁界(交換異方性磁界)も大きい。
また、前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示す。)の式で示される合金、あるいは、X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのうちから選択される1種または2種以上の元素を示す。)の式で示される合金で形成されていてもよい。
【0055】
また、前記PtMn合金および前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。
さらにまた、X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さらに、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金としては、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ましい。
ただし、X’がPd、Ru、Ir、Rh、Osの1種以上の場合は、X’は0.2〜40原子%の範囲であることが望ましい。
前記反強磁性層11として、上記した適正な組成範囲の合金を使用し、これをアニール処理することで、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層11を得ることができる。とくに、PtMn合金であれば、6.4kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層11を得ることができる。
【0056】
第1および第2の固定磁性層12A,12Cは、強磁性体の薄膜からなり、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などで形成され、合計で40オングストローム程度の厚さとされることが好ましく、第1の固定磁性層12Aは、例えばCoからなりその膜厚が13〜15オングストロームに設定され、第2の固定磁性層12Cは、例えばCoからなりその膜厚が15〜25オングストロームに設定される。
また、前記非磁性中間層12Bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されていることが好ましく、通常、8オングストローム程度の厚さに形成されている。
【0057】
この第1の固定磁性層12Aは、反強磁性層11に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施すことにより、前記第1の固定磁性層12Aと反強磁性層11との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、図19に示すように、前記第1の固定磁性層12Aの磁化が、図示Y方向に固定される。前記第1の固定磁性層12Aの磁化が、図示Y方向に固定されると、非磁性中間層12Bを介して対向する第2の固定磁性層12Cの磁化は、第1の固定磁性層12Aの磁化と反平行の状態、つまり、図示Y方向と逆方向に固定される。
【0058】
本実施形態では、交換結合磁界(Hex)を大きくするために、第1の固定磁性層12Aと第2の固定磁性層12Cとの膜厚比を適正な範囲内に収めるとともに、第1の固定磁性層12Aと第2の固定磁性層12Cとの磁化を、熱的にも安定した反平行状態(フェリ状態)に保ち、しかも、△R/R(抵抗変化率)を従来と同程度に確保することが可能である。さらに熱処理中の磁場の大きさおよびその方向を適正に制御することによって、第1の固定磁性層12Aおよび第2の固定磁性層12Cの磁化方向を、所望の方向に制御する。
【0059】
非磁性導電層13は、Cu(銅)等からなり、その膜厚は、20〜30オングストロームに設定される。
【0060】
図20は、フリー磁性層14に等しい階層で図19におけるX1−Y平面を示す断面図である。
図1,2は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
前記フリー磁性層14は、通常、20〜50オングストローム程度の厚さとされ、前記固定磁性層3と同様の材質などで形成され、NiFeあるいはCoFeとNiFeとの積層膜からなることが好ましい。さらに、図19に矢印X1で示す方向の寸法、つまり、トラック幅方向寸法(磁気再生トラック幅方向寸法)Twが、0.4μm以下に設定されている。
このフリー磁性層14においては、磁歪λsが、―7.0×10-6≦λs≦2.0×10-5の範囲に設定されてなることが好ましく、より好ましくは、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すように、点A1 (0.4,6),点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3),点V1 (0.4,−7)で囲まれる範囲内の値に設定される。
【0061】
ここで、本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子においては、上記のようにトラック幅寸法Twが0.4μm以下に設定されているので、後述するようにハードバイアス層17,17の影響を受けて前記フリー磁性層14の磁化がトラック幅方向に揃えられる際に、フリー磁性層14には、前述したマイクロトラックプロファイル法により測定した場合における感度領域および不感領域の差が生じるほど前記ハードバイアス層17,17から距離的に離れている部分がないため、トラック幅方向においてフリー磁性層へ前記ハードバイアス層からの影響が大きく変動することが防止される。
同時に、上記のように磁歪λsをプラス側、つまり磁化した方向に伸びる状態におおく設定することで、逆磁歪効果により、作用する引張応力の方向に磁化が向きやすくなり、磁気異方性が現出することになる。つまり、この引張応力の作用するフリー磁性層14においては、前記引張応力の方向つまり、図19,20に示す矢印Y方向とされる素子高さ方向(ハイト方向)を磁化容易軸とすることができる。このように磁歪λsを設定した場合は、トラック幅方向寸法Twを0.4μm以下に設定することにより、トラック幅方向(X1方向)において、フリー磁性層14の変動磁化の回転容易性が分布を有し、磁壁ができて磁区が不安定になることを防止することができる。
このため、フリー磁性層14には、トラック幅方向(X1方向)において、感度のばらつく領域が形成されることが少なく、フリー磁性層内に磁壁ができて単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
【0062】
本実施形態において、磁気再生トラック幅方向寸法Twが0.4μm以上に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層内に磁壁ができる可能性があるため好ましくないとともに、前記フリー磁性層14の素子高さ方向の磁歪λsが、―7.0×10-6より小さく設定されると、フリー磁性層14の変動磁化がハードバイアス層17,17に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまうため好ましくない。また、磁歪λsが2.0×10-5以上に設定された場合には、フリー磁性層14における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層14の軟磁気特性が低下するため好ましくない。
【0063】
さらに、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すように、点A1 〜点V1 で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲以外に設定された場合には、以下のような不都合があった。
▲1▼磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図1において点A1 ,点V1 より右側に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層14内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性があり好ましくない。
▲2▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点A1 ,点B1 ,点C1 ,点D1 ,点E1 より外側に設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性があり、好ましくない。
▲3▼前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点E1 ,点F1 ,点G1 ,点H1 ,点I1 ,点J1 ,点K1 より上側に設定された場合には、フリー磁性層14における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層14の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加するため好ましくない。
▲4▼磁気記録トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点L1 ,点M1 ,点N1 ,点O1 ,点P1 ,点Q1 ,点R1 ,点S1 ,点T1 ,点U1 ,点V1 より下側に設定された場合には、フリー磁性層14の変動磁化がハードバイアス層17に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好ましくない。
【0064】
本実施形態においては、さらに、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図2に各点(Tw,λs)で示すように、点A2 (0.4,6),点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6),点V2 (0.4,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることがより好ましい。そして、この範囲以外に設定された場合には、以下のような不都合があった。
▲1▼磁気再生トラック幅方向寸法Twが、図2において点A2 ,点V2 より右側に設定された場合には、前述したように、フリー磁性層14内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性があり好ましくない。
▲2▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点A2 ,点B2 ,点C2 ,点D2 ,点E2 ,点F2 ,点G2 ,点H2 ,点I2 ,点J2 より外側に設定された場合には、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい、再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性があり、好ましくない。
さらに、上記のような、点A2 ないし点J2 の内側に設定されることにより、トラック幅Twが狭くなるにしたがって、フリー磁性層14の変動磁化を安定化するためのハードバイアス層17の残留磁化×膜厚積は少なくてよいため、磁気的再生トラック幅の制御の上でより好ましい。
▲3▼前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点J2 ,点K2 より上側に設定された場合には、フリー磁性層14における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層14の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加するするため好ましくない。
▲4▼磁気再生トラック幅方向寸法Tw、および、前記フリー磁性層14の磁歪λsが、点L12 ,点M2 ,点N2 ,点O2 ,点P2 ,点Q2 ,点R2 ,点S2 ,点T2 ,点U2 ,点V2 より下側に設定された場合には、フリー磁性層14の変動磁化がハードバイアス層17に必要以上に強固に固定されてしまい、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転せず、スピンバルブ型薄膜磁気素子の10MMz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわってしまい好ましくない。
さらに、上記のような、点E2 ないし点V2 の内側に設定されることにより、トラック幅が狭くなるにしたがって、フリー磁性層14の変動磁化×膜厚積を、再生波形の不安定性をより確実に防止するために必要とされる以下に小さくしなくてよいため、より好ましい。
【0065】
さらに、前記フリー磁性層14においては、そのトラック幅方向の幅寸法と前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法とが略1:1ないし3:2の比率に設定され、図20に示すように、Y方向の寸法、つまり前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法MRhが0.06μm〜0.4μmの範囲に設定されてなることができ、これにより、横長の形状による形状磁気異方性によっって素子高さ方向における磁区の単一性を向上して、不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を低減することができる。
【0066】
保護層15は、Taからなり、その表面が、酸化された酸化層15aとされている。
バイアス下地層17aは、緩衝膜および配向膜であり、Crなどで形成されることが好ましく、例えば、20〜100オングストローム程度、好ましくは50オングストローム程度の厚さとされ、中間層19は例えばTaからなり、50オングストローム程度の膜厚とされる。
これらバイアス下地層17aおよび中間層19により、後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまたはハードベーク)等で高温に曝される場合に、拡散バリアーとして機能し、ハードバイアス層17,17と周辺層の間で熱拡散がおこり、ハードバイアス層17,17の磁気特性が劣化することを防止することができる。
【0067】
前記ハードバイアス層17,17は、通常、200〜700オングストローム程度の厚さとされ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金やCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金などで形成されることが好ましい。
また、前記ハードバイアス層17,17が、図示X1方向に磁化されていることで、前記フリー磁性層14の磁化が、図示X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層14の変動磁化と前記第2の固定磁性層12Cの固定磁化とが90度で交差する関係となっている。
【0068】
前記ハードバイアス層17,17は、前記フリー磁性層14と同じ階層位置に配置され、前記フリー磁性層14の膜厚方向に前記フリー磁性層14の膜厚よりも大きな膜厚とされることが好ましい。また、前記ハードバイアス層17,17の上面17b,17bは、フリー磁性層14の上面14Aよりも基板10から離れた位置に(すなわち、図1では上側に)配置され、前記ハードバイアス層17,17の下面は、前記フリー磁性層14の下面よりも基板10側の位置に(すなわち、図1では下側に)配置されている。
【0069】
電極層18,18が、ハードバイアス層17,17の上側に、Cr、Au、Ta、Wから選択される1種またはそれ以上からなる単層膜もしくはその多層膜で形成されて、積層体16へセンス電流を与える。ここで、電極層18,18としてCrが選択されて、Taからなる中間層19上にエピタキシャル成長することにより形成されることにより電気抵抗値を低減することができる。
【0070】
図19,20に示す構造のスピンバルブ型薄膜素子においては、電極層18,18から積層体16にセンス電流が与えられる。ハードディスク等のメディア(磁気記録媒体)から図示Y方向に磁界が与えられると、フリー磁性層14の磁化は、図示X1方向からY方向に変動する。このときの非磁性導電層13とフリー磁性層14との界面で、いわゆるGMR効果によってスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0071】
ここで、本実施形態においては、上記のように前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)とが設定されていることにより、スピンバルブ型薄膜磁気素子において、フリー磁性層14の変動磁化方向が、逆磁歪効果により固定磁性層12の固定磁化方向に対して回転しやすくなることにより発現する磁気抵抗効果による抵抗変化がおこりやすくなるため、再生出力の増大を見込むことができる。
同時に、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
【0072】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子において、その上下方向(Z方向)両側には、図30,図31において後述するように、それぞれ下部シールド層253、下部ギャップ層254、上部ギャップ層256、および、上部シールド層257が、フリー磁性層14の膜面内方向(X1−Y面内方向)に形成されている。これら、下部シールド層253、下部ギャップ層254、上部ギャップ層256、上部シールド層257にかかっている応力は、ABS面によって一部が開放されているため、膜面内における応力分布が異方的になっている。例えば、この場合、フリー磁性層14において、素子高さ方向(ストライプハイト方向)に引張応力が異方的にはたらくように、これら、下部シールド層253、下部ギャップ層254、上部ギャップ層256、上部シールド層257にかかっている応力を所望の状態に設定する。
その結果、フリー磁性層14内において、上記の範囲に磁歪を設定することが可能になる。
あるいは、フリー磁性層14の組成や、成膜時のスパッタ条件等を制御して、上記の範囲に磁歪を設定することもできる。
【0073】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第2実施形態]
図21は、本発明の第2実施形態のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態においても、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とされ、図19,図20に示した第1実施形態と異なるところは、バックド層B1を設けた点、および、フリー磁性層14に関する点である。それ以外、第1実施形態の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図21において、符号B1は、バックド層である。
このバックド層B1は、図21に示すように、前記フリー磁性層14の上に設けられ、このバックド層B1の上には、Taなどで形成された保護層15が形成されて、積層体16が構成されている。
バックド層B1は、Cu等の金属材料や、非磁性導電材料からなり、Au、Ag、Cu,Ru等からなる群から選択された材料から構成されることができ、例えばその膜厚が5〜20オングストロームに設定される。
【0075】
図3,4は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図3に各点(Tw,λs)で示すように、点B1 (0.35,8),点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5),点U1 (0.35,−6.3)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.35μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0076】
さらに、本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)とが、添付面図4に各点(Tw,λs)で示すように、点B2 (0.35,6),点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5),点U2 (0.35,−1.6)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.35μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上でと、磁気的再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0077】
前記フリー磁性層14のトラック幅方向の幅寸法と素子高さ方向寸法とが略1:1ないし3:2の比率に設定され、前記フリー磁性層の素子高さ方向寸法が0.06μm〜0.4μmの範囲に設定される。
【0078】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子においては、電極層18,18から積層体16にセンス電流を与えられる。磁気記録媒体から図示Y方向に磁界が与えられると、フリー磁性層14の磁化は、図示X1方向からY方向に変動する。このときの非磁性導電層13とフリー磁性層14との界面で、いわゆるGMR効果によってスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0079】
ここで、バックド層B1によって、磁気抵抗効果に寄与する+スピン(上向きスピン:up spin )の電子における平均自由行程(mean free path)をのばし、いわゆるスピンフィルター効果(spin filter effect)によりスピンバルブ型薄膜素子において、大きな△R/R(抵抗変化率)が得られ、高密度記録化に対応できるものとすることができる。
ここで、上記のバックド層によって磁気抵抗変化率が高くなる理由を簡単に述べる。
スピンバルブ型薄膜磁気素子にセンス電流を印加したときには、伝導電子が主に電気抵抗の小さい非磁性導電層付近を移動する。この伝導電子にはアップスピン(up spin )とダウンスピン(down spin )の2種類の伝導電子が確率的に等量存在する。
スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率は、これらの2種類の伝導電子の平均自由行程(mean free path)の行程差に対して正の相関を示す。
【0080】
ダウンスピン電子については、印加される外部磁界の向きにかかわらず、非磁性導電層13とフリー磁性層14との界面で常に散乱され、フリー磁性層14に移動する確率は低いまま維持され、その平均自由行程はアップスピン電子の平均自由行程に比べて短いままである。
一方、アップスピン電子については、外部磁界によってフリー磁性層14の磁化方向が固定磁性層12の磁化方向と平行状態になったときに、非磁性導電層13からフリー磁性層14に移動する確率が高くなり、平均自由行程が長くなっている。これに対し、外部磁界によってフリー磁性層14の磁化方向が固定磁性層12の磁化方向に対して平行状態から変化するに従って、非磁性導電層13とフリー磁性層14との界面で散乱される確率が増加し、アップスピン電子の平均自由行程が短くなる。
このように外部磁界の作用によって、アップスピン電子の平均自由行程がダウンスピン電子の平均自由行程に比べて大きく変化し、行程差が大きく変化することによって、抵抗率が変化し、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(△R/R)が大きくなる。
【0081】
ここで、フリー磁性層14にバックド層B1を接続すると、フリー磁性層14中を移動するアップスピン電子がバックド層B1内にまで移動することが可能となり、バックド層B1の膜厚に比例してアップスピン電子の平均自由行程を更に延ばすことができる。このため、いわゆるスピンフィルター効果を発現させることが可能となり、伝導電子の平均自由行程の行程差が大きくなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(△R/R)をより向上させることができる。
【0082】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19,図20に示す第1実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同等の効果を奏するとともに、バックド層B1が形成されているため、スピンフィルター効果により、特にフリー磁性層が薄い場合に磁気抵抗変化率(△R/R)をより向上させることができる。
【0083】
また、フリー磁性層14の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0084】
なお、本実施形態のみならず本発明においては、図22に示すように、固定磁性層12を単層からなる構成とすることも可能である。この場合、固定磁性層12の固定磁化は、反強磁性層1との交換結合によって、図22に示すように、図示Y方向と逆方向に固定することができる。
【0085】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第3実施形態]
図23は、本発明の第3実施形態のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態においても、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とされ、、図21に示した第2実施形態と異なるところは、バックド層B1に替えて鏡面反射層S1を設けた点、および、フリー磁性層に関する点である。それ以外、第2実施形態の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
図23において、符号S1は、鏡面反射層である。
この鏡面反射層S1は、図23に示すように、前記フリー磁性層14の上に設けられ、この鏡面反射層S1の上には、Taなどで形成された保護層15が形成されて、積層体16が構成されている。
【0087】
図5,6は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図5に各点(Tw,λs)で示すように、点C1 (0.3,12.5),点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3),点T1 (0.3,−5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.3μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0088】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図6に各点(Tw,λs)で示すように、点C2 (0.3,7.5),点D2 (0.25,10.5),点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5),点S2 (0.25,−1),点T2 (0.3,−1.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.3μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0089】
本実施形態において、鏡面反射層S1は、伝導電子の平均自由行程を鏡面反射効果により延長する平均自由行程延長層として形成され、後述するように、磁気抵抗効果に寄与する+スピン(上向きスピン:up spin )の伝導電子における平均自由行程(mean free path)をのばし、いわゆる鏡面反射効果(specular effect )によりスピンバルブ型薄膜素子において、大きな△R/R(抵抗変化率)を得ることが可能となり、これにより、高密度記録化に対応できるものとすることができる。
この鏡面反射層S1の厚さは、10〜400オングストロームの範囲に設定されることが好ましく、より好ましくは10〜200オングストロームの範囲に設定されることができる。この鏡面反射層S1の膜厚が、10オングストロームよりも薄い値に設定されると、ポテンシャル障壁を形成可能な結晶構造を有する酸化物として連続した一様な膜にならず、鏡面反射の効果が充分得られないため、好ましくない。
また、この鏡面反射層S1の膜厚が、厚くなるに従い、反強磁性層11と同様に、反強磁性膜として機能する可能性が増大してしまい、予期しない交換結合磁界(Hex)を生じてしまう可能性が生じる。このため、上記の値よりも厚い値に設定されると、好ましくない。同時に、薄膜磁気ヘッドとして構成した場合に、再生ギャップであるシールド間隔が広くなり過ぎ、ヘッドの分解能が低下するため好ましくないという問題が発生する。
【0090】
このように設定することにより、鏡面反射層S1は、フリー磁性層14と鏡面反射層S1との界面付近においてポテンシャル障壁を形成し、フリー磁性層14を移動してきたアップスピンの伝導電子を、フリー磁性層14と鏡面反射層S1との界面付近においてスピンの状態を保存したまま反射させることができ、アップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばして、後述するように、いわゆる鏡面反射効果を示す。
【0091】
ここで、伝導電子をスピンの状態を保存したまま反射させるために、フリー磁性層14と鏡面反射層S1との界面でポテンシャル障壁を形成すること、すなわち、フリー磁性層14は良好な導電体であるのに対し、鏡面反射層S1は電気的に絶縁体であることが有効である。
【0092】
この様な条件を満たす絶縁材料としては、酸化物が適用されることが好ましく、例えば、α−Fe23,NiO,CoO,Co−Fe−O,Co−Fe−Ni−O,Al23,Al−Q−O(ここでQはB,Si,N,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niから選択される一種以上),R−O(ここでRはTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wから選択される1種以上)等の酸化膜を採用することができる。このような酸化物絶縁材料によって、鏡面反射層S1を構成することができる。また、Al−N,Al−Q−N(ここでQはB,Si,O,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niから選択される一種以上),R−N(ここでRはTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wから選択される1種以上)等の窒化膜等を採用することも可能で、同様な効果を得ることができる。
また、鏡面反射層S1としてα−Fe23やNiOなどの反強磁性体を用いた場合には、ハードバイアス層17のかわりにフリー磁性層14の磁化を図示X1方向に揃えて、バイアス層を兼ねることも可能となる。
【0093】
ここで、フリー磁性層14の前記非磁性導電層13に接しない位置に鏡面反射層S1を積層すると、この鏡面反射層S1はフリー磁性層14との界面においてポテンシャル障壁を形成し、フリー磁性層14中を移動するアップスピンの伝導電子を、そのスピンの状態を保存させたまま反射させることができ、アップスピンの伝導電子を鏡面反射することが可能となり、アップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばすことができる。つまり、いわゆる鏡面反射効果(specular effect )を発現させることが可能となり、スピンに依存した伝導電子における平均自由行程の行程差がさらに大きくなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率をより向上させることができる。
【0094】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図21に示す第2実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏するとともに、鏡面反射層S1が形成されているため、鏡面反射効果により磁気抵抗変化率(△R/R)をより向上させることができる。
【0095】
また、フリー磁性層14の磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0096】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第4実施形態]
図24は、本発明の第4実施形態のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態においても、ボトム型(Bottom type )のシンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned spin-valves)とされ、、図21に示した第2実施形態と異なるところは、鏡面反射層S1,S2を設けた点、および、フリー磁性層に関する点である。それ以外、第2実施形態の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
図24において、符号S1,S2は、鏡面反射層である。
この鏡面反射層S1は、図24に示すように、前記バックド層B1のフリー磁性層14と反対側の上側に鏡面反射層S1が設けられ、図24に示す第3実施形態と同様に、この鏡面反射層S1の上には、Taなどで形成された保護層15が形成されて、積層体16が構成されている。
本実施形態においては、固定磁性層12が多層膜からなる構造とされ、図24に示すように、第2の固定磁性層12Cが、鏡面反射層S2によってその膜厚方向(図24における上下方向)に分断されて、三層からなる構造とされている。鏡面反射層S2の上下の固定磁性層12C’,12C”は、図19に示す第1実施形態の固定磁性層12Cと略同等の材質からなるものとされ、これら固定磁性層12C’,固定磁性層12C”の膜厚の合計が、図19に示す第1実施形態の固定磁性層12Cの磁気的膜厚と等しくなるよう設定されている。
【0098】
鏡面反射層S2は、鏡面反射層S1と同様に、固定磁性層12C”との界面付近においてポテンシャル障壁を形成し、非磁性導電層13および固定磁性層12C”を移動してきたアップスピンの伝導電子を、固定磁性層12C”と鏡面反射層S2との界面付近においてスピンの状態を保存したまま反射させることができ、アップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延ばして、前述したように、いわゆる鏡面反射効果を示す。
また、鏡面反射層S2がフリー磁性層14に対して磁気的相互作用が微小なため、フリー磁性層14に対する磁気的影響を低減した状態で、鏡面反射層S1によって得られる鏡面反射効果と同等の鏡面反射効果を得ることができる。
【0099】
図7,8は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図7に各点(Tw,λs)で示すように、点D1 (0.25,18),点E1 (0.23,20),点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0),点R1 (0.22,−2),点S1 (0.25,−3)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.25μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0100】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図8に各点(Tw,λs)で示すように、点D(0.25,10.5),点E(0.23,11),点F(0.22,12),点G(0.2,13.5),点H(0.17,16),点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5),点O(0.17,2),点P(0.2,1),点Q(0.22,0),点R(0.23,−0.5),点S(0.25,−1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.25μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0101】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19ないし図22に示す第1,第2実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏するとともに、さらに、鏡面反射層S2を設けたことにより、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能となる。
また、フリー磁性層14の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0102】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第5実施形態]
図25は、本発明の第5実施形態のスピンバルブ型薄膜素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、基板側から、フリー磁性層、非磁性導電層、固定磁性層、反強磁性層が形成されたトップタイプ(Top type)とされるシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子の一種である。
【0103】
図25において、符号1は、基板K上に設けられた下地層である。この下地層1の上には、フリー磁性層5、非磁性導電層4、固定磁性層3、反強磁性層2、保護層7が積層され、これら、下地層1、フリー磁性層5、非磁性導電層4、固定磁性層3、反強磁性層2、保護層7は、断面略台形とされる積層体9を形成している。
この積層体9の両側には、バイアス下地層6Aと、ハードバイアス層6Bと、中間層6Cとが積層され、中間層6Cには電極層8が積層されている。ハードバイアス層は、図において、X1方向に磁化されており、これにより、フリー磁性層の磁化方向が、X1方向に設定されている。
【0104】
さらに詳細に説明すると、前記反強磁性層2は、積層体9中央部分において、50〜300オングストローム程度の厚さとされ、PtMn合金で形成されることが好ましい。PtMn合金は、従来から反強磁性層として使用されているNiMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、しかもブロッキング温度が高く、交換結合磁界(交換異方性磁界)も大きい。
また、前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただし、Xは、Pd、Ru、Ir、Rh、Osのうちから選択される1種の元素を示す。)の式で示される合金、あるいは、X’−Pt−Mn(ただし、X’は、Pd、Ru、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Cr、Ni、Ar、Ne、Xe、Krのうちから選択される1種または2種以上の元素を示す。)の式で示される合金で形成されていてもよい。
【0105】
また、前記PtMn合金および前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。ここで、特に規定しない限り〜で示す数値範囲の上限と下限は、以下、以上を意味する。
さらにまた、X’−Pt−Mnの式で示される合金において、X’+Ptが37〜63原子%の範囲であることが望ましい。より好ましくは、47〜57原子%の範囲である。さらに、前記X’−Pt−Mnの式で示される合金としては、X’が0.2〜10原子%の範囲であることが望ましい。
ただし、X’がPd、Ru、Ir、Rh、Osの1種以上の場合は、X’は0.2〜40原子%の範囲であることが望ましい。
前記反強磁性層2として、上記した適正な組成範囲の合金を使用し、これをアニール処理することで、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層2を得ることができる。とくに、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば、64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層2を得ることができる。
これらの合金は、成膜したままでは不規則系の面心立方構造(fcc:格子定数がa軸とc軸とで同じ値)であるが、熱処理により、CuAuIタイプの規則系の面心正方構造(fct:a軸/c軸≒0.9)に構造変態する。
【0106】
固定磁性層3は、強磁性体の薄膜からなり、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などで形成され、10〜50オングストローム程度の厚さとされることが好ましく、固定磁性層3は、例えばCoからなりその膜厚が30オングストロームに設定される。
この固定磁性層3は、反強磁性層2に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施すことにより、前記固定磁性層3と反強磁性層2との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、例えば図25に示すように、前記固定磁性層3の磁化が、図示Y方向に固定される。
【0107】
前記フリー磁性層5は、NiFe,CoFe,CoFeNi系合金からなる単層あるいはCoFe等のCo合金とNiFe合金の積層膜とされ、その膜厚が、10〜50オングストロームの範囲に設定され、より好ましくは、20〜35オングストロームの範囲に設定されることが好ましい。
【0108】
図9,10は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層5の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図9に各点(Tw,λs)で示すように、点F1 (0.19,20),点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1),点Q1 (0.19,0)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.19μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0109】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層5の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図10に各点(Tw,λs)で示すように、点E2 (0.23,11),点F2 (0.22,12),点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1),点Q2 (0.22,0),点R2 (0.23,−0.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.23μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0110】
非磁性導電層4は、Cu(銅)等からなり、その膜厚は、20〜30オングストロームに設定される。
保護層7は、Taからなり、その表面が、酸化された酸化層7aとされている。
【0111】
バイアス下地層6Aは、緩衝膜および配向膜であり、Crなどで形成されることが好ましく、例えば、20〜100オングストローム程度、好ましくは50オングストローム程度の厚さとされ、中間層6Cは、例えばTaからなり50オングストローム程度の膜厚とされる。
これらバイアス下地層6Aおよび中間層6Cが、後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまたはハードベーク)等で高温に曝される場合に、拡散バリアーとして機能することにより、ハードバイアス層6B,6Bと周辺層の間で熱拡散がおこり、ハードバイアス層6B,6Bの磁気特性が劣化することを防止することができる。
【0112】
前記ハードバイアス層6B,6Bは、通常、200〜700オングストローム程度の厚さとされ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金やCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金などで形成されることが好ましい。
また、前記ハードバイアス層6B,6Bが、図示X1方向に磁化されていることで、前記フリー磁性層5の磁化が、図示X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層5の変動磁化と前記固定磁性層3の固定磁化とが90度で交差する関係となっている。
【0113】
前記ハードバイアス層6B,6Bは、前記フリー磁性層5と同じ階層位置に配置され、前記フリー磁性層5の膜厚方向に前記フリー磁性層5の膜厚よりも大きな膜厚とされることが好ましい。また、前記ハードバイアス層6B,6Bの上面(基板Kに対向する面と反対側の面)は、フリー磁性層5の上面(基板Kに対向する面と反対側の面)よりも基板Kから離れた位置に(すなわち、図では上側に)配置され、前記ハードバイアス層6B,6Bの下面は、前記フリー磁性層5の下面と略等しいかフリー磁性層5の下面よりも基板K側の位置に(すなわち、図では下側に)配置されている。前記ハードバイアス層6B,6Bは、前記フリー磁性層5と同じ階層位置に配置さられて前記積層体9と接合されているが、ここで、「前記フリー磁性層5と同じ階層位置に配置されて前記積層体9と接合され」とは、少なくともハードバイアス層6B,6Bとフリー磁性層5とが磁気的に主に接合されている状態を意味し、前記ハードバイアス層6B,6Bと前記フリー磁性層5との接合部分の厚さが、前記フリー磁性層5の膜厚に等しいかこのフリー磁性層5の膜厚よりも薄い状態も含まれる。また、ここで、ハードバイアス層6B,6Bの上面とは、基板K側と反対側の面を意味している。さらに、「接合」とは、磁気的に主に接合されていればよく、直接接触して接続することのみならず、例えばバイアス下地層6A、中間層6C等を介して積層体9と接続されることをも意味している。
【0114】
電極層8,8が、Cr、Au、Ta、Wから選択される1種またはそれ以上からなる単層膜もしくはその多層膜で形成されたことにより、抵抗値を低減することができる。ここでは、電極層8,8としてCrが選択されて、Taからなる中間層6C上にエピタキシャル成長することにより形成されることにより電気抵抗値を低減することができる。
【0115】
図25に示す構造のスピンバルブ型薄膜磁気素子においては、電極層8,8から積層体9にセンス電流を与えられる。磁気記録媒体から図示Y方向に磁界が印加されると、フリー磁性層5の磁化は、図示X1方向からY方向に変動する。このときの非磁性導電層4とフリー磁性層5との界面および非磁性導電層4と固定磁性層3との界面で、いわゆるGMR効果によってスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0116】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19ないし図24に示す第1ないし第4実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同等の効果を奏することができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能となる。
また、フリー磁性層5の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0117】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第6実施形態]
図26は、本発明の第6実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、先に説明した図25に示す第5実施形態のものと略同等のトップタイプ(Top type)とされるシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子とされ、対応する構成には、同一の符号を付けその説明を省略する。
【0118】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子において、図25に示す第5実施形態と異なる点は、固定磁性層が、第1の固定磁性層と、前記第1の固定磁性層に非磁性中間層を介して形成され、前記第1の固定磁性層の磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第2の固定磁性層と、を有し、固定磁性層が合成フェリ磁性状態とされてなる手段、いわゆる、シンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とされた点である。
【0119】
本実施形態においては、Cu(銅)等からなる非磁性導電層4の上に、固定磁性層3A,3B,3Cが形成されている。
この固定磁性層3A,3B,3Cは、非磁性導電層4の上に積層された第2の固定磁性層3Cと、前記第2の固定磁性層3Cの上に非磁性中間層3Bを介して形成され、前記第2の固定磁性層3Cの磁化方向と反平行に磁化方向が揃えられた第1の固定磁性層3Aとからなる。
この第1の固定磁性層3Aの上には、PtMn合金からなる反強磁性層13が形成される。
第1および第2の固定磁性層3A,3Cは、強磁性体の薄膜からなり、例えば、Co、NiFe合金、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などで形成され、両者の合計が40オングストローム程度の厚さとされることが好ましく、第1の固定磁性層3Aは、例えばCoからなりその膜厚が13〜20オングストロームに設定され。第2の固定磁性層3Cは、例えばCoからなりその膜厚が15〜25オングストロームに設定される。
また、前記非磁性中間層3Bは、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されていることが好ましく、通常、8オングストローム程度の厚さに形成されている。
【0120】
この第1の固定磁性層3Aは、反強磁性層2に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施すことにより、前記第1の固定磁性層3Aと反強磁性層2との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生し、例えば図に示すように、前記第1の固定磁性層3Aの磁化が、図示Y方向に固定される。前記第1の固定磁性層3Aの磁化が、図示Y方向に固定されると、非磁性中間層3Bを介して対向する第2の固定磁性層3Cの磁化は、第1の固定磁性層3Aの磁化と反平行の状態、つまり、図示Y方向と逆方向に固定される。
図26に示すように、これら下地層1から酸化層7aまでの各層により、略台形状の断面形状を有する積層体91が構成されている。
【0121】
図11,12は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層5の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図11に各点(Tw,λs)で示すように、点G1 (0.18,20),点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2),点P1 (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.18μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0122】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層5の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図12に各点(Tw,λs)で示すように、点G2 (0.2,13.5),点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2),点P2 (0.2,1)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.2μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0123】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19ないし図25に示す第1ないし第5実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏することができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能となる。また、いわゆる、シンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )としたことにより、特に薄いフリー磁性層を用いた時の再生波形の非対称性(Asymmetry )が防止できるとともに、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
また、フリー磁性層5の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0124】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第7実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第7実施形態]
図27は、本発明の第7実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
このスピンバルブ型薄膜磁気素子は、フリー磁性層を中心としてその膜厚方向両側に非磁性導電層、固定磁性層、および反強磁性層がそれぞれ形成された、いわゆるデュアルスピンバルブ型(Dual spin-valves)とされる。このデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子では、磁気抵抗効果を発現するフリー磁性層/非磁性導電層/固定磁性層のこの3層の組合わせが2組存在するためシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子に比べて大きな△R/Rを期待でき、高密度記録化に対応できるものとなっている。
【0125】
図27に示すスピンバルブ型薄磁気膜素子は、基板側から下地層30、反強磁性層31、第1の固定磁性層(下)32、非磁性中間層(下)33、第2の固定磁性層(下)34、非磁性導電層35、フリー磁性層36、非磁性導電層40、第2の固定磁性層(上)41、非磁性中間層(上)42、第1の固定磁性層(上)43、反強磁性層44、および保護層45の順で積層されている。なお図7に示すように、下地層30から保護層45までの積層体46の両側には、バイアス下地層130a、ハードバイアス層130、中間層131a、電極層131が形成されている。
【0126】
図27に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子の反強磁性層31,44は、PtMn合金で形成されていることが好ましく、あるいはPtMn合金に代えて、X−Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種以上の元素である)合金、あるいは、Pt−Mn−X´(ただしX´は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Agのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成されていてもよい。
【0127】
前記フリー磁性層36は、前述した図19〜図26に示す第1〜第6実施形態と同様に、NiFe,CoFe,CoFeNi系合金からなる単層あるいはCoFe等のCo合金とNiFe合金の積層膜とされ、その膜厚が、10〜50オングストローム程度の厚さの範囲に設定され、より好ましくは、20〜35オングストロームの範囲に設定されることが好ましい。
【0128】
図13,14は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気記録トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の素子高さ方向の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図13に各点(Tw,λs)で示すように、点H1 (0.17,20),点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5),点O1 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.17μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0129】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図14に各点(Tw,λs)で示すように、点H2 (0.17,16),点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5),点O2 (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.17μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を更に効果的に抑制する上でと、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0130】
このスピンバルブ型薄膜磁気素子においても、前記第1の固定磁性層(下)32の膜厚tP1と、第2の固定磁性層(下)34の膜厚tP2との膜厚比、および第1の固定磁性層(上)43の膜厚tP1と第2の固定磁性層41(上)の膜厚tP2との膜厚比(第1の固定磁性層の膜厚tP1)/(第2の固定磁性層の膜厚tP2)は、0.33〜0.95、あるいは1.05〜4の範囲内であることが好ましい。さらには、膜厚比が上記範囲内であり、第1の固定磁性層(下)32,(上)43の膜厚tP1および第2の固定磁性層(下)34,(上)41の膜厚tP2が10〜70オングストロームの範囲内で、かつ第1の固定磁性層32,43の膜厚tP1から第2の固定磁性層34,41の膜厚tP2を引いた絶対値が2オングストローム以上であると、40kA/m以上の交換結合磁界を得ることが可能である。
なお第1の固定磁性層(下)32,(上)43と第2の固定磁性層(下)34,(上)41との膜厚比や膜厚、非磁性中間層(下)33,(上)42の膜厚、および反強磁性層31,44の膜厚を上述した範囲内で適正に調節することにより、充分な△R/R(抵抗変化率)を保つことができる。
【0131】
バイアス下地層130aは、緩衝膜および配向膜であり、Crなどで形成されることが好ましく、例えば、20〜100オングストローム程度、好ましくは50オングストローム程度の厚さとされ、中間層131aは、例えばTaからなり50オングストローム程度の膜厚とされる。
これらバイアス下地層130aおよび中間層131aにより、後工程のインダクティブヘッド(書込ヘッド)の製造プロセスでおこなう絶縁レジストの硬化工程(UVキュアまたはハードベーク)等で高温に曝される場合に、拡散バリアーとして機能し、ハードバイアス層130,130と周辺層の間で熱拡散がおこり、ハードバイアス層130,130の磁気特性が劣化することおよび、電極層131,131と周辺層の間で熱拡散がおこり、電極層131,131の特性が劣化することを防止することができる。
【0132】
前記ハードバイアス層130,130は、通常、200〜800オングストローム程度の厚さとされ、例えば、Co−Pt合金やCo−Cr−Pt合金やCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)合金などで形成されることが好ましい。
また、前記ハードバイアス層130,130が、図示X1方向に磁化されていることで、前記フリー磁性層36の磁化が、図示X1方向に揃えられている。これにより、前記フリー磁性層36の変動磁化と第2の固定磁性層(下)34,(上)41の固定磁化とが略90度で交差する関係となっている。このハードバイアス層130,130はフリー磁性層36と磁気的に結合されていればよく、このハードバイアス層130からの固定磁性層32,34,41,43への影響を低減するために、例えば、膜厚方向における配置位置をフリー磁性層36と略等しい位置に規定することもできる。
【0133】
電極層131,131が、Cr、Au、Ta、Wから選択される1種またはそれ以上からなる単層膜もしくはその多層膜で形成されたことにより、抵抗値を低減することができる。ここでは、電極層131,131としてCrが選択されて、Taからなる中間層131a上にエピタキシャル成長することにより形成されることにより電気抵抗値を低減することができる。
【0134】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19ないし図26に示す第1ないし第6実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏することができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能となる。また、いわゆる、シンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )としたことにより、再生波形の非対称性(Asymmetry )が低減されるとともに、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
また、フリー磁性層5の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために、再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0135】
以下、本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子、およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドの第8実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第8実施形態]
図28は、本発明の第8実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、先に説明した図27に示す第7実施形態のものと略同等のシンセティックフェリピンド型(synthetic-ferri-pinned type )とされるデュアルシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子とされ、対応する構成には、同一の符号を付けその説明を省略する。
本実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子において、図27に示す第7実施形態と異なる点は、第2の固定磁性層(下)34,(上)41の一部に、強磁性絶縁材料からなる鏡面反射層51,52を設けた点である。
【0136】
この鏡面反射層51,52はともに、図24に示す第4実施形態における鏡面反射層S1に対応して鏡面反射効果により大きな△R/R(抵抗変化率)が得られ、高密度記録化に対応できるものとすることができるもので、その詳細な説明は省略する。
【0137】
図15,16は、本実施形態における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との範囲を示す図である。
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図15に各点(Tw,λs)で示すように、点I1 (0.15,20),点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5),点N1 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.15μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0138】
本実施形態において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層36の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図16に各点(Tw,λs)で示すように、点I2 (0.15,17.5),点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5),点N2 (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.15μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上でと、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0139】
本実施形態のスピンバルブ型薄膜素子によれば、図19ないし図27に示す第1ないし第7実施形態におけるスピンバルブ型薄膜素子と同様の効果を奏することができ、抵抗変化率(ΔR/R)をより向上して、狭トラック化、高記録密度化に対応することが可能となる。
また、フリー磁性層36の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とが、上記の値に設定されているために再生波形の歪みや不安定性(instability )を増加させることなしに、狭いトラック幅のヘッドにおいても必要な再生出力を確保することができる。
【0140】
なお、本発明においては、上記の各実施形態におけるフリー磁性層5,14,36において、他の実施形態のフリー磁性層における磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と磁歪λs(×10-6)とを適用することが可能である。さらに、上記の各実施形態におけるフリー磁性層5,14,36において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図17に各点(Tw,λs)で示すように、点J1 (0.13,20),点K1 (0.1,20),点L1 (0.1,9),点M1 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.13μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )を抑制しつつ必要な再生出力を確保する上でより好ましい。
【0141】
さらに、上記の各実施形態におけるフリー磁性層5,14,36において、前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とが、添付図面図18に各点(Tw,λs)で示すように、点J2 (0.13,20),点K2 (0.1,20),点L2 (0.1,9),点M2 (0.13,5)で囲まれる範囲内の値に設定されることができ、この範囲であると、特に、0.13μm以下の再生トラック幅のヘッドにおいて、再生波形の歪みや不安定性(instability )をさらに効果的に抑制する上と、磁気的な実効再生トラック幅の制御の上で好適なハードバイアス層の残留磁化×膜厚積にハードバイアス層を設定しつつ、必要な再生出力を確保する上で、より好ましい。
【0142】
次に、本発明の薄膜磁気へッドについて詳しく説明する。
図30は、本発明の薄膜磁気ヘッドの一例を示した斜視図である。
この薄膜磁気ヘッドは、ハードディスク装置などの磁気記録媒体に搭載される浮上式のものである。この薄膜磁気ヘッドのスライダ251は、図30において符号235で示す側がディスク面の移動方向の上流側に向くリーディング側で、符号236で示す側がトレーリング側である。このスライダ251のディスクに対向する面では、レール状のABS面(エアーベアリング面:レール部の浮上面)251a、251a、251bと、エアーグルーブ251c、251cとが形成されている。
そして、このスライダ251のトレーリング側の端面251dには、磁気コア部250が設けられている。
【0143】
この例で示す薄膜磁気ヘッドの磁気コア部250は、図31および図32に示す構造の複合型磁気ヘッドであり、スライダ251のトレーリング側端面251d上に、MRヘッド(読出ヘッド)h1と、インダクティブヘッド(書込ヘッド)h2とが順に積層されて構成されている。
【0144】
この例のMRヘッドh1は、基板を兼ねるスライダ251のトレーリング側端部に形成された磁性合金からなる下部シールド層253上に、下部ギャップ層254が設けられている。そして、下部ギャップ層254上には、磁気抵抗効果素子層245が積層されている。この磁気抵抗効果素子層245上には、上部ギャップ層256が形成され、その上に上部シールド層257が形成されている。この上部シールド層257は、その上に設けられるインダクティブヘッドh2の下部コア層と兼用にされている。
このMRヘッドh1は、ハードディスクのディスクなどの磁気記録媒体からの微小の漏れ磁界の有無により、磁気抵抗効果素子層245の抵抗を変化させ、この抵抗変化を読み取ることで記録媒体の記録内容を読み取るものである。
【0145】
前記MRヘッドh1に設けられている磁気抵抗効果素子層245には、上述したスピンバルブ型薄膜素子が備えられている。
前記スピンバルブ型薄膜素子は、薄膜磁気へッド(再生用ヘッド)を構成する最も重要なものである。
【0146】
また、インダクティブヘッドh2は、下部コア層257の上に、ギャップ層264が形成され、その上に平面的に螺旋状となるようにパターン化されたコイル層266が形成されている。前記コイル層266は、第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層267Bに囲まれている。第2絶縁材料層267Bの上に形成された上部コア層268は、ABS面251bにて、その磁極端部268aを下部コア層257に、磁気ギャップGの厚みをあけて対向させ、図31および図32に示すように、その基端部268bを下部コア層257と磁気的に接続させて設けられている。
また、上部コア層268の上には、アルミナなどからなる保護層269が設けられている。
【0147】
このようなインダクティブヘッドh2では、コイル層266に記録電流が与えられ、コイル層266からコア層に記録磁束が与えられる。そして、前記インダクティブヘッドh2は、磁気ギャップGの部分での下部コア層257と上部コア層268の先端部からの漏れ磁界により、ハードディスクなどの磁気記録媒体に磁気信号を記録するものである。
【0148】
本発明の薄膜磁気へッドを製造するには、まず、図31に示す磁性材料製の下部シールド層253上に下部ギャップ層254を形成した後、磁気抵抗効果素子層254を形成する前記スピンバルブ型薄膜素子を成膜する。その後、前記スピンバルブ型薄膜素子の上に、上部ギヤップ層256を介して上部シールド層257を形成すると、MRヘッド(読出ヘッド)h1が完成する。
続いて、前記MRヘッドh1の上部シールド層257と兼用である下部コア層257の上に、ギャップ層264を形成し、その上に螺旋状のコイル層266を、第1の絶縁材料層267Aおよび第2の絶縁材料層267Bで囲むように形成する。さらに、第2絶縁材料層267Bの上に上部コア層268を形成し、上部コア層268の上に、保護層269を設けることによって薄膜磁気へッドとされる。
【0149】
このような薄膜磁気へッドは、上述したスピンバルブ型薄膜素子が備えられてなる薄膜磁気へッドであるので、耐熱性、信頼性に優れ、アシンメトリーの小さい薄膜磁気へッドとなる。
【0150】
なお、薄膜磁気ヘッドのスライダ部分の構成およびインダクティブヘッドの構成は、図30〜図32に示すものに限定されず、その他の種々の構造のスライダおよびインダクティブヘッドを採用することができるのは勿論である。
【0151】
(実施例)
本発明では、スピンバルブ型薄膜磁気素子において、トラック幅寸法Twと、フリー磁性層における磁歪λsと、再生出力との関係について測定した。
実験に使用したスピンバルブ型薄膜磁気素子は、図21に示す第2実施形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子である。
ここで、積層体における各層の膜厚は、下から
PtMn110/Co15/Ru8/Co25/Cu24/Co5/NiFe/Cu15/Ta11(各数字はそれぞれの膜厚のオングストローム単位に対応する)
に設定されている。
【0152】
まず、このスピンバルブ型薄膜磁気素子において、
1.ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=22T・nm
フリー磁性層膜厚3.6nm(丸数字1)
2.ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=14T・nm
フリー磁性層膜厚3.6nm(丸数字2)
3.ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brt=14T・nm
フリー磁性層膜厚2.5nm(丸数字3)
に設定したものにおいて、それぞれ、トラック幅寸法として、0.15μm,0.22μm,0.3μm,0.4μm,のものを作成し、同時に、このときのフリー磁性層の磁歪λsを変化させて、出力を測定した。
このときの外部からの磁気信号の発生源となる磁気記録媒体としては、
磁気記録層の残留磁化×膜厚Mr・t=5T・nm
保磁力296kA/m
残留磁束密度×膜厚Brt=5T・nm
かつ、センス電流の大きさを5mAとした。
そして、これらの再生出力のうち10Mz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が実用下限値(a)1.2mVを上回り、かつ、実用上限値(b)2.0mVを下回った範囲をピックアップした。
その結果を、図29に示す。
【0153】
これによれば、図1〜図18に示す範囲に磁気再生トラック幅方向寸法Twと、前記フリー磁性層の素子高さ方向の磁歪λsを設定することにより、再生出力が適正な範囲に設定されていることがわかる。
そして、トラック幅Twが狭くなるほど適正なフリー磁性層の磁歪λsはプラス符号側に大きくなる方向に変化する傾向は(丸数字1)(丸数字3)のどの場合も一致している。
ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積およびフリー磁性層の厚みが比較的大きく設定された(丸数字1)の場合には、比較的大きな磁歪に設定しないと再生出力が確保されないため適正な再生出力の範囲となるためのフリー磁性層の磁歪の範囲は比較的プラス符号の側に大きくなる傾向がある。一方、ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積およびフリー磁性層の厚みが比較的小さく設定された(丸数字3)の場合には、比較的小さな磁歪でも出力が確保できる一方で、あまり磁歪が大きすぎると再生波形の歪みや不安定性(instability )の発生確率が増加するため、適正な再生出力の範囲とするためのフリー磁性層の磁歪の範囲は比較的マイナス符号の側にずれる傾向がある。(丸数字2)の場合は、(丸数字1)(丸数字3)の中間的な範囲となる。
【0154】
【発明の効果】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドによれば、以下の効果を奏する。
(1) トラック幅寸法Twを0.4μm以下に設定することにより、フリー磁性層にはハードバイアス層から距離的に離れている部分がないため、再生トラック幅が0.4μmより広い場合に比較して、トラック幅方向においてフリー磁性層へ前記ハードバイアス層からの影響が大きく変動することが防止される。同時に、フリー磁性層の磁歪λsを設定することで、逆磁歪効果により、作用する引張応力の方向に磁化が向きやすくなり、磁気異方性が現出し、素子高さ方向(ハイト方向)を磁化容易軸とすることができるため、磁気記録媒体からの磁界に対してフリー磁性層の磁化を感度よく回転させ、再生出力を向上することができる。この場合、前述したようにトラック幅Twが0.4μm以下に設定されることでトラック幅方向の位置によるハードバイアス磁界の分布が小さいために、トラック幅方向において、フリー磁性層の変動磁化の回転容易性が大きな分布を有し、磁壁ができて磁区が不安定になることをトラック幅が広い場合と比較して防止することができる。
このため、フリー磁性層には、トラック幅方向において、感度のばらつく領域が形成されることがなく、フリー磁性層内に磁壁ができて単磁区化が妨げられ、磁化の不均一が発生し、スピンバルブ型薄膜素子において、磁気記録媒体からの信号の処理が不正確になる不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生することを防止することができる。
【0155】
(2) 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層14の磁歪λs(×10-6)とを、添付図面図1に各点(Tw,λs)で示すように、点A1 〜点V1 で囲まれる範囲内の値に設定することにより、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を低減することができる。すなわち、スピンバルブ型薄膜磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性を低減することができる。また、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性が増加することを防止することができる。一方、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定されることが防止でき、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転し、検出感度を向上することができる。すなわち、スピンバルブ型薄膜磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわることを防止することができる。
【0156】
(3) 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを、添付図面図2に各点(Tw,λs)で示すように、点A2 〜点V2 で囲まれる範囲内の値に設定することにより、フリー磁性層内に磁壁ができて不安定性(instability )の原因となるバルクハイゼンノイズ等が発生する可能性を低減することができる。同時に、ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積を磁気的な実効再生トラック幅の制御性の上で好適な値に設定した状態で、スピンバルブ型薄膜磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用上限値約2.0mVを上まわってしまい再生波形の不安定性(instability )が増加する可能性を低減することができる。また、フリー磁性層における保磁力が400A/m程度以上になり、フリー磁性層の軟磁気特性が低下し、再生波形の歪みや不安定性(instability )が増加することを防止することができる。一方、ハードバイアス層の残留磁化×膜厚積を、再生波形の歪みや不安定性(instability )をより効果的に抑制する上で好適な値に設定した状態で、フリー磁性層の変動磁化がハードバイアス層に必要以上に強固に固定されることが防止でき、印加される外部磁界に対して、感度好く変動磁化が回転し、再生感度を向上することができる。すなわち、スピンバルブ型薄膜磁気素子の低周波数帯における再生出力が実用下限値1.2mVを下まわることを防止することができる。
【0157】
(4) 再生トラック幅Twが変化すると、フリー磁性層に作用するハードバイアス層からの磁界も変化することになり、トラック幅寸法に応じて好適なフリー磁性層の磁歪の範囲が変化することになる。本発明では、種種のトラック幅方向寸法毎で好適なフリー磁性層の磁歪の範囲を規定することで、再生波形の歪みや不安定性の防止と必要十分な再生出力の領地を図ることができる。
(5) 上記により、磁歪のコントロールを図ることができ、スピンバルブ型薄膜素子において狭トラック化に対応し出力特性の向上を図ることができる。
(6) 上記のようなスピンバルブ型薄膜素子を備えた薄膜磁気ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図2】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図3】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図4】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図5】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図6】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図7】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図8】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図9】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図10】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図11】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図12】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図13】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図14】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図15】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図16】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図17】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図18】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)とを設定する範囲を示すグラフである。
【図19】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子の第1実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図20】 図19のスピンバルブ型薄膜磁気素子におけるフリー磁性層14に等しい階層で図19におけるX1−Y平面を示す断面図である。
【図21】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第2実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図22】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の他の実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図23】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第3実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図24】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第4実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図25】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第5実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図26】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第6実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図27】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第7実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図28】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜素子の製造方法の第8実施形態を記録媒体との対向面側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図29】 本発明に係るスピンバルブ型薄膜磁気素子において、再生出力の下限値および上限値に対する、磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10-6)との関係を示すグラフである。
【図30】 本発明の薄膜磁気ヘッドの一例を示した斜視図である。
【図31】 図30に示した薄膜磁気ヘッドの磁気コア部を示した断面図である。
【図32】 図30に示した薄膜磁気ヘッドを示した概略斜視図である。
【図33】 従来のスピンバルブ型薄膜素子の一例を記録媒体との対向面(ABS面)側から見た場合の構造を示した断面図である。
【図34】 図33に示すスピンバルブ型薄膜磁気ヘッドのトラック幅方向における出力分布を示す模式グラフである。
【図35】 図33に示すスピンバルブ型薄膜磁気ヘッドのトラック幅方向における出力分布を示す模式グラフである。
【図36】 フリー磁性層に磁壁ができた状態を示す図である。
【図37】 スピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示すグラフである。
【図38】 スピンバルブ型薄膜素子の出力波形を示すグラフである。
【図39】 スピンバルブ型薄膜磁気素子の積層体に占める感度領域と不感領域との測定方法を示す模式図である。
【符号の説明】
K,10…基板
1…下地層
11,2…反強磁性層
3,12…固定磁性層
3A,12A…第1の固定磁性層
3B,12B…非磁性中間層
3C,12C…第2の固定磁性層
4,13…非磁性導電層
5,14…フリー磁性層
7,15…保護層
9,16,91…積層体
6A,6B,6C,17…ハードバイアス層
17b…上面
8,18…電極層
B1…バックド層
S1,S2…鏡面反射層
30…下地層
31…反強磁性層
32…第1の固定磁性層(下)
33…非磁性中間層(下)
34…第2の固定磁性層(下)
35…非磁性導電層
36…フリー磁性層
40…非磁性導電層
41…第2の固定磁性層(上)
42…非磁性中間層(上)
43…第1の固定磁性層(上)
44…反強磁性層
45…保護層
46…積層体
51,52…鏡面反射層
130a…バイアス下地層
130…ハードバイアス層
131a…中間層
131…電極層

Claims (10)

  1. 基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有する素子であって、
    気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図11に各点(Tw,λs)で示すように、
    点G (0.18,20),点H (0.17,20),点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5),点O (0.17,2),点P (0.18,1)で囲まれる範囲内の値に設定され、かつ、
    前記ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brtと、フリー磁性層膜厚とが、
    22T・nm、3.6nmかまたは、
    14T・nm、3.6nmかまたは、
    14T・nm、2.5nmに設定されるとともに、
    10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が1.2〜2.0mVの範囲とされることを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 基板上に、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換結合磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成され、前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ磁化方向が揃えられたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向へ揃えるためのハードバイアス層と、前記固定磁性層,前記非磁性導電層,前記フリー磁性層付近に検出電流を与える一対の電極層とを有する素子であって、
    気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図12に各点(Tw,λs)で示すように、
    点G(0.2,13.5),点H(0.17,16),点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5),点O(0.17,2),点P(0.2,1)で囲まれる範囲内の値に設定され、かつ、
    前記ハードバイアス層の残留磁束密度×膜厚Brtと、フリー磁性層膜厚とが、
    22T・nm、3.6nmかまたは、
    14T・nm、3.6nmかまたは、
    14T・nm、2.5nmに設定されるとともに、
    10MHz〜20MHz程度の低周波数帯における再生出力が1.2〜2.0mVの範囲とされることを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  3. 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図13に各点(Tw,λs)で示すように、
    点H (0.17,20),点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5),点O (0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  4. 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図14に各点(Tw,λs)で示すように、
    点H(0.17,16),点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5),点O(0.17,2)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  5. 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図15に各点(Tw,λs)で示すように、
    点I (0.15,20),点J (0.13,20),点K (0.1,20),点L (0.1,9),点M (0.13,5),点N (0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  6. 前記磁気再生トラック幅方向寸法Tw(μm)と、前記フリー磁性層の磁歪λs(×10−6)とが、添付図面図16に各点(Tw,λs)で示すように、
    点I(0.15,17.5),点J(0.13,20),点K(0.1,20),点L(0.1,9),点M(0.13,5),点N(0.15,3.5)で囲まれる範囲内の値に設定されることを特徴とする請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  7. 前記基板上には、前記各層が、少なくとも前記反強磁性層、前記固定磁性層、前記非磁性導電層、前記フリー磁性層の順に積層されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  8. 前記反強磁性層が、X−Mn合金,Pt−Mn−X’合金(ただし前記組成式において、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ru、Osのなかから選択される1種を示し、X’はPd、Cr、Ru、Ni、Ir、Rh、Os、Au、Ag、Ne、Ar、Xe、Krのなかから選択される1種または2種以上を示す)のいずれかからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  9. 前記固定磁性層とフリー磁性層との少なくとも一方が非磁性層を介して2つに分断され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性状態とされてなることを特徴とする請求項1から8のいずれか記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 請求項1から9のいずれか記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
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